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JP2007305776A - コンデンサ用電極箔及びコンデンサ - Google Patents

コンデンサ用電極箔及びコンデンサ Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、酸化チタン被膜と酸化アルミニウムの密着性を向上させ、剥がれ部が少なく、漏れ電流特性に優れたコンデンサ用電極箔及びこれを用いたコンデンサを低コストで提供する。
【解決手段】アルミニウム箔基材の表面に、少なくとも、酸化アルミニウムを有する酸化アルミニウム被膜と酸化チタンを有する酸化チタン被膜とを有し、前記酸化チタン被膜が添加元素としてアルミニウムを30原子数%以上55原子数%以下含有することを特徴とするコンデンサ用電極箔及びこれを用いたコンデンサである。
【選択図】なし

Description

本発明は、コンデンサ用電極箔及びこれを用いたコンデンサに関するものであり、特に漏れ電流特性に優れた電極箔に関するものである。
一般に、電解コンデンサを構成するアルミニウム電極箔は、酸水溶液中でアルミニウム箔に直流電圧又は交流電圧を印加して電解エッチングし、箔表面に多数のピットを形成させて表面積を拡大させた後、化成液中で陽極酸化して箔表面に酸化アルミニウム被膜を形成させて電極材料として使用する。
そして、静電容量を増大させるには、箔の表面積の増大や誘電体である酸化被膜を薄くすること等が挙げられ、これらについては種々検討されている。さらに、酸化被膜の誘電率の増大も静電容量を増大させる方法であり、誘電率の高い酸化チタン被膜、酸化チタンと酸化アルミニウムの複合酸化被膜の形成による高容量化についても検討されているが、十分な容量増大がなされていないのが現状である。
後者について、特許文献1では、酸化チタン被膜の形成にCVD法、スパッタリング法、ゾルゲル法、ゾルゲル電気泳動電着法等を挙げて検討しているが、CVD法やスパッタリング法では、エッチングさせたアルミニウム箔への成膜が極めて困難であるため、十分な静電容量が得られないし、漏れ電流も大きくなる。また、CVD法やスパッタリング法は、大規模な真空装置が必要であり、生産性が低く、製造コストが高くなると言う問題点を有している。更に、ゾルゲル法やゾルゲル電気泳動電着法では、緻密な酸化物被膜の形成が困難であるため、十分な静電容量が得られないし、漏れ電流も大きくなる。
それ故、特許文献2では、ゾルゲル法を改善して、高重合度のバルブ金属酸化物高分子-芳香族化合物溶媒錯体の含有について検討しているが、この場合も、酸化被膜形成のための熱処理が必須であり、その際の揮発分による緻密さの低減により、十分な静電容量が得られないし、漏れ電流の改善も不十分である。
一方、特許文献3、特許文献4等には、低コストで酸化チタン被膜を形成する方法として、チタンフッ化アンモニウムあるいはチタンフッ化水素酸水溶液にホウ酸を添加して調整した処理液にアルミニウム箔基材を浸漬し、基材表面に酸化チタン被膜を析出させる手法が記載されている。これらの液相析出法では、アルミニウム箔基材の凹凸や種類を問わないため、複雑な形状を有するエッチングしたアルミニウム箔表面上にも均一に酸化チタン被膜を形成できることが予想され、充分な高容量化が期待される。
特開2003-224036号公報 特開2003-257796号公報 特開平10-158014号公報 特開2001-294408号公報
しかしながら、液相析出法によって酸化チタン被膜を成膜すると、酸化チタン被膜と、その後又はその前の陽極酸化処理によって形成され、前記酸化チタン被膜と接する酸化アルミニウム被膜との界面で部分的に剥がれ(剥離部)が発生することがあり、漏れ電流特性が劣化するという問題があった。
本発明は、この点に鑑みてなされたものであり、酸化チタン被膜と酸化アルミニウム被膜との密着性を向上させ、剥離部が少なく、漏れ電流特性に優れたコンデンサ用電極箔及びこれを用いたコンデンサを低コストで提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記課題を解決する手段を鋭意検討した結果、アルミニウム箔基材の表面に、少なくとも、酸化アルミニウムを有する酸化アルミニウム被膜と酸化チタンを有する酸化チタン被膜とを有するコンデンサ用電極箔において、前記酸化チタン被膜に添加元素としてアルミニウムを30原子数%以上55原子数%以下含有させたコンデンサ用電極箔が、漏れ電流特性に優れることを見出した。
