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JP2008007026A - 空気圧低下検出装置、空気圧低下検出プログラムおよび空気圧低下検出方法 - Google Patents

空気圧低下検出装置、空気圧低下検出プログラムおよび空気圧低下検出方法 Download PDF

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JP2008007026A JP2006181488A JP2006181488A JP2008007026A JP 2008007026 A JP2008007026 A JP 2008007026A JP 2006181488 A JP2006181488 A JP 2006181488A JP 2006181488 A JP2006181488 A JP 2006181488A JP 2008007026 A JP2008007026 A JP 2008007026A
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Toshiaki Minami
敏彰 南
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Aisin AW Co Ltd
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Abstract

【課題】車両旋回時や斜面走行時など、平坦な路面上を直進している状態以外で正確に空気圧の低下を検出することができなかった。
【解決手段】車両の走行軌跡を示す走行軌跡情報を取得し、複数の車輪毎の回転速度に対応した車輪回転速度情報を取得し、前記車輪回転速度情報が示す各車輪の実際の動作が、前記走行軌跡情報が示す走行軌跡を走行したときの各車輪の動作と整合していないときに車輪の空気圧の低下を検出する。
【選択図】図3

Description

本発明は、車輪の空気圧の低下を検出する空気圧低下検出装置、プログラムおよび方法に関する。
従来、車速センサによって車輪の回転速度を示す情報を取得し、車輪毎の回転速度を比較することによって各車輪の空気圧の低下を検出する技術が知られている(例えば、特許文献1)。当該特許文献1においては、車両が直進走行をしているか否かを判定し、直進状態では寄与率が高くなる重みを算出する。そして、車輪の回転速度の左右差に基づいてタイヤ径比を算出する際に前記重みを反映させている。この処理によって、旋回時の車輪の回転速度の寄与率を低くし、空気圧低下の検出精度を向上させている。
特開2005−1613号公報
従来の技術においては、車両旋回時や斜面走行時など、平坦な路面上を直進している状態以外で正確に空気圧の低下を検出することができなかった。すなわち、空気圧の低下を検出する際に直進状態での寄与率を高くする構成においては、実質的に直進走行時の情報を利用して空気圧の低下を検出する構成となるので、カーブが頻繁に現れる路面を走行しているときには空気圧の低下を検出することができない。また、斜面走行時など、旋回以外に車輪の回転速度を変動させる要因を考慮していない。従って、従来の技術においては、平坦な路面上を直進している状態以外で正確に空気圧の低下を検出することができない。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、平坦な路面上を直進していない場合であっても正確に空気圧の低下を検出する技術を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明においては、車両の走行軌跡を示す走行軌跡情報を取得し、各車輪の実際の動作が、当該走行軌跡を走行したときの各車輪の動作と整合していないときに車輪の空気圧の低下を検出する。すなわち、車輪の走行軌跡が判明すれば、その走行軌跡を走行する際に辿るべき各車輪の経路が判明し、各車輪にてなされるべき動作が判明する。
車輪の空気圧が低下していないときには、各車輪にてなされるべき動作と各車輪における実際の動作とが整合するはずであるので、両者が整合しているか否かを判定すれば車輪の空気圧が低下していることを検出することができる。従って、車両の走行軌跡に旋回や斜面走行など、平坦な路面上の直進以外の走行軌跡が含まれていたとしても、正確に空気圧の低下を検出することができる。
なお、走行軌跡情報取得手段においては走行軌跡情報を取得することができればよく、車輪毎の動作に偏差を生じさせる得る全ての情報を走行軌跡情報とすることができる。例えば、直進と旋回と斜面走行とのいずれかまたは組み合わせを走行軌跡情報とすることができ、これらの中で走行軌跡情報とすべき情報は、空気圧の低下を検出すべき場面や精度に応じて適宜選択することができる。
さらに、走行軌跡情報の元になる情報としても、種々の情報を採用可能であり、予め記憶媒体に記憶された道路形状情報とGPS衛星からの電波にて特定される現在位置情報と前記車両に搭載されたセンサから取得される検出値とのいずれかまたは組み合わせを採用可能である。すなわち、ナビゲーション装置等で利用される道路形状情報によれば、道路のカーブの角度や斜面の勾配等を容易に取得することができる。例えば、地図情報に含まれるノードの並びに基づいてカーブの形状を取得したり、道路の高度変化に基づいて斜面の傾斜角を取得するなど、道路の形状に関する種々の情報を取得することができる。
GPS衛星からの電波にて特定される現在位置情報によれば、その現在位置情報を蓄積し、その並びに基づいて車両の走行軌跡を取得することができる。また、車両に搭載されたセンサによれば、その検出値に基づいて車両の走行状況に対応した情報を取得することができる。例えば、車速センサ、加速度センサ、方位センサ、ステアリングセンサ、車載カメラ等の検出値を参照すれば、前記道路形状情報と前記現在位置情報とから得られる走行軌跡の精度を向上し、また、補完することができ、正確な走行軌跡情報を取得することが可能になる。
