JP2008145136A - 肥満調節剤の評価方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 動物に糖質及び脂質を投与し、インスリン分泌を低下又は上昇させる物質を評価又は選択することを特徴とする、肥満調節剤の評価又はスクリーニング方法。
【選択図】なし
Description
1)動物に糖質及び脂質を投与し、インスリン分泌を低下又は上昇させる物質を評価又は選択することを特徴とする、肥満調節剤の評価又はスクリーニング方法。
2)以下の(1)〜(4)の工程を含むことを特徴とする、肥満調節剤の評価又はスクリーニング方法。
(1)動物に、次のa)及び/又はb)の方法により被験物質を投与する工程
a)糖質及び脂質に被験物質を添加する
b)糖質及び脂質の少なくとも一方の一部又は全部を被験物質に置換する
(2)血中インスリン濃度を測定し、インスリン分泌量を算出する工程、
(3)(2)で算出されたインスリン分泌量を、糖質及び脂質のみを投与した対照群におけるインスリン分泌量と比較する工程、
(4)(3)の結果に基づいて、インスリン分泌量を低下又は上昇させる被験物質を肥満調節剤として評価又は選択する工程。
3)動物に糖質及び脂質を投与し、インスリン分泌を低下又は上昇させる物質を評価又は選択することを特徴とする、血中インスリン調節剤の評価又はスクリーニング方法。
4)以下の(1)〜(4)の工程を含むことを特徴とする、血中インスリン調節剤の評価又はスクリーニング方法。
(1)動物に、次のa)及び/又はb)の方法により被験物質を投与する工程
a)糖質及び脂質に被験物質を添加する
b)糖質及び脂質の少なくとも一方の一部又は全部を被験物質に置換する
(2)血中インスリン濃度を測定し、インスリン分泌量を算出する工程、
(3)(2)で算出されたインスリン分泌量を、糖質及び脂質のみを投与した対照群におけるインスリン分泌量と比較する工程、
(4)(3)の結果に基づいて、インスリン分泌量を低下又は上昇させる被験物質を血中インスリン調節剤として評価又は選択する工程。
5)動物に糖質及び脂質を投与し、インスリン分泌を低下又は上昇させる物質を評価又は選択することを特徴とする、血糖調節剤の評価又はスクリーニング方法。
6)以下の(1)〜(4)の工程を含むことを特徴とする、血糖調節剤の評価又はスクリーニング方法。
(1)動物に、次のa)及び/又はb)の方法により被験物質を投与する工程
a)糖質及び脂質に被験物質を添加する
b)糖質及び脂質の少なくとも一方の一部又は全部を被験物質に置換する
(2)血中インスリン濃度を測定し、インスリン分泌量を算出する工程、
(3)(2)で算出されたインスリン分泌量を、糖質及び脂質のみを投与した対照群におけるインスリン分泌量と比較する工程、
(4)(3)の結果に基づいて、インスリン分泌量を低下又は上昇させる被験物質を血糖調節剤として評価又は選択する工程。
(1)動物に、次のa)及び/又はb)の方法により被験物質を投与する工程
a)糖質及び脂質に被験物質を添加する
b)糖質及び脂質の少なくとも一方の一部又は全部を被験物質に置換する
(2)血中インスリン濃度を測定し、インスリン分泌量を算出する工程、
(3)(2)で算出されたインスリン分泌量を、糖質及び脂質のみを投与した対照群におけるインスリン分泌量と比較する工程、
(4)(3)の結果に基づいて、インスリン分泌量を低下又は上昇させる被験物質を肥満調節剤、血中インスリン調節剤又は血糖調節剤として評価又は選択する工程。
このうち、インスリン分泌量上昇の点から、グルコース、スクロース、マルトース、澱粉及びグリコーゲン等の1種以上を用いるのが好ましく、特にグルコースが好ましい。
斯かる脂質は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
脂質の投与量は、0.01〜100 mg/g体重、望ましくは0.1〜30 mg/g体重、更に望ましくは0.5〜10 mg/g体重である。
被験物質は、糖質又は脂質、或いはその両方であってもよく、この場合には、当該被験糖質又は脂質が低インスリン性であるか否か、当該被験物質の併用効果を評価することができる。また、糖質又は脂質以外の被験物質と、糖質又は脂質からなる被験物質を組み合わせて評価することもできる。
