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JP2007265846A - 円筒形電池およびその製造方法 - Google Patents

円筒形電池およびその製造方法 Download PDF

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JP2007265846A JP2006090492A JP2006090492A JP2007265846A JP 2007265846 A JP2007265846 A JP 2007265846A JP 2006090492 A JP2006090492 A JP 2006090492A JP 2006090492 A JP2006090492 A JP 2006090492A JP 2007265846 A JP2007265846 A JP 2007265846A
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智彦 横山
Yasuhiro Yamauchi
康弘 山内
Kenji Minamisaka
健二 南坂
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Sanyo Electric Co Ltd
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Abstract

【課題】集電体を安定して芯体露出部に溶接できるような溶接構造を採用して、内部抵抗が低減した円筒形電池を提供する。
【解決手段】本発明の円筒形電池は、渦巻状電極群10の正極芯体露出部11cに正極集電体14が溶接され、負極芯体露出部に負極集電体が溶接された電極体を外装缶内に備えている。集電体14は中心開口14bと中心開口14bから放射状に形成された略U字状溝部14cとを備え、芯体露出部11cは互に平行な一対のスリットに沿って渦巻の中心方向に向けて折曲されて形成された複数の折曲溝部11dを備え、この折曲溝部11d上に略U字状溝部14cが配置されていて、略U字状溝部14cの外底面と折曲溝部11dとの接触面が溶接されているとともに、折曲溝部11dが形成されたことにより芯体露出部11cに残存した立設部11eと略U字状溝部14cの側壁との接触面が溶接されている。
【選択図】 図3

Description

本発明は、リチウム二次電池やアルカリ蓄電池などの円筒形電池に係り、特に、渦巻状電極群の一方端部に形成された正極芯体露出部に正極集電体が溶接され、渦巻状電極群の他方端部に形成された負極芯体露出部に負極集電体が溶接された電極体を円筒形外装缶内に備えた円筒形電池およびその製造方法に関する。
近年、携帯電話、ノートパソコン、小型ビデオカメラ等の携帯用電子・通信機器等に用いられる電源、あるいはハイブリッド車(HEV)や電気自動車(EV)等の電源として、エネルギー密度(Wh/Kg)の高いリチウム二次電池などの円筒形電池が注目されている。
この種の円筒形のリチウム二次電池は、以下のようにして作製されるのが一般的である。即ち、まず、正極芯体(通常は、アルミニウム箔)に正極活物質を含有する正極合剤を塗布して帯状正極板を作製するとともに、負極芯体(通常は、銅箔)に負極活物質を含有する負極合剤を塗布して帯状負極板を作製する。この後、得られた帯状正極板と帯状負極板を帯状セパレータを介して相対向させて積層し、これらを渦巻状に巻回して渦巻状電極群とする。この後、渦巻状電極群の正極板端部の芯体露出部(正極合剤の未塗布部)と正極集電タブとを溶接するとともに、負極板端部の芯体露出部(負極合剤の未塗布部)と負極集電タブとを溶接して電極体とする。このようにして作製された電極体を円筒形外装缶内に収容し、非水電解液を注液した後、封口体で密閉して円筒形電池としている。
ここで、渦巻状電極群の正極板端部の芯体露出部と正極集電タブ(あるいは負極板端部の芯体露出部と負極集電タブ)とを溶接する場合、側端面に互に平行な一対のスリットを形成し、そのスリットに仕切られた部分の極板端部を折り曲げて、渦巻状電極群の側端面よりも内方位置に電極面を形成し、この電極面に集電タブを溶接することが特許文献1にて提案されている。上述した特許文献1に示された渦巻状電極群20においては、図7に示すように、一方の端部に正極板から延出した正極芯体露出部21aが形成されているとともに、他方の端部に負極板から延出した負極芯体露出部22aが形成されている。