本発明の趣旨とするところは、以下の通りである。
(1) アルミニウム箔基材の表面に、少なくとも、酸化アルミニウムを有する酸化アルミニウム被膜と酸化チタンを有する酸化チタン被膜とを有し、前記酸化チタン被膜が添加元素としてアルミニウムを30原子数%以上55原子数%以下含有することを特徴とするコンデンサ用電極箔。
(2) 酸化チタン被膜は、添加元素としてアルミニウムを40原子数%以上55原子数%以下含有する(1)に記載のコンデンサ用電極箔。
(3) 前記酸化チタン被膜は、その結晶性がアナターゼ型である(1)又は(2)に記載のコンデンサ用電極箔。
(4) 前記酸化チタン被膜は、その結晶性がアモルファスである(1)又は(2)に記載のコンデンサ用電極箔。
(5) 前記酸化アルミニウム被膜は、その厚みが5nm以上30nm以下である(1)〜(4)のいずれかに記載のコンデンサ用電極箔。
(6) 前記酸化チタンの被膜は、その厚みが5nm以上30nm以下である(1)〜(5)のいずれかに記載のコンデンサ用電極箔。
(7) 前記酸化チタンの被膜厚みが5nm以上20nm以下である (6)に記載のコンデンサ用電極箔。
(8) (1)〜(7)の何れか一つに記載のコンデンサ用電極箔を用いてなるコンデンサ。
本発明によると、漏れ電流特性の優れた、高容量のコンデンサ用電極箔を低コストで提供することが可能となる。したがって、本発明の電極箔を用いたコンデンサは、低漏れ電流化、高容量化し、より小型化が可能となる。
以下に、本発明を詳しく説明する。
本発明のコンデンサ用電極箔は、アルミニウム箔基材の表面に、少なくとも、酸化アルミニウムを有する酸化アルミニウム被膜と酸化チタンを有する酸化チタン被膜とを有し、前記酸化チタン被膜が添加元素としてアルミニウムを30原子数%以上55原子数%以下含有するコンデンサ用電極箔である。酸化チタンは、従来のアルミ電解コンデンサの誘電体に使用される酸化アルミニウムに比べ、誘電率が大きいため、酸化チタンで被覆されたアルミニウム箔は、従来のアルミ電解コンデンサに比べて、静電容量の増大が見込まれる。
ここで言う酸化チタンを有する酸化チタン被膜とは、チタンの含有量が10原子数%以上35原子数%以下、好ましくは20原子数%以上35原子数%以下であって、残りの成分が酸素原子である酸化チタンからなる被膜である。この酸化チタン被膜には、不純物として、水素が0.1原子数%以上5原子数%以下の範囲で、また、フッ素が0.1原子数%以上5原子数%以下の範囲で含まれていてもよい。これらの不純物は、以下に述べる液相析出法による成膜時に酸化チタン皮膜中に取り込まれるものであると推定される。
このような酸化チタン被膜を成膜するために、液相析出法を用いることができる。液相析出法によりアルミニウム箔基材上に酸化チタン被膜を析出させる方法は、アルミニウム箔基材を処理する処理液において、下記(1)式に示す加水分解平衡反応をさせることにより行う。即ち、チタンフッ化アンモニウム、チタンフッ化水素酸、チタンフッ化カリウム等の加水分解可能なチタンフッ化物を水分子と反応させて加水分解し、酸化チタンを生成させる反応である。
TiF6 2- + 2H2O ⇔ TiO2 + 4H+ + 6F- … (1)
ここで、式(1)の平衡反応を右辺側に進めるための駆動剤を添加することによって、酸化チタンを析出させるのである。本発明では、式(1)を酸化チタン析出側に進める駆動剤として、アルミニウム箔基材から溶出するアルミニウムイオンを用いることも特徴としている。
