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JP2007228787A - モータ制御装置及びモータ制御装置を備えたミシン - Google Patents

モータ制御装置及びモータ制御装置を備えたミシン Download PDF

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JP2007228787A
JP2007228787A JP2006349711A JP2006349711A JP2007228787A JP 2007228787 A JP2007228787 A JP 2007228787A JP 2006349711 A JP2006349711 A JP 2006349711A JP 2006349711 A JP2006349711 A JP 2006349711A JP 2007228787 A JP2007228787 A JP 2007228787A
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Atsushi Kamano
淳 蒲野
Kazuhisa Ito
和久 伊藤
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Abstract

【課題】 駆動対象部の駆動停止位置に対する減速タイミングを一定にし、減速タイミングにおける駆動対象部の駆動状態を略一定にすることで、脱調を回避し、駆動停止位置精度を向上することである。
【解決手段】 X方向駆動モータへの駆動パルスを介して指令した指令回転位置と、Xエンコーダで検出したX方向駆動モータの実回転位置との偏差D0を演算する(S32)。偏差D0が所定値D1より小さい場合(S34:Yes)、脱調する虞があるので、パルス出力間隔を大きく変更して(S35)、駆動パルスを出力する。偏差D0が所定値D1と同じか所定値D1よりも大きく(S34:No)、さらに所定値D2よりも大きい場合は(S37:Yes)、ダンピングを終息させるために、パルス出力間隔を小さく変更して(S40〜S41)、駆動パルスを出力する。
【選択図】 図11

Description

本発明は、ミシンの駆動対象部を駆動するパルスモータをフィードバック制御により駆動制御するモータ制御装置及びこのモータ制御装置を備えたミシンに関する。
従来、本縫いミシン等の一般的なミシンは、制御装置が出力する駆動パルスにより駆動対象部を駆動制御するように、パルスモータ(ステッピングモータ)を装備している。例えば、刺繍ミシンは、加工布を保持する刺繍枠を装着した枠ホルダーを、X方向とこれと直交するY方向に移動させる為のパルスモータを夫々備えている。
それ故、枠ホルダーは加工布を保持する刺繍枠と共に正確に所定の位置へ移動するので、各種の刺繍模様を位置精度良く縫製することが可能になっている。しかし、縫製中において、つまりパルスモータの駆動制御中に、枠ホルダーや刺繍枠に大きな外力が作用した場合に限らず、回転駆動するパルスモータ自体の惰性等によって、パルスモータに脱調が起こる。
このようなパルスモータにエンコーダを設け、エンコーダが出力するエンコーダ信号によりパルスモータの回転量を検出してフィードバック制御する場合がある。この場合、パルスモータが脱調すると、制御装置が出力する指令パルス数と、パルスモータの回転量に対応するエンコーダ信号数、つまりエンコーダパルス数との間に誤差が生じることになり、刺繍枠を正確に駆動させることができない。その結果、模様崩れが発生して、綺麗な刺繍模様を縫製することができない場合がある。そこで、パルスモータの脱調を防ぐためのパルスモータ制御装置が種々存在する。
例えば、特許文献1に記載のパルスモータ制御プログラムは、パルスモータの実際の回転量を検出するエンコーダをパルスモータに設け、パルスモータの実際の回転量に対応するエンコーダパルス数を検出する。そして、パルスモータの駆動中に、パルスモータを駆動する為の駆動パルスである第1パルス数と、エンコーダパルス数である第2パルス数との偏差を演算する。最大トルクを発生させる加速用設定偏差及び減速用設定偏差を予め設定しておき、演算で得た偏差が設定偏差になるように駆動パルスをパルスモータへ出力する。このように、従来のパルスモータの制御装置は、パルスモータの出力を最大トルクに維持しつつ、脱調現象を回避するようにしてある。
特開2004−321771号公報(第9〜14頁、図7,図8)
特許文献1に記載のパルスモータ制御プログラムにおいては、パルスモータの出力を最大トルクに維持しながら、送りピッチ分を所定時間内に移動完了できると想定した加速用設定偏差及び減速用設定偏差を予め設定する。第1パルス数と第2パルス数との偏差が設定偏差になるように駆動パルスをパルスモータへ出力するので、脱調を防止することはできる。しかし、パルスモータの駆動停止位置に対する減速タイミングが一定であるのに対して、減速タイミングにおけるパルスモータの回転速度は一定でない。従って、この回転速度如何により、目標とする停止位置に停止できなくなる場合が起こり、安定した停止位置精度が得られないという問題がある。
本発明の目的は、パルス出力間隔を設定したパルス出力タイミング格納(記憶)手段を採用することで、駆動対象部の駆動停止位置に対する減速タイミングを一定にすることである。更に、減速タイミングにおける駆動対象部の駆動状態を略一定にすることで、脱調を回避し、しかも駆動停止位置精度を向上することである。
