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JP2007319533A - 医療用マイクロカテーテル - Google Patents

医療用マイクロカテーテル Download PDF

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光治 興梠
Junichi Ikeda
順一 池田
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多挙 九十九
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Abstract

【課題】ガイドワイヤー追従性が良く、患部への到達性が良好なマイクロカテーテルを提供すること。
【解決手段】カテーテルの先端部に曲げ変形を与えたときの断面の短径が該カテーテル初期外径の98.0%以下となるときの内側曲げ変形曲線の曲率半径比(曲率半径比は曲率半径のカテーテル外半径に対する比)が9.0以下であることを特徴とする医療用マイクロカテーテル、前記カテーテルの全長にわたる樹脂内層と、該樹脂内層上に存在する線状の補強材料によってなる補強層と、該補強層の外側を被覆する樹脂外層とからなることを特徴とする前記医療用マイクロカテーテル、前記カテーテル長手軸方向に沿って1mmあたりの補強材素線の数が10以上であることを特徴とする前記医療用マイクロカテーテル、ならびに前記該樹脂内層がフッ素系樹脂からなり、かつ該樹脂外層がポリアミドエラストマーを含むことを特徴とする前記医療用マイクロカテーテル
【選択図】 なし

Description

本発明は、脳、心臓、腹部などの血管や臓器の診断あるいは治療のために細い末梢血管に挿入される医療用マイクロカテーテルに関する。
経皮的に血管内に挿入したカテーテルを脳や心臓、腹部などの臓器に導き、治療薬、側線物質、造影剤などを投与、注入する医療行為は従来から行われている。近年、医学の進歩により、さらに細い末梢血管に挿入できるマイクロカテーテルの開発が要望されている。マイクロカテーテルは曲がりくねった細い末梢血管を術者の操作により確実に進んでいく必要があるため、様々な操作性が要求される。この操作性には、術者の押込み力をマイクロカテーテルの先端まで確実に伝達するトルク伝達性(プッシャビリティー)、マイクロカテーテルの内腔を通っているガイドワイヤーに沿って、曲がりくねった血管内を進むガイドワイヤー追随性、そして血管の屈曲部や湾曲部でもマイクロカテーテルが折れ曲がりを生じない耐キンク性などがあげられる。これらの操作性を実現するためにマイクロカテーテルの先端部を柔軟な材料、手元側を硬質な材料で構成することがよく知られている。また耐キンク性やプッシャビリティーを確保するために、編組構造やコイル構造をとった補強層を構成することも多くのマイクロカテーテルで行われている。
マイクロカテーテル操作性能で最も重要なものは患部への到達性であり、到達性を良好にするために種々の工夫がなされている。ガイドワイヤーを患部まで到達させた後にガイドワイヤーに沿わせてマイクロカテーテルを進ませる方法が一般的である。この場合、マイクロカテーテルの重要な性能のひとつにガイドワイヤーへの追従性能がある。そのためには柔軟であるだけでは不十分であり、屈曲させたときの断面形状が変形しにくいことが重要である。
これまでマイクロカテーテルのガイドワイヤー追従性を高めるために幾多の方法が開示されている。特許文献1には、3.5mmを越えない臨界屈曲直径を有するカテーテルが開示されている。臨界屈曲直径とはカテーテルをループ状に曲げたときにカテーテル断面の短径に対する長径の比が1.5以上になるときのループの直径である。明細書に記述されている測定方法では、ループの形状を決める方法が開示されていないため、追従性の指標としては不明確である。さらに、臨界屈曲直径が絶対値で示されているために、小径のカテーテルに対してはどのようなものでも臨界屈曲直径が3.5mmを越えない値になってしまうという、評価基準自体の不適切さがある。
