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JP2008253021A - 駆動装置 - Google Patents

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JP2008253021A JP2007089400A JP2007089400A JP2008253021A JP 2008253021 A JP2008253021 A JP 2008253021A JP 2007089400 A JP2007089400 A JP 2007089400A JP 2007089400 A JP2007089400 A JP 2007089400A JP 2008253021 A JP2008253021 A JP 2008253021A
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Takeshi Ichinomiya
武史 一宮
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  • General Electrical Machinery Utilizing Piezoelectricity, Electrostriction Or Magnetostriction (AREA)

Abstract

【課題】被駆動部材の移動速度の高速化を図ることができる駆動装置を提供すること。
【解決手段】圧電素子1に駆動軸2を取り付けたアクチュエータ10を有し、駆動信号を入力して圧電素子1を伸縮させ、圧電素子1の伸縮動作に応じて駆動軸2を往復運動させて被駆動部材3を移動させる駆動装置であって、駆動信号としてパルス信号が用いられ、その駆動信号のハイ出力時間及びロー出力時間のうち短い方の出力時間としてアクチュエータ10において最も低い共振周波数の逆数に相当する周期時間の1/2の時間が設定されている。これにより、被駆動部材3の移動速度の高速化を図ることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、圧電素子などの電気機械変換素子を用いた駆動装置に関するものである。
従来、圧電素子などの電気機械変換素子を用いた駆動装置として、電圧が印加されると伸縮する電気機械変換素子、その電気機械変換素子の伸縮方向一端に固定された駆動摩擦部材、その駆動摩擦部材に摩擦力で係合する係合部材、及び電気機械変換素子に電圧を印加する駆動回路を備えたものが知られている(例えば、特許文献1)。
特許第3646154号公報
特許文献1の駆動装置は、電気機械変換素子に所定の駆動信号を入力することにより、安定した低速駆動を行おうとするものであるが、この種の駆動装置において、駆動効率を向上させて被移動部材をできるだけ高速で移動できることが望ましい。
そこで本発明は、このような技術課題を解決するためになされたものであって、被駆動部材の移動速度の高速化を図ることができる駆動装置を提供することを目的とする。
すなわち本発明に係る駆動装置は、電気機械変換素子に駆動軸を取り付けたアクチュエータを有し、駆動信号を入力して前記電気機械変換素子を伸縮させ、前記電気機械変換素子の伸縮動作に応じて前記駆動軸を往復運動させて、前記駆動軸に摩擦係合させた被駆動部材を移動させる駆動装置において、前記駆動信号としてパルス信号が用いられ、前記駆動信号のハイ出力時間及びロー出力時間のうち短い方の出力時間として前記アクチュエータにおいて最も低い共振周波数の逆数に相当する周期時間の1/2の時間が設定されていることを特徴とする。
この発明によれば、電気機械変換素子の駆動信号としてパルス信号を用い、駆動信号のハイ出力時間及びロー出力時間のうち短い方の出力時間としてアクチュエータにおいて最も低い共振周波数の逆数に相当する周期時間の1/2の時間を設定することにより、被駆動部材の移動速度の高速化を図ることができる。
また本発明に係る駆動装置において、前記駆動信号の中でオフ出力が設定されている場合には、ハイ出力又はロー出力の後のオフ出力をそのハイ出力時間又はロー出力時間に含めて前記ハイ出力時間及びロー出力時間のうち短い方の出力時間が設定されていることが好ましい。