さらに、車輪回転速度情報取得手段においては、各車輪の実際の動作を算出するための車輪回転速度情報を取得することができればよく、例えば、各車輪に取り付けられた車速センサ(車輪の回転に対応したパルスを出力するセンサ)等を採用可能である。なお、各車輪の実際の動作としては、種々の動作を採用可能であり、車輪の回転速度や車輪と接地面との相対速度、各車輪の走行距離など、動作に対応したあらゆるパラメータがこれに相当する。
空気圧低下検出手段においては、各車輪の実際の動作と前記走行軌跡を走行したときの各車輪の動作との整合性を実質的に判定することができればよく、両者の整合性を直接的に判定しても良いし、間接的に判定しても良い。また、各車輪の実際の動作と前記走行軌跡を走行したときの各車輪の動作とが整合しないと判定したときに、少なくとも空気圧の低下を検出すればよいが、むろん、各車輪の動作を比較したり、前記整合性を車輪毎に判定することによって空気圧が低下している車輪を特定しても良い。
なお、前記整合性の直接的な判定の例としては、各車輪の実際の動作と前記走行軌跡を走行したときの各車輪の動作とを直接比較する判定が挙げられる。例えば、前記走行軌跡情報に基づいて車輪毎の動作の推定値を取得し、前記車輪回転速度情報に基づいて車輪毎の動作の実測値を取得すれば、両者の差が所定の基準を超えているか否かを判定することで空気圧の低下を検出することが可能になる。
すなわち、走行軌跡が判明すれば、その走行軌跡から空気圧が低下していない場合の各車輪の動作を推定することができる。一方、車輪回転速度情報は各車輪の実際の動作に対応しているので、各車輪の実際の動作を実測することができる。各車輪の空気圧が低下していなければ、以上のようにして得られる前記推定値と前記実測値とは一致あるいはほぼ一致するので、両者の差が予め決められた基準を超えているか否かを判定することで各車輪の空気圧が低下しているか否かを取得することができる。以上の構成によれば、走行軌跡に旋回や斜面走行など、直進走行以外のいかなる走行軌跡が含まれていたとしても、高精度で空気圧の低下を検出することが可能である。
さらに、前記整合性の間接的な判定の例としては、前記車輪回転速度情報と前記走行軌跡情報とに基づいて算出したパラメータに基づいて判定を行う構成が挙げられる。例えば、車輪毎の動作の実測値を取得し、この実測値に対して前記走行軌跡を走行することによる車輪毎の動作の差を打ち消す補正を行えば、補正後の車輪毎の動作を比較することで空気圧の低下を検出することが可能になる。
すなわち、走行軌跡が判明すれば、その走行軌跡を走行することによって各車輪に生じるべき動作の差が明らかになる。そこで、各車輪の動作にてこの差を打ち消す補正を行うと、各車輪の空気圧が低下していない場合は、補正後の各車輪の動作は等しくなるはずである。そこで、補正後の車輪毎の動作を比較すれば、各車輪における空気圧の低下を検出することが可能になる。
なお、ここでは、各車輪の空気圧の低下を検出することができるように比較を行うことができればよく、任意の2つの車輪について回転速度の和を算出して比を取得したり、任意の2つの車輪について回転速度の差を取得することで車輪の動作の比較をしても良いし、所定の基準、例えば、車輪の回転速度の平均値等と各車輪の回転速度との差を取得することで車輪の動作の比較をしてもよく、種々の構成を採用可能である。いずれにしても、以上の比較を行うことで、走行軌跡に旋回や斜面走行など、直進走行以外のいかなる走行軌跡が含まれていたとしても、高精度で空気圧の低下を検出することが可能になる。
さらに、本発明のように走行軌跡を参照し、その走行軌跡を走行したときの車輪の動作と車輪の実際の動作との整合性を判定する手法は、この判定を行うプログラムや方法としても適用可能である。また、以上のような空気圧低下検出装置、プログラム、方法は、単独の空気圧低下検出装置として実現される場合もあれば、車両に備えられる各部と共有の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、空気圧低下検出装置を制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)第1実施形態の構成:
(1a)空気圧低下検出処理:
(1b)変形例:
(2)第2実施形態の構成:
(2a)空気圧低下検出処理:
(2b)変形例:
(1)第1実施形態の構成:
図1は、本発明の第1実施形態にかかる空気圧低下検出装置を含むナビゲーション装置10の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置10は、CPU,RAM,ROM等を備える制御部20と記憶媒体30とを備えており、記憶媒体30やROMに記憶されたプログラムを制御部20で実行することができる。本実施形態においては、このプログラムの一つとしてナビゲーションプログラム21を実施可能であり、当該ナビゲーションプログラム21はその機能の一つとして各車輪における空気圧の低下を検出する空気圧低下検出機能を備えている。
ナビゲーションプログラム21は車両を案内するための案内情報を出力する機能を備えており、この機能を実現するため、車両には、GPS受信部40とカメラ41と車速センサ42と加速度センサ43と方位センサ44とステアリングセンサ45とスピーカー46と表示部47とが備えられており、これらの各部と制御部20との信号の授受は図示しないインタフェースによって実現されている。
GPS受信部40は、GPS衛星からの電波を受信し、図示しないインタフェースを介して車両の現在位置を算出するための情報を出力する。制御部20は、この信号を取得して車両の現在位置を取得する。なお、本実施形態において、この現在位置は車両が位置している標高を含む3次元的な位置である。カメラ41は、車外の所定領域を視野に含むように車両に対して取り付けられており、撮影した画像を示す画像データを出力する。制御部20は、図示しないインタフェースを介してこの信号を取得し、各種の案内に利用する。
