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JP2008053258A - 熱処理装置および熱処理方法とその制御装置 - Google Patents

熱処理装置および熱処理方法とその制御装置 Download PDF

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JP2008053258A JP2006224930A JP2006224930A JP2008053258A JP 2008053258 A JP2008053258 A JP 2008053258A JP 2006224930 A JP2006224930 A JP 2006224930A JP 2006224930 A JP2006224930 A JP 2006224930A JP 2008053258 A JP2008053258 A JP 2008053258A
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豊 長澤
Masaru Morita
勝 森田
Satoyuki Watanabe
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Abstract

【課題】従来と異なる熱処理制御により、ダングリングボンドを有効に低減して、ライフタイムを効果的に向上させる。
【解決手段】半導体処理基板1に対して熱処理を行う熱処理装置10であって、内部に熱処理対象の半導体処理基板1が配置され、熱処理時に内部が加熱される処理容器3と、処理容器3の内部を加熱する加熱装置15と、処理容器3の内部に水蒸気を供給する水蒸気供給装置5と、を備える。熱処理時における処理容器3内の水蒸気分圧が常圧より高くなるように、水蒸気供給装置5は水蒸気を処理容器3の内部に供給する。
【選択図】図1

Description

本発明は、結晶性シリコンなどからなる半導体処理基板の熱処理装置、熱処理方法及び熱処理装置の制御装置に関する。
結晶性シリコンなどからなる半導体処理基板を用いた半導体装置として、低温ポリシリコン薄膜トランジスタがある。この低温ポリシリコン薄膜トランジスタは、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイのスイッチングデバイスとして使用されている。
低温ポリシリコン薄膜トランジスタは、次のように低温のプロセスにより作製されるものである。早期のポリシリコンプロセスにおいて、処理温度は1000℃に達していたが、近年のレーザ技術の発展により、処理温度が降下された(例えば、600℃〜800℃)。このような降下された温度での処理により形成されたポリシリコン薄膜トランジスタを、低温ポリシリコン薄膜トランジスタという。
このような低温ポリシリコン薄膜トランジスタの性能向上について、研究が進められている。性能の重要な1要素として、少数キャリアのライフタイムがある。このライフタイムは、所定の波長のレーザ光をポリシリコン膜などの半導体膜に照射することによってキャリアが半導体膜に生成してから、再結合により消滅するまでの時間である。
ライフタイムは、ダングリングボンドの存在によって影響される。ダングリングボンドとは、多結晶の粒界に存在し、原子結合にあずからない未結合手である。ダングリングボンドが存在すると、レーザ光により生成されたキャリアがダングリングボンドに掛かってしまう。従って、ダングリングボンドの存在がライフタイム減少の要因となっている。そのため、ダングリングボンドを終端させることで、ライフタイムを向上させることができる。
このようなダングリングボンドの終端化やライフタイムの向上に関連する技術が、例えば特許文献1〜3に記載されている。
特許文献1には、ライフタイムの減少を避けるために、処理雰囲気に水素を導入することによりダングリングボンドに水素原子を結合させたり、処理雰囲気に水蒸気を導入することにより再酸化を行うことが記載されている(段落[0008])。
