JP2008098511A - セラミックス回路基板およびこれを用いた半導体モジュール - Google Patents
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Abstract
【課題】耐食性に優れ、かつ放熱性に優れる回路基板を提供すること、及びこの回路基板を用いることで低熱抵抗でかつ高温環境化対応の冷却構造を有する半導体モジュールを提案することである。
【解決手段】 セラミックス基板2と、前記セラミックス基板2の一面に接合された金属回路板3と、前記セラミックス基板2の他面に接合された放熱金属板4とからなるセラミックス回路基板1において、前記金属回路板3と前記放熱金属板4は銅もしくは銅合金からなり、前記金属回路板3と放熱金属板4の表面が厚さ5〜100μmのアルミニウムもしくはアルミニウム合金からなる皮膜3a,4aで被覆されているセラミックス回路基板。
【選択図】図2
【解決手段】 セラミックス基板2と、前記セラミックス基板2の一面に接合された金属回路板3と、前記セラミックス基板2の他面に接合された放熱金属板4とからなるセラミックス回路基板1において、前記金属回路板3と前記放熱金属板4は銅もしくは銅合金からなり、前記金属回路板3と放熱金属板4の表面が厚さ5〜100μmのアルミニウムもしくはアルミニウム合金からなる皮膜3a,4aで被覆されているセラミックス回路基板。
【選択図】図2
Description
本発明は、セラミックス基板の一方の面に金属回路板を接合し、他方の面に放熱金属板を接合したセラミックス回路基板において、金属回路板上に発熱を伴う半導体素子を搭載し、前記素子から放熱部材への放熱性に優れ、かつ耐食性に優れたセラミックス回路基板、およびこのセラミックス回路基板を用いた半導体モジュールに関するものである。
現在、車両用分野や産業機械分野または民生用機器等の制御用電装部品には、放熱性能と電気絶縁性に優れたセラミックス回路基板が用いられている。このセラミックス回路基板は、前記回路基板に搭載された発熱素子(以下では半導体素子と表現することもある)が安定に動作するように前記素子から発生する熱を、前記回路基板を経由して熱伝導率の良好なベース板や冷却フィン言われる放熱部材へ逃がし、かつ前記素子と放熱部材を電気的に絶縁させる重要な働きをする部品である。特に近年では電装部品が増加する一途をたどっており、今後も大幅な需要が見込まれるEV、HEV、燃料電池車等の車両用への用途拡大が最も期待されている。その理由として高電圧かつ大電流動作が可能なIGBTやMOS−FET等のパワーエレクトロニクスに代表される半導体用素子の搭載が可能なことによるものである。このような半導体モジュールでは年々要求される動作電圧・電流や動作周波数は増加する傾向をしめしている。したがって前記のようなモジュールに用いられるセラミックス回路基板には高放熱性が求められている。
現在では前記セラミックス回路基板として、高耐絶縁性と高熱伝導率を有する窒化アルミニウム基板や窒化珪素等のセラミックス基板に、銅やアルミニウムといった熱伝導の良好な金属を接合したものが多用されている。中でも高強度を有する窒化珪素基板は高強度・高靭性を併せ持つことから、信頼性の観点から今後の需要拡大が注目される。セラミックス回路基板であるが、一般的には一方の面に電気回路となる金属回路板を接合し、他方の面に放熱用の金属板を接合した構造を有している。また前記金属板には銅又はアルミニウムを主成分とした金属板を用いて、ろう材による活性金属法や、直接接合する、いわゆるDBAやDBCといった方法でセラミックス基板と接合される。また金属回路板には電気回路がエッチング等により形成され、各種素子や外部との電気信号の授受を行うための端子等が接続される。更に、このセラミックス回路基板の放熱金属板は、既述した放熱部材に固着してモジュールとして使用される。ここで前記素子や放熱部材との接合には概略次の2種類の接合構造が各々の用途に応じて用いられている。第一の接合構造として、前記素子や放熱部材との接合に、はんだを用いたことを特徴とする直接冷却構造である。第二の接合構造は、前記素子との接合にはんだ接合を用い、放熱部材との接合には高熱伝導性のグリース等を用いた間接冷却構造である。
