JP2008127430A - ポリカルボン酸系コンクリート混和剤の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】単量体成分を溶媒の存在下で重合してポリカルボン酸系重合体を得る重合工程を含むポリカルボン酸系コンクリート混和剤の製造方法であって、上記重合工程は、親水親油バランスの平均値が19未満である(ポリ)オキシアルキレン基を有する単量体単位を必須とする水溶性重合体と水とを含む混合物を予め溶媒として用いて重合するポリカルボン酸系コンクリート混和剤の製造方法。
【選択図】 なし
Description
本発明はまた、単量体成分を溶媒の存在下で重合してポリカルボン酸系重合体を得る重合工程を含むポリカルボン酸系コンクリート混和剤の製造方法であって、上記重合工程は、オキシアルキレン基の平均付加モル数が7未満である(ポリ)オキシアルキレン基を有する水溶性重合体と水とを含む混合物を予め溶媒として用いて重合するポリカルボン酸系コンクリート混和剤の製造方法でもある。
本発明は更に、単量体成分を溶媒の存在下で重合してポリカルボン酸系重合体を得る重合工程を含むポリカルボン酸系コンクリート混和剤の製造方法であって、上記重合工程は、溶媒中に重合開始剤及び/又は連鎖移動剤を予め存在させて重合するポリカルボン酸系コンクリート混和剤の製造方法でもある。
本発明はそして、単量体成分を溶媒の存在下で重合してポリカルボン酸系重合体を得る重合工程を含むポリカルボン酸系コンクリート混和剤の製造方法であって、上記製造方法は、反応容器に単量体を導入する前に反応容器に予め親水親油バランスの平均値が19未満である(ポリ)オキシアルキレン基を有する単量体単位を必須とする水溶性重合体及び/又はオキシアルキレン基の平均付加モル数が7未満である(ポリ)オキシアルキレン基を有する水溶性重合体と水とを導入して溶媒としての水溶性重合体と水とを含む混合物を調製する工程と、上記工程で得られた水溶性重合体と水とを含む混合物に(ポリ)オキシアルキレン基を有する不飽和単量体(A)を添加する工程と、上記工程で得られた水溶性重合体と水とを含む混合物に不飽和カルボン酸系単量体(B)を添加する工程とを有するポリカルボン酸系コンクリート混和剤の製造方法でもある。
以下に、本発明を詳述する。
本発明のポリカルボン酸系コンクリート混和剤の製造方法は、(1)該重合工程は、親水親油バランス(HLB:Hydrophile−Lipophile Balance)の平均値が19未満である(ポリ)オキシアルキレン基を有する単量体単位を必須とする水溶性重合体と水とを含む混合物、若しくは、(2)オキシアルキレン基の平均付加モル数が7未満である(ポリ)オキシアルキレン基を有する水溶性重合体と水とを含む混合物を予め溶媒として用いて重合するか、又は、(3)溶媒中に重合開始剤及び/又は連鎖移動剤のいずれかを溶媒中に予め存在させて重合することにより、単量体成分を溶媒の存在下で重合してポリカルボン酸系重合体を得る重合工程を含むものである。
本発明の製造方法における好ましい形態としては、例えば、上記(1)と(2)の形態の組み合わせが挙げられる。
上記親水親油バランスの平均値は、18.5未満であることが更に好ましい。
なお、本明細書中、「重合に用いる単量体成分」又は「重合に用いるモノマー」とは、本発明の製造方法における重合工程において重合される単量体成分をいう。
したがって、本発明の製造方法が充分に作用効果を発揮することができるようにするには、上記pHの範囲である重合系において本発明を適用することが好ましい。
親水親油バランス=(親水基の分子量)/(全体の分子量)×100/5=(親水基の質量%)/5
上記グリフィンの親水親油バランスにおいて、例えば、アルキル基は、疎水基であり、また、CH2CH2Oは、親水基であり、分子量を44として計算することとなる。なお、本発明においては、プロピレンオキシド鎖(CH(CH3)CH2O)の場合は、メチル基を疎水基、残りを親水基とする(グリフィンの親水親油バランスには決められていない)。
すなわち、上記親水親油バランスの平均値が19未満である(ポリ)オキシアルキレン基を有する単量体単位を必須とする水溶性重合体とは、水溶性重合体の側鎖の親水親油バランスの平均値が19未満であることを意味する。本願発明においては、(ポリ)オキシアルキレン基によって形成される側鎖を必須とすることになるが、実質的にすべての側鎖が(ポリ)オキシアルキレン基によって形成されることが好ましい。
例えば、下記のように計算されることになる。
メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数10)の場合、側鎖はメトキシポリエチレングリコール(メトキシPEG)の部分であり、親水親油バランスは次のようになる。
親水親油バランス=(44×10)/(15+44×10)×100/5=19.3
単量体成分の組成の割合がメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数2)/メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数8)(80/20モル比)の場合、親水親油バランスは次のようになる。
親水親油バランス=(44×8×20+44×2×80)/{(15+44×8)×20+(15+44×2)×80}×100/5=18.1(平均鎖長3.2)
なお、側鎖とは、単量体をX−(側鎖)で表し、例えば、Xが
C=C−COO、C=C−O、C=C−C−C、C=C−C
等により表される場合の側鎖部分である。
なお、ポリカルボン酸系重合体は、ポリカルボン酸系混和剤の形態として用いてもよい。
親水親油バランスの平均値が19未満である(ポリ)オキシアルキレン基を有する単量体単位を必須とする水溶性重合体は、親水親油バランスの平均値が19未満である(ポリ)オキシアルキレン基を有する不飽和単量体を含む単量体成分を共重合して製造することができるが、これに限定されない。
