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JP2008077108A - 液晶表示装置、電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】垂直配向型の液晶を用いた液晶表示装置において、各色の色バランスを向上させ、色再現性に優れた液晶表示装置を得る。
【解決手段】複数のドット領域(D1、D2、D3)の各々に対応した互いに色の異なる複数の着色層(22R、22G、22B)を設け、各々のドット領域に、配向規制手段18を形成する。そして、着色層と配向規制手段との相対的な関係をドット毎に異ならせる。
【選択図】図5

Description

本発明は、液晶表示装置及び電子機器に関し、より詳しくは、垂直配向型の液晶を用いた半透過反射型のカラー液晶表示装置において、反射モード時にも透過モード時と同様の高輝度・広視野角な表示が得られる技術に関するものである。
液晶表示装置として反射モードと透過モードとを兼ね備えた半透過反射型液晶表示装置が知られている。このような半透過反射型液晶表示装置としては、上基板と下基板との間に液晶層が挟持されるとともに、例えばアルミニウム等の金属膜に光透過用の窓部を形成した反射膜を下基板の内面に備え、この反射膜を半透過反射板として機能させるものが提案されている。この場合、反射モードでは上基板側から入射した外光が、液晶層を通過した後に下基板の内面の反射膜で反射され、再び液晶層を通過して上基板側から出射され、表示に寄与する。一方、透過モードでは下基板側から入射したバックライトからの光が、反射膜の窓部から液晶層を通過した後、上基板側から外部に出射され、表示に寄与する。したがって、反射膜の形成領域のうち、窓部が形成された領域が透過表示領域、その他の領域が反射表示領域となる。
ところが、従来の半透過反射型液晶装置には、透過表示での視角が狭いという課題があった。これは、視差が生じないよう液晶セルの内面に半透過反射板を設けている関係で、観察者側に備えた1枚の偏光板だけで反射表示を行わなければならないという制約があり、光学設計の自由度が小さいためである。そこで、この課題を解決するために、Jisakiらは、下記の非特許文献1において、垂直配向液晶を用いる新しい液晶表示装置を提案した。その特徴は、以下の3つである。
(1)誘電異方性が負の液晶を基板に垂直に配向させ、電圧印加によってこれを倒す「VA(Vertical Alignment)モード」を採用している点。
(2)透過表示領域と反射表示領域の液晶層厚(セルギャップ)が異なる「マルチギャップ構造」を採用している点(この点については、例えば特許文献1参照)。
(3)透過表示領域を正八角形とし、この領域内で液晶が8方向に倒れるように対向基板上の透過表示領域の中央に突起を設けている点。すなわち、「配向分割構造」を採用している点。
特開平11−242226号公報 特開2000−47217号公報 特開平11−223808号公報 特開2000−267079号公報 特開2003−195296号公報 "Development of transflective LCD for high contrast and wide viewing angle by using homeotropic alignment", M.Jisaki et al., Asia Display/IDW'01, p.133-136(2001)
半透過反射型液晶表示装置において特許文献1のようなマルチギャップ構造を具備させることは、透過表示領域と反射表示領域の電気光学特性(透過率−電圧特性、反射率−電圧特性)を揃える上で非常に有効である。なぜならば、透過表示領域では光が液晶層を1回しか通らないが、反射表示領域では光が液晶層を2回通るからである。
ところで、先の非特許文献1においては、透過表示領域での液晶が倒れる方向をその中央に設けた突起を用いて制御しているが、反射表示領域の液晶が倒れる方向については、いかに制御したのか全く触れていない。液晶が倒れる方向を制御せずに無秩序な方向に倒すと、異なる液晶配向領域の境界にディスクリネーションと呼ばれる不連続線が現れ、残像等の原因になる。また、液晶の各々の配向領域は異なる視角特性を有しているため、斜め方向から液晶装置を見たときに、ざらざらとしたしみ状のむらとして見えるという問題も生じる。そこで、反射表示領域に突起等の配向規制手段を設けることが考えられるが、反射表示領域は透過表示領域よりもギャップが薄いので、このような狭いギャップ内に配向規制手段を形成すると、配向規制手段自身の存在によって液晶の配向が大きく乱れてしまうという問題がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、垂直配向型の液晶を用いた半透過反射型のカラー液晶表示装置において、液晶分子の倒れる方向を反射表示領域において確実に規制し、反射モード時にも透過モード時と同様の高輝度・広視野角な表示が得られるような構成を提供し、更には該液晶表示装置を備えた視認性のよい電子機器を提供することにある。
上記の課題を解決するため、本発明の液晶表示装置は、一対の基板間に液晶層を挟持してなり、1つのドット領域内に透過表示領域と反射表示領域とを備えた液晶表示装置であって、前記液晶層は、初期配向状態が垂直配向を呈する誘電異方性が負の液晶からなり、前記一対の基板のうちの少なくとも一方の基板と前記液晶層との間には、前記反射表示領域の液晶層厚を前記透過表示領域の液晶層厚よりも小さくするための液晶層厚調整層が設けられており、前記一対の基板のうちの少なくとも一方の基板には、各ドット領域に対応した互いに色の異なる複数種類の着色層を含むカラーフィルタ層が設けられ、前記着色層のうち前記反射表示領域に配置された部分には、当該着色層が形成された着色領域と当該着色層が形成されない非着色領域とが設けられており、さらに前記一対の基板のうちの少なくとも一方の基板の内面には、前記反射表示領域において前記液晶の配向を規制する配向規制手段が設けられており、前記配向規制手段が前記反射表示領域における前記カラーフィルタ層の前記非着色領域と平面的に重なるように配置されていることを特徴とする。本発明の液晶表示装置においては、前記一対の基板の内面側に前記液晶を駆動するための電極がそれぞれ設けられており、前記配向規制手段が、前記電極の一部を切り欠いて形成した電極スリット(例えばスリット状の開口部)又は前記電極上に設けられた誘電体の突起からなるものとすることができる。
本発明の液晶表示装置は、半透過反射型液晶表示装置に対して垂直配向モードの液晶を組み合わせ、さらに反射表示領域におけるリタデーションと透過表示領域におけるリタデーションを略等しくするための液晶層厚調整層を付加したもの(すなわちマルチギャップ構造を付加したもの)で、液晶分子の配向方向を好適に制御するための構成を備えたものである。更には、各ドット領域に対応した複数の着色層を有するカラーフィルタ層を備えることにより、カラー表示を可能としたものである。本発明の半透過反射型のカラー液晶表示装置においては、反射モード時には2回、透過モード時には1回、着色層を光が通過することによってカラー表示が行なわれる。この場合、反射モード時の表示を重視して着色層に淡い色の色材を使った場合には、透過モード時に発色のよい表示を得ることが難しく、逆に、透過モード時の表示を重視して濃い色の色材を使った場合には、反射色が濃く暗い表示となってしまう。このような問題を解決するために、着色層の色材を反射表示領域と透過表示領域とで異ならせた構成や、反射表示領域の着色層に非着色領域(開口部等)を形成することによって反射表示における色調整を行なう構成等が提案されている。本発明の液晶表示装置では、後者の構成を採用している。
本発明においては、突起等の配向規制手段がこの着色層の非着色領域に配置されているので、この配向規制手段の形成された部分の液晶層厚をこの着色層の層厚分だけ実質的に大きくすることができる。つまり、着色層の形成領域上に突起等を配置した場合、透過表示領域と反射表示領域とで同じプロセスで突起を形成しようとすると、透過表示領域に適した高さで突起を形成した場合には、反射表示領域においては突起の高さが高すぎるため突起周辺からの光漏れが多くなり、コントラストが低下することがある。逆に、反射表示領域に適した高さで突起を形成した場合には、透過表示領域においては突起が低すぎるため十分な配向制御ができず、ディスクリネーションによるしみ状のむらが見られることがある。これに対して、着色層の非形成領域に突起等を配置し、この着色層の中に突起等を埋没させた場合には、その分突起等の高さが低くなるので、突起等の先端から対向基板の表面までの間隔は実質的に広がることになる。このため、ギャップが相対的に狭くなる反射表示領域においても透過表示領域と同様に良好な配向制御が可能となる。
本発明の液晶表示装置においては、前記複数種類の着色層のうち特定の色の着色層については、その着色領域と前記配向規制手段とが平面的に重なるように配置されており、それ以外の色の着色層については、その非着色領域と前記配向規制手段とが平面的に重なるように配置されているものとすることができる。
垂直配向モードのカラー液晶表示装置においては、高電圧側で白表示が若干黄色にシフトすることが知られており、この色味のシフトを改善することが1つの課題となっている。これは、電圧印加時の液晶層のリタデーション変化が色毎に異なる、いわゆる波長分散が原因である。このような色調の変化は、透過表示においては、バックライト等の発光スペクトルを調整することによってある程度回避することが可能であるが、反射表示においては、制御されない外光を利用するので白表示の黄色味は大きな問題となる。一方、突起等を使って液晶分子の倒れる方向を制御する場合には、電圧が印加されたときに突起等の存在する場所とない場所で面内における電界に分布が生じ、これによって面内で明暗の分布ができる。突起等が形成された領域は電圧が低いときには光が透過しないが、高い電圧が印加されると突起等が形成された領域も明るさに寄与するようになる。本発明は、印加電圧が高くなると突起等の配置された領域が明るさに寄与することを利用して、反射表示領域における着色領域と突起等との相対位置を色毎に変えることによって、反射モード時における色再現性を向上するようにしたものである。本発明においては、例えば高電圧側において色味を増したい色又は低電圧側において色味を弱めたい色(例えば青色)のドット領域の突起等を着色領域と平面的に重なるように配置し、それ以外の色(例えば赤色と緑色)のドット領域の突起等を着色領域と平面的に重ならないように非着色領域に対応する位置に配置する。この構成では、印加電圧が小さいときには、突起等の近傍に位置する液晶は明るさに殆ど寄与しないので、突起等と重なるように配置された着色領域からの光はその突起等の面積分だけロスされ、暗い表示(薄い色の表示)となる。一方、印加電圧が大きくなると、突起等の近傍に位置する液晶も明るさに寄与するようになるので、光のロスが少なくなり、明るい表示(濃い色の表示)となる。このように本発明の構成によれば、従来、低電圧側で強かった色味が低減され、高電圧側で弱かった色味が強化されるので、印加電圧によらずに色再現性の良い表示が得られるようになる。
