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JP2008266138A - 合わせガラス用中間膜及び合わせガラス - Google Patents

合わせガラス用中間膜及び合わせガラス Download PDF

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Abstract

【課題】外部から加えられた衝撃を緩和する性能に優れ、特に車両用のガラスとして使用した場合において、対人事故が発生して頭部が衝突したときの衝撃緩和性能に優れる合わせガラス及び合わせガラス用中間膜を提供する。
【解決手段】多層構造であり、かつ、2枚のガラスの間に挟着して合わせガラスとして頭部衝撃指数(Head InjuryCriteria;HIC)値を測定したときに、10mm以上の長さの裂けが発生する合わせガラス用中間膜。
【選択図】 なし

Description

本発明は、外部から加えられた衝撃を緩和する性能に優れ、特に車両用のガラスとして使用した場合において、対人事故が発生して頭部が衝突したときの衝撃緩和性能に優れる合わせガラス及び合わせガラス用中間膜に関する。
近年、先進国では車対歩行者の衝突時における車の歩行者保護性能の評価システムが開発研究されている。車との衝突時に歩行者が致命傷を負う部位のうち最も多いのが頭部である。このため、頭部の衝撃保護評価を行うための頭部衝撃テスト法についても、国際規格(ISO/SC10/WG2)やEU規格(EEVC/WG10、ECE−Regulation No.43 Annex3)が定められている。
例えば、ヨーロピアン・エンハンスド・ビークル−セーフティ・コミッティー(European Enhanced Vehicle−safety Committee;EEVC/WG17)は、歩行者保護試験の1つとして頭部保護試験を提案しており、この頭部保護試験に準拠した方法により求められた頭部衝撃指数(Head Injury Criteria;HIC値)が1000を超えないことが車の安全性についての性能基準として提案されている。なお、HIC値が1000とは重傷を負う閾値であり、HIC値が1000を超えると通常の人間の生存確率は低くなると言われている。
近年の車両のフロントノーズは短くなる傾向にあり、最近の事故では大人歩行者の頭部が車両と衝突する位置はボンネットに加えてフロントガラスも多い。
しかし、EEVC/WG17の頭部保護試験は、試験範囲を乗用車のボンネット上のみと規定しているため、現在進められている国際研究調和活動(IHRA)では、大人頭部保護試験の範囲に前面窓ガラスも含めることを検討している。
現在、自動車のような車輌、航空機、建築物等用のガラスとしては、外部衝撃を受けて破損しても、ガラスの破片が飛散することが少なく安全であるため、合わせガラスが広く用いられている。このような合わせガラスとしては、少なくとも一対のガラス板間に、可塑剤により可塑化されたポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール樹脂からなる合わせガラス用中間膜を介在させ、一体化させて得られるもの等が挙げられる。
しかし、従来の合わせガラスの多くは、HIC値が1000を超えるものであった。特に、自動車のフロントガラスでは、固定されている外周部付近において特にHIC値が高く、場合によっては2000を超えることもあった。このようなフロントガラスの外周部付近は、事故発生時に大人歩行者の頭部が衝突する確率の高い箇所であり、歩行者が車両と衝突した際の頭部障害を回避するために、よりHIC値の低い合わせガラスが求められていた。
本発明は、上記現状に鑑み、外部から加えられた衝撃を緩和する性能に優れ、特に車両用のガラスとして使用した場合において、対人事故が発生して頭部が衝突したときの衝撃緩和性能に優れる合わせガラス及び合わせガラス用中間膜を提供することを目的とする。
本発明は、多層構造であり、かつ、2枚のガラスの間に挟着して合わせガラスとして頭部衝撃指数(Head InjuryCriteria;HIC)値を測定したときに、10mm以上の長さの裂けが発生する合わせガラス用中間膜である。
以下に本発明を詳述する。
本発明の合わせガラスは、EEVC/WG17の規定に準拠して測定したHIC値(EEVC)が1000以下である。1000を超えると、本発明の合わせガラスを車両用のガラスとして使用した場合に、歩行者が車両と衝突した際の頭部障害を回避することができず、生存確率が低くなる。好ましくは600以下、より好ましくは300以下である。
なお、本発明の合わせガラスにおいて、HIC値(EEVC)は、大きさが600mm×600mmの合わせガラスを開口部が500mm×500mmの枠に固定したときに、その中央部に11.1m/sの速度でインパクタヘッドを衝突させることにより測定される。
図1は、本発明の合わせガラスのHIC値(EEVC)を測定する際に使用するHIC値測定装置の一例を模式的に示す分解斜視図である。
図1に示すように、HIC値測定装置10は、主に、上端に合わせガラスの外周部分を載置するための鍔部12が形成された箱状の支持部11と、鍔部12と略同形状の固定部13と、人間の頭部を模した形状のインパクタヘッド14とから構成されている。
支持部11の鍔部12と固定部13とには、それぞれ対応する位置に複数の貫通孔(図示せず)が形成されており、鍔部12上にHIC値を測定する合わせガラスを載置し、該合わせガラス上に固定部13を配設した後、貫通孔にネジ等の固定部材を螺合することで、合わせガラスをその外周部分で保持固定できるようになっている。
すなわち、図1に示したHIC値測定装置では、鍔部12及び固定部13の内周部分の大きさが500mm×500mmとなっている。
インパクタヘッド14は、金属製のコアに半球状の樹脂製ヘッドスキンが取り付けられており、上記コア内部の中心には、3軸方向の加速度を測定する加速度センサが備えられている。
このようなインパクタヘッド14は、上記のように保持固定させた合わせガラスの上方に配置されており、合わせガラスの表面に上述の条件で衝突させた際の衝撃を上記加速度センサが感知して合わせガラスのHIC値を測定する。
HIC値(EECV)は、上記のように配設した後、EEVC/WG17の規定に準拠して、下記式(1)により算出することができる。
Figure 2008266138
式(1)中、arは、インパクタヘッドの合成加速度(G)を表し、aIは、インパクタヘッドの進行方向の加速度(G)を表し、aFは、インパクタヘッドの前後方向の加速度(G)を表し、aSは、インパクタヘッドの横方向の加速度(G)を表し、t2−t1は、HIC値が最大になる時間間隔(最大0.015s)を表す。
本発明の合わせガラスは、ECE−Regulation No.43 Annex3の規定に準拠して、合わせガラス表面より4mの高さからインパクタヘッドを落下させて測定したHIC値(ECE)が300以下である。HIC値(ECE)が300以下であることにより、フロントガラスが固定されている周辺部においても、HIC値を低くすることが可能となり、歩行者が車両と衝突した際の頭部障害を回避することができ、生存確率がより高くなる。好ましくは250以下である。
なお、本発明の合わせガラスにおいて、HIC値(ECE)は、大きさが1100mm×500mmの合わせガラスを開口部が1070mm×470mmの枠に固定したときに、その中央部に落下高さ4mでインパクタヘッドを衝突させることにより測定される。このときのインパクタヘッドの衝突速度は8.9m/sである。
図2は、本発明の合わせガラスのHIC値(ECE)を測定する際に使用するHIC値測定装置の一例を模式的に示す図である。
図2に示すように、HIC値測定装置は、上述のHIC値(EECV)と同様の構造を有する合わせガラス支持台21と、人間の頭部を模した形状のインパクタヘッド22、及びインパクタヘッドを垂直に落下させるガイドシステム23とから構成されている。
インパクタヘッドの構成は、ECE−Regulation43 Annex3の規定に詳述されているが、例えば、木製構成体の上下に金属製のプレートが組みつけられ、ポリアミド樹脂製の半球体を図のように組みつけて洋ナシ型に組み立てたものであり、ベースプレート上に3軸方向の加速度を測定する加速度センサが備えられ、一番下のポリアミド樹脂製の半球体にはゴム製ヘッドスキンが取り付けられている。インパクタヘッドの重量は10kgである。
ガイドシステム23は、インパクタヘッド22を担持/切り離しする機構を備えており、所定の高さ(本発明においては4m)からインパクタヘッド22を担持した状態で落下させる。このときの落下の状態を光センサ24で観察し、光センサの位置をインパクタヘッド22が通過した時点で、これを切り離す。ガイドシステム23から切り離されたインパクタヘッドは、自由落下して合わせガラス支持体21に固定された合わせガラスの中央部に衝突する。このときの衝撃を上記加速度センサが感知して合わせガラスのHIC値(ECE)を測定する。
HIC値(ECE)は、HIC値(EECV)と同様に、上記式(1)により算出できる。
HIC値(EEVC)と、HIC値(ECE)とは、いずれもヨーロッパの公的機関により定められた規格である。HIC値(EEVC)とHIC値(ECE)とは、その測定方法や基準が異なっており、直接比較することは困難であるが、一般的には、HIC値(EEVC)が1000以下であることとよりも、HIC値(ECE)が300以下であることのほうが厳しい基準であるといえる。従って、HIC値(EEVC)1000以下を達成できる合わせガラスであっても、HIC値(ECE)300以下を達成できない場合がある。本発明の合わせガラスとしては、HIC値(EEVC)が1000以下であるもの、HIC値(ECE)が300以下であるもののいずれもが含まれるが、HIC値(ECE) が300以下であることが好ましい。
