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JP2007264614A - 現像剤担持体及びその製造方法ならびに該現像剤担持体を有する現像装置 - Google Patents

現像剤担持体及びその製造方法ならびに該現像剤担持体を有する現像装置 Download PDF

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JP2007264614A JP2007045648A JP2007045648A JP2007264614A JP 2007264614 A JP2007264614 A JP 2007264614A JP 2007045648 A JP2007045648 A JP 2007045648A JP 2007045648 A JP2007045648 A JP 2007045648A JP 2007264614 A JP2007264614 A JP 2007264614A
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稔 伊藤
Masayoshi Shimamura
正良 嶋村
Yasuhisa Akashi
恭尚 明石
Kazunori Saiki
一紀 齊木
Satoshi Otake
智 大竹
Takuma Matsuda
拓真 松田
Noriaki Kuroda
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Abstract

【課題】チャージアップによるスリーブゴーストや画像濃度低下、カブリなどの画像不良が生じ難く、終始安定した画質が得られ、トナー汚染やスリーブ融着などを防止することで、高精細な画像を安定して得ることができる現像剤担持体、該現像剤担持体の製造方法及び該現像剤担持体を有する現像装置を提供する。
【解決手段】少なくとも基体と導電性樹脂被覆層とを有する現像剤担持体において、表層が、少なくともオキシアルキレン基を有するポリシロキサンを含有し、前記基体と前記表層の間に少なくとも前記導電性樹脂被覆層を有する事を特徴とする現像剤担持体。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真法を用いた画像形成装置の複写機、プリンタ等において使用される、現像剤担持体及びその製造方法ならびに該現像剤担持体を有する現像装置に関する。
近年、電子写真法を用いた画像形成装置は、従来の複写機以外にプリンタ、ファクシミリ等多数になっている。プリンタ装置はLED、LBPプリンタが最近の市場の主流になっており、技術の方向としてより高解像度即ち、従来300、400dpiであったものが600、800、1200dpiとなってきている。従って現像方式もこれにともなってより高精細なものが要求されてきている。また、複写機においても高機能化が進んでおり、そのためデジタル化の方向に進んでいる。この方向は静電荷像をレーザーで形成する方法が主である為、やはり高解像度の方向に進んでおり、ここでもプリンタと同様に高解像・高精細の現像方式が要求されてきており、トナーの小粒径化及び微粒子化が進んでいる。
このような粒径の小さいトナーでは単位質量当りの表面積が大きくなるため、現像工程時に表面電荷が大きくなりやすい。特に、このような小粒径のトナーを用いながら、現像剤担持体が繰り返し回転を行っているうちに、現像剤担持体上に担持されたトナーの帯電量が現像剤担持体との接触により高くなり過ぎる傾向がある。これにより、トナーが現像剤担持体表面に強く引きつけられて現像剤担持体表面上で不動状態となり、現像剤担持体から静電潜像担持体(以下「感光ドラム」とも称する)上の潜像に移動しなくなるという、所謂チャージアップ現象が特に低湿環境下にて発生しやすくなる。この様なチャージアップ現象が発生すると、現像剤担持体上の現像剤層のうち、上層のトナーは帯電しにくくなりトナーの現像量が低下し、ライン画像の細りやベタ画像の画像濃度不足のような問題が生じやすくなる。更に、チャージアップにより適正に帯電されないトナーが規制不良となって現像剤担持体上に流出し、斑点状、波上のムラとなる、いわゆるブロッチ現象も発生しやすくなる。また、前述したチャージアップ現象は、ハーフトーン画像を出力した際に、一周前の文字や黒い図形などがわずかに残像してしまういわゆるスリーブゴースト現象を発生しやすくする傾向にある。さらに、複数枚出力した後、スリーブ表面にエアーブローで取れない程度に固着したトナーが存在しているスリーブ汚染現象等の問題が発生しやすい傾向にある。
また、省エネルギー、オフィスの省スペース化といった点において、プリンタ・複写機本体はより小型化が求められている。そのため、トナー容器も小容量タイプに設計されるようになってきた。これに対応するためにトナーも少量で多数枚のプリントアウトが可能な、すなわち同じ画像のプリントアウトをより少量のトナーで賄えるような高転写性を達成するために、トナーの形状を球形に近づけたトナーが用いられてきている。トナーの形状を球形に近づけるために、例えば、トナー自身を機械的衝撃力により球形化処理する方法、噴霧造粒法、溶液溶解法、重合法といった製造方法が用いられてきている。
このような球形化されたトナーでは、流動性が良すぎるために現像剤規制部材により現像剤担持体上に均一な薄層をコートする事が難しく、現像剤規制部材による規制を強める事が必要となる。その結果、トナーのチャージアップやトナー汚染及びトナー融着が発生しやすくなり、前述したようなチャージアップによるスリーブゴースト、ブロッチ現象、濃度ムラ等の画像不良が一層起こりやすい傾向にある。
一方、前記方式の現像に用いられる現像剤担持体の一つとして現像スリーブが挙げられる。この現像スリーブとしては、例えば金属、その合金またはその化合物を円筒状に成型し、その表面を電解、ブラスト、ヤスリ等で所定の表面粗度になるように処理したものが従来から用いられてきた。しかしこの場合、現像剤規制部材によって現像剤担持体表面に形成されるトナー層中の現像剤担持体表面近傍に存在するトナーは非常に高い電荷を有することとなり、現像剤担持体表面に強く引きつけられて不動状態になりやすい。これによりトナーと現像剤担持体との摩擦機会が少なくなるため、トナーは好適な電荷が保持できなくなる。このような状況下では、十分な現像及び転写は行われず、得られた画像は濃度ムラや文字飛び散りの多いものになってしまう。
このような過剰な電荷を有するトナーの発生や、トナーの現像剤担持体への強固な付着を防止するため、樹脂中にカーボン或いは結晶性グラファイトの如き導電性物質やグラファイトの如き固体潤滑剤を分散させた樹脂被覆層を前記現像剤担持体上に形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このような結晶性グラファイトを分散させた樹脂被覆層を用いた場合は、樹脂被覆層表面が結晶性グラファイトの燐片状の構造から起因して良好な潤滑性と導電性を有するようになる。これによりチャージアップやスリーブゴーストに対しては、十分な効果を発揮することができる。しかしながら、前記の結晶性グラファイトは形状が燐片状であるがために樹脂被覆層表面形状が不均一となりやすく、均一な潤滑性を有する表面が得られ難いためにトナーに均一な帯電性を付与しづらい。さらに結晶性グラファイトの硬度が低いため、樹脂被覆層表面で結晶性グラファイト自体の摩耗や脱離が発生しやすい。そのため、耐久を進めていった場合に樹脂被覆層の表面粗さや表面組成が変化して、トナーの搬送不良やトナーへの帯電付与の不均一化が起こりやすくなる。
一方、添加量が少量の場合には、結晶性グラファイト及びカーボンの如き導電性微粉末の効果が薄く、チャージアップやスリーブゴーストに対して不十分であるという問題が残る。
また、樹脂中に固体潤滑剤及び導電性微粉末、更に球状粒子を分散させた導電性樹脂被覆層を金属基体上に設けた現像剤担持体も提案されている(例えば、特許文献2参照)。この現像剤担持体は、樹脂被覆層の耐摩耗性や機械的強度が向上するとともに、樹脂被覆層表面の形状が均一化し、更に表面粗さの変化も少ない。これにより、現像剤担持体上のトナー担持性が安定化し、画像濃度、ベタ画像等のスジ・ムラ等の画質がより良化するとされている。しかしながら、この現像剤担持体においても表面の潤滑性が十分に均一でないため、小粒径で球形化されたトナーを用いた場合にはチャージアップやトナー汚染等に対して不十分であり、低湿度もしくは高湿度環境下での使用で画像不良をもたらすことがある。
また、現像剤担持体の基体外周面を、導電性粒子を含有する樹脂からなる粗面層で被覆し、その上に保護層として、ゾルゲル法により酸化チタン薄膜を設けることも提案されている(例えば、特許文献3参照)。この方法により、表面に酸化チタン保護層を設けることで現像剤担持体として耐磨耗性は向上する。しかし、現像剤担持体表面の潤滑性が不十分となり、トナーによるスリーブ汚染やスリーブ融着が発生しやすくなる。その結果、カブリや画像濃度薄等の画像不良を招きやすい欠点がある。
また、Ni薄層上にシリコーン樹脂系離型剤を塗布する事により、トナーの帯電不良を防ぐ方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。その方法によると、現像初期におけるトナーの帯電不良を防ぎ、地肌かぶりやトナー担持体表面からのトナーのこぼれ等が抑制されるが、耐久によりコーティング層が剥離されやすく、耐久と共にスリーブゴースト等の画像不良を招きやすい。
以上述べてきたように、電子写真の高画質化技術の進展に伴い、チャージアップによるスリーブゴーストやトナー汚染、スリーブ融着などの発生による画像不良が長年の課題となっているが、未だ十分な技術が確立されていない。
特開平 05−066680号公報 特開平 03−200986号公報 特開2001−100510号公報 特開平 03−252682号公報
本発明の目的は、チャージアップによるスリーブゴーストや画像濃度低下、及びカブリなどの画像不良が生じ難く、終始安定した画質が得られる現像剤担持体、該現像剤担持体の製造方法及び該現像剤担持体を有する現像装置を提供することにある。
また本発明の目的は、現像剤担持体表面へのトナー汚染やスリーブ融着などを防止することで、高精細な画像を安定して得ることができる現像剤担持体、該現像剤担持体の製造方法及び該現像剤担持体を有する現像装置を提供することにある。
本発明の目的は、以下の手段により達成される。
少なくとも基体と、導電性樹脂被覆層と、表層とを有している現像剤担持体において、
該表層が、少なくともオキシアルキレン基を有するポリシロキサンを含有していることを特徴とする現像剤担持体。
少なくとも基体と、導電性樹脂被覆層と、オキシアルキレン基を有するポリシロキサンを含有している表層とを有している現像剤担持体の製造方法であって、
下記工程(I)及び(II)を有することを特徴とする現像剤担持体の製造方法:
(I)該導電性樹脂被覆層の表面に、カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物とフッ化アルキル基を有する加水分解性シラン化合物とを含む塗膜を形成し、該カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物とフッ化アルキル基を有する加水分解性シラン化合物とを加水分解によって縮合させる工程;
(II)前記カチオン重合可能な基を開裂させることにより、工程(I)により得られた加水分解性縮合物を架橋させて該表層を形成する工程。
少なくともトナーを有する現像剤を収容している容器と、前記容器に貯蔵された現像剤を担持搬送するための現像剤担持体を有し、現像剤層厚規制部材により前記現像剤担持体上に現像剤層を形成しながら現像剤担持体上の現像剤を静電潜像担持体と対向する現像領域へと搬送し、前記静電潜像担持体の静電潜像を現像剤により現像し、トナー像を形成する現像装置において、前記現像剤担持体が、上記の現像剤担持体である事を特徴とする現像装置。
本発明によれば、現像剤担持体表面の潤滑性が優れているため、トナーのチャージアップが発生せず、現像剤担持体表面へのトナーの汚染や融着を防止して、画像濃度低下やカブリ、ゴーストの発生のない高品位な画像を安定して得られる現像剤担持体、前記現像剤担持体の製造方法、及び現像装置が提供される。
本発明の現像剤担持体について更に詳細に述べる。
本発明の現像剤担持体は、少なくとも基体と導電性樹脂被覆層と表層とを有している。そして本発明の現像剤担持体は、該表層が少なくともオキシアルキレン基を有するポリシロキサンを含有している。
オキシアルキレン基を有するポリシロキサン層の下層に、導電層である導電性樹脂被覆層を形成する構成とすることで、従来以上にチャージアップを抑え導電性樹脂被覆層と現像剤との静電気的な付着を抑制し、電子写真画像においてスリーブゴーストの発生を軽減することができる。また、オキシアルキレン基を有するポリシロキサン層を表層に形成することで、現像剤担持体表面の潤滑性が向上する。その結果、現像剤担持体表面で導電性樹脂被覆層と現像剤との付着が物理的に抑制でき、ゴーストの発生を軽減させることができる。前記現像剤担持体が中間層である導電性樹脂被覆層を有さず、基体上に直接ポリシロキサン層を形成すると、基体表面に抵抗の高いポリシロキサン表層が形成されやすくなる。その結果、表層のポリシロキサン層上で現像剤がチャージアップしやすく、表層上でトナー付着が発生し、電子写真方式のプリント時にスリーブゴーストが悪化しやすくなる。さらに、基体上に直接ポリシロキサン層を形成すると、基体とポリシロキサン層の密着力が弱いので、ポリシロキサン層の剥がれが生じやすい。導電性樹脂被覆層上にポリシロキサン層を形成することにより、ポリシロキサン層が導電性樹脂被覆層にある程度浸透し密着しやすくなり、表層の剥がれが生じにくくなると共に、表層の導電性が損なわれにくい。上記と同様の効果により、トナーによる現像剤担持体表面への汚染が防止され、現像剤担持体上のトナーを安定して均一に帯電することが可能となる。さらに、これにより、画像濃度低下、カブリ、スリーブゴースト等の発生を抑制する事ができる。また、前記オキシアルキレン基を有するポリシロキサンは、フッ化アルキル基を有することが、好ましい。前記フッ化アルキル基を有すると、現像剤担持体表面の潤滑性が一層向上し、トナーのチャージアップやトナーによる現像剤担持体表面への汚染を、より抑制させる効果がある。また、更に前記ポリシロキサンがアルキル基及びアリール基を有することで、表層の密着性が向上し、前記のトナーのチャージアップやトナーによる現像剤担持体表面への汚染を、より安定して抑制することができる。
前記のオキシアルキレン基とは、―O―R―(R:アルキレン基)で示される構造を有する2価の基(「アルキレンエーテル基」と呼ばれることもある。)である。このR(アルキレン基)としては、炭素数1〜6のアルキレン基が好ましい。
フッ化アルキル基としては、例えば、直鎖型または分岐型アルキル基の水素原子の一部または全部をフッ素原子で置換したものが挙げられる。その中でも、炭素数6〜31の直鎖状のパーフルオロアルキル基が、トナーのチャージアップやトナーによる現像剤担持体表面への汚染を抑制する効果が優れているために、好ましい。
前記ポリシロキサン中のフッ化アルキル基の含有量は、前記ポリシロキサン全質量に対して5.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。また、前記ポリシロキサン中のオキシアルキレン基の含有量は、前記ポリシロキサン全質量に対して5.0質量%以上70.0質量%以下であることが好ましい。また、前記ポリシロキサン中のシロキサン部分の含有量は、ポリシロキサン全質量に対して20.0質量%以上90.0質量%以下であることが好ましい。本発明において、前記シロキサン部分とは、ポリシロキサン中の−Si−O−Si−で示される構造を有する部分をいう。
前記ポリシロキサンは、下記工程(I)及び(II)を経て得られるポリシロキサンであることが好ましい。
(I)カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物と、フッ化アルキル基を有する加水分解性シラン化合物とを加水分解によって縮合させる縮合工程
(II)前記カチオン重合可能な基を開裂させることにより、工程(I)により得られた加水分解性縮合物を架橋させる架橋工程
そして、前記ポリシロキサンは、アルキル基及びアリール基を有することがさらに好ましい。この場合、前記シロキサン中のフッ化アルキル基の含有量は、ポリシロキサン全質量に対して5.0質量%以上30.0質量%以下であることがさらに好ましい。また、ポリシロキサン中のオキシアルキレン基の含有量は、ポリシロキサン全質量に対して5.0質量%以上30.0質量%以下であることがさらに好ましい。また、前記ポリシロキサン中のアルキル基の含有量は、ポリシロキサン全質量に対して5.0質量%以上30.0質量%以下であることがさらに好ましい。また、前記ポリシロキサン中のアリール基の含有量は、ポリシロキサン全質量に対して5.0質量%以上30.0質量%以下であることがさらに好ましい。また、ポリシロキサン中のシロキサン部分の含有量は、ポリシロキサン全質量に対して20.0質量%以上80.0質量%以下になるようにすることがさらに好ましい。前記のようにポリシロキサン中の成分の比率を制御することでつまり、前記ポリシロキサンの持つ官能基が1種類のものに片寄らなくなり、トナーのチャージアップやトナーによる現像剤担持体表面への汚染を抑制する効果が向上する。
また、前記アルキル基としては、炭素数1〜21の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、さらにはメチル基、エチル基、n−プロピル基、ヘキシル基、デシル基が本発明の効果を向上する点でより好ましい。またこのアリール基としては、炭素数1〜21のアリール基が好ましく、さらにはフェニル基が本発明の効果を向上する点でより好ましい。
前記ポリシロキサンは、下記工程(V)及び(VI)を経て得られるポリシロキサンであることが好ましい。
(V)カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物と、フッ化アルキル基を有する加水分解性シラン化合物と、アルキル基を有する加水分解性シラン化合物と、アリール基を有する加水分解性シラン化合物とを加水分解によって縮合させる縮合工程
(VI)前記カチオン重合可能な基を開裂させることにより、工程(V)により得られた加水分解性縮合物を架橋させる架橋工程
前記カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物は、下記式(2)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物であることが好ましい。
Figure 2007264614
(式(2)中、R21は、飽和または不飽和の1価の炭化水素基を示す。R22は、飽和または不飽和の1価の炭化水素基を示す。Z21は、2価の有機基を示す。Rc21は、カチオン重合可能な基を示す。dは、0乃至2の整数であり、eは、1乃至3の整数であり、d+e=3である。)
上記式(2)中のRc21で示されるカチオン重合可能な基とは、開裂によってオキシアルキレン基を生成するカチオン重合可能な有機基を意味する。前記カチオン重合可能な基として、例えば、エポキシ基やオキセタン基などの環状エーテル基、及び、ビニルエーテル基などが挙げられる。これらの中でも、入手の容易性及び反応制御の容易性の観点から、エポキシ基が好ましい。
上記式(2)中のR21及びR22で示される飽和又は不飽和の1価の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基及びアリール基などが挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、さらにはメチル基、エチル基がより好ましい。
上記式(2)中のZ21の2価有機基としては、例えば、アルキレン基及びアリーレン基などが挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜6のアルキレン基が好ましく、さらにはエチレン基がより好ましい。
