JP2007321871A - 流体封入式防振装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】防振装置のコンパクト化が図られつつ、空気室や流体室の流体密性が向上されて所期の防振性能が安定して得られる、改良された構造の流体封入式防振装置を提供する。
【解決手段】空気通路部材54の嵌込部51が仕切部材66の嵌着孔80に嵌め入れられて、空気通路部材54と仕切部材66との何れか一方における軸方向の重ね合わせ面において空気通路84の周囲に形成された環状突部77が溶着されることにより空気通路部材54が仕切部材66に固着されている一方、空気通路部材54と仕切部材66の軸方向の重ね合わせ面58には空気通路84の周りを囲むシールゴム92が挟圧状態で配されていると共に、空気通路部材54には位置決め突起51が設けられおり、位置決め突起51の仕切部材66への軸方向の当接によって空気通路部材54の仕切部材66への軸方向の嵌め込み位置が規定されている。
【選択図】図1
【解決手段】空気通路部材54の嵌込部51が仕切部材66の嵌着孔80に嵌め入れられて、空気通路部材54と仕切部材66との何れか一方における軸方向の重ね合わせ面において空気通路84の周囲に形成された環状突部77が溶着されることにより空気通路部材54が仕切部材66に固着されている一方、空気通路部材54と仕切部材66の軸方向の重ね合わせ面58には空気通路84の周りを囲むシールゴム92が挟圧状態で配されていると共に、空気通路部材54には位置決め突起51が設けられおり、位置決め突起51の仕切部材66への軸方向の当接によって空気通路部材54の仕切部材66への軸方向の嵌め込み位置が規定されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、非圧縮性流体が封入された流体室を備え、封入流体の流動作用に基づき防振効果を得るようにした流体封入式防振装置に係り、特に、流体室の壁部の一部を可動部材で構成すると共に可動部材の背後に空気室を形成し、空気室に外部から空気圧を及ぼすことによって防振特性を制御するようにした空気圧制御型の流体封入式防振装置に関するものである。
従来から、振動伝達系を構成する部材間に介装されてそれらの部材を防振連結する防振装置の一種として、内部に非圧縮性流体が封入された受圧室と平衡室をオリフィス通路で相互に連通せしめて、振動入力時にオリフィス通路を通じて流動せしめられる流体の共振作用等の流動作用に基づいて防振効果を得るようにした流体封入式防振装置が、知られている。また、この流体封入式防振装置では、受圧室の壁部の一部を可動膜で構成すると共に、可動膜の背後に空気室を形成し、空気室に外部から空気圧を及ぼすことによって、受圧室の圧力を制御して防振特性を制御する構造が公知とされている。例えば特許文献1(特開2004−301221号公報)に記載されているものが、それである。
ところで、このような空気圧制御型の流体封入式防振装置においては、空気室に空気圧を及ぼすための空気通路を装置内部に形成すると共に、外部の空気圧源を空気通路に接続する接続口を、装置外部に開口させて形成する必要がある。そこで、従来では、一般に、上記特許文献1にも示されているように、受圧室と平衡室を仕切る仕切部材の内部に軸直角方向に延びて外周面に開口するように空気通路を形成して、仕切部材の外周面に接続口を形成すると共に、仕切部材の外周面に嵌着固定された外筒部材において接続口に対応する位置に窓部を設け、接続口を外筒部材の外周面に形成した構造が、採用されている。
ところが、当該構造の防振装置では、空気通路が仕切部材に対して軸直角方向に延びるように形成されていることが、空気通路の通路長さや断面積を確保するために、仕切部材の軸方向寸法や軸直角方向寸法を大きくする原因となり、結果的に、防振装置が大型化して、装着条件が制限される問題があった。また、外筒部材の窓部の形成や窓部と接続口の位置合わせ等に手間がかかる問題を内在していた。
そこで、本出願人は、上述の問題に鑑み、特許文献2(特開平11−2282号公報)に示される如き流体封入式防振装置を提案した。この防振装置は、仕切部材に形成された空気室から外部に突出するパイプ部をダイヤフラムを貫通して軸方向外方に延び出させて、パイプ部内に空気通路を形成した構造とされている。それによって、仕切部材における空気通路の軸方向寸法および軸直角方向寸法が小さく抑えられて、仕切部材を小さく設計することが出来、防振装置のコンパクト化が図られ得ることに加え、仕切部材を嵌着固定するアウタ筒金具の外周面に窓部を形成する必要がなくなって、製造の簡便化が図られ得る。
しかしながら、本出願人が上述の特許文献2に係る流体封入式防振装置について検討を加えたところ、空気室と流体室の間に配されるパイプ部のシール性に関して、未だ改良の余地のあることが分かった。
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、防振装置のコンパクト化が図られつつ、空気室や流体室の流体密性が向上されて所期の防振性能が安定して得られる、改良された構造の流体封入式防振装置を提供することにある。
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意な組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載されたもの、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
