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JP2008265716A - 車両用暖房装置 - Google Patents

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JP2008265716A JP2007158247A JP2007158247A JP2008265716A JP 2008265716 A JP2008265716 A JP 2008265716A JP 2007158247 A JP2007158247 A JP 2007158247A JP 2007158247 A JP2007158247 A JP 2007158247A JP 2008265716 A JP2008265716 A JP 2008265716A
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Abstract

【課題】従来の車両暖房装置では、乗員の体格や着座姿勢、運転中の身体動作等によっては、乗員の身体の一部が熱放射部材に触れ続けることがあり、その場合、接触した部位が不要に加熱され、不快感を生じたり、低温やけどを生じる可能性があるといった課題があった。
【解決手段】本発明の車両用暖房装置は、熱放射部材3の表面に接触熱抵抗を増加する加工が施されているので、万一、乗員の身体の一部が熱放射部材3に接触しても、接触熱抵抗が大きいため、加熱手段2からの熱伝導がされにくくなり、接触部位が不要に加熱されることがない。
【選択図】図2

Description

本発明は、車両用の暖房装置に関する。
従来、この種の車両用暖房装置は特許文献1にて開示されている。この従来技術では、車室内の内装部材の表面に沿って面状の電気ヒータを配置し、この電気ヒータの表面上に、熱放射率の高い材料により構成される熱放射部材を配置している。そして、前記電気ヒータの発熱により熱放射部材を加熱して、熱放射部材の表面から赤外線を放射するようになっている。
特開2005−212556号公報
ところが、上記従来技術では、乗員の体格や着座姿勢、運転中の身体動作等によっては、乗員の身体の一部が熱放射部材に触れ続けることがあり、その場合、接触した部位が不要に加熱され、不快感を生じたり、低温やけどを生じる可能性があるといった課題があった。
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、万一、接触しても不要に加熱されることのない車両用暖房装置を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明に係る車両用暖房装置は、車室内の内装部材に配設された加熱手段と、前記内装部材又は前記加熱手段の表面に配設された熱放射部材とを備え、前記熱放射部材は表面に接触熱抵抗を増加する加工が施されたことを特徴とするものである。
本発明の車両用暖房装置は、熱放射部材の表面に接触熱抵抗を増加する加工が施されているので、万一、乗員の身体の一部が前記熱放射部材に接触しても、接触熱抵抗が大きいため、加熱手段からの熱伝導がされにくくなり、接触部位が不要に加熱されることがない。
第1の発明は、車室内の内装部材に配設された加熱手段と、前記内装部材又は前記加熱手段の表面に配設された熱放射部材とを備え、前記熱放射部材は表面に接触熱抵抗を増加する加工が施されたことを特徴とするものである。
また、第2の発明は、特に第1の発明において、熱放射部材は、起毛加工、植毛加工、シボ加工、エンボス加工の少なくとも1つが施されたものである。
また、第3の発明は、車室内の内装部材に配設された加熱手段と、前記加熱手段を覆うとともに前記加熱手段から発生する熱放射を透過する被覆手段とを備えたものである。
また、第4の発明は、特に第3の発明において、被覆手段は、加熱手段との間に空隙部を備え、被覆面が所定の開口率を有したメッシュ部材からなるものである。
また、第5の発明は、特に第4の発明において、メッシュ部材はドアパネルに設けられたスピーカ用のメッシュカバーと兼用したものである。
