本発明の一実施形態であるパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)について以下の順序で説明する。
A.システム構成:
B.遊技機の構成:
B1.全体構成:
B2.遊技領域の構造:
B3.可変入賞装置の構造:
B4.第一転動演出装置95の機構および動作:
B5.第三転動演出装置101の構造および動作:
B6.遊技盤5の構成:
B7.制御用ハードウェア構成:
B8.制御用ハードウェア構成:
B9.タイミングチャート:
C.遊技における制御処理:
C1.当りハズレの判定フロー:
C2.主制御処理:
C3.報知ランク設定:
C4.異常判定処理:
D.効果および変形例:
A.システム構成:
図1は実施例としての遊技システムの構成を示す説明図である。遊技システムは、複数のパチンコ機1[1]〜1[4]と、これらを管理する管理用コンピュータとしてのホールコンピュータ10を有している。パチンコ機1[1]〜1[4]の台数は図示した数に限らず、これらよりも多くてもよいし、少なくてもよい。本実施例では、これらの遊技機としてパチンコ機を用いるものとした。本実施例では、複合機と呼ばれる機種を用いた。パチンコ機は、遊技者が操作ハンドル32を操作して遊技球を発射し、遊技盤面に設けられた種々の入賞口に遊技球を入賞させる遊技を行う装置である。入賞時には、規定数の遊技球が賞球として遊技者に払い出される。また、入賞口の中には始動入賞口と呼ばれるものもあり、ここに遊技球が入賞した場合には乱数を用いた抽選が行われ、その結果に応じて、可変入賞装置が動作する。複合機では、可変入賞装置に入賞した遊技球の動きに応じて、更に大当りのチャンスが用意されている。抽選の方法や、大当りが発生するシーケンス等、パチンコ機1での遊技方法については後述する。パチンコ機1[1]〜1[4]は、複合機に限らず、第2種パチンコ機を用いても良い。
それぞれのパチンコ機1[1]〜1[4]には、それぞれデータカウンタ40[1]〜40[4]が設置されている。データカウンタ40[1]〜40[4]とは、パチンコ機1が設置されたホールにおいて、パチンコ機1での大当りの発生状況などをパチンコ機1ごとに統計処理するためのデータ保持、パチンコ機1の異常の表示、係員の呼び出し等に用いられる装置である。データカウンタ40[1]〜40[4]には、これらの表示や呼び出しを実現する機能をソフトウェア的に実現するための制御装置として、CPU、RAM、ROMを有するマイクロコンピュータが備えられている。
パチンコ機1[1]〜1[4]は、通信線20[1]〜20[4]によって、ホールコンピュータ10と接続されている。データカウンタ40[1]〜40[4]は、通信線21[1]〜21[4]によって、ホールコンピュータ10と接続されている。これらの通信線は、ネットワークのような複雑なプロトコルを利用することなく、単純に電圧信号をホールコンピュータ10に伝達する信号線である。ホールコンピュータ10は、これらの通信線の電圧状態を所定のタイミングでサンプリングすることで各通信線の電圧のハイ・ロウ、または信号のオン・オフを入力する。図中では、これらの通信線は一本の線で示してあるが、通信線20[1]は、パチンコ機1[1]とホールコンピュータ10が授受する情報量に応じた複数本の通信線を束ねたものである。その他の通信線も同様である。
以下、図1の符号について、遊技システムに備えられた個別の装置を指す時は、パチンコ機1[1]、1[2]のように、[1]、[2]などの符号を付して示す。遊技機を総称する時は、単にパチンコ機1のように[1]、[2]などの符号を省略して示す。データカウンタ40、通信線20、21についても同様である。
B.遊技機の構成:
B1.全体構成:
図2は実施例としてのパチンコ機1の全体構成を示す斜視図である。外枠2、本体枠3、前面枠4を開いた状態を示した。図の煩雑化を回避するため、遊技領域の装飾部材は図示を省略した。外枠2、本体枠3、前面枠4は、ヒンジ機構7、36によって、開閉可能に連結されている。
外枠2は、上下左右の木製の枠材によって縦長四角形の枠状に形成されている。外枠2は、樹脂やアルミニウム等の軽金属によって形成してもよい。外枠2の前側下部には、本体枠3の下面を受ける下受板6が設けられている。
本体枠3は、下受板6の上側にはまる形状となっている。本体枠3の外形を規定する前枠体11は、合成樹脂材製の矩形枠である。前枠体11の前下部左側にはスピーカ装着板17およびスピーカ18が装着されている。下部には、遊技球の発射レール19が傾斜して装着されている。前枠体11の下には下部前面板30が装着されている。下部前面板30の略中央部には、遊技球を貯留する下皿31が設けられ、右側には操作ハンドル32が設けられ、左側寄りには灰皿33が設けられている。下皿31には、遊技球を下方に排出するための球排出レバー34が配設されている。
本体枠3には、遊技盤5が取り付けられている。遊技盤5は、本体枠3に前方から嵌込み可能な四角板状をなしている。遊技盤5の前面(以下、「盤面」と呼ぶこともある)には、遊技球をガイドする外レール76、内レール77を備えた案内レール78が設けられている。案内レールの内側が遊技領域37となる。発射レール19と案内レール78との間には、発射時の勢いが不十分で案内レール78を逆戻りしてきた遊技球を下皿31に排出するための隙間が設けられている。
前面枠4はヒンジ機構36によって開閉可能に装着されている。前面枠4には、遊技盤5の遊技領域37に合わせて略円形の開口窓38が形成されている。前面枠4の後側には開口窓38よりも大きな矩形の窓枠39が設けられ、ガラス板、透明樹脂板等の透明板50が装着されている。
前枠体11の自由端側には、外枠2、本体枠3、前面枠4を閉状態で施錠するための施錠装置70が装着されている。施錠装置70の本体枠施錠フック72は、外枠2の閉止具71に係合することで、外枠2と本体枠3とを施錠する。扉施錠フック74は、前面枠4の閉止具73と係合して、前面枠4と本体枠3とを施錠する。これらの施錠および解錠は、シリンダー錠75の鍵操作で可能である。
図3はパチンコ機1の正面図である。前面枠4、本体枠3、外枠2を閉じた状態を示した。本体枠3と外枠2は、図中左側の上下に示した外枠側ヒンジ具14および本体枠側ヒンジ具15を有するヒンジ機構7によって連結されている。
前面枠4の下部には上皿51が設けられ、その左側には、遊技者が操作するためのボタン60が設けられている。開口窓38の周囲には、左右両側部にサイド装飾装置52が、上部に音響電飾装置53が装着されている。サイド装飾装置52は、ランプ基板が内部に配置され、合成樹脂材で形成されたサイド装飾体54で覆った構成となっている。サイド装飾体54には、横長のスリットが複数配列されており、各スリットには、レンズ55が組み込まれている。音響電飾装置53は、透明カバー体56、スピーカ57、スピーカカバー58等で構成されたユニットである。
下部に設けられた下部前面板30には、先に説明した通り、球排出レバー34を備えた下皿31および灰皿33、操作ハンドル32が設けられている。その上方には、シリンダー錠75が設けられている。
B2.遊技領域の構造:
図4は遊技領域37の構成を示す拡大正面図である。遊技領域37内には適宜位置に風車90が設けられている。多数の障害釘もゲージ配列されているが、図示を省略した。遊技領域37のほぼ中央には、可変入賞装置91が設けられている。