すなわち、本発明の特徴とするところは、第一の取付部材が筒状の第二の取付部材の軸方向一方の側に離隔配置されており、それら第一の取付部材と第二の取付部材が本体ゴム弾性体で連結されて該第二の取付部材の軸方向一方の開口部が流体密に閉塞されていると共に、該第二の取付部材の軸方向他方の側に可撓性ゴム膜が配設されて該軸方向他方の開口部が流体密に閉塞せしめられ、更に仕切部材が該第二の取付部材に固定的に支持されており、壁部の一部が該本体ゴム弾性体で構成されて振動入力時に圧力変動が生ぜしめられる受圧室と壁部の一部が該可撓性ゴム膜で構成されて容積変化が容易に許容される平衡室とが該仕切部材の軸方向両側に形成されて、それら受圧室と平衡室がオリフィス通路によって相互に連通されている一方、該仕切部材の中央部分において該受圧室に向かって開口する凹所が形成されて、該凹所が可動膜で覆蓋されることにより空気室が形成されていると共に、該空気室に対して外部から空気圧を及ぼす空気通路が形成されており、該空気室の圧力制御に基づき防振特性が制御可能とされている流体封入式防振装置において、前記仕切部材が熱可塑性樹脂で形成されて該仕切部材における前記凹所の底壁部に嵌着孔が貫通形成されている一方、前記可撓性ゴム膜の中央部分に熱可塑性樹脂で形成された空気通路部材が貫通状態で加硫接着されて、該可撓性ゴム膜から一方の側に突出せしめられた該空気通路部材で嵌込部が形成されていると共に、該可撓性ゴム膜から他方の側に突出せしめられた該空気通路部材でポート部が形成されており、該嵌込部が該仕切部材の該嵌着孔に嵌め入れられて、該空気通路部材と該仕切部材との何れか一方における軸方向の重ね合わせ面において前記空気通路の周囲に形成された環状突部が溶着されることにより該空気通路部材が該仕切部材に固着されている一方、該空気通路部材と該仕切部材の軸方向の重ね合わせ面には該空気通路の周りを囲むシールゴムが挟圧状態で配されていると共に、該空気通路部材と該仕切部材の何れか一方には位置決め突起が設けられおり、該位置決め突起の他方への軸方向の当接によって該空気通路部材の該仕切部材への軸方向の嵌め込み位置が規定されていることにある。
このような本発明に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、空気通路部材が可撓性膜を貫通して仕切部材と軸方向に重ね合わせられて、空気室のポート部が構成されていることにより、仕切部材におけるポートの形成領域が抑えられて、仕切部材、延いては防振装置のコンパクト化が有利に達成され得る。
また、空気通路部材と仕切部材が環状突部を介して溶着により固定されていることから、固定作業を含む製造が容易となると共に、空気通路部材と仕切部材の固定状態が安定する。しかも、空気通路部材と仕切部材が、挟圧により弾性変形したシールゴムを介して互いに重ね合わせられていることで、かかる重ね合わせ面間が流体密にシールされている。
特に、本発明に係る流体封入式防振装置では、空気通路部材と仕切部材の何れか一方に設けられた位置決め突起が他方に軸方向に当接することによって、仕切部材と空気通路部材の軸方向位置が規定されるため、シールゴムの変形量が高精度に設定される。それ故、シールゴムの所期の変形量が安定して得られて、空気通路部材と仕切部材の重ね合わせ面間が高度にシールされることとなり、平衡室を含む流体室や空気室の流体密性が有利に向上され得るのである。
また、本発明に係る流体封入式防振装置では、前記仕切部材における前記嵌着孔の軸方向中間部分に段差面が形成されて、該段差面よりも前記空気室と反対側が大径とされている一方、前記空気通路部材には軸方向中間部分に大径部が形成されて、前記嵌込部と前記ポート部がそれぞれ該大径部から軸方向の各一方の側に延び出す小径部として形成されており、該大径部の外周面に対して前記可撓性ゴム膜が加硫接着されていると共に、該嵌込部の軸方向先端面に形成された前記環状突部が該嵌着孔の該段差面に溶着されており、且つ、該仕切部材における該嵌着孔の開口端面に対する該空気通路部材の該大径部の重ね合わせ部分に前記シールゴムが挟圧状態で配されている構造が、好適に採用される。
このような構造によれば、大径部を挟んだ軸方向両側に嵌込部とポート部が形成されていることで空気通路部材の横方向への突出が抑えられていると共に、嵌込部が仕切部材の嵌着孔に嵌め入れられることに基づき空気通路部材の軸方向外方への突出が抑えられている。また、嵌込部の軸方向端面が仕切部材の段差面に当接することによって、空気通路部材の仕切部材への嵌め込み位置が規定されていることから、かかる嵌込部が位置決め突起として機能する。更に、大径部の仕切部材への重ね合わせ部分を利用して、シールゴムの空気通路部材と仕切部材の間における挟圧部分が有利に確保され得る。
それ故、空気通路部材が小形化されると共に、空気通路部材の部品点数の削減化が図られて、防振装置のコンパクト化が一層有利に実現され得るのである。
また、本構造に基づく防振装置では、環状突部が空気通路部材の径方向内側の小径部に設けられていることによって、環状突部の周方向長さが比較的に短くされている。これにより、環状突部が溶着される仕切部材の段差面への接触面積が小さくされて、環状突部の全体に亘って溶着の程度にばらつきが生じることが抑えられる。それ故、仕切部材と空気通路部材の固定状態が安定し、シールゴムの所期の変形量が安定して得られることから、流体室と空気室の流体密性の信頼性がより向上され得る。
また、本発明に係る流体封入式防振装置では、前記シールゴムが、前記可撓性ゴム膜と一体成形されている構造が、好適に採用される。これにより、可撓性膜ゴム膜と別に準備したシールゴムを仕切部材と空気通路部材の重ね合わせ面間に配設する必要がなくなって、製造が容易となる。
また、本発明に係る流体封入式防振装置では、前記仕切部材と前記空気通路部材における何れか一方の重ね合わせ面には、前記空気通路の回りを囲む環状溝が形成されており、前記シールゴムが該環状溝に入り込んで挟圧変形せしめられている構造が、好適に採用される。
このような構造によれば、シールゴムの変形量が全体に亘って一層均一になり、不規則な変形が効果的に抑えられる。これにより、仕切部材と空気通路部材の重ね合わせ面間のシールの信頼性が一層有利に向上され得る。
また、本発明に係る流体封入式防振装置では、前記本体ゴム弾性体の中央部分に前記第一の取付部材が加硫接着されていると共に、該本体ゴム弾性体の外周面に円筒形状のオリフィス金具が加硫接着されている一方、前記第二の取付部材の軸方向一方の開口部が該オリフィス金具に対して流体密に外嵌固着されることによって該本体ゴム弾性体の外周面に固着されていると共に、該第二の取付部材の軸方向他方の開口部に対して前記可撓性ゴム膜の外周縁部が加硫接着されており、更に、該第二の取付部材の軸方向中間部分に段差部が形成されて該段差部に対して前記仕切部材の外周部分が載置されていると共に、該オリフィス金具における該仕切部材側が小径筒部とされており、該小径筒部の軸方向端部により該仕切部材の外周部分が該第二の取付部材の該段差部に対して押し付け固定されていると共に、該小径筒部と該第二の取付部材との軸直角方向対向面間を周方向に延びるようにして前記オリフィス通路が形成されている構造が、好適に採用される。
