JP2007280549A - 光ピックアップ及び光ディスク装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 異なる3波長に対応した共通の対物レンズを用い、ワーキングディスタンスを確保するとともに光量低下を防止でき、良好な記録及び/又は再生を実現する。
【解決手段】 第1の波長の光ビームを出射する第1の出射部と、第2の波長の光ビームを出射する第2の出射部と、第3の波長の光ビームを出射する第3の出射部と、第1乃至第3の出射部から出射された第1乃至第3の波長の光ビームを光ディスクの信号記録面に集光する対物レンズ33と、第1の出射部から出射された第1の波長の光ビームの光路と、第2及び第3の出射部から出射された第2及び第3の波長の光ビームの光路とを合成する光路合成手段34と、第2及び第3の波長の光ビームの光路上に設けられる収差補正手段35とを備える。
【選択図】 図2
【解決手段】 第1の波長の光ビームを出射する第1の出射部と、第2の波長の光ビームを出射する第2の出射部と、第3の波長の光ビームを出射する第3の出射部と、第1乃至第3の出射部から出射された第1乃至第3の波長の光ビームを光ディスクの信号記録面に集光する対物レンズ33と、第1の出射部から出射された第1の波長の光ビームの光路と、第2及び第3の出射部から出射された第2及び第3の波長の光ビームの光路とを合成する光路合成手段34と、第2及び第3の波長の光ビームの光路上に設けられる収差補正手段35とを備える。
【選択図】 図2
Description
本発明は、3種類の異なるディスク状記録媒体に対して、1つの対物レンズを用いて情報信号の記録再生を可能とする光ピックアップ及びこれを用いた光ディスク装置に関する。
従来、次世代光ディスクフォーマットとして、青紫色半導体レーザによる波長405nm程度の光ビームを用いて信号の記録再生を行う高密度記録が可能な光ディスク(以下、高密度記録光ディスク)が提案されている。この高密度記録光ディスクは、信号記録層を保護する保護基板層の厚さを薄く、例えば0.1mmとした構造のものが提案されている。
これらの高密度記録光ディスクに対応する光ピックアップを提供するに際して、従来の使用波長が785nm付近であり、保護基板層の厚さが1.2mm程度であるCD(Compact Disc)、使用波長が660nm付近であり、保護基板層の厚さが0.6mm程度であるDVD(Digital Versatile Disc)等のフォーマットの異なる光ディスクとの互換性を有するものが望まれる。このように、ディスク構造及びこれに伴うレーザ仕様が異なるフォーマットの光ディスク間の互換性を有する光ピックアップ及び光ディスク装置が必要とされる。
従来、異なるフォーマットとされた3種類の光ディスクに対して、情報信号の記録又は再生を実現する方法として、複数の光学系を設け、それぞれの対物レンズを使用波長毎に切り換える方式の光ピックアップがある。
しかし、複数種類の光学系を備えることは、複数種類の対物レンズの切換機構が必要であり、また、アクチュエータを含めた部品が複数種類必要となり、装置全体の小型化を妨げ、構成を複雑化する原因となっていた。
一方、構成を簡素化するために、各波長の光路及び光学部品を共通とする方式の光ピックアップが考えられるが、これを実現するためには、各波長の光路を共通とし、各波長の光ビーム及び各ディスク厚において収差が発生しないような共通の一の対物レンズを備える必要がある。
かかる光ピックアップにおいて、使用波長が大きく、保護基板層の厚さが大きなCD等の光ディスクのためのワーキングディスタンスを最低でも0.3mm以上を確保すると、使用波長が小さく、保護基板層の厚さが小さな高密度記録光ディスクのための口径が4mm程度まで大きくなり、対物レンズが大きく、重くなってしまい、追随性が低下するとともに、口径の大型化にともなう他の光学部品の大型化により装置全体が大型化してしまう等の問題があった。
この問題を回避するために、CD、DVD等に対する光ビームを光学素子により発散状態にして対物レンズに入射することも考えられるが、この光学素子の回折効率、透過率による光量低下の問題により、異なる3波長を用いる光ディスクに対して良好な記録再生を実現することは極めて困難であった。
本発明の目的は、異なる3波長に対応した共通の対物レンズを用い、ワーキングディスタンスを確保するとともに光量低下を防止でき、良好な記録及び/又は再生を実現する光ピックアップ及び光ディスク装置を提供することにある。
本発明に係る光ピックアップは、第1の波長の光ビームを出射する第1の出射部と、第2の波長の光ビームを出射する第2の出射部と、第3の波長の光ビームを出射する第3の出射部と、上記第1乃至第3の出射部から出射された第1乃至第3の波長の光ビームを光ディスクの信号記録面に集光する対物レンズと、上記第1の出射部から出射された第1の波長の光ビームの光路と、上記第2及び第3の出射部から出射された第2及び第3の波長の光ビームの光路とを合成する光路合成手段と、上記第2及び第3の波長の光ビームの光路上に設けられる収差補正手段とを備える。
本発明に係る光ディスク装置は、記録面を保護する保護基板厚の異なる複数の光ディスクに対して情報を記録及び/又は再生する光ピックアップと、上記光ディスクを回転駆動するディスク回転駆動手段とを備える光ディスク装置において、上記光ピックアップは、第1の波長の光ビームを出射する第1の出射部と、第2の波長の光ビームを出射する第2の出射部と、第3の波長の光ビームを出射する第3の出射部と、上記第1乃至第3の出射部から出射された第1乃至第3の波長の光ビームを光ディスクの信号記録面に集光する対物レンズと、上記第1の出射部から出射された第1の波長の光ビームの光路と、上記第2及び第3の出射部から出射された第2及び第3の波長の光ビームの光路とを合成する光路合成手段と、上記第2及び第3の波長の光ビームの光路上に設けられる収差補正手段とを備える。
本発明に係る光ピックアップ及び光ディスク装置は、異なる3波長に対応した共通の対物レンズを用い、ワーキングディスタンスを確保するとともに光量低下を防止でき、使用波長が異なる3波長である複数種類の光ディスクに対して、良好な記録及び/又は再生を実現する。
以下、本発明を適用した光ピックアップを用いた光ディスク装置について、図面を参照して説明する。
