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JP2007275170A - 化学発熱装置及び化学発熱装置付き携帯食品用容器 - Google Patents

化学発熱装置及び化学発熱装置付き携帯食品用容器 Download PDF

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JP2007275170A JP2006103020A JP2006103020A JP2007275170A JP 2007275170 A JP2007275170 A JP 2007275170A JP 2006103020 A JP2006103020 A JP 2006103020A JP 2006103020 A JP2006103020 A JP 2006103020A JP 2007275170 A JP2007275170 A JP 2007275170A
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Michio Koike
教夫 小池
Satoru Yagi
覺 八木
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KOIKE FURYUKEN KK
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Abstract


【課題】発熱剤と水との発熱反応を確実にし、製造コストを大幅に低減する化学発熱装置及び化学発熱装置付き携帯食品用容器を提供する。
【解決手段】側壁内面に張り出し部7を設けた発熱用トレー2の底面に、不織布製袋10に発熱剤9を充填した発熱剤パック3をセットし、その上に水を充填し、一方の端部12に水パック開裂用機構13を設け、ティアーテープ6を接合したポリエチレン製フィルムの水パック4を重合し、発熱用トレー2の張り出し部7と、水パック3の一方の端部12の裏面を固着させ、ティアーテープ14を発熱用トレー2と保護シート5の間から引き出して、保護シート5と一緒に発熱用トレー2に接合し、反転屈曲して保護シート5の表面に融着し、他方の先端15を自由端とし加熱容器1とし、携帯食品容器本体16の底部に収容し、ティアーテープ6の先端15を、携帯食品容器本体16の側壁20に形成した小孔21から貫通させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、化学発熱装置及び化学発熱装置付き携帯食品用容器に関し、特に、駅弁等の調理済み食品を、場所、時間を選ばず、随時加熱、保温することができる化学発熱装置を組み込んだ携帯食品用容器に関する。
近年、非常食若しくは日本酒等、液状食品或いは調理済み食品を、加熱機能付き容器に封入し、場所や、時間を選ばず、随時加熱、保温することができる簡便な携帯食品の需要が増えてきている。
携帯食品用容器には、各種の形状、容量のものがあるが、小さいものでは、日本酒の瓶、大きなものでは駅弁がある。前者は、約200cm3、後者は、約2000cm3である。加温食品の内容にもよるが、たとえば、駅弁の場合、主食と副食の両方を適度に加熱するには、90℃近傍、好ましくは、90℃以上、100℃以下に加熱しなければならない。さらに、加熱調理容器自体の材料の熱容量は小さいので、加熱調理容器に保温効果を期待することはできない。従って、化学発熱装置に使用する発熱剤自体に、発熱反応を起こして最高温度に到達し、少なくとも室温にまで降下するまでの時間、即ち温度保持時間を最大限にする機能を持たせることが必要である。
従来、化学物質の発熱反応を利用した、いわゆる化学発熱剤が各種提案されている。代表的なものとしては、酸化カルシウム(生石灰)と水との水和反応を利用するタイプの発熱剤が使用されている。
