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JP2007279201A - 液晶装置の製造方法 - Google Patents

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JP2007279201A JP2006102919A JP2006102919A JP2007279201A JP 2007279201 A JP2007279201 A JP 2007279201A JP 2006102919 A JP2006102919 A JP 2006102919A JP 2006102919 A JP2006102919 A JP 2006102919A JP 2007279201 A JP2007279201 A JP 2007279201A
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Abstract

【課題】無機配向膜表面の水酸基の影響が極めて少なく、耐光性及び耐湿性に優れた液晶装置の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、対向配置された一対の基板間に液晶が挟持された液晶装置の製造方法であって、一対の基板10のそれぞれの液晶側に無機配向膜16を形成する配向膜形成工程と、シランカップリング剤を用いて無機配向膜16の表面を処理するシランカップリング処理工程と、シランカップリング処理が施された無機配向膜16の表面にシリコーンポリマー膜18を形成するシリコーンポリマー膜形成工程と、シリコーンポリマー膜18を架橋反応させる架橋反応工程とを有する。
【選択図】図5

Description

本発明は、液晶装置の製造方法に関する。
液晶プロジェクタ等の投射型表示装置の光変調手段として用いられる液晶装置は、一対の基板間に液晶が封止されて構成されている。一対の基板の内面側には電極が形成され、これら電極の内面側には液晶分子の配向を制御する配向膜が形成されている。このような構成によって液晶装置は、非選択電圧印加時と選択電圧印加時との液晶分子の配向変化に基づいて光源光を変調し、画像光を観察者側に出射するようになっている。
ところで、上述した配向膜としては、側鎖アルキル基を付加したポリイミド等からなる高分子膜の表面に、ラビング処理を施したものが一般に用いられている。ラビング処理とは、柔らかい布からなるローラで高分子膜の表面を所定方向に擦ることにより、高分子を所定方向に配向させるものである。その配向性高分子と液晶分子との分子間相互作用により、配向性高分子に沿って液晶分子が配置されるので、非選択電圧印加時の液晶分子を所定方向に配向させて液晶分子にプレチルトを与えることができるようになっている。
しかしながら、このような有機配向膜を備えた液晶装置をプロジェクタの光変調手段として採用した場合、光源から照射される強い光や熱によって配向膜が次第に分解されるおそれがある。そして、長期間の使用後には、液晶分子を所望のプレチルト角に配列することができなくなるなど液晶分子の配向制御機能が低下し、液晶プロジェクタの表示品質が低下してしまうおそれがある。
そこで、耐光性及び耐熱性に優れた無機材料からなる配向膜の使用が提案されており、このような無機配向膜の製造方法としては、例えば斜方蒸着法による酸化珪素(SiO)膜の成膜が知られている。
しかしながら、配向膜をSiOにより形成する場合、配向膜の表面には分極した水酸基が多数存在してしまう。この水酸基は水との親和性が高いため、液晶分子や水分の吸着や化学反応を引き起こし、表示異常が発生するという問題があった。
そこで、配向膜表面の水酸基を除去する方法として、配向膜表面にアルコール処理やシランカップリング剤による処理を施す方法が知られている。
例えば、特許文献1には、斜方蒸着法によりSiOからなる無機配向膜を基板上に形成し、形成した配向膜表面に、直鎖の高級アルコール,例えばオクタデカノールの蒸気中に晒す処理を施す配向膜表面の水酸基を除去する方法が開示されている。
特開平11−160711号公報
しかしながら、特許文献1に開示される水酸基の除去方法では、配向膜表面の水酸基を全て除去することはできず、十分な効果を得られることはできなかった。また、配向膜表面に長い直鎖を有するアルコールやシランカップリング剤が単独で結合しているため、配向膜の表面の安定性が悪くなるという問題があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、無機配向膜表面の水酸基の影響が極めて少なく、耐光性、耐湿性に優れた液晶装置の製造方法を提供することにある。
