JP2008203815A - 光ファイバ切断装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 円板状の刃部材3を光ファイバ15のガラスファイバ部分16に押し付けた状態で移動させて、該ガラスファイバ部分16の表面を創傷する光ファイバ切断装置1において、前記刃部材3は、移動経路の途中に固定装備された接触部材27と接触した際の接触摩擦力で回転する送りローラ31により、該刃部材3の移動に連動して回転する。
【選択図】 図2
Description
この応力破断法は、光ファイバのガラスファイバ部分の表面に、超硬合金あるいはダイヤモンドなどで形成された非常に硬い創傷用の切刃で初期傷を付け、その後、このガラスファイバ部分に曲げ応力を加えることにより光ファイバを破断する、所謂劈開によって光ファイバの破断面に鏡面を得る方法である。
しかし、このように刃部材で光ファイバのガラスファイバ部分の表面に傷を付ける形式のものは、繰り返しの利用で刃部材の切れ味が低下すると、劈開により破断した時の光ファイバの破断面が良好な鏡面とならない。
そこで、円板状の刃部材はねじ部材による締め付けを緩めると自由に回転操作可能に取り付けておき、切れ味が低下する前に、装置の取扱者が、刃部材の締め付けを緩めて刃部材を円板中心回りに適宜角度回転させて、ガラスファイバ部分との接触域を更新できるようにしたものが提案された。
ここに示した光ファイバ切断装置100は、下記特許文献1に開示されたもので、光ファイバ102の被覆を剥いだガラスファイバ部分103を把持する上下一対のクランプ部材104,105と、これらのクランプ部材104,105により固定されたガラスファイバ部分103の下方を移動してガラスファイバ部分103の外周面に傷を付ける円板状の刃部材107と、刃部材107を回転可能に支持する支持枠109と、ガラスファイバ部分103の上方に昇降可能に装備されてガラスファイバ部分103の上面に曲げ荷重を負荷する枕部材111とを備えたもので、クランプ部材104,105により固定されたガラスファイバ部分103に刃部材107によって傷を付けた後、枕部材111によりガラスファイバ部分103に曲げ荷重をかけることで、光ファイバの劈開による破断面を得る。
結局、従来の光ファイバ切断装置100では、一度に更新する接触域の長さが大きくなってしまい、刃部材107の接触域の更新可能回数が限られることになり、そのため、刃部材107の寿命を延ばすことが難しいという問題が生じた。
(1) 円板状の刃部材を光ファイバのガラスファイバ部分に向けて移動させて、前記ガラスファイバ部分の表面に傷を付けて光ファイバを切断する光ファイバ切断装置であって、
前記刃部材の移動に連動して該刃部材を回転させることで、前記刃部材の前記ガラスファイバ部分との接触域を更新することを特徴とする光ファイバ切断装置。
従って、刃部材のガラスファイバ部分との接触域の更新を、取扱者に負担をかけることなく自動で実施できる。
(3) 前記刃部材が、接触摩擦力を受ける送りローラと、前記送りローラの一方向の回転時にのみ該送りローラの回転力を前記刃部材に伝達するワンウェイクラッチとを備えたことを特徴とする(2)記載の光ファイバ切断装置。
また、ワンウェイクラッチの動作方向を選択することにより、刃部材を往路で回転させるか復路で回転させるかを決定することができる。
このような構成にすると、位置調整機構による接触摩擦の調整を実施することで、接触域を更新する刃部材の回転量を任意に設定でき、これにより刃部材の接触域の更新可能回数を増大できて、刃部材の寿命を向上させることができる。
このような構成では、接触部材を刃部材の回転軸方向に位置調整することで、接触部材と送りローラとの間の接触幅を任意値に調整することが可能になり、また、接触部材を刃部材の回転軸に直交する該刃部材の移動方向に位置調整することで、接触部材と送りローラとの間の接触長さを任意値に調整することが可能になり、接触部材を刃部材の回転軸と刃部材の移動方向との双方に直交する方向に位置調整することで、接触部材と送りローラとの間の接触圧を任意値に調整することが可能になり、位置調整機構によるこれらの3方向の位置調整を組み合わせることで、接触部材と送りローラとの間に作用する接触摩擦力の調整範囲を大きくすると同時に、接触摩擦力の微調整も可能になり、刃部材の回転量の調整をより高精度にすることが可能になる。また、接触部材の摩耗に伴う接触摩擦力の低下を回復することができる。
(7) 前記アーム部材は弾性部材を備えていることを特徴とする(6)記載の光ファイバ切断装置。
このように構成すると、位置調整機構によるアーム部材とギアとの間の接触圧または接触長さを任意値に調整することが可能になり、刃部材の回転量の調整を確実、かつ高精度にすることができる。
