以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。
図1〜図11は、本発明の一実施形態(以下、本実施形態と記す)による射出成形機に係り、本実施形態の射出成形機は、2つの金型を180°間隔で回転テーブルに搭載し、該回転テーブルを180°ずつ交互に正逆方向に間欠回転させるように構成されたマシンとなっている。
図1は、本実施形態の射出成形機における可動ダイプレートや回転テーブルなどを示す要部側面図である。図1において、1は、図示せぬテールストック(型開閉駆動源などを搭載した保持部材)と図示せぬ固定ダイプレートとの間で前後進可能な可動ダイプレート、2は、テールストックと固定ダイプレートとの間に架け渡され、可動ダイプレート1を挿通・案内するタイバー、3は、可動ダイプレート1に固定されたテーブル保持プレート、4は、テーブル保持プレート3に回転可能に保持された回転テーブル、5は、回転テーブル4に180°間隔で取り付けられた(搭載された)2つの可動側金型、6は、可動ダイプレート1に搭載されたテーブル回転駆動用のサーボモータ、7は、サーボモータ6の出力軸に固定された小径の駆動プーリ(歯付きプーリ=タイミングプーリ)、8は、駆動プーリ7の回転を回転テーブル4に固定された図示せぬ大径の被動プーリ(歯付きプーリ=タイミングプーリ)に伝達するタイミングベルト(歯付きベルト)、10は、回転テーブル4の外周に1箇所形成した切り欠き(標識部位)、11は、回転テーブル4の外周の切り欠き10を検出な非接触式センサ(例えば光学センサ)よりなる第1センサ、12は、同じく回転テーブル4の外周の切り欠き10を検出可能な非接触式センサ(例えば光学センサ)よりなる第2センサ、13は、回転テーブル4の重量を支承する補助部材となる回転可能なサポートローラである。
回転テーブル4は、サーボモータ6の回転駆動力により、タイミングプーリ、タイミングベルトによる減速回転伝達系を介して、180°ずつ交互に正逆方向に間欠回転駆動される。本実施形態の射出成形機においては、図示せぬ固定ダイプレートには、180°間隔で2つの図示せぬ固定側金型が取り付けられて(搭載されて)いて、また、可動側金型5と固定金型の対のそれぞれに対応して2つの射出ユニットが設けられている。そして、回転テーブル4の180°回転ごとに、可動側金型5と固定側金型との組み合わせを交番的に変えると共に、2つの射出ユニットで同時に射出を行うように構成されていて、これによって、本実施形態の射出成形機は2色成形を行うことが可能なマシンとなっている。
上記の第1センサ11と第2センサ12は、回転テーブル4の外側に180°間隔で配置されている。すなわち、テーブル保持プレート3に、テーブルセンターを通る1本の仮想線上に位置するような、センサ取り付け部を2つ予め正確に形成しておき、これにより、第1センサ11と第2センサ12とを、正確に180°間隔で対向配置できるように構成されている。なお、第1センサ11と第2センサ12の取り付け位置は微調整が可能となっていて、両センサ11、12は、必ず、正確に180°間隔で配置されるようになっている。
図2は、第1センサ11または第2センサ12と、それに切り欠き10が対向している状態とそうでない状態とを示す図である。図2の(a)に示すように、第1センサ11または第2センサ12が切り欠き10と対向しているときには、第1センサ11または第2センサ12の出力はOFFとなり、切り欠き10の検出状態となる。また、図2の(b)に示すように、第1センサ11または第2センサ12が切り欠き10と対向していないときには、第1センサ11または第2センサ12の出力はONとなり、切り欠き10の非検出状態となる。
図3は、回転テーブル4の回転制御系の構成を示すブロック図である。図3において、21は、射出成形機の全体制御を司る上位コントローラ、22は、上位コントローラ21からの指令によって、上位コントローラ21から与えられる制御目標データとエンコーダ出力などとに基づき、サーボモータ6をサーボドライバ23を介して駆動制御するテーブル回転制御部、24は、サーボモータ6の回転を回転テーブル4に伝える前記したタイミングプーリ、タイミングベルトによる減速回転伝達系(減速回転伝達メカニズム)、25は、サーボモータ6に付設されたサーボモータ6の回転量を検出するエンコーダ(ここでは、回転角の絶対値を出力するアブソリュートエンコーダ)、26は、回転テーブルの回転動作が正常に行われているかどうかを判定する異常判定部、27は、異常判定部26が判定処理を行うための判定条件データを格納した判定条件格納部、28は、判定条件格納部27に格納するデータの1つである、判定用パルス値を算出して判定条件格納部27に出力したり、後述する原点出し処理の際のパルス値演算などを行うパルス値演算部、29は、パルス値演算部28が演算処理に用いる計測パルス値を一時的に格納する計測パルスデータ保持部、S1は、エンコーダ25が出力する計測パルス値信号、S2は、第1センサ11が出力する第1センサ信号、S3は、第2センサ12が出力する第2センサ信号、S4は、異常判定部26が出力する判定結果信号、S5は、パルス値演算部28が出力する演算結果信号である。