さらに本発明に係る駆動装置において、前記アクチュエータは、前記電気機械変換素子の伸縮方向の側方側から支持されて取り付けられ、その両端が伸縮方向へ移動可能な自由端となっていることが好ましい。
本発明によれば、駆動信号のハイ出力時間及びロー出力時間のうち短い方の出力時間としてアクチュエータにおいて最も低い共振周波数の逆数に相当する周期時間の1/2の時間を設定することにより、被駆動部材の移動速度の高速化を図ることができる。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本実施形態に係る駆動装置の断面図である。図1に示すように、本実施形態に係る駆動装置は、圧電素子1に駆動軸2を取り付けたアクチュエータ10を有し、圧電素子1の伸縮に応じて駆動軸2を往復移動させ、駆動軸2に摩擦係合される被駆動部材3を駆動軸2に沿って移動させる装置である。
圧電素子1は、駆動信号の入力により伸縮可能な電気機械変換素子であり、所定の方向へ伸長及び収縮可能となっている。この圧電素子1は、制御部81に接続され、その制御部81により電気信号を入力されることにより伸縮する。例えば、圧電素子1には、二つの入力端子11a、11bが設置される。この入力端子11a、11bに印加される電圧を繰り返して増減させることにより、圧電素子1が伸長及び収縮を繰り返すこととなる。
なお、電気機械変換素子としては駆動信号の入力により伸縮するものであれば、圧電素子1以外のものを用いてもよい。
駆動軸2は、圧電素子1の伸縮方向に長手方向を向けて圧電素子1に取り付けられている。例えば、駆動軸2の一端が圧電素子1に当接され接着剤21を用いて接着されている。この駆動軸2は、長尺状の部材であり、例えば円柱状のものが用いられる。駆動軸2は、固定枠4から内側へ延びる仕切り部4a、仕切り部4cにより長手方向に沿って移動可能に支持されている。仕切り部4b、仕切り部4cは、被駆動部材3の移動領域を仕切るための部材であり、駆動軸2の支持部材としても機能している。固定枠4は、圧電素子1、駆動軸2及び被駆動部材などを収容し組み付けるための筐体として機能する。
駆動軸2の材質は、軽く高剛性のものが適しており、その条件を満たすものとしてはベリリウムが理想的であるが、この材料は稀少金属であるため高価で且つ加工性が悪いという欠点を持っている。そこで本実施形態においては、黒鉛結晶を強固に複合させた黒鉛複合体、例えばカーボングラファイトが用いられる。(ここで、黒鉛複合体とは炭素の六角板状結晶体であるグラファイトとグラファイト以外の物質との複合体を意味し、カーボングラファイトとはグラファイトと無定形炭素からなる物質を意味する。また、グラファイトは黒鉛とも言われる。)この黒鉛複合体であるカーボングラファイトは、ベリリウムと似た特性を有しながら(ベリリウムの比重は約1.85、カーボングラファイトの比重は約1.8である)、ベリリウムと異なって比較的安価であり加工しやすいという特性を有している。なお、駆動軸2の形状は円柱状に限定されるものではなく、角柱状でもよい。
仕切り部4b、仕切り部4cには、駆動軸2を貫通させる貫通孔4aがそれぞれ形成されている。仕切り部4bは、駆動軸2の圧電素子1取付部分の近傍箇所、すなわち駆動軸2の基端箇所を支持している。仕切り部4cは、駆動軸2の先端箇所を支持している。駆動軸2は、圧電素子1に取り付けられることにより、圧電素子1の伸長及び収縮の繰り返し動作に応じて、その長手方向に沿って往復移動する。
なお、図1では、駆動軸2を仕切り部4b、4cによりその先端側と基端側の二箇所で支持する場合を示しているが、駆動軸2をその先端側又は基端側の一方で支持する場合もある。例えば、仕切り部4bの貫通孔4aを駆動軸2の外径より大きく形成することにより、駆動軸2が仕切り部4cにより先端箇所のみで支持されることとなる。また、仕切り部4cの貫通孔4aを駆動軸2の外径より大きく形成することにより、駆動軸2が仕切り部4bにより基端箇所のみで支持されることとなる。
