JP2008274086A - ポリアミドの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】環状オリゴマー含有量の少ないポリアミドを効率的かつ安定的に製造する。
【解決手段】カプロアミド単位を主たる構成成分とするポリアミドの製造方法であって、含水率2〜20重量%のカプロラクタム水溶液を常圧重合装置に供給し、常圧重合装置上部で薄膜形成させながら重合することを特徴とするポリアミドの製造方法。および、含水率2〜20重量%のカプロラクタム水溶液を加圧下に200〜330℃の温度で1〜60分間加熱処理して得た、アミノ基量0.03mmol/1g以上、且つ環状オリゴマー含有量が0.6重量%以下であるポリアミドプレポリマーを常圧重合装置に供給し、常圧重合装置上部で薄膜形成させながら重合することを特徴とするポリアミドの製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】カプロアミド単位を主たる構成成分とするポリアミドの製造方法であって、含水率2〜20重量%のカプロラクタム水溶液を常圧重合装置に供給し、常圧重合装置上部で薄膜形成させながら重合することを特徴とするポリアミドの製造方法。および、含水率2〜20重量%のカプロラクタム水溶液を加圧下に200〜330℃の温度で1〜60分間加熱処理して得た、アミノ基量0.03mmol/1g以上、且つ環状オリゴマー含有量が0.6重量%以下であるポリアミドプレポリマーを常圧重合装置に供給し、常圧重合装置上部で薄膜形成させながら重合することを特徴とするポリアミドの製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、カプロアミド単位を主たる構成成分とするポリアミドの製造方法に関する。さらに詳しくは、カプロラクタム水溶液もしくはポリアミドプレポリマーを常圧重合装置に供給する際に、常圧重合装置上部で薄膜形成させることにより、高い重合度を有し、環状オリゴマー、中でも特に環状2量体含有量が少ない、繊維,樹脂用原料として好適な、ポリアミドを効率的かつ安定的に製造する方法に関する。
カプロラクタムを主原料とするポリアミドは、その優れた特性を活かして衣料用繊維,産業用繊維に使われ、さらに、自動車分野,電気・電子分野などにおいて射出成形品として、また、食品包装用途を中心に押出フィルム,延伸フィルムとしても広く使われている。
カプロラクタムを主原料とするポリアミドは通常、カプロラクタムを少量の水の存在下で加熱することによって製造される。この製造方法は比較的単純なプロセスであり、世の中で広く採用されている製造方法である。「ポリアミド樹脂ハンドブック」(福本修編、日刊工業新聞社)の第63頁〜65頁に記載されている汎用的なポリアミド6の重合方法の概略を以下に説明する。
カプロラクタムを溶融して約260℃に加熱された常圧重合塔に供給し、この重合塔内で約10時間の滞留の後、塔下部からストランド状にして水槽に吐出されペレット化される。重合後のペレットにはモノマーや環状2量体などのオリゴマーが含まれており、これらを除去するため熱水抽出塔に供給され、塔下部から送られる熱水でモノマー、オリゴマーを向流抽出された後、下部から取り出される。抽出後のペレットは多量の水を含んでいるため、真空又は不活性ガス雰囲気中、約100℃で乾燥される。
このように重合後のポリアミドは重合平衡により残存するモノマーおよび環状2量体などのオリゴマーを含有するため、このままの状態で繊維やフィルム,射出成形品原料として使用すると、モノマーやオリゴマーが成形加工時に揮発し、最終製品である繊維やフィルム,射出成形品を得る際に口金汚れや糸切れ,外観不良を発生させ、得られる製品の機械物性や外観も低下するなど、数多くの問題を発生させる。特に環状2量体は、モノマー,オリゴマーの中でも融点が高く後工程での悪影響は極めて大きい。
そこで、これらのモノマーとオリゴマーを除去することが必要であり、前記のように一般的には熱水により抽出を行っている。この熱水抽出工程には熱水を得るために多くのエネルギーを要し、また抽出したモノマー,オリゴマーを含む熱水からモノマー,オリゴマーを分離するための濃縮工程,蒸留工程,あるいはオリゴマーからモノマーを得る解重合工程および不純物を除去する精製工程などでも多くのエネルギーが必要である。
これら抽出工程〜精製工程での負荷を下げるため、重合後のポリアミドに含まれるモノマー,オリゴマーを減少させる試みがなされており、例えば特許文献1のような提案がされている。特許文献1にはカプロラクタム水溶液を高温・高圧で短時間処理してポリアミドプレポリマーを得、続く常圧重合の重合温度を得られるポリアミドの融点+10℃以下という低温域で実施することにより、重合直後のポリアミドに含有されるオリゴマー量を低減させる方法が開示されており、重合度が比較的低い領域で環状オリゴマー量が0.9重量%以下のポリアミドが得られたことが示されている。しかしながら、オリゴマー量を低減するには融点近傍の温度で重合を行う必要があり、固化防止のため非常に繊細な温度管理が必要となり、工業的生産においては安定性に課題がある。さらには、重合を低温域で実施するために、得られるポリアミドの重合度が上がりにくい課題がある。