請求項1のモータ制御装置は、駆動対象部を駆動させるパルスモータを制御するモータ制御装置において、駆動対象部の駆動状態を検出する駆動状態検出手段と、パルスモータへ駆動パルスを順次出力するパルス出力間隔を格納したパルス出力タイミング格納手段と、駆動状態検出手段が検出した駆動対象部の実際の駆動状態と、パルスモータが駆動パルスを介して受けた指令値との偏差を演算する偏差演算手段と、偏差演算手段が演算した偏差が所定範囲内に存在するか否かを判断する偏差判断手段と、偏差判断手段が偏差が所定範囲内に存在しないと判断した場合には、パルス出力タイミング格納手段が格納するパルス出力間隔を変更し、その変更したパルス出力間隔に基づいて駆動パルスを出力するパルス出力制御手段とを備えたものである。
パルスモータに対する指令値と駆動対象部の実際の駆動状態との偏差が所定範囲内に存在する場合には、パルス出力タイミング格納手段が格納するパルス出力間隔毎に駆動パルスを順々に出力する。反対に、偏差が所定範囲内に存在しない場合には、パルス出力タイミング格納手段が格納するパルス出力間隔を変更し、その変更したパルス出力間隔に基づいて駆動パルスを順々に出力する。これにより、何れの場合であっても、脱調を確実に回避することができる。加えて、駆動対象部の駆動停止位置に対する減速タイミングが略一定になり、しかも減速タイミングにおける駆動対象部の駆動状態が略一定になるので、駆動対象部の駆動停止位置精度の安定化を図ることができる。
請求項2のモータ制御装置は、請求項1において、前記所定範囲は、パルスモータの速度状態が加速及び定速の場合と、減速の場合とで異なるものである。
請求項3のモータ制御装置は、請求項2において、前記指令値に基づいて、パルスモータの速度状態が加速、定速、減速のいずれであるかを判断する指令速度判断手段と、指令値に基づいて、パルスモータの回転方向が正転であるか逆転であるかを判断する回転方向判断手段とをさらに備え、回転方向判断手段がパルスモータの回転方向が正転であると判断した場合、パルス出力制御手段は、指令速度判断手段が速度状態が加速または定速であると判断し、且つ、偏差判断手段が偏差が所定範囲の下限値を下回ると判断した場合は、パルス出力タイミング格納手段が格納するパルス出力間隔をパルス出力間隔よりも大きく変更し、指令速度判断手段が速度状態が加速または定速であると判断し、且つ偏差判断手段が偏差が所定範囲の上限値を上回ると判断した場合は、パルス出力タイミング格納手段が格納するパルス出力間隔をパルス出力間隔よりも小さく変更するものである。
請求項4のモータ制御装置は、請求項3において、前記回転方向判断手段がパルスモータの回転方向が逆転であると判断した場合、パルス出力制御手段は、指令速度判断手段が速度状態が加速または定速であると判断し、且つ、偏差判断手段が偏差が所定範囲の上限値を上回ると判断した場合は、パルス出力タイミング格納手段が格納するパルス出力間隔をパルス出力間隔よりも大きく変更し、指令速度判断手段が速度状態が加速または定速であると判断し、且つ、偏差判断手段が偏差が所定範囲の下限値を下回ると判断した場合は、パルス出力タイミング格納手段が格納するパルス出力間隔をパルス出力間隔よりも小さく変更するものである。
請求項5のモータ制御装置は、請求項3又は4において、前記パルス出力制御手段は、指令速度判断手段が速度状態が減速であると判断し、且つ偏差判断手段が偏差が所定範囲の範囲内に存在しないと判断した場合は、パルス出力タイミング格納手段が格納するパルス出力間隔をパルス出力間隔よりも大きく変更するものである。
請求項6のモータ制御装置は、請求項1〜5の何れかにおいて、前記駆動対象物の実際の駆動状態は、駆動対象物の位置であることを特徴とする。
請求項7のミシンは、請求項1〜6の何れかにおいて、前記請求項1〜請求項6に記載のモータ制御装置を備えたもるである。
請求項1の発明によれば、駆動対象部を駆動させるパルスモータを制御するモータ制御装置において、駆動状態検出手段と、パルス出力タイミング格納手段と、偏差演算手段と、偏差判断手段と、パルス出力制御手段とを備えたので、パルスモータに対する指令値と駆動対象部の実際の駆動状態との偏差が所定範囲内に存在する場合には、パルス出力タイミング格納手段が格納するパルス出力間隔毎に駆動パルスが順々に出力される。
反対に、偏差が所定範囲内に存在しない場合には、パルス出力タイミング格納手段が格納するパルス出力間隔を変更し、その変更したパルス出力間隔に基づいて駆動パルスが順々に出力される。
これにより、何れの場合であっても、脱調を確実に回避することができる。加えて、駆動対象部の駆動停止位置に対する減速タイミングが略一定になり、しかも減速タイミングにおける駆動対象部の駆動状態が略一定になるので、駆動対象部の駆動停止位置精度の安定化を図ることができる。
請求項2の発明によれば、前記所定範囲は、パルスモータの速度状態が加速及び定速の場合と、減速の場合とで異なるので、加速及び定速の場合と減速の場合とで異なるパルスモータの動作に応じて、脱調の回避やダンピングの抑制に最適な所定範囲を夫々個別に設定することができる。その他請求項1と同様の効果を奏する。
請求項3の発明によれば、前記指令値に基づいて、パルスモータの速度状態が加速、定速、減速のいずれであるかを判断する指令速度判断手段と、指令値に基づいて、パルスモータの回転方向が正転であるか逆転であるかを判断する回転方向判断手段とをさらに備え、回転方向判断手段がパルスモータの回転方向が正転であると判断した場合、パルス出力制御手段は、指令速度判断手段が速度状態が加速または定速であると判断し、且つ、偏差判断手段が偏差が所定範囲の下限値を下回るか又は所定範囲の上限値を上回ると判断した場合、パルス出力タイミング格納手段が格納するパルス出力間隔をパルス出力間隔よりも大きく又は小さく変更する。
