JP2008177064A - 走査型荷電粒子顕微鏡装置および走査型荷電粒子顕微鏡装置で取得した画像の処理方法 - Google Patents
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Abstract
走査型荷電粒子顕微鏡で撮像して得られる試料の画像について、ノイズ成分を低減させた高品質な画像を取得して画像処理の精度を向上させる。
【解決手段】
撮像条件や試料情報に基づいてビーム強度波形を計算し、また、ビーム強度波形以外による分解能劣化要因も劣化モデルの対象として画像復元を行うことにより、様々な条件において高分解能な画像を取得することを可能とした。さらに、半導体検査および半導体計測用の走査型荷電粒子顕微鏡において、画像復元後の画像を用いてパターン寸法計測、欠陥検出、欠陥分類等に用いることにより、計測精度向上や欠陥検出、欠陥分類の高精度化を可能とした。
【選択図】 図1
Description
走査型イオン顕微鏡(Scanning Ion Microscope : 以下SIMと記す)や走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:以下SEMと記す)は走査型荷電粒子顕微鏡の一つとして良く知られている。特に、半導体製造プロセスにおいては、画像観察のためのみでなく、半導体の検査やパターン計測などの対象試料の特徴量を求める用途として、半導体ウェーハ上に発生した欠陥の検出および欠陥の原因調査、パターンの寸法や形状の計測のために使われている。パターンの微細化に伴い、微小欠陥の検査や、パターンの高精度計測の必要性が増してきており、高分解能な画像を取得することが重要になってきている。
しかし、どんな走査型荷電粒子顕微鏡でも分解能の限界がある。粒子が波動の性質を持つことにより発生する回折収差や、レンズの特性に起因する色収差、球面収差のため、荷電粒子ビーム(イオンビームや電子ビームなど)はこれらの収差により広がったビーム強度波形を持って試料表面に入射する。また、試料内に入射した荷電粒子ビームは、一般に試料内で拡散した後、試料から放出される、または試料を透過する。これらの現象は、分解能劣化の要因となる。また、走査型荷電粒子顕微鏡では、荷電粒子ビームを多く入射するほど、試料にダメージを与えたり撮像時間が長くなるという問題がある。このため、十分な量の荷電粒子ビームを入射することができず、検出される信号量が減少するため、走査型荷電粒子顕微鏡では光学顕微鏡に比べて撮像画像のS/Nは低い。
一方、画像の分解能向上およびS/N向上を可能とする画像処理として、画像復元が知られている。カメラや望遠鏡、顕微鏡などの機器で得られた画像には、必ず分解能の劣化やノイズの重畳がある。画像復元は、これらの画像から分解能の劣化やノイズを除いた、鮮明で高S/Nの画像(以下理想画像と記す)を推定する処理である。通常画像復元では、まず理想画像が分解能劣化度合いを表す劣化関数との畳込みにより分解能が劣化し、さらにノイズが重畳した画像を撮像画像とモデル化し、次にこのモデルを用いて撮像画像から逆に理想画像を推定する。画像復元に関し、天体画像や光学画像などを対象に多くの研究が行われている(例えば、非特許文献1、2を参照)。
また、走査型光学顕微鏡や走査型荷電粒子顕微鏡においても、画像復元を用いて分解能を向上する手法が、特許文献1や非特許文献3で提案されている。
更に、撮像画像の分解能劣化要因の一つである試料表面でのビーム強度波形を求める計算方法については、例えば非特許文献4に記載されている。
また、特許文献2には、試料に斜め方向から電子ビームを照射して画像撮像を行うことにより、試料の側面の情報を得ることが記載されている。
例えば、ビーム強度波形は、加速電圧、プローブ電流、ビーム開き角などの撮像条件を決めるパラメータによって大きく異なることもあり、ビームをチルトして撮像する場合にはビームチルト角によっても異なる。さらに、ビーム強度波形は、荷電粒子ビームを集束するレンズ等の性能に影響を受けやすく、異なる装置や、同じ装置であっても装置の状態によりレンズの性能が若干異なるだけで変化する場合がある。これらの撮像条件に応じて適した劣化関数を用いなければ、ビーム強度波形による分解能の劣化を十分に低減できない。
