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JP2008002746A - 高性能空気熱交換器 - Google Patents

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JP2008002746A JP2006172048A JP2006172048A JP2008002746A JP 2008002746 A JP2008002746 A JP 2008002746A JP 2006172048 A JP2006172048 A JP 2006172048A JP 2006172048 A JP2006172048 A JP 2006172048A JP 2008002746 A JP2008002746 A JP 2008002746A
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Abstract

【課題】熱交換器全体をアルミニウムで構成させ、次世代商品の基本事項の一つである材料リサイクル性を向上させると同時に大幅な性能向上を同時に達成し、簡単な構造と製造性の簡略化により製品価格を安くするとともに、アルミニウムを利用した将来に渡って安定した低コストで製造し供給できる熱交換器。
【解決手段】幅寸法を連続的乃至は段階的に変えた連続偏平チューブとプレートフィンの組み合わせ、細い円管の分流器や連結器、偏平チューブを傾斜させる、熱交換器のコンパクトなL曲げ方式などにより優れた特性の熱交換器を実現する。
【選択図】 図1

Description

本発明の技術が適用される商品またはシステムは空気等の気体と冷媒などの液体との間の熱交換を行わせる熱交換器に関したもので、特に空調機器などの熱利用機器に用いられる冷却用蒸発器、放熱用凝縮器、空気冷却用水熱交換器、空気加熱用温水熱交換器さらには冷凍用熱交換器などのフィンチューブ熱交換器を対象としたものであり、その基本構造方式と全体構造さらには細部形状、加工製造などに関連する技術である。その目的とするところは現在のフィンチューブ熱交換器に用いられている銅チューブを安価なアルミニウムチューブとすることにより熱交換器全体をアルミニウムで構成させ、次世代商品の基本事項の一つである材料リサイクル性を向上させると同時に大幅な性能向上を同時に達成し、簡単な構造と製造性の簡略化により製品価格を安くするとともに、アルミニウムを利用した将来に渡って安定した低コストで製造し供給できる熱交換器の新しい技術を提供するものである。
前述した熱利用機器は空調機器、給湯機器、冷凍機器、自動車用ラジエターなどの民生機器、自動車、列車などの運送用機器、工業用機器など極めて広範囲に渡っている。従ってそこに使われている主要機能部品としての熱交換器の特性の向上は全産業ひいては全社会的に大きな効果をもたらす可能性がある。この分野では従来も極めて多くの新機構技術、特性改善技術、材料技術などの開発が展開されてきているが、全世界的なエネルギーの逼迫、地球温暖化の進行、資源の欠乏などからくる機器の特性向上、省資源化などへの要求は留まることなくむしろ拡大している。一方こういった活動の中でこの熱交換器分野における銅材料の消費量を低減させるためにアルミニウムで代替させるための多くの技術開発が続けられてきたが、今尚、銅のチューブが大半を占めている。
一方自動車用のラジエター及びカーエアコン用の放熱器ではすでにアルミチューブを用いた熱交換器が多く利用されているが、フロン冷媒を作動媒体に使い冷房と暖房を冷媒回路を切り替えて作動する住宅、建築物用エアコンなどの民生用空調機では銅チューブとアルミフィンを利用した熱交換器を用いており双方の二大市場分野では全く別構造の熱交換器が利用されているわけである。本発明はこの点を考慮した時、双方に利用する事ができ、将来は熱利用機器、装置の全てに標準化されて利用される高性能で安価な熱交換器方式を実現することの重要性を認識し、その実現を目指している。これを実現する事は熱利用機器すべてに対する共通の熱交換器方式を実現し、もって事業規模の拡大集約によるさらなる製造コストの低減、品質の向上、高性能化の検討スピードアップなどの好循環に結びつくと期待される。
一方、これら装置の運転エネルギー効率の向上、製品に使われる材料のリサイクル利用、空調機器などで利用されている作動冷媒としてのHFC(フロン冷媒)の使用量の削減などが地球環境の視点から強く要望されるようになってきている。
以上の様な動静とニーズを背景にして、本発明の取り組もうとしている技術分野は空調機器に搭載できるオールアルミニウム製熱交換器を実用化できるものにするために、2相流冷媒に適した構造と機構、熱交換器性能の向上、ガスリークなどへの信頼性の向上及びトータルの製造コストの削減、これらを同時に実現する為の新しい基本方式を生み出し、それに使われる新しい機構、部材、細部構造、製造方法などを明確にしようとするものである。具体的には、水などの単相の液体と空気等の気体の間の熱交換器として広く使われる様になってきており、かつ最もコストポテンシャルの高いと考えられるアルミ製の偏平押し出し成形チューブを用いて空調機器などの気液混合の2相流体用にこれを応用する事を目指すものである。
このために新たに開発されるべき具体的な技術分野としては、作動媒体である冷媒が気液2相流で相変化に従ってその容積流量そのものが大きく変化する各種作動条件下で、安定して効率の高い冷媒回路を実現する事ができる事、さらにはこの冷媒回路を形成するアルミニウムチューブの接合部分を如何に簡略な構造とし、かつ接続部分の数や接続長さ自体を減らす事が安定した性能、高い品質レベル、安いコストを実現するために必要となり、ここでも新しい発想と技術が要求される。同時に空気側では、空気中の水分がドレン水として熱交換器表面に発生しかつ寒冷状態では凍結が発生する条件下での冷却器又は蒸発器としても安定して優れた熱交換性能を実現するためにはその水滴の排水性が極めて重要で有り、此処にも新しい発想と技術が必要である。また、空気側の通風抵抗を減らす事などにより送風騒音を低減させる事も重要課題で有り、新技術が要請されるところである。これらの技術分野の一つづつを別々に実現するのではなくて一つの熱交換器として一体で実現する事が必要なことは言うまでも無い。以上が本発明を適用しようとしている技術分野である。
空調機器用の熱交換器は積層したアルミフィンに設けた多数の円形の孔にU字に曲げ成形した銅の円チューブを挿入した後に同チューブを内部から同チューブ径を拡大即ち拡管して両者を熱的にまた機械的に密着し固定させ、その円チューブの端面同志をリタンベンドで順次連結させて回路を構成した構造の所謂フィンチューブ熱交換器が用いられる事が多い。この方式が用いられる理由は幾つかあるが、熱交換器の列数及び冷媒流路となるチューブの回路の設定が自在であり機種毎に最適な冷媒回路の熱交換器を容易に設定できる事が先ず上げられる。 さらにプレートフィンである事から、冷却されたフィン表面に生じたドレン水の落下排水がスムースであり性能低下が無いこと、銅チューブ同士の接続に使われるロー付けが容易で品質と信頼度が高いこと、同一の標準化された部材を利用して容量の大きく異なった機種を構成できることなどが特長であり、これらから得られるところの優れた性能と種々な機種を実現できる自由度の高い適応性と比較的低コストで信頼性の高い熱交換器を得る事ができる事等が主たる理由であると考えられる。
上に挙げた最初の理由は冷媒回路の最適設定が容易であるということであり、以下さらに詳述する。熱交換チューブ内を流れる冷媒は所謂気液二相流と呼ばれ各ポイントでの熱交換により蒸発乃至は凝縮し、そのポイント毎のガス成分と液成分の構成比は変わっていくため各ポイントでの冷媒の比体積が変わっていき、従って冷媒の流速が変化する。このため冷房、暖房、除湿、除霜などの各種運転モードに渡って冷媒の圧力降下、伝熱特性と気体と液体の分布に関連した流れの安定性を含めて全体の最適な流動状態を実現するために幾つかのポイントでチューブの内径を変えるか、流路パス数、流路長さを変えて冷媒の流量と流速を調整する必要があり、実際にはフィンチューブ熱交換器では多くの場合パイプの列数とパス数を変える方法が採られる。このため回路の変更ポイントでは分流器を用いてその出入り口を熱交換チューブに連結することにより分流乃至は合流させて流路の全体構成と流路パス数を最適に設定する。この連結のため最適な分流器形状の形成が容易であり且つ熱交換チューブとのロー付け接続が容易であることから分流器は銅チューブ製のものが使われる。これらより機種毎に最適な熱交換器の回路構成をほとんど制約無く実現させる事ができる。
二つ目の理由は、冷媒が蒸発して空気を冷却する所謂冷却器の場合に冷やされて生じるドレン水がスムースにフィンの表面を伝って落下する事ができること、及び凍結温度以下に冷やされてドレン水が霜や氷となって付着した場合にも、熱交換チューブを加熱して霜を溶かした時に素早くドレン水が落下して排出される事が求められる。これはフィン表面のドレン水除去性が優れている事、その為にはフィン自体が垂直に設置されていてドレンの流下に対する邪魔物が無い平板なフィンとドレン水の落下を邪魔しないチューブ形状が望ましい、即ち表面に付着したドレン水滴がフィンを伝って落下しやすい構造で、且つドレン落下を促してフィン表面に残留する水滴の量を減らすためにフィン表面が親水性の特性を持っている事が重要である。
空調機器の熱交換器に銅チューブを使ったフィンチューブ熱交換器が用いられる理由は幾つか有り、フィンチューブ熱交換器が使われる三つ目の理由として提示した通り、チューブ同士の接続のためのロー付けが容易で品質と信頼度が高いことにある。
フィンチューブ熱交換器ではU字形に成形した円形の熱交換チューブをアルミフィンの円形の孔に挿入し、その先端同志をリターンベンドで順次接続して連続した冷媒回路を構成する。このリターンベンドの数とその接続箇所は一つの熱交換器あたり10〜100箇所以上という極めて多数となり、それ以外に使われる分流機構を含めるとその数は更に拡大しロー付け箇所の形状も複雑になる。その接続のために行われるロー付け工程の品質信頼性、作業容易性が重要で、銅チューブが使われる最大の理由である。それは銅チューブ同士のロー付けが大気中でも極めて容易で確実であり、この目的に適しているためである。
銅は極めて延性、展性に優れており、この特性を利用して最近では極めて薄い肉厚のチューブ類が製造されてきており、比較的高価な材料である銅を用いてもコスト的に見合うと同時に、この性質を持った銅でなければ成形が難しい形状の部材が増えている。これらの基本的な特性は空調装置や冷凍装置などに銅チューブのフィンチューブ熱交換器が使われている理由であり背景である。一方最近では社会環境変化、市場要望によるコスト競争激化等によりこれ等空調装置で検討されている新しい技術テーマとしては銅チューブやアルミフィン材料の更なる薄肉化、黴や雑菌の繁殖を防止するための表面処理、性能向上のための銅チューブの細径化と流路パス数増加、自然冷媒への転換に合わせた更なるチューブの細径化などがあげられる。
そういった活動の中でも、銅の市況価格の継続する高騰に対し、または製品価格低減要求に応えるべく銅チューブのアルミチューブへの転換が検討され続けてきた。フィンチューブ熱交換器の構造のまま銅チューブをアルミニウムチューブに置き換えるやり方が最初に検討されたが、アルミによる材料コストの低減効果はその加工費やロー付けコストのアップにより相殺されてしまうため現在のところ採用されていない。最近では多数の小さな冷媒流路を持った所謂マイクロチャネルと呼ばれる偏平チューブを採用する検討が注力されている。マイクロチャネルは内部に4乃至は8個程度の小さな液体用流路穴を横並びに構成し、外部は全体として薄い偏平な板状でアルミニウム押し出し成形により製造されるもので日本語名では偏平チューブと呼ばれる事が多い。