可変入賞装置91は額縁状の装飾体を有し、その上縁部または左右側縁部には、遊技盤5に沿って流下する遊技球を可変入賞装置91の裏側に取り込んだ後に、可変入賞装置91の途中または下縁部から再び遊技盤面に放出するための通路(以下、「ワープ通路」と称する)が設けられている。
可変入賞装置91の上方には、可変入賞装置内に遊技球を取り込むための役物用入賞口92が開閉可能に備えられている。可変入賞装置91の内部中央には、揺動可能な第一転動演出装置95が備えられている。役物用入賞口92から取り込まれた遊技球は、第一転動演出装置95の揺動に応じて図中左右いずれかの方向に転動し、右端または左端から放出される。
第一転動演出装置95の右端には、大当り入賞口93又はハズレ入賞口94、および回転しながら遊技球をこれらの入賞口93、94の何れかに導く第三転動演出装置101が備えられている。第一転動演出装置95の左端には、遊技球を図中右方向に向かって押打する第二転動演出装置100が設けられ、第一転動演出装置95の下側には、押打された遊技球を第三転動演出装置101に案内するための第四転動演出装置102が備えられている。
可変入賞装置91の内側には演出表示装置115が配設されている。演出表示装置115には、動画等の画像、或いは可動部材の動作等による演出表示が行われる。演出表示装置115としては、液晶表示装置、EL表示装置、プラズマ表示装置、及びCRT等を用いることができる。
可変入賞装置91の下方には、第二始動入賞口97と、その左右に配置された一対の第一始動入賞口96、一般入賞口98が設けられている。第一始動入賞口96に遊技球が入球すると役物用入賞口92は、所定間隔で一回開閉動作する。第二始動入賞口97に遊技球が入球すると役物用入賞口92は、所定間隔で二回開閉動作する。
B3.可変入賞装置の構造:
図5は役物用入賞口92の拡大正面図である。役物用入賞口92は、大きく口を開けたキャラクタ体455の口を模して構成されており、遊技球がキャラクタ体455に飲み込まれるような雰囲気を醸し出している。キャラクタ体455の口の中央には遊技球を可変入賞装置内部へと導く球入口457が設けられ、左右には一対の可動片456が設けられている。キャラクタ体455の背面には、球入口457を通過した遊技球を、受渡口458から排出するための通路が設けられている。この通路には、カウントセンサ459が設けられており、可変入賞装置内に遊技球が入ったか否かを検出可能となっている。
可動片456は、主可動片472と副可動片474から構成される。可変入賞装置91の裏面に配置された一対のソレノイドによって左右の各主可動片472を回動させると、主可動片472と副可動片474はそれぞれ図中実線で示した開状態、二点鎖線で示した閉状態をとることができる。主可動片472と副可動片474の回転軸は、ずれているため、回動に伴って、主可動片472が副可動片474に相対的にスライドする動きとなる。
B4.第一転動演出装置95の機構および動作:
図6は第一転動演出装置95の機構および動作を示す説明図である。第一転動演出装置95は、左右方向に延びたガイド部材491が、回動支持軸492を中心に揺動する機構である。
ガイド部材491の上面には、遊技球が転動可能な転動面490が設けられている。転動面490の前面側(遊技機に対して遊技者側)には、遊技球の落下を防止する堰部495が、ガイド部材491の全長にわたって設けられている。転動面490は前面側が低くなるように傾斜している。これにより、遊技球Bは、受渡口458などに当たってガイド部材491の揺動を妨げることなく、堰部495に沿って転動する。
ガイド部材491を揺動させるための回動駆動手段493は、ガイド部材491の左端に設けられている。回動駆動手段493は、モータの回転により作動するクランク部496と、クランク部496の動きをガイド部材491の一端に設けられたピン497に伝達させるリンク部498とから構成されている。図6(b)(c)に示すように、モータを回転させると、ガイド部材491は回動支持軸492を中心として揺動する。
ガイド部材491の右端には、揺動状況を検出する揺動検出センサ494が備えられている。ガイド部材491の右端には、揺動検出センサ494の検出対象となる揺動検出部499が取り付けられている。揺動検出センサ494は、ガイド部材491が略水平位置となった状態で揺動検出部499を検出する位置に配置されている。
図7は第一転動演出装置95での遊技球Bの動作を示す説明図である。説明の便宜上、反時計回りの揺動を正とし、時計回りの揺動を負として説明する。ガイド部材491が所定周期で揺動している状態で、転動面490に遊技球Bが供給されたとする。この時、例えばガイド部材491が図中右側に傾くと(図7(ア))、遊技球Bはガイド部材491の右端方向に転動する。
その後、ガイド部材491が正方向に揺動し、左側に傾くと(図7(イ))、遊技球Bの転動方向は左方向に変わる。但し、右側方向に転動している際の慣性力の影響があるため、遊技球Bの転動方向が左側に反転するのは、ガイド部材491の傾斜方向が変わった後、しばらく経ってからである。
以下、同様にして、ガイド部材491の揺動に応じ、遊技球Bは左右方向に転動しながら(図7(ウ)〜図6(カ))、ガイド部材491のいずれか一端に接近し、やがてガイド部材491の端部から放出される(同図(キ)参照)。ガイド部材491の揺動は、一定周期を保つ態様の他、周期を変動させたり、時々揺動を停止するたりする態様を採っても良い。
B5.第三転動演出装置101の構造および動作:
図8は第三転動演出装置101の構造を示す説明図である。図8(a)には正面図を示し、図8(b)には回転部分の分解斜視図を示した。第三転動演出装置101は、第一転動演出装置95又は第二転動演出装置100から送られた遊技球を、大当り入賞口93又はハズレ入賞口94の何れかに振り分けて導くものである。
図8(b)に示す通り、第三転動演出装置101には回転体552が設けられている。回転体552は、回転体用モータ326によって回転軸553周りに回転駆動される。回転体552の回転位置は、回転検出部554によって検出される。
回転体の周囲には、遊技球を収容する複数の収容部550が複数配置されている。収容部550は、前方側と半径方向外側が開口したU字状の溝となっている。収容部550としては、回転体552の外周からその中心部に向かって延びる長さの短い第一収容部550aと、長い第二収容部550bの2種類が用意されている。第二収容部550bと第一収容部550aの長さの差は、遊技球の直径以上である。第一収容部550aは90°間隔で周方向に4つ配置されている。第二収容部550bは、第一収容部550aで挟まれた中間に3つ配置されている。
第1収容部550aで挟まれた残り1つの領域(図中の最下部の領域)には、特定収容部550cが取り付けられる。特定収容部550cは、回転体552の前後方向ともに開口しているが、半径方向には塞がれた形状の収容部である。後述する通り、特定収容部550cは遊技球を大当り入賞口93へと導くよう作用する。第一収容部550a、第二収容部550bは、共に遊技球をハズレ入賞口94へと導くよう作用する。