また、第6の発明は、特に第3〜5のいずれか1つの発明において、加熱手段は、発生した熱放射を所定の場所に集中させる集光部を備えたものである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
本発明の第1の実施の形態を図1から図2を参照して説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態における車両用暖房装置を備えたサイドドアバネル1の外観図である。ここで、サイドドアパネル1は右ハンドル車の運転席側サイドドア用である。図中、内装部材としてのサイドドアパネル1には加熱手段2が配設されている。加熱手段2は不織布に極細のヒータ線を蛇行させてシート状に成型したものである。ヒータ線近傍にはサーミスタが配設されている。また、図示しないが、前記サーミスタ出力が予め設定された設定温度になるよう前記ヒータ線の通電を制御する制御手段を備えている。
図2は図1のAA断面における構成図である。図中、加熱手段2はサイドドアバネル1の表面に配設され、加熱手段2の表面には熱放射部材3が配設されている。尚、図中、正面左側が車内側、右側が車外側である。熱放射部材3は、例えば、薄手のウレタンシートに面状の化繊生地を接着した構成で、さらに、車内側の表面(化繊生地の表面)は起毛加工されている。加熱手段2は運転者が着座した時、膝〜下腿部に輻射熱が効率よく当たるような位置に配設されている。
上記構成により、加熱手段2のヒータ線に通電すると前記制御手段により、前記サーミスタ出力が予め設定された設定温度になるよう前記ヒータ線の通電が制御される。この時、ヒータ線の発熱により熱放射部材3から輻射熱が発生して、着座中の運転者の膝〜下腿部に輻射されて運転者の膝〜下腿部が暖まる。
また、万一、運転者の身体の一部が熱放射部材3に接触しても、熱放射部材3の表面が起毛加工されていて接触熱抵抗が大きいため、加熱手段2からの熱伝導がされにくくなり、接触部位が不要に加熱されることがない。
尚、上記実施例では、熱放射部材3は表面を起毛加工したが、熱放射部材3の表面をシボ加工したり、エンボス加工して接触熱抵抗を増加する構成にしてもよく、接触熱抵抗を増加する構成であれば、上記実施例に限定するものではない。
また、サイドドアバネル1は、その熱伝導率が熱放射部材3の熱伝導率よりも低いものを選定するのが好ましい。この構成によれば、加熱手段2で発生した熱がサイドドアバネル1を伝わって熱放散されにくくなり、熱放射部材3からの熱輻射を効率的に行える。
また、サイドドアパネル1にはカーオーディオのスピーカが装着される場合があるが、その場合は、スピーカの場所を避けて加熱手段2を配設する構成とすればよい。
(実施の形態2)
本発明の第2の実施の形態を図3を参照して説明する。
図3は本実施の形態における図1のAA断面に対応した断面おける構成図である。本実
施の形態では、図3に示したように、サイドドアパネル1の車外側に加熱手段2が配設され、車内側に熱放射部材3が配設されている。そして、加熱手段2の車外側表面には断熱部材4が配設されている。本実施の形態におけるサイドドアパネル1として、少なくとも加熱手段2が配設されている領域には、熱伝導性の良い材質の材料、例えば、樹脂に金属粒子を混練した複合材料を使用する。
断熱部材4と熱伝導性の良いサイドドアパネル1により、加熱手段2で発生した熱は効率的に熱放射部材3に伝わって車内側に輻射される。また、サイドドアパネル1の車内側に加熱手段2を配設していないので、ヒータ線による熱放射部材3の局部的な盛り上がり等の外観上の不具合が発生しない。
(実施の形態3)
本発明の第3の実施の形態を図4を参照して説明する。
図4は本実施の形態における構成図で、図1のAA断面に対応している。本実施の形態では、図4に示したように、サイドドアパネル1には加熱手段2が配設され、加熱手段2を覆うとともに加熱手段2から発生する熱放射を透過する被覆手段5を備えている。図中、正面左側が車内側、右側が車外側である。