その最大の特性は薄板であるため外側の気体側の通風抵抗が少ない事と表面側の面積が大きいため伝熱性能向上が期待できることである。この特性を活かし、車両エンジン冷却水の冷却用として大量に使われるようになってきた。空調機器では、冷媒流路を小さくし易いため冷媒量の削減や高圧の新しい自然冷媒用としての利用が期待されてきており、当然その最大の期待は高騰を続ける銅に変わってアルミニウムを使用する事によるコスト低減効果にある事は言うまでも無い。このためこのアルミニウム製のマイクロチャネルを空調機器や冷凍機器の熱交換器として冷媒と空気の間の伝熱に利用しようという試みは数十年の間検討され続けて来た。そしてそこに展開された技術が本発明の背景技術の主要部分と言う事ができる。
従来から冷媒と空気の熱交換器にとって重要な前述した三つの要素につき検討がされてきており、その概要を説明する。文献1と2は垂直なフィンを用い偏平なアルミフィンを斜めに傾斜させた構成であるからフィン表面に発生したドレン水が流下し易く、熱交換器から素早く排出するために有効な技術であるが、この方式は他の2要素については課題が残っている。文献3も同じ効果を有する発明であり、ヘッダーを扁平チューブ連結用のリタンベンドとして用いて冷媒制御を最適化している点では優位性があるが、それでも冷媒の流れの最適制御には課題がある。文献4は偏平チューブを連続で蛇行状に連続した構成にしているためチューブの連結部分が無くなりロー付け箇所が減少している利点がある。しかしながら、偏平チューブは水平な配置のためドレン水の排水性に難があると同時に、冷媒回路の最適設計にも課題がある。
文献5は蛇行させた偏平チューブと蛇行フィンであるコルゲートフィンの組み合わせを示している。やはりドレン排水性、冷媒回路の最適化では課題がある。文献6は数種類の冷媒流路面積を持った蛇行偏平チューブをボックス状のコネクタと呼ぶリタンベンドで連結させたもので、ドレン水の排水性には難があるが、冷媒回路最適化には一歩前進している。しかしながらそのためにロー付け箇所が増している。文献7はプレートフィンと蛇行偏平チューブの組み合わせであり、偏平チューブをプレートフィンに設けた長孔に嵌め込ませた構造である。やはりドレン排水性、冷媒回路の最適化、ロー付け箇所増加の課題は残る。文献8は蛇行偏平チューブと蛇行フィンの組み合わせであるが、文献7と同じ課題がある。
文献9と10は垂直に配置した偏平チューブと蛇行フィンの組み合わせであり、ドレン水の排出用に偏平チューブの側面にドレン水落下排出用のガイド溝を設けているが、フィン表面が水平配置になり、生じたドレン水がその上に溜まることは避けられそうに無い。また冷媒回路の最適化の課題は残る。文献11もチューブとフィンは9、10と同様の構成であるが、フィンの一部に傾斜部材を配設してドレン水の排出に工夫しているが十分とは言えないようである。文献12はヘッダーで連結された偏平チューブと蛇行フィンの組み合わせを全体をV字状に成形して設置したもので、冷媒回路構成は最適化が難しく冷媒の安定した流れを実現できない、かつドレン水の排出が完全ではなく、ロー付け箇所が多い事も難点である。
文献13は偏平チューブを使った熱交換器の曲げ成形を可能にする技術が提示されている。熱交換器の配置、取り付けに関して重要な技術である。しかしながらチューブの捻じり成形部分と曲げ成形部分を別々に構成させているからチューブ材料とスペースの損失が多きい。文献14はプレートフィンに挿入した偏平チューブを正しい位置に固定する上で必要な技術を提示しているが実用性に問題があるので詳細は後述する。また文献15はプレートフィンと偏平チューブの固定に関する方式を提示しているがやはり実用上有効とはいえない要素がある。文献16は偏平チューブと蛇行フィン乃至はプレートフィンからなる熱交換器のチューブの構成を工夫して冷媒の回路数などを最適化するための技術を提示している。しかしながらドレン水の排出、チューブロー付け箇所の増加については課題があるし、冷媒の回路についても最適化が十分な方式を提供できているとは言えず課題である。文献17も同様な観点からの技術提案であり、より簡略化したものであるが、同様の課題を持つ。
文献18はプレートフィンと偏平チューブの組み合わせでその接合箇所のロー付けを確実に行うための形状にその狙いがあるがやはり実用性に問題があるようでわる。文献19、20はそのロー付けのためにチューブ外表面にロー材を固着するための技術に関する。特許文献21は特許文献1、2と同様にプレートフィンと組み合わせた偏平チューブに傾斜を持たせるもので、ドレン水の早期排出の効果を狙ったものであるが、ヘッダを利用した冷媒制御は冷媒回路の最適化が難しく、またロー付け箇所が増えてしまうという問題を抱えている。以上特許公報による関連する背景技術について説明した。以上の様な多くの改善、新技術によっても、いまだアルミニウム製の偏平チューブを用いた冷媒用のフィンチューブ熱交換器は一部を除き実用化されていないと言える。以上、本発明の技術分野に於ける現在までの技術検討の経緯と背景を示した。
特開平02−251093号公報 特開平07−91873号公報 特開平08−247678号公報 特開2003−28589号公報 特開平05−322478号公報 特開平03−117860号公報 特開平05−8265号公報 特開2004−108642号公報 特開平07−190661号公報 特開平05−60481号公報 特開平05−61679号公報 特開平06−11280号公報 特開平07−146089号公報 特開平05−60482号公報 特開2003−161589号公報 特開2003−166797号公報 特開2003−222436号公報 特開2001−21279号公報 特開平10−128580号公報 特開平07−174482号公報 実開平03−79058号公報
アルミニウム製の多孔偏平チューブを用いた熱交換器を冷暖房用空調機器の低コスト、安定作動、高性能、小型、高品質な熱交換器として利用するためには以上の技術背景からもいまだ多くの技術的課題が残されている事が知れる。そこで先ずは現在用いられている銅管を用いたフィンチューブ熱交換器をベースとしてその個々の課題を明確化する。
空調機器に適用される法規制は高圧ガスの安全に係わる法律、動力に使われるエネルギーの使用効率に係わる法律(省エネルギー法)、構成部材のリサイクル再利用に係わる法律、冷媒など地球温暖化に係わる使用規制などがある。何れの法規制に於いても熱交換器は極めて大きな影響を持ち、特に冷媒回路を構成する部材を銅からアルミニウムに転換する場合避けて通れない検討課題が存在する。勿論アルミニウム化の最大の狙いはコスト低減であるが、同時に機器の運転時の省エネルギー性の向上と同時に廃棄時点での素材のリサイクルという視点でも大きな影響を持つ。貴重な金属材料資源である熱交換器が全て同じアルミニウムであればそのリサイクル作業の簡略化、それに伴ないリサイクル回収率の向上が期待される。この様な意味からも空調機器の熱交換器の全ての冷媒回路構成部材をアルミニウム化するというのは重要性が高く、また使用する冷媒への規制の影響をまともに受ける点でも最重要課題であり、本発明でも最優先の技術課題に位置付けしている。
熱交換器の中で冷媒は蒸発乃至は凝縮しその体積流量は大きく変わり、その入り口と出口では最大10倍にも変化する。しかも気液2相流のため流速が速ければ混合流となりおそければ気液分離流となる。また最近では空調機器の大半がインバータ制御の回転数可変型の圧縮機を用いており重量流量自体が約5倍に変化する。さらに熱交換器の除霜などの特殊運転も含めて全ての運転状態で安定した流れを実現して其の性能を安定させ、尚且つ回路内の圧縮機用潤滑油の循環を確保する必要がある。このため空調機器用熱交換器の出口と入り口の流路を2倍〜4倍程度に変えた流路面積に設定するのが普通である。他方気体と液体の流れが液体に作用する重力の影響で不安定になることなく、安定して流れるような十分な冷媒流速を確保できる回路構成とすることが重要であり、むやみに多数の並行回路数(パス数と呼ばれる)を設定したり、急な回路数変化を避ける。従って多数本の分岐を一体で行うヘッダー構造は極力回避し、流れの安定化の視点でせいぜい2パスへの分流乃至は2パスからの合流程度の穏やかな流速変化、さらには種々の運転条件下でも安定した流速を維持しつつ全体の流路を構成ができる回路方式を実現できるか否かが課題となる。
熱交換器の回路構成上ロー付けによる接合箇所が生じるのは避けることができない。しかしながら高圧力下で作動され、かつ繰り返し圧力変動や振動が付加され、時により塩分や硫黄分の含んだ空気や雨水に晒される冷凍サイクルの回路の接合箇所には大きな応力負荷、温度負荷、環境負荷が生じる事となる。このような負荷環境でも現行の銅パイプの場合は大気中でのロー付け接合は安定した高い品質、信頼度が得られているから現行のフィンチューブ熱交換器の各U字状チューブを夫々リタンベンドで接続する構造が選択されてきた。また途中で多用される分流、合流部材にも銅パイプのロー付けによる接合部材が使われてきた。アルミニウムチューブのロー付け接合は銅に比べて格段に高い作業管理、品質管理が必要であるし、チューブが円管ではなく偏平な形状である事から、現行の円管の銅管を用いたフィンチューブのような多数のロー付けによって成り立つ構造はさけなければならない。即ちロー付け箇所の減少、ロー付け部構造の簡略化と高いロー付け隙間精度確保、フィンとチューブの間を炉中ブレイジングする際に全てのロー付け箇所を同時にロー付けできる構造、構成などの実現が課題とされる所以である。
ここで用いるアルミチューブは多孔偏平チューブであるから、銅の円管と異なり冷媒回路を構成する上で必要となる曲げ成形加工は大きな制約を受ける。チューブのU字成形加工は偏平方向は容易であるが幅方向は殆ど不可能になる。斜め方向も極めて難しい。従ってU字状偏平チューブの成形、熱交換器全体の曲げ成形などは大きな制約を受ける。またチューブ断面が偏平であることからそこでの出入り口管路の接続、熱交換器の端部でのリターンベンド接続なども従来の円管に比べて新しい且つ製造性とコストなどにおいて最適な構造技術、加工技術、接続技術などの確立が課題となる。
前述した様に、冷媒の蒸発器などの空気冷却器では、その伝熱面の外表面に結露が生じてドレン水となるので、スムースに排出される必要がある。伝熱面が水平で結露した水滴が落下し難い構造、乃至は伝熱面が垂直でもその表面が撥水性であれば水滴は水滴のまま存在し流れ落ち難くなる。この場合には水滴が存在する事自体が空気の流通を阻害するし、伝熱面と空気間の伝熱を阻害する。従って伝熱面は出来る限り垂直状態に近く設置し、且つその表面が親水性に保たれることが極めて重要であり、これを実現できる構造方式を実現出来るか否かが課題となる。以上四つの主要課題につき説明したが、これらの課題を同時に解決する方式、構造が必要であり、それを実現できる総合的な技術を見出すことを前提としている。
熱交換器の伝熱性能はそれを用いた空調機器の性能であるエネルギー効率などに直接的な影響を与える。益々激しくなる空調機器への省エネルギーへの要請とコスト低減への要請は熱交換器の性能の向上なくしては達成できない。従って伝熱特性の向上が達成できる新しい構造と方式が強く求められており、本発明の新しい熱交換器の技術開発についてもこの課題を抜きには進められない。