前記直接冷却構造においても近年のIGBTやMOS−FET等のパワーエレクトロニクスに代表される半導体用素子のハイパワー化ならびに高密度実装の要求から、その高放熱化の要求は強く、この要求に答えるため金属板自体の熱伝導を高めることが必要となってきており、金属板材質として熱伝導に優れた銅もしくは銅合金のニーズが高い。また、冷却効率を高めるため、放熱金属板を冷却フィン形状としたパワーモジュールも報告されている。さらに、パワーモジュールのハイパワー化に伴い、回路基板の回路パターンに流れる電流も年々増加する傾向にあり、回路パターン用の金属材料には電気伝導の高い金属を適用する必要がある。上記の理由から、電気伝導と熱伝導の両特性の優れた銅がセラミックス基板の両面に接合される金属回路板並びに放熱金属板の材料として最適である。
特開平5−6949号公報
特開2001−24296号公報
一方、銅は耐食性に劣ることからハイブリット車等過酷な環境下におかれる用途においてはその腐食の対策が大きな課題となっている。腐食対策として、銅表面にニッケルめっきを被覆することが従来行われているが、以下の課題がある。
ニッケルの標準電極電位は−0.25Vであり、銅の標準電極電位(+0.34V)に比較して低いため、銅板上にニッケルめっきを施した場合、電極電位的に銅よりも卑であるニッケルが銅よりも錆びやすくなることで銅の酸化を抑制する、いわゆる犠牲電極として作用することで防食するといわれている。しかし、実際にはニッケルは大気中では極めて酸化し易く、その結果、ニッケル表面に緻密な酸化ニッケルが生成し、見かけ上ニッケル皮膜は銅よりも電極電位的に貴となり、犠牲電極として機能しなくなる。その結果ニッケル皮膜にピンホールが存在すると、ニッケル表面に生成した酸化ニッケルよりも電極電位的に卑となる銅が錆びるという課題がある。
前述したように、今後の更なるパワーモジュールの大容量化、小型化に対応するため熱抵抗が極めて低く、かつ耐腐食性に優れたセラミックス回路基板が求められている。特に腐食性に関してはこれまで本用途に関してはニッケル被覆以外の手段がほとんど検討されておらず、さらなる耐腐食性に優れた被覆方法が求められている。
本発明の目的は、耐食性に優れ、かつ放熱性に優れる回路基板を提供すること、及びこの回路基板を用いることで低熱抵抗でかつ高温環境化対応の冷却構造を有する半導体モジュールを提案することである。
第1の発明は、セラミックス基板と、前記セラミックス基板の一面に接合された金属回路板と、前記セラミックス基板の他面に接合された放熱金属板とからなるセラミックス回路基板において、前記金属回路板と前記放熱金属板は銅もしくは銅合金からなり、前記金属回路板と放熱金属板の表面が厚さ5〜100μmのアルミニウムもしくはアルミニウム合金からなる皮膜で被覆されていることを特徴とするセラミックス回路基板である。
第1の発明でアルミニウムもしくはアルミニウム合金からなる皮膜は電気アルミニウムめっき法により形成することができる。
第2の発明は前記セラミックス回路基板の前記金属回路板に半導体素子を接合し、前記放熱金属板に放熱部材を接合してなることを特徴とする半導体モジュールである。
銅板の被覆材質として、アルミニウムを用いた場合、例えピンホールといった欠陥がアルミニウム皮膜中に存在してもアルミニウムは標準電極電位が−1.66Vと極めて低いことから理想的な犠牲電極として作用し、自らが酸化・腐食することで銅板の腐食防食を最小限に抑制することができる。皮膜となるアルミニウムの防食性能を確保するためには、5μm以上の厚みを確保する必要がある。5μm未満の厚みの場合、皮膜中のピンホールが多数存在するため、充分な耐食性が得られない。一方、アルミニウム皮膜の厚みが100μmを超えると回路パターン精度が低下し、所定の回路パターンを形成することが困難になる。