また、図1では、駆動軸2を支持する仕切り部4b、4cが固定枠4と一体になっている場合について示したが、これらの仕切り部4b、4cは固定枠4と別体のものを固定枠4に取り付けて設けてもよい。別体の場合であっても、一体となっている場合と同様な機能、効果が得られる。
被駆動部材3は、駆動軸2に移動可能に取り付けられている。この被駆動部材3は、駆動軸2に対し摩擦係合されて取り付けられ、駆動軸2の長手方向に沿って移動可能となっている。例えば、被駆動部材3は、板バネ7により駆動軸2に圧接されて所定の摩擦係数で係合しており、一定の押圧力で駆動軸2に押し付けられることによってその移動の際に一定の摩擦力が生ずるように取り付けられている。この摩擦力を超えるように駆動軸2が移動することにより、慣性により被駆動部材3がその位置を維持し、その被駆動部材3に対し相対的に駆動軸2が移動する。
圧電素子1は、支持部材5により固定枠4に取り付けられている。支持部材5は、圧電素子1をその伸縮方向に対して側方から支持して取り付けるものであり、圧電素子1と固定枠4との間に配設されている。この場合、支持部材5により圧電素子12をその伸縮方向と直交する方向から支持することが好ましい。この支持部材5は、圧電素子1を側方から支持して取り付ける取付部材として機能している。
このように支持部材5によりアクチュエータ10が圧電素子1の伸縮方向に対し側方側から支持されており、アクチュエータ10の両端は圧電素子1の伸縮方向へ移動可能な自由端となっている。このため、アクチュエータ10が駆動しても圧電素子1の伸縮による振動が固定枠4側へ伝達されにくい構造となっている。従って、アクチュエータ10の駆動信号をアクチュエータ10自体の共振周波数に関連づけて設定することが有効となっている。
支持部材5は、所定以上の弾性特性を有する弾性体により形成され、例えばシリコーン樹脂により形成される。支持部材5は、圧電素子1を挿通させる挿通孔5aを形成して構成され、その挿通孔5aに圧電素子1を挿通させた状態で固定枠4に組み付けられている。支持部材5の固定枠4への固着は、接着剤22による接着により行われる。また、支持部材5と圧電素子1の間の固着も、接着剤による接着により行われる。この支持部材5を弾性体によって構成することにより、圧電素子1をその伸縮方向に移動可能に支持することができる。図1において、支持部材5が圧電素子1の両側に二つ図示されているが、この支持部材5、5は環状の支持部材5の断面をとることによって二つに図示されたものである。
なお、支持部材5の固定枠4への固着及び圧電素子1への固着は、固定枠4と圧電素子1の間に支持部材5を圧入し、支持部材5の押圧によって行ってもよい。例えば、支持部材5を弾性体により構成し、かつ、固定枠4と圧電素子1の間より大きく形成して、その間に圧入して設置する。これにより、支持部材5は、固定枠4及び圧電素子1に密着して配設される。この場合、圧電素子1は、支持部材5により伸縮方向に直交する方向の両側から押圧される。これによって、圧電素子1が支持される。
また、ここでは支持部材5をシリコーン樹脂で形成する場合について説明したが、支持部材5をバネ部材により構成してもよい。例えば、固定枠4と圧電素子1の間にバネ部材を配置し、このバネ部材によって圧電素子1を固定枠4に対し支持してもよい。
被駆動部材3には、レンズ枠91を介して移動レンズ90が取り付けられている。移動レンズ90は、カメラの撮影光学系を構成するものであり、駆動装置の移動対象物となるものである。この移動レンズ90は、被駆動部材3と一体的に設けられ、被駆動部材3と共に移動するように設けられている。移動レンズ90の光軸O上には、図示しない固定レンズなどが配設され、カメラの撮影光学系を構成している。また、光軸O上には、撮像素子82が配設されている。撮像素子82は、撮影光学系により結像された画像を電気信号に変換する撮像手段であり、例えばCCDにより構成される。撮像素子82は、制御部81と接続されており、画像信号を制御部81に出力する。
圧電素子1の端部には、錘部材6が取り付けられている。錘部材6は、圧電素子1の伸縮力を駆動軸2側へ伝達させるための部材であって、圧電素子1の駆動軸2が取り付けられる端部と反対側の端部に取り付けられている。