また、特許文献1には、ライフタイムの向上には、ウエハのスピード冷却が関係しているのではないかと考え、降温の際に酸素を含む冷却ガスを乱流の状態で処理基板に吹き付けることが記載されている(段落[0052]、[0111]など)。これにより、ライフタイムの向上を図っている。
特許文献2には、シリコンウエハを熱酸化させてその表面に熱酸化膜を形成する表面安定化用シリコン酸化膜の形成方法において、乾燥酸素雰囲気による酸化後、水蒸気を含む雰囲気で酸化させることが記載されている(段落[0005]など)。これにより、シリコン結晶中の欠陥を終端させて、シリコン結晶中の少数キャリアのライフタイムを向上させている(段落[0006]など)。
特許文献3には、結晶性シリコン半導体膜の表面にゲート絶縁膜を形成した後、これら結晶性シリコン半導体膜とゲート絶縁膜に対し、水蒸気を含む高圧雰囲気による加熱処理を行うことが記載されている(段落[0044]、[0045]など)。これにより、ダングリングボンドの低減を図っている。なお、特許文献3での、特性評価指標は、移動度、閾値電圧等であり、ライフタイムについては言及されてない。
このように、特許文献1〜3には、水素や水蒸気を含む処理雰囲気による熱処理が記載されていたり、水蒸気を含む処理雰囲気を高圧にして熱処理する点が記載されている。
2002−261102 「熱処理装置およびこれを用いた熱処理方法並びに半導体装置の製造方法」 特開平5−129279号公報 「表面安定化用シリコン酸化膜の形成方法」 特開2002−280560号公報 「半導体素子の製造方法、その製造方法によって製造される半導体素子及び半導体装置」
特許文献1〜3に記載の方法とは異なる制御方法により、ダングリングボンドを有効に低減することで、ライフタイムを一層効果的に向上させることが望まれる。
そこで、本発明の目的は、特許文献1〜3とは異なる視点によってなされる熱処理制御により、ダングリングボンドを有効に低減して、ライフタイムを効果的に向上させることにある。
本発明は、次のように特許文献1〜3とは異なる視点によりなされたものである。特許文献1〜3では、水蒸気を含む処理雰囲気による熱処理や、水蒸気を含む処理雰囲気を高圧にして熱処理することが記載されている。しかし、これら文献には、水蒸気の分圧を調節して熱処理を行うことが記載されていない。即ち、本発明は、処理雰囲気中の水蒸気の分圧の変動によりライフタイムが変動することに着目し、水蒸気分圧を調節した熱処理によりライフタイムを一層向上させるものである。
即ち、上記目的を達成するため、本発明によると、半導体処理基板に対して熱処理を行う熱処理装置であって、内部に熱処理対象の半導体処理基板が配置され、熱処理時に内部が加熱される処理容器と、前記処理容器の内部を加熱する加熱装置と、前記処理容器の内部に水蒸気を供給する水蒸気供給装置と、を備え、熱処理時における処理容器内の水蒸気分圧が常圧より高くなるように、前記水蒸気供給装置は水蒸気を前記処理容器の内部に供給する、ことを特徴とする熱処理装置が提供される。
上記熱処理装置によると、水蒸気熱処理時における処理容器内の水蒸気分圧が常圧より高くなるように、水蒸気供給装置により水蒸気が処理容器の内部に供給される。これにより、ダングリングボンドを有効に低減させることができるので、ライフタイムを一層効果的に向上させることができる。
本発明の好ましい実施形態によると、上記熱処理装置は、前記処理容器の内部に所定のガスを供給するガス供給装置と、その作動量に応じて前記処理容器内の水蒸気分圧を調節する調節手段と、該調節手段の作動量を制御する制御装置と、を備え、該制御装置は、前記作動量と前記水蒸気分圧との関係を記憶した記憶部と、処理容器内の水蒸気分圧を入力設定できる入力部と、を有し、前記制御装置は、熱処理時において、入力された設定水蒸気分圧及び前記関係に基づいて、処理容器内の水蒸気分圧が入力設定圧力になるように、前記作動量を制御するように構成されている。
