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JP2007505065A - フィブロネクチンed−bに対する放射性ラベルされた抗体l19を用いての腫瘍脈管構造の標的化 - Google Patents

フィブロネクチンed−bに対する放射性ラベルされた抗体l19を用いての腫瘍脈管構造の標的化 Download PDF

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Abstract

本発明は、ヒトED-Bに結合する特異的結合メンバーであって、この特異的結合メンバーは76Br、77Br、123I、124I、131I 及び2llAtから成る群から選択された同位体によりラベルされており、そして抗体VHドメイン及び抗体VLドメインを含んで成る抗原−結合部位を含んで成り、ここで抗体VHドメインは、L19 VHドメイン、及びVH CDR1, VH CDR2及びVH CDR3を含んで成るVHドメインから成る群から選択され、前記VH CDR3が配列番号3のL19 VH CDR3であり、前記VH CDR1が任意には、配列番号1のL19 VH CDR1であり、そして前記VH CDR2が任意には、配列番号2のL19 VH CDR2であり;そして前記抗体VLドメインが、L19 VLドメイン、並びにVL CDR1, VL CDR2及びVL CDR3を含んで成るVLドメインから成る群から、任意には選択され、前記VL CDR3が配列番号6のL19 VL CDR3であり、前記VL CDR1が任意には、配列番号4のL19 VL CDR1であり、そして前記VL CDR2が任意には、配列番号5のL19 VL CDR2であり;前記L19 VHドメインの配列及びL19 VLドメインの配列がPiniなど. (1998) J. Biol. Chem. 273: 21769-21776に開示されており;ここで前記特異的結合メンバーは、εS2−CH4に融合されそして二重体化された抗体VLドメイン及び抗体VHドメインを含んで成るミニ−免疫グロブリンを含んで成るか、又は完全なIgG1抗体分子を含んで成り;また、そのような特異的結合メンバーの使用方法及び使用に関する。

Description

本発明は、放射性ラベルされた抗体分子を用いての腫瘍脈管系の標的化に関する。特に、本発明は、フィブロネクチンのED-Bを結合し、そして腫瘍標的化において示される有用なものである抗体分子の使用に関する。本発明の異なった態様においては、抗体分子は異なった分子型で使用される。ある態様においては、抗体分子はヒトIgG1を包含する。他の態様においては、抗体分子は、例えば共有結合されたダイマーを形成するそのCOOH末端にシステインを天然において含む分泌Igイソフォームの不変CH4ドメインにscFv抗体分子を融合することによって生成されるミニ−免疫グロブリンである。血液クリアランス速度、インビボ安定性及び他の好都合な性質は、本発明の異なった観点に及び態様で、例えば腫瘍標的化において使用される。異なった抗体分子型の異なったインビボ挙動性が、臨床学的必要性及び疾病に依存して、異なった診断及び/又は治療目的のために開発され得る。
治療剤としてのそれらの莫大な可能性にもかかわらず、非ヒト起源のモノクローナル抗体(mAb)は、それらの免疫原性(1.Shawlertなど., 1985; 2. Millerなど., 1983)、良好でない薬物力学的性質(3. Hakimiなど., 1985; 2. Millerなど., 1983)、及び補強エフェクター機能の無効率(5. Riechmannなど., 1988; 6. Junghensなど., 1990)の結果として臨床学的試験において不良に実施されて来た。ファージ表示ライブラリーからのヒト抗体のフラグメントの単離の最近の予測(7.McCaffertyなど., 1990; 8. Lowmanなど., 1991; 再考のためには、9. Nilsonnなど., 2000及び10.Winterなど., 1994を参照のこと)は、それらの問題を超越し、すなわち主要疾病を処理するためのそれらの試薬の使用の研究を復活し、そしてそれらの使用の希望を再復活する。実際、それらの分子は、新規診断及び治療用手段のための理想的構築ブロックとして作用すべきである(11. Reichert., 2001; 12. Hulsなど., 1991)。さらに、それらの抗体は、それらの臨床学的使用のために、少なくとも所望には、必要でなければ、ピコモル範囲で親和性に達するために“成熟され”得る(13. Piniなど., 前記)。
それにもかかわらず、診断又は治療剤の選択的供給のためへのヒト抗体フラグメントの臨床学的適用は、高い特異的標的物を必要とする。腫瘍の場合、最も普及している標的物は、通常、豊富でも又は安定もしていない細胞表面抗原である。それにもかかわらず、腫瘍進行の間、腫瘍細胞を取り囲む微小環境は、抗体に基づく腫瘍治療のための標的物を提供する“腫瘍環境”を生成する広範囲な修飾を受ける(14.Neri and Zardi., 1998)。実際、変更された腫瘍微小環境がそれ自体、標的化され得る癌である概念が、ますます、コンセンサスを得ている。従って、腫瘍微小環境に治療剤を効果的に供給できる分子が、癌治療のための有望且つ腫瘍な新規手段を提供する(15. Bissel., 2001; 14. Neri and Zardi., 1998)。
フィブロネクチンは、種々の正常組織及び体液において広く発現される細胞外マトリックス(ECM)成分である。異なったFNイソフォームが、FNプレ−mRNAの選択的スプライシング、すなわちサイトカイン及び細胞外pHにより変調される工程により生成され得る(16. Balznなど., 1988; 17. Carnemollaなど., 1989; 18. Borsiなど., 1990; 19. Borsiなど., 1995)。第III 型外反復体B(EIII B)としても知られている完全な第III 型反復体ED-Bは、FN分子に完全に包含されるか又は除外され得る(20. Zardi など., 1987)。ED-Bは、異なった種において高く保存され、この時点で研究されたすべての哺乳類(ヒト、ラット、イヌ)において100%相同性及び鶏において類似するドメインと96%相同性を有する。
ED-Bを含むFNイソフォーム(B-FN)は、正常な成人組織においては、免疫組織化学的には検出されず、但し、生理学的改造を受ける組織(例えば、子宮内膜及び卵巣)及び創傷治癒の間の組織を除く(17.Carnemollaなど., 1989; 21. ffrench-Constant, など., 1989)。対照的に、腫瘍及び胎児組織におけるその発現は高い(17.Cornemollaなど., 1989)。さらに、B-FNが脈管形成のマーカーであり(22.Castellaniなど., 1994)、そして腫瘍組織に挿入する内皮細胞がB−FNを含むECM繊維に沿って移動することが示されている(23.Tarliなど., 1999)。
B-FNイソフォームに対して特異的なヒト組換え抗体scFv (L19) (13. Piniなど., 1998)を用いての腫瘍血管系の選択的標的化が記載されている(24.Carnemolla など., 1996: 23. Tarliなど., 99; 25. Vitiなど., 99; 26. Neriなど., 97; 27. Demartisなど., 2001)。前記抗体は、腫瘍血管系への治療用放射性核種又は毒性剤の選択的供給を必要とする、インビボ診断(イムノシンチグラフィー)及び治療的アプローチに使用され得る。さらに、Birchlerなど., (28, 1999)は、感光剤に化学的に結合されるseFv (L19)が、脈管形成ウサギ角膜モデルの新しく形成されて血管において選択的に蓄積し、そしてほぼ赤外線による刺激の後、眼の新生血管系の完全且つ選択的閉塞に介在することを示している。
より最近には、Nilssonなど. (29, 2001) は、組織因子の細胞外ドメインとのscFc (L19)の免疫接合体が種々のタイプのネズミ腫瘍モデルにおける選択的梗塞に介在することを報告している。さらに、scFc (L19)及びIL-2又はIL-12の融合タンパク質は、それらの2種のサイトカインの増強された治療効能を示している(30. Halinなど., ; 31. Carnemollaなど., 2002)。また、病理学的脈管形成の病変、例えば癌の処理への融合体の使用について、WO01/62298号を参照のこと。最終的に、L19はマウス及びヒトをED-Bと均等に良く反応するので、それは予備−臨床学的及び臨床学的研究の両者のために使用され得る。
また、PCT/GB97/01412号、PCT/EP99/03210号、PCT/EP01/02062号及びPCT/IB01/00382号も参照のこと。
異なった抗体型が、腫瘍標的化におけるインビボ安定性、クリアランス及び性能に関して種々の挙動性を示している(32.Wuなど., 2000)。ミニ−免疫グロブリン又は小免疫タンパク質(SIP)が記載されている(33.Liなど., 1997)。
本発明はまた、異なった型、すなわちscFv、ミニ−免疫グロブリン及び完全なIgG1でのL19ヒト抗体分子のインビボ生分布の調製、特徴化及び調査、並びに放射性同位体によるラベリングに基づかれている。
本発明は、76Br、77Br、123I、124I、131I 及び2llAtから成る群から選択された1又は複数の同位体により放射性ラベルされる、フィブロネクチンのヒトED-Bを結合する特異的結合メンバーに関する。本発明はまた、そのような特異的結合メンバーの生成方法、及び診断及び治療用途へのそれらの使用を提供する。
本発明の特異的結合メンバーは、動物実験において好ましい性質、例えば赤色骨髄に比較して、腫瘍に供給される高い用量、及び高い腫瘍蓄積を示した。
1つの観点においては、本発明は、フィブロネクチンのヒトED-Bを結合し、そしてL19 VHドメイン及びVLドメイン、任意には、L19 VLドメインを含んで成る特異的結合メンバーを提供し、ここで前記特異的結合メンバーは、εS2-CH4に融合されそして二量体化された前記抗体ドメインVL及び抗体VHドメインを含んで成るミニ−免疫グロブリンを含んで成るか、又は完全なIgG1抗体分子を含んで成り、そして前記特異的結合メンバーは、76Br、77Br、123I、124I、131I 及び2llAtから選択された同位体により放射性ラベルされる。好ましい、放射性同位体は、123I又は131I、及び最も好ましくは131Iである。
放射性ラベル又は放射性ラベルされた分子は、例えばチロシン、リシン又はシステイン残基でラベルされ得る特異的結合メンバーに結合され得る。
L19 VHドメイン及びL19 VLドメイン配列は、Piniなど. (1998) J. Biol. Chem. 273: 21769-21776に説明されており、それらの配列は、本明細書において説明されているかのように、引用により十分に本明細書に組み込まれる。
一般的に、VHドメインは、抗体抗原結合部位を提供するためにVLドメインと結合される。好ましい態様においては、L19 VHドメインはL19 VLドメインと対合され、その結果、L19 VH及びVLドメインの両者を含んで成る抗体抗原結合部位が形成される。他の態様においては、L19 VHは、L19 VL以外のVLドメインと対合される。L鎖混乱は、当業界において十分に確立されている。
1又は複数のCDRがL19 VH又はVLドメインから取られ、そして適切な骨格に組み込まれ得る。これはさらに下記に論じられている。L19 VH CDR1, 2及び3は、それぞれ配列番号1,2及び3で示されている。L19 VL CDR1, 2及び3は、それぞれ配列番号1,2及び3で示されている。
好ましい態様においては、特異的結合メンバーは、L19−SIP、最も好ましくは123I−ラベルされたL19−SIP(本明細書においては、I−123−L19 −SIPとして言及される)、又は131I−ラベルされたL19−SIP(本明細書においては、I−123−L19−SIPとして言及される)、又は131I−ラベルされたL19−SIP(本明細書においては、I−131−L19−SIPとして言及される)である。
それらの配列は本明細書に示されており、そしてED-Bのための特異的結合メンバーに使用され得る、VH及びVLドメイン及びCDRの変異体は、配列変更又は突然変異誘発及びスクリーニングの方法により得られる。
それらの配列が本明細書に特異的に開示されている、VH及びVLドメインのいずれかの種々のドメインアミノ酸配列変異体が、論じられるように、本発明に従って使用され得る。特定の変異体は、1又は複数のアミノ酸配列変更(アミノ酸残基の付加、欠失、置換及び/又は挿入)、たぶん約20個以下のアミノ酸配列変更、約15個以下のアミノ酸配列変更、約10個以下のアミノ酸配列変更、又は約5個以下、4,3,2又は1個のアミノ酸配列変更を包含することができる。変更は、1又は複数の骨格領域及び/又は複数のCDRにおいて行われ得る。
本発明の特異的結合メンバーは、ED-Bを結合し、そしてL19 VHドメイン及びL19 VLドメインから形成される抗原−結合部位を含んで成る特異的結合メンバーと、抗原への結合のために競争するメンバーであり得る。結合メンバー間の競争は、インビトロで、例えばELISAを用いて、及び/又は同じエピトープ又はオーバーラッピングエピトープを結合する特異的結合メンバーの同定を可能にするために、他の標識されていない結合メンバーの存在下で検出され得る1つの結合メンバーに対する特異的レポーター分子を標識することによって、容易にアッセイされ得る。
従って、本発明のさらなる観点は、ED-Bに結合するためにL19と競争するヒト抗体抗原−結合部位を含んで成る特異的結合メンバーを使用する。
本発明の特異的結合メンバーは、少なくともL19の親和性を有するED-Bを結合することができ、異なった特異的結合メンバーの結合親和性が適切な条件下で比較される。
抗体配列の他に、本発明の特異的結合メンバーは、抗原を結合する能力の他にもう1つの機能的特徴の分子を付与するために、例えばペプチド又はポリペプチドを形成する他のアミノ酸、例えば折りたたまれたドメインを含むことができる。本発明の特異的結合メンバーは、検出できるラベルを担持することができ、又は毒素又は酵素に接合され得る(例えば、ペプチジル結合又はリンカーを通して)。