異常判定部26には、計測パルス値信号S1、第1センサ信号S2、第2センサ信号S3が入力されて、異常判定部26は、判定条件格納部27に格納された判定条件に基づいて信号S1〜S3を監視することで、後述するように異常が発生しているかどうかを判定し、判定結果を判定結果信号S4によって上位コントローラ21に通知する。
なお、本実施形態では、エンコーダ25としてアブソリュートエンコーダを用いる例を示したが、エンコーダとしては相対値出力のインクリメンタルエンコーダを用いることも可能で、この場合には、インクリメンタルエンコーダと、このインクリメンタルエンコーダの出力パルスをアップカウントまたはダウンカウントする加減数カウンタとを用いる構成とすれば、以下の本実施形態の動作・制御と同等の動作・制御が行えることは、以下の説明から当業者には自明である。
次に、本実施形態の動作・制御について説明するが、それに先立ち、射出成形機の出荷段階や据え付け段階、あるいは、回転テーブル4廻りのメンテナンス・修理の後などに行われる、本実施形態の射出成形機における回転テーブル4の原点出しについて、図4〜図7を用いて説明する。
図4は、0°原点出しの処理の流れを示すフローチャートである。本実施形態の射出成形機においても、まず、回転テーブル4の裏面(金型搭載面と反対側の面)に設けたオーバーラン防止用の図示せぬ被係止部を、テーブル保持プレート3に設けたオーバーラン防止用の図示せぬストッパに押し付けた状態とし、この状態から、被係止部とストッパが離間する方向に、サーボモータ6によって回転テーブル4を所定角度だけ回転させる。これによって、回転テーブル4の外周に形成した切り欠き10が第1センサ11と対向して、第1センサの出力がOFFとなる。上記の被係止部、ストッパ、および切り欠き10の位置関係は、上記の所定角度の回転で切り欠き10の中心が第1センサ11と対向するように設計されていて、被係止部とストッパが当接した状態から被係止部がストッパから離れる方向に回転テーブル4が所定角度回転すると、理論計算上では切り欠き10の中心が第1センサ11と対向する状態となる。しかし、実際には減速回転伝達系24には公差の範囲内で微妙な伝達誤差があり、例えば、回転テーブル4を180°回転させるのに、理論計算上ではエンコーダ25の計測パルス数で3.6万パルスが必要であるとすると、3.6万パルス分だけサーボモータ6を回転させたとしても、回転テーブル4はぴったりと180°回転するとは保証しがたい。ここで、第1、第2センサ11、12の検出感度からくる制約で、切り欠き10の幅(角度)は4°に相当するものとなっていて、0.1°がエンコーダ25のパルス数で20パルスに相当するので、切り欠き10の幅は800パルスに相当する。切り欠き10の加工精度は極めて高いものとしてあるが、公差の範囲内で800パルスから微妙にずれ込むことは避け難い。以上のことから、被係止部とストッパが当接した状態から被係止部がストッパから離れる方向に回転テーブル4が所定角度回転しても、切り欠き10の中心が第1センサ11と正確に対向するとは、保証しがたい。そこで、本実施形態では、以下のようにして、0°原点出しを行う。
図4のステップS101では、被係止部とストッパが当接した状態から被係止部がストッパから離れる方向に回転テーブル4を所定角度回転させた後、停止させる。これにより、第1センサ11の出力はOFFとなる。次に、ステップS102において、回転テーブル4を図3で反時計回り方向に回転(以降、これを正転と記し、この逆方向回転を逆転と記す)させて、エンコーダ25の出力する計測パルス値を監視し、次のステップS103において、第1センサ11の出力がONとなったか否かを判定する。第1センサ11の出力がONとなるとステップS104に進んで、ステップS104において、回転テーブル4の回転を停止させると共に、第1センサ11の出力がONとなったタイミングにおけるエンコーダ25の計測パルス値を記憶する。図5の(a)は、このステップS104の状態を示している。次に、ステップS105において、回転テーブル4を逆転させて、エンコーダ25の出力する計測パルス値を監視し、この回転テーブル4の逆転で第1センサ11の出力がOFFとなった(ステップS106)後、ステップS107において、第1センサ11の出力がONとなったか否かを判定する。第1センサ11の出力がONとなるとステップS108に進んで、ステップS108において、回転テーブル4の回転を停止させると共に、第1センサ11の出力がONとなったタイミングにおけるエンコーダ25の計測パルス値を記憶する。図5の(b)は、このステップS108の状態を示している。