上記式(2)中のeは、3であることが好ましい。また、上記式(2)中のdが2の場合、2個のR21は、同一であってもよく、異なっていてもよい。上記式(2)中のeが2または3の場合、2個または3個のR22は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
以下に、上記式(2)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物の具体例を示す。
(2−1):グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
(2−2):グリシドキシプロピルトリエトキシシラン
(2−3):エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン
(2−4):エポキシシクロヘキシルエチルトリエトキシシラン
これらより、上記式(2)中の官能基において好ましい範囲の物質を用いる事により、さらに本発明の効果を向上することが可能となる。
また、上記フッ化アルキル基を有する加水分解性シラン化合物は、下記式(3)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物であることが好ましい。
Figure 2007264614
(式(3)中、R31及びR32は、それぞれ独立に、置換又は無置換のアルキル基を示す。Z31は、2価の有機基を示す。Rf31は、炭素数1〜11のパーフルオロアルキル基を示す。fは0〜2の整数であり、gは1〜3の整数であり、f+g=3である。
上記式(3)中のR31及びR32で示される置換又は無置換のアルキル基としては、それぞれ独立に、炭素数1〜3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、さらにはメチル基、エチル基がより好ましい。
上記式(3)中のZ31の2価有機基としては、例えば、アルキレン基及びアリーレン基などが挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜6のアルキレン基が好ましく、さらにはエチレン基がより好ましい。
上記式(3)中、Rf31の炭素数1〜11のパーフルオロアルキル基としては、特に炭素数6〜11のパーフルオロアルキル基が好ましい。
上記式(3)中のgは3であることが好ましい。
上記式(3)中のfが2の場合、2個のR31は、同一であってもよく、異なっていてもよい。また、上記式(3)中のgが2または3の場合、2個または3個のR32は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
以下に、上記式(3)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物の具体例を示す。
(3−1):CF3−(CH22−Si−(OR)3
(3−2):F(CF22−(CH22−Si−(OR)3
(3−3):F(CF24−(CH22−Si−(OR)3
(3−4):F(CF26−(CH22−Si−(OR)3
(3−5):F(CF2)8−(CH22−Si−(OR33
(3−6):F(CF210−(CH22−Si−(OR)3
(式(3−1)〜(3−6)中のRはメチル基またはエチル基を示す。)
上記式(3−1)〜(3−6)で示されるものの中でも、式(3−4)〜(3−6)で示されるものが好ましい。
上記カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物及び上記フッ化アルキル基を有する加水分解性シラン化合物は、それぞれ、1種のみ用いてもよいし、2種以上用いてもよい。
特に、上記フッ化アルキル基を有する加水分解性シラン化合物として、上記式(3)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物を用いる場合、次に示すものを組み合わせて用いることが好ましい。すなわち、Rf31の炭素数nA(nAは1〜11の整数)のものと、炭素数nB(nBは1〜11の整数かつnB≠nA)のものとを併用することである。このようにすると、得られるポリシロキサンは、炭素数の異なるパーフルオロアルキル基を有することになる。パーフルオロアルキル基は、現像剤担持体の表面に向かって配向する傾向にある。このため、現像剤担持体の表層に含有されるポリシロキサンが炭素数の異なるパーフルオロアルキル基を有していれば、現像剤担持体の表面に向かって長さの異なるパーフルオロアルキル基が配向することになる。この場合、単一の長さのパーフルオロアルキル基が現像剤担持体の表面に向かって配向する場合に比べて、現像剤担持体の表層において表面近傍のフッ素原子濃度が高くなる。これにより、現像剤担持体の表面自由エネルギーが低くなるため、長期間繰り返し使用した際の現像剤担持体の表面へのトナーや外添剤などの固着を抑制する効果が大きい。
上記式(3)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物を2種以上用いる場合は、上記式(3−4)〜(3−6)で示されるものの中から2種以上選択することが好ましい。このように、上記式(3)で示される加水分解性シラン化合物において、好ましい化合物を用いる事により、さらに本発明の効果を向上することが可能となる。
また、前記ポリシロキサンは、下記工程(III)及び(IV)を経て得られるポリシロキサンであることが好ましい。
(III)カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物と、フッ化アルキル基を有する加水分解性シラン化合物と、下記式(1)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物とを加水分解によって縮合させる縮合工程
Figure 2007264614
(式(1)中、R11は、アリール基置換のアルキル基もしくは無置換のアルキル基、または、アルキル基置換のアリール基もしくは無置換のアリール基を示す。R12は、飽和又は不飽和の1価の炭化水素基を示す。aは、0乃至3の整数であり、bは、1乃至4の整数であり、a+b=4である。)
(IV)前記カチオン重合可能な基を開裂させることにより、工程(III)により得られた加水分解性縮合物を架橋させる架橋工程
このようなポリシロキサンを用いると、現像剤担持体の表面物性制御の観点から、好ましい。
上記式(1)中、R11で示されるアリール基置換のアルキル基もしくは無置換のアルキル基のアルキル基としては、炭素数1〜21の直鎖状のアルキル基が好ましい。また、上記式(1)中、R11で示されるアルキル基置換のアリール基もしくは無置換のアリール基のアリール基としては、フェニル基が好ましい。
上記式(1)中のaは、1〜3の整数であることが好ましく、特には1であることがより好ましい。また、上記式(1)中のbは、1〜3の整数であることが好ましく、特には3であることがより好ましい。
上記式(1)中のR12で示される飽和もしくは不飽和の1価の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基及びアリール基などが挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜3の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、さらにはメチル基、エチル基、n−プロピル基がより好ましい。
上記式(1)中のaが2または3の場合、2個または3個のR11は同一であってもよく、異なっていてもよい。また、上記式(1)中のbが2、3または4の場合、2個、3個または4個のR12は同一であってもよく、異なっていてもよい。
以下に、上記式(1)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物の具体例を示す。
(1−1):テトラメトキシシラン
(1−2):テトラエトキシシラン
(1−3):テトラプロポキシシラン
(1−4):メチルトリメトキシシラン
(1−5):メチルトリエトキシシラン
(1−6):メチルトリプロポキシシラン
(1−7):エチルトリメトキシシラン
(1−8):エチルトリエトキシシラン
(1−9):エチルトリプロポキシシラン
(1−10):プロピルトリメトキシシラン
(1−11):プロピルトリエトキシシラン
(1−12):プロピルトリプロポキシシラン
(1−13):ヘキシルトリメトキシシラン
(1−14):ヘキシルトリエトキシシラン
(1−15):ヘキシルトリプロポキシシラン
(1−16):デシルトリメトキシシラン
(1−17):デシルトリエトキシシラン
(1−18):デシルトリプロポキシシラン
(1−19):フェニルトリメトキシシラン
(1−20):フェニルトリエトキシシラン
(1−21):フェニルトリプロポキシシラン
(1−22):ジフェニルジメトキシシラン
(1−23):ジフェニルジエトキシシラン
上記式(1)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物及び上記式(3)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物を併用する場合、上記式(1)中のaは、1乃至3の整数であることが好ましく、bは、1乃至3の整数であることが好ましい。また、a個のR11のうち、1個のR11は、炭素数1〜21の直鎖状のアルキル基であることが好ましい。さらに、前記炭素数1乃至21の直鎖状アルキル基の炭素数をn1(n1は1乃至21の整数)とし、上記式(3)中のRf31の炭素数をn2(n2は1乃至11の整数)としたとき、n2−1≦n1≦n2+1であることが好ましい。
上記炭素数1乃至21の直鎖状のアルキル基は、パーフルオロアルキル基と同様、現像剤担持体の表面に向かって配向する傾向にある。n1≦n2+1とすると、上記式(3)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物のパーフルオロアルキル基による効果が保持される。一方、n2−1≦n1とすると、充分なトナーの帯電量が得られ、その前の文字や黒い図形などがわずかに残像してしまうスリーブゴースト現象が発生しにくくなる。
上記式(1)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物は、1種のみ用いてもよいし、2種以上用いてもよい。2種以上用いる場合には、上記式(1)中のR11がアルキル基のものと上記式(1)中のR11がフェニル基のものとを併用することが好ましい。
以下、本発明の現像剤担持体の製造方法について説明する。
まず、現像剤担持体のオキシアルキレン基を有するポリシロキサンを含有する表層の好ましい形成方法について説明する。
前記表層を形成する塗布液を得る為に、少なくともカチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物を水の存在下で加水分解反応させることによって加水分解性縮合物を得る。必要に応じて、フッ化アルキル基を有する加水分解性シラン化合物及び上記の他の加水分解性シラン化合物を併用してもよい。
前記の加水分解反応の際、温度やpHなどを制御することで、所望の縮合度の加水分解性縮合物を得ることができる。
また、加水分解反応の際、加水分解反応の触媒として金属アルコキシドなどを利用し、縮合度を制御してもよい。金属アルコキシドとしては、例えば、アルミニウムアルコキシド、チタニウムアルコキシド及びジルコニアアルコキシドなど、ならびに、これらの錯体(アセチルアセトン錯体など)が挙げられる。
具体的には、フッ化アルキル基を有する加水分解性シラン化合物を、全加水分解性シラン化合物に対して0.5〜20.0mol%の範囲になるように配合することが好ましく、特には1.0〜10.0mol%の範囲になるように配合することがより好ましい。また、上記式(1)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物を併用する場合には、次の配合とすることが好ましい。すなわち、カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物(MC)と上記式(1)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物(M1)とのモル比(MC:M1)が10:1〜1:10の範囲になるように配合することが好ましい。
次に、例えば、加水分解性シラン化合物を水及びエタノールと混合した後、溶液のpHは5程度とし室温で攪拌し、24時間程度加熱還流(80〜130℃)を行うことによって、加水分解性縮合物を得る。得られた加水分解性縮合物を、溶剤で希釈し所定の濃度に調整する。さらに、この縮合物含有アルコール溶液に対して光カチオン重合開始剤を添加して表層形成用の塗布液を調製し、基体あるいは基体上に形成された導電性樹脂被覆層上に、調製した塗布液を塗布する。なお、本発明において、基体上又は基体上に形成した導電性樹脂被覆層上以外の、少なくとも基体上に形成した他の層の上に、前記塗布液を塗布する事も可能である。
塗布液を調製する際には、塗布性向上のために、加水分解性縮合物以外に、適当な溶剤を用いてもよい。適当な溶剤としては、例えば、エタノール及び2−ブタノールなどのアルコールや、酢酸エチルや、メチルエチルケトンなど、あるいは、これらを混合したものが挙げられる。また、表層用塗布液を塗布する際には、ロールコーターを用いた塗布、浸漬塗布、リング塗布、スプレー法などを採用することができる。また、塗布方法により一回の塗布で、均一で十分な層厚が得られない際は、複数回の塗布を行う事も可能である。
次に、前記の表層形成用の塗布液を塗布された現像剤担持体表面に活性エネルギー線を照射する。前記の活性エネルギー線の照射によって、表層形成用の塗布液に含まれる加水分解性縮合物中のカチオン重合可能な基は開裂し、これによって上記加水分解性縮合物が架橋して硬化する。
前記現像剤担持体表層を硬化させる際、紫外線を照射させる事で表層の硬化反応を開始させる事が好ましい。前記現像剤担持体表層を硬化させる際、カチオン重合可能な基を有するポリシロキサンに紫外線を照射させる事で、カチオン重合可能な基が開裂し酸触媒となり、表層の硬化反応が起きる。この手法をとる事で、表層作製時に熱をかける必要がなく、表層と下層もしくは基体の伸縮率の違いによる、密着性の低下や表層のヒビ割れを防ぐ事も可能である。
紫外線の照射には、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、低圧水銀ランプ、エキシマUVランプなどを用いることができ、これらのうち、紫外線の波長が150〜480nmの光を豊富に含む紫外線源が好適に用いられる。
なお、紫外線の積算光量は、以下のように定義される。
紫外線積算光量[mJ/cm2]=紫外線強度[mW/cm2]×照射時間[s]
紫外線の積算光量の調節は、照射時間や、ランプ出力や、ランプと被照射体との距離などで行うことが可能である。また、照射時間内で積算光量に勾配をつけてもよい。
低圧水銀ランプを用いる場合、紫外線の積算光量は、ウシオ電機(株)製の紫外線積算光量計UIT−150−AやUVD−S254を用いて測定することができる。また、エキシマUVランプを用いる場合、紫外線の積算光量は、ウシオ電機(株)製の紫外線積算光量計UIT−150−AやVUV−S172を用いて測定することができる。
また、架橋反応の際、架橋効率向上の観点から、カチオン重合触媒(重合開始剤)を共存させておくことが好ましい。例えば、活性エネルギー線によって賦活化されるルイス酸のオニウム塩に対してエポキシ基は高い反応性を示すことから、上記のカチオン重合可能な基がエポキシ基である場合、カチオン重合触媒としては、ルイス酸のオニウム塩を用いることが好ましい。
その他のカチオン重合触媒としては、例えば、ボレート塩、イミド構造を有する化合物、トリアジン構造を有する化合物、アゾ化合物、過酸化物などが挙げられる。
各種カチオン重合触媒の中でも、感度、安定性及び反応性の観点から、芳香族スルホニウム塩や芳香族ヨードニウム塩が好ましい。特に、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム塩や、下記式(4)で示される構造を有する化合物(商品名:アデカオプトマ−SP150、旭電化工業(株)製)や、下記式(5)で示される構造を有する化合物(商品名:イルガキュア261、チバスペシャルティーケミカルズ社製)が好ましい。
Figure 2007264614
Figure 2007264614
前記カチオン重合触媒の使用量は、加水分解性縮合物に対して1〜3質量%であることが好ましい。
また、本発明の現像剤担持体の表層は、SiO0.51(OR2)(OR3)で示される第1のユニット、SiO1.04(OR5)で示される第2のユニット及びSiO1.56で示される第3のユニットを有するポリシロキサンを少なくとも含有する事が本発明の効果を向上させるために好ましい。さらに、前記表層において、ポリシロキサン中の該第1のユニットのモル数をx[mol]とし、該第2のユニットのモル数をy[mol]とし、該第3のユニットのモル数をz[mol]としたとき、0.60≦{(x+y)/(x+y+z)}≦0.80である事が好ましい。さらに好ましくは、0.65≦{(x+y)/(x+y+z)}≦0.75である。
なお、上記中のR1、R4及びR6は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のアルキル基、または、置換もしくは無置換のアリール基を示し、R2、R3及びR5は、それぞれ独立に、水素原子、または、置換もしくは無置換のアルキル基を示す。
なお、上記の「SiO0.51(OR2)(OR3)で示される第1のユニット」とは、下記式(6)に示すようなポリシロキサンのうちの四角で囲んだ範囲A1を意味する。範囲A1の中の、アルコキシ基の酸素原子でない酸素原子(Si−O−SiのO)は、2個のケイ素原子と結合しているため、ケイ素原子1個あたりが結合している酸素原子(Si−O−SiのO)の数は0.5個と考える。
Figure 2007264614
上記の「SiO1.04(OR5)で示される第2のユニット」も、「SiO0.51(OR2)(OR3)で示される第1のユニット」と同様であり、具体的には、下記式(7)に示すようなポリシロキサンのうちの四角で囲んだ範囲A2を意味する。
Figure 2007264614
上記の「SiO1.56で示される第3のユニット」も、「SiO0.51(OR2)(OR3)で示される第1のユニット」と同様であり、具体的には、下記式(8)に示すようなポリシロキサンのうちの四角で囲んだ範囲A3を意味する。
Figure 2007264614
{(x+y)/(x+y+z)}が0.60以上であると、低湿環境下で繰り返し使用した際においても、現像剤担持体上のトナーのチャージアップが抑制されやすくなり、好ましい。また、{(x+y)/(x+y+z)}が0.80以下だと、シラノール基やアルコキシ基の量が多くなりすぎることがなく、高湿環境下においても、現像剤担持体上の表層が吸湿による影響を受け難く、良好なトナーの帯電を付与しやすくなり、好ましい。
本発明において、上記のように作製された表層の層厚は、0.1μm〜1.5μmであることが好ましい。前記ポリシロキサンを含有する表層の層厚が0.1μm以上であると、本発明の現像装置に用いた場合、良好かつ均一な潤滑性を示す。また、前記ポリシロキサンを含有する表層の層厚が1.5μm以下であると、トナーのチャージアップを悪化させることがなく、トナーの帯電を安定して均一にすることが出来、トナー汚染、トナー融着、スリーブゴーストなどの問題を抑制することが出来る。
本発明に用いられる現像剤担持体の基体としては、円筒状部材、円柱状部材、ベルト状部材等があるが、感光ドラムに非接触の現像方法においては、金属のような剛体の円筒管もしくは中実棒が好ましく用いられる。このような基体はアルミニウム、ステンレス鋼、真鍮等の非磁性の金属または合金を円筒状あるいは円柱状に成型し、研磨、研削等を施したものが好適に用いられる。これらの基体は画像の均一性を良くするために、高精度に成型あるいは加工されて用いられる。例えば長手方向の真直度は30μm以下もしくは20μm以下、さらに好ましくは10μm以下が好ましい。現像剤担持体と感光ドラムとの間隙の振れ、例えば、垂直面に対し均一なスペーサーを介して突き当て、現像剤担持体を回転させた場合の垂直面との間隙の振れは30μm以下とすることが好ましい。また、20μm以下とすることがより好ましく、10μm以下とすることがさらに好ましい。基体の材質としては、材料コストや加工のしやすさからアルミニウムが好ましく用いられる。