本発明は、上記課題を解決するために、対向配置された一対の基板間に液晶が挟持された液晶装置の製造方法であって、前記一対の基板のそれぞれの前記液晶側に無機配向膜を形成する配向膜形成工程と、シランカップリング剤を用いて前記無機配向膜の表面を処理するシランカップリング処理工程と、シランカップリング処理が施された前記無機配向膜の表面にシリコーンポリマー膜を形成するシリコーンポリマー膜形成工程と、
前記シリコーンポリマー膜を架橋反応させる架橋反応工程と、を有することを特徴とする。
本発明の配向膜の形成工程において、基板上に無機配向膜を形成すると、無機配向膜は大気中の水分を吸着するため、無機配向膜の表面には水酸基が形成される。
本発明によれば、まず、シランカップリング処理工程において、無機配向膜の表面の水酸基とシランカップリング剤とが反応し、無機配向膜の表面の水酸基が除去される。なお、このとき、無機配向膜の表面の全ての水酸基を除去することはできず、一部の水酸基が残存してしまう。
次に、シリコーンポリマー膜の形成工程及び架橋反応工程において、無機配向膜の表面に形成されたシリコーンポリマー膜の架橋反応により、無機配向膜の表面に残存する水酸基、及びシリコーンポリマー膜の表面に形成される水酸基が反応し、これらの表面に形成される水酸基が除去される。
このように、無機配向膜の表面をシランカップリング処理した後、さらに、シリコーンポリマーを形成し、架橋反応させることにより、無機配向膜の表面に存在する水酸基の影響を抑制することができる。従って、耐光性及び耐湿性に優れた無機配向膜を形成することができる。
また本発明の液晶装置の製造方法は、前記架橋反応工程後に、トリメチルシリル化剤を用いて前記無機配向膜の表面及び前記シリコーンポリマー膜の表面を処理するトリメチルシリル化処理工程を有することも好ましい。
上記架橋反応工程後は、従来の方法よりも無機配向膜の表面の水酸基を除去することが可能であるが、架橋反応工程までの方法では無機配向膜の表面に水酸基が若干残ってしまう場合がある。
この方法によれば、上記架橋反応工程後に、さらにトリメチルシリル化処理する工程を設けることにより、架橋反応後に残った無機配向膜の表面及びシリコーンポリマー膜の表面の未反応の水酸基と、トリメチルシリル剤とが化学反応する。これにより、無機配向膜の表面及びシリコーンポリマー膜の表面の水酸基を除去することができる。
また本発明の液晶装置の製造方法は、前記シリコーンポリマー膜形成工程において前記シリコーンポリマー膜に2以上のヒドロシリル基を有する材料を用い、前記架橋反応工程において水蒸気処理により架橋反応させることも好ましい。
この方法によれば、シリコーンポリマー同士が水蒸気処理により架橋反応する。この反応後のシリコーンポリマー膜中にはヒドロシリル基が残存するが、このヒドロシリル基が水蒸気と反応し、シラノール基に変化する。そして、このシラノール基が無機配向膜の表面に形成される水酸基と反応する。このようにして、無機配向膜の表面の水酸基の影響を減少させることができる。
また本発明の液晶装置の製造方法は、前記シリコーンポリマー膜をCVD法により形成することも好ましい。
この方法によれば、シリコーンポリマー膜をCVD法(気相法)により形成することにより、無機配向膜の表面に対するシリコーンポリマー材料の拡散性、及び吸着性が他の方法(液相法)と比較して向上する。従って、無機配向膜の表面の水酸基をより効率的に除去することができる。
また本発明の液晶装置の製造方法は、前記無機配向膜を斜方蒸着により形成することも好ましい。
無機配向膜を斜方蒸着により形成すると、無機配向膜は一定の角度に傾斜した複数の柱状構造体から構成される。この無機配向膜の表面に液晶分子を配置すると、ラビング処理を施さずに、液晶分子に一定方向のプレチルト角を付与することができる。
このような無機配向膜の表面にシリコーンポリマー膜を形成した場合、シリコーンポリマー膜は単分子膜であるため、シリコーンポリマー膜の表面には無機配向膜の表面の凹凸形状が反映される。従って、無機配向膜の表面にシリコーンポリマー膜を形成した場合でも、ラビング処理を施さずに、液晶分子に一定方向のプレチルト角を付与することができる。
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
