JP2007234585A - リチウムイオン二次電池用負極材料およびその製造方法、リチウムイオン二次電池用負極ならびにリチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】前記負極材料は、黒鉛質物の表面の少なくとも一部に、リチウムと合金化可能な金属原子および炭素原子を有する化合物層を介して、リチウムと合金化可能な金属および/または金属化合物の層を設けたことを特徴とする。ここで、前記リチウムと合金化可能な金属原子および炭素原子を有する化合物層において、前記炭素原子が前記黒鉛質物側に偏在していることが好ましい。
また、前記リチウムイオン二次電池用負極及びリチウムイオン二次電池は、前記負極を用いることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
[1]黒鉛質物の表面の少なくとも一部に、リチウムと合金化可能な金属原子および炭素原子を有する化合物層を介して、リチウムと合金化可能な金属および/または金属化合物の層を設けたことを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極材料。
[2]上記[1]において、前記リチウムと合金化可能な金属原子および炭素原子を有する化合物層において、前記炭素原子が前記黒鉛質物側に偏在していることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極材料。
[3]上記[1]または[2]において、前記黒鉛質物が、その表面に微小な凹凸を有することを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極材料。
[4]黒鉛質物の表面の少なくとも一部に、リチウムと合金化可能な金属をスパッタリング法で付着させてリチウムイオン二次電池用負極材料を製造する際に、
炭化水素ガスの存在下でリチウムと合金化可能な金属を付着させた後、
さらに、炭化水素ガスの非存在下でリチウムと合金化可能な金属を付着させることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極材料の製造方法。
[5]上記[4]において、黒鉛質物の表面の少なくとも一部に、炭化水素ガスの存在下でリチウムと合金化可能な金属をスパッタリング法で付着させる際に、
前記炭化水素ガスの濃度を連続的および/または段階的に減少させることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極材料の製造方法。
[6]黒鉛質物と、リチウムと合金化可能な金属および/または金属化合物とにメカノケミカル処理を施して、前記黒鉛質物の表面の少なくとも一部に、前記リチウムと合金化可能な金属および/または金属化合物を付着させた後、900〜1300℃の温度範囲で熱処理することを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極材料の製造方法。
なお、上記[4]、[5]、[6]に記載の方法によって、[1]、[2]、[3]に記載のリチウムイオン二次電池用負極材料を得ることができる。
[7]上記[1]乃至[3]のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用負極材料を用いたことを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極。
[8]負極として、上記[7]に記載のリチウムイオン二次電池用負極を用いたことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極材料(以下、単に「負極材料」とも称す。)は、黒鉛質物の表面の少なくとも一部に、リチウムと合金化可能な金属原子および炭素原子を有する化合物層(界面層)を介して、リチウムと合金化可能な金属および/または金属化合物の層(最表層)を設けた負極材料である。ここで、前記リチウムと合金化可能な金属原子および炭素原子を有する化合物層においては、この化合物層に含まれる炭素原子を前記黒鉛質物側に偏在させることが好ましい。
上記負極材料を構成する黒鉛質物は、負極活物質としてリチウムイオンを吸蔵・放出できるものであればよく、特に限定されない。
上記負極材料を構成するリチウムと合金化可能な金属としては、Al、Pb、Zn、Sn、Bi、In、Mg、Ga、Cd、Ag、Si、B、Au、Pt、Pd、Sb、Ge、Niなどを挙げることができ、好ましくはSi、Snであり、特に好ましくはSiである。また、前記リチウムと合金化可能な金属としては、この金属の2種以上の合金であってもよい。
リチウムと合金化可能な金属原子および炭素原子を有する化合物層(界面層)に存在する金属種としては、Al、Pb、Zn、Sn、Bi、In、Mg、Ga、Cd、Ag、Si、B、Au、Pt、Pd、Sb、Ge、Niなどを挙げることができ、好ましくはSi、Snであり、特に好ましくはSiである。また、前記リチウムと合金化可能な金属としては、この金属の2種以上の合金であってもよい。