本発明での最優先の課題は熱交換器のフィンもチューブもその材料をアルミニウムで実現する事であり、これを前提としているから、本発明の各種技術の対象を地表面に対し垂直な配置のアルミニウム製のプレートフィンと空気の流通を阻害せずに冷媒流路面積を確保できるアルミニウム押し出し成形による薄型の多穴式の偏平チューブを用いて技術検討を進める。この偏平チューブを用いることは第1の課題である全材料のアルミニウム化と第5の課題である伝熱性能向上という二つの課題をクリヤーする事に貢献している。特に後者の課題については偏平であることにより空気通風抵抗を減じる事ができて風量を増すことが出来るとともに、幅の広いチューブ形状であるために円管に比べて外周長が長くフィンへの伝熱に優れているという2つの特長が伝熱特性向上に優れた効果を持っているからである。 何故この様な偏平チューブを用いることを前提として前述してきた5つの課題全体がクリヤーできる事になるのかについては以下の各種技術の説明で触れていく。最も初期の形の連続する偏平チューブとコルゲートフィンを用いた熱交換器の一例は特許文献5に見る事が出来るし、本発明の技術構想のスタートポイントである熱交換器は文献4に見る事が出来ると言えるかも知れない。プレートフィンに設けたスリットに蛇行状の連続する偏平チューブを横から挿入した構造の熱交換器が特許文献4に見られる。またその変則な方式が特許文献7に見られる。
本発明はこの方式をベースとしてドレンの排水性、冷媒回路の最適設定可能化を主体とした各種新技術を適用させて、冷媒用の熱交換器として完成させたものと見る事も出来るかもしれない。
請求項1はチューブ形状に関するもので、課題5の性能の向上と課題2の冷媒回路の最適化に効果ある発明である。課題2で説明した通り、冷媒回路はその冷媒の気液率の変化に伴ない流路面積を変化させる事が求められる。凝縮器では入り口が100%ガス状態で出口は100%液状態となり、蒸発器では入り口が80重量%程度が液状態で出口は100%ガス状態となる。このため体積流量が流路に沿って大きく変化する。この冷媒の流れに対応した最適な断面積で伝熱面積の管路を提供することが性能確保などに重要であるからである。従来も文献にスリット厚さを変えずに特許文献6にあるように幅の違うチューブを単純に連結する方式が提案されている。
しかしながらこの方式では少なくとも幅を変えるところで連結部材が必要でその分ロー付け箇所が増大し、ロー付け作業によるコストアップになるとともに、段階的な流路面積の調整が出来るのみで、任意のポイントで最適な流路断面積を提供するという目的に対しては不十分であると言わざるを得ない。プレートフィンを用いた本発明の場合ではスリット状切り欠きとそこに挿入される偏平チューブの組み合わせが前提となる。そこで請求項1はチューブを厚さを変えずに長さ方向に沿って任意の幅寸法に絞り加工により成形したチューブを用いて繰り返しU字状に成形することによりその実現を図ろうとする発明である。アルミニウムの押し出し成形により精度の高い一定の厚さ寸法と幅寸法で多穴式の偏平チューブを成形する。さらにこれを用いて厚さ方向は変えずに幅方向のみを連続的に縮小した偏平チューブに加工する事により幅寸法を最適に設定した一本の偏平チューブを得る事が出来る。これを繰り返しU字状に成形することにより連続した且つ最適な流路断面積を持つ偏平チューブ組み立てを得る事が出来る。これは別の表現をすれば一定のスリット状切り欠き形状を持ったフィンに変化する任意の断面積をもったチューブを挿入できることになるわけで、この技術が種々な運転条件で常に最適な冷媒回路の提供を実現できるための基本技術の一つとなる。
この様にして得られた偏平チューブは扁平厚さは同一であるためフィンの一定高さのスリット状の切り欠きにピッタリと収めてブレージングにより接合が可能である利点を有したまま、冷媒流路面積を適宜変える事ができるため、種々仕様の異なる各種の機種に対して最適な冷媒流路を設定、選択する事ができる様に構成できるものである。実際のチューブの製造工程では偏平チューブのアルミ押し出し成形に後続する工程で幅寸法を縮小させるための絞り及び引き抜き加工を追加することにより当該アルミニウム製幅縮小偏平チューブを製作する事ができる。このためにはあらかじめ設定された数値制御で引き抜きマシンを制御して加工するための新しい製造技術が必要であるが、ここでは詳細は省略する。
現行使われているフィンチューブ熱交換器は銅の円チューブをフィンに設けた丸穴に挿入した後に円チューブをその内側からポンチ挿入により拡管加工してチューブ外周とフィンとを密着、固定させる。この時にはフィンに設ける丸穴はバーリング部を残して切断、破棄される。従ってこの破棄されたフィンは集められてリサイクルされる。本発明のフィンチューブ方式は上記の丸穴に相当する部分はスリット状であり請求項2ではこの切断して破棄されるべきスリット状切り欠きの部分を切断せずに残したまま放熱フィンとして利用し、熱交換器の伝熱特性を向上させようとする発明である。簡単に思いつく方法はスリット形状の周囲端部でスリットに相当するフィン部材を切断せずに折り返して隣接するフィンに挟まれた状態で小さなフィン片として伝熱に利用するものである。他の方法の一つは後に示す実施形態で明示するが、切断せずに、スリット部分のフィン材料を2つのスリット状切り欠きの間のベロ状に残されるフィン部分へと引き寄せて、それを成形用部材として利用してそこにビード乃至は波型乃至は切り起こし部分を成形することにより性能向上に寄与させる。この材料を引き寄せた成形の結果としてスリット状の穴を形成するようにするものである。
熱交換器のフィン部分は、空気との伝熱特性を向上させるため空気の流れと直角にルーバと呼ばれる切り起こし条を幾本と設けることが通常行われる。このルーバ切り起こし条はアルミフィンの延性を利用して引き伸ばし加工する場合にはその成形形状に制約があるし、材料が薄肉化するため伝熱性能の劣化が生じる。本発明では成形の為のフィン材料を隣接するスリット部分からアルミフィン材を引き寄せて利用して成形する事により同じフィン厚さのまま沢山のルーバ条を設ける事ができ、また伝熱の促進に最適なルーバ条の形状、乃至は波型形状を得る事ができるわけである。結果としてスリット状切り欠き部分のフィン材料は切り捨てることなくベロ状部分の伝熱面積増加に利用される事となり、熱交換器としての伝熱特性向上に寄与できる事となる。具体的な形状と加工方法は実施形態の説明で提示する事としたい。
本発明の偏平チューブをフィンに設けたスリット状切り欠きに挿入して正しい位置に設定する工程は製造技術上、幾つかの課題がある。先ず、蛇行状に加工したU字状偏平チューブをフィン組み立てのスリットに挿入する際には偏平チューブ挿入先端の全ての箇所を一度に挿入する必要がある。一方フィン組み立てもチューブ組み立ても完全な剛体でなく前作業工程その他での微細な変形が生じているのが普通である。従って挿入の際の相互位置ずれに関し相互の隙間に若干の余裕度を設けて置くのがスムースな且つ高い品質の製造には有効である。またU字状偏平チューブの挿入先端の形状はフィンのスリット状切り欠きの最奥部分の形状と隙間無く合わさって、ブレイジングの工程でしっかりとロー付け接合される事が重要である。
請求項3はこの点を考慮した発明で、U字状偏平チューブの挿入先端となる側端面が半円に近い円筒形状で、且つスリット状切り欠きの高さ寸法と偏平チューブの直管部の外形厚さが挿入する際には相互に隙間があり、挿入完了の際にはしっかりと相互に密着されることが必要である。従ってこの条件を満たす為に該スリット高さ及び該チューブ厚さが挿入方向に尖ったV字状に設定することが有効となる。挿入先端側に近い部分の夫々の高さと厚さを若干小さくした形状は、偏平チューブの外周を空気が流れるという視点で見れば流線型の翼型に似た効果をもたらし、風量の増加に繋がる効果も生じる。しかしながら偏平チューブの挿入先端は尖らせるのではなく半円筒形とする。この形状はチューブの挿入先端がフィンのスリット挿入時点のガイド効果も有するし、チューブの表面を流れる結露水をスムースに下に落とす効果という点でも重要である。
フィンにスリット状切り欠きを成形すると該切り欠きの間にベロ状に残されたフィン部が生じる。フィンの製造取り扱い作業時に容易に折れ曲がり変形してしまう事を如何に防止するか? また、スリット状切り欠きの最奥部根元にはフィン全体を上下に連なる部分が生じるが、この部分の強度についても同様の製造管理上の問題点がある。請求項4ではこの2つのモードの折れ曲がり強度を強くする為に2つの形状的な施策を提示している。
一つはスリット状切り欠きの端面に直角な折り曲げ部を設ける事である。上記2つのモードの折れ曲がりに対する強度はこの折れ曲がり部の高さ寸法が大きいほど強化されるが、一方ではこの寸法を高くする事には課題がある。
即ち直線部分では無く円形部分に折れ曲がりを加工するには、其の形状から当然知れる通りその折れ曲がり部分のアルミフィン部材を引き延ばしながら折り曲げる加工が必要であり、折れ曲がり部分の寸法を高くするとその引き延ばしに耐えられなくなりフィン割れが発生しやすくなる。通常、0.1mm程度の厚さのフィン材で半径3.0mmの円弧部分に折り曲げを形成する場合0.5mm程度の折り曲げ寸法が限界と想定され、それ以上の高い寸法を折り曲げる時はシゴキ加工を平行させてフィン材を薄肉化させながら引き延ばしつつ折り曲げるという加工方法が必要に成る。この場合シゴキ加工のための加工型は極めて高い精度かつ硬度の高い材質が必要に成る。しかもシゴキ加工により成形した折れ曲がり部が薄肉の場合では亀裂が入りやすく、目的とするフィン全体の折れ曲がり強度の補強には寄与できない。
特許文献15にはこのプレートフィンのカラー部分にV字状の切り込みを入れた形状のものが示されているが、これは高いカラー高さを成形するため成形割れが発生してしまうため予め切り込みを設けたものであるが、本発明ではこの方式は採用できない。特許文献15ではカラー部分に使われているフィン材料は、本発明では請求項2に示すように伝熱するフィン材として活用する事を前提としている事からカラー高さは極力少なくなるように設定している。またスリット状切り欠きの最奥部の半円状部分の折り曲げ部はフィンの折れ曲がり強度の補強として最大限の効果を有するべく成形割れの生じ無いような形状と折り曲げ寸法を設定している。このため、隣接するフィン間のピッチが1.5〜2.0mm程度であるのに対し、折れ曲がりカラー部分の折り曲げ寸法はそれ以下の0.5mm程度に設定することになる。この寸法は成形割れが無く且つフィンの折れ曲がり強度の補強として有効な寸法のバランスで設定される。
しかしながらこの寸法のカラー部分の折り曲げのみではフィン全体の折れ曲がり強度の補強には不十分である。そこで請求項4では、この折れ曲がり部分の成形と同時に、フィン自体に山形のビードを設ける事を提示したものである。フィンのベロ状部分の根元付近での折れ曲がりとスリット状切り欠きの根元を構成し垂直に連なるプレートフィンの該根元での折れ曲がりの双方向の折れ曲がりに対する強度アップには2方向のビードが必要でそれに適する位置、方向が重要であり、詳細は実施例で説明するが、一方は垂直方向、他方は水平方向に近い方向となる。このビードと前述したスリット状切り欠きの端面の折り曲げが相まって十分な折れ曲がり防止強度を持たせるという発明である。
フィンチューブ熱交換器の隣接するフィン同士のフィンピッチを精度良く保った状態で熱交換器を製作するためには通常フィンピッチ調整用の突起をフィンに設ける事が行われる。空調機器で現在通常使われる銅の円チューブを用いたアルミフィンチューブの場合は該フィンの銅チューブが貫通する丸穴の端面周囲の折返し立ち上げ部分(バーリング部分)の先端をリフレアして外周に僅かに折り返し、その折り返し面を隣接するフィンの立ち上げの根元に当接させることにより立ち上げ高さに相当するフィンピッチを設定する方法が採られている。本発明では偏平チューブをフィン側面から挿入するための片面が開いたスリット状切り欠きであるため、仮にその切り欠き端面を立ち上げてバーリングし、リフレアを形成しても前述の円形状のバーリングの場合と異なりうまく作用しない。