次に、ステップS109において、回転テーブル4を正転させて、エンコーダ25の出力する計測パルス値を監視し、この回転テーブル4の正転で第1センサ11の出力がOFFとなった(ステップS110)後、ステップS111において、第1センサ11の出力がONとなったか否かを判定する。第1センサ11の出力がONとなるとステップS112に進んで、ステップS112において、回転テーブル4の回転を停止させると共に、第1センサ11の出力がONとなったタイミングにおけるエンコーダ25の計測パルス値を記憶する(このときが、図5の(a)の状態である)。次に、ステップS113において、回転テーブル4を逆転させて、エンコーダ25の出力する計測パルス値を監視し、この回転テーブル4の逆転で第1センサ11の出力がOFFとなった(ステップS114)後、ステップS115において、第1センサ11の出力がONとなったか否かを判定する。第1センサ11の出力がONとなるとステップS116に進んで、ステップS116において、回転テーブル4の回転を停止させると共に、第1センサ11の出力がONとなったタイミングにおけるエンコーダ25の計測パルス値を記憶する(このときが、図5の(b)の状態である)。
次に、ステップS117において、ステップS104、108、112、116で記憶した計測パルス値に基づいて、切り欠き10の幅(角度)に相当するパルス数の平均値Aを求めて、この平均値Aの半分のパルス数であるA/2を算出する。次のステップS118において、回転テーブル4を、エンコーダ25のパルス数でA/2だけ正転させた後、停止させる。これによって、図5の(c)に示すように、切り欠き10の中心に第1センサ11が正確に対向した状態になる。次に、ステップS119において、エンコーダ(アブソリュートエンコーダ)25の現在の値(計測パルス値)を、0°原点として予め定められた数値(ここでは、例えば1万パルス)にセットして、これにより0°原点出しを終了する。なお、0°原点としてのエンコーダ25の実データパルス値は1万であるが、後述する表示画面においては、0°原点のエンコーダパルスは0(零)として表示されるようになっている。
続いて、0°原点から回転テーブルが180°だけ正確に回転した位置である180°位置(以下、これを便宜上180°原点と記すが、この180°原点はシステムが唯一もつテーブルの原点(0°原点)とは異なるもので、180°原点に対応する数値をエンコーダ25にセットするためのものではない)の割り出し(180°原点出し)と、これに伴って得られる、回転テーブル4がぴったり180°回転するのに必要なエンコーダパルスの値を求める処理、および、後述する回転テーブル4の回転動作が正常に行われているかどうかの判定処理に用いる判定用パルス値Na1、Na2を求める処理について、説明する。
図6は、180°原点出しの処理の流れを示すフローチャートである。180°原点出しを行う際には、ステップS201において、0°原点から回転テーブル4を正転させてエンコーダ25の出力する計測パルス値を監視し、次のステップS202において、第2センサ12の出力がOFFとなったか否かを判定する。第2センサ12の出力がOFFとなるとステップS203に進んで、ステップS203において、第2センサ12の出力がOFFとなったタイミングでのエンコーダ25の計測パルス値は、理論計算値からの許容範囲であるか否かを判定する。ここでは、回転テーブルの180°回転に必要な理論計算上のエンコーダパルス数は3.6万パルスであり、切り欠き10の幅(角度)は4°であり、回転テーブルが178°回転したときの理論計算上のエンコーダパルス数は、(36000−400)=35600パルスであり、35600±βに対して、第2センサ12の出力がOFFとなったタイミングでのエンコーダパルス数が、この範囲に入っているかどうかを判定する。上記のβは例えば20パルス程度の値とされ、ステップS203でYES判定されるとステップS204に進み、ステップS203でNO判定されると、ステップS205に進んで処理を中止(終了)し、メカ点検(例えば、第2センサ12の取り付け位置の微調整)などを促す。ステップS204においては、第2センサ12の出力がOFFとなったタイミングでのエンコーダ25の計測パルス値を記憶し、次のステップS206においては、ステップS203の判定処理が所定回数(例えば、3〜5回)終了したかどうかを判定し、所定回数終了していなければステップS207に進み、所定回数終了していればステップS210に進む。
