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JP2007262424A - 熱可塑性エラストマー樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性エラストマー樹脂組成物 Download PDF

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JP2007262424A
JP2007262424A JP2007183641A JP2007183641A JP2007262424A JP 2007262424 A JP2007262424 A JP 2007262424A JP 2007183641 A JP2007183641 A JP 2007183641A JP 2007183641 A JP2007183641 A JP 2007183641A JP 2007262424 A JP2007262424 A JP 2007262424A
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thermoplastic elastomer
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isobutylene
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JP2007183641A
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Yoshifumi Fukui
祥文 福井
Hiroharu Nakabayashi
裕晴 中林
Ryuji Fukuda
竜司 福田
Taizo Aoyama
泰三 青山
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Kaneka Corp
Original Assignee
Kaneka Corp
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Abstract

【課題】機械的強度、成形加工性、外観といった熱可塑性エラストマー樹脂組成物の基本的な特性を維持しつつ、低硬度、低反発弾性といった柔軟性を改良し、かつ、可塑剤のブリードアウトがないことを特徴とする、イソブチレン系熱可塑性エラストマー樹脂組成物、各種パッキンを提供する。
【解決手段】(a)芳香族ビニル系化合物を単量体主成分とする重合体ブロック−イソブチレンを単量体主成分とする重合体ブロック−芳香族ビニル系化合物を単量体主成分とする重合体ブロックからなるイソブチレン系トリブロック共重合体100重量部、(b)ポリオレフィン系重合体10〜25重量部、および充填材0.1〜50重量部からなることを特徴とする熱可塑性エラストマー樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、イソブチレン系ブロック共重合体、ポリオレフィン系重合体を含有してなる熱可塑性エラストマー樹脂組成物に関し、より詳しくは、低硬度、低反発弾性を特徴とし、各種パッキンとして有用な熱可塑性エラストマー樹脂組成物に関する。
熱可塑性樹脂による成形品は、自動車部品、家電製品部品、日用品、スポーツ用品、玩具、工業用部品等に広く利用されている。なかでもポリオレフィン系樹脂はコストと成形性及び物性のバランスに優れることから、広範囲の成形品として利用されている。
一方、近年ゴム的な軟質材料であって、加硫工程を要せず、熱可塑性樹脂と同様な成形加工性を有する熱可塑性エラストマーが、自動車部品、家電製品部品、雑貨、履物、電線被覆等、さらには、パッキンの分野で注目されている。このような熱可塑性エラストマーには現在、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリスチレン系、ポリ塩化ビニル系等の種々のポリマーが開発され、市販されている。これら熱可塑性エラストマーはそれ自身単独で使用されることもあるが、ユーザーの多様なニーズに応えるべく、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーを種々組み合わせた熱可塑性エラストマー樹脂組成物が検討されている。
特にポリオレフィン系樹脂とスチレン・ブタジエン‐ブロックコポリマー(SBS)やスチレン・イソプレン‐ブロックポリマー(SIS)などのポリスチレン系エラストマーさらに軟化剤からなる熱可塑性エラストマー樹脂組成物は硬度、柔軟性、クッション性、耐衝撃性、ゴム弾性、成形加工性等をバランス良く兼ね備えた材料として広く用いられるに至っている。
しかしながら従来のポリオレフィン系樹脂とポリスチレン系エラストマーとの熱可塑性エラストマー樹脂組成物には、耐熱安定性(耐熱老化性)および耐候性等が充分とは言えないといった課題、さらには、軟化剤、滑剤、パラフィンオイル等の低分子量成分が含まれているといった問題があった。