特許文献1は、酸化カルシウムと水との水和反応を利用する発熱剤を利用した加熱容器を開示している。この加熱容器は、厚紙で製造した台紙の上に、ポリエチレン等の合成樹脂製フィルムで製造した非透水性の袋に生石灰を充填した発熱袋と、ポリエチレン等の合成樹脂製フィルムで製造した非透水性の袋に水を充填した水袋を、この順序で重ね合わせて、発熱袋と水袋の両方を破断する破断用紐を台紙の一端に係止し、さらに破断用紐を発熱袋と水袋の両端部に固着させ、加熱容器に収容して、破断用紐を加熱容器の側面に設けた引き出し孔から貫通させ、外部から破断用紐を引き抜くことにより、発熱袋と水袋を破断するようになっている。
酸化カルシウムと水との反応による発熱量は、15.2kcalと小さいので、反応後、速やかに90℃以上100℃以下に昇温し、喫食に要する、少なくとも20分間、60℃以上に保持させるためには、多量の酸化カルシウムを必要とする。特許文献1に記載された加熱容器をもって、標準型の携帯食品を加熱するには、60〜100gの酸化カルシウムを必要とする。
ところで、発熱剤を包装するポリエチレンフィルムは、(イ)プラスチックフィルムの中でも最も安価である、(ロ)容易にヒートシールが可能で、完全密閉ができる、(ハ)耐水性、耐湿性がよい、(ニ)軽くて、しかも引裂強さが大きいという特徴がある。
ポリエチレンフィルムは、引裂強さが大きい反面、引き裂き難いという特徴があり、そのことは、破断用紐引き抜き型の加熱容器の場合には欠点になる。その理由は、酸化カルシウムは極めて吸湿性が高く、放置しておくと、空気中の湿気と二酸化炭素を吸収して、水酸化カルシウムおよび炭酸カルシウムに変化し、その後水と接触しても、発熱反応を起こさなくなるからである。
特に、特許文献1に記載された加熱容器に使用する発熱剤が、100gという多量の酸化カルシウムの単品から成る場合、その一部が、空気中の湿気と二酸化炭素を吸収すると、その反応は連鎖的に移行し、全体が失活することになる。従って、ポリエチレンフィルムの厚さをできるだけ厚くして、空気中の湿気と二酸化炭素の吸収を完全に防止しなければならない。
ポリエチレンフィルムの厚さを50μした場合、その引裂強さは、エレメンドルフASTMD1922で測定して、低密度ポリエチレンフィルムが200〜800g/25μ、中密度ポリエチレンフィルムが100〜600g/25μ,高密度ポリエチレンフィルムが30〜600g/25μである。この引裂強さは、破断用紐引き抜き型の加熱容器の場合、年少者や女性では、引き裂き難い強さであり、破断用紐引き抜きが、途中で切れることがある。
さらに、特許文献1に記載された加熱容器の場合、水袋と発熱袋の両方を、ほぼ同時に破断しなければならない構造になっているので、どちらか一方の袋が破断しない場合、発熱しない。従って、不良品が発生するリスクが大きい。
その他、特許文献には無いが、市販されている化学発熱装置の殆どが、容積が小さな発熱用トレーの中に、発熱剤パック、水パック、および発熱剤パックを固定する台紙の少なくとも3個の部品を収容する構造になっていたり、あるいはティアーテープを発熱剤パックと水パックの間に挿入させ、反転させてから発熱用トレーの外に引き出すような構造になっているので、製造工程が煩雑になり、全体の製造コストを引き上げる要因になっていた。
特開平11−2922155号公報
発明が解決しようとする課題は、発熱剤を透水性不織布袋に充填した発熱剤パックを、上面開口する発熱用トレー内に水パックと一緒に収容し、発熱用トレーの上面開口縁部を、保護シートで、水パックと保護シートを同時に開裂するティアーテープと一緒にヒートシールしたタイプの化学発熱装置において、従来使用していた発熱剤パックを固定する台紙を不要とすることにより、簡単な構造にして発熱不完全のリスクの発生を軽減し、製造工程を容易にし、製造コストを引き下げることである。