ステップS207では、回転テーブル4を第2センサ12の出力がOFFとなったタイミングの直後に停止させ、次のステップS208において、回転テーブル4を逆転させてエンコーダ25の出力する計測パルス値を監視し、次のステップS209で回転テーブル4を0°原点に停止させて、先のステップS201に戻る。
ステップS210では、ステップS204で記憶した数回分のパルス値(パルス数)の平均値(すなわち、ここでは35600±γ(γは、理論計算値からの、公差内の誤差などに起因する、実際の計測で得られた差分の平均値))を求め、これを、回転テーブル4が0°原点位置から反対側センサである第2センサ12がOFFとなるタイミングまでのパルス値(回転テーブル4が178°回転するのに要するパルス数)として、すなわち、後述する回転テーブル4の回転動作が正常に行われているかどうかの判定処理に用いる判定用パルス値Na1として算出し、これを前記判定条件格納部27に格納する。この判定用パルス値Na1の算出に際しては、回転テーブル4の逆転時のみの計測パルス値を用いているが、減速回転伝達系24の回転伝達誤差の発生は、正転と逆転とで可逆的であり、逆転時のみの計測パルス値を用いても何ら問題を生じない。これによって、射出成形機の製造上避けがたい機差を織り込んだ、正確な判定用パルス値Na1を得ることができる。
ステップS210の次のステップS211以降からは、前記した0°原点出しと同様の手法をとる180°原点出しに入る。ステップS211では、第2センサ12の出力がONとなったか否かを判定し、第2センサ12の出力がONとなるとステップS212に進んで、ステップS212においては、回転テーブル4の回転を停止させると共に、第2センサ12の出力がONとなったタイミングにおけるエンコーダ25の計測パルス値を記憶する。図7の(a)は、このステップS212の状態を示している。次に、ステップS213において、回転テーブル4を逆転させて、エンコーダ25の出力する計測パルス値を監視し、この回転テーブル4の逆転で第2センサ12の出力がOFFとなった(ステップS214)後、ステップS215において、第2センサ12の出力がONとなったか否かを判定する。第2センサ12の出力がONとなるとステップS216に進んで、ステップS216において、回転テーブル4の回転を停止させると共に、第2センサ12の出力がONとなったタイミングにおけるエンコーダ25の計測パルス値を記憶する。図7の(b)は、このステップS108の状態を示している。
次に、ステップS217において、回転テーブル4を正転させて、エンコーダ25の出力する計測パルス値を監視し、この回転テーブル4の正転で第2センサ12の出力がOFFとなった(ステップS218)後、ステップS219において、第2センサ12の出力がONとなったか否かを判定する。第2センサ12の出力がONとなるとステップS220に進んで、ステップS220において、回転テーブル4の回転を停止させると共に、第2センサ12の出力がONとなったタイミングにおけるエンコーダ25の計測パルス値を記憶する(このときが、図7の(a)の状態である)。次に、ステップS221において、回転テーブル4を逆転させて、エンコーダ25の出力する計測パルス値を監視し、この回転テーブル4の逆転で第2センサ12の出力がOFFとなった(ステップS222)後、ステップS223において、第2センサ12の出力がONとなったか否かを判定する。第2センサ12の出力がONとなるとステップS224に進んで、ステップS224において、回転テーブル4の回転を停止させると共に、第2センサ12の出力がONとなったタイミングにおけるエンコーダ25の計測パルス値を記憶する(このときが、図7の(b)の状態である)。