そして、正極芯体露出部21aの上面に、4つの長方形状の板状体からなる正極集電タブ22,23,24,25が溶接されているとともに、負極芯体露出部の下面にも正極集電タブとほぼ同様な負極集電タブ(図示せず)が溶接されている。なお、負極集電タブの溶接は正極集電タブの溶接と同様であるので、以下では、正極集電タブの溶接についてのみ説明する。ここで、正極芯体露出部21aの上面に4つの正極集電タブ22,23,24,25を溶接する際には、正極芯体露出部21aの上面に4つの正極集電タブ22,23,24,25を配置し、これらの正極集電タブ22,23,24,25の上にレーザ光を照射して正極芯体露出部21aに各正極集電タブ22,23,24,25を溶接するようにしている。
特開2000−40502号公報
ところが、上述した特許文献1に示されるように、4つの集電タブを芯体露出部の上に配置し、これらの集電タブにレーザを照射して溶接する方法にあっては、部品点数が多いことから、その溶接方法が複雑でハンドリングも面倒であるとともに、作業性も悪いことから生産効率が低下するという問題を生じた。
また、各集電タブの底面と芯体露出部との接触面のみをレーザにより溶接するものであるため、各集電タブと芯体露出部との接触抵抗が比較的大きくなって、内部抵抗が比較的大きく、大電流の用途に用いられた場合に、電圧降下が大きくなって、作動電圧が低下するという問題も生じた。
そこで、本発明は上記問題点を解消するためになされたものであって、集電体を安定して芯体露出部に溶接できるような溶接構造を採用して、内部抵抗が低減した円筒形電池を提供するとともに、製造が容易で生産効率も向上した円筒形電池の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の円筒形電池は、渦巻状電極群の一方端部に形成された正極芯体露出部に正極集電体が溶接され、渦巻状電極群の他方端部に形成された負極芯体露出部に負極集電体が溶接された電極体を円筒形外装缶内に備えている。そして、上記目的を達成するため、集電体は中心開口と当該中心開口から放射状に形成された複数の略U字状溝部とを備え、芯体露出部は当該芯体露出部に形成された互に平行な一対のスリットに沿って渦巻の中心方向に向けて折曲されて形成された複数の折曲溝部を備えている。そして、この折曲溝部上に集電体に形成された略U字状溝部が配置されていて、当該略U字状溝部の外底面と折曲溝部との接触面が溶接されているとともに、折曲溝部が形成されたことにより当該芯体露出部に残存した立設部と略U字状溝部の側壁との接触面が溶接されている。
このように折曲溝部上に集電体に形成された略U字状溝部が配置されていて、当該略U字状溝部の外底面と折曲溝部との接触面が溶接されているとともに、折曲溝部が形成されたことにより当該芯体露出部に残存した立設部と略U字状溝部の側壁との接触面が溶接されていると、集電体に形成された略U字状溝部と芯体露出部との各接触面に安定した溶接部を形成することができるようになる。これにより、内部抵抗の低減化が可能な溶接構造が得られるようになる。この場合、製造の容易さを考慮すると、集電体に形成された略U字状溝部は中心開口から互に直角となる4方向に形成され、折曲溝部は渦巻の中心から互に直角となる4方向に形成されているのが望ましい。
なお、上述のような集電構造となる円筒形電池を製造するには、芯体露出部に渦巻の中心から放射状に互に平行な一対のスリットの複数組を形成するスリット形成工程と、互に平行な一対のスリットに沿って渦巻の中心方向に向けて芯体露出部を折り曲げることにより折曲溝部を形成する折曲溝部形成工程と、折曲溝部の上に集電体に形成された略U字状溝部を配置した後、当該略U字状溝部の底面上にエネルギー線を照射して、当該略U字状溝部の底面と前記折曲溝部との接触面を溶接する第1溶接工程と、略U字状溝部の側壁にエネルギー線を照射して、当該略U字状溝部の側壁と当該芯体露出部に残存した立設部との接触面を溶接する第2溶接工程とを備えるようにすればよい。なお、エネルギー線としては、電子線やレーザ光を用いることができるが、製造の容易さの観点からすると、レーザ光を用いるのが望ましい。
