しかしながら、上記特許文献3に記載されたような液中表面加工装置を、上記特許文献1及び特許文献2に記載されたような線材・棒材のスケール除去に応用した場合には、研磨材としては一般的に角張った微粒子が用いられるため、線材・棒材の表面を傷付け易く断線の原因となる恐れがあり、また角張った微粒子は衝突の衝撃で割れ易いため連続使用が実際は困難であり、定期的に新たな研磨材を補充しなければならない。更に、線材・棒材のスケール除去においては線材・棒材を巻き取りながら加工する必要があり、線材・棒材を回転させながら加工することが不可能であるため、上記特許文献3に記載されたような噴射ノズルでは線材・棒材の外周面を満遍なくブラスト処理することができないという問題点があった。
そこで、本発明は、研磨材として液体中に球状ジルコンビーズを始めとする真球に近い球状の微粒子を混入して、かつ1または2以上の噴射ノズルを線材・棒材の外周面の全面に噴射するように設置固定しまたは移動させることによって、線材・棒材に傷を付けることがなく、スケール除去効率も高く、著しく低コストで満遍なくスケールを除去することができるスケール除去装置及びスケール除去方法を提供することを課題とする。
請求項1の発明にかかるスケール除去装置は、長尺の丸棒状の被加工材の表面に生じているスケールを除去する装置であって、液体を所定の高さまで満たすことのできる装置本体と、前記装置本体の側面に設けられた前記丸棒状の被加工材を前記装置本体内に入れるシールされた被加工材入口と、前記装置本体の側面の前記被加工材入口とほぼ同じ高さで前記被加工材入口とほぼ対称の位置に設けられた前記丸棒状の被加工材を前記装置本体内から取出すシールされた被加工材出口と、前記被加工材入口及び前記被加工材出口を結ぶ線から所定の距離だけ離して前記装置本体内の前記液体が満たされる所定の高さより下方に固定された互いに約180度の角度を付けた2方向から前記丸棒状の被加工材の表面に高圧液体を噴射する2個の噴射ノズルと、前記2個の噴射ノズルに前記高圧液体を供給する高圧ポンプとを有し、前記液体と前記高圧液体とは同一の液体であって、前記2個の噴射ノズルは前記丸棒状の被加工材の長手方向に互いにずれた位置に前記高圧液体を噴射するように設けられており、前記所定の高さまで前記液体を満たし、研磨材として前記丸棒状の被加工材より硬度の高い真球に近い球状の微粒子を混入して、前記2個の噴射ノズルから前記高圧液体を噴射しながら前記丸棒状の被加工材を前記装置本体を貫通させて移動させることによって前記丸棒状の被加工材の表面のスケールを除去するものである。
ここで、「丸棒状の被加工材」には、太さが5mm〜10mm以上の丸棒のみならず、より細い線状の被加工材(線材)も含むものとする。
請求項2の発明にかかるスケール除去装置は、長尺の丸棒状の被加工材の表面に生じているスケールを除去する装置であって、液体を所定の高さまで満たすことのできる装置本体と、前記装置本体の側面に設けられた前記丸棒状の被加工材を前記装置本体内に入れるシールされた被加工材入口と、前記装置本体の側面の前記被加工材入口とほぼ同じ高さで前記被加工材入口とほぼ対称の位置に設けられた前記丸棒状の被加工材を前記装置本体内から取出すシールされた被加工材出口と、前記被加工材入口及び前記被加工材出口を結ぶ線から所定の距離だけ離して前記装置本体内の前記液体が満たされる所定の高さより下方に固定された少なくとも互いに約95度〜約170度の範囲内で角度を付けた3方向から前記丸棒状の被加工材の表面に高圧液体を噴射する3個以上の噴射ノズルと、前記3個以上の噴射ノズルに前記高圧液体を供給する高圧ポンプとを有し、前記液体と前記高圧液体とは同一の液体であって、前記3個以上の噴射ノズルは前記丸棒状の被加工材の長手方向に互いにずれた位置に前記高圧液体を噴射するように設けられており、前記所定の高さまで前記液体を満たし、研磨材として前記丸棒状の被加工材より硬度の高い真球に近い球状の微粒子を混入して、前記3個以上の噴射ノズルから前記高圧液体を噴射しながら前記丸棒状の被加工材を前記装置本体を貫通させて移動させることによって前記丸棒状の被加工材の表面のスケールを除去するものである。
ここで、「少なくとも」は「3方向」にかかるもので、3方向以上から3個以上の噴射ノズルによって高圧液体を噴射するという意味であり、互いの角度については、例えば4個の噴射ノズルを有する場合には「互いに約20度〜約160度の範囲内で角度を付けた4方向から」となり、5個の噴射ノズルを有する場合には「互いに約20度〜約150度の範囲内で角度を付けた5方向から」となる。
請求項3の発明にかかるスケール除去装置は、長尺の丸棒状の被加工材の表面に生じているスケールを除去する装置であって、液体を所定の高さまで満たすことのできる装置本体と、前記装置本体の側面に設けられた前記丸棒状の被加工材を前記装置本体内に入れるシールされた被加工材入口と、前記装置本体の側面の前記被加工材入口とほぼ同じ高さで前記被加工材入口とほぼ対称の位置に設けられた前記丸棒状の被加工材を前記装置本体内から取出すシールされた被加工材出口と、前記被加工材入口及び前記被加工材出口を結ぶ線から所定の距離だけ離して前記装置本体内の前記液体が満たされる所定の高さより下方に固定された互いに約180度の角度を付けた2方向から前記丸棒状の被加工材の表面に高圧液体及び前記丸棒状の被加工材より硬度の高い真球に近い球状の微粒子を噴射する2個の噴射ノズルと、前記2個の噴射ノズルに前記高圧液体を供給する高圧ポンプと、前記2個の噴射ノズルに前記真球に近い球状の微粒子を供給して前記高圧液体に混入する球状微粒子供給装置とを有し、前記液体と前記高圧液体とは同一の液体であって、前記2個の噴射ノズルは前記丸棒状の被加工材の長手方向に互いにずれた位置に前記高圧液体を噴射するように設けられており、前記装置本体内に前記所定の高さまで前記液体を満たし、前記真球に近い球状の微粒子が混入した前記高圧液体を前記2個の噴射ノズルから噴射しながら前記丸棒状の被加工材を前記装置本体を貫通させて移動させることによって前記丸棒状の被加工材の表面のスケールを除去するものである。
請求項4の発明にかかるスケール除去装置は、長尺の丸棒状の被加工材の表面に生じているスケールを除去する装置であって、液体を所定の高さまで満たすことのできる装置本体と、前記装置本体の側面に設けられた前記丸棒状の被加工材を前記装置本体内に入れるシールされた被加工材入口と、前記装置本体の側面の前記被加工材入口とほぼ同じ高さで前記被加工材入口とほぼ対称の位置に設けられた前記丸棒状の被加工材を前記装置本体内から取出すシールされた被加工材出口と、前記被加工材入口及び前記被加工材出口を結ぶ線から所定の距離だけ離して前記装置本体内の前記液体が満たされる所定の高さより下方に固定された少なくとも互いに約95度〜約170度の範囲内で角度を付けた3方向から前記丸棒状の被加工材の表面に高圧液体及び前記丸棒状の被加工材より硬度の高い真球に近い球状の微粒子を噴射する3個以上の噴射ノズルと、前記3個以上の噴射ノズルに前記高圧液体を供給する高圧ポンプと、前記3個以上の噴射ノズルに前記真球に近い球状の微粒子を供給して前記高圧液体に混入する球状微粒子供給装置とを有し、前記液体と前記高圧液体とは同一の液体であって、前記3個以上の噴射ノズルは前記丸棒状の被加工材の長手方向に互いにずれた位置に前記高圧液体を噴射するように設けられており、前記装置本体内に前記所定の高さまで前記液体を満たし、前記真球に近い球状の微粒子が混入した前記高圧液体を前記3個以上の噴射ノズルから噴射しながら前記丸棒状の被加工材を前記装置本体を貫通させて移動させることによって前記丸棒状の被加工材の表面のスケールを除去するものである。
請求項5の発明にかかるスケール除去装置は、請求項1乃至請求項4のいずれか1つの構成において、更に、前記2個の噴射ノズルを互いに区分する1枚の仕切り板または前記3個以上の噴射ノズルを互いに区分する2枚以上の仕切り板を有するものである。
請求項6の発明にかかるスケール除去装置は、請求項1乃至請求項5のいずれか1つの構成において、前記2個の噴射ノズルまたは前記3個以上の噴射ノズルは前記丸棒状の被加工材を囲む形状の一体の支持ブロックに設けられているものである。
請求項7の発明にかかるスケール除去装置は、請求項1乃至請求項6のいずれか1つの構成において、前記2個の噴射ノズルまたは前記3個以上の噴射ノズルの全部または一部は前記丸棒状の被加工材の移動方向に対して逆向きに斜めを向いて取付けられているものである。
請求項8の発明にかかるスケール除去方法は、長尺の丸棒状の被加工材の表面に生じているスケールを除去する方法であって、研磨材として前記丸棒状の被加工材より硬度の高い真球に近い球状の微粒子を混入した液体中を前記丸棒状の被加工材を通しながら、同一の液体を前記液体中において噴射ノズルから高圧で噴射して前記丸棒状の被加工材の全周に高圧液体が噴きつけられるように前記噴射ノズルを移動させ、若しくは前記噴射ノズルを前記丸棒状の被加工材の通過する位置の周囲に複数個固定して前記丸棒状の被加工材の全周に高圧液体を噴き付けるものである。
請求項9の発明にかかるスケール除去方法は、長尺の丸棒状の被加工材の表面に生じているスケールを除去する方法であって、液体中を前記丸棒状の被加工材を通しながら、研磨材として前記丸棒状の被加工材より硬度の高い真球に近い球状の微粒子を混入した同一の液体を前記液体中において噴射ノズルから高圧で噴射して前記丸棒状の被加工材の全周に前記真球に近い球状の微粒子を混入した高圧液体が噴きつけられるように前記噴射ノズルを移動させ、若しくは前記噴射ノズルを前記丸棒状の被加工材の通過する位置の周囲に複数個固定して前記丸棒状の被加工材の全周に前記真球に近い球状の微粒子を混入した高圧液体を噴き付けるものである。
請求項10の発明にかかるスケール除去装置またはスケール除去方法は、請求項1乃至請求項9のいずれか1つの構成において、前記噴射ノズルの先端から前記丸棒状の被加工材の表面までの距離が25mm〜70mmの範囲内であるものである。
請求項11の発明にかかるスケール除去装置またはスケール除去方法は、請求項1乃至請求項10のいずれか1つの構成において、前記噴射ノズルの噴射口径は0.1mm〜6mmの範囲内であるものである。
請求項12の発明にかかるスケール除去装置またはスケール除去方法は、請求項1乃至請求項11のいずれか1つの構成において、前記丸棒状の被加工材より硬度の高い真球に近い球状の微粒子は比重3.0以上7.0以下の真球に近い球状の微粒子であるものである。
請求項13の発明にかかるスケール除去装置またはスケール除去方法は、請求項12の構成において、前記比重3.0以上7.0以下の真球に近い球状の微粒子は球状ジルコンビーズであるものである。
請求項14の発明にかかるスケール除去装置またはスケール除去方法は、請求項13の構成において、前記球状ジルコンビーズは10μm〜800μmの範囲内の粒子径を有するものである。
請求項15の発明にかかるスケール除去装置またはスケール除去方法は、請求項1乃至請求項14のいずれか1つの構成において、前記噴射ノズルから噴射される高圧液体の速度は大気中の音速(約332m/秒)以上であるものである。
請求項16の発明にかかるスケール除去装置またはスケール除去方法は、請求項1乃至請求項15のいずれか1つの構成において、前記丸棒状の被加工材に噴射された前記真球に近い球状の微粒子を前記丸棒状の被加工材から削り落とされたスケールと分離して回収して再使用するものである。
請求項1の発明にかかるスケール除去装置は、長尺の丸棒状の被加工材の表面に生じているスケールを除去する装置であって、液体を所定の高さまで満たすことのできる装置本体と、装置本体の側面に設けられた丸棒状の被加工材を装置本体内に入れるシールされた被加工材入口と、装置本体の側面の被加工材入口とほぼ同じ高さで被加工材入口とほぼ対称の位置に設けられた丸棒状の被加工材を装置本体内から取出すシールされた被加工材出口と、被加工材入口及び被加工材出口を結ぶ線から所定の距離だけ離して装置本体内の液体が満たされる所定の高さより下方に固定された互いに約180度の角度を付けた2方向から丸棒状の被加工材の表面に高圧液体を噴射する2個の噴射ノズルと、2個の噴射ノズルに高圧液体を供給する高圧ポンプとを有し、液体と高圧液体とは同一の液体であって、2個の噴射ノズルは丸棒状の被加工材の長手方向に互いにずれた位置に高圧液体を噴射するように設けられており、所定の高さまで液体を満たし、研磨材として丸棒状の被加工材より硬度の高い真球に近い球状の微粒子を混入して、2個の噴射ノズルから高圧液体を噴射しながら丸棒状の被加工材を装置本体を貫通させて移動させることによって丸棒状の被加工材の表面のスケールを除去する。