これにより、ガラスファイバ部分の創傷時に発生した切りくずが刃部材に付着しても、刃部材に付着した切りくずは、清掃手段による清掃により、次の創傷処理の前に除去されるため、刃部材上に残存する切りくずが次の創傷処理に影響を及ぼすことがなくなる。
このように構成すると、刃部材のガラスファイバ部分との接触域の更新が、毎回、ガラスファイバ部分に傷を付ける直前に行なわれることになり、これにより、常に新鮮な切れ味の刃部材で傷を付けることができる。
このように構成すると、刃部材の移動に連動する刃部材の回転時には、刃部材上に設けた目印が移動するため、刃部材の回転による接触域の更新が適性に行われていることを目視により容易に確認することができ、刃部材の移動に連動する刃部材の回転量の調整作業等が容易になる。
図1は本発明に係る光ファイバ切断装置の第1の実施の形態を示す外観斜視図、図2は図1に示した光ファイバ切断装置の装置本体の平面図、図3は図2のA矢視図、図4は図3に示した刃部材によりガラスファイバ部分に創傷を付ける動作の説明図である。
ファイバホルダ17は、ファイバホルダ17を下から支える基板21と、該基板21に光ファイバ15を押さえ付ける押え板22とを備えている。
ファイバ載置部19は、ファイバホルダ17に把持された光ファイバ15の先端に露出したガラスファイバ部分16が、下箱体5上における刃部材3の移動経路(図2に示す矢印Xの経路)を横断するように、ファイバホルダ17を位置決めする。
支持枠11の他端側には、図4に示すように、支持枠11を押し戻す方向に付勢するばね部材13が装備されている。
図4(b)に示すように、刃部材3が創傷位置Pを越えて固定された状態にした後、図4(c)に示すように、光ファイバ15を把持したファイバホルダ17をファイバ載置部19にセットする。このセットにより、創傷位置Pにガラスファイバ部分16が位置決めされた状態になる。
刃部材3の移動に連動して刃部材3を回転させる機構は、以下の通りである。
本実施の形態の場合、ワンウェイクラッチ33は送りローラ31の内周部に内蔵されていて、ワンウェイクラッチ33の出力軸が刃部材3の中心軸に固定されている。
送りローラ31に対する接触部材27の被接触位置を調整すると、送りローラ31と接触部材27との間の接触面積や接触圧が変化して、送りローラ31と接触部材27との間の接触摩擦の大きさを調整することができる。
この清掃手段35は、上箱体9に取り付けられており、上箱体9を閉じた時に、刃部材3の移動経路に突出して、ブラシ毛あるいは不織布の接触により、刃部材3の表面を払拭する。
従って、刃部材3のガラスファイバ部分16との接触域の更新を、取扱者に負担をかけることなく自動で実施できる。
更に、刃部材3には、接触部材27と接触して接触摩擦力を受ける送りローラ31と、該送りローラ31の一方向の回転時にのみ該送りローラ31の回転力を刃部材3に伝達して、刃部材3に回転を生じさせるワンウェイクラッチ33とを備えている。
また、ワンウェイクラッチ33の動作方向を選択することにより、刃部材3を往路で回転させるか復路で回転させるかを決定することができる。
これにより、刃部材3の接触域の更新可能回数を増大させて、刃部材3の寿命を向上させることができる。
具体的には、例えば、1回の更新に対して、刃部材3が15度回転する設定とした場合、24回の更新処理が可能になり、刃部材3による切れ味を良好に維持しつつ、刃部材の寿命をのばすことが可能になる。
そのため、創傷位置Pでの刃部材3とガラスファイバ部分16との接触は、刃部材3が静止した状態で実施されることになり、創傷24を高精度にすると同時に、刃部材3の傷みを軽減することができる。
そのため、ガラスファイバ部分16の創傷時に発生した切りくずが刃部材3に付着しても、刃部材3に付着した切りくずは、清掃手段35による清掃により、次の創傷処理の前に除去されるため、刃部材3上に残存する切りくずが次の創傷処理に影響を及ぼすことがなくなる。
図5は本発明に係る光ファイバ切断装置の第2の実施の形態による装置本体の平面図、図6は図5のB矢視図である。
この実施の形態では、刃部材3の移動に連動する回転が、刃部材3に一体に取り付けられたギア37と、刃部材3の移動経路の途中に固定装備されてギア37と面接触するアーム部材39とによって実現される。
また、アーム部材39は、揺動する他端側において位置調整機構28との間に介装した弾性部材である圧縮ばね47により、ばね加重78〜100gfの範囲で付勢され、ギア37に対し弾性接触可能に設けられている。