被験物質が糖質である場合は、比較対照となる糖質の全部又は一部を被験物質(被験糖質)に置換して、脂質とともに投与すればよく、また、被験物質が脂質である場合は、比較対照となる脂質の全部又は一部を被験物質(被験脂質)に置換して、糖質とともに投与すればよい。
インスリンの定量は、採血された血液から、血清或いは血漿を調製後、例えば酵素抗体法(ELISA法)やラジオイムノアッセイ(RIA法)、或いは高速液体クロマトグラフィー法などにより行うことができる。
絶食したマウス(C57BL/6J雄、7〜8週令)を1群10匹とし、糖質としてグルコース(和光純薬工業)2mg/g体重のみ、及びさらに脂質としてトリオレイン(Sigma)0.5、1.0、2.0mg/g体重を0.02mg/g体重を卵黄レシチンにより乳化させたもの(それぞれ糖質+脂質0,糖質+脂質1,糖質+脂質2,糖質+脂質3)を、ゾンデにより経口投与した。投与物の組成を表1に示す。投与前、及び投与10、30分後に眼窩静脈より採血し、血中インスリンを測定し、グラフの曲線下面積(AUC)を算出した。インスリンは、ELISA法(インスリン測定キット、森永生化学研究所)により測定を行った。
投与10分後の血中インスリン濃度、及び投与後30分間のインスリン分泌量(AUC)の値を表2に示す。
(1)食後インスリン分泌の測定
脂質として、トリオレイン(Sigma)、糖質として、甘薯、タピオカ、馬鈴薯、葛、サゴ、ワキシーコーン、もち米、コーン、小麦、うるち米由来の澱粉(α化、日澱化学(株)より入手)を用いた。
絶食したマウス(C57BL/6J雄、10〜11週令)を1群4〜5匹とし、糖質2mg/g体重、及びさらにトリオレイン2mg/g体重を0.08mg/g体重を加えたものを、ゾンデにより経口投与した。投与10分後、眼窩静脈より採血し、血糖値、及び血中インスリンを測定した。血糖値は血糖簡易測定器(グルコースデヒドロゲナーゼ/電位差測定法、ロシュ・ダイアノグスティック社製)を用いて測定した。インスリンは、ELISA法(インスリン測定キット、森永生化学研究所)により測定を行った。
試験食中の試験澱粉は上述のものを用い、ラード、カゼイン、セルロース、AIN76ミネラル混合、AIN76ビタミン混合、α化ポテト澱粉はオリエンタル酵母工業(株)製、蔗糖は和光純薬(株)製スクロース細粒(特級)を使用した。また、使用した油脂(TG)は、ハイリノールサフラワー油、ナタネ油、エゴマ油の混合物で、脂肪酸の主構成成分は、オレイン酸、リノール酸、α-リノレン酸、パルミチン酸である。
試験食の組成は、澱粉28.5%、TG 25%、ラード5%、蔗糖13%、カゼイン20%、AIN76ミネラル混合3.5%、AIN76ビタミン混合1%である。
糖質のみ、及び糖質と脂質を共に摂取した後の最大血糖値、及び最大血中インスリン値と、飼育期間中の体重増加との相関解析を行った。
結果を表3に示す。10週間の飼育期間中の摂食量(1g)当たりの体重増加(g)は、血糖上昇、及び糖質(試験澱粉)のみ摂取後のインスリン分泌に比べ、糖質(試験澱粉)を脂質と共に摂取した後のインスリン分泌との間に高い正の相関性が認められ、糖質と脂質を共に摂取した後のインスリン分泌は、肥満との相関性が高い因子であることが分かる。
脂質としてトリオレイン(Sigma)、糖質としてグルコース(和光純薬工業)、或いはグリコーゲン(スイートコーン由来、キューピー製)を用いた。
絶食したマウス(C57BL/6J雄、10〜11週令)を1群9〜10匹とし、グルコース2mg/g体重、及びさらにトリオレイン2mg/g体重を0.08mg/g体重を卵黄レシチンにより乳化させたもの(それぞれグルコース、グルコース+脂質)、またはグリコーゲン2mg/g体重、及びさらにトリオレイン(TAG)2mg/g体重を0.02mg/g体重を卵黄レシチンにより乳化させたもの(それぞれグリコーゲン、グリコーゲン+脂質)を、ゾンデにより経口投与した。投与物の組成を表4に示す。投与前、及び投与10、30分後に眼窩静脈より採血し、血中インスリンを測定し、グラフの曲線下面積(AUC)を算出した。インスリンは、ELISA法(インスリン測定キット、森永生化学研究所)により測定を行った。
(1)試験食