また製造されるポリカルボン酸系コンクリート混和剤を形成するポリカルボン酸系重合体の重量平均分子量としては、50000以下が好ましく、6000〜40000がより好ましく、更に好ましくは7000〜30000である。
なお、重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミーエーションクロマトグラフィー(以下「GPC」という)によるポリエチレングリコール換算の重量平均分子量であり、下記GPC測定条件により測定することが好ましい。
使用カラム:東ソー社製TSKguardColumn SWXL+TSKge1 G4000SWXL+G3000SWXL+G2000SWXL
溶離液:水10999g、アセトニトリル6001gの混合溶媒に酢酸ナトリウム三水和物115.6gを溶かし、更に酢酸でpH6.0に調整した溶離液溶液を用いる。
打込み量:0.5%溶離液溶液100μL
溶離液流速:0.8mL/min
カラム温度:40℃
標準物質:ポリエチレングリコール、ピークトップ分子量(Mp)272500、219300、85000、46000、24000、12600、4250、7100、1470
検量線次数:三次式
検出器:日本Waters社製 410 示差屈折検出器
解析ソフト:日本Waters社製 MILLENNIUM Ver.3.21
また上記重合工程によって得られるポリカルボン酸系重合体に対する上記水溶性重合体の使用量としては、重合工程によって得られるポリカルボン酸系重合体を100質量%とすると、上記水溶性重合体の使用量が1〜500質量%であることが好ましい。より好ましくは、1〜300質量%であり、更に好ましくは、1〜100質量%であり、更に好ましくは、1〜80質量%であり、特に好ましくは、1〜60質量%であり、最も好ましくは、1〜40質量%である。
更に重合工程における単量体成分に対する上記水溶性重合体の使用量としては、重合工程で用いられるすべての単量体成分の量を100質量%とすると、水溶性重合体は、0.1質量%以上であることが好ましく、40質量%以下であることが好ましい。1質量%以上であることがより好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。
上記オキシアルキレン基の平均付加モル数は、より好ましくは、7未満であり、更により好ましくは、6未満であり、特に好ましくは、5未満である。また上記オキシアルキレン基の平均付加モル数は、1より多いことが好ましい。
なお、上記オキシアルキレン基の平均付加モル数とは、アルキレンオキシド付加物が有するオキシアルキレン基により形成される基1モル中において付加している当該オキシアルキレン基のモル数の平均値を意味する。
本発明の製造方法における配合比等の好ましい形態については、上述したものと同様である。
上記予め溶媒として用いられる混合物に含まれる水溶性重合体は、例えば、ポリカルボン酸系重合体の1種又は2種以上が挙げられる。
このような重合工程において予め溶媒として用いられる混合物に含まれるポリカルボン酸系重合体を、本明細書中、予め溶媒として用いられる混合物に含まれるポリカルボン酸系重合体という。
本明細書中、溶媒とは、水溶性重合体と水とを含む混合物によって構成されるものであり、通常用いられる有機溶媒やその他の原料等を含んでいてもよい。なお、単量体成分、重合開始剤、促進剤、連鎖移動剤、中和に用いる中和剤(アルカリ性物質)等は、溶媒にはあたらないものとする。なお、重合中に生成するポリカルボン酸系重合体は、該重合中においては溶媒にあたらないものとする。水溶性重合体と水とを含む混合物を予め溶媒として用いて重合するところに本発明の一つの特徴がある。すなわち、水溶性重合体と水とを含む混合物を重合を行うための溶媒として用いるものである。
本発明のポリカルボン酸系コンクリート混和剤の製造方法における上記重合工程は、上記溶媒に単量体成分を滴下することが好ましい。
これにより、本発明により製造されるポリカルボン酸系コンクリート混和剤の品質がより向上することとなる。ゲルの質量は、重合後に、重合反応液をJIS Z8801標準ふるい(目の開きが1mm)で濾過したときふるい上に残ったゲルと、反応容器・撹拌翼・温度計等に付着したゲルとの含水状態での合計質量を測定することにより求めることができる。
上記予め溶媒として用いられる混合物に含まれるポリカルボン酸系重合体と上記重合工程によって得られるポリカルボン酸系重合体とは、同一又は異なって、(ポリ)オキシアルキレン基を有する不飽和単量体(A)、不飽和カルボン酸系単量体(B)、及び、必要に応じてその他の不飽和単量体を含む単量体成分を用いることが好適である。
上記予め溶媒として用いられる混合物に含まれるポリカルボン酸系重合体の場合には、単量体成分のモル比としては、(ポリ)オキシアルキレン基を有する不飽和単量体(A)/不飽和カルボン酸系単量体(B)/その他の不飽和単量体のモル比が、10〜90/10〜90/0〜50であることが好ましい。より好ましくは、20〜80/20〜80/0〜30である。
また本発明により製造されるポリカルボン酸系重合体としては、上記モル比が10〜90/10〜90/0〜50であることが好ましい。より好ましくは、20〜80/20〜80/0〜30である。
本発明のポリカルボン酸系コンクリート混和剤の製造方法において、上記予め溶媒として用いられる混合物に含まれるポリカルボン酸系重合体と上記重合工程によって得られるポリカルボン酸系重合体とは、同一又は異なって、下記一般式(1)で表される(ポリ)オキシアルキレン基を有する不飽和単量体(A)と、不飽和カルボン酸系単量体(B)とを含有する単量体成分を重合して得られるものであることが好ましい。
なお、異なる場合は、R1、R2、R3、R4、Ra、m、X等の何れかが異なることになる。
ポリカルボン酸系重合体の性質や品質としては、mを調整することが一つの重要な要因となる。