病理学的脈管形成の障害又は病巣の処理においては、本発明の特異的結合メンバーは、毒性分子、例えばインターロイキン−2(IL-2)、ドキソルビシン、インターロイキン−12(IL-12)、インターフェロン−γ(IFN-γ)、腫瘍壊死因子α(TNFα)及び組織因子(好ましくは、切断された組織因子、例えば残基1〜219)から選択され得る殺生物性又は細胞毒性分子に接合され得る。例えば、WO01/62298号を参照のこと。
本発明の特異的結合メンバーは、ヒト又は動物身体の処理又は診断方法、例えば有効量の本発明の特異的結合メンバーを、ヒト患者に投与することを含んで成る、ヒト患者における疾病又は障害の処理(予防的処理を包含する)方法に使用され得る。好ましくは、本発明の特異的結合メンバーは、非経口投与により患者に投与される。本発明に従って処理できる病状は、腫瘍、特に固形腫瘍、及び病理学的脈管形成の他の病巣、例えばリウマチ様関節炎、糖尿病網膜症、年齢関連の黄斑変性及び老人性血管腫を包含する。
特異的結合メンバーは、 76Br、77Br、123I、124I、131I 及び2llAtから成る群から選択された同位体により放射性ラベルするために、及び放射性診断及び放射性療法への続く使用のために適切である。
さらなる観点は、 76Br、77Br、123I、124I、131I 及び2llAtから成る群から選択された放射性同位体により特異的結合メンバーをラベリングすることを含んで成る、本発明の特異的結合メンバーの生成方法を提供する。
特異的結合メンバーを直接的放射性ラベルするために、分子中のチロシン成分が標的化され得る。この特定の方法においては、ハロゲン化物、例えばBr-、I-、At-が、適切な酸化剤、例えばIodogen(商標)(被覆された管)、ヨード−ビーズ、クロラミン−T(N−クロロ−p−トルエンスルホンアミドのナトリウム塩)等により、活性医薬成分(API)の存在下で酸化される。
例えば臭素、ヨウ素又はアスタチンによる間接的なラベリングは、例えば安息香酸誘導体、Bolton−Hunter誘導体、ベンゼン誘導体、等に由来する二官能価ハロゲンキャリヤーをプレ−ラベリングすることにより行われ得る。キャリヤーは、リシン残基のε−アミン基又はAPIのN−末端に接合される活性化された種に転換され得る。この間接的な方法はまた、システイン成分のスルフヒドリル基でヘプチド化合物を、化学選択的に放射性ラベルするための合成路を提供する。システイン架橋された分子が最初に、適切な還元剤、例えばハロゲンキャリヤーと反応することができる遊離SH−基を生成する、塩化錫(II)、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)により還元され得る。結合のための官能基として、マレイミド及びα−ブロモアセトアミド誘導体が使用され得る。
本発明の特異的結合メンバーの生成方法は、その特異的結合メンバーをラベリングする前、その特異的結合メンバーをコードする核酸を発現することを含んで成る。従って、初期段階として、特異的結合メンバーの生成方法は任意には、コード核酸、すなわち特異的結合メンバーをコードする配列を含んで成る核酸からの発現を引起すか又はそれを可能にすることを含んで成る。そのような方法は、前記特異的結合メンバーの生成のための条件下で宿主細胞を培養することを含んで成る。
生成方法は、生成物の単離及び/又は生成の段階を包含する。特異的結合メンバーは、核酸からの発現、及び/又は宿主細胞からの回収に続いて、単離され、そして/又は精製され得る。単離及び/又は精製は、ラベリングの前に行われ得る。他方では、又はさらに、特異的結合メンバーは、ラベリングの後、単離され、そして/又は精製され得る。
生成方法は、少なくとも1つの追加の成分、例えば医薬的に許容できる賦形剤を含む組成物中に生成物を配合することを包含する。従って、(ラベルされた)特異的結合メンバーは、少なくとも1つの追加の成分、例えば医薬的に許容できる賦形剤を含む組成物中に配合され得る。
本発明のそれらの及び他の観点は、下記に詳細に記載される。
用語法
特異的結合メンバー
これは、お互いに対して結合特異性を有する1対の分子のメンバーを記載する。特異的結合対のメンバーは、天然において誘導されるか、又は完全に又は部分的に合成的に生成され得る。前記分子対の1つのメンバーは、特異的に結合し、そして従って、前記分子対の他のメンバーの特定の空間的及び極性構成に対して相補的である、その表面上の領域、又はキャビティーを有する。従って、前記対メンバーは、お互いに対して特異的に結合する性質を有する。前記特異的対のタイプの例は、抗原−抗体、ビオチン−アビジン、ホルモン−ホルモン受容体、受容体−リガンド、酵素−基質である。本出願は、抗原−抗体型反応に関する。
抗体分子
これは、天然であるか、又は一部又は完全に合成的に生成されるかどうかの免疫グロブリンを記載する。この用語はまた、抗体結合ドメインを含んで成るいずれかのポリペプチド又はタンパク質も包含する。抗原結合ドメインを含んで成る抗体フラグメントは、例えばFab, scFv, Fv, dAb, Fd及びダイアボディー(diabody)である。本発明は、IgG1抗体分子、及び開示されるようなεS2−CH4を含んで成るミニ−免疫グロブリンに関する。
組換えDNA技法は、元の抗体分子の特異性を保持する他の抗体分子を、開始抗体分子から生成するために使用され得る。そのような技法は、異なった免疫グロブリンの不変領域又は、不変領域及び骨格領域に、抗体の免疫グロブリン不変領域又は相補性決定領域(CDR)をコードするDNAを導入することを包含する。例えば、EP-A-184187号、GB2188638A号又はEP-A-239400号を参照のこと。
抗体は多くの手段で修飾され得るので、用語“抗体分子”とは、必要とされる特異性を有する抗体抗原−結合ドメインを有するいずれかの特異的結合メンバー又は物質を包含するものとして解釈されるべきである。従って、この用語は、抗体フラグメント及び誘導体、例えば天然であろうと、又は完全に又は一部合成であろうと、免疫グロブリン抗原−結合ドメインを含んで成るいずれかのポリペプチドを包含する。従ってもう1つのポリペプチドに融合される、免疫グロブリン結合ドメイン又は同等物を含んで成るキメラ分子が包含される。キメラ抗体のクローニング及び発現は、EP-A-0120694号及びEP-A-0125023号に記載される。
抗原結合ドメイン
これは、抗原の一部又はすべてに対して特異的に結合し、そしてそれに対して相補的である領域を含んで成る抗体分子の一部を記載する。抗原が大きい場合、抗体は単に、抗原の特定部分(エピトープと呼ばれる)に結合することができる。抗原結合ドメインは、1又は複数の抗体可変ドメイン(例えば、VHドメインから成る、いわゆるFd抗体フラグメント)により供給され得る。好ましくは、抗原結合ドメインは、抗体L鎖可変領域(VL)及び抗体H鎖可変領域(VH)を含んで成る。
特異的
これは、特異的結合対の1つのメンバーがその結合パートナー以外の分子へのいずれの有意な結合も示さない状況を言及するために使用され得る。この用語はまた、例えば、抗原結合ドメインが多くの抗原により担持される特定のエピトープに対して特異的である場合にも適用でき、この場合、抗原結合ドメインも担持する特異的結合メンバーは、エピトープを担持する種々の抗原に結合することができるであろう。
含んで成る
これは一般的に、いわゆる1又は複数の特徴又は成分の存在を可能にすることを包含する意味で使用される。
単離された
これは、本発明の特異的結合メンバー又はそのような結合メンバーをコードする核酸が一般的に、本発明に従って存在するであろう状態を言及する。メンバー及び核酸は、それらが天然において供給される材料、例えばそれらの天然の環境、又はそれらがインビトロ又はインビボで実施される組換えDNA技法により調製される環境(例えば、細胞培養物)に見出される他のポリペプチド又は核酸を有さないか、又は実質的に有さないであろう。
メンバー及び核酸は、希釈剤又はアジュバンドと共に融合され、そしてさらに、実際的な目的のためには、単離され得、例えばメンバーは通常、イムノアッセイへの使用のためにマイクロタイタープレートを被覆するために使用される場合、ゼラチン又は他のキャリヤーと共に混合されるか、又は診断又は治療に使用される場合、医薬的に許容できるキャリヤー又は希釈剤と共に混合されるであろう。特異的結合メンバーは、天然において、又は異種真核細胞(例えば、CHO又はNSO(ECACC 85100503)のシステムによりグリコシル化され得るか、又はそれらは(例えば、原核細胞における発現により生成される場合)、グリコシル化されないままであり得る。
“実質的に”とは、本発明の適切なCDR、又はVH又はVLドメインが、配列が本明細書に示されている特定された領域と同一か又は高い類似性を有するであろうことを意味する。“高い類似性”とは、1〜5、好ましくは1〜4、例えば1〜3又は1又は2、又は3又は4個の置換がCDR、及び/又はVH又はVLドメインにおいて行われ得ることを意味する。
本発明のCDRを担持するための構造体は、一般的に、抗体H又はL鎖配列、又はその実質的な部分のものであり、ここでCDRは再配置された免疫グロブリン遺伝子によりコードされる天然に存在するVH及びVL抗体可変ドメインのCDRに対応する位置に位置する。免疫グロブリン可変ドメインの構造及び位置は、(Kabat, E. A. nado, Sequences of Proteins of Immunological Interest. 5th Edition. US Department of Health and Human Services. 1991、及びインターネット(http://immuno.bme.nwu.edu)上で現在入手できるその最新情報、又はいずれかの調査機関を用いて、“Kabat”を見出す)により決定され得る。
好ましくは、本明細書において実質的に示されるようなCDRアミノ酸配列は、ヒト可変ドメイン又はその実質的な部分においてCDRとして担持される。本明細書において実質的に示されるようなL19 VH CDR3/及び/又はL19 VL CDR3配列は、本発明の好ましい態様に使用され得、そして好ましくは、それらの個々は、場合によって、ヒトH又はL鎖可変ドメイン、又はその実質的な部分において、CDR3として担持される。
免疫グロブリン可変ドメインの実質的な部分は、少なくとも3種のCDR領域、及びそれらの介在性骨格領域を含んで成るであろう。好ましくは、前記部分はまた、第1及び第4骨格領域のいずれか又は両者の少なくとも約50%を包含し、前記50%は、第1骨格領域のC−末端の50%及び第4骨格領域のN−末端の50%である。前記可変ドメインの実質的部分のN−末端又はC−末端での追加の残基は、天然に存在する可変ドメイン領域と通常関連しないそれらの残基であり得る。例えば、組換えDNA技法により製造される本発明の特異的結合メンバーの構成は、クローニング又は他の操作段階を促進するために導入されるリンカーによりコードされるN−又はC−末端残基の導入をもたらすことができる。他の操作段階は、追加のタンパク質配列、例えば免疫グロブリンH鎖、他の可変ドメインは、又は下記により詳細に論じられるようなタンパク質ラベルに、本発明の可変ドメインを連結するためのリンカーの導入を包含する。
本発明のIgG1抗体分子においては、VLドメインは、ヒトCκ又はCλ鎖、好ましくはCκ鎖を包含する抗体L鎖不変ドメインに、そのC−末端で結合され得る。
76Br、77Br、123I、124I、131I 及び/又は2llAtによりラベルされる他に、本発明の特異的結合メンバーは、第2の検出可能な又は官能価ラベルによりラベルされ得る。検出可能ラベルは、下記に記載されており、そして放射性ラベル、例えばテクネチウム、インジウム、イットリウム、銅、ルテチウム又はレニウムの放射性同位体、特に、94mTc, 99mTc, 186Re, 188Re, 111In, 86Y, 88Y, 177Lu, 64Cu 及び67Cuを包含し、それらは、本発明に記載されるように、抗体イメージングの業界において知られている従来の化学を用いて、本発明の抗体に結合され得る。使用され得る他の放射性同位体は、203Pb, 67Ga, 68Ga, 43Sc, 47Sc, 110mIn, 97Ru, 62Cu, 68Cu, 86Y, 88Y, 90Y, 121Sn, 161Tb, 153Sm, 166Ho, 105Rh, 177Lu, 72Lu 及び 18Fを包含する。
ラベルはまた、酵素ラベル、例えばホースラディッシュ ペルオキシダーゼを包含する。ラベルはさらに、化学成分、例えば特定の同起源の検出可能成分への結合を通して検出され得るビオチン、例えばラベルされたアビジンを包含する。
例として、ラベリングプロトコールは次の通りである:
特異的結合ドメインを直接的に放射性ラベルするためには、まず最初に、システイン架橋された分子が、適切な還元剤、例えば塩化錫(II)、又は同位体、例えばTc又はReと反応することができる遊離システインSH−基を生成するトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)により還元される。この特定の方法においては、本発明の発生機システムから得られるペルメタレート(permetalate)は、補助リガンド、例えば酒石酸ナトリウム及びAPI(詳細は下記実験セクションに提供される)の存在下で、還元剤、例えば塩化錫(II)により還元される。
インジウム、イットリウム、ランタニド又はテクネチウム及びレニウムによる間接的ラベリングは、好ましくは、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、シクロヘキシル1,2−ジアミン四酢酸(CDTA)、エチレングリコール−O、O’−ビス(2−アミノエチル)−N, N, N’, N’−二酢酸(HBED)、トリエチレンテトラアミン六酢酸(TTHA)、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−N, N’, N’’’−四酢酸(DOTA)、1,4,7−トリアザシクロノナン−N, N’, N’’−三酢酸(NOTA)、1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン−N, N’, N’’, N’’’−四酢酸(TETA)、メルカプトアセチルジグリシン(MAG2)、メルカプトアセチルトリグリシン(MAG3)、メルカプトアセチルグリシルシステイン(MAGC)、システイニルグリシルシステイン(CGC)由来のキレート化リガンドを、特異的結合メンバーのアミン又はチオール基のいずれかに予備−接合することによって行われ得る。