また、例えば、対象試料が焦点深度に比べて十分な高さを持つような場合では、試料の高さによってビーム強度波形が大きく異なる。この理由は、通常焦点位置を固定して1枚の画像を撮像するので、焦点位置が試料表面に近い場合には焦点が合うが、逆に試料表面から遠くなるほど焦点外れを引き起こすためである。この場合、試料の高さ情報に応じて劣化関数を変更しなければ、焦点外れのある領域の分解能を十分に向上することはできない。
また、例えば、更なる分解能向上のため、試料内での荷電粒子ビームの拡散による影響やビームスキャンによる影響など、ビーム強度波形以外の分解能劣化要因も低減したい場合がある。
また、例えば、半導体パターンの寸法や形状の計測などにおいては、安定した計測精度を実現するために、装置間での計測値の差や装置の経時変化による計測の変動を防ぐための処理が必要である。この場合の計測値の差や変動の大きな要因は、ビーム強度波形の差であると考えられるため、ビーム強度波形そのものを劣化関数として画像復元を行うことにより、ビーム強度波形の差を低減する考え方は有効である。しかし、撮像画像のS/Nが低く、また画像復元を短時間で行わなければならない場合には、分解能を十分に向上することが困難であり、したがってビーム強度波形そのものを劣化関数に用いても、ビーム強度波形の差を十分に低減することは非常に難しい。
[画像復元の原理の説明]
本発明は、撮像画像の分解能向上およびS/N向上を行うために、適切な劣化関数を用いて画像復元を行うものである。以下に、本発明による画像復元に原理について説明する。
図1は、画像を撮像して画像復元を行うシーケンスの一実施例である。まず、予め設定された撮像条件を元に、101のステップで画像撮像を行い、111の撮像画像gを得る。該撮像条件とは、装置に関する情報を表す装置の機種、装置ID、装置の状態、および撮像時のパラメータを表す加速電圧、プローブ電流、ビーム開き角、ビームチルト角、焦点位置等のことである。また、102のステップで該撮像条件と試料情報に基づき、劣化関数Aを生成する。次に、103のステップで画像復元を行うことにより、112の復元画像fを求める。また、ステップ104、105のようにユーザにより劣化関数を修正できる機能が付いていても良い。ステップ104でユーザに劣化関数を修正する必要があるか否かを尋ね、必要がある場合には、ステップ105で修正した劣化関数を用いて、ステップ103で画像復元を行い、劣化関数を修正する必要がなくなるまで繰り返す。画像を連続して撮像する場合には、最初に撮像した画像に対してステップ104、105の処理を行う場合はあるが、通常2枚目以降の撮像画像に対してはステップ104、105の処理は行われない。
図2は、本発明の一実施形態であるSEMの基本構成である。SEMは、例えば、撮像装置201、制御部221、処理部222、記憶部223、および入出力部224等から構成される。撮像画像の取得では、電子銃202から1次電子ビーム203を発生し、この1次電子ビーム203をコンデンサレンズ204に通し、さらに対物レンズ205に通すことにより試料206の表面に集束する。次に、試料206から発生する2次電子や反射電子等の電子を検出器208により検出し、画像生成器209により該検出信号からディジタル画像を生成することにより、撮像画像を取得する。撮像画像は、記憶部223に保存される。ステージ207を移動することにより、試料の任意の位置での画像撮像が可能である。検出器208は、例えば2次電子を多く検出するようにした2次電子検出器と、反射電子を多く検出するようにした反射電子検出器のように、複数の検出器があっても良い。また、試料の高さを計測するための高さ計測センサ214があっても良い。
1次電子ビーム210のように試料に斜め方向から電子ビームを照射して画像撮像を行うことにより、試料の側面の情報を得ることができる。斜め方向から電子ビームを照射する方法としては、例えば特許文献2には、光軸から離れて電子ビームを偏向させるための偏向ユニット211と、電子ビームを分散することにより試料表面における色収差を実質的に補正する補正ユニット212を用いることにより、電子ビームを傾斜させる手法が述べられている。このような手法以外にも、複数のカラムを用いる方法、あるいはカラムを傾ける方法、あるいはステージ207を傾ける方法等により、試料に斜め方向から荷電粒子線を照射して画像撮像を行うことが可能である。ただし、通常は試料に対して斜めから照射するほどビーム強度波形が広がり、撮像画像の分解能が低下する。