本発明が適用された光ディスク装置1は、図1に示すように、光ディスク2から情報記録再生を行う光ピックアップ3と、光ディスク2を回転操作する回転駆動手段としてのスピンドルモータ4と、光ピックアップ3を光ディスク2の径方向に移動させる送りモータ5とを備えている。この光ディスク装置1は、フォーマットの異なる3種類の光ディスク及び記録層が積層化された光ディスクに対して情報の記録及び/又は再生を行うことができる3規格間互換性を実現した光ディスク装置である。
ここで用いられる光ディスクは、例えば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、情報の追記が可能とされるCD−R(Recordable)及びDVD−R(Recordable)、情報の書換えが可能とされるCD−RW(ReWritable)、DVD−RW(ReWritable)、DVD+RW(ReWritable)等の光ディスクや、さらに発光波長が短い405nm程度(青紫色)の半導体レーザを用いた高密度記録が可能な高密度記録光ディスクや、光磁気ディスク等である。
特に、以下で光ディスク装置1により情報の再生又は記録を行う3種類の光ディスク2として、保護基板厚が0.1mmで波長405nm程度の光ビームを記録再生光として使用する高密度記録が可能な第1の光ディスク11と、保護基板厚が0.6mmで波長660nm程度の光ビームを記録再生光として使用するDVD等の第2の光ディスク12と、保護基板厚が1.2mmで波長785nm程度の光ビームを記録再生光として使用するCD等の第3の光ディスク13とを用いるものとして説明する。
光ディスク装置1において、スピンドルモータ4及び送りモータ5は、ディスク種類判別手段ともなるシステムコントローラ7からの指令に基づいて制御されるサーボ制御部9によりディスク種類に応じて駆動制御されており、例えば、第1の光ディスク11、第2の光ディスク12、第3の光ディスク13に応じて所定の回転数で駆動される。
光ピックアップ3は、3波長互換光学系を有する光ピックアップであり、規格の異なる光ディスクの記録層に対して異なる波長の光ビームを照射するとともに、この光ビームの記録層における反射光を検出する。光ピックアップ3は、検出した反射光から各光ビームに対応する信号をプリアンプ部14に供給する。
プリアンプ部14の出力は、信号変復調器及びエラー訂正符号ブロック(以下、信号変復調&ECCブロックと記す。)15に送られる。この信号変復調及びECCブロック15は、信号の変調、復調及びECC(エラー訂正符号)の付加を行う。光ピックアップ3は、信号変復調及びECCブロック15の指令にしたがって回転する光ディスク2の記録層に対して光ビームを照射し、光ディスク2に対して信号の記録又は再生を行う。
プリアンプ部14は、フォーマット毎に異なって検出される光ビームに対応する信号に基づいて、フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号、RF信号等を生成するように構成されている。記録又は再生の対象媒体とされる光ディスク2の種類に応じて、サーボ制御部9、信号変復調及びECCブロック15等により、光ディスク2の規格に基づく復調及び誤り訂正処理等の所定の処理が行われる。
ここで例えば、信号変復調&ECCブロック15により復調された記録信号がコンピュータのデータストレージ用であれば、インターフェイス16を介して外部コンピュータ17に送出される。これにより、外部コンピュータ17は、光ディスク2に記録された信号を再生信号として受け取ることができる。
また、信号変復調&ECCブロック15により復調された記録信号がオーディオビジュアル用であれば、D/A及びA/D変換器18のD/A変換部でデジタルアナログ変換され、オーディオビジュアル処理部19に供給される。そしてオーディオビジュアル処理部19でオーディオビジュアル処理が行われ、オーディオビジュアル信号入出力部20を介して、図示しない外部の撮像映写機器等に伝送される。
光ピックアップ3において、例えば、光ディスク2上の所定の記録トラックまで移動させるための送りモータ5の制御、スピンドルモータ4の制御、及び光ピックアップ3において光集光手段となる対物レンズを保持する2軸アクチュエータのフォーカス方向の駆動とトラッキング方向の駆動制御は、それぞれサーボ制御部9により行われる。
レーザ制御部21は、光ピックアップ3のレーザ光源を制御する。特に、この具体例では、レーザ制御部21は、記録モード時と再生モード時とでレーザ光源の出力パワーを異ならせる制御を行っている。また、光ディスク2の種類に応じてもレーザ光源の出力パワーを異ならせる制御を行っている。レーザ制御部21は、ディスク種類判別部22によって検出された光ディスク2の種類に応じて光ピックアップ3のレーザ光源を切り換えている。
ディスク種類判別部22は、第1〜第3の光ディスク11,12,13の間の表面反射率、形状的及び外形的な違い等から光ディスク2の異なるフォーマットを検出することができる。
光ディスク装置1を構成する各ブロックは、ディスク種類判別部22における検出結果に応じて、装着される光ディスク2の仕様に基づく信号処理ができるように構成されている。
システムコントローラ7は、ディスク種類判別部22から送られる検出結果に基づいて光ディスク2の種類を判別する。光ディスクの種類を判別する手法としては、光ディスクがカートリッジに収納されるタイプであれば、このカートリッジに検出穴を設けて接触検出センサ又は押下スイッチを用いて検出する手法があげられる。また、同一光ディスクにおける記録層の判別には、光ディスク最内周にあるプリマスタードピットやグルーブ等に記録された目録情報(Table Of Contents;TOC)による情報に基づいて、どの記録層に対する記録再生かを判別する手法が使用できる。
サーボ制御部9は、例えば光ピックアップ3と光ディスク2との相対位置を検出する(光ディスク2に記録されたアドレス信号をもとに位置検出する場合を含む)ことによって、記録及び/又は再生する記録領域を判別できる。
以上のように構成された光ディスク装置1は、スピンドルモータ4によって、光ディスク2を回転操作し、サーボ制御部9からの制御信号に応じて送りモータ5を駆動制御し、光ピックアップ3を光ディスク2の所望の記録トラックに対応する位置に移動することで、光ディスク2に対して情報の記録再生を行う。
ここで、上述した記録再生用光ピックアップ3について詳しく説明する。