予め溶媒として用いられる混合物に含まれるポリカルボン酸系重合体におけるオキシアルキレン基の平均付加モル数mと、重合工程によって得られるポリカルボン酸系重合体におけるオキシアルキレン基の平均付加モル数mとが同一とは、ポリカルボン酸系重合体においてmに関する性能や品質が同一であると評価できることを意味するものであり、完全に同一であることが最も好ましいが、完全に同一でなくても良い。予め溶媒として用いられる混合物に含まれるポリカルボン酸系重合体におけるオキシアルキレン基の平均付加モル数mと、重合工程によって得られるポリカルボン酸系重合体におけるオキシアルキレン基の平均付加モル数mとの差は、10以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましく、3以下であることが更に好ましく、2以下であることが更により好ましく、1以下であることが特に好ましい。
すなわち、単一組成のポリカルボン酸系重合体を含むポリカルボン酸系コンクリート混和剤を製造する方法は、本発明の好ましい形態である。
また、本発明のポリカルボン酸系コンクリート混和剤の製造方法において、予め溶媒として用いられる混合物に含まれるポリカルボン酸系重合体を重合して得るための仕込み単量体組成と上記重合工程によって得られるポリカルボン酸系重合体を重合して得るための仕込み単量体組成とは、同一であることが好ましい。
予め溶媒として用いられる混合物に含まれるポリカルボン酸系重合体を重合して得るための仕込み単量体組成と上記重合工程によって得られるポリカルボン酸系重合体を重合して得るための仕込み単量体組成とを同一とすることにより、ポリマー混合物組成が変化することなく、連続で安定した品質のものを提供することができる。
上記不飽和アルコールポリアルキレングリコール付加物としては、不飽和基を有するアルコールにポリアルキレングリコール鎖が付加した構造を有する化合物であればよく、また、上記ポリアルキレングリコールエステル系単量体としては、不飽和基とポリアルキレングリコール鎖とがエステル結合を介して結合された構造を有する単量体であればよく、不飽和カルボン酸ポリアルキレングリコールエステル系化合物が好適であり、中でも、(アルコキシ)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートが好適である。
上記オキシエチレン基の平均付加モル数とは、アルキレンオキシド付加物が有するオキシアルキレン基により形成される基1モル中において付加しているオキシエチレン基のモル数の平均値を意味する。オキシエチレン基以外のオキシアルキレン基が付加された形態であっても良いが、オキシエチレン基のみが付加した形態のものが好ましい。
メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシ{ポリエチレングリコール(ポリ)プロピレングリコール}モノ(メタ)アクリレート。
上記不飽和モノカルボン酸系単量体としては、分子内に不飽和基とカルボアニオンを形成しうる基とを1つずつ有する単量体であればよく、好ましい形態としては、下記一般式(2)で表される化合物である。
上記一般式(2)のMにおける金属原子としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子等の1価の金属原子;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属原子等の2価の金属原子;アルミニウム、鉄等の3価の金属原子が好適である。また、有機アミン基としては、エタノールアミン基、ジエタノールアミン基、トリエタノールアミン基等のアルカノールアミン基や、トリエチルアミン基が好適である。更に、アンモニウム基であってもよい。このような不飽和モノカルボン酸系単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等;これらの1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩(有機アンモニウム塩)が好適である。これらの中でも、セメント分散性能の向上の面から、メタクリル酸;その1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩を用いることが好ましく、不飽和カルボン酸系単量体(B)として好適である。
上記不飽和ジカルボン酸系単量体としては、これらの他にも、不飽和ジカルボン酸系単量体と炭素数1〜22個のアルコールとのハーフエステル、不飽和ジカルボン酸類と炭素数1〜22のアミンとのハーフアミド、不飽和ジカルボン酸系単量体と炭素数2〜4のグリコールとのハーフエステル、マレアミン酸と炭素数2〜4のグリコールとのハーフアミドが好適である。
このような製造方法とすることにより、水を含む溶媒を用いて重合する際に、特に、単量体成分や重合体の水溶性が低いときに、重合中にゲルが生成することを抑制して、セメントペースト、モルタル、コンクリート等のセメント組成物等に対する減水剤等として好適なポリカルボン酸系コンクリート混和剤を簡便に製造することができることとなる。
上記ポリカルボン酸系コンクリート混和剤の製造方法と、上述した好ましい形態とを適宜組み合わせて用いることができる。
上記ii)工程とiii)工程は、同時に行ってもよく、別個に行ってもよい。別個に行う場合は、ii)工程の後にiii)工程を行ってもよく、iii)工程の後にii)工程を行ってもよい。中でも、ii)工程とiii)工程とを同時に行うことが好ましく、例えば、(ポリ)オキシアルキレン基を有する単量体と不飽和カルボン酸系単量体とを含む混合溶液を滴下する形態が特に好ましい。
上記ポリカルボン酸系重合体が(ポリ)オキシアルキレン基を有する場合は、該(ポリ)オキシアルキレン基におけるオキシアルキレン基の平均付加モル数は、より好ましくは、8以下であり、更に好ましくは、5以下である。
本発明の製造方法における上記重合工程によって得られるポリカルボン酸系重合体、単量体成分の配合比等の好ましい形態については、上述した好ましい形態と同様である。
