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JP2008284979A - キャスタ及びキャスタ付き物品 - Google Patents

キャスタ及びキャスタ付き物品 Download PDF

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JP2008284979A
JP2008284979A JP2007131270A JP2007131270A JP2008284979A JP 2008284979 A JP2008284979 A JP 2008284979A JP 2007131270 A JP2007131270 A JP 2007131270A JP 2007131270 A JP2007131270 A JP 2007131270A JP 2008284979 A JP2008284979 A JP 2008284979A
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caster
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convex
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JP2007131270A
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Teruo Kumashiro
照夫 熊代
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Daiwa Adtech Co Ltd
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Abstract

【課題】キャスタ走行路に凸段差部があるときでも、従来より容易に該車輪を該凸段差部に乗り上げさせることができるキャスタ及び該キャスタを備えた凸段差部乗り上がり容易な手押し車、車椅子等の物品を提供する。
【解決手段】車輪1、車輪支持フレーム2、フレーム2に支持された凸段差乗り上げ用回動部材6及び駆動輪7を備えており、回動部材6は車輪1の下端より上方領域で、車輪1の回転半径r1より大きい回動半径r2で回動可能であり、回動部材6は、凸段差乗り上げ用下端部62を備えているとともに駆動輪7の回転により回動駆動される従動部(上側内周面631を含む部分)を備えており、回動部材の下端部62は、車輪1の走行回転による駆動輪7の回転にて車輪1の進行方向外側へ突出可能であるキャスタCA1。
【選択図】図1

Description

本発明は、物品を人力やバッテリー等で移動させるために該物品に取り付けて使用するキャスタ(足車)に関する。また、本発明は該キャスタを取り付けたキャスタ付き物品にも関係している。
各種機器その他の荷物を乗せて運ぶ手押し車、乳母車、車椅子等の福祉物品、足こぎ等或いはバッテリーで動く子供用三輪車、子供用自動車玩具等の子供用乗物は通常キャスタを車輪装置として備えている(車椅子等では操舵用車輪等として)。また、買物用、旅行用等のカバン、バッグ、ケース等の持ち運び収納具、冷蔵庫等の電化製品、家庭用や事務用の家具、オルガン、ピアノ等の楽器、事務機その他の機械などには、それらを人力で移動させやすいようにキャスタを取り付けることがある。
従来のキャスタの1例を図8に示す。図8のキャスタCA’は、車輪1’を車輪軸11’で車輪支持フレーム2’の下端部に回転可能に支持し、車輪1’の上方まで延びたフレーム2’の部分にアーム3’を設け、該アームにキャスタ取付け対象物品(例えば手押し車9’の荷台91’(図9参照))への取付け部材5’を設けたものである。
取付け部材5’はアーム3’に対し上下方向回転軸線4’を中心に回転可能である。
図示を省略しているが取付け部材5’はこれを荷台91’等へボルト留めするための複数のボルト通し孔を有している。
車輪1’の回転中心線C’を含んで取付け部材5’の上下方向回転軸線4’に平行な面と該転線4’とは距離L’隔たっている。
キャスタCA’は例えば図9に示すように、手押し車9’の部品である矩形状の荷台91’の下面4隅のそれぞれに取付け部材5’をボルトで固定することで、該荷台に合計4個取り付けて手押し車9’を形成できる。荷台91’の後端部には手押し用アーム92’が立設されている。
