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JP2007211029A - カルバメートの製法 - Google Patents

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JP2007211029A
JP2007211029A JP2007136656A JP2007136656A JP2007211029A JP 2007211029 A JP2007211029 A JP 2007211029A JP 2007136656 A JP2007136656 A JP 2007136656A JP 2007136656 A JP2007136656 A JP 2007136656A JP 2007211029 A JP2007211029 A JP 2007211029A
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Ryoji Sugise
良二 杉瀬
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綱男 松浦
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Abstract

【課題】 本発明は、ジアリールカーボネートとアミン(特に芳香族モノアミン又は立体的にかさ高いモノアミン)を反応させてカルバメートを生成させ、そのカルバメートを容易に分離して、高純度のカルバメートを製造できる方法を提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明の課題は、ジアリールカーボネートとN位に少なくとも1つの水素原子を有するモノアミンとをカルボン酸の存在下、溶媒の存在下又は非存在下で反応させてカルバメートを生成させた後、反応において溶媒を使用しなかった場合には反応液に溶媒を添加し、その反応液を−30〜40℃に保持してカルバメートを析出させ、次いでカルバメートを分離することを特徴とするカルバメートの製法によって解決される。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ジアリールカーボネートからカルバメートを生成させ、その反応液からカルバメートを分離して、高純度のカルバメートを容易に製造する方法に関する。カルバメートは、医薬、農薬又はその合成原料、そして各種ファインケミカルズ又はその合成原料として、更にアルコール類の分析試剤などとして広範な用途を有する有用な化合物である。
ジアリールカーボネートとアミン類をプロトン酸の存在下で反応させてカルバメートを製造する方法として、ジフェニルカーボネートと芳香族アミンを、有機リン酸、トリフロオロメタンスルホン酸、トリフロオロ酢酸、プロピオン酸又は芳香族アミン塩酸塩の存在下で反応させる方法(例えば、非特許文献1)知られている。この方法において、カルバメートは、反応溶媒(テトラヒドロフラン)を濃縮して除去した後にヘキサンを添加して析出させる方法や、反応液に直接ペンタンを添加して析出させる方法により分離されている。しかし、この分離法は、反応溶媒の濃縮操作やヘキサン又はペンタンの回収操作を必要とすることから、煩雑で回収コストもかかる上に、結晶として析出させることが困難なカルバメートには適用できないという問題もある。反応液からカルバメートを結晶として析出させて分離することが困難な場合、反応液中にカルバメートと未反応のアミンが残存した状態で、溶媒の濃縮処理や蒸留分離、更にはアルカリによるカルボン酸やフェノール類の抽出分離を行うと、好ましくない生成物である尿素誘導体が増加するという問題がある。尿素誘導体は再結晶、蒸留、昇華等の操作では除去困難なものである。また、反応液からカルバメートを結晶として析出させて分離する場合も、カルバメートと未反応のアミンが反応液に溶解した状態で、濃縮などの分離操作を行うと、同様に尿素誘導体が増加して高純度のカルバメートを得ることができないという問題がある。
Tetrahedron,51,8073(1995)
本発明は、ジアリールカーボネートとアミン(特に芳香族モノアミン又は立体的にかさ高いモノアミン)を反応させてカルバメートを生成させ、そのカルバメートを容易に分離して、高純度のカルバメートを製造できる方法を提供することを課題とする。
本発明の課題は、ジアリールカーボネートとN位に少なくとも1つの水素原子を有するモノアミンとをカルボン酸の存在下、溶媒の存在下又は非存在下で反応させてカルバメートを生成させた後、反応において溶媒を使用しなかった場合には反応液に溶媒を添加し、その反応液を−30〜40℃に保持してカルバメートを析出させ、次いでカルバメートを分離することを特徴とするカルバメートの製法によって解決される。
本発明により、ジアリールカーボネートとアミン(特に芳香族モノアミン又は立体的にかさ高いモノアミン)を反応させてカルバメートを生成させ、そのカルバメートを容易に分離して、高純度のカルバメートを製造できる方法を提供することができる。