このように、制御装置は、入力された設定水蒸気分圧及び前記関係に基づいて、処理容器内の水蒸気分圧が入力設定圧力になるように、調節手段の作動量を制御するように構成されているので、オペレータが所望の設定水蒸気分圧を制御装置に入力するだけで、処理容器内の水蒸気分圧を自動的に所望の設定値に調節できる。
また、処理容器内の水蒸気分圧を所望の値に調節することで、ライフタイムの向上度を調節することができる。
本発明の別の実施形態によると、上記熱処理装置は、熱処理時に前記処理容器の内部には水蒸気のみを供給するようになっており、その作動量に応じて前記処理容器内の水蒸気圧力を調節する調節手段と、該調節手段の作動量を制御する制御装置と、を備え、処理容器内の圧力を測定する圧力センサと、を備え、該制御装置は、処理容器内の設定圧力が入力可能になっており、熱処理時において、入力された設定圧力と圧力センサの測定値に基づいて、処理容器内の圧力が設定圧力になるように、前記作動量を制御する。
このように、熱処理時に前記処理容器の内部には水蒸気のみを供給するので、処理容器内の水蒸気の圧力を容易に高くすることができるとともに、処理容器内の水蒸気圧力の調節も容易に行える。
なお、半導体処理基板の酸化を抑えたい場合には、この実施形態と異なり、処理容器の内部に水蒸気とともに所定のガス(例えば、窒素)を供給する。これにより、半導体処理基板の酸化を抑えることができる。
また、上記目的を達成するため、本発明によると、半導体処理基板に対して熱処理を行う熱処理方法であって、半導体処理基板を処理容器内に配置するステップと、処理容器の内部を加熱するとともに、処理容器の内部に水蒸気を供給し、前記半導体処理基板に対して熱処理を行うステップと、を有し、前記熱処理を行うステップでは、処理容器内の水蒸気分圧を常圧よりも高い所定値にする、ことを特徴とする熱処理方法が提供される。
また、上記目的を達成するため、本発明によると、半導体処理基板に対して熱処理を行う熱処理方法であって、半導体処理基板を処理容器内に配置するステップと、処理容器の内部を加熱するとともに、処理容器の内部に水蒸気を供給し、前記半導体処理基板に対して熱処理を行うステップと、を有し、前記熱処理を行うステップでは、処理容器内の水蒸気分圧を常圧よりも高い所定値にした状態で熱処理を行い、これにより、半導体処理基板の少数キャリアのライフタイムを向上させる、ことを特徴とする熱処理方法が提供される。
さらに、上記課題を解決するため、本発明によると、上記熱処理装置の制御装置であって、前記熱処理装置は、前記処理容器の内部に所定のガスを供給するガス供給装置と、その作動量に応じて前記処理容器内の水蒸気圧力を調節する調節手段と、を備えており、該調節手段の作動量を制御するように構成されており、予め求めた前記作動量と前記水蒸気分圧との関係を記憶する記憶部と、処理容器内の水蒸気分圧を入力設定できる入力部と、を有し、熱処理時において、前記入力部による設定水蒸気分圧及び前記関係に基づいて、処理容器内の水蒸気分圧が前記設定水蒸気分圧になるように、前記作動量を制御するように構成されている、ことを特徴とする熱処理装置の制御装置が提供される。
上述した本発明によると、従来とは異なる制御により、ダングリングボンドを有効に低減して、ライフタイムを効果的に向上させることができる。
本発明を実施するための最良の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
図1は、本発明の実施形態による熱処理装置10の構成図である。図1に示すように、熱処理装置10は、処理容器3と、水蒸気供給装置5と、第1のガス供給装置7と、排気管9と、圧力容器11と、加熱装置15と、制御装置17と、第2のガス供給装置19と、を備える。