試験食(粉末食)の組成を表6に示した。低脂肪食は5%脂質(トリグリセリド)、高脂肪食は30%脂質(5%ラード+25%TG)とした。
7週齢雄性マウスC57BL/6J Jcl(日本クレア)を1週間通常食(CRF−1:オリエンタル酵母工業製)で飼育後、8週齢時に初期体重がほぼ一定になるように群分けし、試験を開始した。マウスの飼育は1ケージ5匹とし、それぞれの試験食群について2ケージ(N=10)とした。給餌は、ローデンカフェ(オリエンタル酵母工業製)を用いた自由摂取とし、2〜3日ごとに新しい試験食と交換した。試験食はあらかじめ2〜3日分ずつ小分けし、使用時まで4℃で冷蔵保存しておいたものを用いた。給水は専用給水器を用いて水道水を自由摂取させた。
試験飼育期間中、毎週体重を測定した。実験最終日は解剖直前まで自由摂取とし、非絶食下で、以下に示すとおり、内臓脂肪を採取した。マウスを麻酔下で直ちに開腹し、腹部大静脈より採血し、脱血死させた。さらに内臓脂肪(副精巣周囲脂肪、腎周囲脂肪、後腹膜脂肪、腸間膜脂肪)を採取し、重量を測定し、その合計値を算出し、内臓脂肪量とした。
5匹/ケージの集団飼育のため、15週間の飼育期間中にマウス同士のファイティングがあり、突然かつ急激な体重減少を認めた2匹を除き、集計した。
結果を表7に示す。15週間の飼育により高脂肪食(コントロール)は低脂肪食に比べ、体重および内臓脂肪量が増加し、肥満となっていることがわかった。
グリコーゲン配合量が増加するに従い、体重、内臓脂肪量が減少した。
トリアシルグリセロールとしてトリオレイン(Sigmaより入手)、モノアシルグリセロールとして1−モノオレイン(Sigmaより入手)を用いた。糖質としては、グルコース(関東化学)を用いた。
グルコースのみ摂取したマウスのインスリンAUCを100とした、投与後30分間のインスリン分泌量(AUC)の相対値を表9に示す。
(1)試験食
試験食(粉末食)の組成を表10に示した。低脂肪食は5%脂質(TG)、高脂肪食は30%脂質(TG)とした。
1−モノアシルグリセリド(1−MAG)配合食は、高脂肪食に1−MAGを3%、6%配合した。
試験食中の1−MAGはエキセルO−95R(花王(株)製)を用い、カゼイン、セルロース、AIN76ミネラル混合、AIN76ビタミン混合、α化ポテト澱粉はオリエンタル酵母工業(株)製、蔗糖は和光純薬(株)製スクロース細粒(特級)を使用した。また、使用した油脂(TG)は、ハイリノールサフラワー油、ナタネ油、エゴマ油の混合物で、脂肪酸の主構成成分は、オレイン酸、リノール酸、α-リノレン酸、パルミチン酸である。
7週齢雄性マウスC57BL/6J Jcl(日本クレア)を1週間通常食(CE−2:日本クレア製)で飼育後、8週齢時に初期体重がほぼ一定になるように群分けし、試験を開始した。マウスの飼育は1ケージ4匹とし、それぞれの試験食群について2ケージ(N=8)とした。給餌は、ローデンカフェ(オリエンタル酵母工業製)を用い自由摂取とし、2〜3日ごとに新しい試験食と交換した。試験食はあらかじめ2〜3日分ずつ小分けし、使用時まで4℃で冷蔵保存しておいたものを用いた。給水は専用給水器を用いて水道水を自由摂取させた。
試験飼育期間中、毎週体重を測定した。実験最終日は解剖直前まで自由摂取とし、非絶食下で、以下に示すとおり、内臓脂肪を採取した。マウスを麻酔下で直ちに開腹し、腹部大静脈より採血し、脱血死させた。さらに内臓脂肪(副精巣周囲脂肪、腎周囲脂肪、後腹膜脂肪、腸間膜脂肪)を採取し、重量を測定し、その合計値を算出し、内臓脂肪量とした。
結果を表11に示す。9週間の飼育により高脂肪食(コントロール)は低脂肪食に比べ、体重および内臓脂肪量が増加し、肥満となっていることがわかった。
1−MAG配合量が増加するに従い、体重、内臓脂肪量が減少した。
肥満改善効果が知られている加工澱粉を脂質と共に摂取した際のインスリン分泌について、高アミロース澱粉と比較した。
糖質として、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉(以下、加工澱粉)(タピオカ由来、ナショナルフリジェックス、ナショナルスターチアンドケミカルより入手)、高アミロース澱粉(高アミロースコーン由来、ファイボース、日澱化学より入手)、脂質としてトリオレイン(Sigma)を用いた。