それ故、パルスモータの回転方向が正転の場合に、駆動対象部の実際の駆動状態を指令値に早期に近づけて、偏差が所定範囲内に収まるようになることから、パルスモータの脱調を極力回避することが可能になる。加えて、駆動対象部の駆動停止位置に対する減速タイミングが略一定になり、しかも減速タイミングにおける駆動対象部の駆動状態が略一定になるので、駆動対象部の駆動停止位置精度の安定化を図ることができる。その他請求項2と同様の効果を奏する。
請求項4の発明によれば、前記回転方向判断手段がパルスモータの回転方向が逆転であると判断した場合、パルス出力制御手段は、指令速度判断手段が速度状態が加速または定速であると判断し、且つ、偏差判断手段が偏差が所定範囲の上限値を上回るか又は所定範囲の下限値を下回ると判断した場合、パルス出力タイミング格納手段が格納するパルス出力間隔をパルス出力間隔よりも大きく又は小さく変更する。
それ故、パルスモータの回転方向が逆転の場合に、駆動対象部の実際の駆動状態を指令値に早期に近づけて、偏差が所定範囲内に収まるようになることから、パルスモータの脱調を極力回避することが可能になる。加えて、駆動対象部の駆動停止位置に対する減速タイミングが略一定になり、しかも減速タイミングにおける駆動対象部の駆動状態が略一定になるので、駆動対象部の駆動停止位置精度の安定化を図ることができる。その他請求項3と同様の効果を奏する。
請求項5の発明によれば、前記パルス出力制御手段は、指令速度判断手段が速度状態が減速であると判断し、且つ偏差判断手段が偏差が所定範囲の範囲内に存在しないと判断した場合は、パルス出力タイミング格納手段が格納するパルス出力間隔をパルス出力間隔よりも大きく変更する。
それ故、パルスモータの回転方向が逆転の場合に、駆動対象部の実際の駆動状態を指令値に早期に近づけて、偏差が所定範囲内に収まるようになることから、パルスモータの脱調を極力回避することが可能になる。加えて、駆動対象部の駆動停止位置に対する減速タイミングが略一定になり、しかも減速タイミングにおける駆動対象部の駆動状態が略一定になるので、駆動対象部の駆動停止位置精度の安定化を図ることができる。その他請求項3又は4と同様の効果を奏する。
請求項6の発明によれば、前記駆動対象物の実際の駆動状態は、駆動対象物の位置であるので、駆動対象物の実際の駆動状態を簡単なエンコーダで検出でき、しかも偏差演算手段による偏差の演算が格段に簡単化する。その他請求項1〜5の何れかと同様の効果を奏する。
請求項7の発明によれば、ミシンは、前記請求項1〜請求項6に記載のモータ制御装置を備えたので、請求項1〜請求項6に記載の効果を発揮できるミシンを実現することができる。
本実施例のパルスモータ制御装置は、駆動パルスをパルスモータへ出力するパルス出力間隔を予め設定したパルス出力タイミングテーブルを参照しながら、複数の駆動パルスをパルスモータへ順次出力する。そして、パルスモータが駆動パルスを介して指令を受けた指令回転位置とパルスモータの実回転位置との偏差を求め、この偏差が所定範囲内に存在しないときには、パルス出力間隔を変更する。従って、パルスモータの脱調を防止でき、しかも駆動対象部の停止位置精度を高めることができる。
本発明の実施例について図面を参照して説明する。
本実施例は、刺繍枠を装着するための枠ホルダーを有し、この枠ホルダーを保持するキャリッジをX方向及びY方向に駆動させるパルスモータを備えた刺繍用の多針ミシンに本発明を適用した一例である。
図1に示すように、多針ミシンMは、左右1対の支持脚1と、これら支持脚1の後端部から立設する脚柱部2と、脚柱部2の上端部から前方に延びるアーム部3とを備えている。更に、多針ミシンMは、アーム部3の先端部に設けた左右方向へ移動可能な針棒ケース4と、脚柱部2の下端部から前方に延びるベッド部5と、装着した枠ホルダー20をX方向及びY方向へ移動させるキャリッジ6(駆動対象部に相当する)とを備えている。更に、多針ミシンMは、作業者がタッチパネル8aを介して種々の操作をするための操作パネル8と、多針ミシンMの制御全般を司る制御装置40などを有する。
針棒ケース4は、下端部に縫針10を夫々装着した6本の針棒(図示略)と、その針棒と対応するように配置した6個の天秤11と、針棒ケース4の上端部に設けた糸調子台12と、この糸調子台12に配設した6個の糸調子器13などを有する。
アーム部3は、脚柱部2に設けたミシンモータ50(図3参照)の駆動力を縫針10及び天秤11に伝達する駆動力伝達機構(図示略)と、この駆動力伝達機構が伝達したミシンモータ50の駆動力により縫針10及び天秤11を夫々駆動する縫針上下駆動機構及び天秤揺動機構(図示略)とを備えている。更に、アーム部3は、針棒ケース駆動モータ55(図3参照)が針棒ケース4を左右に移動させて所望の針棒及び天秤11を駆動力伝達可能な位置に切換える針棒天秤切換え機構(図示略)等を備えている。
アーム部3の上面部の後半部分は、各々3個の糸駒(図示略)が配置可能な左右1対の糸駒台14と、この糸駒台14に対応する糸案内15を備えている。各糸駒は、糸駒台14の上方に位置する糸案内15、糸調子器13、天秤11などを経由して各縫針10に上糸を供給する。