車速センサ42は、車両が備える車輪の回転速度に対応した信号を出力する。制御部20は、図示しないインタフェースを介してこの信号を取得し、車輪毎に速度(路面と車輪との相対速度)や移動距離(路面に対する車輪の相対的な移動距離)等を取得する。なお、本実施形態における車両は4輪車であり、前方右側の車輪の速度をVFR、前方左側の車輪の速度をVFL、後方右側の車輪の速度をVRR、後方左側の車輪の速度をVRLとする。加速度センサ43は車両に作用する加速度に対応した信号を出力し、方位センサ44は車両の進行方向に対応した信号を出力し、ステアリングセンサ45は車両のステアリングの回転角に対応した信号を出力する。
制御部20は、図示しないインタフェースを介してこれらの信号を取得し、車両に作用する加速度、車両の進行方向、ステアリングの回転角を示す情報を取得する。むろん、以上の加速度センサ43、方位センサ44、ステアリングセンサ45は、図1に示すように単独のセンサを構成してもよいし、車速センサ42等が出力する信号に基づいて算出するように構成してもよい。
制御部20は、ナビゲーションプログラム21を実行することにより、上述のようにして取得した各種情報に基づいて車両の現在位置や目的地までの経路等を示す情報を出力して車両を案内する。すなわち、制御部20は、音声によって各種の案内を行うための制御信号をスピーカー46に出力し、スピーカー46から案内情報としての音声を出力する。また、制御部20は、画像によって各種の案内を行うための制御信号を表示部47に出力し、表示部47にその画像を表示する。
さらに、記憶媒体30には、ナビゲーションプログラム21による案内を実施するため、地図情報30aと動作対応情報30bとが記憶されている。地図情報30aは、道路上に設定されたノードを示すノードデータやノード同士の連結を示すリンクデータ、道路の高度を示すデータ、目標物を示すデータ等を含み、本実施形態においては、地図情報30aが道路の形状を特定するための道路形状情報に相当する。
動作対応情報30bは、車速センサ42の出力値とその出力値における車輪の速度とを対応付けたデータであり、車輪の組み合わせ毎に記憶媒体30に記憶されている。すなわち、車速センサ42の出力値は車輪の回転速度に対応した信号(例えば、回転速度に対応したパルス)であるため、信号の出力値が同一であっても車輪の径等によって実際の車速が異なることがある。そこで、本実施形態においては、車速センサ42の出力値とその出力値における車輪の速度とを対応付ける動作対応情報30bを車輪の組み合わせ毎に記憶媒体30に記憶しておき、車両に取り付けられている車輪の組み合わせに対応した動作対応情報30bを参照して車速を取得する構成としてある。
なお、本実施形態において、動作対応情報30bは、ナビゲーションプログラム21を構成する機能の一部である交換処理部21dによって記憶媒体30に記憶され、保持されるようになっている。すなわち、交換処理部21dは、車両に取り付ける車輪を交換したときにその旨を入力するためのインタフェースを表示部47に表示し、図示しない入力装置によって交換が完了したことを示す情報と車輪の組み合わせを特定するための情報とを入力するようになっている。
この入力がなされると、交換処理部21dは車輪の組み合わせを対応付けた動作対応情報30bを記憶媒体30に記憶する。なお、この動作対応情報30bは、車輪の径に基づいて決定しても良いし、ナビゲーションプログラム21によって行うマップマッチング等の補正に応じて適宜更新しても良い。但し、動作対応情報30bは車輪の組み合わせに対応付けられているとともに、車輪を交換した後であっても元のデータが保持される。そして、以前使用していた車輪の組み合わせに戻した場合(例えば、季節毎の車輪の交換など)、交換処理部21dの処理によってその車輪の組み合わせに対応した動作対応情報30bを参照するように設定される。
以上の動作対応情報30bは、車速センサ42の出力値に基づいて車速を取得する際に使用され、当該出力値は後述するように空気圧低下の検出に際して参照される。従って、当該動作対応情報30bを利用する構成を採用することにより、車輪を交換した場合であっても正確に空気圧の低下を検出することが可能になる。
本実施形態において、ナビゲーションプログラム21は、空気圧低下検出機能を実施するために、走行軌跡情報取得部21aと車輪回転速度情報取得部21bと空気圧低下検出部21cとを備えている。走行軌跡情報取得部21aは、GPS受信部40、カメラ41、車速センサ42、加速度センサ43、方位センサ44、ステアリングセンサ45、地図情報30a、動作対応情報30bに基づいて走行軌跡情報を取得するモジュールである。
すなわち、GPS受信部40およびカメラ41、車速センサ42、加速度センサ43、方位センサ44、ステアリングセンサ45からの信号に基づいて所定の時間間隔毎に車両の現在位置を特定するとともに、地図情報30aを参照してマップマッチングを行って道路に合致した現在位置の履歴を取得する。当該現在位置の履歴を結べば走行軌跡となるので、本実施形態においては、当該現在位置の履歴が走行軌跡情報となる。なお、走行軌跡情報取得部21aは、車速センサ42の出力値から各車輪の速度を取得する際に動作対応情報30bを参照する。車輪回転速度情報取得部21bは、車速センサ42の出力値および動作対応情報30bを参照して、各車輪の速度を取得するモジュールである。
空気圧低下検出部21cは、車両が前記走行軌跡を走行したときに各車輪が移動すべき距離の推定値と各車輪の移動距離の実測値とを取得し、推定値と実測値とに基づいて各車輪の空気圧の低下を検出するモジュールである。この検出を行うため、空気圧低下検出部21cは、推定値取得部21c1と実測値取得部21c2と比較部21c3とを備えており、推定値取得部21c1は、走行軌跡情報取得部21aが取得した走行軌跡情報を参照し、その走行軌跡を走行する際に各車輪が移動すべき距離を所定の時間間隔毎に算出する。この距離は、走行軌跡を走行する際に移動すべき距離であるので移動距離の推定値である。