その一つは隣接するフィン同士の重ね合わせ位置がずれている場合に両サイドが欠けた状態のバーリング形状のため相互が引っかかって相互のフィンの位置あわせがスムースにできない事が多く、組み立て性に大きな問題となる。本発明の方式では台形に切り起こしたブリッジ状ルーバの先端を隣り合うフィンの同様のルーバの根元に当接してフィンピッチを保つものである。このルーバの高さは伝熱促進用の多くのルーバがフィンピッチの半分程度であるのに対し、フィンピッチの高さに相当する高さが必要であり、かつ通常はその成形にはしごき成形を行わなければならず、型成形性に難がある。しかしながら請求項2で示した技術と組み合わせることにより通常の型成形で十分にその高さを出す事が可能となる。請求項5の発明はこのブリッジ状ルーバを前記のベロ状のフィン部分と上下に連結するフィン部分の両方の位置に設ける事を提示するものであり、ベロ状部分では前述した様にフィン材料をスリット状切り欠き部分から引き寄せながら、上下に連結するフィン部分では周囲に絞り成形の無いところを選んで周囲から矢張り材料を引き寄せつつしごき成形することによりフィンピッチに相当する高さを成形する事ができる。これによりフィン全体が隣接フィンと正しいフィンピッチを構成する事が出来るようにする事である。
偏平チューブは厚さが薄い事からそれをうまく活用して熱交換器を構成すれば、空気が流れる通風路を邪魔する割合が少なくてすみ、その結果通風抵抗が小さく風量の低下量が少なく、結果として伝熱性能が高いものが得られる事が利点の一つである。その反面外表面に発生したドレン水や霜がその外面の平坦面上に留まる量が増えて伝熱性能を低下させてしまうという欠点がある。そこで文献1、2、3にはこのチューブを傾斜させてドレン水や霜が落下し易くする技術発明が提示されており、この欠点を打開する策として有効である。しかしながら文献1、2、3ではチューブを傾斜させるが故にチューブの接続はヘッダーなど冷媒の流れの制御に極めて適さない構造をとらざるを得ない事を示している。ヘッダーによる連結部では流路は著しく拡大縮小され、冷媒の液とガスが分離してしまい、液貯め状態になったり、圧縮機用の潤滑油が貯留されてしまって圧縮機の潤滑不良が発生したりする。
流路が急拡大、急縮小して流動抵抗が生じたりするばかりでなく、冷媒の流れが安定しない原因となり勝ちである。従って前述したように種々の運転モードの中で冷媒の流れの制御がうまくいかない場合が生じる。また冷媒流路のロー付け箇所が多くなり且つロー付け箇所の形状が複雑で製造不良、コストアップが生じやすい。こういった基本的な課題が全く解消されず、冷媒を用いた冷凍サイクルの熱交換器として実用化されていないのはこの点が解決されない為である。そこでドレン水の除去されやすいプレートフィンを設け、通風特性に優れた連続する偏平チューブを用いて尚且つ扁平チューブを傾斜してフィンに取り付ける事を可能にする理想的な技術を発明したもので、それを実現する技術を請求項6に示した。直管部分を傾斜させた偏平チューブを形成する方法は種々あるがその方法はここでは特定しない。
プレートフィンに傾斜するスリット状の切り欠きを設け、そこに傾斜させたチューブを挿入し、熱交換器をプレートフィンが垂直の状態で設置したときにチューブ平坦面が水平面に対し傾斜するように構成したものである。通常はこの傾斜はチューブを挿入する側面からから下り方向に設ける。そのほうがチューブからフィンを伝って下まで流れる表面のドレン水の流れが良いからである。熱交換器を傾斜させて取り付ける場合はさておき、装置の四角いユニット形状に合わせて熱交換器を垂直に設置することは多く、その場合にドレン水はチューブ平坦部の表面を伝わり、傾斜したチューブ上面を斜めに流れチューブ端部でその先のプレートフィンに伝わり落下する。極めてドレン水の流れの良い、表面に滞留するドレン水量の少ない良好な流れの状態が実現できる。低温度条件の作動でドレン水が凍結する場合にもこの特性が霜の付着量の少ない且つ除霜運転における霜の解けた後の水滴の除去に効果を発揮する。この結果冷房運転の冷却特性ばかりでなく、暖房運転の低温度の屋外空気との伝熱にも高い効率で作動させる事が出来る。チューブを逆方向に挿入側から上り方向に傾斜させることも勿論可能であるが、チューブの最下端でフィンが上下に連続していないから、滞留するドレン水量が増えるのでこの方式は採用されない。チューブの最下端でその先に垂直なフィン部分がある方が水滴は伝わり落ち易く、ドレン水の滞留量は少なくなるのである。
請求項7はこの傾斜チューブのフィンチューブ熱交換器を製造する為の具体的な方式を提示している。即ちU字状偏平チューブ組み立ての状態でU字曲げ部を固定して、それ以外の直管部を一体で捻じり回転させる事により傾斜させた状態に成形し、それを傾斜したスリットを設けたプレートフィン組み立てに挿入するという具体的な方法を示している。
偏平チューブの直管部分を回転しない様に固定しておいて、偏平チューブの直管部同志をチューブ平坦面の幅方向に所定長さ相対的に移動させても同様な結果を得る事ができる。この技術が冷媒回路に適した蛇行状に成形した連続する偏平チューブを用いてドレン水の排出に優れた熱交換器を構成するためのコア技術の一つである。他方、偏平チューブを用いた熱交換器で外表面のドレン水の排出落下のための技術を提供するものは特許文献9、10、11等、水の排水落下に適した細部形状を工夫したものと、特許文献12に示す様に熱交換器自体を傾斜取り付けした事例がある。しかしながらいずれも本発明で提示するところの垂直なプレートフィンを用いて傾斜偏平チューブを組み合わせた構造の熱交換器の外表面の排水特性に比較してその特性は著しく劣り、外表面に残留する水滴、その結果生じるゴミ、埃の堆積という点で採用できるレベルにないと言える。
請求項7の方式に請求項1の幅寸法を途中で変化させた偏平チューブを利用することにより本発明の根幹を成す熱交換器方式は完成する。請求項8に示したこの方式は冷媒回路の流速などの制御の自由度が大きく前進し、これにより一つの熱交換器内の冷媒回路数は少ない回路数で設定する事が可能になり、家庭用の小型のエアコンでは連続の偏平チューブ組み立て1つ乃至は2〜4つを組み合わせて連結した回路で熱交換器を構成できる可能性は高い。この事は冷媒回路の連結乃至は分流のための複雑な回路構成とロー付け箇所の削減ができる事につながり、冷媒流路の最適な設定により空調装置での安定した冷凍サイクルの実現とコストの低減に著しく貢献する事が期待される。同時にドレン水の排水特性の向上が実現され、冷媒を用いた空調機器用熱交換器に求められる基本特性は理想的なものが実現できるわけである。
偏平チューブの外表面とプレートフィンのスリット状切り欠き側の端面の接合はチューブの表面に特許文献19、20に示されるようなロー付け材料を表面に施した偏平チューブを用いて還元ガス雰囲気にある高温度炉で炉中ロー付けを行う。ロー付け前とロー付け時にその外表面と切り欠き端面の密着性が確実に保たれている事がロー付けの強度と伝熱特性確保の上で重要である。そのための技術として請求項3に示した様に、偏平チューブのスリット状切り欠き溝に挿入する先端の側端面形状が大略半円筒状で且つスリットの高さ寸法及び該寸法に相応する偏平チューブの厚さ寸法が挿入側先端から挿入後端に向けて徐々に拡大する部分を有する形状とした事は有効であるが請求項9、10ではさらにそれを確実にする技術を示している。
請求項9は偏平チューブが必ずスリット状切り欠き溝の最も奥部まで挿入される事を実現しようとするもので、偏平チューブの挿入先端の近傍の上面乃至は下面ないしは両面にチューブ長さ方向全長に渡って窪みを設け、フィンのスリット状切り欠きにおける前記窪みと相対する位置に前記窪みと嵌め合う形状の凸部を設け、それらが嵌まりあう事により偏平チューブが前記スリットの最奥部に挿入された状態で係止するようにする事によりそれを確実に実現するものである。 これに類似する技術は特許文献14に記載されているが、この方法は偏平チューブの挿入の後端を押さえる為にスリット状切り欠きに抜け止め防止用の突出部を設けたもので、狙いは請求項9の技術と近似している。
しかしながら特許文献14の技術では本発明に係わる場合には重要な問題を解決できない事がわかっている。その一つは偏平チューブの幅寸法を変更した場合に抜け止め防止位置も合わせて変更する必要があり、従って請求項1のように直管部の途中で偏平チューブ幅を変える場合には各フィン毎にその位置を合わせて凸部位置を設けることが必要で、実際上、種々なチューブ幅を任意に選択する場合への対応は不可能である。さらに偏平チューブの挿入過程で全偏平チューブ幅に渡ってこの抜け止め防止用突出部を押しのけながら挿入する必要がありチューブ外表面に傷が生じ、さらにはこの突出部が変形乃至は削られてしまうなどで機能を発揮できなくなる可能性が生じる。さらにはプレートフィンのスリット状切り欠きの高さ寸法が開いてしまう等の小さな変形がこの突出部の位置決め精度を劣化させ、効果ないものにしてしまう恐れも大きい。請求項9に示した技術はこれ等の課題の全てを解消する為に発明されたものであり、最奥部に係止のための嵌め合わせ機構を設けたから、偏平チューブを切り欠き部の最奥部に精確に係止する効果を確実に有する。
チューブとフィンの接触を強める為の3番目の技術は請求項10に示した。偏平チューブを挿入完了した時に偏平チューブの外表面の平坦面に当接するフィンの端面がチューブを押し圧する状態で隙間なく密着させる事は、後工程となるロー付けが十分な精度と強度で行われるための重要な条件となるため、この押し圧する技術を提示したものである。2つのスリット状切り欠きの間のベロ状のフィンに於いて、該フィンとそこを流れる空気との伝熱を促進するためにフィンを波板状成形乃至はブリッジ状の切り起こしルーバ条を隙間なく成形する等によりスリット状切り欠きのフィンのスリット状切り欠き端面に直角の方向に弾力性を持たせ、且つスリット状切り欠きの高さが挿入完了後におけるU字状偏平チューブの対応する部分のチューブの厚さより僅かに小さな寸法に設定する。これにより偏平チューブはフィン端面を押し開きながら挿入され、フィン端面がチューブの平坦面を押し圧した状態で挿入完了させるものである。
この波板状成形乃至はブリッジ状の切り起こしルーバ条の成形に請求項2で示した技術が活かされる。波板状の成形やルーバ条の成形を行うとその周囲から必要なフィン材が寄せ集められてその形状が構成される事となる。従ってスリット状切り欠きの部分のフィン材は寄せ集められ、切り欠き穴を最終の形状へと拡大しながら波板状やルーバ条が形成される。この時スリット部分に直角な面で2つのスリット状切り欠きの間のフィンの形状を切断して見ると波型か、または凸凹の連続した形状になっている。従ってこの切断方向にフィンは伸縮バネ効果を有することが出来るから、その分前述した寸法差に基づいてチューブを押し圧することが可能となるわけである。このフィンの成形が完了した状態で請求項4に示すようにその切り欠き穴部分の端面を折り曲げる事により精度の良い設計通りのスリット状切り欠き部の形状を形成できると同時に、前記折り曲げ部でチューブの平坦面を押し圧し、折り曲げ部とチューブ外表面が密着した状態でチューブは挿入されロー付けされるから、十分な強度と伝熱性能の熱交換器が構成できるわけである。
偏平チューブとフィンを用いた熱交換器において表面のドレン水をスムースに落下排出させる方法の一つは熱交換器自体を傾斜させて取り付ける事である。その代表事例は特許文献12に見られる。この事例ではチューブを垂直にし、チューブの間に配設されたコルゲートフィンからのドレン水を落下させやすいように熱交換器を傾斜させたものである。傾斜設置によりドレン水の落下は大幅に改善されているが、やはり垂直なプレートフィンを伝って落下させる方式と比較するとその排水性はいまだ不十分であり、各コルゲートフィンの下方の端面部分にはドレン水が水滴となって保持される事は避けられない。
本発明の熱交換器の基本形態であるところの垂直なプレートフィンに偏平チューブを挿入した構造のフィンチューブ熱交換器1、2、3、4、5、6、7、8に於いて偏平チューブの挿入方向先端が後端より低くなるように熱交換器と偏平チューブを傾斜させて設置された熱交換器に置いては、フィンやチューブの外表面に発生したドレン水滴は各偏平チューブの挿入先端の側端面に集まり、そこからプレートフィンの上下に連続する部分を伝って落下する事となり、極めてスムースな水摘の移動落下が実現出来る。この場合偏平チューブがフィンに対し傾斜無しに挿入されている場合にも、熱交換器を傾斜して設置させることにより生じる偏平チューブの平坦面の傾斜がドレン水排水促進効果を生じさせる。