この錘部材6は、アクチュエータ10の一部を構成する部品である。錘部材6としては、駆動軸2より重いものが用いられる。また、錘部材6として、弾性変形可能な部材に金属粉を混入させたものを用いることが好ましい。金属粉を混入させることにより重量を大きくすることができ、弾性変形可能な部材を用いることにより圧電素子1の作動時における不要な共振を減衰させることができる。
錘部材6の材質は、圧電素子1及び駆動軸2よりもヤング率の小さい材料のものが用いられる。錘部材6のヤング率としては、1GPa以下が好ましく、300MPa以下がより好ましい。このような錘部材6は、ゴム等の弾性体に比重の大きい金属粉を混ぜ合わせることによって形成され、例えばウレタンゴムやウレタン樹脂にタングステンの粉末を混合することによって製造される。錘部材6の比重は、装置の小型化のためにできるだけ高いことが好ましく、例えば8〜12程度に設定される。また、ウレタンゴムやウレタン樹脂にタングステンの粉末を混合することによって製造される錘部材6のヤング率は60MPa程度、比重は11.7程度となる。したがって、錘部材6を出来るだけ小さい体積で設計する場合は、出来るだけ比重が大きく且つヤング率の小さい組み合わせが最適となるが、錘部材6は駆動軸2の比重より大きく(比重1.8以上)、且つヤング率が1GPa以下のものであれば利用可能である。すなわち、比重をヤング率で除した数値(比重/ヤング率)が1.8×10−9 以上であれば錘部材6として適している。なお、錘部材6と圧電素子1とを固着する接着剤としては、弾性接着剤を用いることが好ましい。
また、錘部材6は、固定枠4に対し支持固定されない状態で設けられている。すなわち、錘部材6は、圧電素子1の自由端に取り付けられ、固定枠4に対し直接支持されたり固定されておらず、また接着剤や樹脂材を介して固定枠4に対し動きを拘束されるように支持されたり固定されていない状態で設けられている。
駆動装置には、被駆動部材3の移動位置を検出する検出器83が設けられている。検出器83としては、例えば光学式の検出器が用いられ、フォトリフレクタ、フォトインタラプタなどが用いられる。具体的には、検出器83としてリフレクタ83a、検出部83bを備えたものを用いる場合、被駆動部材3と一体に形成されるレンズ枠91にリフレクタ83aを取り付け、検出部83bからリフレクタ83a側へ検出光を出射し、リフレクタ83a側で反射してくる反射光を検出部83bで検出することにより被駆動部材3及び移動レンズ90の移動位置を検出する。
検出器83は、制御部81に接続されている。検出器83の出力信号は制御部81に入力される。制御部81は、駆動装置全体の制御を行うものであり、例えばCPU、ROM、RAM、入力信号回路、出力信号回路などにより構成される。また、制御部81は、圧電素子1を作動させるための駆動回路を備えており、圧電素子1に対し駆動のための電気信号を出力する。
図2は、図1のII−IIにおける被駆動部材3の摩擦係合部分の断面図である。
図2に示すように、被駆動部材3は、板バネ7により駆動軸2を押圧することにより、駆動軸2に取り付けられている。例えば、被駆動部材3には、駆動軸2を位置決めするためのV字状の溝3aが形成される。その溝3aには、断面V字状の摺動板3bが配置され、その摺動板3bを介して駆動軸2が被駆動部材3に押圧される。
また、板バネ7と被駆動部材3との間には、断面V字状の摺動板3cが配設され、板バネ7は、この摺動板3cを介して被駆動部材3を押圧する。このため、摺動板3b、3cが互いに凹部側を向き合わせて配置され、駆動軸2を挟んで設けられている。V字状の溝3a内に駆動軸2を収容することにより、被駆動部材3を安定して駆動軸14に取り付けることができる。
板バネ7としては、例えば、断面L字状の板バネ材が用いられる。板バネ7一辺を被駆動部材3に掛止させ、他の一辺を溝3aの対向位置に配することにより、他の一辺により溝3aに収容される駆動軸2を被駆動部材3との間に挟み込むことができる。