このような構造によれば、オリフィス通路が仕切部材の外周部分を周方向に延びるように形成されていることから、特別にオリフィス通路を仕切部材に形成する必要がなくなり、それによって、仕切部材、延いては防振装置の更なるコンパクト化が図られ得る。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について説明する。先ず、図1には、本発明の一実施形態としての自動車用エンジンマウント10が示されている。このエンジンマウント10は、第一の取付部材としての第一の取付金具12と第二の取付部材としての第二の取付金具14が本体ゴム弾性体16で弾性連結された構造を呈している。第一の取付金具12が防振連結される一方の取付部材としてのパワーユニットに固定されると共に、第二の取付金具14が防振連結される他方の取付部材としての車両ボデーに固定されることによって、パワーユニットを車両ボデーに対して防振支持せしめるようになっている。
なお、図1では、自動車に装着する前のエンジンマウント10の単体での状態が示されているが、本実施形態では、装着状態において、パワーユニットの分担支持荷重がマウント軸方向(図1中、上下)に入力される。従って、マウント装着状態下では、本体ゴム弾性体16の弾性変形に基づき第一の取付金具12と第二の取付金具14が軸方向で互いに接近する方向に変位する。また、かかる装着状態下、防振すべき主たる振動は、略マウント軸方向に入力されることとなる。以下の説明において、特に断りのない限り、上下方向は、マウント軸方向となる図1中の上下方向をいう。
より詳細には、第一の取付金具12が、略円柱形状乃至は下方に凸となる略円錐台形状を呈していると共に、中央部分には、螺子穴18が設けられている。図示しない固定ボルトがパワーユニット側の取付部材を通して螺子穴18に螺着固定されることにより、第一の取付金具12がパワーユニットに固定されるようになっている。この第一の取付金具12には、本体ゴム弾性体16が固着されている。
本体ゴム弾性体16は、略円錐台形状を呈していると共に、大径側端面には、下方に開口する略すり鉢形状の凹部20を備えている。第一の取付金具12が、本体ゴム弾性体16の小径側端面から軸方向に差し込まれた状態で同一中心軸上に配されて加硫接着されている。また、本体ゴム弾性体16の大径側端部外周面には、オリフィス金具としての大径円筒形状の金属スリーブ22が重ね合わせられて加硫接着されている。要するに、本体ゴム弾性体16は、第一の取付金具12や金属スリーブ22と一体的に加硫成形されていることによって、図2〜5にも示されているような第一の取付金具12や金属スリーブ22を備えた第一の一体加硫成形品24として形成されている。
また、金属スリーブ22の軸方向中間部分には、軸直角方向(図1中、左右)に円環形状に広がる段部26が形成されており、この段部26を挟んだ上方が大径筒部28とされていると共に、段部26を挟んだ下方が大径筒部28よりも径寸法が小さな小径筒部30とされている。大径筒部28の内周面が本体ゴム弾性体16の大径側端部外周面に加硫接着されていると共に、段部26の内周面が本体ゴム弾性体16の大径側端面に加硫接着されている。また、小径筒部30の下方の先端部分には、本体ゴム弾性体16と一体形成されたシールリップ32が突設されて、略一定の断面で周方向の全周に亘って連続して延びている。
なお、図2〜5では、第一の一体加硫成形品24の加硫成形後の状態が示されており、金属スリーブ22の大径筒部28が上方に向かって次第に拡径するテーパ形状とされているが、後述する第二の一体加硫成形品60との組み付け前には、大径筒部28に八方絞り等の縮径加工が施されて、大径筒部28がストレートな円筒形状とされる。この縮径加工に基づいて本体ゴム弾性体16に径方向の予圧縮が及ぼされることとなり、それによって、本体ゴム弾性体16の応力集中が抑えられるようになっている。
さらに、金属スリーブ22の小径筒部30の周上の一箇所には、連通窓34が厚さ方向に貫設されている。また、小径筒部30には、連通窓34と隣り合うようにして連通窓34の周方向一方の側に仕切壁部36が突設されている。仕切壁部36は、略矩形平板形状を有しており、本体ゴム弾性体16と一体形成されている。仕切壁部36の上端面が金属スリーブ22の段部26の下端面に加硫接着されていると共に、仕切壁部36の幅方向一方(図4中、左)の端面が小径筒部30の外周面に加硫接着されている。また、仕切壁部36の下端面が小径筒部30の下端部分と略同じ高さに位置せしめられていると共に、仕切壁部36の幅方向他方(図4中、右)の端部が金属スリーブ22の大径筒部28と軸直角方向で略同じ位置に位置せしめられている。
更にまた、仕切壁部36の上方に位置する本体ゴム弾性体16の外周面には、凹凸状の刻印38が付されている。従って、第一の一体加硫成形品24を上方から見て仕切壁部36が見えない状態でも、刻印38を視認することにより、金属スリーブ22における仕切壁部36の形成位置が分かるようになっている。
一方、第二の取付金具14は、大径の略段付き円筒形状を有しており、軸方向中間部分(本実施形態では下端部付近)には、軸直角方向に円環形状に広がる段差部40が形成されている。段差部40を挟んで、軸方向上部が大径部42とされていると共に、軸方向下部が大径部42よりも径寸法が小さな小径部44とされている。また、段差部40や大径部42、小径部44の内周面には、略全体に亘って薄肉のシールゴム層46が加硫接着されていると共に、シールゴム層46には、略一定の断面で周方向に連続して延びるシールリップ48の複数条が突設されている。また、小径部44には、可撓性ゴム膜としてのダイヤフラム50が配されている。シールゴム層46やダイヤフラム50は、一体形成されている。
