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JP2008258085A - 有機el層などの有機層の封止膜の形成方法 - Google Patents

有機el層などの有機層の封止膜の形成方法 Download PDF

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JP2008258085A
JP2008258085A JP2007101365A JP2007101365A JP2008258085A JP 2008258085 A JP2008258085 A JP 2008258085A JP 2007101365 A JP2007101365 A JP 2007101365A JP 2007101365 A JP2007101365 A JP 2007101365A JP 2008258085 A JP2008258085 A JP 2008258085A
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Abstract

【目的】 有機EL層などの有機層と封止膜との間に水分や酸素が介在することを防止でき、また封止膜の形成過程で有機EL層などの有機層が熱などで変質することを防止できる、有機EL層などの有機層の封止膜の形成方法を提供する。
【構成】 基板に有機EL層などの有機層を形成した後、ミラートロンスパッタ法により前記有機層及び/又は電極の上に封止膜を形成する工程を含むものである。また、基板に有機EL層などの有機層を形成した後、ミラートロンスパッタ法により前記有機層及び/又は電極の上に封止膜(スパッタされて叩き出された原子又は粒子を反応性ガスと反応させて成る化合物封止膜でもよい)を形成する工程と、さらに前記第1の封止膜の上にミラートロンスパッタ法によりスパッタされて叩き出された原子又は粒子を反応性ガスと反応させて化合物封止膜を形成する工程と、を含むものである。
【選択図】 図2

Description

本発明は、基板上に形成された有機エレクトロルミネッセンス層(有機EL層)などの有機材料から成る有機層を大気中の水分や酸素から封止するための封止膜の形成方法に関する。
従来より、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)は、ガラス基板上に、ITO(インジウム錫酸化物)層から成る透明電極(陽極)、有機EL層(有機発光層)、金属層から成る陰極が積層されて構成されている。そして、前記有機EL層は大気中の水分(水蒸気)や酸素によりダメージを受けるため、前記陰極形成後に、前記有機EL層及び陰極を大気中の水分や酸素から封止するための封止膜を形成するための方法が、種々提案されている。
例えば、図4に示すように、ガラス基板上にITO電極(陽極)、有機EL層、及び陰極から成る積層体を形成した後、大気中で、前記積層体の周囲を、前記ガラス基板とガラス封止缶とで囲むようにしてから両者間を紫外線硬化樹脂などの封止材で気密に封止し、その際に乾燥した不活性ガスを封入すると共に内部の水分を吸着するための乾燥部材を配置しておくことが行われている(例えば特許文献1参照)。
また、例えば、ガラス基板上にITO電極(陽極)、有機EL層、及び陰極から成る積層体を形成した後、プラズマCVD装置のチャンバ内で、前記積層体の上に、プラズマCVD法により窒化ケイ素や酸化ケイ素などの薄膜を形成し、これにより前記積層体を封止することが行われている(例えば特許文献2参照)。
特開平09−148066号公報 特開2005−285659号公報
しかしながら、前述のような有機EL層を含む積層体の周囲をガラス封止缶や紫外線硬化樹脂などを使用して気密に封止して内部に乾燥部材を配置する方法では、大気中で封止作業を行うため内部に水分が残存してしまい乾燥部材によっても水分を完全には除去できない、封止用の特別な部品を必要とするためコスト高となってしまう、などの問題がある。また、前述のような有機EL層を含む積層体の上にプラズマCVD法により窒化ケイ素や酸化ケイ素などの薄膜を形成する方法では、封止膜の形成過程で熱などにより有機EL層が変質してしまうなどの問題がある。
