JP2008093545A - ヨウ素の吸着および回収方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】不溶性のCDまたはその誘導体、CDPを有効成分とするヨウ素吸着剤を調製し、カン水等に含まれるヨウ素を吸着することでヨウ素の回収を行う。
【選択図】なし
Description
また、鉄を担持したチタン酸アルカリに接触させることで、ヨウ素を回収する方法(例えば、特許文献1参照)や、イオン交換樹脂吸着法をベースとした、油田カン水からヨウ素を得る方法も開発されている(例えば、特許文献2参照)。
本発明者らは、このようなヨウ素およびCDの関係に着眼して、カン水等に含まれるヨウ素をCDで包接することにより、ヨウ素を吸着させ、さらに回収ができるか否かを検討している。カン水等からのヨウ素の吸着および回収において、CDを用いることを検討したのは、本発明が初めてのことである。
さらに、本発明のヨウ素の回収方法では、吸着したヨウ素の回収にあたり、NaOH、NaHSO3、SO2水溶液等の薬剤を必要としないため、有効成分であるCDやその誘導体が劣化しにくく、ヨウ素の吸着および回収に繰り返し用いることができる。また、使用後のヨウ素吸着剤を廃棄する場合でも、不溶性のCDやその誘導体は毒性がないので埋設のみで処理できるという利点がある。
(1)不溶性のCDまたはその誘導体を有効成分として含むヨウ素吸着剤。
(2)CDのポリマーである上記(1)に記載のヨウ素吸着剤。
(3)CDがαCDである上記(1)または(2)に記載のヨウ素吸着剤。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載のヨウ素吸着剤を用いるヨウ素の吸着方法。
(5)次の工程(a)、(b)からなる上記(4)に記載のヨウ素の吸着方法
(a)ヨウ素を含む溶液と、ヨウ素吸着剤を混合する
(b)溶液に含まれるヨウ素をヨウ素吸着剤に吸着する。
(6)上記(1)〜(3)のいずれかに記載のヨウ素吸着剤を用いるヨウ素の回収方法。
(7)次の工程(a)〜(d)からなる上記(6)に記載のヨウ素の回収方法
(a)ヨウ素を含む溶液と、ヨウ素吸着剤を混合する
(b)溶液に含まれるヨウ素をヨウ素吸着剤に吸着する
(c)ヨウ素吸着剤に吸着したヨウ素を脱離する
(d)脱離したヨウ素を回収する。
(8)ヨウ素の脱離方法が、加圧加熱、有機酸あるいは無機酸添加または水蒸気蒸留のいずれかである上記(7)に記載の方法。
ヨウ素を含む溶液を対象とする場合には、水に不溶なCDまたはその誘導体を用いることが重要である。例えば、エピクロロヒドリンや多価グリシジルエーテル等の架橋剤にて高分子化した、CDポリマー(以下、CDPとする)、キトサン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポロプロピレン、ポリエチレングリコール等の高分子やシリカゲル等の無機体にCDを化学修飾等により固定化したCD修飾樹脂やCDモノマーのトリアセチル体等を用いることが適している。「ヨウ素吸着剤」に含まれるCDとしては、αCDを用いることが好ましく、特にαCDのポリマーであることが好ましい。CDPは繰り返し再利用できるため、経済的である。
[参考文献1] 特開2006−143953号公報
[参考文献2] 日本化学会誌,1987,(6),1040−1046
また、本発明の「ヨウ素の回収方法」とは、上記の「ヨウ素の吸着方法」によってヨウ素を吸着したCDまたはその誘導体より、ヨウ素を回収することをいう。CDまたはその誘導体に吸着したヨウ素を回収する方法としては、ヨウ素を吸着したCDまたはその誘導体、例えばCDP等をそのまま水の中に浸漬せしめ、加熱溶融することによって行うことができる。またはそのまま水蒸気蒸留することにより吸着したヨウ素を水蒸気と一緒に取り出すことができる。その他にも、ベンゼン、ピリジン、ヘキサン、シクロヘキサン、メタノール、エタノール等の炭化水素系溶媒、酢酸、フェノール、塩酸、硫酸等の有機および無機酸とそれらの塩を用いることにより、ヨウ素を回収することができる。
以下、本発明の詳細を実施例等で説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
ヨウ素吸着剤に含む有効成分として、αCDP、βCDPおよびγCDPを次の方法によって作成した。また、αCD+βCD複合P、βCD+γCD複合PおよびγCD+αCD複合Pを作成した。
ここで、αCD+βCD複合Pとは、αCDとβCDを各質量混合したものを、エピクロロヒドリン等と反応させ、ポリマーとしたもののことをいう。βCD+γCD複合PおよびγCD+αCD複合Pも同様である。
1Lの丸形セパラブルフラスコと3ツ口セパラブルカバーを組み合わせた容器に、40%(w/v)水酸化ナトリウム水溶液200mLに表1に示した質量のCD(シクロケム製)と非晶質ケイ酸60gを溶解させた溶液を入れ、65℃で、フッ素樹脂製攪拌羽根(ラウンド型50mm幅、400rpm)で攪拌しながら、エピクロロヒドリン45.6gを滴下し加えた。そのままの温度、攪拌条件下で8時間反応させ、析出物をろ過し、さらに洗浄水が中性になるまでろ過洗浄を行った後、真空乾燥した。これらのCDPをそのままヨウ素吸着剤とした。
次の1)〜3)の手法により擬似カン水を調製した。