上記重合開始剤を溶媒中に予め存在させる量は、単量体成分100質量%に対して、例えば0.001質量%以上であることが好ましく、5質量%以下であることが好ましい。0.01質量%以上であることがより好ましく、1質量%以下であることがより好ましい。
上記重合開始剤の総使用量(溶媒中に予め存在させる重合開始剤及び単量体成分の反応開始後に添加する重合開始剤の全量)は、単量体成分100質量%に対して、例えば0.05質量%以上であることが好ましく、5質量%以下であることが好ましい。0.1質量%以上であることがより好ましく、1質量%以下であることがより好ましい。
上記促進剤を溶媒中に予め存在させる量は、単量体成分100質量%に対して、例えば0.001質量%以上であることが好ましく、5質量%以下であることが好ましい。0.01質量%以上であることがより好ましく、1質量%以下であることがより好ましい。
上記促進剤の総使用量(溶媒中に予め存在させる促進剤及び単量体成分の反応開始後に添加する促進剤の全量)は、単量体成分100質量%に対して、例えば0.05質量%以上であることが好ましく、5質量%以下であることが好ましい。0.1質量%以上であることがより好ましく、1質量%以下であることがより好ましい。
上記促進剤は、溶媒中に予め存在させてもよく、単量体成分の反応後に添加する(例えば、単量体成分と同時に滴下する)ものであってもよい。
上記連鎖移動剤を溶媒中に予め存在させる量は、単量体成分の反応開始後に添加する連鎖移動剤量(例えば、単量体と同時に滴下する連鎖移動剤の量)100質量%に対して、0.1質量%以上であることが好ましく、40質量%以下であることが好ましい。1質量%以上であることがより好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。
また上記連鎖移動剤の総使用量(溶媒中に予め存在させる連鎖移動剤及び単量体成分の反応開始後に添加する連鎖移動剤の全量)は、単量体成分100質量%に対して、0.1質量%以上であることが好ましく、10質量%以下であることが好ましい。0.5質量%以上であることがより好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
中でも、上記溶媒に重合開始剤及び/又は連鎖移動剤を滴下することが好ましく、例えば上記重合開始剤及び/又は連鎖移動剤を先行して滴下し、その後、単量体成分と共に上記重合開始剤及び/又は連鎖移動剤を滴下する方法は、好適な態様である。例えば、10分〜45分先行して上記重合開始剤及び/又は連鎖移動剤の滴下を開始することが好ましい。
このとき、先行して滴下した重合開始剤及び/又は連鎖移動剤の量が、溶媒中に予め存在させた重合開始剤及び/又は連鎖移動剤の量となり、単量体成分と共に滴下した重合開始剤及び/又は連鎖移動剤の量が、単量体成分の反応開始後に添加した重合開始剤及び/又は連鎖移動剤の量となる。
本発明のポリカルボン酸系コンクリート混和剤の製造方法における上記重合工程において、上述した重合開始剤、促進剤、連鎖移動剤を適宜用いることができる。
上記重合方法は、回分式でも連続式でも行うことができる。
上記重合方法において、重合温度等の重合条件としては、用いられる重合方法、溶媒、重合開始剤、連鎖移動剤により適宜定められるが、重合温度としては、通常0℃以上であることが好ましく、また、150℃以下であることが好ましい。より好ましくは、40℃以上であり、更に好ましくは、50℃以上であり、特に好ましくは、60℃以上である。また、より好ましくは、120℃以下であり、更に好ましくは、100℃以下であり、特に好ましくは、85℃以下である。
リグニンスルホン酸塩;ポリオール誘導体;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物;メラミンスルホン酸ホルマリン縮合物。
(1)水溶性高分子物質:ポリアクリル酸(ナトリウム)、ポリメタクリル酸(ナトリウム)、ポリマレイン酸(ナトリウム)等の不飽和カルボン酸重合物;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等の非イオン性セルロースエーテル類;多糖類;ポリビニルアルコール;デンプン等。
(3)遅延剤:グルコン酸、グルコヘプトン酸、リンゴ酸又はクエン酸、及び、これらのナトリウム、カリウム、カルシウム等の無機塩又は有機塩などのオキシカルボン酸並びにその塩;グルコース、フルクトース、ガラクトース、サッカロース等の単糖類や、二糖、三糖等のオリゴ糖、又はデキストリン等のオリゴ糖、又は、デキストラン等の多糖類、これらを含む糖蜜類等の糖類等。
(5)鉱油系消泡剤:燈油、流動パラフィン等。
(6)油脂系消泡剤:動植物油、ごま油、ひまし油、これらのアルキレンオキシド付加物等。
(7)脂肪酸系消泡剤:オレイン酸、ステアリン酸、これらのアルキレンオキシド付加物等。
(8)脂肪酸エステル系消泡剤:グリセリンモノリシノレート、アルケニルコハク酸誘導体、ソルビトールモノラウレート、ソルビトールトリオレエート、天然ワックス等。
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管、及び、還流冷却管(コンデンサ)を備えたガラス製反応槽(内容積:3リットル)に水1026.3gを仕込み、攪拌下で上記反応器を窒素置換し、窒素雰囲気下で、70℃まで昇温した。次に上記反応器にメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数4)1100.8g、メタクリル酸200.7g、メタクリル酸ナトリウム67.7g、3−メルカプトプロピオン酸15.4g及びイオン交換水233.4gの混合溶液を6時間かけて滴下すると同時に、30%過酸化水素18.9gを水71.6gに溶解させた水溶液、及び、L−アスコルビン酸7.3gを水74.2gに溶解させた水溶液を7時間かけて滴下した。