かかる構成を有することによって、液体中で2個の噴射ノズルから高圧液体を噴射すると、丸棒状の被加工材より硬度の高い真球に近い球状の微粒子が高速で噴射される高圧液体に巻き込まれて、高圧液体とともに丸棒状の被加工材の表面に衝突し、丸棒状の被加工材の表面のスケールを除去する。このとき、通常研磨材として使用される角張った微粒子よりも真球に近い球状の微粒子は高圧液体にずっと巻き込まれ易く、しかも丸棒状の被加工材の表面を傷付けることがないばかりでなく、真球に近い球状の微粒子自身も殆ど割れることがない。
そして、このような2個の噴射ノズルが互いに約180度の角度を付けた2方向から丸棒状の被加工材の表面に高圧液体を噴射するように固定されているため、移動する丸棒状の被加工材の表面の全周に高圧液体とともに真球に近い球状の微粒子が衝突して、全周のスケールを満遍なく除去することができる。更に、真球に近い球状の微粒子は研磨材としてスケールを除去しても自身は殆ど摩耗しないため、半永久的に使用することができ、非常に低コストで丸棒状の被加工材のスケール除去を行うことができる。
また、真球に近い球状の微粒子は高速液流の流速に乗るため、従来の研磨剤(珪砂、アルミナ粉、等)を用いたスケール除去処理においては100MPa〜150MPaの高圧液体を用いる必要があったのに対して、高圧液体の圧力を5MPa〜50MPaに下げても同等の効果が得られるため、高圧ポンプ、高圧配管及び噴射ノズルの寿命が大幅に延びるという効果も得られる。
このようにして、研磨材として液体中に真球に近い球状の微粒子を混入して、かつ2個の噴射ノズルを丸棒状の被加工材の外周面の全面に高圧液体を噴射するように設置固定することによって、丸棒状の被加工材に傷を付けることがなく、スケール除去効率も高く、著しく低コストで満遍なくスケールを除去することができるスケール除去装置となる。
請求項2の発明にかかるスケール除去装置は、長尺の丸棒状の被加工材の表面に生じているスケールを除去する装置であって、液体を所定の高さまで満たすことのできる装置本体と、装置本体の側面に設けられた丸棒状の被加工材を装置本体内に入れるシールされた被加工材入口と、装置本体の側面の被加工材入口とほぼ同じ高さで被加工材入口とほぼ対称の位置に設けられた丸棒状の被加工材を装置本体内から取出すシールされた被加工材出口と、被加工材入口及び被加工材出口を結ぶ線から所定の距離だけ離して装置本体内の液体が満たされる所定の高さより下方に固定された少なくとも互いに約95度〜約170度の範囲内で角度を付けた3方向から丸棒状の被加工材の表面に高圧液体を噴射する3個以上の噴射ノズルと、3個以上の噴射ノズルに高圧液体を供給する高圧ポンプとを有し、液体と高圧液体とは同一の液体であって、3個以上の噴射ノズルは丸棒状の被加工材の長手方向に互いにずれた位置に高圧液体を噴射するように設けられており、所定の高さまで液体を満たし、研磨材として丸棒状の被加工材より硬度の高い真球に近い球状の微粒子を混入して、3個以上の噴射ノズルから高圧液体を噴射しながら丸棒状の被加工材を装置本体を貫通させて移動させることによって丸棒状の被加工材の表面のスケールを除去する。
かかる構成を有することによって、液体中で3個以上の噴射ノズルから高圧液体を噴射すると、丸棒状の被加工材より硬度の高い真球に近い球状の微粒子が高速で噴射される高圧液体に巻き込まれて、高圧液体とともに丸棒状の被加工材の表面に衝突し、丸棒状の被加工材の表面のスケールを除去する。このとき、通常研磨材として使用される角張った微粒子よりも真球に近い球状の微粒子は高圧液体にずっと巻き込まれ易く、しかも丸棒状の被加工材の表面を傷付けることがないばかりでなく、真球に近い球状の微粒子自身も殆ど割れることがない。
そして、このような3個以上の噴射ノズルが互いに約95度〜約170度の範囲内で角度を付けた少なくとも3方向から丸棒状の被加工材の表面に高圧液体を噴射するように固定されているため、移動する丸棒状の被加工材の表面の全周により確実に高圧液体とともに真球に近い球状の微粒子が衝突して、全周のスケールをより確実に満遍なく除去することができる。また、噴射ノズルを3個以上設置したことによってスケール除去効率が向上するため、丸棒状の被加工材をより速く移動させることができ、スケール除去の工程時間を短縮することができる。
ここで、上述の如く、噴射ノズルが3個の場合には互いに約95度〜約170度の範囲内で角度を付けて固定されるが、噴射ノズルが4個の場合には互いに約20度〜約160度の範囲内で角度を付けた4方向となり、噴射ノズルが5個の場合には互いに約20度〜約150度の範囲内で角度を付けた5方向となって、噴射ノズルの個数によって互いの角度は変化する。
更に、真球に近い球状の微粒子は研磨材としてスケールを除去しても自身は殆ど摩耗しないため、半永久的に使用することができ、非常に低コストで丸棒状の被加工材のスケール除去を行うことができる。また、真球に近い球状の微粒子は高速液流の流速に乗るため、従来の研磨剤(珪砂、アルミナ粉、等)を用いたスケール除去処理においては100MPa〜150MPaの高圧液体を用いる必要があったのに対して、高圧液体の圧力を5MPa〜50MPaに下げても同等の効果が得られるため、高圧ポンプ、高圧配管及び噴射ノズルの寿命が大幅に延びるという効果も得られる。
このようにして、研磨材として液体中に真球に近い球状の微粒子を混入して、かつ3個以上の噴射ノズルを丸棒状の被加工材の外周面の全面に高圧液体を噴射するように設置固定することによって、丸棒状の被加工材に傷を付けることがなく、スケール除去効率も高く、著しく低コストでより確実に満遍なくスケールを除去することができるスケール除去装置となる。
請求項3の発明にかかるスケール除去装置は、長尺の丸棒状の被加工材の表面に生じているスケールを除去する装置であって、液体を所定の高さまで満たすことのできる装置本体と、装置本体の側面に設けられた丸棒状の被加工材を装置本体内に入れるシールされた被加工材入口と、装置本体の側面の被加工材入口とほぼ同じ高さで被加工材入口とほぼ対称の位置に設けられた丸棒状の被加工材を装置本体内から取出すシールされた被加工材出口と、被加工材入口及び被加工材出口を結ぶ線から所定の距離だけ離して装置本体内の液体が満たされる所定の高さより下方に固定された互いに約180度の角度を付けた2方向から丸棒状の被加工材の表面に高圧液体及び丸棒状の被加工材より硬度の高い真球に近い球状の微粒子を噴射する2個の噴射ノズルと、2個の噴射ノズルに高圧液体を供給する高圧ポンプと、2個の噴射ノズルに真球に近い球状の微粒子を供給して高圧液体に混入する球状微粒子供給装置とを有し、液体と高圧液体とは同一の液体であって、2個の噴射ノズルは丸棒状の被加工材の長手方向に互いにずれた位置に高圧液体を噴射するように設けられており、装置本体内に所定の高さまで液体を満たし、真球に近い球状の微粒子が混入した高圧液体を2個の噴射ノズルから噴射しながら丸棒状の被加工材を装置本体を貫通させて移動させることによって丸棒状の被加工材の表面のスケールを除去する。
かかる構成を有することによって、液体中で2個の噴射ノズルから真球に近い球状の微粒子が混入した高圧液体を噴射すると、丸棒状の被加工材より硬度の高い真球に近い球状の微粒子が高圧液体とともに高速で丸棒状の被加工材の表面に衝突し、より強力にかつ確実に丸棒状の被加工材の表面のスケールを除去する。このとき、通常研磨材として使用される角張った微粒子よりも真球に近い球状の微粒子は丸棒状の被加工材の表面を傷付けることがないばかりでなく、真球に近い球状の微粒子自身も殆ど割れることがない。
そして、このような2個の噴射ノズルが互いに約180度の角度を付けた2方向から丸棒状の被加工材の表面に真球に近い球状の微粒子が混入した高圧液体を噴射するように固定されているため、移動する丸棒状の被加工材の表面の全周に高圧液体とともに真球に近い球状の微粒子が衝突して、全周のスケールを満遍なく除去することができる。更に、真球に近い球状の微粒子は研磨材としてスケールを除去しても自身は殆ど摩耗しないため、半永久的に使用することができ、非常に低コストで丸棒状の被加工材のスケール除去を行うことができる。
また、真球に近い球状の微粒子は高速液流の流速に乗るため、従来の研磨剤(珪砂、アルミナ粉、等)を用いたスケール除去処理においては100MPa〜150MPaの高圧液体を用いる必要があったのに対して、高圧液体の圧力を5MPa〜50MPaに下げても同等の効果が得られるため、高圧ポンプ、高圧配管及び噴射ノズルの寿命が大幅に延びるという効果も得られる。
このようにして、研磨材として液体中に真球に近い球状の微粒子を混入して、かつ2個の噴射ノズルを丸棒状の被加工材の外周面の全面に真球に近い球状の微粒子が混入した高圧液体を噴射するように設置固定することによって、丸棒状の被加工材に傷を付けることがなく、スケール除去効率も高く、著しく低コストで満遍なくスケールを除去することができるスケール除去装置となる。
請求項4の発明にかかるスケール除去装置は、長尺の丸棒状の被加工材の表面に生じているスケールを除去する装置であって、液体を所定の高さまで満たすことのできる装置本体と、装置本体の側面に設けられた丸棒状の被加工材を装置本体内に入れるシールされた被加工材入口と、装置本体の側面の被加工材入口とほぼ同じ高さで被加工材入口とほぼ対称の位置に設けられた丸棒状の被加工材を装置本体内から取出すシールされた被加工材出口と、被加工材入口及び被加工材出口を結ぶ線から所定の距離だけ離して装置本体内の液体が満たされる所定の高さより下方に固定された少なくとも互いに約95度〜約170度の範囲内で角度を付けた3方向から丸棒状の被加工材の表面に高圧液体及び丸棒状の被加工材より硬度の高い真球に近い球状の微粒子を噴射する3個以上の噴射ノズルと、3個以上の噴射ノズルに高圧液体を供給する高圧ポンプと、3個以上の噴射ノズルに真球に近い球状の微粒子を供給して高圧液体に混入する球状微粒子供給装置とを有し、液体と高圧液体とは同一の液体であって、3個以上の噴射ノズルは丸棒状の被加工材の長手方向に互いにずれた位置に高圧液体を噴射するように設けられており、装置本体内に所定の高さまで液体を満たし、真球に近い球状の微粒子が混入した高圧液体を3個以上の噴射ノズルから噴射しながら丸棒状の被加工材を装置本体を貫通させて移動させることによって丸棒状の被加工材の表面のスケールを除去する。
かかる構成を有することによって、液体中で3個以上の噴射ノズルから真球に近い球状の微粒子が混入した高圧液体を噴射すると、丸棒状の被加工材より硬度の高い真球に近い球状の微粒子が高圧液体とともに高速で丸棒状の被加工材の表面に衝突し、より強力にかつ確実に丸棒状の被加工材の表面のスケールを除去する。このとき、通常研磨材として使用される角張った微粒子よりも真球に近い球状の微粒子は丸棒状の被加工材の表面を傷付けることがないばかりでなく、真球に近い球状の微粒子自身も殆ど割れることがない。
そして、このような3個以上の噴射ノズルが互いに約95度〜約170度の範囲内で角度を付けた少なくとも3方向から丸棒状の被加工材の表面に真球に近い球状の微粒子が混入した高圧液体を噴射するように固定されているため、移動する丸棒状の被加工材の表面の全周により確実に高圧液体とともに真球に近い球状の微粒子が衝突して、全周のスケールをより確実に満遍なく除去することができる。また、噴射ノズルを3個以上設置したことによってスケール除去効率が向上するため、丸棒状の被加工材をより速く移動させることができ、スケール除去の工程時間を短縮することができる。
ここで、上述の如く、噴射ノズルが3個の場合には互いに約95度〜約170度の範囲内で角度を付けて固定されるが、噴射ノズルが4個の場合には互いに約20度〜約160度の範囲内で角度を付けた4方向となり、噴射ノズルが5個の場合には互いに約20度〜約150度の範囲内で角度を付けた5方向となって、噴射ノズルの個数によって互いの角度は変化する。