請求項6、7、8の様に偏平チューブ自体がフィンに対し既に傾斜している場合にも、その絶対傾斜角度は熱交換器の設置傾斜角度がプラスされて急角度になり、ドレン水の落下排水を促す効果が期待できる。従ってこの場合、熱交換器の設置の傾斜角度と偏平チューブの傾斜角度が相殺する方向になら無いように注意が必要である。この状態で偏平チューブが空気の流れを邪魔しないで調和した配置となるように設置する事で装置全体の性能を最高度に高める結果を得る事が出来るわけである。
請求項1に示した偏平チューブは熱交換器全体を一本の乃至はなるべく少ない本数で全てのチューブを賄うことを目標として発明されたものである。たとえば凝縮器では50℃の高圧ガスが凝縮して液化し、その体積流量は急速に低下するからチューブの流路断面積を小さくして冷媒流速を高めて熱の伝達効率を維持する事が必要である。また冷媒の液の比率が高まり冷媒管路に液冷媒が滞留して伝熱を阻害する事を防ぐと同時に冷媒回路内の総冷媒量が多くなるのを防ぐ必要がある。それは冷媒封入量の増加がコスト増になるばかりでなく、圧縮機潤滑油の濃度を薄めて圧縮機の潤滑を阻害し、圧縮機が焼きつき不良を起こす原因になりやすく、且つ又冷媒自体が環境安全阻害の要因にもなるからである。
従って請求項1に示した流路断面積を変える事の出来るチューブが必要となるわけである。しかしながらこのチューブの製造方法は一定幅のチューブを用いて行う絞り加工であり、その加工制約から断面積を二分の一以下の大きな比率に絞る事は難しい。絞り加工によりチューブの断面の流路形状が単純比例で相似形状に絞られるのではなく、絞り加工によりチューブを構成する外壁面や内部の仕切り壁面が肉厚化しコスト低減が進まない乃至は適正で平準化した肉厚が得られないなどの問題があるからである。そこで実際には2本乃至は4本以上の偏平チューブで幅の異なったものを連結して全体の冷媒回路断面流路の絞り率を高める方法が有効である。偏平チューブ同志を接続する最も簡単で有効な方法は2つの偏平チューブ端部を接続用の外装チューブの両側から挿入して互いに突き合わせた状態でロー付けする方法である。これを熱交換器の側端部の外側でU字状になるようにすれば所謂偏平チューブ用のリタンベンドと称される単一連結方式が提供できる。
この方法と全く違う連結方式として請求項13には偏平チューブを連結する為の連結パイプについての技術を提示している。従来、隣接する多数本の偏平チューブを連結する場合、連結管として管径の大きな所謂ヘッダーと通称されるものが使われる事が多く、特許文献1、2、3、6、12、13、16、17、18及び特許文献21にはその事例が示されている。偏平チューブのチューブ幅が納まるだけの太い管径のヘッダーが使われている。この方式は水のような単一液体の場合は問題無いが、気液冷媒と潤滑油を対象にしたものには使用できないのは既に説明した。 一方、特許文献4、5には蛇行偏平チューブの出入り口の接続管として扁平管の偏平厚さより若干太い円管を用いた事例が示されている。この方法を応用して連結管とすれば、扁平管と接続する接続管としては細くかつそれを曲げ形成することにより必要な管路構成が比較的自由に構成できることはができるわけで、前述した様な突き合わせ方式の単純連結では難しいチューブ同志、例えば離れたチューブ同志の連結などには有効な方式である。
請求項13はこの出入り口管として使われている特許文献4、5に示される偏平チューブ出入り口管の技術を応用し2つの偏平チューブを接続しようとするものである。隣接する2つの偏平チューブの端部が平行状態の配置である事が本発明の構造的特徴であるから、隣接する2つの偏平チューブをこの出入り口管の方式で連結するにはほぼ平面上でU字状乃至はコの字状に曲げ成形した形状の円管、楕円管乃至は角柱管を連結管として用いる事が有効でありこれが請求項13の発明である。連結管の断面形状の種類は製造設備乃至はコスト的要因で選択される。
請求項13の方式によれば、偏平チューブの幅より太い直径のヘッダーを用いたものや偏平チューブ自体をU字状にしたリタンベンドを用いた方式に比較してはるかに簡単な構造でコンパクトで使用材料の少ないかつ種々方式に対して標準化設計し易い連結管乃至は隣接チューブ間の連結用リタンベンドを得る事ができる。特に本発明の根幹技術である所の請求項6、7、8に示すような傾斜に配置された偏平チューブに対しても、また実施例で示すような少し離れた位置にある扁平チューブの場合でもその偏平チューブ端面の位置と形状をなぞったように合わせて連結管を平面上に成形し、その連結管側面に偏平チューブ端面の位置と形状に合わせて必要な数の偏平チューブ挿入口を設けることで対応できる。このように、この方式はどの様は偏平チューブの配置、端面形状、多数本数に対しても適用できるという利点がある。
さらには、リタンベンドとしての連結管をベースにして、その一端を延長乃至は他の管路に連結することにより請求項13に示した連結管は2回路の偏平チューブへの分流器乃至は2回路の偏平チューブからの合流器へと展開させる事ができる。これらの連結管は熱交換器への入り口回路及び出口回路の管路と同一の管乃至は同一方式の管を用い、かつ偏平チューブとの個々の接続方式は変わらないので、設計上、部品製造上、熱交換器製造上で統一した標準化を図る事ができるという大きな利点を持っている。この様にコンパクトで応用性の広い連結管方式であるが、これを確立するためには細部の技術として偏平チューブの先端を連結管の側面に設けた偏平チューブの断面形状に合わせた挿入口に挿入する場合の挿入代の設定即ち挿入長さの決め方に注意が必要である。
内部を流動する冷媒に対し流れの抵抗にならずに且つ偏平チューブの内側に仕切られた幾つかの流路の夫々に適正な冷媒量を供給し気液を適正に分配を行うには連結管と偏平チューブ内の各流路とをどの様に連結させるか、その構造と細部形状が適正でなければならない。このためには連結管の流路断面積が適正であり、またそれに関連して偏平チューブ先端の連結管への挿入長さと先端形状が適切である事が重要である。必要により偏平チューブ内の各流路毎にその挿入長さを変える方法が選択される。即ち流れの上流即ち内側の流れでは挿入長さは短く、最下流即ち外側の流れでは挿入長さを長くし、これにより偏平チューブ内の各流路への均等な流量を実現する事ができるようになる。分流器の場合も上流の偏平チューブの挿入長さは短くし、下流の偏平チューブの挿入長さを長くし、各偏平チューブへの流量の適正化を実現する方法が取られる。
偏平チューブの幅はプレートフィンのスリット状切り欠きの長さと同程度から短いものまで広範囲に選択される。幅の広いチューブは流量が多いガス、小さなチューブは流量の少ない液体に適している。凝縮器では冷媒の出口近傍では液冷媒となるから幅の少ないチューブが用いられる。このチューブ幅がスリット状切り欠きの長さの半分以下の場合には2つの偏平チューブを一つの切り欠き溝に挿入することが可能でありこの技術を請求項15に提示した。そこで冷却空気の流入側に凝縮器出口の温度低下した液冷媒を流すチューブを設置してさらに液を冷却し、空気の流出側に凝縮器の出口から少し上流で若干のガスを含んだ状態の冷媒を流す偏平チューブを設置し、若干温度上昇した冷却空気でその冷媒を冷却する構造にすれば最適な熱交換の構図を実現する事ができる。
即ち温度の低い入り口空気を利用して出口冷媒液を十分冷却し、さらにその空気をガス冷媒の凝縮に再利用して、空気の排出温度を十分に上昇させる事が可能になるからである。現在使われている銅管とプレートフィンを組み合わせたフィンチューブ熱交換器ではその管の列数を2列乃至は3列にしてこれと同等な効果を生じさせる事は良く行われる。しかしながら本発明の偏平チューブを用いたフィンチューブに於いても同様な効果を実現できるためには幅寸法の異なる偏平チューブの実現、請求項1に示した幅を変化させたチューブの実現、さらには請求項13に示した幅の異なる偏平チューブ同士でも簡単な構造で連結できる技術の実現などが欠かせない。
熱交換器を空気調和器に設置する場合、屋外ユニットにおいてはプレートフィンを垂直に、冷媒管を水平にして全体をL字状に成形して配置する事が多い。その理由は一つのユニットに組み込む送風機と圧縮機との位置関係を考慮し、開放する2側面に熱交換器を配置し、一側面に送風機を、残った一側面に圧縮機と電気制御装置を配置する事が多いためである。従来の銅の円管を用いたフィンチューブ熱交換器の場合は銅管にプレートフィンを付けたまま全体が円弧状になるように銅管を曲げ成形して熱交換器をL字状に成形する。このやり方は、本発明の基本構造である偏平チューブをその平坦面を水平に配置した場合には偏平チューブの幅方向に曲げ成形することになり、特許文献12の大能力空調機器に見られるような大きな円弧を必要とするから、この様な大きな弧の曲げ成形は小型エアコン等の熱交換器に見られるL字曲げと程遠い形状になり、2側面に熱交換器を配置するという目的を有効に果たす事ができない。
特許文献13にはその解決の為の一つの技術が提示されている。それによれば偏平チューブの当該部分の平坦部分を水平状態から垂直状態に予め成形し、文献では曲がり部と称しているその垂直部分で熱交換器の曲げ成形を行うものである。このため水平状態から垂直状態に捻じり成形する部分として一定のチューブ長さを使用する方法である。これによれば完全な垂直な平坦部分をその2つのねじれ部分の間に持つ事ができ、そこにおいて熱交換器をL字状乃至はU字状に曲げ成形するのは容易であるが、チューブの相当の長さをねじれ部分と曲がり部分と称している垂直部分として使用する必要があり、それはその区間は伝熱用のフィンの無い裸のチューブのみの部分であり、熱交換器としては大きな無駄領域と無駄材料を発生させるという民生用機器として採用し難い問題を含んでいる。
請求項16、17、18はこの無駄が生じないようにして熱交換器の曲げ成形を小さな円弧で行う事ができる技術を提示している。請求項16で分るとおり偏平チューブとプレートフィンは既に炉中ロー付けでしっかりと相互に固定された状態で行うもので、チューブの捻じり成形と熱交換器全体の曲げ成形を同時に行い対象区間のチューブ各部の複雑な変形により成形する方法である。 その対象チューブ部分には勿論プレートフィンは取り除いてあり、チューブはむき出し状態である。実施例でその成形加工の内容は詳しく説明するが、チューブの内側端部は曲げられながら外側に広げられ、チューブの外側端部は内側の最短距離の軌道に近付くように曲げられる、即ち曲げ成形される各チューブの所定部分を冶具により所定方向に捻りながら行われる。同時に熱交換器全体をL字状に曲げる力を与えながら所定部分のチューブを上記形状に曲げて熱交換器全体をL字状に成形していく。
請求項17で示すとおり請求項6の様に偏平チューブが傾斜している場合にはこのL字状に曲げる成形は水平のばあいよりも容易である。チューブがもう既にその傾斜角度だけ捻られているとみなす事が出来るからである。さらに仕上げの工程に向けて熱交換器をL字状に曲げる成形とチューブを捻る成形は進められる。最終段階で請求項18で示すようにL字状に曲げる部分の全ての偏平チューブを内側と外側から成形完了でのチューブの形を規制する型を利用し、その型を締め付けながら熱交換器として例えば最終のL字状形状に曲げられた状態でのチューブの形状になるように成形が完成する。このためにはより細部を説明すると、成形初期にはチューブを捻じり成形させる型冶具を用い、終盤にはチューブが均一ななだらかな円弧のつながりで成形を完了させる事ができるような冶具を用いる。
