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JP2008099441A - 回転電機の巻線絶縁構造 - Google Patents

回転電機の巻線絶縁構造 Download PDF

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Abstract

【課題】単相重ね巻きした回転電機の巻線において、同相の素線コイル間の絶縁を、簡単な作業により向上させる。
【解決手段】例えば、第1のU相巻線U1は、3つの素線コイルU1,U2,U3を単相重ね巻きして構成されている。素線コイルU1,U2,U3のコイルピッチは等しくなっている。そして素線コイルU1は、スロットS01,S10に挿入されており、素線コイルU2は、スロットS02,S11に挿入され、素線コイルU3は、スロットS03,S12に挿入される。このため、素線コイルU1,U2間、並びに、素線コイルU2,U3間には、同相絶縁用の絶縁紙を挿入することができる。他の各相巻線も同様に構成されて、同相絶縁の強化を図っている。
【選択図】図1

Description

本発明は回転電機の巻線絶縁構造に関し、サージ電圧耐力強化型の絶縁方式を採用した単相重ね巻きタイプの巻線絶縁構造である。
近年のインバータではサージ電圧の立ち上がり速度(dv/dt)が早いため、インバータにより給電される電動機巻線には高電圧がかかり、巻線の絶縁層に多大の絶縁破壊電圧が作用する。従って、巻線の素線コイル間絶縁能力を強化し、同相の素線コイル間で部分放電が発生しないような絶縁システムにする必要がある。
一般にサージ電圧は電動機巻線に均等に印加されることは無く、端子側のコイルほど分担電圧が大きくなる。従って、各コイル毎に絶縁することによりサージ電圧を上げている。
なお、異相の巻線間には、絶縁紙を挿入することにより絶縁が施され、異相の巻線間では高電圧にも耐え得る絶縁構造になっている。つまり、ある相の巻線を固定子に挿入したら、この相の巻線の上に、異相間絶縁用の絶縁紙を載せ、次に隣接する異なる相の巻線を固定子に挿入することにより、異相の巻線間に絶縁紙を挿入することができるのである。
特開平7−298530号公報
ここで従来の巻線構造の具体例とその課題を説明する。
モータの巻線方式には2層重ね巻き方式と、単相心巻き方式がある。一般に、小型モータではコイル巻き作業、コイル挿入作業が容易であることから単相同心巻き方式を用いる。
なお、
「ステータのスロット数÷(極数×相数)=Q(1極1相分のスロット数)」
と定義して説明をする。
従来の巻線構造の例として、単相同心巻き方式、4極、ステータスロット数が36溝(N1=36,Q=3の場合)で、U相の素線コイルのはめ込みピッチを、S01−S12,S02−S11,S03−S10,S19−S30,S20−S29,S21−S28としたものを、図3に示す。また図3における第1のU相巻線U1の巻線状態を図4に示す。
図3において、S1〜S36は固定子鉄心Iに形成したスロットである。巻線としては、第1のU相巻線U1,第2のU相巻線U2と、第1のV相巻線V1,第2のV相巻線V2と、第1のW相巻線W1,第2のW相巻線W2がある。
第1のU相巻線U1は、第1の素線コイルU1−1と、第2の素線コイルU1−2と、第3の素線コイルU1−3を単相同心巻きして構成したものであり、第1の素線コイルU1−1の巻き終わり位置と、第2の素線コイルU1−2の巻き始め位置とが電気的に接続され、第2の素線コイルU1−2の巻き終わり位置と、第3の素線コイルU1−3の巻き始め位置とが電気的に接続されている。
しかも、型巻きコイルである第1の素線コイルU1−1は、そのコイルサイドがスロットS01とスロットS12に挿入されると共にそのコイルエンドが固定子鉄心Iの端面に沿い配置されている。
また、型巻きコイルである第2の素線コイルU1−2は、そのコイルサイドがスロットS02とスロットS11に挿入されると共にそのコイルエンドが固定子鉄心Iの端面に沿い配置されている。
また、型巻きコイルである第3の素線コイルU1−3は、そのコイルサイドがスロットS03とスロットS10に挿入されると共にそのコイルエンドが固定子鉄心Iの端面に沿い配置されている。
図4は、第1のU相巻線U1の、第1の素線コイルU1−1と第2の素線コイルU1−2と第3の素線コイルU1−3を抽出して示している。
第2のU相巻線U2は、第1の素線コイルU2−1と、第2の素線コイルU2−2と、第3の素線コイルU2−3を単相同心巻きして構成したものであり、第1の素線コイルU2−1の巻き終わり位置と、第2の素線コイルU2−2の巻き始め位置とが電気的に接続され、第2の素線コイルU2−2の巻き終わり位置と、第3の素線コイルU2−3の巻き始め位置とが電気的に接続されている。