本発明で使用されるジアリールカーボネートとしては、少なくとも1個の同一又は異なる置換基を有していてもよい、同一のアリール基又は異なるアリール基を有するジアリールカーボネートが挙げられる。この置換基としては、例えば、炭素数1〜12のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)、炭素数7〜15のアラルキル基(ベンジル基、フェネチル基等)、炭素数6〜14のアリール基(フェニル基、トリル基等)、炭素数1〜12のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、トリフルオロメトキシ基等)、炭素数1〜12のチオアルコキシ基(チオメトキシ基、チオエトキシ基等)、炭素数6〜14のアリールオキシ基(フェノキシ基等)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、ニトロ基、水酸基、シアノ基、ジアルキルアミノ基(ジメチルアミノ基等)などが挙げられる。
前記の置換基を有していてもよいアリール基としては、例えば、フェニル基、、ナフチル基、アントラニル基、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、ドデシルフェニル基、ビフェニリル基、メトキシフェニル基、ジメトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、トリクロロフェニル基、ペンタクロロフェニル基、ブロモフェニル基、ジブロモフェニル基、トリブロモフェニル基、ペンタブロモフェニル基、ニトロフェニル基、ジニトロフェニル基、ヒドロキシフェニル基、シアノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基が挙げられる。なお、これらのアリール基はo−、m−、p−、n−、i−、s−、t−等の各異性体を含む。
本発明で使用されるジアリールカーボネートとして、例えば、無置換の同一のアリール基を有するジアリールカーボネートとして、ジフェニルカーボネート、ジ−1−ナフチルカーボネート、ジ−2−ナフチルカーボネート、ジ−9−アントリルカーボネート等が挙げられ、炭素数1〜12のアルキル基で置換された同一のアリール基を有するジアリールカーボネートとして、ビス(2−トリル)カーボネート、ビス(3−トリル)カーボネート、ビス(4−トリル)カーボネート、ビス〔4−(t−ブチル)フェニル〕カーボネート、ビス(4−オクチルフェニル)カーボネート、ビス(4−ノニルフェニル)カーボネート、ビス(4−ドデシルフェニル)カーボネート等が挙げられる。
炭素数6〜14のアリール基で置換された同一のアリール基を有するジアリールカーボネートとしては、ビス(4−ビフェニリルフェニル)カーボネート等が挙げられ、炭素数1〜12のアルコキシ基で置換された同一のアリール基を有するジアリールカーボネートとしては、ビス(2−メトキシフェニル)カーボネート、ビス(3−メトキシフェニル)カーボネート、ビス(4−メトキシフェニル)カーボネート、ビス(3−ブトキシフェニル)カーボネート、ビス(4−ブトキシフェニル)カーボネート、ビス(3,5−ジメトキシフェニル)カーボネート等が挙げられ、炭素数6〜14のアリールオキシ基で置換された同一のアリール基を有するジアリールカーボネートとしては、ビス(4−フェノキシフェニル)カーボネート等が挙げられる。
ハロゲン原子で置換された同一のアリール基を有するジアリールカーボネートとしては、ビス(2−クロロフェニル)カーボネート、ビス(3−クロロフェニル)カーボネート、ビス(4−クロロフェニル)カーボネート、ビス(2,4−ジクロロフェニル)カーボネート、ビス(2,6−ジクロロフェニル)カーボネート、ビス(2,4,5−トリクロロフェニル)カーボネート、ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)カーボネート、ビス(ペンタクロロフェニル)カーボネート、ビス(4−ブロモフェニル)カーボネート等が挙げられる。
ニトロ基で置換された同一のアリール基を有するジアリールカーボネートとしては、ビス(2−ニトロフェニル)カーボネート、ビス(3−ニトロフェニル)カーボネート、ビス(4−ニトロフェニル)カーボネート、ビス(2,4−ジニトロフェニル)カーボネート等が挙げられる。
また、異なるアリール基を有するジアリールカーボネートとしては、無置換のアリール基と炭素数1〜12のアルキル基で置換されたアリール基とを有するジアリールカーボネートとして、3−トリル(フェニル)カーボネート、4−トリル(フェニル)カーボネート等が挙げられ、無置換のアリール基と炭素数7〜15のアラルキル基で置換されたアリール基とを有するジアリールカーボネートとして、4−ベンジルフェニル(フェニル)カーボネート等が挙げられ、
無置換のアリール基と炭素数1〜12のアルコキシ基で置換されたアリール基とを有するジアリールカーボネートとして、4−メトキシフェニル(フェニル)カーボネート、4−エトキシ−1−ナフタレニルフェニルカーボネート等が挙げられ、無置換のアリール基と炭素数1〜12のチオアルコキシ基で置換されたアリール基とを有するジアリールカーボネートとして、4−メチルチオフェニル(フェニル)カーボネート等が挙げられ、無置換のアリール基と炭素数6〜14のアリールオキシ基で置換されたアリール基とを有するジアリールカーボネートとして、4−フェノキシフェニル(フェニル)カーボネート等が挙げられ、