ダイヤフラム50は、略円板形状を有していると共に、薄肉のゴム膜からなり、その外周縁部(面)が第二の取付金具14の小径部44の内周面に加硫接着されていることによって、第二の取付金具14の下方の開口部を流体密に閉塞している。また、ダイヤフラム50の中央部分と外周部分の間の径方向中間部分に下方に向かって湾曲した断面で周方向に延びる膨らみ部52が形成されていることで、ダイヤフラム50が、軸方向に弛みをもって弾性変形容易とされている。
ダイヤフラム50の中央部分には、空気通路部材としてのパイプ部材54が設けられている。パイプ部材54は、細長の略円筒形状を有しており、硬質の熱可塑性樹脂材を用いて形成されている。パイプ部材54の軸方向両端部には、軸方向外方に向かって次第に径寸法が小さくなる、所謂テーパ形状の面取り加工が施されている。
特に、パイプ部材54の軸方向中央部分には、周方向の全周に亘って略一定の矩形断面で延びる、大径部としての環状ブロック56が突設されており、この環状ブロック56の軸方向両端部がパイプ部材54の外周壁部から軸直角方向に円環形状に広がっていることによって、かかる端部でパイプ部材54の段差部58が構成されている。
すなわち、パイプ部材54は、環状ブロック56を挟んだ軸方向一方(図1中、上)の側に嵌込部51を備えていると共に、環状ブロック56を挟んだ軸方向他方の側にポート部53を備えている。換言すると、これら嵌込部51とポート部53が環状ブロック56から軸方向の各一方の側に延び出す小径部として形成されている。嵌込部51がダイヤフラム50の内方に位置せしめられていると共に、ポート部53がダイヤフラム50の外方に位置せしめられている。
なお、パイプ部材54の外径寸法は、パイプ部材54に外嵌固定される部材の径寸法に応じて適宜に設定変更されるものであり、本実施形態では、パイプ部材54の嵌込部51の外径寸法が、ポート部53の外径寸法よりも大きくされている。また、パイプ部材54の内径寸法が、軸方向の全長に亘って略一定とされている。
このようなパイプ部材54がダイヤフラム50の中央部分に配されて、即ち第二の取付金具14と軸直角方向に所定距離を隔てて且つ同一中心軸上に配されて、環状ブロック56の外周部分がダイヤフラム50の中央部分を貫通して加硫接着されている。このことからも明らかなように、ダイヤフラム50は、第二の取付金具14やパイプ部材54と一体的に加硫成形されていることによって、図6〜8にも示されているような第二の取付金具14やパイプ部材54を備えた第二の一体加硫成形品60として形成されている。なお、図6〜8では、第二の一体加硫成形品60の加硫成形後の状態が示されており、第二の取付金具14の大径部42が上方に向かって次第に拡径するテーパ形状とされている。また、本実施形態では、環状ブロック56の外周部分とダイヤフラム50の膨らみ部52の内周部分が、径方向に所定距離を隔てずに接している。
特に本実施形態では、第二の取付金具14の小径部44における周上の一箇所に、第二の取付金具14における周方向の位置決め手段としての位置決め突部62が設けられている。位置決め突部62は、略矩形平板形状を有しており、ダイヤフラム50と一体形成されている。位置決め突部62の上端面が第二の取付金具14の段差部40の下端面に加硫接着されていると共に、位置決め突部62の幅方向一方(図6中、左)の端面が小径部44の外周面に加硫接着されている。また、位置決め突部62の下端面が小径部44の下端部分と略同じ高さに位置せしめられていると共に、位置決め突部62の幅方向他方(図6中、右)の端部が第二の取付金具14の大径部42よりも軸直角方向内方に位置せしめられている。この位置決め突部62によって、外観が略回転対称形状の第二の一体加硫成形品60において周方向の位置が設定されている。
なお、ダイヤフラム50の環状ブロック56の外周面に加硫接着される部位が、環状ブロック56の軸方向中間部分に位置せしめられている。また、ダイヤフラム50の中央部分における環状ブロック56の周りには、3つの突起64,64,64が周方向で略等間隔に設けられている。これら突起64は、ダイヤフラム50と一体形成されて、軸方向上方に向かって突設されていると共に、環状ブロック56の軸方向中間部分から上部にかけての外周面に加硫接着されている。これらの突起64は、第二の一体加硫成形品60のダイヤフラム50を金型を用いて射出成形する際に、ノズルの開口部分をダイヤフラム50の形成部位から離隔させたために設けられたものである。ノズルの開口部分をダイヤフラム50の形成部位から離隔させて射出成形することによって、薄肉のダイヤフラム50を形成するに際しても、材料の射出が安定して実現され、しかも周方向に3つ設けられていることによって、射出が効率的になる。
また、第二の一体加硫成形品60には、仕切部材66が組み付けられている。仕切部材66は、略円板形状を有していると共に、硬質の熱可塑性樹脂材で形成されている。更に、仕切部材66には、上面中央に開口する中央凹所68が形成されている。中央凹所68は、僅かに下方に凸となる湾曲した内周面を備えたすり鉢形状とされている。更にまた、仕切部材66の外周部分には、板厚方向に貫通する連通孔70が設けられている。また、中央凹所68の開口周縁部には、上方に向かって突出する環状の係止突部72が一体形成されている。
さらに、可動膜としての略円板形状を有する弾性ゴム膜74が、中央凹所68の開口部に重ね合わせられており、弾性ゴム膜74の外周面に加硫接着された円筒形状の係止金具76が、その下端開口部において仕切部材66の係止突部72に外嵌されて、係止突部72に対して流体密にかしめ固定されている。これにより、中央凹所68の開口部が弾性ゴム膜74によって流体密に覆蓋されて、仕切部材66と弾性ゴム膜74の間に空気室78が形成されている。
仕切部材66の底部中央には、嵌着孔80が貫設されている。嵌着孔80は、円形断面で軸方向に延びており、一方の開口部が空気室78に接続されていると共に、他方の開口部が外部空間に開口している。また、嵌着孔80の軸方向中間部分には段差面81が形成されて、段差面81よりも空気室78と反対側の空間が大径とされている(図9,10参照。)。