しかも、型巻きコイルである第1の素線コイルU2−1は、そのコイルサイドがスロットS19とスロットS30に挿入されると共にそのコイルエンドが固定子鉄心Iの端面に沿い配置されている。
また、型巻きコイルである第2の素線コイルU2−2は、そのコイルサイドがスロットS20とスロットS29に挿入されると共にそのコイルエンドが固定子鉄心Iの端面に沿い配置されている。
また、型巻きコイルである第3の素線コイルU2−3は、そのコイルサイドがスロットS21とスロットS28に挿入されると共にそのコイルエンドが固定子鉄心Iの端面に沿い配置されている。
結局、U相の素線コイルのはめ込みピッチは、前述したように、S01−S12(素線コイルU1−1),S02−S11(素線コイルU1−2),S03−S10(素線コイルU1−3),S19−S30(素線コイルU2−1),S20−S29(素線コイルU2−2),S21−S28(素線コイルU2−3)になっている。
U相巻線に対して電気的に2/3πずれているV相巻線、及び、U相巻線に対して電気的に4/3πずれているW相巻線においても、S相巻線と同様な巻線構造になっている。
即ちV相巻線は、第1のV相巻線V1と第2のV相巻線V2とで構成されている。そして、第1のV相巻線V1は素線コイルV1−1,V1−2,V1−3を単相同心巻きして構成されており、第2のV相巻線V2は、素線コイルV2−1,V2−2,V2−3を単相同心巻きして構成されている。
しかも、V相の素線コイルのはめ込みピッチは、S13−S24(素線コイルV1−1),S14−S23(素線コイルV1−2),S15−S22(素線コイルV1−3),
S31−S06(素線コイルV2−1),S32−S05(素線コイルV2−2),S33−S04(素線コイルV2−3)になっている。
またW相巻線は、第1のW相巻線W1と第2のW相巻線W2とで構成されている。そして、第1のW相巻線W1は素線コイルW1−1,W1−2,W1−3を単相同心巻きして構成されており、第2のW相巻線W2は、素線コイルW2−1,W2−2,W2−3を単相同心巻きして構成されている。
しかも、W相の素線コイルのはめ込みピッチは、S25−S36(素線コイルW1−1),S26−S35(素線コイルW1−2),S27−S34(素線コイルW1−3),S07−S18(素線コイルW2−1),S08−S17(素線コイルW2−2),S09−S16(素線コイルW2−3)になっている。
なお、各相における各素線コイルは、それぞれ、絶縁電線を巻回して構成したものである。このことは、後述する本願発明の実施例においても同様である。
上述した構成になっている従来の巻線構造の1では、図4に示すように、素線コイルU1−1のコイルピッチ(素線コイルU1−1の一方のコイルサイドと他方のコイルサイドとの間の周方向に沿う長さ)は長く、素線コイルU1−2のコイルピッチは短く、素線コイルU1−3のコイルピッチは更に短くなっている。
そして、素線コイルU1−1の内側に素線コイルU1−2が入り込み、素線コイルU1−2の内側に素線コイルU1−3が入り込む状態で固定子鉄心Iにコイル挿入が行われている。他の素線コイル(例えば素線コイルU2−1,U2−2,U2−3)でも、状況は同じである。
インバータによるサージ電圧に耐えられるように、素線コイルU1−1と素線コイルU1−2の間の絶縁能力(同相の素線コイル間絶縁)を高めるため、並びに、素線コイルU1−2と素線コイルU1−3の間の絶縁能力(同相の素線コイル間絶縁)を高めるためには、従来では、素線コイルU1−1,U1−2の少なくとも一方に、並びに、素線コイルU1−2,U1−3の少なくとも一方に絶縁テープをテーピングしていた。
この絶縁テープのテーピング作業は、素線コイルU1−1,U1−2,U1−3を固定子鉄心Iに嵌め込んだ後に、手作業で行うため、極めて面倒で時間のかかる作業であった。かかる課題は、他の素線コイルでも同様に生じている。
したがって、巻線構造として単相同心巻きを採用した、しかも、インバータによるサージ電圧に耐えられるように同相の素線コイル間絶縁を強くした電動機を、短時間で大量生産するには大きな障害となっていた。
なお、素線コイルU1−1の内側に素線コイルU1−2が入り込む状態で固定子鉄心Iにコイル挿入が行われているため、素線コイルU1−1と素線コイルU1−2の間に、絶縁紙を挿入することはできなかった。