このような低HIC値を達成できる合わせガラスとしては特に限定されないが、(1)合わせガラス用中間膜により衝撃を吸収するもの、(2)ガラス部分を薄くし、衝突時に容易にガラスが変形及び/又は割れることで衝撃を吸収するもの、(3)合わせガラスの一方の側(車両用ガラスとして用いたときに内側となる側)をガラスの代わりに樹脂板とすることにより合わせガラス全体の衝撃吸収性を向上させたもの等が挙げられる。
以下にそれぞれの場合について詳述する。
まず、(1)合わせガラス用中間膜により衝撃を吸収する場合について説明する。
この場合に用いられる合わせガラス用中間膜としては特に限定されないが、ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して中間膜用可塑剤が30重量部以上含有されているものが好適に用いられる。このような大量の中間膜用可塑剤が配合された合わせガラス用中間膜を用いることにより、合わせガラスのHIC値を低下させることができる。中間膜用可塑剤の配合量としては40重量部以上であることがより好ましく、45重量部以上であることが更に好ましく、60重量部以上であることが特に好ましい。
上記合わせガラス用中間膜が、2層以上の多層構造となる場合には、少なくとも1層に上記構成の樹脂層を有することにより、HIC値の低下が可能となる。
上記ポリビニルアセタール樹脂としては特に限定されないが、アセタール化度が60〜85mol%のものが好適である。より好ましくは65〜80mol%である。
なお、本明細書において、「アセタール化度」とは、ポリビニルアセタール樹脂のアセタール基が原料となるポリアルコール樹脂の2つの水酸基をアセタール化して形成されていることから、アセタール化された2つの水酸基を数える方法により算出したものをいう。
上記ポリビニルアセタール樹脂としては、赤外吸収スペクトルを測定したときの水酸基のピークの半値幅が250cm−1以下であるポリビニルアセタール樹脂が好適である。より好ましくは200cm−1以下である。
なお、上記合わせガラス用中間膜の赤外吸収スペクトルの測定方法としては、例えば、HORIBA社製「FT−IR」を用いて、赤外吸収スペクトルを求め、得られたピークのうち水酸基に対応するピークから測定することができる。
上記ポリビニルアセタール樹脂を製造する方法としては、例えば、ポリビニルアルコールを温水に溶解し、得られたポリビニルアルコール水溶液を0〜90℃、好ましくは10〜20℃に保持しておいて、酸触媒とアルデヒドとを加え、攪拌しながらアセタール化反応を進行させ、反応温度を70℃に上げて熟成し反応を完結させ、その後、中和、水洗及び乾燥を行ってポリビニルアセタール樹脂の粉末を得る方法等が挙げられる。
上記アルデヒドとしては特に限定されず、例えば、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、n−ヘプチルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、n−デシルアルデヒド、ベンズアルデヒド、シンナムアルデヒド等の脂肪族、芳香族、脂環族アルデヒド等が挙げられる。好ましくは、炭素数4〜8のn−ブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、n−オクチルアルデヒドである。炭素数4のn−ブチルアルデヒドは、得られるポリビニルアセタール樹脂の使用により、耐候性に優れ、しかも樹脂の製造も容易となるので、より好ましい。これらは、単独で使用されてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ポリビニルアセタール樹脂は、架橋されたものであってもよい。架橋されたポリビニルアセタール樹脂を用いることにより、中間膜用可塑剤のブリードアウトを抑制することができる。
上記ポリビニルアセタール樹脂を架橋する方法としては、例えば、ポリビニルアルコールをブチルアルデヒド等のアルデヒドによりアセタール化する際に、グルタルアルデヒドのようなジアルデヒドを用いて、分子間をジアセタール結合により軽度に架橋させる方法;ポリビニルアルコールのアセタール化反応において目的のアセタール化度の少なくとも90%に達した後、これに酸触媒を追加して60〜95℃で反応させることにより、ポリビニルアセタール分子間をモノブチラール結合によって架橋する方法;得られたポリビニルアセタール樹脂に残存する水酸基と反応する架橋剤を添加し、水酸基を架橋する方法;ジイソシアネート、多価エポキシによりポリビニルアセタール樹脂に残存する水酸基を架橋する方法等が挙げられる。
上記水酸基と反応する架橋剤としては、例えば、グリオキサザール、硫黄原子を分子鎖中に含むジアルデヒド、グリオキサザール−エチレングリコール反応物、両末端がアルデヒドで変性されたポリビニルアルコール、ジアルデヒドデンプン、ポリアクロレイン等のジアルデヒド類、N−メチロール尿素、N−メチロールメラミン、トリメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン等のメチロール類、α−ヒドロキシエチルスルホン酸、エピクロルヒドリン、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル化されたビスフェノールA型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル化されたグリセリン、分子鎖中に3つ以上のグリシジルエーテル基を有するポリエチレングリコール、トリメチロールプロパンのポリグリシジルエーテル変性物、ソルビトールのポリグリシジルエーテル変性物、ソルビタンのポリグリシジルエーテル変性物、ポリグリセロールのポリグリシジルエーテル変性物等のエポキシ類、ジカルボン酸、トリエチレングリコールとアクリル酸メチルとのマイケル付加物、ポリアクリル酸、メチルビニルエーテル−マレイン酸共重合体とイソブチレンー無水マレイン酸共重合体との混合物等の多価カルボン酸、トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、4,4’−ジッシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、ポリフェノール、アセチルアセトン、マロン酸ジエチルエステル、ラクタム、オキシム、アミド、3級アルコール等でブロックされたポリイソシアネート等が挙げられる。
上記合わせガラス用中間膜が架橋されたポリビニルアセタール樹脂からなる場合には、上記合わせガラス用中間膜は、厚さが800μm以上であることが好ましい。800μm未満であると、充分な低HIC値を得られないことがある。
上記中間膜用可塑剤としては、通常ポリビニルアセタール樹脂に使用されるものであれば特に限定されず、中間膜用の可塑剤として一般的に用いられている公知の可塑剤を用いることができる。このような中間膜用可塑剤としては、例えば、一塩基酸エステル、多塩基酸エステル等の有機エステル系可塑剤;有機リン酸系、有機亜リン酸系等のリン酸系可塑剤等が挙げられる。これらの可塑剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよく、樹脂との相溶性等を考慮して、ポリビニルアセタール樹脂の種類に応じて使い分けられる。
上記一塩基酸エステル系可塑剤としては特に限定されず、例えば、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール又はトリプロピレングリコール等のグリコールと、酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、2−エチル酪酸、ヘプチル酸、n−オクチル酸、2−エチルヘキシル酸、ペラルゴン酸(n−ノニル酸)又はデシル酸等の有機酸との反応によって得られるグリコール系エステルが挙げられる。なかでも、トリエチレングリコール−ジカプロン酸エステル、トリエチレングリコール−ジ−2−エチル酪酸エステル、トリエチレングリコール−ジ−n−オクチル酸エステル、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキシル酸エステル等のトリエチレングリコールの一塩基性有機酸エステルが好適に用いられる。
上記多塩基酸エステル系可塑剤としては特に限定されず、例えば、アジピン酸、セバシン酸又はアゼライン酸等の多塩基性有機酸と、炭素数4〜8の直鎖状又は分枝状アルコールとのエステル等が挙げられる。なかでも、ジブチルセバシン酸エステル、ジオクチルアゼライン酸エステル、ジブチルカルビトールアジピン酸エステル等が好適に用いられる。
上記有機エステル系可塑剤としては特に限定されないが、例えば、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキソエート、トリエチレングリコールジカプリレート、トリエチレングリコールジ−n−オクトエート、トリエチレングリコールジ−n−ヘプトエート、テトラエチレングリコールジ−n−ヘプトエート、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルカルビトールアジペート等が好適に用いられる。
その他、例えば、エチレングリコールジ−2−エチルブチレート、1,3−プロピレングリコールジ−2−エチルブチレート、1,4−プロピレングリコールジ−2−エチルブチレート、1,4−ブチレングリコールジ2−エチルブチレート、1,2−ブチレングリコールジ−2−エチレンブチレート、ジエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジ−2−エチルヘキソエート、ジプロピレングリコールジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコールジ−2−エチルペントエート、テトラエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジカプリエート等も上記可塑剤として用いることができる。
上記リン酸系可塑剤としては特に限定されないが、例えば、トリブトキシエチルホスフェート、イソデシルフェニルホスフェート、トリイソプロピルホスファイト等が好適である。