これを解決するために、従来、スチレンと共役ジエンのブロック共重合体の分子内二重結合に水素添加することによって、熱安定性の向上した熱可塑性エラストマー樹脂組成物を得る試みがなされている。
例えば、特公平6−88608号公報では、特定のMIを有する水素添加スチレン/ブタジエンブロック共重合体に、流動パラフィン、プロピレン系樹脂を含有する組成物からなるライナー付き容器蓋が、特開2000−239481号公報では、特定のMnを有する水素添加ビニル芳香族/共役ジエンブロック共重合体と、特定のMIを有するプロピレン系重合体および、特定の融点を有するプロピレン系共重合体等を含有する樹脂組成物およびライナー材が、提案されている。しかしながら、これらの組成物等は共役ジエンブロックが水添されているとはいえ、その分子内に残存二重結合を有しうるため、耐熱安定性(耐熱老化性)および耐候性等に課題を残しており、さらに、これらは、高硬度、高反発弾性であり、柔軟性が不十分である。一方、柔軟性を付与するためには、可塑剤または軟化剤の添加が必須であった。これを解決するために、その分子内に残存二重結合を有しえない、具体的には、熱安定性や耐候性、制振性やガスバリア性、さらには柔軟性が向上し、かつ、可塑剤のブリードアウトがない、イソブチレン/スチレン系の熱可塑性エラストマー樹脂組成物が望まれている。これらに関しては、特開平9−87438号公報に、ポリオレフィン系樹脂、芳香族ビニル/イソブチレンブロック共重合体を主成分とする樹脂組成物および閉蓋具が、特開平11−293083号公報では、イソブチレン系ブロック共重合体、ポリオレフィン系樹脂、軟化剤からなる熱可塑性樹脂組成物が、提案されている。しかしながら、これらの組成物等も高硬度、高反発弾性であり、柔軟性が不十分であり、可塑剤または軟化剤の添加が必須であった。
本発明の目的は、機械的強度、成形加工性、外観といった熱可塑性エラストマー樹脂組成物の基本的な特性を維持しつつ、低硬度、低反発弾性といった柔軟性を改良し、かつ、可塑剤のブリードアウトがないことを特徴とする、イソブチレン系熱可塑性エラストマー樹脂組成物、各種パッキン等を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を積み重ねた結果、イソブチレン系ブロック共重合体、ポリオレフィン系重合体を含有してなる熱可塑性エラストマー樹脂組成物が前記課題を解決することを見出し、本発明に至ったものである。
すなわち本発明は、(a)芳香族ビニル系化合物を単量体主成分とする重合体ブロック−イソブチレンを単量体主成分とする重合体ブロック−芳香族ビニル系化合物を単量体主成分とする重合体ブロックからなるイソブチレン系トリブロック共重合体100重量部、(b)ポリオレフィン系重合体10〜25重量部、および充填材0.1〜50重量部からなることを特徴とする熱可塑性エラストマー樹脂組成物である。また本発明においては、12.0mm厚プレスシートを使用しJIS K 6255に準拠して得られた熱可塑性エラストマー樹脂組成物の反発弾性が40%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましい。また、上記(b)成分はポリプロピレン系重合体であるのが好ましい。
本発明の方法により得られるエラストマー樹脂組成物は、柔軟性、クッション性に富み、即ち、低硬度、低反発弾性といった特徴を有し、ゴム的特性、耐熱性、耐油性、耐レトルト性、機械的強度、成形加工性、耐熱安定性、耐候性、制振性、ガスバリア性および外観、可塑剤のブリードアウトのなさ等のバランスのとれた熱可塑性エラストマー樹脂組成物が得られ、各種パッキンの分野において有用なものである。
本発明の成分(a)であるイソブチレン系ブロック共重合体は、イソブチレンを単量体主成分とする重合体ブロックと芳香族ビニル系化合物を単量体主成分とする重合体ブロックを有しているものであれば特に制限はなく、例えば、直鎖状、分岐状、星状等の構造を有するブロック共重合体、ジブロック共重合体、トリブロック共重合体、マルチブロック共重合体等のいずれも選択可能であり、粘弾性特性や、物性と成形加工性の要求に見合うものを1種または2種以上選択して使用すればよい。
本発明のイソブチレン系ブロック共重合体の好ましい構造としては、得られる組成物の物性および加工性の点から、芳香族ビニル系化合物を単量体主成分とする重合体ブロック−イソブチレンを単量体主成分とする重合体ブロック−芳香族ビニル系化合物を単量体主成分とする重合体ブロックから形成されるトリブロック共重合体、イソブチレンを単量体主成分とする重合体ブロック−芳香族ビニル系化合物を単量体主成分とする重合体ブロック−イソブチレンを単量体主成分とする重合体ブロックから形成されるトリブロック共重合体、芳香族ビニル系化合物を単量体主成分とする重合体ブロック−イソブチレンを単量体主成分とする重合体ブロックから形成されるジブロック共重合体、及び、芳香族ビニル系化合物を単量体主成分とする重合体ブロック−イソブチレンを単量体主成分とする重合体ブロックから形成されるジブロック共重合体をアームとする星状ポリマーからなる群より選択される少なくとも1種である。