この手押し車9’によると、荷台91’に荷物Wを積み、手押し用アーム92’を押して、各キャスタCA’の車輪1’を走行路F上に転動させながら矢印A方向に前進させることができ、また、必要に応じ反対方向へ後退させることもできる。
手押し車9’を押し進めるとき、或いは後退させるとき、各キャスタCA’において車輪1’及びその支持フレーム2’が取付け部材5’に対し軸線4’まわりに回動可能であることと、軸線4’に平行な車輪回転中心線C’を含む面と該軸線4’との間に隔たりL’があることにより、車輪軸中心線C’が手押し車9’を移動させる方向において軸線4’の後方に位置せしめられ、それにより車輪1’の方向性が良くなり、手押し車9’の移動が容易になる。
従来のキャスタは概ね以上説明したようなものであるが、中には車輪支持フレーム2’が直接的に荷台91’に固定されるタイプのものもある。また、車輪1’及びその支持フレーム2’が荷台91’に対し回動可能に取り付けられるが、その回動中心線が車輪1’の回転中心線C’を通り、前記のような隔たり距離L’を設けていないものもある。
以上説明したキャスタCA’では、車輪1’は全体を一体的に形成したものであるが、衝撃吸収性(クッション性)を有する車輪として、ハブ部とリム部との間のスポーク部をバネ材で形成して、全体にクッション性を持たせた車輪(特開平8−127201号公報)、ハブ部とリム部との間のスポーク部を弾性変形可能の屈曲構造のものとして、全体にクッション性を持たせた車輪(特開2002−29201号公報)等を有するキャスタも知られている。
特開平8−127201号公報 特開2002−29201号公報
しかしながら、いずれにせよ従来のキャスタは、その走行路Fに図10に示すように凸段差部fがあると、これに乗り上がるのに、通常の走行路F上を走行させる場合に比べて大きい力を要し、凸段差部fに乗り上げさせるのに困難を伴うことが多い。
すなわち、例えば図10に示すように通常の走行路F上を前記手押し車9’を方向Aに進めるにあたり手押し用アーム92’を押していたとき、図10に示すように車輪1’が凸段差部fに行き当たったとする。このとき段差部fに行き当たったキャスタCA’の車輪軸11’に力Pが加えられたとする。すると、車輪1’は凸段差部fと車輪1’との接触位置βから車軸11’方向の反力R’を受ける。そしてこの反力R’の上向き分力U’に相当する大きさの力が車輪1’を凸段差部fに乗り上げさせようとする力として作用する。
しかしながら、一般的なキャスタ車輪1’の大きさからすると反力R’方向と上向き分力U’方向とがなす角度θ’が大きいので、この力U’は該大きい角度θ’に応じた小さい力にすぎず、車輪1’は段差部fに乗り上がり難くなる。その場合、通常走行路F上を手押し車9’を移動させるよりもずっと大きい力を手押し車9’に、ひいてはキャスタCA’に加えなければならず、車輪1’を凸段差部fに乗り上げさせるのに困難を伴う。
そこで本発明は、キャスタ走行路に凸段差部があるときでも、従来より容易に該車輪を該凸段差部に乗り上げさせることができるキャスタを提供することを第1の課題とする。
また本発明は、キャスタを取り付けた物品であって、該キャスタで該物品を移動させているときに、キャスタ走行路に凸段差部があるときでも、従来より容易に該車輪を該凸段差部に乗り上げさせて該物品を先へ進めることができるキャスタ付き物品を提供することを第2の課題とする。
前記第1の課題を解決するため本発明は、
車輪と、
該車輪を車輪軸にて回転可能に支持するとともに上方へ延び上がった車輪支持フレームと、
前記車輪軸と平行な支持軸にて回動可能に前記車輪支持フレームに支持された凸段差乗り上げ用回動部材と、
前記車輪の走行回転に連動して回転可能の、前記凸段差乗り上げ用回動部材を回動させるための駆動輪とを備えており、
前記凸段差乗り上げ用回動部材は、前記支持軸を中心に、前記車輪の下端より上方領域で回動可能に前記車輪支持フレームに支持されており、
該凸段差乗り上げ用回動部材は、凸段差乗り上げ用下端部を備えているとともに前記車輪の走行回転による前記駆動輪の回転により前記支持軸を中心に回動駆動される従動部を備えており、
該凸段差乗り上げ用回動部材の凸段差乗り上げ用下端部の回動半径は前記車輪の回転半径より大きく、
前記車輪の走行回転による前記駆動輪の回転にて前記従動部が駆動されて前記凸段差乗り上げ用回動部材が回動することで、該凸段差乗り上げ用回動部材の凸段差乗り上げ用下端部が該車輪の進行方向前方へ突出可能であるキャスタを提供する。
