JP2007230916A - アンドロゲン受容体結合阻害剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】天然抽出物を含有したアンドロゲン受容体結合阻害剤を提供する。
【解決手段】アルニカを水、親水性有機溶媒またはそれらの混合物で抽出処理して得られる抽出物を有効成分とする。該アンドロゲン受容体結合阻害剤は、男性ホルモン依存型の疾患である男性型禿頭、多毛症、脂漏症、座そう、前立腺肥大症、前立腺腫瘍、男児性早熟等の予防、改善に有効である。さらに、該阻害剤を含有する皮膚化粧料、飲食物は、皮膚の老化の防止・改善に有効である。
【選択図】なし
【解決手段】アルニカを水、親水性有機溶媒またはそれらの混合物で抽出処理して得られる抽出物を有効成分とする。該アンドロゲン受容体結合阻害剤は、男性ホルモン依存型の疾患である男性型禿頭、多毛症、脂漏症、座そう、前立腺肥大症、前立腺腫瘍、男児性早熟等の予防、改善に有効である。さらに、該阻害剤を含有する皮膚化粧料、飲食物は、皮膚の老化の防止・改善に有効である。
【選択図】なし
Description
本発明は植物抽出物を有効成分とするアンドロゲン受容体結合阻害剤に関するものである。
多くのステロイドホルモンは産生臓器から分泌された分子型で受容体と結合してその作用を発現するが、アンドロゲンと総称される男性ホルモンの場合、例えばテストステロンは標的臓器の細胞内に入ってテストステロン5α−レダクターゼにより5α−ジヒドロテストステロン(以下「5α−DHT」という。)に還元されてから受容体と結合し、アンドロゲンとしての作用を発現する。
上記アンドロゲンは重要なホルモンであるが、それが過度に作用すると、男性型禿頭、多毛症、脂漏症、座瘡、前立腺肥大症、前立腺腫瘍、男児性早熟などの様々な好ましくない症状を誘発する。
そこで、過剰のアンドロゲンの作用を抑制することによりこれら好ましくない症状を改善する手法が検討されている。具体的には、テストステロンから生じた5α−DHTが受容体と結合するのを阻害することによりアンドロゲン活性を発現させない方法などが提案されている。
そのためのアンドロゲン受容体結合阻害剤について種々の提案がなされている。例えば、ワンピ属ミカン科黄皮の葉の抽出物(特許文献1参照)、五斂子の葉部からの抽出物(特許文献2参照)、マジト及び/又はカチュアの抽出物(特許文献3参照)、藤茶の枝葉からの抽出物(特許文献4参照)などが提案されている。
しかしながら、上記抽出物においてアンドロゲン受容体の結合を阻害する具体的な化合物は未だ特定されておらず、更なるアンドロゲン受容体結合阻害効果を有する天然系のアンドロゲン受容体結合阻害剤が強く望まれているが、安全性、及び生産性に優れ、かつ安価でありながら高いアンドロゲン受容体結合阻害作用を有するアンドロゲン受容体結合阻害剤に対する需要者の要望は極めて強く、未だ十分満足し得るものが提供されていないのが現状である。
そこで、本発明は、アンドロゲン受容体結合阻害物質を有効成分として含む新規なアンドロゲン受容体結合阻害剤を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、安全な数多くの植物類の中から、アンドロゲン受容体結合阻害効果を有するものについて鋭意研究を重ねた結果、アルニカからの抽出物が高いアンドロゲン受容体結合阻害作用を有すること、そして、それらを有効成分とすることにより、男性ホルモン依存型の疾患である男性型禿頭、多毛症、脂漏症、座瘡、前立腺肥大症、前立腺腫瘍、男児性早熟等の予防又は改善に有効なアンドロゲン受容体結合阻害剤が得られることを見出した。
本発明によれば、アンドロゲン受容体結合阻害剤が提供される。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明において、アルニカからの抽出物には、アルニカを抽出原料として得られる抽出液、該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、該抽出液を乾燥して得られる乾燥物、又はこれらの粗精製物若しくは精製物のいずれもが含まれる。
抽出原料として用いるアルニカ(学名:Arnica montana)は、キク科に属する多年草であって、ヨーロッパから南ロシアまでの山岳地方の酸性土壌の牧草地に生育しており、これらの地域から容易に入手可能である。抽出原料として用いるアルニカの構成部位は特に限定されるものではなく、例えば花蕾部、葉部、枝部、種子、樹皮、根部等の構成部位を抽出原料として用いることができる。これらの構成部位のうち、特に花を抽出原料として用いることが好ましい。