キレート化試薬は、適切なカップリング基、例えば活性エステル、マレイミド、チオカルバメート又はα−ハロゲン化されたアセトアミド成分を有する。キレート化リガンドを、アミン基、例えばリシン残基のε−NH2−基に結合するためには、L-19−SIP化合物のこれまでの還元は必要とされない。
特異的結合メンバーのラベリング方法は、76Br、77Br、123I、124I、131I 及び2llAtから成る群から選択された放射性同位体を含む、活性化された二官能価ハロゲンキャリヤーを、リシン残基又はN末端に、及び特異的結合メンバーのシステイン残基に接合することを含んで成る。前記方法は、ハロゲンキャリヤーを特異的結合メンバーのリシン又はシステイン残基に、又は特異的結合メンバーのN末端に接合することを含んで成る。(i)システイン残基、及び(ii)リシン残基、又はN末端のいずれか、又は両者が、本発明の同じ又は異なった放射性同位体によりラベルされ得る。
本発明の特異的結合メンバーは、ヒト又は動物対象、好ましくはヒトにおける診断又は処理方法に使用されるように企画される。特異的結合メンバーは特に、放射性療法及び放射性診断の方法への使用のために適切である。
従って、本発明のさらなる観点は、供給されるような特異的結合メンバーの投与を含んで成る処理方法、そのような特異的結合メンバーを含んで成る医薬組成物、及び授与のための薬剤の製造、例えば前記特異的結合メンバー及び医薬的に許容できる賦形剤を配合することを含んで成る、薬剤又は医薬組成物の製造方法へのそのような特異的結合メンバーの使用を提供する。
本発明の特異的結合メンバーが治療的有益性を提供するために使用され得る臨床学的徴候は、腫瘍、例えばいずれかの固形腫瘍、又は病理学的脈管形成の他の病巣、例えばリウマチ様関節炎、糖尿病網膜症、年齢関連の黄斑変性及び老人性血管腫を包含する。
本発明の特異的結合メンバーは、ヒト又は動物身体の処理方法、例えば有効量の本発明の特異的結合メンバーを、ヒト患者に投与することを含んで成る、ヒト患者における疾病又は障害の処理方法(予防処理を包含することができる)に使用され得る。好ましくは、処理は放射性療法である。本発明に従って処理できる病状は、本明細書の他の部分に論じられる。
本発明の特異的結合メンバーは、SPECTイメージング、PETイメージング及び治療に使用され得る。SPECTイメージングのための好ましい同位体は、123I及び131Iを包含する。PETのための好ましい同位体は、134Iである。131Iは、治療への使用のための好ましい同位体である。
イメージング及び治療のための1つの要素の異なった同位体の使用のために、それぞれの免疫接合体の生物分布は同一である。これは、対応する111In及び90Yラベルされた誘導体の生物分布が異なっているので、それぞれの90Y−ラベルされた治療誘導体の生物分布を予測するためにイメージングのために111In−ラベルされた誘導体を用いる他のアプローチに比較して、好都合である。Carrasquillo J. A. et al. (1999) J Nucl Med 40: 268-276を参照のこと。
従って、本発明のさらなる観点は、供給されるような特異的結合メンバーの投与を含んで成る処理方法、そのような特異的結合メンバーを含んで成る医薬組成物、及び授与のための薬剤の製造、例えば前記特異的結合メンバー及び医薬的に許容できる賦形剤を配合することを含んで成る、薬剤又は医薬組成物の製造方法へのそのような特異的結合メンバーの使用を提供する。
本発明によれば、提供される組成物は、個人に投与され得る。投与は好ましくは、“治療的有効量”で存在し、これは患者に有益性を示すのに十分である。そのような有益性は、少なくとも1つの徴候の少なくとも改善であり得る。投与される実際の量、及び投与の速度及び時間−経過は、処理されるものの性質及び重傷度に依存することであろう。処理の処方、例えば用量に対する決定、等は、一般的な実施者及び他の医者の責任内にある。抗体の適切な用量は、当業界において良く知られており;Ledermann J. A. など. (1991) Int J. Cancer 47: 659-664; Bagshawe K. D. など. (1991) Antibody, Immunoconjugates and Radiopharmaceuticals 4: 915- 922を参照のこと。
組成物は、単独で又は他の処理と結合して、処理されるべき病状に依存して、同時に又は連続的に投与され得る。
本発明の特異的結合メンバー、例えば抗体抗原−結合ドメインを含んで成るそれらは、処理の必要な患者に、いずれかの適切な経路を通して、通常、血流中への注射により、及び/又は処理されるべき部位、例えば腫瘍中に直接的に投与され得る。好ましくは、特異的結合メンバーは非経口投与される。正確な用量は、多くの要因、処理の経路、処理されるべき領域(例えば、腫瘍)のサイズ及び位置、抗体(例えば、完全なIgG1抗体分子、ミニ−免疫グロブリン分子)の正確な性質、及び抗体分子に結合されるいずれかの検出可能分子又は他の分子の性質に存在するであろう。典型的な抗体用量は、10〜50mgの範囲であろう。
これは、成人患者の単一処理のための用量であり、これは子供及び幼児のためには、比例的に調節され、そしてまた、分子量に比例して、他の抗体型のためにも調節され得る。処理は、医者の判断で、毎日、週2度、毎週又は毎月の間隔で反復され得る。
本発明の特異的結合メンバーは通常、特異的結合メンバーの他に少なくとも1つの成分を含んでなることができる医薬組成物の形で投与されるであろう。
従って、本発明の、及び本発明に従って使用するための医薬組成物は、活性成分の他に、医薬的に許容できる賦形剤、キャリヤー、緩衝液又は当業者に良く知られている他の材料を含んで成ることができる。そのような材料は非毒性であるべきであり、そして活性成分の効能を妨げるべきではない。キャリヤー又は他の材料の正確な性質は、経口であるか、又は注射、例えば静脈内であり得る、投与路に依存することであろう。
静脈内注射、又は疾病の部位での注射のためには、活性成分は、発熱物質を有さず、そして適切なpH、等張性及び安定性を有する、非経口的に許容できる水溶液の形で存在するであろう。当業者は、例えば、等張ビークル、例えばSodium Chloride Injection, Ringer’s Injection, Lactated Ringer’s Injection を用いて、適切な溶液を調製することができる。保存剤、安定剤、緩衝液、酸化防止剤及び/又は他の添加剤が、必要なら、含まれ得る。
組成物は、単独で、又は他の処理と組合して、処理されるべき病状に依存して、同時に又は連続的に投与され得る。他の処理は、適切な用量の苦痛軽減薬剤、例えば非ステロイド性抗−炎症性薬物(例えば、アスピリン、パラセタモール、イブプロフェン又はケトプロフェン)又は鎮静剤、例えばモノフィン又は抗−催吐剤の投与を包含する。
本発明は、本明細書において提供されるような特異的結合メンバーのED-Bへの結合を引き起こすか又は可能にすることを含んで成る方法を提供する。示されるように、そのような結合は、例えば特異的結合メンバー、又は特異的結合メンバーをコードする核酸の投与に続いて、インビボで生じるか、又はそれは、例えばELISA、ウェスターンブロット、免疫細胞化学、免疫沈澱又は親和性化学療法において、インビトロで生じ得る。
ED-Bへの特異的結合メンバーの結合の量は決定され得る。定量化は、診断的に興味あるものである試験サンプルにおける抗原の量に関連している。
サンプル上の抗体の反応性は、いずれかの適切な手段により決定され得る。ラジオイムノアッセイ(RIA)は、1つの可能性である。放射性ラベルされた抗原が、ラベルされていない抗原(試験サンプル)と共に混合され、そして抗体への結合を可能にされる。結合された抗原は結合されていない抗原から物理的に分離され、そして抗体に結合された放射性抗原の量が決定去れる。試験サンプルに抗原がより多く存在するほど、より少量の放射性抗原が抗体に結合するであろう。競争結合アッセイはまた、レポーター分子に結合される抗原又は類似体を用いて、非放射性抗原と共に使用され得る。レポーター分子は、スペクトル的に単離された吸光又は発光特徴を有する、蛍光色素、光体又はレザー色素であり得る。適切な蛍光色素は、フルオレセイン、ローダミン、フィコエリトリン及びテキサスレッドを包含する。適切な色素体色素は、ジアミノベンジジンを包含する。
他のレポーターは、高分子コロイド状粒子、又は粒状材料、例えば着色され、磁気性又は常磁性であるラテックスビーズ、及び検出可能シグナルによる視覚的観察、電子的検出、又は他方では、記録を直接的に又は関節的に引き起こすことができる、生物学的又は化学的活性剤を包含する。それらの分子は、色を進行するか又は変更せしめ、又は電気性質の変化を引き起こす反応を触媒する酵素であり得る。それらは分子的に励起性であり、その結果、エネルギー状態間の電子推移が特徴的なスペクトル吸光又は発光をもたらす。それらは、バイオセンサーと共に使用される化学的実在物を包含することができる。ビオチン/アビジン又はビオチン/ストレプタビジン、及びアルカリホスファターゼ検出システムが使用され得る。
個々の抗体−レポーター接合体により生成されるシグナルは、サンプル(正常及び試験)における適切な抗体結合の定量的絶対又は相対的データを誘導するために使用され得る。
本発明はさらに、抗原を接合し、そして実質的に本明細書に示されるようなアミノ酸を有するCDRを包含するVドメイン、好ましくは配列番号3のVH CDR3を含んで成るVHドメインを含んで成るいずれかの特異的結合ドメインと、ED-Bへの結合について競争する特異的結合メンバーにも関する。結合メンバー間の競争は、同じエピトープ又はオーバーラッピングエピトープを結合する特異的結合メンバーの同定を可能にするために、他の標識されていない結合メンバーの存在下で検出され得る1つの結合メンバーに対して特定のレポーター分子を標識することによって、インビトロで容易にアッセイされ得る。競争は、例えばCarnemollaなど. (24, 1996)に記載されるように、ELISAを用いて決定され得る。
上記で言及されたように、本発明の特異的結合メンバーの生成方法は、コード核酸を発現することを含んで成り、そして任意には、特異的結合メンバーの生成のための条件下で宿主細胞を培養することを包含することができる。本発明の又は本発明への使用のための特異的結合メンバーコードの核酸分子及びベクターは、例えばそれらの天然の環境から、実質的に純粋な又は均質な形で、又は核酸の場合、必要とされる機能を有するポリペプチドをコードする配列以外の起源の核酸又は遺伝子を有さないか又は実質的に有さない形で、単離され、そして/又は精製され得る。
本発明に従って使用される核酸は、DNA又はRNAを含んで成り、そして完全に又は部分的に合成であり得る。本明細書に示されるようなヌクレオチド配列に関する参照は、特定された配列を有するDNA分子を包含し、そして特に断らない限り、TがUにより置換されている特定された配列を有するRNA分子を包含する。
種々の異なった宿主細胞におけるポリペプチドのクローニング及び発現のためのシステムは、良く知られている。適切な宿主細胞は、菌類、哺乳類細胞、酵母及びバキュロウィルスシステムを包含する。異種ポリペプチドの発現のために当業界において入手できる哺乳類細胞系は、チャイニーズハムスター卵巣細胞、HeLa細胞、子供ハムスター腎臓細胞、NSOマウスメラノーマ細胞及び多くの他のものを包含する。通常の好ましい細菌宿主細胞は、E.コリである。
原核細胞、例えばE.コリにおける抗体及び抗体フラグメントの発現は、当業界において十分確立されている。再考のためには、例えばPluckthun,A. Bio/Technology 9: 545-551 (1991) を参照のこと。培養での真核細胞における発現はまた、特異的結合メンバーの生成のための選択として、当業者に入手できる。最近の再考のためには、例えばRef.M. E. (1993) Curr. Opinion Biotech. 4: 573-576; Trill J. J. など. (1995) Curr. Opinion Biotech. 6: 553-560を参照のこと。
適切な調節配列、例えばプロモーター配列、ターミネーター配列、ポリアデニル化配列、エンハンサー配列、マーカー遺伝子及び適切な場合、他の配列を含む適切なベクターが選択されるか又は構成され得る。ベクターは、プラスミド、ウィルス、例えばファージ、又は適切な場合、ファゲミドであり得る。さらなる詳細については、例えばMolecular Cloning : a Laboratory Manual: 3nd edition, Sambrook など. , 2001, Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照のこと。例えば核酸構造体の調製、突然変異誘発、配列決定、細胞中へのDNAの導入及び遺伝子発現、及びタンパク質の分析における核酸の操作のための多くの既知技法及びプロトコールは、Current Protocols in Molecular Biology, Second Edition, Ausubel など. eds. , John Wiley & Sons, 1992において、詳細に記載されている。Sambrookなど. 及びAusubelなど.の開示は、引用により本明細書に組み込まれる。
本発明の特異的結合メンバーの生成方法はさらに、コード核酸を宿主細胞中に導入することを含んで成る。導入は、いずれかの利用できる技法を用いることができる。真核細胞に関しては、適切な技法は、レトロウィルス又は他のウィルス、例えばワクシニア、又は昆虫細胞に関しては、バキュロウィルスを用いてのリン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE-デキストラン、エレクトロポレーション、リポソーム介在性トランスフェクション及びトランスダクション及びトランスダクションを包含する。細菌細胞に関しては、適切な技法は、バクテリオファージを用いての塩化カルシウム形質転換、エレクトロポレーション及びトランスフェクションを包含する。