本発明の芳香族ビニル系化合物としては、スチレン、o−、m−又はp−メチルスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、2,6−ジメチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、α−メチル−o−メチルスチレン、α−メチル−m−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、β−メチル−o−メチルスチレン、β−メチル−m−メチルスチレン、β−メチル−p−メチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、α−メチル−2,6−ジメチルスチレン、α−メチル−2,4−ジメチルスチレン、β−メチル−2,6−ジメチルスチレン、β−メチル−2,4−ジメチルスチレン、o−、m−又はp−クロロスチレン、2,6−ジクロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、α−クロロ−o−クロロスチレン、α−クロロ−m−クロロスチレン、α−クロロ−p−クロロスチレン、β−クロロ−o−クロロスチレン、β−クロロ−m−クロロスチレン、β−クロロ−p−クロロスチレン、2,4,6−トリクロロスチレン、α−クロロ−2,6−ジクロロスチレン、α−クロロ−2,4−ジクロロスチレン、β−クロロ−2,6−ジクロロスチレン、β−クロロ−2,4−ジクロロスチレン、o−、m−又はp−t−ブチルスチレン、o−、m−又はp−メトキシスチレン、o−、m−又はp−クロロメチルスチレン、o−、m−又はp−ブロモメチルスチレン、シリル基で置換されたスチレン誘導体、インデン、ビニルナフタレン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明の芳香族ビニル系化合物を単量体主成分とする重合体ブロックにおける、主成分以外の成分は、ブロック中40重量%以下であり、20重量%以下であることが好ましく、5重量%以下であることがさらに好ましい。具体的には、カチオン重合可能な単量体成分であれば特に限定されず、脂肪族オレフィン類、ジエン類、ビニルエーテル類、シラン類、ビニルカルバゾール、β−ピネン、アセナフチレン等の単量体が例示できる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
脂肪族オレフィン系単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、ペンテン、ヘキセン、シクロヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、ビニルシクロヘキサン、オクテン、ノルボルネン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
ジエン系単量体としては、ブタジエン、イソプレン、ヘキサジエン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、ジビニルベンゼン、エチリデンノルボルネン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
ビニルエーテル系単量体としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、(n−、イソ)プロピルビニルエーテル、(n−、sec−、tert−、イソ)ブチルビニルエーテル、メチルプロペニルエーテル、エチルプロペニルエーテル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
シラン化合物としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルジメチルクロロシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリメチルシラン、ジビニルジクロロシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジメチルシラン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、トリビニルメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