本発明はこのような従来技術の問題点に着目してなされたものであって、有機EL層などの有機層と封止膜との間に水分や酸素が介在することを防止でき、また封止膜の形成過程で有機EL層などの有機層が熱などで変質することを防止できる、有機EL層などの有機層の封止膜の形成方法を提供することを目的とする。
以上のような課題を解決するための本発明は、基板上に形成された有機エレクトロルミネッセンス層(有機EL層)などの有機材料から成る有機層を大気中の水分や酸素から封止するための封止膜の形成方法であって、基板に有機EL層などの有機層を形成した後、真空容器内に配置される一対のターゲットと前記各ターゲット間の空間を磁場空間とするための磁石とを含むミラートロンスパッタ装置を用意し、前記真空容器内の前記各ターゲット間の空間の側方に前記有機層が対向するように前記基板を配置する工程と、前記各ターゲット間に不活性ガスを供給すると共に前記各ターゲットにスパッタ電力を供給して前記ターゲットをスパッタし、このスパッタされて叩き出された原子又は粒子を前記基板の有機層及び/又はその上の電極の上に付着・堆積させることにより、前記有機層及び/又は電極の上に封止膜を形成する工程と、を含むことを特徴とするものである。
また、本発明は、基板上に形成された有機エレクトロルミネッセンス層(有機EL層)などの有機材料から成る有機層を大気中の水分や酸素から封止するための封止膜の形成方法であって、基板に有機EL層などの有機層を形成した後、真空容器内に配置される一対のターゲットと前記各ターゲット間の空間を磁場空間とするための磁石とを含むミラートロンスパッタ装置を用意し、前記真空容器内の前記各ターゲット間の空間の側方に前記有機層が対向するように前記基板を配置する工程と、前記各ターゲット間に不活性ガスを供給すると共に前記各ターゲットにスパッタ電力を供給して前記ターゲットをスパッタし、このスパッタされて叩き出された原子又は粒子を前記基板の有機層及び/又はその上の電極の上に付着・堆積させることにより、前記有機層及び/又は電極の上に封止膜を形成する工程と、前記封止膜の形成後、前記各ターゲット間に不活性ガスを供給し前記各ターゲットにスパッタ電力を供給して前記ターゲットをスパッタすると共に、前記基板の近傍に反応性ガスを供給することにより、前記スパッタされて叩き出された原子又は粒子を前記反応性ガスと反応させて化合物封止膜を前記封止膜の上に形成する工程と、を含むことを特徴とするものである。
また、本発明は、基板上に形成された有機エレクトロルミネッセンス層(有機EL層)などの有機材料から成る有機層を大気中の水分や酸素から封止するための封止膜の形成方法であって、基板に有機EL層などの有機層を形成した後、真空容器内に配置される一対のターゲットと前記各ターゲット間の空間を磁場空間とするための磁石とを含むミラートロンスパッタ装置を用意し、前記真空容器内の前記各ターゲット間の空間の側方に前記有機層が対向するように前記基板を配置する工程と、前記各ターゲット間に不活性ガスを供給し、前記各ターゲットにスパッタ電力を供給して前記ターゲットをスパッタすると共に、前記基板の近傍に第1の反応性ガスを供給することにより、前記スパッタされて叩き出された原子又は粒子を前記第1の反応性ガスと反応させて第1の化合物封止膜を前記基板の有機層及び/又はその上の電極の上に形成する工程と、前記第1の化合物封止膜の形成後、前記各ターゲット間に不活性ガスを供給し、前記各ターゲットにスパッタ電力を供給して前記ターゲットをスパッタすると共に、前記基板の近傍に第2の反応性ガスを供給することにより、前記スパッタされて叩き出された原子又は粒子を前記第2の反応性ガスと反応させて第2の化合物封止膜を前記第1の化合物薄膜の上に形成する工程と、を含むことを特徴とするものである。
