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JP2008281728A - レンズアレイ - Google Patents

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JP2008281728A JP2007125256A JP2007125256A JP2008281728A JP 2008281728 A JP2008281728 A JP 2008281728A JP 2007125256 A JP2007125256 A JP 2007125256A JP 2007125256 A JP2007125256 A JP 2007125256A JP 2008281728 A JP2008281728 A JP 2008281728A
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Abstract

【課題】耐熱性、機械強度の物性バランスに優れ、かつ外観不良、特にヒケが低減されたレンズアレイを提供する。
【解決手段】メタクリル樹脂からなるレンズアレイであって、
メタクリル樹脂が、
メタクリル酸メチル単量体単位85〜98.5wt%及びメタクリル酸メチルと共重合可能な他の少なくとも1種のビニル単量体単位1.5〜15wt%で構成され、
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量が60,000〜230,000であり、
GPC溶出曲線におけるピーク重量平均分子量(Mp)の1/5以下の重量平均分子量成分を7〜25%含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、メタクリル樹脂からなるレンズアレイに関する。
メタクリル樹脂は、透明樹脂として他のプラスチック透明樹脂よりその高い光透過率、耐候性、剛性を有することに特徴があり、照明器具、建築用材料、看板、銘板、絵画や、表示装置の窓等広い用途で用いられている。
一方、近年、非常に成形が難しい用途も増えている。例えば、照明・表示装置の分野などでも、一般に大型、薄肉化の傾向にあり、レンズアレイとして、大型で薄肉の成形品、又は偏肉成形品の需要が増加してきている。これらレンズアレイは、例えば最終的にユニットに組み込み固定するものなどでは、外枠との位置決めや、形状の自由度があり、更に後工程でカット、ルーター加工などの2次加工を省略出来るメリットから射出成形を採用するケースが増えてきている。
しかしこれまで、大型で薄肉の成形品には、成形金型から離型時に割れが発生し易くなることもさることながら、ユニットに組み込み時に割れたりと、不具合が生じていた。この問題を従来のアクリル樹脂の技術で設計改良すると、強度を高くするために分子量を上げるしかなかった。しかし分子量を上げると流動性が悪くなり、高温での成形が必要となる。そのため、樹脂の熱分解性が悪くなると同時に、樹脂内部がまだ高い温度であるうちに金型から取り出すため、収縮が大きくなりヒケ(sink mark)が発生する。このヒケにより、レンズ形状が設計したものと異なったものになり、照明・表示装置などの分野では、光の配光が変わり、明るさのムラが出来てしまい大きな問題となる。
また、図1に示すような偏肉の成形品でも、やはり従来のアクリル樹脂の、機械強度、流動性のバランスでは、薄肉部の割れ、厚肉部のヒケが大きく、なかなか満足の行くものは得られなかった。
流動性を改良するために、メタクリル酸メチルに共重合可能な他のビニル単量体を多量に共重合させると、流動性は改良出来ても、耐熱性が低下してしまう。高輝度の表示装置では、光源近辺の温度は高くなり、これまでのアクリル樹脂でも変形が見られた例もある。LEDを光源とした場合の表示装置などでは、近年、放熱の技術が進み光源周辺でも従来よりは温度が下がったようではあるが、環境雰囲気の変化などのリスクも考慮すると、これまでのアクリル樹脂の耐熱レベルより低下することは避ける必要がある。
これまで、メタクリル樹脂の機械強度や成形性を改善する公知の方法として、低分子量のメタクリル樹脂で流動性を付与し、高分子量もしくは微架橋構造で機械強度を付与する方法が知られている。それに関連して高分子量もしくは低分子量のメタクリル樹脂を溶融混合したり、分岐構造を用いて分子量分布を拡大する技術が報告されている(例えば、特許文献1、2、3、4参照)。
しかし、特許文献1記載のメタクリル樹脂は、2つの異なる分子量のメタクリル樹脂を混合するのみで、高流動性と機械強度とを同時に満足するものではない。また、特許文献2には、低分子量を構成するメタクリル樹脂にメタクリル酸メチルに共重合可能な他のビニル単量体を多量共重合させる技術が記載されている。しかし、得られるメタクリル樹脂の流動性は不十分である。
特許文献3に記載の多官能モノマーを用いた微架橋メタクリル酸樹脂の製造方法では、多官能モノマーの制御が非常に難しいという問題があった。多官能モノマー量が多すぎると、混合均一性が低下し、成形品の外観が低下する。一方、多官能モノマー量が少なすぎると流動性向上や機械強度の保持の効果がない。
特許文献4記載のメタクリル樹脂も、2つの異なる分子量のメタクリル樹脂を混合するのみで、耐熱性は低く高流動性と機械強度とのバランスを同時に満足するものではない。
特公平1−22865号公報 特開平4−277545号公報 特開平9−207196号公報 特開2006−328389号公報
