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JP2008063671A - 可染性ポリプロピレン系捲縮繊維及び繊維製品 - Google Patents

可染性ポリプロピレン系捲縮繊維及び繊維製品 Download PDF

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JP2008063671A
JP2008063671A JP2006239648A JP2006239648A JP2008063671A JP 2008063671 A JP2008063671 A JP 2008063671A JP 2006239648 A JP2006239648 A JP 2006239648A JP 2006239648 A JP2006239648 A JP 2006239648A JP 2008063671 A JP2008063671 A JP 2008063671A
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Yoshishige Shimizu
喜茂 清水
Akira Igarashi
明 五十嵐
Noboru Naito
昇 内藤
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MRC Pylen Co Ltd
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

【課題】後加工での分散染料等により濃色に染色が可能で、かつ、紡糸安定性、タフト通過性に優れた可染性ポリプロピレン系捲縮繊維、及びその繊維にて構成された織編物を提供する。
【解決手段】捲縮率が5〜25%で、捲縮数が3〜10ケ/インチである可染性ポリプロピレン系捲縮繊維にあり、また、その捲縮繊維にて織編物とする。 その可染性ポリプロピレン系捲縮糸の熱可塑性樹脂組成物が(A)飽和ポリエステル樹脂、(B)未変性ポリプロピレンをグラフト共重合された変性ポリプロピレン樹脂、及び(C)未変性ポリプロピレン樹脂で構成される。
【選択図】なし

Description

本発明は、後加工での染色により濃色に染色が可能で、かつ、織編物におけるタフト通過性に優れた可染性ポリプロピレン系捲縮繊維に関する。
ポリプロピレン繊維は、軽量性、撥水性、易リサイクル性等に優れていることから、養生シート、建築工事用シートやカーペット原糸等の産業用途に多く用いられている。
しかしながら、着色されたポリプロピレン繊維を得るためにはいくつかの問題点があった。具体的には、ポリプロピレン樹脂に顔料や染料を練り込むため、品種ごとの色換え等に多量の繊維ロスが発生する、また、細繊度のフィラメント糸を得るには顔料や染料により製造困難な場合が多く、製造できた場合でも、スラブが多く発生する等問題があった。
ポリエステル系繊維等で広く使用されている分散染料等による後加工による染色がポリプロピレン繊維においても適用可能であれば、かかる問題は解決できるが、ポリプロピレン繊維を構成するポリプロピレン樹脂は、疎水性が高く、ポリエステル繊維等で使用されている分散染料等による染色ができず、そのため、従来のポリプロピレン繊維を衣料用途等の後加工での染色が必要となる用途に用いることは困難であった。
そこで、後加工での染色が可能なポリプロピレン繊維の開発については数多くなされており、例えば、特許文献1には、ポリプロピレン繊維中に分散染料等での染色が可能な樹脂を分散させる方法が開示され、前記の樹脂として飽和ポリエステル樹脂を用いることが提案されている。
また、特許文献2には、ポリオレフィン系樹脂に飽和ポリエステル樹脂を分散させる際、相溶化剤としてポリエステル系ブロック共重合体を適量添加して、ポリオレフィン系樹脂と飽和ポリエステル樹脂との相溶性を向上させたポリオレフィン繊維が開示されている。
しかしながら、特許文献1の方法は、十分な染色性を得るために必要な飽和ポリエステル樹脂を添加すると紡糸安定性が低下するために、飽和ポリエステル樹脂の添加量を増大させることが困難になり十分な濃染性を得ることができず、またポリオレフィン系樹脂と飽和ポリエステル樹脂の相溶性が悪いために、溶融紡糸の際に糸切れ等が発生し易く、紡糸安定性が不十分になり易いという問題があった。