一方、実測値取得部21c2は、車輪回転速度情報取得部21bが取得した各車輪の速度に基づいて所定の時間間隔毎の各車輪の移動距離を取得する。この移動距離は、各車輪の実際の回転に対応した信号(車速センサ42の出力値)に基づいて取得されるため、各車輪の移動距離の実測値となる。
比較部21c3は、上述の推定値と実測値とを車輪毎に比較し、両者の差が予め決められたしきい値Thより大きい車輪が存在するとき、その車輪の空気圧が低下していることを検出する。空気圧の低下が検出されたときには、空気圧低下検出部21cが、その車輪および空気圧が低下していることを示す情報を表示部47に出力する。この結果、車両の運転者は空気圧が低下している車輪を認識することができる。本実施形態においては、平坦な路面に限らず車両のあらゆる走行軌跡に基づいて推定値を取得し、実測値と比較している。従って、平坦な路面上を直進していない場合であっても正確に空気圧の低下を検出することができる。
(1a)空気圧低下検出処理:
次に、以上の構成においてナビゲーション装置10が実施する空気圧低下の検出処理を説明する。図2は、本実施形態における空気圧低下の検出処理を示すフローチャートであり、図3は、走行軌跡情報に基づく推定値の算出例を説明する説明図である。本実施形態において、ナビゲーションプログラム21は上述の案内を行っているときに図2に示す処理を実施しており、走行軌跡情報取得部21aはGPS受信部40、カメラ41、車速センサ42、加速度センサ43、方位センサ44、ステアリングセンサ45、地図情報30a、動作対応情報30bに基づいて走行軌跡情報を取得する(ステップS100)。
走行軌跡情報取得部21aにて走行軌跡情報が取得されると、推定値取得部21c1は当該走行軌跡情報に基づいて所定時間間隔毎の車輪毎の移動距離(上述の推定値)を取得する(ステップS110)。ここでは、前記走行軌跡を走行することによって各車輪に生じ得る動作の差を反映した推定値を取得することができればよく、例えば、車両の旋回や斜面走行による影響を反映して推定値を取得する。
図3では、旋回による影響を反映した推定値の算出例を示しており、実線の矢印ARLは走行軌跡を示している。すなわち、この例において、現在位置は後方左側の車輪の位置を基準にして取得されており、所定の時間間隔毎に現在位置を取得することによって、図3に示すような現在位置Pnが得られる。このような現在位置Pnの列が直線状に並んでいないとき、少なくとも3点を抽出し、その3点が円弧上に配列しているとみなせば旋回中心Oを算出することができる。図3においては、現在位置P1〜P3に基づいて算出した旋回中心Oを示している。
ここで、現在位置P1の前後の所定時間間隔において車両が旋回中心Oを中心にして旋回しているとみなし、その移動距離をLRLとすれば、各車輪の配置に基づいて各車輪の移動距離を算出することができる。すなわち、この時間間隔において各車輪も旋回中心Oを中心に旋回しているとみなせば、図3において破線の矢印AFL,AFR,ARRで示すように各車輪の走行軌跡を特定することができる。なお、図3において、前方左側の車輪の走行軌跡が矢印AFL、前方右側の車輪の走行軌跡が矢印AFR、後方右側の車輪の走行軌跡が矢印ARRである。
従って、予め取得されている車両諸元を示す情報(この例では、ホイールベースLとトレッドW)に基づいて、各車輪の移動距離を以下の式(1)〜(3)にて算出可能である。
前方左側車輪の移動距離LFL=LRL×RFL/RRL・・・・(1)
前方右側車輪の移動距離LFR=LRL×RFR/RRL・・・・(2)
後方右側車輪の移動距離LRR=LRL×RRR/RRL・・・・(3)
なお、ここで、旋回中心Oから前方左側の車輪までの距離がRFL、旋回中心Oから前方右側の車輪のまでの距離がRFR、旋回中心Oから後方右側の車輪までの距離がRRRである。
また、各距離は以下の式(4)〜(7)にて算出可能である。
RL=L×tan(π/2−θ)・・・・(4)
RR=RRL−W・・・・(5)
FL=(RRL 2+L2)1/2・・・・(6)
FR=(RRR 2+L2)1/2・・・・(7)
なお、ここで、θは旋回中心Oから前方左側および後方左側の車輪をみたときの角度である。むろん、以上の式においては、各車輪の移動距離を算出することができればよく、基準が後方左側の車輪であることが必須ではないし、他の式を利用して旋回中心Oから車輪までの距離等を算出しても良い。
いずれにしても、ステップS110においては、所定時間間隔毎に各車輪の移動距離を算出し、これを推定値として保持する。推定値取得部21c1が推定値を取得すると、車輪回転速度情報取得部21bは、車速センサ42の出力値を取得し、現在の車輪の組み合わせに対応して動作対応情報30bを取得し(ステップS115)、実測値取得部21c2に受け渡す。実測値取得部21c2は、これらの情報に基づいて、所定時間間隔毎の車輪毎の移動距離(上述の実測値)を取得する。すなわち、動作対応情報30bを参照し、各車輪の回転に対応した信号を各車輪の速度に変換し、上記ステップS110と同様の時間間隔を乗じることによって各車輪の移動距離を算出する。
以上のようにして、各車輪の推定値と実測値とを算出すると、比較部21c3はこれらの差分を算出し、予め決められているしきい値Thと比較する(ステップS125)。ここで、しきい値Thは、各車輪の実際の動作が走行軌跡を走行したときの各車輪の動作と整合しているか否かを判定できるように設定してあればよい。従って、上記時間間隔毎の推定値と実測値との差分に対して設定しても良いし、上述の時間間隔毎の推定値と実測値との累積値についての差分に対して設定しても良い。後者であれば、例えば、移動距離1kmを走行する時間間隔において、推定値と実測値との間に5m以上の差を検出したか否かを判定するようなしきい値等を採用可能である。