本発明を適用した光ピックアップ3は、図2に示すように、第1の波長の光ビームを出射する第1の出射部を有する第1の光源部31と、第2の波長の光ビームを出射する第2の出射部と、第3の波長の光ビームを出射する第3の出射部とを有する第2の光源部32と、この第1乃至第3の出射部から出射された光ビームを光ディスク2の信号記録面上に集光する対物レンズ33と、第1の出射部から出射された第1の波長の光ビームの光路と、第2及び第3の出射部から出射された第2及び第3の波長の光ビームの光路とを合成する光路合成手段34と、第2及び第3の波長の光ビームの光路上に設けられる収差補正手段35とを備える。
第1の光源部31は、第1の光ディスク11に対して波長405nm程度の第1の波長の光ビームを出射する第1の出射部を有する。第2の光源部31は、第2の光ディスク12に対して波長660nm程度の第2の波長の光ビームを出射する第2の出射部と、第3の光ディスク13に対して波長785nm程度の第3の波長の光ビームを出射する第3の出射部を有する。尚、ここでは、第2及び第3の出射部を同一の光源部に配置するように構成したが、それぞれ異なる位置に配置してビームスプリッタ等により光路を合成するように構成してもよい。
光路合成手段34は、波長依存性を有するビームスプリッタ等の光学素子からなり、第1の出射部から出射された第1の波長の光ビームの光路と、第2及び第3の出射部から出射された第2及び第3の波長の光ビームの光路とを合成して対物レンズ33側に導くとともに、対物レンズ33により集光され信号記録面で反射された戻りの光ビーム、すなわち各波長の復路の光ビームの光路を、各波長の往路の光ビームとの光路と同一となるように光路を分離して出射させる。
すなわち、光路合成手段34は、第1の波長の光ビームを反射させ、第2及び第3の波長の光ビームを透過させる波長依存性を有する光学薄膜が形成された分離面34aを有し、この分離面34aにより第1乃至第3の波長の光ビームの往路光の光路を合成するとともに、光ディスク2で反射されて入射された復路の第1の波長の光ビームを往路の第1の波長の光ビームが入射する方向と反対方向に向けて出射させ、光ディスクで反射されて入射された復路の第2及び第3の波長の光ビームを往路の第2及び第3の波長の光ビームが入射する方向と反対方向に向けて出射させる。
尚、第2及び第3の波長の光ビームは、その往路光が対物レンズ33の光軸方向であるフォーカス方向から光路合成手段34に入射して、その復路光がフォーカス方向であって反対方向に光路合成手段34から出射される。一方、第1の波長の光ビームは、その往路光がフォーカス方向に直交する方向から光路合成手段34に入射して、その復路光が上述した直交する方向であって反対方向に光路合成手段34から出射される。
また、光ピックアップ3は、光ディスク2の信号記録面で反射された復路側の第1の波長の光ビームの光路を往路側の第1の波長の光ビームの光路から分岐させる第1の偏光ビームスプリッタ41と、第1の偏光ビームスプリッタ41により分岐された第1の波長の戻りの光ビームを受光して検出する第1の光検出器42とを備える。
第1の光源部31と第1の偏光ビームスプリッタ41との間には、第1の光源部31から出射された第1の波長の光ビームの発散角を変換して略平行光とする第1のコリメータレンズ44と、第1のコリメータレンズにより略平行光とされた第1の波長の光ビームの光軸方向の断面形状を一方向に拡大するビーム変形光学素子としてアナモフィックプリズム45とが設けられる。
また、第1の偏光ビームスプリッタ41と光路合成手段34との間には、通過する光ビームに1/4波長の位相差を与える第1の1/4波長板46と、第1の1/4波長板46を出射された光ビームを反射して光路を変更して光路合成手段34に導くミラー47とが設けられる。
また、第1の偏光ビームスプリッタ41と第1の光検出器42との間には、第1の偏光ビームスプリッタ41に光路分岐された戻りの第1の波長の光ビームを第1の光検出器42の受光面上に集束させる第1の集光レンズ48と、フォースエラー信号を得るための非点収差を発生させる第1のマルチレンズ49とが設けられる。
アナモフィックプリズム45は、第1のコリメータレンズ44に略平行光とされた断面円形状の光ビームの一方向の径を拡大して、すなわち、断面楕円形状となるように変形して出射させる。すなわち、アナモフィックプリズム45は、光路合成手段34の手前に配置される開口制限手段37に入射する光ビームの断面形状をフォーカス方向に長径が向けられた楕円形状とするようにビーム整形するビーム整形手段として機能する。開口制限手段37は、ミラー47と光路合成手段34との間に配置され、通過する光ビームの開口数を光ディスク2のフォーマットに適応させるための開口制限を行うものであり、例えば第1の波長の光ビームの開口数NAを0.85となるように開口制限を行う。そして、このアナモフィックプリズム45及び開口制限手段37は、対物レンズ33及び光路合成手段34が後述するようにフォーカス方向に変位された際にも、光路合成手段34及び対物レンズ33に導かれる第1の波長の光ビームの光量及びスポット形状を一定とすることができる。すなわち、アナモフィックプリズム45により第1の波長の光ビームの断面形状がフォーカス方向に長径が向けられた楕円形状とされ、後述するように光路合成手段34とともにフォーカス方向に変位される開口制限手段37によりこの楕円形状とされた光ビームの所望の部分を光路合成手段34側に導くことで、常に光量及びスポット形状を一定とすることができる。
第1の偏光ビームスプリッタ41は、例えば、P偏光状態とされた光ビームを透過させ、S偏光状態とされた光ビームを反射させるような偏光特性を有する光学薄膜が形成された分離面41aを有する。第1の偏光ビームスプリッタ41は、第1の波長の光ビームの往路光のP偏光成分を透過して第1の1/4波長板46側に導くとともに、後述するようなS偏光状態とされた第1の波長の光ビームの復路光を反射して第1の集光レンズ48側に導く。
第1の1/4波長板46は、第1の偏光ビームスプリッタ41を透過したP偏光状態の第1の波長の光ビームに1/4波長の位相差を付加して円偏光状態としてミラー47側に出射するとともに、光ディスク2の信号記録面で反射され、対物レンズ33、光路合成手段34、ミラー47を介して導かれた第1の波長の戻りの光ビームに1/4波長の位相差を付加してS偏光状態として第1の偏光ビームスプリッタ41側に出射する。