特に本実施形態において、仕切部材66の中央部分の嵌着孔80の周りには、略円環ブロック形状の支持突部82が一体形成されて下方に向かって突出している。嵌着孔80が支持突部82の内孔が嵌着孔80と滑らかに接続されていることによって、嵌着孔80の軸方向長さが実質的に大きくされている。支持突部82の内孔の開口端部が、円形断面が下方に次第に大きくなるテーパ形状とされている。
また、パイプ部材54の嵌込部51における軸方向端部の外周縁部には、図9にも示されているように、環状突部77が一体形成されている。環状突部77は、小形の矩形断面で周方向の全周に亘って連続して延びている。
仕切部材66が第二の取付金具14の上側開口部から嵌め込まれて、仕切部材66の外周部分が第二の取付金具14の段差部40に重ね合わせられている。また、パイプ部材54の嵌込部51が嵌着孔80の大径部に嵌め入れられて、嵌込部51に設けられた環状突部77の先端面と仕切部材66の嵌着孔80の段差面81が軸方向に当接している。また、パイプ部材54の環状ブロック56の段差部58と仕切部材66の支持突部82が軸方向に重ね合わせられている。
そして、かかる当接状態下で、環状突部77と仕切部材66の当接面間に超音波振動を与えて、環状突部77が仕切部材66に溶着されている(図10参照。)。これにより、仕切部材66が第二の一体加硫成形品60に組み付けられていると共に、空気室78がパイプ部材54の内孔84を通じて外部空間に連通されている。
また、仕切部材66が組み付けられた第二の一体加硫成形品60の第二の取付金具14の上方開口部から、第一の一体加硫成形品24の金属スリーブ22が嵌め込まれて、第一の取付金具12の中心軸と第二の取付金具14の中心軸が略同一線上に位置せしめられた形態で、金属スリーブ22の小径筒部30の軸方向端部が、シールリップ32を介して仕切部材66に流体密に重ね合わせられている。また、弾性ゴム膜74の係止金具76が金属スリーブ22の内側に嵌め込まれて、金属スリーブ22の小径筒部30と係止金具76が径方向に所定距離を隔てて配されている。
さらに、第二の取付金具14の大径部42に八方絞り等の縮径加工が施されて、大径部42が、シールゴム層46を介して金属スリーブ28の大径筒部28と仕切部材66の外周部分に対して密着状に嵌着固定されている。これにより、第一の一体加硫成形品24と第二の一体加硫成形品60が組み付けられて、第一の取付金具12と第二の取付金具14が軸方向に所定距離を隔てて本体ゴム弾性体16で相互に弾性連結されていると共に、第二の取付金具14の上側開口部が本体ゴム弾性体16で流体密に閉塞されている。また、第二の取付金具14は、図示しないブラケット金具等を用いて車両ボデー側の取付部材に固定されるようになっている。
また、本体ゴム弾性体16とダイヤフラム50の間には、非圧縮性流体の流体封入領域が形成されていると共に、流体封入領域の中間部分には、仕切部材66が配されて、流体封入領域を流体密に二分している。この仕切部材66を挟んだ一方(図1中、上)の側には、壁部の一部が本体ゴム弾性体16で構成されて、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間への振動入力時に本体ゴム弾性体16の弾性変形に基づいて圧力変動が惹起される受圧室86が形成されている。また、仕切部材66を挟んだ他方(図1中、下)の側には、壁部の一部がダイヤフラム50で構成されて、ダイヤフラム50の弾性変形に基づき容積変化が許容される平衡室88が形成されている。これら受圧室86や平衡室88には、非圧縮性流体が封入されている。封入流体としては、例えば水やアルキレングリコール, ポリアルキレングリコール, シリコーン油等が採用されるが、特に流体の共振作用等の流動作用に基づく防振効果を有効に得るためには、0.1Pa・s以下の低粘性流体を採用することが望ましい。
なお、受圧室86や平衡室88への非圧縮性流体の封入は、例えば、仕切部材66が組み付けられた第二の一体加硫成形品60に対する第一の一体加硫成形品24の組み付けを、非圧縮性流体中で行うことによって、有利に実現される。また、非圧縮性流体中で組み付け作業する際に、空気室78に非圧縮性流体が入らないように、パイプ部材54のポート部53の開口端部には、図示しないキャップが取り付けられて流体密に覆蓋されている。
また、金属スリーブ22の小径筒部30と第二の取付金具14の大径部42が径方向に所定距離を隔てて対向位置せしめられていると共に、金属スリーブ22の段部26と仕切部材66の外周側の上端部分が軸方向に所定距離を隔てて対向位置せしめられており、これら金属スリーブ22や第二の取付金具14、仕切部材66で仕切られた環状の空間が、シールゴム層46やシールリップ32の弾性変形作用を利用して流体密に閉塞されている。また、金属スリーブ22の小径筒部30に突設された仕切壁部36が第二の取付金具14の大径部42と仕切部材66に密着状に当接していることによって、環状の空間の一部が流体密に仕切られている。更に、周方向で金属スリーブ22における仕切壁部36を挟んだ連通窓34と反対側に、仕切部材66の連通孔70が位置せしめられている。それによって、当該空間により、マウント10の外周部分を周方向に所定の長さ(本実施形態では一周弱)で延びるオリフィス通路90が形成されている。このオリフィス通路90の一方の端部が連通窓34を通じて受圧室86に接続されていると共に、オリフィス通路90の他方の端部が連通孔70を通じて平衡室88に接続されていることによって、受圧室86と平衡室88がオリフィス通路90を通じて相互に連通せしめられて、それら両室86,88間で、オリフィス通路90を通じての流体流動が許容されるようになっている。
なお、オリフィス通路90を流動せしめられる流体の共振周波数が、該流体の共振作用に基づいてアイドリング振動等に相当する20Hz前後の低周波数域の振動に対して有効な防振効果が発揮されるようにチューニングされている。オリフィス通路90のチューニングは、例えば、受圧室86や平衡室88の各壁ばね剛性、即ちそれら流体室を単位容積だけ変化させるのに必要な圧力変化量に対応する本体ゴム弾性体16やダイヤフラム50等の各弾性変形量に基づく特性値を考慮しつつ、オリフィス通路90の通路長さと通路断面積を調節することによって行うことが可能であり、一般に、オリフィス通路90を通じて伝達される圧力変動の位相が変化して略共振状態となる周波数を、当該オリフィス通路90のチューニング周波数として把握することが出来る。