特許第2672714号公報
本発明の目的は、ガイドワイヤー追従性が良く、患部への到達性が良好な医療用マイクロカテーテルを提供することにある。
本発明は、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、医療用マイクロカテーテルの先端部に曲げ変形を与えたときのカテーテルチューブの断面の物性である、曲げ変形曲率半径比に着目し、この比率を特定の範囲に調整することで、ガイドワイヤー追従性が良好になるという新規な現象を見出し完成させた。
即ち、本発明の要旨は、カテーテルの先端部に曲げ変形を与えたときの断面の短径が該カテーテル初期外径の98.0%以下となるときの内側曲げ変形曲線の曲率半径比(曲率半径比は曲率半径のカテーテル外半径に対する比)が9.0以下であることを特徴とする医療用マイクロカテーテルに関する。
本発明によれば、ガイドワイヤーに沿って円滑に慴動し、滞りなく患部に到達し得る医療用マイクロカテーテルが提供される。
本発明は、医療用マイクロカテーテルであって、該カテーテルの先端部に曲げ変形を与えたときの断面の短径が該カテーテル初期外径の98.0%以下となるときの内側曲げ変形曲線の曲率半径比(曲率半径比は曲率半径のカテーテル外半径に対する比)が9.0以下であることを特徴とする。
本発明において、医療用マイクロカテーテル(以下、単にカテーテルともいう)の先端部とは、カテーテルチューブの先端部の端部から約10〜100mm付近を示す。
本発明では、前記カテーテルの先端部を、後述のような所定の直径を有するピンゲージの頂点に巻きつけることで、前記先端部に曲げ変形を与える。この場合、ピンゲージの直径が小さくなるにつれて、ピンゲージに巻きつけた先端部の断面形状の変形が大きくなる。そして、本発明の医療用マイクロカテーテルは、前記先端部の断面の短径が初期外径の98.0%以下となるときの内側曲げ変形曲線の曲率半径比が9.0以下のものである。
カテーテルの先端部に曲げ変形を与えたときの断面の短径は以下の方法で測定することができる。まずカテーテルの先端部の初期外径をレーザー外径測定器によって測定しておく。次に、図1に示すようにカテーテル1の先端部をピンゲージ2に巻きつけることによって曲げ変形を与える。このときの曲げ変形の内側曲げ変形曲線の曲率半径はピンゲージの半径に等しい。このときのカテーテル断面の短径はレーザー式の3次元形状測定器によって測定することができる。具体的には、ピンゲージの頂点と巻きつけたカテーテルの頂点との高さの差がカテーテル断面の短径である。
巻きつけるピンゲージの直径を小さいものに変えていくと、カテーテル断面の短径は初期外径に比べて小さくなっていく。初期外径の98.0%以下となるときの内側曲げ変形曲線の曲率半径は、そのときのカテーテルを巻きつけたピンゲージの半径である。このピンゲージの半径をカテーテル初期外半径で割って曲率半径比を算出する。カテーテルの先端部に曲げ変形を与えたときの断面の短径が該カテーテル初期外径の98.0%以下となるときの内側曲げ変形曲線の曲率半径比(曲率半径比は曲率半径の初期カテーテル外半径に対する比)は9.0以下であり、好ましくは8.5以下、より好ましくは8.0以下である。
本発明において、カテーテルの樹脂成分、先端部の構成、物性(弾性、硬度など)を適宜選択することで、前記曲率半径比を9.0以下の所望の範囲に調整することができる。
前記曲率半径比は、医療用マイクロカテーテルにおける曲げたときの内腔の変形しにくさを示す。内側曲げ変形曲線の曲率半径比が小さいと、医療用カテーテルを曲げたときに内腔が変形しにくいため、ガイドワイヤー追従性が良好になる。
なお、従来の医療用マイクロカテーテルでは、曲げたときの折れにくさに重点が置かれ、比較的ゆるい曲げのときの内腔の変形には着目されていなかったため、前記曲率半径比はいずれも10を超えるものであり、本発明のような程度まで低い曲率半径比を有するものはなかった。