本発明の円筒形電池においては、集電体を安定して芯体露出部に溶接できるような溶接構造となるようになされているので、内部抵抗が低減した円筒形電池を得ることが可能となるとともに、製造が容易で生産効率も向上した円筒形電池を製造することが可能となる。
ついで、本発明の実施の形態を図1〜図6に基づいて以下に説明するが、本発明はこの実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。なお、図1は渦巻電極群を巻回して作製する状態を模式的に示す斜視図である。図2は作製された渦巻電極群の上面から見た状態を模式的に示す上面図であり、図2(a)は作製直後の渦巻電極群を示しており、図2(b)は渦巻電極群の電極板から延出した芯体露出部に一対の平行なスリット(切り込み)を形成した状態を示しており、図2(c)は一対の平行なスリットで仕切られた芯体露出部を折り曲げて折曲溝部を形成した状態を示している。図3は本発明の渦巻電極群に正極集電体を溶接する状態を模式的に示す図である。
図4は、折曲溝部が形成された渦巻電極群に正極集電体の略U字溝の底面と側面が溶接された状態を模式的に示す図であり、図4(a)は、折曲溝部での渦巻電極群の巻回方向と平行な方向の断面を示す断面図であり、図4(b)は折曲溝部での渦巻電極群の巻回方向と垂直な方向の断面を示す断面図である。図5は、折曲溝部が形成された渦巻電極群に正極集電体の略U字溝の底面が溶接された状態を模式的に示す図であり、図5(a)は、折曲溝部での渦巻電極群の巻回方向と平行な方向の断面を示す断面図であり、図5(b)は折曲溝部での渦巻電極群の巻回方向と垂直な方向の断面を示す断面図である。図6は折曲溝部が形成されない渦巻電極群に正極集電体の略U字溝の底面が溶接された状態を模式的に示す図であり、図6(a)は、U字溝での渦巻電極群の巻回方向と平行な方向の断面を示す断面図であり、図6(b)はU字溝での渦巻電極群の巻回方向と垂直な方向の断面を示す断面図である。
1.正極板
正極活物質としてのコバルト酸リチウム(LiCoO2)粉末94質量%と、導電剤としてのアセチレンブラックあるいはグラファイトなどの炭素系粉末3質量%とを混合して正極合剤を調製した。この正極合剤と、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)からなる結着剤3質量%とをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)からなる有機溶剤に溶解した結着剤溶液とを混練して、正極活物質スラリーを調製した。なお、正極活物質としては上述したLiCoO2以外に、LixMO2(但し、MはCo,Ni,Mnの少なくとも1種で、0.45≦x≦1.20)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物、例えば、LiNiO2,LiNiyCo1-y2(但し、0.01≦y≦0.99),Li0.5MnO2,LiMnO2などの1種単独、もしくは複数種を混合して用いるようにしてもよい。
ついで、アルミニウム箔(例えば、厚みが20μmのもの)からなる正極芯体11aを用意し、上述のように作製した正極活物質スラリーを正極芯体11aの片面に均一に塗布して、正極合剤層11bを形成した。この場合、正極合剤層11bの上側には正極活物質スラリーの塗布されていない所定幅(ここで、10mmとした)の非塗布部(正極芯体露出部)11cが正極芯体11aの端縁に沿って形成されるように塗布した。この後、乾燥機中を通過させて、スラリー作製時に必要であった有機溶剤(NMP)を除去して乾燥させた。乾燥後、ロールプレス機により厚みが0.06mmになるまで圧延して正極板を作製した。このようにして作製した正極板を幅が96mmとなる短冊状に切り出し、幅が10mmの帯状の正極芯体露出部11cを設けた正極板11を得た。
2.負極板