また、本発明の芳香族ビニル系化合物を単量体主成分とするブロックは、物性および重合特性等とのバランスから、芳香族ビニル系化合物の含有量が60重量%以上、好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは95%以上であるのが好ましい。芳香族ビニル系化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、インデンからなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体を使用することが好ましく、コストの面からスチレン、α−メチルスチレン、あるいはこれらの混合物を用いることが特に好ましい。
本発明のイソブチレンを単量体主成分とするブロックは、イソブチレン以外の単量体を含んでいても含んでいなくても良く、通常、イソブチレンを60重量%以上、好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは95%以上含有する単量体成分である。イソブチレン以外の単量体としてはカチオン重合可能な単量体であれば特に制限はないが、例えば上記の単量体等が挙げられる。
イソブチレンを単量体主成分とする重合体ブロックと芳香族ビニル系化合物を単量体主成分とする重合体ブロックの割合に関しては、特に制限はないが、加工性と物性のバランスから、イソブチレンを単量体主成分とする重合体ブロックが98から40重量%、芳香族ビニル系化合物を単量体主成分とする重合体ブロックが2から60重量%であることが好ましく、イソブチレンを単量体主成分とする重合体ブロックが95から60重量%、芳香族ビニル系化合物を単量体主成分とする重合体ブロックが5から40重量%であることが特に好ましく、イソブチレンを単量体主成分とする重合体ブロックが90から70重量%、芳香族ビニル系化合物を単量体主成分とする重合体ブロックが10から30重量%であることが特に好ましい。
またイソブチレン系ブロック共重合体の重量平均分子量にも特に制限はないが、成形性、加工性、物性等の面から、5000〜1500000であり、10000〜500000であることが好ましく、20000〜250000であることがとくに好ましく、40000〜125000であることが特に好ましい。イソブチレン系ブロック共重合体の重量平均分子量が5000未満の場合には物性が十分に発現されず、1500000を超える場合には成形性、加工性、物性間のバランスの面で不利である。
分子量分布(重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn))は、好ましくは10以下、更に好ましくは5以下、より好ましくは、3以下である。
なお、本発明のブロック共重合体には、芳香族ビニル−共役ジエン系熱可塑性エラストマー、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、またそれらを水素添加したスチレン−エチレンブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレンプロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)などの少なくとも1種が含まれてもよい。
イソブチレン系ブロック共重合体の製造方法については特に制限はないが、例えば、下記一般式(1)で表される化合物の存在下に、イソブチレンを主成分とする単量体及びイソブチレンを主成分としない単量体成分を重合させることにより得られる。
(CRX) (1)
[式中Xはハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基またはアシロキシ基から選ばれる置換基、R、Rはそれぞれ水素原子または炭素数1〜6の1価炭化水素基でR、Rは同一であっても異なっていても良く、Rは多価芳香族炭化水素基または多価脂肪族炭化水素基であり、nは1〜6の自然数を示す]。
上記ハロゲン原子としては、塩素、フッ素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。上記炭素数1〜6のアルコキシル基としては特に限定されず、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−又はイソプロポキシ基等が挙げられる。上記炭素数1〜6のアシロキシル基としては特に限定されず、例えば、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基等が挙げられる。上記炭素数1〜6の炭化水素基としては特に限定されず、例えば、メチル基、エチル基、n−又はイソプロピル基等が挙げられる。
上記一般式(1)で表わされる化合物は開始剤となるものでルイス酸等の存在下炭素陽イオンを生成し、カチオン重合の開始点になると考えられる。本発明で用いられる一般式(1)の化合物の例としては、次のような化合物等が挙げられる。