制御部221は、電子銃202周辺に印加する電圧、コンデンサレンズ204および対物レンズ205の焦点位置調整、ステージ207の移動、画像生成器209の動作タイミング等を制御する。処理部222によりステップ102の劣化関数の生成やステップ103の画像復元、ステップ104の劣化関数の修正要否の判断、ステップ105の劣化関数の修正等が行われる。記憶部223にて撮像画像、復元画像、撮像条件や試料情報等が保存される。撮像条件の入力、撮像画像または復元画像の出力、劣化関数の修正等は、入出力部224により行われる。
撮像画像gには、必ず何らかの要因による分解能劣化とノイズ重畳によるS/N低下が起こる。撮像画像g(x、y)は、分解能劣化の様子を表す劣化関数A(x’、y’)と復元画像f(x、y)との畳み込みに、ノイズn(x、y)が重畳した画像として、
復元画像fは、必ずしも全ての分解能劣化要因や全てのノイズを除いた画像である必要はない。例えば、劣化関数がA1(x’、y’)、A2(x’、y’)で表される二つの分解能劣化要因がある場合、劣化関数A(x’、y’)を
分解能劣化要因としては、試料表面でのビーム強度波形の広がり、試料内でのビームの拡散、ビームスキャンによる影響などが考えられる。それぞれの分解能劣化要因に対応する劣化関数を用いて画像復元を行うことにより、各現象による分解能劣化を低減することが可能である。また、劣化関数は、これらの分解能劣化要因に直接対応している必要はない。例えば、異なる撮像条件における試料表面でのビーム強度波形が図5に示すような関数Aa(x’、y’)およびAb(x’、y’)であるような場合、
画像復元では、与えられた撮像画像gに対して、式(1)を逆に解くことにより復元画像fを求める。画像復元の解法としては、劣化関数Aの逆関数、または逆関数に対応する関数A+を求めて撮像画像gにA+を直接作用させる非反復法や、反復して処理を行うことでより分解能の高い復元画像fを求めてゆく反復法がある。非反復法は一般に高速に復元画像fを求められるという利点を持ち、Wienerフィルタなどの手法が有名である。一方、反復法のほうが一般に高分解能で画質の良好な復元画像fを得ることができる。
403の画像fi更新のステップでは、多くの手法が提案されている。例えば、反復法として広く知られた手法であるRichardson-Lucy法では、次式
図5は、撮像画像の分解能劣化要因の一つである、試料表面でのビーム強度波形の一例である。図5(a)において(1)、(2)のビームは301、302はどちらもある幅を持ったビームであり、試料303の表面で集束してビームの幅が狭くなるように入射している。(1)のビーム301は、x軸およびy軸に対して垂直な方向から入射されている。一方、図5(a)(2)のビーム302は、y軸に対しては垂直な方向であるが、x軸に対してはビームチルト角θでビームチルトしている。ビーム301、302の試料表面(xy平面に平行とする)でのビーム強度波形を図5(b〜(e)に示す。ビーム301、302の入射方向以外の性質が全て同一ならば、図5(c)および(e)に示すようにy方向に対するそれぞれのビーム強度波形、即ち図5(c)の波形312、図5(e)の波形314は同じとみなせる。一方、x方向に対するそれぞれのビーム強度波形、即ち図5(b)の波形311、図5(d)の波形313を比較すると、斜めから入射したビーム302のほうが広がったようになる。試料表面でのビーム強度波形が広がりを持つほど分解能劣化を引き起こすため、通常ビームチルト角θが増すほど分解能は劣化する。
他の条件が異なった場合にもビーム強度波形は異なった形になる。ビーム強度波形の広がりを表す値としては、荷電粒子が持つ波としての性質に起因する回折収差ddや、レンズの特性である色収差dc、球面収差ds等がある。各収差dd、dc、dsは、それぞれ次式のように表される。
図7は、撮像条件に応じてビーム強度波形を計算するステップの一実施例である。ビーム強度波形を劣化関数として画像復元を行う場合、501のビーム強度波形を計算するステップは、図1の102の劣化関数生成のステップとして利用できる。ビーム強度波形を計算するのに必要な、撮像条件に応じて変化するパラメータを、複数の撮像条件に対して502のように予め記憶しておく。502のパラメータは、例えば色収差係数Ccや球面収差係数Cs等である。次に503のスイッチにより与えられた撮像条件に対応するパラメータを選択する。このパラメータの選択の後、504のビーム強度波形計算によって該撮像条件に応じたビーム強度波形を計算する。与えられた撮像条件に完全に一致する撮像条件のパラメータが502に記憶されていない場合には、503のスイッチは、例えば与えられた撮像条件に最も近い撮像条件におけるパラメータを選択しても良いし、与えられた撮像条件に近い複数の撮像条件に対応するパラメータを用いて推定しても良い。