本発明の液晶表示装置においては、前記着色層の着色領域と非着色領域との面積比率が、各色の色バランスを考慮して色毎に最適に設定されているものとすることができる。
この構成によれば、前記面積比率を外光の分光特性に応じて決定することによって、制御されない外光を用いた反射表示においても色再現性のよい表示が得られるようになる。また、前記面積比率をバックライト等の照明光の分光特性を考慮して決定することで、より色再現性のよい透過表示が得られるようになる。
本発明の液晶表示装置においては、1ドット領域内の反射表示領域と透過表示領域の面積比率が、各色の色バランスを考慮して色毎に最適に設定されているものとすることができる。
この構成によれば、前記面積比率を外光の分光特性に応じて決定することによって、制御されない外光を用いた反射表示においても色再現性のよい表示が得られるようになる。また、前記面積比率をバックライト等の照明光の分光特性を考慮して決定することで、より色再現性のよい透過表示が得られるようになる。
本発明の液晶表示装置においては、前記一対の基板の内面側に前記液晶を駆動するための電極がそれぞれ設けられており、一方の基板の前記電極が、1つのドット領域の反射表示領域内において複数の島状部とこれら複数の島状部を電気的に連結する連結部とを備えているものとすることができる。
本発明は、表示単位であるドット領域をさらに複数のサブドット領域に分割して互いを連結し、液晶分子の傾倒方向をサブドット領域単位で制御するようにしたものである。この構成によれば、島状に形成した電極部(島状部)のエッジに生じる斜め電界の作用によって、液晶は電圧印加時にサブドット領域の中心に対して放射状に傾倒されるようになる。このため、360°全方位にわたってコントラストが高い広視角な表示を実現することができる。
本発明の液晶表示装置においては、前記複数種類の着色層のうち特定の色の着色層については、その着色領域が前記反射表示領域において隣接する島状部間の領域に平面的に重なるように配置されており、それ以外の色の着色層については、その着色領域が前記島状部間の領域に重ならないように配置されているものとすることができる。
隣接する島状部と島状部との間の部分(島状部間の領域)は電極の一部を切り欠いて形成した一種の電極スリットと見ることができるため、配向規制手段として用いる電極スリット(スリット状の開口部等)と同様に、液晶の配向を規制する作用を有する。本発明では、この配向規制手段として機能する島状部間の領域と着色層の着色領域との配置関係を色毎に変えることによって、色再現性の向上を図っている。本発明においては、例えば高電圧側で色味を増したい色又は低電圧側で色味を弱めたい色(例えば青色)の着色領域の一部を島状部間の領域と平面的に重なるように配置し、それ以外の色(例えば赤色と緑色)の着色領域を島状部間の領域と平面的に重ならないように配置する(即ち、島状部間の領域に対応する部分には着色領域を設けず、非着色領域とする)。この構成では、印加電圧が小さいときには、島状部間の領域に位置する液晶は明るさに殆ど寄与しないので、島状部間の領域と平面的に重なるように配置された着色領域からの光はその分ロスされ、暗い表示(薄い色の表示)となる。一方、印加電圧が大きくなると、島状部間の領域に位置する液晶も明るさに寄与するようになるので、光のロスが少なくなり、明るい表示(濃い色の表示)となる。このように本発明の構成によれば、従来、低電圧側が強かった色味が低減され、高電圧側で弱かった色味が強化されるので、印加電圧によらずに色再現性の良い表示が得られるようになる。
本発明の電子機器は、前述した本発明の液晶表示装置を備えたことを特徴とする。
これにより、反射モード時にも透過モード時と同様の高輝度・広視野角な表示が得られる視認性のよい表示部を備えた電子機器を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならせてある。
[第1の実施の形態]
[液晶表示装置]
図1は本実施の形態の液晶表示装置100の画像表示領域を構成するマトリクス状に配置された複数のドットの等価回路図、図2は本液晶表示装置100の1画素領域の構造を示す平面図であって、図2(a)は素子基板側の平面図、図2(b)は対向基板側の平面図、図3は本液晶表示装置100の構造を示す断面図であって、図2のA−A’線に沿う部分断面図である。
本実施形態の液晶表示装置100は、スイッチング素子としてのTFTを備えるアクティブマトリクス方式の透過型液晶表示装置である。本実施の形態の液晶表示装置100において、図1に示すように、画像表示領域を構成するマトリクス状に配置された複数のドットには、画素電極9と当該画素電極9を制御するためのスイッチング素子であるTFT30がそれぞれ形成されており、画像信号が供給されるデータ線(電極配線)6aが当該TFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画像信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次に供給されるか、あるいは相隣接する複数のデータ線6aに対してグループ毎に供給される。また、走査線(電極配線)3aがTFT30のゲートに電気的に接続されており、複数の走査線3aに対して走査信号G1、G2、…、Gmが所定のタイミングでパルス的に線順次で印加される。また、画素電極9はTFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけオンすることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、…、Snを所定のタイミングで書き込む。
画素電極9を介して液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、後述する共通電極との間で一定期間保持される。液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能にする。ここで、保持された画像信号がリークするのを防止するために、画素電極9と共通電極との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70が付加されている。尚、符号3bは容量線である。
次に、図2に基づいて、本実施形態の液晶表示装置100の画素構成について説明する。図2(a)に示すように、本実施形態の液晶表示装置100では、互いに平行に延在する走査線3aと、これらの走査線に交差して延在するデータ線6aとに囲まれた平面視矩形状の領域がドット領域D1〜D3とされ、1つのドット領域に対応して3原色のうち1色のカラーフィルタ(着色層)が形成され、3つのドット領域D1〜D3で3色のカラーフィルタ22R,22G,22Bを含む画素領域を形成している。尚、これらのカラーフィルタ22R,22G,22Bは、それぞれ図示上下方向に延びるストライプ状に形成され、その延在方向で各々複数のドット領域に跨って形成されるとともに、図示左右方向にて周期的に配列されている。
ドット領域D1〜D3に設けられた画素電極9は、各ドット領域内に形成されたスリット19により複数(本実施形態では3つ)のサブピクセル(島状部)29a,29bに分割され、各サブピクセルは中央部で連結されている(連結部)。図示上側のサブピクセル29aはAl(アルミニウム)やAg(銀)等の光反射性の金属膜若しくはこれらの金属膜とITO(インジウム錫酸化物)等の透明導電膜との積層膜からなる。このサブピクセル29aは反射電極として機能し、このサブピクセル29aの形成された領域が反射表示領域Rとなる。反射電極の表面には凹凸形状が付与されており、この凹凸によって反射光が散乱されることで、視認性の良い表示が得られるようになっている。また、図示下側の2つのサブピクセル29b,29bはITO(インジウム錫酸化物)等の透明導電膜からなり、このサブピクセル29bの形成された領域が透過表示領域Tとなる。すなわち、本実施形態の液晶表示装置100は、1つのドット領域内に反射表示を行なう反射表示領域Rと透過表示を行なう透過表示領域Tとを備えた半透過反射型の液晶表示装置であり、表示可能な領域の略1/3の面積が反射表示に寄与し、残りの略2/3の面積が透過表示に寄与するようになっている。図2では、反射表示領域Rと透過表示領域Tとの境界を一点鎖線で示している。なお、サブピクセルとサブピクセルを連結する連結部はITO等の透明導電膜からなり、この連結部も透過表示に寄与するようになっている。それぞれのサブピクセル29a,29bの中央部には、液晶の配向を規制するための配向規制手段である誘電体の突起18が配設されている。各サブピクセル29a,29bの角部には面取り等が施され、サブピクセル29a,29bは平面視略八角形状ないし略円形状とされている。
図示上方側のサブピクセル29aと、走査線3a、データ線6aとの間に、TFT30が介挿されている。TFT30は、半導体層33と、半導体層33の下層側(基板本体10A側)に設けられたゲート電極部32と、半導体層33の上層側に設けられたソース電極部34と、ドレイン電極部35とを備えて構成されている。半導体層33のゲート電極部32と対向する領域にTFT30のチャネル領域が形成されており、その両側の半導体層には、ソース領域、及びドレイン領域が形成されている。
ゲート電極部32は、走査線3aの一部をデータ線6aの延在方向に分岐して形成されており、その先端側で半導体層33と図示略の絶縁膜を介して対向している。ソース電極部34は、データ線6aの一部を走査線3aの延在方向に分岐して形成されており、図示略のコンタクトホールを介して半導体層33のソース領域と電気的に接続されている。ドレイン電極35の一端側は、図示略のコンタクトホールを介して前記ドレイン領域と電気的に接続されており、ドレイン電極35の他端側は、直接又はコンタクトホールCを介してサブピクセル29a(画素電極9)と電気的に接続されている。
そして、TFT30は、走査線3aを介して入力されるゲート信号により所定期間だけオン状態とされることで、データ線6aを介して供給される画像信号を、所定のタイミングで液晶に対して書き込めるようになっている。
一方、図3に示す断面構造を見ると、液晶表示装置100は、素子基板10と、これに対向配置された対向基板25とを備え、前記基板10,25間に初期配向状態が垂直配向を呈する誘電異方性が負の液晶(屈折率異方性Δnは例えば0.1)からなる液晶層50が挟持されている。液晶層50は、図に示す如く画素電極9の形成領域内でほぼ一定の層厚に形成されている。素子基板10の外面側にあたる液晶セルの外側には、照明手段として光源、リフレクタ、導光板などを有するバックライト(図示略)が設置されている。尚、符号51にて示す略棒状の楕円体は、垂直配向された液晶分子を概念的に示すものである。
素子基板10は、石英、ガラス等の透光性材料からなる基板本体10Aを基体としてなり、基板本体10Aの内面側(液晶層側)に走査線3aが形成されている。そして、走査線3aを覆ってゲート絶縁膜14が形成され、このゲート絶縁膜14上にデータ線6a等(図2(a)参照)が形成され、更にこのデータ線等を覆って形成された層間絶縁膜15を介して画素電極9が形成されている。また図示は省略したが、画素電極9及び層間絶縁膜15を覆ってポリイミド等の垂直配向膜が形成されており、液晶分子51の初期配向を基板面に対し垂直に配向させるようになっている。基板本体10Aの外面側には、位相差板16と偏光板17とが積層配置されている。
