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JP2008174726A - アセトアルデヒドスカベンジャー、ポリエステルブレンド及びその製造方法及び成形容器 - Google Patents

アセトアルデヒドスカベンジャー、ポリエステルブレンド及びその製造方法及び成形容器 Download PDF

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JP2008174726A
JP2008174726A JP2007312408A JP2007312408A JP2008174726A JP 2008174726 A JP2008174726 A JP 2008174726A JP 2007312408 A JP2007312408 A JP 2007312408A JP 2007312408 A JP2007312408 A JP 2007312408A JP 2008174726 A JP2008174726 A JP 2008174726A
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acetaldehyde scavenger
terephthalate
acid
polyester
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JP2007312408A
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Ru-Yu Wu
汝瑜 呉
Jen-Gang Wang
震綱 王
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Far Eastern New Century Corp
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Far Eastern Textile Ltd
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Abstract

【課題】ポリエステルによるアセトアルデヒドの生成量を減少させることができるアセトアルデヒドスカベンジャーを見出し、これを用いた成形容器を提供する。
【解決手段】本発明のアセトアルデヒドスカベンジャーは、炭素数が3〜15のジオール化合物と炭素数8〜16の芳香族ジカルボン酸及び/又はそのエステル系誘導体とから重合された芳香族ポリエステル及び/又は芳香族コポリエステルであることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエステル含有化合物におけるアセトアルデヒド含有量を低減するためのアセトアルデヒドスカベンジャー、さらに詳しくは芳香族ポリエステル系アセトアルデヒドスカベンジャーに関する。
ポリエステル、とりわけポリエチレンテレフタレート(PET)は、化学的安定性、透明性、成形性、ガスバリヤー性などに優れており、また軽量、安価であり、さらにリサイクルできるため、例えば炭酸入りでない水や、ソーダ水、ジュース、液体調味料、食用油、酒などの容器(ペットボトルなど)の成形材料として幅広く用いられる。
しかしながら、従来のPETは、製造工程である合成(synthesis)、固態重合(solid state polymerization)、射出成形、ダイレクトブロー成形の間、ポリマーの熱分解によってアセトアルデヒドを生成する。このアセトアルデヒドの一部が容器の内容物に入り、内容物に望ましくない味及び臭いを与える問題がある。
容器製造用のポリエステルに基づくアセトアルデヒドは、概ねポリエステル中にすでに存在するアセトアルデヒドであるフリーアセトアルデヒド(free acetaldehyde)およびポリエステル中でアセトアルデヒドに転化可能なあらゆる成分であるポテンシャルアセトアルデヒド(potential acetaldehyde)を含む。容器を射出成形する間にアセトアルデヒドの含有量が多くなるのは、ポテンシャルアセトアルデヒドがフリーアセトアルデヒドに転化したことによると考えられる。