図8は、撮像条件に応じてビーム強度波形を計算するステップの別の一実施例である。複数の撮像条件に対するビーム強度波形を602のように予め記憶しておく。次に、603のスイッチにより与えられた撮像条件に対応するビーム強度波形を選択する。与えられた撮像条件に完全に一致する撮像条件のパラメータが602に記憶されていない場合には、603のスイッチは、例えば与えられた撮像条件に最も近い撮像条件におけるビーム強度波形を選択しても良いし、与えられた撮像条件に近い複数の撮像条件におけるビーム強度波形を補間しても良い。
劣化関数の計算に試料情報が必要な場合もある。図9に、高低差の大きい試料に対して荷電粒子ビームを照射した場合の様子を示す。図9(a)で荷電粒子ビーム802は、試料803の表面において合焦であり、そのビーム強度波形は812のようにあまり広がっていない。一方、荷電粒子ビーム801は、試料803の表面において焦点が外れており、そのビーム強度波形は図8(c)に示すように811のようにビーム強度波形812に比べて広がっている。試料803のように、荷電粒子ビームの焦点深度に対して対象とする試料の高低差が大きい場合には、荷電粒子ビーム801のように焦点が外れることが起こる。この場合、荷電粒子ビームのビーム径sは例えば図9(b)に示した821のようにビーム照射位置によって変化する。この変化のため、位置により分解能が異なる撮像画像が取得される。このような画像に対して、ビーム強度波形による分解能劣化を適切に低減するためには、試料の形状、特に試料の高さと焦点位置を表す情報を用いてビーム照射位置(x、y)毎のビーム強度波形を求め、該ビーム強度波形を劣化関数Aとする必要がある。尚、ビーム照射位置(x、y)によって変化するような劣化関数Aを用いる場合には、劣化関数はA(x’、y’;x、y)のように表され、撮像画像g(x、y)の分解能劣化モデルは
図9では、試料の高さにより劣化関数が変化する例を示した。試料情報によって劣化関数が変化する別の例として、試料内での荷電粒子ビームの拡散を劣化関数に含める場合がある。
別の分解能劣化要因の例として、ビームのスキャンに関係する劣化がある。走査型荷電粒子顕微鏡では、図11の試料1903に対して荷電粒子ビームを、例えば1901のように一方向(x方向)にスキャンしながら、試料から放出される、または試料を透過する荷電粒子を検出する。ビーム照射位置を変えながら画素1902毎に荷電粒子数の検出を行うが、検出中にもスキャンを行うため、結果としてスキャン方向であるx方向に平滑化された値が得られる。また、検出器の応答時間に比べ、1画素当たりのスキャン時間が短いほど、x方向に平滑化されることになる。これらの分解能劣化要因を低減するため、ビームスキャン速度に応じて1911、1912のようなx方向にのみ幅を持つ劣化関数を生成し、該劣化関数を用いて画像復元を行うことができる。
図12は、ビーム強度波形による分解能劣化、および試料内での荷電粒子ビームの拡散による分解能劣化を低減するための劣化関数を計算するステップの一実施例である。まず、複数の撮像条件に対してビーム強度波形を計算するのに必要なパラメータを1001のように予め記憶しておく。次に与えられた撮像条件に対応するパラメータをスイッチ1002により選択する。また、撮像条件と試料の形状から、1003のステップで焦点位置と試料表面位置との距離を計算する。次に、該距離とスイッチ1002から出力されるパラメータに基づいて1004のステップでビーム強度波形の計算を行う。次に、該ビーム強度波形と撮像条件、試料の形状、試料の材質を用いて1005のステップで荷電粒子ビームの試料内での拡散領域を計算し、最後に該ビーム強度波形と該拡散領域を用いて1006のステップで劣化関数を求める。試料の形状に応じてビーム強度波形を計算する必要がない場合にはステップ1003はなくても良い。また、ビーム強度波形による分解能低下を低減しない場合にはステップ1002〜1004はなくても良い。