対向基板25は、石英、ガラス等の透光性材料からなる基板本体25Aを基体としてなる。基板本体25Aの内面側には、反射表示領域R及び透過表示領域Tに跨ってカラーフィルタ(カラーフィルタ層)22が設けられている。カラーフィルタ22は互いに色の異なる複数種類のカラーフィルタ(着色層)22R,22G,22Bからなり、これらカラーフィルタ22を構成する各カラーフィルタ22R〜22Bの間には必要に応じて黒色樹脂等からなる遮光層(ブラックマトリクス)が配置される。図2(b)に示すように、カラーフィルタ22R,22G,22Bには、それぞれ反射表示用のサブピクセル29aの中央部に対応する位置に、色材の配置されない矩形の開口領域(非着色領域)HR,HG,HBが形成されている。色材の配置される着色領域と色材の配置されない非着色領域との面積比率(非着色領域/着色領域)は、各色の色バランスを考慮してR,G,Bの色毎に最適に設定されている。例えば本実施形態では、非着色領域の面積は視感度の高い緑色のカラーフィルタ22G(即ち、非着色領域HG)で最も大きく、その次に赤色の非着色領域HR、青色の非着色領域HBの順で小さくなっており、それに応じて前記面積比率は緑色カラーフィルタ22G、赤色カラーフィルタ22R、青色カラーフィルタ22Bの順に大きくなっている。
カラーフィルタ22の内面側には反射表示領域Rに対応して絶縁膜40が選択的に形成されている。このようにドット領域内に部分的に形成された絶縁膜40により、液晶層50の層厚が反射表示領域Rと透過表示領域Tとで異ならされている。絶縁膜40は、アクリル樹脂等の有機材料膜を用いて形成されている。絶縁膜40は、例えば膜厚が2μm±1μm程度に形成され、絶縁膜40が存在しない部分の液晶層50の厚みは2μm〜6μm程度であり、反射表示領域Rにおける液晶層50の厚みは透過表示領域Tにおける液晶層50の厚みの約半分となっている。つまり、絶縁膜40は、自身の膜厚によって反射表示領域Rと透過表示領域Tとにおける液晶層50の層厚を異ならせる液晶層厚調整層として機能し、もってマルチギャップ構造を実現するものとなっている。本例の液晶表示装置100は、係る構成により明るく高コントラストの表示が得られるようになっている。尚、反射表示領域Rと透過表示領域Tとの境界付近には、絶縁膜40の層厚が連続的に変化している傾斜面が形成されているが、この傾斜面と反射電極29aのドット領域中央側の縁端部とは、平面的にほぼ重なっており、さらに隣接するサブピクセル間を連結している線状の電極膜(連結部)とも平面的に重なっている。
絶縁膜40の表面には、カラーフィルタ22の凹凸形状を反映してカラーフィルタ22の非着色領域に対応する位置に凹部Pが形成されている。反射表示領域Rにおける着色領域と非着色領域との段差は、カラーフィルタ22上に形成された絶縁膜40によって小さくなるが、完全には平坦化されず、若干の段差が残る。例えば絶縁膜40を前述の厚みに形成した場合には、0.05μm〜0.5μm程度の段差が残る。この段差が凹部Pとなる。この凹部Pは液晶の配向に大きく影響するほどの急激な段差ではないが、凹部Pの形成された部分のギャップはその周囲のギャップよりも広がった状態となる。
さらに基板本体25Aの内面側には、カラーフィルタ22と絶縁膜40の表面を覆って対向電極31が形成されている。対向電極31は平面ベタ状のITO等からなる透明導電膜であり、係る対向電極31上の画素電極9と対向する位置に、液晶層50に突出する誘電体突起18が設けられている。誘電体突起18の断面形状は略三角形で図示しているが、実際にはなだらかな曲面形状で形成される。透過表示領域Tには、2つのサブピクセル29b,29bの各々に対応して、その中央部に対向する位置にそれぞれ1つずつ誘電体突起18が形成されており、反射表示領域Rには、サブピクセル29aに対応して、その中央部に対向する位置に誘電体突起18が1つ形成されている。反射表示領域Rの誘電体突起18は、絶縁膜40に形成された凹部P内の領域に配置されている。これらの誘電体突起18は、樹脂等の誘電体材料からなり、マスクを用いたフォトリソグラフィ等によって形成することができる。本実施形態では、ノボラック系のポジ型フォトレジストを用いて高さ1.2μm、直径12μmの誘電体突起18を反射表示領域Rと透過表示領域Tに対して一括で形成している。レジストを現像後に220℃でポストベークすることで、なだらかな突起形状を得ることができる。この誘電体突起18の高さは透過表示用として最適に設定されたものであり、反射表示領域Rにおいては若干高い値となっている。しかし、本実施形態では反射表示領域Rの誘電体突起18は凹部P内に配置されているので、形成される誘電体突起18の高さは、平坦部に形成された場合(即ち凹部Pのない状態で形成された場合)に比べて実質的に低く形成されることになる。
また図示は省略したが、対向電極31及び誘電体突起18を覆ってポリイミド等の垂直配向膜が形成されており、液晶分子51の初期配向を基板面に対し垂直に配向させるようになっている。
基板本体25Aの外面側には、位相差板36と偏光板37とが積層配置されている。上記偏光板17,37は、特定方向に振動する直線偏光のみを透過させる機能を有する。また位相差板16,36には、可視光の波長に対して略1/4波長の位相差を持つλ/4板が採用されている。偏光板17,37の透過軸と位相差板16,36の遅相軸とが約45°を成すように配置され、偏光板17,37および位相差板16,36は協働して円偏光板として機能する。この円偏光板により、直線偏光を円偏光に変換し、円偏光を直線偏光に変換し得るようになっている。また、偏光板17の透過軸および偏光板37の透過軸は直交するように配置され、位相差板16の遅相軸および位相差板36の遅相軸も直交するように配置されている。なお、偏光板と位相差板の構成としては、「偏光板+λ/4板の構成の円偏光板」が一般的だが、「偏光板+λ/2板+λ/4板の構成の円偏光板(広帯域円偏光板)」を用いることで、黒表示をより無彩色にすることもできる。
[表示動作]
次に本実施形態の液晶表示装置100の表示動作について説明する。
まず、透過モードにおいては、バックライトから照射された光は、偏光板17および位相差板16を透過して円偏光に変換され、液晶層50に入射する。電圧無印加時において基板と垂直に配向している液晶分子には屈折率異方性がほとんどないので、入射光は円偏光を保持したまま液晶層50を進行する。さらに位相差板16を透過した入射光は、偏光板37の透過軸と直交する直線偏光に変換される。そして、この直線偏光は偏光板37を透過しないので、本実施形態の液晶表示装置100では、電圧無印加時において黒表示が行われる(ノーマリーブラックモード)。
一方、液晶層50に電界を印加すると、液晶分子が基板面方向に倒れるように配向して、透過光に対する屈折率異方性を呈する。そのため、バックライトから液晶層50に入射した円偏光は、液晶層50を透過する過程で楕円偏光に変換される。この入射光が位相差板36を透過しても、偏光板37の透過軸と直交する直線偏光には変換されず、その全部または一部が偏光板37を透過する。従って、本実施形態の液晶表示装置100では、電圧印加時において白表示が行われる。また係る構成のもと液晶層50に印加する電圧を調整することにより、階調表示を行うことが可能である。この際、本実施形態では、各サブピクセル29b、29bの中央部に対向する位置に誘電体突起18,18が配置されているので、液晶分子51はサブピクセル29bの輪郭に対して垂直方向に傾倒する。また誘電体突起18の周辺では、電圧無印加時には液晶分子51が誘電体突起18の傾斜面と垂直に配向し、電圧印加時には図3に示すように誘電体突起18から外側に向かって液晶分子51が倒れ、それを中心とした平面放射状に液晶分子51が配向する(図2(a)参照)。従って、本実施形態の液晶表示装置100では、電圧印加時に液晶分子51のダイレクタが全方位に向くこととなり、視野角の極めて広い表示が実現される。なお、透過表示領域Tには全体にカラーフィルタ22が配置されているので、サブピクセル29b,29bを透過した光は全て着色された光となる。
次に、反射モードにおいては、対向基板25の外側から入射された外光は、偏光板37および位相差板36を透過して円偏光に変換され、液晶層50に入射する。電圧無印加時において基板と垂直に配向している液晶分子には屈折率異方性がほとんどないので、入射光は円偏光を保持したまま液晶層50を進行してサブピクセル29a(反射電極)に到達する。そしてサブピクセル29aにより反射されて液晶層50に戻り、再び位相差板36に入射する。このとき、サブピクセル29aにより反射された円偏光は、その回転方向が反転しているので、位相差板36によって偏光板37の透過軸と直交する直線偏光に変換される。そして、この直線偏光は偏光板37を透過しないので、本実施形態の液晶表示装置100では、電圧無印加時において黒表示が行われる(ノーマリーブラックモード)。
一方、液晶層50に電界を印加すると、液晶分子が基板面方向に倒れるように配向して、透過光に対する屈折率異方性を呈する。そのため、対向基板25の外側から液晶層50に入射した円偏光は、液晶層50を透過する過程で直線に変換されてサブピクセル29a(反射電極)に到達する。そして、サブピクセル29aにより反射された後、液晶層50を透過して再び位相差板36に入射する。この反射光は、先の入射光と同じ回転方向の円偏光であるため位相差板36により偏光板37の透過軸と平行な直線偏光に変換され偏光板37を透過する。従って、本実施形態の液晶表示装置100では、電圧印加時において白表示が行われる。また係る構成のもと液晶層50に印加する電圧を調整することにより、階調表示を行うことが可能である。この際、本実施形態ではサブピクセル29aの中央部に対向する位置に誘電体突起18が配置されているので、液晶分子51はサブピクセル29aの輪郭に対して垂直方向に傾倒する。また誘電体突起18の周辺では、電圧無印加時には液晶分子51が誘電体突起18の傾斜面と垂直に配向し、電圧印加時には図3に示すように誘電体突起18から外側に向かって液晶分子51が倒れ、それを中心とした平面放射状に液晶分子51が配向する(図2(a)参照)。従って、本実施形態の液晶表示装置100では、電圧印加時に液晶分子51のダイレクタが全方位に向くこととなり、視野角の極めて広い表示が実現される。また、外光は入射時と射出時に1回ずつ計2回カラーフィルタ22を透過することになるが、カラーフィルタ22には非着色領域HR,HG,HBが形成されているので、色が濃くなりすぎることはない。つまり、サブピクセル29aと平面的に重なる領域の一部に非着色領域HR,HG,HBがあるので、反射モード時に得られる光は、非着色領域を透過した着色されない光と着色領域を透過した着色された光とを合わせた光になる。このため、着色された光の色は着色されない光によって緩和され、結果として、透過モード時と同様の色の光が射出されるようになるのである。