次に、ステップS225において、ステップS212、216、220、224で記憶した計測パルス値に基づいて、切り欠き10の幅(角度)に相当するパルス数の平均値A’を求めて、この平均値A’の半分のパルス数であるA’/2を算出する。次のステップS226において、回転テーブル4を、エンコーダ25のパルス数でA’/2だけ正転させた後、停止させる。これによって、図9の(c)に示すように、切り欠き10の中心に第2センサ12が正確に対向した状態になる。次に、ステップS227において、エンコーダ(アブソリュートエンコーダ)25の現在の値(計測パルス値)を、180°原点(ジャスト180°回転位置)として記憶すると共に、この記憶した数値である、例えば4.6万パルス±δ(δは、理論計算値からの、公差内の誤差などによる、実際の計測で得られた差分の平均値)から、0°原点として定めた数値である1万パルスを減じた値を、すなわち、3.6万パルス±δを、回転テーブル4を実際に回転させるために必要なパルス数(パルス値)Nbとして、記憶・設定する。また、Nbから前記した判定用パルス値Na1を減じた値、つまり、(Nb−Na1)を、回転テーブル4が180°原点位置から反対側センサである第1センサ11がOFFとなるタイミングまでのパルス値(回転テーブル4が178°回転するのに要するパルス数)として、すなわち、後述する回転テーブル4の回転動作が正常に行われているかどうかの判定処理に用いる判定用パルス値Na2として算出し、これを前記判定条件格納部27に格納する。そして、これによって、180°原点出しを終了する。
このように、本実施形態では、実測に基づいて、回転テーブル4をジャスト180°だけ回転させるのに必要なパルス数Nbを得るようにしているので、減速回転伝達系24などに公差内の誤差があっても、機差を考慮に入れたテーブル180°回転に真に必要なパルス数を正確に得ることができ、これに基づき正確な回転制御を行うことが可能となる。なお、回転テーブル4をジャスト180°だけ回転させるのに必要なパルス数は、上記ように3.6万パルス±γであるが、後述する表示画面においては、テーブル180°回転のパルス数としては、3.6万パルスが表示されるようになっている。
続いて、本実施形態において、成形運転時に行われる回転テーブル4の回転動作が正常に行われているかどうかの判定処理について、図8〜図10を用いて説明する。図8は、回転テーブル4が0°原点から180°原点に正転する際の判定処理を示すフローチャートであり、図9は、回転テーブル4が180°原点から0°原点に逆転する際の判定処理を示すフローチャートであり、図10は、回転テーブル4が回転する際の様子を示す説明図である。
図8、図10を用いて、回転テーブル4が0°原点から180°原点に正転する際の判定処理について説明する。まず、ステップS301において、図10の(a)に示すように、回転テーブル4を0°原点の停止状態におく。このとき、エンコーダ25の出力するパルス値(パルス数)は1万パルスであり、第1センサ11の出力はOFFであることを前提としている。次に、ステップS302において、0°原点から回転テーブル4を正転させてエンコーダ25の出力する計測パルス値を監視し、ステップS303とステップS307に進む。
ステップS303では、第2センサ12の出力がOFFとなったか否かを判定し、第2センサ12の出力がOFFとなるとステップS304に進む(図10の(b)は、回転テーブル4の正転で第2センサ12の出力がOFFとなるタイミングを示している)。ステップS304においては、第2センサ12の出力がOFFとなったタイミングでのエンコーダ25の計測パルス値が、前記した判定用パルス値Na1に対して許容範囲にあるか否かを、すなわち(Na1±α)の範囲内にあるか否かを判定する。このαの値はある程度の範囲内で任意のものに設定可能であるが、ここでは、αは20パルスに設定してある。ステップS304の判定で、計測パルス値が(Na1±α)の範囲内にあれば、テーブル4の回転は正常であるとして、ステップS305に進む。ステップS305では、エンコーダ25の計測パルス値が、回転テーブル4を180°回転させるのに必要な前記したパルス数(パルス値)Nbに達するのを待ち、計測パルス値がNbに達すると、ステップS306において、図10の(c)に示すように、回転テーブル4を180°原点の停止状態に移行させる。このとき、エンコーダ25の出力するパルス値(パルス数)はNbであり、第2センサ12の出力はOFFであることは、言うまでもない。
他方、ステップS304の判定で、計測パルス値が(Na1±α)の範囲内になければ、第2センサ12による監視では、回転テーブル4は略178°だけ回転したとみなせるにもかかわらず、エンコーダ25からの計測パルスはこれを示しておらず、異常(例えばエンコーダ25の異常)の発生であると判定して、ステップS311に進む。ステップS311では、射出成形機の成形運転動作を緊急停止させ、また、異常の発生を示すアラーム表示やアラーム音の出力を行う。