処理容器3は石英製の容器であり、その内部に石英製カセット3aが設けられている。石英製カセット3aに複数の結晶性半導体処理基板1が縦方向に間隔をおいてセットされる。なお、処理容器3は、上部容器3bと下部容器3cとに分離可能であり、上部容器3bと下部容器3cとを結合させることで処理空間をその内部に形成するように構成されている。また、本実施形態では、結晶性半導体処理基板1は低温ポリシリコン薄膜トランジスタの作製に用いられるものである。
水蒸気供給装置5は、処理容器3の内部に水蒸気を供給する装置である。水蒸気供給装置5は、水又は重水が流れる水供給配管5aと、水供給配管5aを通って供給された水又は重水から水蒸気を発生させる蒸気発生器5bと、水供給配管5aに設けられ水供給源(図示せず)から蒸気発生器5bへ水又は重水を送り込むための水供給ポンプ5cと、蒸気発生器5bで発生した水蒸気を処理容器3の内部に供給する蒸気供給配管5dと、水蒸気を発生させるために蒸気発生器5bの本体を加熱する蒸気発生用加熱装置5e(例えば、ヒータ)と、を有する。
第1のガス供給装置7は、処理容器3の内部に所定のガス(例えば、不活性ガスと窒化処理ガス)を供給するものである。第1のガス供給装置7は、不活性ガス(例えば、アルゴンガス)が流れる第1配管7aと、窒化ガスが流れ第1配管7aに合流する第2配管7bとを有する。また、第1のガス供給装置7は、第1配管7aと第2配管7bにそれぞれ設けられ、第1配管7aと第2配管7bの流量を制御する流量制御弁7c,7dを有する。第1のガス供給装置7は、流量制御弁7c,7dの代わりに、処理容器3の内部へ供給されるガス圧力を制御する圧力制御弁7e,7fを有していてもよい。
排気管9は、熱処理の間、処理容器3の内部から所定の流量でガスを排出するためのものである。また、排気管9は、処理容器3内で高圧水蒸気処理を行った後、処理容器3内のガスを処理容器3の外部へ排気するためにも用いられる。図1の例では、排気管9は、2つに分岐しており、一方の分岐管9aには流量を制御する流量制御弁9b(又は圧力制御弁9c)が設けられており、他方の分岐管9dには真空ポンプ9eが設けられている。なお、熱処理時には、分岐管9dには排気ガスが通過しないようになっている。
圧力容器11は、ステンレス製の容器である。圧力容器11の内部には処理容器3が収容され、これにより、2重構造を形成できる。即ち、処理容器3の内部を高圧にする場合、圧力容器11の内部も高圧にすることで、処理容器3内外で圧力差が生じないようにでき、又は、処理容器3内外の圧力差を低減できる。これにより、処理容器3が石英製であるため耐圧性能が低くても、処理容器3が損傷する可能性を除去できる。なお、圧力容器11は、上部容器11aと下部容器11bとに分離可能であり、上部容器11aと下部容器11bとを結合させることで加圧空間をその内部に形成するように構成されている。
加熱装置15(例えば、加熱ヒータ)は、処理容器3の外部であって圧力容器11の内部に配置されている。例えば、加熱装置15は、圧力容器11の内部において処理容器3の周囲を囲むように配置されている。熱処理時に、加熱装置15は処理容器3を加熱し、処理容器3の内部を所定の温度にする。
制御装置17は、その作動量に応じた値だけ処理容器3内の水蒸気分圧を調節する調節手段の作動量を制御する。
調節手段は、流量制御弁7c,7d,9b、圧力制御弁7e,7f,9c、加熱装置5e,15、水供給ポンプ5c、蒸気供給配管5dに設けられた圧力制御弁若しくは流量制御弁(図示せず)の少なくともいずれかであってよい。
従って、上記作動量は、流量制御弁7c,7d,9bの作動量、圧力制御弁7e,7f,9cの作動量、加熱装置5e,15の作動量(例えば、加熱装置5e,15の設定温度、また、加熱装置5e,15がヒータの場合には、その駆動装置からヒータへの供給電力値)、水供給ポンプ5cの作動量(例えば、水供給ポンプ5cへの供給電力などの供給動力値)、蒸気供給配管5dに設けられた圧力制御弁若しくは流量制御弁の作動量の少なくともいずれかであってよい。