被覆手段5は、加熱手段2との間に空隙部6を備え、被覆面が所定の開口率を有したメッシュ部材6を有している。空隙部6は加熱手段2とメッシュ部材7との間にスペーサ等を設けることにより形成される。メッシュ部材7は、例えば、金属製または樹脂製の細線を格子状やグリル状に成形して所定の開口率となるように構成する。また、実施の形態1と同様に、加熱手段2は不織布に極細のヒータ線を蛇行させてシート状に成型したものである。
尚、車室内側への熱放射の効率を高めるため、ヒータ線は車室内側の不織布表面に配設されている。ヒータ線近傍にはサーミスタが配設されている。また、図示しないが、前記サーミスタ出力が予め設定された設定温度になるよう前記ヒータ線の通電を制御する制御手段を備えている。
上記構成により、加熱手段2のヒータ線に通電すると前記制御手段により、前記サーミスタ出力が予め設定された設定温度になるよう前記ヒータ線の通電が制御される。この時、ヒータ線の発熱により輻射熱が発生して、それがメッシュ部材7の開口部を透過して着座中の運転者の膝〜下腿部に輻射されて運転者の膝〜下腿部が暖まる。
また、万一、運転者の身体の一部がメッシュ部材7に接触しても、メッシュ部材7自体は加熱手段2の輻射熱を透過して昇温しないので、接触部位が不要に加熱されることがない。
尚、メッシュ部材7に使用する金属製または樹脂製の細線の表面を起毛加工やシボ加工、エンボス加工してもよく、メッシュ部材6の接触熱抵抗が大きくなり、接触部位が不要に加熱されることがさらに無くなる。
また、上記実施の形態では、被覆手段5は、加熱手段2との間に空隙部6を備え、被覆面が所定の開口率を有したメッシュ部材6を有した構成としたが、被覆面を高密度ホリエチレン等の赤外線透過材料をシート状やフィルム状、格子状、グリル状等に成形して構成してもよく、人体が吸収する赤外線領域の輻射熱を被覆面が透過するので、同様な効果がある。
(実施の形態4)
本発明の第4の実施の形態を図5を参照して説明する。
図5(a)は本実施の形態を適用したサイドドアパネル1の外観図、図5(b)はスピーカ用カバー8と加熱手段2、スピーカ9の構成図である。図5(a)(b)に示したように、本実施の形態では、実施の形態3のメッシュ部材をドアパネルに設けられたカーオーディオ用のスピーカ用カバー8と兼用した構成としている。スピーカ用カバー8は実施の形態3のメッシュ部材と同様に所定の開口率を有している。そして、スピーカ用カバー8とスピーカ9の間に加熱手段2を配設している。図5(b)のように、加熱手段2は不織布10にヒータ線11を蛇行させて配設し、スピーカ9からの音を透過させるよう複数の透過孔部12を設けた構成となっている。加熱手段2とスピーカ用カバー8、加熱手段2とスピーカ9はスペーサを介して所定の空隙を設けながら接合されている。
上記構成により、加熱手段2のヒータ線に通電すると実施の形態3と同様に、前記制御手段により、前記サーミスタ出力が予め設定された設定温度になるよう前記ヒータ線の通電が制御される。この時、ヒータ線の発熱により輻射熱が発生して、それがスピーカ用カバー8の開口部を透過して着座中の運転者の膝〜下腿部に輻射されて運転者の膝〜下腿部が暖まる。
また、万一、運転者の身体の一部がスピーカ用カバー8に接触しても、スピーカ用カバー8自体は加熱手段2の輻射熱を透過して昇温しないので、接触部位が不要に加熱されることがない。
また、加熱手段2の不織布10にはスピーカ9からの音を透過させるよう複数の透過孔部12を設けた構成となっているので、通常のカーオーディオのスピーカとしての機能も損なわれることがない。
(実施の形態5)
本発明の第5の実施の形態を図6を参照して説明する。
図6(a)は本実施の形態における構成図(図1のAA断面に対応)、図6(b)は本実施の形態を車室内の天井面に配設した外観図である。本実施の形態では、図6(a)に示したように、加熱手段2は、発生した熱放射を所定の場所に集中させる集光部13を備えている。集光部13は凹レンズのような形状をしている。ここで、加熱手段2、空隙部6、メッシュ部材7、集光部13のまとまりをヒータユニット14とする。
上記構成により、加熱手段2のヒータ線に通電すると実施の形態3と同様に、前記制御手段により、前記サーミスタ出力が予め設定された設定温度になるよう前記ヒータ線の通電が制御される。ヒータ線の発熱により発生する輻射熱は、集光部13の凹レンズ形状により、点P近傍に照射される。そして、図6(b)に示したように、上記構成のヒータユニット14を在席者の大腿部上の天井面に配設して、集光部13により輻射熱の集光場所Pを大腿部にすれば、ヒータユニット14からの輻射熱が集光されて大腿部に照射され、大腿部が加温される。