また、特許文献2に開示されている方法では、ポリエステル系ブロック共重合体の添加により、紡糸安定性や得られる糸の物性が低下し易く改善が求められていた。
特開平6−25912号公報 特開2001−11729号公報
本発明の目的は、このような従来技術における問題点を解決するものであり、後加工での分散染料等による染色により濃色に染色することが可能で、かつ、織編物におけるタフト通過性に優れたポリプロピレン系捲縮繊維を提供することにあり、さらにその可染性ポリプロピレン系捲縮繊維よりなる織編物を提供することにある。
本発明における、第1の要旨は、下記(1)、(2)を満たす可染性ポリプロピレン系捲縮繊維にある。
(1)捲縮率α(%):5≦α≦25
(2)捲縮数β(ヶ/インチ):3<β≦10
第2の要旨は、可染性ポリプロピレン系捲縮繊維を含んでなる繊維製品にある。
本発明によれば、本発明の可染性ポリプロピレン系捲縮繊維は、後加工での分散染料等による染色により濃色に染めることが可能であり、また、その可染性ポリプロピレン系捲縮繊維を溶融紡糸によって得る際の紡糸安定性にも何ら問題がなく紡糸安定性に優れる。また、本発明の可染性ポリプロピレン系捲縮繊維は、可染性捲縮繊維として、織編物においてもタフト通過性が良好であって、良好な嵩高性、染色性を発揮するものである。
本発明の可染性ポリプロピレン系捲縮糸において、良好な嵩高性を有しボリューム感があり、タフト通過性がよい捲縮糸は、上記(1)の捲縮率α(%)が5≦α≦25、同(2)の捲縮数β(ケ/インチ)が3<β≦10の範囲であることが必要である。捲縮率が5%未満であると、捲縮糸の伸縮性が低くニードル前の張力の変動が吸収できず、また、ルーパーから捲縮糸が外れにくくタフト通過性が悪くなり、このような捲縮繊維から得られたカーペットはボリューム感の無いカーペットしか得られない。また、捲縮率が25%を超える捲縮糸を得ようとすると製糸時に捲縮加工通過性が悪化するトラブルが発生する恐れがある。捲縮数も3ケ/インチ未満ではニードル前の張力変動が吸収できず、また、ルーパーから捲縮糸が外れにくくタフト通過性が低下し、10ケ/インチを超えると硬いカーペットしか得られない。
本発明の可染性ポリプロピレン系捲縮繊維において用いる成分(A)の飽和ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸又はその低級アルキルエステル、酸ハライド若しくは酸無水物誘導体と、ジヒドロキシ化合物との重縮合によって得られる飽和ポリエステル樹脂であれば特に限定はなく、ホモポリエステル、コーポリエステル又はこれらの変性体であってもよい。
ポリエステルを形成するジカルボン酸の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、p−オキシエトキシ安息香酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、セバシン酸、p−カルボキシフェノキシ酢酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタリンジカルボン酸等が挙げられる。
また、ポリエステルを形成するジヒドロキシ化合物の具体例としては、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の炭素数2〜12の直鎖アルキレングリコール、ピロカテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン等の芳香族ジオール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環式グリコール又はこれら化合物のアルキル置換誘導体が挙げられる。
中でも、これらから形成されるジカルボン酸がテレフタル酸及びイソフタル酸に由来し、ジヒドロキシ化合物が1,4−ブタンジオールに由来する、所謂イソフタル酸変性ポリブチレンテレフタレートが極めて濃染性を有することから、イソフタル酸変性ポリブチレンテレフタレートを構成するこれらジカルボン酸、ジヒドロキシ化合物が好ましいものとして挙げられる。
また、本発明の可染性ポリプロピレン系捲縮繊維において、成分(A)として用いる飽和ポリエステル樹脂と、成分(C)として用いる未変性ポリプロピレン樹脂との融点差が30℃以下であるものを用いることが好ましく、15℃以下であることがさらに好ましい。
