JP2008130371A - 電池ケース、該電池ケースを備える非水電解質二次電池及び該非水電解質二次電池の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電池ケース1は、底板部11と、底板部11に周設され、電極群の外側の面の平坦部分が当接する第1側板部12,12と、第1側板部12,12に隣接する第2側板部13,13とを有する。電池ケース1は、一部がプレス加工されており、第1側板部12は、平面断面視の形状が、電極群の前記平坦部分に当接する平坦部と、平坦部から両端部側に至る斜面部とを有する台形状である。また、第1側板部12は、立断面視の形状が、中央部が内側に凹んだ円弧状である。
【選択図】図1
Description
しかし、リチウムイオン電池等の非水電解質二次電池では、板状の正極及び負極をセパレータを介し巻回してなる電極群の初期充電時の膨張が大きく、この電極群の膨張によって電池ケースが変形し、電池の厚みが大きくなるという問題があった。
特許文献2には、電池ケースの幅広面に、底面が平面である凹部を形成した電池の発明が開示されている。
特許文献3には、外装缶の電極群の端板と当接する側面に予め凹部を形成する角型密閉電池の製造方法の発明が開示されている。
特許文献5には、電池ケースに、体積膨張を補償及び防止するための体積膨張補償・防止手段を少なくとも1つ備えた電池の発明が開示されている。
また、特許文献1等の電池においては、電極群を電池ケースに挿入する際に、電極群の外側部分が、電池ケースの内側の凹部の角部との摩擦によって損傷及び破れが生じるという問題があった。
そして、第1側板部の平面断面視の形状が円弧状である場合、及び第1側板部が局所的に凹部を有する場合と異なり、電極群の外側の面と第1側板部との接触面積が広く、負極活物質と非水電解質との反応により生じるガスが、電極群内の正極板と負極板との間に溜まりにくく、電極群の変形が抑制され、電池の膨れが抑制される。
従って、初回充電時に電極群の厚みの増加を抑制して電池の厚みの増加を抑制することが出来、初回充放電後の電池の厚みの増加、及び電池間の厚みのばらつきを低減させることが出来るとともに、継続使用時の電池の膨れも抑制することが出来る。
さらに、第1側板部が、立断面視の形状が、少なくとも蓋板部側が内側に凹んだ円弧状であり、立断面視で角部を有する場合と異なり、丸みをつけているため、電極群の挿入時に、電極群は第1側板部と滑らかに接触して引っ掛かることがなく、外側部分に損傷及び破れが生じない。
また、第1側板部が、立断面視の形状が、少なくとも前記蓋板部側が内側に凹んだ円弧状であり、第1側板部が角部を有する場合と異なり、電極群の挿入時に引っ掛かることがないので、電極群の外側部分に損傷及び破れが生じることがない。
そして、第2側板部側からの立断面視の形状が、少なくとも蓋板部側が内側に凹んだ円弧状であるので、電極群を挿入するときに、電極群が引っ掛かることがなく、電極群の外側部分に損傷及び破れが生じない。
本発明の非水電解質二次電池(以下、電池と称す)は、通常、その構成として、正極、負極及びセパレータからなる電極群と、非水電解質とを電池ケースに収容してなる。
本発明の電池の負極に含まれる負極活物質としては、例えば、Al、Si、Pb、Sn、Zn,Cd等とLiとの合金、LiFe2 O3 等、WO2等の遷移金属酸化物、グラファイト、カーボン等の炭素材料、Li3(Li3 N)等の窒化リチウム、若しくは金属リチウム箔、又はこれらの混合物を用いることが出来る。
粒状の炭素材料を用いる場合、例えば、負極活物質と結着剤とからなる合剤を銅等の金属集電体上に形成することにより負極を作製することが出来る。この炭素材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛(MCMB又はMCF等のメソフェーズ系黒鉛)を用いることが好ましく、メソフェーズ系黒鉛(MCMB又はMCF)を用いることがさらに好ましい。さらに、天然黒鉛の表面の一部又は全部を、天然黒鉛より結晶性が低い低結晶性炭素で被覆したものを用いてもよい。
本発明の電池に用いられる正極活物質としては、リチウムを吸蔵・放出可能な化合物である、組成式Lix MO2 、Lix MaM′1-aO2 、Liy M2 O4 、又はLiy Mb M′2-bO4 (但し、Mは遷移金属から選ばれる一種又は複数種、M′はMg又はAlから選ばれる一種又は複数種、0≦x≦1、0≦y≦2、0<a<1、0<b<2)で表される複合酸化物、トンネル状の空孔を有する酸化物、層状構造の金属カルコゲン化物を用いることが出来る。その具体例としては、LiCoO2、LiNiO2 、LiMn2 O4 、Li2 Mn2O4 等があり、これらを混合して用いてもよい。
粒状の正極活物質を用いる場合、正極は、例えば、正極活物質粒子と導電助剤と結着剤とからなる合剤をアルミニウム等の金属集電体上に形成することにより作製することが出来る。