実施の形態1〜4のように、足元の輻射暖房が装備されていたり、シートヒータが装備されていると、下腿部や後大腿部は暖まるが、前大腿部については、エンジンが暖気運転に達してエアコンの暖房によって車室内が暖まらないと前大腿部は暖まらない。一方、本実施の形態によれば、天井面に配設したヒータユニット14からの輻射熱が集光されて大腿部に照射されるので、前大腿部を速やかに加温でき、暖感が向上する。
(実施の形態6)
本発明の第6の実施の形態を図7を参照して説明する。
図7(a)は本実施の形態を適用した車室内を車内後方から見た外観図、図7(b)は本実施の形態を適用した車室内を車内側方から見た外観図である。実施の形態1では加熱手段2を運転席側のサイドドアパネル1の座席足元側に対応する場所21に配設したが、図7(a)に示すように、加熱手段2をインパネ16の下部17やセンターコンソール18の左右側面19、アクセルペダル横のボディ側面20等の内装部材に配設してもよい。
また、図7(b)に示すように、加熱手段2をサイドドアパネル1の座席肩口側に対応する場所22や、後部座席のサイドドアパネル23の座席足元側に対応する場所24、座席肩口側に対応する場所25の内装部材に配設する構成としてもよい。また、前席座席の背面部26に配設して後部座席の在席者の足部〜脚部に熱輻射を当てる構成としてもよい。また、図示はしないが、加熱手段2を座席やサイドドアパネルに装備された肘掛や、座席前方の床面等に配設してもよい。
(実施の形態7)
本発明の第7の実施の形態を図8を参照して説明する。
図8は本実施の形態のヒータユニット27の外観図である。ヒータユニット27は図7(a)(b)に示すようにインパネ16の下部17に配設されるもので、2つの加熱手段28、29を備えている。尚、加熱手段28、29に対応する熱放射部材や被覆手段は実施の形態1〜5のいずれかに記載されたものを使用する。そして、ヒータユニット27をインパネ16の下部17に配設した際に、加熱手段28、29がそれぞれ在席者の右脚部と左脚部に沿って対向するように構成されている。特に、運転席側に適用する場合は、オートマチック車だと、右足をアクセル方向に、左足をレッグレストに置いて右脚部と左脚部がほぼ位置決めされるので、この脚部の位置に対向するように加熱手段28、29を配設するように構成すればよい。
上記構成により、加熱手段28、29に通電すると、加熱手段28、29の発熱によって発生する熱輻射がそれぞれ在席者の右脚部と左脚部に当たり、両脚が暖められる。そして、在席者の右脚部と左脚部に沿って対向するように加熱手段28、29を分割して配設しているので、ヒータユニット27の全面に加熱手段を配設する構成に比べて、加熱手段が合理化できるとともに、暖房時の消費電力を低減でき、省エネ効果がある。
尚、以上の実施の形態1〜7では、加熱手段2としてヒータ線を使用したが、例えば、PTC特性を有した面状のヒータを使用しても良く、通電後の立ち上がりが早く、かつ、ヒータ温度の過昇がなく安全性が向上するといったメリットがある。
(実施の形態8)
本発明の第8の実施の形態を図9を参照して説明する。
図9(a)は本実施の形態の車室内暖房システムのブロック図、図9(b)は前記車室内暖房システムの制御モードを示す動作図である。図9(a)に示したように、本実施の形態は、車室内の暖房システムとして、実施の形態1〜4のような足元輻射暖房30と、シートヒータ31と、ステアリングホイールにヒータ線を内蔵したステアリングホイールヒータ32と、エアコン33とを備えている。制御手段34はエンジンの温度センサ34の温度信号を受けて、足元輻射暖房30、シートヒータ31、ステアリングホイールヒータ32、エアコン33の運転を制御する。
上記構成による動作を図9(b)を用いて説明する。運転者が乗車して時刻t0で足元輻射暖房、シートヒータ、ステアリングホイールヒータ、エアコンを作動させると、制御手段34は、それぞれF1、S1、W1、A1のモードで暖房を開始する。ここで、F1、S1、W1はフル通電モードである。A1は予熱モードで、予熱モード中は送風を送らない。