図2に示すように、キャリッジ6は、枠ホルダー20を装着したX方向キャリッジ21と、X方向キャリッジ21を駆動するX方向駆動モータ22と、X方向駆動モータ22の駆動力をX方向キャリッジ21に伝達するタイミングベルト23と、脚柱部2に設けたY方向駆動モータ53(図3参照)が駆動力を伝達するガイド脚24等(図1参照)を備えている。X方向駆動モータ22と、Y方向駆動モータ53は、パルスモータである。
X方向駆動モータ22は、両軸タイプのモータであり、上方に延びる出力軸25にタイミングベルト23の一端部が掛かっており、下方に延びる出力軸25にはXエンコーダ57(図3参照)が連結している。
Xエンコーダ57(駆動状態検出手段に相当する)は、X方向駆動モータ22の実際の回転位置(駆動対象部の駆動状態に相当する)を検出するためのものである。図示しないが、Xエンコーダ57は、周方向微少間隔に複数本のスリットを放射状に形成したディスクと、発光部と受光部とを有する検出器とを備えている。
このXエンコーダ57は、発光部が発した光がディスクのスリットを通過したときに受光部によりその光を検出し、その検出したエンコーダ信号を制御装置40に出力する。このようにして、Xエンコーダ57はX方向駆動モータ22の出力軸25の回転角度、つまりX方向駆動モータ22の実回転位置を検出する。
タイミングベルト23の一端部はX方向駆動モータ22の出力軸25が支持し、他端部はX方向キャリッジ21の右端部にある回転軸26が支持している。タイミングベルト23の中間部には、X方向キャリッジ21の2箇所で連結部材27が連結している。タイミングベルト23が、X方向駆動モータ22の駆動力をX方向キャリッジ21に伝達している。
ガイド脚24は、Y方向駆動モータ53の駆動に応じて、支持脚1が有するガイド溝28に沿って、キャリッジ6及び枠ホルダー20と共に移動する(図1参照)。尚、図示しないが、Y方向駆動モータ53の出力軸にも、X方向駆動モータ22に連結するXエンコーダ57と同様のYエンコーダ58が連結している。
枠ホルダー20は、加工布を保持する刺繍枠29を装着するものである。枠ホルダー20は、左右1対の腕部30a,30bにより刺繍枠29を支持する。左側の腕部30aは左右方向に移動可能であり、複数種の刺繍枠29を支持することができる。
多針ミシンMにより刺繍縫製する際には、加工布を装着した刺繍枠29がX方向駆動モータ22及びY方向駆動モータ53の駆動に応じてX方向とY方向とに独立に移動する。それと同時に、駆動力伝達機構及び縫針上下駆動機構がミシンモータ50の駆動力を所望の針棒に伝達する。その結果、針棒が縫針10と共に上下移動し、ベッド部5の糸輪捕捉器(図示略)との協動により、刺繍縫製する。
次に、この多針ミシンMの制御系について説明する。
図3に示すように、多針ミシンMの制御全般を司る制御装置40は、CPU41とROM42とRAM43とこれらを接続するバス44等を含むマイクロコンピュータと、このマイクロコンピュータに各種の信号を入出力する入出力インターフェース(I/O)46等を有する。
入出力インターフェース46には、ミシンモータ50を駆動する駆動回路51と、X方向駆動モータ22を駆動する駆動回路52と、Y方向駆動モータ53を駆動する駆動回路54と、針棒ケース駆動モータ55を駆動する駆動回路56と、操作パネル8と、Xエンコーダ57及びYエンコーダ58等が接続している。
ROM42は、本願特有のパルスモータ駆動制御プログラム(図9参照)と、図4に示すパルス出力タイミングテーブル(パルス出力タイミング格納(記憶)手段に相当する)と、図5に示す6つの所定値D1〜D6等を格納(記憶)している。RAM43は、X,Y方向駆動モータ22,53が指令として受けた駆動パルス数を格納(記憶)する第1パルス数格納(記憶)領域を備えている。
更に、RAM43は、X,Yエンコーダ57,58が出力したエンコーダ信号に対応するエンコーダパルス数を格納(記憶)する第2パルス数格納(記憶)領域を備えている。更に、RAM43は、その他に、各種のバッファ等を格納(記憶)する領域を備えている。X,Yエンコーダ57,58が出力するエンコーダパルス数は、パルスモータが正転する際には正の値となり、パルスモータが逆転する際には負の値となる。エンコーダパルス数に基づいてモータの実回転位置の値を求める。
図4に示すパルス出力タイミングテーブルは、第1番目の駆動パルスP1を出力してから、順に駆動パルスP2、P3、P4、・・・P20を出力するパルス出力間隔を夫々設定している。第1番目の駆動パルスP1から第5番目の駆動パルスP5までが加速領域に対応し、第6番目の駆動パルスP6から第17番目の駆動パルスP17までが定速領域に対応し、第18番目の駆動パルスP18から第20番目の駆動パルスP20までが減速領域に対応する。第1番目の駆動パルスP1からエンドコードまでの駆動パルスを出力することにより、布を保持した刺繍枠を1ピッチ分送る。
パルス出力タイミングテーブルに予め設定してある各パルス出力間隔は、X,Y方向駆動モータ22,53の回転トルク、X,Yエンコーダ57,58の分解能、キャリッジ6を移動させるときの負荷の大きさ等に基づいて、脱調を回避できるように予め実験により求めたものである。
図5に示す6つの所定値D1〜D6は、後述するパルスモータ60への指令回転位置に対する実回転位置の偏差D0との比較に用いる値である。実回転位置の値(エンコーダパルス数)から指令回転位置の値(駆動パルス数)を減算して偏差D0を求める。所定値D1〜D6のうち、X,Y方向駆動モータ22,53の回転方向が「正転」の場合には、最初の3つの所定値D1〜D3を適用し、X,Y方向駆動モータ22,53の回転方向が「逆転」の場合には、次の3つの所定値D4〜D6を適用する。