また、制御装置17は、上記調節手段の上記作動量と熱処理時における処理容器3内の水蒸気分圧との関係を記憶した記憶部を有する。この関係は、予め実験により求めることができる。具体的には、熱処理装置10を用いて半導体処理基板1上の多結晶シリコン膜に対し熱処理を行い、この熱処理後に、多結晶シリコン膜の酸化量を測定する。次に、上記複数の作動量から選択した1つ又は複数の作動量を変動させ、他の熱処理条件は同じにした状態で、同様の多結晶シリコン膜に対し熱処理を行い、この熱処理後に、多結晶シリコン膜の酸化量を測定する。このようにして、上記選択した1つ又は複数の作動量を複数回変動させ、他の熱処理条件は同じにした状態で、複数回熱処理を行い、その熱処理後に、多結晶シリコン膜の酸化量を測定する。上記酸化量と処理容器3内の水蒸気分圧は比例するため、上記実験により得られた複数個の酸化量から、上記選択した1つ又は複数の作動量と水蒸気分圧の関係を得ることができる。
この関係は、制御装置17の記憶部に記憶される制御パターンに組み込むことができる。制御パターンは、熱処理開始から熱処理終了するまでの間の、熱処理装置10の上述した各構成要素の制御タイミング及び作動量等を定めたものである。また、制御パターンにより、後述の設定水蒸気分圧に維持する時間や、処理容器3の内部を所定の高温度に維持する時間などを定めておくこともできる。
さらに、制御パターンには処理容器3内の設定全圧を含めておくこともできる。この場合には、制御装置17は、熱処理時に、処理容器3内の圧力を処理容器3内部に設けられた圧力センサ(図示せず)の測定値と、設定全圧とに基づいて、処理容器3内の全圧が設定全圧になるように、上記調節手段を制御することができる。
制御装置17は、オペレータが処理容器3内の水蒸気分圧を入力設定できる入力部を有する。この入力部は、例えば、複数の水蒸気分圧の値を表示する表示部を含み、表示されたこれら値から所望の値をタッチパネル方式やキーボードの使用などにより選択できるものであってよい。代わりに、入力部はキーボード等により所望の設定水蒸気分圧値を入力できるものであってもよい。
上述の構成を有する制御装置17は、熱処理時において、入力部で入力された設定水蒸気分圧及び前記関係に基づいて、処理容器3内の水蒸気分圧が設定水蒸気分圧になるように、調節手段の作動量を制御する。
また、制御装置17は、熱処理時に前記処理容器3の内部には水蒸気のみを供給する場合に対応して、次の構成を持つこともできる。
制御装置17は、処理容器3の内部に設けられ処理容器3内の圧力を測定する圧力センサからその測定値を受けるように構成される。そして、制御装置17は、圧力センサからの測定値と、上記入力部により入力された設定水蒸気圧力とを比較し、この比較に基づいて、上記調節手段の作動量を制御する。これにより、処理容器3内の水蒸気の圧力を設定水蒸気圧力に制御することができる。
第2のガス供給装置19は、圧力容器11の内部に空気や窒素ガスなどを供給するものである。図1の例では、第2のガス供給装置19は、圧力容器11の内部に空気や窒素ガスなどを供給する昇圧ガス配管19aと、この昇圧ガス配管19aに設けられ流量を制御する流量制御弁19bが設けられている。この流量制御弁19bの代わりに、圧力容器11の内部へ供給されるガス圧力を調節する圧力制御弁19cを設けてもよい。
次に、上述した構成を持つ熱処理装置10を用いた水蒸気熱処理方法について説明する。
本実施形態による水蒸気熱処理対象は、多結晶シリコン膜が表面に形成された半導体処理基板1である。この半導体処理基板1は、例えば、次のようにして作製する。まず、PECVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)法により、厚さ50nmのアモルファスシリコンを無アルカリガラス基板上に形成する。その後、RTA(Rapid Thermal Annealing)法により、このガラス基板に対し680℃で10分間の熱処理を行い、引き続いて、710℃で10分の熱処理を行う。これにより、アモルファスシリコンを結晶化させる。このようにして、ガラス基板上に多結晶シリコン膜が形成された半導体処理基板1が作製される。