本発明は、耐熱性、機械強度の物性バランスに優れ、かつ外観不良、特にヒケが低減されたレンズアレイを提供することを目的とする。
本発明者らは、これらの問題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の低分子量成分を特定の比率範囲で有するメタクリル樹脂を使用することにより、耐熱性、機械強度の物性バランスを維持しつつ、外観不良、特にヒケを低減したレンズアレイを得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明のレンズアレイは、
メタクリル樹脂からなるレンズアレイであって、
該メタクリル樹脂が、
メタクリル酸メチル単量体単位85〜98.5wt%及びメタクリル酸メチルと共重合可能な他の少なくとも1種のビニル単量体単位1.5〜15wt%で構成され、
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量が60,000〜230,000であり、
GPC溶出曲線におけるピーク重量平均分子量(Mp)の1/5以下の重量平均分子量成分を7〜25%含む
ことを特徴とする。
本発明によれば、耐熱性、機械強度の物性バランスに優れると共に、外観不良(ヒケ)が低減されたレンズアレイを提供できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明でいうレンズアレイとは、単レンズを複数並べたレンズであり、例えば連続したレンズ形状が繰り返しあるものが挙げられ、単レンズが、X方向に、又は面としてXY方向に配列してある一体型のものも含まれる。単レンズの形状としては制限はなく、例えば、一般的な凹凸Rレンズ形状、プリズム形状、ピラミッド形状、蒲鉾形レンズ形状、フレネルレンズ形状、モスアイレンズ形状、レンチキュラーレンズ、フライアイレンズ等が挙げられる。また、レンズの大きさには限定されず、マイクロレンズから緩やかなR形状のものまで含まれる。
図1に、本発明のレンズアレイの一例として、携帯電話の押しボタンを示す。図1に示すレンズアレイは、厚肉部となる単レンズ1が複数配列されており、単レンズ1以外の部分が薄肉部で繋がり、一体型の成形品となっているもので、一般的には連結レンズとも呼ばれる。携帯電話の押しボタンは、決まった場所に組み込まれるものであり、組み立ての効率などを考えるとボタンが全て繋がっていることはメリットが大きい。
図1に示したもの以外にも、単レンズ1が、規則正しくXY方向に平面で配列されていたり、一直線にX方向だけ並んでいたり、デザイン上ランダムに並んでいたり、また単レンズ1の形状、厚み、大きさが各々の機能により異なったものが並んでいたり、と種々の形状が想定できるが、本発明のレンズアレイにはいずれも含まれる。また、携帯電話の押しボタン以外にもディスプレーのインジケーターなども含まれる。
更に、特に近年、急激に普及の広がったLED光源用のレンズとして、LEDの光を効率良く拾い上げる為に、一つのLEDを包み込むような形で、逆三角錐の頂点にLEDを入れる穴を空けて、LEDを10mm間隔で面光源としてXY方向に敷き詰めたLED一つ一つに単レンズを被せ、これを一体型の成形品にしたLED光源用のレンズも含まれる。
本発明のレンズアレイは、薄型・軽量化の点から1.5mm以下、好ましくは1.2mm以下、より好ましくは1.0mm以下の薄肉部を有することが好ましく、その様な射出成形品であることがより好ましい。肉厚が薄い物でも、後述するメタクリル樹脂を使用することによって射出成形しやすくなり、成形品のゆがみも少ない。また、射出成形時、薄肉品は金型等から取り出した後の冷却が早く、なおかつ、冷却ゆがみによるクラック等も発生しにくい。
また、本発明のレンズアレイは、3mm以上、好ましくは10mm以上、より好ましくは15mm以上の厚肉部を有することが好ましく、その様な射出成形品であることがより好ましい。肉厚が厚い場合、内部がまだ高温の状態で金型から取り出すので、ヒケ(sink mark)が問題となるが、本発明に用いるメタクリル樹脂は流動性が高いため、樹脂温度、金型温度を下げて成形することが可能である。そのため、ヒケや成形品のゆがみも防止できる。
本発明のレンズアレイは、用いる樹脂の優れた流動特性により、肉厚が1.5mm以下の薄肉部分と、肉厚が3mm以上の厚肉部分が平面状に交互に繰り返す連結レンズなど、複雑な成形品でも射出成形しやすく、成形品のヒケを低減出来る。
特に、凸レンズや凹レンズ、ピックアップレンズ、プロジェクターレンズや、偏肉レンズ、プリズム、ミラーレンズなど、製品形状によりヒケが問題となりやすい単レンズから構成されるレンズアレイに適している。
本発明のレンズアレイの耐熱性は、ビカット軟化温度で100℃以上が好ましく、より好ましくは103℃以上である。
本発明のレンズアレイの製造方法としては、射出成形、押出し成形、ブロー成形、真空成形、圧空成形、延伸成形等が挙げられる。好ましくは成形温度180℃以上210℃以下、金型温度90℃以上110℃以下で射出成型することが好ましい。
本発明に使用するメタクリル樹脂は、メタクリル酸メチルおよびメタクリル酸メチルと共重合可能な他の少なくとも1種のビニル単量体からなる。
メタクリル酸メチルと共重合可能な他のビニル単量体は、流動性と耐熱性に影響を与える。メタクリル酸メチルと共重合可能な他のビニル単量体として、以下が挙げられる。