負極活物質としての天然黒鉛粉末98質量%と、結着剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)およびスチレンブタジエンゴム(SBR)をそれぞれ1質量%ずつ混合し、水を加えて混練して負極活物質スラリーを調製した。なお、負極活物質としては上述した天然黒鉛以外に、リチウムイオンを吸蔵・脱離し得るカーボン系材料、例えば、人造黒鉛、カーボンブラック、コークス、ガラス状炭素、炭素繊維、またはこれらの焼成体等を用いてもよいし、金属リチウム、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−鉛合金、リチウム−錫合金等のリチウム合金、SnO2、SnO、TiO2、Nb23等の電位が正極活物質に比べて卑な金属酸化物を用いてもよい。
ついで、銅箔(例えば、厚みが12μmのもの)からなる負極芯体12aを用意し、上述のように作製した負極活物質スラリーを負極芯体12aの片面に均一に塗布して、負極合剤層12bを形成した。この場合、負極合剤層12bの下側には負極活物質スラリーの塗布されていない所定幅(ここで、8mmとした)の非塗布部(負極芯体露出部)12cが形成されるように塗布した。この後、乾燥機中を通過させて乾燥させた。乾燥後、ロールプレス機により厚みが0.05mmになるまで圧延して負極板を作製した。このようにして作製した負極板を幅が98mmとなる短冊状に切り出し、幅が8mmの帯状の負極芯体露出部12cを設けた負極板12を得た。
3.渦巻状電極群
ついで、ポリエチレン製微多孔膜(厚みが0.022mmで、幅が100mmのもの)からなる帯状セパレータ13,13を用意し、上述のようにして作製した正極板11と負極板12とをそれぞれセパレータ13,13上に配置して幅方向へずらすとともに、これらの幅方向の中心線が一致するように重ね合わせた。これにより、正極芯体露出部11cおよび負極芯体露出部12cはセパレータ13の両端縁からそれぞれ外側へ突出することとなる。この後、巻取機によりこれらを渦巻状に巻回した後、最外周をテープ止めして渦巻状電極群10を作製した。なお、このようにして作製された渦巻状電極群10においては、一方の端部では正極板11の正極芯体露出部11cがセパレータ13の一方の端縁よりも外方へ突出し、他方の端部では負極板12の負極芯体露出部12cがセパレータ13の他方の端縁よりも外方へ突出している。
上述のように作製した渦巻状電極群10の正極芯体露出部11cの上面にカッター(図示せず)を押し当てて、図2(b)に示すように、正極芯体露出部11cに一定の深さ(正極芯体露出部11cの先端部からセパレータ13の端部までで、例えば、2mm)で互に平行な一対のスリットX1,X2およびY1,Y2を形成した。この場合、一対のスリットX1,X2あるいはY1,Y2を、それらの幅が後述する正極集電体14に形成された断面形状が略U字状溝部14cの幅(外形寸法)と略同寸法になるように形成した。なお、ここでは、正極芯体露出部11cについてのみ説明するが、負極芯体露出部12cにおいても正極芯体露出部11cの場合と同様である。
ついで、上述のようにして形成された一対のスリットX1,X2あるいはY1,Y2で仕切られた正極芯体露出部11cを渦巻状電極群10の外周側から中心部に向けて折り曲げた。これにより、渦巻状電極群10の正極芯体露出部11c側に折曲溝部11dが形成されることとなる。この場合、渦巻状電極群10の正極芯体露出部11c側に折曲溝部11dが形成されることにより、折曲溝部11dの上部両側には、正極芯体露出部11cの立設部11eが形成されることとなる。なお、渦巻状電極群10の負極芯体露出部12c側にも折曲溝部(図示せず)が形成され、この折曲溝部の下部両側には、負極芯体露出部12cの立設部(図示せず)が形成されることとなる。
ここで、折曲溝部11dが形成された渦巻状電極群10を渦巻状電極群aとし、折曲溝部11dを形成しない渦巻状電極群10を渦巻状電極群bとした。
4.渦巻状電極体
ついで、正極集電体14を用意した。ここで、正極集電体14は、図3に示すように、円形の平板状本体部14aと、この本体部14aから延出したリード部14eとを備え、これらが一体的に形成されている。また、平板状本体部14aには、その中心部に中心開口14bと、この中心開口14bから放射状に伸びる複数本の断面形状が略U字状溝部14cと、中心開口14bの周囲に複数の注液孔14dとを備え、これらが一体的に形成されている。なお、図3においては、正極集電体14のみを図示しているが、負極集電体も正極集電体14とほぼ同様な構成となるので、その説明は省略する。