滴下終了後、反応混合液を70℃で1時間維持した。さらにこの反応混合液のpHを水酸化ナトリウムで7になるように調整することにより、ゲルパーミーエーションクロマトグラフィーによるポリエチレングリコール換算で重量平均分子量23600の本発明におけるポリカルボン酸(1)(単量体成分の親水親油バランスの平均値18.4)を得た。
重合反応液中、及び、重合後の反応溶液・攪拌翼・温度計などに付着したゲルの質量を確認したところ、3.2g/1000gポリマー水溶液のゲルが認められた。
ゲルの質量は、重合後に重合反応液を100メッシュの金属フィルターで濾過したときにフィルター上に残ったものと、反応容器、攪拌翼、温度計などに付着したゲルの含水状態でのゲル濃度である。
得られたポリマー水溶液の固形分は49.4%であった。
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管、及び、還流冷却管(コンデンサ)を備えたガラス製反応槽(内容積:3リットル)に水1025.6g及び比較例1で重合して得られる48%ポリマー水溶液143.9gを仕込み、攪拌下で上記反応器を窒素置換し、窒素雰囲気下で70℃まで昇温した。次に、上記反応器にメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数4)1100.8g、メタクリル酸200.7g、メタクリル酸ナトリウム67.7g、3−メルカプトプロピオン酸15.4g及びイオン交換水233.4gの混合溶液を6時間かけて滴下すると同時に、30%過酸化水素18.9gを水71.6gに溶解させた水溶液、及び、L−アスコルビン酸7.3gを水74.2gに溶解させた水溶液を7時間かけて滴下した。
滴下終了後、反応混合液を70℃で1時間維持した。さらにこの反応混合液のpHを水酸化ナトリウムで7になるように調整することにより、ゲルパーミーエーションクロマトグラフィーによるポリエチレングリコール換算で重量平均分子量24000の本発明におけるポリカルボン酸(2)を得た。
重合反応液中、及び、重合後の反応溶液・攪拌翼・温度計などに付着したゲルの質量を確認したところ、0.4g/1000gポリマー水溶液のゲルが認められた。
ゲルの質量は、重合後に重合反応液を100メッシュの金属フィルターで濾過したときにフィルター上に残ったものと、反応容器、攪拌翼、温度計などに付着したゲルの含水状態でのゲル濃度である。
得られたポリマー水溶液の固形分は49.4%であった。
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管、及び、還流冷却管(コンデンサ)を備えたガラス製反応槽(内容積:3リットル)に水1025.6g及び比較例1で重合して得られる48%ポリマー水溶液57gを仕込み、攪拌下で上記反応器を窒素置換し、窒素雰囲気下で70℃まで昇温した。次に上記反応器にメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数4)1100.8g、メタクリル酸200.7g、メタクリル酸ナトリウム67.7g、3−メルカプトプロピオン酸15.4g及びイオン交換水233.4gの混合溶液を6時間かけて滴下すると同時に、30%過酸化水素18.9gを水71.6gに溶解させた水溶液、及び、L−アスコルビン酸7.3gを水74.2gに溶解させた水溶液を7時間かけて滴下した。
滴下終了後、反応混合液を70℃で1時間維持した。さらにこの反応混合液のpHを水酸化ナトリウムで7になるように調整することにより、ゲルパーミーエーションクロマトグラフィーによるポリエチレングリコール換算で重量平均分子量21900の本発明におけるポリカルボン酸(3)を得た。
重合反応液中、及び、重合後の反応溶液・攪拌翼・温度計などに付着したゲルの質量を確認したところ、1.0g/1000gポリマー水溶液のゲルが認められた。
ゲルの質量は、重合後に重合反応液を100メッシュの金属フィルターで濾過したときにフィルター上に残ったものと、反応容器、攪拌翼、温度計などに付着したゲルの含水状態でのゲル濃度である。
得られたポリマー水溶液の固形分は49.4%であった。
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管、及び、還流冷却管(コンデンサ)を備えたガラス製反応槽(内容積:3リットル)に水1026.3gを仕込み、攪拌下で上記反応器を窒素置換し、窒素雰囲気下で、70℃まで昇温した。次に上記反応器に30%過酸化水素18.9gを水71.6gに溶解させた水溶液、及び、L−アスコルビン酸7.3gを水74.2gに溶解させた水溶液を7時間15分かけて滴下した。過酸化水素水溶液及びL−アスコルビン酸水溶液の滴下開始後15分でメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数4)1100.8g、メタクリル酸200.7g、メタクリル酸ナトリウム67.7g、3−メルカプトプロピオン酸15.4g及びイオン交換水233.4gの混合溶液を6時間かけて滴下した。
滴下終了後、反応混合液を70℃で1時間維持した。さらにこの反応混合液のpHを水酸化ナトリウムで7になるように調整することにより、ゲルパーミーエーションクロマトグラフィーによるポリエチレングリコール換算で重量平均分子量22400の本発明におけるポリカルボン酸(4)を得た。
重合反応液中、及び、重合後の反応溶液・攪拌翼・温度計などに付着したゲルの質量を確認したところ、1.6g/1000gポリマー水溶液のゲルが認められた。
ゲルの質量は、重合後に重合反応液を100メッシュの金属フィルターで濾過したときにフィルター上に残ったものと、反応容器、攪拌翼、温度計などに付着したゲルの含水状態でのゲル濃度である。
得られたポリマー水溶液の固形分は49.4%であった。