無置換のアリール基とハロゲン原子で置換されたアリール基とを有するジアリールカーボネートとして、2−クロロフェニル(フェニル)カーボネート、4−クロロフェニル(フェニル)カーボネート等が挙げられ、無置換のアリール基とニトロ基で置換されたアリール基とを有するジアリールカーボネートとして、3−ニトロフェニル(フェニル)カーボネート、4−ニトロフェニル(フェニル)カーボネート、2,4−ジニトロフェニル(フェニル)カーボネート、3,4−ジニトロフェニル(フェニル)カーボネート等が挙げられ、無置換のアリール基と水酸基で置換されたアリール基とを有するジアリールカーボネートとして、3−ヒドロキシフェニル(フェニル)カーボネート、4−ヒドロキシフェニル(フェニル)カーボネート等が挙げられる。
その他に、4−メトキシフェニル−4'−ニトロフェニルカーボネート、4−シアノフェニル−4'−ニトロフェニルカーボネート、4−チオメトキシフェニル−4'−ニトロフェニルカーボネート、2−クロロフェニル−4'−ニトロフェニルカーボネート等が挙げられ、更に2−ジメチルアミノフェニルフェニルカーボネート、2−ブロモ−4−シアノ−6−ニトロフェニルフェニルカーボネート、ペンタブロモフェニル−2',4',6'−トリブロモフェニルカーボネート等も挙げられる。
これらのジアリールカーボネートの中では、同一のアリール基を有するカーボネートが好適である。その中でも、ジフェニルカーボネート、ビス(2−トリル)カーボネート、ビス(4−クロロフェニル)カーボネート、ビス(4−ニトロフェニル)カーボネート、ビス(3,5−ジメトキシフェニル)カーボネートが好ましく、更にはジフェニルカーボネートが最も好ましい。
本発明で使用されるモノアミンとしては、化学構造式(I)又は(II)で示される化合物が好適に挙げられる。
Figure 2007211029
(式中、Rはアラルキル基、アリール基、又は複素環基を表す。)
Figure 2007211029
(式中、R、Rはアルキル基、アラルキル基、アリール基、又は複素環基を表す。)
化学構造式(I)において、R1 は炭素数7〜15のアラルキル基(ベンジル基、フェネチル基等)、炭素数6〜14のアリール基(フェニル基等)、又は複素環基(ピリジル基等)を表す。これらのアラルキル基、アリール基、複素環基は、更にアルキル基、アリール基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基等を置換基として少なくとも1個有していてもよい。
また、化学構造式(II)において、R2 、R3 は炭素数1〜15のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)、炭素数7〜15のアラルキル基(ベンジル基、フェネチル基等)、炭素数6〜14のアリール基(フェニル基等)、又は複素環基(ピリジル基等)を表す。これらのアルキル基、アラルキル基、アリール基、複素環基は、更にアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基等を置換基として少なくとも1個有していてもよい。なお、R2 、R3 は同一であっても異なっていてもよいが、いずれかがアリール基の場合には、他方はアリール基でないことが好ましい。また、R2 、R3 は連結して環構造を形成していてもよい。
化学構造式(I)で示されるモノアミン類としては、例えば、以下のような化合物が挙げられる。R1 が前記のアラルキル基であるモノアミンとして、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ナフチルエチルアミン等が挙げられる。
R1 が前記のアリール基であるモノアミンとしては、アニリン、1−ナフチルアミン、2−ナフチルアミン等のR1 が無置換のアリール基であるものや、2−トルイジン、3−トルイジン、4−トルイジン、2,3−ジメチルアニリン、2,4−ジメチルアニリン、2,5−ジメチルアニリン、2,6−ジメチルアニリン、3,4−ジメチルアニリン、3,5−ジメチルアニリン、2−エチルアニリン、3−エチルアニリン、4−エチルアニリン、2,3−ジエチルアニリン、2,4−ジエチルアニリン、2,5−ジエチルアニリン、2,6−ジエチルアニリン、3,4−ジエチルアニリン、3,5−ジエチルアニリン、4−イソプロピルアニリン、2−エチル−6−メチルアニリン、2−トリフルオロメチルアニリン、3−トリフルオロメチルアニリン、4−トリフルオロメチルアニリン等のR1 がアルキル基を置換基として有するアリール基であるものや、
2−アミノジフェニル、3−アミノジフェニル、4−アミノジフェニル等のR1 がアリール基を置換基として有するアリール基であるものや、2−アニシジン、3−アニシジン、4−アニシジン、2,3−ジメトキシアニリン、2,4−ジメトキシアニリン、2,5−ジメトキシアニリン、2,6−ジメトキシアニリン、3,4−ジメトキシアニリン、3,5−ジメトキシアニリン、2−メトキシ−5−メチルアニリン、4−エトキシアニリン等のR1 がアルコキシ基を置換基として有するアリール基であるものや、2−メチルチオアニリン、3−メチルチオアニリン、4−メチルチオアニリン等のR1 がチオアルコキシ基を置換基として有するアリール基であるものや、2−アミノジフェニルエーテル、4−アミノジフェニルエーテル等のR1 がアリールオキシ基を置換基として有するアリール基であるものや、