上述のような、第1の光源部31、第1のコリメータレンズ44、アナモフィックプリズム45、第1の偏光ビームスプリッタ41、第1の1/4波長板46、ミラー47、第1の集光レンズ48、第1のマルチレンズ49及び第1の光検出器42は、第1の波長の光ビームを光路合成手段34まで導くとともに信号記録面からの戻り光を光検出器まで導く第1の光学系40を構成する。
さらに、光ピックアップ3は、光ディスク2の信号記録面で反射された復路側の第2及び第3の波長の光ビームの光路を往路側の第2及び第3の波長の光ビームの光路から分岐させる第2の偏光ビームスプリッタ51と、第2の偏光ビームスプリッタ51により分岐された第2及び第3の波長の戻りの光ビームを受光して検出する第2の光検出器52とを備える。
第2の光源部32と第2の偏光ビームスプリッタ51との間には、第2の光源部32から出射された第2及び第3の波長の光ビームの発散角を変換して略平行光とする第2のコリメータレンズ54が設けられる。
また、第2の偏光ビームスプリッタ51と光路合成手段34との間には、通過する光ビームに1/4波長の位相差を与える第2の1/4波長板56が設けられる。
また、第2の偏光ビームスプリッタ51と第2の光検出器52との間には、第2の偏光ビームスプリッタ51に光路分岐された戻りの第2及び第3の波長の光ビームを第2の光検出器52の受光面上に集束させる第2の集光レンズ58と、フォーカスエラー信号を得るための非点収差を発生させる第2のマルチレンズ59とが設けられている。
第2の偏光ビームスプリッタ51は、例えば、P偏光状態とされた光ビームを透過させ、S偏光状態とされた光ビームを反射させるような偏光特性を有する光学薄膜が形成された分離面51aを有する。第2の偏光ビームスプリッタ51は、第2及び第3の波長の光ビームの往路光のP偏光成分を透過して第2の1/4波長板56に導くとともに、後述するようなS偏光状態とされた第2及び第3の波長の光ビームの復路光を反射して第2の集光レンズ58側に導く。
第2の1/4波長板56は、第2の偏光ビームスプリッタ51を透過してP偏光状態の第2及び第3の波長の光ビームに1/4波長の位相差を付加して円偏光状態として収差補正手段35側に出射するとともに、光ディスク2の信号記録面で反射され、対物レンズ33、光路合成手段34、収差補正手段35を介して導かれた第2及び第3の波長の戻りの光ビームに1/4波長の位相差を付加してS偏光状態として第2の偏光ビームスプリッタ51側に出射する。
上述のような、第2の光源部32、第2のコリメータレンズ54、第2の偏光ビームスプリッタ51、第2の1/4は長板56、第2の集光レンズ58、第2のマルチレンズ59及び第2の光検出器52は、第2及び第3の波長の光ビームを光路合成手段34及び光路合成手段34の手前に設けられた収差補正手段35まで導くとともに信号記録面からの戻り光を光検出器まで導く第2の光学系50を構成する。
対物レンズ33は、入射した第1乃至第3の波長の光ビームを光ディスク2の信号記録面上に集光させる。この対物レンズ33は、図3に示すように、駆動手段である2軸アクチュエータ36等によって移動自在に保持されている。そして、この対物レンズ33は、第1又は第2の光検出器42,52で検出された光ディスク2からの戻り光を検出することにより生成されたトラッキングエラー信号及びフォーカスエラー信号に基づいて、2軸アクチュエータ36等により移動操作されることにより、光ディスク2に近接離間するフォーカス方向F及び光ディスク2の径方向Tの2軸方向へ移動される。対物レンズ33は、第1乃至第3の出射部から出射される光ビームが光ディスク2の信号記録面上で常に焦点が合うように、この光ビームを集束するとともに、この集束された光ビームを光ディスク2の信号記録面上に形成された記録トラックに追従させる。尚、この駆動手段である2軸アクチュエータ36には、光路合成手段34、収差補正手段35及び開口制限手段37が配置されており、この光路合成手段34、収差補正手段35及び開口制限手段37は、対物レンズ33とともに移動操作される。
また、対物レンズ33は、第1の波長の光ビームに対して収差を発生しないように構成とされており、往路光の入射側の第1の面S1、光ディスク側の第2の面S2とからなり、この第1及び第2の面S1,S2は、非球面形状に形成されており、この非球面形状は、次式により表されるものである。尚、次式(1)において、riは、曲率半径を示すものであり、xは、光軸からの距離を示すものであり、Ai〜Jiは、非球面係数を示すものであり、Ziは、光軸からの距離がhとされる位置における基準となる光軸に直交する平面からの光軸方向の距離を示すものである。
対物レンズ33は、平行光で入射された第1の波長の光ビームを第1の光ディスク11の信号記録面上に集光するように構成されている。この対物レンズ33は、後述のように所定の発散角とされて入射された第2の波長の光ビームを第2の光ディスク12の信号記録面上に集光し、また、後述のように所定の発散角とされて入射された第3の波長の光ビームを第3の光ディスク13の信号記録面上に集光する。
収差補正手段35は、第2の1/4波長板56と光路合成手段34との間に設けられ、往路の第2及び第3の波長の光ビームの入射側に回折部としてのホログラム部35aが設けられた凹レンズである。すなわち、収差補正手段35は、一方側である対物レンズ33側に形成される非球面凹レンズ面35bと、他方側に形成される平坦面に設けられるホログラム部35aとを有する。収差補正手段35は、例えば、ZEONEX(登録商標)等のアクリル系の樹脂により形成されているが、その他のプラスチック、ガラスモールドにより形成されてもよい。
尚、ここでは、収差補正手段35は、一方の面に非球面凹レンズ面35bが形成され、他方の面にホログラム部35aが形成されることで、一体に成型されるように構成したが、他方の平坦面にホログラム素子を貼り合わせることで形成するように構成してもよく、非球面凹レンズと、ホログラム素子とを別々に形成するように構成してもよい。
また、収差補正手段35の入射側には、通過する光ビームの開口数を光ディスク2のフォーマットに適応させるための開口制限を行う図示しない開口制限手段が設けられている。例えば、この開口制限手段は、第2の波長の光ビームの開口数を0.6、第3の波長の光ビームの開口数を0.45にする。
収差補正手段35の入射側のホログラム部35aは、図4に示すような断面形状を有し、図5に示すように、平行光で入射された第2の波長の光ビームB2を略全量透過させ、平行光で入射された第3の波長の光ビームB3の大部分を所望の発散角で回折させる。