さらに本実施形態では、反射表示領域Rの誘電体突起18が非着色領域HR,HG,HBによって生じた凹部Pの中に配置されているので、誘電体突起18の上方の液晶層厚は凹部Pのない平坦な面に誘電体突起を配置した場合に比べて広く保たれるようになる。図4は反射表示領域Rにおける突起近傍を模式的に示したものであり、図4(a)は本実施形態のように誘電体突起18を凹部P内に配置した構成、図4(b)は凹部Pがなく、平坦な基板の表面に誘電体突起18を設けた構成をそれぞれ示している。図4(b)のように平坦な表面に誘電体突起18を形成した場合には、誘電体突起18の高さがそのまま基板間のギャップの減少、即ち、リタデーションに寄与する液晶層厚の減少につながる。特に、マルチギャップ構造では、反射表示領域Rに液晶層厚調整用の絶縁膜(液晶層厚調整層)40が設けられているので、透過表示領域Tにおけるよりもギャップの減少の影響は大きくなる。このようにギャップが狭くなった反射表示領域Tに透過表示用に適した高さの誘電体突起18を形成した場合、誘電体突起18の先端部分に位置する液晶は低電圧側では殆どリタデーションに寄与しなくなるので、実質的に表示に寄与する領域の面積は突起分だけ狭くなることになる。これに対して、図4(a)のように誘電体突起18を凹部Pの中に配置した場合には、その凹部Pの深さ分だけ誘電体突起18の高さが減じられるので、突起上には液晶層厚が広く保たれるようなる。このため、突起近傍の液晶も十分にリタデーションに寄与するようになり、実質的に表示に寄与する領域の面積は図4(b)のものに比べて広くなる。
以上説明したように、本実施形態の液晶表示装置100によれば、ドット領域内に部分的に液晶層厚調整用の絶縁膜40を設けたマルチギャップ構造を採用しているので、透過表示領域Tと反射表示領域Rとで液晶層50のリタデーションを揃えることができ、透過表示、反射表示のいずれにおいても高コントラストの表示が得られる。また、画素電極9が複数のサブピクセル29a,29b,29bに分割されるとともに、それらの中央部に対応して誘電体突起18が設けられているので、電圧印加時には液晶分子51が画像表示領域内で誘電体突起18を中心に放射状に配向されるようになり、広視野角な表示が実現される。
また本実施形態では、反射表示領域Rにカラーフィルタ22の非形成領域(非着色領域)HR,HG,HBを設けて反射と透過の色の濃淡差を少なくしているので、反射モード時においても透過モード時と同様に明るく、視認性の高い表示を実現することができる。また、本実施形態では、カラーフィルタ22の非着色領域と平面的に重なる位置に誘電体突起18を配置し、この非着色領域を形成したことによって生じる基板の凹部Pに該誘電体突起18を埋没させているので、実質的に突起の高さを低くすることができる。このため、突起近傍の液晶を表示に寄与させることができるようになり、反射表示領域Rにおいても透過表示領域Tと同様に良好な配向制御が可能となる。
また本実施形態では、カラーフィルタ22R〜22Bの着色領域と非着色領域との面積比率を色毎に変えている。この場合、これらの面積比率を外光の分光特性に応じて決定することによって、制御されない外光を用いた反射表示においても色再現性のよい表示が得られるようになる。また、前記面積比率をバックライト等の照明光の分光特性を考慮して決定することで、より色再現性のよい透過表示が得られるようになる。
[第2の実施の形態]
[液晶表示装置]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図5は本実施形態の液晶表示装置200の対向基板側の構造を示す図であって1画素領域を拡大して示す模式的な平面図、図6は本液晶表示装置200の断面構造を示す模式図であって、図5のB−B’線に沿う部分断面図である。なお、本実施形態において前記第1の実施形態と同様の部材又は部位については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
本実施形態において前記第1の実施形態と異なる点は、青色カラーフィルタ22Bの非着色領域を反射表示領域Rの縁辺に沿って配置した点と、青色ドット領域D3における反射表示領域Rの誘電体突起18を、反射表示領域Rの中央部に配置された青色着色領域の上に積層した点のみである。本実施形態では、素子基板側の構造については前記第1の実施形態と全く同じであるため、ここでは対向基板側の構造についてのみ説明する。
図5,図6に示すように、対向基板25は、石英、ガラス等の透光性材料からなる基板本体25Aを基体としてなり、基板本体25Aの内面側には、反射表示領域R及び透過表示領域Tに跨ってカラーフィルタ(カラーフィルタ層)22が設けられている。カラーフィルタ22は互いに色の異なる複数種類のカラーフィルタ(着色層)22R,22G,22Bからなり、これらカラーフィルタ22を構成する各カラーフィルタ22R〜22Bの間には必要に応じて黒色樹脂等からなる遮光層(ブラックマトリクス)が配置される。赤色カラーフィルタ22Rには、反射表示用のサブピクセル29aの中央部に対応する位置に、色材の配置されない矩形の開口領域(非着色領域)HRが形成されている。同様に、緑色カラーフィルタ22Gには、反射表示用のサブピクセル29aの中央部に対応する位置に、色材の配置されない矩形の開口領域(非着色領域)HGが形成されている。青色カラーフィルタ22Bには、反射表示用のサブピクセル29aの外周部分に対応する位置に、色材の配置されない矩形枠状の開口領域(非着色領域)HBが形成されている。色材の配置される着色領域と色材の配置されない非着色領域との面積比率(非着色領域/着色領域)は、各色の色バランスを考慮してR,G,Bの色毎に最適に設定されている。例えば本実施形態では、非着色領域の面積は視感度の高い緑色のカラーフィルタ22G(即ち、非着色領域HG)で最も大きく、その次に赤色の非着色領域HR、青色の非着色領域HBの順で小さくなっており、それに応じて、前記面積比率は緑色カラーフィルタ22G、赤色カラーフィルタ22R、青色カラーフィルタ22Bの順に大きくなっている。
カラーフィルタ22の内面側には反射表示領域Rに対応して絶縁膜40が選択的に形成されている。このようにドット領域内に部分的に形成された絶縁膜40により、液晶層50の層厚が反射表示領域Rと透過表示領域Tとで異ならされている。絶縁膜40は、アクリル樹脂等の有機材料膜を用いて形成されている。絶縁膜40は、例えば膜厚が2μm±1μm程度に形成され、絶縁膜40が存在しない部分の液晶層50の厚みは2μm〜6μm程度であり、反射表示領域Rにおける液晶層50の厚みは透過表示領域Tにおける液晶層50の厚みの約半分となっている。つまり、絶縁膜40は、自身の膜厚によって反射表示領域Rと透過表示領域Tとにおける液晶層50の層厚を異ならせる液晶層厚調整層として機能し、もってマルチギャップ構造を実現するものとなっている。本例の液晶表示装置200は、係る構成により明るく高コントラストの表示が得られるようになっている。尚、反射表示領域Rと透過表示領域Tとの境界付近には、絶縁膜40の層厚が連続的に変化している傾斜面が形成されているが、この傾斜面と反射電極29aのドット領域中央側の縁端部とは、平面的にほぼ重なっており、さらに隣接するサブピクセル間を連結している線状の電極膜(連結部)とも平面的に重なっている。
絶縁膜40の表面には、カラーフィルタ22の凹凸形状を反映して、赤色カラーフィルタ22Rと緑色カラーフィルタ22Gの非着色領域HRと非着色領域HGに対応する位置にそれぞれ凹部P(図3参照)が形成されている。すなわち、絶縁膜40には赤色ドット領域D1及び緑色ドット領域D2の反射表示領域Rの中央部に、絶縁膜40によって平坦化しきれなかった分の段差が生じており、この段差が絶縁膜40の表面に凹部Pとして現われている。この凹部Pによって、赤色ドット領域D1と緑色ドット領域D2においては、反射表示領域Rの中央部のギャップがその周辺部のギャップよりも広がった状態となっている。一方、青色カラーフィルタ22Bにおいては、反射表示領域Rの周縁部に非着色領域HBが配置されているので、反射表示領域Rの中央部には凹部は形成されない。
さらに基板本体25Aの内面側には、カラーフィルタ22と絶縁膜40の表面を覆って対向電極31が形成されている。対向電極31は平面ベタ状のITO等からなる透明導電膜であり、係る対向電極31上の画素電極9と対向する位置に、液晶層50に突出する誘電体突起18が設けられている。誘電体突起18の断面形状は略三角形で図示しているが、実際にはなだらかな曲面形状で形成される。透過表示領域Tには、2つのサブピクセル29b,29bの各々に対応して、その中央部に対向する位置にそれぞれ1つずつ誘電体突起18が形成されており、反射表示領域Rには、サブピクセル29aに対応して、その中央部に対向する位置に誘電体突起18が1つ形成されている。反射表示領域Rの誘電体突起18は、赤色ドット領域D1と緑色ドット領域D2においては、絶縁膜40に形成された凹部P内の領域に配置されている。一方、青色ドット領域D3においては、このような凹部が形成されないので、誘電体突起18は平坦面上にそのまま配設されている。これらの誘電体突起18は、樹脂等の誘電体材料からなり、マスクを用いたフォトリソグラフィ等によって形成することができる。本実施形態では、ノボラック系のポジ型フォトレジストを用いて高さ1.2μm、直径12μmの誘電体突起18を反射表示領域Rと透過表示領域Tに対して一括で形成している。レジストを現像後に220℃でポストベークすることで、なだらかな突起形状を得ることができる。この誘電体突起18の高さは透過表示用として最適に設定されたものであり、反射表示領域Rにおいては若干高い値となっている。
また図示は省略したが、対向電極31及び誘電体突起18を覆ってポリイミド等の垂直配向膜が形成されており、液晶分子51の初期配向を基板面に対し垂直に配向させるようになっている。基板本体25Aの外側の構成については前記第1の実施形態と同様である。
[表示動作]
次に本実施形態の液晶表示装置200の表示動作について説明する。なお、透過モードの動作については前記第1の実施形態と同様であるため、ここでは反射モードの動作についてのみ説明する。
反射モードにおいては、対向基板25の外側から入射された外光は、偏光板37および位相差板36を透過して円偏光に変換され、液晶層50に入射する。電圧無印加時において基板と垂直に配向している液晶分子には屈折率異方性がほとんどないので、入射光は円偏光を保持したまま液晶層50を進行してサブピクセル29a(反射電極)に到達する。そしてサブピクセル29aにより反射されて液晶層50に戻り、再び位相差板36に入射する。このとき、サブピクセル29aにより反射された円偏光は、その回転方向が反転しているので、位相差板36によって偏光板37の透過軸と直交する直線偏光に変換される。そして、この直線偏光は偏光板37を透過しないので、本実施形態の液晶表示装置200では、電圧無印加時において黒表示が行われる(ノーマリーブラックモード)。