導入に続いて、例えば宿主細胞を、遺伝子の発現のための条件下で培養することによって、核酸からの発現を引き起こすか又は可能にする。
1つの態様においては、本発明の核酸は、宿主細胞ゲノム(例えば、染色体)中に組み込まれる。組み込みは、標準の技法に従って、ゲノムによる組換えを促進する配列の包含により促進され得る。
本発明のさらなる観点及び態様は、次の実験例示を包含する本発明の開示として当業者の明らかになるであろう。本発明の特異的結合メンバーの合成及びラベリングのための方法は、次の例に十分に例示される。それらの例は、例示的であって、本発明を制限するものではない。本明細書に言及されるすべての記録は、引用により本明細書に組み込まれる。
本発明の観点及び態様の実験的例証
1.本発明の特異的結合メンバーの調製及び特徴化
次の例は、放射性ラベルされたペプチド化合物L19-SIPを使用する。
1.1:I−131−L19−SIPの合成(クロラミン−T方法)
230μlのPBS(0.2MのPBS、pH7.4)中、200μgのL19−SIPを、反応バイアルに配置し、185MBqの[131I]NaIと共に混合し、そして0.2MのPBS(pH7.4)中、新しく調製されたクロラミン−T(2mg/ml)の溶液30μlと反応せしめた。1分後、Na2S2O5の溶液(0.2MのPBS中、10mg/ml、pH7.4)50μlを添加した。131I−ラベルされたL19−SIPを、PBS中、0.5%ウシ血清アルブミン5mlによりプレ−ブロックされたNAP−5カラム(Amershom, 溶離剤:PBS)を用いてのゲル−クロマトグラフィーにより精製した。
放射性化学的収率: 45.7%
放射性化学的純度: 88.3%(SES−PAGE)
比活性: 31.7MBq/nモル
免疫反応性: 76%
1.2:I−131−L19 −SIPの合成(ヨードゲン方法)
800μlのPBS(0.2MのPBS, pH7.4)中、800μgのL19−SIP及び500MBqの[131I]NaIを混合し、そして反応バイアル(ヨードゲン管、Pierce Inc.)に配置した。その混合物を、室温で30分間にわたって軽く振盪した。131I−ラベルされたL19−SIPを、PBS中、0.5%ウシ血清アルブミン5mlによりプレ−ブロックされたNAP−5カラム(Amershom, 溶離剤:PBS)を用いてのゲル−クロマトグラフィーにより精製した。
放射性化学的収率: 93.2%
放射性化学的純度: 91.1%(SES−PAGE)
比活性: 46.6MBq/nモル
免疫反応性: 78%
1.3:I−123−L19−SIPの合成(ヨードゲン方法)
230μlのPBS(0.2MのPBS, pH7.4)中、200μgのL19−SIP及び200MBqの[123I]NaIを混合し、そして反応バイアル(ヨードゲン管、Pierce Inc.)に配置した。その混合物を、室温で30分間にわたって軽く振盪した。123I−ラベルされたL19−SIPを、PBS中、0.5%ウシ血清アルブミン5mlによりプレ−ブロックされたNAP−5カラム(Amershom, 溶離剤:PBS)を用いてのゲル−クロマトグラフィーにより精製した。
放射性化学的収率: 81.6%
放射性化学的純度: 89.6%(SES−PAGE)
比活性: 61.2MBq/nモル
免疫反応性: 84%
1.4:I−124−L19−SIPの合成(ヨードゲン方法)
230μlのPBS(0.2MのPBS, pH7.4)中、200μgのL19−SIP及び50MBqの[124I]NaIを混合し、そして反応バイアル(ヨードゲン管、Pierce Inc.)に配置した。その混合物を、室温で30分間にわたって軽く振盪した。124I−ラベルされたL19−SIPを、PBS中、0.5%ウシ血清アルブミン5mlによりプレ−ブロックされたNAP−5カラム(Amershom, 溶離剤:PBS)を用いてのゲル−クロマトグラフィーにより精製した。
放射性化学的収率: 84.5%
放射性化学的純度: 89.6%(SES−PAGE)
比活性: 22.8MBq/nモル
免疫反応性: 86%
1.5:(3−(4−ヒドロキシ−3−[ 131 I]ヨード−フェニル)−プロピオネート)−L19−SIPの合成
500μgの(3−(4−ヒドロキシ−フェニル)−N−(スルホネート−スクシンイミジル)プロピオネート)を、1mlのDMSOに溶解した。10μlのクロラミン−T(PBS中、5mg/ml)を、74MBqの[131I]NaIと共に混合し、15μlのPBS(0.2M、pH7.4)により中和した。1μlの(3−(4−ヒドロキシ−フェニル)−N−(スルホネート−スクシンイミジル)プロピオネート)溶液を、クロラミン−T/[131I]NaI溶液に添加し、そしてその混合物を1分間、反応せしめた。その反応を、Ma2S2O5の溶液(0.2M(pH7.4)のPBS中、10mg/ml)40μlの添加により停止し、続いてすぐに、230μlの硼酸緩衝液(0.2MのPBS, pH8.5)中、200μgのL19−SLPを添加した。
(3−(4−ヒドロキシ−3−[131I]ヨード−フェニル)−プロピオネート)−L19−SIPを、PBS中、0.5%ウシ血清アルブミン5mlによりプレ−ブロックされたNAP−5カラム(Amershom, 溶離剤:PBS)を用いてのゲル−クロマトグラフィーにより精製した。
放射性化学的収率: 37.2%
放射性化学的純度: 94.6%(SES−PAGE)
比活性: 10.3MBq/nモル
免疫反応性: 69%
1.6:I−131−L19−SIPのMIRD計算
腫瘍担持のマウスにおける生分布データに基づいて、I−131ラベルされたL19−SIPの吸収された用量を、MIRD形式により計算することができた。生物運動モデリングを、ヒトグリア細胞(U251)担持のマウスにおけるI−131−L19−SIPの%IDデータにより行った。滞留時間を、化合物の生物学的及び物理的半減期を包含する、0〜無限大までの積分された二次及び一次−指数関数の曲線下の領域として計算した。
放射線源及び放射線標的物の両者としてのマウス器官を考慮して、自己−対−自己の用量としての吸収された器官用量(放射線クロスファイアーは存在しない)を、MIRDOSE 3.1ソフトウェアーからのS−値を用いて、I−131−L19−SIPについて評価することができた。
マウス器官用量(mGy/MBq):
肝臓: 50
腎臓: 160
脾臓: 50
肺: 220
卵巣: 180−410(排卵周期状態及びED−B発現に依存して)
子宮: 600(排卵周期状態及びED−B発現に依存して)
精巣: 55
血液: 130
赤色骨髄: 50(血液用量に基づいての計算)
腫瘍: 940(100mgの腫瘍について計算された)
MIRDSE 3.1プログラムにおいて計算された滞留時間を用いて、ヒト吸収された用量を、I−131−L19−SIPについて評価することができる。
ヒト器官用量(mGy/MBq):
副腎: 9.46E-02
濃: 1.64E-02
乳房: 7.33E-02
胆嚢: 1.OOE-01
LL1壁: 4.47E-01
小腸: 1.10E-01
胃: 9.45E-02
UL1壁: 2.11E-01
心臓壁: 6.22E-02
腎臓: 1.86E-01
肝臓: 7.46E-02
肺: 7.04E-02
筋肉: 8.71E-02
卵巣: 8.07E-01
膵臓: 1.15E-01
赤色骨髄: 9.11E-02
骨表面: 9.74E-02
皮膚: 7.20E-02
脾臓: 7.11E-02
精巣: 2.38E-01
胸腺: 8.55E-02
甲状腺: 8.54E-02
膀胱壁: 7.19E-01
子宮: 4.72E-01
全身体: 8.78E-02
EFF用量EQUIV: 3.60E-01
EFF用量: 3.21E-01
赤色骨髄及び生殖器官(卵巣/子宮及び卵巣)が用量制限器官であることが結論づけられた。それにもかかわらず、線量計測計算に基づいての治療窓は、好ましく且つ有望であるように思えた。18の赤色骨髄用量に対する腫瘍用量が検出された。従って、I−131−L19−SIPは、赤色骨髄に対してよりも腫瘍に対して供給される用量が18倍、高いことを示した。
1.7:腫瘍担持のヌードマウス中へのI−131−L19−SIPの1回のi.v.注射後の腫瘍処理研究
I−131−L19−SIPを、U251(グリア細胞)担持のヌードマウス(約27gの体重)中に1度、静脈内注射した。調査される用量は、それぞれ37MBq及び74MBqであった。さらに、動物の対照グループ(生理食塩水により1度、注射された)を調べた。注射の後、腫瘍サイズ(mm2で与えられる)を、カリパスを用いて決定した。
それぞれ、生理食塩水及びI−131−L19−SIPの1回の静脈内注射後にモニターされるヌードマウスにおけるU251腫瘍の増殖が、図6に示される。
動物当たり74MBqでのI−131−L19−SIPの1回の注射は、18日間の静止をもたらす、U251−腫瘍の増殖に対する著しい効果を示した。低用量グループ(37MBq)に関しても同じであった。但し、低用量グループに関して最後の5日間、わずかな腫瘍増殖が開始した。対照的に、対照グループの腫瘍は、全観察期間、連続して増殖した。
この調査の結果は、固形腫瘍の処理に関して、I−131−L19 −SIPの卓越した能力を示す。
1.8:腫瘍担持のヌードマウス中への1回のi.v.注射後のI−123−L19−SIPのイメージング
本発明の物質を、F9(奇形癌)担持のヌードマウス(約25gの体重)中に、約9.25MBqの用量で静脈内注射した。γ−カメライメージングを、前記物質の投与の後、種々の時点で行った。
F9(奇形癌)担持のヌードマウスにおけるI−123−L19−SIPの平面シンチグラフィーによれば、注射の4時間及び24時間後、腫瘍は明らかに表示され得た。注射の4時間後、腫瘍における強い摂取の他に、身体の残りにおいてわずかなバックグラウンドのみが(特定の器官に結合されないが、しかし血液プールに由来する)検出され得た。腫瘍におけるシグナルは維持したが、身体の残りにおけるバックグラウンドシグナルは消出した。従って、注射後24時間で、腫瘍のみが検出され得た。
この検査の結果は、固形腫瘍のイメージングに関して、I−123−L19−SIPの卓越した能力を示す。
2.さらなる例及び実験
材料及び方法
scFv, 小免疫タンパク質(SIP)及びIgG1構造体scFvの調製及び発現:
scFv (L19)(図1A)は、フィブロネクチンのED-Bドメインに対して特異的に向けられた、親和性成熟された(Kd=5.4×10-11M)抗体フラグメントである(13. Piniなど., 1998)。scFv (D1.3)(7. McCaffertyなど.,; 26. Neriなど., 1997), すなわちマウス−抗−雌鳥卵白リゾチームscFvを対照として使用した。それらのscFvを、E.コリ様HB2151(Maxim Biotech, San Francisco CA)において、Pineなど. (34, 1997)に従って発現した。
ミニ−免疫グロブリン:
L19小免疫タンパク質(L19-S19)遺伝子(図1C)を構成するために、scFv (L19)をコードするDNA配列を、Pwo DNAポリメラーゼ(Roche)を用いて、ポリメラーゼ鎖反応(PCR)により、製造業者の推薦に従って、それぞれApaLI及びBspEI制限部位を含む、プライマーBC-618(gtgtgcactcggaggtgcagctgttggagtctggg−配列番号8)及びBC−619(gcctccggatttgatttccaccttggtcccttggcc−配列番号9)を用いて増幅した。増幅生成物を、細胞外培地におけるタンパク質の分泌のために必要とされる分泌シグナルをscFv遺伝子に供給するpUT-ESIPベクターにおけるApaLI/BspEIに挿入した。
前記pUT-εSIPベクターは、ヒトIgE分泌されたイソフォームIgE-S2(εS2-CH4; 35. Batistaなど., 1996)のCH4ドメインによりヒト不変γ1−CH3ドメインを置換した後、前記に記載されたpUT-SIP-long(33.Liなど., 1997)から得られた。CH4は、IgE分子における二量体化を可能にするドメインであり、そしてεS2イソフォームは鎖間ジスルフィド結合を通してIgEダイマーを安定化する、カルボキシル末端でシステインを含む。最終SIP分子においては、scFv (L19) を、短いGGSGリンカーによりεS2-CH4ドメインに連結した。次に、SIP遺伝子を、HindIII 及びEcoRI制限酵素によりプラスミドpUT-をSIP-L19から切断し、そして、構造体pcDNA3-L19-SIPを得るために、サイトメガロウィルス(CMV)プロモーターを含む、哺乳類発現ベクターpcDNA3(Invitrogen,Groningen,The Netherlands) 中にクローン化した。
scFv(D1.3)をコードするDNA配列を、プライマーBC-721(ctcgtgcactcgcaggtgcagctgcaggagtca−配列番号10)及びBC-732(ctctccggaccgtttgatctcgcgcttggt−配列番号11)を用いて増幅し、そしてpUT-εSIPベクターにおけるApaLI/BspEIに挿入した。次に、D1.3-SIP遺伝子を、HindIII 及びEcoRI制限酵素によりpUT-εSIP-D1.3から切除し、そして構造体pcDNA3-D1.3-SIPを得るために、pcDNA3中にクローン化した。
それらの構造体は、製造業者により最適化された、付着細胞についてのプロトコールに従って、FuGENE 6 Transfection Reagent (Roche) を用いて、SP2/0ネズミ骨髄腫細胞(ATCC、American Type Culture Collection, Rockville, MD, USA)をトランスフェクトするために使用した。トランスフェクタントを、10%FCSにより補充されたDNEMにおいて増殖し、そして750μg/mlのGeneticin (G418, Calbiochem, San Diego, CA) を用いて選択した。
IgG1:
完全なIgG1を調製するために、その分泌ペプチド配列と共に、L19H鎖(L19-VH)の可変領域を、前に記載されたL19-pUTεSIPから、HindIII 及びXhoIにより切除し、そして完全なヒトγ1不変H鎖遺伝子を含むpUC-IgG1ベクターに挿入した。次に、組換えIgG1遺伝子を、pUC-IgG1-L19-VHから、HindIII 及びEcoRIにより切除し、そしてpcDNA3中にクローン化し、構成体pCDNA3-L19-IgG1を得た。