特に本実施形態では、第二の一体加硫成形品60と仕切部材66の組み付けの際に、仕切部材66の連通孔70が第二の取付金具14の位置決め突起62と周方向で同じ位置になるように位置合わせされている。また、仕切部材66が組み付けられた第二の一体加硫成形品60と第一の一体加硫成形品24の組み付けの際に、本体ゴム弾性体16に付された刻印38と第二の取付金具14の位置決め突起62が周方向で同じ位置になるように位置合わせされている。その結果、上述の如く、周方向で仕切壁部36を挟んだ連通窓34と反対側に、連通孔70が位置せしめられるようになっている。
また、弾性ゴム膜74が受圧室86内に位置せしめられていることで、受圧室86の壁部の別の一部が弾性ゴム膜74で構成されている。弾性ゴム膜74は、その一方の面に受圧室86の圧力が及ぼされるようになっていると共に、他方の面に空気室78の圧力が及ぼされるようになっており、受圧室86と空気室78の相対的な圧力変動の差に基づいて弾性変形するようになっている。
また、パイプ部材54におけるダイヤフラム60から外方に突出せしめられた部位、即ちパイプ部材54の環状ブロック56を挟んだ下方のポート部53には、エンジンマウント10の自動車への装着状態下で、図示しない空気管路が接続され、この空気管路とパイプ部材54の内孔84を通じて、空気室78が、図示しない切換弁を介して、負圧源と大気中に択一的に接続される。そして、切換弁を切換作動することによって、エンジンマウント10の防振特性が切換制御される。このことからも明らかなように本実施形態では、空気室78に対して外部から空気圧を及ぼす空気通路が、パイプ部材54の内孔84を含んで構成されている。
すなわち、空気室78が大気中に接続された状態では、弾性ゴム膜74が、その弾性に基づいて変形が許容される一方、空気室78が負圧源に接続された状態では、弾性ゴム膜74が、負圧吸引力によって空気室78側に強制的に変形して、中央凹所68の底部に重ね合わせられること等によって、変形され難くなる拘束状態に保持される。
それ故、例えばオリフィス通路90のチューニング周波数よりも高周波数域の振動の入力時に、空気室78を大気中に接続して弾性ゴム膜74の弾性変形を許容することにより、該弾性変形による受圧室86の液圧吸収作用に基づいて、オリフィス通路90の目詰まり状態に起因する受圧室86の高動ばね化が回避され、防振効果が安定して得られる。
また、例えば、アイドリング振動等の入力時に、空気室78を負圧源に接続して弾性ゴム膜74の変形を拘束することにより、受圧室86の圧力変動が弾性ゴム膜74の変形作用で吸収されることが回避されて、受圧室86と平衡室88の相対的な圧力変動が有効に惹起せしめられることによって、オリフィス通路90の流体流動量が十分に確保される。それ故、オリフィス通路90の共振作用等の流動作用に基づく防振効果が有利に発揮される。
また、例えば、防振すべき振動の入力時に、該振動に対応した周期の空気圧変動を空気室78に及ぼして、弾性ゴム膜74の変形を制御することによって、受圧室86の圧力変動を能動的に乃至は積極的に制御することも可能であり、それによって、能動的な防振効果が発揮される。
そこにおいて、パイプ部材54における環状ブロック56の段差部58には、円環形状のシールゴム92が突設されている。シールゴム92は、段差部58の径方向中間部分を周方向の全周に亘って略一定の半円状断面で連続して延びており、ダイヤフラム50と一体形成されて段差部58に加硫接着されている。
また、仕切部材66における支持突部82には、下方に開口する環状溝94が設けられている。環状溝94は、支持突部82の径方向中間部分を周方向の全周に亘って略一定の矩形断面で連続して延びていて、全体として略円環形状を呈している。特に本実施形態では、環状溝94の軸方向断面の大きさが、シールゴム92の軸方向断面の大きさと同じか、それよりも所定量だけ小さくされており、例えば環状溝94の軸方向断面の大きさ:S1とシールゴム92の軸方向断面の大きさ:S2の比:S1/S2が、S1/S2=0.7〜1.0とされている。
そして、パイプ部材54の嵌込部51が仕切部材66の嵌着孔80に嵌め込まれて、嵌込部51の先端の環状突部77と嵌着孔80の段差面81が軸方向に当接すると共に、パイプ部材54の段差部58と仕切部材66の支持突部82が軸方向に重ね合わせられる際に、シールゴム92が環状溝94に弾性変形して嵌め込まれている。更に、パイプ部材54の内孔84の周囲に形成された環状突部77が段差面81に溶着されることに基づいてパイプ部材54と仕切部材66が相互に固着された状態で、段差部58と支持突部82の軸方向の重ね合わせ面間において、シールゴム92が弾性変形して挟圧保持されている。それによって、段差部58と支持突部82の重ね合わせ面間が流体密にシールされている。
すなわち、本実施形態に係る自動車用エンジンマウント10においては、パイプ部材54の嵌込部51が仕切部材66の嵌着孔80に嵌め込まれて、嵌込部51の先端の環状突部77と嵌着孔80の段差面81が軸方向に当接することで、パイプ部材54と仕切部材66軸方向位置が規定されている。これに伴い、シールゴム92の圧縮変形量が高度に規定され得る。
しかも、本実施形態では、シールゴム92が環状溝94に嵌め込まれた形態で仕切部材66とパイプ部材54の間に挟圧保持されていることから、シールゴム92の不規則な変形が抑えられて、全体に亘って均一に圧縮変形させることが出来る。従って、不規則な変形に起因して仕切部材66とパイプ部材54の重ね合わせ面間に隙間が生じたり、局所的な応力集中によりシールゴム92の耐久性が劣化する問題等が解消され得る。
それ故、シールゴム92の効果的な弾性変形により、パイプ部材54(段差部58)と仕切部材66(支持突部82)の重ね合わせ面間に優れた流体密性が発揮されて、平衡室88や空気室78の高いシール性に基づき、製品安定性が有利に向上され得るのである。