さらに、本発明による有機EL層などの有機層の封止膜の形成方法においては、前記封止膜の形成後、前記基板を大気中に出して、前記封止膜の上に、前記封止膜を機械的衝撃から保護するための衝撃保護用の膜又はシートを配置又は固定する工程、を含むことが望ましい。
本発明においては、基板に有機EL層などの有機層を形成した後、ミラートロンスパッタ法(対向ターゲットスパッタ法)により前記ターゲットからスパッタされて叩き出された原子又は粒子を前記基板の有機層及び/又はその上の電極の上に付着・堆積させ、これにより前記有機層を大気中の酸素や水分から封止するための封止膜を形成するようにしている。したがって、本発明においては、前記封止膜の形成を真空容器中で行うようにしているので、前記特許文献1に示す従来例のように有機EL層などの有機層と封止膜との間に水分や酸素が介在してしまうという不都合を防止することができる。また、本発明においては、ミラートロンスパッタ法により前記封止膜を形成するようにしているので、前記特許文献2に示す従来例のように封止膜の形成過程で有機EL層などの有機層が熱などで変質してしまうという不都合を防止することができる。
特に、本発明においては、前述のようにミラートロンスパッタ法により有機EL層などの上に封止膜を形成するようにしているので、封止膜の形成過程で有機EL層にダメージを与える恐れがほとんどない。すなわち、仮にミラートロンスパッタ法以外の既存のスパッタ法(マグネトロンスパッタ法など)で前記封止膜を形成するようにしたときは、スパッタプラズマ内の高エネルギー電子が基板の有機EL層に衝突して有機EL層を破壊してしまう。これに対して、ミラートロンスパッタ法によるときは、スパッタプラズマ内の高エネルギー電子は両ターゲット間の磁場空間内に閉じ込められるので、高エネルギー電子が基板の有機EL層に衝突することが無いので、有機EL層が破壊される恐れがない。
また、本発明において、前述のようにミラートロンスパッタ法により前記有機層の封止膜を形成した後に、さらにミラートロンスパッタ法によりスパッタされて叩き出された原子又は粒子を反応性ガスと反応させて成る化合物封止膜を前記封止膜の上に形成するようにしたときは、互いに材質が異なる多層の封止膜を形成できるので、大気中の水分や酸素からの封止効果をより高めることができる。また、特に、本発明においては、前記封止膜の形成後に、同じ真空容器内でターゲットも同じままで、反応性ガスを基板の近傍に導入するだけで、前記封止膜の上に前記化合物封止膜を形成するようにしているので、前述のような多層の封止膜の形成が極めて容易に低コストで行えるようになる。
また、本発明において、前述のようにミラートロンスパッタ法によりスパッタされて叩き出された原子又は粒子を第1の反応性ガスと反応させて成る第1の化合物封止膜を形成した後に、さらにミラートロンスパッタ法によりスパッタされて叩き出された原子又は粒子を第2の反応性ガスと反応させて成る第2の化合物封止膜を前記第1の化合物封止膜の上に形成するようにしたときは、互いに材質が異なる多層の化合物封止膜を形成できるので、大気中の水分や酸素からの封止効果をより高めることができる。また、特に、本発明においては、前記第1の反応性ガスと反応させて成る前記第1の化合物封止膜の形成後に同じ真空容器内でターゲットも同じままで、導入する反応性ガスの種類を代えるだけで、第2の反応性ガスと反応させて成る第2の化合物封止膜を前記第1の化合物封止膜の上に形成するようにしているので、前述のような多層の封止膜の形成が極めて容易に低コストで行えるようになる。
さらに、本発明において、前記封止膜の形成後、前記基板を大気中に出して、前記封止膜の上に、前記封止膜を機械的衝撃から保護するための衝撃保護用の膜又はシートを配置又は固定するようにしたときは、前記封止膜を機械的衝撃から保護し、大気中の水分や酸素からの封止効果をより確実に保持できるようになる。
本発明を実施するための最良の形態は、以下の実施例1について述べるような形態である。