劣化関数を細かく設定するため、劣化関数を生成した後、図1におけるステップ105のような劣化関数の修正が必要となる場合が考えられる。図13は、劣化関数の修正方法をユーザに促すGUI画面の一実施例である。このGUI画面は、ビーム強度波形および試料内での荷電粒子ビームの拡散による分解能劣化を低減するための劣化関数を設定するためのGUI画面である。与えられた撮像条件1101に対し、劣化関数を表示する領域1104や、該劣化関数を表すパラメータのデフォルト値を表示する領域1103、該劣化関数を表すパラメータを設定するための領域1107がある。該劣化関数を表すパラメータは、例えば劣化関数A(x’、y’)の幾つかの位置(x’、y’)における値でも良いし、劣化関数A(x’、y’)をフーリエ変換した関数FA(fx’、fy’)の幾つかの周波数(fx’、fy’)における値でも良い。または、例えば、色収差係数Ccや球面収差係数Cs等のような劣化関数を計算するために使用するパラメータであっても良い。領域1104には、領域1107で設定されたパラメータに対応する劣化関数のみを表示しても良いし、さらに領域1103に表示されているパラメータのデフォルト値に対応する劣化関数を表示しても良い。領域1101のように図13のGUI画面から撮像条件を設定できるようにしても良い。
また、図13のGUI画面には、領域1106のように、撮像画像や、領域1107で設定されたパラメータに対応する劣化関数を用いて画像復元を行うことにより得られる復元画像を表示するための領域がある。さらに領域1108のように、各画像から計算できる、分解能、ノイズ量、パターン寸法などの値を表示する領域があっても良い。領域1106、1108には、領域1103に表示されているようなデフォルトのパラメータに対応する劣化関数を用いる画像復元の結果を表示しても良い。また、劣化関数を計算するのに必要な試料情報を設定する領域1102や、画像復元の処理パラメータを設定する領域1105があっても良い。これらの表示領域や設定領域は、複数のGUI画面を用いて別々に表示しても良い。
画像復元により高分解能化、または高S/N化した復元画像は、微細構造観察や高精度計測などのために使うこともできる。図14は、SEM検査装置や欠陥レビューSEMなどの半導体検査用SEMにおいて、画像復元により得られた復元画像を用いて欠陥検出または欠陥分類を行うシーケンスの一実施例である。101〜105のステップは図1で説明したステップと同じである。112の復元画像に対し、1301のステップで欠陥の検出または欠陥種類への分類を行う。従来の撮像画像に対して欠陥検出を行った場合、欠陥1311のような低コントラストの欠陥や微小な欠陥が画像に含まれていても、撮像画像が低分解能であったり、低S/Nであるとその欠陥を検出できないことがある。これに対し、画像復元を行うことにより欠陥1312のように欠陥の顕在化を行うことができるため、ステップ1301の欠陥検出により、欠陥を検出しやすくなる。ステップ1301で欠陥分類を行う場合でも、同様の理由により、分類精度の向上が可能となる。
次に、1704の欠陥検出のステップで欠陥が検出された場合には、検出した欠陥のSEM上の位置座標を登録し、ステップ1705で登録された該欠陥位置座標においてSEM高倍画像を撮像し、ステップ1707で高倍画像を用いて欠陥種類への分類を行う。この際、ステップ1707の欠陥分類を高性能に行うために、ステップ1706のように、高倍撮像して得られた高倍画像に対して画像復元を行い、該画像復元により得られた復元画像を用いて欠陥分類を行う。ステップ1708で対象とする全ての欠陥の検出を終了したかを判定し、終了していない場合にはステップ1701〜1707までの処理を、対象とする欠陥毎に繰り返す。ステップ1703またはステップ1706のどちらかの画像復元処理は省くこともできる。ステップ1706で生成した復元画像は、1808のようなデータベースに蓄えられる。また、ステップ1703で生成した復元画像等も同様に、1808のデータベースに蓄えることもできる。
図16は、測長SEMなどの半導体計測用SEMにおいて、復元画像を用いてパターン寸法やパターン形状の計測を行うシーケンスの一実施例である。101〜105のシーケンスは図1と同じである。112の復元画像に対し、1201のステップで画像に含まれるパターンの寸法計測または形状計測を行う。測長SEM等では、寸法計測や形状計測等を行いたい点(評価点)において、この処理が行われる。測長SEMでは通常2次電子を検出することにより撮像画像を生成する。2次電子検出数が多いほど明度値が大きくなるように画像を生成すれば、パターンエッジにおいて明度値が大きいライン状の領域(ホワイトバンド)ができるような画像を得ることができる。パターンの寸法計測や形状計測はホワイトバンドを用いて行われる。しかし、分解能が低い画像であるほど、ホワイトバンドの幅が広くなることに起因して精度の低下を引き起こすという問題がある。このため、復元画像に対してパターンの寸法計測や形状計測を行ったほうが、撮像画像に対して同様の計測を行うよりも精度を向上することが可能である。