2−フルオロアニリン、3−フルオロアニリン、4−フルオロアニリン、2,3−ジフルオロアニリン、2,4−ジフルオロアニリン、2,5−ジフルオロアニリン、2,6−ジフルオロアニリン、3,4−ジフルオロアニリン、3,5−ジフルオロアニリン等のR1 がフッ素原子を置換基として有するアリール基であるものや、2−クロロアニリン、3−クロロアニリン、4−クロロアニリン、2,3−ジクロロアニリン、2,4−ジクロロアニリン、2,5−ジクロロアニリン、2,6−ジクロロアニリン、3,4−ジクロロアニリン、3,5−ジクロロアニリン、2,4,5−トリクロロアニリン、2,4,6−トリクロロアニリン等のR1が塩素原子を置換基として有するアリール基であるものや、
2−ブロモアニリン、3−ブロモアニリン、4−ブロモアニリン、2,3−ジブロモアニリン、2,4−ジブロモアニリン、2,5−ジブロモアニリン、2,6−ジブロモアニリン、3,4−ジブロモアニリン、3,5−ジブロモアニリン、2,4,5−トリブロモアニリン、2,4,6−トリブロモアニリン等のR1が臭素原子を置換基として有するアリール基であるものや、3−ニトロアニリン、4−ニトロアニリン等のR1 がニトロ基を置換基として有するアリール基であるものや、3−シアノアニリン、4−シアノアニリン等のR1 がシアノ基を置換基として有するアリール基であるものや、
2−クロロ−6−メチルアニリン、3−クロロ−2−メチルアニリン、3−クロロ−4−メチルアニリン、4−クロロ−2−メチルアニリン、5−クロロ−2−メチルアニリン、2−クロロ−5−トリフルオロメチルアニリン、4−クロロ−2−トリフルオロメチルアニリン、4−クロロ−2,5−ジメチルアニリン、4−ブロモ−2−トリフルオロメチルアニリン等のR1 がアルキル基とハロゲン原子を置換基として有するアリール基であるものや、3−クロロ−2−メトキシアニリン、4−クロロ−2−メトキシアニリン、5−クロロ−2−メトキシアニリン、5−クロロ−2,4−ジメトキシアニリン等のR1 がアルコキシ基とハロゲン原子を置換基として有するアリール基であるものや、
2−メチル−4−ニトロアニリン、4−メチル−3−ニトロアニリン、2−メトキシ−4−ニトロアニリン、2−メトキシ−5−ニトロアニリン、4−フルオロ−2−ニトロアニリン、2−クロロ−4−ニトロアニリン、4−クロロ−3−ニトロアニリン、2−シアノ−4−メチル−6−ニトロアニリン等のR1 がニトロ基とその他にアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、及びシアノ基から選ばれる置換基の少なくとも一つを置換基として有するアリール基であるものが挙げられる。
R1 が前記の複素環基であるモノアミンとしては、2−アミノ−3−エトキシカルボニル−4−フェニルピロール等のR1 がピロリル基であるものや、2−アミノ−1−メチルインドール、3−アミノ−5−エトキシ−2−フェニルインドール等のR1 がインドリル基であるものや、
2−アミノピリジン、3−アミノピリジン、4−アミノピリジン、5−アミノ−2−クロロピリジン、2−アミノ−3−クロロ−5−トリフルオロメチルピリジン、6−アミノ−2,4−ルチジン、2−アミノ−3−ピコリン等のR1 がピリジル基であるものや、2−アミノキノリン、4−アミノ−2−メチルキノリン、5−アミノ−8−ヒドロキシキノリン、8−アミノキナルジン等のR1 がキノリル基であるものや、3−アミノイソキノリン、4−アミノイソキノリン等のR1 がイソキノリル基であるものや、9−アミノアクリジン、9−アミノ−1,2,3,4−テトラヒドロアクリジン等のR1 がアクリジニル基であるものや、3−アミノ−5,6−ジメチル−1,2,4−トリアジン等のR1 がトリアジニル基であるものや、
5−アミノイミダゾール、4−アミノ−5−カルボエトキシ−1−(4−メトキシフェニル)イミダゾール等のR1 がイミダゾリル基であるものや、5−アミノ−1−エチルピラゾール、5−アミノ−1−フェニルピラゾール、5−アミノ−3−メチル−1−フェニルピラゾール、3−アミノ−5−メチルピラゾール、5−アミノ−3−メチル−1−p−トリルピラゾール等のR1 がピラゾリル基であるものや、1−アミノベンゾトリアゾール、1−アミノ−4,5−ジフェニルトリアゾール等のR1 がトリアゾリル基であるものや、5−アミノテトラゾール、1−アミノ−5−ブチルテトラゾール等のR1 がテトラゾリル基であるものや、
2−アミノピリミジン、2−アミノ−4−クロロ−6−メチルピリミジン、2−アミノ−4,6−ジクロロピリミジン、2−アミノ−4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−アミノ−4,6−ジメトキシピリミジン、2−アミノ−4−メチル−6−メトキシピリミジン、2−アミノ−4,6−ジメチルピリミジン等のR1 がピリミジル基であるものや、
2−アミノチアゾール、2−アミノ−4,5−ジメチルチアゾール、2−アミノ−5−ニトロチアゾール等のR1 がチアゾリル基であるものや、5−アミノ−3−メチルイソチアゾール、5−アミノ−4−ブロモ−3−メチルイソチアゾール等のR1 がイソチアゾリル基であるものや、2−アミノベンゾチアゾール、2−アミノ−6−メチルベンゾチアゾール、2−アミノ−6−メトキシベンゾチアゾール、2−アミノ−6−エトキシベンゾチアゾール、2−アミノ−4−クロロベンゾチアゾール、6−アミノ−2−メルカプトベンゾチアゾール等のR1 がベンゾチアゾリル基であるものや、2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−アミノ−5−メチル−1,3,4−チアジアゾール等のR1 がチアジアゾリル基であるものや、