本発明の電池に用いられる非水電解質の溶媒としては、例えばエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、スルホラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチル−1,3−ジオキソラン、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルプロピルカーボネート等の非水溶媒が挙げられ、これらを単独、又は混合して使用することが出来る。また、適宜、ビフェニル、シクロヘキシルベンゼン等の重合剤等の添加剤を、適量含有してもよい。
本発明の電池に用いられるセパレータとしては、多孔性ポリオレフィン膜、多孔性ポリ塩化ビニル膜等の多孔性ポリマー膜、又は、リチウムイオン若しくはイオン導電性ポリマー電解質膜を、単独、又は組み合わせて使用することが出来る。
本発明の電池に用いられる電極群としては、板状に形成した前記正極及び負極がセパレータを介し、積層されて得られる積層電極群、又は巻回されて得られる巻回電極群を使用することが出来る。
図1は、本発明に係る電池ケース1を示す斜視図、図2は図1のII−II線断面図、図3は図1のIII−III線断面図である。
電池ケース1はアルミニウム製であり、底板部11と、底板部11に周設され、電極群の外周面の平坦部分が当接する第1側板部12,12と、第1側板部12,12に隣接する第2側板部13,13とを有する。電池ケース1は、開口部を閉塞する蓋板部を有するが、図1においては省略している。
なお、電池ケース1はアルミニウム製に限定されるものではなく、アルミニウム合金、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)めっきした鉄、ステンレス(SUS)等からなるものであってもよい。
なお、第1側板部12の立面視の形状は図3に示した場合に限定されるものではなく、後述する実施例2に示すように、円弧状曲面と、平坦面と、斜面とからなる形状を有する場合であってもよく(図5(b)参照)、少なくとも蓋板部側が内側に凹んだ円弧状であればよい。
電池ケース1は、その大きさにもよるが、第1側板部12において、開口部側から略8mm、底板部11側から略7mm、幅方向で両側から略5mmのところをプレスすることで、上述の形状に形成される。
本発明の電池は、以下のようにして製造される。
まず、前記電池ケース1に、積層電極群の積層方向を電池ケース1の第1側板部12に垂直にした状態で、又は巻回電極群の巻回軸を第1側板部12に平行にした状態で挿入する。このとき正極(負極)が平坦部12aに当接する。負極(正極)は、電池ケース1の蓋板部に設けられた負極端子(正極端子)に接続する。その後、電池ケース1に非水電解質を注入し、蓋板部の周縁部を電池ケース1の開口端の周縁部にレーザー溶接することにより、電池ケース1は密閉され、電池が得られる。
図4は、本発明に係る非水電解質二次電池(電池)10を示す立断面図である。
電池10は、銅集電体に負極合剤を塗布してなる負極3、及びAl集電体に正極合剤を塗布してなる正極4がセパレータ5を介して巻回された扁平巻状の電極群(電極エレメント)2と、非水電解液とを電池ケース1に収容してなる。電池ケース1には、安全弁8及び負極端子9を備えた蓋板部7がレーザー溶接によって取り付けられている。また、負極端子9は負極リード14を介して負極3と接続され、正極4は、上述した電池ケース1の平坦部12a,12aと接触して電気的に接続されている。
負極活物質としての炭素材料97質量%と、結着剤としてのカルボキシメチルセルロース1.5質量%及びスチレンブタジエンゴム1.5質量%とを混合し、これに蒸留水を適宜加えて分散させ、スラリーを調整した。このスラリーを厚み8μmの銅集電体に均一に塗布し、100℃で5時間乾燥させた後、ロールプレスで負極合剤層の密度が1.6g/cm3 となるように圧縮成形することにより負極3を得た。
正極活物質としてのLiCoO2 94質量%と、導電助剤としてのアセチレンブラック3質量%と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)3質量%とを混合して正極合剤とし、これをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させることによりペーストを調整した。このペーストを厚み15μmのAl集電体に均一に塗布して乾燥させた後、ロールプレスで正極合剤層の密度が3.7g/cm3となるように圧縮成形することにより正極4を得た。
電解質としては、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを体積比で3:7で混合した混合溶媒にLiPF6 を1.1mol/L溶解させたものを用いた。