発明が解決しようとする別の課題は、発熱剤を透水性不織布袋に充填した発熱剤パックを、上面開口する発熱用トレー内に水パックと一緒に収容し、発熱用トレーの上面開口縁部を、保護シートで、水パックと保護シートを同時に開裂するティアーテープと一緒にヒートシールしたタイプの化学発熱装置において、水パックだけを破断すれば、発熱剤と完全に反応する構造にすることにより、発熱不良が発生するのを防止、製造工程を容易にし、製造コストを引き下げることである。
従来、プラスチック製の発熱用トレーの底部に置いた発熱剤パックが移動しないように固定するために、発熱用トレーの底面に、プラスチック、木、厚紙等、任意の材料で製造された台紙を底面に固定し、その上に発熱剤パックを重合させ、台紙の一方の端部に、ティアーテープの一方の端部を固定していた。
この固定方法は、発熱用トレーの内壁構造を異形構造に複雑にする必要がないので、発熱用トレーを少量生産する場合の製造コストだけを捉えれば低い。他方、プラスチック、木、厚紙等、任意の材料で製造された台紙のコストと、その取付けコストを勘案し、しかも発熱用トレーを大量生産する場合には、結果として、全体の製造コストを引き上げることになる。
そこで、本発明者は、発熱用トレーの璧体の内面に所定の幅の張出し部を設け、発熱用トレーの底面に、発熱剤パックと、水パックを、この順序で重ね合わせて載置し、水袋の端部を前記張出し部に固着することを検討した。
その結果、上記課題は下記の各項に記載した手段により解決される。
1.上面開口する発熱用トレーに、化学発熱剤を透水性の袋に充填した発熱剤パックと、水パックと、ティアーテープを含み、発熱用トレーの上面開口部を非透湿性の保護シートで密封して、容器外部から、ティアーテープの引き抜きにより、保護シートと水パックを同時に開裂させるタイプの化学発熱装置であって、
(1)発熱用トレーの側壁の内面に所定の幅の張出し部を設けること、
(2)水パックの一方の端部に水パック開裂用機構を形成し、水パック開裂用機構にティアーテープの一方の端部を固着すること、
(3)発熱用トレーの底面に発熱剤パックを載置し、その上に水パックを重合すること、
(4)水パックの前記一方の端部の裏面と、前記張出部とを接合すること、および
(5)前記ティアーテープを、発熱用トレーの上端縁部と保護シートの間から引出して、保護シートと一緒に発熱用トレーに接合し、残余を反転屈曲して、保護シートの表面と融着し、延長残部を発熱用トレーに設けた小孔から突出して自由端とすること、を特徴とする化学発熱装置。
2.前記1項に記載した化学発熱装置を、携帯食品用容器に組み込む。
請求項1の発明により、下記に例示する効果を奏功することができる。
1.発熱用トレーの側壁の内面に所定の幅の張出し部を設け、水パックの一方の端部の裏面と、前記張出部とを接合して固定し、その下に発熱剤パックを載置しただけの簡単な構造なので、従来技術が必要としていた発熱剤パックを固定する固定板が不要となり、製造工程が簡略になり、製造コストが大幅に低減される。
2.発熱用容器の外部から、ティアーテープを引くことにより、発熱用トレー内では水パックだけを開裂すればよいので、水パックと発熱剤パックの両方を開裂する構造の従来技術に比べて、構造が簡単であり、従来技術に比べて、不良品の発生率が大幅に低減するか、ないしはほぼ完全になくなる。
3.発熱剤パックを、上面開口する発熱用トレー内に、水パックと一緒に収容し、発熱用トレーの上面開口縁部を、非透湿性フィルムで、水パックと非透湿性フィルムを同時に開裂するティアーテープと一緒に、ヒートシールした化学発熱装置とすることによって、それ自体が独立した自己完結型の商品として商取引の対象になり、用途の拡大が可能になる。
請求項2の発明によると、携帯食品用容器本来の機能性、利便性、保管性、衛生保持性等が向上し、加熱機能付き携帯食品用容器の用途が拡大される。
なお、本明細書において使用する用語「ティアーテープ」は、凧糸状のストリング、モノフィラメント等の紐、或いは糸状のものも含むものとする。
以下、図面に基づいて、発明の好ましい実施の形態を説明する。