なお、図5に示すように、所定値D1,D4はそれぞれ実回転位置が指令回転位置よりも遅れて良い限界値を示す。所定値D1の数値例は「−5」であり、所定値D4の数値例は「5」である。所定値D2,D3,D5,D6はそれぞれ実回転位置が指令回転位置よりも進んで良い限界値を示す。所定値D2の数値例は「2」であり、所定値D3の数値例は「3」であり、所定値D5の数値例は「2」であり、所定値D6の数値例は「−3」である。
所定値D1,D2は、正転時の加速領域と定速領域において、予め定めたパルス出力間隔によりパルスを出力するか否かを判別するための閾値である。即ち、D1≦D0≦D2であった場合は、予め定めたパルス出力間隔によりパルスを出力し、そうでない場合は例外処理を行う。ここで、D1≦D0≦D2が、請求項1、2、3の所定範囲を示し、D1が、請求項3の下限値を示し、D2が請求項3の上限値を示す。
所定値D3は、正転時の減速領域において、予め定めたパルス出力間隔によりパルスを出力するか否かを判別するための閾値である。即ち、D0≦D3であった場合は、予め定めたパルス出力間隔によりパルスを出力し、そうでない場合は例外処理を行う。ここで、前記D0≦D3が、請求項1、2、4の所定範囲を示す。
所定値D4,D5は、逆転時の加速領域と定速領域において、予め定めたパルス出力間隔によりパルスを出力するか否かを判別するための閾値である。即ち、D5≦D0≦D4であった場合は、予め定めたパルス出力間隔によりパルスを出力し、そうでない場合は例外処理を行う。ここで、前記D5≦D0≦D4が、請求項1、2、5の所定範囲を示し、D5が、請求項5の下限値を示し、D4が請求項5の上限値を示す。
所定値D6は、逆転時の減速領域において、予め定めたパルス出力間隔によりパルスを出力するか否かを判別するための閾値である。即ち、D6≦D0であった場合は、予め定めたパルス出力間隔によりパルスを出力し、そうでない場合は例外処理を行う。ここで、前記D6≦D0が、請求項1、2、6の所定範囲を示す。
パルスモータ駆動制御プログラムについて説明する前に、一般的なパルスモータを駆動制御するのに必要な、ローターの回転角度と励磁コイル(exciting coil)との回転角度の差と、駆動トルクとの関係について、図6に示すような4相のパルスモータ60を例にして、図7を参照しつつ説明する。
パルスモータ60は、4つの励磁コイルC1〜C4と、励磁コイルC1〜C4により回転軸62の周りを回転する永久磁石のローター63等から成る。
図7に示す曲線は、各励磁コイルC1〜C4に駆動パルスを出力した際の、ローター63の回転角度と出力トルクとの関係を示している。尚、以下の説明で、励磁コイルC1〜C4に出力する駆動パルスとしての駆動電流は、励磁コイルC1〜C4に「N」,「S」で示すように、ローター63のN極と駆動パルスの供給を受けた励磁コイルC1〜C4との間に引力が作用する方向に励磁コイルC1〜C4を流れるものとする。但し、図6に示すローター63の回転位置を「0°」とし、平面視にて反時計周りを正の回転位置とする。
図6に示すローター63の回転位置では、励磁コイルC1に駆動パルスを出力しているため、ローター63に作用するトルクは「0」である。しかし、励磁コイルC2に1つ目の駆動パルスを出力すると、コイルC2がローター63のN極を引くため、ローター63は回転軸62の周りを平面視にて反時計周りに回転する。次に、ローター63が45°回転すると、図7のC2の曲線で示すように、ローター63に作用するトルクが小さくなるので、励磁コイルC2を消磁して、励磁コイルC3に2つ目の駆動パルスを出力する。
励磁コイルC3に駆動パルスを出力すると、図7のC3の曲線で示すように、ローター63に作用するトルクが再び増加する。次に、ローター63の回転角度が135°になるとローター63に作用するトルクが小さくなるので、励磁コイルC3を消磁し、励磁コイルC4に3つ目の駆動パルスを出力すると、図7のC4の曲線で示すように、ローター63に作用するトルクが増加する。その後、上記と同じような励磁を繰り返すことで、パルスモータ60は、出力が略最大トルクを維持しながら回転する。
次に、図8に基づいて、パルスモータ60の一般的な駆動制御について簡単に説明する。図8は、加速領域と定速領域と減速領域とにおいて、制御装置40が出力する駆動パルス数と、エンコーダが出力するエンコーダパルス数の時間的変化を示すものである。
通常、正転の加速領域においては、パルスモータ60への指令回転位置に対するパルスモータ60の実回転位置は遅れるため、偏差D0はマイナスの値となる。通常、正転の定速領域においては、パルスモータ60への指令回転位置に対するパルスモータ60の実回転位置は次第に接近するため、終盤には偏差D0は0に近い値となる。通常、正転の減速領域においては、パルスモータ60への指令回転位置に対するパルスモータ60の実回転位置は進むため、偏差D0はプラスの値となる。
一方、通常、逆転の加速領域においては、正転の場合と同様、パルスモータ60への指令回転位置に対するパルスモータ60の実回転位置は遅れるが、実回転位置(エンコーダパルス数)も、指令回転位置(駆動パルス数)もマイナスの値をとるため、両者の差である偏差D0はプラスの値となる。通常、逆転の定速領域においては、パルスモータ60への指令回転位置に対するパルスモータ60の実回転位置は次第に接近するため、終盤には偏差D0は0に近い値となる。通常、逆転の減速領域においては、パルスモータ60への指令回転位置に対するパルスモータ60の実回転位置は進むが、前述の理由から、偏差D0はマイナスの値となる。