また、収差補正手段35の出射側の非球面凹レンズ面35bは、図5に示すように、ホログラム部35aを透過された平行光の状態の第2の波長の光ビームB2を屈折させて所望の発散角を有する光ビームとして出射させ、ホログラム部35aで回折され発散状態の第3の波長の光ビームB3を屈折させて所望の発散角を有する光ビームとして出射させる。尚、非球面凹レンズ面35bは、非球面形状に形成されており、この非球面形状は、上述した式(1)により表されるものである。
収差補正手段35は、第2及び第3の波長の光ビームB2,B3をそれぞれ所望の発散角を有する光ビームとして出射させることで、上述のように第1の波長の光ビームに対して収差が発生しないように構成された対物レンズ33により、発生する第2及び第3の波長の光ビームの収差を補正する。すなわち、非球面凹レンズ面35bは、第2の波長の光ビームに、対物レンズ33で発生する収差を打ち消す収差を与えて、対物レンズ33に入射させることにより、光ディスク2の信号記録面に発生する収差をゼロとなるようにすることができる。また、ホログラム部35a及び非球面凹レンズ面35bは、第3の波長の光ビームに、対物レンズ33で発生する収差を打ち消す収差を与えて、対物レンズ33に入射させることにより、光ディスク2の信号記録面に発生する収差をゼロとなるようにすることができる。
ここで、ホログラム部35aの構成について説明する。回折部としてのホログラム部35aは、その形状が、所定の段数及び所定の位相深さの輪帯状の段部を有する階段状とされている。
例えば、回折部となるホログラム部35aは、図4に示すように、所定のステップ数4の階段状とされており、第1乃至第3の段部S1,S2,S3を有する階段状のホログラムが形成され、さらに換言すると、輪帯状の第1乃至第4の光学面f1,f2,f3,f4が連続的に形成された階段状のホログラムが形成されている。
ホログラム部35aの隣接する各光学面f1,f2,f3,f4は、略同一間隔とされており、すなわち各段部S1,S2,S3の段差は、第2の波長の光ビームB2を透過させるとともに、第3の波長の光ビームB3を対物レンズ33で第3の光ディスク13に集光される際に収差が発生しないような発散角となるように回折する間隔、段差で形成されている。ここでは、各光学面の段差dは、略等しく形成されている。また、1周期内の各光学面f1,f2,f3,f4の半径方向の幅を略等しく形成されている。第1乃至第4の光学面の半径方向の幅の合計であるピッチPiは、所定の大きさで形成される。
尚、ここでは、第1乃至第3の段部及び輪帯状の第1乃至第4の光学面からなるステップ数4の階段状のホログラムが形成されるように構成したが、ステップ数はこれに限られるものではない。また、上述では、各段部の各段差及び1周期内の各光学面の幅は、等しいものとして説明したが、これに限られるものではない。
また、このように形成されたホログラム部35aによる光路差は、次式(2)によって表される。尚、式(2)において、C1〜C5は、ホログラム係数を示すものであり、hは、光軸からの距離を示すものであり、P(h)は、光軸からの距離がhとされる位置における光路差を示すものである。
以上のように構成されたホログラム部35aは、上述のような複数の輪帯からなる回折構造が形成されることにより、第2の波長の光ビームを略全量(約100%)透過させるとともに、第3の波長の光ビームをその大部分を適切な発散角(回折率70%程度以上)で回折させることで、この第2の波長の光ビームの透過光及び第3の波長の光ビームの回折光を非球面凹レンズ面35b,対物レンズ33を介して第2及び第3の光ディスク12,13の信号記録面12a,13aに収差を発生させることなく集光することができる。
すなわち、収差補正手段35は、非球面凹レンズ面35bを第2の波長の光ビームを所望の発散角とするように形成し、この非球面凹レンズ面35bを通過することにより発散角が変換される第3の波長の光ビームを所望の発散角となるように第3の波長の光ビームを回折するとともに、第2の波長の光ビームを透過するようにホログラム部35bを形成することで、対物レンズ33に入射する第2及び第3の波長の光ビームの発散角を収差を発生させることのない所望の発散角とすることを可能とする。
このように、収差補正手段35は、上述のように第1の波長の光ビームに対して収差が発生しないように構成された対物レンズ33により、発生する第2及び第3の波長の光ビームの収差を補正する。すなわち、収差補正手段35は、第2及び第3の波長の光ビームに対物レンズ33で発生する収差を打ち消す収差を与えて、対物レンズ33に入射させることにより、光ディスク2の信号記録面に発生する収差をゼロとなるようにすることができる。
第1の光検出器42は、第1の波長の光ビームの戻り光を受光するフォトディテクタを有し、情報信号とともにトラッキングエラー信号及びフォーカスエラー信号等の各種信号を検出することができる。
第2の光検出器52は、第2及び第3の波長の光ビームの戻り光を受光するフォトディテクタを有し、情報信号とともにトラッキングエラー信号及びフォーカスエラー信号等の各種信号を検出することができる。
以上のように構成された光ピックアップ3は、第1又は第2の光検出器42,52によって検出されたフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号に基づいて、2軸アクチュエータ36を駆動して対物レンズ33を変位させることによって、光ディスク2の信号記録面に対して対物レンズ33が合焦されて、光ディスク2に対して情報の記録又は再生が行われる。
光ピックアップ3は、第1の波長の光ビームに対して収差を発生しないように構成される対物レンズ33を有し、この対物レンズ33に入射させる第2及び第3の波長の光ビームの収差を、この光路上に設けられた収差補正手段35により補正することにより、複数種類の光ディスク11,12,13に対して信号の読み取り及び書き込みを可能とする。
また、光ピックアップ3は、保護基板層の厚さが大きな第3の光ディスク13に対する第3の波長の光ビームを発散状態で対物レンズ33に入射させる構成により、この第3の光ディスク13に対してワーキングディスタンスを確保した状態で、保護基板層の厚さが小さな第1の光ディスク11に対する第1の波長の光ビームの径が大きくなることを防止でき、装置の大型化を防止できる。