上記基体の表面に対しては、現像剤の搬送性を高める為にブラスト処理を行っても良い。具体的には、球形ガラスビーズ等のブラスト材(これに限定されるものでは無い。)を用い、ブラストノズルから前記ガラスビーズを基体表面に所定の圧力で所定時間吹き付けて基体表面に多数の窪みを形成させる。この方法を行う事で、基体上に表層だけを塗布した際にも、十分な粗さが付与され、現像剤担持体として画像形成に必要な搬送性を得ることができる。
本発明において、現像剤担持体は、基体と、少なくともオキシアルキレン基を有するポリシロキサンを含有する表層の間に導電性樹脂被覆層を有していればよい。すなわち、基体上に形成された導電性樹脂被覆層の上に前記オキシアルキレン基を有するポリシロキサンを含有する表層を形成すれば良い。
特に本発明では、オキシアルキレン基を有するポリシロキサンを含有する表層と、基体との間に導電性樹脂被覆層を形成する事が、現像剤担持体上のトナーの均一な帯電性と搬送性を安定化させるために好ましい。即ち、前記現像剤担持体が前記導電性樹脂被覆層を有する事により、前記現像剤担持体表面に好適な粗さと導電性を付与すると共に表層の現像剤担持体表面への密着性を向上する事が可能となる。
次に、基体と、該基体の上に形成された導電性樹脂被覆層と、該導電性樹脂被覆層の上に形成されたオキシアルキレン基を有するポリシロキサンを含有する表層とを有する現像剤担持体を例にして、本発明の現像剤担持体に関して説明する。
図1に、本発明の現像剤担持体(磁性一成分現像剤用)の一例である、基体と、基体上に形成された導電性樹脂被覆層と、該導電性樹脂被覆層上に形成されたオキシアルキレン基を有するポリシロキサンを含有する表層を有する現像剤担持体の断面図を示す。
図1(1−1)に示すように、この現像剤担持体は、円筒状の基体2と、該基体2上に形成された導電性樹脂被覆層1と、該導電性樹脂被覆層1上に形成されたオキシアルキレン基を有するポリシロキサンを含有する表層eからなる。導電性樹脂被覆層1は、カーボンブラックa及び黒鉛化粒子cが分散された結着樹脂bからなる。基体2には、マグネットローラ3が収納されている。導電性樹脂被覆層1の導電性は結着樹脂bに分散されたカーボンブラックa及び黒鉛化粒子cにより調整されており、また、前記導電性樹脂被覆層1の表面の凹凸(粗さ)は黒鉛化粒子cにより担保されている。そして表層eは、オキシアルキレン基を有するポリシロキサンを含有する。なお、前記表面凹凸をコントロールするために、図1(1−2)に示すように、カーボンブラックa及び黒鉛化粒子cと共に凹凸付与粒子dを結着樹脂bに分散させた導電性樹脂被覆層4としても良い。この凹凸付与粒子dとしては、導電性樹脂被覆層4に対して、導電性、耐摩耗性等を付与するものが好ましい。
次に、本発明の現像剤担持体に用いることのできる導電性樹脂被覆層に含有されている結着樹脂について説明する。
本発明の導電性樹脂被覆層に用いられる結着樹脂としては、一般に公知の樹脂が使用可能である。例えば、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、アニリン樹脂、尿素樹脂、ナイロン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリオール樹脂などが挙げられる。この中でも特にフェノール系樹脂は、有機溶剤に対して比較的溶解性が高く、導電剤或いは他の添加剤の分散性にも優れている。更に薄層化も容易にでき、基体との密着性や耐摩耗性にも優れているばかりでなく、他の樹脂やプレポリマー、或いは重合体等と架橋反応させて変性することによって、耐摩耗性の更なる向上を図ることが可能であり、より好ましく使用することができる。
前記した架橋性の結着樹脂の分子量としては、架橋前の重量平均分子量Mwで500〜3,000が好ましい。重量平均分子量Mwが500以上であると、硬化後の導電性樹脂被覆層の機械的強度が高く、耐摩耗性も充分なものが得られる。また、重量平均分子量Mwが3,000以下であると、黒鉛化粒子或いはその他の成分を分散させたとき、塗料粘度が適切なものとなり、基体上に好適な導電性樹脂被覆層を形成することが出来る。
また、機械的強度を考慮すると硬化性の樹脂がより好ましいが、十分な機械的強度を有するものであれば、熱可塑性樹脂も適用可能である。本発明において、上記した樹脂被覆層形成材料によって現像剤担持体上に形成される導電性樹脂被覆層は、チャージアップによる現像剤の現像剤担持体上への固着や、現像剤への帯電付与不良を防ぐために、導電性を有するものが好ましい。導電性樹脂被覆層は、体積抵抗が104Ω・cm以下であることが好ましく、103Ω・cm〜10-2Ω・cmである事がより好ましい。
次に、本発明の導電性樹脂被覆層に好適に用いられる導電剤について説明する。
本発明において使用することのできる導電剤としては、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、銀等の金属微粉末、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化モリブデン、チタン酸カリウム等の金属酸化物粒子、各種カーボンファイバー、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック、黒鉛等の炭化物粒子、更には金属繊維等が挙げられる。
本発明においては、これらのうち、カーボンブラック、とりわけ導電性のアモルファスカーボンやグラファイトが好ましく用いられる。これらは、特に電気伝導性に優れ、高分子材料に充填して導電性を付与したり、その添加量をコントロールしたりするだけで、ある程度任意の導電性を得ることができるため好適に用いられる。
また、導電性粒子として、カーボンブラックと黒鉛化粒子を併用して用いると、電気導電性に優れると共に潤滑性も向上し、トナーの帯電性を安定化させる効果が高まるので好ましい。更にカーボンブラックと黒鉛化粒子を併用して用いると表層との密着性が向上する点でも好ましい。導電性粒子としてカーボンブラックを使用する場合、一次粒子径が10nm以上100nm以下、更には10nm以上70nm以下のものを用いることが好ましい。一次粒子径が10nm以上であるとカーボンブラック同士の凝集性が低下し、結着樹脂等と共に分散させて得られる塗料の粘度の上昇が抑えられるので、カーボンブラックの塗料中での分散が均一になる。一次粒子径が100nm以下である場合は、導電性樹脂被覆層中でカーボンブラックが密に存在し、導電性が均一となり導電性も優れるために導電性樹脂被覆層表面で導電性に偏りが生じるのを防ぐことができる。これにより現像バイアスが印加された際の電荷のリークを防ぐことができる。
又、本発明において好適なこれらの導電剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対して1質量部以上100質量部以下の範囲とすることが好ましい。1質量部以上であると、導電性樹脂被覆層の抵抗値を所望のレベルに下げることが可能となり、現像剤担持体上のトナーのチャージアップを防止する効果が高まる。これにより、現像剤担持体表面へのトナー付着を防止する効果も高まるので好ましい。また、100質量部以下であると、導電性樹脂被覆層の強度(耐摩耗性)を十分なレベルで維持する事が可能である。
本発明において導電剤として好適に用いられる黒鉛化粒子は、ピッチコークスをタールピッチ等により固めて1200℃位で一度焼成してから黒鉛化炉に入れ、2300℃位の高温で処理して得ることができる。このようにして得られる黒鉛化粒子は、炭素の結晶が成長した結晶性の高い黒鉛化粒子である。また、天然の結晶性の高い黒鉛化粒子を用いる事もできる。これらの黒鉛化粒子は、種々の優れた性質を有していることから工業的に広い用途を持っている。このような黒鉛化粒子は、暗灰色ないし黒色の光沢のある非常に柔らかい滑性のある結晶鉱物で、鉛筆等に利用され、その他耐熱性、化学的安定性、潤滑性、耐火性に優れるため、電気材料等に粉末や固体や塗料の形で利用されている。結晶構造は六方晶とその他菱面晶系に属するものがあり、完全な層状構造を有している。電気的特性に関しては、炭素と炭素の結合の間に自由電子が存在し、電気の良導体となっている。更にこのような黒鉛化粒子は、表面に潤滑性を付与させることも可能であることからも好ましい材料である。
本発明に使用することのできるより好ましい黒鉛化粒子は、メソカーボンマイクロビーズ粒子又はバルクメソフェーズピッチ粒子を焼成して得られた黒鉛化粒子である。メソカーボンマイクロビーズ粒子又はバルクメソフェーズピッチ粒子を原材料として用いた黒鉛化粒子は、前記のピッチコークスをタールピッチ等により得たものとは、原材料及び製造工程が異なる。これらは、黒鉛化度は若干低いものの、高い導電性や潤滑性を有しており、更に粒子の形状が、結晶性グラファイトは燐片状あるいは針状であるのとは異なり、ほぼ球状であり、しかも粒子自身の硬度が比較的高いのが特徴である。従って、上記のような特性を有する前記黒鉛化粒子は、導電性樹脂被覆層中で均一に分散しやすく、均一な表面粗度と機械的強度を導電性樹脂被覆層に与えることができる。更に本発明の現像剤担持体の中間層である導電性樹脂被覆層に用いると、トナーのチャージアップとトナー汚染の発生を防止する効果を高めることが可能となる。
メソカーボンマイクロビーズ粒子やバルクメソフェーズピッチ粒子を原料として用いて黒鉛化粒子を得る方法としては、以下に示すような方法が好ましいが、必ずしもこれらの方法に限定されるものではない。
前記のバルクメソフェーズピッチを原料として用いる場合は、加熱下で軟化溶融するものを用いることが、球状で黒鉛化度の高い黒鉛化粒子を得るために好ましい。
上記バルクメソフェーズピッチを得る方法として代表的なものは、例えば、コールタールピッチ等から溶剤分別によりβ−レジンを抽出し、これを水素添加、重質化処理を行うことによってバルクメソフェーズピッチを得る方法である。また上記方法において重質化処理後、微粉砕し、次いでベンゼンまたはトルエン等により溶剤可溶分を除去してバルクメソフェーズピッチを得てもよい。
このバルクメソフェーズピッチはキノリン可溶分が95wt%以上であることが好ましい。95wt%以上のものを用いると、粒子内部が液相炭化しやすく、球状のものが得られやすい。
上記のようにして得られたバルクメソフェーズピッチを黒鉛化する方法を以下に示す。まず、上記バルクメソフェーズピッチを2μm以上25μm以下に微粉砕して、これを空気中で、約200℃以上350℃以下の条件下で熱処理することにより軽度に酸化処理する。この酸化処理によって、バルクメソフェーズピッチは表面のみ不融化され、次工程の黒鉛化焼成時の溶融、融着が防止される。この酸化処理されたバルクメソフェーズピッチは酸素含有量が5wt%以上15wt%以下であることが好ましい。酸素含有量が5wt%以上であると熱処理時の粒子同士の融着が抑えられ好ましい。また、15wt%以下とすると粒子内部の酸化が抑えられ、形状が球状のものが得られやすくなる。
次に、上記酸化処理されたバルクメソフェーズピッチを窒素、アルゴン等の不活性雰囲気下にて、約800℃以上1200℃以下で一次焼成することにより炭化し、続いて約2000℃以上3500℃以下で二次焼成することにより所望の黒鉛化粒子が得られる。
また、本発明に用いられる黒鉛化粒子を得るためのもう一つの好ましい原材料であるメソカーボンマイクロビーズを得る方法として代表的なものを以下に例示する。まず、石炭系重質油または石油系重質油を300℃以上500℃以下の温度で熱処理し、重縮合させて粗メソカーボンマイクロビーズを生成する。得られた反応生成物を濾過、静置沈降、遠心分離などの処理に供することによりメソカーボンマイクロビーズを分離した後、ベンゼン、トルエン、キシレン等の溶剤で洗浄し、更に乾燥することによって得られる。
得られたメソカーボンマイクロビーズを黒鉛化するに際し、まず乾燥を終えたメソカーボンマイクロビーズを破壊させない程度の温和な力で機械的に一次分散させておくことが黒鉛化後の粒子の合一防止や均一な粒度を得るために好ましい。
一次分散を終えたメソカーボンマイクロビーズは、不活性雰囲気下において200℃以上1500℃以下の温度で一次焼成され、炭化される。一次焼成を終えた炭化物は、やはり炭化物を破壊させない程度の温和な力で機械的に分散させることが黒鉛化後の粒子の合一防止や均一な粒度を得るために好ましい。
一次焼成を終えた炭化物は、不活性雰囲気下において約2000℃以上3500℃以下で二次焼成することにより所望の黒鉛化粒子が得られる。
なお、前記いずれの原材料から得られた黒鉛化粒子も、前記いずれの製法で製造された黒鉛化粒子も、分級により粒度分布をある程度均一にしておくことが、導電性樹脂被覆層の表面形状を均一にするために好ましい。
また、いずれの原材料を用いた黒鉛化粒子の生成方法においても、二次焼成温度を2000℃以上3500℃以下とすることが好ましく、2300℃以上3200℃以下とすることがより好ましい。
黒鉛化の二次焼成温度を2000℃以上とすると、黒鉛化粒子の黒鉛化度が十分高くなり、これを用いた導電性樹脂被覆層は導電性や潤滑性が向上してトナーのチャージアップの発生を防ぐことができる。また、スリーブゴースト、カブリもなく、画像濃度等も良好で高画質の画像を得ることができる。更に弾性ブレードを使用した場合においても、ブレード傷の発生を防止し、スジ・濃度ムラ等の画像不良を防ぐことができる。また、二次焼成温度を3500℃以下とすると黒鉛化粒子の黒鉛化度が高くなり過ぎることがない。そのため好適な硬度を有する黒鉛化粒子が得られ、これを用いた導電性樹脂被覆層は耐磨耗性や機械的強度に優れ、トナーへの帯電付与性が安定する。
更に、原材料としてメソカーボンマイクロビーズ粒子やバルクメソフェーズピッチ粒子を用いて得た黒鉛化粒子は、黒鉛化度p(002)が、0.20≦p(002)≦0.95であることが好ましい。
上記の黒鉛化度p(002)は、Franklinのp値といわれるもので、黒鉛のX線回折図から得られる黒鉛結晶格子の(002)面の面間隔d(002)を測定することで、d(002)=3.440−0.086(1−p2)で求められる。このp値(p(002))は、炭素の六方網目平面積み重なりのうち、無秩序な部分の割合を示すもので、p(002)が小さいほど黒鉛化度は大きい。
p(002)が0.95以下の黒鉛化粒子を用いると、機械的強度や耐摩耗性に優れた、導電性や潤滑性の高い導電性樹脂被覆層が得られ、トナーのチャージアップを抑えることができる。また、スリーブゴースト、カブリのない、画像濃度の高い高画質の画像を得ることができる。p(002)が0.20以上の黒鉛化粒子は、硬度が高く、これを用いると、機械的強度や耐磨耗性に優れた導電性樹脂被覆層を得ることができる。
本発明に使用される黒鉛化粒子としては、体積平均粒径が0.5μm以上30μm以下であることが好ましく、1μm以上25μm以下であることがより好ましい。
体積平均粒径が0.5μm以上の黒鉛化粒子を導電性樹脂被覆層に用いると、表面に均一な粗さを付与する効果と帯電性能の高い、且つ、機械的強度に優れ、現像剤への安定した均一な帯電付与が可能な現像剤担持体を得ることができる。これにより、トナー汚染及びトナー融着がなく、ゴースト、画像濃度の高い優れた画質の画像を得ることができる。体積平均粒径が30μm以下の黒鉛化粒子を導電性樹脂被覆層に用いると、導電性樹脂被覆層表面の粗さが適度なものとなり、トナーの帯電が十分に行なわれ、また、優れた機械的強度を有する現像剤担持体を得ることができる。
次に、本発明に用いられる導電性樹脂被覆層に含有させることのできる凹凸付与粒子について説明する。
本発明に使用することのできる導電性樹脂被覆層中には、該導電性樹脂被覆層の表面に凹凸を形成するための凹凸付与粒子を含有させることが好ましい。このような凹凸付与粒子としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリブタジエン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のビニル系重合体や共重合体、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂等の樹脂粒子、アルミナ、酸化亜鉛、シリコーン、酸化チタン、酸化錫等の酸化物粒子、炭素化粒子、導電処理を施した樹脂粒子等の導電性粒子、その他、例えばイミダゾール化合物のような有機化合物を粒子状にして用いることも可能である。この場合にイミダゾール化合物は、トナーに摩擦帯電電荷を付与する役割も果たす。
このような凹凸付与粒子は、球状であることが好ましい。これは、不定形粒子に比べてより少ない添加量で所望の表面粗さが得られるとともに、表面形状の均一な凹凸面が得られるためである。
本発明で使用することのできる球状の凹凸付与粒子における「球状」とは、粒子の長径/短径の比が1.0以上1.5以下のものを意味している。本発明においては、好ましくは、長径/短径の比が1.0以上1.2以下の粒子を、特に好ましくは、真球状の粒子を使用することがよい。球状粒子の長径/短径の比が1.5以下であると、導電性樹脂被覆層中への凹凸付与粒子の分散性が向上し、導電性樹脂被覆層の表面形状が均一となり、トナーの均一な帯電化及び導電性樹脂被覆層の強度が優れているので好ましい。
凹凸付与粒子として用いることのできる球状の樹脂粒子としては、例えば、懸濁重合法、分散重合法等によって製造された球状の樹脂粒子などが挙げられる。このような球状の樹脂粒子としては、ポリアクリレート、ポリメタクリレート等のアクリル系樹脂粒子、ナイロン等のポリアミド系樹脂粒子、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂粒子、シリコーン系樹脂粒子、フェノール系樹脂粒子、ポリウレタン系樹脂粒子、スチレン系樹脂粒子、ベンゾグアナミン粒子等が挙げられる。粉砕法により得られた樹脂粒子を熱的にあるいは物理的な球形化処理を行ってから用いても良い。
その他、例えば、凹凸付与粒子として用いる球状の樹脂粒子の表面に無機微粉末を付着させる、あるいは固着させて用いてもよい。このような無機微粉末としては、SiO2、SrTiO3、CeO2、CrO、Al23、ZnO、MgO、TiO2の如き酸化物、Si34の如き窒化物、SiCの如き炭化物、CaSO4、BaSO4、CaCO3の如き硫酸塩・炭酸塩等が挙げられる。このような無機微粉末は、カップリング剤により処理して用いても良い。特に結着樹脂との密着性を向上させる目的、あるいは粒子に疎水性を与える等の目的で好ましく用いることが可能である。
このようなカップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコアルミネートカップリング剤等がある。より具体的には、例えばシランカップリング剤としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン及び1分子当たり2から12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛のケイ素原子に結合した水酸基を含有したジメチルポリシロキサン等が挙げられる。
このように凹凸付与粒子として用いる球状樹脂粒子表面に対して無機微粉末で処理することにより、塗料中への分散性、塗工表面の均一性を向上でき、トナーへの帯電付与性、現像剤担持体表面の耐汚染性や耐摩耗性及び機械的強度等を向上させることができる。
凹凸付与粒子として導電性の球状粒子を用いることもできる。
このような条件を満たす導電性球状粒子として、球状炭素粒子、導電性物質で表面処理された球状樹脂粒子、導電性微粒子が分散された球状樹脂粒子などが挙げられる。
球状粒子に導電性を持たせることによって、導電性樹脂被覆層の体積抵抗が均一化され、均一にトナーの帯電を制御させることができる。本発明において、球状粒子の導電性としては、体積抵抗値が106Ω・cm以下、より好ましくは10-3Ω・cm以上106Ω・cm以下の球状粒子であることが好ましい。球状粒子の体積抵抗値を106Ω・cm以下とすると、導電性樹脂被覆層の均一な導電性が得られやすく、均一なトナーの帯電が行われやすくなる。