これらの中間膜用可塑剤のなかでも、ジカルボン酸と1価アルコールとからなるか、又は、モノカルボン酸と2価アルコールとからなるジエステル系化合物が特に好適に用いられる。
また、上記合わせガラス用中間膜としては、ゴム粒子が分散されているものも好適である。このようなゴム粒子を分散させた場合にも、合わせガラス用中間膜に力が加わった際に衝撃を吸収することができる。
上記ゴム粒子としては特に限定されないが、例えば、周りの樹脂と屈折率が近く得られる合わせガラス用中間膜の可視光線透過率等を悪化させにくいことから、ポリビニルアセタール架橋体等が好適である。また、上記ゴム粒子の粒径としては特に限定されないが、1.0μm以下であることが好ましく、上記ゴム粒子の配合量としては特に限定されず、ポリビニルアセタール樹脂等の樹脂100重量部に対して好ましい下限は0.01重量部、好ましい上限は10重量部である。
上記合わせガラス用中間膜としては、温度20℃、5.0×10〜1.0×10Hzの周波数領域で、せん断法により周波数を変えながら測定した線形動的粘弾性試験における貯蔵弾性率G’が3×10Pa以下であるもの;温度20℃、5.0×10〜1.0×10Hzの周波数領域で少なくとも1点のtanδが0.6以上であるもの;温度20℃、引張り速度500%/分での応力−歪み曲線から求められた最大応力σが20MPa以下であり、かつ、破断点歪みεが200%以上であるものが好適である。
上記貯蔵弾性率G’は合わせガラス用中間膜の軟らかさを表す値である。充分に軟らかい合わせガラス用中間膜を用いることにより、得られる合わせガラスはHIC値の低いものとなる。貯蔵弾性率G’が3.0×10Paを超えると、得られる合わせガラスのHIC値(EEVC)が1000を超えたり、HIC値(ECE)が300を超えたりすることがある。より好ましくは1.0×10Pa以下、更に好ましくは5.0×10Pa以下である。
また、上記合わせガラス用中間膜は、温度20℃、5.0×10〜1.0×10Hzの周波数領域で、引張法により周波数を変えながら測定した粘弾性試験における貯蔵弾性率E’が1.0×10Pa以下であることが好ましい。上記貯蔵弾性率E’も合わせガラス用中間膜の軟らかさを表す値である。充分に軟らかい合わせガラス用中間膜を用いることにより、得られる合わせガラスはHIC値の低いものとなる。貯蔵弾性率E’が1.0×10Paを超えると、得られる合わせガラスのHIC値(EEVC)が1000を超えたり、HIC値(ECE)が300を超えたりすることがある。より好ましくは0.5×10Pa以下、更に好ましくは5.0×10Pa以下である。
上記tanδは、せん断法により周波数を変えながら測定した貯蔵弾性率G’と損失弾性率G”との比(G”/G’)であり、合わせガラス用中間膜の動的粘弾性、ひいては衝撃エネルギー吸収性を示す値である。充分に衝撃エネルギー吸収性の高い合わせガラス用中間膜を用いることにより、得られる合わせガラスはHIC値の低いものとなる。0.6未満であると、得られる合わせガラスのHIC値(EEVC)が1000を超えたり、HIC値(ECE)が300を超えたりすることがある。より好ましくは0.7以上である。
なお、上記貯蔵弾性率G’、貯蔵弾性率E’及びtanδの測定周波数は5.0×10〜1.0×10Hzの範囲であるが、これは10〜20msecの変形に相当し、HIC値測定の最大時間間隔15msecを含む領域の測定結果である。HIC値の測定においては10msec未満の短い時間間隔の変形が測定値に対して支配的になることも有り得るが、1.0×10〜3.0×10Hz(3.3〜10msec相当)程度までは5.0×10〜1.0×10Hzの測定値から容易に類推が可能である。従って、5.0×10〜1.0×10Hzの周波数範囲の貯蔵弾性率G’、貯蔵弾性率E’及びtanδの測定値が上記条件を満たすことにより、HIC値を充分に低減できると考えられる。
上記最大応力σ及び破断点歪みεが上述の範囲にある場合には、合わせガラス用中間膜は、衝突時に15msec以内に伸びることにより衝撃のエネルギーを吸収することができ、このような合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスはHIC値が低いものとなる。上記最大応力σは、18MPa以下であることがより好ましく、16MPa以下であることが更に好ましい。上記破断点歪みεは、300%以上であることがより好ましく、400%以上であることが更に好ましい。
なお、上記合わせガラス用中間膜の応力−歪み曲線は、例えば、JIS K 6771に準拠して、引張試験機を用いて、合わせガラス用中間膜の試験片をダンベル1号で、温度20℃、引っ張り速度500%/分で引っ張って抵抗力(kg/cm)を測定することで描くことができる。また、上記最大応力σは、上記抵抗力の最大値であり、破断点歪みεは、上記試験片が破断したときの歪みの値である。
このようにして求められる最大応力σ及び破断点歪みεが上記条件を満たす場合、上記合わせガラス用中間膜の破断エネルギーUは、1.0J/mm以上であることが好ましい。なお、破断エネルギーUは、上記条件での引っ張り試験における合わせガラス用中間膜の応力σと歪みεとから下記式(2)により算出することができる。
U=∫σdε (2)
上記合わせガラス用中間膜としては、上述のポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して中間膜用可塑剤が30重量部以上含有されている樹脂組成物からなる層のみからなるものであってもよいが、このような層を含む多層構造であることが好ましい。
合わせガラス用中間膜がポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して中間膜用可塑剤が30重量部以上含有されている樹脂組成物からなる層のみからなる場合、HIC値を低くすることはできるものの、耐貫通性等の車両用ガラスとして要求される基本的な諸性能が劣ることがある。例えば、本発明の合わせガラスは、落球高さ測定試験により測定された落球高さが4m以上であることが好ましい。4m未満であると、合わせガラス全体としての耐貫通性等が不充分となり、車両用ガラスとしては用いることができないことがある。より好ましくは5m以上であり、更に好ましくは7m以上である。
多層構造とすることにより、ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して中間膜用可塑剤が30重量部以上含有されている樹脂組成物からなる層によりHIC値を低下させると同時に、他の層により耐貫通性等の性能を付加して、異なる機能を両立させることができる。
多層構造を有する合わせガラス用中間膜としては特に限定されないが、以下により好ましい構成を詳述する。
合わせガラス用中間膜が2層構造である場合には、一方の層の温度20℃、周波数5.0×10〜1.0×10Hzにおける貯蔵弾性率G’が、他方の層の温度20℃、周波数5.0×10〜1.0×10Hzにおける貯蔵弾性率G’の1/2以下であることが好ましい。このとき一方の層の温度20℃、周波数5.0×10〜1.0×10Hzにおける貯蔵弾性率G’が2×10Pa以下であり、他方の層の温度20℃、周波数5.0×10〜1.0×10Hzにおける貯蔵弾性率G’が1×10Pa以上であることがより好ましく、上記温度20℃、周波数5.0×10〜1.0×10Hzにおける貯蔵弾性率G’が2×10Pa以下である層が、温度20℃、周波数5.0×10〜1.0×10Hzにおけるtanδが0.7以上であることが更に好ましい。
また、このような合わせガラス用中間膜において、上記貯蔵弾性率G’が2×10Pa以下である層の厚さは、合わせガラス用中間膜全体厚さの10%以上であることが好ましい。10%未満であると、低HIC値を実現できないことがある。より好ましくは14%以上、更に好ましくは20%以上である。
このような2層構造を有する合わせガラス用中間膜を用いれば、低HIC値と耐貫通性能とを両立することができる。
合わせガラス用中間膜が3層構造である場合には、中間層の温度20℃、周波数5.0×10〜1.0×10Hzにおける貯蔵弾性率G’が、最外層を構成する2層の一方又はいずれもの温度20℃、周波数5.0×10〜1.0×10Hzにおける貯蔵弾性率G’の1/2以下であることが好ましい。このとき、中間層の温度20℃、周波数5.0×10〜1.0×10Hzにおける貯蔵弾性率G’が2×10Pa以下であり、最外層を構成する2層の一方又はいずれもの温度20℃、周波数5.0×10〜1.0×10Hzにおける貯蔵弾性率G’が1×10Pa以上であることがより好ましく、中間層が、温度20℃、周波数5.0×10〜1.0×10Hzにおけるtanδが0.7以上であることが更に好ましい。
なお、上記中間層の貯蔵弾性率G’は、最外層を構成する2層の一方の貯蔵弾性率G’の1/2以下であればよいが、最外層を構成する2層のいずれもの貯蔵弾性率G’の1/2以下であることがより好ましい。
また、このような合わせガラス用中間膜において、上記中間層の厚さは、合わせガラス用中間膜全体厚さの10%以上であることが好ましい。10%未満であると、低HIC値を実現できないことがある。より好ましくは14%以上、更に好ましくは20%以上である。
このような3層構造を有する合わせガラス用中間膜を用いれば、低HIC値と耐貫通性能とを両立でき、更に合わせガラス用中間膜同士の耐ブロッキング性等の性能を発現することができる。
合わせガラス用中間膜が4層以上の多層構造である場合には、中間層のうちの少なくとも1層の温度20℃、周波数5.0×10〜1.0×10Hzにおける貯蔵弾性率G’が、最外層を構成する2層の一方又はいずれもの温度20℃、周波数5.0×10〜1.0×10Hzにおける貯蔵弾性率G’の1/2以下であることが好ましい。このとき、上記中間層の温度20℃、周波数5.0×10〜1.0×10Hzにおける貯蔵弾性率G’が2×10Pa以下であり、最外層を構成する2層の一方又はいずれもの温度20℃、周波数5.0×10〜1.0×10Hzにおける貯蔵弾性率G’が1×10Pa以上であることがより好ましく、上記貯蔵弾性率G’が2×10Pa以下である中間層の温度20℃、周波数5.0×10〜1.0×10Hzにおけるtanδが0.7以上であることが更に好ましい。