(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン〔CC(CHCl〕、1,4−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン〔1,4−Cl(CHCCC(CHCl〕、1,3−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン〔1,3−Cl(CHCCC(CHCl〕、1,3,5−トリス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン〔1,3,5−(ClC(CH〕、1,3−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)−5−(tert−ブチル)ベンゼン〔1,3−(C(CHCl)−5−(C(CH)C〕。
これらの中でも特に好ましいのはビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン[C(C(CHCl)]、トリス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン[(ClC(CH]である。
なおビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼンは、ビス(α−クロロイソプロピル)ベンゼン、ビス(2−クロロ−2−プロピル)ベンゼンあるいはジクミルクロライドとも呼ばれ、トリス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼンは、トリス(α−クロロイソプロピル)ベンゼン、トリス(2−クロロ−2−プロピル)ベンゼンあるいはトリクミルクロライドとも呼ばれる。
イソブチレン系ブロック共重合体を重合により製造する際に、さらにルイス酸触媒を共存させることもできる。このようなルイス酸としてはカチオン重合に使用できるものであれば良く、TiCl、TiBr、BCl、BF、BF・OEt、SnCl、SbCl、SbF、WCl、TaCl、VCl、FeCl、ZnBr、AlCl、AlBr等の金属ハロゲン化物;EtAlCl、EtAlCl等の有機金属ハロゲン化物を好適に使用することができる。中でも触媒としての能力、工業的な入手の容易さを考えた場合、TiCl、BCl、SnClが好ましい。ルイス酸の使用量は、特に限定されないが、使用する単量体の重合特性あるいは重合濃度等を鑑みて設定することができる。通常は一般式(1)で表される化合物に対して0.1〜100モル当量使用することができ、好ましくは1〜50モル当量の範囲である。
イソブチレン系ブロック共重合体の重合に際しては、さらに必要に応じて電子供与体成分を共存させることもできる。この電子供与体成分は、カチオン重合に際して、成長炭素カチオンを安定化させる効果があるものと考えられており、電子供与体の添加によって分子量分布の狭い構造が制御された重合体が生成する。使用可能な電子供与体成分としては特に限定されないが、例えば、ピリジン類、アミン類、アミド類、スルホキシド類、エステル類、または金属原子に結合した酸素原子を有する金属化合物等を挙げることができる。
イソブチレン系ブロック共重合体の重合は必要に応じて有機溶媒中で行うことができ、有機溶媒としてはカチオン重合を本質的に阻害しなければ特に制約なく使用することができる。具体的には、塩化メチル、ジクロロメタン、クロロホルム、塩化エチル、ジクロロエタン、n−プロピルクロライド、n−ブチルクロライド、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン等のアルキルベンゼン類;エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等の直鎖式脂肪族炭化水素類;2−メチルプロパン、2−メチルブタン、2,3,3−トリメチルペンタン、2,2,5−トリメチルヘキサン等の分岐式脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の環式脂肪族炭化水素類;石油留分を水添精製したパラフィン油等を挙げることができる。
これらの溶媒は、ブロック共重合体を構成する単量体の重合特性及び生成する重合体の溶解性等のバランスを考慮して単独又は2種以上を組み合わせて使用される。上記溶媒の使用量は、得られる重合体溶液の粘度や除熱の容易さを考慮して、重合体の濃度が1〜50wt%、好ましくは5〜35wt%となるように決定される。
実際の重合を行うに当たっては、各成分を冷却下例えば−100℃以上0℃未満の温度で混合する。エネルギーコストと重合の安定性を釣り合わせるために、特に好ましい温度範囲は−30℃〜−80℃である。