図1は、本発明の一実施形態となる液晶装置60の概略構成を説明するための、TFT基板10の平面図、図2は、液晶装置の等価回路図、図3は、液晶装置の平面構造の説明図、図4は、液晶装置60の断面構造の説明図であり、図3のA−A’線における矢視側断面図である。
液晶装置60は、図4に示すように、対向配置された一対の基板10、20間に液晶50が挟持されて構成されている。一対の基板10、20のうちの一方であるTFTアレイ基板(基板)10の中央には、図1に示すように、画像作製領域101が形成されている。この画像作製領域101の周縁部にはシール材19が配設されており、これによって画像作製領域101には液晶50(図4参照)が封止されている。この液晶50は、TFT基板10上に液晶が直接塗布されて形成されたもので、シール材19には液晶の注入口が設けられていない、いわゆる封口レス構造となっている。このシール材19の外側には、後述する走査線に走査信号を供給する走査線駆動素子110と、後述するデータ線に画像信号を供給するデータ線駆動素子120とが実装されている。その駆動素子110、120から、TFT基板10の端部の接続端子79にかけて、配線76が引き廻されている。
一方、TFT基板10に貼り合わされる対向基板20(図4参照)には、共通電極21(図4参照)が形成されている。この共通電極21は、画像作製領域101のほぼ全域に形成されたもので、その四隅には基板間導通部70が設けられている。この基板間導通部70からは、接続端子79にかけて配線78が引き廻されている。
そして、外部から入力された各種信号が、接続端子79を介して画像作製領域101に供給されることにより、液晶装置が駆動されるようになっている。
液晶装置の前記画像作製領域101には、図2の等価回路図に示すように、これを構成すべく複数のドットがマトリクス状に配置されており、これら各ドットには、それぞれ画素電極9が形成されている。また、その画素電極9の側方には、該画素電極9への通電制御を行うためのスイッチング素子であるTFT素子30が形成されている。このTFT素子30のソースにはデータ線6aが接続されている。各データ線6aには、前述したデータ線駆動素子から画像信号S1、S2、…、Snが供給されるようになっている。
また、TFT素子30のゲートには走査線3aが接続されている。走査線3aには、前述した走査線駆動素子から所定のタイミングでパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmが供給される。一方、TFT素子30のドレインには画素電極9が接続されている。そして、走査線3aから供給された走査信号G1、G2、…、Gmにより、スイッチング素子であるTFT素子30を一定期間だけオンにすると、データ線6aから供給された画像信号S1、S2、…、Snが、画素電極9を介して各ドットの液晶に所定のタイミングで書き込まれるようになっている。
液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、画素電極9と後述する共通電極との間に形成される液晶容量で一定期間保持される。なお、保持された画像信号S1、S2、…、Snがリークするのを防止するため、画素電極9と容量線3bとの間に蓄積容量17が形成され、液晶容量と並列に配置されている。このように、液晶に電圧信号が印加されると、印加された電圧レベルにより液晶分子の配向状態が変化する。これにより、液晶に入射した光源光が変調されて、画像光が作製されるようになっている。
また、本実施形態の液晶装置では、図3の平面構造説明図に示すように、TFTアレイ基板上に、インジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide、以下ITOという)等の透明導電性材料からなる矩形状の画素電極9(破線9aによりその輪郭を示す)が、マトリクス状に配列形成されている。さらに、画素電極9の縦横の境界に沿って、データ線6a、走査線3a及び容量線3bが設けられている。本実施形態では、各画素電極9の形成された矩形領域がドットであり、マトリクス状に配置されたドットごとに表示を行うことが可能な構造になっている。
TFT素子30は、ポリシリコン膜等からなる半導体層1aを中心として形成されている。半導体層1aのソース領域(後述)には、コンタクトホール5を介して、データ線6aが接続されている。また、半導体層1aのドレイン領域(後述)には、コンタクトホール8を介して、画素電極9が接続されている。一方、半導体層1aにおける走査線3aとの対向部分には、チャネル領域1a’が形成されている。