前記融点の差が、30℃を超える場合は、著しく製糸性が悪くなり好ましくない。通常、飽和ポリエステル樹脂の融点は、成分(C)として用いる未変性ポリプロピレン樹脂に比べて高いことが多く、ポリプロピレン繊維の溶融紡糸における温度では、飽和ポリエステル樹脂が十分に溶融せずに、溶融した未変性ポリプロピレン樹脂中に固形異物として残り、溶融紡糸の際に紡糸安定性を低下させるおそれがある。また、飽和ポリエステル繊維の溶融紡糸における温度では、未変性ポリプロピレン樹脂の溶融粘度が低下し、紡糸安定性を低下させるおそれがある。
特に、本発明の可染性ポリプロピレン系捲縮繊維においては成分(A)として用いる飽和ポリエステル樹脂として、上述したようにジカルボン酸がテレフタル酸、イソフタル酸、ジヒドロキシ化合物が1,4−ブタンジオールであるイソフタル酸変性ポリブチレンテレフタレートが好ましく用いられるが、飽和ポリエステル樹脂としてイソフタル酸変性ポリブチレンテレフタレートを用いる場合、イソフタル酸変性ポリブチレンテレフタレートにおけるイソフタル酸による変性の度合、即ちポリマーにおけるイソフタル酸共重合量を20〜40モル%とすれば、ポリプロピレン樹脂が特にポリプロピレンホモポリマーであるときは、成分(C)として用いる未変性ポリプロピレン樹脂との融点差を30℃以下とすることが容易にできる。
本発明の可染性ポリプロピレン系捲縮繊維において成分(B)として用いる変性ポリプロピレン樹脂は、未変性のポリプロピレンをグラフト共重合されてなるものである。本発明においては、成分(B)の変性ポリプロピレン樹脂は、ポリプロピレン繊維の主たる構成成分である成分(C)の未変性ポリプロピレン樹脂と飽和ポリエステル樹脂との相溶化剤として機能する。
成分(B)の変性ポリプロピレン樹脂における未変性のポリプロピレンとしては、ポリプロピレンホモポリマー或いはプロピレンを主成分とするプロピレンとエチレン、ブテン−1、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ヘキセン等のα−オレフィンとのランダム、ブロックコポリマーが挙げられ、その他の重合成分として4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン等の共役ジエンを含んでいてもよい。
グラフト共重合するモノマーとしては、炭素数4〜40のエチレングリコール若しくはプロピレングリコールのオリゴマーのアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル、炭素数4〜40のエチレングリコール若しくはプロピレングリコールのオリゴマーのマレイン酸エステル又はフマル酸エステル等の不飽和カルボン酸エステルが挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、また、2種以上併用してもよい。
未変性ポリプロピレンをグラフト共重合により得られる変性ポリプロピレン樹脂量は、未変性ポリプロピレン100質量部に対し2.5〜10質量部の範囲である。未変性ポリプロピレンをグラフト共重合により得られる変性ポリプロピレン樹脂が、2.5質量部未満では、成分(A)の飽和ポリエステル樹脂との反応が不十分で紡糸性、製糸性の改良効果が小さく、20質量部を超えると、ゲル化等により相溶性改善効果が上がらなくなる場合がある。
本発明の可染性ポリプロピレン系捲縮繊維において成分(C)として用いる未変性ポリプロピレン樹脂は、JIS K 7210に準拠し、230℃で測定のメルティングフローレート(以下、MFRと標記。)が8〜50g/10分の範囲であるものが好ましく、特に20〜30g/10分の範囲であるものが好ましい。MFRが8g/10分未満では、溶融紡糸時の紡糸温度を高く設定する必要があり、製糸性が悪化し不都合となり、50g/10分を超えると、製糸性も得られる繊維の繊維強度も低くなり不都合となる。
本発明の可染性ポリプロピレン系捲縮繊維は、その熱可塑性樹脂組成物中に、前記の成分(A)を5〜15質量%、好ましくは5〜10質量%、及び成分(B)を2.5〜25質量%、好ましくは5〜15質量%含むことが必要である。成分(A)が、5質量%未満では、望ましい染色性が得られず、15質量%を超えると、紡糸安定性が低下するおそれがある。また、成分(B)が、2.5質量%未満では、相溶化剤としての機能効果が十分に得られず紡糸安定性が悪化し、25質量%を超えると、繊維強度等の物性低下が発生するおそれがある。