次に、多針ミシンMの制御装置40が実行するパルスモータ駆動制御について、図9〜図12のフローチャートに基づいて説明する。ここでは、X方向駆動モータ22を、Xエンコーダ57が出力するエンコーダ信号によりフィードバック制御しながら駆動制御する場合について説明する。図中の符号Si(i=11、12、13・・・)は各ステップである。
多針ミシンMの電源を投入すると、制御装置40は、図示しないX方向駆動モータ22の原点位置設定を実行し、その後、縫製開始に際して送り指令を受けたときにパルスモータ駆動制御を実行する。送り指令としては、X方向駆動モータ22を「20パルス」分回転駆動させるものとする。この場合、制御装置40は、図4のパルス出力タイミングテーブルを参照する。
図9に示すように、制御装置40は、先ず、X方向駆動モータ22に1つの駆動パルスを出力し(S11)、出力パルス数カウンタのパルス数カウント値OPを「1」に設定する(S12)。次に、第1タイマには、パルス出力タイミングテーブル(図4参照)からパルス数カウント値OPで指示するパルス出力間隔のデータを読み込んでタイマ値Tとして設定する(S13)。更に、偏差監視用のタイマである第2タイマには、所定時間Ta(例えば、0.1ms)をタイマ値として設定する(S13)。尚、パルス数カウント値OPは、駆動パルスP1では、0とし、駆動パルスP2では、1となっている。
次に、第1タイマ割込み処理と、第2タイマ割込み処理のタイマ割込み処理を夫々許可し(S14)、これら第1タイマと第2タイマを夫々作動させ(S15)、X方向駆動モータ22の駆動制御が完了すると、この制御が終了する。
このように、S14において、これら第1,第2タイマ割込み処理を夫々許可したので、制御装置40は、第1タイマに設定した設定時間が経過する毎に発生するタイマ割込み指令により第1タイマ割込み処理を実行する。第2タイマに設定した設定時間が経過する毎に発生するタイマ割込み指令により第2タイマ割込み処理を実行する。
先ず、第1タイマ割込み処理制御について、図10に基づいて説明する。第1タイマ割込み制御を開始すると、制御装置40は、先ず、X方向駆動モータ22に対する駆動パルスの出力を禁止するパルス出力禁止フラグKFが1か否かを判断する(S21)。パルス出力禁止フラグKFが1ではない場合、つまり駆動パルスの出力が許可状態のときには(S21:No)、次の駆動パルスを出力する為のパルス出力間隔を指示する為に、パルス数カウント値OPを1つ増加する(S22)。
次に、パルス数カウント値OPで指示する駆動パルスのパルス出力間隔のデータを変数tにセットする(S23)。この変数tがパルス出力間隔であって、「エンドコード」でない場合には(S24:Yes)、次の1つの駆動パルスを出力する(S25)。次に、X方向駆動モータ22の指令回転位置と実回転位置とを、エンコーダパルス数で比較する為に、パルス数カウント値OPで示す駆動パルス数を、エンコーダパルス数に換算して更新する(S26)。
次に、第1タイマに、変数tを設定時間として設定し(S27)、第1タイマ割込み処理が終了する。変数tのデータが「エンドコード」の場合にも(S24:No)、処理が終了する。第1タイマ割込み処理が開始したときに、パルス出力禁止フラグKFが1である場合、つまり駆動パルスの出力が禁止状態のときには(S21:Yes)、第1タイマに微少所定時間Ta(例えば、0.1ms)をタイマ値として設定する。それ故、これ以降、制御装置40は、第1タイマ割込み処理を、第1タイマに設定した微少所定時間Taを経過する毎に、頻繁に実行するようになる。
制御装置40は、後述する第2タイマ割込み処理により、パルス出力禁止フラグKFを0にリセットしたとき(S21:No)、S22以降を繰返して実行する。それ故、パルス出力禁止フラグKFを1にセットしてから0にリセットするまでの経過時間だけ、次の駆動パルスの出力が遅くなる。
即ち、X方向駆動モータ22が脱調しそうな状況では、制御装置40は、第2タイマ割込み処理により駆動パルス出力を禁止し、パルス出力間隔が大きくなるように変更する。その結果、駆動パルスを出力しない間に、X方向駆動モータ22が回転し、後述するように偏差D0の大きさ(絶対値)が小さくなって脱調を回避する。その後パルス出力禁止フラグKFを0にリセットし、次の駆動パルスを出力する。
次に、第2タイマ割込み処理制御について、図11〜図12に基づいて説明する。第2タイマ割込み処理制御を開始すると、制御装置40は、先ず、X方向駆動モータ22の回転方向が正転の場合には(S31:正転)、S26で更新した駆動パルス数に基づいて、演算式「エンコーダパルス数」−「駆動パルス数」により、偏差D0を求める(S32)。尚、X方向駆動モータ22の回転方向が正転か逆転かを判断するには、パルス出力タイミングテーブルに格納した駆動パルスの値が正か負かで判断している。
次に、パルス数カウント値OPに基づいて、現在、減速領域でない場合で(S33:No)、偏差D0が所定値D1と同じか所定値D1よりも大きい場合には(S34:No)、パルス出力禁止フラグKFを0にリセットする(S36)。更に、偏差D0が所定値D2と同じか所定値D2よりも小さい場合には(S37:No)、この制御を終了する。
即ち、この場合には、加速領域又は定速領域であり、X方向駆動モータ22の指令回転位置と実回転位置の差が加速または定速の場合の所定範囲内であり、脱調する虞がない。従って、制御装置40は、図10に示す第1タイマ割込み処理でパルス出力タイミングテーブルに設定したパルス出力間隔で、駆動パルスを順次出力する。