回転体552には、軸方向前方側に突出した突出部560が取り付けられる。突出部560の外周は、第二収容部550bおよび特定収容部550cの形状に合わせてU字状に窪んでいる。本実施例では、回転体552、突出部560、および特定収容部550cは別部材としたが、これらを一体成形してもよい。
回転体552の背面側には、大当り入賞口93を有する大当り誘導部556が設けられている。大当り誘導部556には、大当り入賞口93に入球した遊技球を大当り入賞センサ330へ導くための通路が形成されている。
図8(a)に示す通り、第三転動演出装置101には仕切部561が設けられている。仕切部561は、遊技球が第一収容部550a、第二収容部550b、及び特定収容部550cのいずれにも入り得る第一収容領域と、第一収容部550aへの収容が妨げられる第二収容領域とを仕切る円環状の部材である。
仕切部561は、突出部560が嵌る挿通孔562が形成された円環状の仕切板564を有している。挿通孔562の周囲には、突出部560の外周の一部を覆う直立壁で構成された被覆部565が設けられている。仕切板564の下部には、第一収容部550aに相対する大きさで扇状の開口部563が設けられている。
仕切板564は、図8(b)に示したように、回転体552、突出部560および特定収容部550cを組み付けた状態で、取り付けられる。この時、仕切板564は、突出部560の外周部分で回転体552に前方から蓋をしたような状態となる。この結果、仕切板564よりも前面側において突出部560の近傍に供給された遊技球は、第二収容部550bまたは特定収容部550cのいずれかにのみ収容されることになる。先に説明した通り、特定収容部550cは遊技球を大当り入賞口93へと導くよう作用するから、この場合は4分の1の確率で大当りが出ることになる。一方、下部の開口部563に供給された遊技球は、第一収容部550a、第二収容部550b、または特定収容部550cのいずれかに収容されることになる。この場合は、8分の1の確率で大当りが出ることになる。
ガイド部材491の右側端部の右斜め下には、放出された遊技球を受けるとともに、その動きを整流する第二整流手段500bが備えられている。第二整流手段500bは、キャラクタ体504のどんぶりを模して形成されており、上部が開放されたカップ形状となっている。遊技球は、第二整流手段500b内で渦巻状の軌跡を描いて旋回落下しながら整流され、第三転動演出装置101に送られる。この整流作用によって、ガイド部材491から第二転動演出装置100への遊技球の円滑な受け渡しが実現可能である。
図8(a)中に第四転動演出装置102の概略構成を併せて示した。第四転動演出装置102は、第二転動演出装置100で押打された遊技球を第三転動演出装置101に案内するための機構である。第四転動演出装置102は、第二転動演出装置100側(以下、「上流側」と呼ぶこともある)から第三転動演出装置101側(以下、「下流側」と呼ぶこともある)へ緩く傾斜した案内面571を有している。案内面571の長さは、ガイド部材491と略同じである。案内面571の下流側先端には、第三転動演出装置101の開口部563の下縁に沿うようにして円弧状の揺動面572が設けられている。本実施例では、案内面571を滑らかな面としたものを示したが、案内面571に複数の凹凸を設けても良い。
図8(a)に基づいて、第三転動演出装置101の動作について説明する。まず、回転体552が、時計回りに所定速度で回転している状態で、ガイド部材491の右側端部から遊技球が放出されたとする。この遊技球は、第二整流手段500bを介して第三転動演出装置101に供給される。遊技球は、仕切部561によって第一収容部550aに入ることは妨げられるため、第二収容部550bまたは特定収容部550cのいずれかに収容される。遊技球は、当初は軸中心側に位置しているが、回転体552が90°以上回転すると、重力によって外周側に移動する。
第二転動演出装置100で押打された遊技球は、案内面571上を転動し、揺動面572上を左右に往復した後に、開口部563を経て、回転体552に備えられたいずれかの収容部550に収容される。
図9は収容部550内の遊技球の動きを示す説明図である。図9(a)は遊技球が特定収容部550cに収容され、最下端に位置している状態を示している。図9(b)は、この状態から回転体552が回転し、特定収容部550cが大当り入賞口93の開口位置に達した状態を示している。先に説明した通り、特定収容部550cの後方側は塞がれてはいない。従って、図9(b)の状態では、遊技球は大当り入賞口93に入球し、図中の矢印で示す通り、大当り誘導部556を通って大当り入賞センサ330に検出される。特定収容部550cは半径方向外側には開放されていないので、遊技球はハズレ入賞口94には入球し得ない。
図9(c)は特定収容部550c以外の収容部550に遊技球が収容された状態を示している。図9(d)は、この状態から回転体552が回転し、収容部550が筒状部558に開口するハズレ入賞口94に達した状態を示している。特定収容部550c以外の収容部550は半径方向に開放されているため、筒状部558および誘導部559からなるハズレ誘導部557を通ってハズレ入賞センサ329に検出される。特定収容部550c以外の収容部550は、後方側が開放されていないので、遊技球は大当り入賞口93には入球し得ない。
このように、第三転動演出装置101では、遊技球が特定収容部550c又はそれ以外の収容部550の何れに収容されるかに応じて、大当りまたはハズレが決定されることになる。つまり、本実施例では、大当りか否かは、遊技球の動きに依存するところが大きい。従って、可変入賞装置91内に遊技球がある状態で、透明板50を叩くなどの方法で遊技機に加振すると、その影響によって大当りが出やすくなるおそれがある。特に、ガイド部材491上で遊技球が転動している際の加振による影響が大きい。本実施例では、後述する通り、かかる行為を広義の不正行為として報知するための機構を備えている。
B6.遊技盤5の構成:
遊技盤5の表面の状態は、先に図4に示した。図4で説明した通り、遊技盤5には、遊技領域37が設けられ、その中央に可変入賞装置91が取り付けられている。その下方には、入賞口96〜98が設けられている。
図10は遊技盤5の背面図である。中央付近には、可変入賞装置91を取り付けるための取付孔91hが形成されている。ここに可変入賞装置91が取り付けられると、先に説明したガイド部材491、第三転動演出装置101がそれぞれ破線で示した位置に来ることになる。
取付孔91hの下部には、ランプ駆動基板370および感振センサ基板371が取り付けられる。ランプ駆動基板370は、遊技機1に設けられた装飾用のランプを表示するための制御信号の中継基板である。図の下方にランプ駆動基板370および感振センサ基板371の拡大図を示した。感振センサ基板371の左側には、感振センサ390Sが取り付けられる。
感振センサ390Sとしては、例えば、ファンヒータやガスメータなどに使用されるセンサを用いることができる。感振センサ390Sの内部には、硬球が備えられており、その周囲に電極が設けられている。振動によって硬球が電極に触れると、接点オンとなるため、遊技盤5を取り付けた状態で水平2方向の振動を検出することができる。感振センサ390Sに代えて、加速度センサや衝撃センサを用いることも可能である。但し、不正な加振を検出するという本実施例の目的に対しては、感振センサを用いることが好ましく、遊技球に影響のある振動を検出するという観点からは、本実施例のような硬球を用いた感振センサを用いることが好ましい。