また、この液晶装置は、図4の断面構造説明図に示すように、TFT基板10と、これに対向配置された対向基板20と、これらの間に挟持された液晶50とを主体として構成されている。TFT基板10は、ガラスや石英等の透光性材料からなる基板本体10A、及びその内側に形成されたTFT素子30や画素電極9、配向膜16などを主体として構成されている。一方の対向基板20は、ガラスや石英等の透光性材料からなる基板本体20A、及びその内側に形成された共通電極21や配向膜22などを主体として構成されている。
TFT基板10の表面には、第1遮光膜11a及び第1層間絶縁膜12が形成されている。そして、第1層間絶縁膜12の表面に半導体層1aが形成され、この半導体層1aを中心としてTFT素子30が形成されている。半導体層1aにおける走査線3aとの対向部分にはチャネル領域1a’が形成され、その両側にソース領域及びドレイン領域が形成されている。このTFT素子30はLDD(Lightly Doped Drain)構造を採用しているため、ソース領域及びドレイン領域に、それぞれ不純物濃度が相対的に高い高濃度領域と、相対的に低い低濃度領域(LDD領域)とが形成されている。すなわち、ソース領域には低濃度ソース領域1bと高濃度ソース領域1dとが形成され、ドレイン領域には低濃度ドレイン領域1cと高濃度ドレイン領域1eとが形成されている。
半導体層1aの表面には、ゲート絶縁膜2が形成されている。そして、ゲート絶縁膜2の表面に走査線3aが形成されて、チャネル領域1a’との対向部分がゲート電極を構成している。また、ゲート絶縁膜2及び走査線3aの表面には、第2層間絶縁膜4が形成されている。そして、第2層間絶縁膜4の表面にデータ線6aが形成され、第2層間絶縁膜4に形成されたコンタクトホール5を介して、そのデータ線6aが高濃度ソース領域1dに接続されている。さらに、第2層間絶縁膜4及びデータ線6aの表面には、第3層間絶縁膜7が形成されている。そして、第3層間絶縁膜7の表面に画素電極9が形成され、第2層間絶縁膜4及び第3層間絶縁膜7に形成されたコンタクトホール8を介して、その画素電極9が高濃度ドレイン領域1eに接続されている。さらに、画素電極9を覆うように無機配向膜16が形成され、非選択電圧印加時における液晶分子の配向が規制されるようになっている。
なお、本実施形態では、半導体層1aを延設して第1蓄積容量電極1fが形成されている。また、ゲート絶縁膜2を延設して誘電体膜が形成され、その表面に容量線3bが配置されて第2蓄積容量電極が形成されている。これらにより、前述した蓄積容量17が構成されている。
また、TFT素子30の形成領域に対応する基板本体10Aの表面に、第1遮光膜11aが形成されている。第1遮光膜11aは、液晶装置に入射した光が、半導体層1aのチャネル領域1a’、低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1cに侵入することを防止するものである。
一方、対向基板20における基板本体20Aの表面には、第2遮光膜23が形成されている。第2遮光膜23は、液晶装置に入射した光が半導体層1aのチャネル領域1a’や低濃度ソース領域1b、低濃度ドレイン領域1c等に侵入するのを防止するものであり、平面視において半導体層1aと重なる領域に設けられている。また対向基板20の表面には、ほぼ全面にわたってITO等の導電体からなる共通電極21が形成されている。さらに、共通電極21の表面には無機配向膜22が形成され、非選択電圧印加時における液晶分子の配向が規制されるようになっている。
ここで、TFT基板10側の無機配向膜16、及び対向基板20側の無機配向膜22は、共に本発明の特徴的な構成要素となっている。つまり、無機配向膜16,22には、シランカップリング処理が施され、この表面にはシリコーンポリマー膜が形成される。その後、架橋反応、及びトリメチルシリル化処理が順に施され、無機配向膜16,22の表面に生じるOH基の影響が抑制されている。
(液晶装置の製造方法)
図5(a)〜(d)は液晶装置の無機配向膜を形成する工程を示す断面図であり、図6は無機配向膜を形成するための蒸着装置の概略構成図である。なお、以下の説明においては、TFT基板10に形成される無機配向膜16についてのみ説明し、対向基板20の無機配向膜22については無機配向膜16と同様の工程により形成されるため、説明を省略する。
まず、図5(a)に示すように、TFTが形成されたTFT基板10上に斜方蒸着法により無機配向膜16を形成する。
ここで、無機配向膜16を形成する蒸着装置40の構成について説明する。