次に、時刻t1でエンジン温度が所定の温度に達すると、F1、S1、W1、A1はF2、S2、W2、A2のモードに変更される。ここで、F2、S2、W2は通電のオンオフ間隔や設定温度を1/fゆらぎのパターンで制御するモードで、快適性を保ちながら省エネ運転を行なうものである。また、A1は温風吹き出しモードある。
上記のような制御モードにより、乗車後の初期は、足元輻射暖房、シートヒータ、ステアリングホイールヒータをメイン暖房にして、輻射暖房や接触暖房によって身体をすばやく、効率的に暖めることができる。また、エンジンが暖まるとエアコンによる暖房をメイン暖房にして室内を暖めるとともに、足元輻射暖房、シートヒータ、ステアリングホイールヒータはサブ暖房として電力使用を抑えながら、輻射暖房や接触暖房によって身体を補助暖房的に暖めることができる。このように、本実施の形態によれば、暖房初期は速熱性を重視して快適性を向上できるとともに、暖房安定時は省エネ性と快適性を両立させることができる。
(実施の形態9)
本発明の第9の実施の形態を図10を参照して説明する。
図10(a)は本実施の形態の車室内暖房システムのブロック図、図10(b)は前記車室内暖房システムの制御モードを示す動作図である。図10(a)本実施の形態では、車室内の暖房システムとして、実施の形態1〜4のような足元輻射暖房30と、シートヒータ31と、ステアリングホイールヒータ32と、エアコン33とを備えている。制御手段34はエンジンの温度センサ35の温度信号と、運転席サイドドアのアウターハンドルのタッチセンサ36の判定信号とを受けて、足元輻射暖房30、シートヒータ31、ステアリングホイールヒータ32、エアコン33の運転を制御する。タッチセンサ36は、例えば、ドアハンドルに検出用電極を配設して静電容量の変化を検出したり、圧電センサをドアハンドルの可動部に配設してドアハンドル操作による可動部の振動や変位を検出する構成のものを使用する。
上記構成による動作を図10(b)を用いて説明する。運転者が乗車するために、時刻t2で運転席サイドドアのアウターハンドルを操作すると、制御手段34は、足元輻射暖房、シートヒータ、ステアリングホイールヒータをそれぞれF1、S1、W1のモードで暖房を開始する。ここで、F1、S1、W1はフル通電モードである。そして、運転者が時刻t4で乗車してエアコンを作動させると、エアコンはA1の予熱モードで作動する。予熱モード中は送風を送らない。
次に、時刻t4でエンジン温度が所定の温度に達すると、F1、S1、W1、A1はF2、S2、W2、A2のモードに変更される。ここで、F2、S2、W2は通電のオンオフ間隔や設定温度を1/fゆらぎのパターンで制御するモードで、快適性を保ちながら省エネ運転を行なうものである。また、A1は温風吹き出しモードある。
上記のような制御モードにより、運転者が乗車する前から足元輻射暖房、シートヒータ、ステアリングホイールヒータによる暖房を開始して、運転者が乗車した時には、暖房の立ち上げを完了状態になっていて、輻射暖房や接触暖房によって身体をすばやく、効率的に暖めることができる。また、エンジンが暖まるとエアコンによる暖房をメイン暖房にし
て室内を暖めるとともに、足元輻射暖房、シートヒータ、ステアリングホイールヒータはサブ暖房として電力使用を抑えながら、輻射暖房や接触暖房によって身体を補助暖房的に暖めることができる。このように、本実施の形態によれば、ドアハンドル操作を検出して乗車する前に輻射暖房や接触暖房を立ち上げるので、乗車するとすぐに暖房感を得ることができ快適性をさらに向上できるとともに、暖房安定時は省エネ性と快適性を両立させることができる。
(実施の形態10)
本発明の第10の実施の形態を図11を参照して説明する。
図11は本実施の形態の車室内暖房システムの制御モードを示す動作図である。本実施の形態は、実施の形態9または10のシートヒータの制御モードS2に適用される。本実施の形態では、運転席(D席)、助手席(P席)、運転席側後部座席(DR席)、助手席側後部座席(PR席)のそれぞれにシートヒータが配設されている。尚、各席でのシートヒータの通電は当該シート毎に設けられている通電スイッチにより行なわれるが、シートに乗員検知センサを配設して乗員検知したシートのみを通電する構成としてもよい。以下の説明では、上記4席全てに人が座っているものとする。