特に好ましい導電性球状粒子を得る方法としては、例えば、樹脂系球状粒子やメソカーボンマイクロビーズを焼成して炭素化及び/又は黒鉛化して得た低密度且つ良導電性の球状炭素粒子を得る方法が挙げられる。そして、樹脂系球状粒子に用いられる樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、ナフタレン樹脂、フラン樹脂、キシレン樹脂、ジビニルベンゼン重合体、スチレン―ジビニルベンゼン共重合体、ポリアクリロニトリルが挙げられる。
より好ましい導電性球状粒子を得る方法としては、樹脂系球状粒子表面に、バルクメソフェーズピッチを被覆し、これを酸化性雰囲気下で熱処理した後に焼成して炭素化及び/又は黒鉛化し、導電性球状炭素粒子を得る方法が挙げられる。樹脂系球状粒子は、フェノール樹脂、ナフタレン樹脂、フラン樹脂、キシレン樹脂、ジビニルベンゼン重合体、スチレン―ジビニルベンゼン共重合体、ポリアクリロニトリルの如き樹脂から調製すればよい。また、樹脂系球状粒子表面にバルクメソフェーズピッチを被覆する方法としては、メカノケミカル法が好ましく用いられる。また、焼成は、不活性雰囲気下又は真空下で行うことが好ましい。この方法で得られる球状炭素粒子は、黒鉛化すると得られる球状炭素粒子の被覆部の結晶化が進んだものとなるので導電性が向上し、より好ましい。
上記した方法で得られる導電性の球状炭素粒子は、いずれの方法でも、焼成条件を変化させることによってその導電性を制御することが可能であり、本発明において好ましく使用される。又、上記の方法で得られる球状炭素粒子は、場合によっては、更に導電性を高めるために真密度が大きくなりすぎない範囲で、導電性の金属及び/または金属酸化物のメッキを施していても良い。
導電性物質で表面処理された球状樹脂粒子を調製する方法として、例えば、球状樹脂粒子からなる芯粒子を表面処理して、芯粒子の粒径より小さい導電性微粒子から形成される被覆層を芯粒子の表面に設ける方法を挙げることができる。この方法においては、まず、前記球状樹脂粒子と導電性微粒子を適当な配合比で機械的に混合し、ファンデルワールス力及び静電気力の作用により、該球状樹脂粒子の周囲に均一に導電性微粒子を付着させる。導電性微粒子を付着させた後に、例えば、機械的衝撃力などにより生ずる局部的温度上昇により樹脂粒子表面を軟化させ、導電性微粒子から形成された被覆層を表面に成膜し導電性物質で表面処理された球状樹脂粒子を得る。球状樹脂粒子の構成材料としては、芯密度の小さい樹脂を使用することが好ましい。例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、アクリル樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、又はこれらの共重合体、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ナイロン、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂等の樹脂を用いることができる。また、芯粒子の粒径より小さい導電性微粒子としては、被複を均一に行う為、芯粒子の粒径の1/8以下の粒径を有する導電性微粒子を用いることが好ましい。
導電性微粒子が分散された球状樹脂粒子の製造方法としては、例えば、結着樹脂中に導電性微粒子を分散、混練した後、所定の粒径に粉砕し、機械的処理及び熱的処理により球形化する方法を挙げることができる。また、重合性単量体中に重合開始剤・導電性微粒子及びその他の添加剤を加え、分散機等によって均一に分散せしめた単量体組成物を、分散安定剤を含有する水相中に攪拌機等により所定の粒子径になるように懸濁し、重合を行う製造法を挙げることができる。これらの方法で得られた、導電性微粒子が分散された球状樹脂粒子は、さらに前記した方法で表面処理してもよい。この場合、まず、導電性微粒子が分散された球状樹脂粒子とこの球状樹脂粒子より小さい粒径の導電性微粒子とを適当な配合比で機械的に混合し、ファンデルワールス力及び静電気力の作用により該球状樹脂粒子の周囲に均一に導電性微粒子を付着させる。導電性微粒子を付着させた後に、例えば、機械的衝撃力などにより生ずる局部的温度上昇により該球状樹脂粒子表面を軟化させ、導電性微粒子から形成された被覆層を表面に成膜し導電性微粒子で表面処理された球状樹脂粒子を得る。
添加される凹凸付与粒子の真密度は、3g/cm3以下のものが好ましい。真密度を3g/cm3以下とすると、導電性樹脂被覆層中での凹凸付与粒子の分散性が向上し、導電性樹脂被覆層表面に均一な粗さを付与し、トナーへの均一な帯電付与性や導電性樹脂被覆層の強度を改善することができる。
このような凹凸付与粒子の粒径は、体積平均粒径で0.5μm以上20μm以下であることが好ましい。0.5μm以上とすると均一な表面凹凸の形成が容易となる。また、導電性樹脂被膜層の強度、耐摩耗性を改善することができる。また20μm以下とすると、現像剤担持体表面の凹凸が適切なものとなり、現像剤(トナー)の帯電量や帯電の均一性を向上することができる。そのうえ、バイアスをかけた際に静電潜像担持体(感光ドラム)へのリークを防止することができる。
本発明の導電性樹脂被覆層は、例えば、各成分を溶剤中に分散混合して塗料化し、前記基体上又は基体上に形成された層上に塗工することにより形成することが可能である。各成分の分散混合には、サンドミル、ペイントシェーカー、ダイノミル、パールミル等のビーズを利用した公知の分散装置が好適に利用可能である。また塗工方法としては、ディッピング法、スプレー法、ロールコート法等公知の方法が適用可能である。上記したような構成の導電性樹脂被覆層の層厚は、好ましくは25μm以下、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは4〜20μmであることが均一な層厚を得るために好ましいが、特にこの層厚に限定されるものではない。これらの層厚は、導電性樹脂被覆層に使用する材料にもよるが、付着質量として4000〜20000mg/m2程度にすれば得られる。
本発明に用いられる現像剤担持体の表面の粗さは、その現像方式によって異なるが、一般的には、JIS算術平均粗さ(Ra)で0.2μm以上3.5μm以下の範囲にあることが好ましい。
例えば、図2に示されるような、磁性一成分現像剤を使用する、現像剤層厚規制部材として現像剤担持体と間隙をもって配置された磁性ブレード502を有するような現像装置では、Raが0.2μm以上2.5μm以下であることが好ましい。Raを0.2μm以上とすると、現像剤の搬送量が向上し、2.5μm以下とすると、トナーの摩擦帯電が均一となり好ましい。
また、例えば、図3、図4に示されるような、弾性ブレード(516、811)を現像剤担持体(510、808)に圧接して用いる現像装置の場合には、Raは、0.3μm以上3.5μm以下であることが好ましい。Raを0.3μm以上とすると、現像剤の搬送性能が向上する。また、現像剤担持体へのトナー融着も改善することができる。また、Raを3.5μm以下とすると、トナーが均一に摩擦帯電され好ましい。
次に、本発明の現像装置について説明する。
図2は、磁性一成分現像剤を使用する本発明の現像装置の実施形態の一例の構成を示す模式図である。図2に示した実施形態の現像装置は、現像剤を収容するための容器(現像容器503)と、該容器に貯蔵された現像剤(不図示)を担持搬送するための現像剤担持体510を有し、現像剤層厚規制部材(磁性ブレード)502により該現像剤担持体510上に現像剤層を形成しながら現像剤担持体510上の現像剤を静電潜像担持体501と対向する現像領域Dへと搬送し、該静電潜像担持体501の静電潜像を現像剤により現像し、トナー像を形成する現像装置であり、現像剤担持体510が本発明の現像剤担持体であることを特徴としている。
静電潜像担持体501は、公知のプロセスにより形成することができる。静電潜像を担持する静電潜像担持体、例えば、感光ドラム501は、矢印B方向に回転する。現像剤担持体510は、現像容器503に収容された磁性トナー粒子を有する磁性一成分現像剤を担持して、矢印A方向に回転することによって、現像剤担持体510と感光ドラム501とが対向している現像領域Dに現像剤を搬送する。現像剤担持体510においては、磁性一成分現像剤を現像剤担持体510上に磁気的に吸引しかつ保持するため、現像スリーブ508内に磁石(マグネットローラ)509が配置されている。なお、現像スリーブ508は、基体506である金属円筒管上に導電性樹脂被覆層507及び導電性樹脂被覆層507上に表層eが被覆形成されている。
現像容器503内へ、現像剤補給容器(不図示)から現像剤供給部材(スクリューなど)512を経由して磁性一成分現像剤が送り込まれてくる。現像容器503は、第一室514と第二室515に分割されており、第一室514に送り込まれた磁性一成分現像剤は攪拌搬送部材505により現像容器503及び仕切り部材504により形成される隙間を通過して第二室515に送られる。磁性一成分現像剤はマグネットローラ509による磁力の作用により現像剤担持体510上に担持される。第二室515中には現像剤が滞留するのを防止するための攪拌部材511が設けられている。
磁性一成分現像剤は、磁性トナー粒子相互間及び現像剤担持体上の表層eとの摩擦により、感光ドラム501上の静電潜像を現像することが可能な摩擦帯電電荷を得る。現像領域Dに搬送される現像剤の層厚を規制するために、現像剤層厚規制部材としての強磁性金属製の磁性ブレード(ドクターブレード)502が装着されている。磁性ブレード502は、通常、現像剤担持体510の表面から約50μm以上500μm以下の間隙を有して現像剤担持体510に対向するように現像容器503に装着される。マグネットローラ509の磁極N1からの磁力線が磁性ブレード502に集中することにより、現像剤担持体510上に磁性一成分現像剤の薄層が形成される。なお、本発明においては、この磁性ブレード502に替えて非磁性の現像剤層厚規制部材を使用することもできる。
現像剤担持体510上に形成される磁性一成分現像剤の薄層の厚みは、現像領域Dにおける現像剤担持体510と感光ドラム501との間の最小間隙よりも更に薄いものであることが好ましい。
本発明の現像剤担持体は、以上の様な磁性一成分現像剤の薄層により静電潜像を現像する方式の現像装置、すなわち非接触型現像装置に組み込むのが特に有効である。なお、現像領域Dにおいて、磁性現像剤層の厚みが現像剤担持体510と感光ドラム501との間の最小間隙以上の厚みである現像装置、いわゆる接触型現像装置にも本発明の現像剤担持体を使用することができる。煩雑を避けるため、以下、先に説明した非接触型現像装置を例にとって説明を行う。
現像剤担持体510に担持された磁性トナーを有する磁性一成分現像剤を飛翔させるため、現像剤担持体510にはバイアス手段としての現像バイアス電源513により現像バイアス電圧が印加される。この現像バイアス電圧として直流電圧を使用するときは、静電潜像の画像部(現像剤が付着して可視化される領域)の電位と背景部の電位との間の値の電圧を現像剤担持体510に印加するのが好ましい。
現像された画像の濃度を高め、かつ階調性を向上させるためには、現像剤担持体510に交番バイアス電圧を印加し、現像領域Dに向きが交互に反転する振動電界を形成してもよい。この場合には、上記した現像画像部の電位と背景部の電位との中間の値を有する直流電圧成分を重畳した交番バイアス電圧を現像剤担持体510に印加するのが好ましい。
この時、高電位部と低電位部を有する静電潜像の高電位部にトナーを付着させて可視化する、いわゆる正規現像の場合には、静電潜像の極性と逆極性に帯電する磁性一成分現像剤を使用する。高電位部と低電位部を有する静電潜像の低電位部にトナーを付着させて可視化する、いわゆる反転現像の場合には、静電潜像の極性と同極性に帯電する磁性一成分現像剤を使用する。この場合、高電位、低電位というのは、絶対値による表現である。これらいずれの場合にも、磁性一成分現像剤(磁性トナー粒子)は少なくとも現像剤担持体510の表層eとの摩擦により帯電する。
図2には、現像剤担持体510上の磁性一成分現像剤の層厚を規制する現像剤層厚規制部材として、現像剤担持体510から離間されて配置された磁性ブレード502を用いた例を示した。図3は、磁性一成分現像剤を使用する本発明の現像装置の実施形態の他の例の構成を示す模式図である。図3に示したように、本発明の現像装置は、ウレタンゴム、シリコーンゴムのようなゴム弾性を有する材料、あるいはリン青銅、ステンレス鋼のような金属弾性を有する材料の弾性板からなる弾性ブレード516を使用する実施形態としてもよい。この弾性ブレード516は、現像剤担持体510に対して、磁性一成分現像剤を介して接触あるいは圧接させても良い。本発明においては、特に、この形態を有する系においても、耐摩耗性及び帯電付与能の面で格段の効果を得ることができる。このような現像剤層厚規制部材を接触または圧接させるタイプの現像装置では、現像剤層はさらに強い規制を受けながら現像剤担持体510上に薄い層を形成する。このため、現像剤担持体510上に、磁性ブレード502を使用した図2に示した実施形態の場合よりも更に薄い現像剤層となるため、現像剤担持体510の表層eへの負荷が大きくなり、表層eが摩耗し易くなる。本発明では、このような系においても表層eの摩耗を軽減することができ、高耐久化を達成することができる。なお、現像剤担持体510に対する弾性ブレード516の当接圧力は、線圧0.049N/cm以上0.49N/cm以下であることが、磁性一成分現像剤の規制を安定化させ、磁性現像剤層の厚みを好適に規制できる点で好ましい。弾性ブレード516の当接圧力を線圧0.049N/cm以上とすると、磁性一成分現像剤の規制が充分となり、カブリや磁性一成分現像剤もれを防止することができる。また、線圧0.49N/cm以下とすると、磁性一成分現像剤の摺擦力が適度な大きさとなり、磁性一成分現像剤の劣化や現像剤担持体及び現像剤層厚規制部材への融着を防止することができる。
図4は、非磁性一成分現像剤を使用する本発明の現像装置の実施形態の一例の構成を示す模式図である。図4に示した実施形態において、公知のプロセスにより形成された静電潜像を担持する静電潜像担持体、例えば感光ドラム801は、矢印B方向に回転される。現像剤担持体としての現像スリーブ808は、基体(金属製円筒管)806とその表面に形成される導電性樹脂被覆層807と、導電性樹脂被覆層上に形成された表層eから構成されている。非磁性一成分現像剤を用いているので基体806の内部には磁石は内設されていない。基体806として金属製円筒管の替わりに円柱状部材を用いることもできる。
現像容器803内には非磁性一成分現像剤804を撹拌搬送するための撹拌搬送部材810が設けられている。
現像スリーブ808に現像剤804を供給し、かつ現像後の現像スリーブ808の表面に残存する現像剤804を剥ぎ取るための現像剤供給・剥ぎ取り部材813が現像スリーブ808に当接している。現像剤供給・剥ぎ取り部材(現像剤供給・剥ぎ取りローラ)813が現像スリーブ808と同じ方向に回転することにより、供給・剥ぎ取りローラ813の表面は、現像スリーブ808の表面とカウンター方向に移動する。これにより、現像容器803内で非磁性一成分現像剤804は、現像剤スリーブ808に供給される。現像スリーブ808は、供給された非磁性一成分現像剤を担持して、矢印A方向に回転することにより、現像スリーブ808と感光ドラム801とが対向した現像部Dに非磁性一成分現像剤を搬送する。現像スリーブ808に担持されている非磁性一成分現像剤は、現像スリーブ808の表面に対して現像剤層を介して圧接する現像剤層厚規制部材811によりその厚みが規定される。非磁性一成分現像剤804は現像スリーブ808との摩擦により、感光ドラム801上の静電潜像を現像するのに十分な帯電をする。なお、煩雑を避けるため、非接触型現像装置を例にとって、以下、説明を行う。
現像スリーブ808には、これに担持された非磁性一成分現像剤を飛翔させるために、電源809より現像バイアス電圧が印加される。この現像バイアス電圧として直流電圧を使用するときは、静電潜像の画像部(非磁性現像剤804が付着して可視化される領域)の電位と背景部の電位との間の値の電圧が現像スリーブ808に印加されることが好ましい。現像画像の濃度を高めたり、階調性を向上させたりするために、現像スリーブ808に交番バイアス電圧を印加して、現像部に向きが交互に反転する振動電界を形成してもよい。この場合、上記画像部の電位と背景部の電位間の値を有する直流電圧成分が重畳された交番バイアス電圧を現像スリーブ808に印加することが好ましい。
高電位部と低電位部を有する静電潜像の高電位部にトナーを付着させて可視化するいわゆる正規現像では、静電潜像の極性と逆極性に帯電する非磁性一成分現像剤を使用する。静電潜像の低電位部にトナーを付着させて可視化するいわゆる反転現像では、静電潜像の極性と同極性に帯電する非磁性一成分現像剤を使用する。高電位と低電位というのは、絶対値による表現である。いずれにしても、非磁性一成分現像剤804は現像スリーブ808との摩擦により静電潜像を現像するための極性で帯電する。
現像剤供給・剥ぎ取り部材813としては、樹脂、ゴム、スポンジのような弾性ローラ部材が好ましい。現像剤供給・剥ぎ取り部材813として、弾性ローラに代えてベルト部材またはブラシ部材を用いることもできる。現像剤供給・剥ぎ取り部材として弾性ローラからなる現像剤供給・剥ぎ取りローラ813を用いる場合には、現像剤供給・剥ぎ取りローラ813の回転方向は現像スリーブに対して適宜同方向若しくはカウンター方向を選択することができる。通常、カウンター方向に回転することが、剥ぎ取り性及び供給性の点でより好ましい。
現像スリーブ808に対する現像剤供給・剥ぎ取り部材813の侵入量は、0.5mm以上2.5mm以下であることが、現像剤の供給及び剥ぎ取り性の点で好ましい。現像剤供給・剥ぎ取り部材813の侵入量を0.5mm以上とすると、剥ぎ取り性が向上し、ゴーストの発生を抑えることができる。侵入量を2.5mm以下とすると、トナーのダメージがなく、トナー劣化や融着やカブリを抑えることができる。
図4に示した現像装置では、ウレタンゴム、シリコーンゴムのようなゴム弾性を有する材料、あるいはリン青銅、ステンレス銅のような金属弾性を有する材料の弾性ブレード811を使用している。この弾性ブレード811は、現像スリーブ808の回転方向と逆の姿勢で現像スリーブ808に圧接されている。
この弾性ブレード811としては、特に安定した規制力とトナーへの安定した(負)帯電付与性のために、安定した加圧力の得られるリン青銅板表面にポリアミドエラストマー(PAE)を貼り付けた構造のものを用いることが好ましい。ポリアミドエラストマー(PAE)としては、例えばポリアミドとポリエーテルの共重合体が挙げられる。
現像スリーブ808に対する現像剤層厚規制部材811の当接圧は、本例においても磁性一成分現像剤を使用する図3に示したものと同様に、線圧0.049N/cm以上0.49N/cm以下であることが好ましい。このような当接圧とすると、現像剤の規制を安定化させ、現像剤層厚を好適にさせることができる点で好ましい。現像剤層厚規制部材811の当接圧力を線圧0.049N/cm以上とすると、現像剤の規制が適切なものとなり、カブリや非磁性一成分現像剤のもれを防止することができる。また、線圧0.49N/cm以下とすると、非磁性一成分現像剤へのダメージを軽減し、非磁性一成分現像剤の劣化やスリーブ及びブレードへの融着を防止することができる。
図5は、二成分現像剤を使用する本発明の現像装置の実施形態の一例の構成を示す模式図である。Pは像担持体としての感光ドラムである。この感光ドラムPは、アルミニウム製シリンダ(導電性ドラム基体)の表面に、光の干渉を抑え上層の接着性を向上させる下引き層と、光電荷発生層と、電荷輪送層の3層から構成されている。
Qは感光ドラムPの周面を一様に帯電処理する帯電装置であり、本例では磁気ブラシ型帯電装置である。マグネットローラ2aの有する磁力によって、帯電装置としての搬送スリーブQの表面に磁性粒子2bよりなる磁気ブラシを形成し、この磁気ブラシを感光ドラムPの表面に接触させ、感光ドラムPを帯電する。尚、搬送スリーブQには、バイアス印加手段S1により帯電バイアスが印加されている。Rは帯電処理された感光ドラムPの面に静電潜像を形成する情報書き込み手段としての露光装置であり、本例はレーザビームスキャナである。不図示の画像読み取り装置などのホスト装置からプリンタ側に送られた画像信号に対応して変調されたレーザー光Lを出力して感光ドラムPの一様帯電処理面を、露光位置においてレーザー走査露光をする。このレーザー走査露光により、感光ドラムP面のレーザー光Lで照射されたところの電位が低下することで、感光ドラムP面には走査露光した画像情報に対応した静電潜像が順次に形成されていく。