蒸着装置40は、無機配向膜材料の蒸気流を発生させる蒸着源512と、TFT基板10を保持する保持機構514とを備えている。TFT基板10は、蒸着源512とTFT基板10の基板面重心位置とを結ぶ基準線X1と、TFT基板10の被成膜面と垂直に交わる直線X2とのなす角θ0が、所定値となるように、保持機構514に保持される。従って、図6(a)、(b)において矢印Y1によって示される、蒸着源512で発生された無機材料の進行方向、すなわち無機材料が飛ぶ方向と、TFT基板10において配向膜が形成される基板面(被成膜面)とのなす角度θ1は、角度θ0を変化させることによって調整可能となっている。なお、この角度θ1は、無機配向膜16において配向制御を行うための表面形状効果が得られるように、後述する柱状構造物を基板面上に配列させるための所定値に設定されている。ただし、本実施形態では斜方蒸着を行うことから、角度θ1は90°未満となっている。
上記蒸着装置40を用いてTFTアレイ基板上に斜方蒸着すると、図6(b)中矢印で示すように、蒸着源512から昇華した配向膜材料がTFT基板10に対して一定の入射角度(傾斜角度)で連続入射する。これにより、図5(a)に示すように、TFT基板10に配向膜材料が斜め柱状に堆積し、無機材料(珪素酸化物)の柱状構造体が形成される。このように、無機配向膜16は、TFT基板10の表面に無数に形成された柱状構造体により構成されている。このとき、金属材料からなる無機配向膜16は大気中の水分を吸着するため、無機配向膜16の表面には、図5(a)に示すように、分極したOH基が多数形成される。
次に、図5(b)に示すように、無機配向膜16の表面を気相法によりシランカップリング処理(脱アルコール反応)する。具体的には、無機配向膜16を形成したTFT基板10をCVD装置内に搬送した後、オクタデシルトリメトキシランをCVD装置内に導入する。このとき、CVD装置内の温度を150℃に設定する。
これにより、シランカップリング剤の蒸気が無機配向膜16の表面のOH基と反応し、無機配向膜16の表面のOH基が除去される。しかし、シランカップリング剤は、長い直鎖を有するため、立体的障害により無機配向膜16の表面の全てのOH基と反応しにくい。そのため、無機配向膜16の表面には、図5(b)に示すように、一部のOH基が残存した状態となる。
続けて、シランカップリング処理されたTFT基板10をトルエン、メタノールの順に洗浄した後、無機配向膜16の表面を60〜150℃で乾燥する。
次に、図5(c)に示すように、シランカップリング処理した無機配向膜16の表面にシリコーンポリマー膜18をCVD法(気相法)により形成する。具体的には、まず、シランカップリング処理したTFT基板10をCVD装置内に搬送する。そして、2以上のSiH基(ヒドロシリル基)を有する1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンをCVD装置内に導入する。このとき、CVD装置内の温度を約250℃に設定する。これにより、図5(c)に示すように、複数のOH基が残存する無機配向膜16の表面をシリコーンポリマー膜18によって被覆する。なお、シリコーンポリマー膜18には、成膜時の影響により、図5(c)に示すように、微細孔18aが形成される。
続けて、シリコーンポリマー膜18が形成されたTFT基板10をクロロホルム、メタノールを用いて順に洗浄した後、シリコーンポリマー膜18の表面を60〜150℃で乾燥する。
なお、無機配向膜16の表面を被覆するシリコーンポリマー膜18は単分子膜なので、シリコーンポリマー膜18の表面は、下地の無機配向膜16の複数の柱状構造体の凹凸が反映された形状となる。従って、無機配向膜16の表面にシリコーンポリマー膜18を形成した場合でも、液晶分子を一定方向のプレチルト角で配向させることができる。
次に、図5(c)に示すように、シリコーンポリマー膜18を架橋反応(脱アルコール反応)させる。架橋反応は、純水(HO)又は1%のアンモニアを含有する水溶液を用いた水蒸気を装置内に導入して行う。これにより、シリコーンポリマー同士が架橋反応するが、シリコーンポリマー膜18中には一部のSiH基が残存する。この残存するSiH基は装置内の水蒸気と反応し、Si−OH基(シラノール基)に変化する。そして、シリコーンポリマー膜18中のSi−OH基が無機配向膜16の表面のOH基と脱水縮合反応して、無機配向膜表面のOH基が除去される。このとき、シリコーンポリマー膜18中の未反応のSi−OH基が、図5(c)に示すように、シリコーンポリマー膜18の表面に残った状態となる。また、シリコーンポリマー膜18に被覆されていない微細孔18a部分の無機配向膜16の表面のOH基が若干残る。