1)ヨウ化ナトリウム(NaI=149.89)を236.3mg(ヨウ素(I2) 100mg含有)量り取り、1Lの水を加え、ヨウ素含有量=約100ppm=0.01%の水溶液を調製した。
2)ヨウ素に対して有効塩素が1.1モル当量になるように、攪拌(スターラー)下で次亜塩素酸ナトリウム溶液(NaClO=74.44、有効塩素約5%)を1142.5μL加えた。
3)約1Mの塩酸を1025μL加え、pHが中性付近(pH6.5−7.2)になるよう調整し、5分間攪拌させて、擬似カン水を得た。
次の1)〜6)の手法により各ヨウ素吸着剤におけるヨウ素吸着率を測定した。
1)上記実施例1で調製した擬似カン水を100g×7個に分け、それぞれ測定用サンプルとした。
2)ブランク(0h)用のサンプルから50g量り取り、0.01molチオ硫酸ナトリウムで滴定した。このときのヨウ素濃度をAとした。
3)他のビーカーのそれぞれに、αCDP、βCDP、γCDP、αCD+βCD複合P、βCD+γCD複合P、γCD+αCD複合Pを100mgずつ入れて4h攪拌した。
4)3)の試験液をろ紙を用いて自然ろ過した。
5)4)のろ液約50gを量り取り、0.01molチオ硫酸ナトリウムでヨウ素濃度滴定した。このときのヨウ素濃度をBとした。
6)次の式1の計算式を用いて吸着率を算出した。
表2に示すように、いずれのCDPでもヨウ素が吸着されることが確認できた。このうち、特にαCDPを用いた場合に吸着率が高かった。
次の1)〜6)の手法により各ヨウ素吸着剤におけるヨウ素吸着率を測定した。
1)上記実施例1で調製した擬似カン水を120g入れ、これをブランク溶液とした。
2)チオ硫酸ナトリウム(0.01mol)を用いてブランク溶液のヨウ素濃度を滴定した。このときのヨウ素濃度をAとした。
3)予めαCDP120mgを入れたビーカーを上記1)とは別に6個用意し、上記実施例1で調製した擬似カン水を120g入れ、それぞれ測定用サンプルとした。
4)3)の測定用サンプルは、それぞれの吸着時間攪拌後、ろ過してαCDPを取り除いた。
5)ろ液を量り取り、チオ硫酸ナトリウム(0.01mol)でヨウ素濃度を滴定した。このときのヨウ素濃度をBとした。
6)上記実施例2で示した式1の計算式を用いて吸着率を算出した。
表3に示すように、0.25hで60%以上の吸着が見られた。2時間経過後には90%をこし、24時間で95%以上の吸着率が示された。これによりαCDPは高いヨウ素吸着能を有することが示された。
ヨウ素を10%吸着(包接)したαCDP1kgを水10リッターの入った20リッター耐熱耐圧ガラス容器に入れ、このものを加圧密閉下、加熱により120℃−130℃2時間加熱後、(ヨウ素を分離したαCDPはガラス容器の中で、ヨウ素と2層をなし、αCDPはヨウ素の上に浮いた状態になる)下部ノズルより、αCDPから分離し容器底に溶融したヨウ素を115−120℃に加熱保温したノズルより取り出し、琺瑯容器に受ける。このものを十分冷却後、固形ヨウ素として取り出した。純度99.9%の固形ヨウ素が98g得られた。ヨウ素の回収率は98%であった。
ヨウ素を10%吸着(包接)したαCDP1kgを水7リッターの入った20リッターガラス容器に入れる。上部を開放型とし、上部ノズルから濃硫酸10リッターを加え(ギルビン法)、120℃ー130℃外部加熱(ヨウ素を分離したαCDPはヨウ素と2層をなし、αCDPと濃硫酸水溶液はヨウ素の上層にくる)により以下同様に115−120℃に加熱保温した下部ノズルよりヨウ素取り出し、溶融ヨウ素を琺瑯容器に受ける。このものを十分冷却後固形ヨウ素として取り出した。純度99.8%の固形ヨウ素が95g得られた。ヨウ素の回収率は95%であった。
ヨウ素を10%吸着(包接)したαCDP1kgを水10リッターの入った20リッターガラス容器に入れ、ジャケット加熱により内温を70−100℃にまで上昇させながらヨウ素を水蒸気と一緒に蒸留し、このものを隣接する10リッター入りガラス釜の水面下に差し込まれたガラス管を通して冷却しヨウ素を沈殿させる。
ヨウ素が流出しなくなった時点を終点とし、ろ過後、未乾燥ヨウ素を95−105℃で5時間乾燥機にて乾燥後秤量したところ純度99.9%の固形ヨウ素95gが得られた。ヨウ素の回収率は95%であった。
Claims (8)
- 不溶性のシクロデキストリン(CD)またはその誘導体を有効成分として含むヨウ素吸着剤。
- CDのポリマーである請求項1に記載のヨウ素吸着剤。
- CDがαCDである請求項1または2に記載のヨウ素吸着剤。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のヨウ素吸着剤を用いるヨウ素の吸着方法。
- 次の工程(a)、(b)からなる請求項4に記載のヨウ素の吸着方法
(a)ヨウ素を含む溶液と、ヨウ素吸着剤を混合する
(b)溶液に含まれるヨウ素をヨウ素吸着剤に吸着する。 - 請求項1〜3のいずれかに記載のヨウ素吸着剤を用いるヨウ素の回収方法。
- 次の工程(a)〜(d)からなる請求項6に記載のヨウ素の回収方法
(a)ヨウ素を含む溶液と、ヨウ素吸着剤を混合する
(b)溶液に含まれるヨウ素をヨウ素吸着剤に吸着する
(c)ヨウ素吸着剤に吸着したヨウ素を脱離する
(d)脱離したヨウ素を回収する。 - ヨウ素の脱離方法が、加圧加熱、有機酸あるいは無機酸添加または水蒸気蒸留のいずれかである請求項7に記載の方法。
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