JP2007298451A - 電位測定装置、電位測定装置を備える画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】検知電極とシャッタを容易に同一面上に配する様にできて、比較的構成が簡単で、作製し易く、センサ出力を比較的大きく取ることができる電位測定装置を提供する。
【解決手段】電位測定装置は、被検物103の電位に応じて電荷が誘起される検知電極101と、検知電極101での電荷の誘起量を変化させるシャッタ102と、電荷の誘起量の変化に係わる電気信号を用いて被検物103の電位の情報を出力する信号処理手段を有する。検知電極101とシャッタ102は基準面に対して75度以下の角度を成して設けられ、相対的に基準面に平行な方向に移動可能となっている。シャッタ102は、被検物103から基準面に対して垂直な方向に見える検知電極101の面積を変化させて検知電極101での電荷の誘起量を変化させる。
【選択図】図1
【解決手段】電位測定装置は、被検物103の電位に応じて電荷が誘起される検知電極101と、検知電極101での電荷の誘起量を変化させるシャッタ102と、電荷の誘起量の変化に係わる電気信号を用いて被検物103の電位の情報を出力する信号処理手段を有する。検知電極101とシャッタ102は基準面に対して75度以下の角度を成して設けられ、相対的に基準面に平行な方向に移動可能となっている。シャッタ102は、被検物103から基準面に対して垂直な方向に見える検知電極101の面積を変化させて検知電極101での電荷の誘起量を変化させる。
【選択図】図1
Description
本発明は、検知電極に誘起される電荷の量の変化(増減)によって被検物の電位を検出して測定する電位測定装置に関する。また、この電位測定装置を備える電子写真式のプリンタなどの画像形成装置に関する。
従来、被検物から見える検知電極の面積をシャッタで変化させることで、被検物の電位に応じて検知電極に誘起されて生じる電荷の量を増減させ、その増減より被検物の電位を検知する電位測定装置が提案されている。このタイプのものとして、+電位と−電位を印加した複数の検知電極(Detector)の間にシャッタ(shutter)を設け、シャッタが変位することで、夫々の検知電極から被検物の電位に応じた電流を得る図11に示す電位測定装置が提案されている(非特許文献1参照)。この構成において、検知電極とシャッタは同じ平面上に作製される。
また、シャッタと検知電極が複数組配列されている構造の電位測定装置が提案されている(特許文献1参照)。ここでは、被検物−検知電極間に配されたシャッタを駆動することで、検知電極に誘起される電荷の量を変化させ、該電荷量の変化から被検物の電位を測定する。
ここで、上記背景技術の電位測定装置及び本発明の電位測定装置が採用する方式の電位測定装置が出力信号を取得する原理を説明する。
被検物から見える検知電極の面積(s)が変化すると、被検物と検知電極間に誘起される静電(結合)容量(C)は変化する。
静電容量(C)は一般に式(1)で表すことができる。
C=(ε・s)/g (1)
ここで、ε[F・m−1]は被検物と検知電極間の誘電率、g[m]は被検物と検知電極間の距離、s[m2]は被検物から見える検知電極の面積である。
静電容量(C)は一般に式(1)で表すことができる。
C=(ε・s)/g (1)
ここで、ε[F・m−1]は被検物と検知電極間の誘電率、g[m]は被検物と検知電極間の距離、s[m2]は被検物から見える検知電極の面積である。
また、静電容量(C)は式(2)で表すことができる。
Q=C×Vd (2)
ここで、Qは検知電極に誘起される電荷の量、Vd[V]は被検物の電位である。
式(1)を式(2)に代入すると、式(3)となる。
Q=(ε・s)/g×Vd (3)
Q=C×Vd (2)
ここで、Qは検知電極に誘起される電荷の量、Vd[V]は被検物の電位である。
式(1)を式(2)に代入すると、式(3)となる。
Q=(ε・s)/g×Vd (3)
ここで、被検物から見える検知電極の面積が時間(t)に伴って変化する場合、式(3)は式(4)で表すことができる。この変化は、例えば、被検物と検知電極との間に導電性材料などで形成された遮断板(シャッタ)を挿入、引出しすることで達成される。
Q(t)=(ε・s(t))/g×Vd (4)
Q(t)=(ε・s(t))/g×Vd (4)
式(4)を時間(t)で微分すると式(5)となる。ここで、時間あたりの面積変化ds(t)/dtは分かっている値である。
dQ(t)/dt=I(t)=(ε/g・ds(t)/dt)×Vd (5)