アルニカから植物の抽出に一般的に用いられている抽出方法によってアンドロゲン受容体結合阻害作用を有する抽出物を得ることができる。例えば、抽出原料を乾燥した後、そのまま、又は粉砕機を用いて粉砕し、抽出溶媒による抽出に供することにより得ることができる。この際、抽出原料の乾燥は天日で行ってもよいし、通常使用される乾燥機を用いて行ってもよい。
抽出溶媒としては、極性溶媒を用いることが好ましく、水若しくは親水性有機溶媒又はこれらの混合液を室温又は溶媒の沸点以下の温度で用いることが特に好ましい。
抽出溶媒として使用し得る水としては、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等の他、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、ろ過、イオン交換、浸透圧の調整、緩衝化等が含まれる。従って、本発明において抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等も含まれる。
抽出溶媒として使用し得る親水性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜5の低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2〜5の多価アルコールなどが挙げられる。
2種以上の極性溶媒の混合液を抽出溶媒として使用する場合、その混合比は適宜調整することができる。例えば、水と低級脂肪族アルコールとの混合液を使用する場合には、水と低級脂肪族アルコールとの混合比を9:1〜1:9(質量比)とすることができる。
抽出処理は、アルニカ に含有される可溶性成分を抽出溶媒に溶出させ得る限り特に限定されるものではなく、常法に従って行うことができる。抽出処理の際には特殊な抽出方法を採用する必要はなく、室温又は還流加熱下において任意の装置を用いることができる。
具体的には、抽出溶媒を満たした処理槽に抽出原料を投入し、必要に応じて時々攪拌しながら、通常1〜3時間静置して可溶性成分を溶出した後、ろ過して固形物を除去し、得られた抽出液から抽出溶媒を留去し、乾燥することにより抽出物が得られる。抽出溶媒量は抽出原料の通常5〜15倍量(質量比)であり、抽出温度は、通常、常温〜95℃である。
得られた抽出液は、該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、該抽出液の乾燥物、又はこれらの粗精製物若しくは精製物を得るために、常法に従って希釈、濃縮、乾燥、精製等の処理を施してもよい。
得られた抽出液はそのままでもアンドロゲン受容体結合阻害作用剤 として使用することができるが、濃縮液又は乾燥物としたものの方が利用しやすい。アルニカからの 抽出物の製剤化は常法に従って行うことができる。製剤化する場合、保存や取扱いを容易にするために、デキストリン、シクロデキストリン等の薬学的に許容され得るキャリアーその他任意の助剤を添加することができ、アルニカからの 抽出物を粉末状、果粒状、錠剤状等、任意の剤形に製剤化することができる。
アルニカからの 抽出物は特有の匂いを有しているため、その生理活性の低下を招かない範囲で脱色、脱臭等を目的とする精製を行うことも可能であるが、化粧料や飲食品などに添加する場合には大量に使用するものではないから、未精製のままでも使用する事ができる。精製は具体的には、活性炭処理、吸着樹脂処理、イオン交換樹脂処理等によって行うことができる。
以上のようにして得られるアルニカからの 抽出物は、アンドロゲン受容体結合阻害作用 を有しており、この作用を利用してアンドロゲン受容体結合阻害剤 の有効成分として使用することができる。
アルニカからの 抽出物、並びに当該抽出物を有効成分として含有するアンドロゲン受容体結合阻害剤 は、皮膚の老化の防止・改善することができると共に、皮膚に適用した場合の使用感と安全性に優れているため、皮膚化粧料に配合するのに好適である。
アルニカからの 抽出物を配合し得る皮膚化粧料 の種類は特に限定されず、その具体例としては、軟膏、クリーム、乳液、ローション、パック、口紅、入浴剤等が挙げられる。
本発明の皮膚化粧料におけるアルニカからの 抽出物の配合量は、皮膚化粧料 の種類や抽出物の生理活性等によって適宜調整することができるが、好適な配合率は標準的な抽出物に換算して約0.001〜10質量%である。
本発明の皮膚化粧料 には、アルニカからの 抽出物が有するアンドロゲン受容体結合阻害 作用の妨げにならない限り、皮膚化粧料 の製造に通常使用される各種主剤及び助剤、その他任意の助剤を使用することができる。