一方、液晶層50に電界を印加すると、液晶分子が基板面方向に倒れるように配向して、透過光に対する屈折率異方性を呈する。そのため、対向基板25の外側から液晶層50に入射した円偏光は、液晶層50を透過する過程で直線に変換されてサブピクセル29a(反射電極)に到達する。そして、サブピクセル29aにより反射された後、液晶層50を透過して再び位相差板36に入射する。この反射光は、先の入射光と同じ回転方向の円偏光であるため位相差板36により偏光板37の透過軸と平行な直線偏光に変換され偏光板37を透過する。従って、本実施形態の液晶表示装置200では、電圧印加時において白表示が行われる。また係る構成のもと液晶層50に印加する電圧を調整することにより、階調表示を行うことが可能である。この際、本実施形態ではサブピクセル29aの中央部に対向する位置に誘電体突起18が配置されているので、液晶分子51はサブピクセル29aの輪郭に対して垂直方向に傾倒する。また誘電体突起18の周辺では、電圧無印加時には液晶分子51が誘電体突起18の傾斜面と垂直に配向し、電圧印加時には図3に示すように誘電体突起18から外側に向かって液晶分子51が倒れ、それを中心とした平面放射状に液晶分子51が配向する。従って、本実施形態の液晶表示装置200では、電圧印加時に液晶分子51のダイレクタが全方位に向くこととなり、視野角の極めて広い表示が実現される。また、外光は入射時と射出時に1回ずつ計2回カラーフィルタ22を透過することになるが、カラーフィルタ22には非着色領域HR,HG,HBが形成されているので、色が濃くなりすぎることはない。つまり、サブピクセル29aと平面的に重なる領域の一部に非着色領域HR,HG,HBがあるので、反射モード時に得られる光は、非着色領域を透過した着色されない光と着色領域を透過した着色された光とを合わせた光になる。このため、着色された光の色は着色されない光によって緩和され、結果として、透過モード時と同様の色の光が射出されるようになるのである。
また本実施形態では、赤色ドット領域D1及び緑色ドット領域D2の反射表示領域Rの誘電体突起18が非着色領域HR,HGによって生じた凹部Pの中に配置されているので、誘電体突起18の上方の液晶層厚は凹部Pのない平坦な面に誘電体突起を配置した場合に比べて広く保たれるようになる。このため、突起近傍の液晶も十分にリタデーションに寄与させることができ、実質的に表示に寄与する領域の面積を広げることができる。
一方、青色ドット領域D3では、誘電体突起が凹部のない平坦な面に形成されているので、誘電体突起18と素子基板10とのギャップは非常に狭くなっている。このため、突起近傍の液晶は実質的に表示に寄与する(即ち、所望の階調を表示する)ことはできない。しかし、この部分の液晶は高電圧を印加することによって明るさに寄与するので、低電圧側では突起部分の光を遮断し、高電圧側では突起部分の光を透過させるように働く。すなわち、この部分の液晶は電圧の印加状態に応じて、光の透過量(即ち、着色光の色の濃さ)を調節する調節弁のような役割を果たす。このため、従来の垂直配向モードでは低電圧側で白表示が青味がかっており、高電圧側にシフトするに従って白表示が黄色にシフトするという問題があったが、本実施形態の構成では低電圧側では青色の光量が小さく、高電圧側で青色の光量が大きくなる(即ち、低電圧側で強かった色味が低減され、高電圧側で弱かった色味が強化される)ので、印加電圧によらずに色再現性の良い表示が得られるようになる。
以上説明したように、本実施形態でもマルチギャップ構造を採用しているので、反射表示と透過表示の双方において高コントラストな表示を得ることができる。また、1ドットを島状の複数のサブピクセルに分割しているので、全方位にわたって広視野角な表示となる。また、カラーフィルタ22の一部を開口して反射表示領域に色材の配置されない非着色領域を設けているので、反射モード時と透過モード時の色の濃淡差を少なくすることができる。また本実施形態では、誘電体突起18とカラーフィルタ22の非着色領域との相対的な位置関係を色毎に変えているので、従来問題となっていた波長分散による色味の問題を解消することができ、電圧の印加状態によらずに色再現性のよい表示を実現することができる。
[第3の実施の形態]
[液晶表示装置]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。図7は本実施形態の液晶表示装置300の1画素領域の構造を示す平面図であって、図7(a)は素子基板側の平面図、図7(b)は対向基板側の平面図、図8は本液晶表示装置300の構造を示す断面図であって、図7のA−A’線に沿う部分断面図、図9は本液晶表示装置300の構造を示す断面図であって、図7のB−B’線に沿う部分断面図である。なお、本実施形態において前記第2の実施形態と同様の部材又は部位については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
本実施形態において前記第2の実施形態と異なる点は、3つのサブピクセルのうち上側2つを反射表示用のサブピクセルとした点と、これに対応して各色のカラーフィルタの非着色領域の形状,配置,数を変えた点のみである。それ以外の構成については前記第2の実施形態と同様である。
図7(a)に示すように、本実施形態の液晶表示装置300では、ドット領域D1〜D3に設けられた画素電極9は、各ドット領域内に形成されたスリット19により複数(本実施形態では3つ)のサブピクセル(島状部)29a,29bに分割され、各サブピクセルは中央部で連結されている(連結部)。図示上側の2つのサブピクセル29a,29aはAl(アルミニウム)やAg(銀)等の光反射性の金属膜若しくはこれらの金属膜とITO(インジウム錫酸化物)等の透明導電膜との積層膜からなる。このサブピクセル29aは反射電極として機能し、このサブピクセル29aの形成された領域が反射表示領域Rとなる。反射電極の表面には凹凸形状が付与されており、この凹凸によって反射光が散乱されることで、視認性の良い表示が得られるようになっている。また、図示下側のサブピクセル29bはITO(インジウム錫酸化物)等の透明導電膜からなり、このサブピクセル29bの形成された領域が透過表示領域Tとなる。すなわち、本実施形態の液晶表示装置300は、1つのドット領域内に反射表示を行なう反射表示領域Rと透過表示を行なう透過表示領域Tとを備えた半透過反射型の液晶表示装置であり、表示可能な領域の略2/3の面積が反射表示に寄与し、残りの略1/3の面積が透過表示に寄与するようになっている。図7では、反射表示領域Rと透過表示領域Tとの境界を一点鎖線で示している。なお、サブピクセルとサブピクセルを連結する連結部はAlやAg等の光反射性の金属膜若しくはこれらの金属膜とITO等の透明導電膜との積層膜からなり、この連結部も反射表示に寄与するようになっている。それぞれのサブピクセル29a,29bの中央部には、液晶の配向を規制するための配向規制手段である誘電体の突起18が配設されている。各サブピクセル29a,29bの角部には面取り等が施され、サブピクセル29a,29bは平面視略八角形状ないし略円形状とされている。
図7(b)に示すように、カラーフィルタ22は互いに色の異なる複数種類のカラーフィルタ(着色層)22R,22G,22Bからなり、これらカラーフィルタ22を構成する各カラーフィルタ22R〜22Bの間には必要に応じて黒色樹脂等からなる遮光層(ブラックマトリクス)が配置される。赤色カラーフィルタ22Rには、反射表示用の2つのサブピクセル29a,29aの各々について、その中央部に対応する位置に、色材の配置されない矩形の開口領域(非着色領域)HR,HRが形成されている。同様に、緑色カラーフィルタ22Gには、反射表示用の2つのサブピクセル29a,29aの各々について、その中央部に対応する位置に、色材の配置されない矩形の開口領域(非着色領域)HG,HGが形成されている。赤色ドット領域D1又は緑色ドット領域D2に形成された2つの非着色領域の形状や配置(誘電体突起18との配置関係)は任意に設計することができる。これらを2つのサブピクセル29a,29aの各々について同一とすることもできるし、これらをサブピクセル29a,29a毎に変えることもできる。本実施形態では、これらの形状等をサブピクセル毎に変えており、更に、赤色ドット領域D1と緑色ドット領域D2との間でもこれらの形状等を変えている。青色カラーフィルタ22Bには、反射表示用の2つのサブピクセルのうち図示下側のサブピクセル29a(即ち、透過表示用のサブピクセル29bに隣接するサブピクセル29a)について、その外周部分に対応する位置に、色材の配置されない矩形枠状の開口領域(非着色領域)HBが形成されている。色材の配置される着色領域と色材の配置されない非着色領域との面積比率(非着色領域/着色領域)は、各色の色バランスを考慮してR,G,Bの色毎に最適に設定されている。例えば本実施形態では、非着色領域の面積は視感度の高い緑色のカラーフィルタ22G(即ち、非着色領域HG)で最も大きく、その次に赤色の非着色領域HR、青色の非着色領域HBの順で小さくなっており、それに応じて、前記面積比率は緑色カラーフィルタ22G、赤色カラーフィルタ22R、青色カラーフィルタ22Bの順に大きくなっている。
図8,図9に示すように、カラーフィルタ22の内面側には反射表示領域Rに対応して絶縁膜40が選択的に形成されている。このようにドット領域内に部分的に形成された絶縁膜40により、液晶層50の層厚が反射表示領域Rと透過表示領域Tとで異ならされている。絶縁膜40は、アクリル樹脂等の有機材料膜を用いて形成されている。絶縁膜40は、例えば膜厚が2μm±1μm程度に形成され、絶縁膜40が存在しない部分の液晶層50の厚みは2μm〜6μm程度であり、反射表示領域Rにおける液晶層50の厚みは透過表示領域Tにおける液晶層50の厚みの約半分となっている。つまり、絶縁膜40は、自身の膜厚によって反射表示領域Rと透過表示領域Tとにおける液晶層50の層厚を異ならせる液晶層厚調整層として機能し、もってマルチギャップ構造を実現するものとなっている。本例の液晶表示装置200は、係る構成により明るく高コントラストの表示が得られるようになっている。尚、反射表示領域Rと透過表示領域Tとの境界付近には、絶縁膜40の層厚が連続的に変化している傾斜面が形成されているが、この傾斜面と反射電極29aのドット領域中央側の縁端部とは、平面的にほぼ重なっており、さらに隣接するサブピクセル間を連結している線状の電極膜(連結部)とも平面的に重なっている。
絶縁膜40の表面には、カラーフィルタ22の凹凸形状を反映して、赤色カラーフィルタ22Rと緑色カラーフィルタ22Gの非着色領域HR,HRと非着色領域HG,HGに対応する位置にそれぞれ凹部P,P(図8)が形成されている。すなわち、絶縁膜40には赤色ドット領域D1及び緑色ドット領域D2の反射表示領域Rの中央部に、絶縁膜40によって平坦化しきれなかった分の段差が生じており、この段差が絶縁膜40の表面に凹部Pとして現われている。この凹部Pによって、赤色ドット領域D1と緑色ドット領域D2においては、反射表示領域Rの中央部のギャップがその周辺部のギャップよりも広がった状態となっている。一方、青色カラーフィルタ22Bにおいては、反射表示領域Rの周縁部に非着色領域HBが配置されているので、反射表示領域Rの中央部には凹部は形成されない(図9)。