こうして、式(5)より検知電極からの電流信号I(t)が得られ、この値からVdを求めることができる。また、信号処理精度の向上等を目的として必要に応じてI(t)を電流−電圧変換すれば、電圧出力信号V(t)を得ることができ、出力信号V(t)から被検物の電位Vdが分かる。また、フィードバック処理回路部を用いる方法は、適当な部材(例えば、センサプローブの筐体等)に電圧を印加して、上記電圧出力信号V(t)がゼロとなる様に調整する。そして、その時の当該印加電圧を被検物の電位Vdとするものである。
JOURNAL OF MICROELECTROMECHANICAL SYSTEMS, VOL. 12, NO.5, OCTOBER2003 P.577-589 特開2000-147035号公報
dQ(t)/dt=I(t)=(ε/g・ds(t)/dt)×Vd (5)
こうして、式(5)より検知電極からの電流信号I(t)が得られ、この値からVdを求めることができる。また、信号処理精度の向上等を目的として必要に応じてI(t)を電流−電圧変換すれば、電圧出力信号V(t)を得ることができ、出力信号V(t)から被検物の電位Vdが分かる。また、フィードバック処理回路部を用いる方法は、適当な部材(例えば、センサプローブの筐体等)に電圧を印加して、上記電圧出力信号V(t)がゼロとなる様に調整する。そして、その時の当該印加電圧を被検物の電位Vdとするものである。
JOURNAL OF MICROELECTROMECHANICAL SYSTEMS, VOL. 12, NO.5, OCTOBER2003 P.577-589
しかしながら、上記非特許文献1においては、検知電極とシャッタとが同一面上に形成されるので、構成が簡単になるが、検知電極の検知部となる側壁の面が被検物に対向していない。従って、こうした構成は、センサ出力を大きく取るのに向いているとは言い難い。
また、上記特許文献1においては、検知電極を形成した支持基板上に、駆動するシャッタを設けているので、次の様な課題がある。すなわち、この場合、検知電極の上にギャップを設けつつ、駆動するシャッタを形成する必要があり、シャッタ/ギャップ/検知電極/支持基板といった層構成となり、構成が複雑となる。構成が複雑になると、作製が困難になったり、歩留まりが落ちたり、コストが増大したりする。
上記課題に鑑み、本発明の電位測定装置は、検知電極と、被検物と前記検知電極との間に設けられるシャッタと、信号処理手段を有する。前記検知電極と前記シャッタは基準面に対して75度以下の角度を成して設けられると共に、相対的に前記基準面に平行な方向に移動可能となっている。
また、上記課題に鑑み、本発明の画像形成装置は、上記の電位測定装置と画像形成手段を備え、前記電位測定装置より得られる前記被検物の電位の情報を用いて、前記画像形成手段が前記被検物に対する画像形成の条件の調整を行うことを特徴とする。
本発明によれば、検知電極とシャッタを基準面に対して75度以下の角度を成して設けると共に、相対的に前記基準面に平行な方向に移動可能としているので、検知電極とシャッタとを容易に同一面上に配する様にできる。よって、比較的構成が簡単で、作製し易い(特に、MEMSの技術を用いて容易且つ高精度に作製できる)構造となっている。更に、従来の電位測定装置と比べても、センサ出力を比較的大きく取れて、S/N比の比較的高い電位測定装置とできる。比較的センサ出力が大きく、S/N比が高いことで、被検物の電位を高精度に測定することが可能となる。
また、本発明の電位測定装置を備える画像形成装置においては、画像形成装置内に備える被検物の電位を比較的高精度に測定できるので、その高精度な電位情報により、被検物の電位を高精度に制御することが可能となる。そして、被検物の電位を高精度に制御することで、比較的高品質な画像を形成することが可能となる。
以下に、本発明の実施の形態を説明する。本発明の揺動体装置の一実施形態は、被検物の電位に応じて電荷が誘起される検知電極と、被検物と検知電極との間の静電容量を変化させて前記電荷の誘起量を変化させるためのシャッタを備える。そして、信号処理手段が、前記電荷の誘起量の変化に係わる電気信号を用いて被検物の電位の情報を出力する。更に、検知電極とシャッタは基準面に対して75度以下の角度を成して設けられると共に、相対的に前記基準面に平行な方向に移動可能となっている。シャッタは、被検物から前記基準面に対して垂直な方向に見える検知電極の面積を変化させて前記静電容量を変化させる。基準面に対する75度以下の角度というのは、後述する様に、上記非特許文献1の従来技術と比較してセンサ出力をより大きく取るために導入された条件である。