次に、図5(d)に示すように、シリコーンポリマー膜18の表面にトリメチル化処理を施す。具体的には、まず、シリコーンポリマー膜18を形成したTFT基板10をCVD装置内に搬送した後、トリメチルメトキシシランをCVD装置内に導入する。これにより、図5(d)に示すように、シリコーンポリマー膜18の表面に残存するSi−OH基にトリメチルメトキシシランが吸着、化学反応し、シリコーンポリマー膜18の表面のOH基が除去される。
また、トリメチルメトキシシランの直鎖は短いので、トリメチルメトキシシランがシリコーンポリマー膜18の微細孔18aから入り込み、無機配向膜16の表面の未反応のOH基に吸着する。これにより、トリメチルメトキシシランとOH基とが化学反応を起こし、無機配向膜16の表面のOH基が除去される。
このようにして、無機配向膜16の表面及びシリコーンポリマー膜18の表面のOH基を除去することができる。
本実施形態によれば、まず、シランカップリング処理工程において、無機配向膜16の表面のOH基とシランカップリング剤とが反応し、無機配向膜16の表面のOH基が除去される。このとき、無機配向膜16の表面の全てのOH基を除去することはできず、一部のOH基が残存してしまう。次に、シリコーンポリマー膜18の形成工程及び架橋反応工程において、無機配向膜16の表面に形成されたシリコーンポリマー膜18の架橋反応において、無機配向膜16の表面に残存するOH基、及びシリコーンポリマー膜18の表面に形成されるOH基が反応し、これらの表面に形成されるOH基が除去される。このように、無機配向膜16の表面をシランカップリング処理した後、さらに、シリコーンポリマーを形成し、架橋反応させることにより、無機配向膜16の表面に存在するOH基の影響を安定的に抑制することができる。従って、耐光性及び耐湿性に優れた無機配向膜16を形成することができる。
また、本実施形態によれば、上記架橋反応工程後は、従来の方法よりも無機配向膜16の表面のOH基を除去することが可能であるが、架橋反応工程までの方法では無機配向膜16の表面にOH基が若干残ってしまう場合がある。従って、架橋反応後にトリメチルシリル化処理を設けることにより、架橋反応後に残った無機配向膜16の表面及びシリコーンポリマー膜18の表面の未反応のOH基と、トリメチルシリル剤とが化学反応する。これにより、無機配向膜16の表面及びシリコーンポリマー膜18の表面のOH基をより除去することができる。
さらに、本実施形態によれば、シリコーンポリマー膜18をCVD法(気相法)により形成することにより、無機配向膜16の表面に対するシリコーンポリマー材料の拡散性、及び吸着性が他の方法(液相法)と比較して向上する。従って、無機配向膜16の表面のOH基をより効率的に除去することができる。
(プロジェクタ)
次に、本発明の電子機器の一実施形態としてのプロジェクタについて、図7を用いて説明する。図7は、プロジェクタの要部を示す概略構成図である。このプロジェクタは、上記実施形態に係る液晶装置60を光変調手段として備えたものである。
図7において、810は光源、813、814はダイクロイックミラー、815、816、817は反射ミラー、818は入射レンズ、819はリレーレンズ、820は出射レンズ、822、823、824は本発明の液晶装置からなる光変調手段、825はクロスダイクロイックプリズム、826は投射レンズである。光源810は、メタルハライド等のランプ811とランプの光を反射するリフレクタ812とからなる。
ダイクロイックミラー813は、光源810からの白色光に含まれる赤色光を透過させると共に、青色光と緑色光とを反射する。透過した赤色光は反射ミラー817で反射されて、赤色光用光変調手段822に入射される。また、ダイクロイックミラー813で反射された緑色光は、ダイクロイックミラー814によって反射され、緑色光用光変調手段823に入射される。さらに、ダイクロイックミラー813で反射された青色光は、ダイクロイックミラー814を透過する。青色光に対しては、長い光路による光損失を防ぐため、入射レンズ818、リレーレンズ819及び出射レンズ820を含むリレーレンズ系からなる導光手段821が設けられている。この導光手段821を介して、青色光が青色光用光変調手段824に入射される。