また芳香族ビニル系化合物を単量体主成分としてなる重合体ブロック−イソブチレンを単量体主成分としてなる重合体ブロックから形成されるジブロック共重合体をアームとする星状ポリマーを製造する方法としては特に制限はないが、例えば、3つ以上のカチオン重合開始点を有する化合物の存在下に芳香族ビニル系化合物を主成分とする単量体及びイソブチレンを主成分とする単量体成分を重合する方法、芳香族ビニル系化合物を主成分とする単量体及びイソブチレンを主成分とする単量体成分を重合してジブロック共重合体を製造し、その後に、多官能性化合物をカップリング剤(結合剤)として用いて、上記ジブロック共重合体をカップリング(結合)させる方法、等が挙げられる。
上記多官能性化合物としては、1分子あたり3つ以上のカップリング可能な反応点(官能基)を有する化合物等を使用することができる。1分子あたり2つの反応点を有する化合物が重合又は反応することにより重合体を形成して3つ以上の反応点(官能基)を有することができる場合は、使用を妨げるものではない。
このような多官能性化合物としては、例えば、1,3−ジビニルベンゼン、1,4−ジビニルベンゼン、1,2−ジイソプロペニルベンゼン、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、1,3−ジビニルナフタレン、1,8−ジビニルナフタレン、2,4−ジビニルビフェニル、1,2−ジビニル−3,4−ジメチルベンゼン、1,3−ジビニル−4,5,8−トリブチルナフタレン、2,2’−ジビニル−4−エチル−4’−プロピルビフェニル等のジビニル芳香族系化合物; 1,2,4−トリビニルベンゼン、1,3,5−トリビニルナフタレン、3,5,4’−トリビニルビフェニル、1,5,6−トリビニル−3,7−ジエチルナフタレン等のトリビニル芳香族系化合物; シクロヘキサンジエポキシド、1,4−ペンタンジエポキシド、1,5−ヘキサンジエポキシド等のジエポキシド; 2,4−ヘキサン−ジオン、2,5−ヘキサン−ジオン、2,6−ヘプタン−ジオン等のジケトン; 1,4−ブタンジアール、1,5−ペンタンジアール、1,6−ヘキサンジアール等のジアルデヒド; シロキサン系化合物又はカリックスアレン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせても使用可能である。
これらの中でも反応性、得られる星状ポリマーの物性等の点から、ジビニル芳香族化合物が好ましく使用され、特に好ましいのは1,3−ジビニルベンゼン、1,4−ジビニルベンゼン、1,3−ジイソプロペニルベンゼン及び1,4−ジプロイソペニルベンゼンからなる群から選択される少なくとも1種である。上記化合物は、例えばエチルビニルベンゼン等との混合物として通常市販されており、上記ジビニル芳香族系化合物が主たる成分であればそのまま使用することが可能であり、必要に応じて精製し純度を高めて用いてもよい。
イソブチレン系ブロック共重合体の優れた耐熱性、耐油性、耐熱安定性等を保持し、成形加工性、あるいは、耐熱時や耐油時の柔軟性、クッション性、密封性、耐衝撃性を改良するために用いる、本発明の(b)ポリオレフィン系重合体としては、エチレンまたはα−オレフィンの単独重合体、またはこれらのランダム共重合体、ブロック共重合体及びそれらの混合物、またはエチレンやα−オレフィンと他の不飽和単量体とのランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体及びこれら重合体の変性物等を1種又は2種以上組み合わせて使用できる。具体的には、ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−エチル(メタ)アクリレート共重合体、塩素化ポリエチレン等のポリエチレン系重合体、ポリプロピレン、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−ブテン−1ランダム共重合体、プロピレン−ヘキセン−1ランダム共重合体、プロピレン−4−メチル−1−ペンテンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、塩素化ポリプロピレン等のポリプロピレン系重合体、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリメチルペンテン、環状オレフィンの(共)重合体、酸化、カルボン酸(誘導体)化、グリシジル化、オキサゾリル化、ハロゲン化、スルホン化、(メタ)アクリル化した各種ポリオレフィン等が例示できる。これらの中でコスト、熱可塑性エラストマー樹脂組成物の物性バランスの点からポリエチレン系重合体、ポリプロピレン系重合体、又はこれらの混合物が好ましく使用できる。