以下、本発明の医療用マイクロカテーテルについてより詳細に説明する。
本発明の医療用マイクロカテーテルは、例えば、カテーテルの全長にわたる樹脂内層と、該樹脂内層上に存在する線状の補強材料によってなる補強層と、該補強層の外側を被覆する樹脂外層とからなる。前記樹脂内層、補強層、樹脂外層からなるカテーテル本体の基端側にはハブが接続されている。
前記カテーテル本体は、カテーテルチューブを示し、樹脂内層は、カテーテルチューブの全長にわたっている。樹脂内層の厚み、弾性、強度などの物性については、従来の医療用マイクロカテーテルと同じであればよく、特に限定はない。
樹脂内層の材料として、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体などのフッ素系樹脂、ポリプロピレンポリエチレンエチレン酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン系樹脂、ポリイミド等の樹脂、及びその混合物が挙げられる。完成後の製品が内層管を通るガイドワイヤーに対して優れた滑性を呈し、ガイドワイヤー追従性を得る観点からは、ポリテトラフルオロエチレンまたはテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体などのフッ素系樹脂で構成することが好ましい。
前記樹脂内層上には線状の補強材料からなる補強層が構成される。補強層を構成する補強材料は、線状であればよく、補強材料の大きさ、補強層の厚みなどは、前記樹脂内層上に存在させることができる程度であればよく、特に限定はない。
なお、補強層は樹脂内層上を完全に被覆している必要はなく、一部を被覆しているものも含まれる。中でも、良好なガイドワイヤー追従性を実現する観点から、カテーテル長手軸方向に沿って1mmあたりの補強材料の素線の数は10以上であることが好ましく、12以上24以下であることがより好ましい。従来の技術では、カテーテル長手軸方向に沿って1mmあたりの補強材料の素線の数を10以上とする着想がなく、このような構成を採用することは困難であった。具体的には、従来の成形機では、多数の素線を補強層として巻こうとすると断線やもつれが頻繁に生じていた。これに対して、本発明は、「カテーテル長手軸方向に沿って1mmあたりの補強材料の素線の数を10以上」にするという従来技術にはない構成を採用することで、従来のマイクロカテーテルに比べて、ガイドワイヤー追従性を顕著に向上することができる。
なお、素線の数とは、カテーテルチューブを任意の位置で長手軸方向に沿って1mm幅となるように切断した場合、カテーテルチューブの樹脂内層上に存在している補強材料の素線の数をいう。
本発明においては、前記補強素線の数を増やすことで、前記曲率半径比を所望の範囲に低減できる。
補強層の素線の材質としては、樹脂もしくは金属が挙げられる。樹脂の例としては、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン類、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ポリアミドエラストマーなどのポリエステル類、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー、アラミド、ポリアリレートなどが挙げられ、金属の例としてはステンレス鋼、または放射線不透過性が高い材料、たとえばタングステン、白金、イリジウム、金などが挙げられ、望ましい機械的特性及び放射線不透過性によってこれらの材料を組み合わせてもよい。
補強層の構造としては、複数の素線が互いに反対方向に旋回して樹脂内層上を配置され、なおかつ素線の交差点の上下関係が規則性を持って入れ替わる編組構造、単数あるいは複数まとまった素線が一定方向に内層上を旋回して配置されるコイル構造いずれの構造でもよい。