2−アミノフラン、メチル−5−アミノ−2−フロエート等のR1 がフラニル基であるものや、3−アミノジベンゾフラン、3−アミノ−2−メトキシジベンゾフラン等のR1 がベンゾフラニル基であるものや、3−アミノクマリン、4−アミノクマリン、7−アミノ−4−メチルクマリン等のR1 がクマリニル基であるものや、
5−アミノイソオキサゾール、5−アミノ−3−メチルイソオキサゾール等のR1 がイソオキサゾリル基であるものや、2−アミノベンゾオキサゾール、2−アミノ−5−クロロベンゾオキサゾール等のR1 がベンゾオキサゾリル基であるものなどが挙げられる。
化学構造式(II)で示されるモノアミンとしては、例えば、以下のような化合物が挙げられる。R2 、R3 が前記のアルキル基であるモノアミン類として、ジイソプロピルアミン、ジ−s−ブチルアミン、ジ−2−アミルアミン、ジ−2−ヘキシルアミン、ジ−2−オクチルアミン、N−t−ブチルイソプロピルアミン、N−イソプロピル−1,5−ジメチルヘキシルアミン、N−t−ブチルシクロヘキシルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジシクロヘプチルアミン、4,4'−ジメチルジシクロヘキシルアミン等が挙げられ、R2 、R3 が前記のアラルキル基であるモノアミンとして、ジベンジルアミン、ジフェネチルアミン、4,4'−ジメチルジベンジルアミン、ビス(2,4−ジメトキシベンジル)アミン、N−ベンジル−α−(3−メトキシフェニル)フェネチルアミン、ジピペロニルアミン、ジ−1−インダニルアミン等が挙げられ、
R2 、R3 が前記のアルキル基及びアラルキル基であるモノアミンとして、N−ベンジルメチルアミン、N−ベンジルエチルアミン、N−ベンジルイソプロピルアミン、N−ベンジル−t−ブチルアミン、N−ベンジルシクロプロピルアミン、N−(2−クロロエチル)ベンジルアミン、3−ベンジルアミノプロピオニトリル、N−(4−クロロベンジル)メチルアミン、N−エチル−4−メトキシベンジルアミン、N−イソプロピル−2−クロロ−6−フルオロベンジルアミン、N−(3−メトキシプロピル)−3,4,5−トリメトキシベンジルアミン、N−シクロプロピルベラトリルアミン、1,2−ジフェニルエチル−N−メチルアミン、α−(3,4−ジメトキシフェニル)−N−メチルフェネチルアミン等が挙げられ、
R2 、R3 が前記のアルキル基及びアリール基であるモノアミンとして、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N−プロピルアニリン、N−ブチルアニリン、N−シクロヘキシルアニリン、N−アリルアニリン、N−エチル−3−トルイジン、N−エチル−2,3−キシリジン、N−メチル−4−アニシジン、3,4−メチレンジオキシ−N−エチルアニリン、N−メチル−4−クロロアニリン、N−メチル−4−フルオロアニリン、N−エチルナフチルアミン等が挙げられ、R2 、R3 が前記のアラルキル基及びアリール基であるモノアミンとして、N−ベンジルアニリン、N−ベンジル−3−トリフルオロメチルアニリン、N−(4−フルオロフェニル)−4−メトキシベンジルアミン、N−(4−ブロモフェニル)ベラトリルアミン、N−(4−クロロフェニル)−4−メチルベンジルアミン等が挙げられる。
また、R2 、R3 が連結して環構造を形成しているモノアミンとしては、3,5−ジメチルモルホリン、2,5−ジメチルピロリジン、2,6−ジメチルピロリジン、6,7−ジメトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、ベンゾチアゾリン、2,3−ジヒドロインドール、2−t−ブチル−3−(4−クロロフェニル)アジリジン等のN位に1個の水素原子を有する含窒素複素環化合物が挙げられる。
本発明では、プロトン酸の存在下で、ジアリールカーボネートとモノアミンとの反応が行われる。本発明で使用されるプロトン酸としては、無機プロトン酸として、ハロゲン化水素酸(塩酸、臭化水素酸等)、硫酸、リン酸などが挙げられ、有機プロトン酸として、カルボン酸、有機リン酸、有機スルホン酸などが挙げられる。プロトン酸の中では有機プロトン酸(カルボン酸、有機リン酸、有機スルホン酸など)が好ましく、中でもカルボン酸が特に好ましい。
前記のカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、イソ吉草酸等の1級アルキル基がカルボキシル基と結合している炭素数2〜16のカルボン酸や、イソ酪酸、2−メチルブタン酸等の2級アルキル基がカルボキシル基と結合している炭素数4〜16のカルボン酸や、ピバリン酸、トリエチル酢酸、2,2−ジメチルブタン酸等の3級アルキル基がカルボキシル基と結合している炭素数4〜16のカルボン酸や、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、1−メチルシクロヘキサンカルボン酸、デカリンカルボン酸、1−アダマンタンカルボン酸等の前記2級又は3級アルキル基が環構造を形成している(シクロアルキル基がカルボキシル基と結合している)炭素数6〜16のカルボン酸(シクロアルカンカルボン酸)や、