更に、真球に近い球状の微粒子は研磨材としてスケールを除去しても自身は殆ど摩耗しないため、半永久的に使用することができ、非常に低コストで丸棒状の被加工材のスケール除去を行うことができる。また、真球に近い球状の微粒子は高速液流の流速に乗るため、従来の研磨剤(珪砂、アルミナ粉、等)を用いたスケール除去処理においては100MPa〜150MPaの高圧液体を用いる必要があったのに対して、高圧液体の圧力を5MPa〜50MPaに下げても同等の効果が得られるため、高圧ポンプ、高圧配管及び噴射ノズルの寿命が大幅に延びるという効果も得られる。
このようにして、研磨材として液体中に真球に近い球状の微粒子を混入して、かつ3個以上の噴射ノズルを丸棒状の被加工材の外周面の全面に真球に近い球状の微粒子が混入した高圧液体を噴射するように設置固定することによって、丸棒状の被加工材に傷を付けることがなく、スケール除去効率も高く、著しく低コストでより確実に満遍なくスケールを除去することができるスケール除去装置となる。
請求項5の発明にかかるスケール除去装置は、更に、2個の噴射ノズルを互いに区分する1枚の仕切り板または3個以上の噴射ノズルを互いに区分する2枚以上の仕切り板を有する。請求項1乃至請求項4の発明に係るスケール除去装置においては、上述の如く、いずれも被加工材の長手方向に互いにずれた位置に高圧液体を噴射するように、2個または3個以上の噴射ノズルが設けられているため、噴射された高圧液体同士が正面からぶつかり合って干渉することはないが、2個または3個以上の噴射ノズルが被加工材の長手方向について接近して設けられている場合には、噴射された高圧液体の流れが互いに干渉して勢いが弱まり、スケール除去能力が低下する恐れがある。
そこで、被加工材の長手方向について互いに接近して設けられた噴射ノズルの間に、互いを区分する仕切り板を設けることによって、噴射された高圧液体の流れが互いに干渉するのを防止して、高圧液体または真球に近い球状の微粒子が混入した高圧液体のスケール除去能力が低下する恐れを確実に排除することができる。
このようにして、研磨材として液体中に真球に近い球状の微粒子を混入して、2個以上の噴射ノズルを丸棒状の被加工材の外周面の全面に真球に近い球状の微粒子が混入した高圧液体を噴射するように設置固定するとともに、被加工材の長手方向について互いに接近して設けられた噴射ノズルの間に仕切り板を設けることによって、丸棒状の被加工材に傷を付けることがなく、スケール除去効率も高く、著しく低コストでより確実に満遍なくスケールを除去することができるスケール除去装置となる。
請求項6の発明にかかるスケール除去装置は、2個の噴射ノズルまたは3個以上の噴射ノズルが丸棒状の被加工材を囲む形状の一体の支持ブロックに設けられている。これによって、噴射ノズル同士の角度を容易に所望の角度に設定することができるとともに、2個以上の噴射ノズルの設置スペースをコンパクトにすることができ、スケール除去装置の装置本体をよりコンパクトにすることができる。
このようにして、研磨材として液体中に球状ジルコンビーズを始めとする球状の微粒子を混入して、2個以上の噴射ノズルを丸棒状の被加工材の外周面の全面に高圧液体を噴射するように設置固定することによって、丸棒状の被加工材に傷を付けることがなく、スケール除去効率も高く、著しく低コストで満遍なくスケールを除去することができ、かつ装置本体がコンパクトなスケール除去装置となる。
請求項7の発明にかかるスケール除去装置は、2個の噴射ノズルまたは3個以上の噴射ノズルの全部または一部が、丸棒状の被加工材の移動方向に対して逆向きに斜めを向いて取付けられている。本発明者らは、スケール除去装置の実験を進める中で、噴射ノズルを丸棒状の被加工材の移動方向に対して逆向きに斜めに取付け、高圧液体が丸棒状の被加工材の移動方向に対して逆向きに斜めに噴き付けられることによって、より効率的にスケールが除去されることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
このようにして、研磨材として液体中に真球に近い球状の微粒子を混入して、2個以上の噴射ノズルを丸棒状の被加工材の外周面の全面に高圧液体を噴射するように設置固定することによって、丸棒状の被加工材に傷を付けることがなく、スケール除去効率も高く、著しく低コストで満遍なくスケールを除去することができるスケール除去装置となる。
請求項8の発明にかかるスケール除去方法は、長尺の丸棒状の被加工材の表面に生じているスケールを除去する方法であって、研磨材として丸棒状の被加工材より硬度の高い真球に近い球状の微粒子を混入した液体中を丸棒状の被加工材を通しながら、同一の液体を液体中において噴射ノズルから高圧で噴射して丸棒状の被加工材の全周に高圧液体が噴きつけられるように噴射ノズルを移動させ、若しくは噴射ノズルを丸棒状の被加工材の通過する位置の周囲に複数個固定して丸棒状の被加工材の全周に高圧液体を噴き付ける。
かかる方法によれば、液体中で噴射ノズルから高圧液体を噴射すると、丸棒状の被加工材より硬度の高い真球に近い球状の微粒子が高速で噴射される高圧液体に巻き込まれて、高圧液体とともに丸棒状の被加工材の表面に衝突し、丸棒状の被加工材の表面のスケールを除去する。このとき、通常研磨材として使用される角張った微粒子よりも真球に近い球状の微粒子は高圧液体にずっと巻き込まれ易く、しかも丸棒状の被加工材の表面を傷付けることがないばかりでなく、真球に近い球状の微粒子自身も殆ど割れることがない。
そして、このような噴射ノズルを移動させ、或いは複数個固定して噴射される高圧液体が丸棒状の被加工材の全周に噴き付けられるようにすることによって、移動する丸棒状の被加工材の表面の全周に高圧液体とともに真球に近い球状の微粒子が衝突して、全周のスケールを満遍なく除去することができる。更に、真球に近い球状の微粒子は研磨材としてスケールを除去しても自身は殆ど摩耗しないため、半永久的に使用することができ、非常に低コストで丸棒状の被加工材のスケール除去を行うことができる。
また、真球に近い球状の微粒子は高速液流の流速に乗るため、従来の研磨剤(珪砂、アルミナ粉、等)を用いたスケール除去処理においては100MPa〜150MPaの高圧液体を用いる必要があったのに対して、高圧液体の圧力を5MPa〜50MPaに下げても同等の効果が得られるため、高圧ポンプ、高圧配管及び噴射ノズルの寿命が大幅に延びるという効果も得られる。
このようにして、研磨材として液体中に真球に近い球状の微粒子を混入して、噴射ノズルから丸棒状の被加工材の外周面の全面に高圧液体を噴射することによって、丸棒状の被加工材に傷を付けることがなく、スケール除去効率も高く、著しく低コストで満遍なくスケールを除去することができるスケール除去方法となる。
請求項9の発明にかかるスケール除去方法は、長尺の丸棒状の被加工材の表面に生じているスケールを除去する方法であって、液体中を丸棒状の被加工材を通しながら、研磨材として丸棒状の被加工材より硬度の高い真球に近い球状の微粒子を混入した同一の液体を液体中において噴射ノズルから高圧で噴射して丸棒状の被加工材の全周に真球に近い球状の微粒子を混入した高圧液体が噴きつけられるように噴射ノズルを移動させ、若しくは噴射ノズルを丸棒状の被加工材の通過する位置の周囲に複数個固定して丸棒状の被加工材の全周に真球に近い球状の微粒子を混入した高圧液体を噴き付ける。
かかる方法によれば、液体中で噴射ノズルから真球に近い球状の微粒子が混入した高圧液体を噴射すると、丸棒状の被加工材より硬度の高い真球に近い球状の微粒子が高圧液体とともに高速で丸棒状の被加工材の表面に衝突し、より強力にかつ確実に丸棒状の被加工材の表面のスケールを除去する。このとき、通常研磨材として使用される角張った微粒子よりも真球に近い球状の微粒子は丸棒状の被加工材の表面を傷付けることがないばかりでなく、真球に近い球状の微粒子自身も殆ど割れることがない。
そして、このような噴射ノズルを移動させ、或いは複数個固定して噴射される真球に近い球状の微粒子が混入した高圧液体が丸棒状の被加工材の全周に噴き付けられるようにすることによって、移動する丸棒状の被加工材の表面の全周に高圧液体とともに真球に近い球状の微粒子が衝突して、全周のスケールを満遍なく除去することができる。更に、真球に近い球状の微粒子は研磨材としてスケールを除去しても自身は殆ど摩耗しないため、半永久的に使用することができ、非常に低コストで丸棒状の被加工材のスケール除去を行うことができる。
また、真球に近い球状の微粒子は高速液流の流速に乗るため、従来の研磨剤(珪砂、アルミナ粉、等)を用いたスケール除去処理においては100MPa〜150MPaの高圧液体を用いる必要があったのに対して、高圧液体の圧力を5MPa〜50MPaに下げても同等の効果が得られるため、高圧ポンプ、高圧配管及び噴射ノズルの寿命が大幅に延びるという効果も得られる。
このようにして、研磨材として液体中に真球に近い球状の微粒子を混入して、かつ噴射ノズルを移動させ、或いは複数個固定して丸棒状の被加工材の外周面の全面に真球に近い球状の微粒子が混入した高圧液体を噴射することによって、丸棒状の被加工材に傷を付けることがなく、スケール除去効率も高く、著しく低コストで満遍なくスケールを除去することができるスケール除去方法となる。
請求項10の発明にかかるスケール除去装置またはスケール除去方法は、噴射ノズルの先端から丸棒状の被加工材の表面までの距離が25mm〜70mmの範囲内、より好ましくは30mm〜50mmの範囲内である。本発明者らは、最も効果的に丸棒状の被加工材の表面に生じたスケールを除去する条件について、鋭意実験研究を重ねた結果、噴射ノズルの先端から丸棒状の被加工材の表面までの距離が25mm〜70mmの範囲内、より好ましくは30mm〜50mmの範囲内である場合に、効率的にスケールを除去できることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成したものである。
即ち、噴射ノズルの先端から丸棒状の被加工材の表面までの距離が70mmを超えると、噴き付けられる高圧液体の勢いが弱まるため効率的にスケールを除去できなくなり、また表面までの距離が25mmより短くなると、高圧液体のみを噴射する方式の場合には噴射ノズルから噴射される高圧液体が真球に近い球状の微粒子を充分巻き込むことができなくなるため、また真球に近い球状の微粒子が混入した高圧液体を噴射する方式の場合には噴射ノズルから噴射される高圧液体が十分に広がらないため、やはりスケール除去の効率が低下する。したがって、噴射ノズルの先端から丸棒状の被加工材の表面までの距離が25mm〜70mmの範囲内、より好ましくは30mm〜50mmの範囲内である場合に、効率的にスケールを除去できるのである。
このようにして、研磨材として液体中に真球に近い球状の微粒子を混入して、噴射ノズルから丸棒状の被加工材の外周面の全面に高圧液体または真球に近い球状の微粒子が混入した高圧液体を噴射することによって、丸棒状の被加工材に傷を付けることがなく、スケール除去効率も高く、著しく低コストで満遍なくスケールを除去することができるスケール除去装置またはスケール除去方法となる。
請求項11の発明にかかるスケール除去装置またはスケール除去方法は、噴射ノズルの噴射口径が約0.1mm〜約6mmの範囲内、より好ましくは約1mm〜約3mmの範囲内である。本発明者らは、最も効果的に丸棒状の被加工材の表面に生じたスケールを除去する条件について、鋭意実験研究を重ねた結果、噴射ノズルの噴射口径が約0.1mm〜約6mmの範囲内、より好ましくは約1mm〜約3mmの範囲内である場合に、効率的にスケールを除去できることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成したものである。
このようにして、研磨材として液体中に真球に近い球状の微粒子を混入して、噴射ノズルから丸棒状の被加工材の外周面の全面に高圧液体または真球に近い球状の微粒子が混入した高圧液体を噴射することによって、丸棒状の被加工材に傷を付けることがなく、スケール除去効率も高く、著しく低コストで満遍なくスケールを除去することができるスケール除去装置またはスケール除去方法となる。
請求項12の発明にかかるスケール除去装置またはスケール除去方法は、丸棒状の被加工材より硬度の高い真球に近い球状の微粒子は比重3.0以上7.0以下の真球に近い球状の微粒子である。