完全なL19L鎖の調製のために、L19-VLを、L19-pUT-εSIP(上記に記載される)からそれぞれApaLI及びBsiWI制限部位を含むプライマーBC-696(tggtgtgcactcggaaattgtgttgacgcagtc−配列番号12)及びBC-697(ctctcgtacgtttgatttccaccttggtcc-配列番号13)を用いてのPCRにより増幅した。ApaLI及びBsiWIによる消化の後、増幅生成物を、分泌シグナル配列及びヒト不変κL鎖の配列を含むベクターpUT-SEC-hCκに挿入した。次に、組換えL鎖遺伝子を、pUT-SEC-hCκ-L19-VLから、HindIII 及びXhoIにより切除し、そしてG418に対する耐性遺伝子を除去することによってpcDNA3ベクターから誘導されたpCMV2Δ哺乳類発現ベクターに挿入し、構造体pCMV2Δ−L19-κを得た。
等モル量のそれらの構造体を用いて、上記のようにして、SP2/0ネズミ骨髄腫細胞を同時トランスフェクトした。ゲネチシン選択されたクローンを、H鎖及びL鎖の完全なキメラ免疫グロブリンを分泌する能力についてELISAによりスクリーンした。
すべてのDNA構造体を、Qiagen (Hilden, Germany) からのMaxiprepシステムを用いて精製し、そして構造体の両鎖のDNA配列を、ABI PR25M dRhodamine Terminater Cycle Sequencing Ready Reaction Kit (Perkin Elmer, Foster City, CA) を用いて確かめた。すべての制限酵素(RE)は、Roche Diaggnestics (Milan, Italy) からであり、但し、BsiW(New England Biolabs, Bererly, MA)を除く。RE消化の後、挿入体及びベクターを、アガロースゲルから、Qiaquick法(Qiagen)を用いて回収した。
抗体の精製及び品質調節:
免疫親和性のクロマトグラフィー処理を、Carnemollaなど. (24, 1996) により記載される方法に従って、異なった抗体を精製するために行った。
その製造業者の説明書(24.Carnemollaなど., 96)に従って、セファロース4B(Amersham Pharmacia Biotech. Uppsala, Sweden)に接合されたED-Bを用いて、すべての異なったL19抗体型を免疫精製し、そしてセファロース4B(Amersham Pharmacia)に接合される雌鶏卵白リゾチーム(Sigma,St. Louis, USA)のカラムを、D1.3抗体のために使用した。
免疫精製された抗体型L19-SIP及びL19-IgG1はさらなる精製を必要とせず、そしてPBS(pH7.4)に対して、+4℃で透析された。免疫親和性クロマトグラフィーから得られたscFvは2種の形、すなわちモノマー及びダイマー形から製造されるので、第2精製段階が、Demartisなど., (27, 2001)により記載されるように、後者の形を単離するためには必要とされる。一連の異なった抗体型を調製し、そして還元及び非還元条件下で、SDS-PAGE, 免疫組織化学、サイズ排除クロマトグラフィー(Superdex 200, Amersham Pharmacia Biotech)及びELISA実験を用いて分析した。
ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)、酵素結合された免疫吸着アッセイ(ELISA)、サイズ排除クロマトグラフィー及び免疫組織化学:
ならし培地上でのスクリーニングELISA実験を、Carnemollaなど. (24, 1996) に従って行った。異なったL19抗体型の発現を示すために、L19により認識されるエピトープを含む、FNのED-Bドメインを含む組換えフラグメント7B89(24, Carnemolla など., 1996)を、Maxisorp免疫プレート(Nunc, Roskilde, Denmark)上に固定した。ELISA実験においてD1.3抗体を検出するために、雌鶏卵白リゾチーム(Sigma)を、NH2表面EIAプレート(Costar, Cambridge, MA)上に固定した。
製造業者の推薦に従って希釈された、ペルオキシダーゼ−接合されたウサギ抗ヒトIgE(Pierce,Rockford, IL)を、SIPを検出するための第2抗体として使用した。ペルオキシダーゼ−接合されたウサギ抗ヒトIgG(Pierce)を、IgG1の場合に使用した。標識配列FLAGを含むscFvに関しては、マウス抗−ヒトFLAGモノクローナル抗体(M2,Kodak)及びペルオキシダーゼ−接合されたヤギ抗−マウス抗体(Pierce)を、それぞれ、第2及び第3抗体として使用した。すべての場合、固定された抗原との免疫反応性を、ペルオキシダーゼのための基質ABTS(Roche)を用いて検出し、そして405nmでの光度測定吸光度を測定した。
Superdex200(Amersham Pharmacia)クロマトグラフィーカラムを、高速タンパク質液体クロマトグラフィー(FPLC; Amersham Pharmacia)を用いて、天然の条件下で、精製された抗体のゲル濾過プロフィールを分析するために使用した。異なった組織低温保存断片に対する免疫組織化学を、Castellaniなど. (22, 1994) により記載のようにして行い、そして4〜18%のグラジエントSDS-PAGEを、還元及び非還元条件下で、Carnemollaなど. (17, 1789) に従って行った。
動物及び細胞系:
無胸腺ヌードマウス(生後8週目のヌード/ヌードCD1雌)を、Harlan Italy (Correzzana, Milano, Italy) から得、129(クローンSvHsd)株マウス(生後8〜10週、雌)を、Harlan UK (Oxon, Englando) から得た。マウス胚奇形癌細胞(F9)、ヒトメラノーマ(由来の細胞(SK-MEL-28)及びマウスメラノーマ細胞(SP2/0)を、ATCC(Rockville,MD)から購入した。腫瘍を誘発するために、ヌードマウスに、16×106個のSK-MEL−29細胞を皮下注射し、そして129株マウスに、3×106個のF9細胞を皮下注射した。腫瘍体積を、次の式により決定した:(d)2×D×0.52、ここでd及びDはそれぞれ、カリパスにより測定された腫瘍の短い方の及び長い方の直径(cm)である。動物の収容、処理及び殺害を、科学目的のために使用される動物の保護に従って、国の法律(1992年1月27日のイタリア法律番号116)に従って行った。
組換え抗体の放射性ヨウ素化:
タンパク質の放射性ヨウ素化を、製造業者の推薦に従って、Na125I(NEN Life Science Products, Boston, MA)を活性化するために、IODO−GEN予備被覆されたヨウ素化管(Pierce)を用いて、Chizzonite 間接的方法(36、Riskeなど., 1991)に従って達成した。報告される実験においては、1.0mCiのNa125Iを、0.5mgのタンパク質のために使用した。放射性ラベルされた分子を、0.25%のBSAにより予備処理され、そしてPBSにおいて平衡化されたPD10(Amersham Pharmacia)カラムを用いて、遊離125Iから分離した。サンプルの放射性活性を、Crystal γ−カウンター(Packard Instruments, Milano, Italy) を用いて平衡化した。
放射性ラベルされたタンパク質の免疫反応性アッセイを、PBS中、0.25%のBSAにより飽和された、200μlのED-Bセファロースカラム上で行った。PBS中、0.25%のBSAの200γ1における既知量の放射性ヨウ素化された抗体を、上部に適用し、そしてカラムへの侵入を可能にした。次に、カラムを、PBS中、0.25%のBSA溶液1.5mlによりすすぎ、非特異的に結合された抗体を除去した。最終的に、結合された免疫反応材料を、0.1MのTEA(pH11)1.5mlを用いて溶出した。結合されなかった及び結合された材料の放射性活性を計数し、そして免疫反応性抗体の%を計算した。免疫反応性は常に、90%よりも高かった。
放射性ヨウ素化された抗体をさらに分析するために、200μl中、既知量の放射性ラベルされたタンパク質を、Superdex 200カラム上に負荷した。異なったタンパク質の保持体積は、放射性ヨウ素化の後、変化しなかった。3種の放射性ヨウ素化されたL19抗体型及びそれらの負の対照に関して、Superdex 200カラムからの放射性活性回収率は100%であった(図3A、3B及び3C)。
生分布実験
胃における125Iの非特異的蓄積及び甲状腺における濃縮を阻止するために、放射性ラベルされた抗体の注射の30分前、マウスは、水中、20mgの過塩素酸ナトリウム(Carlo Erba, Italy)を、経口的に受けた。この工程を、生分布実験の期間、24時間間隔で反復した。腫瘍担持のマウスの尾に、100μの塩溶液中、0.1のモルの異なった放射性ラベルされた抗体(scFvのためには6μg、SIPのためには8μg、及びIgGのためには18μgに対応する)を注射した。3匹の動物を、個々の時点で殺害し、腫瘍を包含する異なった器官を切除し、計量し、γ−カウンターにより計数し、そして次に、PBS(pH7.4)中、5%ホルムアルデヒドにより固定し、Tarliなど. (23, 1999)に従って行われるマイクロオートグラフィーのために処理した。
血液を血漿調製物のためにサンプリングし、すでに記載された免疫反応性試験及びゲル濾過分析を用いて血流における放射性ラベルされた分子の安定性を決定した。両者の場合、200μlの血漿を使用した。異なった器官の放射能含有率を、g当たり注射された用量の%(%ID/g)として表した。放射性ヨウ素化された抗体の血液クリアランスパラメーターを、MacIntosh Program Kaleidagraph (Synergy Software, Reading PA, USA) 及び次の等式:
X (t)=A exp (-(αt))+B exp (-(βt))
(ここで、X (t) は、時間tでの放射性ラベルされた抗体の%ID/gである) を用いて、最小二乗最小化方法とを適合せしめた。この等式は、二−指数血液クリアランスプロフィールを記載し、ここでα相の大きさはA×100/(A+B)として定義され、そしてβ排除相の大きさはB×100/(A+B)として定義される。α及びBは、その対応する血液クリアランス相の半減期に関連する速度パラメーターである。T1/2 (α相)=In2/α=0.092・・・/α T1/2 (β相)=In2/α=0.692・・・/α。X (0)は、40%に等しいものとして推定され、これは個々のマウスにおいて、2.5mlの血液体積に対応する。
結果
抗体調製:
異なったL19抗体型の可変領域(scFv, ミニ−免疫グロブリン及び完全なヒトIgG1)を用いての抗体調製及び腫瘍性脈管の標的化におけるそれらのインビボでの性能:
図1は、異なったL19抗体型を発現するために使用される構造体を示す。類似する構造体を、非−適切な抗原に対して特異的なscFvの可変領域を用いて調製した(D1.3;7. McCafferty; 26. Neriなど., 1997)。
SIP及びIgG1を得るために、SP2/0ネズミ骨髄腫細胞を、図1に示される構造体によりトランスフェクトし、そして安定したトランスフェクタントをG418を用いて選択した。最良の方法をELISAにより決定し、そしてそれらのクローンを抗体精製のために拡張した。すべての3種のL19抗体型の精製は、セファロースに接合される組換えED-Bを用いての免疫親和性クロマトグラフィーに基づかれた。収量は、scFv(L19)に関して約8mg/L, L19-SIPに関して、10mg/L,L19-IgG1に関して、3mg/Lであった。対照タンパク質のためには、雌鶏卵リゾチウムに対して特異的なscFv (D1-3) を使用し、そしてscFv D1.3の可変領域を用いて、D1.3-SIPを構成した。それらの2種の抗体を、セファロースに接合された雌鶏卵リゾチウムに基づいて精製した。収量は、それぞれ、8及び5mg/Lであった。L19-IgG1のための対照として、市販のヒトIgG1/k (Sigma) を使用した。
3種の精製されたL19型のSDS-PAGE分析を、還元及び非還元条件下で行った。scFv (L19)に関しては、明らかな塊状物が、還元及び非還元条件下で、予測されるように、約18kDaであった(示されていない)。L19-SIPは、非還元条件下で約80kDaの分子質量を示し、そして還元条件下で約40kDaの質量を有した。それらの結果は、生来の分子の95%以上が共有結合されたダイマーとして存在することを示した。L19-IgG1は、予測されるように、非還元条件下で180kDaの主要バンドを示し、ところが還元条件下で、それは、約55kDaのH鎖及び約28kDaのL鎖に対応する2種のバンドを示した。
サイズ排除クロマトグラフィー(Superdex 200)により分析される3種のL19抗体型の溶出プロフィールを得た。すべての3種の場合、正常な分布を有し、そして98%以上を表す単一のピークを検出した。標準の検量曲線を用いる場合、見掛け分子質量は、scFv (L19)2に関しては60kDa, L19-SIPに関しては80kDa及びL19-IgG1に関しては180kDaであった。さらに、しばしば組換えタンパク質調製において存在し、そしてインビボ研究において得られる結果を無効にする分子凝集体は、不在であることが示された。精製された対照タンパク質に対して行われたSDS-PAGE及びサイズ排除クロマトグラフィー(Superdex 200)処理は、類似する結果を与えた。
それらの3種の異なったL19抗体型を用いて、免疫組織化学分析を、ヌードマウスにおいて誘発されたSK-MEL-28ヒトメラノーマ、及び129株マウスにおいて誘発されたF9ネズミ奇形癌の低温保存断片に対して行った。最適な結果が、0.25〜0.5nMほどの低い濃度で得られた。すべての3種の精製されたL19抗体は、同一の構造を認識した。
放射性ラベルされたL19抗体型のインビボ安定性:
インビボ生分布研究に関しては、SK-MEL-28ヒトメラノーマ及びF9ネズミ奇形癌を使用した。SK-MEL-28腫瘍は比較的遅い増殖速度を有するが、ところがF9腫瘍は急速に増殖する(図2)。従って、SK-MEL-28腫瘍の使用は、長期間続く実験(144時間までの)を可能にしたが、ところがF9腫瘍は短い生分布研究(48時間までの)のため誘発された。すべての生分布実験は、腫瘍が約0.1〜0.3cm3になるまで、行われた。種々の抗体型の比較のために、100μlの無菌塩溶液中、等モル量(0.1nモル)を注射した。注射の前、放射性ヨウ素化された化合物を0.12μmのフィルターを通して濾過し、そして免疫反応性及びゲル濾過プロフィールを調べた(材料及び方法を参照のこと)。放射性ラベルされたタンパク質の免疫反応性は常に90%以上であった。
図3A−Cは、放射性ヨウ素化されたL19抗体型のゲル濾過分析(Superdex 200)のプロフィールを報告する。
血液サンプルを、異なった時間の間隔で、処理された動物から採取し、そして血漿に存在する放射能を、免疫反応性について、及びゲル濾過クロマトグラフィーにより分析した。ゲル濾過プロフィールは、すべての3種のL19抗体型について、注入されたタンパク質の分子質量を有する単一の主要ピークを示した。scFvのプロフィールのみが、より高い分子質量を有する第2のピークを示し、このことは、凝集体の形成を示唆する(図3D-F)。
さらに、Superdex 200カラムから溶出しない大きな分子質量の凝集体の形成が、scFv(L19)2に関して観察された。実際、Superdex 200カラムからの回収率は、L19-SIP及びL19-IgGの両者に関して適用される放射能の90〜100%であるが、scFv(L19)2の負荷された放射能の回収率は約55%であった。保持される放射能は、0.5MのNaOHによりクロマトグラフィーカラムを洗浄した後でのみ回収され、これは、大きな凝集体がカラムフィルター上で阻止されたことを示す(表1)。
表1はまた、血漿に対して行われる免疫反応性試験の結果も報告する(材料及び方法を参照のこと)。実験の間、L19-SIP及びL19-IgG1は、出発試薬と同じ血漿における免疫反応性を維持した。対照的に、注射の3時間後、血漿におけるscFv(L19)2の免疫反応性は、40%以下に低められた。
比較生分布実験
表2a, b, c及び図4は、SK-MEL-28腫瘍担持マウスにおける放射性ラベルされたL19抗体2夜生分布実験において得られる結果を報告する。
表2a, b, cは、放射性ラベルにされた抗体のi.v.注射からの異なった時間での、腫瘍を包含する組織及び器官の%ID/gの平均(±SD)を示す。
図4においては、実験の異なった時間での腫瘍(A)及び血液(B)における異なった抗体型の%ID/gの変動、及び腫瘍及び血液における%ID/g間の比率(C)が示される。腫瘍において蓄積されるすべての3種のL19抗体型、及び腫瘍及び他の器官の%ID/gの比率が表3に報告されている。
マイクロオートラジオグラフィーにより示されるように、抗体は腫瘍脈管上のみに蓄積し、ところが正常な器官の血管上には特定の蓄積は見られなかった。対照的に、腫瘍又は正常組織のいずれかにおける放射性ヨウ素化された対照分子の特異的蓄積は見られなかった(表2a, b, c)。
すべての3種のL19抗体型は、尿サンプルを計数することによって決定される場合、腎臓により主に介在されるクリアランスを示した。予測されるように、クリアランス速度は、scFv(L19)2に関して早く、そして完全なL19-IgG1に関して遅かった。二次指数関数との曲線の適合は、表4に報告される半減期値を生成した。
図5は、F9奇形癌腫瘍モデルを用いての、放射性ヨウ素化されたscFv(L19)2及びL19-SIPにより得られた腫瘍及び血液の%ID/g(±SD)の変動を示す。F9奇形癌の高い脈管形成活性のために、この腫瘍における放射性分子の蓄積は、SK-MEL-28腫瘍においてよりも、i.v. 注射の3及び6時間後、3〜4倍高く、そして実験の48時間の間、持続的に高かった。SK-MEL-28腫瘍に関しては、腫瘍脈管における特異的蓄積はマイクロオートラジオグラフィーにより確かめられ、ところが特異的腫瘍蓄積は、対照分子の注射後、見出されなかった。表5においては、F9腫瘍及び/他の器官におけるi.v.注射の後、異なった時間でのL19(scFv)及びL19SIPの%ID/gが報告される。
還元されたL19-SIPの合成:
422μlのPBS中、375μg(5nモル)のL19-SIPの溶液に、50μlのTCEP-溶液(14.34mgのTCEP×HCl/5mlの水性リン酸水素ナトリウム、0.1M、pH=7.4)を添加した。その反応混合物を37℃で軽く1時間、振盪した。還元されたL19-SIPを、NAP-5カラム(Amersham, 溶離剤:PBS)を用いて、ゲルクロマトグラフィーにより精製した。単離された生成物のSDS-PAGE分析は、還元されたL19-SIPへのL19-SIPの定量的転換を証明した。
収量:100.3μg/200μgのPBS(26.7%)。
Tc-99m-L19-SIPの合成:
3.0mgの二ナトリウム-L-酒石酸塩をバイアルに配置し、続いて100μlのPBS中、100.3μgの還元されたL19-SIPを添加し、そしてその溶液を、100μlの水性炭酸水素ナトリウム−緩衝液(1M, pH=10.5)により希釈した。85μlのTC−99m発生機溶離液(24時間)及び10μlのSnCl2−溶液(5mgのSnCl2/1mlの0.1MのHCl)を添加した。その反応混合物を、37℃で0.5時間、振盪した。Tc-99m−ラベルされたL19-SIPを、NAP−5カラム(Amersham, 溶離剤:PBS)を用いて、ゲルクロマトグラフィーにより精製した。
放射化学的収率:35.6%
放射化学的純度:90.2%(SDS-PAGE)
比活性: 26.4 MBq/mモル。
免疫反応性: 91.4%。
Tc-99m-MAG 2 -L19-SIPカルボキシメチル−t−ブチルジスルフィドの合成
1Lのエタノール(無水)中、21.75ml(0.312モル)の1−メルカプト酢酸、43.5ml(0.312モル)のトリエチルアミン及び100g(0.312モル)のN-(tert-ブチルチオ)-N, N’−ジ−BOC−ヒドラジンの溶液を、還流下で(窒素雰囲気)、60時間、加熱した。エタノールを、減圧下で蒸発し、約200mlの最終体積にした。残留物を、1.8Lの水に注ぎ、そしてその得られる懸濁液のpHを、5MのNaOHを用いて、7.14に調節した。ジ−BOC−ヒドラジンを濾過し、そしてその得られる溶液のpH、を、半分に濃縮されたHClを用いて、2.2に調節した。粗材料を、600mlのCH2Cl2(3×)2より水から抽出した。組み合わされた有機層を、硫酸マグネシウム上で乾燥し、そして溶媒を減圧下で蒸発し、黄色の油状物として41.1g(80%)を得た。その材料は、さらなる合成のために十分に純粋であった。
N−(ベンジルオキシカルボニル−Gly)Gly t−ブチルエステル(Z-(N-Gly)Gly t-ブチルエステル):
1.4LのCH2Cl2中、35.02g(114mモル)のZ-Gly-Oスクシンイミド及び15g(114mモル)のGly-O-tBuの溶液を、室温で20時間、窒素雰囲気下で攪拌した。有機層を、250mlの1%水性クエン酸により3度、200mlの半飽和された水性炭酸水素ナトリウムにより2度、及び200mlの水により1度、洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。減圧下でのCH2Cl2の蒸発は、黄色の油状物として、36.5g(99%)のZ-Cly-Gly-O-tBuを生成した。その粗材料は、さらなる合成のために十分に純粋であった。
Gly-Gly t−ブチルエステル:
36.5g (113mモル)のZ-Gly-Gly-O-tBuを、1LのTHFに溶解し、木炭上3.65gのパラジウム(10%)を添加した。その混合物を、室温で3時間、水素雰囲気下で(1atm)、攪拌した。その懸濁液を窒素によりバージし、濾過し(PTFE−フィルター:0.45μm)、そして濾過を減圧下で濃縮し、黄色の油状物として、20.3g(95%)のGly-Gly-O-tBuを得た。その粗材料は、さらなる合成のために十分に純粋であった。
カルボキシメチル−t−ブチルジスルフィドグリシルグリシンt−ブチルエステル:
430mlのCH2Cl2中、23.85g(115.6mモル)のDCCの溶液を、1LのCH2Cl2中、21.76g(115.6mモル)のGly-Gly-O-tBu, 20.84g(115.6mモル)のカルボキシメチル−t−ブチルジスルフィド及び13.3g(115.6mモル)のNHSの溶液に添加した。その得られる懸濁液を、室温で窒素雰囲気下で一晩、攪拌した。濾過の後、その得られる溶液を、400mlの半飽和された水性炭酸水素ナトリウムにより3度、及び400mlの水により1度、洗浄した。乾燥された有機層(硫酸マグネシウム)を、減圧下で蒸発した。粗生成物を、CH2Cl2/MeOH 99:1〜CH2Cl2/MeOH 98.5:1.5の範囲の溶媒グラジエントを用いて、シリカゲル上でのクロマトグラフィーにより精製した。26.1g(64%)を、黄色の油状物として単離した。
メルカプトアセチルグリシルグリシン:
26.32g (75.09mモル)のカルボキシメチル−t−ブチルジスルフィドグリシルグリシンt−ブチルエステルを、233mlのTFAの窒素雰囲気下で溶解した。得られる溶液を室温で20分間、攪拌した。TFAを減圧下(5〜10×10-2mバール)で蒸発し、そしてその得られる油状物を、さらに2時間、攪拌しながら乾燥した(5〜10×10-2mバール)。250mlのEt2Oの添加の後、白色粉末が沈殿し、そしてその懸濁液を3時間、攪拌した。材料を濾過し、そして100mlのEt2Oに再懸濁した。得られる懸濁液を一晩、攪拌し、生成物を濾過し、そして材料を減圧下で室温で乾燥し、白色粉末として、20.46g(92.5%)を得た。
メルカプトアセチルグリシルグリシンNHSエステル:
メルカプトアセチルグリシルグリシン(1g、3.4mモル)及びN-ヒドロキシスクシンイミド(391mg、3.4mモル)を、乾燥丸底フラスコにおいて組合し、そして無水DMF(4ml)に溶解した。無水ジオキサン(2ml)中、DCC(700mg、3.4mモル)を、攪拌しながら添加した。15分以内に、沈殿物が形成し始めた。1時間後、沈殿物を、真空濾過により除去した。沈殿物を、冷ジオキサンにより洗浄した。ジオキサンを、濾液から除去した。生成物を、残るDNF溶液から、ジエチルエーテルを添加することにより沈殿せしめた。生成物を、濾過により単離し、冷ジエチルエーテルにより洗浄し;そして真空乾燥器において一晩、乾燥した。収量:1.33g(99%)。
Tc-99m-MAG2-ε-NH (Lys)-L19-SIPの合成:
111-μlのPBS中、200μg(2.66mモル)の還元されていないL19-SIPを、300μlの硼酸ナトリウム緩衝液(0.1M, pH8.5)により希釈し、そして200mlのリン酸緩衝液(0.1M, pH8.5)により2度1時間、Slide-A-Lyzer 10,000MWCO (Pierce Inc., Rockford, IL, USA)を用いて透析した。50μlのメルカプトアセチルグリシルグリシンNHSエステル溶液(その0.50mgを、500μlのリン酸緩衝液に溶解する、0.1M、pH8.5)を添加し、そしてその反応混合物を、37℃で3時間、加熱した。
反応混合物を、Slide-A-Lyzer 10,000MWCO (Pierce Inc., Rockford, IL, USA) を用いて、それぞれ200mlのリン酸緩衝液(0.1M, pH8.5)により、2×1時間及び1×17時間(一晩)、透析した。3.0mgの二ナトリウム−L-酒石酸塩を、バイアルに添加し、続いて90μlのTc-99m発生機溶出液(毎日、溶出される)及び25μlのSnCl2−溶液(5mgのSnCl2/1mlの0.1MのHCl)を添加した。反応混合物を、37℃で0.5時間、振盪した。Tc-99m−ラベルされたL19-SIPを、NAP-5カラム(Amersham、溶離剤:PBS)を用いて、ゲルクロマトグラフィーにより精製した。
放射化学的収率:55.1%。
放射化学的純度:94.5%(SDS-PAGE)。
比活性: 15.2MBq/nモル
免疫反応性: 81.1%。
Re-188-L19-SIPの合成:
3.0mgの二ナトリウム−L-酒石酸塩を、バイアルに配置し、続いて310mlのPBS中、150μgの還元されたL19-SIP-SHを添加し、そしてその溶液を、100μlの水性リン酸水素ナトリウム緩衝液(1M, pH=10.5)により希釈した。100μlのRe-188発生機溶出液及び50μlの塩化錫溶液(5mgのSnCl2/1mlの0.1MのHCl)を添加した。その反応混合物を37℃で1.5時間、振盪した。Re-188ラベルされたL19-SIPを、NAP-6カラム(Amersham、溶離剤:PBS)を用いて、ゲルクロマトグラフィーにより精製した。
放射化学的収率:34.8%。
放射化学純度: 97.2%(SDS-PAGE)。
比活性: 13.5MBq/nモル。
免疫反応性: 91.7%。
システイン−SH基へのEDTA, CDTA, TETA, DTPA, TTHA, HBED, DOTA, NOTA, DO3A及び同様のタイプのキレーターの特異的接合のための還元されたL19-SIPの合成:
50μlのTCEP溶液(14.34mgのTCEP×HCl/5mlの水性リン酸水素ナトリウム、0.1M、pH=7.4)を、422μlのPBS中、375μg(5nモル)のL19-SIPの溶液に添加した。反応混合物を37℃で1時間、軽く振盪した。還元されたL19-SIPを、NAP-5カラム(Amersham、溶離剤:酢酸ナトリウム緩衝液、0.1M、pH5.0)を用いて、ゲルクロマトグラフィーにより精製した。単離された生成物のSDS−PAGE分析は、還元されたL19-SIPへのL19-SIPの定量的転換を証明した。収量:105.7μg/200μl(28.2%)。
In-111-MX-DTPA-マレイミド-S (Cys)-L19-SIP-Rの合成(R=還元された):