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管、及び、還流冷却管(コンデンサ)を備えたガラス製反応槽(内容積:3リットル)に水1026.3gを仕込み、攪拌下で上記反応器を窒素置換し、窒素雰囲気下で、70℃まで昇温した。次に上記反応器に30%過酸化水素18.9gを水71.6gに溶解させた水溶液、及び、L−アスコルビン酸7.3gを水74.2gに溶解させた水溶液を7時間30分かけて滴下した。過酸化水素水溶液及びL−アスコルビン酸水溶液の滴下開始後30分でメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数4)1100.8g、メタクリル酸200.7g、メタクリル酸ナトリウム67.7g、3−メルカプトプロピオン酸15.4g及びイオン交換水233.4gの混合溶液を6時間かけて滴下した。
滴下終了後、反応混合液を70℃で1時間維持した。さらにこの反応混合液のpHを水酸化ナトリウムで7になるように調整することにより、ゲルパーミーエーションクロマトグラフィーによるポリエチレングリコール換算で重量平均分子量22400の本発明におけるポリカルボン酸(5)を得た。
重合反応液中、及び、重合後の反応溶液・攪拌翼・温度計などに付着したゲルの質量を確認したところ、1.6g/1000gポリマー水溶液のゲルが認められた。
ゲルの質量は、重合後に重合反応液を100メッシュの金属フィルターで濾過したときにフィルター上に残ったものと、反応容器、攪拌翼、温度計などに付着したゲルの含水状態でのゲル濃度である。
得られたポリマー水溶液の固形分は49.4%であった。
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管、及び、還流冷却管(コンデンサ)を備えたガラス製反応槽(内容積:3リットル)に水1025.6g及び3−メルカプトプロピオン酸0.309gを仕込み、攪拌下で上記反応器を窒素置換し、窒素雰囲気下で70℃まで昇温した。次に、上記反応器にメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数4)1100.8g、メタクリル酸200.7g、メタクリル酸ナトリウム67.7g、3−メルカプトプロピオン酸15.4g及びイオン交換水233.4gの混合溶液を6時間かけて滴下すると同時に、30%過酸化水素18.9gを水71.6gに溶解させた水溶液、及び、L−アスコルビン酸7.3gを水74.2gに溶解させた水溶液を7時間かけて滴下した。
滴下終了後、反応混合液を70℃で1時間維持した。さらにこの反応混合液のpHを水酸化ナトリウムで7になるように調整することにより、ゲルパーミーエーションクロマトグラフィーによるポリエチレングリコール換算で重量平均分子量21000の本発明におけるポリカルボン酸(6)を得た。
重合反応液中、及び、重合後の反応溶液・攪拌翼・温度計などに付着したゲルの質量を確認したところ、1.5g/1000gポリマー水溶液のゲルが認められた。
ゲルの質量は、重合後に重合反応液を100メッシュの金属フィルターで濾過したときにフィルター上に残ったものと、反応容器、攪拌翼、温度計などに付着したゲルの含水状態でのゲル濃度である。
得られたポリマー水溶液の固形分は49.4%であった。
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管、及び、還流冷却管(コンデンサ)を備えたガラス製反応槽(内容積:3リットル)に水1025.6g及び3−メルカプトプロピオン酸0.773gを仕込み、攪拌下で上記反応器を窒素置換し、窒素雰囲気下で、70℃まで昇温した。次に、上記反応器にメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数4)1100.8g、メタクリル酸200.7g、メタクリル酸ナトリウム67.7g、3−メルカプトプロピオン酸15.4g及びイオン交換水233.4gの混合溶液を6時間かけて滴下すると同時に、30%過酸化水素18.9gを水71.6gに溶解させた水溶液、及び、L−アスコルビン酸7.3gを水74.2gに溶解させた水溶液を7時間かけて滴下した。
滴下終了後、反応混合液を70℃で1時間維持した。さらにこの反応混合液のpHを水酸化ナトリウムで7になるように調整することにより、ゲルパーミーエーションクロマトグラフィーによるポリエチレングリコール換算で重量平均分子量22300の本発明におけるポリカルボン酸(7)を得た。
重合反応液中、及び、重合後の反応溶液・攪拌翼・温度計などに付着したゲルの質量を確認したところ、1.8g/1000gポリマー水溶液のゲルが認められた。
ゲルの質量は、重合後に重合反応液を100メッシュの金属フィルターで濾過したときにフィルター上に残ったものと、反応容器、攪拌翼、温度計などに付着したゲルの含水状態でのゲル濃度である。
得られたポリマー水溶液の固形分は49.4%であった。
製造例1
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管、及び、還流冷却管(コンデンサ)を備えたガラス製反応槽(内容積:3リットル)に水460.0gを仕込み、攪拌下で上記反応器を窒素置換し、窒素雰囲気下で80℃まで昇温した。次に、上記反応器にメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数10)533.4g、メタクリル酸120.6g、メタクリル酸ナトリウム27.0g、3−メルカプトプロピオン酸8.5g及びイオン交換水201.3gの混合溶液を4時間かけて滴下すると同時に、過硫酸アンモニウム6.44gを水110.1gに溶解させた水溶液を5時間かけて滴下した。
滴下終了後、反応混合液を80℃で1時間維持した。さらにこの反応混合液のpHを水酸化ナトリウムで7になるように調整することにより、ゲルパーミーエーションクロマトグラフィーによるポリエチレングリコール換算で重量平均分子量17000の側鎖長10molのポリカルボン酸(8)(単量体成分の親水親油バランスの平均値19.3)が得られた。
得られたポリマー水溶液の固形分は46.1%であった。