典型的には、シャッタと検知電極は平板形状を有していて、前記基準面に対して同じ角度で平行な関係を成して設けられる。検知電極とシャッタとで形成される対向面の組み合わせは、1組でもよいし(後述の図1の実施例1参照)、また、複数組形成されてもよい(後述の図4の実施例2などを参照)。
検知電極は、被検物から前記基準面に対して垂直な方向に見えるシャッタの面積を変化させる第二のシャッタを兼ねる様にも構成され得て、この場合、前記シャッタは第二の検知電極を兼ねる(後述の図5の実施例参照)。この構成において、被検物から見える前記第二のシャッタを兼ねる検知電極の面積の増減の周期と、被検物から見える前記第二の検知電極を兼ねるシャッタの面積の増減の周期は、位相が180度ずれた関係にある様にできる。
また、前記検知電極及び前記シャッタとして、夫々、第一と第二の検知電極及び第一と第二のシャッタを設けて、前記第一と第二の検知電極と前記被検物との間の静電容量を、夫々、前記第一と第二のシャッタにより、変化させる様にしてもよい(後述の図6の実施例3参照)。この場合も、被検物から見える前記第一の検知電極の面積の増減の周期と、被検物から見える前記第二の検知電極の面積の増減の周期は、位相が180度ずれた関係にある様にできる。
上記の如く位相が180度ずれた関係にしたとき、前記第二のシャッタを兼ねる検知電極または前記第一の検知電極、及び前記第二の検知電極を兼ねるシャッタまたは前記第二の検知電極より得られる電気信号を差動増幅することができる。これにより、よりS/N比が高くて、より大きいセンサ出力が得られる様になる。
シャッタと検知電極は、相対的に前記基準面に平行な方向に移動可能となっていればよいので、両者の何れか一方若しくは両方を、前記基準面に平行な方向に駆動して移動する様にできる。
次に、図面を用いて、本発明の実施例を詳しく説明する。
(実施例1)
図1は、本発明の実施例1に係る電位測定装置のセンサヘッド部分を示す構成図である。図1(a)は、被検物103からほぼ垂直方向に見てシャッタ102が検知電極101の大部分を覆っている状態を示す平面図である。図1(b)は、図1(a)の状態を側面方向から見た側面図である。これに対して、図1(c)は、被検物103からほぼ垂直方向に見てシャッタ102が検知電極101の大部分を露出している状態を示す平面図である。図1(d)は、図1(c)の状態を側面方向から見た側面図である。
図1は、本発明の実施例1に係る電位測定装置のセンサヘッド部分を示す構成図である。図1(a)は、被検物103からほぼ垂直方向に見てシャッタ102が検知電極101の大部分を覆っている状態を示す平面図である。図1(b)は、図1(a)の状態を側面方向から見た側面図である。これに対して、図1(c)は、被検物103からほぼ垂直方向に見てシャッタ102が検知電極101の大部分を露出している状態を示す平面図である。図1(d)は、図1(c)の状態を側面方向から見た側面図である。
図1において、検知電極101はシャッタ102と対向して互いに平行に設けられている。そして、検知電極101、シャッタ102ともに基準面(ここでは被検物103が平板状であるので、これを基準面とできる)に対して所定の傾き(図示例では、45度程度の角度)をもって形成されている。この基準面に対する角度は、75度以下である。図1(a)の状態において、シャッタ102が検知電極101から離れると(図1(b)の矢印の方向に基準面に平行に動くと)、図1(c)、(d)を見て分かる様に、被検物103から見える検知電極101の面積が増大する。この動きを往復運動とし、シャッタ102を周期的に駆動させれば、被検物103から見える検知電極101の面積は周期的に増減する。
図2は本実施例に係る電位測定装置のセンサヘッド部に生じる電気力線の一例を示す模式図である。図2(a)は、シャッタ102が検知電極101の大部分を覆っている状態での電気力線201の例を示す側面図である。図2(b)は、シャッタ102が検知電極101の大部分を露出している状態での電気力線202の例を示す側面図である。図2において、検知電極101に入射する電気力線201、202は、シャッタ102の位置によって、増減する。電気力線201、202の増減は、検知電極101に生じる電荷の増減に比例するので、この電荷の増減より、上述した様な原理で被検物103の電位を測定することが可能となる。
図3は、本実施例に係る電位測定装置のセンサヘッド部の構成例を示す平面図である。図3において、シャッタ302(上記シャッタ102に対応する)は、例えば、シャッタ支持部材304に支持されている。シャッタ支持部材304には、更に、一対の梁305の内端が取り付けられている。梁305が撓むことで、シャッタ支持部材304が動いてシャッタ302の位置が変化する。各梁305の外端は、梁固定子306により、支持基板308に固定的に支持されている。