比重3.0以上の球状の微粒子を用いることによって加工速度が速くなり、丸棒状の被加工材をより速く移動させることができるため、スケール除去の工程時間を短縮することができる。また、球状の微粒子の比重が7.0を超えると、加工速度が速くなり過ぎて丸棒状の被加工材に凹みや傷跡を付けるという不具合が生ずる恐れがある。したがって、球状の微粒子の比重は3.0以上7.0以下であることが好ましい。
このようにして、研磨材として液体中に真球に近い球状の微粒子を混入して、噴射ノズルから丸棒状の被加工材の外周面の全面に高圧液体または真球に近い球状の微粒子が混入した高圧液体を噴射することによって、丸棒状の被加工材に傷を付けることがなく、スケール除去効率も高く、著しく低コストで満遍なくスケールを除去することができるスケール除去装置またはスケール除去方法となる。
請求項13の発明にかかるスケール除去装置またはスケール除去方法は、比重3.0以上7.0以下の真球に近い球状の微粒子は球状ジルコンビーズである。球状ジルコン(ZrSiO4 )ビーズは2500℃以上の電気溶解プロセスによって作製され、シリカ相に囲まれた結晶ジルコニア粒子は高強度で平滑な表面を有する。比重は3.8、モース硬度は7、破砕強度は径2mmのビーズで700Nであり、真球に近い球状であるため丸棒状の被加工材に傷を付ける恐れもない。
そして、真球に近いため摩耗・破砕し難く、最も効率良く噴射エネルギーを丸棒状の被加工材に与えることができ、比重3.8の球状ジルコンビーズを用いることによってスケールを確実に除去できるとともに、従来の研磨材を用いたスケール除去方法よりも除去速度が著しく速いため、丸棒状の被加工材をより速く移動させることができ、スケール除去の工程時間を短縮することができる。
また、真球に近い球状ジルコンビーズは高速液流の流速に乗るため、従来の研磨剤を用いたスケール除去処理においては100MPa〜150MPaの高圧液体を用いる必要があったのに対して、高圧液体の圧力を5MPa〜50MPaに下げても同等の効果が得られるため、高圧ポンプ、高圧配管及び噴射ノズルの寿命が大幅に延びるという効果も得られる。
このようにして、研磨材として液体中に真球に近い球状の微粒子として球状ジルコンビーズを混入して、噴射ノズルから丸棒状の被加工材の外周面の全面に高圧液体または真球に近い球状の微粒子として球状ジルコンビーズが混入した高圧液体を噴射することによって、丸棒状の被加工材に傷を付けることがなく、スケール除去効率も高く、著しく低コストで満遍なくスケールを除去することができるスケール除去装置またはスケール除去方法となる。
請求項14の発明にかかるスケール除去装置またはスケール除去方法は、球状ジルコンビーズが約10μm〜約800μmの範囲内、より好ましくは約10μm〜約100μmの範囲内の粒子径を有する。
数10μmレベルの微細な球状ジルコンビーズを用いることによって、丸棒状の被加工材表面の微小なスケールも容易に除去でき、加工跡がより滑らかになる。また、約500μm〜約800μmのやや大きめの球状ジルコンビーズを用いることによって、スケール除去速度がより速くなり、広い面積のスケールをも短時間で除去することができる。
このようにして、研磨材として液体中に真球に近い球状の微粒子として球状ジルコンビーズを混入して、噴射ノズルから丸棒状の被加工材の外周面の全面に高圧液体または真球に近い球状の微粒子として球状ジルコンビーズが混入した高圧液体を噴射することによって、丸棒状の被加工材に傷を付けることがなく、スケール除去効率も極めて高く、著しく低コストで満遍なくスケールを除去することができるスケール除去装置またはスケール除去方法となる。
請求項15の発明にかかるスケール除去装置またはスケール除去方法は、噴射ノズルから噴射される高圧液体の速度が大気中の音速(約332m/秒)以上即ちマッハ以上である。
従来の球状ジルコンビーズを始めとする真球に近い球状の微粒子を用いた空気中におけるエアーブラスト加工(ショットピーニング加工)においては、空気の速度が音速を上回れないために、加工能力にも限界があった。しかし、本発明のように真球に近い球状の微粒子を液体中に混入し、噴射ノズルから高圧液体を噴射して巻き込ませることによって、または噴射ノズルから真球に近い球状の微粒子が混入した高圧液体を噴射することによって、高圧液体の速度が大気中の音速を超えて最高マッハ3程度にまで達するので、F=mv2 の運動方程式からも明らかなように、より強力にかつ短時間で丸棒状の被加工材の表面をスケール除去処理することができる。
したがって、スケール除去速度が著しく速いため、丸棒状の被加工材をより速く移動させることができ、スケール除去の工程時間を短縮することができる。
このようにして、研磨材として液体中に真球に近い球状の微粒子を混入して、噴射ノズルから丸棒状の被加工材の外周面の全面に高圧液体を噴射することによって、または噴射ノズルから真球に近い球状の微粒子が混入した高圧液体を噴射することによって、丸棒状の被加工材に傷を付けることがなく、スケール除去効率も極めて高く、著しく低コストで満遍なくスケールを除去することができるスケール除去装置またはスケール除去方法となる。
請求項16の発明にかかるスケール除去装置またはスケール除去方法においては、丸棒状の被加工材に噴射された真球に近い球状の微粒子を丸棒状の被加工材から削り落とされたスケールと分離して回収して再使用する。前述の如く、真球に近い球状の微粒子は球状であるため摩耗・破砕し難く、したがって削り落とされたスケールが溜まってきた場合には、スケールと分離して回収して何回も再使用することが可能である。また、球状であるため従来の研磨材粒子のように被加工材に突き刺さったりしないので、回収も容易である。
このようにして、研磨材として真球に近い球状の微粒子を用いることによって、回収して何回も再使用することが可能になり、ランニングコストを大幅に低減することができるとともに、産業廃棄物を減らすリサイクルにも貢献できるスケール除去装置またはスケール除去方法となる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
実施の形態1
まず、本発明の実施の形態1にかかるスケール除去装置及びスケール除去方法について、図1乃至図4を参照して説明する。
図1は本発明の実施の形態1にかかるスケール除去装置の全体構成を示す斜視図である。図2(a)は本発明の実施の形態1にかかるスケール除去装置の支持ブロックの構造を示す正面図、(b)は底面図である。図3は本発明の実施の形態1にかかるスケール除去装置及びスケール除去方法に用いられる真球に近い球状の微粒子としての球状ジルコンビーズのSEM(走査型電子顕微鏡)写真を示す図である。図4は本発明の実施の形態1にかかるスケール除去装置及びスケール除去方法に用いられる球状ジルコンビーズ回収装置の構成を示すブロック図である。
図1に示されるように、本実施の形態1にかかるスケール除去装置1は、装置本体2として透明なアクリル樹脂製の水槽を用いて、短手方向の向かい合った側面に同じ高さに貫通孔を穿設し、シール用のゴム製リングを取付けて、被加工材入口2A及び被加工材出口2Bを設けている。図1に示されるように、丸棒状の被加工材としての外径約6mmの軟鋼棒材(SWRM)W1は、所定の速度で矢印方向に移動して被加工材入口2Aから装置本体2内に入り、被加工材出口2Bから出て行くことになる。丸棒状の被加工材としての外径約6mmの軟鋼棒材W1は、スケール除去処理前はコイル状に巻かれた状態にあり、スケール除去処理後は再び大きな力で巻き取られる。
このように所定の速度で移動していく丸棒状の被加工材W1を囲むようにして、概略コの字形の支持ブロック3が図示しない支持機構によって固定されており、この支持ブロック3には3個の噴射ノズル4A,4B,4Cが取付け固定されている。3個の噴射ノズル4A,4B,4Cは、それぞれ高圧配管6A,6B,6Cを介して高圧水を供給する高圧ポンプ5A,5B,5Cに接続されている。
これらの高圧ポンプ5A,5B,5Cには、給水タンクユニット5Dが、高圧ポンプ5A,5B,5Cに水を補給するために接続されている。そして、装置本体2内には真球に近い球状の微粒子としての球状ジルコンビーズが混入された液体としての水BLが満たされており、支持ブロック3はその全体が水BLに浸かるように支持固定されている。
更に、図1に装置本体2の一部を切り欠いて示されるように、概略コの字形の支持ブロック3は、噴射ノズル4Bが取付けられた脚部が被加工材入口2A側に屈曲しており、噴射ノズル4Cが取付けられた脚部が被加工材出口2B側に屈曲している。これによって、3個の噴射ノズル4A,4B,4Cから噴射される高圧液体としての高圧水は、丸棒状の被加工材W1の表面に噴き付けられる位置が、被加工材W1の長手方向に互いにずれるようになっている。
この支持ブロック3及び3個の噴射ノズル4A,4B,4Cについて、図2を参照して更に詳しく説明する。図2(a)に示されるように、支持ブロック3は正面から見ると略コの字形であり、上部中央に真下を向いて噴射ノズル4Aが固定されており、右脚部には斜め上方を向いて噴射ノズル4Bが固定されており、左脚部にはやはり斜め上方を向いて噴射ノズル4Cが固定されている。図2(a)に示されるように、これら3個の噴射ノズル4A,4B,4Cの噴射方向は互いに約120度の角度が付けられており、これによって丸棒状の被加工材W1の全周に確実に高圧水が噴き付けられるように設定されている。
また、図2(a)に示されるように、装置本体2内に満たされた水の中には真球に近い球状の微粒子としての球状ジルコンビーズZBが混入されており、3個の噴射ノズル4A,4B,4Cから高圧水が噴射されると球状ジルコンビーズZBがその流れに巻き込まれて、高圧水とともに音速の約3倍(マッハ3)の高速で丸棒状の被加工材W1の表面に噴き付けられ、これによって丸棒状の被加工材W1の表面のスケールが削り取られて除去される。
ここで、3個の噴射ノズル4A,4B,4Cの先端と丸棒状の被加工材W1の表面との距離dは、40mm〜50mmとしている。距離dは25mm〜70mmの範囲、より好ましくは30mm〜50mmの範囲とすることによって、より効率良くスケール除去ができることが分かっている。この理由は、距離dが余り大き過ぎると丸棒状の被加工材W1の表面に噴き付けられる高圧水の勢いが弱くなり、逆に距離dが余り小さ過ぎると高圧水が充分に球状ジルコンビーズZBを巻き込むことができないためと考えられる。
更に、図2(b)に示されるように、3個の噴射ノズル4A,4B,4Cから噴射される高圧水は、丸棒状の被加工材W1の表面の長手方向に互いにずれて噴き付けられるように設定されている。この理由は、3個の噴射ノズル4A,4B,4Cから噴射される高圧水が丸棒状の被加工材W1の表面の長手方向に同じ位置に噴き付けられるようにすると、噴射される高圧水が互いにぶつかり合って勢いが減殺される恐れがあるため、上述したように概略コの字形の支持ブロック3の両脚部を屈曲させることによって、長手方向に互いにずれて噴き付けられるようにしたものである。
したがって、噴射される高圧水が互いにぶつかり合っても勢いが減殺される恐れがない場合には、本実施の形態1にかかる支持ブロック3のように両脚部を屈曲させる必要はなく、丸棒状の被加工材W1の表面の長手方向の同じ位置に噴き付けられるようにしても良い。また、3個の噴射ノズル4A,4B,4Cの噴射口径は約2mmとしている。噴射ノズルの噴射口径は、約0.1mm〜約6mmの範囲、より好ましくは約1mm〜約3mmの範囲とすることによって、より効率良くスケールを除去できることが判明している。
本実施の形態1にかかるスケール除去装置1においては、支持ブロック3をステンレス鋼(SUS316)で作製しているが、支持ブロック3の材質としてはこれに限られるものではなく、曲げ強度が大きく耐摩耗性の大きい構造用セラミックス(窒化ケイ素(Si3 N4 )、炭化ケイ素(SiC)、等)やアルミニウム等の他の金属を用いることもできる。
また、本実施の形態1にかかるスケール除去装置1においては、装置本体2として透明なアクリル樹脂製の水槽を用いているが、○○○製の水槽や○○○製の水槽等を用いることもできる。透明なアクリル樹脂製の水槽を用いることによって、装置本体2の内部を容易に観察することができ、高圧水が噴き付けられる様子や球状ジルコンビーズZBが巻き込まれる様子をチェックすることができるという長所が得られる。