さらに基板本体25Aの内面側には、カラーフィルタ22と絶縁膜40の表面を覆って対向電極31が形成されている。対向電極31は平面ベタ状のITO等からなる透明導電膜であり、係る対向電極31上の画素電極9と対向する位置に、液晶層50に突出する誘電体突起18が設けられている。誘電体突起18の断面形状は略三角形で図示しているが、実際にはなだらかな曲面形状で形成される。透過表示領域Tには、サブピクセル29bに対応して、その中央部に対向する位置に誘電体突起18が1つ形成されており、反射表示領域Rには、2つのサブピクセル29a,29aの各々に対応して、その中央部に対向する位置にそれぞれ1つずつ誘電体突起18が形成されている。反射表示領域Rの誘電体突起18は、赤色ドット領域D1と緑色ドット領域D2においては、絶縁膜40に形成された凹部P内の領域に配置されている(図8)。一方、青色ドット領域D3においては、このような凹部が形成されないので、誘電体突起18は平坦面上にそのまま配設されている(図9)。これらの誘電体突起18は、樹脂等の誘電体材料からなり、マスクを用いたフォトリソグラフィ等によって形成することができる。本実施形態では、ノボラック系のポジ型フォトレジストを用いて高さ1.2μm、直径12μmの誘電体突起18を反射表示領域Rと透過表示領域Tに対して一括で形成している。レジストを現像後に220℃でポストベークすることで、なだらかな突起形状を得ることができる。この誘電体突起18の高さは透過表示用として最適に設定されたものであり、反射表示領域Rにおいては若干高い値となっている。
また図示は省略したが、対向電極31及び誘電体突起18を覆ってポリイミド等の垂直配向膜が形成されており、液晶分子51の初期配向を基板面に対し垂直に配向させるようになっている。基板本体25Aの外側の構成については前記第1の実施形態と同様である。また、表示動作についても、サブピクセルの連結部が表示に寄与する点を除けば前記第2の実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
以上説明したように、本実施形態でもマルチギャップ構造を採用しているので、反射表示と透過表示の双方において高コントラストな表示を得ることができる。また、1ドットを島状の複数のサブピクセルに分割しているので、全方位にわたって広視野角な表示となる。また、カラーフィルタ22の一部を開口して反射表示領域に色材の配置されない非着色領域を設けているので、反射モード時と透過モード時の色の濃淡差を少なくすることができる。また本実施形態では、誘電体突起18とカラーフィルタ22の非着色領域との相対的な位置関係を色毎に変えているので、従来問題となっていた波長分散による色味の問題を解消することができ、電圧の印加状態によらずに色再現性のよい表示を実現することができる。また本実施形態では、反射表示用のサブピクセル29aを1ドット領域内に2つ備えており、更にサブピクセル同士を連結する連結部も反射表示に寄与させているので、明るい反射表示が可能である。また、反射表示用のサブドットを複数設けたため、色材配置の自由度が増す。したがって、例えばサブドット毎に着色領域と非着色領域を分ける(例えば非着色領域を、一方のサブピクセルについては中央部に配置し、他方のサブピクセルについては外周部に配置する。或いは、サブピクセル毎に非着色領域の形状や配置を変える等)ことによって、より有効に色調整を行なうことが可能になる。
[第4の実施の形態]
[液晶表示装置]
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。図10は本実施形態の液晶表示装置400の1画素領域の構造を示す平面図であって、図10(a)は素子基板側の平面図、図10(b)は対向基板側の平面図、図11は本液晶表示装置400の構造を示す断面図であって、図10のA−A’線に沿う部分断面図、図12は本液晶表示装置400の構造を示す断面図であって、図10のB−B’線に沿う部分断面図である。なお、本実施形態において前記第3の実施形態と同様の部材又は部位については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
本実施形態において前記第3の実施形態と異なる点は、液晶層厚調整用の絶縁膜40を素子基板側に配置し、カラーフィルタの表面をオーバーコート層で保護した点と、反射表示用のサブピクセルの反射機能と電極機能とを分離し、電極機能を有しない光反射膜を画素電極9とは別に設けた点と、各色のカラーフィルタの非着色領域の形状,配置,数を変えた点のみである。それ以外の構成については前記第3の実施形態と同様である。
図10(a)に示すように、本実施形態の液晶表示装置400では、ドット領域D1〜D3に設けられた画素電極9は、各ドット領域内に形成されたスリット19により複数(本実施形態では3つ)のサブピクセル(島状部)29a,29bに分割され、各サブピクセルは中央部で連結されている(連結部)。各サブピクセル29a,29bとこれらのサブピクセルを連結する連結部はITO(インジウム錫酸化物)等の透明導電膜によって一体に形成されている。図示上側の2つのサブピクセル29a,29aは、各ドット領域内に部分的に設けられた反射膜45の形成領域内に配置されており、残る下側のサブピクセル29bは、反射膜45の非形成領域に配置されている。反射膜45の形成領域内に配置されたサブピクセル29aの平面領域が、本液晶表示装置400における反射表示領域Rとされ、残る下側のサブピクセル29bの平面領域が、透過表示領域Tとされている。反射膜45の表面には凹凸形状が付与されており、この凹凸によって反射光が散乱されることで、視認性の良い表示が得られるようになっている。すなわち、本実施形態の液晶表示装置100は、1つのドット領域内に反射表示を行なう反射表示領域Rと透過表示を行なう透過表示領域Tとを備えた半透過反射型の液晶表示装置であり、表示可能な領域の略2/3の面積が反射表示に寄与し、残りの略1/3の面積が透過表示に寄与するようになっている。図10では、反射表示領域Rと透過表示領域Tとの境界を一点鎖線で示している。なお、反射膜45は、サブピクセルとサブピクセルを連結する連結部の形成領域にも設けられており、この連結部も反射表示に寄与するようになっている。それぞれのサブピクセル29a,29bの中央部には、液晶の配向を規制するための配向規制手段である誘電体の突起18が配設されている。各サブピクセル29a,29bの角部には面取り等が施され、サブピクセル29a,29bは平面視略八角形状ないし略円形状とされている。
一方、図11,図12に示す断面構造を見ると、液晶表示装置400は、素子基板10と、これに対向配置された対向基板25とを備え、前記基板10,25間に初期配向状態が垂直配向を呈する誘電異方性が負の液晶(屈折率異方性Δnは例えば0.1)からなる液晶層50が挟持されている。液晶層50は、図に示す如く画素電極9の形成領域内でほぼ一定の層厚に形成されている。素子基板10の外面側にあたる液晶セルの外側には、照明手段として光源、リフレクタ、導光板などを有するバックライト(図示略)が設置されている。尚、符号51にて示す略棒状の楕円体は、垂直配向された液晶分子を概念的に示すものである。
素子基板10は、石英、ガラス等の透光性材料からなる基板本体10Aを基体としてなり、基板本体10Aの内面側(液晶層側)に走査線3aが形成されている。そして、走査線3aを覆ってゲート絶縁膜14が形成され、このゲート絶縁膜14上にデータ線6a等(図10(a)参照)が形成され、更にこのデータ線等を覆って層間絶縁膜15が形成されている。層間絶縁膜15の表面には、AlやAg等の光反射性の金属膜からなる反射膜45が部分的に形成されている。この反射膜45は、例えば凹凸を有する絶縁膜の表面に形成することによって、その表面に凹凸形状を付与されたものであることが望ましい。この反射膜45の配置された領域が反射表示領域Rとなる。なお、絶縁膜40は反射膜45の下層側に形成してもよい。
層間絶縁膜15の表面には、反射膜45の上方に位置するように(即ち、反射表示領域Rに対応して)絶縁膜40が選択的に形成されている。このようにドット領域内に部分的に形成された絶縁膜40により、液晶層50の層厚が反射表示領域Rと透過表示領域Tとで異ならされている。絶縁膜40は、アクリル樹脂等の有機材料膜を用いて形成されている。絶縁膜40は、例えば膜厚が2μm±1μm程度に形成され、絶縁膜40が存在しない部分の液晶層50の厚みは2μm〜6μm程度であり、反射表示領域Rにおける液晶層50の厚みは透過表示領域Tにおける液晶層50の厚みの約半分となっている。つまり、絶縁膜40は、自身の膜厚によって反射表示領域Rと透過表示領域Tとにおける液晶層50の層厚を異ならせる液晶層厚調整層として機能し、もってマルチギャップ構造を実現するものとなっている。本例の液晶表示装置400は、係る構成により明るく高コントラストの表示が得られるようになっている。尚、反射表示領域Rと透過表示領域Tとの境界付近には、絶縁膜40の層厚が連続的に変化している傾斜面が形成されているが、この傾斜面と反射膜45のドット領域中央側の縁端部とは、平面的にほぼ重なっており、さらに隣接するサブピクセル間を連結している線状の電極膜(連結部)とも平面的に重なっている。
そして、絶縁膜40の表面を含む素子基板10表面には、ITO等の透明導電材料からなる画素電極9が形成されている。また図示は省略したが、画素電極9、絶縁膜40及び層間絶縁膜15を覆ってポリイミド等の垂直配向膜が形成されており、液晶分子51の初期配向を基板面に対し垂直に配向させるようになっている。基板本体10Aの外側の構成については前記第1実施形態と同様である。
対向基板25は、石英、ガラス等の透光性材料からなる基板本体25Aを基体としてなり、基板本体25Aの内面側には、反射表示領域R及び透過表示領域Tに跨ってカラーフィルタ(カラーフィルタ層)22が設けられている。