本発明の可染性ポリプロピレン系捲縮繊維を構成する熱可塑性樹脂組成物中には、前記の成分(A)、成分(B)及び成分(C)以外の他の成分を含んでいてもよく、他の成分として、例えば、リン化合物、含臭素化合物等からなる難燃剤、ヒンダードアミン系化合物等からなる耐光安定剤、酸化防止剤、流動性改良剤、ガラス繊維、マイカ、タルク、ワラスナイト、チタン酸カリウム、炭酸カルシウム、シリカ、ゴム成分等の有機、無機充填剤やその他の機能剤を、染色性を悪化させない範囲で含んでいてもよい。また、本発明の可染性ポリプロピレン系捲縮繊維の繊度は特に制限はなく任意の繊度が利用できる。繊維の繊維断面形状も、Y型断面、三角等の異型断面、中空断面、円形断面、であってもよい。また、並列型(サイドバイサイド型)複合繊維であっても良い。
本発明の可染性ポリプロピレン系捲縮繊維は、ポリプロピレン繊維の公知の溶融紡糸方法で得ることができる。溶融紡糸においては、紡糸に先立ち、例えば、成分(A)、成分(B)及び成分(C)とを、それぞれの成分からなるチップの状態でブレンドしてもよいし、予め前記成分(A)、成分(B)及び成分(C)を2軸押出機等を用いて押出機内で混練した後ペレット状に溶融賦型しておいてもよい。また、この溶融賦型の際に、前述の他の成分を混合しペレット状にしてもよい。
また、可染性ポリプロピレン系捲縮繊維は、前記成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含む熱可塑性樹脂組成物が少なくとも繊維表面に配される限り、芯鞘構造或いは貼合わせ構造等の複合繊維であってもよく、溶融紡糸において複合紡糸することもできる。
次に、本発明の可染性ポリプロピレン系捲縮繊維の製法について説明する。
溶融押出機により溶融した原料を紡糸ノズルから押し出し、紡出糸の表面に紡糸油剤を給油し、糸条を巻き取ることにより未延伸糸を得る。未延伸糸は、そのまま連続工程で延伸を行ってもよいし、一旦巻き取った後延伸してもよい。延伸は、1段或いは2段以上の多段で行ってもよく、多段延伸における延伸倍率比の設定もとくに限定されない。
また、延伸工程では熱源が接触型或いは非接触型であってもよい。延伸での延伸倍率は、2〜7倍とすることが好ましく、延伸倍率が2倍未満では、得られるフィラメント糸の強度が低くなり、7倍を超えると、糸切れ等の発生の危険性が高くなり好ましくない。また、延伸温度は、50〜130℃の範囲内であることが好ましく、延伸温度が50℃未満では、延伸倍率が低くなり得られるフィラメント糸の強度が低くなり、130℃を超えると、糸切れが発生する等紡糸安定性が悪化する。
引き続いて、一旦巻き取ること無く、熱風温度190℃以下の温度で同時延伸ホットエアー捲縮加工を行い、巻き取りすることで、タフト通過性の良好な可染性ポリプロピレン系捲縮繊維が得られる。高捲縮糸を得ようとして熱風温度を190℃以上にすると、製糸中の断糸時、捲縮部にある繊維が溶けてトラブルが大きくなり好ましくない。
本発明の可染性ポリプロピレン系捲縮繊維には、延伸後に公知の方法で撚糸を施してもよく、このとき延伸糸を一旦巻き取った後に撚りを施してもよいし、延伸工程から連続して撚りを施してもよい。
本発明の可染性ポリプロピレン系捲縮繊維は、織物或いは編物の素材として用いられ、公知の方法で製織により織物或いは製編により編物とすることができる。本発明の可染性ポリプロピレン系捲縮繊維を含む織編物は、後加工での加工通過性がよく、特に分散染料による染色により本発明の可染性ポリプロピレン捲縮繊維が濃色に染色される。また、織編物には本発明の可染性ポリプロピレン捲縮繊維の染色性を損なわない範囲で他の繊維が含まれていてもよい。他素材との混繊、エアー加工からの混繊糸を織編物にし、2色染色、2度染色等の染料の組み合わせにより異色染め或いは同色染めを可能にする。更にまた、本発明の可染性ポリプロピレン系捲縮繊維は、その熱可塑性樹脂組成物中に含まれる成分(A)の飽和ポリエステル樹脂が5−ナトリウムスルホイソフタル酸等のカチオン染料可染性成分を含むときには、カチオン染料による染色も可能となる。
なお、繊維の評価は、下記の方法で行った。
(引張強度の測定方法)