更に、本実施の形態1にかかるスケール除去装置1及びスケール除去方法においては、真球に近い球状の微粒子として球状ジルコンビーズZBを用いている。球状ジルコン(ZrSiO4 )ビーズZBは2500℃以上の電気溶解プロセスによって作製され、シリカ相に囲まれた結晶ジルコニア粒子は高強度で平滑な表面を有する。比重は3.8、モース硬度は7、破砕強度は径2mmのビーズで700Nであり、真球に近い球状であるため丸棒状の被加工材に傷を付ける恐れもない。
図3のSEM写真に示されるように、本実施の形態1にかかるスケール除去装置1に用いられる球状ジルコンビーズ(写真は粒子径約40μmのもの)ZBは、中実でほぼ真球であり、故に摩耗・破砕し難く、かつ最も効率良く噴射エネルギーを丸棒状の被加工材W1に与えることができ、従来の角張った研磨材を用いたスケール除去方法よりもスケール除去速度が速く、しかもスケールを除去した跡が滑らかになる。
そして、破砕し難いので、削り落とされたスケール滓が溜まって水が汚れた場合には、回収してスケール滓を除去することによって、何回でも再使用することができる。球状ジルコンビーズ回収の具体的な方法について説明すると、図4に示されるような構成の球状ジルコンビーズ回収装置40を使用する。
図4に示されるように、本実施の形態1にかかる球状ジルコンビーズ回収装置40は、マグネットセパレータとオイルスキーマを組み合わせたもの41、サイクロンセパレータ42、切粉取フィルタ43、回収液タンク44、破砕片除去装置45及びこれらの間を繋ぐ配管を備えている。
排出液に含まれる球状ジルコンビーズと水以外の不純物としては、丸棒状の被加工材の切粉(スケール滓)と潤滑オイル等の油分と配管系内壁が削られた鉄屑等が主なものである。そこで、まずマグネットセパレータ41によってスケール滓・鉄屑等の鉄分を磁力吸着して除去し、同時にオイルスキーマ41によって油分を除去する。
次に、サイクロンセパレータ42によって比重の差で球状ジルコンビーズのみを分離し、更に破砕片除去装置45によって僅かではあるが長期間繰返し使用されて破砕した球状ジルコンビーズの破砕片を斜面を転がり落ちる速度の速い球状ジルコンビーズから除去して、清浄になった水とともに装置本体2に供給することによって、高圧ポンプ5A,5B,5Cから供給される高圧水によって、噴射ノズル4A,4B,4Cから高速で丸棒状の被加工材W1に噴き付けられて再使用される。
更に、球状ジルコンビーズが一部の清浄な水とともに分離された回収液からは、切粉取フィルタ43によって切粉等を除去して清浄になった水が、回収液タンク44を介して高圧ポンプ5A,5B,5Cに供給されて再使用される。なお、回収液タンク44の容量は高圧ポンプ5A,5B,5Cの安全を考慮すると吐出量の約20倍〜約50倍あることが望ましい。
このようにして、本実施の形態1のスケール除去装置1においては、球状ジルコンビーズのみならず高圧水用の水をも回収して何回も再使用することが可能になり、ランニングコストを大幅に低減することができるとともに、廃水及び産業廃棄物を減らすことができて環境に優しいスケール除去装置およびスケール除去方法となる。
本実施の形態1にかかる球状ジルコンビーズ回収装置40においては、サイクロンセパレータ42で球状ジルコンビーズのみを分離しているが、サイクロンセパレータ42の代わりに段付きシックナー(沈降槽)を用いて沈降速度の速い球状ジルコンビーズのみを分離しても良いし、段付きシックナーとサイクロンセパレータ42を両方用いても良い。また、マグネットセパレータ41によってスケール滓・鉄屑等の鉄分を磁力吸着して除去し、同時にオイルスキーマ41によって油分を除去した後に、エレメントレスフィルター(エレメントレスフィルスター(登録商標))で球状ジルコンビーズと水とを分離することもできる。
このようにして、本実施の形態1にかかるスケール除去装置1及びスケール除去方法においては、真球に近い球状の微粒子として球状ジルコンビーズZBを用いることによって、スケール除去速度が速くなり丸棒状の被加工材W1を速く移動させることができるため、スケール除去工程を著しく時間短縮できるとともに、スケールを除去した跡に細かい凹凸が生じるのを防いで平滑な面とできる。更に、真球に近い球状の微粒子及び水の再使用を可能として、システムのランニングコスト低減を図ることができる。
実施の形態2
次に、本発明の実施の形態2にかかるスケール除去装置及びスケール除去方法について、図5を参照して説明する。図5は本発明の実施の形態2にかかるスケール除去装置の全体構成を示す斜視図である。
図5に示されるように、本実施の形態2にかかるスケール除去装置11は、装置本体12として透明なアクリル樹脂製の水槽を用いて、この装置本体12の向かい合った側面に同じ高さに貫通孔を穿設し、シール用のゴム製リングを取付けて、被加工材入口12A及び被加工材出口12Bを設けている。図5に示されるように、丸棒状の被加工材としての外径約11mmの軟鋼棒材(SWRM)W2は、所定の速度で矢印方向に移動して被加工材入口12Aから装置本体12内に入り、被加工材出口12Bから出て行くことになる。丸棒状の被加工材としての外径約11mmの軟鋼棒材W2は、スケール除去処理前はコイル状に巻かれた状態にあり、スケール除去処理後は再び大きな力で巻き取られる。
このように所定の速度で移動していく丸棒状の被加工材W2に対して、本実施の形態2にかかるスケール除去装置11においては、4個の噴射ノズル14A,14B,14C,14Dが設置されている。噴射ノズル14Aは装置本体12の左側面に水平方向を向いて固定され、丸棒状の被加工材W2に対してほぼ同じ高さに設けられており、噴射ノズル14Bは装置本体12の底面に真上方向を向いて固定され、丸棒状の被加工材W2の真下に設けられている。
また、噴射ノズル14Cは装置本体12の右側面に水平方向を向いて固定され、丸棒状の被加工材W2に対してほぼ同じ高さに設けられており、噴射ノズル14Dは装置本体12の上面に真下方向を向いて図示しない支持機構に固定され、丸棒状の被加工材W2の真上に設けられている。即ち、4個の噴射ノズル14A,14B,14C,14Dは、互いに約90度の角度を付けて、丸棒状の被加工材W2を四方から取り囲むようにして設置されている。
4個の噴射ノズル14A,14B,14C,14Dは、それぞれ高圧配管16A,16B,16C,16Dを介して、高圧水を供給する高圧ポンプ15A,15B,15C,15Dに接続されている。これらの高圧ポンプ15A,15B,15C,15Dには、図示しない給水タンクユニットが、高圧ポンプ15A,15B,15C,15Dに水を補給するために接続されている。
そして、装置本体12内には実施の形態1と同様に、真球に近い球状の微粒子としての球状ジルコンビーズが混入された液体としての水BLが満たされており、4個の噴射ノズル14A,14B,14C,14Dは、少なくともその先端が水BLに浸かるように支持固定されている。
4個の噴射ノズル14A,14B,14C,14Dから高圧水が噴射されると、図3のSEM写真に示されるようなほぼ真球の球状ジルコンビーズがその流れに巻き込まれて、高圧水とともに音速の約3倍(マッハ3)の高速で丸棒状の被加工材W2の表面に噴き付けられ、これによって丸棒状の被加工材W2の表面のスケールが削り取られて除去される。
ここで、4個の噴射ノズル14A,14B,14C,14Dの先端と丸棒状の被加工材W2の表面との距離は、実施の形態1と同様に40mm〜50mmとしている。この距離は25mm〜70mmの範囲、より好ましくは30mm〜50mmの範囲とすることによって、より効率良くスケール除去ができることが分かっている。この理由は、この距離が余り大き過ぎると丸棒状の被加工材W2の表面に噴き付けられる高圧水の勢いが弱くなり、逆にこの距離が余り小さ過ぎると高圧水が充分に球状ジルコンビーズを巻き込むことができないためと考えられる。
更に、図5に示されるように、4個の噴射ノズル14A,14B,14C,14Dから噴射される高圧水は、丸棒状の被加工材W2の表面の長手方向に互いにずれて噴き付けられるように設定されている。この理由は、4個の噴射ノズル14A,14B,14C,14Dから噴射される高圧水が丸棒状の被加工材W2の表面の長手方向に同じ位置に噴き付けられるようにすると、噴射される高圧水が互いにぶつかり合って勢いが減殺される恐れがあるため、4個の噴射ノズル14A,14B,14C,14Dの設置位置をずらすことによって長手方向に互いにずれて噴き付けられるようにしたものである。
したがって、噴射される高圧水が互いにぶつかり合っても勢いが減殺される恐れがない場合には、本実施の形態2のように4個の噴射ノズル14A,14B,14C,14Dの設置位置をずらす必要はなく、丸棒状の被加工材W2の表面の長手方向の同じ位置に2個乃至4個の噴射ノズルからの高圧水が噴き付けられるようにしても良い。また、4個の噴射ノズル14A,14B,14C,14Dの噴射口径は約2mmとしている。噴射ノズルの噴射口径は、約0.1mm〜約6mmの範囲、より好ましくは約1mm〜約3mmの範囲とすることによって、より効率良くスケールを除去できることが判明している。
また、本実施の形態2にかかるスケール除去装置11においては、装置本体12として透明なアクリル樹脂製の水槽を用いているが、不透明なステンレス製の水槽等を用いることもできる。透明なアクリル樹脂製の水槽を用いることによって、装置本体12の内部を容易に観察することができ、高圧水が噴き付けられる様子や球状ジルコンビーズZBが巻き込まれる様子をチェックすることができるという長所が得られる。
また、本実施の形態2にかかるスケール除去装置11においても、実施の形態1と同様に、図4に示されるような球状ジルコンビーズ回収装置40を用いて、スケール滓が溜まるごとに、装置本体12から球状ジルコンビーズ混入水BLを抜き出して、スケール滓等の不純物の除去及び球状ジルコンビーズZBの回収を行うことが好ましい。
このようにして、本実施の形態2にかかるスケール除去装置11及びスケール除去方法においては、研磨材として液体としての水中に真球に近い球状の微粒子としての球状ジルコンビーズを混入して、かつ4個の噴射ノズル14A,14B,14C,14Dを丸棒状の被加工材W2の外周面の全面に高圧水を噴射するように設置固定することによって、丸棒状の被加工材W2に傷を付けることがなく、スケール除去効率も高く、著しく低コストで満遍なくスケールを除去することができる。
実施の形態3
次に、本発明の実施の形態3にかかるスケール除去装置及びスケール除去方法について、図6を参照して説明する。図6は本発明の実施の形態3にかかるスケール除去装置の主要部分の構成を示す縦断面図である。
図6に示されるように、本実施の形態3にかかるスケール除去装置においては、高圧液体としての高圧水を噴射する噴射ノズル21を1個しか使用していない。その代わり、噴射ノズル21から高圧水が表面に噴き付けられる丸棒状の被加工材W3の周辺に長手方向に沿って、半円筒形の樋状のカバー23を図示しない支持部材によって固定している。
これによって、図示しない装置本体に満たされた水中に真球に近い球状の微粒子としての球状ジルコンビーズZBを混入して、図示しない高圧ポンプから高圧配管22を介して供給される高圧水を、噴射ノズル21から丸棒状の被加工材W3の表面に噴き付けると、図6に示されるように、高圧水に巻き込まれて球状ジルコンビーズZBも噴き付けられるとともに、丸棒状の被加工材W3の表面で反射され或いは丸棒状の被加工材W3を通過した高圧水及び球状ジルコンビーズZBが、樋状カバー23によって巻き込まれて丸棒状の被加工材W3の裏側にも噴き付けられる。
このようにして、本実施の形態3にかかるスケール除去装置及びスケール除去方法においては、噴射ノズル21を1個使用するのみで、丸棒状の被加工材W3の表面全周のスケールを除去することができる。これによって、高価な高圧ポンプ・高圧配管22・噴射ノズル21が一式のみでスケールを除去することができ、より低コストで満遍なくスケールを除去することができる。
なお、本実施の形態3にかかるスケール除去装置においても、実施の形態1と同様に、図4に示されるような球状ジルコンビーズ回収装置40を用いて、スケール滓が溜まるごとに、装置本体から球状ジルコンビーズ混入水BLを抜き出して、スケール滓等の不純物の除去及び球状ジルコンビーズZBの回収を行うことが好ましい。
実施の形態4
次に、本発明の実施の形態4にかかるスケール除去装置及びスケール除去方法について、図7を参照して説明する。図7(a)は本発明の実施の形態4にかかるスケール除去装置の主要部分の構成を示す斜視図、(b)は縦断面図である。
