JP2008258460A - 磁気エンコーダ用環状樹脂磁石の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】円環状樹脂成型体からなる磁気エンコーダ用環状樹脂磁石の製造方法であって、未配向の異方性磁性粉末を含む樹脂原料12と、円環状のキャビティ11baを備えた成型型11とを準備し、上記キャビティ内に上記樹脂原料を装填して、上記成型型で圧縮加熱成型し、型締めすることにより上記樹脂原料中の磁性粉末を配向させ、その後、その状態で成型型を冷却し、脱型して円環状樹脂成型体を得ることを特徴とする。
【選択図】図2
Description
下記特許文献1には、上述のような磁気エンコーダの製造方法が開示されており、磁性粉と磁性粉のバインダーとして熱可塑性樹脂とを含有する磁石材料を円環状に射出成型し、その後着磁することによって作製されるプラスチック磁石を用いた磁気エンコーダが記載されている。
図6は、従来の磁気エンコーダ用環状樹脂磁石の製造方法を示した図である。
図中、Gは樹脂原料を注入するゲート部、Rは製品となる部分の外周部に形成されるランナー部、100は芯金、200は磁性粉末を含む樹脂成型体である。
これによれば、ゲート部Gから注入装填される樹脂原料は、まずランナー部Rに装填されていき、その後、製品となる部分のキャビティ内に樹脂原料が装填されていくので、環状樹脂磁石の製品となる部分にはウェルドの発生がないものとできる。
しかしながら、近年、プラスチック磁石の開発は盛んになされており、保磁力が高く外部からの影響を受けない良好な磁気特性を備えたプラスチック磁石からなる磁気エンコーダの開発が望まれている。
請求項2の発明に係る磁気エンコーダ用環状樹脂磁石の製造方法は、磁性粉末として、機械配向用フェライトが用いられることを特徴とする。
また樹脂原料を装填する際にウェルドが生じても上下成型型の圧縮によって、ウェルドを消すことができ、ウェルドのない環状樹脂磁石を得ることができる。
更に圧縮加熱成型時に、型締めをすることにより、樹脂原料中の異方性磁性粉末を配向させることができるので、磁場配向の工程を要しない。よって、磁場配向設備を不要とし、設備コストを抑制することができる。
また樹脂原料を装填する際にウェルドが生じても成型装置の圧縮によって、ウェルドを消すことができ、ウェルドのない環状樹脂磁石を得ることができる。
請求項6の発明に係る磁気エンコーダ用環状樹脂磁石の製造方法によれば、圧縮加熱成型時の加熱は、高周波誘導加熱によって行うので、加熱速度が速いため、加熱成型の工程が短時間ですみ、製造効率を上げることができる。
芯金(スリンガ)8における外向鍔部8bの車体側面(外面)には、樹脂原料にフェライト等の異方性磁性粉末を混練してなる円環状樹脂成型体からなり、周方向に多数のN極、S極が交互に並ぶよう着磁形成された磁気エンコーダ9が貼着一体とされている。そして車体側(固定側)には、該磁気エンコーダ9に検出面が対向するよう磁気センサー10が固設され、この磁気センサー10と、磁気エンコーダ9とにより車輪の回転数(回転速度)等の検出がなされる。尚、この磁気エンコーダ9用の環状樹脂磁石の製造方法については後に詳しく説明する。
成型装置11は、上金型11a、下金型11b、中子11cで構成されており、上金型11aにはバリ溝11aaが形成されている。そして下金型11bは、環状樹脂成型体の主形状に形成されたキャビティ11baと、円環状の芯金(スリンガ)8を同心的に受容する受容部11bbとを備えている。成型装置11の下金型11bとともに中子11c、ラム(不図示)によって上下昇降し、下金型11bが可動側、上金型11aが固定側となる。本発明の製造方法によれば、環状樹脂磁石は圧縮加熱成型によって成型されるが、その加熱手段としては、加熱速度の速い高周波誘導加熱や埋め込み式のヒータ(熱盤)等が採用される。