アルキル基の炭素数が2〜18のメタクリル酸アルキル、アルキル基の炭素数が1〜18のアクリル酸アルキル;
アクリル酸やメタクリル酸等のα,β−不飽和酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和基含有二価カルボン酸及びそれらのアルキルエステル;
スチレン、α−メチルスチレン、ベンゼン環に置換基を有するスチレン等の芳香族ビニル化合物;
アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物;
無水マレイン酸、マレイミド、N−置換マレイミド等;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のエチレングリコール又はそのオリゴマーの両末端水酸基をアクリル酸またはメタクリル酸でエステル化したもの;
ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリレート等の2個のアルコールの水酸基をアクリル酸又はメタクリル酸でエステル化したもの;
トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール誘導体をアクリル酸又はメタクリル酸でエステル化したもの;
ジビニルベンゼン等の多官能モノマー等。
これらは、単独或いは2種類以上を併用して用いることが出来る。これらの中でも、耐光性、耐熱性、流動性の観点から、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等が好ましく用いられる。アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチルが特に好ましく、さらにはアクリル酸メチルが入手しやすく最も好ましい。
メタクリル酸メチル単位の含有量は、樹脂の熱分解性の点から98.5wt%以下である。この範囲であれば、成形時にシルバーと呼ばれる樹脂が分解して生じたモノマーが発泡してできる気泡の発生が抑えられる。また、耐熱性の点から85wt%以上である。耐熱性が高ければ、環境試験時に成形品のゆがみが抑制できる。好ましくは90〜98wt%であり、より好ましくは92〜97wt%である。
メタクリル酸メチルと共重合可能な他のビニル単量体単位の含有量は、メタクリル樹脂に対して1.5〜15wt%である。流動性と耐熱性の観点から1.5wt%以上であり、耐熱性の観点から15%以下とすることが必要である。好ましくは2〜10wt%であり、より好ましくは3〜8wt%である。
本発明に用いるメタクリル樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量が、60,000〜230,000である。機械強度の観点から60,000以上であり、流動性の点から200,000以下である。この範囲の場合、成形加工が容易となる。また流動性の観点から、好ましくは60,000〜200,000であり、より好ましくは60,000〜180,000であり、さらに好ましくは60,000〜140,000である。
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定される。具体的には、あらかじめ、単分散の、重量平均分子量が既知で試薬として入手可能な標準メタクリル樹脂と、高分子量成分を先に溶出する分析ゲルカラムを用い、溶出時間と重量平均分子量から検量線を作成しておく。得られた検量線から各試料の分子量を求めることが出来る。
本発明に用いるメタクリル樹脂に存在する、ピーク重量平均分子量(Mp)の1/5以下の重量平均分子量を有する成分は、樹脂の機械強度、成形品の外観不良(ヒケ)に関して重要である。Mpの1/5以下の重量平均分子量を有する成分は可塑化効果を有する。この成分の存在量が、メタクリル樹脂成分に対し7〜25%の範囲にあるときに成形性向上と成形後の成形品のゆがみ抑制の効果が得られる。可塑化効果、流動性の観点から7%以上である。この範囲であれば、成形時の射出圧力を抑えられ、残留ひずみによる成形品のゆがみを防止できる。一方、耐熱性や成形品のゆがみの抑制、強度の点から25%以下である。好ましくは、8〜23%であり、より好ましくは8〜20%である。また、重量平均分子量が500以下のメタクリル樹脂成分は、成形時にシルバーと呼ばれる発泡様の外観不良を生じさせやすいため、できる限り少ないほうが好ましい。
ここで、本発明において、ピーク重量平均分子量(Mp)とは、GPC溶出曲線においてピークを示す、重量平均分子量を指す。GPC溶出曲線においてピークが複数存在する場合は、存在量が最も多い重量平均分子量が示すピークを指す。Mpの1/5以下の重量平均分子量成分の含有量は次のように求めることができる。すなわち、後述するGPC溶出曲線におけるエリア面積(図2)を、Mpの1/5の重量平均分子量に対応する溶出時間で分割し、Mpの1/5以下の重量平均分子量成分に対応するGPC溶出曲線におけるエリア面積を求める。その面積と、GPC溶出曲線におけるエリア面積の比から、Mpの1/5以下の重量平均分子量の比率を求めることができる。
本発明に用いるメタクリル酸メチルと共重合可能な他のビニル単量体は、得られるメタクリル樹脂の高分子量成分中の組成比率が低分子量成分中の組成比率に比べて大きいことが好ましい。耐熱性や成形品の外観不良を低減し、機械強度を維持しながら流動性をより向上させることができるからである。