図10(b)に示すように、カラーフィルタ22は互いに色の異なる複数種類のカラーフィルタ(着色層)22R,22G,22Bからなり、これらカラーフィルタ22を構成する各カラーフィルタ22R〜22Bの間には必要に応じて黒色樹脂等からなる遮光層(ブラックマトリクス)が配置される。赤色カラーフィルタ22Rには、反射表示用の2つのサブピクセル29a,29aの各々について、その中央部に対応する位置に、色材の配置されない矩形の開口領域(非着色領域)HR,HRが形成されている。赤色ドット領域D1に形成された2つの非着色領域HR,HRの形状や配置(誘電体突起18との配置関係)は任意に設計することができる。これらを2つのサブピクセル29a,29aの各々について同一とすることもできるし、これらをサブピクセル29a,29a毎に変えることもできる。本実施形態では、これらの形状等をサブピクセル毎に変えている。また、これらのサブピクセル29a,29aを連結する連結部に対応する部分にも開口領域(非着色領域)HRが形成されている。この連結部に形成された非着色領域HRは、該連結部を含んで左右に延びるストライプ状に形成されており、このストライプ状の非着色領域HRによって、1ドット領域D1内の赤色カラーフィルタ22Rが上下に分離された状態となっている。緑色カラーフィルタ22Gには、反射表領域Rの中央部に十字状の開口領域(非着色領域)HGが形成されている。この非着色領域HGのうち上下方向に延在する部分は、反射表示用の2つのサブピクセル29a,29aの中央部に対応する位置及びこれらを繋ぐ位置に形成されている。また非着色領域HGのうち左右方向に延在する部分は、これらのサブピクセル29a,29aを連結する連結部に対応する部分に形成されている。この連結部に形成された非着色領域HGは、該連結部を含んで左右に延びるストライプ状に形成されており、このストライプ状の非着色領域HGによって、1ドット領域D2内の緑色カラーフィルタ22Gが上下に分離された状態となっている。青色カラーフィルタ22Bには、反射表領域Rの中央部に着色領域を十字状に残すように、反射表示領域Rの外周部分に平面視コ字型の2つの開口領域(非着色領域)HB,HBが形成されている。反射表示領域Rに配置される青色着色領域のうち上下方向に延在する部分は、反射表示用の2つのサブピクセル29a,29aの中央部に対応する位置及びこれらを繋ぐ位置に形成されている。また青色着色領域のうち左右方向に延在する部分は、これらのサブピクセル29a,29aを連結する連結部に対応する部分に形成されている。この連結部に形成された青色着色領域は、該連結部を含んで左右に延びるストライプ状に形成されており、このストライプ状の着色領域によって、1ドット領域D3内の青色カラーフィルタ22Bの非着色領域HBは上下に分離された状態となっている。色材の配置される着色領域と色材の配置されない非着色領域との面積比率(非着色領域/着色領域)は、各色の色バランスを考慮してR,G,Bの色毎に最適に設定されている。例えば本実施形態では、非着色領域の面積は視感度の高い緑色のカラーフィルタ22G(即ち、非着色領域HG)で最も大きく、その次に赤色の非着色領域HR、青色の非着色領域HBの順で小さくなっており、それに応じて、前記面積比率は緑色カラーフィルタ22G、赤色カラーフィルタ22R、青色カラーフィルタ22Bの順に大きくなっている。
図11,図12に戻って、カラーフィルタ22の表面にはオーバーコート層41が設けられている。オーバーコート層41の表面には、カラーフィルタ22の凹凸形状を反映して、赤色カラーフィルタ22Rと緑色カラーフィルタ22Gの非着色領域HR,HRと非着色領域HGに対応する位置にそれぞれ凹部P,P(図11)が形成されている。すなわち、オーバーコート層41には赤色ドット領域D1及び緑色ドット領域D2の反射表示領域Rの中央部に、オーバーコート層41によって平坦化しきれなかった分の段差が生じており、この段差がオーバーコート層41の表面に凹部Pとして現われている。この凹部Pによって、赤色ドット領域D1と緑色ドット領域D2においては、反射表示領域Rの中央部のギャップがその周辺部のギャップよりも広がった状態となっている。一方、青色カラーフィルタ22Bにおいては、反射表示領域Rの周縁部に非着色領域HBが配置されているので、反射表示領域Rの中央部には凹部は形成されない(図12)。
さらに基板本体25Aの内面側には、オーバーコート層41の表面を覆って対向電極31が形成されている。対向電極31は平面ベタ状のITO等からなる透明導電膜であり、係る対向電極31上の画素電極9と対向する位置に、液晶層50に突出する誘電体突起18が設けられている。誘電体突起18の断面形状は略三角形で図示しているが、実際にはなだらかな曲面形状で形成される。透過表示領域Tには、サブピクセル29bに対応して、その中央部に対向する位置に誘電体突起18が1つ形成されており、反射表示領域Rには、2つのサブピクセル29a,29aの各々に対応して、その中央部に対向する位置にそれぞれ1つずつ誘電体突起18が形成されている。反射表示領域Rの誘電体突起18は、赤色ドット領域D1と緑色ドット領域D2においては、絶縁膜40に形成された凹部P内の領域に配置されている(図11)。一方、青色ドット領域D3においては、このような凹部が形成されないので、誘電体突起18は平坦面上にそのまま配設されている(図12)。これらの誘電体突起18は、樹脂等の誘電体材料からなり、マスクを用いたフォトリソグラフィ等によって形成することができる。本実施形態では、ノボラック系のポジ型フォトレジストを用いて高さ1.2μm、直径12μmの誘電体突起18を反射表示領域Rと透過表示領域Tに対して一括で形成している。レジストを現像後に220℃でポストベークすることで、なだらかな突起形状を得ることができる。この誘電体突起18の高さは透過表示用として最適に設定されたものであり、反射表示領域Rにおいては若干高い値となっている。
また図示は省略したが、対向電極31及び誘電体突起18を覆ってポリイミド等の垂直配向膜が形成されており、液晶分子51の初期配向を基板面に対し垂直に配向させるようになっている。基板本体25Aの外側の構成については前記第1の実施形態と同様である。
[表示動作]
次に本実施形態の液晶表示装置400の表示動作について説明する。なお、透過モードの動作については前記第1の実施形態と同様であるため、ここでは反射モードの動作についてのみ説明する。
反射モードにおいては、対向基板25の外側から入射された外光は、偏光板37および位相差板36を透過して円偏光に変換され、液晶層50に入射する。電圧無印加時において基板と垂直に配向している液晶分子には屈折率異方性がほとんどないので、入射光は円偏光を保持したまま液晶層50を進行してサブピクセル29a(反射電極)に到達する。そしてサブピクセル29aにより反射されて液晶層50に戻り、再び位相差板36に入射する。このとき、サブピクセル29aにより反射された円偏光は、その回転方向が反転しているので、位相差板36によって偏光板37の透過軸と直交する直線偏光に変換される。そして、この直線偏光は偏光板37を透過しないので、本実施形態の液晶表示装置400では、電圧無印加時において黒表示が行われる(ノーマリーブラックモード)。
一方、液晶層50に電界を印加すると、液晶分子が基板面方向に倒れるように配向して、透過光に対する屈折率異方性を呈する。そのため、対向基板25の外側から液晶層50に入射した円偏光は、液晶層50を透過する過程で直線に変換されてサブピクセル29a(反射電極)に到達する。そして、サブピクセル29aにより反射された後、液晶層50を透過して再び位相差板36に入射する。この反射光は、先の入射光と同じ回転方向の円偏光であるため位相差板36により偏光板37の透過軸と平行な直線偏光に変換され偏光板37を透過する。従って、本実施形態の液晶表示装置200では、電圧印加時において白表示が行われる。また係る構成のもと液晶層50に印加する電圧を調整することにより、階調表示を行うことが可能である。この際、本実施形態ではサブピクセル29aの中央部に対向する位置に誘電体突起18が配置されているので、液晶分子51はサブピクセル29aの輪郭に対して垂直方向に傾倒する。また誘電体突起18の周辺では、電圧無印加時には液晶分子51が誘電体突起18の傾斜面と垂直に配向し、電圧印加時には図3に示すように誘電体突起18から外側に向かって液晶分子51が倒れ、それを中心とした平面放射状に液晶分子51が配向する。従って、本実施形態の液晶表示装置400では、電圧印加時に液晶分子51のダイレクタが全方位に向くこととなり、視野角の極めて広い表示が実現される。また、外光は入射時と射出時に1回ずつ計2回カラーフィルタ22を透過することになるが、カラーフィルタ22には非着色領域HR,HG,HBが形成されているので、色が濃くなりすぎることはない。つまり、サブピクセル29aと平面的に重なる領域の一部に非着色領域HR,HG,HBがあるので、反射モード時に得られる光は、非着色領域を透過した着色されない光と着色領域を透過した着色された光とを合わせた光になる。このため、着色された光の色は着色されない光によって緩和され、結果として、透過モード時と同様の色の光が射出されるようになるのである。
また本実施形態では、赤色ドット領域D1及び緑色ドット領域D2の反射表示領域Rの誘電体突起18が非着色領域HR,HGによって生じた凹部Pの中に配置されているので、誘電体突起18の上方の液晶層厚は凹部Pのない平坦な面に誘電体突起を配置した場合に比べて広く保たれるようになる。このため、突起近傍の液晶も十分にリタデーションに寄与させることができ、実質的に表示に寄与する領域の面積を広げることができる。
一方、青色ドット領域D3では、誘電体突起が凹部のない平坦な面に形成されているので、誘電体突起18と素子基板10とのギャップは非常に狭くなっている。このため、突起近傍の液晶は実質的に表示に寄与する(即ち、所望の階調を表示する)ことはできない。しかし、この部分の液晶は高電圧を印加することによって明るさに寄与するので、低電圧側では突起部分の光を遮断し、高電圧側では突起部分の光を透過させるように働く。すなわち、この部分の液晶は電圧の印加状態に応じて、光の透過量(即ち、着色光の色の濃さ)を調節する調節弁のような役割を果たす。このため、従来の垂直配向モードでは低電圧側で白表示が青味がかっており、高電圧側にシフトするに従って白表示が黄色にシフトするという問題があったが、本実施形態の構成では低電圧側では青色の光量が小さく、高電圧側で青色の光量が大きくなる(即ち、低電圧側で強かった色味が低減され、高電圧側で弱かった色味が強化される)ので、印加電圧によらずに色再現性の良い表示が得られるようになる。
また本実施形態では、赤色ドット領域D1と緑色ドット領域D2の各反射表示領域Rにおいて、サブピクセル29a,29aの連結部を含む領域にカラーフィルタ22R,22Gの非着色領域HR,HGが形成されており、青色ドット領域D3の反射表示領域Rにおいて、サブピクセル29a,29aの連結部を含む領域にカラーフィルタ22Bの着色領域が形成されている。この構成では、印加電圧が小さいときには、サブピクセル29aとサブピクセル29aとの間の領域(島状部間の領域)に位置する液晶は明るさに殆ど寄与しないので、島状部間の領域と平面的に重なるように配置された着色領域からの光はその分ロスされ、暗い表示(薄い色の表示)となる。一方、印加電圧が大きくなると、島状部間の領域に位置する液晶も明るさに寄与するようになるので、光のロスが少なくなり、明るい表示(濃い色の表示)となる。このように本実施形態の構成では低電圧側では青色の光量が小さく、高電圧側で青色の光量が大きくなる(即ち、低電圧側で強かった色味が低減され、高電圧側で弱かった色味が強化される)ので、更に色再現性の良い表示が得られるようになる。
以上説明したように、本実施形態でもマルチギャップ構造を採用しているので、反射表示と透過表示の双方において高コントラストな表示を得ることができる。また、1ドットを島状の複数のサブピクセルに分割しているので、全方位にわたって広視野角な表示となる。また、カラーフィルタ22の一部を開口して反射表示領域に色材の配置されない非着色領域を設けているので、反射モード時と透過モード時の色の濃淡差を少なくすることができる。また本実施形態では、誘電体突起18とカラーフィルタ22の非着色領域との相対的な位置関係を色毎に変えているので、従来問題となっていた波長分散による色味の問題を解消することができ、電圧の印加状態によらずに色再現性のよい表示を実現することができる。さらに島状部間の領域とカラーフィルタ22の非着色領域との相対的な関係を色毎に変えているので、波長分散による色味の影響をより一層抑えることができる。また本実施形態では、反射表示用のサブピクセル29aを1ドット領域内に2つ備えており、更にサブピクセル同士を連結する連結部も反射表示に寄与させているので、明るい反射表示が可能である。また、反射表示用のサブドットを複数設けたため、色材配置の自由度が増す。したがって、例えばサブドット毎に着色領域と非着色領域を分けることによって、より有効に色調整を行なうことが可能になる。