本実施例では、感振センサ390Sは、遊技機1の透明板50を叩く加振行為を検出するために設けられている。本実施例では、大当りとなるか否かが最終的に決まる第三転動演出装置101の近傍に加振される可能性が高い。感振センサ390Sは種々の部位に設置可能であるが、図示する位置によれば、不正な加振をその他の原因による振動と区別しやすくなる利点がある。
感振センサ390Sは、感振センサ基板371に取り付けず独立に設置してもよい。ただし、感振センサ基板371に取り付ければ、感振センサ390Sへの電源供給線や検出信号線の配線が容易になるという利点がある。
ランプ駆動基板370および感振センサ基板371には、その周囲およびその背面を覆うように透明樹脂製のカバー380が設けられている。図11はカバー380の構造を示す斜視図である。カバー380単体を遊技盤5側から見た状態を示した。カバー380の下部には、ランプ駆動基板370および感振センサ基板371が収容される。この状態は、遊技盤5側から見た状態であるため、ランプ駆動基板370の裏側が見えることになる。感振センサ390Sは、この図では、感振センサ基板371の右側の方に位置することになる。
カバー380の上部には、側断面がコの字状の上カバー部382が形成されている。上カバー部382は、可変入賞装置91およびその背面に配置された制御基板を覆う。もっとも、不正防止のため、上カバー部382の他、個別のケースで密封しておくことが要求される。上カバー部382は、ランプ駆動基板370および感振センサ基板371を収容する部分と一体構成としてもよいし、別体としてもよい。
カバー380の両側部分には、入賞口96〜98などに入賞した遊技球を流すための通路381が形成されている。かかる形状のカバー380を用いることにより、遊技球の通路と、ランプ駆動基板370および感振センサ基板371のカバーとを兼用することができ、部品点数の削減、遊技機の構造の簡略化を図ることができる。
B7.制御用ハードウェア構成:
図12は遊技機1の制御用ハードウェア構成を示すブロック図である。遊技機1は、主制御基板300、払出制御基板310、サブ制御基板350、表示制御基板373などの各制御基板の分散処理によって制御される。主制御基板300、払出制御基板310、サブ制御基板350は、それぞれ内部にCPU、RAM、ROMなどを備えたワンチップマイクロコンピュータとして構成されており、ROMに記録されたプログラムに従って種々の制御処理を実現する。但し、CPUの処理能力は、サブ制御基板350および表示制御基板373の方が主制御基板300よりも高くなっている。こうすることにより、サブ制御基板350および表示制御基板373の処理能力が十分に確保されるため、主制御基板300の処理を比較的シンプルな判断処理およびコマンド出力などの負荷の軽い処理に制限することができる。表示制御基板373には、表示制御用のCPU、RAM、ROMおよび液晶ディスプレイ(LCD)374に表示する図柄を生成し、LCD374の各セルを駆動制御するVDP(Video Display Processor)が備えられている。
実施例の遊技機1では、種々の不正を防止するため、主制御基板300への外部からの入力が制限されている。主制御基板300とサブ制御基板350とは単方向のパラレル電気信号で接続されており、主制御基板300と払出制御基板310とは、制御処理の必要上、双方向シリアル電気信号で接続されている。払出制御基板310、サブ制御基板350は、それぞれ主制御基板300からのコマンドに応じて動作する。表示制御基板373は、サブ制御基板350からのコマンドに応じて動作する。遊技機1には、主制御基板300が直接に制御する機構もある。図中には、主制御基板300が制御する装置の一例として、可変入賞装置を駆動するためのソレノイド302を例示した。
主制御基板300には、この遊技中の動作および遊技中に行われる不正行為の検出のため、種々のセンサからの検出信号が入力される。図中にはその一部を例示した。ソレノイドセンサ321は、可変入賞装置を動作させるソレノイド302の動作に関する異常を検出する。扉開放スイッチ322は、遊技機1の前面枠の開閉状態を検出する。磁気センサ323は、磁石を用いた不正行為の有無を検出する。感振センサ390Sは、遊技機をたたくなどして加振する不正行為の有無を検出する。始動口スイッチ325は、大当たりの抽選を行うための始動入賞口への入賞の有無を検出する。入賞検出器301は、始動入賞口以外の入賞口への球の入賞を検出する。遊技機1では、上述した各入賞口に入賞した遊技球が、遊技盤裏面で一つの流路に集約される。入賞球計数スイッチ326は、上述の入賞口に入賞し、集約された遊技球の数を計数する。本実施例では、感振センサ390Sの出力は、検出回路390を介して主制御基板300に入力される。検出回路390の構成は後述する。主制御基板300には、この他にも種々の検出信号が入力可能であり、例えば、可変入賞装置内に回転体を利用した振分機構が設けられている場合、この回転体の回転が正常に行われているか否かを検出するためのスイッチ(インデックスセンサと称することもある)を設けても良い。
本実施例では、図1で説明した通り、遊技機1は通信線20を介してホールコンピュータ10と接続されている。払出制御基板310は、この通信線20を解して賞球数に関する情報などをホールコンピュータ10に送信し、主制御基板300はその他の情報、例えば、遊技機の異常に関する情報などをホールコンピュータ10に送信する。遊技機1には、ホールコンピュータ10との通信線20(図1参照)を接続するための外端板303が設けられており、主制御基板300からの信号線がこの外端板303に接続されている。払出制御基板310からの情報は、一旦、主制御基板300に送られた後、主制御基板300から外端板303に出力される。
このようにホールコンピュータ10に送信される情報のうち、不正行為その他の異常に関する情報を以下、「異常情報」と称するものとする。主制御基板300がホールコンピュータ10に送信する情報には、異常情報の他、営業管理情報がある。営業管理情報とは、遊技機での遊技状態や稼働状態に関する情報であり、ホールの経営上、有用な情報である。例えば、始動口への入賞があったことを示す信号、賞球に関する信号、大当たりに関する信号、抽選によって大当たりが出る確率の変動状態に関する情報などがある。営業管理情報は、ホールコンピュータ10がホール全体の遊技機1について集中管理し、ホールの営業に活用するための情報である。従って、上述の各情報につき、1本ずつ通信線が割り当てられ、情報ごとに遊技機1からホールコンピュータ10への通信が行われる。これに対し、本実施例では、異常情報に関しては、営業管理情報ほど詳細かつ厳密な通信は行わず、不正行為その他の異常への対処として必要な範囲で通信することにより、通信線20などのハードウェア資源の使用を抑制している。異常情報の送信方法については後述する。