半導体計測用SEMにおいて評価点画像を自動撮像し、寸法や形状を計測するシーケンスの例を図17に示す。評価点画像は十万倍以上の高倍率で撮像することが多いが、評価点画像の画像領域に比べて位置精度が低い。そこで、まず図17(a)に示したシーケンスにおいて、ステップ1801で位置精度を合わせるためにアドレシング点の画像を撮像した後、ステップ1802で該撮像画像を用いて位置ずれ量の補正を行う。次に、ステップ1803で評価点の画像を撮像し、ステップ1804でこの撮像画像に対して画像復元を行うことにより復元画像を生成し、ステップ1805で該復元画像を用いて、画像に含まれるパターンの寸法計測や形状計測を行う。ステップ1801〜1805の処理を、対象とする評価点毎に繰り返す。ステップ1804で生成した復元画像を、1807のようにデータベースに蓄えることもできる。
一方、図17(a)に示したシーケンスにおいて、ステップ1801のアドレシング点画像撮像により得られた撮像画像をそのまま用いてステップ1802で位置ずれを補正しているのに対し、図17(b)に示したシーケンスにおいては、ステップ1801で撮像したアドレッシング点の画像をステップ1807で画像復元して復元画像を生成し、ステップ1808では該復元画像を用いて位置ずれ量の補正を行う。このシーケンスは、アドレシング点の撮像画像の分解能やS/Nが低く位置ずれ量の補正が困難な場合に特に有効である。
また、図17(a)のシーケンスの代わりに、図17(c)のようにステップ1812で評価点の撮像画像に対して復元画像を生成するが、ステップ1811の寸法計測および形状計測では該復元画像の代わりに該撮像画像を用いて行うこともできる。また、図17(d)のように評価点の撮像画像を1821のデータベースに蓄えた後、別途ステップ1822で該データベースから読み込んだ撮像画像に対して復元画像を生成することもできる。
装置の状態が経時変化することにより撮像画像の分解能が変化することもある。特にパターンの寸法計測や形状計測の用途等、安定した分解能を得なければいけない場合においては、装置の状態を常に把握して劣化関数にフィードバックをかける必要がある。図19に、装置の状態を計測するシーケンスの一実施例を示す。まず711のようなサンプル試料を準備しておき、701のステップにより該サンプル試料の画像を撮像して712の撮像画像gを得る。次に702のステップにより装置の状態を計測する。装置の状態として、例えば撮像画像gの分解能や、パターン寸法等を計測する。装置の状態は、撮像条件の一つとみなすことができる。
図18の1406のステップである劣化関数修正において、劣化関数Aの修正方法をユーザに促すGUI画面を図20に示す。図18の撮像条件1424および試料情報1425を表示する領域1601と、撮像条件1427および試料情報1426を表示する領域1602がある。また、図18と同様に、劣化関数を表示する領域1605や、該劣化関数を表すパラメータのデフォルト値を表示する領域1603、該劣化関数を表すパラメータを設定するための領域1604がある。さらに、画像復元の処理パラメータを設定する領域1606があっても良い。
また、図20のGUI画面には、領域1607のように、1421の撮像画像g1、1423の撮像画像g2、復元画像f1を表示するための領域がある。これらの画像の他に、撮像画像g2と復元画像f1を合わせることが容易に行えるように、例えば1611のような撮像画像g2と復元画像f1の差分画像等を表示しても良い。さらに領域1108と同様に、各画像から計算できる、分解能、ノイズ量、パターン寸法などの値を表示する領域1608があっても良い。
上記実施例1及び実施例2では走査型荷電粒子線装置としてSEMを用いた場合について説明したが、SIMを用いた場合にも同様な画像の処理方法を適用できることは明らかである。
以上、本発明者によってなされた発明を実施するためにの最良の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施するための最良の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることはいうまでもない。