本発明技術は、ポリアミドプレポリマーの生成は必須ではなく、また重合温度を低温と限定しない一般的な安定した重合方法で、後工程や最終製品への悪影響が特に大きい、環状2量体量の少ないポリアミドを効率的かつ安定的に製造する方法であるため、工業的生産に適用した場合においても安定した運転が可能であり、従来技術に比べて格段に生産性が向上する。また、得られるポリアミドの重合度も容易に上げることができる。
また、特許文献2においては、ジカルボン酸とジアミンの存在下、生成するポリアミドの融点以下で重合することによりオリゴマー量の少ないポリアミド樹脂を製造し、得られたポリアミド樹脂を減圧加熱することでカプロラクタム、オリゴマーを除去する方法を提案しているが、この方法ではジカルボン酸とジアミンの添加、すなわち共重合が必須であり、得られるポリアミドの特性に影響を及ぼす問題があった。
本発明の技術は、ジカルボン酸とジアミンの添加という複雑な反応を必要とせず、常圧重合装置上部での薄膜形成という簡便な方法で、オリゴマー量の低減を達成するものである。
特開2003−82096号公報
特開平11−343341号公報
そこで本発明は、上記した従来技術の問題点を解決し、高い重合度を有し、環状オリゴマー、中でも特に環状2量体含有量が少ない、繊維,樹脂用原料として好適な、ポリアミドを効率的かつ安定的に製造する方法を提供することにある。
上記課題を解決するために鋭意検討した結果、常圧重合装置上部で薄膜形成させながら重合することにより、オリゴマー含有量の少ないポリアミドを効率的、安定的に製造することができることを見いだし、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
1.カプロアミド単位を主たる構成成分とするポリアミドを製造する際に、常圧重合装置上部で薄膜形成させながら重合することを特徴とするポリアミドの製造方法。
2.含水率2〜20重量%のカプロラクタム水溶液を常圧重合装置に供給することを特徴とする1記載のポリアミドの製造方法。
3.常圧重合装置上部に薄膜形成のためのプレートを設け、当該プレート上にラクタム水溶液を滴下することで薄膜を形成することを特徴とする2記載のポリアミドの製造方法。
4.アミノ基量0.03mmol/1g以上、かつ環状オリゴマー含有量が0.6重量%以下であるポリアミドプレポリマーを常圧重合装置に供給することを特徴とする1記載のポリアミドの製造方法。
5.ポリアミドプレポリマーが、含水率2〜20重量%のカプロラクタム水溶液を加圧下に200〜330℃の温度で1〜60分間加熱処理して得たものである4記載のポリアミドの製造方法。
6.常圧重合装置上部に薄膜形成のためのプレートを設け、当該プレート上にポリアミドプレポリマーを滴下することで薄膜を形成することを特徴とする4または5記載のポリアミドの製造方法。
7.薄膜形成のためのプレートが多孔板であることを特徴とする3または6記載のポリアミドの製造方法。
8.薄膜形成のためのプレートの面積が以下の算式(I)を満たすことを特徴とする7記載のポリアミドの製造方法。
0.05 ≦ V/A ≦ 0.20 (I)
V = カプロラクタム水溶液またはポリアミドプレポリマー供給量(m3/h)
A = プレートの面積(m2)
1.カプロアミド単位を主たる構成成分とするポリアミドを製造する際に、常圧重合装置上部で薄膜形成させながら重合することを特徴とするポリアミドの製造方法。
2.含水率2〜20重量%のカプロラクタム水溶液を常圧重合装置に供給することを特徴とする1記載のポリアミドの製造方法。
3.常圧重合装置上部に薄膜形成のためのプレートを設け、当該プレート上にラクタム水溶液を滴下することで薄膜を形成することを特徴とする2記載のポリアミドの製造方法。
4.アミノ基量0.03mmol/1g以上、かつ環状オリゴマー含有量が0.6重量%以下であるポリアミドプレポリマーを常圧重合装置に供給することを特徴とする1記載のポリアミドの製造方法。
5.ポリアミドプレポリマーが、含水率2〜20重量%のカプロラクタム水溶液を加圧下に200〜330℃の温度で1〜60分間加熱処理して得たものである4記載のポリアミドの製造方法。
6.常圧重合装置上部に薄膜形成のためのプレートを設け、当該プレート上にポリアミドプレポリマーを滴下することで薄膜を形成することを特徴とする4または5記載のポリアミドの製造方法。
7.薄膜形成のためのプレートが多孔板であることを特徴とする3または6記載のポリアミドの製造方法。
8.薄膜形成のためのプレートの面積が以下の算式(I)を満たすことを特徴とする7記載のポリアミドの製造方法。
0.05 ≦ V/A ≦ 0.20 (I)
V = カプロラクタム水溶液またはポリアミドプレポリマー供給量(m3/h)
A = プレートの面積(m2)
本発明の方法によって、高い重合度を有し、環状オリゴマーの中でも特に環状2量体含有量が少ない、繊維,樹脂用原料として好適な、ポリアミドを効率的かつ安定的に製造することが可能となる。
本発明のポリアミドの製造方法では、用いる重合装置は常圧で重合を行える装置であれば特に制限はなく、一般的にカプロラクタムの重合に用いられる装置を用いることができる。具体的には連続式常圧重合装置、回分式重合装置などの液相重合装置が挙げられる。中でも生産性の面から連続式常圧重合装置が好ましい。
本発明のポリアミドの製造方法では、常圧重合装置の上部において、薄膜を形成させながら重合する。薄膜を形成させる機構に特に制限はないが、通常、滴下されたカプロラクタム水溶液またはポリアミドプレポリマーが重合装置と接触する部位に薄膜を形成する。なお、本発明の目的を達するためには、常圧重合装置上部に薄膜形成のためのプレートを設け、当該プレートにカプロラクタム水溶液またはポリアミドプレポリマーを滴下して、当該プレート上に薄膜を形成することが好ましい。