遊技時におけるその他の制御は、払出制御基板310、サブ制御基板350を介して行われる。払出制御基板310は、遊技中の球の発射および払い出しを次の手順で制御する。球の発射は、直接的には発射制御基板312によって制御される。即ち、遊技者が、操作ハンドル32を操作すると、発射制御基板312は、発射モータ313を制御し、球を発射する。払出制御基板310は、発射制御基板312に対して、発射可否の制御信号を送出することで、間接的に球の発射を制御する。
遊技中に入賞した旨のコマンドを主制御基板300から受信すると、払出制御基板310は、払出しモータ315を制御し、球数をカウントしながら規定数の球を払い出す。払出制御基板310は、払出し用に貯えられた球の不足の有無を球切れスイッチ314によって検出し、不足時には、球不足の検出信号を、主制御基板300経由でサブ制御基板350に出力する。サブ制御基板350は、この信号を受けて、枠装飾ランプ376の所定の部位を点灯させる。
サブ制御基板350は、遊技中における音声、表示、ランプ点灯などの演出を制御する。これらの演出は、通常時、入賞時、大当たり時、エラー時、不正行為その他の異常が生じた時の警報など、遊技中のステータスに応じて変化する。主制御基板300から、各ステータスに応じた演出用のコマンドが送信されると、サブ制御基板350は、各コマンドに対応したプログラムを起動して、主制御基板300から指示された演出を実現する。
本実施例では、図示する通り、サブ制御基板350はスピーカ351を直接制御する。スピーカ351は、複数接続されていてもよい。液晶表示装置(以下、「LCD」と呼ぶ)374は、表示制御基板373を介して制御する。サブ制御基板350の制御対象となるランプには、遊技盤面に設けられたパネル装飾ランプ372と、枠に設けられた枠装飾ランプ376がある。サブ制御基板350は、ランプ駆動基板370、およびランプ中継基板375を介して、これらのランプ372、376と接続されており、各ランプを個別に点滅させることができる。
サブ制御基板350は、主制御基板300から不正行為その他の異常が生じたことを示すコマンドを受信した場合には、枠装飾ランプ376を点灯するとともに、スピーカ351から警報音を発するなどして報知する。本実施例では、報知の態様も均一ではなく、複数の報知ランクに分けられている。また、後述する通り、遊技機での報知動作を一切、禁止する設定(以下、「報知禁止設定」と呼ぶ)も可能である。
B8.制御用ハードウェア構成:
図13は検出回路390の回路構成を示す説明図である。感振センサ390Sからの検出信号は、ワンショット回路IC2A、IC2Bの1A端子、2B端子にそれぞれ入力される。ワンショット回路IC2A、IC2Bとして本実施例では、「TC74HC221」(東芝社製品)と呼ばれるICを使用した。ワンショット回路IC2A、IC2Bは、端子1A、2Aに入力されている検出信号の立ち下がりを検出した時および、端子1B、2Bに入力されている検出信号の立ち上がりを検出した時、端子1Q、2Qから一定時間だけハイが出力され、その後ロウに切り替わる機能を有している。端子1Q、2Qの出力が切り替わるまでの時間は、端子CX、端子RX/CXに接続されるコンデンサC4、C5および抵抗R8、R9に応じて定まる。本実施例では、約16msで出力が切り替わるように設定した。本実施例では、ワンショット回路IC2A、IC2Bの1Q、2Q出力をオアゲートに入力している。この結果、オアゲートからの出力CK3は、感振センサ390Sの検出信号の立ち上がりから16ms、および検出信号の立ち下がりから16msの間ハイとなる矩形波パルスとなる。
出力CK3は、フリップフロップIC3のクロック端子CKおよびリセット回路395に入力される。フリップフロップIC3としては、「TC74HC273」(東芝社製品)と呼ばれるICを使用した。本実施例では、D1端子はハイにプルアップされており、Q1端子の出力がD2端子に入力されるよう接続されている。以下、同様にしてQ2端子の出力はD3端子に、Q3端子の出力はD4端子に、Q4端子の出力はD5端子に接続され、Q5端子の出力が検出出力となる。
フリップフロップIC3では、クロック端子CKの立ち上がりごとにD1〜D8端子の入力がそれぞれQ1〜Q8端子に伝えられる。上述の接続状態では、D1端子のハイ信号が、クロック端子CKの立ち上がりごとに、順次、Q1、Q2、Q3、Q4、Q5に伝達されていくことになる。従って、クロック端子CKが5回立ち上がった時点で、検出出力がハイとなる。この意味で、本実施例のフリップフロップIC3は、出力CK3の立ち上がりのカウンタ回路としての機能を奏する。本実施例では、5回立ち上がった時点で検出出力がハイとなる回路構成としたが、検出出力がハイとなるまでのカウント数は任意に設定可能である。
リセット回路395は、CK3が最初に立ち上がった時から一定期間経過した時点、および検出出力がハイとなった時点で、フリップフロップIC3のクリア端子CLRにロウを出力して、フリップフロップIC3をリセットする回路である。次にリセット回路395の回路構成について説明する。次に示す図14との接続関係を説明する便宜上、図13中のリセット回路395に、A,B,Cの端子名を付した。
図14はリセット回路395の回路構成を示す説明図である。出力CK3(図13の端子A)は、ラッチIC13およびインバータを介して第1カウンタIC11のクリア端子CLRに接続されている。ラッチIC13としては「74HC74」(東芝社製品)を用い、第1カウンタIC11としては、「TC74HC4060」(東芝社製品)を用いた。端子A入力(出力CK3)が立ち上がると、ラッチIC13の出力Qからはハイレベルの信号が維持され、インバータで反転されたロウ信号がクリア端子CLRに入力される。ラッチIC13のCLR端子に、クリア信号が入ると、ラッチIC13の出力Qがロウとなり、第1カウンタIC11のクリア端子CLRにハイが入力される結果、第1カウンタIC11の出力がリセットされる。
第1カウンタIC11のφ0、φ1端子には、発振器CLKの信号が入力される。本実施例では、1.024MHzの発振回路としたが、周波数は任意に設定可能である。第1カウンタIC11は、14段のフリップフロップ回路を内蔵しており、φ1信号の立ち下がりごとにカウントアップした結果をQ4〜Q14に出力する。本実施例では、Q14のみを用いる。従って、本実施例では、Q14の出力は、16msec(1/1.024MHz×214)ごとにハイとなる。
第2カウンタIC12としては、「TC74HC390」(東芝社製品)を用いた。第2カウンタIC12の内部には、2進カウンタと5進カウンタが2組備えられている。本実施例では、2つの2進カウンタCTR1、CTR3と、一つの5進カウンタCTR2を用いる。2進カウンタCTR1、CTR3は、入力CKAのパルスの立ち下がりごとに、端子QAからハイ・ロウを切り換えて出力する。5進カウンタCTR2は、入力CKBのパルスが5回立ち下がるごとに、端子QDからハイ・ロウを切り換えて出力する。本実施例では、第1カウンタIC11の端子Q14と2進カウンタCTR1の端子CKAが接続され、2進カウンタCTR1の端子QAと5進カウンタCTR2の端子CKBが接続され、5進カウンタCTR2の端子QDと2進カウンタCTR3の端子CKAが接続されている。従って、第1カウンタIC11の端子Q14からの出力が、20回立ち下がるごとに、2進カウンタCTR3の端子QAがハイとなる。第1カウンタIC11からは16msecごとにハイが出力されるから、2進カウンタCTR3の端子QAからは320msec(16msec×20)ごとにハイが出力されることになる。端子QAからハイが出力される期間を検出期間と称するものとする。第2カウンタIC12のクリア端子CLRには、ラッチIC13の出力Qが接続されている。従って、第2カウンタIC12は、ラッチIC13からの出力に基づき、第1カウンタIC11と同じタイミングでクリアされる。