以下、本発明の実施例1による有機EL層の封止膜の形成方法を説明する。図1は本実施例1で使用するミラートロンスパッタ装置の概略構成を示す図である。図1において、1は例えばシリコンから成り平面が略円板状に形成された一対のターゲットである。前記各ターゲット1は、互いに所定の距離を介して対向配置されている。また、2は前記各ターゲット1の外周部に沿うように断面が略円形に形成されている略リング状の磁石である。前記磁石2は、互いに対向する部分が対極となるように、前記各ターゲット1の背面側にそれぞれ配置されている。また、3は被処理物としての基板(詳細は後述)で、前記各ターゲット1間の空間Hの側方(図示上方)に配置されている。なお、前記のターゲット1、及び基板3などはいずれも図示しない真空容器内に収容されている。また、図1において、基板3の図示下面側の有機膜(有機EL層)の上のSiNx、SiOx、SiNxの文字で示す部分はそれぞれ後述の実施例1又は実施例2により形成される封止膜である。
また、図1において、5は前記真空容器側をアノード(陽極)に前記ターゲット1をカソード(陰極)にしてスパッタ電力を供給するためのスパッタ電源、6は図示しないスパッタガス導入口から前記真空容器内の前記各ターゲット1の側方近傍に導入されるアルゴンなどの不活性ガス(スパッタガス)、7は前記基板3の近傍に向けて必要に応じて酸素ガスや窒素ガスなどの反応性ガスを導入するための反応性ガス導入口、である。
また、図2(a)は前記基板3の一例を示す図である。図2(a)において、11はガラス基板、12は前記ガラス基板11の上に形成されたITO透明電極(陽極)、13は前記ITO透明電極12の上に形成された有機EL層、14は前記有機EL層13の上に形成された金属から成る陰極である。本実施例1では、この図2(a)に示すようなガラス基板11の上に有機EL層13及び各電極12,14が形成されて成る基板3が、図1に示すように、前記各ターゲット1間の磁場空間Hの側方に前記有機EL層13が前記磁場空間Hと対向するように配置される。
次に本実施例1の動作を説明する。図1において、前述のように、前記各ターゲット1の背面側にはそれぞれ略円形リング状の磁石2が配置されているため、前記一対のターゲット1間の空間Hは、一方の磁石2から他方の磁石2に向かう方向(前記各ターゲット1のスパッタ面と略垂直な方向)に磁力線が走る磁場空間となる。前記両ターゲット1間の空間Hは、その周辺部(前記略円板状のターゲット1の外周に対向する略リング状部分=前記各磁石2に対向する略リング状部分)が磁束密度が高く、その内側の中央部が磁束密度が低い状態となっている。
図1において、前記真空容器内を真空排気した後、アルゴンガスを導入し、その後、前記各ターゲット1を陰極とすべく電圧を印加すると、前記両ターゲット1間に存在するアルゴンなどのスパッタガスはイオン化してプラズマとなり、またこれによって生じたArなどの陽イオンがターゲット1に入射してスパッタを起こす。なお、この段階では、前記反応性ガス導入口7からは酸素ガスや窒素ガスなどの反応性ガスは導入されていない。
このとき、前述のように前記両ターゲット1間にはスパッタ面と略垂直な磁界が印加されているので、前記各ターゲット1間の空間H内では、高エネルギー電子が閉じ込められ、この高エネルギー電子が前記スパッタガスとの衝突を繰り返すことにより前記スパッタガスのイオン化が促進され、その結果、スパッタイオン数の増大化により前記ターゲット1のスパッタ速度が高められる。前記各ターゲット1からスパッタされて叩き出された原子又は粒子は、前記基板3の前記有機EL層13及び各電極12,14の露出部分(図2(a)参照)に付着・堆積し、シリコンの封止膜15を形成する(図2(b)参照)。
前記封止膜15を形成した後、次の段階として、前記真空容器内で、前記ターゲット1はそのままで、前記アルゴンガスを導入し且つ前記各ターゲット1を陰極とすべく電圧を印加して前記ターゲット1をスパッタしながら、前記反応性ガス導入口7から、例えば窒素ガスを前記基板3の近傍に導入する。これにより、前記スパッタされて叩き出された原子又は粒子は前記シリコン封止膜15の上に付着・堆積するが、その際、前記反応性ガスと反応して、窒化ケイ素の封止膜16が前記シリコン封止膜15の上に形成される(図2(c)参照)。