本発明のポリアミドの製造方法で用いられるプレートの形状には特に制限はないが、当該プレートは平面を有する板状であることが好ましく、薄膜を当該平面に形成することが好ましい。薄膜を形成する面が平面でない場合、一部にカプロラクタム水溶液またはポリアミドプレポリマーの偏在が起き、十分な低オリゴマー化の効果が得られないことがある。
また当該プレートは、多孔板の形状であることが好ましい。本特許における多孔板とは、平面を有する板に複数の穴を有するものを指す。多孔板に開けられた穴の形状に、特に制限はなく、多角形、円形、楕円形などが選択される。穴1つあたりの大きさに特に制限はないが、通常10平方mm〜20平方cmの範囲の穴のものが使用される。また多孔板の平面の総面積に占める穴の面積の割合、すなわち開孔率についても特に制限はないが、5〜40%の値が好ましく、10〜30%の値がより好ましく選択される。
当該プレートが平面である場合の設置角度に制限はないが、水平に設置されることが好ましい。水平でない場合には、滴下されたカプロラクタム水溶液またはポリアミドプレポリマーがプレート上にとどまらず、薄膜形成が不十分となる場合がある。
本発明のプレートの面積については特に制限はないが、以下の算式(I)を満たすことが好ましい。
0.05 ≦ V/A ≦ 0.20 (I)
V = カプロラクタム水溶液またはポリアミドプレポリマー供給量(m3/h)
A = プレートの面積(m2)
0.05 ≦ V/A ≦ 0.20 (I)
V = カプロラクタム水溶液またはポリアミドプレポリマー供給量(m3/h)
A = プレートの面積(m2)
上記式(I)におけるV/Aの値は、0.06〜0.19の範囲が好ましく、0.07〜0.18の範囲がより好ましい。V/Aの値を0.20以下とすることで、低オリゴマー化の効果が十分に発揮されるため好ましい。また0.05以上とすることで、低オリゴマー化効果が十分に得られるだけでなく、プレート上での異常滞留物の発生を防ぐことができるので好ましい。
なお、前述の穴の部分はプレートの面積には含めない。
当該プレートは1枚もしくは複数を設置することが出来る。その設置枚数に特に制限はないが、上記の算式(I)を満たすような枚数とするのが好ましい。プレートを複数枚設置する場合は、合計面積を上記Aとする。
また、本発明のポリアミドの製造方法では、カプロラクタム水溶液をそのまま常圧重合装置に供給することが出来、また、カプロラクタム水溶液を加圧下に加熱処理して得られたポリアミドプレポリマーを常圧重合装置に供給することも出来る。ポリアミドプレポリマーを供給する場合、より高い低オリゴマー化の効果を得ることが出来る。
本発明にいうポリアミドプレポリマーとは、カプロラクタムの加熱処理により得られる組成物であり、鎖状オリゴマー、環状オリゴマー、未反応モノマーを含む混合物を言う。
本発明のポリアミドの製造方法で、ポリアミドプレポリマーを供給する場合は、含水率2〜20重量%のカプロラクタム水溶液を、加熱処理温度でのカプロラクタム水溶液の蒸気圧以上に圧力を保持し、200〜300℃で1〜30分加熱処理して得られたものが好ましく、アミノ基量0.03mol/1g以上、かつ環状オリゴマー含有量0.6重量%以下であるポリアミドプレポリマーを得、該ポリアミドプレポリマーを常圧重合装置に供給するのが好ましい。
本発明のポリアミドの製造方法では、含水率2〜20重量%のカプロラクタム水溶液を原料として用いることが好ましい。
含水率の下限は総量に対し、2重量%が好ましく、さらに好ましくは2.2重量%、特に好ましくは2.4重量%である。また含水率の上限は総量に対し、20重量%が好ましく、さらに好ましくは16重量%、特に好ましくは13重量%である。含水率が2重量%以上のカプロラクタム水溶液を用いることで、重合の進行速度を適当な速度とすることができ、アミノ基量0.03mmol/1g以上のポリアミドプレポリマーを得るに際し、環状2量体の生成を抑えることができ、得られるポリアミドに含まれる環状2量体量を抑えることができるので好ましい。また含水率が20重量%以下のカプロラクタム水溶液を使用することで、原料を加熱するのに必要なエネルギーを必要以上に大きくする必要がないため好ましい。
本発明において、アミノ基量0.03mmol/1g以上のポリアミドプレポリマーを得るためには、処理温度を200℃以上とすることが好ましく、さらに好ましくは205℃以上、特に好ましくは210℃以上である。また処理温度は300℃以下が好ましく、さらに好ましくは290℃以下、特に好ましくは280℃以下である。処理温度を200℃以上とすることで、アミノ基量0.03mmol/1g以上のポリアミドプレポリマーを得るための時間を適当な範囲とすることができるため、生産性の観点から好ましい。また、処理温度を300℃以下とすることで、水分を保持するための圧力が高くなりすぎることがなく、設備費用の点で好ましい。さらに、アミノ基量の生成速度、環状オリゴマーの生成速度の点からも好ましい。
なお、本処理温度において、カプロラクタム水溶液の含水率を前記した本発明の範囲に維持するために、処理時の圧力は処理温度での蒸気圧以上に維持することが好ましい。このような圧力制御の方法に制限はないが、通常、圧力調節弁などを用いて行うことが可能である。また処理時の圧力を処理温度での蒸気圧以上に維持するため、加熱処理を行なう反応器の内部では気相は存在しない。