このように、被駆動部材3は、板バネ7により被駆動部材3を駆動軸2側に一定の力で押圧して取り付けられることにより、駆動軸2に対し摩擦係合される。すなわち、被駆動部材3は、駆動軸2に対し被駆動部材3が一定の押圧力で押し付けられ、その移動に際し一定の摩擦力が生ずるように取り付けられる。
また、断面V字状の摺動板3b、3cにより駆動軸2を挟み込むことにより、被駆動部材3が駆動軸2に複数箇所で線接触することになり、駆動軸2に対し安定して摩擦係合させることができる。また、複数箇所の線接触状態により被駆動部材3が駆動軸2に係合しているため、実質的に被駆動部材3が駆動軸2に面接触状態で係合していると同様な係合状態となり、安定した摩擦係合が実現できる。
図3は、圧電素子1を作動させる駆動回路の回路図である。
図3に示すように、駆動回路85は、制御部81内に配置されて設けられている。この駆動回路85は、圧電素子1のドライブ回路として機能するものであり、圧電素子1に対し駆動用の電気信号を出力する。駆動回路85は、制御部81の制御信号生成部(図示なし)から制御信号を入力し、その制御信号を電圧増幅又は電流増幅して圧電素子1の駆動用電気信号を出力する。駆動回路85は、例えば入力段を論理回路U1〜U3により構成し、出力段に電界効果型のトランジスタ(FET)Q1、Q2を備えたものが用いられる。トランジスタQ1、Q2は、出力信号として、Hi出力(高電位出力)、Lo出力(低電位出力)及びOFF出力(オフ出力、オープン出力)を出力可能に構成されている。
なお、この駆動回路は、圧電素子1を作動させるための回路の一例であり、これ以外の回路を用いて圧電素子1を作動させてもよい。
図4に駆動回路85から出力される駆動信号の一例を示す。
図4(A)は、被駆動部材3を圧電素子1に接近させる方向(図1において右方向)に移動させる際に圧電素子1に入力される駆動信号であり、図4(B)は、被駆動部材3を圧電素子1から離間させる方向(図1において左方向)に移動させる際に圧電素子1に入力される駆動信号である。
図4(A)、(B)の駆動信号において、Aoutの信号が圧電素子1の一方の入力端子11aに入力され、Boutの信号が圧電素子1の他方の入力端子11bに入力される。このため、AoutとBoutの電位差が圧電素子1の入力電圧となる。
図4の駆動信号は矩形波であるが、実際に圧電素子1に入力される波形は、圧電素子1のキャパシタ成分により三角波状となる。このため、駆動信号のハイ、ローのデューティー比が50%でなければ、矩形状の駆動信号の入力によって圧電素子1の伸長速度と収縮速度を異ならせることができ、被駆動部材3を移動させることができる。
これらの図4(A)、(B)の駆動信号は、パルス信号であり、そのハイ(Hi)出力時間及びロー(Lo)出力時間のうち短い方の出力時間としてアクチュエータ10において最も低い共振周波数の逆数に相当する周期時間の1/2の時間が設定されている。
例えば、図4(A)、(B)の駆動信号において、AoutとBoutのハイ出力時間及びロー出力時間において最も短い時間としてアクチュエータ10において最も低い共振周波数の逆数に相当する周期時間の1/2の時間が設定される。なお、ここでいう「最も低い共振周波数の逆数に相当する周期時間の1/2の時間」とは、その1/2の時間のみならず、ほぼ1/2の時間も含むものである。例えば、その1/2の時間の±20%の時間を駆動信号のハイ出力時間及びロー出力時間における最も短い時間として設定してもよい。また、より好ましくは、その1/2の時間の±10%の時間を駆動信号のハイ出力時間及びロー出力時間における最も短い時間として設定される。
図5にアクチュエータ10の駆動周波数とインピーダンスとの関係を示す。
図5の駆動周波数とインピーダンスの特性は、アクチュエータ10として圧電素子1に駆動軸2、錘部材6を取り付けたものを用い、圧電素子1に入力される駆動信号の周波数を変化させて行った際の圧電素子1のインピーダンスを測定したものである。