本発明の皮膚化粧料 において、アルニカからの 抽出物と共に皮膚化粧料 、構成成分として利用可能なものとしては、例えば、収斂剤、殺菌・抗菌剤、紫外線吸収剤、保湿剤、細胞賦活剤、抗アレルギー剤、等が挙げられる。
アルニカからの 抽出物を配合した皮膚化粧料 を製造する場合、他の製造原料の選択が制限されることはほとんどなく、油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、界面活性剤、香料等の一般的な基材や助剤はいずれも使用可能である。
アルニカからの 抽出物を配合した飲食品には、皮膚の老化を防止、改善する作用が付与され、これを飲食品として使用することができる。その場合の配合量は、添加対象飲食品の一般的な摂取量を考慮して成人1日当たりの抽出物摂取量が約1〜1000mgになるようにするのが適当である。
本発明の飲食品を製造する際には、例えば、デキストリン、デンプン等の糖類;ゼラチン、大豆タンパク、トウモロコシタンパク等のタンパク質;アラニン、グルタミン、イソロイシン等のアミノ酸類;セルロース、アラビアゴム等の多糖類;大豆油、中鎖脂肪酸トリグリセリド等の油脂類等の任意の助剤を添加して任意の剤形に製剤化することができる。
アルニカからの 抽出物を配合し得る飲食品は特に限定されないが、その具体例としては、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料等の飲料(これらの飲料の濃縮原液及び調整用粉末を含む);アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の冷菓;そば、うどん、はるさめ、ぎょうざの皮、しゅうまいの皮、中華麺、即席麺等の麺類;飴、チューインガム、キャンディー、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子等の菓子類;かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品;加工乳、発酵乳等の乳製品;サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品;ソース、たれ等の調味料;スープ、シチュー、サラダ、惣菜、漬物等が挙げられる。
以上説明した本発明のアンドロゲン受容体結合阻害剤は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、それぞれの作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物に対して適用することもできる。
以下、製造例及び試験例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は、下記の各例に何ら限定されるものではない。
[製造例1]
アルニカの花各200gに、抽出溶媒として抽出溶媒として水、50%エタノール又はエタノールを1000ml加え、還流抽出器で80℃にて2時間抽出し、濾過した。残渣について更に同様の抽出処理を行った。得られた抽出液を合わせて減圧下に濃縮を行い、乾燥して該抽出物を得た。各抽出物の収率は表1に示す。
アルニカの花各200gに、抽出溶媒として抽出溶媒として水、50%エタノール又はエタノールを1000ml加え、還流抽出器で80℃にて2時間抽出し、濾過した。残渣について更に同様の抽出処理を行った。得られた抽出液を合わせて減圧下に濃縮を行い、乾燥して該抽出物を得た。各抽出物の収率は表1に示す。
[表1]抽出物の収率
原料 水(%) 50%エタノール(%) エタノール(%)
アルニカ 8.4 6.0 4.2
原料 水(%) 50%エタノール(%) エタノール(%)
アルニカ 8.4 6.0 4.2
[試験例1]アンドロゲン受容体結合阻害試験
アンドロゲン依存性マウス乳癌細胞SC−3細胞を、2v/v%FBS含有MEM培地(以下MEM−2と略す)を用いて1.0×104細胞数/穴/100μLの細胞密度にて96穴プレートに播種し、37℃、5%CO2−95%airの下で培養した。24時間後、試料および10−9 mol/LのDHTを添加した0.5%BSA含有HamF12十MEM培地(以下HMB培地と略す)に培地を交換して48時間培養した。その後、培地を0.97mmol/LMTTを含むMEM−2培地に交換し、2時間培養後、培地をイソプロパノールに交換して細胞内に生成したブルーホルマザンを抽出した。溶出したブルーホルマザンを含有するイソプロパノールについて、ブルーホルマザンの吸収極大点がある570nmの吸光度を測定した。