本発明において、ポリアミドプレポリマーを得るための処理時間の下限は1分が好ましく、さらに好ましくは5分、特に好ましくは10分である。また、上限は60分が好ましく、さらに好ましくは50分、特に好ましくは40分である。処理時間1分以上とすることで、アミノ基量0.03mmol/1g以上のポリアミドプレポリマーを得るために、アミノ基量の生成速度、環状2量体の生成速度が速すぎることがないため、工業的に安定にポリアミドプレポリマーを製造できるため好ましい。また、60分以下とすることで、ポリアミドプレポリマー中の環状2量体の生成量を少なくすることができ、重合後のポリアミドに含まれる環状2量体量を0.30重量%以下にすることができるので好ましい。
本発明において、ポリアミドプレポリマーを供給する場合には、ポリアミドプレポリマーのアミノ基量は0.03mmol/1g以上が好ましい。さらに好ましくは0.05mmol/1g以上、特に好ましくは0.07mmol/1g以上である。アミノ基量を0.03mmol/1g以上とすることで、ポリアミドプレポリマーからポリアミドを重合する際に、残存するカプロラクタムのアミノ基への付加速度、すなわちカプロラクタムの消費速度が早くなるため、カプロラクタムが水との反応で鎖状オリゴマーを経由して環状オリゴマーを生成することを抑制し、重合後のポリアミドに含まれる環状2量体含有量を0.30重量%以下とすることができるので好ましい。アミノ基量に上限はないが、アミノ基量が多いと重合塔に供給する際に固化しやすくなるため、生産性の点で通常0.4mmol/1g以下の範囲が採用される。また、ポリアミドプレポリマー中の環状オリゴマー含有量は0.60重量%以下が好ましい。さらに好ましくは0.50重量%以下、特に好ましくは0.40重量%以下である。0.60重量%以下とすることで、ポリアミドプレポリマーから製造されるポリアミド中の環状オリゴマー含有量を低く抑えることができるので好ましい。このポリアミドプレポリマー中の環状オリゴマー含有量の下限に特に制限はないが、通常0.01重量%である。
本発明のポリアミドの製造方法において、加圧下での加熱処理によって得られたポリアミドプレポリマーを常圧重合装置に供給する際には、常圧重合装置上部においてフラッシュさせて水分を蒸散除去させることが好ましく採用される。水分を蒸散除去させることにより、ポリアミドを製造する際の加熱に要する熱量を低減し、かつ重合温度制御を容易にすることができる。
本発明のポリアミドの製造方法において得られるポリアミドの相対粘度には特に制限はないが、サンプル濃度0.01g/mLの98%硫酸溶液の25℃における相対粘度として、2.2以上が好ましく、さらに好ましくは、2.25〜7.0、特に好ましくは2.3〜6.0である。相対粘度が2.2未満では機械物性の発現が不十分な場合があり、8.0を超えると溶融粘度が高すぎて成形が困難となることがある。
本発明のポリアミドの製造方法において得られるポリアミド中のモノマー含有量には特に制限はないが、好ましくは10重量%以下であり、より好ましくは9重量%以下、さらに好ましくは8重量%以下である。
本発明のポリアミドの製造方法において得られるポリアミド中のオリゴマー含有量には特に制限はないが、好ましくは2.0重量%以下であり、より好ましくは1.9重量%以下である。
本発明のポリアミドの製造方法において得られるポリアミド中の環状2量体含有量には特に制限はないが、好ましくは0.30重量%以下であり、より好ましくは0.28重量%以下である。
本発明の重合温度には特に制限はないが、好ましくは200〜270℃、さらに好ましくは205〜260℃である。重合温度が200℃以上とすることで、重合速度を経済的な速度とすることができ、重合中に生成するオリゴマー量を低く抑えることができるので好ましい。得られるポリアミドに含まれる環状2量体量を0.3重量%以下にすることができると、後工程でのオリゴマー除去、精製工程が容易となり好ましい。また、重合温度を270℃以下とすることで、環状オリゴマーの生成速度を抑えることができるので好ましい。この温度範囲で重合を行うことで、重合後のポリアミドに含まれるオリゴマー量が2.0重量%とすることができ、環状2量体量を0.3重量%以下にすることができる。なお、ここでいう重合温度とは、重合装置内におけるポリアミドまたはその前駆体の最高温度である。
本発明の重合時間には特に制限はないが、5時間未満ではモノマー量が10重量%を超えることがあるため、モノマー量を10重量%以下とするために重合温度が270℃を超えることが必要となり、環状オリゴマーの生成速度が大きくなる等の問題がある。また、25時間を超えると環状2量体量が0.30重量%を超えて生成することや経済的ではないなどの問題を生じる。本発明において好ましい重合時間は8〜20時間である。
また、本発明の製造方法においては、ポリアミド中の環状2量体量には特に制限はないが、好ましい態様においては0.30重量%以下となり、さらに好ましい態様においては0.25重量%以下となる。環状2量体は昇華性があり高融点であることから、フィルム製造時や紡糸時の口金汚れの主たる原因物質となっているため、上記のように環状2量体量が低減されることは、実用上極めて有用である。