PET容器内のアセトアルデヒドの発生を抑える試みは多数提案されている。例えば、特許文献1〜5には、アミド系、アミン系、ポリビニルアルコール系、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)或いは多価アルコールをアセトアルデヒドスカベンジャーとして用いる方法、特許文献6〜8には、PETポリエステルの重合プロセスにおいて溶融体(melt)に窒素ガスを通しアミン系、アミド系などのN含有物を添加する方法、特許文献9、10にはチタン触媒及びリン系安定剤を添加する方法、特許文献11には安定剤や、抗酸化剤を添加する方法などによって、アセトアルデヒド含有量を減少させることがすでに試みられている。
米国特許第4,837,115号 米国特許第5,258,233号 米国特許第6,191,209号 米国特許第6,239,233号 米国特許第6,790,499号 米国特許第5,656,221号 米国特許第6,099,778号 米国特許第5,648,032号 米国特許第5,922,828号 米国特許第6,559,271号 米国特許第6,489,434号
しかしながら、PETの溶融加工中、窒素含有のアセトアルデヒドスカベンジャーや窒素含有添加物が混入すると、アセトアルデヒドと共役イミンとなり、エステルペレットの黄変が起こるため、容器製造での使用に制約がある。チタン触媒を用いても同じ問題がある。
また、PETエステルペレットにポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体或いは多価アルコールが混入すると、これらの耐熱性が十分でないため、高熱により熱分解され、変色が起こり、またPETの熱分解により、製品の劣化を招くことがある。また、安定剤や抗酸化剤を添加してもアセトアルデヒドの低減効果は芳しくない。
以上のように、ポリエステルの透明性及び生産性を保ちながら、PET容器の内容物に移行するアセトアルデヒドの量を減少させることがこれまでの産業上の課題であった。
本発明の目的は、上記従来技術が有していた問題点に鑑みてポリエステルによるアセトアルデヒドの生成量を減少させることができるアセトアルデヒドスカベンジャーを見出し、これを用いた成形容器を提供することにある。
本発明者は、上記従来技術に鑑み鋭意検討及び実験を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の目的は、炭素数が3〜15のジオール化合物と炭素数8〜16の芳香族ジカルボン酸及び/又はそのエステル系誘導体から重合された芳香族ポリエステル及び/又は芳香族コポリエステルであることを特徴とするアセトアルデヒドスカベンジャーと、PETポリエステルとからなったポリエステルブレンドによって達成することができる。
本発明のアセトアルデヒドスカベンジャーによれば、アセトアルデヒド含有量が低いポリエステルブレンドが得られる。また、とりわけ混練プロセスにおいて押出しの前にガスを吸引し減圧すれば、ポリエステルブレンドにおけるアセトアルデヒド含有量を大幅に減らすことができ、黄変する恐れもない。そのため、食・飲料用の容器の成形素材として好適である。
本発明にかかるアセトアルデヒドスカベンジャーは、炭素数が3〜15のジオール化合物と炭素数が8〜16の芳香族ジカルボン酸及び/又はそのエステル系誘導体とから重合された芳香族ポリエステル及び/又は芳香族コポリエステルであることを特徴としている。
前記ジオール化合物としては、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2,2-ジメチルトリメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンチレングリコール、ジヒドロキシシクロヘキサン、シクロヘキサンジメタノール、レゾルシノール、ハイドロキノン、1,5-ジヒドロキシナフタレン、ビス(パラ-ヒドロキシ)ジフェニル)、ビス(パラ-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(パラ-ヒドロキシフェニル)プロパンからなる群から選ばれた化合物である。
これらのジオール化合物の中で、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ヘキサメチレングリコールなどが好ましい。
前記芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、二安息香酸、ビス(パラ-カルボキシフェニル)メタン、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、パラ-オキシ(パラ-カルボキシフェニル)安息香酸、エチレン-ビス(パラ-オキシ安息香酸)、フェナントレンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸及び4,4'-スルホニル二安息香酸からなる群から選ばれたものである。