熱交換器の曲げ成形は上記の様にチューブを曲げる方向だけではなく、フィンに垂直な方向が必要な場合があり、この場合はフィンを切断しておいてから曲げ成形を行うこととなる。例えば、2つのスリット状切り欠きの丁度中間部においてフィンの幅方向の大部分を切断する様にに設けられた切断ラインを切断されていない部分扇の要としてV字状に開く事により曲げ成形がなされる。
現在の空気調和機器に用いられる熱交換器にはアルミニウムフィンと銅チューブの組み合わせのものが大半である。本発明により銅チューブをアルミニウム製の偏平チューブに置き換えて使用するために打開すべき多くの課題を解消する事ができた。これにより現在大量に用いられている貴重な金属資源である銅を使わずにアルミニウムに代替する事が可能になり地球資源問題に貢献する事が出来る。同時に材料の代替により熱交換器の素材コストを大幅に低減する事ができ、空調機器の低コスト化に貢献する事ができる。また空調機器の廃棄リサイクルにおいても熱交換器の金属資源の再利用の観点から見ても従来はアルミニウムと銅を機械的に分離する大変な作業が必要であったが、全てアルミニウム材料でできた熱交換器の実現により作業が不要になるばかりでなく再利用向上、歩留まり率の低減にも大きく貢献できるものである。
オールアルミ熱交換器を実現するための各種の技術課題が解消又は改善できた。その一つが冷媒回路となるチューブの新しい構成である。相変化を生じる冷媒用の熱交換器の冷媒回路として流路断面積を変化させる事ができる偏平チューブの実現採用、連続蛇行し且つ平坦面を傾斜させた偏平チューブの実現、偏平チューブ用リターンベンドや分流器の実現、偏平チューブを捻じり及び曲げ成形する事による熱交換器全体をコンパクトな形でL字成形するなどの新技術が偏平アルミチューブの採用を可能にした。一方ここでは説明を省略するがこれに関係してプレートフィンに関連する部分についても幾つかの重要技術を提示した。
此処に提示したこれらの新技術を採用したオールアルミ材料による熱交換器は従来の銅チューブをアルミに置き換えた以上に次のような多くの利点を実現している。即ち冷媒の流れの最適化、チューブ偏平化による風量増及びフィンとの伝熱性向上、チューブとフィンとのロー付けによる伝熱性向上などは従来の銅製のフィンチューブ方式を上回る熱交換特性を実現しており、事例評価によれば20%もの性能向上と評価される。さらには偏平チューブに連続した一本のチューブを利用する事によりロー付け接合箇所が低減し、品質と長期信頼度の高い熱交換器を提供できるものである。以上により今後空調機器の熱交換器として広く利用されていく可能性を拓いたものと期待される。
以下、本発明の一つの実施形態を図1〜図6に基づいて説明する。
図1は本発明を利用した家庭用の小部屋向け小型エアコンの屋外ユニットに組み込む熱交換器の事例の外観を示している。このエアコンは冷房と暖房を切り替えて運転するのでこの熱交換器は冷房時には凝縮器として、暖房時には蒸発器として作動する。全体の寸法は有効フィン部分幅500mm、フィン高さ500mm、フィン奥行き寸法のフィン幅41は28mmである。チューブ段数は図では絵のスペースの都合上8段で書かれているが実際は20段であり、従ってパイプピッチは25mmである。 フィンピッチは1.6mm、である。エアコンの容量はほぼ通称1.0馬力(HP)で、使用冷媒はHFC冷媒としては410Aを、HC冷媒としてはプロパンを利用するシステムである。熱交換器はフィン前面が垂直状態に設置され、図の奥側から手前側に矢印で示した如く屋外空気が送風される。
偏平チューブ1の詳細は図2で示す。前述した様にチューブの段数は20段であるがスペースの都合上途中で切断し、全体の記載を省略した。また直管部21は500mmであるがこれも途中で切断した形で全幅を示している。その切断点で各チューブの断面形状を示してその形状の上下方向での変化を解るようにした。偏平チューブ厚さ20は公称5.0mmでチューブ全長に渡って同一であるが、フィンに挿入するチューブ先端側は4.5mmと薄くなっている。これはチューブをフィンのスリット状切り欠き31への挿入するときの製造性を高める為の余裕度として後述するところのフィンのスリット状切り欠き31への収まり易い事を考慮したものである。チューブ幅29は図2で解るとおり、熱交換器の最上段で最大22mmから最下段で12mmと連続的に変化している。蛇行状に折り曲げられた一本の偏平チューブ組み立てがフィン2のスリット状切り欠き溝3に挿入されて炉中ロー付けでチューブ外表面とフィン切り欠きの端面32とが接合されている。図1ではフィンのスリット状切り欠き溝3を解りやすく描写するため偏平チューブ1のある部分は切り欠かれて、描かれていないが、実際は全体が蛇行に成形された一本のチューブを用いており、冷媒回路は従って1回路である。 熱交換器を装置へ取り付けるための部材などはここでは省略されており描かれていない。
出入り口管4、5はアルミニウムの直径10mm、肉厚1mmの円管で円管の側面にチューブの断面形状と等しい偏平チューブ挿入口53が設けられており、その側面とチューブ外表面が炉中ロー付けされている。偏平チューブ1の傾斜角はプレートフィン前面が垂直に置かれた時に水平とのなす角度26は挿入先端下がりの15度であり、この角度はこの熱交換器全体で同一であるが、実際はチューブの挿入先端23のチューブ厚さ20が薄くなっているので、その近辺は約17度となっている。チューブの挿入先端位置30は熱交換器全体でフィン幅41に対し同一の位置である。チューブの平均肉厚0.4mmで、冷媒を通す偏平チューブ流路25は図の様に4流路で構成されている。最初に偏平チューブは幅22mmのアルミニウムの素管として押し出し加工で成形され、引き続き引っ張りながらローラーによりチューブ幅を縮小させる成形を組み合わせて、チューブ厚さは5.0mmに保った状態で先端の幅が12mmになるように連続的乃至は段階的に縮小される。
引き続きこのチューブは所定位置で繰り返しU字状に曲げ成形されて蛇行状に構成され図2に示されるU字偏平チューブ組み立てとしての基本構成が完成される。続く最終工程は15度の傾斜成形である。この工程は全部のU字曲げ部22を冶具で固定した状態で、全てのチューブの直管部21を回転自在な冶具で挟んで、それを回転させ図2に示されるような15度の傾斜角度26となるように成形する工程である。直管の傾斜部分とU字曲げ部22との間に生じる捻じり加工部分はなだらかな形状変化となるように冶具の形状を工夫してある。
一方プレートフィン2は図3、4に示すような形状に成形される。図3はプレートフィンの正面図とその断面図A−A’及び断面図B−B’及びE−E’から見た側面図である。フィンの肉厚は0.1mm程度なので実線で示した。スリット状切り欠き31はチューブ挿入側から15度の下り傾斜でパイプピッチ28が上下に25mmの間隔になるように形成されている。切り欠きのフィン端面32には約0.5mm程度の折り曲げ42が設けられている。2本のスリット状切り欠き31の間のフィンは片持ちのベロ状になっており、そこが空気との伝熱を行う主要通風路となる。従って空気との伝熱促進のためその平面のフィン上に所々切り起こしルーバを設ける。図3のフィンにはルーバ33を設けているが、図3から知れるとおりフィンの前後方向に連続的に成形してあり、平面のフィンが存在しない様に連続的に凹凸を繰り返す様に切り起こしルーバ33を多数設けている。このルーバによって、このベロ状のフィンの上下方向の絶対長さは25mmからスリット状切り欠き部の高さ5.0mmを差し引いた長さである20.0mmであるが、その部分の実際のフィンの延べ長さはパイプピッチと等しい25mmとなっている。この5.0mmの差はルーバ33の高さ0.4mmの10回の上り下りの成形に必要な長さ4.0mmと折り曲げ部42の高さ0.5mmの2倍である1mmを足した長さから生じているわけである。

この連続的な多数のルーバを形成したためその伝熱面積は増加し且つ空気との伝熱効果は促進され、通常のルーバを持つフィンのフィンピッチが1.5mmのものとこのルーバを持つフィンのフィンピッチが1.6mmのものが同等な伝熱性能が得られる事がわかっている。以上説明したとおりスリット状切り欠き部分のフィン材は型によるルーバ条の成形時に引き寄せられて伝熱フィンとして利用されているわけである。実際のフィンのルーバ成形時に雄雌型の型合わせは横ビード36の上にあるルーバが先ず成形されてスリット状切り欠き部のフィンが0.4mm程度引き寄せられ、順次ルーバの成形が完了した時に片側2.0mmが引きよせられ、最後に残った0.5mmが曲げ成形されることになる。ルーバの高さ0.4mmがフィンピッチ1.6mmの四分の一である事は伝熱促進の点で重要な寸法設定である。何故ならその形状から自明であるように、あたかもフィンピッチ1.6mmが0.8mmに縮小されたようなフィン配置の効果を産む事になるからである。
フィンのスリット状切り欠きの最奥部付近ではこのフィン材の引き寄せは不可能になってくる。従って切り起こしルーバの高さは低くしていき最後はゼロとなってルーバ加工は無くなる。即ちベロ状のフィンの付け根部のルーバの高さは低く設定してある。一方、隣接するフィン同士のフィンピッチを正確に保つために切り起こしブリッジ34、35が設けられている。フィン2は図3の様に切り刻まれて成形され、持ち運びにより容易に変形する可能性があるため多くの必要な箇所にフィンピッチと同じ寸法高さの切り起こしブリッジ34、35が必要になるわけである。ブリッジは図示はしないが、先端が潰されて成形され、隣のフィンのブリッジ切り起こしの根元に精度良くはまりあい精確にフィンピッチを設定する事ができる形状となっている。
フィンはスリット状切り欠きを成形したため2つのスリット状切り欠き間のベロ状のフィンは根元で折れ曲がり易く、スリット形成されなかった上下に連なるフィンはスリット状切り欠きの根元近辺で上下に折れ曲がり易い。従ってフィンの運搬や冶具や機械への設置の時の変形や折れ曲がりは製造上で大きな問題となる。そこで36、37の様なビードを設けている。ビードの断面形状は幅2mm、山高さ0.5mm程度である。これが図3の様に交差しているか、相対的に直角に近い角度であることが望ましい。スリット状切り欠き端面の折り曲げ42が連続しない場合など強度が足りない場合は横ビード36の本数は複数にする事も有効である。いずれにしてもフィン表面のドレン水の流れ落ち易さを保つ意味からもビードの山高さは0.5mm前後以上は避けるべきである。
図4は図3の円で示したD部分の拡大図及びそのA−A’断面図でありフィンの肉厚は2本の実線で示した。スリット状切り欠きの最奥部近傍に凸部43を設けた。これは折り曲げ42の内面に0.5mm程度の山形の出っ張りを設けたものである。 一方、図には示していないが、偏平チューブの全長に渡りそれに見合う箇所に凹部を設けた。偏平チューブをスリット状切り欠きに挿入して最後にこの凸凹が嵌まりあってしっかりとお互いの位置が設定される。この状態でこの組み立ては高温炉で加熱されてロー付けされる。この位置決め用の引っ掛け凸凹の効果とスリット状切り欠きの最奥部分の高さ寸法が僅かに縮小される様に約2度程度の縮小角44を設けた効果でプレートフィンのスリット状切り欠き溝への偏平チューブの納まり具合は良好である。且つ請求項10に示した様に折り曲げ42は偏平チューブ1の外表面を僅かに押し圧するようにベロ状のフィン部分に上下方向の弾力性を持たせたから、チューブを一番奥まで挿入した時のスリット状切り欠き31の折り曲げ42の端面と偏平チューブ1の外表面を精度良く密着させることができる。