現像装置(現像器)4は感光ドラムP上の静電潜像に現像剤(トナー)を供給し静電潜像を可視化する現像手段としての現像装置(現像器)であり、本例は二成分磁気ブラシ現像方式の反転現像装置である。
4aは現像容器である。4bは現像剤担持体としての現像スリーブである。現像スリーブ4bは、基体と、該基体上に導電性樹脂被覆層と、該導電性樹脂被覆層上に表層を有する。基体は、通常、アルミニウム及びその合金、ステンレス鋼などの金属の円筒体からなっているが、金属は円筒体への成型加工が容易であればよく、特に限定されない。この現像スリーブ4bはその外周面の一部を外部に露呈させて現像容器4a内に回転可能に配設してある。4cは非回転に固定して現像スリーブ4b内に挿設したマグネットローラである。また、4dは現像剤コーティングブレード、4eは現像容器4aに収容した二成分現像剤、4fは現像容器4a内の底部側に配設した現像剤攪拌部材、4gはトナーホッパーであり、補給用トナーを収容させてある。
現像容器4a内の二成分現像剤4eはトナーと磁性キャリアの混合物であり、現像剤攪拌材4fにより攪拌される。トナーは基本的には、現像剤攪拌材4fの攪拌によって、磁性キャリアとの摺擦により負極性に摩擦帯電される。また、現像スリーブ4bの近傍に存在するトナーは現像スリーブ4bとの摺擦によっても摩擦帯電される。現像スリーブ4bの表面には前記したような導電性樹脂被覆層と、表層が形成されており、本実施例においては、トナーは負極性に摩擦帯電される。
現像スリーブ4bは感光ドラムPとの最近接距離(S−Dギャップと称する)を350μmに保たせて感光ドラムPに近接させて対向配設してある。
S−Dギャップは100〜1000μmであることが好ましい。S−Dギャップを前記範囲とすると、キャリアの付着を防止し、ドット再現性を向上することができる。また、S−Dギャップを100μm以上とすると現像剤の供給が充分に確保され画像濃度を高く保つことができる。またS−Dギャップを1000μm以下とすると磁極からの磁力線が広がりすぎることがなく磁気ブラシの磁力線の密度を高く保つことができる。これにより、ドット再現性の悪化を防ぎキャリア拘束力を高く保ちキャリア付着を防ぐことができる。感光ドラムPと現像スリーブ4bとの対向部が現像部である。現像スリーブ4bは現像部において感光ドラムPの進行方向とは逆方向に回転駆動される。この現像スリーブ4bの外周面に該スリーブ内のマグネットローラ4cの磁力により現像容器4a内の二成分現像剤4eの一部が磁気ブラシ層として吸着保持され、該スリーブの回転に伴い回転搬送される。そして、現像剤コーティングブレード4dにより所定の薄層に整層され、現像部において感光ドラムPの面に対して接触して感光ドラム面を適度に摺擦する。
現像スリーブ4bには電源S2から所定の現像バイアスが印加される。本例において、現像スリーブ4bに対する現像バイアス電圧は直流電圧(Vdc)と交流電圧(Vac)とを重畳した振動電圧である。振動電圧のピーク間の電圧は300〜3000Vが好ましく、周波数は500〜10000Hz、好ましくは1000〜7000Hzであり、それぞれプロセスにより適宜選択して用いることができる。この場合、波形としては三角波、矩形波、正弦波、あるいはDuty比を変えた波形、断続的な交番重畳電界等種々選択して用いることができる。回転する現像スリーブ4bにより現像部に搬送された現像剤中のトナー分が現像バイアスによる電界によって感光ドラムP面に静電潜像に対応して選択的に付着することで静電潜像がトナー画像として現像される。本例の場合は感光ドラムP面の露光明部にトナーが付着して静電潜像が反転現像される。
現像部を通過した現像スリーブ4b上の現像剤薄層は引き続く現像スリーブ4bの回転に伴い現像容器4a内の現像剤溜り部に戻される。現像容器4a内の二成分現像剤4eのトナー濃度を所定の略一定範囲内に維持させるために、トナー濃度がトナー濃度検知センサーによって検知され、その検知情報に応じてトナーが現像容器4a内の二成分現像剤4eに補給される。具体的には、例えば、現像容器4a内の二成分現像剤4eのトナー濃度は不図示の例えばコイルのインダクタンスを利用して現像剤の透磁率の変化を測定するトナー濃度検知センサーによって検知される。その検知情報に応じてトナーホッパー4gが駆動制御されて、トナーホッパー4g内のトナーが現像容器4a内の二成分現像剤4eに補給される。二成分現像剤4eに補給されたトナーは攪拌部材4fにより攪拌される。
図2〜図5は、本発明の現像剤担持体を用いた、本発明の現像装置の実施形態の例を模式的に例示したものである。前記した現像剤層厚規制部材以外にも、現像容器503の形状、攪拌搬送部材505、511の有無、磁極の配置、現像剤供給部材512の形状、補給容器の有無、など様々な実施形態があることは言うまでもない。
次に、本発明の現像装置にて用いられる現像剤(トナー)について説明する。
本発明に使用する現像剤(トナー)は、現像剤用結着樹脂に着色剤、荷電制御剤、離型剤、無機微粒子等を配合したもので、形式として、磁性材料を必須成分とする磁性一成分又は多成分現像剤と磁性材料を含まない非磁性一成分又は多成分現像剤がある。形式は現像装置に適応して適宜選択される。
本発明の現像装置で用いられるトナーは、フロー式粒子像測定装置で計測される円相当径3μm以上400μm以下のトナー粒子における平均円形度が0.935以上の現像剤であることが好ましく、0.950以上の現像剤であることがより好ましい。本発明において用いる平均円形度はトナー粒子の凹凸度合いの指標であり、トナー粒子が完全な球形の場合1.00を示し、表面形状が複雑になるほど円形度は小さな値となる。
フロー式粒子像測定装置で計測される円相当径3μm以上400μm以下のトナー粒子における平均円形度が上記の範囲内のように高いとトナーの流動性が増すので個々のトナー粒子が自由に動きやすく、均一且つ迅速に帯電されやすくなる。また一つ一つのトナー単位で現像される確立も高くなるため、感光ドラム上及び転写材上でのトナーの高さが低くなり、トナーの現像量が少なくても十分な画像濃度を得ることができる。
トナー粒子の平均円形度が十分に高いと、トナーが凝集体としての挙動し、凝集体として感光ドラム上に現像され、更に転写材上に転写されるのを抑えることができる。そのような画像は転写材からの画像高さが低くなり、同じ面積を現像する場合においてより少ないトナーで現像できるのでトナーの消費量を低減することができる。また、円形度の高いトナー粒子からなるトナーは現像された画像においてより密な状態をとりやすい。その結果、転写材に対するトナーの隠蔽率が高くなり、少ないトナー量でも十分な画像濃度を得ることができる。トナー粒子における平均円形度を0.935以上とすると、現像された画像の高さが低くなり、トナーの消費量を減少することができる。また、トナー間の空隙が少なくなり、現像された画像上においても十分な隠蔽率が得られるため、必要な画像濃度を得るために必要とされるトナー量をより少なくすることができる。結果的にトナー消費量を低減することができる。
また、本発明で使用する現像剤(トナー)は、いずれの形式であっても、重量平均粒子径が4μm以上11μm以下であることが好ましい。このようなものを使用すれば、トナーの帯電量あるいは画質及び画像濃度等がバランスのとれたものとなる。
現像剤(トナー)用の結着樹脂としては、一般に公知の樹脂が使用可能である。例えばビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられるが、この中でもビニル系樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。
現像剤(トナー)には帯電特性を向上させる目的で、荷電制御剤をトナー粒子に包含させる(内添)、またはトナー粒子と混合して用いる(外添)ことができる。これは、荷電制御剤によって、現像システムに応じた最適の荷電量コントロールが可能となるためである。
正の荷電制御剤としては、例えば、ニグロシン、トリアミノトリフェニルメタン系染料及び脂肪酸金属塩等による変性物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートなどの四級アンモニウム塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドなどのジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレード、ジシクロヘキシルスズボレートなどのジオルガノスズボレートを単独であるいは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
また、負の荷電制御剤としては、例えば、有機金属化合物、キレート化合物が有効である。その例としては、アルミニウムアセチルアセトナート、鉄(II)アセチルアセトナート、3,5−ジターシャリーブチルサリチル酸クロム等があり、特にアセチルアセトン金属錯体、モノアゾ金属錯体、ナフトエ酸あるいはサリチル酸系の金属錯体または塩が好ましい。
現像剤(トナー)が、磁性現像剤(トナー)である場合、磁性材料として、マグネタイト、マグヘマイト、フェライト等の酸化鉄系金属酸化物;Fe、Co、Niのような磁性金属、これらの金属とAl、Co、Cu、Pb、Mg、Ni、Sn、Zn、Sb、Be、Bi、Cd、Ca、Mn、Se、Ti、W、Vのような金属との合金、及びこれらの混合物等を配合する。これら磁性材料は、着色剤としての役目を兼用させても構わない。
現像剤(トナー)に配合する着色剤として、従来からこの分野で使用している顔料、染料を使用することが可能であり、適宜選択して使用すればよい。
現像剤(トナー)には離型剤を配合することが好ましい。例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス、カルナウバワックス、フィッシャートロプシュワックス、サゾールワックス、モンタンワックス等の脂肪酸エステルを主成分とするワックス類等が適当である。
さらに、現像剤(トナー)には、環境安定性、帯電安定性、現像性、流動性、保存性向上及びクリーニング性向上のために、シリカ、酸化チタン、アルミナ等の無機微粉体を外添すること、すなわち現像剤表面近傍に存在させていることが好ましい。中でも、シリカ微粉体が好ましい。
無機微粉体以外の外添剤をさらに加えて用いても良い。例えば、テフロン、ステアリン酸亜鉛、ポリフッ化ビニリデンのような滑剤(中では、ポリフッ化ビニリデン)、酸化セリウム、チタン酸ストロンチウム、ケイ酸ストロンチウム等の研磨剤がある。
現像剤(トナー)を作成するには、先ず、結着樹脂、着色剤としての顔料又は染料、離型剤、必要に応じて磁性材料や荷電制御剤、その他の添加剤をヘンシェルミキサー、ボールミキサー等の混合機により充分に混合する。得られた混合物を加熱ロール、ニーダー、エクストルーダー等の熱混練機を用いて溶融して樹脂類を互いに相溶せしめた中に離型剤、顔料、染料、磁性体を分散又は溶解せしめ、冷却固化後、粉砕及び分級を行ってトナー粒子を得ることができる。さらに、必要に応じて所望の添加剤を加え、ヘンシェルミキサー等の混合機により充分に混合して、現像剤(トナー)を得ることもできる。
このような現像剤は、前述したように種々の方法で、球形化処理、表面平滑化処理を施して球形化度を調整することが可能である。そのような方法として、攪拌羽根又はブレードなど、及びライナー又はケーシングなどを有する装置で、例えば、現像剤をブレードとライナーの間の微小間隙を通過させる際に、機械的な力により表面を平滑化したり現像剤を球形化したりする方法が挙げられる。さらに、温水中にトナーを懸濁させ球形化する方法、熱気流中にトナーを曝し、球形化する方法等がある。
また、球状の現像剤を直接作る方法としては、水中に現像剤結着樹脂となる単量体を主成分とする混合物を懸濁させ、重合してトナー化する方法がある。一般的な方法においては、まず、重合性単量体、着色剤、重合開始剤、さらに必要に応じて架橋剤、磁性材料、荷電制御剤、離形剤、その他の添加剤を均一に溶解又は分散せしめて単量体組成物を調製する。そして、この単量体組成物を分散安定剤含有の連続層、例えば水相中に適当な攪拌機を用いて適度な粒子径に分散し、さらに重合反応を行わせ、所望の粒子径を有する現像剤を得る方法である。
トナー粒子表面に外添される外添剤としては、公知の外添剤を用いることができる。そのうちの一つが無機微粒子であり、少なくとも、酸化チタン、酸化アルミナ、シリカのうちいずれか一種類以上を用いることが好ましい。無機微粒子の粒径は個数分布基準のピーク値で80乃至200nm以下であることが、キャリアとのトナー離れを良化するためのスペーサー粒子として機能させる上で好ましい。また、該外添剤には、平均粒径が個数分布基準のピーク値で50nm以下の微粒子を併用して用いることが、トナーの帯電性及び流動性を向上させる上で好ましい。更には、上記無機微粒子に疎水化処理を行ったものがよい。疎水化処理を行う場合には、各種チタンカップリング剤、シランカップリング剤等のいわゆるカップリング剤やシリコーンオイル等を用いることが好ましい。
疎水化処理を行うための表面処理剤の例としては、チタンカップリング剤として、テトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルフォニルチタネート、ビス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテートチタネートなどがある。さらに、シランカップリング剤としては、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシランなどがあげられ、脂肪酸及びその金属塩としては、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ドデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ペンタデシル酸、ステアリン酸、ヘプタデシル酸、アラキン酸、モンタン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸などの長鎖脂肪酸があげられ、その金属塩としては亜鉛、鉄、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、ナトリウム、リチウムなどの金属との塩があげられる。さらに、シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイルなども表面処理剤としてあげることができる。
これらの表面処理剤は、無機微粒子に対して1乃至10質量%添加し被覆することが良く、好ましくは、3乃至7質量%である。また、これらの材料を組み合わせて使用することもできる。
この無機微粒子の添加量は、トナー中に0.1乃至5.0質量%(磁性粉も含むトナー重量に対する%値)、好ましくは0.5乃至4.0質量%である。また、外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。
トナーが二成分現像剤である場合、キャリアは体積平均粒径(Dv)が15.0乃至70.0μmであることが好ましい。上記範囲内に制御することによって、磁性キャリアの形状を略球形且つ均一な大きさに制御する事ができるため、良好な帯電付与性能を維持できる。より好ましくは、体積平均粒径(Dv)が、20.0乃至50.0μmであることが高画質化と耐久安定性の面で優れる。
本発明におけるキャリアは、真比重が3.0乃至5.0g/cm3であるものが好ましく、より好ましくは、3.2乃至4.0g/cm3である。真比重がこの範囲にあると、キャリアとトナーとの撹拌混合においてトナーへの負荷が少なく、キャリアへのトナースペントが抑制され、トナー離れを長期間良好に維持することができ、また感光ドラムへのキャリア付着が抑制されるので好ましい。
本発明においては、磁性キャリアは、少なくともその表面に樹脂成分を有するものが用いられる。例えば、鉄、銅、ニッケル、コバルトなどの磁性金属、マグネタイト、フェライトなどの磁性酸化物の芯材に樹脂被覆層を有したもの、又は上述したような磁性微粒子を樹脂中に分散した磁性微粒子分散型キャリアなどが使用可能である。
特に本発明においては、所望の円形度を得るために、磁性微粒子を結着樹脂中に分散させたキャリアコアを用いた磁性微粒子分散型樹脂キャリアを用いることが好ましい。中でも、重合工程を経て直接製造されたキャリアコアを用いた、磁性微粒子分散型樹脂キャリアを使用することが平均円形度を上げ、円形度分布を狭くする上でも好ましい。用いる磁性微粒子の粒径は、個数分布基準でピーク値が80乃至800nm程度のものが磁性微粒子の脱離防止、キャリア強度を高めるため、さらにキャリア形状を概球形とするため、形状のばらつきを抑えるために好ましい。
磁性微粒子分散型樹脂キャリアに用いる磁性微粒子の量としては、該キャリアに対して70乃至95質量%(より好ましくは、80乃至92質量%)含有することがキャリアの真比重を小さくし、機械的強度を十分に確保する上で好ましい。また、円形度の低い不定形のキャリアの存在量を抑えるためにも好ましい。さらに、キャリアの磁気特性を変えるために、磁性微粒子分散型コア粒子中には磁性微粒子に加えて非磁性無機化合物を配合してもよい。非磁性無機化合物の粒径は、個数分布基準でピーク値が100乃至1000nm程度のものが、キャリアの比抵抗をコントロールしやすいという点で好ましい。
非磁性無機化合物を磁性体と併用する場合、磁性微粒子及び非磁性無機化合物の総量に対して、磁性微粒子は50質量%以上含まれていることが、樹脂キャリアの磁化の強さを調整してキャリア付着を防止する上で好ましい。
磁性微粒子分散型樹脂キャリアにおいては、磁性微粒子がマグネタイト微粒子であるか、又は、鉄元素及びマグネシウム元素を少なくとも含む磁性フェライト微粒子であることが好ましい。また、非磁性無機化合物はヘマタイト(α−Fe23)の微粒子であることが、キャリアの磁気特性、真比重を調整する上で、より好ましい。
キャリアコアを形成する結着樹脂としては、ポリマー鎖中にメチレンユニットを有するビニル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、セルロース樹脂及びポリエーテル樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、混合して使用しても良い。
該ビニル樹脂を形成するためのビニル系モノマーとしては、スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレンの如きスチレン誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如きエチレン及び不飽和モノオレフィン;ブタジエン、イソプレンの如き不飽和ジオレフィン;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル等の如きハロゲン化ビニル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルの如きビニルエステル;メタクリル酸;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニルの如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル;アクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸−2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル;マレイン酸、マレイン酸ハーフエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンの如きN−ビニル化合物;ビニルナフタリン;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体;アクロレイン等が挙げられる。これらの中から一種又は二種以上使用して重合させたものが、該ビニル樹脂として用いられる。