図7(a)に示されるように、本実施の形態4にかかるスケール除去装置においても、上記実施の形態3と同様に、高圧液体としての高圧水を噴射する噴射ノズル26を1個しか使用していない。その代わり、噴射ノズル26から高圧水が表面に噴き付けられる丸棒状の被加工材W4の周辺に長手方向に沿って、円筒形の筒状のカバー28を図示しない支持部材によって固定している。そして、図7(b)に示されるように、噴射ノズル26の先端は筒状カバー28の中央上部に穿設された貫通孔に嵌め込まれて固定されている。
これによって、図示しない装置本体に満たされた水中に真球に近い球状の微粒子としての球状ジルコンビーズZBを混入して、図示しない高圧ポンプから高圧配管27を介して供給される高圧水を、噴射ノズル26から丸棒状の被加工材W4の表面に噴き付けると、図7(b)に示されるように、高圧水に巻き込まれて球状ジルコンビーズZBも噴き付けられるとともに、丸棒状の被加工材W4の表面で反射され或いは丸棒状の被加工材W4を通過した高圧水及び球状ジルコンビーズZBが、筒状カバー28によって巻き込まれて丸棒状の被加工材W4の全周に噴き付けられる。
このようにして、本実施の形態4にかかるスケール除去装置及びスケール除去方法においては、噴射ノズル26を1個使用するのみで、丸棒状の被加工材W4の表面全周のスケールを除去することができる。これによって、高価な高圧ポンプ・高圧配管27・噴射ノズル26が一式のみでスケールを除去することができ、より低コストで満遍なくスケールを除去することができる。
なお、本実施の形態4にかかるスケール除去装置においても、実施の形態1と同様に、図4に示されるような球状ジルコンビーズ回収装置40を用いて、スケール滓が溜まるごとに、装置本体から球状ジルコンビーズ混入水BLを抜き出して、スケール滓等の不純物の除去及び球状ジルコンビーズZBの回収を行うことが好ましい。
実施の形態5
次に、本発明の実施の形態5にかかるスケール除去装置及びスケール除去方法について、図8及び図9を参照して説明する。
図8は本発明の実施の形態5にかかるスケール除去装置の全体構成を示す斜視図である。図9(a)は本発明の実施の形態5にかかるスケール除去装置の支持ブロックの構造を示す正面図、(b)は底面図である。
図8に示されるように、本実施の形態5にかかるスケール除去装置31は、装置本体32として透明なアクリル樹脂製の水槽を用いて、短手方向の向かい合った側面に同じ高さに貫通孔を穿設し、シール用のゴム製リングを取付けて、被加工材入口32A及び被加工材出口32Bを設けている。
図8に示されるように、丸棒状の被加工材としての外径約6mmの軟鋼棒材(SWRM)W1は、所定の速度で矢印方向に移動して被加工材入口32Aから装置本体32内に入り、被加工材出口32Bから出て行くことになる。丸棒状の被加工材としての外径約6mmの軟鋼棒材W1は、スケール除去処理前はコイル状に巻かれた状態にあり、スケール除去処理後は再び大きな力で巻き取られる。
このように所定の速度で移動していく丸棒状の被加工材W1を囲むようにして、概略コの字形の支持ブロック33が図示しない支持機構によって固定されており、この支持ブロック33には2個の噴射ノズル34A,34Bが取付け固定されている。2個の噴射ノズル34A,34Bは、それぞれ高圧配管36A,36Bを介して高圧水を供給する高圧ポンプ35A,35Bに接続されている。
これらの高圧ポンプ35A,35Bには、図示しない給水タンクユニットが、高圧ポンプ35A,35Bに水を補給するために接続されている。そして、装置本体32内には真球に近い球状の微粒子としての球状ジルコンビーズが混入された液体としての水BLが満たされており、支持ブロック33は少なくともその両脚部が水BLに浸かるように支持固定されている。
更に、図8に装置本体32の一部を切り欠いて示されるように、概略コの字形の支持ブロック3は、噴射ノズル34Aが取付けられた脚部が被加工材入口32A側に屈曲しており、噴射ノズル34Bが取付けられた脚部が被加工材出口32B側に屈曲している。これによって、2個の噴射ノズル34A,34Bから噴射される高圧液体としての高圧水は、丸棒状の被加工材W1の表面に噴き付けられる位置が、被加工材W1の長手方向に互いにずれるようになっている。
この支持ブロック33及び2個の噴射ノズル34A,34Bについて、図9を参照して更に詳しく説明する。
図9(a)に示されるように、支持ブロック33は正面から見ると略コの字形であり、右脚部には水平方向を向いて噴射ノズル34Aが固定されており、左脚部にはやはり水平方向を向いて噴射ノズル34Bが固定されている。図9(a)に示されるように、これら2個の噴射ノズル34A,34Bの噴射方向は互いに約180度の角度が付けられており、これによって丸棒状の被加工材W1の全周に確実に高圧水が噴き付けられるように設定されている。
また、図9(a)に示されるように、装置本体32内に満たされた水の中には真球に近い球状の微粒子としての球状ジルコンビーズZBが混入されており、2個の噴射ノズル34A,34Bから高圧水が噴射されると球状ジルコンビーズZBがその流れに巻き込まれて、高圧水とともに音速の約3倍(マッハ3)の高速で丸棒状の被加工材W1の表面に噴き付けられ、これによって丸棒状の被加工材W1の表面のスケールが削り取られて除去される。
ここで、2個の噴射ノズル34A,34Bの先端と丸棒状の被加工材W1の表面との距離は、40mm〜50mmとしている。この距離は25mm〜70mmの範囲、より好ましくは30mm〜50mmの範囲とすることによって、より効率良くスケール除去ができることが分かっている。この理由は、この距離が余り大き過ぎると丸棒状の被加工材W1の表面に噴き付けられる高圧水の勢いが弱くなり、逆にこの距離が余り小さ過ぎると高圧水が充分に球状ジルコンビーズZBを巻き込むことができないためと考えられる。
更に、図9(b)に示されるように、2個の噴射ノズル34A,34Bから噴射される高圧水は、丸棒状の被加工材W1の表面の長手方向に互いにずれて噴き付けられるように設定されている。この理由は、2個の噴射ノズル34A,34Bから噴射される高圧水が丸棒状の被加工材W1の表面の長手方向に同じ位置に噴き付けられるようにすると、噴射される高圧水が互いにぶつかり合って勢いが減殺される恐れがあるため、上述したように概略コの字形の支持ブロック33の両脚部を屈曲させることによって、長手方向に互いにずれて噴き付けられるようにしたものである。
したがって、噴射される高圧水が互いにぶつかり合っても勢いが減殺される恐れがない場合には、本実施の形態5にかかる支持ブロック33のように両脚部を屈曲させる必要はなく、丸棒状の被加工材W1の表面の長手方向の同じ位置に噴き付けられるようにしても良い。また、2個の噴射ノズル34A,34Bの噴射口径は約2mmとしている。噴射ノズルの噴射口径は、約0.1mm〜約6mmの範囲、より好ましくは約1mm〜約3mmの範囲とすることによって、より効率良くスケールを除去できることが判明している。
本実施の形態5にかかるスケール除去装置31においては、支持ブロック33をステンレス鋼(SUS316)で作製しているが、支持ブロック33の材質としてはこれに限られるものではなく、曲げ強度が大きく耐摩耗性の大きい構造用セラミックス(窒化ケイ素(Si3 N4 )、炭化ケイ素(SiC)、等)やアルミニウム等の他の金属を用いることもできる。
また、本実施の形態5にかかるスケール除去装置31においては、装置本体32として透明なアクリル樹脂製の水槽を用いているが、不透明なステンレス製の水槽等を用いることもできる。透明なアクリル樹脂製の水槽を用いることによって、装置本体32の内部を容易に観察することができ、高圧水が噴き付けられる様子や球状ジルコンビーズZBが巻き込まれる様子をチェックすることができるという長所が得られる。
また、本実施の形態5にかかるスケール除去装置31においても、実施の形態1と同様に、図4に示されるような球状ジルコンビーズ回収装置40を用いて、スケール滓が溜まるごとに、装置本体32から球状ジルコンビーズ混入水BLを抜き出して、スケール滓等の不純物の除去及び球状ジルコンビーズZBの回収を行うことが好ましい。
このようにして、本実施の形態5にかかるスケール除去装置31及びスケール除去方法においては、噴射ノズル34A,34Bを2個使用するのみで、丸棒状の被加工材W1の表面全周のスケールを除去することができる。これによって、高価な高圧ポンプ35A,35B・高圧配管36A,36B・噴射ノズル34A,34Bが二式のみでスケールを除去することができ、より低コストで満遍なくスケールを除去することができる。
実施の形態6
次に、本発明の実施の形態6にかかるスケール除去装置及びスケール除去方法について、図10乃至図13を参照して説明する。本実施の形態6にかかるスケール除去装置及びスケール除去方法は、上記実施の形態1乃至実施の形態5と異なり、丸棒状の被加工材より硬度の高い真球に近い球状の微粒子としての球状ジルコンビーズを混入した高圧水を噴射ノズルから噴き付ける方式のものであり、請求項4及び請求項9の発明に対応するものである。
図10は本発明の実施の形態6にかかるスケール除去装置の全体構成を示す斜視図である。図11は本発明の実施の形態6にかかるスケール除去装置及びスケール除去方法に用いられる噴射ノズルの構造を示す縦断面図である。図12は本発明の実施の形態6にかかるスケール除去装置及びスケール除去方法に用いられる球状ジルコンビーズ回収装置の構成を示すブロック図である。図13(a)は本発明の実施の形態6にかかるスケール除去装置の支持ブロックの構造を示す正面図、(b)は底面図である。
図10に示されるように、本実施の形態6にかかるスケール除去装置51は、上記実施の形態1と同様に、装置本体2として透明なアクリル樹脂製の水槽を用いて、短手方向の向かい合った側面に同じ高さに貫通孔を穿設し、シール用のゴム製リングを取付けて、被加工材入口2A及び被加工材出口2Bを設けている。図10に示されるように、丸棒状の被加工材としての外径約6mmの軟鋼棒材(SWRM)W1は、実施の形態1におけるより速い所定の速度で矢印方向に移動して被加工材入口2Aから装置本体2内に入り、被加工材出口2Bから出て行くことになる。丸棒状の被加工材としての外径約6mmの軟鋼棒材W1は、スケール除去処理前はコイル状に巻かれた状態にあり、スケール除去処理後は再び大きな力で巻き取られる。
このように所定の速度で移動していく丸棒状の被加工材W1を囲むようにして、概略コの字形の支持ブロック3が図示しない支持機構によって固定されており、この支持ブロック3には3個の噴射ノズル54A,54B,54Cが取付け固定されている。3個の噴射ノズル54A,54B,54Cは、それぞれ高圧配管6A,6B,6Cを介して高圧水を供給する高圧ポンプ5A,5B,5Cに接続されている。これらの高圧ポンプ5A,5B,5Cには、給水タンクユニット5Dが、高圧ポンプ5A,5B,5Cに水を補給するために接続されている。
更に、本実施の形態6に係るスケール除去装置51が上記実施の形態1に係るスケール除去装置1と異なるのは、装置本体2の近傍に球状微粒子供給装置としての球状ジルコンビーズ供給装置55が設置されており、球状ジルコンビーズ供給装置55から配管56A,56B,56Cを通って、球状ジルコンビーズがそれぞれ噴射ノズル54A,54B,54Cに供給され、噴射ノズル54A,54B,54Cにおいて高圧配管6A,6B,6Cを介して供給される高圧水に混入される点である。
球状ジルコンビーズは比重が3.8、モース硬度は7、破砕強度は径2mmのビーズで700Nであり、球状で丸棒状の被加工材としての軟鋼棒材W1に傷を付ける恐れもなく、破砕し難いので何回でも再使用することができる。即ち、図10に示されるように、装置本体2の底部に溜まった使用済みの球状ジルコンビーズ混入水は、排出管2Cから排出されて球状微粒子回収装置としての球状ジルコンビーズ回収装置57に入り、清浄な球状ジルコンビーズと清浄な水だけが回収されて、配管58A,58B,58Cから直接噴射ノズル54A,54B,54Cにそれぞれ供給される。また、清浄な水だけが別に回収されて、配管58Dから給水タンクユニット5Dに供給されて再利用される。