これらの芳香族ジカルボン酸の中で、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸などが好ましい。
前記芳香族ポリエステル及び/又は芳香族コポリエステルとしては、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレン(テレフタレート-イソフタレート)、ポリペンチレンテレフタレート、ポリヘキシレンテレフタレート、ポリ(2−メチル−1,3-プロピレン)テレフタレートなどが挙げられる。
本発明によるアセトアルデヒドスカベンジャーとしては、PETポリエステルの化学的性質とほぼ同じものを使用することにより、PETポリエステルとよく混練することができるため好ましく、例えば、相対粘度が、通常0.5〜5.0、好ましくは1.0〜4.0、より好ましくは1.5〜3.0であり、融点が、通常30℃〜280℃、好ましくは40℃〜265℃、より好ましくは50℃〜250℃であることが望ましい。
本発明による芳香族ポリエステル系アセトアルデヒドスカベンジャーを使用することによりアセトアルデヒド含有量が低いポリエステルブレンドを得ることができる。
たとえば、本発明による芳香族ポリエステル系アセトアルデヒドスカベンジャーとポリエチレンテレフタレートとを、例えば200℃〜290℃にて溶融混練し、例えば圧力が500torr以下、好ましくは200torr以下または1〜200torrの減圧環境の下で、押出し/冷却処理することにより、アセトアルデヒド含有量が低いポリエステルブレンドを製造することができる。
前記芳香族ポリエステル系アセトアルデヒドスカベンジャーを用いてアセトアルデヒド含有量が低いポリエステルブレンドを製造する際、芳香族ポリエステル系アセトアルデヒドスカベンジャーを多く使えばポリエステルのアセトアルデヒド含有量を低くすることができるが、製造コストの高騰を来たすため、芳香族ポリエステル系アセトアルデヒドスカベンジャーの含有量を、前記ポリエステルブレンドの総重量に対して、0.1〜30重量%、好ましくは0.1〜10重量%にすることが望ましい。
本発明によるアセトアルデヒド含有量が低いポリエステルブレンドは、溶融成形の各種容器製品の素材として、例えば内容物の風味を損なわないためにアセトアルデヒド含有量を低くすることが望ましい成形体、例えばペットボトル、の成形に使用することができる。具体的には、従来から広く用いられている方法を用いて、本発明によるアセトアルデヒド含有量が低いポリエステルブレンドを固相重合によりエステルペレットにし、例えば射出成形装置により予備成形品をつくり、その後この予備成形品を吹き込んで最終的な容器の形に成形される。
[発明の効果]
本発明のアセトアルデヒドスカベンジャーによれば、PETポリエステルと共に混練してポリエステルブレンドを得る際、ポリエステルブレンド中のアセトアルデヒドの含有量を大幅に低減することができると共に、N含有化合物を含まないので、エステルペレットの色相が黄色くならずにすむ。また、本発明のアセトアルデヒド含有量が低いポリエステルブレンドによれば、従来のアセトアルデヒドスカベンジャーとしてのポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体或いは多価アルコールよりも良好な耐熱性を有するので、製造中における高熱による熱分解が生じ難く、製品の品質を向上させることができる。また、ブレンドを製造する際、混練押出し前の溶融状態において真空にするような減圧工程を経ることにより、ポリエステルブレンドにおけるアセトアルデヒドの含有量をより一層低減することができる。また、本発明のアセトアルデヒドスカベンジャーを用いて製造したポリエステルブレンドは、PETポリエステルと近い特性を有しているので、溶融加工する際、過熱になることなく、コストの低減につながる。
以下、本発明を実施例により説明する。
実施例と対照例に用いられるエステルペレットの種類及びそれぞれの特性を表1に示す。
Figure 2008174726
PET(ポリエチレンテレフタレート)
台湾遠東紡織(株)製、商品名:CRB-827。
PETIとPETII:異なる製造ロットにより製造したPET。
PBT(ポリブチレンテレフタレート)