本発明に係るキャスタは凸段差乗り上げ用回動部材を備えているが、該回動部材は前記車輪の下端より上方領域で回動するものであるため、キャスタの走行路が平坦であるときは、該凸段差乗り上げ用回動部材が走行路面に接触することはなく、従って、平坦な路面のキャスタ走行に何ら支障はない。
本発明に係るキャスタによると、その車輪が走行路上を回転走行すると、該車輪の走行回転に連動して前記駆動輪が回転し、該駆動輪の回転により前記従動部が駆動されて前記凸段差乗り上げ用回動部材が回動することができ、該凸段差乗り上げ用回動部材の回動により該部材の凸段差乗り上げ用下端部が該車輪の進行方向前方へ突出することができる。
このように凸段差乗り上げ用下端部が車輪の進行方向前方へ突出した状態で車輪を平坦走行路上に前進させれば、平坦走行路に対する凸段差部が現れ、その凸段差部が突出した凸段差乗り上げ用下端部に接触する大きさのものであれば、車輪が該凸段差部に接触するに先立って該凸段差乗り上げ用下端部が該凸段差部に接触する。
そのように凸段差乗り上げ用下端部が凸段差部に接触した状態でキャスタをひき続き前進させると、該凸段差乗り上げ用下端部の回動半径は車輪の回転半径より大きいので、車輪が該凸段差部に直接に接触開始する状態で該車輪を凸段差部に乗り上げさせる場合より小さい力で該凸段差乗り上げ用回動部材(凸段差乗り上げ用下端部)を凸段差部に乗り上げさせることができる。
さらに説明すると、凸段差乗り上げ用下端部が凸段差部に接触した状態でさらにキャスタを前進させて凸段差乗り上げ用回動部材(凸段差乗り上げ用下端部)を凸段差部に乗り上げさせるとき、該凸段差乗り上げ用回動部材を支持している前記支持軸は持ち上げられつつ前進する一方、該凸段差乗り上げ用回動部材は該凸段差部に前進を阻まれつつ該支持軸を中心に相対的に後退回動する。
また、該支持軸が持ち上げられつつ前進することで該支持軸が設けられている車輪支持フレームも持ち上げられつつ前進し、それにより車輪も持ち上げられつつ前進し、遂には、凸段差乗り上げ用下端部と車輪とが共に凸段差部に接触する。このときから、車輪は走行回転を再開しつつ凸段差部に乗り上がっていく。このとき、車輪が乗り上がらなければならない高さは、凸段差部の高さから既に持ち上げられた高さを差し引いた残り高さだけとなっているので、それだけ車輪も、それが凸段差部に直接最初に接触する状態で該凸段差部に乗り上がらなければならない場合より容易に該凸段差部へ乗り上がることができる。
本発明に係るキャスタにおける前記凸段差乗り上げ用回動部材の支持軸は、例えば前記車輪より上側で前記車輪支持フレームに設けることかできる。また、凸段差乗り上げ用回動部材の形態は、その凸段差乗り上げ用下端部が凸段差部に前記車輪に先立って乗り上がり開始できるものであればよいが、代表例として、該凸段差乗り上げ用下端部の下端面が、該凸段差乗り上げ用回動部材の側方から見ると前記支持軸中心を中心とする円弧形状を呈する曲面に形成されているものを挙げることができる。
前記駆動輪としては、代表例として前記凸段差乗り上げ用回動部材の前記従動部に当接して該従動部を回動駆動可能の摩擦駆動輪を挙げることができるが、これに限定されるものではない。例えば、前記凸段差乗り上げ用回動部材の前記従動部を磁性材料からなる部材とし、該駆動輪は該従動部材に磁力を及ぼして該従動部材を回動駆動可能の磁石駆動輪としてもよい。
いずれにしても、前記駆動輪は、該駆動輪と前記車輪との間に介在する摩擦部材により該車輪の走行回転に連動して回転可能の駆動輪としてもよい。
本発明は前記第2の課題を解決するために上記本発明に係るキャスタを備えたキャスタ付き物品(例えば手押し車、車椅子など)を提供する。
本発明に係るキャスタは、その車輪支持フレームをキャスタ取付け対象物品に取り付けて用いることができる。
車輪支持フレームをキャスタ取付け対象物品に取り付けるにあたっては該フレームを直接ボルト留め等により該物品に取り付けてもよいが、例えば該フレームに上下方向軸線まわりに回動可能の取付け部材を設け、該取付け部材を介して、該上下方向軸線まわりに回動可能にキャスタ取付け対象物品に取り付けてもよい。
本発明に係るキャスタ付き物品は、キャスタとして本発明に係るキャスタを備えたものであるから、キャスタ走行路に凸段差部があるときでも、従来より容易に該車輪を該凸段差部に乗り上げさせて該物品を先へ進めることができる。
以上説明したように本発明によると、キャスタ走行路に凸段差部があるときでも、従来より容易に該車輪を該凸段差部に乗り上げさせることができるキャスタを提供することができる。