さらに、光ピックアップ3は、第2及び第3の波長の光ビームの光路上に配置された収差補正手段35により、第2及び第3の波長の光ビームの発散角を所定の状態として共通の対物レンズ33に入射させる構成であることから、第1乃至第3の波長の光ビームの光量低下を防止し、光利用効率を高めることが可能となる。
よって、本発明を適用した光ピックアップ3は、異なる3波長に対応した共通の対物レンズ33を用い、ワーキングディスタンスを確保するとともに光量低下を防止でき、使用波長が異なる3波長である複数種類の光ディスクに対して、良好な記録及び/又は再生を実現する。
したがって、本発明を適用した光ピックアップ3は、第2及び第3の波長の光ビームの光路上に設けられた収差補正手段35により収差を補正することで、第1及び第2の光源部31,32に設けられた複数の出射部から出射される異なる波長の光ビームを用いて、複数種類の光ディスク11,12,13に対して信号の読み取り及び書き込みを可能とするとともに、対物レンズ33及びこの駆動手段を共通化することができるので、構成の簡素化及び小型化を可能とし、高生産性、量産化、低コスト化を実現する。
また、光ピックアップ3は、上述したように対物レンズ33を駆動する駆動手段である2軸アクチュエータ36に収差補正手段35も配置されていることから、第2及び第3の波長の光ビームを用いた場合の収差を対物レンズ33のフォーカス方向Fの変位に拘わらず常に良好に補正することが可能となる。さらに、光ピックアップ3は、かかる駆動手段である2軸アクチュエータ36に設けられた光路合成手段34にフォーカス方向Fに直交する方向から入射される第1の波長の光ビームの光路上にアナモフィックプリズム45が設けられていることから、対物レンズ33とともに変位される光路合成手段34のフォーカス方向Fの位置に拘わらず、対物レンズ33に集光される第1の波長の光ビームのスポット形状及び光量が変化してしまうことを防止できる。すなわち、光ピックアップ3は、対物レンズ33及び光路合成手段34がフォーカス方向Fに変位したときにも、光路合成手段34の手前に配置された開口制限手段37により、フォーカス方向Fに長径が向けられた楕円形状とされた第1の波長の光ビームを略一定のスポット形状及び光量で光路合成手段34及び対物レンズ33に導くことができる。
次に、上述のように構成された光ピックアップ3における、第1及び第2の光源部31,32から出射された光ビームの光路について、図2を用いて説明する。まず、第1の光ディスク11に対して第1の波長の光ビームを出射させて情報の読み取り又は書き込みを行うときの光路について説明する。
光ディスク2の種類が第1の光ディスク11であることを判別したディスク種類判別部22は、第1の光源部31の第1の出射部から第1の波長の光ビームを出射させる。
第1の光源部31から出射された第1の波長の光ビームは、第1のコリメータレンズ44により発散角を変換されて略平行光とされ、アナモフィックプリズム45により一方向の径を拡大するように変形されて、すなわち、ビーム形状を楕円形状とされ、第1の偏光ビームスプリッタ41に入射される。第1の偏光ビームスプリッタ41に入射された光ビームは、そのP偏光成分が分離面41aを透過して、第1の1/4波長板46に円偏光状態とされて、ミラー47で反射されてその長径がフォーカス方向Fに向けられた楕円形状で光路合成手段34側に導かれる。このとき、第1の波長の光ビームB1は、フォーカス方向Fに直交する方向から光路合成手段34に入射される。尚、図3においては、第1の波長の光ビームは、径方向Tから光路合成手段34に入射されるように構成されているが、これに限られるものではなく、フォーカス方向Fに直交する方向から光路合成手段34に入射されるように構成されていればよい。
ミラー47で反射された第1の波長の光ビームB1は、光路合成手段34の手前に設けられた開口制限手段37により開口制限され、光路合成手段34の分離面34aで反射されて、対物レンズ33側に出射される。このとき、光路合成手段34で反射された第1の波長の光ビームは、略平行光とされている。対物レンズ33に入射した第1の波長の光ビームは、対物レンズ33により、第1の光ディスク11の信号記録面11aに適切に集光される。
第1の光ディスク11に集光された光ビームは、信号記録面11aで反射し、対物レンズ33を通過して、光路合成手段34の分離面34aでミラー47側に反射される。
光路合成手段34によりミラー47側に導かれた第1の波長の戻りの光ビームは、ミラー47で反射され、第1の1/4波長板46でS偏光状態とされて第1の偏光ビームスプリッタ41に入射する。
第1の偏光ビームスプリッタ41に入射した第1の波長の戻りの光ビームは、分離面41aで反射されて、第1の集光レンズ48に発散角を変換され、第1のマルチレンズ49でフォーカスサーボのための非点収差を付加されて第1の光検出器42のフォトディテクタ上に集束されて検出される。
次に、第2の光ディスク12に対して第2の波長の光ビームを出射させて情報の読み取り又は書き込みを行うときの光路について説明する。
光ディスク2の種類が第2の光ディスク12であることを判別したディスク種類判別部22は、第2の光源部32の第2の出射部から第2の波長の光ビームを出射させる。
第2の光源部32から出射された第2の波長の光ビームは、第2のコリメータレンズ54により発散角を変換されて略平行光とされ、第2の偏光ビームスプリッタ51に入射される。第2の偏光ビームスプリッタ51に入射された光ビームは、そのP偏光成分が分離面51aを透過して、第2の1/4波長板56に円偏光状態とされて、収差補正手段35に入射される。このとき、第2の波長の光ビームB2は、フォーカス方向Fから光路合成手段34に入射される。
収差補正手段35に入射された第2の波長の光ビームB2は、その入射側に設けられたホログラム部35aを透過され、その出射側に設けられた非球面凹レンズ面35bで発散光とされて光路合成手段34の分離面34aを透過されて、対物レンズ33側に出射される。このとき、光路合成手段34を透過された第2の波長の光ビームは、対物レンズ33で信号記録面に集光される際に発生する収差をゼロとなるような所定の発散角を有する状態とされている。対物レンズ33に入射した第2の波長の光ビームは、対物レンズ33により、第2の光ディスク12の信号記録面12aに適切に集光される。