なお、上記中間層のうちの少なくとも1層の貯蔵弾性率G’は、最外層を構成する2層の一方の貯蔵弾性率G’の1/2以下であればよいが、最外層を構成する2層のいずれもの貯蔵弾性率G’の1/2以下であることがより好ましい。
また、このような合わせガラス用中間膜において、上記貯蔵弾性率G’が2×10Pa以下である中間層の厚さは、合わせガラス用中間膜全体厚さの10%以上であることが好ましい。10%未満であると、低HIC値を実現できないことがある。より好ましくは14%以上、更に好ましくは20%以上である。
上記合わせガラス用中間膜が3層及び4層以上の多層構造である場合において、貯蔵弾性率G’が2×10Pa以下である中間層は、合わせガラス用中間膜の厚さ方向に対して、いずれかの表層側に偏在していることが好ましい。このような合わせガラス用中間膜の貯蔵弾性率G’が2×10Pa以下である中間層が偏在した側が車外側になるように車両等に取り付ければ、この方向においてはより低いHIC値とすることができる。
このように貯蔵弾性率G’が2×10Pa以下である中間層をいずれかの表層側に偏在させる方法としては、例えば、一方の最外層の厚さを、他方の最外層の厚さの1.2倍以上、より好ましくは1.5倍以上、更に好ましくは2倍以上にする方法等が挙げられる。
このような3層及び4層以上の多層構造を有する合わせガラス用中間膜を用いれば、低HIC値と耐貫通性能とを両立することができる。
また、合わせガラス用中間膜が3層構造である場合には、最外層を構成する2層の一方又はいずれもの温度20℃、周波数5.0×10〜1.0×10Hzにおける貯蔵弾性率G’が、中間層の温度20℃、周波数5.0×10〜1.0×10Hzにおける貯蔵弾性率G’の1/2以下であることが好ましい。
このとき、最外層を構成する2層の一方又はいずれもの温度20℃、周波数5.0×10〜1.0×10Hzにおける貯蔵弾性率G’が2×10Pa以下であり、中間層の温度20℃、周波数5.0×10〜1.0×10Hzにおける貯蔵弾性率G’が1×10Pa以上であることが好ましく、最外層を構成する2層の一方又はいずれもの温度20℃、周波数5.0×10〜1.0×10Hzにおけるtanδが0.7以上であることが更に好ましい。
なお、上記最外層を構成する2層の一方の貯蔵弾性率G’が、中間層の貯蔵弾性率G’の1/2以下であればよいが、最外層を構成する2層のいずれもの貯蔵弾性率G’が中間層の貯蔵弾性率G’の1/2以下であることがより好ましい。
このような合わせガラス用中間膜において、上記最外層の厚さの合計値は、合わせガラス用中間膜全体厚さの10%以上であるこがこのましい。10%未満であると、低HIC値を実現できないことがある。より好ましくは14%以上、更に好ましくは20%以上である。
このような3層構造を有する合わせガラス用中間膜を用いれば、低HIC値と耐貫通性能とを両立できる。
また、合わせガラス用中間膜が4層以上の多層構造である場合には、最外層を構成する2層の一方又はいずれもの温度20℃、周波数5.0×10〜1.0×10Hzにおける貯蔵弾性率G’が、中間層を構成する層のうち少なくとも1層の温度20℃、周波数5.0×10〜1.0×10Hzにおける貯蔵弾性率G’の1/2以下であることが好ましい。このとき、最外層の温度20℃、周波数5.0×10〜1.0×10Hzにおける貯蔵弾性率G’が2×10Pa以下であり、中間層の温度20℃、周波数5.0×10〜1.0×10Hzにおける貯蔵弾性率G’が1×10Pa以上であることがより好ましく、最外層は、温度20℃、周波数5.0×10〜1.0×10Hzにおけるtanδが0.7以上であることが更に好ましい。
なお、上記最外層を構成する2層の一方の貯蔵弾性率G’が、中間層を構成する層のうち少なくとも1層の貯蔵弾性率G’の1/2以下であればよいが、最外層を構成する2層のいずれもの貯蔵弾性率G’が中間層の貯蔵弾性率G’の1/2以下であることがより好ましい。
また、このような合わせガラス用中間膜において、最外層の厚さの合計値は、合わせガラス用中間膜全体厚さの10%以上であることが好ましい。10%未満であると、低HIC値を実現できないことがある。より好ましくは14%以上、更に好ましくは20%以上である。
上記合わせガラス用中間膜が3層及び4層以上の多層構造である場合において、貯蔵弾性率G’が1×10Pa以上である中間層は、合わせガラス用中間膜の厚さ方向に対して、いずれかの表層側に偏在していることが好ましい。このような合わせガラス用中間膜の貯蔵弾性率G’が1×10Pa以上である中間層が偏在した側が車内側になるように車両等に取り付ければ、この方向においてはより低いHIC値とすることができる。
このように貯蔵弾性率G’が1×10Pa以上である中間層をいずれかの表層側に偏在させる方法としては、例えば、一方の最外層の厚さを、他方の最外層の厚さの1.2倍以上、より好ましくは1.5倍以上、更に好ましくは2倍以上にする方法等が挙げられる。
このような3層及び4層以上の多層構造を有する合わせガラス用中間膜を用いれば、低HIC値と耐貫通性能とを両立することができる。
上記合わせガラス用中間膜が多層構造を採る場合において、上述の構成を実現するためには、上記多層構造の合わせガラス用中間膜を構成する各樹脂層としては、各樹脂層の接着力が異なるものが好ましく、例えば、各樹脂層が主にポリビニルアセタール樹脂からなる場合、可塑剤の含有量がポリビニルアセタール樹脂100重量部対して5重量部以上異なるもの;ポリエチレンテレフタレートフィルムとポリビニルアセタール樹脂からなる層等の各樹脂層が異なる組成の樹脂からなるもの;各樹脂層に配合された接着力調整剤の配合量が異なるもの;各樹脂層のアセタール化度が異なるもの等の組み合わせが考えられる。
上記接着力調整剤としては特に限定されないが、上記樹脂層に炭素数2〜6のカルボン酸の金属塩を含有させることにより、合わせガラス用中間膜とガラス板との接着力を、好ましい範囲に調整しつつ経時低下を防止することができ、白化防止と接着力の経時低下防止とを両立させることができる。
上記カルボン酸の金属塩としては、例えば、ペンタン酸金属塩(炭素数5)、ヘキサン酸(2−エチルブタン酸)金属塩(炭素数6)、ヘプタン酸金属塩(炭素数7)、オクタン酸金属塩(炭素数8)等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。また、上記カルボン酸は、直鎖タイプであってもよく側鎖タイプであってもよい。
上記合わせガラス用中間膜の厚さとしては特に限定されないが、好ましい下限は300μm、好ましい上限は3mmである。より好ましい下限は500μmであり、より好ましい上限は2mmである。
上記合わせガラス用中間膜は、ガラスと接する層の表面にエンボス加工等を施してもよい。エンボス加工を施すことにより、合わせガラス用中間膜とガラス板との接着力を好ましい範囲に調整することができる。
上記合わせガラス用中間膜は、上記HIC値(EEVC)又はHIC(ECE)を測定したときに、10mm以上の長さの裂けが発生するものであることが好ましい。裂けの発生には伸び以上のエネルギーが必要となるため、裂けることによりインパクタヘッドのエネルギーを吸収させることができ、HIC値を低減することができる。なお、裂けが1本線状ではなく、複数及び分岐して発生する場合には、各裂けの長さの合計が10mm以上であることが好ましい。より好ましい裂けの長さは20mm以上であり、更に好ましくは50mm以上である。
このような合わせガラス用中間膜を得る方法としては特に限定されないが、合わせガラス用中間膜の破断抗張力、破断伸長率、破断エネルギーを適宜調整する他、合わせガラス用中間膜の一部に裂けを発生しやすくする切れ目や、厚みが薄い部分等の脆弱部分を設ける方法等が挙げられる。
上述の合わせガラス用中間膜を用いることにより、低HIC値を実現した合わせガラスを得ることができる。
これらの合わせガラス用中間膜もまた、本発明の1つである。
次に、(2)ガラス部分を薄くし、衝突時に容易にガラスが割れることで衝撃を吸収する場合について説明する。この場合、少なくとも一方のガラス板の厚さを1.8mm以下にしたものが好ましく用いられる。このような合わせガラスは、衝突時に容易にガラスが変形及び/又は割れることで衝撃を吸収することができる。なお、合わせガラスのHIC値は衝突時の変形と強い関係を有しており、合わせガラスのHIC値は、衝突時の変形量が増加する程減少する。すなわち、合わせガラスの変形が大きい程、HIC値が下がることとなる。また、もう一方のガラス板の厚みを1.8mmより厚くすることにより、合わせガラスとしての耐久性とHIC値を両立することが可能となる。
なお、このような厚さの異なるガラス板を用いた構造の合わせガラスを車両用のガラスとして使用する場合には、厚さの厚い方を車外側、車内側のいずれに用いてもよいが、合わせガラスとしての耐久性を高めるために厚さの厚い方を車外側とすることが好ましい。
次に、(3)合わせガラスの一方の側(車両用ガラスとして用いたときに内側となる側)をガラスの代わりに樹脂板とすることにより合わせガラス全体の衝撃吸収性を向上させる場合について説明する。このような合わせガラスとしては、例えば、合わせガラス用中間膜がガラス板と透明樹脂板との間に挟着されているものが好ましい。また、合わせガラスとした時にヘイズが2.0%以下、落球高さが4m以上であることが好ましい。このような合わせガラスは、両面がガラス板からなるものに比べて衝撃吸収性能が充分に高く、HIC値(EEVC)が1000以下、HIC値(ECE)が300以下とすることができる。
上記透明樹脂板としては特に限定されないが、例えば、可視光線透過率、ヘイズ等に優れることから、ポリカーボネート、アクリル樹脂、アクリル共重合性樹脂又はポリエステル樹脂からなるものが好ましく、また落球高さが4m以上になるような厚さを有することが好ましい。