また本発明によると、キャスタを取り付けた物品であって、該キャスタで該物品を移動させているときに、キャスタ走行路に凸段差部があるときでも、従来より容易に該車輪を該凸段差部に乗り上げさせて該物品を先へ進めることができるキャスタ付き物品を提供することができる。
以下に本発明の実施形態について説明する。
以下に説明する本発明に係るキャスタ例は、物品を人力やバッテリー等で移動させるために該物品に取り付けて使用することができるものである。かかる物品として、例えば、買物用、旅行用等のカバン、バッグ、ケース等の持ち運び収納具、各種機器その他の荷物を乗せて運ぶ手押し車、乳母車、車椅子等の福祉物品(本発明キャスタは車椅子等では操舵用車輪等として利用可能)、冷蔵庫等の電化製品、家庭用や事務用の家具、オルガン、ピアノ等の楽器、事務機その他の機械などを挙げることができ、それらに取り付けて、本発明に係るキャスタ付き物品を提供することができる。
また、足こぎ等或いはバッテリーで動く子供用三輪車、子供用自動車玩具等の子供用乗物における車輪として用いることもできる。
本発明に係るキャスタは自動車や自転車の車輪と比べると、構造や強度の点からして、簡易な小型のキャスタとして用いるのに適しており、それには限定されないが、例えば、車輪の最大外径が70mm程度〜250mm程度の小型キャスタとして用いるのに適している。しかしより大型のものであってもよい。
先ず図1から図6を参照して本発明に係るキャスタの1例CA1について説明する。
図1はキャスタCA1の側面図であり、図2はキャスタCA1の図1におけるX−X線に沿う断面図である。
キャスタCA1は、図8に示す従来例キャスタCA’における車輪1’と同外径の一対の円形車輪1に加え、さらに、それら車輪1間に配置された凸段差乗り上げ用の回動部材6を備えている。各車輪1の外周部分10は衝撃吸収性のある弾性材料(例えばゴム)で形成される。
これら一対の車輪1及び回動部材6は車輪支持フレーム2にそれぞれ支持されている。フレーム2は上端部で一体化された上下方向に延びる一対のフレーム部分21、21を含んでいる。図2から分かるように、一方の車輪1は一方のフレーム部分21の内側に配置され、両車輪に共通の車輪軸11にて該部分21に回転可能支持されており、他方の車輪1は他方のフレーム部分21の内側に配置されて車輪軸11にて該部分21に回転可能支持されている。
車輪軸11はボルト形態のもので、一対のフレーム部分のうち一方のフレーム部分21の外側から他方のフレーム部分21の外側まで貫通しており、頭部111が該一方のフレーム部分21の外側面に当接し、他方のフレーム部分21の外側へ突出した部分にナット112が螺合緊締されている。車輪軸11は車輪支持フレーム2に固定されている。
各車輪1はその中心部12が円筒形状の軸受部材110を介して車輪軸11に外嵌されており、軸11のまわりに回転可能である。
凸段差乗り上げ用の回動部材6は、前記一対の車輪1の間に配置され、上端部61が車輪軸11の垂直上方、且つ、車輪1の上側で支持軸60にてフレーム2に回動可能に支持されている。支持軸60は車輪支持フレーム2の前記一対のフレーム部分21の上端部間に配置され、螺子Sにて該一対のフレーム部分21に固定されている。回動部材6の上端部61は円筒状の軸受部材600を介して該支持軸60に回動可能に支持され、吊り下げられている。
凸段差乗り上げ用回動部材6は、前記の上端部61、それに続く中間部63及び中間部に続く下端部62を含んでいる。
中間部63は中空フレーム形状に形成されており、中空部分630は無端に連続する上側内周面631、右及び左側の内周面632、633及び下側内周面634で仕切られている。上側内周面631は支持軸60の中心線C2を中心とする円弧からなる円弧曲面に形成されている。
下端部62は側面から見ると倒立T字形状を呈しており、倒立T字形状部分621の最下端の外面は衝撃吸収部材(それには限定されないが本例ではゴム製衝撃吸収部材)622で被覆されている。下端部62は後述するように凸段差乗り上げ用下端部として用いられる。衝撃吸収部材622の下端面は、支持軸60の中心線C2を中心とする円弧からなる円弧曲面に形成されている。
一対の車輪1には、それら車輪の中心部12にわたって摩擦駆動輪7が嵌められている。摩擦駆動輪7は、摩擦部材支持輪71とその外周に嵌着された摩擦部材72とからなっている。