各光変調手段822、823、824により変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム825に入射する。このクロスダイクロイックプリズム825は4つの直角プリズムを貼り合わせたものであり、その界面には赤光を反射する誘電体多層膜と青光を反射する誘電体多層膜とがX字状に形成されている。これらの誘電体多層膜により3つの色光が合成されて、カラー画像を表す光が形成される。合成された光は、投射光学系である投射レンズ826によってスクリーン827上に投影され、画像が拡大されて表示される。
本実施形態に係るプロジェクタによれば、耐光性及び耐熱性に優れた無機配向膜を有する液晶装置60を備えているため、光源から照射される強い光や熱により配向膜が劣化することはない。また、このプロジェクタよれば、水分(湿気)に起因する液晶の劣化が確実に防止され、長寿命化が図られた液晶装置を備えているので、この電子機器自体も長寿命化が図られた信頼性の高いものとなる。
なお、本発明の技術範囲は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、上記実施形態においては、シランカップリング処理、シリコーンポリマー膜の形成、及びトリメチル化処理をCVD法(気相法)により行っていた。これに対し、上記各処理を液相法により行っても良い。
具体的には、シランカップリング処理については、オクタデシルトリメトキシシランと炭化水素系溶媒(例えばトルエン)の混合溶液に、TFT基板10を浸漬し、加熱還流処理を行う。その後、炭化水素系溶媒、メタノールの順にTFT基板10を洗浄し、60〜150℃で乾燥させる。このようにして、無機配向膜16の表面にシランカップリング処理しても良い。
次に、シリコーンポリマー膜18の形成については、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンとヘキサンとの混合溶液にシランカップリング処理を施したTFT基板10を浸漬する。その後、ヘキサン、メタノールの順に洗浄し、60〜150℃で乾燥させる。このようにして、無機配向膜16の表面にシリコーンポリマー膜18を形成しても良い。
次に、トリメチルシリル化処理については、トリメチルメトキシシランと炭化水素系溶媒の混合溶液にシリコーンポリマー膜18が形成されたTFT基板10を浸漬し、加熱還流処理する。その後、ヘキサン、メタノールの順に洗浄し、60〜150℃で乾燥させる。このようにして、シリコーンポリマー膜18の表面にトリメチルシリル化処理を施しても良い。
液晶装置の概略構成を示す平面図である。 液晶装置の透過回路図である。 TFTの構成を示す平面図である。 図3に示すTFTのA−A’線に沿った断面図である。 液晶装置の製造工程を示す断面図である。 斜方蒸着装置の概略構成を示す図である。 プロジェクタの概略構成を示す平面図である。
符号の説明
10…TFT基板(基板)、 16,22…無機配向膜、 18…シリコーンポリマー膜、 18a…微細孔、 60…液晶装置

Claims (5)

  1. 対向配置された一対の基板間に液晶が挟持された液晶装置の製造方法であって、
    前記一対の基板のそれぞれの前記液晶側に無機配向膜を形成する配向膜形成工程と、
    シランカップリング剤を用いて前記無機配向膜の表面を処理するシランカップリング処理工程と、
    シランカップリング処理が施された前記無機配向膜の表面にシリコーンポリマー膜を形成するシリコーンポリマー膜形成工程と、
    前記シリコーンポリマー膜を架橋反応させる架橋反応工程と、
    を有することを特徴とする液晶装置の製造方法。
  2. 前記架橋反応工程後に、トリメチルシリル化剤を用いて前記無機配向膜の表面及び前記シリコーンポリマー膜の表面を処理するトリメチルシリル化処理工程を有することを特徴とする請求項1に記載の液晶装置の製造方法。
  3. 前記シリコーンポリマー膜形成工程において、前記シリコーンポリマー膜に2以上のヒドロシリル基を有する材料を用い、
    前記架橋反応工程において、水蒸気処理により架橋反応させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液晶装置の製造方法。
  4. 前記シリコーンポリマー膜をCVD法により形成することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の液晶装置の製造方法。
  5. 前記無機配向膜を斜方蒸着により形成することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の液晶装置の製造方法。

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