上記のように作製された半導体処理基板1に対する熱処理を図2と図3に基づいて説明する。図2は、処理容器3内を所定のガスと水蒸気の混合雰囲気にして熱処理を行う場合の熱処理の手順を示すフローチャートである。図3は、処理容器3内に水蒸気のみを供給して熱処理を行う場合の熱処理の手順を示すフローチャートである。
図2の場合を説明する。
まず、ステップS1において、上記のように複数回の実験を行い処理容器3内の水蒸気分圧と調節手段の上記作動量との関係を求める。
次に、ステップS2において、熱処理時における処理容器3内の水蒸気分圧を上記入力部により制御装置17に入力設定する。
その後、ステップS3において、複数の半導体処理基板1を処理容器3内のカセット3aにセットされたことが確認され、例えば、オペレータが上記入力部を用いて熱処理開始指令を制御装置17に入力する。これにより、熱処理が開始される。
続いて、ステップS4において、制御装置17は、入力設定された水蒸気分圧と上記関係に基づいて、上記調節手段の作動量を制御する。これにより、処理容器3内の水蒸気分圧を、入力設定された水蒸気分圧値にすることができる。
次に、ステップS5において、熱処理が開始されてから所定の処理時間が経過したかを制御装置17が判断する。所定の処理時間が経過した場合には、制御装置17は、熱処理装置10の上述した各構成機器(水蒸気供給装置5、加熱装置5e,15など)に対して、熱処理を終了させるための動作指令を行う。これにより、熱処理を終了させる。一方、所定の処理時間が経過していない場合には、制御装置17は、熱処理のための各機器の動作を継続させる。
図3の場合を説明する。
まず、ステップS11において、処理容器3内の水蒸気圧力値を、上記入力部により制御装置17に入力設定する。
次に、ステップS12において、複数の半導体処理基板1を処理容器3内のカセット3aにセットされたことが確認され、例えば、オペレータが上記入力部を用いて熱処理開始指令を制御装置17に入力する。これにより、熱処理が開始される。
続いて、ステップS13において、処理容器3の内部に水蒸気のみが水蒸気供給装置5により供給される。
その後、ステップS14において、制御装置17は、上記圧力センサによる測定値と入力設定された水蒸気圧力値とを比較し、両者が異なっている場合には、処理容器3内の水蒸気圧力が入力設定された水蒸気圧力値になるように、上記調節手段の作動量を制御する。
次に、ステップS15において、熱処理が開始されてから所定の処理時間が経過したかを制御装置17が判断する。所定の処理時間が経過した場合には、制御装置17は、熱処理装置10の上述した各構成機器(水蒸気供給装置5、加熱装置5e,15など)に対して、熱処理を終了させるための動作指令を行う。これにより、熱処理を終了させる。一方、所定の処理時間が経過していない場合には、ステップS14に戻る。
次の2通りの条件で水蒸気熱処理を行い、熱処理後及び熱処理前の多結晶シリコンのライフタイムを測定した。第1の条件では、処理容器3内の水蒸気分圧を0.2MPaとし、処理容器3内の温度を600℃にして、1時間の熱処理を行った。第2の条件では、処理容器3内の水蒸気分圧を1.0MPaとし、処理容器3内の温度を600℃にして熱処理を1時間行った。なお、処理容器3内に供給される水蒸気以外のガスを窒素ガスとした。
また、これら半導体処理基板1は、上述のように、PECVD法により厚さ50nmのアモルファスシリコンを無アルカリガラス基板上に形成し、その後、RTA法により、このガラス基板に対し680℃で10分間の熱処理を行い、引き続いて、710℃で10分の熱処理を行って得られたものである。