支持輪71は車輪1の中心部12に嵌着された摩擦部材73を介して該車輪中心部12に外嵌めされている。各摩擦部材73は、それには限定されないが、本例ではゴムを主成分とする材料からなる所謂オーリングである。
支持輪71の外周に嵌着された摩擦部材72も、それには限定されないが、本例ではゴムを主成分とする材料からなる所謂オーリングであり、複数本のオーリング72が支持輪71の外周面上に並列配置で嵌着されている。
このように一対の車輪1の中心部12に支持された摩擦駆動輪7は、凸段差乗り上げ用回動部材6の中空部分630内に位置し、オーリング72が該中空部分630を仕切っている上側内周面631に接触している。後ほどの説明から分かるように、回動部材6の該上側内周面631を含む部分は摩擦駆動輪7の回転に従動して支持軸60を中心に回動する従動部として用いられる。
凸段差乗り上げ用回動部材6の凸段差乗り上げ用下端部62の回動半径r2は車輪1の回転半径r1より大きい。
しかし、凸段差乗り上げ用回動部材6は、その支持軸60を中心に、車輪1の下端より上方領域で回動可能に車輪支持フレーム2に支持されている。
図1の例では、回動部材6の下端面(下端部62の衝撃吸収部材622の下端面)は最下降位置をとるときでも、車輪1の下端より若干上方位置(車輪軸11よりは車輪下端側へ寄った位置、さらに言えば、車輪下端に近い位置)をとる。
車輪支持フレーム2の上端にはアーム3が横方向に突設されており、これにキャスタ取付け対象物品へキャスタCA1を取り付けるための取付け部材5が設けられている。取付け部材5は上下方向の回動中心線4を中心に回動可能である。
車輪1の回転中心線C1(車輪軸11の中心線C1)を含んで該回動中心線4に平行な面と該回動中心線4とは距離L隔たっている。
取付け部材5はこれをキャスタ取付け対象物品へボルト留めするための、図示省略の複数のボルト通し孔を有している。
キャスタCA1は、例えば図1に示すように凸段差乗り上げ用回動部材6の凸段差乗り上げ用下端部62がキャスタ側面から見て車輪1の輪郭内に位置する中立状態から、或いは図3(B)に示すように下端部62が車輪1の右側へ突出した状態から、図3(A)に示すように、車輪1を走行路Fに沿って図上左側方向Aへ回転走行させたとすると、下端部62が車輪1の進行方向Aの前方へ突出する。なお、図3(A)では駆動輪7については、それを構成している摩擦部材支持輪71の図示は省略し摩擦部材(オーリング)72部分のみ示してある。後述する図3(B)においても同様である。
さらに説明すると、車輪1をA方向へ回転走行させると、該車輪の走行回転(図上反時計方向CCW回転)により車輪1の中心部12も同方向に回転し、中心部12の回転が、該中心部12と摩擦部材(オーリング)73との間に発生する摩擦力及び該オーリング73と摩擦駆動輪7の摩擦部材支持輪71間に発生する摩擦力により摩擦駆動輪7に伝達され、駆動輪7も車輪1と同方向に連動回転する。
駆動輪7がそのように回転することで、駆動輪7上の摩擦部材(オーリング)72に接触している上側内周面631(凸段差乗り上げ用回動部材6の中空部630を形成している上側内周面)が該オーリング72との摩擦力で時計方向CWに押し出し駆動され、回動部材6全体がその支持軸60を中心に時計方向CWに回動駆動され、それにより凸段差乗り上げ用下端部62が車輪1の進行方向Aの前方へ突出し始める。
さらに車輪1をA方向へ回転走行させると、下端部62はさらに突出し、前記上側内周面631の図上右端部72Wが駆動輪オーリング72に接触するようになると、下端部62はそれ以上は突出しない。上側内周面の右端部72Wが駆動輪オーリング72に接触するようになると、図3(A)に示すように該オーリング72と上側内周面631に続く右側内周面632との間に空隙が残され、下端部62はそれ以上は突出しない。
このように、上側内周面の右端部73Wが駆動輪オーリング72に接触するようになってからさらに車輪1をA方向に回転走行させると、駆動輪オーリング72が上側内周面の右端部72Wに対し、回動部材押し出し力を付与しつつ滑り回転し、それにより車輪1の走行は許されつつ下端部62は突出姿勢を維持する。
また、キャスタCA1を、前記中立状態から、或いは図3(A)に示す状態から図3(B)に示すように、図上右側方向Bへ回転走行させたとすると、下端部62が車輪1の進行方向Bの前方へ突出する。
すなわち、車輪1をB方向へ回転走行させると、該車輪の走行回転(図上時計方向CW回転)により車輪1の中心部12も同方向に回転し、中心部12の回転がオーリング73を介して摩擦駆動輪7に伝達され、駆動輪7も車輪1と同方向に連動回転する。