イソブチレン系ブロック共重合体の優れた耐熱性、耐油性、耐熱安定性等を保持し、成形加工性、あるいは、耐熱時や耐油時の柔軟性、クッション性、密封性、耐衝撃性の改良のためには、特に、メルトフローレートが10g/10min以上、ことに、30g/10min以上の(アイソタクティックあるいはシンジオタクティック)ポリプロピレン、および/または、特に、融点が135〜170℃、ことに、145〜160℃の(アイソタクティックあるいはシンジオタクティック)ポリプロピレンが好ましい。プロピレン以外の単量体が5重量%以下であれば、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体なども使用することもできる。これらの共重合体はランダム共重合体でもよく、またブロック共重合体であってもよく、2種以上の混合物でもよい。
成分(b)ポリオレフィン系重合体の配合量は、成分(a)イソブチレン系ブロック共重合体100重量部に対して、5.0〜70重量部、好ましくは7.5〜50重量部、さらに好ましくは10〜25重量部である。5.0重量部未満の場合は、得られる熱可塑性エラストマー樹脂組成物の機械的強度/成形加工性が低下し、70重量部を超えると得られる熱可塑性エラストマー樹脂組成物のゴム的な感触が低下してしまう。
なお、本発明において、(b)成分として、パーオキサイドの存在下で加熱処理することによって主として分解反応を起こすものを含んでいてもよく、得られる組成物中でのゴム分散を良好にし、成形品の外観を良好にする等、特性を調整することができる。一方、(b)成分として、パーオキサイドの存在下で加熱処理することによって主として架橋反応を起こすものを含んでいてもよく、その流動性が低下する等、特性を調整することができる。
さらに本発明の熱可塑性エラストマー樹脂組成物には、物性改良あるいは経済上のメリットから充填材を配合することができる。好適な充填材としては、クレー、珪藻土、シリカ、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、マイカ、グラファイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、天然けい酸、合成けい酸(ホワイトカーボン)、金属酸化物(酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛)等の無機充填材が挙げられる。これらのうち、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、マイカが特に好ましい。
好ましくは熱伝導性付与材として用いられる、鉄、酸化鉄といった各種の金属粉、木片、ガラス粉、セラミックス粉、カーボンブラック、粒状ないし粉末ポリマー等の粒状ないし粉末状固体充填材、その他の各種の天然又は人工の短繊維、長繊維等も例示できる。また中空フィラー、例えば、ガラスバルーン、シリカバルーン等の無機中空フィラー、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン共重合体からなる有機中空フィラーを配合することにより、軽量化を図ることができる。更に軽量化、衝撃吸収性等の各種物性の改善のために、各種発泡剤を混入させることも可能であり、また、混合時等に機械的に気体を混ぜ込むことも可能である。熱膨張性マイクロカプセルを混合してもよい。
充填材の配合量は、成分(a)イソブチレン系ブロック共重合体100重量部に対して0.1〜50重量部であり、好ましくは1〜20重量部である。50重量部を超えると得られる熱可塑性エラストマー樹脂組成物の機械的強度の低下が起こり、柔軟性も損なわれるので好ましくない。
以下、任意成分について記載する。まず、本発明の効果を損なわない範囲、即ち、ブリードアウトしない範囲で少量の軟化剤を用いてもよい。通常、室温で液体又は液状の材料が好適に用いられる。また親水性及び疎水性のいずれの軟化剤も使用できる。このような軟化剤としては鉱物油系、植物油系、合成系等の各種ゴム用又は樹脂用軟化剤が挙げられる。鉱物油系としては、芳香族系、ナフテン系、パラフィン系等のプロセスオイル等が、植物油系としては、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、木ろう、パインオイル、オリーブ油等が、合成系としてはポリブテン、低分子量ポリブタジエン等が例示できる。これらの中でも成分(a)との相溶性あるいは熱可塑性エラストマー樹脂組成物の物性バランスの点から、(芳香族環成分の少ない)パラフィン系プロセスオイル又はポリブテンが好ましく用いられる。これら軟化剤は粘度、成形性及び物性、外観等の改良効果を得るために1種あるいは2種以上を適宜組み合わせて使用することも可能である。
本発明で架橋剤としてあるいは分解反応のために有機パーオキサイドを用いてもよい。必要に応じて、有機パーオキサイド以外のものとして、例えば、アゾ化合物、硫黄、有機硫黄化合物、芳香族ニトロソ化合物などのような有機ニトロソ化合物、オキシム化合物、酸化亜鉛や酸化マグネシウムなどの金属酸化物、ポリアミン類、セレンやテルルなどの化合物、アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂や臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂などの樹脂架橋剤などを挙げることができる。