第1の発明において使用するアルミニウム皮膜の形成方法について説明する。従来技術によるアルミニウムの製法はPVDなどのドライ法が主流である。しかしドライ法はその原理ゆえ、金属源から一定方向に析出させることしかできない。従って加工品に成膜する場合は対象物を常に移動させるか、金属源を移動させながら成膜しなければならず、実用的には困難であった。また方向性のある析出ゆえにピンホールのでき易い皮膜となり、厚膜化してもピンホールを減少させることが困難であった。そこで発明者らはこれらを鑑み電気アルミニウムめっきによる成膜でこれらを解決できることを見出した。
電気アルミニウムめっきプロセスによれば、銅板との密着性に優れ、かつ耐食性に必要な5μm以上の厚みを容易に成膜することができる。なお、形成されたアルミニウムめっき皮膜中には若干の炭素、塩素、イオウ等の不純物が混入するが本発明の目的である犠牲電極としての特性を損ねるものではない。
電気アルミニウム液は、溶媒としてジメチルスルホンを金属塩として塩化アルミニウムからなる。ジメチルスルホンと塩化アルミニウムの濃度は、3:1〜5:1で調整される。大気からの水分溶け込みを極力避けるために、窒素などの不活性ガス雰囲気下でめっきすることが望ましい。まためっき温度は90〜140℃が望ましく、好ましくは110〜120℃である。90℃より低いとめっき液が凝固し始めるためめっきができなくなる。また140℃より高くなるとジメチルスルホンが熱分解をしやすくなるため、めっきができなくなる。めっき時の電流密度は、10〜100mA/cm2が望ましく、好ましくは30〜80mA/cm2である。10mA/cm2より小さいとめっき析出速度が遅すぎるため実用的ではない。また100mA/cm2より大きいとアルミニウムイオン供給律速となり、めっきヤケ等の不具合が発生しやすくなる。
本発明のセラミックス回路基板では、比較的厚い銅板を接合するため、機械的強度に優れ、かつ熱伝導にも優れたセラミックス材質が望ましく、前記セラミックス基板の特性が、熱伝導率が60W/mK以上、かつ3点曲げ強度が600MPa以上、かつ破壊靭性値が5.0MPa√m以上であることが好ましい。
本発明のセラミックス回路基板では、前記セラミックス基板の熱伝導率が90W/mK以上の窒化珪素質セラミックスからなることが好ましい。これは既述したようにセラミックス基板には放熱性を良好にするために、熱伝導率の高い材料を用いることは勿論であるが、セラミックス基板のクラック進展阻止などの機械的信頼性を確保するために強度や特に破壊靭性値が大きな材料を用いることが低熱抵抗化に必要不可欠なことである。近年、熱伝導率は劣るが、高強度酸化物セラミックスであるアルミナやジルコニアの薄板を用いて、セラミックス回路基板を構成する提案も認められるが、この理由は機械的信頼性確保のためと考えることができる。
本発明のセラミックス回路基板では、前記特性を満足する窒化珪素を用いた回路基板も提供するものであり、前記特性を発現させるためには、回路基板として用いる高熱伝導窒化ケイ素質焼結体について、窒化ケイ素を主成分とし、マグネシウム(Mg)を酸化マグネシウム(MgO)換算して、周期律表第3a族元素(RE)を酸化物(RExOy)換算して、その合計量が0.5〜5.0体積%、MgO/RExOyで表される体積比が1〜50の割合で含有であることを特徴とする。ここで、周期律表第3a族元素としては、Y、La、Ce、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等が挙げられる。
本発明の高熱伝導窒化ケイ素質焼結体において、周期律表第3a族元素を酸化物換算して、0.1体積%以上含有すること、アルミニウム(Al)を酸化アルミニウム(Al2O3)に換算して、0.1体積%以下に抑えることが望ましい。また、焼結体中のβ型窒化ケイ素粒子のうち短軸径5μm以上を持つものの割合が、10体積%未満であること、β型窒化ケイ素粒子のアスペクト比が15以下であることが望ましい。