台湾長春人工樹脂(株)製、商品名:PBT Grade:1100-211A
PBTI(ポリブチレン(テレフタレート-イソフタレート))
本発明者が実験室内で合成したものである。反応物については、イソフタル酸/(ジメチルテレフタレート+イソフタル酸)モル比を35モル%、ブチレングリコール/(ジメチルテレフタレート+イソフタル酸)モル比を2/1とした。
PPT(ポリプロピレンテレフタレート)
米国デュポン社製、商品名:SORONA J2229。
PHT(ポリヘキサメチレンテレフタレート)
本発明者が実験室内で合成したものである。反応物については、ヘキサメチレングリコール/ジメチルテレフタレートのモル比を2:1とした。
PMPT(ポリ-2-メチル-1,3-プロピレンテレフタレート)
本発明者が実験室内で合成したものである。反応物については、2-メチル-1,3-プロパンジオール/ジメチルテレフタレートのモル比を2:1とした。
PPDT(ポリペンチレンテレフタレート)
本願の発明者が実験室内で合成したものである。反応物については、ペンタメチレングリコール/ジメチルテレフタレートのモル比を2:1とした。
PETI(ポリエチレン(テレフタレート-イソフタレート))
台湾遠東紡織(株)製、商品名:CS-475M。
PETA(ポリエチレン(テレフタレート-アジペート))
台湾遠東紡織(株)製、商品名:CS-113。
RV値:エステルペレットの分子量インデックス
L、La、Lb値:色差により計測し得るエステルペレットの色相インデックス
DEG(ジエチレングリコール)、酸価:一般の検査項目。
H-AA(High temperature AA):エステルペレット或いはボトルの予備成形体中のフリーアセトアルデヒド(free AA)含有量
この測定は、以下のようにして行われる。予備測定サンプルを小型ミキサーに入れ、液体窒素中に5分間浸して粉砕する。粉砕したサンプルを30メッシュ(0.3mm〜0.8mm)の篩を通過させ、サンプルの粉末を得る。次いで、篩にかけた材料の1.0グラムサンプルをキャップしたバイアル中に入れ、バイアルをヒートブロック内で150℃にて60分間加熱する。バイアル中のガスをガスクロマトグラフィーで分析する。その分析結果からアセトアルデヒド含有量を計算して求める。なお、ガスクロマトグラフィーは、注射口温度125℃、分析カラム2m×1/8"PROPAK Q 80〜100メッシュ、カラム温度165℃、検出器温度270℃、窒素ガス(99.9999%)流量5.0ml/min、水素ガス流量40ml/min、エア流量400ml/minの条件にて分析を行った。
E-AA(Extract AA):エステルペレット或いはボトルの予備成形体中におけるフリーアセトアルデヒド(free AA)含有量及びポテンシャルアセトアルデヒド(potential AA)含有量の合計値
前記とほぼ同じ方法に従うが、篩にかけた材料粉末の0.25グラムサンプルを、0.50グラム蒸留水と共にキャップしたバイアル中に入れ、バイアルをヒートブロック内で150℃で120分間加熱する。その分析結果から、前記と同様に計算を行った。
ブレンド
スクリュー各部温度を201℃、236℃、237℃、236℃、243℃、244℃、248℃、246℃、260℃、256℃、255℃、257℃などの200〜260℃の温度範囲、ノズル温度250〜260℃、溶融体温度270℃以下、ノズル圧力0.7MPa、スクリュー回転数250rpm/50Hz、材料の投入量約19kg/hrに設定した2軸スクリュー押出し機(JSW TEX30α)を使用し、アセトアルデヒドスカベンジャーとPETポリエステルを溶融混練してポリエステルブレンドを得る。なお、押出し機の後段は表2のように減圧される。次いで、ノズルから押出されたストランドを水タンク内で冷却し回転数1100rpmにてペレット化する。乾燥後ペレットについてそれぞれの化学的特性を分析する。なお、対照例としてアセトアルデヒドスカベンジャーを添加しないPETエステルペレットを用いる。
<実施例I-1〜I-12>
PETエステルペレットを130℃で6時間乾燥し、PBTエステルペレットを100℃で4時間乾燥し、乾燥したPETIエステルペレットとPBTエステルペレットをよく混ぜて例えば3kgのポリエステルブレンドを得る。得られたポリエステルブレンドを2軸スクリュー押出し機のホッパーに入れ、2軸スクリューにより混ぜる。PBT+PET=100wt%としてポリエステルブレンドにおけるPBT含有量、押出し機の後段における真空度、ポリエステルブレンドの特性などを表2に示す。