図1は、本発明の化学発熱装置1の一実施の形態の構成を示す分解断面図である。図1において、2は発熱用トレー、3は発熱剤パック、4は水パック、5は非透湿性の保護シート、6はティアーテープである。
発熱用トレー2は、その底に発熱剤パック3と水パック4をこの順序で重合して載置することができる広さと深さを備えた任意の形状の容器である。発熱用トレー2の側壁の内面には張り出し部7が発熱用トレー2と一体に形成してある。張り出し部7は、水パック4の一方の端部12の裏面と接合して、水パック3を固定するためのものである。
発熱用トレー2の上端周縁部8は、保護シート5と、一緒に接合、たとえばヒートシールするためのシール部である。この幅は、特段に数値限定されないが、少なくとも5mmは必要である。この幅が狭いとシール強度が弱く、広くなると強くなる。特に、シール幅が狭すぎると、同部が汚染された場合、弱くなる。逆にシール幅が広すぎると、しわが発生しやすくなる。従って、シール幅8は、適切に選択することが必要である。
発熱用トレー2と保護シート5の、最も信頼性がおける接合方法は熱融着(ヒートシ−ル)である。従って、発熱用トレー2と保護シート5をヒートシールできるように、それぞれの材料を選択しなければならない。
発熱用トレー2にPPを使用した場合は、保護シート5は、PET/DL/VM/PET/PE/CMPS007, PET/DL/VM/PET/DL/CMPS008C, PET/DL/VM/PET/PE/DL/CMPS011C, PET/DL/VM-PET/PE/CMPS017C, ONY/DL/CMPS017C, PET/PE/CMPS006, PET/PE/CMPS006等が好ましい。
発熱用トレー2にPVCを使用した場合は、保護シート5は、PET/DL/VM-PET/PE/CMPS006, PETPE/CMPS009, PET/DL/ONY/PE/CMPS009等が好ましい。
発熱用トレー2にPP/EVOH/PPを使用した場合は、保護シート5は、ONY/DL/EVOH/DL/CMPS013C, PET/PE/AL/PE/CMPS009等が好ましい。
発熱用トレー2にA-PETを使用した場合は、保護シート5は、ONY/DL/ONY/DL/ABF65C, PET/DL/ABF65C等が好ましい。
発熱用トレー2にPSを使用した場合は、保護シート5は、PET/DL/VM-PET/PE/CMPS009, PET/PE/CMPS009等が好ましい。
ここに、PETは、ポリエチレンテレフタレート、 DLは、ドライラミネーション、VMは、アルミ蒸着、 PEは、ポリエチレン、 CMPSは、カルボキシメチル化ポリスチレン、 ONYは, 延伸ナイロン、EVOHは、エチレンビニルアルコール、 PPは、ポリプロピレン、ABSは、アクリルーブタジエン樹脂、 ALは、アルミ箔、A-PETは、非晶質ポリエステルを表している。
発熱剤パック3に充填する発熱剤9は、水と反応して発熱する物質ならば特段に限定されない。即ち、従来から広く使用されている石灰(酸化カルシウウ)でも、石灰と粉体アルミニウムとの混合物でもよい。
発熱剤パック3は、たとえば、粉体酸化カルシウムと粉体アルミニウムを、所定の配合量で均一に混合し、透水性の紙または布の袋10に充填して製造する。無論、発熱剤パック3を流通させる段階、即ち、発熱用トレー2にセットする前は、アルミ箔或いはアルミ蒸着フィルム製の非透湿性の袋に完全密封しておき、発熱用トレー2にセットする直前に、アルミ箔或いはアルミ蒸着フィルム製の非透湿性の袋から出して、発熱用トレー2にセットするが、最終的には、非透湿性の保護シート5で密封されるので、保護シート5が開裂されるまで発熱剤パック3が吸湿することはない。
水パック4は、化学発熱装置1の外部から適当な力で引っ張ることにより、開裂して、中の水が速やかに流出するような構成、いわゆるイージーオープンタイプ或いはイージーピールタイプである。