上記処理液のpHは4以上7以下が好ましく、より好ましくは5以上6以下である。その理由は、処理液pHが4未満では、健全な成膜ができるものの、得られるコンデンサは、所望の容量が得られ難い場合があり、処理液のpHが7より大きい場合は、液が不安定となり易く、処理液中で酸化チタンが凝集したものが析出し、基材表面に均一な膜ができ難くなり易いと言う問題があるためである。処理液のpH調整は周知の方法で良く、例えば、アンモニア水やフッ酸等を処理液中に添加すれば良い。処理液の温度は70℃以下が好ましい。これは、詳細な理由は不明だが、処理液温度が70℃超である場合、形成された酸化チタン被膜の厚みがサンプル間でバラツキが大きくなるためである。また、チタンフッ化物濃度の増加に伴い、酸化チタン成膜速度が増加するため、酸化チタン被膜を所望の厚みに成膜するためには、反応温度や反応時間は適宜設定すればよい。
また、ここで言う酸化アルミニウムを有する酸化アルミニウム被膜とは、アルミニウムの含有量が10原子数%以上45原子数%以下、好ましくは20原子数%以上40原子数%以下であって、残りの成分が酸素原子である酸化アルミニウムからなる被膜である。この酸化アルミニウム被膜には、不純物として、水素が0.1原子数%以上5原子数%以下の範囲で、また、フッ素が0.1原子数%以上5原子数%以下の範囲で含まれていてもよい。このような酸化アルミニウム被膜をアルミニウム箔基材上に成膜する方法については、アルミニウム箔基材に公知の方法である陽極酸化処理及び加熱処理を組み合わせて適用すればよい。
本発明では、液相析出法を用いて酸化チタン被膜をアルミニウム箔基材上に成膜した後、続いて陽極酸化処理及び加熱処理により酸化アルミニウム被膜の成膜を行った。この場合、形成されたコンデンサ用電極の積層構造は、アルミニウム箔基材側から、アルミニウム箔基材/酸化アルミニウム被膜/酸化チタン被膜の順であり、酸化チタン被膜中にはアルミニウムが含有されることが分かった。陽極酸化に際しては、電解液は、アルミニウム箔基材には直接接触していないものと考えられるが、酸化チタン被膜内を拡散する酸素が、酸化アルミニウム被膜の形成に寄与して、化成が可能になるものと考えられる。
本発明者らの検討によれば、該酸化チタン被膜中のアルミニウム濃度が0.1原子数%以上20原子数%以下の場合には、酸化チタン被膜と酸化アルミニウム被膜の界面部で一部剥離が認められ、電極箔の漏れ電流特性値が劣化する問題があり、酸化チタン被膜中に30原子数%以上55原子数%以下のアルミニウムを含有させることにより、酸化チタン被膜と酸化アルミニウム被膜の密着性を向上させ、界面で剥離部の無い積層構造が得られ、これによって、安定して漏れ電流特性に優れるコンデンサ用電極箔を作製することができる。
この酸化チタン被膜中のアルミニウム濃度については、上記の通り、30原子数%以上55原子数%以下であれば漏れ電流特性に優れるが、40原子数%以上55原子数%以下であれば更に優れた漏れ電流特性を示す。詳細な理由は不明だが、酸化チタン被膜中のアルミニウム濃度が増加することにより、酸化アルミニウム被膜との界面部での応力緩和が進み、密着性がより向上するため、と予想される。また、アルミニウム濃度が55原子数%超となった場合、酸化チタン被膜中で一部酸化アルミニウムの形成が予想され、静電容量の低下が懸念される。これは、前述したように、酸化チタンに比べ、酸化アルミニウムの比誘電率が小さいことによる。酸化チタン被膜の結晶性は加熱処理の温度に依存し、400℃未満ではアモルファス、500℃以上ではアナターゼ型となる。酸化チタン被膜の結晶性はいずれの場合においても、電極箔の漏れ電流特性が向上する。
また、酸化チタン被膜の膜厚は5nm以上30nm以下が好ましく、より好ましくは20nm以下である。これは、30nm超であると被膜表面にクラック等の欠陥が形成され易くなる虞があるためであり、20nm以下であると酸化アルミニウムとの密着性がより向上するためである。また、酸化チタン被膜の膜厚が5nm未満である場合、ピンホール等の欠陥が形成され易くなる虞がある。
酸化アルミニウム被膜の厚みは、5nm以上30nm以下が好ましい。これは、酸化アルミニウムの膜厚が5nm未満の場合、箔表面上均一に酸化アルミニウムを成膜することが難しいためである。また、酸化アルミニウムの膜厚が30nm超である場合、詳細な理由は不明だが、電極箔の静電容量が30nm以下の場合に比べ低下した。これは、酸化チタンの膜厚が増加すると、全体の被膜厚さに占める酸化アルミニウムの割合が増加するため、酸化アルミニウムの膜厚が制限されるため、と思われる。