JIS L 1013 8.5.1(標準時試験)に準拠し、オリエンテック社製テンシロン RTC=1210Aにて測定した。
(捲縮率α(%)の測定方法)
・試料を束ねカセ状のサンプル糸を作成する。
巻き取り張力・・・D当たり 1/15g 巻き回数2回
(Dは繊維の繊度(デシテックス)を表す。以下、同じ。)
・サンプル糸を無荷重下で、乾熱温度80℃×10分間熱処理をする。
・熱処理後、無荷重で10分以上放置する。
・サンプル糸の一端に測定荷重Aを掛け1分後に糸長(L1)を測定する。
測定荷重A=D×(1/10)×(2×巻き回数)
・測定荷重Aを除き2分間放置する。
・サンプル糸の一端に測定荷重Bを掛け1分後に糸長(L2)を測定する。
測定荷重B=D×(1/10)×(2×巻き回数)
計算式:捲縮率α(%)=((L1−L2)/L1)×100により算出した数値を捲縮率とした。
(捲縮数β(ヶ/インチ)の測定方法)
・JIS L 1015 7.12.1(標準時試験)に準拠し測定した。
・初加重(0.026N/dtex)を掛ける。
・25mm間の捲縮の山と谷の数を全部数え、2で割って、捲縮数を読み取る。
試験回数20回とし、その平均値を捲縮数の代表値とした。
(染色性の評価方法)
・得られた可染性ポリプロピレン系捲縮繊維を用いて筒編地を作成。
・編地を下記の染浴及び条件で染色。
ダイアニックス ブルー UN−SE(ダイスタージャパン社製分散染料)2%owf
ディスパーTL(明成化学工業社製助剤)0.7cc/l
ウルトラMT(大和化学工業社製中和剤)0.55cc/l
浴比 1:50
4℃/分で昇温し、100℃×30分間染色を行う。
染色後、界面活性剤(花王社製、製品名:エマルゲン909)1g/lでソーピング、水洗、風乾し、染色性を判断した。
(ポリマー融点)
JIS K 7122に準拠し、示差走査熱分析装置(セイコー社製DSC220)を用い、窒素60ml/分の雰囲気下にて、試料約10mg、昇温速度10℃/分の条件で測定したDSC曲線からポリマーの融点を求めた。
(タフト通過性)
得られた可染性ポリプロピレン系捲縮繊維を用いて、1/8ゲージのタフティングマシンで、パイル打ち込み密度12/インチ、パイル高さ:8mmでタフトし、パイルとしたときの、単位時間当たりでのタフティングマシンの停止回数が、1回/1時間以上の場合を、タフト通過性不良とした。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
各実施例、比較例に使用したポリマーについては、下記の方法により得た物を使用した。
(水準1)
内部を窒素雰囲気下とした重合反応釜に、ジメチルテレフタレート(以下、DMTと略記)とジメチルイソフタレート(以下、DMIと略記)をモル比で70:30になるように投入し、次いで1,4−ブタンジオール(以下、BDOと略記)を、DMTとDMIの合計仕込量とBDOの仕込量とがモル比で1:1.4になるように投入する。さらに触媒としてテトラブトキシチタンをDMT、DMI及びBDOの総量に対して600ppm添加した後、釜内温度を240℃まで昇温してエステル化を行う。続いて釜内温度を260℃まで昇温すると同時に釜内圧力を0.15kPa以下に減圧し所定の重合度に達するまで120分間重合を行った。その後、室温、常圧まで戻した後ポリマーを窒素加圧によりストランド状に水中に押し出すことにより重合を停止させ、水中で洗浄した後切断してチップ化した。次に、120℃にて8時間減圧下で乾燥し、飽和ポリエステル樹脂(イソフタル酸30モル%共重合のイソフタル酸変性ポリブチレンテレフタレート、以下、PBT−1と略記)を得た。
得られたイソフタル酸変性ポリブチレンテレフタレートの同定は、核磁気共鳴装置(Varian UNITY INOVA 500)を用い、1H−NMR(500MHz)測定で行った。すなわち、得られたポリマーを、内部標準物質としてテトラメチルシランを含むCDCl3 の4w/v%の溶液を調整した後、この溶液を用いて1H−NMR(500MHz)を測定し、テレフタル酸由来のピーク、イソフタル酸由来のピーク及びBDO由来のピークそれぞれの積分値の比を計算することにより、DMT及びDMIのモノマー転化率が99%以上であり、仕込み比通りの組成比となっていることを確認した。また、JIS K 7122に準拠し、示差走査熱分析装置(セイコー社製DSC220)を用い、窒素60ml/分の雰囲気下にて、試料約10mg、昇温速度10℃/分の条件で測定したDSC曲線からポリマーの融点を求めたが、得られたPBT−1の融点は、174℃、[η]0.83であった。