また、上記透明樹脂板は一般に傷が付きやすいことから、車両用ガラスとして用いるためには、透明エラストマー等により被覆されていることが好ましい。
上記透明エラストマーとしては特に限定されず、例えば、ウレタン系エラストマー、ナイロン系エラストマー、直鎖低密度ポリエチレン等が挙げられる。
本発明の合わせガラスにおいて、合わせガラス用中間膜の製造方法としては特に限定されず、例えば、上述したポリビニルアセタール樹脂等の樹脂成分、可塑剤及び必要に応じて他の添加剤を配合し、均一に混練りした後、押出し法、カレンダー法、プレス法、キャスティング法、インフレーション法等従来公知の方法によりシート状に製膜する方法等が挙げられる。
また、多層構造の合わせガラス用中間膜の製造方法としては特に限定されず、例えば、上述したポリビニルアセタール樹脂等の樹脂成分、可塑剤及び必要に応じて他の添加剤を配合し、均一に混練りした後、各層を一括で押出し成型する方法、上述の方法により作成した2つ以上の樹脂膜をプレス法、ラミネート法等により積層する方法が挙げられる。プレス法、ラミネート法等により積層する方法に用いる積層前の樹脂膜は単層構造でも多層構造でもよい。
また、本発明の合わせガラスを製造する方法としては特に限定されず、従来公知の合わせガラスの製造方法を採用することができる。例えば、本発明の合わせガラスが、2枚のガラス板の間に合わせガラス用中間膜が挟着された構造である場合、上記合わせガラス用中間膜を2枚のガラス板の間に挟み、これをゴムバッグに入れ、減圧吸引しながら約70〜110℃で予備接着し、次いで、オートクレーブを用いるか、又は、プレスを行い、約120〜150℃の温度、約10〜15kg/cmの圧力で本接着を行うことで製造することができる。
また、上記合わせガラスの製造方法において、少なくとも一対のガラス板間に、可塑化されたポリビニルブチラール樹脂からなる合わせガラス用中間膜を介在させ、減圧下で吸引脱気すると同時に、温度60〜100℃で加熱圧着してもよい。より具体的には、ガラス板/中間膜/ガラス板の積層体をゴムバッグに入れ、例えばオートクレーブ中で、−500〜−700mmHg程度の減圧下で吸引脱気しながら約60〜100℃の温度及び1〜10kg/cm程度の圧力で10〜30分間程度加熱圧着し、脱気と接着とを同時に行うことにより実施される。
この製造方法においては、上述のように、加熱圧着する時の温度を60〜100℃の範囲に限定し、圧着圧力、圧着時間及び吸引脱気する時の減圧度等の諸条件を上記程度の範囲内で適宜設定することにより、合わせガラス用中間膜とガラス板との接着力を所望の適性範囲内に収まるように調整することができる。
本発明の合わせガラスは、HIC値(EEVC)が1000以下又はHIC値(ECE)が300以下であることから、外部から加えられた衝撃を緩和する性能に優れ、特に車両用のガラスとして使用した場合において、対人事故が発生して頭部が衝突したときの衝撃緩和性能に優れたものとなる。
本発明の合わせガラスを車両用ガラスとして使用し、窓枠に固定した場合には、特に窓枠や下端部に近い部分においてHIC値が高い傾向にある。また、対人事故が発生した場合、歩行者等の頭部が衝突する箇所は、車両用ガラス(特にフロントガラス)の下端部分の確率が高い。従って、特に窓枠や下端部に近い部分のHIC値が低くなるように調整してもよい。即ち、合わせガラス用中間膜が一方の端から他方の端に向かって順次厚くなっている楔形状であるものや、周辺部の厚さが中央部よりも厚くなっている形状である合わせガラスを用いを用いれば、特に窓枠や下端部に近い部分のHIC値が低くなるようにすることが可能である。
このような合わせガラスにおいては、1層のみからなる楔形状の合わせガラス用中間膜を用いてもよいが、例えば、3層以上の多層構造であって、各々の層が楔形状であり、貯蔵弾性率G’が小さい楔形状の層を中間層として楔形状の層を交互に重ねて、全体の厚が一定となっている合わせガラス用中間膜を用いることが好ましい。このような多層構造の合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスからなるフロントガラスを、貯蔵弾性率G’が小さい中間層の楔形状の基部が下端部にくるようして配置すれば、衝突の恐れが高いフロントガラス下端部のHIC値を低くして、しかも、衝突の危険性の少ない上部は強度を確保できる。
このような構成の合わせガラス用中間膜は、異形押し出し成形できる金型を用い、いずれの層も楔形状になるように多層押し出し成形することにより製造することができる。
また、本発明の合わせガラスは、周波数0.1〜26.5GHzにおける電磁波シールド性能が10dB以下、ヘイズが1.0%以下、可視光透過率が70%以上、かつ、300nm〜2100nmの波長領域での日射透過率が可視光透過率の85%以下であることが好ましい。また、300nm〜2100nmの波長領域での日射透過率が可視光透過率の80%以下であることが好ましい。このような条件を満たす本発明の合わせガラスは、低HIC値による歩行者保護性能を満たすと同時に、太陽光からの熱線の車内への到達量を減少させることが可能となり、自動車車内の温度上昇を抑え快適な車内空間を実現することができる。また、0.1〜26.5GHzの周波数帯域での電磁波透過性を有することにより、アマチュア無線の3.5MHz帯、7MHz帯、緊急通信周波数の10MHz以下の周波数帯、更に、VICS(自動車情報通信システム)の2.5GHz、ETC(有料道路自動料金収受システム)の5.8GHz、衛星放送の12GHz帯といった、情報通信に欠かせない周波数帯における電磁波を問題無く透過させることが出来る。
本発明の合わせガラスにこのような性能を付与するには、合わせガラス用中間膜を構成する、ポリビニルアセタール樹脂が熱線カット機能を有する金属酸化物微粒子を含有していることが好ましい。なお、合わせガラス用中間膜が多層構造である場合には、少なくとも1層のポリビニルアセタール樹脂が熱線カット機能を有する金属酸化物微粒子を含有していればよい。
上記金属酸化物微粒子としては特に限定されないが、例えば、錫ドープ酸化インジウム及び/又はアンチモンドープ酸化錫等が好適である。上記錫ドープ酸化インジウム粒子及び/又はアンチモンドープ酸化錫は、平均2次凝集粒子径が80nm以下であり、2次凝集粒子径100nm以上の粒子が1個/μm以下の密度となるようポリビニルアセタール樹脂中に分散されていることが好ましい。分散状態が上記範囲外であると、得られる合わせガラスの可視光線の透過性が低下したり、ヘイズが大きくなったりすることがある。
上記金属酸化物微粒子の含有量としては、ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して好ましい下限が0.05重量部、好ましい上限が5.0重量部である。0.05重量部未満であると、充分な熱線カット効果が得られないことがあり、5.0重量部を超えると、得られる合わせガラスの可視光線の透過性が低下したり、ヘイズが大きくなったりすることがある。
なお、合わせガラス用中間膜が多層構造である場合には、全ての層のポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して好ましい下限が0.05重量部、好ましい上限が5.0重量部である。
本発明によれば、外部から加えられた衝撃を緩和する性能に優れ、特に車両用のガラスとして使用した場合において、対人事故が発生して頭部が衝突したときの衝撃緩和性能に優れる合わせガラス及び合わせガラス用中間膜を提供できる。
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
(参考例1)
合わせガラス用中間膜の製造
赤外吸収スペクトルを測定したときに得られる水酸基に対応するピークの半値幅が245cm−1であるポリビニルブチラール樹脂(アセタール化度68.0モル%、ビニルアセテート成分の割合0.6モル%)100重量部と、可塑剤としてトリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)38重量部とを混合し、これをミキシングロールで充分に溶融混練した後、プレス成形機で150℃、30分間プレス成形して、厚さ800μmの樹脂膜を得、これを合わせガラス用中間膜とした。
次に、得られた合わせガラス用中間膜を厚さ2mmの透明な2枚のフロートガラスで挟み込み、これをゴムバック内に入れ、2660Paの真空度で20分間脱気した後、脱気したままオーブンに移し、更に90℃で30分間保持しつつ真空プレスした。このようにして予備圧着された合わせガラスをオートクレーブ中で135℃、圧力118N/cmの条件で20分間圧着を行い、合わせガラスを得た。
得られた合わせガラス用中間膜及び合わせガラスについて、以下の方法により評価を行った。
結果を表1に示した。
(HIC値(EEVC)の測定)
図1に示した構造のHIC測定装置を用いて合わせガラスのHIC値(EEVC)を測定した。HIC値が1000以下の場合を合格(〇)と、1000を超える場合を不合格(×)と評価した。
(HIC値(ECE)の測定)
図2に示した構造のHIC測定装置を用いて、合わせガラス表面より4mの高さからインパクタヘッドを落下させて合わせガラスに衝突させ、合わせガラスのHIC値(ECE)を測定した。
なお、測定の際に合わせガラス用中間膜に裂けが発生したものについては、裂けの長さを測定した。
(合わせガラス用中間膜の最大応力σ、破断点歪みε及び破断エネルギーUの測定)
合わせガラス用中間膜をダンベル1号(JIS K 6771準拠)の形状の試験片とし、引張試験機を用いて引っ張り速度500%/分で引っ張り、測定温度20℃で破断抗張力(kg/cm)を測定した。得られた値から応力σ(MPa)−歪みε(%)曲線を求めた。なお、500%/分とは、1分間に試験片のチャック間距離の5倍の距離を動かす速度を意味する。
次に、得られた応力−歪み曲線から最大応力σ、破断点歪みεを求め、上記式(2)により破断エネルギーUを算出した。
(樹脂膜及び合わせガラス用中間膜の貯蔵弾性率G’及びtanδの測定)