なお、ライフタイムの測定法は、μPCD法を用いて行った。μPCD法を簡単に説明すると次の通りである。半導体処理基板にマイクロ波を照射すると、過剰キャリアが生成され、これらキャリアが再結合により消滅する。マイクロ波の反射率は、過剰キャリア数の減少に対応して変化する。μPCD法は、マイクロ波の反射率の時間変化などからライフタイムを測定する方法である。この実験例では、μPCD法による評価値を、検出器で観測されるマイクロ波の反射を示す検知器の出力電圧とした。
第1の条件で水蒸気熱処理が行われた半導体処理基板1について、少数キャリアのライフタイムを測定したところ、283.7mVであった。
一方、第2の条件で水蒸気熱処理が行われた半導体処理基板1について、少数キャリアのライフタイムを測定したところ、301.8mVであった。
また、比較のため、上記PECVD法とRTA法により作製された上記半導体処理基板1に上記熱処理を行わずに、結晶化直後の半導体処理基板1の少数キャリアのライフタイムを測定した。その計測値は、81.8mVであった。
上記結果を比較すると、水蒸気熱処理を行った半導体処理基板1は、結晶化直後の半導体処理基板1よりも、ライフタイムが3倍強も長くなっている。
また、第1条件と第2条件の場合を比較すると、水蒸気分圧を0.2MPaから1.0MPaに上昇させると、ライフタイムが約6%長くなっている。
従って、処理容器3内の水蒸気分圧を常圧(約0.1MPa)よりも高くした熱処理の結果、半導体処理基板1のライフタイムが大幅に向上していることが分かる。また、処理容器3内の水蒸気分圧を上昇させることで、ライフタイムが一層向上されることが分かる。
上述のライフタイム測定の場合、高圧水蒸気処理により多結晶シリコン膜表面が酸化され、この酸化シリコンとこの下部にあるシリコン部分との界面に存在するダングリングボンドがライフタイム測定に影響を与えることが考えられる。そのため、水蒸気熱処理を行った後、シリコン酸化膜をエッチングしてシリコン部分を露出させ、改めてライフタイムの測定を行った。
その結果は、上記第1条件の場合では、ライフタイムは251.7mVであった。一方、上記第2条件の場合には、ライフタイムは、273.7mVであった。
この結果と、上記熱処理を行わない場合とを比較すると、熱処理を行った半導体処理基板1は、結晶化直後の半導体処理基板1よりも、ライフタイムが大幅に長くなっている。
また、第1条件と第2条件の場合を比較すると、水蒸気分圧を0.2MPaから1.0MPaに上昇させると、ライフタイムが約8%長くなっている。
従って、シリコン酸化膜を除去した場合においても、処理容器3内の水蒸気分圧を常圧(約0.1MPa)よりも高くした熱処理の結果、半導体処理基板1のライフタイムが大幅に向上していることが分かる。また、処理容器3内の水蒸気分圧を上昇させることで、ライフタイムが一層向上されることが分かる。
本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。
例えば、上記実施形態では、多結晶シリコン膜が表面に形成された半導体処理基板1に対して熱処理を行ったが、本発明はこれに限定されない。本発明は、シリコンなどの半導体を表面又は内部に含む他の半導体処理基板に適用することもできる。
また、本発明によると、調節手段及びその作動量は、上記実施形態で説明したもの以外の適切な手段及びその作動量であってもよい。
本発明の実施形態による熱処理装置の構成を示す縦断面図である。 処理容器内を所定のガスと水蒸気の混合雰囲気にして熱処理を行う場合の熱処理の手順を示すフローチャートである。 処理容器内に水蒸気のみを供給して熱処理を行う場合の熱処理の手順を示すフローチャートである。
符号の説明
1 半導体処理基板
3 処理容器
3a カセット
3b 上部容器
3c 下部容器
5 水蒸気供給装置
5a 水供給配管
5b 蒸気発生器
5c 水供給ポンプ
5d 蒸気供給配管
5e 蒸気発生用加熱装置
7 第1のガス供給装置
7a 第1配管
7b 第2配管
7c,7d 流量制御弁
7e,7f 圧力制御弁
9 排気管