安息香酸、フルオロ安息香酸、クロロ安息香酸、ジクロロ安息香酸、トルイル酸、アニス酸、サリチル酸、ナフタレンカルボン酸、アントラセンカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のアリール基がカルボキシル基と結合している炭素数7〜18のカルボン酸(炭素環式芳香族カルボン酸)や、フランカルボン酸、チオフェンカルボン酸、ピリジンカルボン酸、ピロールカルボン酸等の複素環基がカルボキシル基と結合している炭素数5〜16のカルボン酸(複素環芳香族カルボン酸)が挙げられる。これらカルボン酸の中では、3級アルキル基がカルボキシル基と結合しているカルボン酸、シクロアルカンカルボン酸、炭素環式芳香族カルボン酸、複素環芳香族カルボン酸が好ましい。
なお、ここで、1級アルキル基とは、アルキル基を構成する炭素原子のうち、カルボキシル基に結合する炭素原子が少なくとも2個の水素原子を有しているものを言い、好ましくは炭素数1〜15のものであり、2級アルキル基とは、アルキル基を構成する炭素原子のうち、カルボキシル基に結合する炭素原子が1個の水素原子を有しているものを言い、好ましくは炭素数3〜15のものであり、3級アルキル基とは、アルキル基を構成する炭素原子のうち、カルボキシル基に結合する炭素原子が水素原子を有していないもののを言い、好ましくは炭素数4〜15のものである。
前記の有機リン酸としては、ジメチルホスフィン酸、ジブチルホスフィン酸、エチルメチルホスフィン酸、ジデシルホスフィン酸、フェニルプロピルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ビス(2−メトキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(3−メトキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(4−メトキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(4−クロロフェニル)ホスフィン酸等のホスフィン酸が挙げられる。また、前記の有機スルホン酸としては、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸等が挙げられる。
ジアリールカーボネートとモノアミンとの反応は、例えば、反応器に前記のジアリールカーボネート、モノアミン及びプロトン酸を所定量仕込み、更に必要に応じて反応溶媒を共存させて、非常に温和な条件で行われる。このとき、反応温度は原料化合物や反応溶媒により異なるが、反応温度が高くなると尿素誘導体が多く副生して好ましくない場合があるため、−30℃〜200℃、特に−5℃〜150℃であることが好ましい。反応圧力は常圧、加圧、減圧のいずれの条件でもよく、特に制限されない。なお、反応は攪拌しながら行うことが好ましいが、特に制限されるものではない。
モノアミンの仕込み量は、例えば、ジアリールカーボネートに対して0.1〜10倍モル、特に0.3〜3倍モル、更には0.5〜2倍モルであることが好ましい。また、前記プロトン酸の仕込み量は、例えば、ジアリールカーボネートに対して0.005〜4倍モル、特に0.01〜2倍モル、更には0.02〜1.5倍モルであることが好ましい。なお、単独で使用しても複数で使用してもよく、またモノアミンとの塩の形態で使用しても差し支えない。
反応溶媒は、原料のジアリールカーボネートやモノアミン、生成物のカルバメート、及びカルボン酸に対して不活性であるか又は反応性が低いもの、更にカルバメートを容易に析出させるものであれば、特に制限されるものではない。反応溶媒としては、例えば、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、ペンタン、石油エーテル、リグロイン、シクロドデカン、デカリン等)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、n−ブチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、テトラリン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、メチルナフタレン、クロロナフタレン等)などが使用される。このような反応溶媒を使用すると、生成したカルバメートが反応終了後に反応液から析出するため、高純度のカルバメートを非常に容易に分離することができる。
反応溶媒は、例えば、ジアリールカーボネート1重量部に対して0〜50重両部、好ましくは0〜20重量部、更に好ましくは0〜10重量部使用される。但し、モノアミンとして芳香族アミンや2級アミンを使用する場合、反応溶媒は、例えば、ジアリールカーボネート1重量部に対して0〜10重両部、好ましくは0〜5重量部使用される。反応溶媒を使用しない場合は、カルバメートの分離操作を容易にするため、反応終了後に反応溶媒をこの割合で反応液に添加することが好ましい。なお、反応溶媒は単独で使用しても、複数を混合して使用してもよい。反応溶媒は特に反応液全体が固化するような場合に操作性をよくするために使用されるが、カルバメートの分離操作を容易にするため、反応終了後に更に反応液に追加しても差し支えない。この場合、反応溶媒は、例えば、ジアリールカーボネート1重両部に対して0.5〜20重両部、好ましくは1〜10重両部追加される。