他方、検知電極301は検知電極支持部材303に支持され、検知電極支持部材303は支持基板308に固定されている。シャッタ支持部材304を駆動する駆動力307は、図3の矢印の方向(若しくは矢印の逆の方向)に力を発生する。この場合、駆動力307の発生源としては、静電引力(例えば、シャッタ支持部材304側の櫛歯電極と支持基板308側の櫛歯電極との間に働く静電引力)、圧電素子などを用いる振動、電磁力などを利用することが可能である。
図3で示した構成は、検知電極101上でシャッタ302を平行に駆動させる為の構成の一例であって、この構成に限る必要はない。図3の構成において、シャッタ支持部材304は必須ではなく、梁305に直接シャッタ302を取り付けてもよい。また、駆動力307の印加部は一箇所に限る必要はない。例えば、シャッタ支持部材304の両端(図3の左右方向両端)に駆動力の印加部を設けるなどして、より大きな駆動力を発生させることが可能となる。また、駆動力を発生させる周期をセンサヘッド部の共振周波数に合わせることで、少ない駆動力でシャッタ302のより大きな変位を得ることが可能となる。
更に、梁305の形状は、図3に示す如き一直線状に限る必要はなく、折り曲げ部を有する所謂ミアンダー(meander)形状であっても構わない。ミアンダー形状とすることで、梁を折り畳めるので、センサの小型化が可能となる。また、図3の様な両持ち梁(複数の梁よりなり、対向して支持している梁)では、変位量によっては駆動に非線形性が生じる恐れがあるが、ミアンダー構造は、この恐れを低減する効果を有する。
シャッタ支持部材304及び梁305上には、シャッタ302に通じる電気配線と駆動力307の発生源に通じる電気配線とが形成されるが、これらの配線は、例えば、シャッタ支持部材304と梁305の交差部辺りに形成された絶縁部により、相互に絶縁されている。
ここで、検知電極とシャッタが基準面に対して75度以下の角度で設けられる意義について、図7と図8を用いて説明する。図7(c)は、図11に示した従来例のシャッタ1002、プラスとマイナスの検知電極1001a、1001b、被検物103を、詳しい電気力線と共に示す側面図で、この構成が比較の対象となる。図7(a)、(b)は、図7(c)の比較対象とほぼ同型にした本発明の思想に基づく構成の異なる状態を示す側面図である。図7(a)、(b)の構成において、シャッタ902は、2つの検知電極901の間で、基準面と平行な方向に移動する。
両構成について、最も大きい出力が検知電極から出てくる状態での出力から最も小さい出力が検知電極から出てくる状態での出力を引いた値を、プロットしたのが図8である。図8の縦軸の電荷の値は、実際のサンプルの実験条件に由来したもので、その絶対量は重要なものではない。図7(c)の比較対象は、本発明の考え方から言えば、検知電極とシャッタが基準面に対して90度の角度を成している場合に相当する。しかし、本発明の構成ではプラスとマイナスの検知電極を用いないので、本発明の思想に基づく構成において基準面に対する角度を90度にした構成の出力より、図7(c)の比較対象の出力(破線で示す)は若干大きくなっている。
図8から分かる様に、検知電極とシャッタが基準面に対してほぼ75度以下の角度であれば、上記出力(図7(b)の位置での出力から図7(a)の位置での出力を引いたもの)は、本発明の思想に基づく構成のものが図7(c)の比較対象のものより大きくなる。従って、本発明によれば、検知電極とシャッタとを容易に同一面上に配することができる構成でありつつ、センサ出力をより大きく取れて、S/N比の高い電位測定装置が得られることになる。以上の理由から、本発明において、検知電極とシャッタが基準面に対して75度以下(下限は、ゼロよりは大きい)の角度で設けられるという条件を要求するのである。
なお、本実施例の構成においても、後述する図5の実施例の様に差動増幅できる構成とできる。その為には、図2(b)の破線で示す様に、検知電極101とシャッタ102の部分に電気力線整形用の開口を設けたケーシング205を配すればよい。この場合、ケーシング205は、被検物103から前記基準面に対して垂直な方向に見えるシャッタ102の面積を変化させる第二のシャッタの役割を兼ね、シャッタ102は第二の検知電極を兼ねる。差動増幅の詳細については後述する。
(実施例2)