特に本実施形態では、環状突部77がパイプ部材54において大径の環状ブロック56にではなく、小径の嵌込部57に設けられているため、環状突部77の周方向長さが小さくされている。これにより、パイプ部材54と仕切部材66の溶着面積が小さくされて、環状突部77が全体に亘って均一に溶着されることから、パイプ部材54と仕切部材66の固定が安定する。その結果、パイプ部材54と仕切部材66の軸方向位置が一層高度に規定され、シールゴム92の所期の変形量が安定して得られることに基づき、平衡室88や空気室78のシール性の更なる向上が図られ得る。
また、上述の説明からも明らかなように、本実施形態において、パイプ部材54に設けられて、仕切部材66への軸方向の当接によってパイプ部材54の仕切部材66への軸方向の嵌め込み位置を規定する位置決め突起が、パイプ部材54の嵌込部51を含んで構成されている。この嵌込部51はパイプ部材54の内方先端に一体形成されていると共に、仕切部材66とパイプ部材54を固着する部分としても機能しているため、部品点数の増加が有利に抑えられる。
さらに、本実施形態では、パイプ部材54がダイヤフラム50を貫通して仕切部材66の軸方向に延びる嵌着孔80に固着されて、空気室78のポートが構成されていることにより、仕切部材66におけるポートの形成領域が抑えられている。
更にまた、本実施形態では、オリフィス通路90が、第二の取付金具14や金属スリーブ22、仕切部材66で仕切られる空間を利用して形成されていることから、仕切部材66にオリフィス通路の形成領域を設計する必要がなくなる。
その結果、防振装置のコンパクト化が有利に図られ得るのである。
また、本実施形態では、第二の取付金具14の周方向の位置決め突部92が、第二の取付金具14の小径部44に設けられていることよって、第二の取付金具14の大径部42の縮径加工による金属スリーブ22への組み付け作業に際して、小径部44で阻害されないことから、組み付け作業の簡便化が図られ得る。
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、これはあくまでも例示であり、かかる実施形態における具体的な記載によって、本発明は、何等限定されるものでなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様で実施可能である。また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
例えば、パイプ部材54や仕切部材66、環状突部77、シールゴム92の形状や大きさ、構造等の形態は、例示の如きものに限定されない。以下に、前記実施形態と異なる自動車用エンジンマウントについて、図11〜13を参照しつつ説明するが、前記実施形態と実質的に同一の構造とされた部材および部位については、図中に同一の符号を付することによりそれらの詳細な説明を省略する。
具体的には、前記実施形態において嵌込部51の軸方向端面の外周面に環状突部77が形成されていると共に、パイプ部材54の環状ブロック56の段差部58にシールゴム92を設けていた。
そこで、本発明に係る別の具体例として、例えば図11にも示されているように、嵌込部51の軸方向端面において、環状突部77の径方向内側に円筒形状の位置決め突起96を突設する。また、パイプ部材54の段差部58の外周側に環状溝94を設けると共に、ダイヤフラム50と別体形成されたシールゴムとしてのOリング98を環状溝94に嵌め込む。また、嵌着孔80の段差面81と中央凹所68の底面の間に段差面81よりも小径の第二の段差面100を設ける。そして、嵌込部51を仕切部材66の嵌着孔80に嵌め込み、位置決め突起96を嵌着孔80の第二の段差面100に当接させて軸方向位置を規定しつつ、環状突部77を段差面81に重ね合わせて溶着すると共に、パイプ部材54の段差部58と仕切部材66の支持突部82を軸方向に重ね合わせて、それらの重ね合わせ面間において、環状溝94に嵌め込まれたOリング98を挟圧変形せしめても良い。
また、本発明に係るまた別の具体例として、例えば図12にも示されているように、仕切部材66の嵌着孔80の段差面81の外周側に環状溝94を設ける。また、パイプ部材54の嵌込部51の軸方向端面の径方向内側に環状突部77を一体的に突設すると共に、ダイヤフラム50と一体形成されたシールゴム92を嵌込部51の軸方向端面の環状突部77の外周側に突設する。そして、嵌込部51を仕切部材66の嵌着孔80に嵌め込み、嵌込部51の軸方向端面と嵌着孔80の段差面81を軸方向に重ね合わせて、シールゴム92を環状溝94に嵌め込んで重ね合わせ面間に挟圧変形させると共に、環状突部77を嵌着孔80における環状溝94よりも径方向内側の段差面81に重ね合わせて超音波振動により溶着させても良い。特に、本具体例では、嵌込部51嵌着孔80の嵌め込みに際して、パイプ部材54の段差部58が仕切部材66の嵌着孔80の周りに重ね合わせられて、仕切部材66とパイプ部材54の軸方向位置が規定されるようになっており、それによって、位置決め突起が、パイプ部材54の環状ブロック56の段差部58を含んで構成されている。
。
。
また、本発明に係る更にまた別の具体例として、例えば図13にも示されているように、仕切部材66の中央部分に嵌込部51を下方に向かって突設して、嵌込部51の軸方向端面に環状突部77を突設すると共に、嵌込部51の周りに環状溝94を形成する。また、仕切部材66の中央部分に中央凹所68の底面および嵌込部51を軸方向に貫通する中心孔83を設ける。更にパイプ部材54の中央部分において、内孔84と接続され、且つ内孔84よりも大径の円形凹所状をもって環状ブロック56の軸方向端面(段差部58)に開口する嵌着孔80を設けると共に、環状ブロック56における嵌着孔80の周りの軸方向端面にシールゴム92を設ける。そして、仕切部材66の嵌込部51をパイプ部材54の嵌着孔80に嵌め込んで、嵌込部51を嵌着孔80の底部(面)に当接させて軸方向位置を規定しつつ、仕切部材66の環状突部77をパイプ部材54の嵌着孔80の底面に溶着させると共に、空気室78を嵌込部51の中心孔83およびパイプ部材54の内孔84を通じて外部に開口させる。また、それと共に、パイプ部材54の段差部58と仕切部材66の嵌着部51の周りを軸方向に重ね合わせて、シールゴム92を環状溝94に嵌め込んでそれらの重ね合わせ面間で挟圧変形せしめても良い。