このハイの信号は、オアゲートORGおよびインバータを介して、図13に示したフリップフロップIC3のクリア端子CLRに入力される。この結果、感振センサから最初の検出信号を受けてから320msec経過すると、フリップフロップIC3はクリアされることになる。また、オアゲートORGの他方には、フリップフロップIC3のQ5端子の出力が入力される。従って、フリップフロップIC3から検出出力としてハイの信号が出力された時点でも、フリップフロップIC3はクリアされることになる。
オアゲートORGの出力は、クリア信号としてラッチIC13にも入力される。従って、フリップフロップIC3がクリアされるのと同じタイミングで、ラッチIC13がクリアされ、これに応じて、上述の通り、第1カウンタIC11、第2カウンタIC12もリセットされることになる。
B9.タイミングチャート:
図15は検出回路による検出出力の変化を示す説明図である。最上段には、感振センサの出力を示した。パチンコ機に対する加振が行われると、感振センサからは、図示するように長短のパルスP1〜P5等が出力される。先に説明した通り、ワンショット回路IC2Aはパルスの立ち上がりを捉えて16msの矩形パルスを出力し、ワンショット回路IC2Bはパルスの立ち下がりを捉えて16msの矩形パルスを出力する。従って、ワンショット回路IC2Aからは、パルスP2、P3、P4、P5の立ち上がりをトリガとして、それぞれ矩形パルスが出力される。ワンショット回路IC2Bからは、パルスP2、P3、P4、P5の立ち下がりをトリガとして、それぞれ矩形パルスが出力される。
ワンショット回路IC2A、IC2Bから出力されるパルスに応じて、フリップフロップIC3のQ1〜Q5端子が順次、ハイとなる。この結果、パルスP4の立ち上がりに対応する矩形パルスがワンショット回路IC2Aから出力された時点で、フリップフロップIC3の端子Q5がハイとなり、検出回路の検出出力がハイとなる。また、これに応じて、リセット回路の作用により、クリア信号が出力され、フリップフロップIC3および第1カウンタIC11、第2カウンタIC12がリセットされる。
図14で説明した通り、リセット回路395からは、感振センサからパルスが出力され始めてから所定の検出時間が経過した時点でもクリア信号が出力される。図15の例では、ワンショット回路IC2Aが最初にパルスを出力し始めてから、検出出力が得られるまでの時間PRDが、検出時間よりも長い例を示した。時間PRDが検出時間よりも短い場合には、端子Q5の出力がハイとなる前に、フリップフロップIC3はクリアされることとなり、端子Q5はハイとならなくなる。このようにリセット回路395の作用によって、所定の検出時間内に、5回以上の立ち下がりが検出された場合に、フリップフロップIC3の検出出力がハイとなることが分かる。
本実施例では、ワンショット回路IC2A、IC2Bを併用することで、感振センサのパルスの立ち上がりと立ち下がりの双方に対応して矩形パルスを出力する態様を採っている。この態様に代えて、ワンショット回路IC2A、IC2Bのいずれか一方のみを用いる構成としてもよい。ただし、双方を併用する構成とすれば、感振センサからのパルスが不均一な信号であっても、その出力を精度良く検出することが可能となる利点がある。
C.遊技における制御処理:
C1.当りハズレの判定フロー:
図16は当りハズレの判定フローを示す説明図である。始動入賞口96への入賞があると、第1段階の抽選として、大当り判定乱数と称する乱数を用いた抽選が行われる。本実施例では、大当り判定乱数による抽選結果として、「ハズレ」、「第1普通当り」、「第2普通当り」、及び「特別当り」、の四種類が用意されている。「第1普通当り」、「第2普通当り」をまとめて「小当り」と呼ぶこともある。
抽選結果の「ハズレ」では役物用入賞口92を開閉しない。「第1普通当り」では役物用入賞口92を第1開放時間(0.3sec〜0.6secの間、望ましくは約0.4秒)開閉させる。「第2普通当り」では役物用入賞口92を第2開放時間(1.5秒〜2.0secの間、望ましくは約1.8秒)開閉させる。「第1普通当り」または「第2普通当り」で役物用入賞口92から可変入賞装置91内へ進入した遊技球が大当り受入口93に遊技球が受入れられると(以下、「V入賞」と呼ぶこともある。)有利遊技状態として「大当り遊技」を発生させることができる。V入賞が生じた時は、「継続回数判定乱数」と称する乱数を用いるラウンド抽選が行われ、大当り遊技が継続されるラウンド数が2回、8回、16回のいずれかに決定される。「特別当り」では役物用入賞口92を開かせて可変入賞装置91内に遊技球を進入させ、大当り受入口93に遊技球を受入れさせなくても、「大当り遊技」を発生させる。つまり、始動入賞口96への遊技球の入賞だけで直接「大当り遊技」を発生させるものであり、これが抽選されることで、遊技者の興趣を大きく高めることができる。
ラウンド動作の回数は、始動入賞口96への遊技球の入球タイミング(より具体的には、始動口センサ318による遊技球の検出タイミング)、役物用入賞口92への遊技球の入球タイミング(より具体的には、カウントセンサ319による遊技球の検出タイミング)、大当り受入口93への入球タイミング(より具体的には、大当り入賞センサ330による遊技球の検出タイミング)等の適宜タイミングや、可変入賞装置91内での遊技球の振り分け先等によって行われた抽選の結果に応じて決定される。
C2.主制御処理:
図17は主制御基板300の制御処理(以下、「主制御処理」と呼ぶ)のフローチャートである。主制御基板300のROMに記録されているプログラムに従って、CPUが実行する処理である。電源が投入されると、CPUは、割込みコードの設定などの初期設定を行い(ステップS10)、ウォッチドッグタイマ(以下、「WDT」と略す)のクリアなどの初期化処理を行って(ステップS11)、割込み処理を許可する(ステップS12)。そして、停電の発生を監視しながら(ステップS13)、メインループを繰り返す。メインループでは、1回ごとに、非当落乱数を更新する(ステップS14)。非当落乱数とは、図16に示した当りハズレの判定以外の演出抽選に用いられる乱数である。メインループ中に停電が生じると(ステップS13)、CPUは停電処理を実行する(ステップS15)。停電処理とは、電源が再投入された時に、電源切断直前の状態に復旧できるよう、復旧に必要な情報をバックアップ電源によってRAM上に保持しておくための処理である。
図17の右側には割込処理のフローチャートを示した。主制御基板300のCPUによって、メインループの処理と並行して実行される処理である。ここでは、フローチャートの形で示す便宜上、図中の各処理をシーケンシャルに実行するものとして説明するが、これらの各処理には、実行順序が入れ替え可能なものもある。本実施例では、割込処理は4ms周期で実行するものとしたが、実行周期はこれに限定されるものではない。