反応終了後、生成したカルバメートは、反応液を40℃以下、好ましくは40℃〜−30℃、更に好ましくは30℃〜−25℃に保持して、反応液からカルバメートを析出させ、これを濾過又は遠心分離などすることにより分離される。反応液を保持する温度は、原料及び生成物、更に反応溶媒の種類によって異なるが、40℃以下で反応溶媒が固化する温度以上の範囲である。反応温度がこの温度範囲に入っている場合、カルバメートは反応終了後に反応液から析出しているので、反応液を特に前記の温度範囲に保持することなく、そのまま分離される。反応で前記の反応溶媒を用いなかった場合は、前記の水に難溶性の反応溶媒を添加した後に同様に反応液を処理することが好ましい。なお、プロトン酸の種類によっては、プロトン酸のモノアミン塩がカルバメートと共に析出することもあるが、これはその結晶を水洗する方法などにより容易に除去される。また、プロトン酸のモノアミン塩がカルバメートより析出しやすい場合には、カルバメートが析出する前にプロトン酸のモノアミン塩を固体として分離したり、プロトン酸のモノアミン塩とカルバメートを含む結晶から有機溶媒でカルバメートを抽出することができる。
また、生成したカルバメートの分離は、反応終了後、その反応液から未反応アミンを除いた後にカルバメートを分離することによっても行われる。この方法は、特に反応液からカルバメートを結晶として析出させることが困難な場合に有効である。反応液中の未反応アミンは、未反応アミンに対して過剰量(1〜30倍モル、好ましくは1〜10倍モル)の酸を含んだ水溶液で反応液を処理することにより、水層に抽出して除去することが好ましい。このとき、酸としてはさまざまの酸を使用できるが、例えば、塩酸、硫酸等の無機酸が好適に使用される。反応で前記の溶媒を用いなかった場合は、前記の水に難溶性の反応溶媒を添加した後に同様に未反応アミンを除去することが好ましい。
次いで、未反応アミンを除去した後の反応液に適当な後処理を行って、カルバメートが分離される。例えば、この反応液から、反応溶媒、カルボン酸及びフェノール類を蒸留で除いて得られる固体をそのまま取り出したり、この固体を溶媒で洗浄したり再結晶することにより、カルバメートが分離される。また、この反応液をアルカリ水溶液で処理してカルボン酸やフェノール類を除いた後(更に必要であればフェノール類を蒸留で除いた後)、反応溶媒を蒸留で除いて得られる固体をそのまま分離したり、これを溶媒で洗浄したり再結晶することによっても、カルバメートが分離される。なお、このアルカリ処理の方法は、前記の反応液からカルバメートを析出させて分離する方法において、カルバメートを分離した後の母液中に残存するカルバメートを回収する際にも有効である。
前記の洗浄や再結晶に使用される溶媒としては、例えば、脂肪族炭化水素類(ペンタン、ヘキサン、石油エーテル、リグロイン、シクロヘキサン、シクロドデカン、デカリン等)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、n−ブチルベンゼン、テトラリン、クロロベンゼン等)、アルコール類(エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソアミルアルコール、シクロヘキサノール等)、エーテル類(ジ−n−プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸n−アミル、酢酸イソアミル、酢酸シクロヘキシル等)、ケトン類(メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)が挙げられる。以上のようにして得られたカルバメートは高純度のものであるが、必要に応じて再結晶、蒸留、昇華又はカラムクロマトグラフィー等により更に精製される。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、収率はジアリールカーボネートに対してモル基準で求めた。実施例1還流管を取り付けた内容積20mlのガラス製反応器に、ジフェニルカーボネート(0.01モル)、アニリン(0.012モル)、ピバリン酸(0.002モル)及びシクロヘキサン4mlを入れて、常圧下、バス温85℃で5時間加熱攪拌した。反応終了後、反応液を室温(25℃)まで冷却して、N−フェニルカルバミン酸フェニルの白色結晶を析出させた。これを濾過・分離し、得られた結晶をシクロヘキサンで2回洗浄して、減圧下で乾燥し、N−フェニルカルバミン酸フェニル1.59gを得た。更に、母液から析出した結晶を濾過・分離し、同様の処理を行って、N−フェニルカルバミン酸フェニル0.25gを得た。N−フェニルカルバミン酸フェニルの合計収率は86.3%であった。また、得られたN−フェニルカルバミン酸フェニルの純度は98重量%以上であり、N,N'−ジフェニル尿素の混入量は0.3重量%以下であった。
実施例2ピバリン酸を安息香酸(0.002モル)に代えたほかは、実施例1と同様に反応と分離を行って、N−フェニルカルバミン酸フェニルを合計收率83.5%で得た。得られたN−フェニルカルバミン酸フェニルの純度は98重量%以上であり、N,N'−ジフェニル尿素の混入量は0.8重量%であった。
実施例3ピバリン酸をジフェニルホスフィン酸(0.0005モル)に代え、反応時間を24時間に変えたほかは、実施例1と同様に反応と分離を行って、N−フェニルカルバミン酸フェニルを合計収率85.4%で得た。得られたN−フェニルカルバミン酸フェニルの純度は98重量%以上であり、N,N'−ジフェニル尿素の混入量は1.2重量%であった。