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管、及び、還流冷却管(コンデンサ)を備えたガラス製反応槽(内容積:3リットル)に水525.7gを仕込み、攪拌下で上記反応器を窒素置換し、窒素雰囲気下で80℃まで昇温した。次に、上記反応器にメトキシポリアルキレングリコールモノメタクリレート(メトキシ基側より、平均付加モル数でエチレンオキシド10mol、プロピレンオキシド2mol、エチレンオキシド13mol付加したもの)535.7g、メタクリル酸118.8g、メタクリル酸ナトリウム25.9g、3−メルカプトプロピオン酸13.51g及びイオン交換水81.2gの混合溶液を4時間かけて滴下すると同時に、過硫酸アンモニウム7.76gを水72.2gに溶解させた水溶液を5時間かけて滴下した。
滴下終了後、反応混合液を80℃で1時間維持した。さらにこの反応混合液のpHを水酸化ナトリウムで7になるように調整することにより、ゲルパーミーエーションクロマトグラフィーによるポリエチレングリコール換算で重量平均分子量15000のポリカルボン酸(9)(単量体成分の親水親油バランスの平均値19.2)が得られた。
得られたポリマー水溶液の固形分は46.1%であった。
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管、及び、還流冷却管(コンデンサ)を備えたガラス製反応槽(内容積:3リットル)に水1025.6g及び製造例1で重合して得られる46.1%ポリマー水溶液201.5gを仕込み、攪拌下で上記反応器を窒素置換し、窒素雰囲気下で、70℃まで昇温した。次に上記反応器にメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数4)1100.8g、メタクリル酸200.7g、メタクリル酸ナトリウム67.7g、3−メルカプトプロピオン酸15.4g及びイオン交換水233.4gの混合溶液を6時間かけて滴下すると同時に、30%過酸化水素18.9gを水71.6gに溶解させた水溶液、及び、L−アスコルビン酸7.3gを水74.2gに溶解させた水溶液を7時間かけて滴下した。
滴下終了後、反応混合液を70℃で1時間維持した。さらにこの反応混合液のpHを水酸化ナトリウムで7になるように調整することにより、ゲルパーミーエーションクロマトグラフィーによるポリエチレングリコール換算で重量平均分子量23400の本発明におけるポリカルボン酸(10)を得た。
重合反応液中、及び、重合後の反応溶液・攪拌翼・温度計などに付着したゲルの質量を確認したところ、0.2g/1000gポリマー水溶液のゲルが認められた。
ゲルの質量は、重合後に重合反応液を100メッシュの金属フィルターで濾過したときにフィルター上に残ったものと、反応容器、攪拌翼、温度計などに付着したゲルの含水状態でのゲル濃度である。
得られたポリマー水溶液の固形分は48.3%であった。
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管、及び、還流冷却管(コンデンサ)を備えたガラス製反応槽(内容積:3リットル)に水1025.6g及び製造例1で重合して得られる46.1%ポリマー水溶液431.7gを仕込み、攪拌下で上記反応器を窒素置換し、窒素雰囲気下で70℃まで昇温した。次に、上記反応器にメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数4)1100.8g、メタクリル酸200.7g、メタクリル酸ナトリウム67.7g、3−メルカプトプロピオン酸15.4g及びイオン交換水233.4gの混合溶液を6時間かけて滴下すると同時に、30%過酸化水素18.9gを水71.6gに溶解させた水溶液、及び、L−アスコルビン酸7.3gを水74.2gに溶解させた水溶液を7時間かけて滴下した。
滴下終了後、反応混合液を70℃で1時間維持した。さらにこの反応混合液のpHを水酸化ナトリウムで7になるように調整することにより、ゲルパーミーエーションクロマトグラフィーによるポリエチレングリコール換算で重量平均分子量23000の本発明におけるポリカルボン酸(11)を得た。
重合反応液中、及び、重合後の反応溶液・攪拌翼・温度計などに付着したゲルの質量を確認したところ、0.2g/1000gポリマー水溶液のゲルが認められた。
ゲルの質量は、重合後に重合反応液を100メッシュの金属フィルターで濾過したときにフィルター上に残ったものと、反応容器、攪拌翼、温度計などに付着したゲルの含水状態でのゲル濃度である。
得られたポリマー水溶液の固形分は48.9%であった。
実施例1、製造例1、2及び比較例2、3で示したポリカルボン酸(2)、(8)、(9)、(10)、(11)を用いて、下記に示す配合でコンクリートを調合、混練し、セメント組成物(1)、(比較4)、(比較5)を用いてコンクリート試験を行った。
実施例1、製造例1、2及び比較例2、3で示したポリカルボン酸(2)、(8)、(9)、(10)、(11)を用いて、下記のように配合されるセメント混和剤を作製し、下記に示す配合でコンクリートを配合・混練し、混練直後及び経時のスランプフロー値を評価した。
配合単位水量は、水172kg/m3、セメント(太平洋セメント社製普通ポルトランドセメント):573.3kg/m3、粗骨材(青梅産破石):861.5kg/m3、細骨材(大井川系川砂と千葉君津産砂の混合物、混合比は重量比で大井川:君津=80:20):739.4kg/m3とした。
消泡剤であるマイクロエアMA404(ポゾリス物産社製)をセメント質量に対して0.02%、及び、AE剤であるマイクロエアMA202(ポゾリス物産社製)をセメント質量に対して0.003%を配合した。セメント質量に対するセメント混和剤の配合量は、混和剤の固形分量で計算し、%(質量%)表示で示した。
上記配合で、50L二軸強制練りミキサーにセメント及び細骨材を投入して10秒空練りを行い、次いで、セメント混和剤を配合した水を加えて90秒間混練を行った後、粗骨材を投入して更に90秒間混練し、コンクリートを製造した。
得られたコンクリートのスランプフロー値、空気量の測定は、日本工業規格(JIS A1101、1128、6204)に準拠して行った。