ついで、渦巻状電極群aの上に正極集電体14を配置し、正極芯体露出部11c側に形成された折曲溝部11dに、正極集電体14に形成された略U字状溝部14cを合わせて、折曲溝部11dに略U字状溝部14cを嵌合させた。
ついで、図4(a)に示すように、略U字状溝部14cの底面の中心部に沿ってレーザ光Laを照射した。この後、略U字状溝部14cの一方の側壁の高さ方向の中心部に沿ってレーザ光Lbを照射し、さらに、他方の側壁の高さ方向の中心部に沿ってレーザ光Lcを照射した。これにより、略U字状溝部14cの底面と折曲溝部11dとの接触面に第1溶接部15aが形成され、略U字状溝部14cの一方の側壁と正極芯体露出部11cの立設部11eとの接触面に第2溶接部15bが形成され、略U字状溝部14cの他方の側壁と正極芯体露出部11cの立設部11eとの接触面に第3溶接部15cが形成されることとなる。
一方、渦巻状電極群aの下に配置された負極集電体の略U字状溝部を負極芯体露出部12c側に形成された折曲溝部に嵌合させた後、上述と同様に、レーザ光La,Lb,Lcを照射して、負極集電体の略U字状溝部の底面と折曲溝部との接触面、略U字状溝部の一方の側壁と負極芯体露出部12cの立設部との接触面、および略U字状溝部の他方の側壁と負極芯体露出部12cの立設部との接触面にそれぞれ溶接部を形成し、電極体A1を作製した。
また、渦巻状電極群aの上に正極集電体14を配置し、正極芯体露出部11c側に形成された折曲溝部11dに、正極集電体14に形成された略U字状溝部14cを合わせて、折曲溝部11dに略U字状溝部14cを嵌合させた。ついで、図5(a)に示すように、略U字状溝部14cの底面の中心部に沿ってレーザ光Laを照射した。これにより、略U字状溝部14cの底面と折曲溝部11dとの接触面に溶接部16aが形成されることとなる。
一方、渦巻状電極群aの下に配置された負極集電体の略U字状溝部を負極芯体露出部12c側に形成された折曲溝部に嵌合させた後、上述と同様に、レーザ光Laを照射して、負極集電体の略U字状溝部の底面と折曲溝部との接触面に溶接部を形成し、電極体B1を作製した。
さらに、渦巻状電極群bの上に正極集電体14を配置し、正極芯体露出部11cに正極集電体14の本体部14aを押し付けることにより、正極集電体14の略U字状溝部14cを正極芯体露出部11cに食い込ませた。ついで、ついで、図6(a)に示すように、略U字状溝部14cの底面の中心部に沿ってレーザ光Laを照射した。これにより、略U字状溝部14cの底面と正極芯体露出部11cとの接触面に溶接部17aが形成されることとなる。
一方、渦巻状電極群bの下に配置された負極集電体の本体部を押し付けることにより、負極集電体の溝を負極芯体露出部12cに食い込ませた後、上述と同様に、レーザ光Laを照射して、負極集電体の略U字状溝部の底面と負極芯体露出部12cとの接触面に溶接部を形成し、電極体C1を作製した。
5.非水電解液二次電池
ついで、上述のように作製した電極体A1,B1,C1を円筒状の金属製外装缶に挿入する。この後、負極集電体の本体部から延出した負極リードを外装缶の底部内面にスポット溶接した後、正極集電体14の本体部14aから延出した正極リード14eを封口体(なお、この封口体の内部には圧力弁が設けられているとともに周囲に絶縁ガスケットが配設されている:図示せず)の底部にレーザ溶接する。ついで、外装缶内にエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)を3:7の容積比で混合した混合溶媒に、電解質としてLiPF6を1モル/リットルの割合で溶解させた非水電解液を注液した後、封口体を外装缶の開口部の下部周囲に形成された絞り部に配置し、外装缶の開口部を封口体側にかしめて密封することにより、円筒形非水電解液二次電池(A,B,C)が作製される。
ここで、電極体A1を用いたものを電池Aとし、電極体B1を用いたものを電池Bとし、電極体C1を用いたものを電池Cとした。なお、電解質としては、上述した六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)以外に、過塩素酸リチウム(LiClO4)、ホウフッ化リチウム(LiBF4)、六フッ化珪酸リチウム(LiAsF6)、トリフルオロメチルスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、ビストリフルオロメチルスルホニルイミドリチウム(LiN(CF3SO22)などのリチウム塩を用いるようにしてもよい。また、有機溶媒に対する溶解量としては、1モル/リットルに限らず、0.5〜2.0モル/リットルとするのが好ましい。