装置本体2内には、球状ジルコンビーズが混入された高圧液体としての高圧水と同一の液体としての水WLが満たされており、支持ブロック3はその全体が水WLに浸かるように支持固定されている。更に、図10に装置本体2の一部を切り欠いて示されるように、概略コの字形の支持ブロック3は、噴射ノズル54Bが取付けられた脚部が被加工材入口2A側に屈曲しており、噴射ノズル54Cが取付けられた脚部が被加工材出口2B側に屈曲している。これによって、3個の噴射ノズル54A,54B,54Cから噴射される高圧液体としての高圧水は、丸棒状の被加工材W1の表面に噴き付けられる位置が、被加工材W1の長手方向に互いにずれるようになっている。
次に、3個の噴射ノズル54A,54B,54Cの構造について、図11を参照して説明する。図11には噴射ノズル54Aの内部構造が示されているが、他の2個の噴射ノズル54B,54Cの内部構造も全く同一である。図11に示されるように、噴射ノズル54Aの本体54aには、高圧水を供給する高圧配管6A、球状ジルコンビーズZBを供給する配管56A、及び回収された清浄な球状ジルコンビーズと清浄な水を供給する配管58Aが接続されている。そして、図11に示されるように、噴射ノズル本体54aの中で球状ジルコンビーズZBが高圧配管6Aから噴き出す高圧水に混入されて、噴射ノズル54Aの先端から丸棒状の被加工材W1の表面に噴き付けられる。
次に、球状ジルコンビーズ回収装置57の具体的な構成について、図12を参照して説明する。図12に示されるように、本実施の形態6にかかる球状ジルコンビーズ回収装置57は、マグネットセパレータとオイルスキーマを組み合わせたもの41、サイクロンセパレータ42、切粉取フィルタ43、回収液タンク44、破砕片除去装置45及びこれらの間を繋ぐ配管を備えており、実施の形態1の球状ジルコンビーズ回収装置40と同様の構成を有している。
排出管2Cから排出される排出液に含まれる球状ジルコンビーズと水以外の不純物としては、丸棒状の被加工材の切粉(スケール滓)と潤滑オイル等の油分と配管系内壁が削られた鉄屑等が主なものである。そこで、まずマグネットセパレータ41によってスケール滓・鉄屑等の鉄分を磁力吸着して除去し、同時にオイルスキーマ41によって油分を除去する。
次に、サイクロンセパレータ42によって比重の差で球状ジルコンビーズのみを分離し、更に破砕片除去装置45によって僅かではあるが長期間繰返し使用されて破砕した球状ジルコンビーズの破砕片を斜面を転がり落ちる速度の速い球状ジルコンビーズから除去して、清浄になった水とともに噴射ノズル54A,54B,54Cに供給することによって、高圧ポンプ5A,5B,5Cから供給される高圧水によって、噴射ノズル54A,54B,54Cから高速で丸棒状の被加工材W1に噴き付けられて再使用される。
更に、球状ジルコンビーズが一部の清浄な水とともに分離された回収液からは、切粉取フィルタ43によって切粉等を除去して清浄になった水が、回収液タンク44から給水タンクユニット5Dを介して、高圧ポンプ5A,5B,5Cに供給されて再使用される。なお、回収液タンク44の容量は高圧ポンプ5A,5B,5Cの安全を考慮すると吐出量の約20倍〜約50倍あることが望ましい。
このようにして、本実施の形態6のスケール除去装置51においては、球状ジルコンビーズのみならず高圧水用の水をも回収して何回も再使用することが可能になり、ランニングコストを大幅に低減することができるとともに、廃水及び産業廃棄物を減らすことができて環境に優しいスケール除去装置およびスケール除去方法となる。
本実施の形態6にかかる球状ジルコンビーズ回収装置57においては、サイクロンセパレータ42で球状ジルコンビーズのみを分離しているが、サイクロンセパレータ42の代わりに段付きシックナー(沈降槽)を用いて沈降速度の速い球状ジルコンビーズのみを分離しても良いし、段付きシックナーとサイクロンセパレータ42を両方用いても良い。また、マグネットセパレータ41によってスケール滓・鉄屑等の鉄分を磁力吸着して除去し、同時にオイルスキーマ41によって油分を除去した後に、エレメントレスフィルター(エレメントレスフィルスター(登録商標))で球状ジルコンビーズと水とを分離することもできる。
次に、支持ブロック3及び3個の噴射ノズル54A,54B,54Cについて、図13を参照して更に詳しく説明する。図13(a)に示されるように、支持ブロック3は正面から見ると略コの字形であり、上部中央に真下を向いて噴射ノズル54Aが固定されており、右脚部には斜め上方を向いて噴射ノズル54Bが固定されており、左脚部にはやはり斜め上方を向いて噴射ノズル54Cが固定されている。
図13(a)に示されるように、これら3個の噴射ノズル54A,54B,54Cの噴射方向は互いに約120度の角度が付けられており、これによって丸棒状の被加工材W1の全周に確実に球状ジルコンビーズZBが混入した高圧水が噴き付けられるように設定されている。3個の噴射ノズル54A,54B,54Cから球状ジルコンビーズZBが混入した高圧水が噴射されると、球状ジルコンビーズZBが高圧水とともに音速の約3倍(マッハ3)の高速で丸棒状の被加工材W1の表面に噴き付けられ、これによって丸棒状の被加工材W1の表面のスケールがより強力にかつ確実に削り取られて除去される。
ここで、3個の噴射ノズル54A,54B,54Cの先端と丸棒状の被加工材W1の表面との距離dは、40mm〜50mmとしている。距離dは25mm〜70mmの範囲、より好ましくは30mm〜50mmの範囲とすることによって、より効率良くスケール除去ができることが分かっている。この理由は、距離dが余り大き過ぎると丸棒状の被加工材W1の表面に噴き付けられる高圧水の勢いが弱くなり、逆に距離dが余り小さ過ぎると球状ジルコンビーズZBが混入した高圧水が充分に広がらないためと考えられる。
更に、図13(b)に示されるように、3個の噴射ノズル54A,54B,54Cから噴射される高圧水は、丸棒状の被加工材W1の表面の長手方向に互いにずれて噴き付けられるように設定されている。この理由は、3個の噴射ノズル54A,54B,54Cから噴射される高圧水が丸棒状の被加工材W1の表面の長手方向に同じ位置に噴き付けられるようにすると、噴射される高圧水が互いにぶつかり合って勢いが減殺される恐れがあるため、上述したように概略コの字形の支持ブロック3の両脚部を屈曲させることによって、長手方向に互いにずれて噴き付けられるようにしたものである。
したがって、噴射される高圧水が互いにぶつかり合っても勢いが減殺される恐れがない場合には、本実施の形態6にかかる支持ブロック3のように両脚部を屈曲させる必要はなく、丸棒状の被加工材W1の表面の長手方向の同じ位置に噴き付けられるようにしても良い。また、3個の噴射ノズル54A,54B,54Cの噴射口径は約2mmとしている。噴射ノズルの噴射口径は、約0.1mm〜約6mmの範囲、より好ましくは約1mm〜約3mmの範囲とすることによって、より効率良くスケールを除去できることが判明している。
本実施の形態6にかかるスケール除去装置51においては、支持ブロック3をステンレス鋼(SUS316)で作製しているが、支持ブロック3の材質としてはこれに限られるものではなく、曲げ強度が大きく耐摩耗性の大きい構造用セラミックス(窒化ケイ素(Si3 N4 )、炭化ケイ素(SiC)、等)やアルミニウム等の他の金属を用いることもできる。
また、本実施の形態6にかかるスケール除去装置51においては、装置本体2として透明なアクリル樹脂製の水槽を用いているが、不透明なステンレス製の水槽等を用いることもできる。透明なアクリル樹脂製の水槽を用いることによって、装置本体2の内部を容易に観察することができ、高圧水が噴き付けられる様子や球状ジルコンビーズZBが巻き込まれる様子をチェックすることができるという長所が得られる。
更に、本実施の形態6にかかるスケール除去装置51及びスケール除去方法においては、真球に近い球状の微粒子として球状ジルコンビーズZBを用いている。球状ジルコン(ZrSiO4 )ビーズZBは2500℃以上の電気溶解プロセスによって作製され、シリカ相に囲まれた結晶ジルコニア粒子は高強度で平滑な表面を有する。比重は3.8、モース硬度は7、破砕強度は径2mmのビーズで700Nであり、真球に近い球状であるため丸棒状の被加工材に傷を付ける恐れもない。
このようにして、本実施の形態6にかかるスケール除去装置51及びスケール除去方法においては、真球に近い球状の微粒子として球状ジルコンビーズZBを用いて、球状ジルコンビーズZBを混入した高圧水を3個の噴射ノズル54A,54B,54Cから噴射させることによって、スケール除去速度がより一層速くなり、丸棒状の被加工材W1をより一層速く移動させることができるため、スケール除去工程を著しく時間短縮できるとともに、スケールを除去した跡に細かい凹凸が生じるのを防いで平滑な面とできる。更に、真球に近い球状の微粒子及び水の再使用を可能として、システムのランニングコスト低減を図ることができる。
実施の形態7
次に、本発明の実施の形態7にかかるスケール除去装置及びスケール除去方法について、図14を参照して説明する。図14は本発明の実施の形態7にかかるスケール除去装置の全体構成を示す斜視図である。本実施の形態7にかかるスケール除去装置及びスケール除去方法は、上記実施の形態6と同様に、丸棒状の被加工材より硬度の高い真球に近い球状の微粒子としての球状ジルコンビーズを混入した高圧水を噴射ノズルから噴き付ける方式のものであり、請求項4及び請求項9の発明に対応するものである。
図14に示されるように、本実施の形態7にかかるスケール除去装置61は、上記実施の形態2と同様に、装置本体12として透明なアクリル樹脂製の水槽を用いて、この装置本体12の向かい合った側面に同じ高さに貫通孔を穿設し、シール用のゴム製リングを取付けて、被加工材入口12A及び被加工材出口12Bを設けている。図14に示されるように、丸棒状の被加工材としての外径約11mmの軟鋼棒材(SWRM)W2は、上記実施の形態2におけるよりも速い所定の速度で矢印方向に移動して、被加工材入口12Aから装置本体12内に入り、被加工材出口12Bから出て行くことになる。丸棒状の被加工材としての外径約11mmの軟鋼棒材W2は、スケール除去処理前はコイル状に巻かれた状態にあり、スケール除去処理後は再び大きな力で巻き取られる。
このように所定の速度で移動していく丸棒状の被加工材W2に対して、本実施の形態7にかかるスケール除去装置61においては、4個の噴射ノズル64A,64B,64C,64Dが設置されている。噴射ノズル64Aは装置本体12の左側面に水平方向を向いて固定され、丸棒状の被加工材W2に対してほぼ同じ高さに設けられており、噴射ノズル64Bは装置本体12の底面に真上方向を向いて固定され、丸棒状の被加工材W2の真下に設けられている。
また、噴射ノズル64Cは装置本体12の右側面に水平方向を向いて固定され、丸棒状の被加工材W2に対してほぼ同じ高さに設けられており、噴射ノズル64Dは装置本体12の上面に真下方向を向いて図示しない支持機構に固定され、丸棒状の被加工材W2の真上に設けられている。即ち、4個の噴射ノズル64A,64B,64C,64Dは、互いに約90度の角度を付けて、丸棒状の被加工材W2を四方から取り囲むようにして設置されている。これら4個の噴射ノズル64A,64B,64C,64Dの構造は、図11に示される上記実施の形態6における噴射ノズル54A,54B,54Cの構造と同様である。
即ち、4個の噴射ノズル64A,64B,64C,64Dは、それぞれ高圧配管16A,16B,16C,16Dを介して、高圧水を供給する高圧ポンプ15A,15B,15C,15Dに接続されている。これらの高圧ポンプ15A,15B,15C,15Dには給水タンクユニット15Eが、高圧ポンプ15A,15B,15C,15Dに水を補給するために接続されている。また、装置本体12の近傍には球状微粒子供給装置としての球状ジルコンビーズ供給装置65が設置されており、球状ジルコンビーズ供給装置65から配管66A,66B,66C,66Dを通って、球状ジルコンビーズがそれぞれ噴射ノズル64A,64B,64C,66Dに供給され、噴射ノズル64A,64B,64C,66Dにおいて高圧配管16A,16B,16C,16Dを介して供給される高圧水に混入される。