陽極酸化処理用電解液としては、例えば、ホウ酸アンモニウム、リン酸、アジピン酸、シュウ酸、硫酸、セバシン酸、又は、これらのアンモニウム塩から一つ又は二つ以上を含有する溶液を挙げることができるが、これに限定されるものではない。陽極酸化処理条件については、公知の条件で行えばよく、特に限定されるものではない。例えば、アジピン酸水溶液を電解液とし、所望の酸化膜厚みに成長するように陽極酸化電圧を設定すればよい。
加熱処理時の雰囲気は、真空中、又は、窒素やアルゴン等の不活性ガス中が好ましい。真空にするに当たり、大気から減圧しても良いし、不活性ガスで雰囲気置換した後に減圧してもよい。
酸化チタン被膜中のアルミニウム濃度の制御は、陽極酸化処理時の電流密度と保持時間、及びその後の加熱処理温度を調整し、アルミニウムを酸化チタン被膜中に拡散させることによって行う。
陽極酸化時の電流密度は、10mA/cm2以上40mA/cm2以下が好ましい。10mA/cm2未満である場合には、酸化チタン被膜中に十分にアルミニウムを拡散させることができず、また40mA/cm2超である場合には、酸化アルミニウムの膜厚が所定の値に達するまでの時間が早く、制御が難しいためである。
加熱処理温度は600℃以下が好ましく、より好ましくは300〜600℃である。300℃未満では熱処理の効果が十分に確認されない場合があり、600℃を超えると静電容量低下が確認された。
なお、用いるアルミニウム箔基材の材質については、特に限定されるものではなく、例えば、1N99、1N90等のコンデンサに使われる高純度アルミニウムが挙げられる。さらに、アルミニウム焼結体でも構わない。エッチングに関しては、粗化処理の程度に依らない。また、用いる箔基材の厚みは特に問わないが、好ましい厚さは20〜150μm程度である。これは、箔基材の厚さが薄過ぎると生産性が低下し、厚過ぎると単位質量当たりの静電容量が低下してしまうためである。
本発明の積層構造を有するコンデンサ用電極箔を陽極として用い、コンデンサとすれば、漏れ電流特性に優れる高容量のコンデンサとすることができる。なお、電解質や陰極については、特に限定されず、必要に応じて適宜選択して用いれば良い。
以下、本発明を実施例及び比較例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。
以下の如く、各種処理液を用いて成膜後、静電容量、漏れ電流及び酸化チタンと酸化アルミニウム界面の剥離部の有無を調べた。
アルミニウム箔基材として、エッチング加工を施していない未化成のアルミニウム箔(1N99)を用いた。
液相析出処理水溶液中のチタンフッ化アンモニウムの濃度を0.05mol/Lとし、水溶液中にアンモニア水を加えて、pHを5.5に調整した。酸化チタン被膜の厚みを調節するため、該処理液中に常温においてアルミニウム箔基材を1、2、3、4、5分間浸漬した。酸化チタン被膜中のアルミニウム濃度を調節するため、陽極酸化時の電流密度を0.1〜40mA/cm2の範囲に設定し、保持時間を電圧が5Vを超えない範囲で調節した。また、その後の加熱処理温度を150℃、400℃、600℃とした。陽極酸化は、12wt%-アジピン酸アンモニウム水溶液を用いて、温度80℃、印加電圧5Vで行った。加熱処理は、真空中で、所定の温度を3時間保持することで行った。
静電容量は、12wt%-アジピン酸アンモニウム水溶液を用いて、LCRメータを用いて120Hzで測定した。漏れ電流は5Vを印加して測定した。評価は、下記の比較例である実験No.36との比較で、以下の基準によって行った。
・静電容量 × : No.36の70%以下
○ : No.36の70%超100%以下
◎ : No.36の100%超
・漏れ電流 × : No.36の100%以上
△ : No.36の80%以上100%未満
○ : No.36の60%以上80%未満
◎ : No.36の60%未満
酸化チタンと酸化アルミニウムの界面における剥離部の有無、及び被膜の断面構造については、透過型電子顕微鏡により調べた。また、各層の結晶性は電子回折図形から求めた。酸化チタン被膜中のアルミニウム濃度については、電子顕微鏡に付属のエネルギー分散型分光装置により調べた。
[実験No.1〜15]