表中ポリカルボン酸(10)と(11)はそれぞれ、鎖長10のポリマーを釜に仕込んで重合して得たポリマー(釜張りポリマーのポリオキシアルキレングリコールモノマーの親水親油バランスの平均値19.3、側鎖長10)である。
これに対し、ポリカルボン酸(2)は鎖長4のポリマーを釜に仕込んで重合して得たポリマー(釜張りポリマーのポリオキシアルキレングリコールモルマーの親水親油バランスの平均値18.4、側鎖長10)である。
表中のスランプ値を見ると、0分と30分の数字の減り幅(スランプロス)は;
混和剤1:22.5−22.0=0.5
比較4:22.5−20.5=2.0
比較5:22.5−21.0=1.5
と混和剤1の減り幅が最も低いものとなっている。
すなわち、鎖長が短いポリマーを張り込んだものの方がスランプロスが少なく、保持性が良いということとなる。
これが、鎖長が短いポリマーを仕込んだ場合のメリットになる。すなわち、本発明の製造方法において、(ポリ)オキシアルキレン基の鎖長が短い重合体のみを含むポリカルボン酸系コンクリート混和剤を得ることができ、このようなポリカルボン酸系コンクリート混和剤は、上述したような効果を示すことになる。
これを2回目の釜張りに使用すると、どうしても鎖長6のポリマーの組成が落ちる。例えば、1回目のポリマーを20質量%最初に仕込むと、釜張り 1回目のポリマー(内容 鎖長6/鎖長4=20/80)/鎖長4のポリマー=20/80で実質2回目にできるポリマーは、鎖長6/鎖長4=4(=20/100×20質量%)/96(=80質量%+20/100×80質量%)と1回目とは異なるポリマーになる。
単一組成で重合を行っていけば、上記のような、ポリマー混合物組成の変化なく、連続で安定した品質のものを提供することができる。
該重合工程は、水溶性重合体と水とを含む混合物を予め溶媒として用いて重合するものであり、該水溶性重合体は、親水親油バランスの平均値が19未満である単量体成分を重合して得られるものとすることにより、重合中のゲル生成の抑制しつつ、保持性、品質の安定化において有利な効果を発揮し、それが顕著であることがわかった。
Claims (9)
- 単量体成分を溶媒の存在下で重合してポリカルボン酸系重合体を得る重合工程を含むポリカルボン酸系コンクリート混和剤の製造方法であって、
該重合工程は、親水親油バランスの平均値が19未満である(ポリ)オキシアルキレン基を有する単量体単位を必須とする水溶性重合体と水とを含む混合物を予め溶媒として用いて重合する
ことを特徴とするポリカルボン酸系コンクリート混和剤の製造方法。 - 単量体成分を溶媒の存在下で重合してポリカルボン酸系重合体を得る重合工程を含むポリカルボン酸系コンクリート混和剤の製造方法であって、
該重合工程は、オキシアルキレン基の平均付加モル数が7未満である(ポリ)オキシアルキレン基を有する水溶性重合体と水とを含む混合物を予め溶媒として用いて重合する
ことを特徴とするポリカルボン酸系コンクリート混和剤の製造方法。 - 前記重合工程は、前記溶媒に単量体成分を滴下する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のポリカルボン酸系コンクリート混和剤の製造方法。 - 前記予め溶媒として用いられる混合物に含まれる水溶性重合体は、ポリカルボン酸系重合体である
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリカルボン酸系コンクリート混和剤の製造方法。 - 前記予め溶媒として用いられる混合物に含まれるポリカルボン酸系重合体と前記重合工程によって得られるポリカルボン酸系重合体とは、同一又は異なって、下記一般式(1)で表される(ポリ)オキシアルキレン基を有する不飽和単量体(A)と、不飽和カルボン酸系単量体(B)とを含有する単量体成分を重合して得られるものである
ことを特徴とする請求項4に記載のポリカルボン酸系コンクリート混和剤の製造方法。
- 前記重合工程は、予め溶媒として用いられる混合物に含まれるポリカルボン酸系重合体におけるオキシアルキレン基の平均付加モル数mと、重合工程によって得られるポリカルボン酸系重合体におけるオキシアルキレン基の平均付加モル数mとが同一となるようにして重合を行う
ことを特徴とする請求項5に記載のポリカルボン酸系コンクリート混和剤の製造方法。 - 前記予め溶媒として用いられる混合物に含まれるポリカルボン酸系重合体を重合して得るための仕込み単量体組成と前記重合工程によって得られるポリカルボン酸系重合体を重合して得るための仕込み単量体組成とは、同一である
ことを特徴とする請求項6に記載のポリカルボン酸系コンクリート混和剤の製造方法。 - 単量体成分を溶媒の存在下で重合してポリカルボン酸系重合体を得る重合工程を含むポリカルボン酸系コンクリート混和剤の製造方法であって、
該重合工程は、溶媒中に重合開始剤及び/又は連鎖移動剤を予め存在させて重合する
ことを特徴とするポリカルボン酸系コンクリート混和剤の製造方法。 - 単量体成分を溶媒の存在下で重合してポリカルボン酸系重合体を得る重合工程を含むポリカルボン酸系コンクリート混和剤の製造方法であって、
該製造方法は、反応容器に単量体を導入する前に反応容器に予め親水親油バランスの平均値が19未満である(ポリ)オキシアルキレン基を有する単量体単位を必須とする水溶性重合体及び/又はオキシアルキレン基の平均付加モル数が7未満である(ポリ)オキシアルキレン基を有する水溶性重合体と水とを導入して溶媒としての水溶性重合体と水とを含む混合物を調製する工程と、
前記工程で得られた水溶性重合体と水とを含む混合物に(ポリ)オキシアルキレン基を有する不飽和単量体(A)を添加する工程と、
前記工程で得られた水溶性重合体と水とを含む混合物に不飽和カルボン酸系単量体(B)を添加する工程とを有する
ことを特徴とするポリカルボン酸系コンクリート混和剤の製造方法。
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