アンドロゲン依存性マウス乳癌細胞SC−3細胞を、2v/v%FBS含有MEM培地(以下MEM−2と略す)を用いて1.0×104細胞数/穴/100μLの細胞密度にて96穴プレートに播種し、37℃、5%CO2−95%airの下で培養した。24時間後、試料および10−9 mol/LのDHTを添加した0.5%BSA含有HamF12十MEM培地(以下HMB培地と略す)に培地を交換して48時間培養した。その後、培地を0.97mmol/LMTTを含むMEM−2培地に交換し、2時間培養後、培地をイソプロパノールに交換して細胞内に生成したブルーホルマザンを抽出した。溶出したブルーホルマザンを含有するイソプロパノールについて、ブルーホルマザンの吸収極大点がある570nmの吸光度を測定した。
なお、付着細胞の影響を補正するため、同時に650nmの吸光度も測定し、両吸光度の差をもってブルーホルマザンの生成量に比例する値とした(下記結合阻害率の計算式における吸光度はこの補正済み吸光度である)。上記と並行して、試料単独でSC−3細胞に及ぼす影響をみるため、HMB培地にDHTを添加せず試料のみを添加して、同様の培養と測定を行った。さらに、コントロールとして、試料およびDHTを添加しないHMB培地で培養した場合、および試料を添加せずDHTのみを添加したHMB培地で培養した場合についても同様の測定を行った。
測定結果より、抗アンドロゲン作用を示す結合阻害率を次式により算出した。
結合阻害率(%)={1−(A−B)/(C−D)}×100
A:DHT添加、試料添加の場合の吸光度
B:DHT無添加、試料添加の場合の吸光度
C:DHT添加、試料無添加の場合の吸光度
D:DHT無添加、試料無添加の場合の吸光度
測定結果より、抗アンドロゲン作用を示す結合阻害率を次式により算出した。
結合阻害率(%)={1−(A−B)/(C−D)}×100
A:DHT添加、試料添加の場合の吸光度
B:DHT無添加、試料添加の場合の吸光度
C:DHT添加、試料無添加の場合の吸光度
D:DHT無添加、試料無添加の場合の吸光度
試料溶液の濃度を段階的に減少させて上記阻害率の測定を行い、各濃度におけるアンドロゲンの結合阻害率(%)を求め、その結果から内挿法により、アンドロゲンの結合を50%阻害する試料濃度IC50(ppm)を求めた。
[表2]アンドロゲン受容体結合阻害
被験試料 IC50(ppm)
アルニカ水抽出物 49.6
アルニカ50%エタノール抽出物 10.8
アルニカエタノール抽出物 41.3
表2に示すように、アルニカ抽出物は濃度依存的にアンドロゲン受容体結合阻害作用を示すことが確認された。
被験試料 IC50(ppm)
アルニカ水抽出物 49.6
アルニカ50%エタノール抽出物 10.8
アルニカエタノール抽出物 41.3
表2に示すように、アルニカ抽出物は濃度依存的にアンドロゲン受容体結合阻害作用を示すことが確認された。
Claims (1)
- アルニカからの抽出物を有効成分として含有することを特徴とするアンドロゲン受容体結合阻害剤。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006055354A JP2007230916A (ja) | 2006-03-01 | 2006-03-01 | アンドロゲン受容体結合阻害剤 |
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JP (1) | JP2007230916A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012151346A1 (en) * | 2011-05-03 | 2012-11-08 | Dermachip Inc. | Expression signatures of genes and gene networks associated with skin aging |
-
2006
- 2006-03-01 JP JP2006055354A patent/JP2007230916A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2012151346A1 (en) * | 2011-05-03 | 2012-11-08 | Dermachip Inc. | Expression signatures of genes and gene networks associated with skin aging |
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