ステップS125において、各車輪の推定値と実測値との差分がしきい値Thを超えていると判別されないときには、空気圧の低下は発生していないとして通知を行わない。ステップS125において、推定値と実測値との差分がしきい値Thを超えている車輪が存在すると判定されたときには、空気圧低下検出部21cがスピーカー46および表示部47に信号を出力し、その車輪の空気圧が低下している旨を通知する(ステップS130)。この通知においては、種々の通知を採用可能であり、空気圧が低下している車輪を文字や音声等で特定する構成の他、ナビゲーションプログラム21によってタイヤ交換のサービス業者への案内を行う構成等、種々の案内を実施可能である。以上のように、走行軌跡情報に基づいて各車輪の推定値を算出し、車速センサ42の出力値に基づいて各車輪の実測値を算出すれば、車両が直進しているときのみならず、旋回しているときであっても空気圧の低下を通知することが可能である。
(1b)変形例:
上述の実施形態においては、車両が旋回していることに基づいて車輪の移動距離を推定していたが、むろん、走行軌跡情報として採用可能な情報は旋回に限らず、空気圧の低下を検出するための車輪の動作も車輪の移動距離に限られない。図4は、走行軌跡情報から斜面を走行していることを検出し、車輪の速度を推定する構成例を説明する説明図であり、図4Aは平坦な路面を走行する際に車両に作用する力を示し、図4Bは斜面を走行する際に車両に作用する力を示し、図4Cは車輪の拡大図を示している。
なお、ここでは簡単のため、斜面に車両左右方向の高低差がなく、車両前後方向にのみ高低差が存在する例を想定している。この場合、前後の車輪に作用する荷重の差によって前後の車輪の径が変化し、前後の車輪の推定値に差が生じる。なお、左右の車輪の推定値は同値である。そこで、図4に示す例では、平坦な路面を走行する際の荷重配分と斜面を走行する際の荷重配分とに基づいて斜面を走行する際の各車輪の速度を推定することとし、荷重に対する車輪の応答がばねと等価であるとして車輪の径の変化を算出する。
すなわち、車輪の半径(車輪の中心から路面までの長さ)Rは、拡大図4Cに示すようにリムの半径RWとリム外周から路面までの距離RTとによって以下の式(8)で表現することができる。
R=RW+RT・・・・(8)
さらに、車輪の半径Rは車輪が路面から受ける力Fと左右の車輪の双方を考慮したばね定数kによって以下の式(9)で表現することができる。
R=RW+RT0−F/k・・・・(9)
なお、RT0は車輪が路面から受ける力Fが0のときのリム外周から路面までの距離(自由長)であり、ばね定数kは予め決定される。
また、各車輪の速度は、各車輪の半径に基づいて以下の式(10)(11)にて算出することができる。
DF=VSF×RDF/RSF・・・・(10)
DR=VSR×RDR/RSR・・・・(11)
なお、VDFは斜面走行時の前輪の速度、VSFは平坦面走行時の前輪の速度、RDFは斜面走行時の前輪の半径、RSFは平坦面走行時の前輪の半径、VDRは斜面走行時の後輪の速度、VSRは平坦面走行時の後輪の速度(=VSF)、RDRは斜面走行時の後輪の半径、RSRは平坦面走行時の後輪の半径である。
そこで、各状態における荷重とばね定数とを特定して式(9)に適宜代入し、さらに式(10)(11)に代入することで以下の式(12)(13)のように前後の車輪の速度を推定することができる。
DF=VSF×(RWF+RTF0−WDF/kF)/(RWF+RTF0−WSF/kF)・・・・(12)
DR=VSR×(RWR+RTR0−WDR/kR)/(RWR+RTR0−WSR/kR)・・・・(13)
なお、RWFは前輪のリムの半径、RTF0は前輪の自由長、WDFは斜面走行時の前輪の荷重、kFは前輪のばね定数、WSFは平坦面走行時の前輪の荷重であり、RWRは後輪のリムの半径、RTR0は後輪の自由長、WDRは傾斜面走行時の後輪の荷重、kRは後輪のばね定数、WSRは平坦面走行時の後輪の荷重である。また、RWF,RTF0,kF,RWR,RTR0,kRは予め特定された値であり、むろん、車輪の特性が前後輪で共通であれば共通の値を使用しても良い。
以上の式(12)(13)によれば、平坦面走行時と斜面走行時とのそれぞれで車輪に作用する荷重を特定することで、各車輪の速度を特定することができる。平坦面を走行しているときの荷重は予め算出しておくことが可能であり、例えば、重心Gの位置と車両の重量WとホイールベースLとに基づいて平坦面走行時の荷重を算出することができる。より具体的には、図4Aに示すように、前輪と後輪とにおける荷重に対するそれぞれの反作用を反力WSF,WSRとし、重心Gの位置と車両の重量WとホイールベースLとを定義することで平坦面走行時の荷重を算出することができる。
すなわち、前輪の接地点X,後輪の接地点Yから車両の左右方向に延びる軸の周りのモーメントを考えるとそれぞれ以下の式(14)(15)となり、式を変形することで式(16)(17)のように荷重を算出することができる。
X点周り:LF×W−L×WSR=0・・・・(14)
Y点周り:L×WSF−LR×W=0・・・・(15)
SR=LF×W/L・・・・(16)
SF=LR×W/L・・・・(17)
なお、ここで、LFは位置Z(重心Gから路面に降ろす垂線と路面との交点)と接地点Xとの距離、LRは位置Zと接地点Yとの距離であり、重心Gの位置、車両の重量W、ホイールベースLとともに予め特定されている。
一方、斜面を走行しているか否かは前記走行軌跡情報によって特定可能であり、斜面を走行していると判定されたときに前後輪の荷重を算出すればよい。すなわち、走行軌跡情報は現在位置の履歴であるため、当該走行軌跡情報に基づいて現在位置の高度変化を判定すれば、斜面を走行していることを判定することができる。例えば、図4Bに示すように、走行軌跡ARLを構成する現在位置PD1〜PD5に特定の高度変化が存在するときには、斜面を走行していると判定することができ、かつ、その斜面の傾斜角φを特定することができる。