動的粘弾性測定装置(装置名;DVA−200、メーカー;アイティー計測制御(株))を用いて、20℃にて50〜100Hzの範囲のせん断粘弾性測定を行い、測定で得られた貯蔵弾性率の最大値をG’(max)、最小値をG’(min)とし、測定で得られたtanδの最大値をtanδ(max)とした。
(参考例2)
ポリビニルブチラール樹脂(アセタール化度68.0モル%、ビニルアセテート成分の割合0.6モル%)100重量部と、可塑剤としてトリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)38重量部とを混合し、これをミキシングロールで充分に溶融混練した後、プレス成形機で150℃、30分間プレス成形して、厚さ1500μmの樹脂膜を得、これを合わせガラス用中間膜とした。また、得られた合わせガラス用中間膜を用いて、参考例1と同様の方法により合わせガラスを得た。
得られた合わせガラス用中間膜及び合わせガラスについて、参考例1と同様の評価を行った。
(参考例3)
ポリビニルブチラール樹脂(アセタール化度68.0モル%、ビニルアセテート成分の割合0.6モル%)100重量部と、可塑剤としてトリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)45重量部とを混合し、これをミキシングロールで充分に溶融混練した後、プレス成形機で150℃、30分間プレス成形して、厚さ760μmの樹脂膜を得、これを合わせガラス用中間膜とした。また、得られた合わせガラス用中間膜を用いて、参考例1と同様の方法により合わせガラスを得た。
得られた合わせガラス用中間膜及び合わせガラスについて、参考例1と同様の評価を行った。
(比較例1)
ポリビニルブチラール樹脂(アセタール化度68.0モル%、ビニルアセテート成分の割合0.6モル%)100重量部と、可塑剤としてトリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)38重量部とを混合し、これをミキシングロールで充分に溶融混練した後、プレス成形機で150℃、30分間プレス成形して、厚さ340μmの樹脂膜(1)を得た。
次いで、ポリビニルブチラール樹脂(アセタール化度65.0モル%、ビニルアセテート成分の割合14モル%)100重量部と、可塑剤としてトリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)62重量部とを混合し、これをミキシングロールで充分に溶融混練した後、プレス成形機で150℃、30分間プレス成形して、厚さ120μmの樹脂膜(2)を得た。
得られた樹脂膜について上述の方法により、貯蔵弾性率G’及びtanδを測定した。結果を表2に示した。
得られた樹脂膜(2)を2枚の樹脂膜(1)で挟み、加熱プレスを行い熱圧着して3層構造の合わせガラス用中間膜を得た。得られた合わせガラス用中間膜の構成を示す模式図を図3に示した。
また、得られた合わせガラス用中間膜を用いて、参考例1と同様の方法により合わせガラスを得た。
得られた合わせガラス用中間膜及び合わせガラスについて、参考例1と同様の評価を行った。
(実施例1)
ポリビニルブチラール樹脂(アセタール化度68.0モル%、ビニルアセテート成分の割合0.6モル%)100重量部と、可塑剤としてトリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)38重量部とを混合し、これをミキシングロールで充分に溶融混練した後、プレス成形機で150℃、30分間プレス成形して、厚さ250μmの樹脂膜(3)を得た。
次いで、ポリビニルブチラール樹脂(アセタール化度65.0モル%、ビニルアセテート成分の割合14モル%)100重量部と、可塑剤としてトリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)60重量部とを混合し、これをミキシングロールで充分に溶融混練した後、プレス成形機で150℃、30分間プレス成形して、厚さ250μmの樹脂膜(4)を得た。
得られた樹脂膜について上述の方法により、貯蔵弾性率G’及びtanδを測定した。結果を表2に示した。
得られた樹脂膜(4)を2枚の樹脂膜(3)で挟み、加熱プレスを行い熱圧着して3層構造の合わせガラス用中間膜を得た。得られた合わせガラス用中間膜の構成を示す模式図を図4に示した。
また、得られた合わせガラス用中間膜を用いて、参考例1と同様の方法により合わせガラスを得た。
得られた合わせガラス用中間膜及び合わせガラスについて、参考例1と同様の評価を行った。
(実施例2)
ポリビニルブチラール樹脂(アセタール化度68.0モル%、ビニルアセテート成分の割合0.6モル%)100重量部と、可塑剤としてトリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)38重量部とを混合し、これをミキシングロールで充分に溶融混練した後、プレス成形機で150℃、30分間プレス成形して、厚さ300μmの樹脂膜(5)を得た。
次いで、ポリビニルブチラール樹脂(アセタール化度65.0モル%、ビニルアセテート成分の割合14モル%)100重量部と、可塑剤としてトリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)60重量部とを混合し、これをミキシングロールで充分に溶融混練した後、プレス成形機で150℃、30分間プレス成形して、厚さ300μmの樹脂膜(6)を得た。
得られた樹脂膜について上述の方法により、貯蔵弾性率G’及びtanδを測定した。結果を表2に示した。
得られた樹脂膜(6)を2枚の樹脂膜(5)で挟み、加熱プレスを行い熱圧着して3層構造の合わせガラス用中間膜を得た。得られた合わせガラス用中間膜の構成を示す模式図を図5に示した。
また、得られた合わせガラス用中間膜を用いて、参考例1と同様の方法により合わせガラスを得た。
得られた合わせガラス用中間膜及び合わせガラスについて、参考例1と同様の評価を行った。
(実施例3)
ポリビニルブチラール樹脂(アセタール化度68.0モル%、ビニルアセテート成分の割合0.6モル%)100重量部と、可塑剤としてトリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)38重量部とを混合し、これをミキシングロールで充分に溶融混練した後、プレス成形機で150℃、30分間プレス成形して、厚さ500μmの樹脂膜(7)及び厚さ200μmの樹脂膜(8)を得た。
得られた樹脂膜について上述の方法により、貯蔵弾性率G’及びtanδを測定した。結果を表2に示した。
実施例1で得られた樹脂膜(4)を、得られた樹脂膜(7)と樹脂膜(8)で挟み、加熱プレスを行い熱圧着して3層構造の合わせガラス用中間膜を得た。得られた合わせガラス用中間膜の構成を示す模式図を図6に示した。
また、得られた合わせガラス用中間膜を用いて、参考例1と同様の方法により合わせガラスを得た。
得られた合わせガラス用中間膜及び合わせガラスについて、参考例1と同様の評価を行った。ただし、樹脂膜(8)側に貼り合せたガラス面にインパクタヘッドを衝突させることにより、HIC値(EEVC)及びHIC値(ECE)を測定した。
(実施例4)
ポリビニルブチラール樹脂(アセタール化度65.0モル%、ビニルアセテート成分の割合14モル%)100重量部と、可塑剤としてトリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)50重量部とを混合し、これをミキシングロールで充分に溶融混練した後、プレス成形機で150℃、30分間プレス成形して、厚さ450μmの樹脂膜(9)を得た。
得られた樹脂膜について上述の方法により、貯蔵弾性率G’及びtanδを測定した。結果を表2に示した。
実施例2で得られた樹脂膜(5)と得られた樹脂膜(9)を重ね合わせ、加熱プレスを行い熱圧着して2層構造の合わせガラス用中間膜を得た。得られた合わせガラス用中間膜の構成を示す模式図を図7に示した。
また、得られた合わせガラス用中間膜を用いて、参考例1と同様の方法により合わせガラスを得た。
得られた合わせガラス用中間膜及び合わせガラスについて、参考例1と同様の評価を行った。ただし、樹脂膜(5)側に貼り合せたガラス面にHIC測定用インパクタヘッドを衝突させることにより、HIC値(EEVC)及びHIC値(ECE)を測定した。
(実施例5)
実施例3で得られた樹脂膜(7)を2枚の参考例3で得られた樹脂膜(2)で挟み、加熱プレスを行い熱圧着して3層構造の合わせガラス用中間膜を得た。得られた合わせガラス用中間膜の構成を示す模式図を図8に示した。
また、得られた合わせガラス用中間膜を用いて、参考例1と同様の方法により合わせガラスを得た。
得られた合わせガラス用中間膜及び合わせガラスについて、参考例1と同様の評価を行った。
(実施例6)
実施例3で得られた樹脂膜(7)を、参考例3で得られた樹脂膜(2)と実施例2で得られた樹脂膜(5)とで挟み、加熱プレスを行い熱圧着して3層構造の合わせガラス用中間膜を得た。得られた合わせガラス用中間膜の構成を示す模式図を図9に示した。
また、得られた合わせガラス用中間膜を用いて、参考例1と同様の方法により合わせガラスを得た。
得られた合わせガラス用中間膜及び合わせガラスについて、参考例1と同様の評価を行った。ただし、樹脂膜(5)側に貼り合せたガラス面にHIC測定用インパクタヘッドを衝突させることにより、HIC値(EEVC)及びHIC値(ECE)を測定した。
(参考例4)
赤外吸収スペクトルを測定したときに得られる水酸基に対応するピークの半値幅が190cm−1であるポリビニルブチラール樹脂(アセタール化度65.0モル%、ビニルアセテート成分の割合14モル%)100重量部と、可塑剤としてトリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)45重量部とを混合し、これをミキシングロールで充分に溶融混練した後、プレス成形機で150℃、30分間プレス成形して、厚さ760μmの樹脂膜を得、これを合わせガラス用中間膜とした。また、得られた合わせガラス用中間膜を用いて、参考例1と同様の方法により合わせガラスを得た。