上述のようにして作製した各電池A,B,Cを用いて、これらの各電池A,B,Cを周波数1kHzでの交流インピーダンスを測定することにより、各電池A,B,Cの内部抵抗(mΩ)を求めると、下記の表1に示すような結果となった。
Figure 2007265846
上記表1の結果から明らかなように、電池Cは内部抵抗が0.81mΩと大きいことが分かる。これは、電池Cにおいては、正極芯体露出部11cに正極集電体14の本体部14aを押し付けることにより、正極集電体14に形成された略U字状溝部14cを正極芯体露出部11cに食い込ませるようにしている。このため、正極芯体露出部11cと正極集電体14に形成された略U字状溝部14cの底面との接触が十分ではなく、これらの接触面に十分な溶接部17aが形成されなかったと考えられる。
また、略U字状溝部14cを正極芯体露出部11cに食い込ませるようにすると、図6(b)に示すように、正極芯体露出部11c間に隙間Z(図6(b)の丸印内参照)が生じ、この状態でレーザ光Laを照射すると、レーザ光Laが溝14cの底壁を貫通して隙間Z内に浸入するようになる。これにより、溶接ちりが電極体内に飛散して短絡が発生するという不具合が生じるようになる。
一方、電池Bは内部抵抗は0.77mΩとなって、電池Cよりも内部抵抗が改善されていることが分かる。これは、電池Bにおいては、略U字状溝部14cの底面と折曲溝部11dとの接触面に溶接部16aが形成されているので、正極芯体露出部11cと略U字状溝部14cの底面との接触が良好となる。これにより、折曲溝部11d内での正極芯体露出部11cと溝14cの底面との溶接部16aが安定して、内部抵抗が低下したと考えられる。この場合、正極芯体露出部11cにその端部が折り曲げられて折曲溝部11dが形成されているので、レーザ光Laが溝14cを貫通して電極体内に浸入することはない。
これらに対して、電池Aは内部抵抗は0.75mΩとなって、電池C、電池Bよりもさらに内部抵抗が改善されていることが分かる。これは、電池Aにおいては、略U字状溝部14cの底面と折曲溝部11dとの接触面に第1溶接部15aが形成され、略U字状溝部14cの一方の側壁と正極芯体露出部11cの立設部11eとの接触面に第2溶接部15bが形成され、略U字状溝部14cの他方の側壁と正極芯体露出部11cの立設部11eとの接触面に第3溶接部15cが形成されているので、正極芯体露出部11cと略U字状溝部14cの底面および側面での接触が良好となる。これにより、第1溶接部15a、第2溶接部15bおよび第3溶接部15cが安定して形成されるようになって、内部抵抗がさらに低下したと考えられる。
上述したように、本発明の円筒形電池においては、集電体を安定して芯体露出部に溶接できるような溶接構造となるようになされているので、内部抵抗が低減した円筒形電池を得ることが可能となるとともに、製造が容易で生産効率も向上した円筒形電池を製造することが可能となる。
なお、上述した実施の形態においては、レーザ光を照射して渦巻電極群の両端部に正極集電体と負極集電体を溶接する例について説明したが、レーザ光に代えて、本発明のように電子線や他のエネルギー線を照射して溶接するようにしてもよいことは明らかである。また、上述した実施の形態においては、本発明を非水電解液二次電池に適用する例について説明したが、本発明の円筒形電池は、非水電解液二次電池に限らず、一方の端部に正極芯体露出部が形成され、他方の端部に負極芯体露出部が形成された渦巻電極群が円筒形外装缶内に収容された電池であれば、ニッケル−水素蓄電池、ニッケル−カドミウム蓄電池などのアルカリ蓄電池やその他の蓄電池に適用できることは明らかである。