割込処理では、CPUは、まずレジスタに格納されていた従前の処理に関する記憶内容をRAMの所定領域に退避させ、各種処理の実行を開始する(ステップS21)。CPUは、まずパチンコ機1の各種スイッチまたはセンサの状態を入力する(ステップS22)。
また、CPUは、タイマ減算処理(ステップS23)、乱数更新処理を行う(ステップS24)。タイマ減算処理は、可動片を駆動するソレノイドの開時間タイマの減算や、閉時間タイマの減算を行う処理である。乱数更新処理とは、大当りか否かの抽選等に用いられる乱数を、更新する処理である。
以下、順にCPUが実行する各処理の概要を説明する。賞球制御処理(ステップS25)は、賞球制御処理とは、払出制御基板に対して賞球払出のコマンドを送信する処理である。賞球チェック処理(ステップS26)は、パチンコ機1の全入賞口について入賞の有無を判断する処理である。枠コマンド受信処理(ステップS27)は、払出制御基板から球切れなどの異常信号を受けた場合に、サブ統合基板に異常報知用の表示等を行うための異常コマンドを作成する処理である。
特別図柄・特別電動役物制御処理(ステップS28)は、抽選や、可変入賞装置91の開閉制御を含む実質的な遊技処理である。可変入賞装置駆動処理(ステップS29)は、可変入賞装置91内の第1転動演出装置95〜第3転送演出装置101(図4)をそれぞれ駆動制御する処理である。
ポート出力処理(ステップS30)は、外部出力、試験信号出力を行ったり、主基板が直接点灯制御するLEDデータ出力、回転体等のモータの励磁データの出力、可動片を駆動するソレノイドの駆動データの出力を行ったりする処理である。周辺基板コマンド制御処理(ステップS31)は、サブ統合基板などの周辺基板に、演出用のコマンドその他のコマンドを送信する処理である。CPUは、以上の各処理を実行した後、レジスタの復帰(ステップS32)、割込許可をして(ステップS33)、割込処理を完了する。
C3.報知ランク設定:
主制御基板300は、種々のセンサの出力に基づいて、後述する異常判定処理を実行して、異常の有無を判定する。異常が検出された時には、周辺基板コマンド送信処理(ステップS31)によってサブ制御基板に異常を報知するためのコマンドを送信するとともに、ホールコンピュータ10に異常情報を出力する。ただし、本実施例では、種々の異常を、予め設定された報知ランクに割り当て、報知ランクに応じて上述のコマンドや異常情報を出力するものとした。こうすることにより、送信すべきコマンド等の種類を低減し、メモリ容量の節約、および通信線20の有効活用を図っている。
図18は報知ランクを示す説明図である。図の下側の表に示す通り、本実施例ではレベル0〜レベル3の4段階の報知ランクを設けた。以下で示すのは、報知態様の設定例であり、音声およびランプ点灯の有無、音声出力、ランプの点灯時間などは任意に設定可能である。
レベル0は、警報ではなく、係員が遊技機に対して種々の操作を行った場合に、その操作結果の通知である。対象となる操作には、例えば、異常状態の解除、遊技機のリセット、主制御基板300のRAMを初期化するためのRAMクリアなどが挙げられる。これらの操作が行われた時、レベル0の報知としては、遊技機の背面で作業をしている係員への通知に足りる程度の軽妙な音楽を10秒程度発する。音楽に代えて、ビープ音などを用いても良い。
レベル1は、ホール係員への通知である。レベル1では、ランプを異常が解消するまで点灯または点滅させる。音声の出力は行わない。レベル1は、遊技の支障となるのを避けるため、遊技者が気づかない程度の報知にとどめることが好ましい。かかる観点から、本実施例では、遊技者の視野の中心部から外れた部位、かつ係員が視認できるような高い位置にあるランプを点灯させるものとした。
レベル2は、遊技者本人への注意喚起を意図した警報である。このような警報には、遊技者が遊技機を叩くなどの不適切な行為を行っているときに、警報に気づかせることで、こうした不適切な行為を自発的にやめさせる抑止効果がある。レベル2の報知では、赤色など視認性の高いランプを30秒など所定の時間高輝度で点灯する。レベル2に相当する検出内容は、必ずしも不正行為に対応しているとは言えず、遊技機自体の異常である可能性もあるため、警報音は出力しないものとした。レベル2では、遊技者本人への注意喚起を意図しているため、ランプは遊技者が視認しやすい部位、かつ遊技者に警報であることを認識させやすい色とすることが好ましい。また、不適切な行為を自重させるという目的から、異常が解消されるまで点灯を継続する必要はないため、所定時間(本実施例では30秒)経過した時点で、報知が自動的に解除されるようにした。
レベル3は、不正行為が行われている可能性が高い重度の警報であり、遊技をしている本人のみならず周辺の遊技者への衆知も意図している。このような警報には、遊技者が不正行為を行っていることを衆知させることで、遊技者が不正行為を継続したり、その場に留まって遊技を継続することに抵抗感を抱かせる効果があるとともに、周囲の遊技者に対し、いわゆる見せしめ的な効果がある。レベル3の報知では、赤色など視認性の高いランプを異常が解消するまで点灯し、ブザー音などの不快な警報音をやはり異常が解消するまで出力する。こうすることで、異常を確実にホール係員に知らせることが可能となる。
本実施例では、各センサの検出信号と報知ランクとの対応関係が予め設定されている。この対応関係は、検出信号をそれぞれの報知ランクにグループ化するための設定と言うこともできる。図中にはこの対応関係テーブル305を用いて報知ランクを決定するための処理方法の概要を例示した。図示する通り、ソレノイドセンサ、磁気センサなどの異常に対しては、報知レベル3が対応づけられる。これらは通常に遊技をしている時にはまず生じ得ない異常であり、不正行為のおそれが非常に高いからである。例えば、ソレノイドセンサは、大入賞口等のソレノイドを駆動するコマンドが出力されていないにも関わらず、大入賞口が強制的に開かれた場合などに、その大入賞口の解放を検出する。ソレノイドの駆動状態をソレノイドセンサで検出可能とし、ソレノイドが駆動されていないにも関わらず、大入賞口が強制的に開かれ、遊技球の入賞を大入賞口の入賞センサが検出した場合に異常と判定するようにしてもよい。磁気センサは、磁気を検出することにより、磁石を用いた不正行為を検出することができる。
感振センサに対しては、報知レベル2が対応づけられる。不正行為の可能性はあるものの、遊技者が興奮して遊技機を無意識に叩いた可能性も捨てられないからである。扉開放スイッチ、始動口スイッチ、入賞球数計数スイッチに対しては、報知レベル1が対応づけられる。不正行為の可能性もあるが、遊技機自体の異常である可能性も少なからずあるからである。例えば、扉開放スイッチの場合、ホール係員が、パチンコ機の遊技盤上に引っかかっている遊技球を取り除く作業をする時や、スロットマシンにおいてメダルが不足した場合に補給する時などに、扉が開いたことを扉開放スイッチが検出することになるが、これは不正行為とは無関係である。ただし、ホール係員が上記作業を終えた後に、扉の閉鎖が不完全である場合には、不正行為と無関係であるとしても、報知する必要性がある。報知レベル1には、このように、不正行為と無関係の異常であっても、報知しておくことが好ましいものが対応づけられることにもなる。報知レベル0は、先に説明した通り、係員の操作に対して用いられるため、図中に示したセンサとの間では対応関係は設定されていないことになる。