得られた合わせガラス用中間膜及び合わせガラスについて、参考例1と同様の評価を行った。
(参考例5)
平均重合度1500、鹸化度99.5モル%のポリビニルアルコールを10重量%濃度となるように純水に溶解したポリビニルアルコール水溶液を調製した。このポリビニルアルコール水溶液100重量部に、酸触媒として10%塩酸0.8重量部とブチルアルデヒド5.73重量部とを加えた後、85〜95℃にて攪拌しながら1時間反応させた。その後、酸触媒として10%塩酸3.5重量部を追加し、85℃にて攪拌しながら2時間反応を行い、架橋ポリビニルブチラール樹脂の粒子を得た。得られた架橋ポリビニルブチラール樹脂粒子の平均粒子径は1.0μmであった。
ポリビニルブチラール樹脂(アセタール化度65.0モル%、ビニルアセテート成分の割合0.6モル%)100重量部、可塑剤としてトリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)30重量部及び得られたと架橋ポリビニルブチラール樹脂粒子5重量部を混合し、これをミキシングロールで充分に溶融混練した後、プレス成形機で150℃、30分間プレス成形して、厚さ760μmの樹脂膜を得、これを合わせガラス用中間膜とした。また、得られた合わせガラス用中間膜を用いて、参考例1と同様の方法により合わせガラスを得た。
得られた合わせガラス用中間膜及び合わせガラスについて、参考例1と同様の評価を行った。
(参考例6)
参考例5で調製した架橋ポリビニルブチラール樹脂100重量部、可塑剤としてトリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート40重量部を混合し、これを混練機で充分に溶融混練した後、プレス成形機で150℃、980N/cmの圧力で20分間プレス成形して、厚さ860μmの樹脂膜を得、これを合わせガラス用中間膜とした。また、得られた合わせガラス用中間膜を用いて、参考例1と同様の方法により合わせガラスを得た。
得られた合わせガラス用中間膜及び合わせガラスについて、参考例1と同様の評価を行った。
Figure 2008266138
Figure 2008266138
(参考例7)
参考例1と同様の方法により得た合わせガラス用中間膜を、厚さがそれぞれ1.8mm及び4mmの透明な2枚のフロートガラスで挟み込み、これをゴムバック内に入れ、2660Paの真空度で20分間脱気した後、脱気したままオーブンに移し、更に90℃で30分間保持しつつ真空プレスした。このようにして予備圧着された合わせガラスをオートクレーブ中で135℃、圧力118N/cmの条件で20分間圧着を行い、合わせガラスを得た。
得られた合わせガラスについて、上述の方法により、4mmのフロートガラス側よりHIC測定用インパクタヘッドを衝突させて、HIC値(EEVC)及びHIC値(ECE)を測定した。
結果を表3に示した。
(参考例8)
参考例7と同様の方法により得た合わせガラスについて、上述の方法により、1.8mmのフロートガラス側よりHIC測定用インパクタヘッドを衝突させて、HIC値(EEVC)及びHIC値(ECE)を測定した。
結果を表3に示した。
(参考例9)
参考例1と同様の方法により得た合わせガラス用中間膜を、厚さ2.5mmのフロートガラスと厚さ1.0mmの表面に透明エラストマーからなる傷つき防止層を設けたポリメタクリル酸メチルとで挟着し、これをゴムバック内に入れ、2660Paの真空度で20分間脱気した後、脱気したままオーブンに移し、更に90℃で30分間保持しつつ真空プレスした。このようにして予備圧着された合わせガラスをオートクレーブ中で135℃、圧力118N/cmの条件で20分間圧着を行い、合わせガラスを得た。
得られた合わせガラスについて、上述の方法により、フロートガラス側よりHIC測定用インパクタヘッドを衝突させて、HIC値(EEVC)及びHIC値(ECE)を測定した。
結果を表3に示した。
(参考例10)
ポリビニルブチラール樹脂(アセタール化度65.0モル%、ビニルアセテート成分の割合0.6モル%)100重量部と、可塑剤としてトリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)30重量部とを混合し、これをミキシングロールで充分に溶融混練した後、プレス成形機で150℃、30分間プレス成形した。プレス成形において、一方の辺の端の厚さが660μm、これに対向する他方の辺の厚さが860μmとなるようにして、くさび形状の樹脂膜を得、これを合わせガラス用中間膜とした。
得られた合わせガラス用中間膜を用いた以外は、参考例1と同様にして合わせガラスを作製した。
得られた合わせガラスについて、上述の方法によりHIC値(EEVC)及びHIC値(ECE)を測定した。
結果を表3に示した。
(参考例11)
比較例1で得られた樹脂膜(1)2枚の間に、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートからなる樹脂膜を挟み、加熱プレスを行い熱圧着して、3層構造の合わせガラス用中間膜を得た。得られた合わせガラス用中間膜の構成を示す模式図を図10に示した。
得られた合わせガラス用中間膜を用いた以外は、参考例1と同様にして合わせガラスを作製した。
得られた合わせガラスについて、上述の方法によりHIC値(EEVC)及びHIC値(ECE)を測定した。
結果を表3に示した。
(参考例12)
ポリビニルブチラール樹脂(アセタール化度65.0モル%、ビニルアセテート成分の割合0.6モル%)100重量部と、可塑剤としてトリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)30重量部とを混合し、これをミキシングロールで充分に溶融混練した後、プレス成形機で150℃、30分間プレス成形した。プレス成形において、底辺430μm、高さ500mmの直角三角形の断面を有するくさび形状の樹脂膜(10)を得た。
また、ポリビニルブチラール樹脂(アセタール化度65.0モル%、ビニルアセテート成分の割合14モル%)100重量部と、可塑剤としてトリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)50重量部とを混合し、これをミキシングロールで充分に溶融混練した後、プレス成形機で150℃、30分間プレス成形して、底辺860μm、高さ500mmの二等辺三角形の断面を有するくさび形状の樹脂膜(11)を得た。
二等辺三角形の断面を有するくさび形状の樹脂膜(11)に直角三角形の断面を有するくさび形状の樹脂膜(10)2枚を積層して一定厚みの合わせガラス用中間膜とした。
得られた合わせガラス用中間膜を用いた以外は、参考例1と同様にして合わせガラスを作製した。得られた合わせガラス用中間膜の構成を示す模式図を図11に示した。
得られた合わせガラスについて、上述の方法によりHIC値(EEVC)及びHIC値(ECE)を測定した。
結果を表3に示した。
(参考例13)
厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートからなる樹脂膜に、長さ5mmの切れ目を直線状に20mmピッチで入れた。更に、これと同様な直線状の切れ目を各直線間が100mmで平行な直線状になるように、ポリエチレンテレフタレートからなる樹脂膜全面に入れた。
比較例1で得られた樹脂膜(1)2枚の間に、得られた切れ目の入った厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートからなる樹脂膜を挟み、加熱プレスを行い熱圧着して、3層構造の合わせガラス用中間膜を得た。得られた合わせガラス用中間膜の構成を示す模式図を図12に示した。
得られた合わせガラス用中間膜を用いた以外は、参考例1と同様にして合わせガラスを作製した。
得られた合わせガラスについて、上述の方法によりHIC値(EEVC)及びHIC値(ECE)を測定した。
結果を表3に示した。
Figure 2008266138
(参考例14)
(ITO分散可塑剤の調製)
トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)100重量部に対し、錫ドープ酸化インジウム(ITO)粉末を2.5重量部仕込み、分散剤としてポリリン酸エステル塩を用い、水平型のマイクロビーズミルにて、3GO中にITO微粒子を分散させた。その後、得られた分散液にアセチルアセトン0.25重量部を攪拌下で添加し、ITO分散可塑剤を得た。
トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)38重量部の代わりに、得られたITO分散可塑剤38重量部を用いた以外は参考例1と同様の方法により厚さ800μmの合わせガラス用中間膜を作製し、これを用いて合わせガラスを作製した。
(参考例15)
樹脂膜(1)の作製において、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)38重量部の代わりに、参考例13で得られたITO分散可塑剤38重量部を用いた以外は比較例1と同様にして、厚さ340μmの樹脂膜(12)を得た。
また、樹脂膜(2)の作製において、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)62重量部の代わりに、参考例13で得られたITO分散可塑剤62重量部を用いた以外は比較例1と同様にして、厚さ120μmの樹脂膜(13)を得た。
得られた樹脂膜(12)及び(13)について上述の方法により、貯蔵弾性率G’及びtanδを測定し、更に、以下の方法によりITO微粒子の分散状態を評価した。結果を表4に示した。
(ITO微粒子の分散状態の評価)
合わせガラス用中間膜の断面の超薄片を作製し、透過型電子顕微鏡(TEM:日立製作所社製、H−7100FA型)を使用して写真撮影を行った。なお、写真撮影は3μm×4μmの範囲を×20000倍の倍率で撮影し、写真の焼き付けで3倍に引き伸ばした。