斜面の傾斜角φが特定できれば、車両の重量Wを路面に垂直な成分WVと路面に垂直な成分Wαとに分け、さらに、短い時間間隔で成分Wαと制動力FBとがつり合っているとみなし、これらの力が相殺すると考えるなどして斜面走行時の荷重を算出することができる。すなわち、前輪の接地点X,後輪の接地点Yから車両の左右方向に延びる軸の周りのモーメントを考えるとそれぞれ以下の式(18)(19)となり、WV=W×cosφという関係および式(16)(17)を利用して式を変形することで式(20)(21)のように荷重を算出することができる。
X点周り:LF×WV−L×WDR=0・・・・(18)
Y点周り:L×WDF−LR×WV=0・・・・(19)
DR=LF×WV/L=WSR×cosφ・・・・(20)
DF=LR×WV/L=WSF×cosφ・・・・(21)
従って、以上の式(20)(21)(16)(17)を上記式(12)(13)に代入することによって、斜面を走行しているときの前後輪の速度を推定することが可能になる。なお、平坦面走行時の前輪の速度VSFと平坦面走行時の後輪の速度VSRとは等しく、走行軌跡ARLに基づいて所定時間間隔の速度を取得すればよい。
以上のような斜面走行時の推定は、上記図1と同様の構成によって実現可能であり、この構成において図2に示すフローとほぼ同様の処理を実施すれば、空気圧の低下を検出することができる。但し、本変形例においては、図2のステップS110にて走行軌跡情報に基づいて斜面を走行しているか否かを判定し、斜面を走行しているときには式(20)(21)(16)(17)に基づいて各車輪の速度の推定値VDF,VDRを取得する。
また、ステップS120においては車輪回転速度情報に基づいて各車輪の速度の実測値を取得し、ステップS125にて前記推定値と前記実測値との差分が所定のしきい値Thを超えているか否かを判定すれば、空気圧が低下しているか否かを検出することができる。従って、以上の構成によれば、車両が平坦面を走行しているときのみならず、斜面を走行しているときであっても空気圧の低下を通知することが可能である。
なお、本変形例においては左右の車輪における推定値は同値であるため、ステップS125における比較においては、前方右側、左側の車輪の実測値のそれぞれと前輪の推定値とを比較し、後方右側、左側の車輪の実測値のそれぞれと後輪の推定値とを比較する構成を採用しても良いし、左右の実測値の平均値と推定値とを比較してもよく、種々の構成を採用可能である。
なお、上述の例では、短い時間間隔で成分Wαと制動力FBとがつり合っている、すなわち、車両が等速運動をしていることとして荷重を算出したが、むろん、成分Wαと制動力FBとが等しくなく、車両が加速度運動をしていることとしてモーメントの計算を行っても良い。また、上述の例では左右方向に高さの変化がない斜面を想定していたが、車両内のセンサ等によって斜面の左右方向の高さ変化を検出可能であれば、その影響を反映させて車輪の速度を推定しても良い。
さらに、荷重に対する車輪の応答がばね以外のモデルによって記述可能であれば、そのモデルに基づいて車輪の速度を推定しても良い。さらに、本変形例と上述の第1実施形態とを併用しても良い。さらに、上述の例のように、走行軌跡に応じて車輪の動作(荷重や移動距離等)を算出する構成の他、斜面の角度と車輪の動作とを対応付けたテーブルデータを予め保持しておき、このテーブルデータを参照して推定値を取得しても良い。
さらに、車両が旋回していることによる影響を反映させて車輪の速度を推定し、実測値と比較する構成を採用しても良い。例えば、以下の式(22)〜(24)によれば、基準の車輪の速度VRL(ここでは、後方左側の車輪の速度であり、走行軌跡情報に基づいて推定可能である)に基づいて他の車輪の速度を推定することができる。
RR=VRL×RRR/RRL・・・・(22)
FL=VRL×RFL/RRL・・・・(23)
FR=VRL×RFR/RRL・・・・(24)
なお、ここで、VRRは後方右側の車輪の速度、VFLは前方左側の車輪の速度、VFRは前方右側の車輪の速度の推定値である。また、RFL,RFR,RRR,RRLは上述の図3と同様にして算出される旋回中心Oから各車輪までの距離である。
以上のようにして、各車輪の速度の推定値が得られたら、車輪回転速度情報に基づいて各車輪の速度の実測値を取得し、車輪毎に推定値と実測値とを比較することで車輪毎の空気圧低下を検出することができる。なお、前記基準の車輪の速度VRLは走行軌跡情報に基づいて取得することが可能であるが、当該基準の車輪の速度VRLとして、実測値を採用してもよい。
(2)第2実施形態の構成:
上述の第1実施形態においては、走行軌跡情報に基づく推定値と車輪回転速度情報に基づく実測値とを比較して車輪の動作の整合性を判定していたが、整合性の判定はこのような直接的な判定に限らず、他にも種々の手法を採用可能である。例えば、上述の実測値に対して走行軌跡情報に基づく補正を行って、走行軌跡による影響を打ち消し、補正後の車輪の速度に基づいて空気圧の低下を検出しても良い。
図5は、本発明の第2実施形態にかかる空気圧低下検出装置を含むナビゲーション装置10の構成を示すブロック図である。この図において、上記第1実施形態と同様の構成については同じ符号を示し、説明を省略する。図5に示すように、第2実施形態と第1実施形態とでは、主に空気圧低下検出部210cの構成が異なっている。
空気圧低下検出部210cは、各車輪の速度の実測値を取得し、車両が前記走行軌跡を走行したときの内輪差に基づいて当該実測値を補正し、補正後の車輪の速度を比較することで各車輪の空気圧の低下を検出するモジュールである。この検出を行うため、空気圧低下検出部210cは、実測値取得部210c1と補正部210c2と比較部210c3とを備えており、実測値取得部210c1は、車輪回転速度情報取得部21bが取得した各車輪の速度を実測値として取得する。