また、本発明の高熱伝導窒化ケイ素質焼結体の製造方法は、窒化ケイ素粉末に、焼結助剤として酸化マグネシウム(MgO)と、周期律表第3a族元素(RE)の酸化物(RExOy)を、その合計量が0.5〜5.0体積%、MgO/RExOyで表される体積比が1〜50の割合で添加して成形した後、1〜10気圧の窒素ガス圧下で、1650〜1950℃の温度で焼成することを特徴とする。熱伝導率をさらに高めるため、前記焼成した後、1〜10気圧の窒素ガス圧下で1850〜1950℃の温度で熱処理をすることが望ましい。成形は金型プレス、鋳込み成形、ドクターブレード法など公知の成形手段により所望のシート状あるいはブロック状に成形する。窒化ケイ素粉末原料として、β−Si3N4含有率が10重量%以下の窒化ケイ素粉末を用いることが好ましい。
マグネシウムは、焼結助剤として用いられ、窒化ケイ素原料粉末の緻密化に有効である。この元素は、窒化ケイ素質焼結体を構成する第1ミクロ組織成分である窒化ケイ素粒子に対する固溶度が小さいので、窒化ケイ素結晶、ひいては窒化ケイ素質焼結体の熱伝導率を高い水準に保つことができる。
周期律表第3a族元素のイットリウム(Y)は、焼結助剤として用いられ、窒化ケイ素原料粉末の緻密化に有効である。この元素は、窒化ケイ素質焼結体を構成する第1ミクロ組織成分である窒化ケイ素結晶に対する固溶度が小さいので、窒化ケイ素結晶、ひいては窒化ケイ素質焼結体の熱伝導率を高い水準に保つことができる。イットリウム同様に窒化ケイ素結晶に対する固溶度が小さく、焼結助剤として作用する元素には、La、Ce、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等の希土類元素が挙げられ、なかでも温度、圧力が高くなり過ぎずに焼成ができる点でLa、Ce、Gd、Dy、Ybが好ましい。
マグネシウムを酸化マグネシウム換算して、周期律表第3a族元素を酸化物換算して、その合計量が0.5体積%未満では、焼結時の緻密化作用が不十分となり、相対密度が95%未満となり好ましくない。一方5.0体積%を超えると、窒化ケイ素質焼結体の第2のミクロ組織成分である熱伝導率の低い粒界相の量が過剰となり、焼結体の熱伝導率が60W/(m・K)未満となる。従って、これらの酸化物はその合計量で0.5〜5.0体積%含有する。好ましくは合計量で0.5〜3.5体積%含有する。
また、周期律表第3a族元素を酸化物換算して、0.1体積%未満では焼成時におけるMgの拡散を抑制することができず焼結体表面に色むらを生じる。また、MgOの蒸気圧は焼結助剤として用いる他の希土類酸化物よりも高いため、1800℃以上の高温で焼成を行う場合には、Mg成分が焼結体内部より揮発し易くなり著しい密度低下が生じるため、0.1体積%を下まわらないことが好ましい。
酸化マグネシウム(MgO)と、周期律表第3a族元素の酸化物(RExOy)の体積比MgO/RExOyが1未満では、粒界ガラス相中の希土類酸化物の割合が増大するため焼結過程で液相線温度が上昇し難焼結性となり緻密な焼結体が得られない。また、MgO/RExOyが50を超えると焼成時においてMg成分の系外への飛散を抑制することができず焼結体表面に色むらを生じる。この傾向が過度な場合は、窒化ケイ素粒子の間隙を埋める粒界相成分が欠乏し、ボイドが生成するため焼結体の熱伝導率ならびに強度、破壊靱性が低下する問題生じる。特に、0.32mm以下の薄いセラミックス基板を焼成する過程ではこの傾向が強くなる。このため、焼成容器中のMg蒸気分を一定に制御するために、目的とするMgO量に対して、原料粉末の配合組成でMgO量を多くするか、あるいはMgO/RExOy比に対して、RExOy量を多くすることで、上記の問題を解消することができる。
また、セラミックス基板中に含有されるアルミニウム(Al)は窒化ケイ素粒子に固溶しやく、熱伝導率を著しく低下させるので、酸化アルミニウム(Al2O3)に換算して、0.1体積%以下に抑えるのが望ましい。
前述したように、今後の更なるパワーモジュールの大容量化・小型化に対応するための低熱抵抗でかつ信頼性、特に耐食性に優れたセラミックス回路基板が求められている。本発明は、前記課題を解決するセラミックス回路基板を提案するものである。