図5には図1で示した小型に比べて約2倍の能力を持つ中型熱交換器の冷媒の回路構成に利用する分流器を示した。図1では冷媒回路は1回路でチューブも一本で構成されているから冷媒の出入り口管があるだけの簡略な冷媒回路構成であったが、図5では冷媒回路を2回路にしている点が異なっている。熱交換器の容量が大きくなったときに偏平チューブを太くして1回路で間に合わそうとすると、冷媒圧力への耐圧上から偏平チューブの材料の肉厚は増加し素材コストが高くなる。また同時にチューブばかりでなくプレートフィンの形状も大きく変える事が必要に成る。従って製造設備、型、冶具が変わり製造方式が変わりコストも高くなる。従って容量を倍にするには同一の設計モジュールで冷媒回路を2回路とし、容量が4倍になると冷媒回路は4回路にするなどのやり方が適している。その時に特許文献に見られるような太い径のヘッダーを用いて回路数のチューブをまとめて接続する方式は冷媒の流れ方の安定及び圧縮機潤滑油の滞留その他の問題がある事を既に説明してきた。
そこで偏平チューブを熱交換器に用いた本発明に於いても比較的細径のパイプを組み合わせて自在に分流、合流、連結を行い、一定の流速があり、流れの安定した冷媒回路を構成するやり方として、図5には冷媒回路を適正に調節する為の分流器乃至は合流器を示した。熱交換器の側面の偏平チューブ出入り口断面側から捉えた平面図とそれをA方向から見た斜視図とを示している。いずれも焦点となる部分を拡大して示しそれ以外の部分は省略している。図5の熱交換器は容量が大きく図1の熱交換器のほぼ2倍であるから図中で上部の回路と下部の回路の2回路で構成されており、入り口パイプ52から冷媒が流入し該パイプの側面に設けられた2つの偏平チューブ挿入口53で2本の偏平チューブがロー付けされ連結されている。冷媒は矢印に示されているように流れていく。
2本の偏平チューブの位置が離れていても隣り合わせていてもU字状連結管51の形状を調節する事で対応できるし、偏平チューブの幅29の大小に合わせて挿入口53の寸法を調整すれば良く、また3回路、4回路の分流の場合でもU字状連結管51をS字状になるように延長して構成すれば、広い能力範囲のものに適応できる分流器乃至は合流器を実現できる。この方式は、それのみではなく、入り口管が無くU字状連結管51のみの構造にすれば2本の偏平チューブの間の連結管とすることもできるし、U字状連結管51をS字状にして3本の偏平チューブを連結すれば熱交換器の中間での分流器乃至は合流器としても利用することができる。
ここで注意しなければいけないのは分流の場合の流量バランス、気液2相流の場合の四つの偏平チューブ流路25への気液流量バランス、冷媒の流れの圧力損失など多くの項目がある。例えば具体的には暖房運転をしているときにフィンに着霜し、それを溶かす運転をする時などの冷媒の流れが偏る事などにより一部のフィンの霜を溶かせずに凍り付いてしまいフィンを変形させてしまうなどの現象である。何れの問題項目も挿入口53に置ける偏平チューブ先端の挿入深さの適正な設定と調節が重要である。気液2相流の複雑な流れを安定させるため、挿入深さを微妙に変えて評価試験をする事と、ここでは図示していないが、チューブ乃至は分流器に位置決めのストッパーを設けて、製造の挿入深さを管理している。
空調機器の能力が大きな機種になると熱交換器は大型化し室内機に於いても室外機においても機器ユニットの2面から3面更には4面に対抗させて設置してユニットの大きさをなるべく小さくする構造が採用される。図6はこれに対応すべく請求項16、17、18の技術により本発明の熱交換器をL字状に曲げ成形した後の形状を示し、成形の中心となるB−B’断面を円内図で、成形前の形を一点差線で示す。成形前にはフィン無し区間61を設けておき、傾斜偏平チューブ1の挿入先端である内側端部62を更に押し下げ挿入後端である外側端部63をさらに押し上げて当該部分のチューブを捻じりながら熱交換器全体をL字状に曲げていく。その中心点のB−B’の断面は図の様に垂直方向へと捻じ曲げられる。一方チューブ内側端部62は折れ曲がる事無く円形になるように膨らんで成形される。チューブ外側端部63も折れ曲がる事無く緩やかな曲線で最短距離を結ぶように図に示される様に成形される。
ここで重要な事は、チューブの成形部分の断面形状が成形前と変わらずに内部の流路が保たれ、耐圧強度が保たれている事と、他方フィン無し区間61の長さを如何に短くして曲げ成形を完了したときに熱交換器としての死に領域を少なく出来るかのバランスをとる事であるが、図でわかる通りこの事例ではその双方の実現に成功している。曲げ成形に必要なチューブ区間を短くするためその間の偏平チューブを捻じり成形とL字状の曲げ成形を各断面で同時に行っており、その結果フィン無し区間61は約45mmとなっている。その成形には前述した偏平チューブ内流路の形状確保という点からも矢印に示された方向への適当な冶具による捻じり成形と熱交換器全体の成形機による大きな矢印で示された曲げ成形を同時に行ったものである。成形の最終段階では、請求項18に示された様に前後の型締めにより偏平チューブの成形は図のようななだらかな形状を得る事で成形を完了させている。
図1をベースに運転作動特性を説明する。図1の熱交換器は1馬力クラスの小型エアコンの室外ユニットに用いられる。冷房運転の時は70℃程度の高温で高圧のガス冷媒である例えば410Aフロン冷媒が出入り口管4から入り偏平チューブ1内で冷却され徐々に凝縮して液冷媒となり出入り口管5から排出される。同時にプレートフィン2を通じて矢印の用に通風される屋外空気に放熱する。一方、暖房の時は10℃程度の低温低圧の気液混合冷媒が出入り口管5より入り偏平チューブ1内で蒸発しガス冷媒となって出入り口管4より排出される。この時プレートフィン2を通じて屋外空気から熱を奪い同時に空気中の水蒸気がドレン水となってプレートフィン2表面に付着し、その表面を落下する。プレートフィン2は垂直に設置されているからドレン水はその表面を重力により容易に落下するし、偏平チューブ1は水平面に対し15度傾斜しているからその上面に落下してきた水滴は傾斜に沿って落下を継続する。そしてこのドレン水は偏平チューブ1の挿入先端23から上下に連なるプレートフィン部分へと流れ、熱交換器下端に向けて流れ落ちて排出される。
冷媒回路は1回路であり、各点における偏平チューブ流路25の断面積は冷媒の流れが伝熱特性、圧力損失特性、気液2相流特性、潤滑油流動特性などが適正になるように、気液2相の変化を考慮して最適に設定されている。具体的には厚さ5mmの偏平チューブ幅29は出入り口管4の部分で幅22mmで出入り口管5の部分で12mmに設定されている。この結果冷房時の入り口付近のガス冷媒の流速を低くし、出口付近の液冷媒の流速を高め且つ液冷媒量を少なくする効果が適正に実現されている。一方暖房時には出口付近のガス冷媒の流速をできるだけ低くして圧力損失を最小にし、入り口付近の流速を高くして伝熱特性を高めるという効果が適正に実現されている。 またその間の冷媒の流速が適正な範囲になっているから、圧縮機の潤滑油も冷媒と一緒に流動する。
暖房運転の時に屋外空気温度が5℃程度より低くなると、冷媒の蒸発温度は零度以下になりフィン表面の温度は氷点温度より下がり、ドレン水は霜となって熱交換器表面に付着し凍結され、風量は減るから屋外空気から奪う熱量は少なくなり暖房特性は低下してくる。そこで冷媒の流れを冷房の時と同じ方向に切り替えて熱交換器を暖めてフィン表面の霜を溶かし水滴にしてフィン表面を落下させる。所謂除霜運転である。この時にも偏平チューブが傾斜している事が霜の大半をドレン水として排出させるのに有効である。
熱交換性能の向上効果について以下に述べる。偏平チューブの厚さは5mmであり従来の銅の円チューブの直径が8〜10mmであるのに対し薄く出来ているから空気を送風する上での通風抵抗が減少して風量が10%程度増加する。さらにチューブの幅は平均17mmであり、従来の銅の円チューブと比べてフィンとの接触長さが増加しチューブからプレートフィンへの伝熱は促進されるし、偏平チューブとプレートフィンはロー付けされているから従来の銅管を機械的に拡管してチューブとフィンを接触させる方式にくらべ伝熱はやはり促進される。さらにプレートフィンは図3で見るようにスリット状切り欠き31のアルミ材料を利用して沢山の切り起こしルーバを形成しているからその伝熱面積の増加とルーバ効果によりプレートフィンと空気の間の伝熱特性は向上している。以上の各効果は熱交換器としての特性を大幅に向上させる事に成功しており、従来の銅の円管のフィンチューブに比べ10%以上の性能アップを実現している。これは同等のプレートフィ使用量を前提とした比較であり、逆にみれば熱交換器全体を10%小型化できてコスト低減と製品ユニットの小型化が実現できるわけである。
一方コストの評価について以下述べたい。銅チューブに比較してアルミチューブの素材コストが安いことが基本である。次に大きな比重を占めるロー付けによる加工コストが重要であるが、図1の熱交換器のロー付け箇所であるプレートフィン2と偏平チューブ1及び偏平チューブ1とで入り口管4、5の間のロー付けは全て1工程の炉中ロー付けで行われる。従って従来の銅の円管チューブを用いたフィンチューブ熱交換器で行われる多数箇所のU字銅管とリターンベンドのロー付け作業は不要である。ちなみに図1に示した事例で比較すると、銅管チューブをフィンのマル穴に挿入する方式での銅管とリタンベンドのロー付け箇所は一列方式でも20箇所に及ぶが、それに引き換え図1の熱交換器ではチューブ同士のロー付け箇所は2箇所である。冷媒回路の途中ではチューブ同士の接合やロー付けは無いからガスリークの信頼性は高い。以上の効果をまとめた総合的なコスト低減効果の試算は一例では20%にも及ぶ結果が出ている。
より大容量の熱交換器ではどうであろうか? 即ちより大容量で、複雑な冷媒回路で折り曲げ成形が必要な大きな熱交換器の場合にも上記の様な優位性があるであろうか?例えば図1の4倍の容量の場合について考察してみる。冷媒の流量は4倍になるから図1の偏平チューブは4回路になる。従って出入り口管4、5のチューブ径は2倍になる。熱交換器の大きさも4倍になり、有効フィン部分幅とフィン高さの積、即ち熱交換器有効前面面積が4倍になりフィン奥行き寸法は同じである。入り口管は図5の分流器52のような方式となり、流入した冷媒は4つの偏平チューブ挿入口を経て4回路の偏平チューブへと分流される。この分流に用いる分流器はS字状をさらに延長して偏平チューブの端部位置に合わせて曲げ成形した分流管で側面に4箇所の偏平チューブ挿入口53があり、1つの入り口管から4つの偏平チューブの回路に分流される。
熱交換器の大きさも4倍になるから装置ユニットに設置する際には熱交換器全体をL字状に曲げて装置ユニットの外面の2面に対抗させる配置が取られる。図6はL字状に曲げるための請求項16〜18の技術を用いて成形した事例を示している。この様に分流、合流、L字成形などの技術により図1に示される基本的な熱交換器の構成方式が大容量の装置にも展開できることがわかる。ここでは記述していないがプレートフィン幅41と偏平チューブ幅29を適正に変えて選択する事によりさらに広範囲な機種の仕様変化への対応が可能になる。以上により次世代の熱交換器の姿としてオールアルミ材料による高性能で種々な仕様に広範囲に適用できる熱交換器の基本構造方式が提示できたと考える。
本発明の実施形態を示す小型エアコン用熱交換器の外観斜視図 同熱交換器に使われる偏平チューブ組み立て正面図 同熱交換器に使われるプレートフィン平面図 同熱交換器に使われるプレートフィンのスリット部分の拡大図 同熱交換器の大型化に使われる分流器の使用事例平面図 同熱交換器の大型化に使われるL字曲げ成形を示す平面図
符号の説明
1 偏平チューブ
2 プレートフィン
3 スリット状切り欠き溝
4、5出入り口管
20 チューブ厚さ
21 偏平チューブ直管部
22 偏平チューブU字曲げ部
23 偏平チューブ挿入先端
24 偏平チューブ挿入後端
25 偏平チューブ流路
26 偏平チューブ傾斜角度
27 偏平チューブ平坦部
28 パイプピッチ
29 チューブ幅
30 偏平チューブ組み立て先端
31 スリット状切り欠き
32 スリット状切り欠きフィン端面
33 切り起こしルーバ
34、35 切り起こしブリッジ
36 横ビード
37 縦ビード
38 スリット状切り欠き長さ
39 スリット状切り欠き高さ