Figure 2008174726
表2の実施例I-12に示すように、押出し機の後部が常圧である場合、PETIにPBTを10wt%添加ブレンドすることにより、ポリエステルブレンドのH-AAとE-AAは、PBTを添加しないPETI(対照例)よりも約50%減少したことが分かる。なお、真空度は2軸スクリュー押出し機の後部を真空に減圧する値で、常圧は減圧しないときの圧力である。
また、実施例I-1〜I-11では、PBTを添加すると共に所定の真空度になるように減圧することにより、それぞれのH-AA値とE-AA値は、PBTを添加するが減圧しない例I-12と比べてより低い値が得られる。そして減圧すればするほど、低いH-AA値及びE-AA値を得ることができることが分かる。さらに、実施例I-1に示すように、わずか0.1wt%のPBTを添加しても、ポリエステルブレンドのH-AA値も約80%減少でき、E-AA値も約64%以下になるまで少なくすることが分かる。
また、表2の結果から分かるように、ポリエステルブレンドのRV値は、改質していないPETIとほぼ変わらないことから、PBTを添加してもポリエステルの固体重合プロセスに影響を及ぼすことなく製品の特性も影響を及ぼすことはない。また、それぞれの色相インデックスより、PBTを添加してもポリエステルブレンドを黄色化させないことがわかる。ポリエステルブレンドとPETIとはDEG及び酸価があまり変わらず、PETIよりも低い結果も得られる。このため、PBTを添加することによって、ポリエステルブレンドはPETIと同様な特性を保つと共に、ポリエステルのアセトアルデヒド含有量を大幅低減することができる。
<実施例II-1〜II-6>
前記実施例Iとは異なり、アセトアルデヒドスカベンジャーとしてPBTではなくPBTI(ポリエチレン(テレフタレート-イソフタレート))を用いてPETIと均一に混ぜてポリエステルブレンドを製造した。得られたポリエステルブレンドの特性値を表3に示す。なお、表3にPBTIの添加量及び減圧した真空度をも示す。
Figure 2008174726
表3によると、アセトアルデヒドスカベンジャーとしてPBTIを添加することによってポリエステルブレンドにおけるアセトアルデヒド含有量を少なくすることができ、減圧すればするほど、アセトアルデヒド量の低減効果が大きいことが分かる。
<実施例III-1〜III-6>
前記実施例Iとは異なり、アセトアルデヒドスカベンジャーとしてPBTではなくPPT(ポリプロピレンテレフタレート)を用いてPETと均一に混ぜてポリエステルブレンドを製造した。得られたポリエステルブレンドの特性値を表4に示す。なお、表4にPPTの添加量と真空度をも示す。
Figure 2008174726
表4から、PPTを同一の真空度(76torr)下で添加することによって、前記実施例の結果と同様に、ポリエステルブレンドにおけるアセトアルデヒド含有量を少なくすることができることが分かる。
<実施例IV〜VI>
前記実施例とは異なり、PETIではなくPETIIを用いる他、アセトアルデヒドスカベンジャーとしてPPDT(ポリペンチレンテレフタレート)、PMPT(ポリ-2-メチル-1,3-プロピレンテレフタレート)とPHT(ポリヘキサメチレンテレフタレート)をそれぞれ1wt%用い、PETIIと均一に混ぜてポリエステルブレンドを製造した。得られたポリエステルブレンドの特性値を表5に示す。
Figure 2008174726
表5から、PPDT、PMPT、PHTをそれぞれアセトアルデヒドスカベンジャーとして添加することによって、前記実施例の結果と同様に、ポリエステルブレンドにおけるアセトアルデヒド含有量を少なくすることができることがわかる。
<比較例1〜2>
比較例1、2では、90wt%のPETIを用いるほか、PETI(ポリエチレン(テレフタレート-イソフタレート))と、PETA(ポリエチレン(テレフタレート-アジペート))とを10wt%それぞれ添加することによりポリエステルブレンドを製造した。なお、PET、PETI及びPETAについては、ポリエステルのジオールがエチレングリコールで、即ち炭素数3以下のジオールである。比較例1〜2のポリエステルブレンドの特性を表6に示す。
Figure 2008174726
表6に示した結果は、アセトアルデヒドスカベンジャーとしての炭素数が3以下のジオール成分により形成されたポリエステルとPETポリエステルからポリエステルブレンドを製造する場合、真空度が76torr下で、ポリエステルブレンドにおけるアセトアルデヒド量を低減することができるが、実施例I−12と比べるとそれほど効果が大きくないことがわかる。