以下、本発明の具体的な実施例を説明する。ただし、これら実施例により本発明が限定されるものではない。
本発明のセラミックス回路基板1(以下では回路基板と表現することがある)について説明する。図1〜図3は本発明のセラミックス回路基板1の一例を示した外観断面図である。図1においてセラミックス回路基板1は、セラミックス基板2とその上面に接合された金属回路板3と、下面に接合された放熱金属板4とを備え、セラミックス基板2と金属板3、4とは、直接接合法またはろう材接合法等で接合されている(図1)。次に金属回路板3と放熱金属板4の表面をアルミニウム皮膜10もしくはアルミニウム合金皮膜10にて被覆する(図2)。さらに図3に示すように金属回路板3上に発熱素子やボンディングワイヤー(図示せず)を搭載し、前記素子への電力供給もしくは外部との電気信号を授受するための接続端子(図示せず)を作成する。この回路部は、金属回路板3からエッチング等などで形成する。同様に放熱金属板4の沿面部も絶縁確保のため、エッチング除去により形成される。場合によっては信頼性確保のために、放熱金属板4に回路パターンを形成する場合もある。次いで金属回路板上および放熱金属板上にはアルミニウム皮膜もしくはアルミニウム合金皮膜3a,4aを形成する。そして、金属回路板3上に半導体素子6がはんだ7を介して実装され、一方、放熱金属板4はベース板や放熱フィン等の放熱部材5にはんだ8を介して接合される。そして放熱部材の下部は直接冷却媒体と接するか、またはグリース等を介して、別の放熱部材に固着させ、モジュールを構成する。間接冷却構造においては、はんだ8の代わりにグリース等が用いられ、ネジ止め等で固定される構造になる。
(実施例)
まず本発明で作製したセラミックス回路基板の構成を表1に示す。セラミックス基板2としては、特に窒化珪素に限定されるものではなく、高絶縁耐圧性と低誘電損失を併せ持ち、熱伝導率の高い窒化アルミニウム(AlN)基板や、その他の窒化物、硼化物、酸化物、炭化物やこれらの複合化合物の絶縁基板を用いることができる。また機械的信頼性をより高めたい場合には、強度・靭性も高い材料を用いたほうが好ましい。本実施例では金属回路板3および放熱金属板4に無酸素銅圧延板を用いた場合を示すが、その他の熱伝導に優れた銅合金を用いても良く、その効果と傾向はほとんど同じである。
まず本発明で作製したセラミックス回路基板の構成を表1に示す。セラミックス基板2としては、特に窒化珪素に限定されるものではなく、高絶縁耐圧性と低誘電損失を併せ持ち、熱伝導率の高い窒化アルミニウム(AlN)基板や、その他の窒化物、硼化物、酸化物、炭化物やこれらの複合化合物の絶縁基板を用いることができる。また機械的信頼性をより高めたい場合には、強度・靭性も高い材料を用いたほうが好ましい。本実施例では金属回路板3および放熱金属板4に無酸素銅圧延板を用いた場合を示すが、その他の熱伝導に優れた銅合金を用いても良く、その効果と傾向はほとんど同じである。
まずセラミックス回路基板1の製造方法について述べるが、その製造方法・条件は下記の内容に限定されるものではない。まずセラミックス基板として、窒化珪素基板を用いた場合について示す。まず窒化ケイ素粉末を主成分とする原料粉末に酸化物系のマグネシア(MgO)、イットリア(Y2O3)のセラミックス焼結助剤粉末を加え、これに更に分散剤、粘結助剤、溶剤等を添加しボールミル混合で、所定粘度のスラリーを作製した。次に脱泡工程を経て、前記スラリーの粘度を更に基準範囲内に調整した。その後シート成形法によりグリーンシートを作製し、焼結後の厚みが0.32mmとなるようにシートを作製した。完成したシートは適切なサイズに切断後、脱脂処理および焼結工程を経てセラミックス基板の焼結体(以下では単にセラミックス基板と示す)とした。その後、脱脂前にセラミックス基板表面に塗布した潤滑物質をブラスト処理で基板表面の平滑化と清浄化を行った。このようにして得られた基板は、レーザー加工により加工され、所望の基板形状2を得た。