また、前記実施形態では、ダイヤフラム50の膨らみ部52の内周部分がパイプ部材54の環状ブロック56の外周部分と接していたが、例えば膨らみ部をダイヤフラムにおけるパイプ部材と軸直角方向に所定距離を隔てた外周部分に設けることも可能である。それによって、ダイヤフラムの弾性変形量が、全体として大きく確保されて、平衡室の容積の許容変化量が充分に確保されることから、受圧室と平衡室の圧力変動の差が有効な惹起によるオリフィス通路の流体流動量の充分な確保によって、流体の流動作用に基づく所期の防振効果が一層安定して得られるのである。
加えて、前記実施形態では、自動車用エンジンマウント10に本発明を適用したものの具体例を示したが、本発明は、その他、自動車用ボデーマウント等、或いは自動車以外の各種装置用の防振装置に対して適用可能であることは、勿論である。
10…自動車用エンジンマウント、12…第一の取付金具、14…第二の取付金具、16…本体ゴム弾性体、50…ダイヤフラム、51…嵌込部、53…ポート部、54…パイプ部材、58…段差部、66…仕切部材、68…中央凹所、74…弾性ゴム膜、77…環状突部、78…空気室、80…嵌着孔、84…内孔、86…受圧室、88…平衡室、90…オリフィス通路、92…シールゴム
Claims (5)
- 第一の取付部材が筒状の第二の取付部材の軸方向一方の側に離隔配置されており、それら第一の取付部材と第二の取付部材が本体ゴム弾性体で連結されて該第二の取付部材の軸方向一方の開口部が流体密に閉塞されていると共に、該第二の取付部材の軸方向他方の側に可撓性ゴム膜が配設されて該軸方向他方の開口部が流体密に閉塞せしめられ、更に仕切部材が該第二の取付部材に固定的に支持されており、壁部の一部が該本体ゴム弾性体で構成されて振動入力時に圧力変動が生ぜしめられる受圧室と壁部の一部が該可撓性ゴム膜で構成されて容積変化が容易に許容される平衡室とが該仕切部材の軸方向両側に形成されて、それら受圧室と平衡室がオリフィス通路によって相互に連通されている一方、該仕切部材の中央部分において該受圧室に向かって開口する凹所が形成されて、該凹所が可動膜で覆蓋されることにより空気室が形成されていると共に、該空気室に対して外部から空気圧を及ぼす空気通路が形成されており、該空気室の圧力制御に基づき防振特性が制御可能とされている流体封入式防振装置において、
前記仕切部材が熱可塑性樹脂で形成されて該仕切部材における前記凹所の底壁部に嵌着孔が貫通形成されている一方、前記可撓性ゴム膜の中央部分に熱可塑性樹脂で形成された空気通路部材が貫通状態で加硫接着されて、該可撓性ゴム膜から一方の側に突出せしめられた該空気通路部材で嵌込部が形成されていると共に、該可撓性ゴム膜から他方の側に突出せしめられた該空気通路部材でポート部が形成されており、該嵌込部が該仕切部材の該嵌着孔に嵌め入れられて、該空気通路部材と該仕切部材との何れか一方における軸方向の重ね合わせ面において前記空気通路の周囲に形成された環状突部が溶着されることにより該空気通路部材が該仕切部材に固着されている一方、該空気通路部材と該仕切部材の軸方向の重ね合わせ面には該空気通路の周りを囲むシールゴムが挟圧状態で配されていると共に、該空気通路部材と該仕切部材の何れか一方には位置決め突起が設けられおり、該位置決め突起の他方への軸方向の当接によって該空気通路部材の該仕切部材への軸方向の嵌め込み位置が規定されていることを特徴とする流体封入式防振装置。 - 前記仕切部材における前記嵌着孔の軸方向中間部分に段差面が形成されて、該段差面よりも前記空気室と反対側が大径とされている一方、前記空気通路部材には軸方向中間部分に大径部が形成されて、前記嵌込部と前記ポート部がそれぞれ該大径部から軸方向の各一方の側に延び出す小径部として形成されており、該大径部の外周面に対して前記可撓性ゴム膜が加硫接着されていると共に、該嵌込部の軸方向先端面に形成された前記環状突部が該嵌着孔の該段差面に溶着されており、且つ、該仕切部材における該嵌着孔の開口端面に対する該空気通路部材の該大径部の重ね合わせ部分に前記シールゴムが挟圧状態で配されている請求項1に記載の流体封入式防振装置。
- 前記シールゴムが、前記可撓性ゴム膜と一体成形されている請求項1又は2に記載の流体封入式防振装置。
- 前記仕切部材と前記空気通路部材における何れか一方の重ね合わせ面には、前記空気通路の回りを囲む環状溝が形成されており、前記シールゴムが該環状溝に入り込んで挟圧変形せしめられている請求項1乃至3の何れか一項に記載の流体封入式防振装置。
- 前記本体ゴム弾性体の中央部分に前記第一の取付部材が加硫接着されていると共に、該本体ゴム弾性体の外周面に円筒形状のオリフィス金具が加硫接着されている一方、前記第二の取付部材の軸方向一方の開口部が該オリフィス金具に対して流体密に外嵌固着されることによって該本体ゴム弾性体の外周面に固着されていると共に、該第二の取付部材の軸方向他方の開口部に対して前記可撓性ゴム膜の外周縁部が加硫接着されており、更に、該第二の取付部材の軸方向中間部分に段差部が形成されて該段差部に対して前記仕切部材の外周部分が載置されていると共に、該オリフィス金具における該仕切部材側が小径筒部とされており、該小径筒部の軸方向端部により該仕切部材の外周部分が該第二の取付部材の該段差部に対して押し付け固定されていると共に、該小径筒部と該第二の取付部材との軸直角方向対向面間を周方向に延びるようにして前記オリフィス通路が形成されている請求項1乃至4の何れか一項に記載の流体封入式防振装置。
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- 2006-05-31 JP JP2006152688A patent/JP2007321871A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20080820 |
|
A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20090428 |