長円筒状の電極群2を、底面部を側方に向けた状態で(巻回軸を第1側板部12に平行にした状態で)、電池ケース1に挿入し、正極4を平坦部12aに当接させる。負極3は、電池ケース1の蓋板部7に設けられた負極端子9に接続する。その後、電池ケース1に非水電解質を注入し、蓋板部7の周縁部を電池ケース1の開口端の周縁部にレーザー溶接することにより、電池ケース1は密閉され、電池10が得られる。
電池10のサイズは、高さ37mm、幅35mm、厚み略5.5mmであり、容量は850mAhである。
図5(a)は、実施例2の電池ケース15を示す平面断面図、(b)は、電池ケース15を示す立断面図である。
図5(b)に示すように、電池ケース15の第1側板部15aは、円弧状曲面と、平坦面と、斜面とからなる形状を有している。
この形状を有するように、電池ケース15の第1側板部15aをプレスした以外は、実施例1と同様にして、電池を作製した。
図6(a)は、比較例1の電池ケース21を示す平面断面図、(b)は、電池ケース21を示す立断面図である。
図6に示すように、電池ケース21の第1側板部21aは、平面断面視の形状が円弧状であり、立断面視の形状が円弧状である。
この形状を有するように、電池ケース21の第1側板部をプレスした以外は、実施例1と同様にして、電池を作製した。
図7(a)は、比較例2の電池ケース31を示す平面断面図、(b)は、電池ケース31を示す立断面図である。
図7に示すように、電池ケース31の第1側板部31aは、平面断面視の形状が台形状であり、立断面視の形状が台形状である。
この形状を有するように、電池ケース31の第1側板部31aをプレスした以外は、実施例1と同様にして、電池を作製した。
図8(a)は、比較例3の電池ケース41を示す平面断面図、(b)は、電池ケース41を示す立断面図である。
図8に示すように、電池ケース41の第1側板部41aは、平面断面視の形状が円弧状であり、立断面視の形状が台形状である。
この形状を有するように、電池ケース41の第1側板部41aをプレスした以外は、実施例1と同様にして、電池を作製した。
電池ケースの第1側板部をプレスせず、平板状に形成した以外は、実施例1と同様にして、電池を作製した。
そして、電池ケースの第1側板部の平面断面視が円弧状である場合、及び第1側板部が局所的に凹部を有する場合と異なり、負極活物質と非水電解質との反応により生じるガスが正極板と負極板との間に溜まりにくく、電極群の膨れが抑制され、使用時の電池の膨れも抑制される。
従って、本発明においては、極板の柔軟性、及び電池の構成成分に関わらず、初回充放電後の電池の膨れを抑制し、また、電池間の厚みのばらつきを低減させ、継続使用時の電池の膨れを抑制することが出来る。
また、前記実施例においては、電極群2が巻回されている場合につき説明しているがこれに限定されるものではなく、板状の正極及び負極をセパレータを介し積層したものであってもよい。
そして、前記実施例においては、長円筒状の電極群2を、底面部を側方に向けた状態で、電池ケース1に挿入した場合につき説明しているがこれに限定されるものではなく、底面部を上方に向けた状態で挿入するものであってもよい。
2 電極群
3 負極
4 正極
5 セパレータ
7 蓋板部
8 安全弁
9 負極端子
10 非水電解質二次電池
11 底板部
12、15a、21a、31a、41a 第1側板部
13 第2側板部
14 負極リード
Claims (5)
- 底板部と、該底板部に周設された第1側板部、及び該第1側板部に隣接する第2側板部と、蓋板部とを有し、
板状の正極及び負極をセパレータを介し積層し、又は巻回してなる電極群が、
該電極群の積層方向を前記第1側板部に垂直にした状態で、又は前記電極群の巻回軸を前記第1側板部に平行にした状態で収容される電池ケースにおいて、
前記第1側板部は、内側に凹んでおり、
平面断面視の形状が、前記電極群に当接する平坦部と、該平坦部から両端部側に至る斜面部とを有する台形状であり、
前記第2側板部側からの立断面視で、少なくとも前記蓋板部側が内側に凹んだ円弧状をなすことを特徴とする電池ケース。 - 前記第1側板部は、前記第2側板部側からの立断面視の形状が、中央部が内側に凹んだ円弧状である請求項1に記載の電池ケース。
- 前記電極群は、板状の正極及び負極をセパレータを介し巻回してなり、側面視の形状が長円状であり、
前記第1側板部の平坦部は、前記電極群の外周面の平坦部分に当接する請求項1又は2に記載の電池ケース。 - 請求項1乃至3のいずれかに記載の電池ケースと、
板状の正極及び負極をセパレータを介し積層し、又は巻回してなる電極群と、
非水電解質と
を備えることを特徴とする非水電解質二次電池。 - 請求項1乃至3のいずれかに記載の電池ケースに、
板状の正極及び負極をセパレータを介し積層し、又は巻回してなる電極群を、
該電極群の積層方向を前記電池ケースの前記第1側板部に垂直にした状態で、又は前記電極群の巻回軸を前記第1側板部に平行にした状態で収容する工程を有することを特徴とする非水電解質二次電池の製造方法。
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