次に、本発明の実施例2に係る電位測定装置を説明する。実施例1では検知電極とシャッタとで形成される対向面の組み合わせが、1組であったが、実施例2では複数組形成されている。図4は、本発明の実施例2に係る電位測定装置のセンサヘッド部分を示す構成図である。図4(a)は、被検物103からほぼ垂直方向に見てシャッタ402が検知電極401の大部分を覆っている状態を示す側面図である。図4(b)は、図4(a)の状態を上面から見た平面図である。これに対して、図4(c)は、被検物103からほぼ垂直方向に見てシャッタ402が検知電極401の大部分を露出している状態を示す側面図である。図4(d)は、図4(c)の状態を上面から見た平面図である。
次に、本発明の実施例2に係る電位測定装置を説明する。実施例1では検知電極とシャッタとで形成される対向面の組み合わせが、1組であったが、実施例2では複数組形成されている。図4は、本発明の実施例2に係る電位測定装置のセンサヘッド部分を示す構成図である。図4(a)は、被検物103からほぼ垂直方向に見てシャッタ402が検知電極401の大部分を覆っている状態を示す側面図である。図4(b)は、図4(a)の状態を上面から見た平面図である。これに対して、図4(c)は、被検物103からほぼ垂直方向に見てシャッタ402が検知電極401の大部分を露出している状態を示す側面図である。図4(d)は、図4(c)の状態を上面から見た平面図である。
図4において、上述した様に、検知電極401とシャッタ402は複数組配置されている。この場合、夫々の検知電極401とシャッタ402は基準面(不図示)に平行に(すなわち、図4の左右方向に)独立に駆動させることが可能である。しかし、例えば、図3に示すシャッタ支持部材304、検知電極支持部材303の如き手段などで夫々の検知電極401、シャッタ402を連結しても構わない。シャッタ支持部材304の如き手段でシャッタ402を連結すれば、全てのシャッタ402を同じタイミングで図4の左右方向に一度に動かすことが可能となる。また、この移動のための駆動力の発生源も共通化できる。
本実施例において、図4(a)の状態から左方向にシャッタ402が変位させられて、被検物103から見える検知電極401の面積を増大させるとき、図4(c)に示す様にシャッタ402が検知電極401の下に隠れる様になる。こうして、図4(b)、(d)を見て分かる様に、被検物103からほぼシャッタ402だけが見える状態と、ほぼ検知電極401だけが見える状態を交互に実現することが可能となる。これにより、殆ど検知電極401だけが見える状態にできたり、殆ど検知電極401を隠す状態にできたりするので、検知電極401に誘起される電荷の増減を非常に大きくとることが可能となる。よって、単位面積あたりにおいて、非常に大きなセンサ出力を得ることが可能となる。
その他の点については、実施例2も実施例1と同様である。
図4に示す構成では、シャッタ402も検知電極401と同様に被検物103から見える面積が増減するので、これを利用して、シャッタ402を第二の検知電極として利用することが可能となる。この場合、検知電極401は、被検物103から見える第二の検知電極としてのシャッタ402の面積を変化させる第二のシャッタを兼ねる様になる。この構成において、シャッタ401よりなる第二の検知電極も上述した検知電極401の効果と同等の効果を有する。
こうした構成では、センサ出力を次の様に取り出せる構成とできる。図5は本電位測定装置に係るセンサヘッドに生じる電気力線の様子を示す模式図である。図5(a)から分かる様に、シャッタよりなる第二の検知電極502に被検物103から入射する電気力線が最大となるとき、検知電極501に入射する電気力線が最小となる。他方、図5(b)から分かる様に、シャッタよりなる第二の検知電極502に被検物103から入射する電気力線が最小となるとき、検知電極501に入射する電気力線が最大となる。つまり、こうなる様に、シャッタよりなる第二の検知電極502と検知電極501(第二のシャッタ)の傾き、間隔、厚さなどが設定されている。よって、第二の検知電極502から得られるセンサ出力と、検知電極501から得られるセンサ出力(両出力は位相的に180度ずれている)とを差動増幅することで、シャッタ502を検知電極として用いない場合に比べてほぼ2倍のセンサ出力が得られる。更には、差動増幅では夫々のセンサ出力に乗る同相のノイズや同じ大きさのオフセットを打ち消すことが可能となるので、S/N比の高いセンサ出力を得ることが可能となる。
(実施例3)
次に、本発明の実施例3に係る電位測定装置を説明する。実施例3でも、検知電極とシャッタとで形成される対向面の組み合わせが、複数組形成されている。図6は、本発明の実施例3に係る電位測定装置のセンサヘッド部分を示す構成図である。図6(a)は、被検物103からほぼ垂直方向に見て一方の組のシャッタ603が一方の組の検知電極601の大部分を覆っているが、他方の組のシャッタ603が他方の組の検知電極602の大部分を露出させている状態を示す平面図である。図6(b)は、図6(a)のC-C断面図であり、図4(c)は、図6(a)のD-D断面図である。