発熱剤パック3に充填されている粉体酸化カルシウムは、空気中の湿度を吸収しただけで、直ちに反応する性質を有しているので、水パック4の材料は、非透湿性でなければならない。
以下、本発明の水パック4に適する材料に関して説明する。
厚さL、表面積Aのフィルムの両側の水蒸気(湿度)の分圧が、それぞれP1,P2の場合、定常状態で時間tに透過する湿度の量をQとすると、
Q={P・(P1−P2)・A・t}/L (1)
Q={P・ΔP・A・t}/L (2)
(2)式を変形して、
Q/{A・t}={P・ΔP}/L=q (3)
ある特定条件下におけるフィルムの単位面積、単位時間における、この水蒸気の透過量qを透湿度(WVTR)といい、その単位は、g・m-2・24h-1である。即ち、表面積1m2のフィルムを24時間で透過する水蒸気の量をグラムで表したものである。
本発明の水パック4に適する材料の透湿度は、15以下、好ましくは0.3〜15の範囲、より好ましくは0.3〜7の範囲、最も好ましくは0.3〜3の範囲である。
本発明の水パック4に適するフィルムとしては、ポリビニリデンクロライド、ポリビニルアルコール、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン(高密度=0.960)、ポリエチレン(中密度=0.93)、ポリプロピレン(密度=0.907)、ポリエチレン(低密度=0.922)、ポリビニルクロライド、ポリ(ビニルクロライドービニルアセテト)、ポリ(スチレンーブタジエン)、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアクリロニトリル、ポリ(ブタジエンーアクリロニトリル)等が例示される。
本発明の水パック4に適するラミネートフィルムとしては、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート/低密度ポリエチレンン/1軸延伸ポリエチレン/アルミ箔/エチレンービニルアセテート、 2軸延伸ナイロン/アルミ箔/ポリエチレン、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート/1軸延伸ポリエチレン/アルミ箔/ポリプロピレン、ポリプロピレン/エバール/ポリプロピレン、ポリプロピレン/ポリ塩化ビニリデン/ポリプロピレン、ナイロン/ポリプロピレン、ポリカーボネート/ポリプロピレン、スチール箔/ポリプロピレン等が例示される。
水パック4に適するフィルムは、開裂メカニズムの面からは、界面剥離タイプを利用したもの、層間剥離タイプを利用したもの、凝集剥離タイプを利用したもの等、任意に選択できる。ただし、シールの安定性の点からは、凝集剥離タイプが、また線シール性の点からは、界面剥離タイプが、さらに剥離面の状態からは、界面剥離タイプが優れている。また、V−ノッチなどの切り込みを入れて、ある一定方向に開封させるようにしたもの等、任意に選択できる。
水パック4の一方の端部12の裏面と発熱用トレー2の張出部7との接合方法は特段に限定されない。たとえば、両面粘着テープによる接着、ホチキス等による固定、ヒートシール等任意の方法を選択することができる。但し、大量生産の面からはヒートシールが好ましい。ヒートシールの場合は、水パック4の最外表面と、発熱用トレー2の最外表面の材料に同じものを使用することが好ましい。
水パック4の一方の端部12の裏面と発熱用トレー2の張出部7とのヒートシールは、溶融点と溶融時の流動性が重要である。ポリエチレン(高圧)の融点は105〜115℃、ポリエチレン(低圧)の融点は132℃、ポリプロピレンの融点は160〜170℃、ポリ塩化ビニル(硬質)の融点は170℃、ポリ塩化ビニルデンの融点は190℃、6−ナイロンの融点は223℃、ポリカーボネートの融点は222〜230℃、ポリスチレンの融点は230℃、ポリエチレンテレフタレートの融点は260℃、66−ナイロンの融点は265℃である。シール温度が低いほどシール時間が長くなり、その許容時間の範囲が広くなる。逆に、シール温度が高いほどシール時間が短くなり、その許容時間の範囲が狭くなる。従って、これらの溶融点と、製造コストを勘案して、水パック4の材料と発熱用トレー2の材料を選定することが重要となる。