その一方、真空度456torr下でブレンドを行った実施例II-1とII-4については、添加したアセトアルデヒドスカベンジャーが10wt%以下であっても、アセトアルデヒド量の低減効果が比較例1〜2のポリエステルブレンドよりも大きいことがわかる。
また、本発明によるポリエステルブレンド、例えば実施例I-11、II-5、III-6についてほかの特性、例えば融点などの熱特性を、示差走査型熱量計によって測定した結果を、表7に示す。これにより、本発明によるアセトアルデヒドスカベンジャーの添加がポリエステルブレンドの成形加工に及ぼす影響を評価する。
Figure 2008174726
表7の結果によると、PBT、PBTI、PPTをそれぞれ添加したポリエステルブレンドの融点はPETの融点よりやや低いが、結晶熱及び溶融熱はあまり変わらないことが分かる。したがって、本発明によるアセトアルデヒドスカベンジャーを添加しても、成形条件を大きく変更せずに済む。
固体重合&成形性の評価
<実施例VIIと比較例3>
実施例VIIでは、大きさが250リットルの固体重合反応器に実施例II-5で製造したポリエステルブレンドを8kg入れ、温度235℃、圧力1.5Torr以下の条件で、3時間反応させ、ペレットを得た。得られたペレットの特性値を表8に示す。比較例3は、PETのみを固体重合して得たものであり、その特性値をも表8に示す。
Figure 2008174726
表8から、実施例VIIでは、固有粘度値(IV)は比較例3と同一であるが、アセトアルデヒド量は大きく減少していることがわかる。したがって、本発明のポリエステルブレンドによれば、PBTIを添加しても影響なく固体重合を行うことができ、ポトルなどの中空容器を順調に製造することができる。
<実施例VIIIと比較例4>
射出成形機
Figure 2008174726
を用いて、実施例VIIと比較例3で得たものを用いて、ポトル中空容器の予備成形体を実施例VIIIと比較例4として製造した。これらによりアセトアルデヒド含有量の低減効果を評価した。結果を表9に示す。
Figure 2008174726
表9から、本発明によれば、アセトアルデヒド(AA)を効果的に捕捉することができることがわかる。また、この評価結果は表3の結果と一致している。したがって、本発明の芳香族ポリエステル系アセトアルデヒドスカベンジャーを用いたPETポリエステルからなるポリエステルブレンドにより、固体重合や射出成形を経てもH−AA値とE−AA値を低減させる優れた効果を奏することができる。
上記の説明は本発明の特定の具体例に関するものであり、添付する特許請求の範囲に規定された本発明の範囲を逸脱することなく、当業者によって多くの変更を行うことができるものと理解されるべきである。
本発明によれば、アセトアルデヒド含有量を大幅に低減することができ、混練加工中、後部にてさらに所定の減圧を施すことにより、ポリエステルブレンドにおけるアセトアルデヒド含有量をさらに低減することができる。また、本発明のポリエステルブレンドによれば、エステルペレットは黄色化などの変色がなく、PETポリエステル固有の熱特性を有し得る。したがって、本発明によれば、PETポリエステルの加工条件を大きく変更する必要がないため、生産性を向上させることができる。

Claims (20)

  1. 炭素数が3〜15のジオール化合物と炭素数8〜16の芳香族ジカルボン酸及び/又はそのエステル系誘導体とから重合された芳香族ポリエステル及び/又は芳香族コポリエステルであることを特徴とするアセトアルデヒドスカベンジャー。
  2. 前記ジオール化合物は、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2,2-ジメチルトリメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンチレングリコール、ジヒドロキシシクロヘキサン、シクロヘキサンジメタノール、レゾルシノール、ハイドロキノン、1,5-ジヒドロキシナフタレン、ビス(パラ-ヒドロキシ)ジフェニル)、ビス(パラ-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(パラ-ヒドロキシフェニル)プロパンからなる群から選ばれたものであることを特徴とする請求項1に記載のアセトアルデヒドスカベンジャー。