補強層は前記補強材料の素線がカテーテルチューブの厚み方向に多層状に編み込まれたものでもよい。
前記補強層の外側は、樹脂外層で被覆される。この場合、補強層のない部分は、樹脂内層上に樹脂外層が被覆される。樹脂外層の厚み、弾性、強度などの物性については、特に限定はない。
樹脂外層は、たとえば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ポリアミドエラストマーなどのポリアミド類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、編成ポリオレフィンなどのポリエステル類、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー、あるいはこれらのポリマーブレンド、ポリマーアロイなどが挙げられる。特に先端部の屈曲した患部への良好な到達性を実現するという点で、柔軟性なポリアミドエラストマーが好ましい。
前記の構成を有する医療用マイクロカテーテルは、例えば、金属芯線上に内層用樹脂組成物を被覆し、次いで該樹脂層上に補強材料を被覆して補強層を形成したのち、外層用樹脂組成物を被覆させることで製造することができる。
樹脂外層の被覆方法について特に限定はなく、例えば、樹脂内層である内層用チューブの上に補強層の編組を施し、次いで外層用チューブをかぶせて熱溶着する方法がある。
前記のようにして得られる医療用マイクロカテーテルは、脳、心臓、腹部などの血管や臓器の診断あるいは治療に好適に使用される。
(実施例1)
外径0.52mmの金属メッキ銅線にポリテトラフルオロエチレン(以下PTFE)(厚さ0.030mm)で被覆された芯材に、ステンレス剛細線(太さ0.019mm)16組の編組構造で編組による補強層を形成した。このとき、カテーテルの長手方向1mmあたりのステンレス剛細線の数が16になるようにした。あらかじめ押出成形により作製されたポリアミドエラストマー(PEBAX,Arkema製)のチューブショア硬度25、40、70の3本のチューブおよびナイロン12からなるチューブの順番に補強材の上にかぶせ、さらにその上に熱収縮チューブをかぶせ、180℃で加熱して熱収縮チューブの収縮力により外層を熱溶着させた。熱収縮チューブを除去し、金属メッキ銅線を引き抜いてカテーテルを作製した。カテーテル先端部の外径は0.710mmであった。したがってカテーテル先端部の外半径は0.355mmである。図1に示すように、カテーテル1の先端部を直径20mmのピンゲージ2に巻きつけ、3次元形状測定器によってピンゲージ表面に対するカテーテルの高さを測定してカテーテルの短径とした。このときのピンゲージの半径10mmをカテーテル内側曲げ変形曲線の曲率半径とした。このときの短径は0.707mmであり、短径の初期外径に対する比は99.6%であった。同様に19.5mm〜2mm、0.5mm刻みのピンゲージにひとつずつ巻きつけてカテーテルの短径を測定した。ピンゲージの径が小さくなるにつれて短径の値は小さくなっていった。短径が初期外径の98.0%以下となったときのピンゲージの直径は5.5mmであった。このときのカテーテルの内側曲げ変形曲線の曲率半径は2.75mmであり、カテーテルの内側曲げ変形曲線の曲率半径のカテーテル初期外半径に対する比は7.7であった。
このカテーテル中に外径0.46mmのガイドワイヤーを通し、37℃温水中に浸した肝臓動脈を模したアクリル製回路(全長150mm、直径3mm、以下同じ。)にガイドワイヤーを先行させ、ガイドワイヤーに沿ってカテーテルを手動で挿入した。回路入り口から150mm進んだ回路末端までカテーテルを進行させることができた。
(実施例2)