本発明の負極材料の製造方法としては、黒鉛質物の表面の少なくとも一部に、リチウムと合金化可能な金属原子および炭素原子を有する化合物層を介して、リチウムと合金化可能な金属および/または金属化合物の層を有する構造が得られる方法であればいかなる方法を用いてもよいが、本発明の効果を最大限に発現する方法を以下に例示する。
最後に、炭化水素ガスの非存在下で、リチウムと合金化可能な金属をスパッタリング法で付着させることにより、本発明のリチウムイオン二次電池用負極材料を得ることができる。ここで、炭化水素ガスの非存在下とは、炭化水素ガス濃度が0.1vol%以下を言う。
リチウムイオン二次電池の負極を構成する負極材料として、上述した本発明の負極材料以外に公知の負極材料や導電性材料を混合して用いることができる。例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、メソフェーズ小球体の黒鉛質物、メソフェーズ炭素繊維の黒鉛質物、メソフェーズ焼成体の黒鉛質物などの各種負極材料や、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、気相成長炭素繊維などの導電性材料を混合して用いることができる。
本発明のリチウムイオン二次電池に使用される正極材(正極活物質)としては、リチウム化合物が用いられるが、充分な量のリチウムを吸蔵/脱離し得るものを選択することが好ましい。例えば、リチウム含有遷移金属酸化物、遷移金属カルコゲン化物、バナジウム酸化物、その他のリチウム含有化合物、一般式MxMo6S8−Y(式中Xは0≦X≦4、Yは0≦Y≦1の範囲の数値であり、Mは少なくとも一種の遷移金属を表す)で表されるシュブレル相化合物、活性炭、活性炭素繊維などを用いることができる。前記バナジウム酸化物としては、V2O5、V6O13、V2O4、V3O8で示されるものなどを用いることができる。
本発明のリチウムイオン二次電池に用いられる非水電解質としては、通常の非水電解液に使用される電解質塩である、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiClO4、LiB(C6H5)、LiCl、LiBr、LiCF3SO3、LiCH3SO3、LiN(CF3SO2)2、LiC(CF3SO2)3、LiN(CF3CH2OSO2)2、LiN(CF3CF2OSO2)2、LiN(HCF2CF2CH2OSO2)2、LiN((CF3)2CHOSO2)2、LiB[{C6H3(CF3)2}]4、LiAlCl4 、LiSiF6などのリチウム塩を用いることができる。酸化安定性の点からは、特に、LiPF6、LiBF4が好ましい。
本発明のリチウムイオン二次電池においては、セパレータを使用することもできる。
本発明のリチウムイオン二次電池は、上述した構成の、黒鉛質物を含有する負極、正極および非水電解質を、例えば、負極、非水電解質、正極の順で積層し、電池の外装材内に収容することで構成される。さらに、負極と正極の外側に非水電解質を配するようにしてもよい。
[負極材料の作製]
黒鉛質物として、メソフェーズ小球体(JFEケミカル(株)製、KMFC)を3000℃で6時間かけて黒鉛化したもの(平均粒径20μm)を用いた。
上記方法により作製した負極材料に4質量%の結合剤ポリフッ化ビニリデンを混合し、さらに、溶剤N−メチルピロリドンを加え、有機溶剤系負極合剤ペーストを作製した。これを銅箔上に均一な厚さに塗布し、さらに真空中90℃で溶剤を揮発させて乾燥した。次に、この銅箔上に塗布された負極合剤をハンドプレスによって加圧した。さらに直径15.5mmの円形状に打抜くことで、集電体銅箔(厚み16μm)に密着した負極合剤層(厚み50μm)からなる作用電極(負極)を作製した。
リチウム金属箔をニッケルネットに押付け、直径15.5mmの円形状に打抜いて、ニッケルネットからなる集電体と、該集電体に密着したリチウム金属箔(厚み0.5mm)からなる対極(正極)を作製した。
エチレンカーボネート33vol%−メチルエチルカーボネート67vol%の混合溶剤に、LiPF6を1mol/lとなる濃度で溶解させ、非水電解液を調製した。得られた非水電解液をポリプロピレン多孔質体(厚み20μm)に含浸させ、電解液が含浸したセパレータを作製した。
評価電池として図1に示すボタン型二次電池を作製した。
回路電圧が0mVに達するまで0.9mAの定電流充電を行った後、回路電圧が0mVに達した時点で定電圧充電に切替え、さらに電流値が20μAになるその間の通電量から充電容量を求めた。その後、120分間休止した。次に0.9mAの電流値で回路電圧が1.5Vに達するまで定電流放電を行い、この間の通電量から放電容量を求めた。これを第1サイクルとした。次式(1)から初期充放電効率を計算した。なおこの試験では、リチウムイオンを負極材料に吸蔵する過程を充電、負極材料からリチウムイオンが脱離する過程を放電とした。
初期充放電効率(%)=(第1サイクルの放電容量/第1サイクルの充電容量)×100 ・・・(1)
[サイクル特性]