本発明のポリアミドの製造方法において、ポリアミドプレポリマーを常圧重合装置に供給する場合では、重合開始時にポリアミドプレポリマーに対してさらにカプロラクタムを追添加して重合することができる。カプロラクタムの追添加量は、ポリアミドプレポリマーと追添加カプロラクタムからなる原料組成物中のアミノ基量が0.03mmol/1g以上となる範囲であれば、特に制限はない。
本発明のポリアミドの製造方法で用いる原料には主にカプロラクタムを用いるが、発明の目的を阻害しない範囲で、1種または2種以上の他のラクタムおよびその誘導体をポリアミドの原料全体の10mol%を超えない範囲で併用してもかまわない。10mol%を超えると得られるポリアミドの結晶性が低下する場合がある。かかる併用ラクタム及びその誘導体の具体例としては、バレロラクタム、エナントラクタム、カプリルラクタム、ウンデカラクタム、ラウロラクタムなどを挙げることができる。
本発明のポリアミドの製造方法では、カプロラクタムに対して5mol%以下のジカルボン酸、ジアミン、およびこれらの塩の中から選ばれる少なくとも1種の添加剤を加熱処理前の原料中あるいは重合段階に供給して重合することができる。このことにより、必要な重合時間のさらなる短縮が可能である。ただし、この添加量としては4mol%以下が好ましく、更に好ましくは3mol%以下である。添加剤の添加量が5mol%を超えると得られるポリアミドの融点や結晶性が低下し、成形性・成形品物性が低下する場合がある。
添加剤を構成するジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシリン酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、オクタデカン二酸のような脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸のような脂環式ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸のような芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。
添加剤を構成するジアミンとしては、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,13−ジアミノトリデカン、1,14−ジアミノテトラデカン、1,15−ジアミノペンタデカン、1,16−ジアミノヘキサデカン、1,17−ジアミノヘプタデカン、1,18−ジアミノオクタデカン、1,19−ジアミノノナデカン、1,20−ジアミノエイコサン、ジエチルアミノプロピルアミンなどの脂肪族ジアミン、シクロヘキサンジアミン、ビス−(4−アミノヘキシル)メタンのような脂環式ジアミン、キシリレンジアミンのような芳香族ジアミンなどが挙げられる。
この添加剤としては、好ましくはジカルボン酸とジアミンの塩であり、より好ましくは脂肪族および/または芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンから誘導される塩であり、最も好ましくは、アジピン酸と1,6−ジアミノヘキサンから誘導される塩および/またはテレフタル酸と1,6−ジアミノヘキサンから誘導される塩である。
前記添加剤を常圧重合装置に供給する方法に特に制限はない。粒状の固体を重合装置に添加してもよく、水などの溶媒に溶解し、溶液として添加してもよい。
本発明のポリアミドの製造方法では、得られたポリアミドからさらにモノマーおよびオリゴマーを熱水抽出によって除去してもよく、減圧下で加熱することにより揮発除去してもよく、減圧下で加熱して、モノマーおよびオリゴマーを除去した後、さらに熱水抽出を行ってもよい。モノマーおよびオリゴマーの減圧下加熱による揮発除去は、重合反応生成物をペレットなどの固体とした後、固相で行ってもよく、溶融状態で行ってもよい。溶融状態での揮発除去は、重合反応生成物をペレットなどの固体とした後、押出機や薄膜蒸発機などで溶融・減圧下加熱を行ってもよく、重合塔より吐出される溶融状態の重合反応生成物を、直接押出機や薄膜蒸発機などに供給してもよい。また、モノマーおよびオリゴマーの減圧下加熱による揮発除去においてポリアミドの溶融重合または固相重合を同時に行うことにより、その重合度を用途に応じた好適な値に調整することができる。
本発明の製造方法で得られるポリアミドは、高強度繊維や押出成形などポリアミドが高粘度であることを要求される用途に対しては、好適な粘度が得られるように、ポリアミドの融点未満の温度かつ窒素気流下または減圧下で加熱処理する固相重合によって所望の重合度に調整することが好ましい。
本発明のポリアミドの製造方法では、必要に応じてカルボン酸化合物で末端を封鎖するもしくは末端基の構成を制御することができる。モノカルボン酸を添加して末端封鎖する場合には、得られたポリアミドの末端基濃度が末端封鎖剤を使用しない場合に比べて低下する。一方、ジカルボン酸で末端封鎖した場合には全末端基量は変化しないが、アミノ基とカルボキシル基との比率を変えることができる。