この点に関し、図2〜図4を用いて説明する。図2〜図4は、GPC溶出曲線測定グラフであり、縦軸はRI(示差屈折)検出強度(mV)、横軸は、下側が溶出時間(min.)、上側がGPCエリア面積全体に対する、累積エリア面積(%)を示す。また、図2〜図4では、高分子量成分から溶出されるカラムを用いているため、溶出時間初期に高分子量成分が観測され、溶出時間終期に低分子量成分が観測されている。
本発明において、図2に示す斜線部分の面積を「GPC溶出曲線におけるエリア面積」という。GPC溶出曲線におけるエリア面積の具体的な定め方は次のように行う。まず、GPC測定で得られた溶出時間とRI(示差屈折検出器)による検出強度から得られるGPC溶出曲線11に対し、測定機器により自動で引かれるベースライン12とGPC溶出曲線11が交わる点Aと点Bを定める。点Aは、溶出時間初期のGPC溶出曲線11とベースライン12とが交わる点である。点Bは、原則として重量平均分子量が500以上でベースライン12とGPC溶出曲線11が交わる位置とする。もし重量平均分子量が500以上の範囲で交わらなかった場合は重量平均分子量が500の溶出時間のRI検出強度の値を点Bとする。点A、B間のGPC溶出曲線と線分ABで囲まれた斜線部分がGPC溶出曲線におけるエリアである。この面積が、「GPC溶出曲線におけるエリア面積」である。
GPC溶出曲線におけるエリア面積の「累積エリア面積(%)」は、高分子量側、即ち図2に示す点Aを累積エリア面積(%)の基準である0%とし、低分子量側、即ち溶出時間の終期に向かい、各溶出時間に対応する検出強度が累積して、GPC溶出曲線におけるエリア面積が形成されるという見方をする。累積エリア面積の具体例を図3に示す。図3において、ある溶出時間におけるベースライン上の点を点X,GPC溶出曲線上の点を点Yとする。曲線AXと、線分AB、線分XYで囲まれる面積の、GPC溶出曲線におけるエリア面積に対する割合を、ある溶出時間での「累積エリア面積(%)」の値とする。
累積エリア面積0〜2%にある重量平均分子量成分(高分子量成分)中のメタクリル酸メチルと共重合可能な他のビニル単量体単位の平均組成比率をMh(wt%)とする。一方、累積エリア面積98〜100%にある重量平均分子量成分(低分子量成分)中のメタクリル酸メチルと共重合可能な他のビニル単量体単位の平均組成率をMl(wt%)とする。累積エリア面積0〜2%、98〜100%の測定グラフ上での位置の概略図を図4に示す。
MhやMlの値はGPCから得られた溶出時間をもとにカラムのサイズに応じ数回もしくは数十回連続分取して、求めることが可能である。分取したサンプルの組成を既知の熱分解ガスクロ法により分析すればよい。
本発明におけるMh(wt%)とMl(wt%)には下記の式(1)の関係が成り立つことが好ましい。
(Mh−4.1)≧Ml≧0・・・・・・・・・・・・・(1)
これは、低分子量成分より高分子量成分のほうが、メタクリル酸メチルと共重合可能な他のビニル単量体単位の平均組成が4.1(wt%)以上多いこと、低分子量成分には他のビニル単量体が必ずしも共重合していなくてもよいこと、を示す。Mh(wt%)とMl(wt%)の差は流動性向上の効果のために、4.1(wt%)以上が好ましく、4.2(wt%)以上がより好ましい。
また、Mlは0.5(wt%)未満であることがより好ましく、0.3(wt%)未満であることがさらに好ましい。
すなわち、高分子量成分中のメタクリル樹脂のメタクリル酸メチルと共重合可能な他のビニル単量体単位の平均組成を、低分子量成分の平均組成より4.1(wt%)以上多く、Mlは0.5(wt%)未満とすることで、耐熱性や成形品の外観不良を低減し、機械強度を保持したまま、劇的な流動性向上効果が得られるために好ましい。
本発明に用いるメタクリル樹脂は、以下に示す共重合体(1)と共重合体(2)を用いて製造できる。
共重合体(1)は、メタクリル酸メチル単量体99.9〜100wt%及びメタクリル酸メチルと共重合可能な他のビニル単量体の少なくとも1種で構成される単量体0〜0.1wt%未満からなる共重合体であって、メタクリル酸メチルと共重合可能な他のビニル単量体は少ないほうが好ましく、使用しなくてもよい。また、その分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平分均子量が5,000〜30,000が好ましい。成形に不具合を生じさせる重量平均分子量が500以下の成分が少なくなるため、共重合体(1)の重量平均分子量は5,000以上が好ましい。またこの場合、共重合体(1)の存在下で共重合体(2)を製造する際に共重合体(2)の分子量が連続生産時に安定するため好ましい。流動性の点から30,000以下が好ましい。より好ましくは5,000〜25,000であり、さらに好ましくは、6,000〜20,000である。最適な範囲は、60,00〜150,00である。
共重合体(2)はメタクリル酸メチル単量体80〜99.5wt%及びメタクリル酸メチルと共重合可能な他のビニル単量体の少なくとも1種で構成される単量体0.5〜20wt%からなる共重合体であって、その分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平分均子量は70,000〜230,000が好ましい。機械強度の点から70,000以上が好ましく、流動性の点から230,000以下が好ましい。より好ましくは70,000〜200,000であり、さらに好ましくは、75,000〜180,000である。