駆動輪7がそのように回転することで、駆動輪7上の摩擦部材(オーリング)72に接触している上側内周面631が反時計方向CCWに押し出し駆動され、回動部材6全体がその支持軸60を中心に反時計方向CCWに回動駆動され、それにより凸段差乗り上げ用下端部62が車輪1の進行方向Bの前方へ突出し始める。
さらに車輪1をB方向へ回転走行させると、下端部62はさらに突出し、前記上側内周面631の図上左端部72W’が駆動輪オーリング72に接触するようになると、下端部62はそれ以上は突出しない。上側内周面の左端部72W’が駆動輪オーリング72に接触するようになると、図3(B)に示すように該オーリング72と上側内周面631に続く左側内周面633との間に空隙が残され、下端部62はそれ以上は突出しない。
さらに車輪1をB方向に回転走行させると、駆動輪オーリング72が上側内周面の左端部72W’に対し、回動部材押し出し力を付与しつつ滑り回転し、それにより車輪1の走行は許されつつ下端部62は突出姿勢を維持する。
車輪中心部12と駆動輪7との間へ摩擦部材(本例ではオーリング73)を介在させることは必須事項ではない。車輪中心部12と駆動輪7とは直接固定連結されていてもよい。しかし、車輪中心部12と駆動輪7との間へ摩擦部材(本例ではオーリング73)を介在させることで、一対の車輪1を該摩擦部材による摩擦力に抗して相対的に互いに反対方向へ回動させることが可能になり、一対の車輪1を方向転換させるとき等において都合がよい場合もある。
なお、上側内周面631の右端部72W(左端部72W’)が駆動輪オーリング72に接触するようになったとき、駆動輪オーリング72が右側内周面632(左側内周面633)にも接触するとしても、駆動輪オーリング72がそれら内周面に対し滑り回転できるのであれば、そのような構造を採用しても構わない。
また、駆動輪オーリング72が内周面632(633)にも接触すると摩擦抵抗が大きくなりすぎて駆動輪7が回転できなくなる場合でも、その駆動輪7に対し車輪1が滑り回転できるように駆動輪7及び車輪中心部12間のオーリング73を選択採用しておけば、そのように駆動輪7が回転できなくなっても、車輪1の回転走行は可能となる。
しかしいずれにしても、車輪1が走行路Fに沿って回転走行すると凸段差乗り上げ用回動部材6の凸段差乗り上げ用下端部62が車輪進行方向前方へ突出するように、オーリング72、73を選択採用する。
キャスタCA1は既述のとおり様々のキャスタ取付け対象物品に取り付けて用いることができるが、例えば図4に示すように、手押し車9の部品である矩形状の荷台91の下面4隅のそれぞれに取付け部材5をボルトで固定することで4個取り付けて手押し車9を形成できる。荷台91の後端部には手押し用アーム92が立設されている。
この手押し車9によると、荷台91に荷物Wを積み、手押し用アーム92を押して進めることができる。例えば矢印Aの水平方向に押して、各キャスタCA1の車輪1を走行路F上にCCW方向回転で転動させながら該矢印A方向に前進させることができ、また、必要に応じ反対方向へ後退させることもできる。
手押し車9を押し進めるとき、或いは後退させるとき、各キャスタCA1において車輪1及びその支持フレーム2が取付け部材5に対し上下方向線4のまわりに回動可能であることと、上下方向線4と車輪の回転中心線C1の隔たり距離Lとにより、車輪1の回転中心線C1が手押し車9を移動させる方向において上下方向線4の後方に位置せしめられ、それにより手押し車9を方向性良好に容易に移動させることができる。
なお、取付け部材5はなくてもよい。キャスタ支持フレーム2を直接又は他の適当な部材を介してキャスタ取付け対象物品に取り付けてもよい。また、取付け部材5を設けるときでも、その上下方向回転中心線4と車輪の回転中心線C1との前記隔たり距離Lを無しにしてもよい。
キャスタCA1は、凸段差乗り上げ用回動部材6を備えているが、該回動部材は車輪1の下端より上方領域で回動するものであるため、キャスタ走行路が平坦であるときは、回動部材6が走行路に接触することはなく、従って、平坦路面のキャスタ走行に何ら支障はない。図4に例示するように、キャスタCA1を取り付けた手押し車9を平坦な走行路F上で目的方向Aへ向け前進させることもできるし、後退させることもできる。