(水準2)
水準1の製造において、DMTとDMIの仕込み比を85:15とした外は、水準1と同様にしてイソフタル酸を15モル%共重合した変性ポリブチレンテレフタレート(以下 PBT−2と標記)を製造し、またその同定を行った。得られたPBT−2の融点は、203℃であった。
(水準3)
未変性ポリプロピレンをグラフト共重合された変性ポリプロピレン樹脂。(三菱化学(株)社製、製品名:MODIC−AP STEX142 以下、変性ポリプロピレン樹脂と略記)
(水準4)
融点165℃、MFR=31の未変性ポリプロピレンホモポリマー(日本ポリプロ(株)製、製品名:SA03 以下、未変性ポリプロピレンと略記)
(実施例1)
成分(A)として水準1の飽和ポリエステル樹脂PBT−1を10質量%、成分(B)として水準3の変性ポリプロピレン樹脂を5質量%、成分(C)として水準4の未変性ポリプロピレン樹脂を85質量%の比率で混合し樹脂とした。前記混合樹脂を溶融押出機にて、押出温度を210℃、紡糸温度215℃で、孔形状が断面Y形状の紡糸口金(孔数180)を用いて、吐出させ紡糸速度700m/分で紡糸した。
引き続いて、一旦巻き取ること無く、得られた未延伸マルチフィラメント糸を延伸倍率2.2倍、延伸温度110℃、熱風温度180℃で同時延伸ホットエアー捲縮加工を行い、緩和率17%で巻き取り、1780dtex/180フィラメント(以下、fと略記)の可染性ポリプロピレン系捲縮糸を得た。得られた捲縮糸の物性を表1に示す。捲縮率は13%であり、また、染色性も濃色に染色されていた。
前記可染性ポリプロピレン系捲縮糸を1/8ゲージのタフティングマシンを用い、パイル打ち込み密度12/インチ、パイル高さ:8mmでタフトし、パイルとした。タフト工程の通過性は良好であった。
(実施例2)
実施例1と同様の混合樹脂を使用し、紡糸口金を正三角形形状で孔数120に変更した外は実施例1と同条件で紡糸した。
引き続いて、一旦巻き取ること無く、得られた未延伸マルチフィラメント糸を延伸倍率2.4倍、延伸温度110℃、熱風温度190℃で同時延伸ホットエアー捲縮加工を行い、緩和率19%で巻き取り、2200dtex/120fの可染性ポリプロピレン系捲縮糸Bを得た。得られた捲縮糸の物性を表1に示す。実施例1で得られた捲縮糸より荒い捲縮であり、捲縮率は20%であり、また、染色性も濃色に染色されていた。
前記可染性ポリプロピレン系捲縮糸を1/8ゲージのタフティングマシンを用い、パイル打ち込み密度12/インチ、パイル高さ:8mmでタフトし、パイルとした。タフト工程の通過性は良好であった。
(実施例3)
実施例1と同様の混合樹脂を使用し、吐出量変更と紡糸口金を断面Y形状で孔数60に変更した外は実施例1と同条件で紡糸した。
引き続いて、一旦巻き取ること無く、得られた未延伸マルチフィラメント糸を延伸倍率2.2倍、延伸温度110℃、熱風温度180℃で同時延伸ホットエアー捲縮加工を行い、緩和率15%で巻き取り、590dtex/60fの可染性ポリプロピレン系捲縮糸を得た。得られた捲縮糸の物性を表1に示す。実施例1で得られた捲縮糸より細かな捲縮であり捲縮率は11%であり、また、染色性も濃色に染色されていた。
前記可染性ポリプロピレン系捲縮糸を3本合糸して、1/8ゲージのタフティングマシンを用い、パイル打ち込み密度12/インチ、パイル高さ:8mmでタフトし、パイルとした。タフト工程の通過性は良好であった。
(比較例1)
実施例1と同様の混合樹脂を溶融押出機にて、押出温度を210℃、紡糸温度210℃で、孔形状がY形状の紡糸口金(孔数180)を用いて吐出させ、紡糸速度800m/分で紡糸した。
引き続いて、一旦巻き取ること無く、得られた未延伸マルチフィラメント糸を延伸倍率2.0倍、延伸温度100℃、熱風温度160℃で同時延伸ホットエアー捲縮加工を行い、緩和率12%で巻き取り、1780dtex/180fの捲縮糸を得た。得られた捲縮糸の物性を表1に示す。捲縮状態も判り難い状態であり捲縮率は4%であった。
前記捲縮糸を実施例1と同様規格でタフト実施したところニードル前の張力変動が大きく、機台の停止回数が多く工程通過性が悪かった。