つまり、素線コイルU1−1を固定子鉄心Iに先に挿入し、この素線コイルU1−1の上に絶縁紙を載せ、次に素線コイルU1−2を素線コイルU1−1の内側に入り込む状態で固定子鉄心Iに挿入していくと、この素線コイルU1−2の挿入に伴い、絶縁紙は、素線コイルU1−1、U1−2間(この間隔は図では広く描いているが実際には極めて狭い)に挟まれつつ素線コイルU1−1の内側に押し込まれていってしまい、絶縁紙に「巻き込み」や「折り込み」や「捩れ」や「破損」が生じてしまい、絶縁紙の絶縁性能が確保できなくなってしまうからである。
挿入手順を逆にしても、つまり、素線コイルU1−2を固定子鉄心Iに先に挿入し、この素線コイルU1−2の上に絶縁紙を乗せ、次に素線コイルU1−1を素線コイルU1−2の外側に入り込む状態で固定子鉄心Iに挿入しても、同じ問題が生じていた。
また同様に、素線コイルU1−2の内側に素線コイルU1−3が入り込む状態で固定子鉄心Iにコイル挿入が行われているため、素線コイルU1−2と素線コイルU1−3の間に、絶縁紙を挿入することはできなかった。
上記課題を解決する本発明の構成は、
三相の各相巻線を単相重ね巻きして構成してなる回転電機の巻線構造において、
各相巻線を構成する複数の素線コイルは、コイルピッチが等しくなっており、しかも、鉄心のスロットに先に挿入される素線コイルのスロットの隣のスロットに、鉄心のスロットに次に挿入される素線コイルが挿入されており、
先に挿入された素線コイルと次に挿入された素線コイルの間に、同相間絶縁用の絶縁紙が挟まれていることを特徴とする。
また本発明の構成は、
三相の各相巻線を単相重ね巻きして構成してなる回転電機の巻線構造において、
各相巻線を構成する複数の素線コイルは、コイルピッチが等しくなっており、
鉄心のスロットに先に挿入する素線コイルを挿入したら、この素線コイルの上に同相間絶縁用の絶縁紙を載せ、次に挿入する素線コイルを先に挿入した素線コイルが挿入されているスロットの隣のスロットに挿入して行くことにより、各相の巻線が構成されていることを特徴とする。
また本発明の構成は、上記構成において、回転電機の極数が4、鉄心のスロット数が36であることを特徴とする。
本発明では、単相重ね巻きした巻線構造において、同相の巻線における素線コイルのコイルピッチ及び配置状態を工夫することにより、同相の素線コイル間に絶縁紙を挿入・配置できるようにしたので、同相の素線コイル間での絶縁耐力を向上させることができる。このとき、テーピング等のような面倒な作業は不要である。
この結果、巻線構造として単相重ね巻きを採用しても、同相の素線コイル間絶縁を強くした電動機を、短時間で大量生産することができる。
以下に、発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づき説明する。
実施例の巻線構造として、単相重ね巻き方式、4極、ステータスロット数が36溝(N1=36,Q=3の場合)としたものを、図1に示す。また図1における第1のU相巻線U1の巻線状態を図2に示す。なお図1において、S01〜S36は、固定子鉄心Iに形成したスロットである。
U相巻線としては、第1,第2のU相巻線U1,U2があり、V相巻線としては、第1,第2のV相巻線V1,V2があり、W相巻線としては、第1,第2のW相巻線W1,W2がある。各巻線U1,U2,V1,V2,W1,W2は、単相重ね巻きして構成した巻線である。
第1のU相巻線U1は3つの素線コイルU1−1,U1−2,U1−3を有しており、第2のU相巻線U2は3つの素線コイルU2−1,U2−2,U2−3を有している。このとき素線コイルU1−1〜U2−3のコイルピッチは全て等しくなっている。
第1のV相巻線V1は3つの素線コイルV1−1,V1−2,V1−3を有しており、第2のV相巻線V2は3つの素線コイルV2−1,V2−2,V2−3を有している。このとき素線コイルV1−1〜V2−3のコイルピッチは全て等しくなっている。
第1のW相巻線W1は3つの素線コイルW1−1,W1−2,W1−3を有しており、第2のW相巻線W2は3つの素線コイルW2−1,W2−2,W2−3を有している。このとき素線コイルW1−1〜W2−3のコイルピッチは全て等しくなっている。
U相のはめ込みピッチは、S01−S10(素線コイルU1−1),S02−S11(素線コイルU1−2),S03−S12(素線コイルU1−3),S19−S28(素線コイルU2−1),S20−S29(素線コイルU2−2),S21−S30(素線コイルU2−3)となっている。
しかも、図2に示すように、素線コイルU1−1と素線コイルU1−2の間に、並びに、素線コイルU1−2と素線コイルU1−3の間に、同相間絶縁用の絶縁紙Pが挟まれている。同様に、素線コイルU2−1,U2−2の間、並びに、素線コイルU2−2,U2−3間にも、同相間絶縁用の絶縁紙Pが挟まれている。なお、図2では、構造を見易くするために、絶縁紙Pを点線により図示している。