キャスタCA1によると、その車輪1が走行路F上を回転走行すると、車輪1の走行回転に連動して駆動輪7が回転し、駆動輪7の回転により凸段差乗り上げ用回動部材6が駆動されて回動し、それにより該回動部材6の凸段差乗り上げ用下端部62が車輪1の進行方向前方へ突出する。従って、手押し車9を目的方向Aへ前進させているとき、平坦走行路Fに対する凸段差部fが現れ、その凸段差部fが凸段差乗り上げ用下端部62に接触する大きさのものであれば、図5に示すように、車輪1が凸段差部fに接触するに先立って該下端部62が凸段差部fに接触開始する。
そのように凸段差乗り上げ用下端部62が凸段差部fに接触した状態でキャスタCA1をひき続き前進させると、該下端部62の回動半径r2は車輪1の回転半径r1より大きいので、車輪1が凸段差部fに直接に接触開始する状態で該車輪を凸段差部に乗り上げさせる場合より小さい力で凸段差乗り上げ用回動部材6(凸段差乗り上げ用下端部62)を凸段差部fに乗り上げさせることができる。
さらに説明すると、回動部材6の下端部62が凸段差部fに接触した状態でキャスタCA1をさらに前進させようとするとき、凸段差部fと回動部材6の下端部62との相互接触位置αから生じる反力R1は回動部材6の支持軸60の中心C2を通る方向に作用し、反力R1の上向き分力U1に相当する力が回動部材6を凸段差部fに乗り上げ開始させるのであるが、反力R1と上向き分力U1とがなす角度はθ1(<従来例のθ’)となり、該上向き分力U1は、キャスタCA1に、これを平坦走行路F上を前進させるときに加える力と同程度の力Pが加えられているときでも大きいものとなり(U1>従来のU’)、これにより回動部材6はそれだけ容易に凸段差部fに乗り上がり開始できる。
観点を変えれば、恰も軸60の中心C2から凸段差部fと回動部材6との接触位置αに至る長さ(r2)を半径とする大きい車輪を凸段差部fに乗り上げさせるかの如くでもあり、それだけ容易に回動部材6を凸段差部fに乗り上げさせることができる。
そして、凸段差乗り上げ用下端部62が凸段差部fに接触した状態でさらにキャスタCA1を前進させて凸段差乗り上げ用回動部材6(凸段差乗り上げ用下端部62)を凸段差部fに乗り上げさせるとき、該回動部材6を支持している支持軸60は持ち上げられつつ前進する一方、該回動部材6は凸段差部fに前進を阻まれつつ支持軸60を中心に相対的に後退回動する。回動部材6の該相対的後退回動により駆動輪7が、従って車輪1が逆転されようとするが、このあと説明するように、車輪1は走行路Fから浮いた状態に置かれるので逆転されても構わない。
さらに、支持軸60が持ち上げられつつ前進することで支持軸60が設けられている車輪支持フレーム2も持ち上げられつつ前進し、それにより車輪1も持ち上げられつつ前進し、遂には図6に示すように凸段差乗り上げ用下端部62と車輪1とが共に凸段差部fに接触するようになる。このときから、車輪1は走行回転を再開しつつ凸段差部fに乗り上がっていく。
このとき、車輪1と凸段差部fとの相互接触位置から生じる反力R2は車輪軸11の中心C1を通る方向に作用するようになる。この反力R2の上向き分力U2に相当する力が車輪1を凸段差部fに乗り上げさせるのであるが、反力R2と上向き分力U2とがなす角度はθ2(<従来例のθ’)となり、該上向き分力U2は、キャスタCA1に、これを平坦走行路F上を前進させるときに加える力と同程度の力Pが加えられているときでも大きいものとなり(U2>従来のU’)、これにより車輪1はそれだけ容易に凸段差部fに乗り上がることができる。
車輪1が凸段差部fに乗り上がり完了すると、回動部材6は車輪1の走行回転により再び前方へ突出し、次の凸段差部に備えられる。
前記凸段差部fが低いものであるときは、車輪1が直接該段差部に接触開始し始め、ひき続き該段差部に乗り上がれることもあり得るが、それはそれでかまわない。
図7は本発明に係るキャスタの他の例CA2を示している。
図7のキャスタCA2は、図1に示すキャスタCA1において、駆動輪7の摩擦部材72を支持輪71に嵌着された磁石リング72Mに置き換えるとともに、凸段差乗り上げ用回動部材6を若干変形された、そして鉄等の磁性材料から構成された凸段差乗り上げ用回動部材6’に置き換えたものである。回動部材6’は中空フレーム形状の中間部63’を有し、その上側内周面631’に磁石リング72Mを当接させている。その他の点はキャスタCA1と実質上同構造であり、キャスタCA1と実質上同じ部分、部品にはキャスタCA1と同じ参照符号を付してある。
キャスタCA2においても、車輪1が走行路F上を走行回転することで、回動部材6’の下端部62が車輪進行方向前方に突出し、キャスタCA1と同様に車輪1の凸段差部への乗り上がりを容易にする。