  3. 前記ジオール化合物は、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール及びヘキサメチレングリコールからなる群から選ばれたものであることを特徴とする請求項2に記載のアセトアルデヒドスカベンジャー。
  4. 前記芳香族ジカルボン酸は、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、二安息香酸、ビス(パラ-カルボキシフェニル)メタン、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、パラ-オキシ(パラ-カルボキシフェニル)安息香酸、エチレン-ビス(パラ-オキシ安息香酸)、フェナントレンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸及び4,4'-スルホニル二安息香酸からなる群から選ばれたものであることを特徴とする請求項1に記載のアセトアルデヒドスカベンジャー。
  5. 前記芳香族ジカルボン酸は、テレフタル酸、イソフタル酸及びフタル酸からなる群から選ばれたものであることを特徴とする請求項4に記載のアセトアルデヒドスカベンジャー。
  6. 前記芳香族ポリエステル及び/又は芳香族コポリエステルは、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレン(テレフタレート-イソフタレート)、ポリペンチレンテレフタレート、ポリヘキシレンテレフタレート、ポリ(2−メチル−1,3-プロピレン)テレフタレートからなる群から選ばれたものであることを特徴とする請求項1〜5のいずかの項に記載のアセトアルデヒドスカベンジャー。
  7. 相対粘度が、0.5〜5.0であることを特徴とする請求項1に記載のアセトアルデヒドスカベンジャー。
  8. 相対粘度が、1.0〜4.0であることを特徴とする請求項7に記載のアセトアルデヒドスカベンジャー。
  9. 相対粘度が、1.5〜3.0であることを特徴とする請求項8に記載のアセトアルデヒドスカベンジャー。
  10. 融点が、30℃〜280℃であることを特徴とする請求項1に記載のアセトアルデヒドスカベンジャー。
  11. 融点が、40℃〜265℃であることを特徴とする請求項10に記載のアセトアルデヒドスカベンジャー。
  12. 融点が、50℃〜250℃であることを特徴とする請求項11に記載のアセトアルデヒドスカベンジャー。
  13. 請求項1に記載の芳香族ポリエステル系アセトアルデヒドスカベンジャーとポリエチレンテレフタレートとを、200℃〜290℃にて溶融混練し、減圧環境の下で、押出し/冷却処理することによりポリエステルブレンドを得る、アセトアルデヒド含有量が低いポリエステルブレンドの製造方法。
  14. 前記減圧環境は、圧力が500torr以下であることを特徴とする請求項13に記載の方法。
  15. 前記減圧環境は、圧力が200torr以下であることを特徴とする請求項14に記載の方法。
  16. 前記アセトアルデヒドスカベンジャーの含有量は、前記ポリエステルブレンドの総重量に対して0.1〜30重量%であることを特徴とする請求項13に記載の方法。
  17. 前記アセトアルデヒドスカベンジャーの含有量は、前記ポリエステルブレンドの総重量に対して0.1〜10重量%であることを特徴とする請求項16に記載の方法。
  18. 前記アセトアルデヒドスカベンジャーは、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレン(テレフタレート-イソフタレート)、ポリペンチレンテレフタレート、ポリヘキシレンテレフタレート、ポリ(2−メチル−1,3-プロピレン)テレフタレートからなる群から選ばれたものであることを特徴とする請求項13に記載の方法。
  19. 請求項1に記載のアセトアルデヒドスカベンジャーとポリエチレンテレフタレートとを、200℃〜290℃にて溶融混練し、減圧環境の下で、押出し/冷却処理することによって製造された、アセトアルデヒド含有量が低いポリエステルブレンド。
  20. 請求項1に記載のアセトアルデヒドスカベンジャーとポリエチレンテレフタレートとを、200℃〜290℃にて溶融混練し、減圧環境の下で、押出し/冷却処理することによって製造されたアセトアルデヒド含有量が低いポリエステルブレンドを、原料として得られる、容器製品。
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