図5に示すように、最も低周波数側でインピーダンスが落ち込む周波数、すなわち共振周波数frは、330kHzである。このため、アクチュエータ10において、最も低い共振周波数は330kHzであり、その逆数に相当する周期時間Tは、3.0μsである。そして、その周期時間の1/2の時間は、1.5μsとなる。この周期時間の1/2の時間である1.5μsが駆動信号におけるハイ出力時間及びロー出力時間において最も短い時間t1として設定される。
このように駆動信号を設定し、その駆動信号を圧電素子1に入力することにより、被駆動部材3を最速な状態で移動させることができる。
図6に駆動信号におけるt1と被駆動部材3の移動速度の関係を示す。
図6は、駆動装置の圧電素子1に入力される駆動信号のt1を変化させて行った際の被駆動部材3の移動速度を測定したものである。この測定においては、駆動信号を53kHzとし、t1の時間のみを変化させて移動速度を測定した。図6に示されるように、t1の時間を短い時間から徐々に長くして行くと、移動速度が速くなり、1.5μsの付近で最速となって、それ以降は徐々に移動速度が遅くなっている。
このように、アクチュエータ10において最も低い共振周波数の逆数に相当する周期時間の1/2の時間を、駆動信号におけるハイ出力時間及びロー出力時間のうち最も短い時間t1として設定することにより、駆動装置の駆動速度を最速な状態とすることができる。
また、図7に示すように、駆動信号において、ハイ出力とロー出力以外にオフ出力を設定する場合がある。このようにオフ出力を設定することにより、ハイ出力とロー出力の出力切換時において駆動回路85のトランジスタQ1、Q2に貫通電流が流れることを防止することができる。この場合、ハイ出力及びロー出力の後に行われるオフ出力を含めて周期時間の1/2の時間(図7ではt1)を設定することが好ましい。このように周期時間の1/2の時間を設定することにより、被駆動部材3の移動速度を最速な状態とすることができる。
なお、駆動信号としては、圧電素子1に入力される波形が階段状を呈するものであってもよい。例えば、図8(A)、(B)に示すように、駆動信号が同一周波数となる二つの矩形状のパルス信号により構成され、この二つのパルス信号の互いの位相を異ならせることにより互いの信号の電位差が段階的に大きくなり急激に小さくなる信号、又は電位差が急激に大きくなって段階的に小さくなる信号となっている。このような二つの信号を入力することにより、圧電素子1の伸長速度と収縮速度を異ならせることができ、被駆動部材3を移動させることができる。
本実施形態に係る駆動装置の駆動信号は、可聴周波数を超える周波数の信号が用いられる。図4、7、8において、AoutとBoutの二つの信号の周波数は、可聴周波数を超える周波数信号とされ、例えば、30〜80kHzの周波数信号とされ、より好ましくは40〜60kHzとされる。このようは周波数の信号を用いることにより、圧電素子1の可聴領域における作動音を低減することができる。
次に、本実施形態に係る駆動装置の動作について説明する。
図1において、圧電素子1に駆動信号が入力され、その駆動信号の入力により圧電素子1が伸長及び収縮を繰り返す。この伸長及び収縮に応じて駆動軸2が往復運動する。このとき、圧電素子1の伸長速度と収縮速度を異ならせることにより、駆動軸2が一定の方向へ移動する速度とその逆方向へ移動する速度が異なることとなる。これにより、被駆動部材3及び移動レンズ90を所望の方向へ移動させることができる。
圧電素子1が伸縮する際に、その伸縮による振動が生ずるが、圧電素子1を支持部材5によって伸縮方向に対し側方から支持されているため、圧電素子1の伸縮により生ずる振動が圧電素子1及び駆動軸2の外部へ伝達されにくい。このため、圧電素子1及び駆動軸2が固定枠4などの外部の部材と共振することが抑制され、その共振の影響を低減することができる。従って、被駆動部材3及び移動レンズ90を正確に移動させることができる。
以上のように、本実施形態に係る駆動装置によれば、圧電素子1の駆動信号としてパルス信号を用い、駆動信号のハイ時間及びロー時間のうち短い方の時間としてアクチュエータ10において最も低い共振周波数の逆数に相当する周期時間の1/2の時間が設定されている。これにより、被駆動部材3の移動速度の高速化を図ることができる。