外径0.52mmの金属メッキ銅線にPTFE(厚さ0.030mm)で被覆された芯材に、ステンレス剛細線(太さ0.019mm)を巻きつけて補強層を形成した。このとき、カテーテルの長手方向1mmあたりのステンレス剛細線の数が16になるようにした。あらかじめ押出成形により作製されたポリアミドエラストマー(PEBAX,Arkema製)のチューブショア硬度25、40、70の3本のチューブおよびナイロン12からなるチューブを補強材の上にかぶせ、さらにその上に熱収縮チューブをかぶせ、180℃で加熱して熱収縮チューブの収縮力により外層を熱溶着させた。熱収縮チューブを除去し、金属メッキ銅線を引き抜いてカテーテルを作製した。カテーテル先端部の外径は0.71mmであった。カテーテル先端部を直径20mmのピンゲージに巻きつけ、3次元形状測定器によってピンゲージ表面に対するカテーテルの高さを測定してカテーテルの短径とした。同様に19.5mm〜2mm、0.5mm刻みのピンゲージそれぞれに巻きつけたときのカテーテルの短径を測定した。短径が初期短径の98.0%以下となったときのピンゲージの直径は6.0mmであり、このときのカテーテルの内側曲げ変形曲線の曲率半径のカテーテル初期外半径に対する比は8.5であった。
このカテーテル中に外径0.46mmのガイドワイヤーを通し、37℃温水中に浸した肝臓動脈を模したアクリル製回路にガイドワイヤーを先行させ、ガイドワイヤーに沿ってカテーテルを手動で挿入した。回路入り口から150mm進んだ回路末端までカテーテルを進行させることができた。
(実施例3)
外径0.52mmの金属メッキ銅線にPTFE(厚さ0.030mm)で被覆された芯材に、ステンレス剛細線(太さ0.019mm)を巻きつけて補強層を形成した。このとき、カテーテルの長手方向1mmあたりのステンレス剛細線の数が47になるようにした。あらかじめ押出成形により作製されたポリアミドエラストマー(PEBAX,Arkema製)のチューブショア硬度25、40、70の3本のチューブおよびナイロン12からなるチューブを補強材の上にかぶせ、さらにその上に熱収縮チューブをかぶせ、180℃で加熱して熱収縮チューブの収縮力により外層を熱溶着させた。熱収縮チューブを除去し、金属メッキ銅線を引き抜いてカテーテルを作製した。カテーテル先端部の外径は0.68mmであった。カテーテル先端部を直径20mmのピンゲージに巻きつけ、3次元形状測定器によってピンゲージ表面に対するカテーテルの高さを測定してカテーテルの短径とした。同様に19.5mm〜2mm、0.5mm刻みのピンゲージにひとつずつ巻きつけてカテーテルの短径を測定した。短径が初期短径の98.0%となったときのピンゲージの直径は2.5mmであり、このときのカテーテルの内側曲げ変形曲線の曲率半径のカテーテル初期外半径に対する比は3.7であった。
このカテーテル中に外径0.46mmのガイドワイヤーを通し、37℃温水中に浸した肝臓動脈を模したアクリル製回路にガイドワイヤーを先行させ、ガイドワイヤーに沿ってカテーテルを手動で挿入した。回路入り口から150mm進んだ回路末端までカテーテルを進行させることができた。
(比較例1)
外径0.52mmの金属メッキ銅線にPTFE(厚さ0.030mm)で被覆された芯材に、ステンレス剛細線(太さ0.019mm)16組の編組構造で編組による補強層を形成した。このとき、カテーテルの長手方向1mmあたりのステンレス剛細線の数が8になるようにした。あらかじめ押出成形により作製されたポリアミドエラストマー(PEBAX,Arkema製)のチューブショア硬度25、40、70の3本のチューブおよびナイロン12からなるチューブを補強材の上にかぶせ、さらにその上に熱収縮チューブをかぶせ、180℃で加熱して熱収縮チューブの収縮力により外層を熱溶着させた。熱収縮チューブを除去し、金属メッキ銅線を引き抜いてカテーテルを作製した。カテーテル先端部の外径は0.710mmであった。したがってカテーテル先端部の外半径は0.355mmである。カテーテル先端部を直径20mmのピンゲージに巻きつけ、3次元形状測定器によってピンゲージ表面に対するカテーテルの高さを測定してカテーテルの短径とした。このときのピンゲージの半径10mmをカテーテル内側曲げ変形曲線の曲率半径とした。このときの短径は0.707mmであり、短径の初期外径に対する比は99.6%であった。同様に19.5mm〜2mm、0.5mm刻みのピンゲージにひとつずつ巻きつけてカテーテルの短径を測定した。ピンゲージの径が小さくなるにつれて短径の値は小さくなっていった。短径が初期短径の98.0%以下となったときのピンゲージの直径は8mmであった。このときのカテーテルの内側曲げ変形曲線の曲率半径のカテーテル初期外半径に対する比は11.3であった。