水パック4の一方の端部12に形成される水パック開裂用機構13は、水パック4と一体に形成されている。水パック開裂用機構13は、ティアーテープ7の端部と接合されて、水パック4の開裂を容易にするためのものである。従って、水パック開裂用機構13の形状は特段に限定されないが、通常は、突起、或いはV−ノッチなどの切り込みである。
このようにして製造した発熱剤パック3を、発熱用トレー2の底面にセットし、次いで発熱剤パック3の上に水パック4を重合し、発熱用トレー2の張り出し部7と、水パック3の一方の端部12の裏面をヒートシールにより接合して固着し、水パック3の一方の端部12に形成された水パック開裂用機構13と接合されているティアーテープ6の一方の端部14を発熱用トレー2と保護シート5の間から引き出して、保護シート5と一緒に発熱用トレー2に接合し、反転屈曲して保護シート5の表面に融着し、ティアーテープ6の他方の端部15を、化学発熱装置1に設けた小孔20から突出させて自由端とする。
図2は、本発明の化学発熱装置1を組み込んだ携帯食品用容器15の断面図である。図2において、図1におけるのと同様の要素には、同一の符号を付して説明を省略する。
容器本体16には、下方から、化学発熱装置1と、食品トレー17が収容されている。容器本体16の断面形状は、食品の種類によって異なる。たとえば、赤飯、白飯、五目飯、ちらし寿司等のご飯類、各種調理済み食品、総菜類、カレー、ビーフシチュー、グラタン、ピラフ等、ご飯及び各種総菜類が詰め合わされた駅弁、仕出し弁当などの場合は、トレー型が好ましい。うどん、ラーメン、おでん、スープ類、酒等液状食品には、カップ型が適している。
容器本体16を、透明単層タイプにしたい場合には、ポリ塩化ビニル、スチレン系樹脂、ポリプロピレンで、透明多層タイプにしたい場合には、ポリプロピレン/エバール/ポリプロピレンで、アルミ箔タイプにしたい場合には、外面保護塗料/アルミ箔/ヒートシールラッカー、外面保護塗料/アルミ箔/ポリプロピレンで製造することが好ましい。
蓋18は、容器本体16の開口部全体を覆って、内容物を保護するとともに、発生する熱水蒸気が外部に漏出するのを防止するためのものである。駅弁或いは仕出し弁当のような形態食品の場合には、容器本体16と蓋18を、包装した上で、紐或いは輪ゴムで縛るだけでも十分である。
一方、カレー、シチュー、液状食品、ラーメン、うどん等麺類は、加熱が完了するまでは完全密閉が要求され、加熱終了後は、簡単に蓋がはずせる、いわゆるイージーオープン(イージーピール性)が要求される。このような場合には、EVAをベースとし、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレンなどのスチレン系樹脂或いはジペンテン重合体、或いはアルミ箔などの基材に押し出しコーティングしたものが好ましい。
化学発熱装置1は、容器本体16の底壁19上に載置されている。
食品トレー17は、化学発熱装置1の上面に密着させて重合されている。そのことにより、化学発熱装置1から発生する熱が伝導及び対流の両方で食品トレー17に伝達されるので、熱効率がよくなる。
容器本体16の側壁20には小孔21が形成されており、化学発熱装置1のティアーテープ6の先端15が引き出されている。このティアーテープ6の先端15を引き抜くと、化学発熱装置1の保護シート5と水袋4が、ほぼ同時に開裂されて、発熱反応が開始され、水蒸気が発生して、食品トレー17の調理済み御飯22と惣菜23を加熱する。
本発明で使用するプラスチックスの全部或いは一部を、加水分解性基を主鎖中に有する易加水分解性プラスチックス、高光感受性基を主鎖中に有する易光分解性プラスチックス等を使用すると、使用廃棄後、自然環境中で、生分解、光分解、加水分解するので、省資源化、環境汚染の防止に資する。