カルボン酸化合物の具体例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、ウンデカン酸、ラウリル酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキン酸のような脂肪族モノカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、メチルシクロヘキサンカルボン酸のような脂環式モノカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、エチル安息香酸、フェニル酢酸のような芳香族モノカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシリン酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、オクタデカン二酸のような脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸のような脂環式ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸のような芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。また、末端封鎖剤の添加方法としては、ポリアミドプレポリマーの加熱処理初期にカプロラクタム等の原料と同時に仕込む方法、常圧重合装置投入前に添加する方法、ポリアミドを溶融状態でモノマーおよびオリゴマーを除去する際に添加する方法などが採用される。末端封鎖剤はそのまま添加してもよいし、少量の溶剤に溶解して添加してもかまわない。
本発明の製造方法においては、用途に応じて例えば酸化防止剤や耐熱安定剤(ヒンダードフェノール系、ヒドロキノン系、ホスファイト系およびこれらの置換体、ハロゲン化銅、ヨウ素化合物等)、耐候剤(レゾルシノール系、サリシレート系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系等)、離型剤および滑剤(脂肪族アルコール、脂肪族アミド、脂肪族ビスアミド、ビス尿素およびポリエチレンワックス等)、顔料(酸化チタン、硫化カドミウム、フタロシアニン、カーボンブラック等)、染料(ニグロシン、アニリンブラック等)、結晶核剤(タルク、シリカ、カオリン、クレー等)、可塑剤(p−オキシ安息香酸オクチル、N−ブチルベンゼンスルホン酸アミド等)、帯電防止剤(アルキルサルフェート型アニオン系帯電防止剤、4級アンモニウム塩型カチオン系帯電防止剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートのような非イオン系帯電防止剤、ベタイン系両性帯電防止剤等)、難燃剤(メラミンシアヌレート、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、ポリリン酸アンモニウム、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンオキシド、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ樹脂あるいはこれらの臭素系難燃剤と三酸化アンチモンとの組合せ等)、充填剤(グラファイト、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化アンチモン、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化鉄、硫化亜鉛、亜鉛、鉛、ニッケル、アルミニウム、銅、鉄、ステンレス、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ベントナイト、モンモリロナイト、合成雲母等の粒子状、繊維状、針状、板状充填剤等)、他の重合体(他のポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリマー、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ABS樹脂、SAN樹脂、ポリスチレン等)を任意の時点で添加することができる。
本発明の製造方法によって得られたポリアミドは、従来のポリアミドと同様に、通常の成形方法によって成形品とすることができる。成形方法に関しては特に制限はなく、射出成形、押出成形、吹き込み成形、プレス成形など公知の成形方法が利用できる。ここでいう成形品とは射出成形などによる成形品の他、繊維、フィルム、シート、チューブ、モノフィラメント等の賦形物も含む。
以下に実施例をあげて本発明を具体的に説明する。なお、特許請求の範囲、明細書本文および実施例、比較例に記した特性値の定義および測定方法は以下のとおりである。
(1)ポリアミド中のモノマー量および環状2量体量
ポリアミドを粉砕し、JIS標準ふるい24meshを通過し、124meshは不通過のポリアミド粉末を集め、該粉末約20gをメタノール200mlで3時間ソックスレイ抽出し、抽出液中に含まれるカプロラクタムを高速液体クロマトグラフを用いて定量した。測定条件は下記のとおりである。なお測定に先立ち、カラム保持時間の確認と検量線の作成をカプロラクタムおよびカプロラクタム環状2量体の標準サンプルを用いて実施した。
高速液体クロマトグラフ:ウォーターズ社600E
カラム:GLサイエンス社 ODS−3
検出器:ウォーターズ社484Tunable Absorbance Detector
検出波長:254nm
インジェクション体積:10μl
溶媒:メタノール/水(メタノール/水の組成は、20:80→80:20(体積比)のグラディエント分析とした。)
流速:1ml/min。