補正部210c2は、走行軌跡情報取得部21aが取得した走行軌跡情報を参照し、その走行軌跡を走行することによって生じる各車輪の速度の差を相殺する補正を行う。この補正の後には走行軌跡を走行することによる影響が排除されているので、各車輪の空気圧が低下していないのであれば、各車輪の速度が等しく(あるいはほとんど等しく)なるはずである。そこで、比較部210c3が各車輪の速度を比較することにより、各車輪の空気圧が低下しているか否かを検出することができる。従って、車両が路面上を直進していない場合であっても正確に空気圧の低下を検出することができる。
(2a)空気圧低下検出処理:
次に、以上の構成においてナビゲーション装置10が実施する空気圧低下の検出処理を説明する。図6は、本実施形態における空気圧低下の検出処理を示すフローチャートである。本実施形態において、ナビゲーションプログラム21は上述の案内を行っているときに図6に示す処理を実施しており、上述の実施形態と同様に走行軌跡情報取得部21aが走行軌跡情報を取得し(ステップS200)、車輪回転速度情報取得部21bが、車速センサ42の出力値および現在の車輪の組み合わせに対応した車輪回転速度情報を動作対応情報30bから取得する(ステップS205)。
車輪回転速度情報取得部21bが車輪回転速度情報を取得すると、実測値取得部210c1は、これらの情報に基づいて所定時間間隔毎の車輪毎の速度(実測値)を取得する(ステップS210)。すなわち、動作対応情報30bを参照し、各車輪の回転に対応した信号を各車輪の速度に変換する。次に、補正部210c2は、上記ステップS200にて取得した走行軌跡情報から各車輪の走行軌跡を取得し、この走行軌跡に基づいて各車輪の速度を補正する(ステップS215)。ここでは、各車輪の走行軌跡に関して前記図3と同様な解析することで、各車輪における走行軌跡が異なることによって各車輪の速度に生じる差を打ち消すことができる。
すなわち、図3に示すように後方左側の車輪の走行軌跡ARLを基準にしたとき、現在位置に基づいて旋回中心Oを算出することによって、前方左側、前方右側、後方右側の車輪の走行軌跡AFL,AFR,ARRを特定することができる。この走行軌跡における旋回中心Oから各車輪までの距離は、上述の式(4)〜(7)にて算出可能である。
従って、これらの距離を利用し、速度VRLを基準にして各車輪の速度を以下の式(25)〜(27)にて補正すれば、基準の車輪以外の車輪が図3に示す走行軌跡を走行することによる影響を打ち消す補正を行うことができる。
RR’=VRR×RRL/RRR・・・・(25)
FL’=VFL×RRL/RFL・・・・(26)
FR’=VFR×RRL/RFR・・・・(27)
なお、ここで、VRRは後方右側の車輪の速度の実測値、VFLは前方左側の車輪の速度の実測値、VFRは前方右側の車輪の速度の実測値であり、各式の左辺は補正後の車輪の速度である。
以上の補正後の車輪の速度においては、走行軌跡を走行することによる影響が打ち消されているので、空気圧の低下がない場合に各車輪の速度は等しくなるはずである。そこで、比較部210c3は車輪の速度を比較し(ステップS220)、所定の基準を満たさない車輪が存在するか否かを判別する(ステップS230)。ステップS230において、所定の基準を満たさない車輪が存在すると判別されないときには、空気圧の低下は発生していないとして通知を行わない。ステップS230において、所定の基準を満たさない車輪が存在すると判定されたときには、空気圧低下検出部210cがスピーカー46および表示部47に信号を出力し、その車輪の空気圧が低下している旨を通知する(ステップS235)。むろん、この通知においても上述のように種々の通知を採用可能である。
なお、前記所定の基準においては、車輪の速度を比較することによって車輪の空気圧が低下していることおよび空気圧が低下している車輪を特定することができればよく、種々の構成を採用可能である。例えば、基準の車輪の速度と各車輪の補正後の速度との差分(VRL−VRR’、VRL−VFL’、VRL−VFR’)の絶対値を算出する。空気圧が低下していないときにはこの絶対値が0あるいはほぼ0になるので、当該絶対値が予め決められたしきい値を超えるか否かを判定すれば、空気圧が低下している車輪を判定することができる。
すなわち、いずれかの絶対値がしきい値を超えているのであれば、その差分を算出する式の第2項に相当する車輪(例えば、VRL−VRR’であれば後方右側の車輪)の空気圧が低下していると判定することができる。また、全ての絶対値がしきい値を超えているのであれば、基準の車輪(上述の例では後方左側の車輪)の空気圧が低下していることを判定することができる。
むろん、車輪の速度の比較においては、他にも種々の比較を採用可能であり、左右の車輪の速度や前後の車輪の速度、対角に位置する車輪(例えば、前方左側の車輪と後方右側の車輪)の速度を比較しても良い。また、任意の車輪についてその速度の差や和を算出して当該差や和の比を算出したり、車両の速度を基準にして各車輪の速度と車両の速度とを比較する構成を採用するなど、種々の比較を行うことが可能である。以上のように、走行軌跡情報に基づいて各車輪の実測値を補正し、補正後の車輪の速度を比較すれば、車両が直進しているときのみならず、旋回しているときであっても空気圧の低下を通知することが可能である。
(2b)変形例:
以上のように、走行軌跡情報に基づいて実測値を補正して比較する構成においても、空気圧の低下を検出するための車輪の動作として車輪の速度以外の動作を採用可能である。例えば、各車輪の移動距離を走行軌跡情報に基づいて補正し、各車輪の移動距離を比較することによって空気圧の低下を検出することが可能である。