そして下金型11bを中子11cとともに、図2の白抜矢示方向Dへと可動させ、圧縮加熱成型し(200〜300℃)(ステップ3)、型締めすることにより樹脂原料12中の磁性粉末を配向させる(ステップ4)。このとき、樹脂原料12中に混練配合された異方性の磁性粉末は、型締めの作用を受けて、その磁化容易軸が型締め方向(白抜矢示方向D)に沿うよう揃えられ、その状態で成型装置11を冷却装置のプレスステーション(不図示)等で冷却され(100〜130℃)(ステップ5)、樹脂原料層内に配向した磁性粉末が固定化される。その後、脱型し、バリを除けば、芯金8と固着一体となった円環状樹脂成型体が得られる(ステップ6)。そして、公知の着磁装置により、樹脂成型体の上記配向方向に沿った磁界を作用させて、多数のN極・S極が周方向に繰返すパターンで着磁すれば(ステップ7)、磁気エンコーダ9が完成する(ステップ8)。
ここで、着磁装置による着磁工程は、脱型後に限られず、磁性粉末を配向させた後に行うものとしてもよい。また樹脂原料12は上述のように紐状に押し出して装填する方法に限定されず、後述のようにピンゲートによって樹脂原料を数箇所から注入して予備形状に装填してから成型する方法(図4参照)、ペレット状の樹脂原料をキャビティ11baに装填するものとしてもよい。更に成型前に芯金8と環状樹脂成型体との固着面に接着剤を塗布しておいてもよく、下金型11bと中子11cは一体化された金型であってもよいことは言うまでもない。
環状樹脂磁石の樹脂原料(バインダー)12としては、熱可塑性樹脂であって、ナイロン6、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン6T、ナイロン9T、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等が採用される。樹脂成型体は、これら樹脂原料(必要によって適宜添加物、可塑剤等を含む)に混練され樹脂組成物として成型されるが、磁性粉末は該樹脂組成物中に70〜95重量%含有される。ここに、含有される磁性粉末が70重量%未満の場合、磁気強度が十分に得られず、95重量%を超えると、バインダーとしての樹脂原料12の結合力が弱くなる傾向となる。
また樹脂原料12を装填する際にウェルドが生じても上下金型11a、11bの圧縮によって、ウェルドを消すことができ、ウェルドのない環状樹脂磁石を得ることができる。例えば図2に示すように樹脂原料12を紐状に押し出して装填する場合、円環状とする際の接合部分がウェルドとなるが、このようなウェルドは後に成型装置11で型締めすることにより消滅させることができる。
そして従来の射出成型による製造では、磁性粉末として機械配向用のフェライトを用いることができなかったが、上述のような圧縮成型によって製造されるものでは、機械配向用フェライトを用いることができ、磁場成型装置による磁場配向を行わなくても、圧縮成型時に該フェライトを配向させることができる。よって、鱗片状でなり、強い磁力と保磁力が高い機械配向用フェライトの特性を有した良好な磁気特性を持つ環状樹脂磁石を得ることができる。
ここに示す実施形態は、樹脂原料12の装填方法と樹脂原料中に含まれる磁性粉末の配向方法が上述の例とは異なる。
図中、13は樹脂原料12を予備形状に装填する注入口となるピンゲート13aを備えた仮金型、14は予備成形台である。成型装置11自体は、上述の例と同様である。
配置後、下金型11bを図4(c)の白抜矢示方向Dへと可動させ、圧縮加熱成型し(200〜300℃)(ステップ3)、磁場発生用コイル(不図示)に電流を印加して、樹脂成型体となったときに着磁面となる面に対して垂直方向に磁場を作用させながら、加熱(200〜300℃)し、加圧して、磁場成型がなされる。このとき樹脂原料12の表面にあったウェルド12aは上金型11aによる圧縮で消滅させることができる。樹脂原料12中に混練配合された異方性或いは等方性の磁性粉末は、磁場の作用を受けて、磁場方向に沿うよう揃えられ、その状態で成型装置11を冷却装置のプレスステーション(不図示)等で冷却し(100〜130℃)(ステップ5)、樹脂原料層内に配向した磁性粉末が固定化される。その後、脱磁或いは減磁して(ステップ6)、脱型し、バリを除けば、芯金8と固着一体となった円環状樹脂成型体が得られる(ステップ7)。そして、公知の着磁装置により、樹脂成型体の上記配向方向に沿った磁界を作用させて、多数のN極・S極が周方向に繰返すパターンで着磁すれば(ステップ8)、磁気エンコーダ9が完成する(ステップ9)。