撮影範囲3μm×4μm中の全ITO微粒子の粒子径の長径を測定し、堆積換算平均により、平均粒子径を求めた。更に、撮影範囲中に存在する粒子径100nm以上の微粒子数を求め、撮影面積12μmで除することにより、1μm当たりの個数を算出した。
樹脂膜(13)を2枚の樹脂膜(12)で挟み、加熱プレスを行い熱圧着して3層構造の合わせガラス用中間膜を得た。得られた合わせガラス用中間膜の構成を示す模式図を図13に示した。
得られた合わせガラス用中間膜を用いて、参考例1と同様の方法により合わせガラスを得た。
(参考例16)
比較例1で得られた樹脂膜(2)を参考例14で得られた2枚の樹脂膜(12)で挟み、加熱プレスを行い熱圧着して3層構造の合わせガラス用中間膜を得た。得られた合わせガラス用中間膜の構成を示す模式図を図14に示した。
得られた合わせガラス用中間膜を用いて、参考例1と同様の方法により合わせガラスを得た。
(参考例17)
(ATO分散可塑剤の調製)
トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)100重量部に対し、アンチモンドープ酸化錫(ATO)粉末を3.0重量部仕込み、分散剤としてポリリン酸エステル塩を用い、水平型のマイクロビーズミルにて、3GO中にATO微粒子を分散させた。その後、得られた分散液にアセチルアセトン0.25重量部を攪拌下で添加し、ATO分散可塑剤を得た。
樹脂膜(2)の作製において、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)62重量部の代わりに、得られたATO分散可塑剤62重量部を用いた以外は比較例1と同様にして、厚さ120μmの樹脂膜(14)を得た。
得られた樹脂膜(14)について上述の方法により、貯蔵弾性率G’及びtanδを測定し、ITO微粒子の場合と同様にしてATO微粒子の分散状態を評価した。結果を表4に示した。
得られた樹脂膜(14)を比較例1で得られた2枚の樹脂膜(1)で挟み、加熱プレスを行い熱圧着して3層構造の合わせガラス用中間膜を得た。得られた合わせガラス用中間膜の構成を示す模式図を図15に示した。
得られた合わせガラス用中間膜を用いて、参考例1と同様の方法により合わせガラスを得た。
参考例14〜24で得られた合わせガラス用中間膜及び合わせガラスについて、参考例1と同様の評価を行った。
更に、得られた合わせガラスについて、以下の方法により電磁波透過性、可視光透過率、日射透過率及びヘイズの評価を行った。
結果を表5に示した。
(周波数0.1〜26.5GHzにおける電磁波シールド性の評価)
KEC法測定(近傍界の電磁波シールド効果測定)によって、0.1〜2GHzの範囲の反射損失値(dB)を通常の板厚2.5nmのフロートガラス単板と比較し、上記周波数での差の最小・最大値を記載した。また、2〜26.5GHzの範囲の反射損失値(dB)は、送信受信用の1対のアンテナ間にサンプル600mm角を立て、電波信号発生装置からの電波をスペクトルアナライザーで受信し、そのサンプルのシールド性を評価した(遠方界の電磁波測定法)。
(ヘイズの測定)
JIS K 6714に準拠して測定した。
(可視光透過率及び300nm〜2100nmの波長領域での日射透過率の測定)
直記分光光度計(島津製作所社製、UV3100)を用いて、300〜2100nmの透過率を測定し、JIS Z 8722及びJIS R 3106(1998)によって380〜780nmの可視光透過率Tv、及び、300〜2100nmの日射透過率Tsを求めた。
Figure 2008266138
Figure 2008266138
本発明によれば、外部から加えられた衝撃を緩和する性能に優れ、特に車両用のガラスとして使用した場合において、対人事故が発生して頭部が衝突したときの衝撃緩和性能に優れる合わせガラス及び合わせガラス用中間膜を提供できる。
本発明の合わせガラスのHIC値(EEVC)を測定するHIC測定装置の一例を模式的に示す分解斜視図である。 本発明の合わせガラスのHIC値(ECE)を測定するHIC測定装置の一例を示す模式図である。 比較例1で得られた合わせガラス用中間膜の構成を示す模式図である。 実施例1で得られた合わせガラス用中間膜の構成を示す模式図である。 実施例2で得られた合わせガラス用中間膜の構成を示す模式図である。 実施例3で得られた合わせガラス用中間膜の構成を示す模式図である。 実施例4で得られた合わせガラス用中間膜の構成を示す模式図である。 実施例5で得られた合わせガラス用中間膜の構成を示す模式図である。 実施例6で得られた合わせガラス用中間膜の構成を示す模式図である。 参考例11で得られた合わせガラス用中間膜の構成を示す模式図である。 参考例12で得られた合わせガラス用中間膜の構成を示す模式図である。 参考例13で得られた合わせガラス用中間膜の構成を示す模式図である。 参考例15で得られた合わせガラス用中間膜の構成を示す模式図である。 参考例16で得られた合わせガラス用中間膜の構成を示す模式図である。 参考例17で得られた合わせガラス用中間膜の構成を示す模式図である。
符号の説明
10 HIC値(EEVC)測定装置
11 支持部
12 鍔部
13 固定部
14 インパクタヘッド
20 HIC値(ECE)測定装置
21 合わせガラス支持台
22 インパクタヘッド
23 ガイドシステム
24 光センサ

Claims (15)

  1. 多層構造であり、かつ、2枚のガラスの間に挟着して合わせガラスとして頭部衝撃指数(Head InjuryCriteria;HIC)値を測定したときに、10mm以上の長さの裂けが発生することを特徴とする合わせガラス用中間膜。
  2. 2層構造であり、一方の層の温度20℃、周波数5.0×10〜1.0×10Hzにおける貯蔵弾性率G’が、他方の層の温度20℃、周波数5.0×10〜1.0×10Hzにおける貯蔵弾性率G’の1/2以下であることを特徴とする請求項1記載の合わせガラス用中間膜。
  3. 一方の層の温度20℃、周波数5.0×10〜1.0×10Hzにおける貯蔵弾性率G’が2×10Pa以下であり、他方の層の温度20℃、周波数5.0×10〜1.0×10Hzにおける貯蔵弾性率G’が1×10Pa以上であることを特徴とする請求項2記載の合わせガラス用中間膜。
  4. 温度20℃、周波数5.0×10〜1.0×10Hzにおける貯蔵弾性率G’が2×10Pa以下である層は、温度20℃、周波数5.0×10〜1.0×10Hzにおけるtanδが0.7以上であることを特徴とする請求項3記載の合わせガラス用中間膜。
  5. 3層構造であり、中間層の温度20℃、周波数5.0×10〜1.0×10Hzにおける貯蔵弾性率G’が、最外層を構成する2層の一方又はいずれもの温度20℃、周波数5.0×10〜1.0×10Hzにおける貯蔵弾性率G’の1/2以下であることを特徴とする請求項1記載の合わせガラス用中間膜。
  6. 中間層の温度20℃、周波数5.0×10〜1.0×10Hzにおける貯蔵弾性率G’が2×10Pa以下であり、最外層を構成する2層の一方又はいずれもの温度20℃、周波数5.0×10〜1.0×10Hzにおける貯蔵弾性率G’が1×10Pa以上であることを特徴とする請求項5記載の合わせガラス用中間膜。
  7. 中間層は、温度20℃、周波数5.0×10〜1.0×10Hzにおけるtanδが0.7以上であることを特徴とする請求項5記載の合わせガラス用中間膜。
  8. 中間層の厚さが、合わせガラス用中間膜全体厚さの10%以上であることを特徴とする請求項5、6又は7記載の合わせガラス用中間膜。
  9. 3層構造であり、最外層を構成する2層の一方又はいずれもの温度20℃、周波数5.0×10〜1.0×10Hzにおける貯蔵弾性率G’が、中間層の温度20℃、周波数5.0×10〜1.0×10Hzにおける貯蔵弾性率G’の1/2以下であることを特徴とする請求項1記載の合わせガラス用中間膜。
  10. 最外層を構成する2層の一方又はいずれもの温度20℃、周波数5.0×10〜1.0×10Hzにおける貯蔵弾性率G’が2×10Pa以下であり、中間層の温度20℃、周波数5.0×10〜1.0×10Hzにおける貯蔵弾性率G’が1×10Pa以上であることを特徴とする請求項9記載の合わせガラス用中間膜。
  11. 最外層を構成する2層の一方又はいずれもの温度20℃、周波数5.0×10〜1.0×10Hzにおけるtanδが0.7以上であることを特徴とする請求項9記載の合わせガラス用中間膜。
  12. 最外層の厚さの合計値が、合わせガラス用中間膜全体厚さの10%以上であることを特徴とする請求項9、10又は11記載の合わせガラス用中間膜。
  13. 温度20℃、周波数5.0×10〜1.0×10Hzにおける貯蔵弾性率G’が2×10Pa以下である中間層は、合わせガラス用中間膜の厚さ方向に対して、いずれかの表層側に偏在していることを特徴とする請求項6、7又は8記載の合わせガラス用中間膜。
  14. 温度20℃、周波数5.0×10〜1.0×10Hzにおける貯蔵弾性率G’が1×
    10Pa以上である中間層は、合わせガラス用中間膜の厚さ方向に対して、いずれかの
    表層側に偏在していることを特徴とする請求項10、11又は12記載の合わせガラス用中間膜。
  15. 少なくとも合わせガラス用中間膜とガラス板とが積層され、一体化されている合わせガラスであって、
    ヨーロピアン・エンハンスド・ビークル−セーフティ・コミッティー(EuropeanEnhanced Vehicle−safety Committee;EEVC/WG17)の規定に準拠して測定した頭部衝撃指数(Head Injury Criteria;HIC)値が1000以下であり、
    前記合わせガラス用中間膜は、頭部衝撃指数(Head Injury Criteria;HIC)値を測定したときに、10mm以上の長さの裂けが発生するものである
    ことを特徴とする合わせガラス。
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