また、走行軌跡情報に基づく補正は上述の旋回による影響に限らず、斜面の走行等による影響を反映しても良い。例えば、上述の式(12)(13)を以下の式(28)(29)のように補正し、VDF,VDRに車輪の速度の実測値を代入すれば、斜面を走行することによる影響を打ち消す補正をすることができる。
SF=VDF×(RWF+RTF0−WSF/kF)/(RWF+RTF0−WDF/kF)・・・・(28)
SR=VDR×(RWR+RTR0−WSR/kR)/(RWR+RTR0−WDR/kR)・・・・(29)
そこで、当該補正後の車輪の速度に基づいて、上述のような車輪の速度の比較を行えば、車両が平坦面を走行しているときのみならず、斜面を走行しているときであっても空気圧の低下を通知することが可能である。むろん、前記したとおり、車両が加速度運動していることを考慮する構成や、旋回と斜面走行との双方を考慮する構成の他、種々の変形例を採用可能である。
なお、上述の全ての構成において、走行軌跡情報を取得するためのセンサとして図1や図5に示すセンサの全てが必須というわけではなく、空気圧低下を検出する際のコストや車両の装備等によって適宜変更可能である。さらに、空気圧低下の検出精度を向上するためにいかなる付随技術を適用することも可能である。例えば、トラクションコントロール、ABS(Antilock brake system)、スピン等を防止するための車両安定性制御システムなどが作動したときには、その間の車輪の動作を考慮しない(あるいは判定への寄与を少なくする)で空気圧の低下を判定することで、高精度の空気圧低下検出を実施可能である。さらに、GPS受信部40からの信号が受信できないなど、各センサの動作が不安定になっているときには、その間の車輪の動作を考慮しない(あるいは判定への寄与を少なくする)で空気圧の低下を判定することで、高精度の空気圧低下検出を実施可能である。
第1実施形態にかかる空気圧低下検出装置のブロック図である。 第1実施形態にかかる空気圧低下の検出処理を示すフローチャートである。 走行軌跡情報に基づく推定値の算出例を説明する説明図である。 斜面走行時の車輪の速度の推定を説明する説明図であり、(4A)は平坦な路面を走行する際に車両に作用する力の説明図、(4B)は斜面を走行する際に車両に作用する力の説明図、(4C)は車輪の拡大図である。 第2実施形態にかかる空気圧低下検出装置のブロック図である。 第2実施形態にかかる空気圧低下の検出処理を示すフローチャートである。
符号の説明
10…ナビゲーション装置、20…制御部、21…ナビゲーションプログラム、21a…走行軌跡情報取得部、21b…車輪回転速度情報取得部、21c…空気圧低下検出部、21c1…推定値取得部、21c2…実測値取得部、21c3…比較部、21d…交換処理部、30…記憶媒体、30a…地図情報、30b…動作対応情報、40…GPS受信部、41…カメラ、42…車速センサ、43…加速度センサ、44…方位センサ、45…ステアリングセンサ、46…スピーカー、47…表示部

Claims (7)

  1. 車両の走行軌跡を示す走行軌跡情報を取得する走行軌跡情報取得手段と、
    複数の車輪毎の回転速度に対応した車輪回転速度情報を取得する車輪回転速度情報取得手段と、
    前記車輪回転速度情報が示す各車輪の実際の動作が、前記走行軌跡情報が示す走行軌跡を走行したときの各車輪の動作と整合していないときに車輪の空気圧の低下を検出する空気圧低下検出手段と、
    を備える空気圧低下検出装置。
  2. 前記走行軌跡情報取得手段は、予め記憶媒体に記憶された道路形状情報とGPS衛星からの電波にて特定される現在位置情報と前記車両に搭載されたセンサの検出値とのいずれかまたは組み合わせに基づいて前記走行軌跡情報を取得する、
    請求項1に記載の空気圧低下検出装置。
  3. 前記空気圧低下検出手段は、前記車両が前記走行軌跡を走行したときの車輪毎の動作の推定値を取得し、前記車輪回転速度情報に基づいて車輪毎の動作の実測値を取得し、前記推定値と実測値との差が所定の基準を超えているときに空気圧の低下を検出する、
    請求項1または請求項2のいずれかに記載の空気圧低下検出装置。
  4. 前記空気圧低下検出手段は、前記車輪回転速度情報に基づいて車輪毎の動作の実測値を取得し、この実測値に対して前記走行軌跡を走行することによる車輪毎の動作の差を打ち消す補正を行い、補正後の車輪毎の動作を比較することによって空気圧の低下を検出する、
    請求項1または請求項2のいずれかに記載の空気圧低下検出装置。
  5. 前記空気圧低下検出手段は、前記車両に取り付けられる車輪の組み合わせ毎に前記車輪回転速度情報と車輪の動作とを対応付けた動作対応情報を記憶媒体に保持し、車輪の交換後に当該交換後の車輪の組み合わせに対応した動作対応情報を参照して各車輪の実際の動作を取得する、
    請求項1〜請求項4のいずれかに記載の空気圧低下検出装置。
  6. 車両の走行軌跡を示す走行軌跡情報を取得する走行軌跡情報取得機能と、
    複数の車輪毎の回転速度に対応した車輪回転速度情報を取得する車輪回転速度情報取得機能と、
    前記車輪回転速度情報が示す各車輪の実際の動作が、前記走行軌跡情報が示す走行軌跡を走行したときの各車輪の動作と整合していないときに車輪の空気圧の低下を検出する空気圧低下検出機能と、
    をコンピュータに実現させる空気圧低下検出プログラム。
  7. 車両の走行軌跡を示す走行軌跡情報を取得する走行軌跡情報取得工程と、
    複数の車輪毎の回転速度に対応した車輪回転速度情報を取得する車輪回転速度情報取得工程と、
    前記車輪回転速度情報が示す各車輪の実際の動作が、前記走行軌跡情報が示す走行軌跡を走行したときの各車輪の動作と整合していないときに車輪の空気圧の低下を検出する空気圧低下検出工程と、
    を備える空気圧低下検出方法。

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