次に、本発明の実施例3に係る電位測定装置を説明する。実施例3でも、検知電極とシャッタとで形成される対向面の組み合わせが、複数組形成されている。図6は、本発明の実施例3に係る電位測定装置のセンサヘッド部分を示す構成図である。図6(a)は、被検物103からほぼ垂直方向に見て一方の組のシャッタ603が一方の組の検知電極601の大部分を覆っているが、他方の組のシャッタ603が他方の組の検知電極602の大部分を露出させている状態を示す平面図である。図6(b)は、図6(a)のC-C断面図であり、図4(c)は、図6(a)のD-D断面図である。
本実施例は、差動増幅を用いるにあたって、シャッタよりなる第二の検知電極を用いない構成となっている。図6に示す様に、本実施例では、シャッタ603と検知電極601、602の組み合わせを2箇所に設ける。ここでは、検知電極601、602を夫々検知電極、第二の検知電極とすると、検知電極601と第二の検知電極602の被検物103から見える面積が、2組のシャッタ603によって180度ずれた関係で増減する様になっている。具体的には、検知電極601と第二の検知電極602との傾きを、図6(b)、(c)に示す様に、基準面に垂直な方向(同図の上下方向)に関して、対称の関係にする。そして、図6の状態において、一方の組のシャッタ603が検知電極601の上面から遠ざかろうとするとき、他方の組のシャッタ603が第二の検知電極602の下面から遠ざかる様にする(図6(b)、(c)の矢印参照)。これにより、検知電極601と第二の検知電極602から、180度位相のずれたセンサ出力を得ることが可能となる。こうして、差動増幅が可能となる。
以上の様に、本実施例では、第一と第二の検知電極601、602及び第一と第二のシャッタ603が設けられて、第一と第二の検知電極601、602は、夫々第一と第二のシャッタ603により、被検物103との間の静電容量を変化させられる。そして、被検物103から見える第一の検知電極601の面積の増減の周期と、被検物103から見える第二の検知電極602の面積の増減の周期が、位相的に180度ずれた関係にある様に構成されている。
ここで、検知電極やシャッタの形状等の設計について説明する。例えば、図1(a)において、シャッタ102は検知電極101に近づいており、被検物103から見える検知電極101の面積は少ない状態となっている。ここで、センサ出力を大きくするには、検知電極101の見える面積は少ないほど良い。検知電極101の見える面積を少なくするには、第一に、シャッタをできるだけ検知電極に近づけるのが好ましい。また、第二に、シャッタや検知電極の厚みは薄いほうが良い。この場合、シャッタと検知電極が接触しても、センサ出力を得ることは可能である。従って、こうしたことを考慮して、仕様に合わせて検知電極やシャッタの形状等の設計をするのが好ましい。
次に、検知電極やシャッタの傾きについて説明する。基準面に対する検知電極とシャッタの傾きは同じであることが望ましいが、違っていたとしても本発明の本質が失われることはない。検知電極の傾き(図7(a)で示す角度を参照)が小さくなる、すなわち被検物から見える検知電極の面積が増大するほど、その面積分をシャッタで開閉するためのシャッタの変位量が大きくなる傾向にある。よって、これに比例して大きな駆動力が必要となる。しかし、検知電極の傾きを小さくして図4の様な構成を実現しようとする場合、相対的に少ない検知電極とシャッタの組数で、所定の面積を検知電極とシャッタで占めることが可能となる。検知電極とシャッタの組数を少なくできれば、図4(b)などの状態において被検物から見える検知電極の面積を少なくできるので、被検物から見える検知電極の面積の増減幅を大きくできてセンサ出力を大きくできる。
他方、検知電極の傾きが大きくなる(言い換えれば、90度に近づく)、すなわち被検物から見える検知電極の面積が減少するほど、その面積分をシャッタで開閉するためのシャッタの変位量を小さくできる。よって、これに比例して駆動力は小さく済む。駆動力として静電力などを利用する場合は、その駆動源自体がノイズ源となる可能性があるので、駆動力が小さくて済めば、それだけノイズを小さくすることも可能となる。従って、こうしたことを考慮して、仕様に合わせて検知電極とシャッタの傾きの設計をするのが好ましい。