このように同相間絶縁用の絶縁紙Pを同相の素線コイル間に挟むことは、V相,W相でも同様である。
なお、同相間絶縁用の絶縁紙Pを同相の素線間コイルに挟むことができる理由は後述する。
V相のはめ込みピッチは、S07−S16(素線コイルV1−1),S08−S17(素線コイルV1−2),S09−S18(素線コイルV1−3),S25−S34(素線コイルV2−1),S26−S35(素線コイルV2−2),S27−S36(素線コイルV2−3)となっている。
W相のはめ込みピッチは、S13−S22(素線コイルW1−1),S14−S23(素線コイルW1−2),S15−S24(素線コイルW1−3),S31−S04(素線コイルW2−1),S32−S05(素線コイルW2−2),S33−S06(素線コイルW2−3)となっている。
同相間絶縁用の絶縁紙Pを同相の素線コイル間に挟むことができる理由を、図2を参照して、素線コイルU1−1,U1−2を例として説明する。
まず、素線コイルU1−1のコイルサイドを、スロットS01,S11に挿入する。次にこの素線コイルU1−1の上に絶縁紙Pを載せる。その後に、スロットS01,S11の隣のスロットS02,S12に、素線コイルU1−2のコイルサイドを挿入する。
このとき、素線コイルU1−2は、素線コイル1−1が挿入されているスロットS01,S11の隣のスロットS02,S12に挿入するだけであり、素線コイル1−1の内側に入り込ませるわけではないので、絶縁紙Pに「巻き込み」等が生ずることはなく、絶縁紙Pは素線コイルU1−1と素線コイルU1−2の間に挟まれることになるのである。
結局、素線コイルU1−1に対して素線コイルU1−2が周方向にずれて挿入・配置されるため、素線コイルU1−1の挿入、絶縁紙Pの挿入・配置、素線コイルU1−2の挿入という手順に沿い、素線コイル及び絶縁紙の挿入作業をするだけで、簡単に絶縁紙Pの配置をすることができる。
このように同相の素線コイルU1−1,U1−2に絶縁紙Pを配置することができるので、同相素線コイル間の絶縁耐力を向上することができる。
同様に、他の部分における同相素線コイル間(例えばU2−1,U2−2間等)にも絶縁紙Pを配置することができるので、同様に同相素線コイル間の絶縁耐力を向上することができる。
しかも、絶縁紙Pの挿入・配置は、素線コイルの挿入作業に併せて簡単に行うことができる。
この結果、巻線構造として単相重ね巻きを採用しても、同相の素線コイル間絶縁を強くした電動機を、短時間で大量生産することができる。
本発明は単相重ね巻きを採用した電動機の巻線のみならず、単相重ね巻きを採用した発電機の巻線にも採用することができる。また単相重ね巻きを採用した固定子巻線のみならず、単相重ね巻きを採用した回転子巻線にも採用することができる。
本発明の実施例に係る巻線構造を示す構成図。 本発明の実施例に係る巻線構造における第1のU相巻線を示す構成図。 従来の巻線構造の例を示す構成図。 従来の巻線構造の例における第1のU相巻線を示す構成図。
符号の説明
U1〜U3 U相巻線
V1〜V3 V相巻線
W1〜W3 W相巻線
I 固定子鉄心
S1〜S36 スロット

Claims (3)

  1. 三相の各相巻線を単相重ね巻きして構成してなる回転電機の巻線構造において、
    各相巻線を構成する複数の素線コイルは、コイルピッチが等しくなっており、しかも、鉄心のスロットに先に挿入される素線コイルのスロットの隣のスロットに、鉄心のスロットに次に挿入される素線コイルが挿入されており、
    先に挿入された素線コイルと次に挿入された素線コイルの間に、同相間絶縁用の絶縁紙が挟まれていることを特徴とする回転電機の巻線絶縁構造。
  2. 三相の各相巻線を単相重ね巻きして構成してなる回転電機の巻線構造において、
    各相巻線を構成する複数の素線コイルは、コイルピッチが等しくなっており、
    鉄心のスロットに先に挿入する素線コイルを挿入したら、この素線コイルの上に同相間絶縁用の絶縁紙を載せ、次に挿入する素線コイルを先に挿入した素線コイルが挿入されているスロットの隣のスロットに挿入して行くことにより、各相の巻線が構成されていることを特徴とする回転電機の巻線絶縁構造。
  3. 請求項1または請求項2において、回転電機の極数が4、鉄心のスロット数が36であることを特徴とする回転電機の巻線絶縁構造。
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