磁性微粒子分散型樹脂キャリアコアを製造する好ましい方法としては、結着樹脂のモノマーと磁性微粒子を混合し、該モノマーを重合して磁性微粒子分散型キャリアコア粒子を得る方法である。このとき、重合に用いられるモノマーとしては、前述したビニル系モノマーの他に、エポキシ樹脂を形成するためのビスフェノール類とエピクロルヒドリン;フェノール樹脂を形成するためのフェノール類とアルデヒド類;尿素樹脂を形成するための尿素とアルデヒド類、メラミンとアルデヒド類が用いられる。例えば、硬化系フェノール樹脂を用いた磁性微粒子分散型コア粒子の製造方法としては、水性媒体に磁性微粒子を入れ、この水性媒体中でフェノール類とアルデヒド類を塩基性触媒の存在下で重合して磁性微粒子分散型キャリアコア粒子を得る方法がある。
フェノール樹脂を生成するためのフェノール類としては、フェノール自体の他、m−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、o−プロピルフェノール、レゾルシノール、ビスフェノールAの如きアルキルフェノール類及びベンゼン核又はアルキル基の一部又は全部が塩素原子や臭素原子で置換されたハロゲン化フェノール類の如きフェノール性水酸基を有する化合物が挙げられる。中でもフェノール(ヒドロキシベンゼン)が、より好ましい。
アルデヒド類としては、ホルマリン又はパラアルデヒドのいずれかの形態のホルムアルデヒド及びフルフラール等が挙げられる。中でもホルムアルデヒドが特に好ましい。アルデヒド類のフェノール類に対するモル比は、1.0乃至4.0が好ましく、1.2乃至3.0であることが、反応性最適化の観点から特に好ましい。
フェノール類とアルデヒド類とを縮重合させる際に使用する塩基性触媒としては、通常のレゾール型樹脂の製造に使用されているものが挙げられる。このような塩基性触媒としては、例えば、アンモニア水、ヘキサメチレンテトラミン及びジメチルアミン、ジエチルトリアミン、ポリエチレンイミンの如きアルキルアミンが挙げられる。これら塩基性触媒のフェノール類に対するモル比は、0.02乃至0.30とすることが好ましい。
本発明では、平均円形度が0.935以上、より好ましくは0.950以上の概球形のキャリアを得るために、また円形度のばらつきを小さくするための一つの手法として、重合開始時の溶存酸素量をコントロールすることが重要である。重合反応開始時の該反応媒体中の溶存酸素量は5.0g/m3以下であることが好ましい。重合反応中に溶存酸素の脱気を目的として反応媒体中に導入する不活性ガスは工業的に見て、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスから選ばれる少なくとも1種類以上のものがよい。また、該不活性ガスの導入量は、重合反応前には反応容器体積の5体積%/min〜100体積%/minとすることが好ましい。また、重合反応中の反応媒体中へのガス導入量は1体積%/min〜20体積%/minとし、重合反応前に比べ重合反応中の導入量を少なくすることが好ましい。このようにすることにより、溶存酸素の置換効率を上げて微粒子の生成を防止し、更に前記微粒子が通常粒子に取り込まれて異形化するのを防止することができる。
更に、モノマーを重合して磁性微粒子分散型キャリアコア粒子を得るためには、撹拌翼周速を1.0乃至3.5m/secにコントロールすることが重要である。上記範囲内に制御することによって、重合中の粒子の解砕力を一定にし、不定形の粒子生成を抑制することができる。
キャリアの表面コートをする樹脂としては、絶縁性の樹脂を用いることが好ましい。この場合に使用し得る絶縁性樹脂は、熱可塑性の樹脂であっても熱硬化性樹脂であってもよい。該コート材を形成する樹脂としては、具体的には、例えば、熱可塑性の樹脂としては、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレートやスチレン−アクリル酸共重合体等のアクリル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリフッ化ビニリデン樹脂、フルオロカーボン樹脂、パーフロロカーボン樹脂、溶剤可溶性パーフロロカーボン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、石油樹脂、セルロース、酢酸セルロース、硝酸セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体、ノボラック樹脂、低分子量ポリエチレン、飽和アルキルポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレートといった芳香族ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂等を挙げることができる。
また、熱硬化性樹脂としては、具体的には、例えば、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、マレイン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、或いは、無水マレイン酸とテレフタル酸と多価アルコールとの重縮合によって得られる不飽和ポリエステル、尿素樹脂、メラミン樹脂、尿素−メラミン樹脂、キシレン樹脂、トルエン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン−グアナミン樹脂、アセトグアナミン樹脂、グリプタール樹脂、フラン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂等を挙げることができる。
上述した樹脂は、単独でも使用できるが、夫々を混合して使用してもよい。また、熱可塑性樹脂に硬化剤等を混合し硬化させて使用することもできる。特に好ましい形態は、トナーに対して帯電付与能力が高く、かつ、より離型性の高い樹脂コート材を用いることが好適である。
本発明においては、キャリアコアとの密着性、スペント防止、被覆層の強度の観点から、シリコーン樹脂が好ましく用いられる。シリコーン樹脂は、単独で用いることもできるが、被覆層の強度を高め、トナーの帯電状態を好ましく制御するために、カップリング剤と併用して用いることが好ましい。更に、前述のカップリング剤は、その一部が、コート材で被覆される前に、キャリアコア表面に処理される、いわゆるプライマー剤として用いられることが好ましい。キャリアコア表面がカップリング剤により処理されることにより、その後コート材により形成される被覆層が、共有結合を伴った、より密着性の高い状態で形成することができる。
カップリング剤としては、アミノシランを用いると良い。その結果、ポジ帯電性を持ったアミノ基をキャリア表面に導入でき、良好にトナーに高い負帯電特性を付与できる。また、コート樹脂をキャリア表面に被覆する際には、30〜80℃の温度下において、減圧状態で被覆することが好ましい。
その理由は明確ではないが、下記に記載するものと予想される。
(1)被覆段階で適度の反応が進行し、キャリアコア表面にコート材が均一に、また平滑に被覆される。
(2)焼き付け工程において、少なくとも160℃以下での低温処理が可能となり、樹脂の過度な架橋を防止し、被覆層の耐久性を高められる。
さらに、該コート樹脂中には、コート樹脂100質量部に対して1乃至40質量部の割合で微粒子を含有することがキャリア表面の微小な凹凸をコントロールし、トナー離れを良好にするために好ましい。微粒子としては、有機、無機いずれの微粒子も用いることができるが、キャリアにコートを施す際に粒子の形状を保つことが必要であり、架橋樹脂粒子あるいは、無機の微粒子を好ましく用いることができる。具体的には、有機微粒子としては、架橋ポリメチルメタクリレート樹脂、架橋ポリスチレン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ナイロン樹脂を用いることができる。また、無機微粒子としては、シリカ、酸化チタン、及びアルミナを用いることができる。これらの有機又は無機微粒子は、単独であるいは2種以上を混合して用いることができる。特に、架橋ポリメチルメタクリレート樹脂、メラミン樹脂を単独あるいは混合して用いることがトナーへの高い負帯電量付与とトナーとの離型性を両立するために好ましい。
該有機又は無機微粒子の粒径は、個数分布基準でピーク値が100乃至500nm(より好ましくは150乃至400nm)であることが、コート量にも依存するがキャリア表面の微小な凹凸を形成し、トナー離れを良好にするため好ましい。
また、コート樹脂100質量部に対し、該有機又は無機微粒子を1乃至40質量部加え、さらに導電性粒子を1乃至15質量部含有させて用いることが、キャリアの比抵抗を下げすぎず、且つキャリア表面の残留電荷を除去し、トナー離れを良好にするために好ましい。
該導電性粒子としては、比抵抗が1×108Ω・cm以下のものが好ましく、さらには、比抵抗が1×106Ω・cm以下のものがより好ましい。該導電性粒子は、具体的には、カーボンブラック、マグネタイト、グラファイト、酸化亜鉛、及び酸化錫粒子等から選ばれる粒子が好ましい。中でもカーボンブラックが、粒径が小さくキャリア表面の微粒子による凹凸を阻害することなく好ましく用いることができる。該導電性粒子の粒径は、個数分布基準でピーク値が10乃至500nm(より好ましくは20乃至200nm)であることが、キャリア表面の残留電荷を良好に除去し、かつキャリアからの脱離を良好に防止するために好ましい。更には現像剤担持体へのリークを抑制し、長期に渡り安定した磁気ブラシ形成を行うことができる。
キャリアコート樹脂のコート量は、キャリアコア粒子100質量部に対し0.3乃至4.0質量部であることが、高い帯電量付与のため、さらに環境の変化による帯電量変化を小さくする上で好ましい。更に好ましくは、現像剤担持体上での均一な穂形成及び融着防止の観点から、0.8乃至3.5質量部であることが良い。
本発明に用いられるキャリアとトナーは、比表面積が合う形で混合して用いることが好ましい。トナー濃度としては、二成分系現像剤において、二成分系現像剤の全質量に対し、トナー質量が5乃至20質量%であることが、帯電量付与、カブリ、画像濃度などの観点から好ましい。
以下に本発明に関わる物性の測定方法及び分析方法について述べる。
(1)ポリシロキサンの{(x+y)/(x+y+z)}の測定
Si−固体NMR(商品名:CMX−300(商品名)、Chemagnetics社製)を用い、測定試料を直径7.5mmのセラミック製プローブに挿入し、室温(25℃)にてCP/MAS法により{(x+y)/(x+y+z)}を測定した。測定試料としては、現像剤担持体のポリシロキサンを含有する層から適当量採取し、これを粉砕したものを用いた。
(2)現像剤担持体表層の組成分析方法
10倍以上1000倍以下の光学顕微鏡下、光学顕微鏡に設置した3次元粗微動マイクロマニピュレーター((株)ナリシゲ製)を用い、現像剤担持体のポリシロキサンを含有する層から1mg程度の試料を採取した。
採取した試料を、TG−MS法(TG装置にMS装置を直結)により、加熱時に発生する気体の質量数ごとの濃度変化を、重量変化と同時に、温度の関数として追跡した。測定の条件を表1に示す。
Figure 2007264614
上記条件で測定して得られたTG−DTG(Derivative thrmogravimetry)曲線によると、室温付近から重量減少が認められた。また、400℃以上500℃以下付近及び500℃以上650℃以下付近の温度域の各々において顕著な重量減少が認められた。
ここで、400℃以上500℃以下の温度域で発生する気体について、質量数(m/z)31、43、58、59のオキシアルキレン基が確認でき、その重量減少率から、ポリシロキサン中のオキシアルキレン基の含有量を測定することが出来る。また、質量数(m/z)78(ベンゼン)、91(トルエン)などのアリール基も確認でき、その重量減少率から、ポリシロキサン中のアリール基の含有量を測定することが出来る。更に、質量数(m/z)16、41などのアルキル基も確認でき、その重量減少率から、ポリシロキサン中のアルキル基の含有量を測定することが出来る。
また、500℃以上600℃以下の温度域で発生する気体について、質量数(m/z)51、69、119、131のフッ化アルキル基が確認でき、その重量減少率から、ポリシロキサン中のフッ化アルキル基の含有量を測定することが出来る。
現像剤担持体のポリシロキサンを含有する層がポリシロキサンのみからなるものである場合、残渣はポリシロキサン中のシロキサン部分であると考えられ、この場合、残渣からポリシロキサン中のシロキサン部分の含有量を測定することが出来る。
(3)透過型電子顕微鏡(TEM)による表層の層厚測定
試料を3mm×3mm、厚み1mm程度のサイズに切り出し、紫外線硬化アクリル樹脂中に包埋させ紫外線硬化した。ミクロトームを用いてガラスナイフでそのサンプルをアルミ部分が数十μmとなるまでトリミングし、最後に超薄切片(設定厚さ100nm)を作製した。
透過型電子顕微鏡(TEM)にて透過像観察を行い、プリント画像上で層厚測定を行った。観察倍率は5000倍以上10000倍以下で行った。
(4)導電性樹脂被覆層の体積抵抗
厚さ100μmのPETシート上に7μm以上20μm以下の厚さの導電性樹脂被覆層を形成し被験試料とした。ASTM規格D−991−89(1994)及び日本ゴム協会標準規格SRIS 2301−1969に準拠した、導電性ゴム及びプラスチックの体積抵抗測定用4端子構造電極を設けた電圧降下式デジタルオーム計(川口電機製作所製)を使用して測定した。また、導電性樹脂被覆層上に表層を作製し、同様にして表層の体積抵抗を測定した。測定環境は20℃以上25℃以下、50%RH以上60%RH以下とした。
(5)カーボンブラック及び1μm未満の導電性微粒子の粒径測定
日立超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、S−4800(商品名))を用いて、カーボンブラック及び導電性微粒子の粒径を測定した。撮影倍率は6万倍または30万倍にした。難しい場合は低倍率で撮影した後に所定倍率となるように写真を拡大プリントした。写真上で一次粒子の長軸と短軸を測り、平均した値をその粒子の一次粒子径とした。これを、100サンプルについて測定し、50%値をもって一次粒子径とした。
(6)カーボンブラックのBET比表面積
カーボンブラックのBET比表面積は、JIS K6217−2:2001「ゴム用カーボンブラック―基本特性―第2部:比表面積の求め方―窒素吸着法―単点法」の方法Cの規定に従って測定した。
(7)球状粒子及びトナーの粒径測定
測定装置として、コールターカウンターTA−II型、コールターマルチサイザーII又はコールターマルチサイザーIII(いずれもベックマン・コールター社製、商品名)を用い、電解液として、塩化ナトリウム(試薬1級)を溶かして調製した約1質量%NaCl水溶液、あるいはISOTON−II(ベックマン・コールター社製、商品名)を使用した。電解液100ml以上150ml以下中に、分散剤として、界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸塩液)0.1ml以上5ml以下を加え、次いで、試料を2mg以上20mg以下加え、超音波分散器で約1分間以上3分間以下分散処理を行い被験試料を調製した。上記測定装置の100μmアパーチャーあるいは30μmアパーチャーを用い、上記被験試料中の球状粒子又はトナー粒子の体積、個数を測定した。
この測定結果から体積分布と個数分布とを算出し、体積分布から求めた重量基準の重量平均粒径(D4)及び個数分布から求めた個数基準の長さ平均粒径(D1)(共に各チャンネルの中央値をチャンネル毎の代表値とする)を求めた。
(8)1μm以上の導電性粒子の粒径
グラファイト、黒鉛化粒子等の導電性粒子の粒径は、レーザー回折型粒度分布計 コールターLS−230型粒度分布計(ベックマン・コールター社製、商品名)を用いて測定した。測定方法としては、少量モジュールを用い、測定溶媒としてはイソプロピルアルコール(IPA)を使用した。IPAにて粒度分布計の測定系内を約5分間洗浄し、洗浄後バックグラウンドファンクションを実行した。次にIPA50ml中に、測定試料1mg以上25mg以下を加えた。試料を懸濁した溶液を超音波分散機で約1分以上3分間以下分散処理し、被験試料液を得た。前記測定装置の測定系内に該被験試料液を徐々に加えて、装置の画面上のPIDSが45%以上55%以下になるように測定系内の試料濃度を調整して測定を行い、体積分布から算出した体積平均粒径を求めた。
(9)現像剤担持体表面の算術平均粗さ(Ra)
JIS B0601−2001に基づき、株式会社小坂研究所製の表面粗度計SE−3500(商品名)にて、軸方向3点×周方向3点=合計9点について各々算術平均粗さ(Ra)を測定し、その平均値をとった。測定は、カットオフ0.8mm、測定距離8.0mm、送り速度0.5mm/sの条件下にて行った。
(10)導電性樹脂被覆層の層厚
導電性樹脂被覆層の層厚の測定には、KEYENCE社製のレーザー寸法測定器を用いた。コントローラLS−5500(商品名)及びセンサーヘッドLS−5040T(商品名)を用い、スリーブ固定治具及びスリーブ送り機構を取りつけた装置にセンサー部を別途固定し、導電性樹脂被覆層を形成した部位の外径寸法を、長手方向に対し30分割して30箇所、さらに周方向に90°回転させた後さらに30箇所、計60箇所について測定した。導電性樹脂被覆層を形成した部位の外径寸法としてその平均値をとった。同様にして測定した基体の外径寸法と、上記導電性樹脂被覆層を形成した部位の外径寸法から、導電性樹脂被覆層の層厚を求めた。
(11)トナー粒子の平均円形度
シスメックス社製フロー式粒子像分析装置FPIA―2100(商品名)を用いて23℃/60%RHの環境下で測定を行った。円相当径が0.60μm以上400μm以下の範囲内のトナー粒子について、投影像の面積及び周囲長を測定し、そこで測定されたトナー粒子の投影像の面積から、円相当径を求めた。また、円相当径が0.60μm以上400μm以下の範囲内のトナー粒子について円形度を下式により求めた。更に円相当径3μm以上400μm以下のトナー粒子について、円形度の総和及び全粒子数を求めた。得られた円形度の総和を全粒子数で除した値を平均円形度と定義した。
円形度a=L0/L
(式中、L0はトナー粒子の投影像の面積と同じ面積を持つ円の周囲長を示し、Lは512×512の画像処理解像度(0.3μm×0.3μmの画素)で画像処理した時のトナー粒子の投影像の周囲長を示す。)
本発明における円形度はトナー粒子の凹凸度合いの指標であり、トナー粒子が完全な球形の場合1.00を示し、表面形状が複雑になるほど円形度は小さな値となる。具体的な測定方法としては、予め不純物を除去した水200ml以上300ml以下中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1ml以上0.5ml以下加え、更に測定試料を0.1g以上0.5g以下程度加える。試料を分散した懸濁液は超音波発信機で2分間分散し、トナー粒子濃度が0.2万個/μl以上1.0万個/μl以下の被験試料液を調製し、これを用いてトナー粒子の円形度分布を測定する。超音波発信器としては、例えば以下の装置を使用し、以下の分散条件を用いる。
UH-150(株式会社エス・エム・テー社製)
OUTPUT レベル:5
コンスタントモード
測定の概略は以下のとおりである。
被験試料液は、フラットで扁平なフローセル(厚み約200μm)の流路(流れ方向に沿って拡がっている)を通過させる。フローセルの厚みに対して交差して通過する光路を形成するように、ストロボとCCDカメラがフローセルに対して相互に反対側に装着される。被験試料液が流れている間に、ストロボ光がフローセルを流れている粒子の画像を得る為に1/30秒間隔で照射され、それぞれの粒子はフローセルに平行な一定範囲を有する二次元の投影像として撮影される。それぞれの粒子の投影像の面積から、同一の面積を有する円の直径を円相当径として算出する。また、円相当径0.60μm以上400μm以下のそれぞれの粒子の投影像の面積及び投影像の周囲長から上記の円形度算出式を用いて各粒子の円相当径を求める。さらに、得られた結果に基づき円相当径3μm以上400μm以下のトナー粒子における平均円形度(平均円形度と表すことがある)を算出する。
以下に、実施例をもって、本発明を更に詳しく説明するが、本発明は何らこれらに限定されるものではない。なお、以下の配合における部、%は、特にことわらない限り、それぞれ質量部、質量%を示す。
[導電材A−1]