本発明で使用に適する易分解性プラスチックスを例示すると、脂肪族ポリエステル、ポリオキシ酸、ポリウレタン、ポリアミド、ポリウレア、ポリアンハイドライド、ポリ(アミドーエナミン)、ポリホスファゼン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリアジピン酸エステル、ポリエチレンデカメチレン、ポリアジピン酸テトラメチレン、ポリプロラクトン、ポリオルトエステルポ、ポリシアノアクリル酸エステル、ポリカプロラクタン等である。
次に、図に示した容器の各部の実際の製造要領について、例をあげて具体的に説明する。
〔携帯食品容器本体16の製造〕
ポリプロピレン/ポリ塩化ビニリデン/ポリプロピレンの3層ラミネートフィルムを使用して、深さ12cm、開口部の直径が15cm、底部の直径が10cmのカップ状容器本体16を、深絞り真空成形機で成形した。
〔携帯食品容器の蓋18の製造〕
ポリエチレンテレフタレート/ポリ塩化ビニリデンの2層ラミネートフィルムを使用して、図2に示す形状の蓋18を、真空成形機で成形した。
〔食品トレー17の製造〕
未延伸ポリプロピレン/ポリ塩化ビニリデンの2層ラミネートフィルムを使用して、図2に示すように、容器本体16の内壁に密着する形状の食品トレー17を真空成形機で成形した。この食品トレー17の底面には、化学発熱装置1から上昇してくる水蒸気が入る小孔を複数個形成し、御飯22と調理済み魚、野菜、コンブ、卵焼き、ハンバーグ23を入れた。
〔化学発熱装置1の製造〕
〔発熱用トレー2の製造〕
PPで、深さ18mm、縦140mm、横140mm、側壁内面に幅10mmの張り出し部7を設けた質量7.7gの発熱用トレー2を真空成形法で製造した。
〔発熱剤パック3の製造〕
使用した粉体アルミニウム:山石金属株式会社製、商品名「アトマイズアルミ VA-185」)
使用した粉体生石灰:秩父石灰工業株式会社製(200メッシュ、JIS 特号品)
使用した不織布:目付量 60g/m2, 厚さ 0.14mm、通気量 20cc/cm2,sec、ヒートシール強度 6.0kg
粉体アルミニウム15グラム、粉体生石灰10グラムを秤量して均一に混合し、長さ8cm、幅6cm、厚さ4mm、質量0.9gの不織布製の袋に充填して、発熱剤パック3を製造した。
〔水パック4の製造〕
PPフィルムで、幅9cm、長さ14cm、厚さ4mm、質量0.9gで、一方の端部に水パック開裂用突起13を有する袋を製造し、水40mlを充填した。
〔保護シート5の製造〕
発熱用トレー2にPPを使用したので、ONY/AL/CPPで1.1gの保護シート5を真空成形により製造した。
〔化学発熱装置1の製造〕
このようにして製造した発熱用トレー2の中に、順番に、発熱剤パック3,その上に水パック4を重合した。次いで、水パック4の一方の端部12に形成した水パック開裂用機構13と、ティアーテープ7を接着した。ティアーテープ14の残余の部分を、発熱用トレー2の上端縁部から突出させて、保護シート5と一緒に発熱用トレー2の上端縁部に熱融着させ、残余のティアーテープ6を反転屈曲させて、保護シート5の表面に融着させ、残余の約15cmをフリー状態にした。このようにして製造した化学発熱装置の1個の全質量は79.1gであった。
〔化学発熱装置付き携帯食品の製造〕
このようにして製造した化学発熱装置1を、携帯食品容器本体16の底部に収容し、ティアーテープ6の先端15を、携帯食品容器本体16の側壁20に形成した小孔21から貫通させた。次いで、化学発熱装置1の保護シート5に接して食品トレー17を乗せ、蓋18で携帯食品容器本体16を密閉した。
このようにして製造した化学発熱装置1を、駅弁を利用する年齢層のなかで、10歳以下の低年齢の利用者20名をランダムに選んで、ティアーテープを引かせるテストを50回行ったところ、水袋を破断できなかったケースはゼロであった。