引き続き、回路電圧が0mVに達するまで4.0mAの定電流充電を行った後、回路電圧が0mVに達した時点で定電圧充電に切替え、さらに電流値が20μAになるまで充電を続けた後、120分間休止した。次に4.0mAの電流値で回路電圧が1.5Vに達するまで定電流放電を行った。この充放電を100回繰返し、得られた放電容量から、次式(2)を用いてサイクル特性を計算した。
サイクル特性(%)=(第50サイクルにおける放電容量/第1サイクルにおける放電容量)×100 ・・・(2)
〔実施例2〕
上記実施例1において、メソフェーズ小球体の黒鉛化物を下記の通り前処理する以外は、上記実施例1と同様に負極合剤の調製、負極の作製、リチウムイオン二次電池の作製および電池の評価を行った。前期負極材料の特性と評価結果を同じく下表1に示した。
(前処理)
メソフェーズ小球体の黒鉛化物:98質量部に、炭素質微粒子(ケッチェンブラック、平均粒子径30nm)を3000℃で黒鉛化したもの:2質量部を加え、乾式粉体複合化装置(メカノフュージョンシステム、ホソカワミクロン(株)製)を用いて、回転ドラムの周速20m/秒、処理時間60分、回転ドラムと内部部材との距離5mmの条件で、圧縮力、剪断力を繰り返し付与し、メカノケミカル処理を施した。得られた複合材料をSEM(走査型電子顕微鏡)観察したところ、前記黒鉛粉末表面に微小黒鉛粒子が分散して付着し、表面に凹凸が形成されていることが確認できた。
上記実施例1において、メタンの導入量を一定にした以外は、実施例1と同様に負極合剤の調製、負極の作製、リチウムイオン二次電池の作製および電池の評価を行った。前記負極材料の特性と評価結果を同じく下表1に示した。
天然黒鉛(中越黒鉛工業所製、BF15A):90質量部に、Si粉末(高純度化学研究所製、平均粒径2μm):10質量部を加え、乾式粉体複合化装置(メカノフュージョンシステム、ホソカワミクロン(株)製)を用いて、回転ドラムの周速20m/s、処理時間60分、回転ドラムと内部部材との距離5mmの条件で、圧縮力、剪断力を繰り返し付与し、メカノケミカル処理を施した。得られた複合材料をSEM観察したところ、前記黒鉛粉末表面に、Si粒子が分散して付着していることが確認できた。
上記実施例1において、スパッタリングの際にメタンを導入しない以外は、実施例1と同様に負極合剤の調製、負極の作製、リチウムイオン二次電池の作製および電池の評価を行った。前記負極材料の特性と評価結果を同じく下表1に示した。
2 作用電極
3 外装缶
4 対極
5 電解質溶液含浸セパレータ
6 絶縁ガスケット
7a,7b 集電体
Claims (8)
- 黒鉛質物の表面の少なくとも一部に、リチウムと合金化可能な金属原子および炭素原子を有する化合物層を介して、リチウムと合金化可能な金属および/または金属化合物の層を設けたことを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極材料。
- 前記リチウムと合金化可能な金属原子および炭素原子を有する化合物層において、前記炭素原子が前記黒鉛質物側に偏在していることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極材料。
- 前記黒鉛質物が、その表面に微小な凹凸を有することを特徴とする請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池用負極材料。
- 黒鉛質物の表面の少なくとも一部に、リチウムと合金化可能な金属をスパッタリング法で付着させてリチウムイオン二次電池用負極材料を製造する際に、
炭化水素ガスの存在下でリチウムと合金化可能な金属を付着させた後、
さらに、炭化水素ガスの非存在下でリチウムと合金化可能な金属を付着させることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極材料の製造方法。 - 黒鉛質物の表面の少なくとも一部に、炭化水素ガスの存在下でリチウムと合金化可能な金属をスパッタリング法で付着させる際に、
前記炭化水素ガスの濃度を連続的および/または段階的に減少させることを特徴とする請求項4に記載のリチウムイオン二次電池用負極材料の製造方法。 - 黒鉛質物と、リチウムと合金化可能な金属および/または金属化合物とにメカノケミカル処理を施して、前記黒鉛質物の表面の少なくとも一部に、前記リチウムと合金化可能な金属および/または金属化合物を付着させた後、
900〜1300℃の温度範囲で熱処理することを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極材料の製造方法。 - 請求項1乃至3のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用負極材料を用いたことを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極。
- 負極として、請求項7に記載のリチウムイオン二次電池用負極を用いたことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
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