ポリアミドを粉砕し、JIS標準ふるい24meshを通過し、124meshは不通過のポリアミド粉末を集め、該粉末約20gをメタノール200mlで3時間ソックスレイ抽出し、抽出液中に含まれるカプロラクタムを高速液体クロマトグラフを用いて定量した。測定条件は下記のとおりである。なお測定に先立ち、カラム保持時間の確認と検量線の作成をカプロラクタムおよびカプロラクタム環状2量体の標準サンプルを用いて実施した。
高速液体クロマトグラフ:ウォーターズ社600E
カラム:GLサイエンス社 ODS−3
検出器:ウォーターズ社484Tunable Absorbance Detector
検出波長:254nm
インジェクション体積:10μl
溶媒:メタノール/水(メタノール/水の組成は、20:80→80:20(体積比)のグラディエント分析とした。)
流速:1ml/min。
(2)ポリアミド中のオリゴマー量
ポリアミドを粉砕し、JIS標準ふるい24meshは通過し、124mesh不通過のポリアミド粉末を集め、該粉末約20gをメタノール200mlで3時間ソックスレイ抽出し、エバポレーターで蒸発乾固し、更に80℃/8時間真空乾燥することによりカプロラクタムを除去した後に得られる残渣量を求めオリゴマー含有量とした。
ポリアミドを粉砕し、JIS標準ふるい24meshは通過し、124mesh不通過のポリアミド粉末を集め、該粉末約20gをメタノール200mlで3時間ソックスレイ抽出し、エバポレーターで蒸発乾固し、更に80℃/8時間真空乾燥することによりカプロラクタムを除去した後に得られる残渣量を求めオリゴマー含有量とした。
(3)硫酸相対粘度(ηr)
ポリアミドを粉砕し、JIS標準ふるい24meshは通過し、124mesh不通過のポリアミド粉末を集め、該粉末約20gをメタノール200mlで3時間ソックスレイ抽出し、残分を乾燥後測定試料とする。98%硫酸中、試料0.01g/ml濃度、25℃でオストワルド式粘度計を用いて測定を行った。
ポリアミドを粉砕し、JIS標準ふるい24meshは通過し、124mesh不通過のポリアミド粉末を集め、該粉末約20gをメタノール200mlで3時間ソックスレイ抽出し、残分を乾燥後測定試料とする。98%硫酸中、試料0.01g/ml濃度、25℃でオストワルド式粘度計を用いて測定を行った。
(4)ポリアミドプレポリマー中のアミノ基量
被測定物約0.2gを精秤し、フェノール・エタノール混合溶媒(83.5:16.5、体積比)25ccに溶解後、0.02N塩酸水溶液を用いて滴定した。
被測定物約0.2gを精秤し、フェノール・エタノール混合溶媒(83.5:16.5、体積比)25ccに溶解後、0.02N塩酸水溶液を用いて滴定した。
(5)ポリアミドプレポリマー中の環状オリゴマー含有量
被測定物を粉砕し、JIS標準ふるい24meshを通過し、124meshは不通過である被測定物の粉末を集め、該粉末約20gをメタノール200mlで3時間ソックスレイ抽出器を用いて抽出し、抽出液中に含まれる環状オリゴマーを高速液体クロマトグラフを用いて定量した。なお、測定に先立ち、カラム保持時間の確認と検量線の作成をカプロラクタムおよびカプロラクタム環状2量体、カプロラクタム環状3量体、カプロラクタム環状4量体の標準サンプルを用いて実施した。重合度5を超えるカプロラクタム環状体の検量線は、カプロラクタム環状4量体と同一として計算した。また、以下の実施例においては7量体以上の環状オリゴマーは検出されなかった。測定条件は下記のとおりである。
高速液体クロマトグラフ:ウォーターズ社600E
カラム:GLサイエンス社 ODS−3
検出器:ウォーターズ社484Tunable Absorbance Detector
検出波長:254nm
インジェクション体積:10μl
溶媒:メタノール/水(メタノール/水の組成は、20:80→80:20(体積比)のグラディエント分析とした。)
流速:1ml/min。
被測定物を粉砕し、JIS標準ふるい24meshを通過し、124meshは不通過である被測定物の粉末を集め、該粉末約20gをメタノール200mlで3時間ソックスレイ抽出器を用いて抽出し、抽出液中に含まれる環状オリゴマーを高速液体クロマトグラフを用いて定量した。なお、測定に先立ち、カラム保持時間の確認と検量線の作成をカプロラクタムおよびカプロラクタム環状2量体、カプロラクタム環状3量体、カプロラクタム環状4量体の標準サンプルを用いて実施した。重合度5を超えるカプロラクタム環状体の検量線は、カプロラクタム環状4量体と同一として計算した。また、以下の実施例においては7量体以上の環状オリゴマーは検出されなかった。測定条件は下記のとおりである。
高速液体クロマトグラフ:ウォーターズ社600E
カラム:GLサイエンス社 ODS−3
検出器:ウォーターズ社484Tunable Absorbance Detector
検出波長:254nm
インジェクション体積:10μl
溶媒:メタノール/水(メタノール/水の組成は、20:80→80:20(体積比)のグラディエント分析とした。)
流速:1ml/min。
実施例1〜3
図1に示す装置を用いて加熱処理、重合を行った。
図1に示す装置を用いて加熱処理、重合を行った。
表1記載の組成のカプロラクタム水溶液を原料貯槽1に投入し、ついで圧力計3を吐出側に有する原料供給ポンプ2を用い、加圧加熱処理槽4を経由して、カプロラクタム水溶液を重合塔7に供給して、表1記載の条件で連続重合を行い、重合塔7下部より重合反応生成物であるポリアミドを得た。なお、重合開始時には10Lの原料をあらかじめ重合塔7に滞留させた後、重合塔内の原料滞留量が10Lとなるように、重合塔からの吐出量を調整した。上部の空間には表1記載のプレートを設置した。なお表1記載の開孔率となるよう、プレートには直径4mmの穴をあけた。また本実施例では、加圧加熱処理槽での加熱処理は行なわず重合を実施した。