Claims (12)
- 集束させた荷電粒子線をパターンが形成された試料上に照射して走査する荷電粒子線照射光学系手段と、
該荷電粒子線照射光学系手段により荷電粒子線が照射されて走査された前記試料から発生した同種または別種の荷電粒子を検出する荷電粒子検出光学系手段と、
該荷電粒子検出光学系手段で検出した信号を処理して前記試料の荷電粒子画像を得る画像取得手段と、
該画像取得手段で取得した前記試料の荷電粒子画像を処理する画像処理手段と
を備えた走査型荷電粒子顕微鏡装置であって、
前記画像処理手段は、前記画像取得手段で取得した画像の画像取得条件又は前記撮像した試料の情報のうち少なくとも一方を含む撮像情報を用いて算出した劣化関数を用いて前記画像取得手段で取得した画像の復元画像を求めることを特徴とする走査型荷電粒子顕微鏡装置。 - 前記画像処理手段は、前記求めた復元画像を用いて前記試料上のパターンの欠陥検出、または、前記試料上のパターンの欠陥分類、または、前記試料上のパターンの寸法の計測、又は前記試料上のパターンの形状の計測のうちの何れかの処理を行うことを特徴とする請求項1記載の走査型荷電粒子顕微鏡装置。
- 前記画像処理手段は、前記劣化関数と前記取得した画像のノイズ成分の情報を用いて前記取得した画像から復元画像を求めることを特徴とする請求項1又は2に記載の走査型荷電粒子顕微鏡装置。
- 前記劣化関数は、対象試料に照射した粒子のビーム強度波形、試料内での粒子の散乱分布の少なくとも一つから求められる分解能劣化モデルを表す関数であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の走査型荷電粒子顕微鏡装置。
- 前記劣化関数は、異なる撮像情報から求められる2種類以上の分解能劣化モデルを用いて生成されることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の走査型荷電粒子顕微鏡装置。
- 前記画像取得条件は、装置の機種、装置ID、装置の状態、加速電圧、プローブ電流、ビーム開き角、ビームチルト角、焦点位置、ビームスキャン速度のうちの何れか一つを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の走査型荷電粒子顕微鏡装置。
- 走査型荷電粒子顕微鏡装置を用いて集束させた荷電粒子線をパターンが形成された試料上に照射して走査することにより前記試料から発生した荷電粒子を検出して前記試料の荷電粒子画像を取得し、該取得した前記試料の荷電粒子画像を処理する方法であって、
前記取得した画像の画像取得条件又は前記撮像した試料の情報のうち少なくとも一方を含む撮像情報を用いて算出した劣化関数を用いて前記取得した荷電粒子画像の復元画像を求めることを特徴とする走査型荷電粒子顕微鏡装置で取得した画像の処理方法。 - 前記求めた復元画像を用いて前記試料上のパターンの欠陥検出、または、前記試料上のパターンの欠陥分類、または、前記試料上のパターンの寸法の計測、又は前記試料上のパターンの形状の計測のうちの何れかの処理を行うことを特徴とする請求項7記載の走査型荷電粒子顕微鏡装置で取得した画像の処理方法。
- 前記劣化関数と前記取得した画像のノイズ成分の情報を用いて前記取得した画像から復元画像を求めることを特徴とする請求項7又は8に記載の走査型荷電粒子顕微鏡装置で取得した画像の処理方法。
- 前記劣化関数は、対象試料に照射した粒子のビーム強度波形、試料内での粒子の散乱分布の少なくとも一つから求められる分解能劣化モデルを表す関数であることを特徴とする請求項7乃至9の何れかに記載の走査型荷電粒子顕微鏡装置で取得した画像の処理方法。
- 前記劣化関数は、異なる撮像情報から求められる2種類以上の分解能劣化モデルを用いて生成されることを特徴とする請求項7乃至9の何れかに記載の走査型荷電粒子顕微鏡装置で取得した画像の処理方法。
- 前記画像取得条件は、装置の機種、装置ID、装置の状態、加速電圧、プローブ電流、ビーム開き角、ビームチルト角、焦点位置、ビームスキャン速度のうちの何れか一つを含むことを特徴とする請求項7又は8に記載の走査型荷電粒子顕微鏡装置で取得した画像の処理方法。
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