共重合体(1)の比率は5〜20wt%であることが好ましい。流動性向上の効果を得るためには5wt%以上が好ましく、樹脂の機械強度の点から20wt%以下が好ましい。より好ましくは5〜17wt%であり、さらに好ましくは5〜15wt%である。
共重合体(2)の比率は95〜80wt%であることが好ましい。流動性向上の効果を得るためには95wt%以下が好ましく、樹脂の機械強度の点から80wt%以上が好ましい。
本発明に用いるメタクリル樹脂の組成物の製造方法としては、特に制限は無く、具体的には、以下の方法が挙げられる。
1.あらかじめ重合体(A)を製造しておき、重合体(A)と異なる分子量を持つ重合体(B)の原料組成混合物に重合体(A)を混合する。その混合液を重合させて製造する方法。
2.あらかじめ重合体(A)を製造した後、重合体(A)とは異なる分子量を持つ重合体(B)の原料組成混合物を重合体(A)に逐次追添、または重合体(A)を重合体(B)の原料組成混合物に逐次追添し、重合することによって、製造する方法。
3.あらかじめ重合体(A)及び重合体(A)と異なる分子量を持つ重合体(B)を個別に製造しておき、ブレンドする方法。
これらの方法は2種類の分子量成分が異なる場合に関してであるが、方法1及び2に関しては、更に分子量組成の異なる重合体(C)、重合体(D)等を同様の手順で製造してもよい。また、方法3に関しても、分子量組成の異なる重合体(C)、重合体(D)等を更にブレンドし、押出し機で溶融混練しても良い。
好ましくは、重合体(A)を製造しておき、その重合体(A)が重合体(B)の原料組成混合物中に存在している状態で重合体(B)を製造する方法である。重合体(A)と重合体(B)のそれぞれの組成を制御しやすく、重合時の重合発熱による温度上昇を押さえられ、系内の粘度も安定に得られるためである。この場合、重合体(B)の原料組成混合物は一部重合が開始されている状態であっても良い。そのための重合方法としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合法もしくは乳化重合法のいずれかが好ましい。より好ましくは塊状重合、溶液重合及び懸濁重合法である。
重合体(A)と重合体(B)の分子量はどちらかが高分子量であり、どちらかが低分子量であってもよい。重合体(A)と重合体(B)の組成は異なっていることが好ましい。
例えばメタクリル酸メチルと共重合可能な他のビニル単量体の含有量が、メタクリル樹脂に対して1〜20wt%であれば、重合体(A)と重合体(B)でその含有量が異なっていることが好ましい。
好ましくは重合体(A)が低分子量である共重合体(1)であり、重合体(B)が高分子量である共重合体(2)であり、より好ましくはその重合方法が共重合体(1)を製造した後、共重合体(1)の存在下で共重合体(2)を製造する方法である。
本発明に用いる共重合体(1)のメタクリル酸メチルと共重合可能な他のビニル単量体単位の組成比率Mal(wt%)と共重合体(2)のメタクリル酸メチルと共重合可能な他のビニル単量体単位の組成比率Mah(wt%)には式(2)の関係が成り立つことが好ましい。
(Mah−4.1)≧Mal≧0・・・・・・・・・・・・・・(2)
組成比率MalとMahは、共重合体(1)及び共重合体(2)それぞれを熱分解ガスクロマトグラフィー法により測定し、決定することが可能である。それぞれの値は、仕込みで用いた組成比率とほぼ同等の値を示す。
Mah(wt%)とMal(wt%)との差は、流動性の点から4.1(wt%)以上が好ましい。高分子量である共重合体(1)にメタクリル酸メチルと共重合可能な他のビニル単量体が組成比率として多く含まれているほうが、耐熱性や機械強度を維持しながら流動性の向上が図れるため好ましい。
すなわち、Mah(wt%)と、Mal(wt%)との差を4.1(wt%)以上に保つことが耐熱性や、成形品の外観不良を低減し、機械強度を保持しつつ、流動性を向上させる上で好ましい。
本発明の高流動性メタクリル樹脂を製造するための重合開始剤としては、フリーラジカル重合を用いる場合は、下記の一般的なラジカル重合開始剤を用いることができる。
ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサンなどのパーオキサイド系;
アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)などのアゾ系;等。
これらは単独でもあるいは2種類以上を併用してもよい。これらのラジカル開始剤と適当な還元剤とを組み合わせてレドックス系開始剤として実施してもよい。これらの開始剤は、単量体混合物に対して、0.001〜1wt%の範囲で用いるのが一般的である。
本発明に用いるメタクリル樹脂の製造方法として、ラジカル重合法で製造する場合には、重合体(A)及び重合体(B)の分子量を調整するために、一般的に用いられている連鎖移動剤を使用できる。連鎖移動剤としては、例えばn−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、2−エチルヘキシルチオグリコレート、エチレングリコールジチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス(チオグリコート)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)などのメルカプタン類が好ましく用いられる。一般に単量体混合物に対して、0.001〜1wt%の範囲で用いられる。重合体(A)と重合体(B)に用いられる連鎖移動剤は同じでもよいし異なっていてもよい。重合体(A)と重合体(B)の連鎖移動剤の量は望む分子量に依存して決定される。