実施例4〜6
表1記載の組成のカプロラクタム水溶液を原料貯槽1に投入し、ついで圧力計3を吐出側に有する原料供給ポンプ2を用い、加圧加熱処理槽4に供給し、表1記載の条件下で連続的に加熱処理を行った。次いで得られたポリアミドプレポリマーを重合塔7に供給して、表1記載の条件で連続重合を行い、重合塔7下部より重合反応生成物であるポリアミドを得た。
表1記載の組成のカプロラクタム水溶液を原料貯槽1に投入し、ついで圧力計3を吐出側に有する原料供給ポンプ2を用い、加圧加熱処理槽4に供給し、表1記載の条件下で連続的に加熱処理を行った。次いで得られたポリアミドプレポリマーを重合塔7に供給して、表1記載の条件で連続重合を行い、重合塔7下部より重合反応生成物であるポリアミドを得た。
なお、装置内の圧力は加熱処理時にカプロラクタム水溶液から水分が蒸発しないように圧力調整弁5により維持・調整し、圧力調整バルブ5を通過させた後、圧力を大気圧に解放することでポリアミドプレポリマーから蒸発した水分を重合塔7上部から系外へ排出した。
ポリアミドプレポリマーは、重合塔7への供給前にサンプル採取用バルブ6から分析用サンプルを採取した。また、重合後のポリアミドは重合塔7下部から排出したものを採取した。
その他については実施例1〜3と同様に実施した。
比較例1、2
プレートを用いない場合を、比較例1、2として表2に記載した。
プレートを用いない場合を、比較例1、2として表2に記載した。
表1,表2から明らかなように、本発明の製造方法を用いることにより、環状オリゴマーが少なく、ηrの高いポリマーが得られた。また、プレートを用いない場合、もしくはプレート数が本発明の範囲より少ない場合には、環状オリゴマーは多くηrもより低い値しか得られなかった。
本発明は、必要とされる高い重合度を得つつ、ポリアミド重合後のモノマー,オリゴマー量を低減することにより、繊維,樹脂用原料として好適な、環状オリゴマー、中でも特に環状オリゴマー含有量の少ないポリアミドを効率的かつ安定的に製造することができ、さらに後工程であるオリゴマー除去、精製工程の簡略化が可能となり、高生産効率かつ低エネルギーコストでポリアミドを製造することができる。
1:原料貯槽
2:原料供給ポンプ
3:圧力計
4:加圧加熱処理槽
5:調圧バルブ
6:加圧加熱反応物採取口
7:15L常圧連続重合塔
8:プレート
2:原料供給ポンプ
3:圧力計
4:加圧加熱処理槽
5:調圧バルブ
6:加圧加熱反応物採取口
7:15L常圧連続重合塔
8:プレート
Claims (8)
- カプロアミド単位を主たる構成成分とするポリアミドを製造する際に、常圧重合装置上部で薄膜形成させながら重合することを特徴とするポリアミドの製造方法。
- 含水率2〜20重量%のカプロラクタム水溶液を常圧重合装置に供給することを特徴とする請求項1記載のポリアミドの製造方法。
- 常圧重合装置上部に薄膜形成のためのプレートを設け、当該プレート上にラクタム水溶液を滴下することで薄膜を形成することを特徴とする請求項2記載のポリアミドの製造方法。
- アミノ基量0.03mmol/1g以上、かつ環状オリゴマー含有量が0.6重量%以下であるポリアミドプレポリマーを常圧重合装置に供給することを特徴とする請求項1記載のポリアミドの製造方法。
- ポリアミドプレポリマーが、含水率2〜20重量%のカプロラクタム水溶液を加圧下に200〜330℃の温度で1〜60分間加熱処理して得たものである請求項4記載のポリアミドの製造方法。
- 常圧重合装置上部に薄膜形成のためのプレートを設け、当該プレート上にポリアミドプレポリマーを滴下することで薄膜を形成することを特徴とする請求項4または5記載のポリアミドの製造方法。
- 薄膜形成のためのプレートが多孔板であることを特徴とする請求項3または6記載のポリアミドの製造方法。
- 薄膜形成のためのプレートの面積が以下の算式(I)を満たすことを特徴とする請求項7記載のポリアミドの製造方法。
0.05 ≦ V/A ≦ 0.20 (I)
V = カプロラクタム水溶液またはポリアミドプレポリマー供給量(m3/h)
A = プレートの面積(m2)
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WO2012118107A1 (ja) * | 2011-03-02 | 2012-09-07 | ユニチカ株式会社 | ポリアミド樹脂の製造方法 |
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- 2007-04-27 JP JP2007118767A patent/JP2008274086A/ja active Pending
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CN103298852A (zh) * | 2011-03-02 | 2013-09-11 | 尤尼吉可株式会社 | 聚酰胺树脂的制造方法 |
JP5335160B2 (ja) * | 2011-03-02 | 2013-11-06 | ユニチカ株式会社 | ポリアミド樹脂の製造方法 |
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