200μlの酢酸ナトリウム緩衝液(0.1M、pH5)中、105μg(2.8nモル)の還元されたL19-SIPを50μlの溶解された1,4,7−トリアザ−2−(N-マレイミドエチレンp−アミノ)ベンジル−1,7−ビス(カルボキシメチル)−4−カルボキシメチル6−メチルヘプタン(500μlの酢酸ナトリウム緩衝液(0.1M、pH5)中、0.25mgのDTPA−マレイミド)と、37℃で3時間、反応せしめた。反応混合物を、Slide-A-Lyzer 10.000MWCO (Pierce Inc., Rockford, IL, USA) を用いて、200mlの酢酸ナトリウム緩衝液(0.1M、pH6)により2度、1時間、透析した。80μlの[In-111] InCl3溶液(HCl, 1N, 40MBq, Amersham, Inc.)を添加し、そしてその反応混合物を37℃で30分間、加熱した。
In-111ラベルされたDTPA−マレイミド-S(Cys)-L19-SIPを、NAP-5カラム(Amersham, 溶離剤:PBS)を用いて、ゲルクロマトグラフィーにより精製した。
放射化学的収率:51.6%。
放射化学的純度:97.2%(SDS-PAGE)。
比活性: 7.9MBq/nモル。
免疫反応性: 88.5%。
MX-DTPA−マレイミド(1,4,7-トリアザ−2−(N−マレイミドエチレンp−アミノ)ベンジル−1,7−ビス(カルボキシメチル)−4−カルボキシメチル6−メチルヘプタン)の合成:
512mg(1mモル)の{[3−(4−アミノ−フェニル)−2−(ビス−カルボキシメチル−アミノ)−プロピル]−[2−(ビス−カルボキシメチル−アミノ)−プロピル]−アミノ}−酢酸(Macrocyclics Inc. Dallas, TX, USA)及び707mg(7mモル)のトリエチルアミンを、3mlの無水DMFに溶解した。
1mlの無水DMF中、400mg(1.5mモル)の3−(2,5−ジオキソ−2,5-ジヒドロ−ピロール−1−イル)−プロピオン酸2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イルエステル(Aldrich)を、滴下した。その溶液を50℃で5時間、攪拌した。30mlのジエチルエーテルをゆっくり添加した。反応混合物をさらに30分間、攪拌した。沈殿物を濾過により集めた。粗生成物を、RP-HPLC(アセトニトリル:水:トリフルオロ酢酸/3:96.9:0.1→99.9:0:0.1)により精製した。収率:61%(405mg、0.61mモル)。MS-ESI:664=M++1。
In-111-MX-DTPA-ε-HN (Lys)-L19-SIPの合成:
111μlのPBS中、200μg(2.66nモル)の還元されていないL19-S1Pを、300μlの硼酸ナトリウム緩衝液(0.1M, pH8.5)により希釈し、そしてSlide-A-Lyzer 10,000MWCO (Pierce Inc., Rockford, IL, USA) を用いて、200mlの硼酸ナトリウム緩衝液(0.1M, pH8.5)により2度、1時間、透析した。50μlの1,4,7−トリアザ−2−(p−イソチオシアネート)ベンジル−1,7−ビス(カルボキシメチル)−4−カルボキシメチル−6−メチルヘプタン(MX-DTPA)溶液(500μlの硼酸ナトリウム緩衝液(0.1M、pH8.5)に溶解された0.33mgのMX-DTPA)を、添加し、そしてその反応混合物を37℃で3時間、加熱した。その反応混合物を、Slide-A-Lyzer 14,000 MWCO (Pierce Inc., Rockford, IL, USA) を用いて、それぞれ200mlの酢酸ナトリウム緩衝液(0.1M、pH6.0)により、2×1時間及び1×17時間(一晩)、透析した。
80μlの[In-111]InCl3溶液(HCl, 1N, 40MBq, Amersham Inc.)を添加し、そしてその反応混合物を37℃で30分間、加熱した。In-111ラベルされたMX-DTPA-ε-NH(Lys)-L19-SIPを、NAP-5カラム(Amersham、溶離剤:PBS)を用いて、ゲル-クロマトグラフィーにより精製した。
放射化学的収率:72.4%。
放射化学的純度:80.3%(SDS-PAGE)。
比活性: 8.8MBq/nモル。
免疫反応性: 77.5%。
In-111-DOTA-C-ベンジル-p-NCS-ε-HN (Lys)-L19-SIPの合成:
108μlのPBS中、200μg(2.66nモル)の還元されていないL19-S1Pを、300μlの硼酸ナトリウム緩衝液(0.1M, pH8.5)により希釈し、そしてSlide-A-Lyzer 10,000MWCO (Pierce Inc., Rockford, IL, USA) を用いて、200mlの硼酸ナトリウム緩衝液(0.1M, pH8.5)により2度、1時間、透析した。50μlの1,4,7,10−テトラアザ−2−(p−イソチオシアネート)ベンジル−シクロドデカン−1,4,7,10−四酢酸(ベンジル−p−SCN−DTPA、Macrocyclics Inc., Dallas TX, USA)溶液(5mlの硼酸ナトリウム緩衝液(0.1M、pH8.5)に溶解された1.5mgのベンジル−p−SCN−DTPA)を、前記溶液に添加し、そしてその反応混合物を37℃で3時間、加熱した。その反応混合物を、Slide-A-Lyzer 14,000 MWCO (Pierce Inc., Rockford, IL, USA) を用いて、それぞれ200mlの酢酸ナトリウム緩衝液(0.1M、pH6.0)により、2×1時間及び1×17時間(一晩)、透析した。
80μlの[In-111]InCl3溶液(HCl, 1N, 40MBq, Amersham Inc.)を添加し、そしてその反応混合物を37℃で30分間、加熱した。In-111ラベルされたDOTA-C-ベンジル-p-NCS-ε-HN (Lys)-L19-SIPを、NAP-5カラム(Amersham、溶離剤:PBS)を用いて、ゲル-クロマトグラフィーにより精製した。
放射化学的収率:70.8%。
放射化学的純度:92.1%(SDS-PAGE)。
比活性: 10.1MBq/nモル。
免疫反応性: 75.1%。
Y-88-MX-DTPA-ε-NH (Lys)-L19-SIPの合成:
111μlのPBS中、200μg(2.66nモル)の還元されていないL19-S1Pを、300μlの硼酸ナトリウム緩衝液(0.1M, pH8.5)により希釈し、そしてSlide-A-Lyzer 10,000MWCO (Pierce Inc., Rockford, IL, USA) を用いて、200mlの硼酸ナトリウム緩衝液(0.1M, pH8.5)により2度、1時間、透析した。50μlのMX-DTPA溶液(500μlの硼酸ナトリウム緩衝液(0.1M、pH8.5)に溶解された0.33mgのMX-DTPA)を、添加し、そしてその反応混合物を37℃で3時間、加熱した。その反応混合物を、Slide-A-Lyzer 14,000 MWCO (Pierce Inc., Rockford, IL, USA) を用いて、それぞれ200mlの酢酸ナトリウム緩衝液(0.1M、pH6.0)により、2×1時間及び1×17時間(一晩)、透析した。
100μlの[Y-88]YCl3溶液(HCl, 1N, 75MBq, Oak Ridge National Lab.)を添加し、そしてその反応混合物を37℃で30分間、加熱した。Y-88ラベルされたMX-DTPA-ε-NH(Lys)-L19-SIPを、NAP-5カラム(Amersham、溶離剤:PBS)を用いて、ゲル-クロマトグラフィーにより精製した。
放射化学的収率:68.1%。
放射化学的純度:91.5%(SDS-PAGE)。
比活性: 11.4MBq/nモル。
免疫反応性: 70.5%。
Lu-177-DOTA-C-ベンジル-p-NCS-ε-HN (Lys)-L19-SIPの合成:
111μlのPBS中、200μg(2.66nモル)の還元されていないL19-S1Pを、300μlの硼酸ナトリウム緩衝液(0.1M, pH8.5)により希釈し、そしてSlide-A-Lyzer 10,000MWCO (Pierce Inc., Rockford, IL, USA) を用いて、200mlの硼酸ナトリウム緩衝液(0.1M, pH8.5)により2度、1時間、透析した。50μlのベンジル-p-NCS -DTPA溶液(500μlの硼酸ナトリウム緩衝液(0.1M、pH8.5)に溶解された1.5mg)を、添加し、そしてその反応混合物を37℃で3時間、加熱した。その反応混合物を、Slide-A-Lyzer 14,000 MWCO (Pierce Inc., Rockford, IL, USA) を用いて、それぞれ200mlの酢酸ナトリウム緩衝液(0.1M、pH6.0)により、2×1時間及び1×17時間(一晩)、透析した。
200μlの[Lu-177]LuCl3溶液(HCl, 1N, 80MBq, NRH-Petten, Netherlands)を添加し、そしてその反応混合物を37℃で30分間、加熱した。Lu-177ラベルされたDOTA-C-ベンジル-p-NCS-ε-HN (Lys)-L19-SIPを、NAP-5カラム(Amersham、溶離剤:PBS)を用いて、ゲル-クロマトグラフィーにより精製した。
放射化学的収率:72.2%。
放射化学的純度:94.9%(SDS-PAGE)。
比活性: 18.3MBq/nモル。
免疫反応性: 73.4%。
腫瘍担持のヌードマウス中への1回のi.v.注射の後のIn-111-MX-DTPA-L19-SIPの器官分布及び排泄:
本発明のラベルされたペプチドを、F9(奇形癌)−担持の動物(約25gの体重)中に、約37kBqの用量で静脈内注射した。種々の器官における放射能濃度、及び排泄物における放射能を、物質の投与後、種々の時点で、γカウンターを用いて測定した。
F9(奇形癌)−担持のヌードマウスにおけるIn-111-MX-DTPA-L19-SIPの生分布(平均±SD、n=3)が表6に示されている。
腫瘍担持のヌードマウス中への1回のi.v.注射の後のTc-99m- L19-SIPの器官分布及び排泄:
本発明のラベルされたペプチドを、F9(奇形癌)−担持の動物(約25gの体重)中に、約56kBqの用量で静脈内注射した。種々の器官における放射能濃度、及び排泄物における放射能を、物質の投与後、種々の時点で、γカウンターを用いて測定した。さらに、腫瘍:血液の比が、腫瘍及び血液におけるペプチドの濃度に基づいて種々の時間で見出された。
F9(奇形癌)−担持のヌードマウスにおけるTc-99m-L19-SIPの生分布(平均±SD、n=3)が表7に示されている。
F9(奇形癌)−担持のヌードマウスにおけるTc-99m-L19-SIPの腫瘍:血液の比(平均±SD, n=3)が表8に示されている。
放射性ラベルされたペプチドは、動物実験において好ましいプロペプチドを有することがわかった。例えば、Tc-99m-L19-SIP及びIn-111-MX-DTPA-ε-HN (Lys)-L19-SIPは、注射(p.i.)後1時間で、17.2(Tc-99m)又は12.9(In-111)の%注射された用量/g(ID/g)の高い腫瘍蓄積を示した。24時間のp.i.での9.4(Tc-99m)又は13.0(In−111)の%ID/gの有意な腫瘍保持が観察された。従って、腫瘍摂取は、他の既知のIn-111又はTc-99mによりラベルされた抗体フラグメントに比較して、有意に高い(例えば、Kobayashi など. , J. Nuc. Med. , Vol. 41 (4), pp. 755-762,2000 ; Verhaar など. , J. Nuc. Med. , Vol. 37 (5), pp. 868-872,1996)。化合物の血液クリアランスは、24時間のp.i.で、それぞれ1:1及び6:1の腫瘍/血液比を導いた。
最も著しくは、In-111-MX-DTPA-ε-HN (Lys)-L19-SIPは、24時間のp.i.で、例えばKobayashiなどにより記載される他の高く保持されるIn-111ラベルされた組換え抗体フラグメント(120%ID/g)よりも有意に低い腎臓摂取及び保持(22.5%ID/g)を示した。腎臓保持は、非常に共通する問題であり、そして通常、ランタニドによりラベルされた化合物の放射性治療への使用を妨げる。
実験結果は、診断及び治療用途のために、好ましくは非経口投与により患者に適用される、本明細書に記載される放射性免疫接合体の卓越した可能性を示した。
議論:
細胞毒性抗癌薬物が腫瘍においてよりも正常組織においてより効果的に局在する観察(37. Bossletなど., 1998)は、腫瘍への選択的薬物供給の可能性を調べる研究の高まりを促進した。しかしながら、腫瘍の効果的標的化は、次の2つの主な必要条件を有する:1)血流からのリガンド分子に対して、特異的で、豊富で、安定し、且つ容易に利用できる腫瘍における標的物、及び2)腫瘍に血流から容易に拡散できる適切な薬力学的性質、及び腫瘍におけるその効果的且つ選択的蓄積を確保するために、標的物に対して高い親和性を有するリガンド分子。
その特殊な特徴のために、腫瘍微小環境は、可能性ある全腫瘍性標的物である。実際、腫瘍の進行は、腫瘍微小環境成分、特に細胞外マトリックス(ECM)のそれらの成分における有意な変性を誘発する(そして結果的に、必要である)。固形腫瘍のECMを構成する分子は、正常なECMのそれらとは、定性的及び定量的に異なる。さらに、それらの腫瘍ECM成分の多くは、一般的な性質及び機能、例えば細胞侵入(腫瘍組織中への正常細胞及び正常組織への癌細胞)及び脈管形成を考慮して、すべての固形腫瘍により共有される。変性された腫瘍ECMを構成する多くの分子のうち、本発明者は、ED-Bドメインを含むFNイソフォーム(B-FN)に対して注意を集中して来た。
B-FNは、すべての固形腫瘍のECMにおいて広く発現され、従ってかなり試験され、そして脈管形成工程と一定して関連しているが(22. Castellaniなど., 1994)、しかし他方では、正常な成人組織においては検出できない(17. Carnemollaなど., 1989)。内皮下ECMへの治療剤の標的化された供給は、固形腫瘍の隙間高血圧に関連する問題を克服する(38. Jainなど., 1988; 39. Jain, 1997; 40. Jain Pk, 1999)。