本発明に用いるメタクリル樹脂には、必要に応じて下記の添加剤を使用してもよい。
染料、顔料、ヒンダードフェノール系やリン酸塩等の熱安定剤;
ベンゾトリアゾール系、2−ヒドロキシベンゾフェノン系、サリチル酸フェニルエステル系などの紫外線吸収剤;
フタル酸エステル系、脂肪酸エステル系、トリメリット酸エステル系、リン酸エステル系、ポリエステル系などの可塑剤;
高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸のモノ、ジ、またはトリグリセリド系などの離型剤;
高級脂肪酸エステル、ポリオレフィン系などの滑剤;
ポリエーテル系、ポリエーテルエステル系、ポリエーテルエステルアミド系、アルキルスルフォン酸塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩などの帯電防止剤;
リン系、リン/塩素系、リン/臭素系などの難燃剤;
補強剤として多段重合で得られるアクリル系ゴム;
メタクリル酸メチル/スチレン重合体ビーズ、有機シロキサンビーズなどの有機系、有機無機系光拡散剤;
硫酸バリウム、酸化チタン、炭酸カルシウム、タルクなどの無機系光拡散剤;等。
なお、光拡散剤は反射光のぎらつきを防止することに有効である。
これらの添加剤の配合方法に特に限定はない。例えば、単量体混合物にあらかじめ添加剤を溶解しておき重合したり、得られたメタクリル樹脂にブレンダーやタンブラー等を用いて均一にブレンドした後、押出し機でコンパウンドして添加する方法等が用いられる。
本発明に用いるメタクリル樹脂は、単独、又は他の樹脂と混合して用いてもよい。他の樹脂と混合する場合には、ブレンドして、加熱溶融混合してもよいし、加熱溶融混合して押出したペレットを複数種ブレンドしてから加熱溶融混合してもよい。先に挙げた添化剤をこのときにブレンドして混合してもよい。
本発明で用いるメタクリル樹脂は、組成の異なる上記メタクリル樹脂組成物を複数種組み合わせてもよいし、既存のメタクリル樹脂と組み合わせてもよい。組み合わせ方法としては、ブレンドして用いてもよいし、一度それぞれの樹脂を加熱溶融して押出しておき再度、ブレンドしてペレタイズをしてもよい。
以下に実施例、比較例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。
[原料]
用いた原料は下記のものである。
メタクリル酸メチル(MMA):旭化成ケミカルズ製(重合禁止剤として中外貿易製2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール(2,4−di−methyl−6−tert−butylphenol)が2.5ppm添加されているもの)
アクリル酸メチル(MA):三菱化学製(重合禁止剤として川口化学工業製4−メトキシフェノール(4−methoxyphenol)が14ppm添加されているもの)
n−オクチルメルカプタン(n−octylmercaptan):アルケマ製
2−エチルヘキシルチオグリコレート(2−ethylhexyl thioglycolate):アルケマ製、分子量調整剤として使用
ラウロイルパーオキサイド(lauroyl peroxide):日本油脂製、重合開始剤として使用
第3リン酸カルシウム(calcium phosphate):日本化学工業製、懸濁剤として使用
炭酸カルシウム(calcium calbonate):白石工業製、懸濁剤として使用
ラウリル硫酸ナトリウム(sodium lauryl sulfate):和光純薬製、懸濁助剤として使用
[測定法]
[I.樹脂の組成、分子量の測定]
1.メタクリル樹脂の組成分析
メタクリル樹脂の組成分析は、熱分解ガスクロマトグラフィー及び質量分析方法で行った。
熱分解装置:FRONTIER LAB製Py−2020D
カラム:DB−1(長さ30m、内径0.25mm、液相厚0.25μm)
カラム温度プログラム:40℃で5min保持後、50℃/minの速度で320℃ま で昇温し、320℃を4.4分保持
熱分解炉温度:550℃
カラム注入口温度:320℃
ガスクロマトグラフィー:Agilent製GC6890
キャリアー:純窒素、流速1.0ml/min
注入法:スプリット法(スプリット比1/200)
検出器:日本電子製質量分析装置Automass Sun
検出方法:電子衝撃イオン化法(イオン源温度:240℃、インターフェース温度:3 20℃)
サンプル:メタクリル樹脂0.1gのクロロホルム10cc溶液を10μl
サンプルを熱分解装置用白金試料カップに採取し、150℃で2時間真空乾燥後、試料カップを熱分解炉に入れ、上記条件でサンプルの組成分析を行った。メタクリル酸メチル及びアクリル酸メチルのトータルイオンクロマトグラフィー(TIC)上のピーク面積と以下の標準サンプルの検量線を元にメタクリル樹脂の組成比を求めた。
<検量線用標準サンプルの作成>