さらに、前記窒化ケイ素の封止膜16を形成した後、前記基板3を大気中に出して、前記封止膜16の上に、前記封止膜16を機械的衝撃から保護するため、公知の金属製・ガラス製又は樹脂製の膜23又はシートを公知の方法で配置又は固定して、製品としての有機EL表示パネルを製造する(図2(d)参照)。
以上のように、本実施例1においては、ガラス基板11に有機EL層13を形成した後、ミラートロンスパッタ法により真空容器中で前記有機EL層13及び電極12,14の上に封止膜15を形成するようにしているので、従来技術の問題点であった有機EL層13と封止膜15,16との間に水分や酸素が介在してしまうという不都合を防止することができると共に、従来技術の問題点であった封止膜15,16の形成過程で有機EL層13が熱などで変質してしまうという不都合を防止することができる。
また、本実施例1では、ミラートロンスパッタ法により有機EL層13などの上に封止膜15,16を形成するとき、スパッタプラズマ内の高エネルギー電子は両ターゲット間の磁場空間内に閉じ込められているので、前記高エネルギー電子が有機EL層13に衝突してこれを破壊してしまうことが防止され、封止膜15,16の形成過程で有機EL層にダメージを与える恐れがない。
また、本実施例1においては、ミラートロンスパッタ法により前記有機EL層13の上に形成したシリコンの封止膜15の上に、さらにミラートロンスパッタ法により窒化ケイ素の封止膜16を形成するようにし、これにより互いに材質が異なる多層の封止膜15,16を形成するようにしているので、大気中の水分や酸素からの封止効果をより高めることができる。また、特に、本実施例1では、前記封止膜15の形成後に、同じ真空容器内でターゲット1も同じままで、反応性ガス(例えば窒素ガス)を基板3の近傍に導入するだけで、前記窒化ケイ素の封止膜16を前記シリコンの封止膜15の上に形成するようにしているので、前述のような多層の封止膜15,16の形成が極めて容易に且つ低コストで行えるようになる。
さらに、本実施例1において、前記窒化ケイ素の封止膜16の形成後、前記基板3を大気中に出して、前記封止膜16の上に、前記封止膜16を機械的衝撃から保護するための公知の衝撃保護用の膜23又はシートを配置又は固定するようにしたときは、前記封止膜16を機械的衝撃から保護し、大気中の水分や酸素からの封止効果をより確実に保持することができる。
次に、本発明の実施例2による有機EL層の封止膜の形成方法を説明する。本実施例2で使用するミラートロンスパッタ装置は前記実施例1と同様であるので説明を省略し、本実施例2による動作を以下に説明する。
図1のミラートロンスパッタ装置において、前記真空容器内を真空排気した後、アルゴンガスを導入し、その後、前記各ターゲット1を陰極とすべく電圧を印加すると、前記両ターゲット1間に存在するアルゴンなどのスパッタガスはイオン化してプラズマとなり、またこれによって生じたArなどの陽イオンがターゲット1に入射してスパッタを起こす。本実施例2では、この段階で、前記反応性ガス導入口7からは反応性ガスとして例えば窒素ガスを前記基板3の近傍に導入するようにしている。
このとき、前述のように前記両ターゲット1間にはスパッタ面と略垂直な磁界が印加されているので、前記各ターゲット1間の空間H内では、高エネルギー電子が閉じ込められ、この高エネルギー電子が前記スパッタガスとの衝突を繰り返すことにより前記スパッタガスのイオン化が促進され、その結果、スパッタイオン数の増大化により前記ターゲット1のスパッタ速度が高められる。前記各ターゲット1からスパッタされて叩き出された原子又は粒子は、前記基板3の前記有機EL層13及び各電極12,14の露出部分に付着・堆積するが、その際、前記反応性ガス導入口7から導入された窒素ガスと反応して、窒化ケイ素の封止膜21が前記有機EL層13及び各電極12,14の露出部分(図3(a)参照)に形成される(図3(b)参照)。