石炭系重質油を熱処理することで得られたメソカーボンマイクロビーズを、洗浄・乾燥した後、アトマイザーミルで機械的に分散を行い、窒素雰囲気下において800℃で一次加熱処理を行い炭化させた。次いで、アトマイザーミルで二次分散を行った後、窒素雰囲気下において2800℃で熱処理し、更に分級して体積平均粒径4.5μmの黒鉛化粒子を集め、導電材A−1を得た。
[導電材A−2]
原材料として、コークスとタールピッチの混合物を用い、この混合物をタールピッチの軟化点以上の温度で練り込み、押出し成型し、窒素雰囲気下において1000℃で一次焼成して炭化し、続いてコールタールピッチを含浸させた後、窒素雰囲気下において2800℃で二次焼成をして黒鉛化し、さらに粉砕及び分級して個数平均粒径7.6μmの導電剤A−2を得た。
[カーボンブラックB−1]
カーボンブラック#5500(東海カーボン株式会社製(商品名)、1次粒子径25nm、DBP吸油量155ml/100g)を導電性カーボンブラックB−1として用いた。
[凹凸付与粒子P−1]
凹凸付与粒子である球状粒子P-1として、ニカビーズPC-0520(日本カーボン株式会社;商品名)を用いた。
[凹凸付与粒子P−2]
凹凸付与粒子である球状粒子P−2として、ニカビーズPC-1020(日本カーボン株式会社;商品名)を用いた。
[トナーの製造例Z−1]
・ポリエステル樹脂 100質量部
(ガラス転移温度(Tg):58.3℃、重量平均分子量:7200)
・磁性体(平均粒径:0.22μm) 95質量部
・モノアゾ鉄錯体 2質量部
・ポリプロピレン(融点:145℃) 4質量部
上記混合物をヘンシェルミキサーで前混合した後、110℃に加熱された2軸エクストルーダで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕してトナー粗粉砕物を得た。得られた粗粉砕物を、機械式粉砕機ターボミル(ターボ工業社製;回転子及び固定子の表面に炭化クロムを含有したクロム合金めっきでコーティング(めっき厚150μm、表面硬さHV1050)を用いて、機械的に微粉砕した。得られた微粉砕物をコアンダ効果を利用した多分割分級装置(日鉄鉱業社製エルボジェット分級機)で微粉及び粗粉を同時に分級除去し原料トナーを得た。得られた原料トナー粒子のコールターカウンター法で測定される重量平均粒径(D4)は6.6μmであった。この原料トナー粒子を、図7に示す表面改質装置で表面改質し及び微粉除去を行った。その際、本トナー製造例においては、分散ローター36上部に角型ディスク40を16個設置し、ガイドリング39と分散ローター36上部の角型ディスク40の間隔を60mm、分散ローター36とライナー34との間隔を4mmとした。また分散ローター36の回転周速を150m/sとし、ブロワー(不図示)風量を30m3/minとした。また微粉砕品の投入量を300kgとし、サイクルタイムを55sとした。またこの表面改質装置の胴部分の回りを覆っているジャケット(不図示)に通す冷媒の温度を−13℃、冷風温度T1を−20℃とした。以上の工程を経て、コールターカウンター法で測定される重量平均粒径(D4)6.7μm、平均円形度が0.970の負帯電性トナー粒子を得た。このトナー粒子100質量部と、ヘキサメチルジシラザン処理し、次いでジメチルシリコーンオイル処理を行った疎水性シリカ微粉体1.2質量部とを、ヘンシェルミキサーで混合して負帯電性トナーZ−1を調製した。
[トナーの製造例Z−2]
下記の手順によって重合法トナーを作製した。
60℃に加温したイオン交換水900部に、リン酸三カルシウム3部を添加し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、10,000rpmにて撹拌し、水系媒体を作成した。
また、下記処方をホモジナイザー(日本精機社製)に投入し、60℃に加温した後、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、9,000rpmにて攪拌し、分散した。
・スチレン 130部
・n−ブチルアクリレート 60部
・C.I.ピグメントブルー15:3 18部
・サリチル酸アルミニウム化合物 2部
(ボントロンE−88(商品名):オリエント化学社製)
・ポリエステル樹脂 15部
(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとイソフタル酸との重縮合物、Tg=65℃、Mw=10000、Mn=6000)
・ステアリン酸ステアリルワックス 40部
(DSCのメインピーク60℃)
・ジビニルベンゼン 0.6部
これに重合開始剤2,2'-アゾビス(2,4―ジメチルバレロニトリル)5質量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
前記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、60℃、窒素雰囲気下において、TK式ホモミキサーを用いて8,000rpmで攪拌し、造粒した。
その後、プロペラ式攪拌装置を備えた反応容器に移して攪拌しつつ、2時間かけて70℃に昇温し、更に4時間後、昇温速度40℃/hで80℃まで昇温し、80℃で5時間反応を行い、重合体粒子を製造した。重合反応終了後、前記重合体粒子を含むスラリーを冷却し、スラリーの10倍の水量で洗浄し、ろ過、乾燥の後、分級によって粒子径を調整してシアントナーの母体粒子(重量平均粒径6.7μm、平均円形度0.980)を得た。
このトナー母体粒子100質量部に対し、ヘキサメチレンジシラザンで表面処理された疎水性シリカ微粉体1.0質量部(平均一次粒径7nm)、ルチル型酸化チタン微粉体0.15質量部(平均一次粒径45nm)、ルチル型酸化チタン微粉体0.5質量部(平均一次粒径200nm)をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で5分間乾式混合して、本発明に用いる平均円形度0.980の非磁性一成分現像剤としてのトナーZ−2とした。
[トナーの製造例Z−3、4]
・スチレン-アクリル酸ブチル-アクリル酸共重合体
(Tg:62.1℃、重量平均分子量:13000) 100質量部
・磁性体(平均粒径:0.19μm) 95質量部
・モノアゾ鉄錯体 2質量部
・パラフィン(融点:76℃) 4質量部
上記混合物をヘンシェルミキサーで前混合した後、110℃に加熱された2軸エクストルーダで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕してトナー粗粉砕物を得た。得られたトナー粗粉砕物を、機械式粉砕機ターボミル(ターボ工業社製;回転子及び固定子の表面に炭化クロムを含有したクロム合金めっきでコーティング(めっき厚150μm、表面硬さHV1050)を用いて、機械的に微粉砕した。得られた微粉砕物をコアンダ効果を利用した多分割分級装置(日鉄鉱業社製エルボジェット分級機)で微粉及び粗粉を同時に分級除去した。得られた原料トナー粒子のコールターカウンター法で測定される重量平均粒径(D4)は6.6μmであった。図7に示す表面改質装置でこの原料トナー粒子の表面改質及び微粉除去を行った。このトナーをトナーAとする。その際、本トナー製造例においては、分散ローター36上部に角型ディスク40を16個設置し、ガイドリング39と分散ローター36上部の角型ディスク40の間隔を60mm、分散ローター36とライナー34との間隔を4mmとした。また分散ローター36の回転周速を145m/sとし、ブロワー(不図示)風量を30m3/minとした。また微粉砕品の投入量を300kgとし、サイクルタイムを50sとした。またこの表面改質装置の胴部分の回りを覆っているジャケット(不図示)に通す冷媒の温度を−15℃、冷風温度T1を−20℃とした。以上の工程を経て、コールターカウンター法で測定される重量平均粒径(D4)6.8μm、平均円形度が0.951の負帯電性トナー粒子を得た。このトナー粒子100質量部と、ヘキサメチルジシラザン処理し、次いでジメチルシリコーンオイル処理を行った疎水性シリカ微粉体1.2質量部とを、ヘンシェルミキサーで混合して負帯電性トナーZ−3を調製した。さらに、トナーAを用いて、分散ローター36上部に角型ディスク40を16個設置し、ガイドリング39と分散ローター36上部の角型ディスク40の間隔を50mm、分散ローター36とライナー34との間隔を3.5mmとした。また分散ローター36の回転周速を150m/sとし、ブロワー(不図示)風量を35m3/minとした。また微粉砕品の投入量を300kgとし、サイクルタイムを60sとした以外は、トナーZ−3と同様の方法で作製した。コールターカウンター法で測定される重量平均粒径(D4)5.9μm、平均円形度が0.967の負帯電性トナー粒子を得た。このトナー粒子100質量部と、ヘキサメチルジシラザン処理し、次いでジメチルシリコーンオイル処理を行った疎水性シリカ微粉体1.2質量部とを、ヘンシェルミキサーで混合して負帯電性トナーZ−4を調製した。
[トナーの製造例Z−5]
ビニル系共重合体の材料として、スチレン10質量部、2-エチルヘキシルアクリレート5質量部、フマル酸2質量部、α−メチルスチレンの2量体5質量部にジクミルパーオキサイド5質量部を滴下ロートに入れた。また、ポリエステルユニットの材料として、下記材料をガラス製4リットルの四つ口フラスコに装入した。
・ポリオキシプロピレン(2,2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン
25質量部
・ポリオキシエチレン(2,2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン
15質量部
・テレフタル酸 9質量部
・無水トリメリット酸 5質量部
・フマル酸 24質量部
・2-エチルヘキサン酸錫 0.2質量部
温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管をこの四つ口フラスコに取りつけ、この四つ口フラスコをマントルヒーター内に設置した。次に四つ口フラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、130℃の温度で攪拌しつつ、先の滴下ロートより、ビニル系共重合体の単量体及び重合開始剤を約4時間かけて滴下した。次いで200℃に昇温を行い、約4時間反応せしめて、重量平均分子量79000、数平均分子量3900の樹脂を得た。
・上記樹脂 100質量部
・精製ノルマルパラフィン 6質量部
(最大吸熱ピーク温度80℃、重量平均分子量800)
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.6質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3 5質量部
上記の処方の材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で混合した後、温度130℃に設定した二軸混練機(PCM−30型、池貝鉄工(株)製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、トナー粗砕物を得た。得られたトナー粗砕物を、高圧気体を用いた衝突式気流粉砕機を用いて微粉砕し、微粉砕物を得た。得られたトナー微粉物を、コアンダ効果を利用した多分割分級機により分級を行い、重量平均粒径6.7μm、平均円形度0.927のシアン粒子を得た。これをトナー中間体1とする。更に、前記トナー中間体1をハイブリタイザー(奈良機械製作所社製)により、回転数6400rpm、処理時間5分、処理回数2回で表面改質を行い、重量平均粒径6.0μm、平均円形度0.951のシアントナーZ−5を得た。
[塗布液1の製造例]
加水分解性シラン化合物として、次のものを準備した。
・グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(GPTES)
29.51g(0.106mol)
・トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリエトキシシラン(FT
S、パーフルオルアルキル基の炭素数6)
11.20g(0.022mol)
・フェニルトリエトキシシラン(PhTES) 30.77g(0.128mol)
・ヘキシルトリメトキシシラン(HeTMS) 13.19g(0.064mol)
これらの加水分解性シラン化合物と水25.93g及びエタノール66.75gとを混合した後、室温で撹拌し、次いで24時間加熱し還流(110℃)を行うことによって、反応させ、加水分解性縮合物(縮合物と表すことがある)を得た。
この縮合物をエタノールで希釈して固形分7.5質量%の縮合物含有アルコール溶液を調整した。この縮合物含有アルコール溶液100gに対して0.35gの光カチオン重合開始剤(芳香族スルホニウム塩(商品名:アデカオプトマーSP−150、旭電化工業株式会社製))を添加することによって、塗布液1を調製した。塗布液1調製用の上記縮合物の調製に用いた原材料及びその量を表2に、また反応条件(加熱温度、加熱時間及びRoh)を表3に示す。なお、左記「Roh」は、下記式で定義される値を意味する。
Roh=[H2O]/[OR]
(式中、[H2O]は使用した水の量[mol]を示し、[OR]は使用した加水分解性シラン化合物に含まれるすべてのアルコキシ基の量[mol]を示す。)
[塗布液2〜19の製造例]
表2に示す加水分解性シラン化合物を用いたこと及び加水分解性縮合物を得る際の反応条件(加熱還流時間、加熱温度、Roh)を表3に示すとおりとしたこと以外は、塗布液1の製造例と同様にして、加水分解性縮合物を調製し、塗布液2〜19を得た。なお、表2中の「MTES」はメチルトリエトキシシランを示す。
Figure 2007264614
Figure 2007264614
実施例1
メタノール40%含有のレゾール型フェノール樹脂溶液J−325(大日本インキ化学工業株式会社製;商品名)300部(固形分180部)、導電材A−1、100部、導電性カーボンブラックB−1、20部にメタノール300部を加え、これをサンドミル(直径1mmのガラスビーズをメディア粒子として使用)で2時間分散し、篩を用いてガラスビーズを分離した後、固形分濃度が33%になる様にメタノールを添加して、塗料R−1を得た。
基体として、上下端部にマスキングを施した外径24.5mmφ、算術平均粗さRa0.2μmの研削加工したアルミニウム製円筒管を準備した。この基体を垂直に立てて、一定速度で回転させ、前記塗料R−1を、スプレーガンを一定速度で下降させながら塗布した。続いて熱風乾燥炉中で150℃、30分間加熱して塗布層を乾燥し硬化して基体上に導電性樹脂被覆層を形成し現像剤担持体中間体S−1を作成した。現像剤担持体中間体S−1の導電性樹脂被覆層の層厚は、15μmであった。表4に現像剤担持体中間体S−1の導電性樹脂被覆層の構成と物性を示す。
Figure 2007264614
次に、前記現像剤担持体中間体S−1の導電性樹脂被覆層上に、塗布液1をエアースプレー法により2度塗布した。そのとき、導電性樹脂被覆層全体に塗布液1が塗布されるように行った。
現像剤担持体中間体S−1の導電性樹脂被覆層上に塗布した塗布液に254nmの波長の紫外線を積算光量が8500mJ/cm2になるように照射することによって、塗膜を硬化(架橋反応による硬化)させた。この硬化したものを数秒間(2〜3秒間)放置して乾燥させることによって導電性樹脂被覆層の上に表層を形成し、現像剤担持体1を作製した。紫外線の照射には、ハリソン東芝ライティング株式会社製の低圧水銀ランプを用いた。本実施例の現像剤担持体1の表層に含有されるポリシロキサンの第1ユニット、第2ユニット、第3ユニットのモル数(x、y、z)における(x+y)/(x+y+z)の値及び官能基の含有量を表5に示す。また、本実施例の現像剤担持体1の表層の物性を表6に示す。
得られた現像剤担持体1にマグネットローラを挿入し、両端にフランジを取りつけて、これを静電潜像担持体がアモルファスシリコンドラム感光体であるキヤノン社製デジタル複写機IR6570の現像器に組み込み、現像装置とした。連続モードで10万枚画出し(耐久)を行った。なお、この現像装置は、概略、図2に挙げたようなものである。
トナーZ−1を用い、画出し途中の100枚目(初期)と耐久10万枚時に評価用画像出力を行い、画像評価を行った。なお、画出し及び評価画像出力は、23℃、60%RHの常温常湿(N/N)、23℃、5%RHの常温低湿(N/L)、及び30℃、80%RHの高温高湿(H/H)環境下の耐久環境について行った。
画像評価は、画像濃度、カブリ、トナー汚染性、トナー融着、及びスリーブゴーストであり、下記の評価方法及び評価基準によった。得られた評価結果を表7に示す。
(1)画像濃度
画像比率5.5%のテストチャートを画像出力して得られたコピー上のφ5mmベタ黒丸部のコピー画像濃度を、反射濃度計RD918(マクベス社製、商品名)により反射濃度測定を行い、その10点の平均値を画像濃度とした。
A:画像濃度1.40以上
B:画像濃度1.35以上1.40未満
C:画像濃度1.30以上1.35未満
D:画像濃度1.20以上1.30未満
E:画像濃度1.20未満
(2)カブリ
(1)で得たコピー上のベタ白部の反射率をランダムに10箇所測定し、その最悪値から未使用の転写紙の反射率(10箇所の平均値)を差し引いたものをカブリ濃度とした。そして、この値を基準として、下記の評価をした。なお、反射率は反射率計TC−6DS(東京電色製、商品名)によって測定を行った。
A:1.0%未満
B:1.0%以上2.0%未満
C:2.0%以上3.0%未満
D:3.0%以上4.0%未満
E:4.0%以上
(3)トナー汚染性
耐久後の現像剤担持体表面をKEYENCE社製の超深度形状測定顕微鏡を用いて、約200倍で観察し、トナー汚染の程度を下記の基準に基づいて評価した。
A:軽微な汚染しか観察されない。
B:やや汚染が観察される。
C:部分的に汚染が観察される。
D:部分的に融着が見られる。
E:全面的に融着が見られる。
(4)ゴースト
プリンタの出力画像において、画像先端の現像剤担持体1周分に相当する領域を白地にベタ黒の四角や丸などの象形画像を等間隔で配置し、それ以外の部分をハーフトーンとしたものを用い、ハーフトーン上に象形画像のゴーストがどのように出現するかによりランク付けを行った。(ポジゴーストとは、ハーフトーンより画像濃度が高いゴーストを示し、ネガゴーストはハーフトーンよりも画像濃度の低いゴーストを示す。)
A:濃淡差が全く見られない。
B:軽微な濃淡差が見られる。
C:濃淡差がやや見られるが、象形画像の形状ははっきり認識できない。
D:濃淡差がスリーブ1周分出る。
E:濃淡差がスリーブ2周分以上出る。
実施例2〜10、比較例1
塗布液をそれぞれ表6に示したものとした以外は実施例1と同様にして現像剤担持体2〜10及び現像剤担持体21を作製し、実施例1と同様にして物性を測定し、評価を行った。得られた結果を表5及び表6並びに表7に示す。
実施例11及び12
表層作製時にそれぞれ3回、5回の塗布を行い、層厚を厚めにしたこと以外は実施例1と同様にして表6に示すように現像剤担持体11及び12を作製した。また、実施例1と同様にして表6に示すように、物性を測定し耐久評価を行った。得られた結果を表5及び表6並びに表7に示す。
Figure 2007264614
Figure 2007264614
Figure 2007264614
実施例13及び14
メタノール40%含有のレゾール型フェノール樹脂溶液J−325(大日本インキ化学工業株式会社製;商品名)333部(固形分200部)、導電材A−1 80部、導電性カーボンブラックB−1 20部、凹凸付与粒子P−1 5部にメタノール300部を加え、これをサンドミル(直径1mmのガラスビーズをメディア粒子として使用)で2時間分散し、篩を用いてガラスビーズを分離した後、固形分濃度が40%になる様にメタノールを添加して、塗料R−2を得た。
基体として、上下端部にマスキングを施した外径12.0mmφ、算術平均粗さRa0.2μmの研削加工したアルミニウム製円筒管を準備した。この基体を垂直に立てて、一定速度で回転させ、前記塗料R−2を、スプレーガンを一定速度で下降させながら塗布した。続いて熱風乾燥炉中で150℃、30分間加熱して塗布層を乾燥し硬化して基体上に導電性樹脂被覆層を形成し現像剤担持体中間体S−2を作成した。現像剤担持体中間体S−2の導電性樹脂被覆層の層厚は、8μmであった。表8に現像剤担持体中間体S−2の導電性樹脂被覆層の構成と物性を示す。