また、本実施形態に係る駆動装置において、アクチュエータ10を圧電素子1の伸縮方向の側方側から支持して取り付け、その両端を伸縮方向へ移動可能な自由端とすることにより、アクチュエータ10が駆動しても圧電素子1の伸縮による振動が固定枠4側へ伝達しにくい構造とすることができる。このため、アクチュエータ10の駆動信号をアクチュエータ10自体の共振周波数に関連づけて設定することが有効である。従って、駆動信号のハイ時間及びロー時間のうち短い方の時間としてアクチュエータ10の共振周波数の逆数に相当する周期時間の1/2の時間を設定することで、被駆動部材3の高速移動制御が確実に行える。
また、本実施形態に係る駆動装置において、被駆動部材3の最速の移動速度を速くできるので、被駆動部材3の移動速度を低速から高速まで大幅に変えて移動制御が行える。
また、駆動装置の開発設計において、駆動信号の設定が容易に行えるため、設計期間の短縮化が図れる。
さらに、本実施形態に係る駆動装置をカメラの撮影光学系における構成部品のアクチュエータとして用いることにより、駆動機構を小型に構成でき、カメラの小型化が実現できる。また、携帯電話のカメラの撮影光学系における構成部品のアクチュエータとして用いることにより、駆動機構を小型に構成でき、携帯電話の小型化が実現できる。その他、webカメラなどのアクチュエータとして用いることもできる。
なお、上述した実施形態は本発明に係る駆動装置の一例を示すものである。本発明に係る駆動装置は、これらの実施形態に係る駆動装置に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で、実施形態に係る駆動装置を変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
例えば、本実施形態では、移動レンズを駆動する駆動装置に適用した装置について説明したが、移動レンズ以外の物を駆動する駆動装置に適用してもよい。
また、本実施形態では、圧電素子1を支持部材5を介し固定枠4に取り付けて圧電素子1の端部を自由端にした場合について説明したが、圧電素子1の端部を直接固定枠4に取り付けるものであってもよい。
本発明の実施形態に係る駆動装置を示す断面図である。 図1のII−IIにおける被駆動部材の断面図である。 図1の駆動装置における駆動回路を示す図である。 図1の駆動装置の圧電素子に入力される駆動信号の波形図である。 図1の駆動装置のアクチュエータの駆動周波数とインピーダンスとの関係を示した図である。 図1の駆動装置におけるパルス時間t1と駆動速度の関係を示した図である。 図1の駆動装置の駆動信号の変形例を示した図である。 図1の駆動装置の駆動信号の変形例を示した図である。
符号の説明
1…圧電素子、2…駆動軸、3…被駆動部材、4…固定枠、5…支持部材、6…錘部材、10…アクチュエータ。

Claims (3)

  1. 電気機械変換素子に駆動軸を取り付けたアクチュエータを有し、駆動信号を入力して前記電気機械変換素子を伸縮させ、前記電気機械変換素子の伸縮動作に応じて前記駆動軸を往復運動させて、前記駆動軸に摩擦係合させた被駆動部材を移動させる駆動装置において、
    前記駆動信号としてパルス信号が用いられ、前記駆動信号のハイ出力時間及びロー出力時間のうち短い方の出力時間として前記アクチュエータにおいて最も低い共振周波数の逆数に相当する周期時間の1/2の時間が設定されていること、
    を特徴とする駆動装置。
  2. 前記駆動信号の中でオフ出力が設定されている場合には、ハイ出力又はロー出力の後のオフ出力をそのハイ出力時間又はロー出力時間に含めて前記ハイ出力時間及びロー出力時間のうち短い方の出力時間が設定されていること、
    を特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
  3. 前記アクチュエータは、前記電気機械変換素子の伸縮方向の側方側から支持されて取り付けられ、その両端が伸縮方向へ移動可能な自由端となっていること、
    特徴とする請求項1又は2に記載の駆動装置。
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