絶食したマウス(C57BL/6J雄、8週令)を1群8匹とし、加工澱粉、或いは高アミロース澱粉2mg/g体重、及びさらに脂質2mg/g体重を0.02mg/g体重を卵黄レシチンにより乳化させたもの(それぞれ加工澱粉+脂質、高アミロース澱粉+脂質)を、ゾンデにより経口投与した。投与前、及び投与10、30、60分後に眼窩静脈より採血し、血中インスリンを測定し、グラフの曲線下面積(AUC)を算出した。インスリンは、ELISA法(インスリン測定キット、森永生化学研究所)により測定を行った。
投与後60分間のインスリン分泌量(AUC)の値を表12に示す。
加工澱粉は高アミロース澱粉に対して、肥満改善効果を有することが知られている(特開2004−269458号公報)。
肥満改善効果が知られている脂質であるジアシルグリセロール、及び魚油を糖質と共に摂取した際のインスリン分泌について、トリアシルグリセロールと比較した。
グルコースのみ摂取したマウスのインスリンAUCを100とした、投与後30分間のインスリン分泌量(AUC)の相対値を表13に示す。
Claims (8)
- 動物に糖質及び脂質を投与し、インスリン分泌を低下又は上昇させる物質を評価又は選択することを特徴とする、肥満調節剤の評価又はスクリーニング方法。
- 以下の(1)〜(4)の工程を含むことを特徴とする、肥満調節剤の評価又はスクリーニング方法。
(1)動物に、次のa)及び/又はb)の方法により被験物質を投与する工程
a)糖質及び脂質に被験物質を添加する
b)糖質及び脂質の少なくとも一方の一部又は全部を被験物質に置換する
(2)血中インスリン濃度を測定し、インスリン分泌量を算出する工程、
(3)(2)で算出されたインスリン分泌量を、糖質及び脂質のみを投与した対照群におけるインスリン分泌量と比較する工程、
(4)(3)の結果に基づいて、インスリン分泌量を低下又は上昇させる被験物質を肥満調節剤として評価又は選択する工程。 - 動物に糖質及び脂質を投与し、インスリン分泌を低下又は上昇させる物質を評価又は選択することを特徴とする、血中インスリン調節剤の評価又はスクリーニング方法。
- 以下の(1)〜(4)の工程を含むことを特徴とする、血中インスリン調節剤の評価又はスクリーニング方法。
(1)動物に、次のa)及び/又はb)の方法により被験物質を投与する工程
a)糖質及び脂質に被験物質を添加する
b)糖質及び脂質の少なくとも一方の一部又は全部を被験物質に置換する
(2)血中インスリン濃度を測定し、インスリン分泌量を算出する工程、
(3)(2)で算出されたインスリン分泌量を、糖質及び脂質のみを投与した対照群におけるインスリン分泌量と比較する工程、
(4)(3)の結果に基づいて、インスリン分泌量を低下又は上昇させる被験物質を血中インスリン調節剤として評価又は選択する工程。 - 動物に糖質及び脂質を投与し、インスリン分泌を低下又は上昇させる物質を評価又は選択することを特徴とする、血糖調節剤の評価又はスクリーニング方法。
- 以下の(1)〜(4)の工程を含むことを特徴とする、血糖調節剤の評価又はスクリーニング方法。
(1)動物に、次のa)及び/又はb)の方法により被験物質を投与する工程
a)糖質及び脂質に被験物質を添加する
b)糖質及び脂質の少なくとも一方の一部又は全部を被験物質に置換する
(2)血中インスリン濃度を測定し、インスリン分泌量を算出する工程、
(3)(2)で算出されたインスリン分泌量を、糖質及び脂質のみを投与した対照群におけるインスリン分泌量と比較する工程、
(4)(3)の結果に基づいて、インスリン分泌量を低下又は上昇させる被験物質を血糖調節剤として評価又は選択する工程。 - 糖質がグルコース、スクロース、マルトース、澱粉及びグリコーゲンから選ばれる1種以上であり、脂質がトリアシルグリセロール、1,3−ジアシルグリセロール及び1,2−ジアシルグリセロールから選ばれる1種以上である請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
- 動物がげっ歯類である請求項1〜7のいずれか1項記載の方法。
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