メタクリル酸メチル、アクリル酸メチルの割合が(メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル)=(100%/0%)、(98%/2%)、(94%/6%)、(90%/10%)(80%/20%)の合計5種の溶液各50gにラウロイルパーオキサイド0.25%、n−オクチルメルカプタン0.25%添加した。この各混合溶液を100ccのガラスアンプル瓶にいれて、空気を窒素に置換して封じた。そのガラスアンプル瓶を80℃の水槽に3時間、その後150℃のオーブンに2時間入れた。室温まで冷却後、ガラスを砕いて中のメタクリル樹脂を取り出し、組成分析を行った。検量線用標準サンプルの測定によって得られた(アクリル酸メチルの面積値)/(メタクリル酸メチルの面積値+アクリル酸メチルの面積値)及びアクリル酸メチルの仕込み比率とのグラフを検量線として用いた。
2.メタクリル樹脂の重量平均分子量の測定
測定装置:日本分析工業製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(LC−908)
カラム:JAIGEL−4H 1本及びJAIGEL−2H 2本、直列接続
本カラムでは、高分子量が早く溶出し、低分子量は溶出する時間が遅い。
検出器:RI(示差屈折)検出器
検出感度:2.4μV/sec
サンプル:0.450gのメタクリル樹脂のクロロホルム15ml溶液
注入量:3ml
展開溶媒:クロロホルム、流速3.3ml/min
上記の条件で、メタクリル樹脂の溶出時間に対する、RI検出強度を測定した。GPC溶出曲線におけるエリア面積と、検量線を基にメタクリル樹脂の平均分子量を求めた。
検量線用標準サンプルとして、単分散の重量平均分子量が既知で分子量が異なる以下の10種のメタクリル樹脂(EasiCal PM−1 Polymer Laboratories製)を用いた。
重量平均分子量
標準試料1 1,900,000
標準試料2 790,000
標準試料3 281,700
標準試料4 144,000
標準試料5 59,800
標準試料6 28,900
標準試料7 13,300
標準試料8 5,720
標準試料9 1,936
標準試料10 1,020
重合体(1)と重合体(2)が混合している場合には、あらかじめ重合体(1)単独のGPC溶出曲線を測定し重量平均分子量を求めておき、重合体(1)が存在している比率(本実施例では仕込み比率を用いた)を重合体(1)のGPC溶出曲線に乗じ、溶出時間における検出強度を重合体(1)と重合体(2)が混合しているGPC溶出曲線から引くことで、重合体(2)単独のGPC溶出曲線が得られる。これから重合体(2)の重量平均分子量を求めた。
また、GPC溶出曲線でのピーク重量平均分子量(Mp)をGPC溶出曲線と検量線から求め、Mpの1/5以下の重量平均分子量成分の含有量を次のように求めた。
まず、メタクリル樹脂のGPC溶出曲線におけるエリア面積(図2の斜線部分)を求める。次に、GPC溶出曲線におけるエリア面積を、Mpの1/5の重量平均分子量に対応する溶出時間で分割し、Mpの1/5以下の重量平均分子量成分に対応するGPC溶出曲線におけるエリア面積を求める。その面積と、GPC溶出曲線におけるエリア面積の比から、Mpの1/5以下の重量平均分子量の比率を求めた。
3.メタクリル樹脂の高分子量成分及び低分子量成分におけるメタクリル酸メチルと共重合可能なビニル共重合体の組成比率の測定
図4に示す累積エリア面積0〜2%である分子量成分と、98〜100%である分子量成分を、対応する溶出時間を基にカラムから分取して、その組成分析を行った。測定と、各成分の分取は、上記1.と同様の装置、条件で行った。
すなわち、分取を2回行い、分取したサンプルのうち10μlを、上記1.で用いた熱分解ガスクロ分析及び質量分析方法の熱分解装置用白金試料カップに採取し、100℃の真空乾燥機に40分乾燥した。上記1.と同様の条件で分取した累積エリア面積に対応するメタクリル樹脂の組成を求めた。
[II.実用物性の測定]
1.耐熱性(VICAT軟化温度の測定)
成形機:30tプレス成形機
試験片:厚み4mm
測定条件:ISO 306 B50に準拠
上記条件でメタクリル樹脂のVICAT軟化温度を求めた。これを耐熱性評価の指標とした。
2.成形流動性評価(スパイラル長さの測定)
断面積一定の、スパイラル状のキャビティを樹脂が流れた距離によって、相対的流動性を判定する試験である。
射出成形機:東芝機械製IS−100EN
測定用金型:金型の表面に、深さ2mm、幅12.7mmの溝を、表面の中心部からア ルキメデススパイラル状に掘り込んだ金型
射出条件
樹脂温度:250℃
金型温度:55℃
射出圧力:98MPa
射出時間:20sec
金型表面の中心部にメタクリル樹脂を上記条件で射出した。射出終了40sec後にスパイラル状の成形品を取り出し、スパイラル部分の長さを測定し、下記のように流動性評価の指標とした。
◎:成形時の流動性に優れ十分に良好な状態
○:成形時の流動性が良好な状態
△:成形時の流動性がやや劣る状態
×:成形時の流動性が劣り好ましくない状態
3.機械強度評価(薄肉成形品の金型離型時の割れの有無による強度評価)
射出成形機:JSW製350t電動射出成形機
成形品サイズ:幅240mm、長さ135mm、厚み0.8mmの平板
ゲート:幅240mm厚み0.8mmのフィルムゲート
ゲート設置位置:成形品の幅方向の中央部分
射出条件
バレル温度:275℃
金型温度:75℃
射出速度:800mm/sec、一定
保圧力と保持時間:200MPa、20sec
成形品の取り出し:射出開始から40sec後
上記条件でメタクリル樹脂の射出成形を行った。離型時の薄肉部分の割れ状態を確認し、下記のように機械強度評価の指標とした。