1ピッチ分のパルス出力タイミングテーブルのパルス出力時間は一定であるため縫製速度が高速になると前回の減速領域と今回の加速領域が接近する。このような場合、加速領域の初期段階においては、X方向駆動モータ22にダンピングが発生していることがある。このような場合には、偏差D0が所定値D2よりも大きくなり(S37:Yes)、パルス数カウント値OPで指示する駆動パルスのパルス出力間隔のデータを変数tにセットする(S38)。
次に、この変数tがパルス出力間隔であって、「エンドコード」でない場合には(S39:Yes)、制御装置40は、S38でセットした変数tのパルス出力間隔を、微少時間t0だけ短く変更する(S40)。その後、短く変更した変数tを、パルス数カウント値OPで指示する駆動パルスのパルス出力間隔として設定し(S41)、第2タイマ割込み処理を終了する。それ故、駆動開始直後における加速領域の初期段階において、X方向駆動モータ22にダンピングが発生した場合でも、パルス出力間隔を短くすることで、そのダンピングを早期に終息させることができる。
現在、減速領域でない場合で(S33:No)、偏差D0が所定値D1よりも小さい場合には(S34:Yes)、パルス出力禁止フラグKFを1にセットして(S35)、第2タイマ割込み処理を終了する。その後、第1タイマ割込み処理において、前述したように、パルス出力禁止フラグKFが1である為(S21:Yes)、第1タイマ割込み処理を微少時間Ta毎に実行する。
第1タイマ割り込み処理が開始しても、駆動パルスを出力しないので、この間にX方向駆動モータ22は回転を続ける。そのため、エンコーダパルス数が徐々に増加する。そして、偏差D0が所定値D1と同じか所定値D1よりも大きくなった場合には(S34:No)、パルス出力禁止フラグKFを0にリセットする(S36)。更に、偏差D0が所定値D2以下の場合には(S37:No)、第1タイマ割込み処理において、S22以降を再度実行する。これにより、X方向駆動モータ22の脱調を回避する。
現在、減速領域の場合で(S33:Yes)、偏差D0が所定値D3と同じか所定値D3よりも小さい場合には(S42:No)、パルス出力禁止フラグKFを0にリセットし(S44)、第2割込み処理を終了するので、第1タイマ割込み処理において、S22以降を実行する。しかし、偏差D0が所定値D3よりも大きくなった場合には(S42:Yes)、パルス出力禁止フラグKFをセットして(S43)、第2タイマ割込み処理を終了する。
その結果、第1タイマ割込み処理において、パルス出力禁止フラグKFをリセットするまで(S44)、駆動パルスの出力待ち状態になる。この間に、X方向駆動モータ22は減速を続けるため、偏差D0はやがて所定値D3と同じか所定値D3よりも小さくなる。駆動パルス間隔が大きくなったことで、X方向駆動モータ22は更に減速する。そして最終的には、エンコーダパルス数が駆動パルス数と一致して停止する。このように、偏差D0が所定値D3を超えた場合には、理想の減速曲線にあわせてより強いブレーキをかけることにより、停止時のダンピングを極力抑制し、停止位置を安定化させることができる。
本実施例では、偏差が所定範囲内である場合には、パルス出力タイミングテーブルのパルス出力間隔で駆動パルスを出力し、偏差が所定範囲内でない場合には、パルス出力タイミングテーブルのパルス出力間隔に基づいて、駆動パルスを出力する間隔を変更している。その結果、駆動対象部の駆動停止位置に対する減速タイミングがパルス出力タイミングテーブルに基づくものであるため略一定になり、しかも減速タイミングにおける駆動対象部の駆動状態も略一定になるので、駆動対象部の駆動停止位置精度の安定化を図ることができる。
次に、X方向駆動モータ22の回転方向が逆転の場合には(S31:逆転)、前述したS32〜S44と同様にS51〜S63を実行するので、この割込み処理の説明を省略する。但し、S53においては、偏差D0が所定値D4よりも大きいか否かを判定し、S56においては、偏差D0が所定値D5よりも小さいか否かを判定し、S61においては、偏差D0が所定値D6よりも小さいか否かを判定する。
本実施例において、第2タイマ割込み処理制御のS32,S51を実行する制御装置40が偏差演算手段に相当する。また、第1タイマ割込み処理制御のS21〜S27と、第2タイマ割込み処理制御のS33〜S44及びS52〜S63を実行する制御装置40がパルス出力制御手段に相当する。第2タイマ割込み処理制御のS31を実行する制御装置40が回転方向判断手段に相当する。第2タイマ割込み処理制御のS33、S52を実行する制御装置40が指令速度判断手段に相当する。第2タイマ割込み処理制御のS34、S37、S42、S53、S56、S61を実行する制御装置40が偏差判断手段に相当する。
次に、前記実施例を部分的に変更した変更形態について説明する。
1)パルスモータからなるX方向駆動モータ22を、Xエンコーダ57によるフィードバック制御を採用して駆動制御する形態について説明したが、パルスモータからなるY方向駆動モータ53を、Yエンコーダ58によるフィードバック制御を採用して駆動制御する形態に本発明を適用してもよい。
2)ROM42に予め格納する6つの所定値D1〜D6の各々は、使用するパルスモータが有するトルクの大きさ、エンコーダの分解能、キャリッジ6を移動させるときの負荷の大きさ等に基づいて、予め実験により求めるようにしてもよい。
3)ROM42に予め格納するパルス出力タイミングテーブルの各パルス出力間隔についても、使用するパルスモータが有するトルクの大きさ、エンコーダの分解能、キャリッジ6を移動させるときの負荷の大きさ等に基づいて、予め実験により求めるようにしてもよい。