前記窒化ケイ素の封止膜21を形成した後、次の段階として、前記真空容器内で、前記ターゲット1はそのままで、前記アルゴンガスを導入し且つ前記各ターゲット1を陰極とすべく電圧を印加して前記ターゲット1をスパッタしながら、前記反応性ガス導入口7から前記窒素ガスとは異なる反応性ガスとして例えば酸素ガスを前記基板3の近傍に導入する。これにより、前記スパッタされて叩き出された原子又は粒子は前記窒化ケイ素の封止膜21の上に付着・堆積するが、その際、前記酸素ガスと反応して、酸化ケイ素の封止膜22が前記窒化ケイ素の封止膜21の上に形成される(図3(c)参照)。
さらに、前記酸化ケイ素の封止膜22を形成した後、前記基板3を大気中に出して、前記封止膜22の上に、前記封止膜22を機械的衝撃から保護するため、公知の金属製・ガラス製又は樹脂製の膜23又はシートを公知の方法で配置又は固定して、製品としての有機EL表示パネルを製造する(図3(d)参照)。
以上のように、本実施例2においては、前述のようにミラートロンスパッタ法によりスパッタされて叩き出された原子又は粒子をまず窒素ガスと反応させて窒化ケイ素の封止膜21を形成し、その後、さらにミラートロンスパッタ法によりスパッタされて叩き出された原子又は粒子を前記酸素ガスと反応させて酸化ケイ素の封止膜22を前記窒化ケイ素の封止膜21の上に形成するというように、互いに材質が異なる多層の化合物封止膜を前記有機EL層12の上に形成するようにしているので、大気中の水分や酸素からの封止効果をより高めることができる。また、特に、本発明においては、前記窒素ガスと反応させて成る前記窒化ケイ素の封止膜21の形成後に、同じ真空容器内でターゲットも同じままで、導入する反応性ガスを窒素ガスから酸素ガスに代えるだけで、前記酸素ガスと反応させて成る酸化ケイ素の封止膜22を前記窒化ケイ素の封止膜の上に形成するようにしているので、前述のような多層の封止膜21,22の形成が極めて容易に且つ低コストで行えるようになる。これ以外の本実施例2の効果は前記実施例1と同様であるので説明を省略する。
以上、本発明の各実施例について説明したが、本発明及び本発明を構成する各構成要件は、それぞれ、前記の各実施例及び前記の各実施例を構成する各要素として述べたものに限定されるものではなく、様々な修正及び変更が可能である。例えば、前記実施例1においては窒化ケイ素の封止膜16(図2(c)参照)の上に、また前記実施例2においては酸化ケイ素の封止膜22(図3(c)参照)の上に、衝撃保護用の金属製・ガラス製又は樹脂製の膜23(図2(d)又は図3(d)を参照)などを配置又は固定するようにしたが、本発明では、前記実施例1における前記有機EL層13及び各電極12,14の露出部分の上に形成されたシリコンの封止膜15(図2(b)参照)の上に、又は前記実施例2における前記有機EL層13及び各電極12,14の露出部分の上に形成された窒化ケイ素の封止膜21(図3(b)参照)の上に、衝撃保護用の金属製・ガラス製又は樹脂製の膜23(図2(d)又は図3(d)を参照)などを配置又は固定するようにしてもよい。また、前記の各実施例1,2においては前記封止膜15,16,21,22により大気中の水分や酸素から封止する有機層として有機EL層13を例示したが、本発明ではこれに限られるものではなく、例えば有機トランジスタ層などの他の有機半導体層などでもよいことはもちろんである。
本発明の実施例1に使用するミラートロンスパッタ装置の構成を説明するための概略図。 本実施例1の動作を説明するための図。 本発明の実施例2の動作を説明するための図。 従来の有機EL層を大気中の水分や酸素から封止する封止層を形成する方法の一例を説明するための図。
符号の説明
1 ターゲット
2 磁石
3 基板
5 スパッタ電源
6 不活性ガス
7 反応性ガス導入口
8 スパッタされて叩き出された原子又は粒子
H 両ターゲット間の磁場空間
11 ガラス基板
12 ITO透明電極(陽極)
13 有機EL層
14 陰極
15 シリコン封止膜
16,21 窒化ケイ素封止膜
22 酸化ケイ素封止膜
23 (衝撃保護用の)膜

Claims (4)