この後、活性金属法により金属板とセラミックス基板をろう付接合した。セラミックス基板2の特性は、3点曲げ強度700MPa以上、熱伝導率が90W/(m・K)程度、破壊靭性値が6MPa√mであった。ちなみにセラミックス基板であるが、焼結条件により熱伝導率が120W/(m・K)、のものから60W/(m・K)のものまで用途に応じて作製することが可能である。次に、金属回路板および放熱回路板となる銅板をろう付によりセラミックス基板と接合した。ろう材としてはAg・Cu・Ti粉末を用い、この粉末とバインダーを混ぜたペーストをセラミックス基板表面にスクリーン印刷し、基板の上下に銅板をセットし、真空中800℃で接合した。なお、銅板は0.6mmの厚みのものを使用した。作成した接合体に、感光性レジストを使用し、表裏の金属板表面に所望のレジストパターンを形成した。その後湿式エッチングにより、金属板の不要部を除去し、所望の金属回路パターンを形成した。更に、不要なろう材を除去する工程を経て、50×30mmサイズのセラミックス回路基板1を作製した。
次に以下に説明する工程により金属回路板および放熱金属板表面にアルミニウム皮膜を形成した。
[めっき工程]
まずめっき前処理工程として脱脂を施した。脱脂液はZ−200(ワールドメタル社製)など市販されている銅用脱脂液であれば特に限定されない。室温で約1分浸漬した後、十分に水洗した。次に10%硫酸水溶液に約1分浸漬して銅酸化膜を除去した。水洗後ブロー乾燥し、電気アルミニウムめっきによりめっきした。めっき後水洗しブロー乾燥した。上記の条件により、アルミニウム皮膜の厚みが5μm〜100μmの回路基板を試作した。なお、比較のため、アルミニウム皮膜が3μmの回路基板も試作した。また、アルミニウム皮膜の厚みが100μmを超えると回路パターンの精度が悪くなり、評価可能な基板を作成することができなかった。
[めっき工程]
まずめっき前処理工程として脱脂を施した。脱脂液はZ−200(ワールドメタル社製)など市販されている銅用脱脂液であれば特に限定されない。室温で約1分浸漬した後、十分に水洗した。次に10%硫酸水溶液に約1分浸漬して銅酸化膜を除去した。水洗後ブロー乾燥し、電気アルミニウムめっきによりめっきした。めっき後水洗しブロー乾燥した。上記の条件により、アルミニウム皮膜の厚みが5μm〜100μmの回路基板を試作した。なお、比較のため、アルミニウム皮膜が3μmの回路基板も試作した。また、アルミニウム皮膜の厚みが100μmを超えると回路パターンの精度が悪くなり、評価可能な基板を作成することができなかった。
本実施例では前記セラミックス回路基板を用いた、簡易モジュールを作製し、その特性を評価した。そこで簡易モジュールの作製方法について述べる。目的はモジュール構造における熱抵抗低減効果と耐食性の効果を確認するためである。まず3mmtで無酸素銅板のベース板を用意し、セラミックス回路基板の素子実装部およびベース板の放熱金属板接合部に、はんだペーストを印刷した。なお前記印刷部の外周部にはあらかじめ、はんだレジストを形成しておいた。その後リフロー工程を経て、半導体素子IGBTとFWDとを回路基板とベース板の接合体を得た。この後、端子の付いた樹脂製のケースと前記回路基板の接合体を接着した後、超音波接合によりボンディングワイヤーで、素子と金属回路板および端子間を電気的に接続した。更に回路部と素子の保護のために、樹脂モールドを行った。最後に回路基板の絶縁を確認し、簡易モジュールを作製した。前記モジュールの熱抵抗測定方法であるが、まず直接冷却構造の熱抵抗値を評価するために、前記モジュールを銅製の水冷ジャケット(室温、水温約20℃)に組み込み前記ベース板下面が直接冷却水に接するように、ベース板と水冷ジャケットをネジ締め固定した。尚、実際のモジュール構造では、前記ベース板自体が冷却フィン構造を有する場合が十分考えられるが、ここではまず、簡易直接冷却構造の熱抵抗評価について示すものとする。半導体素子には、専用の熱抵抗テスターを用いて、所定値の電流・電圧を所定時間印加後のPN接合部の順方向電圧値から、事前に測定した検量線を用いて飽和熱抵抗値を求め、モジュールの熱抵抗とした。