以上で説明した対応関係は、図18に示したテーブルで設定する他、検出信号から報知ランクを決定するモジュール内で判定処理を行う際の条件分岐として組み込んでおいてもよい。また、論理回路によってハードウェア的に対応関係を実現してもよい。また、対応関係は、図中に例示したものに限らず、任意に設定可能である。本実施例では、図示した対応関係テーブル305を統一的に使用するものとしているが、複数の対応関係テーブルを用意しておき、遊技中の賞球の払出状態、入賞の発生状態、異常の発生状態などに応じて、使い分けるようにしてもよい。
C4.異常判定処理:
図19は異常判定処理のフローチャートである。この処理では、主制御基板300は、各種センサからの検出信号を入力し(ステップS510)、先に図18で示した対応関係テーブル305に基づいて報知ランクを設定する(ステップS520)。そして、報知禁止設定がなされていない場合には(ステップS530)、報知ランクに応じた報知コマンドをサブ制御基板350に出力する(ステップS540)。サブ制御基板350は、報知コマンドを受け取ると、図18に示したそれぞれの報知ランクに応じた態様でランプの点灯および音声の出力を行う。
報知禁止設定とは、不正結果の検出の有無に関わらず、図18に示した種々の報知動作を禁止するための設定である。報知レベル3で説明したように、報知を行わせることは、不正行為を行っている遊技者本人に注意を喚起し、不正行為を自重させることができる意図がある。その一方、報知を行うと、不正行為を行っていた遊技者は、係員に気づかれたことを察知し、その場を去ってしまうため、不正行為を根絶することはできないという短所もある。報知動作を禁止すれば、この逆に、遊技者に不正行為を自重させる効果は得られないものの、ホールコンピュータ10からの指示を受けたホール係員が不正行為を行っている現場を直接押さえることが可能となる。従って、報知を行うか否かは、遊技機を管理する管理者の方針、不正行為が行われている状況などに応じて、切り換えられることが好ましい。本実施例のパチンコ機1は、こうした要望に対応するため、報知禁止設定を行うことができる構成とした。
報知禁止設定は種々の方法で行うことが可能である。一例として、報知禁止設定用のスイッチを設け、このスイッチの状態を遊技機の主制御基板300に入力させることで、スイッチの操作によって報知禁止/許可の切り換えを行う態様を採ることが考えられる。別の態様として、ソフトウェア的に報知禁止を指示するフラグをセットするコマンドを遊技機に与えることで、報知禁止設定を行うようにしてもよい。この場合には、外部からの入力が許容されているサブ制御基板350で報知禁止の処理を行うことが好ましい。この場合、異常判定処理(図19)では、ステップS530を省略して無条件に報知コマンドをサブ制御基板に出力するようにし(ステップS540)、サブ制御基板350が報知コマンドを受け取った後、報知禁止設定の有無に応じてこの報知コマンドを実行するか否かを切り換えるようにすればよい。ソフトウェア的なフラグに代えて、サブ制御基板350に報知禁止用のディップスイッチを設ける方法を採ることもできる。
報知禁止設定は、このように報知の実行/禁止を一律に切り換える態様としてもよいし、所定の条件下で報知を禁止するようにしてもよい。例えば、不正行為その他の異常の検出が所定回数以下という条件下では報知を一律に禁止し、所定回数を超えた時点で図18に従った報知を実行するようにしてもよい。
次に、主制御基板300は、異常情報をホールコンピュータ10に出力する(ステップS550)。本実施例では、図18の対応関係で特定された報知ランクが異常情報として通信されることになる。この出力は、報知禁止設定が行われているか否かに関わらず実行される。異常情報では報知ランクが通知されるだけなので、ホールコンピュータ10のホール管理者は、異常の詳細な内容は分からないものの、報知ランクによって、異常への対処の必要性、緊急性を認識することは可能である。ホール管理者は、この報知ランクに基づいて、ホールの係員に異常の有無を確認するよう指示することができる。ホール管理者は、ホール内の全遊技機について報知ランクを把握することができるため、緊急性に応じて係員を配置することができ、効率的に異常への対処を行うことが可能となる。
以上で説明した実施例の遊技システムによれば、センサの検出信号をそのままホールコンピュータに通信するのではなく、報知ランクに変換した上でホールコンピュータに通知する。従って、遊技機に多数のセンサが備えられている場合であっても、異常情報の通信に要する通信線は、報知ランクの数(図18の例では4本)に抑えることができる。この結果、遊技機およびホールコンピュータ双方に要求される入出力のチャンネル数を抑制しつつ、効率的に異常情報を通知することが可能となる。
上述の例では、感振センサの検出結果に対し、一律にレベル2(図18参照)の報知態様を採る場合を例示したが、加振履歴、即ち感振センサの検出出力によって加振が行われたと判断された回数に応じて、次に示すように報知態様を変化させてもよい。
レベル1(加振回数=1):枠装飾ランプ376の一斉点灯;
レベル2(加振回数=2):枠装飾ランプ376の一斉点滅;
レベル3(加振回数=3):枠装飾ランプ376の一斉点滅および警告音の発生;
加振回数と各レベルとの対応関係は、上述の例に限らず、種々設定可能である。例えば、加振回数が1〜3回をレベル1に割り当てるなどのように、各レベルに対応すべき加振回数に幅を持たせても良い。この幅は、全レベルで統一してもよいし、異なる幅としてもよい。また、加振が行われた時刻を加振履歴として保持している場合には、加振の時間密度によってレベルを切り換えるようにしてもよい。もちろん、このようにレベルを設けることなく、常に一定の態様で報知を行うようにしても構わない。
D.効果および変形例:
以上で説明した実施例の遊技機によれば、複合機や第2種のパチンコ機に対して大当りを得やすくするために不正に行われる加振をその他の原因による振動から区別して検出することができる。本実施例では、検出回路390を用いてハードウェア的に検出するため、主制御基板300のCPUにかかる負荷を抑制することができる。
また、本実施例の遊技機は、少なくとも加振を初めて検出した時点では、音声出力を用いることなく加振を報知する。つまり、初期段階の検出時には、遊技者が不正行為を行っていることを周囲に知らせるかのような報知の仕方を回避する。こうすることによって、仮に加振の判定を誤ったとしても、遊技者にあらぬ疑いがかかるような報知を回避することができる利点がある。
本発明は、実施例の可変入賞装置91に限らず、遊技球の物理的な動きに基づいて大当りが決定する可変入賞装置を有する遊技機一般に適用可能である。実施例では、感振センサ390Sを、第三転動演出装置101の近傍に配置したが、この位置は種々の設定が可能である。例えば、可変入賞装置91の上や横に配置してもよいし、可変入賞装置91の背面側に配置してもよい。ただし、遊技機の奥行きを抑えるという観点からは、可変入賞装置91の背面を避けて配置することが好ましい。以上、本発明の種々の実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採ることができることはいうまでもない。