L19(13.Piniなど. 1998; 25. Viti, Canc. Res., 23. Tarli, など., 1999)、すなわちFNのED-Bドメインのために高い親和性(Kd=5.4×10-11M)を有するscFvは、インビボで腫瘍の新血管の回りで選択的且つ効果的に蓄積し、そして腫瘍塊状物において、それが接合される多くの治療分子のいずれか1つを、選択的に輸送し、そして凝集することができる(28.Birchlerなど., 1999; 29. Nilsson, など., 2001; 30. Halinなど., 2001; 31. Carnemollaなど., 2002)。腫瘍を選択的に標的化するL19の能力はまた、シンチグラフィー技法を用いて患者において示されてきた。
本明細書は、放射性同位体による小免疫タンパク質(SIP)のラベリング、放射性ラベルされたSIPの使用、及び次の3種の異なったL19ヒト抗体型の腫瘍血管標的化性能及び薬物力学について報告している:scFv、ミニ−免疫グロブリン/小免疫タンパク質(SIP)及び完全なヒトIgG1。
SIP分子は、ヒトIgEの分泌イソフォームS2のεCH4ドメインへのscFv(L19)の融合により得られた。εCH4は、IgE分子の二量体化を可能にするドメインであり、そしてS2イソフォームは鎖間ジスルフィド結合を通してダイマーを共有的に安定化するCOOH末端でシステインを含む(35.Batistaなど., 1996)。FcεRIのためのIgE結合部位は、CH3ドメインに存在し(41.Turner and Kinet, 1999; 42. Vangelistaなど., 1999; 43. Germanなど., 2000)、その結果、本発明の態様に従ってεCH4に融合されるscFvは、過敏性反応に導くいずれのシグナル化も活性化しない。
マウスにおける次の2種の異なった腫瘍モデルにおけるそれらの3種の型の性能は研究されている:ネズミF9奇形癌及びヒトSK-MEL-28メラノーマ。第1のものは、移植されるとすぐに、動物を約2週間で殺害する急速に増殖する腫瘍である。他方では、SK-MEL-28腫瘍は、初期の早い増殖相、続いて、第2の遅い相を伴って、二相性増殖曲線を提供する。F9の奇形癌におけるED-Bの量は、腫瘍増殖の間、安定して存続し(23.Tarli, など., 1999);対照的に、ED-Bは腫瘍の増殖する能力に比例して、SK-MEL-28メラノーマにおいて蓄積し(23.Tarliなど., 1999)、そして多くのED-Bが第1相に見出され、そして第2相においては、それよりも少なかった。SK-MEL-28メラノーマ腫瘍の使用は、結果の誤った解釈をもたらす腫瘍質量の劇的な変動を伴わないで長期の生分布研究を可能にした(図2)。
インビボでの安定性に関しての3種のL19抗体型の比較研究は、L19-SIP及びL19-IgG1が実験の期間(144時間)、注射の前と同じ血漿における免疫反応性及び分子質量を維持することを示した。対照的に、scFv(L19)は、血漿においてその免疫反応性を急速に失い、そしてゲル濾過のクロマトグラフィーカラムに侵入するほど大きい凝集物を生成した。scFvのそのような凝集は、凝集物は肺の微小血管において蓄積するので、腫瘍及び肺の%ID/g間の比をたぶん担当することができる(表3)。すべての3種の型に関しては、血液クリアランスは、腎臓を通して主に介在され、分子サイズに反比例する、表4に報告される、α及びβ相を有する二相曲線を示す。
研究される腫瘍における異なった抗体型の蓄積は、分子のクリアランス速度及びインビボ安定性の結果である。scFvを用いる場合、最大%の注射された用量/g(%ID/g)が、放射性ラベルされた抗体の注射の3時間後、観察され、そして次に、急速に低下した。SIPを用いる場合、腫瘍における%ID/gは、scFvのそれよりも2〜5倍高く、注射後4〜6時間で最大に達した。このパターンは、F9及びSK-MEL-28腫瘍の両者において観察された。対照的に、腫瘍におけるIgG1の蓄積は、実験の間、一定して上昇した。しかしながら、その遅いクリアランスのために、14時間後の%ID/gの腫瘍:血液の比は、同じ時間後、scFvに関しては10、及びSIPに関して70の比に比較して、わずか約3であった(図4)。
本明細書において研究される3種の抗体型により示されるインビボ安定性、クリアランス及び腫瘍標的性能の同じ特殊な性質が、臨床学的必要性及び疾病に依存して、異なった診断及び/又は治療目的のために開発され得る。例えば、注射のすぐ後、良好な腫瘍−器官及び腫瘍−血液の比を示す放射性ラベルされた抗体が、主に短い半減期の異性体がそのような分析に使用されるので、インビボ診断イムノシンチグラフィーのために必要である。
次の異なったアプローチが、治療剤のためのビークルとしての抗体の使用を可能にする:腫瘍に供給される絶対量で適切である、それらの標的物に達した後、それらの治療効果を示す物質(例えば、標的物上でのみ活性化される感光剤)の供給;特定の注意が、全身性毒性を最少にし、そして抗−腫瘍治療効果を最大にするために、時間の関数としての腫瘍及び血液蓄積の曲線下の領域の比に払われるべきである。
例えば、L19-SIPは、分子安定剤、クリアランス速度及び腫瘍蓄積の最良の妥協を提供すると思われる。二量体化するドメインに結合するscFv抗体フラグメントから構成される類似する融合タンパク質はすでに記載されているが(44.Huなど., 1996; 33. Liなど., 1997)、しかし両者の場合、ヒトγ1CH3が二量体化するドメインとして使用された。ヒトεS2CH4ドメインの使用は、ダイマーの共有安定化を得るために容易な手段を提供する。さらに、C−末端システム残基により形成されるジスルフィド橋は、分子の全体的な構造を保持するのに十分に軽い条件下で容易に還元され得、従って、放射性ラベリング又は化学的接合のための容易に接近できる反応基を提供する。この特徴は、臨床学的可能性の観点から特に有望である。
L19-IgG1は腫瘍において豊富に集まり、そしてたとえこの蓄積が遅い血液クリアランス速度によりオフセットされる場合でさえ、循環抗体を除去するためのそれらの三段階方法は、治療目的のためにのみならず、また診断イムノシンチグラフィーのためへのその使用を可能にするために使用され得る(45.Magnaniなど., 2000)。
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図1は、異なったタンパク質の構造を示すモデルを示す。A:FNサブユニットのドメイン構造のモデル。選択的スプライシングを受けるタンパク質配列は、灰色で示される。示されるように、組換え抗体L19のエピトープは、反復体ED-B内に位置する。B-D:それぞれ、L19(scFv)(B);L19-SIP (C);及びL19-IgG1/κを発現するために使用される構造体のスキーム。 図2は、ヌードマウスにおけるSK-MEL-28腫瘍(三角)及び129マウス株におけるF9腫瘍(丸)の増殖曲線を示す。体積(mm3)が、時間(日)に対してプロットされる。個々のデータ点は、6匹のマウスの平均±SDである。
図3は、異なったL19型に対するサイズ排除クロマトグラフィーの結果を示す。パネルA, B及びCにおいては、放射性ヨウ素化の後、それぞれ、L19型scFv、ミニ−免疫グロブリン及びIgG1のサイズ排除クロマトグラフィー(Superdex 200)プロフィールが示される。パネルD, E及びFは、それぞれ、放射性ヨウ素化されたL19型、scFv、ミニ−免疫グロブリン及びIgG1のi.v.注射後、示される時間での血漿のサイズ排除クロマトグラフィー(Superdex 200)プロフィールを示す。L19-SIP又はL10-IgG1の曲線プロフィールの変化は、注射後、異なった時点で血漿を負荷する場合、検出されなかったが、ところがL19(scFv)2注射の3時間後、より高い分子質量の第2ピークが観察された。
図4は、異なった、放射性ヨウ素化されたL19抗体分子型を用いてのSK-MEL-28腫瘍−担持マウスにおける生分布実験の結果を示す。i.v.注射後の示される時間での腫瘍(4A)及び悦液(4B)における%ID/gの変動が報告される。4Cにおいては、%ID/gの腫瘍/血液比がプロットされる。L19(scFv)の曲線は、菱形で示され、L19ミニ−免疫グロブリンの曲線は正方形で示され、そしてL19IgG1の曲線は三角により示される。
図5は、放射性ヨウ素化されたL19(scFv)(四角)及びL19ミニ−免疫グロブリン(ひし形)を用いてのF9腫瘍−担持マウスにおける生分布実験の結果を示す。i.v.注射後、示される異なった時点での腫瘍(A)及び血液(B)における%ID/gの変動が報告される。 図6は、それぞれ、生理食塩水及びI-131-L19-SIPの注射後の時間(日)に対するU251腫瘍面積(mm2)に変化を示す。

Claims (28)

  1. ヒトED-Bに結合する特異的結合メンバーであって、この特異的結合メンバーは76Br、77Br、123I、124I、131I 及び2llAtから成る群から選択された同位体によりラベルされており、そして抗体VHドメイン及び抗体VLドメインを含んで成る抗原−結合部位を含んで成り、ここで、抗体VHドメインは、L19 VHドメイン、並びにVH CDR1, VH CDR2及びVH CDR3を含んで成るVHドメインから成る群から選択され、前記VH CDR3が配列番号3のL19 VH CDR3であり、前記VH CDR1が任意には、配列番号1のL19 VH CDR1であり、そして前記VH CDR2が任意には、配列番号2のL19 VH CDR2であり;そして前記抗体VLドメインが、L19 VLドメイン、並びにVL CDR1, VL CDR2及びVL CDR3を含んで成るVLドメインから成る群から、任意には選択され、前記VL CDR3が配列番号6のL19 VL CDR3であり、前記VL CDR1が任意には、配列番号4のL19 VL CDR1であり、そして前記VL CDR2が任意には、配列番号5のL19 VL CDR2であり;前記L19 VHドメインの配列及びL19 VLドメインの配列がPiniなど. (1998) J. Biol. Chem. 273: 21769-21776に開示されており;ここで前記特異的結合メンバーは、εS2−CH4に融合されそして二重体化された抗体VLドメイン及び抗体VHドメインを含んで成るミニ−免疫グロブリンを含んで成るか、又は完全なIgG1抗体分子を含んで成る、ことを特徴とする特異的結合メンバー。
  2. 配列番号1,2及び3のアミノ酸配列を有するVH CDRを含んで成る抗体VHドメインを含んで成り、そしてED-Bへの結合に関して、L19 VHドメイン及びL19 VLドメインを含んで成る抗体のED-B−結合ドメインと競争する、請求項1記載の特異的結合メンバー。
  3. 前記L19 VHドメインを含んで成る請求項1又は2記載の特異的結合メンバー。
  4. 前記L19 VLドメイン含んで成る請求項3記載の特異的結合メンバー。
  5. εS2−CH4を含んで成るミニ−免疫グロブリンである請求項1〜4のいずれか1項記載の特異的結合メンバー。
  6. 前記抗体VHドメイン及び抗体VLドメインが、εS2−CH4に融合されたscFv抗体分子内に存在する請求項5記載の特異的結合メンバー。
  7. 前記scFv抗体分子が、リンカーペプチドを通してεS2−CH4に融合される請求項6記載の特異的結合メンバー。
  8. 前記リンガーペプチドが、アミノ酸配列GGSG(配列番号7)を有する請求項7記載の特異的結合メンバー。
  9. 完全なIgG1抗体分子を含んで成る請求項1〜4のいずれか1項記載の特異的結合メンバー。
  10. 前記同位体が131Iである請求項1〜9のいずれか1項記載の特異的結合メンバー。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項記載の特異的結合メンバーの生成方法であって、76Br、77Br、123I、124I、131I 及び2llAtから成る群から選択された同位体により、特異的結合メンバーをラベリングすることを含んで成る方法。
  12. 前記ラベリングが、前記特異的結合メンバーの存在下で、76Br-77Br-123I-124I-131I- 及び2llAt-から成る群から選択されたハロゲン化物を酸化することを含んで成る請求項11記載の方法。
  13. 前記ラベリングが、76Br、77Br、123I、124I、131I 及び2llAtから成る群から選択された放射性同位体を含む、活性化された二官能価ハロゲンキャリヤーを、リシン又はシステイン残基、又は前記特異的結合メンバーのN−末端に接合することを含んで成る請求項11記載の方法。
  14. 前記ラベリングの前、前記特異的結合メンバーをコードする核酸を発現することを含んで成る請求項11〜13のいずれか1項記載の方法。
  15. 前記特異的結合メンバーの生成のための条件下で、宿主細胞を培養することを含んで成る請求項14記載の方法。
  16. 前記特異的結合メンバーを単離し、そして/又は精製することをさらに含んで成る請求項11〜15のいずれか1項記載の方法。
  17. 前記特異的結合メンバーを、少なくとも1つの成分を含む組成物中に配合することをさらに含んで成る請求項11〜16のいずれか1項記載の方法。
  18. 前記特異的結合メンバーを、ED-B又はED-Bのフラグメントを結合することをさらに含んで成る請求項11〜17のいずれか1項記載の方法。
  19. 請求項1〜10のいずれか1項記載のED-Bを結合する特異的結合メンバーを、ED-B又はED-Bのフラグメントに結合することを含んで成る方法。
  20. 前記結合、インビトロで生じる請求項18又は19記載の方法。
  21. ED-B又はED-Bのフラグメントへの特異的結合メンバーの結合の量を決定することを含んで成る請求項18〜20のいずれか1項記載の方法。
  22. 請求項1〜10のいずれか1項記載の特異的結合メンバーを含んで成る、ヒト又は動物体の治療処理方法への使用のための組成物。
  23. 病理学的脈管形成の病変の処理方法への使用のための請求項22記載の組成物。
  24. 腫瘍の処理方法への使用のための請求項22記載の組成物。
  25. 診断方法への使用のための請求項22〜24のいずれか1項記載の組成物。
  26. 病理学的脈管形成の病変の処理のための薬剤の製造への請求項1〜10のいずれか1項記載の特異的結合メンバーの使用。
  27. 腫瘍の処理のための薬剤の製造への請求項1〜10のいずれか1項記載の特異的結合メンバーの使用。
  28. 診断用試薬の製造への請求項1〜10のいずれか1項記載の特異的結合メンバーの使用。
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