上記構成による動作を図11を用いて説明する。制御モードS1ではD席、P席、DR席、PR席を全て通電する。そして、時刻t5で制御モードS2に移行すると、時刻t5〜t6ではD席のみ通電、時刻t6〜t7ではP席のみ通電、時刻t7〜t8ではDR席のみ通電、時刻t8〜t9ではPR席のみ通電し、時刻t9以降は上記のt5〜t9の動作を繰り返して制御する。このようなシート毎の切り替え制御だと1周期(t5〜t9)経過するのに時間がかかり、シート温度の低下が懸念されるが、座席はクッションとしてウレタンを使用していて断熱性があり、さらに、着座した人の熱容量があるため、シートヒータの通電による発熱によりシート温度が一旦、上昇すると通電を停止してもシート温度の低下は緩慢であり、暖感が継続する。尚、車室内温度にもよるが、1周期に要する時間は3〜5分が望ましい。また、上記動作では、4席を対象としたが、例えば、PR席が不在で通電していない場合は、D席、P席、DR席の3席で切り替え制御を行なう。
上記のようなシート毎に通電を切り替えていく制御モードにより、省エネをさらに向上することができる。
尚、実施の形態10ではシートヒータを対象としたが、シートヒータに限定せず、例えば、足元輻射暖房とシートヒータとを交互に通電したり、通電のオンオフ間隔や設定温度を1/fゆらぎのパターンで制御して、省エネと快適性を両立させる、といった構成としてもよい。
以上のように、本発明の車両用暖房装置は、輻射暖房時に接触しても不要に加熱されることがないので、例えば、デスクヒータや蹴込みヒータ、電気こたつ等、使用中に人体の一部が接触しやすい輻射暖房器具に適用することが可能となる。
本発明の第1の実施の形態における車両用暖房装置を備えたサイドドアバネル1の外観図 図1のAA断面における構成図 本発明の第2の実施の形態におけるAA断面における構成図 本発明の第3の実施の形態における構成図 (a)本実施の形態を適用したサイドドアパネル1の外観図(b)スピーカ用カバー8と加熱手段2、スピーカ9の構成図 (a)本実施の形態における構成図(b)本実施の形態を車室内の天井面に配設した外観図 (a)本実施の形態を適用した車室内を車内後方から見た外観図(b)本実施の形態を適用した車室内を車内側方から見た外観図 本実施の形態のヒータユニット27の外観図 (a)本実施の形態の車室内暖房システムのブロック図(b)同車室内暖房システムの制御モードを示す動作図 (a)本実施の形態の車室内暖房システムのブロック図(b)同車室内暖房システムの制御モードを示す動作図 本実施の形態の車室内暖房システムの制御モードを示す動作図
符号の説明
1 サイドドアパネル(内装部材)
2 加熱手段
3 熱放射部材
5 被覆手段
6 空隙部
7 メッシュ部材
8 スピーカ用カバー
13 集光部

Claims (6)

  1. 車室内の内装部材に配設された加熱手段と、前記内装部材又は前記加熱手段の表面に配設された熱放射部材とを備え、前記熱放射部材は表面に接触熱抵抗を増加する加工が施された車両用暖房装置。
  2. 熱放射部材は、起毛加工、植毛加工、シボ加工、エンボス加工の少なくとも1つが施された請求項1記載の車両用暖房装置。
  3. 車室内の内装部材に配設された加熱手段と、前記加熱手段を覆うとともに前記加熱手段から発生する熱放射を透過する被覆手段とを備えた車両用暖房装置。
  4. 被覆手段は、加熱手段との間に空隙部を備え、被覆面が所定の開口率を有したメッシュ部材からなる請求項3記載の車両用暖房装置。
  5. メッシュ部材はドアパネルに設けられたスピーカ用カバーと兼用した請求項4記載の車両用暖房装置。
  6. 加熱手段は、発生した熱放射を所定の場所に集中させる集光部を備えた請求項3〜5のいずれか1項記載の車両用暖房装置。
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