球状ジルコンビーズは比重が3.8、モース硬度は7、破砕強度は径2mmのビーズで700Nであり、球状で丸棒状の被加工材としての軟鋼棒材W2に傷を付ける恐れもなく、破砕し難いので何回でも再使用することができる。即ち、図14に示されるように、装置本体12の底部に溜まった使用済みの球状ジルコンビーズ混入水は、排出管12Cから排出されて球状微粒子回収装置としての球状ジルコンビーズ回収装置67に入り、清浄な球状ジルコンビーズと清浄な水だけが回収されて、配管68A,68B,68C,68Dから直接噴射ノズル64A,64B,64C,64Dにそれぞれ供給される。また、清浄な水だけが別に回収されて、給水タンクユニット15Eに供給されて再利用される。
装置本体12内には、球状ジルコンビーズが混入された高圧液体としての高圧水と同一の液体としての水WLが満たされており、4個の噴射ノズル64A,64B,64C,64Dは、少なくともその先端が水WLに浸かるように支持固定されている。そして、4個の噴射ノズル64A,64B,64C,64Dから、図3のSEM写真に示されるようなほぼ真球の球状ジルコンビーズが混入した高圧水が噴射されると、音速の約3倍(マッハ3)の高速で丸棒状の被加工材W2の表面に噴き付けられ、これによって丸棒状の被加工材W2の表面のスケールが、より強力にかつ高速度で削り取られて除去される。
ここで、4個の噴射ノズル64A,64B,64C,64Dの先端と丸棒状の被加工材W2の表面との距離は、実施の形態6と同様に40mm〜50mmとしている。この距離は25mm〜70mmの範囲、より好ましくは30mm〜50mmの範囲とすることによって、より効率良くスケール除去ができることが分かっている。この理由は、この距離が余り大き過ぎると丸棒状の被加工材W2の表面に噴き付けられる高圧水の勢いが弱くなり、逆にこの距離が余り小さ過ぎるとほぼ真球の球状ジルコンビーズが混入した高圧水が充分に広がらないためと考えられる。
更に、図14に示されるように、4個の噴射ノズル64A,64B,64C,64Dから噴射される高圧水は、丸棒状の被加工材W2の表面の長手方向に互いにずれて噴き付けられるように設定されている。この理由は、4個の噴射ノズル64A,64B,64C,64Dから噴射される高圧水が丸棒状の被加工材W2の表面の長手方向に同じ位置に噴き付けられるようにすると、噴射される高圧水が互いにぶつかり合って勢いが減殺される恐れがあるため、4個の噴射ノズル64A,64B,64C,64Dの設置位置をずらすことによって長手方向に互いにずれて噴き付けられるようにしたものである。また、4個の噴射ノズル64A,64B,64C,64Dの噴射口径は約2mmとしている。噴射ノズルの噴射口径は、約0.1mm〜約6mmの範囲、より好ましくは約1mm〜約3mmの範囲とすることによって、より効率良くスケールを除去できることが判明している。
また、本実施の形態7にかかるスケール除去装置61においては、装置本体12として透明なアクリル樹脂製の水槽を用いているが、不透明なステンレス製の水槽等を用いることもできる。透明なアクリル樹脂製の水槽を用いることによって、装置本体12の内部を容易に観察することができ、球状ジルコンビーズZBが混入した高圧水が噴き付けられる様子をチェックすることができるという長所が得られる。
また、本実施の形態7にかかるスケール除去装置61においても、実施の形態6と同様に、図14に示される球状ジルコンビーズ回収装置67を用いて、スケール滓が溜まるごとに、装置本体12から球状ジルコンビーズ混入水を抜き出して、スケール滓等の不純物の除去及び球状ジルコンビーズZBの回収を行っているため、ランニングコストの低減と産業廃棄物の減量に貢献している。
このようにして、本実施の形態7にかかるスケール除去装置61及びスケール除去方法においては、研磨材として高圧液体としての高圧水中に真球に近い球状の微粒子としての球状ジルコンビーズを混入して、かつ4個の噴射ノズル64A,64B,64C,64Dを丸棒状の被加工材W2の外周面の全面に高圧水を噴射するように設置固定することによって、丸棒状の被加工材W2に傷を付けることがなく、スケール除去効率も高く、著しく低コストで満遍なくスケールを除去することができる。
実施の形態8
次に、本発明の実施の形態8にかかるスケール除去装置及びスケール除去方法について、図15を参照して説明する。図15は本発明の実施の形態8にかかるスケール除去装置の全体構成を示す斜視図である。本実施の形態8にかかるスケール除去装置及びスケール除去方法は、上記実施の形態6,7と同様に、丸棒状の被加工材より硬度の高い真球に近い球状の微粒子としての球状ジルコンビーズを混入した高圧水を噴射ノズルから噴き付ける方式のものであり、請求項3及び請求項9の発明に対応するものである。
図15に示されるように、本実施の形態8にかかるスケール除去装置71は、上記実施の形態5と同様に、装置本体32として透明なアクリル樹脂製の水槽を用いて、この装置本体32の向かい合った側面に同じ高さに貫通孔を穿設し、シール用のゴム製リングを取付けて、被加工材入口32A及び被加工材出口32Bを設けている。図15に示されるように、丸棒状の被加工材としての外径約6mmの軟鋼棒材(SWRM)W1は、上記実施の形態5におけるよりも速い所定の速度で矢印方向に移動して、被加工材入口32Aから装置本体32内に入り、被加工材出口32Bから出て行くことになる。丸棒状の被加工材としての外径約6mmの軟鋼棒材W1は、スケール除去処理前はコイル状に巻かれた状態にあり、スケール除去処理後は再び大きな力で巻き取られる。
このように所定の速度で移動していく丸棒状の被加工材W1を囲むようにして、概略コの字形の支持ブロック33が図示しない支持機構によって固定されており、この支持ブロック33には2個の噴射ノズル74A,74Bが取付け固定されている。は、これら2個の噴射ノズル74A,74Bの構造は、図11に示される上記実施の形態6における噴射ノズル54A,54B,54Cの構造と同様である。
即ち、2個の噴射ノズル74A,74Bは、それぞれ高圧配管36A,36Bを介して、高圧水を供給する高圧ポンプ35A,35Bに接続されている。これらの高圧ポンプ35A,35Bには給水タンクユニット35Cが、高圧ポンプ35A,35Bに水を補給するために接続されている。また、装置本体32の近傍には球状微粒子供給装置としての球状ジルコンビーズ供給装置75が設置されており、球状ジルコンビーズ供給装置75から配管76A,76Bを通って、球状ジルコンビーズがそれぞれ噴射ノズル74A,74Bに供給され、噴射ノズル74A,74Bにおいて高圧配管36A,36Bを介して供給される高圧水に混入される。
球状ジルコンビーズは比重が3.8、モース硬度は7、破砕強度は径2mmのビーズで700Nであり、球状で丸棒状の被加工材としての軟鋼棒材W1に傷を付ける恐れもなく、破砕し難いので何回でも再使用することができる。即ち、図15に示されるように、装置本体32の底部に溜まった使用済みの球状ジルコンビーズ混入水は、排出管32Cから排出されて球状微粒子回収装置としての球状ジルコンビーズ回収装置77に入り、清浄な球状ジルコンビーズと清浄な水だけが回収されて、配管78A,78Bから直接噴射ノズル74A,74Bにそれぞれ供給される。また、清浄な水だけが別に回収されて、給水タンクユニット35Cに供給されて再利用される。
装置本体32内には、球状ジルコンビーズが混入された高圧液体としての高圧水と同一の液体としての水WLが満たされており、2個の噴射ノズル74A,74Bは、支持ブロック33の脚部が水WLに浸かるように支持固定されており、少なくとも2個の噴射ノズル74A,74Bの先端が水WLに浸かるように支持固定されている。そして、2個の噴射ノズル74A,74Bは、被加工材としての軟鋼棒材W1とほぼ同じ高さに噴射口が位置するように水平に、かつ被加工材としての軟鋼棒材W1が移動する方向と逆向きに斜めに向くように、支持固定されている。即ち、請求項7の発明に対応している。
2個の噴射ノズル74A,74Bから、図3のSEM写真に示されるようなほぼ真球の球状ジルコンビーズが混入した高圧水が噴射されると、音速の約3倍(マッハ3)の高速で丸棒状の被加工材W1の表面に噴き付けられ、これによって丸棒状の被加工材W1の表面のスケールが、より強力にかつ高速度で削り取られて除去される。更に、2個の噴射ノズル74A,74Bが被加工材としての軟鋼棒材W1が移動する方向と逆向きに斜めに向くように取付けられているため、球状ジルコンビーズが混入した高圧水が丸棒状の被加工材W1の移動方向に対して逆向きに斜めに噴き付けられることによって、より効率的にスケールが除去される。
ここで、2個の噴射ノズル74A,74Bの先端と丸棒状の被加工材W1の表面との距離は、実施の形態6,7と同様に40mm〜50mmとしている。この距離は25mm〜70mmの範囲、より好ましくは30mm〜50mmの範囲とすることによって、より効率良くスケール除去ができることが分かっている。この理由は、この距離が余り大き過ぎると丸棒状の被加工材W1の表面に噴き付けられる高圧水の勢いが弱くなり、逆にこの距離が余り小さ過ぎるとほぼ真球の球状ジルコンビーズが混入した高圧水が充分に広がらないためと考えられる。
更に、図15に示されるように、2個の噴射ノズル74A,74Bから噴射される高圧水は、丸棒状の被加工材W1の表面の長手方向に互いにずれて噴き付けられるように設定されている。この理由は、2個の噴射ノズル74A,74Bから噴射される高圧水が丸棒状の被加工材W1の表面の長手方向に同じ位置に噴き付けられるようにすると、噴射される高圧水が互いにぶつかり合って勢いが減殺される恐れがあるため、2個の噴射ノズル74A,74Bの設置位置をずらすことによって長手方向に互いにずれて噴き付けられるようにしたものである。また、2個の噴射ノズル74A,74Bの噴射口径は約2mmとしている。噴射ノズルの噴射口径は、約0.1mm〜約6mmの範囲、より好ましくは約1mm〜約3mmの範囲とすることによって、より効率良くスケールを除去できることが判明している。
また、本実施の形態8にかかるスケール除去装置71においては、装置本体32として透明なアクリル樹脂製の水槽を用いているが、不透明なステンレス製の水槽等を用いることもできる。透明なアクリル樹脂製の水槽を用いることによって、装置本体32の内部を容易に観察することができ、球状ジルコンビーズZBが混入した高圧水が噴き付けられる様子をチェックすることができるという長所が得られる。
また、本実施の形態8にかかるスケール除去装置71においても、実施の形態6,7と同様に、図15に示される球状ジルコンビーズ回収装置77を用いて、スケール滓が溜まるごとに、装置本体32から球状ジルコンビーズ混入水を抜き出して、スケール滓等の不純物の除去及び球状ジルコンビーズZBの回収を行っているため、ランニングコストの低減と産業廃棄物の減量に貢献している。
このようにして、本実施の形態8にかかるスケール除去装置71及びスケール除去方法においては、研磨材として高圧液体としての高圧水中に真球に近い球状の微粒子としての球状ジルコンビーズを混入して、かつ2個の噴射ノズル74A,74Bを丸棒状の被加工材W1の外周面の全面に高圧水を噴射するように設置固定することによって、丸棒状の被加工材W1に傷を付けることがなく、スケール除去効率も高く、著しく低コストで満遍なくスケールを除去することができる。
上記各実施の形態においては、「高圧液体」として用いられる液体として水を用いており、通常のスケール除去においては殆ど水が用いられるが、特殊な場合には、水より粘性の高い高分子水溶液等の水以外の液体を用いることもできる。また、上記各実施の形態においては、複数の噴射ノズルを丸棒状の被加工材の長手方向に間隔を空けて設置することによって、仕切り板を用いることなく高圧液体を噴射する場合についてのみ説明しているが、特に3個以上の噴射ノズルを設置する場合に、長手方向の間隔をもっと近づけた場合には、3個以上の噴射ノズルを互いに区分する2枚以上の仕切り板を設けることが好ましい。
また、上記各実施の形態においては、「真球に近い球状の微粒子」として球状ジルコンビーズZBを用いた場合についてのみ説明しているが、上記各実施の形態における球状ジルコンビーズZBのように真球に近く、破砕しにくい微粒子であれば、その他の材質から成る球状の微粒子を用いることもできる。
本発明を実施するに際しては、スケール除去装置のその他の部分の構成、形状、数量、材質、大きさ、配置、接続関係等についても、またスケール除去方法のその他の工程についても、上記各実施の形態に限定されるものではない。