続いて、検知電極とシャッタと駆動に関して説明する。シャッタは、通常、センサの基準電位(例えばGND(グランド)電位)で用いる。シャッタを第二の検知電極として用いる場合、第二の検知電極には変位が伴う場合が多い。従って、第二の検知電極とその近傍の何れかの部位とが寄生容量などを作っていれば、第二の検知電極が動くとき、それがノイズ信号として乗ってくる。しかし、このノイズ成分の値が予め分かっていれば、その分をトリミングすることで、例えば、センサのゼロ電位補正などは可能となる。
また、ノイズ成分の値が不定の場合は、検知電極とシャッタよりなる第二の検知電極とを両方同じ分だけ動く様にすればよい。これによって、検知電極と第二の検知電極とに乗ってくるノイズが同じ大きさで、同相とできるので、差動増幅でノイズを除去することが可能となる。
(実施例4)
次に、本発明の電位測定装置の作製方法に係る実施例4を説明する。図9は本発明の電位測定装置の作製方法の実施例の工程を説明する断面図である。
次に、本発明の電位測定装置の作製方法に係る実施例4を説明する。図9は本発明の電位測定装置の作製方法の実施例の工程を説明する断面図である。
本実施例の作製方法では、図9(a)に示す様に、母材801にエッチングマスク層802を形成する。次に、図9(b)に示す様に、エッチングマスク層802をパターニングし、適当数の開口部803を形成する。そこで、図9(c)に示す様に、開口部803から露出した母材801を所定の角度でエッチングすることで、ギャップ804と所定の傾きを有する構造体805を形成する。ここで、所定の傾きを有する構造体805を、検知電極806及びシャッタ807として用いることが可能である。
この場合、母材801が導電性を有することで、そのままシャッタ807及び検知電極806として用いられる。母材801がシリコンを原料とするものであれば、砒素、ボロン、リンなどをドーピングして、導電性を得ることが可能である。母材801が導電性に乏しい、若しくは有さない場合は、表面を導電性の材料、例えば、金、白金、アルミニウム、銅、クロム、ニッケルなどの金属で被覆してやればよい。
ここにおいて、母材801を別途に加工して、例えば、図3に示す様なシャッタ、検知電極以外の部位を作製することができる。このとき、母材801が単結晶体であれば、梁を単結晶体で作製することが可能となる。単結晶体は機械的特性に優れる(例えば、Q値が高く、少ないエネルギーで大変位が得られる)ので、低エネルギーで駆動するセンサを作製することが可能となる。この別途の加工において、母材801の加工には、エッチング、サンドブラストなどを用いることができる。エッチングは、ガスを用いるもの、溶液を用いるものがあり、何れを利用しても構わない。
以上の説明では、主に半導体プロセス(所謂MEMSなど)を用いた作製方法を示したが、これに限らず、一般的な機械加工で作製した部材を組立てて本発明の電位測定装置を作製することは可能である。
本発明の電位測定装置では、検知電極とシャッタとを同一面上に容易に配することができるので、上記の如き作製方法を用いて容易に高精度に構成を作製できる。
(実施例5)
図10は、本発明の電位測定装置が組み込まれた画像形成装置の模式的な構成の一例を示す図である。この画像形成装置は、本発明の電位測定装置701、帯電器704、信号処理装置702、高電圧発生器703、露光装置705、トナー供給系706、被転写物送りローラー709、感光ドラム707を含み、被転写物708上に画像を形成する。感光ドラム707は、本発明の電位測定装置において被検物とするものの一例である。ここにおいて、画像情報に従って変調される光ビームを走査して感光ドラム707に照射するための露光装置705中には、例えば、光走査を行うための光偏向装置が用いられる。
図10は、本発明の電位測定装置が組み込まれた画像形成装置の模式的な構成の一例を示す図である。この画像形成装置は、本発明の電位測定装置701、帯電器704、信号処理装置702、高電圧発生器703、露光装置705、トナー供給系706、被転写物送りローラー709、感光ドラム707を含み、被転写物708上に画像を形成する。感光ドラム707は、本発明の電位測定装置において被検物とするものの一例である。ここにおいて、画像情報に従って変調される光ビームを走査して感光ドラム707に照射するための露光装置705中には、例えば、光走査を行うための光偏向装置が用いられる。
動作は次の様に行われる。(1)帯電器704でドラム707を帯電する。(2)露光装置705で帯電部を露光し、潜像を得る。(3)トナー供給系706で潜像にトナーを付着させ、トナー像を得る。(4)トナー像を被転写物708に転写する。(5)被転写物708上のトナーを溶融して、固着させる。これらの工程を経て被転写物708への画像形成が達成される。