(比較例2)
実施例1と同様に、成分(A)として水準1のPBT−1を20質量%、成分(B)として水準3の変性ポリプロピレン樹脂を10質量%、成分(C)として水準4の未変性ポリプロピレン樹脂を70質量%の比率で混合した樹脂を用いた外は実施例1と同条件で製糸したが、紡糸口金の下が不安定になり製糸できなかった。
(比較例3)
実施例1と同様に、成分(A)として水準1のPBT−1を4質量%、成分(B)として水準3の変性ポリプロピレン樹脂を3質量%、成分(C)として水準4の未変性ポリプロピレン樹脂を93質量%の比率で混合した樹脂を用いた外は実施例1と同条件で製糸し、1780dtex/180fの可染性ポリプロピレン系捲縮糸を得た。得られた捲縮糸の物性を表1に示す。捲縮率は15%であるが、染色性は淡色にしか染色されなかった。
(比較例4)
実施例1と同様に、成分(A)として水準1のPBT−1を10質量%、成分(B)として水準3の変性ポリプロピレン樹脂を2%、成分(C)として水準4の未変性ポリプロピレン樹脂を88質量%の比率で混合した樹脂を用いた外は実施例1と同条件で製糸しようとしたが、延伸部で、繊維表面から、PBT−1が脱落したため、糸切れが多発し、製糸できなかった。
(比較例5)
実施例1と同様に、成分(A)として水準1のPBT−1を10質量%、成分(B)として水準3の変性ポリプロピレン樹脂を30%、成分(C)として水準4の未変性ポリプロピレン樹脂を60質量%の比率で混合した樹脂を用いた外は実施例1と同条件で製糸しようとしたが、紡糸口金下での吐出状態が不安定となり、糸切れが多発したため、製糸できなかった。
(比較例6)
成分(A)として水準2のPBT−2(融点203℃、[η]0.910の飽和ポリエステル樹脂)を10質量%、成分(B)として水準3の変性ポリプロピレン樹脂を5質量%、成分(C)として水準4の未変性ポリプロピレン樹脂を85質量%の比率で混合した樹脂を用い、押出温度245℃、紡糸温度240℃で、孔形状がY形状の紡糸口金(孔数180)を用いて、製糸しようとしたが、紡糸口金下での吐出状態が不安定となり、糸切れが多発したため、製糸できなかった。
(比較例7)
実施例1と同様の混合樹脂を同条件で紡糸した。
引き続いて、一旦巻き取ること無く、得られた未延伸マルチフィラメント糸を延伸倍率2.2倍、延伸温度110℃、熱風温度180℃で同時延伸ホットエアー捲縮加工を行い、緩和率25%で巻き取り、1780dtex/180fの可染性ポリプロピレン系捲縮糸を得た。得られた捲縮糸の物性を表1に示す。捲縮率は27%であった。
前記可染性ポリプロピレン系捲縮糸を1/8ゲージのタフティングマシンを用い、パイル打ち込み密度12/インチ、パイル高さ:8mmでタフトし、パイルとした。
タフト工程の通過性は、ルーパーから捲縮糸が外れにくく製織工程(タフト工程)通過性が悪かった。また、得られた繊維製品(カーペット)が硬いものとなった。
Figure 2008063671

Claims (5)

  1. 下記(1)、(2)を満たす可染性ポリプロピレン系捲縮繊維。
    (1)捲縮率α(%):5≦α≦25
    (2)捲縮数β(ヶ/インチ):3<β≦10
  2. 可染性ポリプロピレン系捲縮糸を構成する熱可塑性樹脂組成物が、下記の成分(A)、成分(B)および、成分(C)で構成され、これらの含有量が熱可塑性樹脂組成物全量に対し、下記の範囲である請求項1に記載の可染性ポリプロピレン系捲縮繊維。
    成分(A)飽和ポリエステル樹脂:5〜15質量%。
    成分(B)未変性ポリプロピレンをグラフト共重合された変性ポリプロピレン樹脂:2.5〜25質量%。
    成分(C)未変性ポリプロピレン樹脂:60.0〜92.5質量%。
  3. 成分(A)と成分(C)との融点差が30℃以下である請求項1又は請求項2に記載の可染性ポリプロピレン系捲縮繊維。
  4. 成分(A)の飽和ポリエステル樹脂が、イソフタル酸を変性したポリブチレンテレフタレートである請求項1〜3のいずれか1項に記載の可染性ポリプロピレン系捲縮繊維。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の可染性ポリプロピレン系捲縮繊維を含んでなる繊維製品。
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