耐食は以下の試験方法にて評価を行った。作成した簡易モジュールを80℃85%相対湿度の環境下にセットし、この状態で半導体素子に通電し、1000時間後に簡易モジュールを取り出し、外観上、金属回路パターン上に腐食があるかを調べた。
表1に本実施例により作製したセラミックス回路基板の一覧を示す。表1において、No1〜No4は本発明の実施例、No5〜7は比較例である。No1〜No4の本発明においては被覆するアルミニウムの厚みの影響を調べた。比較例ではNo5では被覆するアルミニウムの厚みが薄い場合を、No6では被覆する材質がニッケルの場合を、No7ではセラミックス基板に接合する金属材質をアルミニウムにした場合を調べた。まず本発明のNo1〜No4では、いずれの場合も熱抵抗は0.25〜0.26℃/Wと極めて低く放熱性が良好であることがわかる。また、耐食性はいずれの場合も腐食は観察されず、本発明においては熱抵抗、耐食性共に良好な結果が得られることが確認できた。
一方、比較例においては、No5では熱抵抗は0.25℃/Wと低いものの、耐食性試験においては試験後、金属回路板の上面に銅の酸化によると思われる錆が観察され、アルミニウム皮膜が5μm未満と薄い場合には耐食性が確保されないことがわかる。No6では熱抵抗は低いものの、皮膜材質がニッケルのためNo5同様の錆が観察された。No7の金属板材質をアルミニウムとした場合は、ニッケル皮膜中のピンホールを介してアルミニウムの白錆が観察され耐食性は良好なものの熱抵抗が本発明よりも10%以上高く良好な放熱性が確保できないことがわかる。
以上から本発明の請求項にて定義したアルミニウム被覆の厚みとすることにより、放熱性に優れ、かつ耐食性にも優れた回路基板並びにこの回路基板を搭載したパワーモジュールを提供することが可能となった。
以上実施例を示したが、これらは本発明における実施の形態の一例である。また、本実施例では金属回路板と放熱金属板のほぼ全面にアルミニウム被覆を行った場合の結果を示したが、特に耐食性が要求される部分に局所的にアルミニウム引被覆を行った場合等に関しても同様の効果がある。いずれにしても、本発明を実施したセラミックス回路基板および、前記回路基板を用いたモジュールとすることにより、高放熱性に優れ、なおかつ信頼性、特に耐食性に優れたパワー半導体モジュールを提供することができる。
1:セラミックス回路基板
2:セラミックス基板
3:金属回路板
3a,4a:アルミニウム皮膜(又はアルミニウム合金皮膜)
4:放熱金属板
5:放熱部材
6:半導体素子
7:はんだ1
8:はんだ2
2:セラミックス基板
3:金属回路板
3a,4a:アルミニウム皮膜(又はアルミニウム合金皮膜)
4:放熱金属板
5:放熱部材
6:半導体素子
7:はんだ1
8:はんだ2
Claims (3)
- セラミックス基板と、前記セラミックス基板の一面に接合された金属回路板と、前記セラミックス基板の他面に接合された放熱金属板とからなるセラミックス回路基板において、前記金属回路板と前記放熱金属板は銅もしくは銅合金からなり、前記金属回路板と放熱金属板の表面が厚さ5〜100μmのアルミニウムもしくはアルミニウム合金からなる皮膜で被覆されていることを特徴とするセラミックス回路基板。
- アルミニウムもしくはアルミニウム合金からなる皮膜は電気アルミニウムめっき法により付与されることを特徴とする請求項1に記載のセラミックス回路基板。
- 前記セラミックス回路基板の前記金属回路板に半導体素子を接合し、前記放熱金属板に放熱部材を接合してなることを特徴とする半導体モジュール。
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2006
- 2006-10-13 JP JP2006280422A patent/JP2008098511A/ja active Pending
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