実施例4内容積200mlのガラス製反応器に、ジフェニルカーボネート(0.2モル)、アニリン(0.24モル)及び酢酸(0.04モル)を入れて、常圧下、バス温75℃で3.5時間加熱攪拌した。反応終了後、反応物を酢酸エチル200mlに溶解させ、これを塩酸水溶液(36重量%塩酸5.5gと水100mlで調製)で洗浄して未反応のアニリンを除去した。有機層を分離して水50mlで洗浄し、更に炭酸ナトリウム水溶液(炭酸ナトリウム5.5gと水50mlで調製)で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。次いで、有機層から酢酸エチルとフェノールを蒸留で除き、得られた粗カルバメート49.13gをトルエン80mlから再結晶して、N−フェニルカルバミン酸フェニル35.18gを得た。更に、再結晶母液を濃縮して得られた固体を再結晶して、N−フェニルカルバミン酸フェニル2.16gを得た。N−フェニルカルバミン酸フェニルの合計収率は87.6%であった。また、得られたN−フェニルカルバミン酸フェニルの純度は99.5重量%であり、N,N'−ジフェニル尿素の混入量は0.1重量%以下であった。
実施例5内容積50mlのガラス製反応器に、ジフェニルカーボネート(0.05モル)、アニリン(0.06モル)及びp−トルエンスルホン酸(0.01モル)を入れて、常圧下、バス温85℃で11.25時間加熱攪拌した。反応終了後、反応物を酢酸エチル50mlに溶解させ、これを塩酸水溶液(36重量%塩酸5.0gと水20mlで調製)で洗浄して未反応のアニリンを除去した。有機層を分離して水20mlで洗浄し、更に炭酸ナトリウム水溶液(炭酸ナトリウム2.0gと水20mlで調製)で洗浄した。次いで、有機層から酢酸エチルとフェノールを蒸留で除き、得られた蒸留残渣ををイソプロパノールから再結晶して、N−フェニルカルバミン酸フェニル7.02gを得た(収率65.8%)。得られたN−フェニルカルバミン酸フェニルの純度は99.5重量%であり、N,N'−ジフェニル尿素の混入量は0.1重量%以下であった。
比較例1塩酸水溶液で未反応のアニリンを除去しなかったほかは、実施例5と同様に反応と分離を行った。その結果、酢酸エチルとフェノールを蒸留で除いて得られた蒸留残渣には、多量のN,N'−ジフェニル尿素が生成しており、高純度のN−フェニルカルバミン酸フェニルを再結晶で得ることはできなかった。
本発明は、ジアリールカーボネートからカルバメートを生成させ、その反応液からカルバメートを分離して、高純度のカルバメートを容易に製造する方法に関する。カルバメートは、医薬、農薬又はその合成原料、そして各種ファインケミカルズ又はその合成原料として、更にアルコール類の分析試剤などとして広範な用途を有する有用な化合物である。

Claims (7)

  1. ジアリールカーボネートとN位に少なくとも1つの水素原子を有するモノアミンとをカルボン酸の存在下、溶媒の存在下又は非存在下で反応させてカルバメートを生成させた後、反応において溶媒を使用しなかった場合には反応液に溶媒を添加し、その反応液を−30〜40℃に保持してカルバメートを析出させ、次いでカルバメートを分離することを特徴とするカルバメートの製法。
  2. 請求項1記載の反応において、カルバメートを生成させる反応に使用される溶媒量がジアリールカーボネート1重量部に対して0〜20重量部であり、且つ反応終了後にカルバメートを析出させるために追加する溶媒量がジアリールカーボネート1重量部に対して1〜10重量部である請求項1記載のカルバメートの製法。
  3. ジアリールカーボネートとN位に少なくとも1つの水素原子を有するモノアミンとをカルボン酸の存在下で反応させ、次いでその反応液を未反応アミンを、未反応のアミンに対して過剰量の酸を含んだ水溶液で処理して除き、その後、カルボン酸及びフェノール類を、蒸留又はアルカリ水溶液で処理して除去して、生成したカルバメートを分離することを特徴とするカルバメートの製法。
  4. N位に少なくとも1つの水素原子を有するモノアミンが化学構造式(I)で示される化合物であることを特徴とする請求項1又は3記載のカルバメートの製法。
    Figure 2007211029
    (式中、Rはアラルキル基、アリール基、又は複素環基を表す。)
  5. N位に少なくとも1つの水素原子を有するモノアミンが化学構造式(II)で示される化合物であることを特徴とする請求項1又は3記載のカルバメートの製法。
    Figure 2007211029
    (式中、R、Rはアルキル基、アラルキル基、アリール基、又は複素環基を表す。)
  6. N位に少なくとも1つの水素原子を有するモノアミンが芳香族1級アミン、芳香族2級アミン、又は脂肪族2級アミンであることを特徴とする請求項1又は3記載のカルバメートの製法。
  7. 請求項1記載の方法によって得られるカルバメートが、尿素誘導体を0.8重量%以下しか含まない高純度のものであり、請求項3記載の方法によって得られるカルバメートが、尿素誘導体を0.1重量%以下しか含まない高純度のものである、請求項1又は3記載のカルバメートの製法。
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