このカテーテル中に外径0.46mmのガイドワイヤーを通し、37℃温水中に浸した肝臓動脈を模したアクリル製回路にガイドワイヤーを先行させ、ガイドワイヤーに沿ってカテーテルを手動で挿入した。回路入り口から70mmまでカテーテルを進行させることができたが、それ以降は極めて挿入抵抗が大きくなり、カテーテルを進めることができなかった。
(比較例2)
外径0.52mmの金属メッキ銅線にPTFE(厚さ0.030mm)で被覆された芯材に、ステンレス剛細線(太さ0.019mm)を巻きつけて補強層を形成した。このとき、カテーテルの長手方向1mmあたりのステンレス剛細線の数が4になるようにした。あらかじめ押出成形により作製されたポリアミドエラストマー(PEBAX,Arkema製)のチューブショア硬度25、40、70の3本のチューブおよびナイロン12からなるチューブを補強材の上にかぶせ、さらにその上に熱収縮チューブをかぶせ、180℃で加熱して熱収縮チューブの収縮力により外層を熱溶着させた。熱収縮チューブを除去し、金属メッキ銅線を引き抜いてカテーテルを作製した。カテーテル先端部の外径は0.68mmであった。カテーテル先端部を直径20mmのピンゲージに巻きつけ、3次元形状測定器によってピンゲージ表面に対するカテーテルの高さを測定してカテーテルの短径とした。同様に19.5mm〜2mm、0.5mm刻みのピンゲージにひとつずつ巻きつけてカテーテルの短径を測定した。短径が初期短径の98.0%以下となったときのピンゲージの直径は9.0mmであり、このときのカテーテルの内側曲げ変形曲線の曲率半径のカテーテル初期外半径に対する比は13.2であった。
このカテーテル中に外径0.46mmのガイドワイヤーを通し、37℃温水中に浸した肝臓動脈を模したアクリル製回路にガイドワイヤーを先行させ、ガイドワイヤーに沿ってカテーテルを手動で挿入した。回路入り口から40mmまでカテーテルを進行させることができたが、それ以降は極めて挿入抵抗が大きくなり、カテーテルを進めることができなかった。
以上の実施例1〜3と比較例1、2の結果をまとめて表1に示す。
Figure 2007319533
なお、表中、回路新入性の評価について、
「良」は回路入り口から回路末端(150mm)までカテーテルを進行させることができたこと、
「悪」は回路末端までカテーテルを進行させることができなかったこと
をそれぞれ示す。
図1は、カテーテル内側曲げ変形曲線の曲率半径比を測定する際に、カテーテル先端部をピンゲージに巻きつけたときの模式図である。
符号の説明
1 カテーテル
2 ピンゲージ

Claims (4)

  1. カテーテルの先端部に曲げ変形を与えたときの断面の短径が該カテーテル初期外径の98.0%以下となるときの内側曲げ変形曲線の曲率半径比(曲率半径比は曲率半径のカテーテル外半径に対する比)が9.0以下であることを特徴とする医療用マイクロカテーテル。
  2. カテーテルの全長にわたる樹脂内層と、該樹脂内層上に存在する線状の補強材料によってなる補強層と、該補強層の外側を被覆する樹脂外層とからなることを特徴とする請求項1記載の医療用マイクロカテーテル。
  3. カテーテル長手軸方向に沿って1mmあたりの補強材素線の数が10以上であることを特徴とする請求項2記載の医療用マイクロカテーテル。
  4. 該樹脂内層がフッ素系樹脂からなり、かつ該樹脂外層がポリアミドエラストマーを含むことを特徴とする請求項2または3記載の医療用マイクロカテーテル。

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