ここで、着磁装置による着磁工程は、脱型後に限られず、磁性粉末を磁場配向させた後或いは磁場配向と同時に行うものとしてもよい。また樹脂原料12の装填方法は上述に限らず、紐状に押し出して装填する方法(図2参照)、ペレット状の樹脂原料をキャビティ11baに装填するものとしてもよい。更に成型時に芯金8と環状樹脂成型体との固着面に接着剤を塗布しておいてもよく、下金型11bと中子11cは一体化された金型であってもよいことは言うまでもない。
また樹脂原料12に含まれる磁性粉末は、異方性、等方性のいずれでも用いることができるので、それぞれの特性を活かしつつ、ウェルドのない環状樹脂磁石を得ることができる。
そして周方向に多数のN極、S極が交互に並ぶよう着磁形成された磁気エンコーダ9について述べたが、これに限定されず、円環状樹脂磁石における半円部分の外周面部をS極の着磁域、残りの半円部分の外周面部をN極の着磁域とした2極磁気エンコーダ用環状樹脂磁石の製造方法としても適用可能である。
9 磁気エンコーダ
11 成型装置(成型型)
11ba キャビティ
11bb 受容部
12 樹脂原料
Claims (6)
- 円環状樹脂成型体からなる磁気エンコーダ用環状樹脂磁石の製造方法であって、
未配向の異方性磁性粉末を含む樹脂原料と、円環状のキャビティを備えた成型型とを準備し、上記キャビティ内に上記樹脂原料を装填して、上記成型型で圧縮加熱成型し、型締めすることにより上記樹脂原料中の磁性粉末を配向させ、その後、その状態で成型型を冷却し、脱型して円環状樹脂成型体を得ることを特徴とする磁気エンコーダ用環状樹脂磁石の製造方法。 - 請求項1に記載の磁気エンコーダ用環状樹脂磁石の製造方法において、
前記磁性粉末として、機械配向用フェライトが用いられることを特徴とする磁気エンコーダの製造方法。 - 円環状樹脂成型体からなる磁気エンコーダ用環状樹脂磁石の製造方法であって、
未配向の異方性磁性粉末を含む樹脂原料と、円環状のキャビティを備えた成型型とを準備し、上記キャビティ内に上記樹脂原料を装填して、上記成型型で圧縮加熱成型するとともに、上記樹脂成型体となったときに着磁面となる面に対して垂直方向に磁場をかけて上記樹脂原料中の磁性粉末を配向させ、その後、その状態で成型型を冷却し、冷却後、脱磁又は減磁を行い、脱型して円環状樹脂成型体を得ることを特徴とする磁気エンコーダ用環状樹脂磁石の製造方法。 - 請求項1乃至3のいずれかに記載の磁気エンコーダ用環状樹脂磁石の製造方法において、
前記キャビティは、円環状芯金を同心的に受容する受容部を更に備え、
上記キャビティ内に上記樹脂原料を装填する際、事前に該受容部内に上記芯金を配置することにより、上記芯金と固着一体となった円環状樹脂成型体を得ることを特徴とする磁気エンコーダ用環状樹脂磁石の製造方法。 - 請求項1乃至4のいずれかに記載の磁気エンコーダ用環状樹脂磁石の製造方法において、
前記キャビティ内に、前記樹脂原料を紐状に押し出して装填することを特徴とする磁気エンコーダ用環状樹脂磁石の製造方法。 - 請求項1乃至5のいずれかに記載の磁気エンコーダ用環状樹脂磁石の製造方法において、
前記圧縮加熱成型時の加熱は、高周波誘導加熱によって行うことを特徴とする磁気エンコーダ用環状樹脂磁石の製造方法。
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