塗布液をそれぞれ表10に示したものとし、表面層の層厚を0.6μmとした以外は、実施例1と同様にして現像剤担持体13及び14を作製し、実施例1と同様にして物性を測定した。得られた結果を表9及び表10に示す。
得られた現像剤担持体13及び14を、市販のレーザービームプリンタ(キヤノン(株)製 LBP5000)の純正シアンカートリッジにそれぞれ組み込み、現像装置とした。この現像装置を前記市販のレーザービームプリンタ(キヤノン(株)製 LBP5000)に搭載し、1枚/10秒の間欠モードで2000枚の画出し(耐久)を行った。なお、この現像装置は、概略、図4に挙げたようなものである。
トナーZ−2を用い、画出し途中の100枚目(初期)と耐久2000枚時に評価用画像出力を行い、画像評価を行った。なお、画出し及び評価画像出力は、23℃、60%RHの常温常湿(N/N)、15℃、10%RHの低温低湿(L/L)、及び30℃、80%RHの高温高湿(H/H)環境下の耐久環境について行った。画像評価は、実施例1と同様に行った。得られた評価結果を表11に示す。
比較例2
塗布液を表10に示したものとし、熱風乾燥炉中で180℃、20分間加熱して硬化して表層を形成したこと以外は実施例13及び14と同様にして表10に示すように現像剤担持体22を作製し、実施例13及び14と同様にして表10に示すように、物性を測定し耐久評価した。得られた結果を表9、表10及び表11に示す。
Figure 2007264614
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Figure 2007264614
Figure 2007264614
実施例15〜17、19、比較例4
メタノール40%含有のレゾール型フェノール樹脂溶液J−325(大日本インキ化学工業株式会社製;商品名)357部(固形分214部)、導電材A−1 66部、導電性カーボンブラックB−1 20部、凹凸付与粒子P−2 10部にメタノール300部を加え、これをサンドミル(直径1mmのガラスビーズをメディア粒子として使用)で2時間分散し、篩を用いてガラスビーズを分離した後、固形分濃度が33%になる様にメタノールを添加して、塗料R−3を得た。
基体として、上下端部にマスキングを施した外径20.0mmφ、算術平均粗さRa0.2μmの研削加工したアルミニウム製円筒管を用いたこと、前記塗料R−3を用いたこと及び導電性樹脂被覆層の層厚を7μmとしたこと以外は実施例1と同様にして、現像剤担持体中間体S−3を作成した。表12に現像剤担持体中間体S−3の導電性樹脂被覆層の構成と物性を示す。
前記現像剤担持体中間体S−3を用いたこと及びそれぞれ表14に示す塗布液を用いたこと、表層の層厚を0.5μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして現像剤担持体15〜17、19を作製し、比較例4のみはS−3をそのまま現像剤担持体24とした。実施例1と同様にして物性を測定し、得られた結果を表13及び表14に示す。
得られた現像剤担持体15〜17、19、24にマグネットローラを組み付け、市販のレーザービームプリンタ(ヒューレットパッカード社製 LASER JET4300)用の純正カートリッジに組み込み、現像装置とした。1枚/10秒の間欠モードで1万枚の画出し(耐久)を行った。なお、この現像装置は、概略、図3に挙げたようなものである。
実施例15、17及び19においては、トナーZ−3を、実施例16においては、トナーZ−1を、比較例4においては、トナーZ−4をそれぞれ使用した。画出し途中の100枚目(初期)と耐久1万枚時に評価用画像出力を行い、画像評価を行った。なお、画出し及び評価画像出力は、23℃、60%RHの常温常湿(N/N)、15℃、10%RHの低温低湿(L/L)及び30℃、80%RHの高温高湿(H/H)環境下の耐久環境について行った。画像評価は、実施例1と同様にして行った。得られた評価結果を表15に示す。
実施例18
メタノール40%含有のレゾール型フェノール樹脂溶液J−325(大日本インキ化学工業株式会社製;商品名)357部(固形分214部)、導電材A−2 66部、導電性カーボンブラックB−1 20部、凹凸付与粒子P−2 10部にメタノール300部を加え、これをサンドミル(直径1mmのガラスビーズをメディア粒子として使用)で2時間分散し、篩を用いてガラスビーズを分離した後、固形分濃度が33%になる様にメタノールを添加して、塗料R−4を得た。
前記現像剤担持体中間体S−4を用いたこと及び表14に示す塗布液を用いたこと以外は、実施例15と同様にして表14に示すように現像剤担持体18を作製し、実施例15と同様にして表14に示すように、物性を測定し耐久評価した。得られた結果を表13、表14及び表15に示す。
比較例3
シリコーン樹脂SH804(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製;商品名)を固形分で214部、導電材A−1 66部、導電性カーボンブラックB−1 20部、凹凸付与粒子P−2 10部にメタノール300部を加えたこと以外は実施例1と同様にして、塗料R−5を得た。
基体として、上下端部にマスキングを施した外径20.0mmφ、算術平均粗さRa0.2μmの研削加工したアルミニウム製円筒管を用いたこと、前記塗料R−5を用いたこと及び導電性樹脂被覆層の層厚を7μmとしたこと以外は実施例1と同様にして現像剤担持体中間体S−5を作製した。表12に現像剤担持体中間体S−5の導電性樹脂被覆層の構成と物性を示す。
本比較例においては、前記現像剤担持体中間体S−5の導電性樹脂被覆層上に表層を形成せずに現像剤担持体としこれを用いた以外は、実施例15と同様にして表14に示すように耐久評価を実施した。得られた評価結果を表15に示す。
Figure 2007264614
Figure 2007264614
Figure 2007264614
Figure 2007264614
実施例20
メタノール40%含有のレゾール型フェノール樹脂溶液J−325(大日本インキ化学工業株式会社製;商品名)333部(固形分200部)、導電材A−1 80部、導電性カーボンブラックB−1 20部、凹凸付与粒子P−2 30部にメタノール300部を加え、これをサンドミル(直径1mmのガラスビーズをメディア粒子として使用)で2時間分散し、篩を用いてガラスビーズを分離した後、固形分濃度が38%になる様にメタノールを添加して、塗料R−6を得た。
基体として、上下端部にマスキングを施した外径16.0mmφ、算術平均粗さRa0.2μmの研削加工したアルミニウム製円筒管を準備した。この基体を垂直に立てて、一定速度で回転させ、前記塗料R−6を、スプレーガンを一定速度で下降させながら塗布した。続いて熱風乾燥炉中で150℃、30分間加熱して塗布層を乾燥し硬化して基体上に導電性樹脂被覆層を形成し現像剤担持体中間体S−6を作成した。現像剤担持体中間体S−6の導電性樹脂被覆層の層厚は、13μmであった。表16に現像剤担持体中間体S−6の導電性樹脂被覆層の構成と物性を示す。
前記現像剤担持体中間体S−6を用いたこと及びそれぞれ表18に示す塗布液を用いたこと、表層の層厚を0.7μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして現像剤担持体20を作製し、実施例1と同様にして物性を測定した。得られた結果を表17及び表18に示す。
得られた現像剤担持体20にマグネットローラを組み付け、市販の複写機(キヤノン(株)製;IRC3200N)の現像器にそれぞれ組み込み、現像装置とした。この現像装置を前記市販の複写機(キヤノン(株)製;IRC3200N)に搭載し、トナーZ−5を用い、1枚/10秒の間欠モードで3万枚画出し(耐久)を行った。なお、この現像装置は、概略、図5に挙げたようなものである。画出し途中の100枚目(初期)と耐久3万枚時に評価用画像出力を行い、画像評価をした。なお、画出し及び評価画像出力は、23℃、60%RHの常温常湿(N/N)、23℃、5%RHの常温低湿(N/L)、及び30℃、80%RHの高温高湿(H/H)環境下の耐久環境について行った。画像評価は実施例1と同様に行った。得られた評価結果を表19に示す。
比較例5、6
外径16.0mmφのアルミニウム製円筒管を図6に示すサンドブラスト装置に取り付け、砥粒106として#100の球状ガラスビーズを用いてブラスト処理し、これを基体S−7とした。ブラスト処理は一般的なエアー方式のブラストマシンである不二製作所のニューマブラスタを用い、ブラスト条件として、エアーの圧力を4kg/cm2で行った。又、この時の処理時間は60秒とし、ワークを40rpmで回転させた。基体S-7の算術平均粗さ(Ra)は、2.1μmであった。
基体として前記基体S-7を用いたこと、該基体上に導電性樹脂被覆層を形成しなかったこと及び表18に示す塗布液をそれぞれ用いて基体S-7上に表層を形成したこと、表層の層厚を比較例5、6ではそれぞれ0.8μm、0.6μmとしたこと以外は実施例20と同様にして表18に示すように、物性を測定し耐久評価を実施した。得られた結果を表17、表18及び表19に示す。
Figure 2007264614
Figure 2007264614
Figure 2007264614
Figure 2007264614
本発明の現像剤担持体の実施形態の一例を示す模式的部分断面図である。 本発明の磁性一成分現像剤を使用する現像装置の実施形態の一例を示す模式図である。 本発明の磁性一成分現像剤を使用する現像装置の実施形態の他の一例を示す模式図である。 本発明の非磁性一成分現像剤を使用する現像装置の実施形態の一例を示す模式図である。 本発明のニ成分現像剤を使用する現像装置の実施形態の一例を示す模式図である。 本発明にて使用されるブラスト装置の一例の模式図である。 本発明の表面改質工程において使用される表面改質装置の一例の概略断面図である。
符号の説明
1 導電性樹脂被覆層
2 基体
3 マグネットローラ
4 導電性樹脂被覆層(添加剤入り)
101 ブラストノズル
102 ノズルホルダー(支持体)
103 噴射ノズル(噴射手段)
104 砥粒流入口(研磨材の流入手段)
105 ネジ
106 砥粒(研磨材)
107 マスキング冶具
108 現像剤担持体(現像スリーブ)
109 ボールネジ
110 固定台
501 静電潜像担持体(感光ドラム)
502 現像剤層厚規制部材(磁性ブレード)
503 現像容器
504 仕切り部材
505 攪拌搬送部材
506 基体
507 導電性樹脂被覆層
508 現像スリーブ
509 磁石(マグネットローラ)
510 現像剤担持体
511 攪拌搬送部材
512 現像剤供給部材
513 現像バイアス電源
514 第一室
515 第二室
516 現像剤層厚規制部材(弾性ブレード)
801 静電潜像担持体(感光ドラム)
803 現像容器
806 基体
807 導電性樹脂被覆層
808 現像剤担持体(現像スリーブ)
809 現像バイアス電源
810 攪拌搬送部材
811 現像剤層厚規制部材(弾性ブレード)
813 現像剤供給・剥ぎ取り部材(現像剤供給・剥ぎ取りローラ)
a カーボンブラック
b 結着樹脂
c 黒鉛化粒子
d 凹凸付与粒子
e オキシアルキレン基を有するポリシロキサンを含有する表層
A 現像スリーブ回転方向
B 静電潜像担持体(感光ドラム)回転方向
D 現像領域
X 薄い現像しか行なわれない部分
Y 濃い現像が行なわれる部分
N、S 磁極
P 感光ドラム(像担持体)
Q 帯電装置
2a マグネットローラ
2b 磁性粒子
R レーザビームスキャナ
4 現像装置
4a 現像容器
4b 現像剤担持体(現像スリーブ)
4c マグネットローラ
4d 現像剤コーティングブレード
4e 二成分現像剤
4f 現像剤撹拌部材
4g トナーホッパー
5 転写ローラ
6 定着装置
7 トナー帯電量制御手段(現像剤帯電量制御手段)
S1〜S3 バイアス電圧印加電源
L レーザー光
P 転写材
31 分級ローター
32 微粉回収
33 原料供給口
34 ライナー
35 冷風導入口
36 分散ローター
37 製品排出口
38 排出弁
39 ガイドリング
40 角型ディスク
41 第一の空間
42 第二の空間

Claims (17)

  1. 少なくとも基体と導電性樹脂被覆層と、表層とを有している現像剤担持体において、該表層が、少なくともオキシアルキレン基を有するポリシロキサンを含有していることを特徴とする現像剤担持体。
  2. 前記オキシアルキレン基を有するポリシロキサンが、フッ化アルキル基を有する請求項1に記載の現像剤担持体。
  3. 前記ポリシロキサン中のフッ化アルキル基の含有量が、前記ポリシロキサン全質量に対して5.0質量%以上50.0質量%以下であり、
    前記ポリシロキサン中のオキシアルキレン基の含有量が前記ポリシロキサン全質量に対して5.0質量%以上70.0質量%以下である請求項2に記載の現像剤担持体。
  4. 前記ポリシロキサンがさらにアルキル基及びアリール基を有し、
    前記ポリシロキサン中のフッ化アルキル基の含有量が前記ポリシロキサン全質量に対して5.0質量%以上30.0質量%以下であり、
    前記ポリシロキサン中のオキシアルキレン基の含有量が前記ポリシロキサン全質量に対して5.0質量%以上30.0質量%以下であり、
    前記ポリシロキサン中のアルキル基の含有量が前記ポリシロキサン全質量に対して5.0質量%以上30.0質量%以下であり、
    前記ポリシロキサン中のアリール基の含有量が前記ポリシロキサン全質量に対して5.0質量%以上30.0質量%以下である請求項3に記載の現像剤担持体。
  5. 前記ポリシロキサンが、SiO0.51(OR2)(OR3)で示される第1のユニット、SiO1.00R4(OR5)で示される第2のユニット及びSiO1.56で示される第3のユニットを有しており、該ポリシロキサン中の前記第1のユニットのモル数をx[mol]とし、前記第2のユニットのモル数をy[mol]とし、前記第3のユニットのモル数をz[mol]としたとき、0.60≦{(x+y)/(x+y+z)}≦0.80である請求項1乃至4のいずれかに記載の現像剤担持体。(上記R1、R4及びR6は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のアルキル基、または、置換もしくは無置換のアリール基を示し、R2、R3及びR5は、それぞれ独立に、水素原子、または、置換もしくは無置換のアルキル基を示す。)
  6. 前記ポリシロキサンが、下記工程(I)及び(II)を経て得られたポリシロキサンである請求項2乃至5のいずれかに記載の現像剤担持体:
    (I)カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物と、フッ化アルキル基を有する加水分解性シラン化合物とを加水分解によって縮合させる縮合工程;
    (II)前記カチオン重合可能な基を開裂させることにより、工程(I)により得られた加水分解性縮合物を架橋させる架橋工程。
  7. 前記ポリシロキサンが、下記工程(III)及び(IV)を経て得られたポリシロキサンである請求項2乃至5のいずれかに記載の現像剤担持体:
    (III)カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物と、フッ化アルキル基を有する加水分解性シラン化合物と、下記式(1)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物とを加水分解によって縮合させる縮合工程;
    Figure 2007264614
    (式(1)中、R11は、アリール基置換のアルキル基もしくは無置換のアルキル基、または、アルキル基置換のアリール基もしくは無置換のアリール基を示す。R12は、飽和または不飽和の1価の炭化水素基を示す。aは0乃至3の整数であり、bは1乃至4の整数であり、a+b=4である。)
    (IV)前記カチオン重合可能な基を開裂させることにより、工程(III)により得られた加水分解性縮合物を架橋させる架橋工程。
  8. 前記ポリシロキサンが、下記工程(V)及び(VI)を経て得られたポリシロキサンである請求項2乃至5のいずれかに記載の現像剤担持体:
    (V)カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物と、フッ化アルキル基を有する加水分解性シラン化合物と、アルキル基を有する加水分解性シラン化合物と、アリール基を有する加水分解性シラン化合物とを加水分解によって縮合させる縮合工程;
    (VI)前記カチオン重合可能な基を開裂させることにより、工程(V)により得られた加水分解性縮合物を架橋させる架橋工程。
  9. 前記カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物が、下記式(2)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物である請求項6乃至8のいずれかに記載の現像剤担持体:
    Figure 2007264614
    (式(2)中、R21及びR22は、それぞれ独立に、飽和又は不飽和の1価の炭化水素基を示し、Z21は、2価の有機基を示し、Rc21は、カチオン重合可能な基を示す。dは0乃至2の整数であり、eは1乃至3の整数であり、d+e=3である。)。
  10. 前記フッ化アルキル基を有する加水分解性シラン化合物が、下記式(3)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物である請求項6乃至8のいずれかに記載の現像剤担持体:
    Figure 2007264614
    (式(3)中、R31及びR32は、それぞれ独立に、置換または無置換のアルキル基を示し、Z31は、2価の有機基を示し、Rf31は、炭素数1乃至11のパーフルオロアルキル基を示す。fは0乃至2の整数であり、gは1乃至3の整数であり、f+g=3である。)。
  11. 前記表層の層厚が0.1μm以上1.5μm以下である請求項1乃至10のいずれかに記載の現像剤担持体。
  12. 前記導電性樹脂被覆層が、少なくとも黒鉛化粒子を含有している請求項1に記載の現像剤担持体。
  13. 前記黒鉛化粒子が、メソカーボンマイクロビーズ粒子を黒鉛化して得られた黒鉛化粒子である請求項12に記載の現像剤担持体。
  14. 前記黒鉛化粒子が、バルクメソフェーズピッチ粒子を黒鉛化して得られた黒鉛化粒子である請求項12に記載の現像剤担持体。
  15. 少なくとも基体と、導電性樹脂被覆層と、オキシアルキレン基を有するポリシロキサンを含有している表層とを有している現像剤担持体の製造方法であって、
    下記工程(I)及び(II)を有することを特徴とする現像剤担持体の製造方法:
    (I)該導電性樹脂被覆層の表面に、カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物とフッ化アルキル基を有する加水分解性シラン化合物とを含む塗膜を形成し、該カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物とフッ化アルキル基を有する加水分解性シラン化合物とを加水分解によって縮合させる工程;
    (II)前記カチオン重合可能な基を開裂させることにより、工程(I)により得られた加水分解性縮合物を架橋させて該表層を形成する工程。
  16. 少なくともトナーを有する現像剤を収容している容器と、前記容器に貯蔵された現像剤を担持搬送するための現像剤担持体を有し、現像剤層厚規制部材により前記現像剤担持体上に現像剤層を形成しながら現像剤担持体上の現像剤を静電潜像担持体と対向する現像領域へと搬送し、前記静電潜像担持体の静電潜像を現像剤により現像し、トナー像を形成する現像装置において、前記現像剤担持体が、請求項1乃至14のいずれかに記載の現像剤担持体である事を特徴とする現像装置。
  17. 前記トナーが、フロー式粒子像測定装置で測定される円相当径3μm以上400μm以下のトナー粒子における平均円形度が、0.950以上であるトナーである事を特徴とする請求項16に記載の現像装置。
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