また、ステップS307では、エンコーダ25の計測パルス値が、前記した判定用パルス値Na1に対して所定範囲(所定数値)を超えたか否かを、すなわち、(Na1+α)を超えたか否かを判定し、計測パルス値が(Na1+α)を超えると、ステップS308に進む。ステップS308では、第2センサ12の出力がOFFとなっているか否かを判定する。ステップS308の判定で、第2センサ12の出力がOFFとなっていれば、テーブル4の回転は正常であるとして、ステップS309に進む。ステップS309では、エンコーダ25の計測パルス値が、0°原点から回転テーブル4を180°回転させるのに必要な前記したパルス数(パルス値)Nbになるのを待ち、計測パルス値がNbになると、ステップS310において、図10の(c)に示すように、回転テーブル4を180°原点の停止状態に移行させる。このとき、エンコーダ25の出力するパルス値(パルス数)はNbであり、第2センサ12の出力はOFFであることは、言うまでもない。
他方、ステップS308の判定で、第2センサ12の出力がOFFとなっていなければ、エンコーダ25からの計測パルスの監視では、回転テーブル4は略178°だけ回転したとみなせるにもかかわらず、第2センサ12の出力はこれを示しておらず、異常(例えば減速回転伝達系24の異常)の発生であると判定して、ステップS311に進む。ステップS311では、射出成形機の成形運転動作を緊急停止させ、また、異常の発生を示すアラーム表示やアラーム音の出力を行う。
続いて、図9、図10を用いて、回転テーブル4が180°原点から0°原点に逆転する際の判定処理について説明する。まず、ステップS401において、図10の(c)に示すように、回転テーブル4を180°原点の停止状態におく。このとき、エンコーダ25の出力するパルス値(パルス数)はNbであり、第2センサ12の出力はOFFであることを前提としている。次に、ステップS402において、180°原点から回転テーブル4を逆転させてエンコーダ25の出力する計測パルス値を監視し、ステップS403とステップS407に進む。
ステップS403では、第1センサ11の出力がOFFとなったか否かを判定し、第1センサ11の出力がOFFとなるとステップS404に進む(図10の(d)は、回転テーブル4の逆転で第1センサ11の出力がOFFとなるタイミングを示している)。ステップS404においては、第1センサ11の出力がOFFとなったタイミングでのエンコーダ25の計測パルス値が、前記した判定用パルス値Na2に対して許容範囲にあるか否かを、すなわち(Na2±α)の範囲内にあるか否かを判定する。このαの値は、ここでは20パルスである。ステップS404の判定で、計測パルス値が(Na2±α)の範囲内にあれば、テーブル4の回転は正常であるとして、ステップS405に進む。ステップS405では、エンコーダ25の計測パルス値が、回転テーブル4を180°回転させるのに必要な前記したパルス数(パルス値)1万に達するのを待ち、計測パルス値が1万に達すると、ステップS406において、図10の(a)に示すように、回転テーブル4を0°原点の停止状態に移行させる。このとき、エンコーダ25の出力するパルス値(パルス数)は1万であり、第1センサ11の出力はOFFであることは、言うまでもない。
他方、ステップS404の判定で、計測パルス値が(Na2±α)の範囲内になければ、第1センサ11による監視では、回転テーブル4は略178°だけ回転したとみなせるにもかかわらず、エンコーダ25からの計測パルスはこれを示しておらず、異常(例えばエンコーダ25の異常)の発生であると判定して、ステップS411に進む。ステップS411では、射出成形機の成形運転動作を緊急停止させ、また、異常の発生を示すアラーム表示やアラーム音の出力を行う。
また、ステップS407では、エンコーダ25の計測パルス値が、前記した判定用パルス値Na2に対して所定範囲(所定数値)を下回ったか否かを、すなわち(Na2−α)を下回ったか否かを判定し、計測パルス値が(Na2−α)を下回ると、ステップS408に進む。ステップS408では、第1センサ11の出力がOFFとなっているか否かを判定する。ステップS408の判定で、第1センサ11の出力がOFFとなっていれば、テーブル4の回転は正常であるとして、ステップS409に進む。ステップS409では、エンコーダ25の計測パルス値が、180°原点から回転テーブル4を180°回転させるのに必要な前記したパルス数(パルス値)1万になるのを待ち、計測パルス値が1万となると、ステップS410において、図10の(a)に示すように、回転テーブル4を0°原点の停止状態に移行させる。このとき、エンコーダ25の出力するパルス値(パルス数)は1万であり、第1センサ11の出力はOFFであることは、言うまでもない。