処理液は、0.05mol/Lチタンフッ化アンモニウム水溶液を用い、アンモニア水で処理液pHを5.5に調整した。成膜は、常温で処理液中にアルミニウム箔基材を1、2、3、4、5分間浸漬することで行い、成膜後水洗し、風乾した。続いて、アルミニウム箔基材を12wt%-アジピン酸アンモニウム水溶液中において、温度80℃、印加電圧5Vで陽極酸化した。5Vに達するまでの電流密度を11〜25mA/cm2の範囲に設定した。その後、真空中で400℃に3時間保持する熱処理を行った。結果を表1に示す。
[実験No.16〜30]
処理液は、0.05mol/Lチタンフッ化アンモニウム水溶液を用い、アンモニア水で処理液pHを5.5に調整した。成膜は、常温で処理液中にアルミニウム箔基材を1、2、3、4、5分間浸漬することで行い、成膜後水洗し、風乾した。続いて、アルミニウム箔基材を12wt%-アジピン酸アンモニウム水溶液中において、温度80℃、印加電圧5Vで陽極酸化した。5Vに達するまでの電流密度を26〜40mA/cm2の範囲に設定した。その後、真空中で600℃に3時間保持する熱処理を行った。結果を表1に示す。
[実験No.31〜35]
処理液は、0.05mol/Lチタンフッ化アンモニウム水溶液を用い、アンモニア水で処理液pHを5.5に調整した。成膜は、常温で処理液中にアルミニウム箔基材を1、2、3、4、5分間浸漬することで行い、成膜後水洗し、風乾した。続いて、アルミニウム箔基材を12wt%-アジピン酸アンモニウム水溶液中において、温度80℃、印加電圧5Vで陽極酸化した。5Vに達するまでの電流密度を0.1〜10mA/cm2の範囲に設定した。その後、真空中で150℃に3時間保持する熱処理を行った。結果を表2に示す。
[実験No.36 (基準材)]
アルミニウム箔基材を12wt%-アジピン酸アンモニウム水溶液中において、温度80℃、印加電圧5Vで陽極酸化した。5Vに達するまでの電流密度を10mA/cm2に設定した。その後、真空中で600℃に3時間保持する熱処理を行った。結果を表2に示す。
Figure 2007305776
Figure 2007305776
表1に示される本発明の電極箔は、基準材に比して優れた特性を有し、その効果が確認された。一方、表2に示される酸化チタン中のアルミニウム濃度が30原子数%未満である電極箔では、静電容量は向上するものの、酸化チタンと酸化アルミニウム界面で剥離部が存在し、基準材と比べても漏れ電流特性の改善が顕著には認められなかった。
本発明のコンデンサ用電極箔は、アルミニウム箔基材の表面に酸化チタン被膜が液相析出法によって成膜されるので表面の凹凸形状等にかかわりなく均一に勝つ安価に製造することができるだけでなく、陽極酸化処理によって成膜される酸化アルミニウム被膜との密着性にも優れていて剥離部が少なく、漏れ電流特性に優れており、漏れ電流特性に優れたコンデンサを低コストで製造できるので、その工業的価値の高いものである。

Claims (8)

  1. アルミニウム箔基材の表面に、少なくとも、酸化アルミニウムを有する酸化アルミニウム被膜と酸化チタンを有する酸化チタン被膜とを有し、前記酸化チタン被膜が添加元素としてアルミニウムを30原子数%以上55原子数%以下含有することを特徴とするコンデンサ用電極箔。
  2. 酸化チタン被膜は、添加元素としてアルミニウムを40原子数%以上55原子数%以下含有する請求項1に記載のコンデンサ用電極箔。
  3. 前記酸化チタン被膜は、その結晶性がアナターゼ型である請求項1又は2に記載のコンデンサ用電極箔。
  4. 前記酸化チタン被膜は、その結晶性がアモルファスである請求項1又は2に記載のコンデンサ用電極箔。
  5. 前記酸化アルミニウム被膜は、その厚みが5nm以上30nm以下である請求項1〜4のいずれかに記載のコンデンサ用電極箔。
  6. 前記酸化チタン被膜は、その厚みが5nm以上30nm以下である請求項1〜5のいずれかに記載のコンデンサ用電極箔。
  7. 前記酸化チタン被膜の厚みが5nm以上20nm以下である請求項6に記載のコンデンサ用電極箔。
  8. 請求項1〜7の何れか一つに記載のコンデンサ用電極箔を用いてなるコンデンサ。
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