第2の光ディスク12に集光された光ビームは、信号記録面12aで反射し、対物レンズ33を通過して、光路合成手段34の分離面34aを透過され、収差補正手段35を通過して、第2の1/4波長板56側に導かれる。
第2の1/4波長板56に入射した第2の波長の戻りの光ビームは、S偏光状態とされて第2の偏光ビームスプリッタ51に入射する。第2の偏光ビームスプリッタ51に入射した第2の波長の戻りの光ビームは、分離面51aで反射されて、第2の集光レンズ58に発散角を変換され、第2のマルチレンズ59でフォーカスサーボのための非点収差を付加されて第2の光検出器52のフォトディテクタ上に集束されて検出される。
次に、第3の光ディスク13に対して第3の波長の光ビームを出射させて情報の読み取り又は書き込みを行うときの光路について説明する。
光ディスク2の種類が第3の光ディスク13であることを判別したディスク種類判別部22は、第2の光源部32の第3の出射部から第3の波長の光ビームを出射させる。
第2の光源部32から出射された第3の波長の光ビームは、第2のコリメータレンズ54により発散角を変換されて略平行光とされ、第2の偏光ビームスプリッタ51に入射される。第2の偏光ビームスプリッタ51に入射された光ビームは、そのP偏光成分が分離面51aを透過して、第2の1/4波長板56に円偏光状態とされて、収差補正手段35に入射される。このとき、第3の波長の光ビームB3は、フォーカス方向Fから光路合成手段34に入射される。
収差補正手段35に入射された第3の波長の光ビームB3は、その入射側に設けられたホログラム部35aで回折され発散光とされ、さらにその出射側に設けられた非球面凹レンズ面35bで発散角を変換されて光路合成手段34の分離面34aを透過されて、対物レンズ33側に出射される。このとき、光路合成手段34を透過された第3の波長の光ビームは、対物レンズ33で信号記録面に集光される際に発生する収差をゼロとなるような所定の発散角を有する状態とされている。対物レンズ33に入射した第3の波長の光ビームは、対物レンズ33により、第3の光ディスク13の信号記録面13aに適切に集光される。
第3の光ディスク13の信号記録面13aで反射された光ビームの復路側の光路については、上述した第2の波長の光ビームの場合と同様であるので、説明を省略する。
本発明を適用した光ピックアップ3は、第1及び第2の光源部31,32と、第1の光源部31から出射される第1の波長の光ビームの光路と、第2の光源部32から出射される第2及び第3の波長の光ビームの光路とを合成して、共通の対物レンズ33に導く光路合成手段34と、第1の波長の光ビームに対して収差を発生しないように構成された対物レンズ33と、第2の光源部32と光路合成手段34との間に設けられ、すなわち、第2及び第3の波長の光ビームの光路上に設けられ、この第2及び第3の波長の光ビームの収差を補正する収差補正手段35とを設けるように構成したことにより、異なる3波長と、共通の対物レンズとを用いて、複数種類の光ディスクに対して情報信号の読み取り及び書き込みを可能とするとともに、ワーキングディスタンスを確保し、光量低下を防止することを実現し、再生のみならず記録への対応も可能となり、良好な記録・再生特性を実現する。
本発明を適用した光ピックアップ3は、ワーキングディスタンスを確保し、光量低下を防止しつつ、3波長互換を実現するとともに、対物レンズ及びこれを駆動する部品を共通化することができるので、構成の簡素化及び小型化を可能とし、高生産性、低コスト化を実現する。
また、本発明を適用した光ディスク装置は、上述した光ピックアップ3を備えることにより、異なる3波長に対応した共通の対物レンズを用い、ワーキングディスタンスを確保するとともに光量低下を防止でき、良好な記録及び/又は再生を実現することができ、さらに、構成の簡素化及び小型化を可能とし、高生産性、低コスト化を実現する。
以下に、本発明を適用した光ピックアップを構成する対物レンズ33及び収差補正手段35について、図6、図7及び表1〜3に数値データを挙げて、更に具体的に説明する。
「表1」は、図6に示すように、対物レンズ33の光路合成手段34側の第1の面S1及び光ディスク側の第2の面S2の非球面形状を示す非球面係数等であり、上述の式(1)における各条件を示すものである。
ここで、対物レンズ33の屈折率N2は、波長により異なり、第1の波長(405nm)に対する屈折率N21は、1.83664であり、第2の波長(660nm)に対する屈折率N22は、1.79597であり、第3の波長(785nm)に対する屈折率N23は、1.78899である。尚、対物レンズ33の光軸上の面間距離は、1.6mmであり、第1の波長の光ビームに対する開口径は、3.0mmである。
また、第1乃至第3の光ディスクの屈折率N3は、第1乃至第3の波長に対して同じ値であり、屈折率N3は、1.533である。
第1乃至第3の光ディスクの保護基板厚Tは、第1の光ディスクの保護基板厚T1は、0.1(mm)であり、第2の光ディスクの保護基板厚T2は、0.6(mm)であり、第3の光ディスクの保護基板厚T3は、1.2(mm)である。
また、「表2」は、収差補正手段35のホログラム部35aのホログラム係数であり、上述の式(2)における各条件を示すものである。「表3」は、収差補正手段35の非球面凹レンズ面35bの非球面形状を示す非球面係数等であり、上述の式(1)における各条件を示すものである。尚、ここでは、非球面凹レンズ面35bの場合の式(1)中のF〜Jは、0とする。
また、収差補正手段35のホログラム部は、上述の図4に示すように、ステップ数4の階段状に形成されており、各段差d=1.3μmで、段差の合計、すなわち第1の光学面f1と第4の光学面f4との間隔は、3.9μmとされている。また、最小ピッチは約20μmであり、十分な広さが確保できた。
このように構成された収差補正手段35を第2及び第3の波長の光ビームが通過したときの回折効率は、図7に示すとおりとなる。すなわち、図7に、階段の位相深さP(x)が変化したときの各回折次数の回折光の強度、すなわち回折光量を示す。図7中において、実線部L0は、0次回折光の位相深さに対する強度変化を示すものであり、一点鎖線部L11,L12は、それぞれ+1次回折光,−1次回折光の位相深さに対する強度変化を示すものであり、二点鎖線部L2は、±2次回折光の位相深さに対する強度変化を示すものである。