[第5の実施の形態]
[液晶表示装置]
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。図13は本実施形態の液晶表示装置500の対向基板側の構造を示す図であって1画素領域を拡大して示す模式的な平面図である。なお、本実施形態において前記第3の実施形態と同様の部材又は部位については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
本実施形態において前記第3の実施形態と異なる点は、1つのドット領域内において反射表示領域Rと透過表示領域Tの面積比率を色毎に変えた点のみである。それ以外の構成については前記第3の実施形態と同様である。
図13に示すように、本実施形態の液晶表示装置500では、1ドット領域内のサブピクセルの形状や配置を変えることによって、各色のドット領域D1〜D3について、それぞれ反射表示領域Rと透過表示領域Tの面積比率を変えている。図13では、各ドット領域D1〜D3の反射表示領域Rと透過表示領域Tとの境界をそれぞれ一点鎖線で示している。また、R,G,Bの各ドットの反射表示領域Rの面積をそれぞれE1R,E1G,E1Bとし、透過表示領域Tの面積をそれぞれE2R,E2G,E2Bとしている。この面積比率(反射表示領域/透過表示領域)は、各色の色バランスを考慮してR,G,Bの色毎に最適に設定されている。例えば本実施形態では、反射表示領域Rの面積は視感度の高い緑色のドット領域D2で最も小さく、その次に赤色のドット領域D1、青色のドット領域D3の順で小さくなっており(E1B>E1R>E1G)、それに応じて、前記面積比率は、緑色ドット領域D2、赤色ドット領域D1、青色ドット領域Dの順で大きくなっている。また、色材の配置される着色領域と色材の配置されない非着色領域との面積比率(非着色領域/着色領域)は、各色の色バランスを考慮してR,G,Bの色毎に最適に設定されている。例えば本実施形態では、非着色領域の面積は視感度の高い緑色のカラーフィルタ22G(即ち、非着色領域HG)で最も大きく、その次に赤色の非着色領域HR、青色の非着色領域HBの順で小さくなっており、それに応じて、前記面積比率は緑色カラーフィルタ22G、赤色カラーフィルタ22R、青色カラーフィルタ22Bの順に大きくなっている。この構成では、反射表示においては、青の発色を強くすることで黄色味を抑えることができる。また、透過表示においては、短波長の発光スペクトルの強いバックライトを用いることで色を調整することができる。
なお、表示動作については前記第3の実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
以上説明したように、本実施形態では、カラーフィルタ22R〜22Bの着色領域と非着色領域との面積比率を色毎に変え、更に反射表示領域と透過表示領域との面積比率を色毎に変えているので、反射表示の色再現性をより一層向上することができる。
[電子機器]
図14は、本発明に係る電子機器の一例を示す斜視図である。この図に示す携帯電話1300は、本発明の液晶表示装置を小サイズの表示部1301として備え、複数の操作ボタン1302、受話口1303、及び送話口1304を備えて構成されている。
上記各実施の形態の表示装置は、上記携帯電話に限らず、電子ブック、パーソナルコンピュータ、ディジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型あるいはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等々の画像表示手段として好適に用いることができ、いずれの電子機器においても、明るく、高コントラストであり、かつ広視野角の透過/反射表示が可能になっている。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、前述した各実施形態において、液晶層厚調整層やカラーフィルタ22の配置は任意である。液晶層厚調整層は素子基板側若しくは対向基板側のいずれに配置してもよく、双方に配置することもできる。同様に、カラーフィルタ22は対向基板側だけでなく、素子基板側に配設することも可能である。例えば第3の実施形態では、反射膜45と絶縁膜40との間にカラーフィルタ22を形成するような構成が考えられる。
また、第1,第2,第3,第5実施形態では、反射表示用のサブピクセル29aを光反射性の導電材料によって形成したが、第4実施形態のように電極を透明導電材料によって形成し、これとは別に光反射用の反射膜を形成する構造としてもよい。逆に、第4実施形態では、第1実施形態等におけるように、反射表示用のサブピクセルを光反射性の導電材料によって形成し、反射膜45を省略することもできる。
また前記実施形態では、液晶の配向規制手段として略円錐状の誘電体突起18をサブピクセルの中央部に配置したが、この代わりに、サブピクセルの外周部に沿って細長い壁状の突起を形成し、これを配向制御手段として用いてもよい。この細長い突起は前述した略円錐状の突起18と同様の作用効果を奏する。また、液晶駆動用の電極(画素電極9や対向電極31)の一部を切り欠いて形成したスリット状の開口部(電極スリット)を配向規制手段として用いても良い。電極スリットは突起では原理は異なるものの略同様の作用を示す。さらに、配向規制手段は突起と電極スリットの組み合わせであってもよい。これらの配向規制手段は、必ずしもカラーフィルタ22と同じ基板に形成される必要はなく、カラーフィルタ22と配向規制手段とを別々の基板に形成することもできる。
また前記実施形態では、液晶層厚調整用の絶縁膜40を反射表示領域Rのみに形成したが、絶縁膜40は反射表示領域Rのみならず透過表示領域Tに形成することも可能である。この場合、反射表示領域Rの液晶層厚が透過表示領域Tの液晶層厚よりも小さくなるように、それぞれの領域の絶縁膜の厚みを調節する。例えば、反射表示領域Rの絶縁膜の厚みを透過表示領域Tの絶縁膜の厚みよりも厚くするように調節する。また、この絶縁膜40は一方の基板のみに形成するのでなく、双方の基板に形成することもできる。
また前記実施形態では、画素駆動用の素子として三端子素子であるTFTを用いたが、この代わりに二端子素子であるTFD(Thin Film Diode)を用いてもよい。さらに、このような駆動素子を有しないパッシブマトリクス型の液晶表示装置(例えばSTN型液晶表示装置)に本発明を適用することも可能である。
第1実施形態に係る液晶表示装置の回路構成図。 同、1画素領域の平面構成図。 図2のA−A’線に沿う断面構成図。 本発明の作用を説明するための図。 第2実施形態に係る液晶表示装置の1画素領域の平面構成図。 図5のB−B’線に沿う断面構成図。 第3実施形態に係る液晶表示装置の1画素領域の平面構成図。 図7のA−A’線に沿う断面構成図。 図7のB−B’線に沿う断面構成図。 第4実施形態に係る液晶表示装置の1画素領域の平面構成図。 図10のA−A’線に沿う断面構成図。 図10のB−B’線に沿う断面構成図。 第5実施形態に係る液晶表示装置の1画素領域の平面構成図。 電子機器の一例を示す斜視構成図。
符号の説明
100,200,300,400,500…液晶表示装置、9…画素電極、10…素子基板、18…誘電体突起(配向規制手段)、19…電極スリット、22…カラーフィルタ層、22R,22G,22B…着色層、25…対向基板、29a,29b…サブピクセル(島状部)、31…対向電極、50…液晶層、51…液晶分子、40…絶縁膜(液晶層厚調整層)、1300…電子機器、D1,D2,D3…ドット領域、HR,HG,HB…非着色領域、R…反射表示領域、T…透過表示領域

Claims (8)

  1. 一対の基板間に液晶層を挟持してなり、1つのドット領域内に透過表示領域と反射表示領域とを備えた液晶表示装置であって、
    前記液晶層は、初期配向状態が垂直配向を呈する誘電異方性が負の液晶からなり、
    前記一対の基板のうちの少なくとも一方の基板と前記液晶層との間には、前記反射表示領域の液晶層厚を前記透過表示領域の液晶層厚よりも小さくするための液晶層厚調整層が設けられており、
    前記一対の基板のうちの少なくとも一方の基板には、各ドット領域に対応した互いに色の異なる複数種類の着色層を含むカラーフィルタ層が設けられ、前記着色層のうち前記反射表示領域に配置された部分には、当該着色層が形成された着色領域と当該着色層が形成されない非着色領域とが設けられており、
    さらに前記一対の基板のうちの少なくとも一方の基板の内面には、前記反射表示領域において前記液晶の配向を規制する配向規制手段が設けられており、前記配向規制手段が前記反射表示領域における前記カラーフィルタ層の前記非着色領域と平面的に重なるように配置されていることを特徴とする、液晶表示装置。
  2. 前記一対の基板の内面側に前記液晶を駆動するための電極がそれぞれ設けられており、前記配向規制手段が、前記電極の一部を切り欠いて形成した電極スリット又は前記電極上に設けられた誘電体の突起からなることを特徴とする、請求項1記載の液晶表示装置。
  3. 前記複数種類の着色層のうち特定の色の着色層については、その着色領域と前記配向規制手段とが平面的に重なるように配置されており、それ以外の色の着色層については、その非着色領域と前記配向規制手段とが平面的に重なるように配置されていることを特徴とする、請求項1又は2記載の液晶表示装置。
  4. 前記着色層の着色領域と非着色領域との面積比率が、各色の色バランスを考慮して色毎に最適に設定されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかの項に記載の液晶表示装置。
  5. 1ドット領域内の反射表示領域と透過表示領域の面積比率が、各色の色バランスを考慮して色毎に最適に設定されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかの項に記載の液晶表示装置。
  6. 前記一対の基板の内面側に前記液晶を駆動するための電極がそれぞれ設けられており、一方の基板の前記電極が、1つのドット領域の反射表示領域内において複数の島状部とこれら複数の島状部を電気的に連結する連結部とを備えていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかの項に記載の液晶表示装置。
  7. 前記複数種類の着色層のうち特定の色の着色層については、その着色領域が、前記反射表示領域において隣接する島状部間の領域に平面的に重なるように配置されており、それ以外の色の着色層については、その着色領域が前記島状部間の領域に重ならないように配置されていることを特徴とする、請求項6記載の液晶表示装置。
  8. 請求項1〜7のいずれかの項に記載の液晶表示装置を備えたことを特徴とする、電子機器。
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