比較例
特許文献1に記載された発熱装置で、本発明と同じ熱量を発生させるには、83gの生石灰(CaO)と73gの水を必要とする。数種の実験を繰り返した結果、83gの生石灰(CaO)をトレーに充填して、生石灰(CaO)が絶対に吸湿しないようにするには、約2.4gのAlラミネートフィルムで発熱用トレーを密封する必要があることが分かった。
CaO(83g), 水(70g)、水袋(3g)、発熱用トレー(7.7g)、台紙(3g)、水袋(3g)、密閉フィルム(2.4g)を組み立てて発熱装置を製造したところ全質量は169.3gであった。すなわち、本発明の実施例の約2.1倍であった。
次いで、駅弁を利用する年齢層のなかで、10歳以下の低年齢の利用者20名をランダムに選んで、ティアーテープを引かせるテストを50回行ったところ、水袋および発熱剤の両方を破断することができなかったケースが12例、発熱剤袋を破断することができなかったケースが13例あった。
本発明の化学発熱装置は、発熱用トレーの側壁の内面に所定の幅の張出し部を設け、水パックの一方の端部の裏面と、前記張出部とを接合して固定し、その下に発熱剤パックを載置しただけの簡単な構造なので、従来技術が必要としていた発熱剤パックを固定する固定板が不要となり、製造工程が簡略になり、製造コストが大幅に低減され、発熱用容器の外部から、ティアーテープを引くことにより、発熱用トレー内では水パックだけを開裂すればよいので、水パックと発熱剤パックの両方を開裂する構造の従来技術に比べて、構造が簡単であり、従来技術に比べて、不良品の発生率が大幅に低減するか、ないしはほぼ完全になくなる。従って、それ自体が独立した自己完結型の商品として商取引の対象になり、用途の拡大が可能になる。
また、本発明の化学発熱装置は、発携帯食品用容器本来の機能性、利便性、保管性、衛生保持性等を向上させるので、加熱機能付き携帯食品用容器の用途が拡大される。
本発明の化学発熱装置の一実施の形態の構成を示す分解断面図。 本発明の化学発熱装置を組み込んだ携帯食品用容器の断面図。
符号の説明
1:化学発熱装置
2:発熱用トレー
3:発熱剤パック
4:水パック
5:非透湿性保護シート
6:ティアーテープ
7:発熱用トレー張出部
8:発熱用トレー上端縁部
9:発熱剤
10:発熱剤充填袋
11:水
12:水パックの一方の端部
13:水パック開裂用機構
14:ティアーテープの一方の端部
15:ティアーテープの他方の端部
16:携帯食品用容器本体
17:食品トレー
18:蓋
19:容器本体16の底壁
20:容器本体16の側壁
21:小孔
22:調理済み御飯
23:惣菜

Claims (2)

  1. 上面開口する発熱用トレーに、化学発熱剤を透水性の袋に充填した発熱剤パックと、水パックと、ティアーテープを含み、発熱用トレーの上面開口部を非透湿性の保護シートで密封して、容器外部から、ティアーテープの引き抜きにより、保護シートと水パックを同時に開裂させるタイプの化学発熱装置であって、
    (1)発熱用トレーの側壁の内面に所定の幅の張出し部を設けること、
    (2)水パックの一方の端部に水パック開裂用機構を形成し、水パック開裂用機構にティアーテープの一方の端部を固着すること、
    (3)発熱用トレーの底面に発熱剤パックを載置し、その上に水パックを重合すること、
    (4)水パックの前記一方の端部の裏面と、前記張出部とを接合すること、および
    (5)前記ティアーテープを、発熱用トレーの上端縁部と保護シートの間から引出して、保護シートと一緒に発熱用トレーに接合し、残余を反転屈曲して、保護シートの表面と融着し、延長残部を発熱用トレーに設けた小孔から突出して自由端とすること、を特徴とする化学発熱装置。
  2. 請求項1に記載した化学発熱装置を組み込んだ携帯食品用容器。
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