図7中において、破線部Lb2,Lb3は、第2及び第3の波長の光ビームの強度を求めるものである。すなわち、実深さd=1.3μmであるときの、第2の波長の光ビーム(660nm)では、位相深さ0.98λであり、破線部Lb2に示すように、0次光が100%透過され、第3の波長の光ビーム(785nm)では、位相深さが0.81λであり、破線部Lb3に示すように、1次光が71%以上回折される。したがって、異なる波長の光ビーム第2及び第3の波長の光ビームにおいて、非常に光の利用効率が良く記録・再生に十分な光量が得られる。
尚、上述の第2及び第3の波長の光ビームの位相深さは、次式(3)で算出される。式(3)において、dは、1段当たり(1ステップの)深さを示すものであり、上述のように1.3(μm)である。また、Nwは、ホログラム部35aの屈折率を示すものであり、第2の波長(660nm)の光ビームに対して1.497であり、第3の波長(785nm)の光ビームに対して1.487である。λは、入射する光ビームの波長を示すものである。
P=d×(Nw−1)/λ ・・・(3)
また、このような本実施例におけるワーキングディスタンスWDは、第1の光ディスク11に対するWD1は、0.74であり、第2の光ディスク12に対するWD2は、0.53であり、第3の光ディスク13に対するWD3は、0.41であることが実現される。このように、全ての光ディスクに対してワーキングディスタンスを0.3mm以上として一定量確保できることで、光ディスクの回転時の面振れや、光ディスク外周部に突起等が存在した場合にも、光ディスクと対物レンズとの衝突を防ぐことが可能となる。
また、このような本実施例におけるワーキングディスタンスWDは、第1の光ディスク11に対するWD1は、0.74であり、第2の光ディスク12に対するWD2は、0.53であり、第3の光ディスク13に対するWD3は、0.41であることが実現される。このように、全ての光ディスクに対してワーキングディスタンスを0.3mm以上として一定量確保できることで、光ディスクの回転時の面振れや、光ディスク外周部に突起等が存在した場合にも、光ディスクと対物レンズとの衝突を防ぐことが可能となる。
これは、第1の波長の光ビームを平行光の状態で対物レンズ33に入射させ、第2及び第3の波長の光ビームをそれぞれ所定の発散角の状態で対物レンズ33に入射させることで、ワーキングディスタンスを確保した状態で、収差を低減して良好にそれぞれの光ディスクの信号記録面に集光させることができ、さらに、収差補正手段35を通過する第2及び第3の光ビームを高い回折効率で用いることにより光量低下を防止できることを実現するものである。
よって、この光ピックアップは、異なる3波長に対応した共通の対物レンズを用い、ワーキングディスタンスを確保するとともに光量低下を防止でき、良好な記録及び/又は再生を実現する。
すなわち、光ピックアップは、異なる波長の光ビームを用いて、複数種類の光ディスクに対して信号の読み取り及び書き込みを可能とするとともに、対物レンズを共通化することができるので、構成の簡素化及び小型化を可能とし、高生産性、低コスト化を実現する。
1 光ディスク装置、 2 光ディスク、 3 光ピックアップ、 4 スピンドルモータ、 5 送りモータ、 9 サーボ制御部、22 ディスク種類判別部、 31 第1の光源部、 32 第2の光源部、 33 対物レンズ、 34 光路合成手段、 35 収差補正手段、 35a ホログラム部、 35b 非球面凹レンズ面、 36 2軸アクチュエータ、 37 開口制限手段、 41 第1の偏光ビームスプリッタ、 42 第1の光検出器、 44 第1のコリメータレンズ、 45 アナモフィックプリズム、 51 第2の偏光ビームスプリッタ、 52 第2の光検出器、 54 第2のコリメータレンズ
Claims (7)
- 第1の波長の光ビームを出射する第1の出射部と、
第2の波長の光ビームを出射する第2の出射部と、
第3の波長の光ビームを出射する第3の出射部と、
上記第1乃至第3の出射部から出射された第1乃至第3の波長の光ビームを光ディスクの信号記録面に集光する対物レンズと、
上記第1の出射部から出射された第1の波長の光ビームの光路と、上記第2及び第3の出射部から出射された第2及び第3の波長の光ビームの光路とを合成する光路合成手段と、
上記第2及び第3の波長の光ビームの光路上に設けられる収差補正手段とを備える光ピックアップ。 - 上記対物レンズ、上記光路合成手段及び上記収差補正手段を少なくともフォーカス方向に駆動変位させる駆動手段を備える請求項1記載の光ピックアップ。
- 上記収差補正手段は、非球面凹レンズの一方の面にホログラム部が設けられてなる請求項1記載の光ピックアップ。
- 上記第1の波長の光ビームの光路上に通過する光ビームを楕円形状に変形するビーム変形手段を備える請求項3記載の光ピックアップ。
- 上記第2及び第3の波長の光ビームは、フォーカス方向から上記光路合成手段に入射して上記光路合成手段を透過されることで上記対物レンズに導かれ、
上記第1の波長の光ビームは、フォーカス方向に対して略直交する方向から上記光路合成手段に入射して上記光路合成手段により反射されることで上記対物レンズに導かれ、
上記ビーム変形光学素子は、上記第1の波長の光ビームを上記光路合成手段に入射させる際に上記フォーカス方向に長径が向けられた楕円形状とされる請求項4記載の光ピックアップ。 - 上記第1の波長が、約405nmであり、
上記第2の波長が、約660nmであり、
上記第3の波長が、約785nmである請求項1記載の光ピックアップ。 - 記録面を保護する保護基板厚の異なる複数の光ディスクに対して情報を記録及び/又は再生する光ピックアップと、上記光ディスクを回転駆動するディスク回転駆動手段とを備える光ディスク装置において、
上記光ピックアップは、第1の波長の光ビームを出射する第1の出射部と、
第2の波長の光ビームを出射する第2の出射部と、
第3の波長の光ビームを出射する第3の出射部と、
上記第1乃至第3の出射部から出射された第1乃至第3の波長の光ビームを光ディスクの信号記録面に集光する対物レンズと、
上記第1の出射部から出射された第1の波長の光ビームの光路と、上記第2及び第3の出射部から出射された第2及び第3の波長の光ビームの光路とを合成する光路合成手段と、
上記第2及び第3の波長の光ビームの光路上に設けられる収差補正手段とを備える光ディスク装置。
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