41 プレートフィン幅
42 折り曲げ
43 凸部
44 スリット縮小角
51 U字状連結管
52 分流合流器
53 偏平チューブ挿入口
54 偏平チューブ挿入深さ
61 フィン無し区間
62 チューブ内側端部
63 チューブ外側端部

Claims (18)

  1. 流体を流すための複数の流路を内部に持ち外形が偏平の板状で長尺のアルミニウムを主成分とする偏平チューブを長手方向の途中でU字状に折り返し成形した乃至は繰り返しU字状に折り返して蛇行状に成形したU字状偏平チューブの直管部分を、該U字状偏平チューブの断面形状とチューブピッチに合わせて多数のスリット状切り欠きを設けた薄肉のアルミニウムのプレートフィンを多数枚数積み重ねたフィン組み立てのスリット状切り欠き溝にその挿入先端である側端面から挿入し、前記偏平チューブ外表面と前記プレートフィンの前記スリット状切り欠き側の端面とをロー付けすることにより接合して組み立てた熱交換器に於いて、前記偏平チューブとして長手方向にその厚さ寸法が同一でその幅寸法が縮小乃至は拡大した偏平チューブを用いた事を特徴としたフィンチューブ熱交換器。
  2. 流体を流すための複数の流路を内部に持ち外形が偏平の板状で長尺のアルミニウムを主成分とする偏平チューブを長手方向の途中でU字状に折り返し成形した乃至は繰り返しU字状に折り返して蛇行状に成形したU字状偏平チューブの直管部分を、該U字状偏平チューブの断面形状とチューブピッチに合わせて多数のスリット状切り欠きを設けた薄肉のアルミニウムのプレートフィンを多数枚数積み重ねたフィン組み立てのスリット状切り欠き溝にその挿入先端である側端面から挿入し、前記偏平チューブ外表面と前記プレートフィンの前記スリット状切り欠き側の端面とをロー付けすることにより接合して組み立てた熱交換器に於いて、前記プレートフィンにおける前記スリット状切り欠き部分のフィン材料を切り捨てずに2つの前記スリット状切り欠きに挟まれたベロ状のフィン部分へと引き寄せながら多数の切り起こしルーバの形成に活用するなど、前記スリット状切り欠き部分のフィン材料を用いて全体のフィン有効面積を拡大し、熱交換に利用できる構造とした事を特徴としたフィンチューブ熱交換器。
  3. 流体を流すための複数の流路を内部に持ち外形が偏平の板状で長尺のアルミニウムを主成分とする偏平チューブを長手方向の途中でU字状に折り返し成形した乃至は繰り返しU字状に折り返して蛇行状に成形したU字状偏平チューブの直管部分を、該U字状偏平チューブの断面形状とチューブピッチに合わせて多数のスリット状切り欠きを設けた薄肉のアルミニウムのプレートフィンを多数枚数積み重ねたフィン組み立てのスリット状切り欠き溝にその挿入先端である側端面から挿入し、前記偏平チューブ外表面と前記プレートフィンの前記スリット状切り欠き側の端面とをロー付けすることにより接合して組み立てた熱交換器に於いて、前記偏平チューブの横断面形状が前記スリット状切り欠き溝に挿入する挿入先端が大略半円形状で且つ該半円形状部分から厚さが徐々に拡大する部分を有する事を特徴としたフィンチューブ熱交換器。
  4. 流体を流すための複数の流路を内部に持ち外形が偏平の板状で長尺のアルミニウムを主成分とする偏平チューブを長手方向の途中でU字状に折り返し成形した乃至は繰り返しU字状に折り返して蛇行状に成形したU字状偏平チューブの直管部分を、該U字状偏平チューブの断面形状とチューブピッチに合わせて多数のスリット状切り欠きを設けた薄肉のアルミニウムのプレートフィンを多数枚数積み重ねたフィン組み立てのスリット状切り欠き溝にその挿入先端である側端面から挿入し、前記偏平チューブ外表面と前記プレートフィンの前記スリット状切り欠き側の端面とをロー付けすることにより接合して組み立てた熱交換器に於いて、前記スリット状切り欠き側のフィン端面に前記偏平チューブに当接する為の折り曲げ部分を設けると同時に、2つの前記スリット状切り欠きの間のベロ状のフィン部分とその根元側に置けるフィン全体を上下に連続するプレートフィン部分の双方にフィンの折れ曲がり防止用として山状の断面を持つ別々のビードを形成した事を特徴としたフィンチューブ熱交換器。
  5. 流体を流すための複数の流路を内部に持ち外形が偏平の板状で長尺のアルミニウムを主成分とする偏平チューブを長手方向の途中でU字状に折り返し成形した乃至は繰り返しU字状に折り返して蛇行状に成形したU字状偏平チューブの直管部分を、該U字状偏平チューブの断面形状とチューブピッチに合わせて多数のスリット状切り欠きを設けた薄肉のアルミニウムのプレートフィンを多数枚数積み重ねたフィン組み立てのスリット状切り欠き溝にその挿入先端である側端面から挿入し、前記偏平チューブ外表面と前記プレートフィンの前記スリット状切り欠き側の端面とをロー付けすることにより接合して組み立てた熱交換器に於いて、前記2つのスリット状切り欠きの間のベロ状のフィン部分とその根元側に置ける上下に連続するプレートフィン部分の双方の部分にフィンピッチに大略等しい高さの切り起こしブリッジを夫々設けることにより隣接するフィン同志を所定のピッチ寸法に保つようにした事を特徴としたフィンチューブ熱交換器。
  6. 流体を流すための複数の流路を内部に持ち外形が偏平の板状で長尺のアルミニウムを主成分とする偏平チューブを長手方向の途中でU字状に折り返し成形した乃至は繰り返しU字状に折り返して蛇行状に成形したU字状偏平チューブの直管部分を、該U字状偏平チューブの断面形状とチューブピッチに合わせて多数のスリット状切り欠きを設けた薄肉のアルミニウムのプレートフィンを多数枚数積み重ねたフィン組み立てのスリット状切り欠き溝にその挿入先端である側端面から挿入し、前記偏平チューブ外表面と前記プレートフィンの前記スリット状切り欠き側の端面とをロー付けすることにより接合して組み立てた熱交換器に於いて、前記プレートフィンを垂直に設置したときに前記スリット状切り欠きを水平面に対し傾斜させて形成し、これに対応して前記スリット状切り欠きの傾斜角度に合わせて直管部分が幅方向に傾斜したU字状偏平チューブ組み立てを用いることにより、前記熱交換器前面を垂直に設置した時に前記U字状偏平チューブが水平面に対し幅方向に傾斜している事を特徴としたフィンチューブ熱交換器。
  7. 前記U字状扁平チューブ組み立てとしてU字曲げ部以外の前記直管部分を前記U字曲げ部に対して前記傾斜角度だけ捻じり成形加工して傾斜させたU字状偏平チューブ組み立てを用いた事を特徴とした請求項6に記載のフィンチューブ熱交換器。
  8. 請求項1に示された前記幅寸法が長手方向に縮小乃至は拡大した前記偏平チューブを用いて請求項7に示された様に捻じり成形加工した前記U字状偏平チューブ組み立を用いた事を特長とした請求項7に記載のフィンチューブ熱交換器。
  9. 前記偏平チューブの前記挿入先端の近傍の下面乃至は上面乃至は両面にチューブ長さ方向に渡って窪みを設け、前記プレートフィンの前記スリット状切り欠きにおける前記窪みと相対する位置に前記窪みと嵌め合う形状の凸部を設け、それらが嵌まりあう事により前記偏平チューブが前記スリット状切り欠き溝の最奥部に挿入された状態で係止するようにした事を特徴とした請求項1、2、3、4、5、6、7、8の何れか1項に記載のフィンチューブ熱交換器。
  10. 前記プレートフィンに成形した2つの前記スリット状切り欠きの間の前記ベロ状のフィン部分に於いて、該フィン部分上に波板を成形、乃至はルーバ条を隙間なく成形する等により前記スリット状切り欠き側に向けて弾力性を持たせ、且つスリット状切り欠きの高さ寸法が前記U字状偏平チューブの対応する部分の厚さ寸法より僅かに小さな寸法に設定した事を特徴とした請求項2、3、4、5、6、7、8の何れか1項に記載のフィンチューブ熱交換器。
  11. 前記熱交換器前面を垂直状態で設置した場合に比べて前記U字状扁平チューブの挿入先端が低く後端が高くなるように熱交換器全体を傾斜させて装置に設置した事を特徴とした請求項1、2、3、4、5の何れか1項に記載のフィンチューブ熱交換器。
  12. 請求項6に示された前記U字状偏平チューブの前記直管部分の幅方向の前記傾斜角度よりも該直管部分の水平面に対する傾斜角度がより大きな角度で傾斜した状態となる様に全体を傾斜させた状態で装置に取り付けられた事を特徴とした請求項6、7、8の何れか1項に記載のフィンチューブ熱交換器。
  13. 複数の前記U字状偏平チューブが前記積重ねた前記フィン組み立の端部から突き出た先端を、内部に流路を持ちU字状乃至はS字状など前記U字状偏平チューブの先端の断面形状をなぞる様に曲げ成形された連結管の片側の側面に設けられた複数の挿入口に夫々挿入し、該連結管の該挿入口と前記偏平チューブ先端部とをロー付けすることにより複数の前記U字状偏平チューブの回路を連結させて連続する乃至は合流する乃至は分流する回路を構成した事を特徴とした請求項1、3、6、7、8の何れか1項に記載のフィンチューブ熱交換器。
  14. 請求項13に記載された前記連結管の少なくとも片方の管路端部を他の冷媒回路と接続させる為に延長し、該他の冷媒回路と2つ乃至は多数の前記U字状偏平チューブの回路とを請求項13に示された方法により連結接合させて2つ乃至は多数の前記U字状偏平チューブの回路を前記他の冷媒回路と連通させた事を特徴とした請求項1、3、6、7、8の何れか1項に記載のフィンチューブ熱交換器。
  15. 夫々の幅を足し合わせても該スリット状切り欠き溝を構成するスリット状切り欠きの長さに等しいか又は小さい前記U字状偏平チューブの2本の直管部を一緒に挿入したスリット状切り欠き溝を全部のスリット状切り欠き溝の中で一本乃至は複数本保有する事を特徴とした請求項1、2、3、4、5、6、7、8の何れか1項に記載のフィンチューブ熱交換器。
  16. 前記フィンチューブ熱交換器における前記偏平チューブの前記直管部の所定長さに渡り前記プレートフィンの無い区間を設け、前記フィンチューブ熱交換器全体を大略ハの字状乃至はL字状にするために、当該所定長さの区間の当該U字状偏平チューブを捻じり成形させながら曲げ成形を同時に行って、該曲げ成形に置ける前記U字状偏平チューブの外側の端部はなだらかな円弧で最短距離を結ぶように、且つ内側の端部はより小さな円弧で外側に膨らませるように成形する事によって前記フィンチューブ熱交換器全体を前記ハの字状乃至はL字状の形状に成形した事を特徴とした請求項1、2、3、4、5の何れか1項に記載のフィンチューブ熱交換器。
  17. 前記フィンチューブ熱交換器における前記偏平チューブの前記直管部の所定長さに渡り前記プレートフィンの無い区間を設け、前記フィンチューブ熱交換器全体を大略ハの字状乃至はL字状にするために、当該所定長さの区間の当該U字状偏平チューブの平坦面の傾斜を更に大きく傾斜する方向に捻じり成形させながらフィンチューブ熱交換器の曲げ成形を同時に行って、前記U字状偏平チューブの該曲げ成形に置ける外側の端部はなだらかな円弧で最短距離を結ぶように、且つ内側の端部はより小さな円弧で外側に膨らませるように成形する事によって熱交換器全体を前記ハの字状乃至はL字状の形状に成形した事を特徴とした請求項6、7、8の何れか1項に記載のフィンチューブ熱交換器。
  18. 請求項16、17の何れか1項のフィンチューブ熱交換器の製造方法として、請求項1〜8の何れか1項に夫々記載の夫々のフィンチューブ熱交換器を用いて、前記大略ハの字状乃至はL字状に曲げ成形するために前記捻じり成形と前記曲げ成形が半分程度進んだ段階で、前記所定位置の対象チューブ全体を成形型によって当該U字状偏平チューブの前記所定長の部分を曲げ成形の内側と外側から締め付けることにより当該偏平チューブを所定の形状に成形し、前記フィンチューブ熱交換器全体を所定の前記ハの字状乃至はL字状に曲げ成形を完成させる事を特徴としたフィンチューブ熱交換器の曲げ成形加工方式。
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