  1. 基板上に形成された有機エレクトロルミネッセンス層(有機EL層)などの有機材料から成る有機層を大気中の水分や酸素から封止するための封止膜の形成方法であって、
    基板に有機EL層などの有機層を形成した後、真空容器内に配置される一対のターゲットと前記各ターゲット間の空間を磁場空間とするための磁石とを含むミラートロンスパッタ装置を用意し、前記真空容器内の前記各ターゲット間の空間の側方に前記有機層が対向するように前記基板を配置する工程と、
    前記各ターゲット間に不活性ガスを供給すると共に前記各ターゲットにスパッタ電力を供給して前記ターゲットをスパッタし、このスパッタされて叩き出された原子又は粒子を前記基板の有機層及び/又はその上の電極の上に付着・堆積させることにより、前記有機層及び/又は電極の上に封止膜を形成する工程と、
    を含むことを特徴とする、有機EL層などの有機層の封止膜の形成方法。
  2. 基板上に形成された有機エレクトロルミネッセンス層(有機EL層)などの有機材料から成る有機層を大気中の水分や酸素から封止するための封止膜の形成方法であって、
    基板に有機EL層などの有機層を形成した後、真空容器内に配置される一対のターゲットと前記各ターゲット間の空間を磁場空間とするための磁石とを含むミラートロンスパッタ装置を用意し、前記真空容器内の前記各ターゲット間の空間の側方に前記有機層が対向するように前記基板を配置する工程と、
    前記真空容器内で、前記各ターゲット間に不活性ガスを供給すると共に前記各ターゲットにスパッタ電力を供給して前記ターゲットをスパッタし、このスパッタされて叩き出された原子又は粒子を前記基板の有機層及び/又はその上の電極の上に付着・堆積させることにより、前記有機層及び/又は電極の上に封止膜を形成する工程と、
    前記封止膜の形成後、前記真空容器内で、前記各ターゲット間に不活性ガスを供給し前記各ターゲットにスパッタ電力を供給して前記ターゲットをスパッタすると共に、前記基板の近傍に反応性ガスを供給することにより、前記スパッタされて叩き出された原子又は粒子を前記反応性ガスと反応させて化合物封止膜を前記封止膜の上に形成する工程と、
    を含むことを特徴とする、有機EL層などの有機層の封止膜の形成方法。
  3. 基板上に形成された有機エレクトロルミネッセンス層(有機EL層)などの有機材料から成る有機層を大気中の水分や酸素から封止するための封止膜の形成方法であって、
    基板に有機EL層などの有機層を形成した後、真空容器内に配置される一対のターゲットと前記各ターゲット間の空間を磁場空間とするための磁石とを含むミラートロンスパッタ装置を用意し、前記真空容器内の前記各ターゲット間の空間の側方に前記有機層が対向するように前記基板を配置する工程と、
    前記真空容器内で、前記各ターゲット間に不活性ガスを供給し、前記各ターゲットにスパッタ電力を供給して前記ターゲットをスパッタすると共に、前記基板の近傍に第1の反応性ガスを供給することにより、前記スパッタされて叩き出された原子又は粒子を前記第1の反応性ガスと反応させて第1の化合物封止膜を前記基板の有機層及び/又はその上の電極の上に形成する工程と、
    前記第1の化合物封止膜の形成後、前記真空容器内で、前記各ターゲット間に不活性ガスを供給し、前記各ターゲットにスパッタ電力を供給して前記ターゲットをスパッタすると共に、前記基板の近傍に第2の反応性ガスを供給することにより、前記スパッタされて叩き出された原子又は粒子を前記第2の反応性ガスと反応させて第2の化合物封止膜を前記第1の化合物薄膜の上に形成する工程と、
    を含むことを特徴とする、有機EL層などの有機層の封止膜の形成方法。
  4. 請求項1から3までのいずれかにおいて、
    前記封止膜の形成後、前記基板を大気中に出して、前記封止膜の上に、前記封止膜を機械的衝撃から保護するための衝撃保護用の膜又はシートを配置又は固定する工程、を含むことを特徴とする、有機EL層などの有機層の封止膜の形成方法。
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