◎:金型離型時に割れが発生せず十分な強度があり良好な状態
○:成形品が金型離型時に割れが発生せず良好な状態
△:成形品が金型離型時に割れることがある状態
×:成形品が金型離型時に割れることが多い状態
4.成形品ひけ量
射出成形機:東芝機械製IS−100EN射出成形機
成形品:ヒケ評価用金型(40×100×20t)
射出条件
バレル温度:200℃
金型温度:100℃
射出速度:30mm/sec、一定
保圧力と保持時間:100MPa、20sec
成形品の取り出し:射出開始から300sec後
上記条件で得られた成形品の中央部のヒケを、目視と表面粗さ計(東京精密製、サーフコム558A)で、縦方向、横方向で測定し、Rmax値を平均し、下記のヒケ指標と合わせて評価した。
◎:成形品外観に目視でヒケが無く十分に良好な状態
○:成形品外観に目視でヒケが小さく良好な状態
△:成形品外観に目視でヒケがやや大きい状態
×:成形品外観に目視でヒケが大きく状態好ましくない状態
[実施例1〜7、比較例1〜3]
60Lの反応器に、重合体(1)の原料を表1に示す配合量で投入し攪拌混合し、反応器の反応温度80℃で150分懸濁重合し、重合体(1)を得た。この重合体(1)をサンプリングし、重量平均分子量を測定した。その結果を表1に示す。
その後、60分間、80℃を維持し、次に重合体(2)の原料を表1に示す配合量で反応器に投入し、引き続き80℃で90分懸濁重合し、続いて92℃に1℃/minの速度で昇温し、60分熟成し、重合反応を実質終了した。次に50℃まで冷却して懸濁剤を溶解させるために20wt%硫酸を投入し、洗浄脱水乾燥処理し、ビーズ状ポリマーを得た。このビーズ状ポリマーの重量平均分子量を測定し、表1に示す重合体(1)が含まれている比率より、重合体(2)の重量平均分子量を求めた。その結果を表1に示す。
このようにして得られたビーズ状ポリマーを2軸押し出し機で240℃で押し出し、ペレタイズを行った。このペレットの組成、分子量を測定した結果を表2に示す。また、実用物性の評価結果を表3に示す。
[比較例4、5]
60Lの反応器に表1に示す配合量で、重合体(2)の原料を投入し、反応温度80℃で150分懸濁重合し、92℃に1℃/minの速度で昇温して60分熟成し、重合反応を実質終了した。次に50℃まで冷却して懸濁剤を溶解させるために20wt%硫酸を投入し、洗浄脱水乾燥処理し、ビーズ状ポリマーを得た。
評価結果を表1〜表3に示す。
Figure 2008281728
Figure 2008281728
Figure 2008281728
本発明のレンズアレイは、凸レンズや凹レンズ、ピックアップレンズ、プロジェクターレンズや、偏肉レンズ、プリズム、ミラーレンズなど、製品形状によりヒケが問題となりやすい単レンズから構成されるレンズアレイに好適である。
本発明のレンズアレイの一例を示す図である。 GPC溶出曲線におけるエリア面積の説明図である。 累積エリア面積の一例を示した図である。 累積エリア面積0〜2%と、累積エリア面積98〜100%の位置を示す概略図である。
符号の説明
1 単レンズ
11 GPC溶出曲線
12 ベースライン

Claims (7)

  1. メタクリル樹脂からなるレンズアレイであって、
    該メタクリル樹脂が、
    メタクリル酸メチル単量体単位85〜98.5wt%及びメタクリル酸メチルと共重合可能な他の少なくとも1種のビニル単量体単位1.5〜15wt%で構成され、
    ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量が60,000〜230,000であり、
    GPC溶出曲線におけるピーク重量平均分子量(Mp)の1/5以下の重量平均分子量成分を7〜25%含む
    ことを特徴とするレンズアレイ。
  2. 前記メタクリル樹脂の、GPC溶出曲線におけるエリア面積の高分子量側からの累積エリア面積0〜2%にある重量平均分子量成分中のメタクリル酸メチルと共重合可能な他のビニル単量体単位の平均組成比率Mh(wt%)と、該累積エリア面積98〜100%にある重量平均分子量成分中のメタクリル酸メチルと共重合可能な他のビニル単量体単位の平均組成率Ml(wt%)とが式(1)の関係であることを特徴とする請求項1に記載のレンズアレイ。
    (Mh−4.1)≧Ml≧0・・・・・・・・・・・・・(1)
  3. 前記Mlが0.5wt%未満であることを特徴とする請求項2に記載のレンズアレイ。
  4. 前記重量平均分子量が60,000〜140,000であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のレンズアレイ。
  5. 前記ピーク重量平均分子量(Mp)の1/5以下の重量平均分子量成分を8〜20%含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のレンズアレイ。
  6. 1.5mm以下の薄肉部を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のレンズアレイ。
  7. 3mm以上の厚肉部を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のレンズアレイ。
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