渦巻電極群を巻回して作製する状態を模式的に示す斜視図である。 作製された渦巻電極群の上面から見た状態を模式的に示す上面図であり、図2(a)は作製直後の渦巻電極群を示しており、図2(b)は渦巻電極群の電極板から延出した芯体露出部に一対の平行なスリット(切り込み)を形成した状態を示しており、図2(c)は一対の平行なスリットで仕切られた芯体露出部を折り曲げて折曲溝部を形成した状態を示している。 本発明の渦巻電極群に正極集電体を溶接する状態を模式的に示す図である。 折曲溝部が形成された渦巻電極群に正極集電体の略U字溝の底面と側面が溶接された状態を模式的に示す図であり、図4(a)は、折曲溝部での渦巻電極群の巻回方向と平行な方向の断面を示す断面図であり、図4(b)は折曲溝部での渦巻電極群の巻回方向と垂直な方向の断面を示す断面図である。 折曲溝部が形成された渦巻電極群に正極集電体の略U字溝の底面が溶接された状態を模式的に示す図であり、図5(a)は、折曲溝部での渦巻電極群の巻回方向と平行な方向の断面を示す断面図であり、図5(b)は折曲溝部での渦巻電極群の巻回方向と垂直な方向の断面を示す断面図である。 折曲溝部が形成されない渦巻電極群に正極集電体の略U字溝の底面が溶接された状態を模式的に示す図であり、図6(a)は、U字溝での渦巻電極群の巻回方向と平行な方向の断面を示す断面図であり、図6(b)はU字溝での渦巻電極群の巻回方向と垂直な方向の断面を示す断面図である。 従来例の渦巻電極群に正極集電タブが溶接された状態を模式的に示す斜視図である。
符号の説明
10…渦巻状電極群、11…正極板、11a…正極芯体、11b…正極合剤層、11c…正極芯体露出部、11d…折曲溝部、11e…立設部、12…負極板、12a…負極芯体、12b…負極合剤層、12c…負極芯体露出部、13…セパレータ、14…正極集電体、14a…本体部、14b…中心開口、14c…略U字状溝部、14d…注液孔、14e…正極リード、15a…第1溶接部、15b…第2溶接部、15c…第3溶接部、16a…溶接部、17b…溶接部、La,Lb,Lc…レーザ光、X1,X2…スリット、Y1,Y2…スリット、Z…隙間

Claims (5)

  1. 渦巻状電極群の一方端部に形成された正極芯体露出部に正極集電体が溶接され、前記渦巻状電極群の他方端部に形成された負極芯体露出部に負極集電体が溶接された電極体を円筒形外装缶内に備えた円筒形電池であって、
    前記集電体は中心開口と当該中心開口から放射状に形成された複数の略U字状溝部とを備え、
    前記芯体露出部は当該芯体露出部に形成された互に平行な一対のスリットに沿って渦巻の中心方向に向けて折曲されて形成された複数の折曲溝部を備え、
    前記折曲溝部上に前記集電体に形成された略U字状溝部が配置されていて、当該略U字状溝部の外底面と前記折曲溝部との接触面が溶接されているとともに、前記折曲溝部が形成されたことにより当該芯体露出部に残存した立設部と前記略U字状溝部の側壁との接触面が溶接されていることを特徴とする円筒形電池。
  2. 前記略U字状溝部は前記中心開口から互に直角となる4方向に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の円筒形電池。
  3. 前記折曲溝部は渦巻の中心から互に直角となる4方向に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の円筒形電池。
  4. 渦巻状電極群の一方端部に形成された正極芯体露出部に正極集電体を溶接するとともに、前記渦巻状電極群の他方端部に形成された負極芯体露出部に負極集電体を溶接した電極体を円筒形外装缶内に収容して形成する円筒形電池の製造方法であって、
    前記芯体露出部に渦巻の中心から放射状に互に平行な一対のスリットの複数組を形成するスリット形成工程と、
    前記互に平行な一対のスリットに沿って渦巻の中心方向に向けて前記芯体露出部を折り曲げることにより折曲溝部を形成する折曲溝部形成工程と、
    前記折曲溝部の上に集電体に形成された略U字状溝部を配置した後、当該略U字状溝部の底面上にエネルギー線を照射して、当該略U字状溝部の底面と前記折曲溝部との接触面を溶接する第1溶接工程と、
    前記略U字状溝部の側壁にエネルギー線を照射して、当該略U字状溝部の側壁と当該芯体露出部に残存した立設部との接触面を溶接する第2溶接工程とを備えたことを特徴とする円筒形電池の製造方法。
  5. 前記エネルギー線はレーザ光であることを特徴とする請求項4に記載の円筒形電池の製造方法。
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