この際、ドラム707の帯電状態を電位測定装置701で測定し、その結果を信号処理装置702で処理して、必要に応じて高電圧発生器703にフィードバックをかける。すなわち、本発明の電位測定装置と画像形成手段とを備える本実施例において、この電位測定装置より得られる被検物(感光ドラム707)の電位の情報を用いて、画像形成手段が、被検物(感光ドラム707)に対する画像形成の条件の調整を良好に行う。画像形成手段は、帯電器704、高電圧発生器703、露光装置705などを含む。このことにより、安定したドラム帯電を実現し、安定した良好な画像形成を実現できる。
このとき、本発明によれば、構成が簡単で、センサ出力を大きく取れ、S/N比の高い電位測定装置を得ることができるので、被検物(感光ドラム707)の電位を高精度に測定することが可能となる。そして、その高精度な電位情報により、感光ドラム707の電位を高精度に制御できて、感光ドラム707への帯電処理、現像処理等を高精度にでき、より高品位な画像形成が可能となる。
101、301、401、601、602、806、901・・・検知電極(第二の検知電極)
102、302、402、603、807、902・・・シャッタ
103、707・・・被検物(感光ドラム)
501・・・シャッタを兼ねる検知電極
502・・・検知電極を兼ねるシャッタ
701・・・電位測定装置
102、302、402、603、807、902・・・シャッタ
103、707・・・被検物(感光ドラム)
501・・・シャッタを兼ねる検知電極
502・・・検知電極を兼ねるシャッタ
701・・・電位測定装置
Claims (9)
- 検知電極と、被検物と前記検知電極との間に設けられるシャッタと、信号処理手段と、を有し、
前記検知電極と前記シャッタは基準面に対して75度以下の角度を成して設けられると共に、相対的に前記基準面に平行な方向に移動可能となっていることを特徴とする電位測定装置。 - 前記シャッタと前記検知電極が互いに平行に設けられ、かつ、前記基準面に対して傾斜して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電位測定装置。
- 前記検知電極と前記シャッタとの組み合わせを、複数含むことを特徴とする請求項1または2に記載の電位測定装置。
- 前記検知電極が、第二のシャッタを兼ねる様に構成され、前記シャッタが第二の検知電極を兼ねるように構成されることを特徴とする請求項1、2または3に記載の電位測定装置。
- 前記第二のシャッタを兼ねる検知電極の面積の増減の周期と、前記第二の検知電極を兼ねるシャッタの面積の増減の周期とが、位相が180度ずれた関係にあることを特徴とする請求項4に記載の電位測定装置。
- 前記第一の検知電極の面積の増減の周期と、前記第二の検知電極の面積の増減の周期とが、位相が180度ずれた関係にあることを特徴とする請求項1、2または3に記載の電位測定装置。
- 前記第二のシャッタを兼ねる検知電極または前記第一の検知電極、及び前記第二の検知電極を兼ねるシャッタまたは前記第二の検知電極より得られる電気信号を差動増幅することを特徴とする請求項5または6に記載の電位測定装置。
- 前記シャッタと前記検知電極の何れか一方若しくは両方が、前記基準面に平行な方向に移動することを特徴とする請求項1乃至7の何れか1つに記載の電位測定装置。
- 請求項1乃至8の何れか1つに記載の電位測定装置と画像形成手段を備え、前記電位測定装置より得られる前記被検物の電位の情報を用いて、前記画像形成手段が被検物に対する画像形成の条件の調整を行うことを特徴とする画像形成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006127827A JP2007298451A (ja) | 2006-05-01 | 2006-05-01 | 電位測定装置、電位測定装置を備える画像形成装置 |
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JP2006127827A Pending JP2007298451A (ja) | 2006-05-01 | 2006-05-01 | 電位測定装置、電位測定装置を備える画像形成装置 |
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2006
- 2006-05-01 JP JP2006127827A patent/JP2007298451A/ja active Pending
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