9a,9d 分岐管
9b 流量制御弁
9c 圧力制御弁
9e 真空ポンプ
10 熱処理装置
11 圧力容器
11a 上部容器
11b 下部容器
15 加熱装置
17 制御装置
19 第2のガス供給装置
19a 昇圧ガス配管
19b 流量制御弁
19c 圧力制御弁


Claims (6)

  1. 半導体処理基板に対して熱処理を行う熱処理装置であって、
    内部に熱処理対象の半導体処理基板が配置され、熱処理時に内部が加熱される処理容器と、
    前記処理容器の内部を加熱する加熱装置と、
    前記処理容器の内部に水蒸気を供給する水蒸気供給装置と、を備え、
    熱処理時における処理容器内の水蒸気分圧が常圧より高くなるように、前記水蒸気供給装置は水蒸気を前記処理容器の内部に供給する、ことを特徴とする熱処理装置。
  2. 前記処理容器の内部に所定のガスを供給するガス供給装置と、
    その作動量に応じて前記処理容器内の水蒸気分圧を調節する調節手段と、
    該調節手段の作動量を制御する制御装置と、を備え、
    該制御装置は、前記作動量と前記水蒸気分圧との関係を記憶した記憶部と、処理容器内の水蒸気分圧を入力設定できる入力部と、を有し、
    前記制御装置は、熱処理時において、入力された設定水蒸気分圧及び前記関係に基づいて、処理容器内の水蒸気分圧が入力設定圧力になるように、前記作動量を制御するように構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の熱処理装置。
  3. 熱処理時に前記処理容器の内部には水蒸気のみを供給するようになっており、
    その作動量に応じて前記処理容器内の水蒸気圧力を調節する調節手段と、
    該調節手段の作動量を制御する制御装置と、を備え、
    処理容器内の圧力を測定する圧力センサと、を備え、
    該制御装置は、処理容器内の設定圧力が入力可能になっており、熱処理時において、入力された設定圧力と圧力センサの測定値に基づいて、処理容器内の圧力が設定圧力になるように、前記作動量を制御する、ことを特徴とする請求項1に記載の熱処理装置。
  4. 半導体処理基板に対して熱処理を行う熱処理方法であって、
    半導体処理基板を処理容器内に配置するステップと、
    処理容器の内部を加熱するとともに、処理容器の内部に水蒸気を供給し、前記半導体処理基板に対して熱処理を行うステップと、を有し、
    前記熱処理を行うステップでは、処理容器内の水蒸気分圧を常圧よりも高い所定値にする、ことを特徴とする熱処理方法。
  5. 半導体処理基板に対して熱処理を行う熱処理方法であって、
    半導体処理基板を処理容器内に配置するステップと、
    処理容器の内部を加熱するとともに、処理容器の内部に水蒸気を供給し、前記半導体処理基板に対して熱処理を行うステップと、を有し、
    前記熱処理を行うステップでは、処理容器内の水蒸気分圧を常圧よりも高い所定値にした状態で熱処理を行い、これにより、半導体処理基板の少数キャリアのライフタイムを向上させる、ことを特徴とする熱処理方法。
  6. 請求項1に記載の熱処理装置の制御装置であって、
    前記熱処理装置は、前記処理容器の内部に所定のガスを供給するガス供給装置と、その作動量に応じて前記処理容器内の水蒸気圧力を調節する調節手段と、を備えており、
    該調節手段の作動量を制御するように構成されており、
    予め求めた前記作動量と前記水蒸気分圧との関係を記憶する記憶部と、
    処理容器内の水蒸気分圧を入力設定できる入力部と、を有し、
    熱処理時において、前記入力部による設定水蒸気分圧及び前記関係に基づいて、処理容器内の水蒸気分圧が前記設定水蒸気分圧になるように、前記作動量を制御するように構成されている、ことを特徴とする熱処理装置の制御装置。
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