また、本実施の形態の光ファイバ切断装置1Aでは、刃部材3の回転は、刃部材3と一体化したギア37と、刃部材3の移動経路の途中に固定配備されたアーム部材39との接触、若しくは弾性接触により実現されて、刃部材3の回転を確実にしている。
以下に、第2の実施の形態に示したギア37の刃部材3への固定構造を改良した第3〜第5の実施の形態について、順に説明する。
回り止めピン53は、図8に示すように、座ぐり51に嵌合したギア37の凹凸41間に嵌入して、座ぐり51に嵌合したギア37の回転を規制する。
ギア37と座ぐり51との接触面には、接着剤が塗布される。
回り止めピン54は、図9及び図10に示すように、座ぐり51に嵌合したギア37に装備された係合穴55に嵌合して、座ぐり51に嵌合したギア37の回転を規制する。
ギア37と座ぐり51との接触面には、接着剤が塗布される。
ねじ挿通穴56には、刃部材3の裏面側から雄ねじ57が挿通され、この雄ねじ57がギア37に貫通形成された雌ねじ部58に螺合して、座ぐり51に嵌合したギア37の回転を規制する。
この第5の実施の形態では、雄ねじ57による締め付け力で、ギア37が座ぐり51の底面に密着した状態が得られるため、接着剤による補強を省略することができる。
図示例では、目印61は、周方向に等間隔(周上を45度間隔)で8箇所に設けられているが、目印61相互の間隔は、これに限らず、例えば、20〜45度の範囲の適宜値に設定すると良い。
3 刃部材
5 下箱体
7 ヒンジ部材
9 上箱体
11 支持枠
13 ばね部材
15 光ファイバ
16 ガラスファイバ部分
17 ファイバホルダ
19 ファイバ載置部
21 基板
22 押え板
27 接触部材
28 位置調整機構
31 送りローラ
33 ワンウェイクラッチ
35 清掃手段
37 ギア
39 アーム部材
41 凹凸
45 皿ばね
47 圧縮ばね
51 座ぐり
53 回り止めピン
54 回り止めピン
55 係合穴
56 ねじ挿通穴
57 雄ねじ
58 雌ねじ部
61 目印
Claims (11)
- 円板状の刃部材を光ファイバのガラスファイバ部分に向けて移動させて、前記ガラスファイバ部分の表面に傷を付けて光ファイバを切断する光ファイバ切断装置であって、
前記刃部材の移動に連動して該刃部材を回転させることで、前記刃部材の前記ガラスファイバ部分との接触域を更新することを特徴とする光ファイバ切断装置。 - 前記刃部材の回転は、前記刃部材の移動経路の途中に固定装備された接触部材と接触して生じる接触摩擦力により実現されることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ切断装置。
- 前記刃部材が、接触摩擦力を受ける送りローラと、前記送りローラの一方向の回転時にのみ該送りローラの回転力を前記刃部材に伝達するワンウェイクラッチとを備えたことを特徴とする請求項2に記載の光ファイバ切断装置。
- 前記接触部材は、前記送りローラとの間の接触摩擦を調整する位置調整機構を介して固定されており、前記位置調整機構を調整することにより、前記刃部材の回転量が変化することを特徴とする請求項3に記載の光ファイバ切断装置。
- 前記位置調整機構は、前記円板状の刃部材の回転軸方向、及び前記刃部材の回転軸に直交する該刃部材の移動方向、及び前記刃部材の回転軸と前記刃部材の移動方向との双方に直交する方向の3方向に、前記接触部材を位置調整可能であることを特徴とする請求項4に記載の光ファイバ切断装置。
- 前記刃部材はギアを備え、前記刃部材の回転は、前記刃部材の移動経路の途中に固定装備されたアーム部材と前記ギアとが接触して実現されることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ切断装置。
- 前記アーム部材は弾性部材を備えていることを特徴とする請求項6記載の光ファイバ切断装置。
- 前記アーム部材は位置調整機構を介して固定されていることを特徴とする請求項6または7記載の光ファイバ切断装置。
- 前記刃部材の移動経路の途中に、該刃部材の表面を清掃する清掃手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の光ファイバ切断装置。
- 前記刃部材が往復移動し、往路において回転し、復路において前記ガラスファイバ部分の表面に傷を付けることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の光ファイバ切断装置。
- 前記刃部材に、該刃部材の回転状態を視認可能にする目印を設けたことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の光ファイバ切断装置。
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