本発明は、人力等で移動させる物品等に取り付けて用いるキャスタであって、凸段差部に車輪を容易に乗り上げさせることができるキャスタ及び該キャスタを取り付けた物品を提供することに利用できる。
本発明に係るキャスタの1例の側面図である。 図1に示すキャスタの図1のX−X線に沿う断面図である。 図1のキャスタの凸段差乗り上げ用回動部材の車輪からの突出原理を説明する図である。 図1のキャスタを取り付けた手押し車の側面図である。 図1のキャスタの凸段差乗り上げ用回動部材が凸段差部に行き当たったときの様子を示す図である。 キャスタ車輪が凸段差部に乗り上がり始める様子を示す図である。 本発明に係るキャスタの他の例の側面図である。 従来キャスタ例の側面図である。 図8のキャスタを設けた手押し車の側面図である。 図8のキャスタが凸段差部に行き当たったときの様子を示す図である。
符号の説明
CA1、CA2 キャスタ
1 車輪
10 車輪外周部分
11 車輪軸
111 軸頭部
112 ナット
C1 車輪軸11の中心(線)
12 車輪中心部
110 軸受部材
r1 車輪回転半径
2 車輪支持フレーム
21 フレーム2の上下方向に延びる部分
3 アーム
4 上下方向の回動中心線
5 取付け部材
6、6’ 凸段差乗り上げ用回動部材
61 上端部
62 凸段差乗り上げ用下端部
621 倒立T字形状部分
622 衝撃吸収部材
63 中間部
630 中空部分
631、631’ 上側内周面 632、633 右及び左内周面
634 下側内周面
72W、72W’ 上側内周面631の端部
60 支持軸
C2 支持軸60の中心(線)
S 螺子
600 軸受部材
r2 凸段差乗り上げ用下端部62の回動半径
7 摩擦駆動輪
71 摩擦部材支持輪
72 摩擦部材(図示例ではオーリング)
73 摩擦部材(図示例ではオーリング)
72M 磁石リング
9、9’ 手押し車
91、91’荷台
92、92’手押し用アーム
W 荷物
F キャスタ走行路
f 凸段差部

Claims (5)

  1. 車輪と、
    該車輪を車輪軸にて回転可能に支持するとともに上方へ延び上がった車輪支持フレームと、
    前記車輪軸と平行な支持軸にて回動可能に前記車輪支持フレームに支持された凸段差乗り上げ用回動部材と、
    前記車輪の走行回転に連動して回転可能の、前記凸段差乗り上げ用回動部材を回動させるための駆動輪とを備えており、
    前記凸段差乗り上げ用回動部材は、前記支持軸を中心に、前記車輪の下端より上方領域で回動可能に前記車輪支持フレームに支持されており、
    該凸段差乗り上げ用回動部材は、凸段差乗り上げ用下端部を備えているとともに前記車輪の走行回転による前記駆動輪の回転により前記支持軸を中心に回動駆動される従動部を備えており、
    該凸段差乗り上げ用回動部材の凸段差乗り上げ用下端部の回動半径は前記車輪の回転半径より大きく、
    前記車輪の走行回転による前記駆動輪の回転にて前記従動部が駆動されて前記凸段差乗り上げ用回動部材が回動することで、該凸段差乗り上げ用回動部材の凸段差乗り上げ用下端部が該車輪の進行方向前方へ突出可能であることを特徴とするキャスタ。
  2. 前記駆動輪は前記凸段差乗り上げ用回動部材の前記従動部に当接して該従動部を回動駆動可能の摩擦駆動輪である請求項1記載のキャスタ。
  3. 前記凸段差乗り上げ用回動部材の前記従動部は磁性材料からなる部材であり、前記駆動輪は該従動部材に磁力を及ぼして該従動部材を回動駆動可能の磁石駆動輪である請求項1記載のキャスタ。
  4. 前記駆動輪は、該駆動輪と前記車輪との間に介在する摩擦部材により該車輪の走行回転に連動して回転可能である請求項1、2又は3記載のキャスタ。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載のキャスタを備えたことを特徴とするキャスタ付き物品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011126518A (ja) * 2009-12-15 2011-06-30 General Electric Co <Ge> リフト装置を備えた車輪システム
CN101856952B (zh) * 2009-04-09 2012-02-01 取德工业股份有限公司 具有刹车结构的脚轮

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