4)実施例においては、駆動パルスを順次出力するパルス出力間隔を記憶したパルス出力タイミングテーブルを用いたが、パルス出力間隔は、駆動開始からの時間と駆動対象部の負荷の大きさ等に基づいて、演算式により演算により求めるようにしてもよい。パルス出力タイミングテーブルや演算式を、指令速度に応じて複数種類準備してもよい。
5)実施例においては、駆動対象部の位置を検出するようにしたが、駆動対象部の速度や加速度等を検出し、これら速度や加速度に基づいて駆動対象部の駆動状態を検出するようにしてもよい。
6)実施例においては、X方向駆動モータ22の回転方向をパルス出力タイミングテーブルに格納した駆動パルスの値が正か負で判断しているが、駆動パルスの値としては、正の値として格納し、正転か逆転かを他の格納領域に格納してもよい。
本発明の実施例に係る多針ミシンの全体斜視図である。 多針ミシンのキャリッジ周辺の平面図である。 多針ミシンの制御系のブロック図である。 パルス出力タイミングテーブルに格納(記憶)した駆動パルスに対するパルス出力間隔を示す図表である。 回転方向及び対象領域毎の所定値及び回転位置関係を示す図表である。 パルスモータを駆動するコイルとローターの概略説明図である。 励磁コイルにパルス電流を流したときのトルク曲線を示す図である。 駆動パルス数による指令回転位置とエンコーダパルス数による実回転位置との関係を示す線図である。 パルスモータ駆動制御のフローチャートである。 第1タイマ割込み処理制御のフローチャートである。 第2タイマ割込み処理制御のフローチャートの一部である。 第2タイマ割込み処理制御のフローチャートの残部である。
符号の説明
M 多針ミシン
6 キャリッジ
22 X方向駆動モータ
40 制御装置
53 Y方向駆動モータ
57 Xエンコーダ
58 Yエンコーダ

Claims (7)

  1. 駆動対象部を駆動させるパルスモータを制御するモータ制御装置において、
    前記駆動対象部の駆動状態を検出する駆動状態検出手段と、
    前記パルスモータへ駆動パルスを順次出力するパルス出力間隔を格納したパルス出力タイミング格納手段と、
    前記駆動状態検出手段が検出した前記駆動対象部の実際の駆動状態と、前記パルスモータが駆動パルスを介して受けた指令値との偏差を演算する偏差演算手段と、
    前記偏差演算手段が演算した前記偏差が所定範囲内に存在するか否かを判断する偏差判断手段と、
    前記偏差判断手段が前記偏差が所定範囲内に存在しないと判断した場合には、前記パルス出力タイミング格納手段が格納するパルス出力間隔を変更し、その変更したパルス出力間隔に基づいて駆動パルスを出力するパルス出力制御手段と、
    を備えたことを特徴とするモータ制御装置。
  2. 前記所定範囲は、前記パルスモータの速度状態が加速及び定速の場合と、減速の場合とで異なることを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
  3. 前記指令値に基づいて、前記パルスモータの前記速度状態が加速、定速、減速のいずれであるかを判断する指令速度判断手段と、
    前記指令値に基づいて、前記パルスモータの回転方向が正転であるか逆転であるかを判断する回転方向判断手段とをさらに備え、
    前記回転方向判断手段が前記パルスモータの回転方向が正転であると判断した場合、
    前記パルス出力制御手段は、
    前記指令速度判断手段が前記速度状態が加速または定速であると判断し、且つ、前記偏差判断手段が前記偏差が前記所定範囲の下限値を下回ると判断した場合は、前記パルス出力タイミング格納手段が格納する前記パルス出力間隔を前記パルス出力間隔よりも大きく変更し、
    前記指令速度判断手段が前記速度状態が加速または定速であると判断し、且つ、前記偏差判断手段が前記偏差が前記所定範囲の上限値を上回ると判断した場合は、前記パルス出力タイミング格納手段が格納する前記パルス出力間隔を前記パルス出力間隔よりも小さく変更することを特徴とする請求項2に記載のモータ制御装置。
  4. 前記回転方向判断手段がパルスモータの回転方向が逆転であると判断した場合、
    前記パルス出力制御手段は、
    前記指令速度判断手段が前記速度状態が加速または定速であると判断し、且つ、前記偏差判断手段が前記偏差が前記所定範囲の上限値を上回ると判断した場合は、前記パルス出力タイミング格納手段が格納する前記パルス出力間隔を前記パルス出力間隔よりも大きく変更し、
    前記指令速度判断手段が前記速度状態が加速または定速であると判断し、且つ、前記偏差判断手段が前記偏差が前記所定範囲の下限値を下回ると判断した場合は、前記パルス出力タイミング格納手段が格納する前記パルス出力間隔を前記パルス出力間隔よりも小さく変更することを特徴とする請求項3に記載のモータ制御装置。
  5. 前記パルス出力制御手段は、
    前記指令速度判断手段が前記速度状態が減速であると判断し、且つ、前記偏差判断手段が前記偏差が前記所定範囲内に存在しないと判断した場合は、前記パルス出力タイミング格納手段が格納する前記パルス出力間隔を前記パルス出力間隔よりも大きく変更することを特徴とする請求項3または4に記載のモータ制御装置。
  6. 前記駆動対象物の実際の駆動状態は、前駆駆動対象物の位置であることを特徴とする請求項1〜5に記載のモータ制御装置。
  7. 前記請求項1〜請求項6に記載のモータ制御装置を備えたことを特徴とするミシン。
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