他方、ステップS408の判定で、第1センサ11の出力がOFFとなっていなければ、エンコーダ25からの計測パルスの監視では、回転テーブル4は略178°だけ回転したとみなせるにもかかわらず、第1センサ11の出力はこれを示しておらず、異常(例えば減速回転伝達系24の異常)の発生であると判定して、ステップS411に進む。ステップS411では、射出成形機の成形運転動作を緊急停止させ、また、異常の発生を示すアラーム表示やアラーム音の出力を行う。
図11は、本実施形態の射出成形機において、射出成形機の図示せぬディスプレイに表示される環境設定画面の1例を示しており、このような環境設定画面の1つにおいて、ユーザに対して、回転テーブル4の180°回転(実際には178°回転であるが)で許容されるパルス数αが20パルスに設定されていることを示している。このパルス数αは、ユーザが設定変更を行えるようにシステムを構築することは勿論可能であるが、本実施形態ではメーカ側のみがパルス数αの設定変更を行えるように、システムを構築してある。
以上のように本実施形態では、回転テーブル4が交番的に位置する2つの回転停止位置(0°原点、180°原点)の一方にあって、2つの非接触式センサ(第1、第2センサ11、12)のうちの一方が切り欠き10の中央に対向していて、2つの非接触式センサのうちの一方が切り欠きの検出状態であるときから、回転テーブル4を回転させたときのエンコーダ出力による計測パルス値を監視すると共に、2つの非接触式センサのうちの他方が切り欠き10の検出状態となったか否かを監視する。そして、2つの非接触式センサのうちの一方が切り欠き10の検出状態であるときから、2つの非接触式センサのうちの他方が切り欠き10の検出状態となった際に、計測パルス値が所定の数値範囲内に収まっていない場合には、エンコーダ25に異常が発生したと判断して、アラームを発生すると共に、マシンの動作を停止させる。あるいは例えば、2つの非接触式センサのうちの一方が切り欠き10の検出状態であるときから、回転テーブル4が回転開始して計測パルス値が所定の数値範囲を超えた際または所定の数値範囲を下回った際に、2つの非接触式センサのうちの他方が切り欠き10の検出状態となっていない場合には、減速回転伝達系24に異常が発生したと判断して、アラームを発生すると共に、マシンの動作を停止させる。このように、本実施形態では、減速回転伝達系24のメカニズム、または、回転量(回転角度)計測系(エンコーダ25)の何れかに異常が発生しても、これを確実に認知することができるので、このような異常発生を看過することによる金型破損などのメカ損傷は確実に防止することができる。
また、回転テーブル4が交番的に位置する2つの回転停止位置(0°原点、180°原点)を、実測によって正確に算出・決定し、0°原点、180°原点では、切り欠きの中心が第1センサ11または第2センサ12が必ず対向するようにし、かつ、0°原点と180°原点との間を回転するのに必要な、すなわち、回転テーブル4をジャスト180°だけ回転させるのに必要なパルス数をNbも実測によって正確な値を得るようにしているので、減速回転伝達系24などに公差内の誤差があっても、機差を考慮に入れたテーブル180°回転に真に必要なパルス数を正確に得ることができ、これに基づき正確な回転制御を行うことが可能となる。
さらにまた、回転テーブル4が一方の原点位置にあって一方の非接触式センサがOFFであるときから、回転テーブル4が回転して他方の非接触式センサがOFFとなったタイミング、すなわち、回転テーブルが178°だけ回転したタイミングでのパルス数が正常値か異常値であるかを判定するための判定用パルス値Na1、Na2も実測によって信頼するに足る値を得るようにしているので、減速回転伝達系24などに公差内の誤差があっても、テーブル回転が正常に行われているかどうかの判定を、機差を考慮に入れた精緻な判定で行うことができる。
なお、上述した実施形態では、回転テーブル4の外周に設ける標識部位を切り欠き10としているが、標識部位としては切り欠き10に代替して、突起や、黒色テープなどの光吸収部などの標識部位としてもよい。