本発明の熱可塑性エラストマー樹脂組成物の製造方法においては、有機パーオキサイドによる処理に際し、エチレン系不飽和基を有するモノマーである架橋助剤を配合することができる。その他の架橋助剤も用いることができる。その他の架橋助剤としては、例えば、ジフェニルグアニジンなどのグアニジン系化合物、アルデヒドアミン系化合物、アルデヒドアンモニウム化合物、チアゾール系化合物、スルフェンアミド系化合物、チオ尿素系化合物、チウラム系化合物、ジチオカルバメート系化合物などを挙げることができる。
さらに、上記した架橋剤や架橋助剤などと共に、必要に応じて、亜鉛華、N,N−m−フェニレンビスマレイミド、金属ハロゲン化物、有機ハロゲン化物、無水マレイン酸、グリシジルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ステアリン酸などの化合物を用いることもできる。
本発明の熱可塑性エラストマー樹脂組成物には、必要に応じて、芳香族ビニル−共役ジエン系熱可塑性エラストマー、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、またそれらを水素添加したスチレン−エチレンブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレンプロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)などの少なくとも1種を配合しても良い。
さらに、本発明の熱可塑性エラストマー樹脂組成物には、必要に応じて、酸化防止剤および/または紫外線吸収剤を配合することができ、それに加え、他の添加剤として難燃剤、抗菌剤、熱安定剤、光安定剤、着色剤、流動性改良剤、加工助剤(好ましくはアクリル系加工助剤)、結晶核剤、滑剤、ブロッキング防止剤、シール性改良剤、帯電防止剤等も添加することができ、これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用可能である。さらに本発明の熱可塑性エラストマー樹脂組成物の性能を損なわない範囲であれば、ビニル芳香族系重合体のような各種熱可塑性樹脂、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリウレタン系のような熱可塑性エラストマー、熱硬化性樹脂、さらには、水添石油樹脂、シリコーンオイル、シリコーン系化合物、フッ素系化合物、電子供与性化合物等を配合しても良い。
本発明の熱可塑性エラストマー樹脂組成物の製造方法には、特に制限はなく、公知の方法を適用することができる。例えば、前記の各成分及び所望により添加剤成分を加熱混練機、例えば、一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、ブラベンダー、ニーダー、高剪断型ミキサー等を用いて溶融混練することで製造することができる。また各成分の混練順序は特に限定されず、使用する装置、作業性あるいは得られる熱可塑性エラストマー樹脂組成物の物性に応じて決定することができる。
本発明の熱可塑性エラストマー樹脂組成物は、熱可塑性エラストマー組成物、あるいは、熱可塑性樹脂組成物に対して一般に採用される成型方法及び成形装置を用いて成形でき、例えば、押出成形、射出成形、プレス成形、ブロー成形などによって溶融成形できる。
本発明の、熱可塑性エラストマー樹脂組成物は、各種パッキンとして好適に使用しうる。
また、本発明でいう硬度は、JIS K 6352に準拠して得た値、反発弾性は、JIS K 6255に準拠して得た値のことをいう。
以下に、実施例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限を受けるものではない。
なお、実施例に先立ち各種測定法、評価法、実施例について説明する。
(硬度)JIS K 6352に準拠し、試験片は12.0mm厚プレスシートを用いた。
(破断強度)JIS K 6251に準拠し、試験片は2mm厚プレスシートを、ダンベルで3号型に打抜いて使用した。引張速度は500mm/分とした。
(引張破断伸び)JIS K 6251に準拠し、試験片は2mm厚プレスシートを、ダンベルで3号型に打抜いて使用した。引張速度は500mm/分とした。
(反発弾性)JIS K 6255に準拠し、試験片は12.0mm厚プレスシートを使用した。
(ブリードアウト)試験片は50mm×50mm×2mm厚プレスシートを用い、メタノール100ccに25℃の雰囲気下で24時間浸漬した後、取り出して乾燥した後の重量変化をみた。10%以下の重量変化であったものを○、10%以上の重量変化があったものを×とした。
各成分としては、以下のものを用いた。
成分(a−1):ブロック共重合体(SIBS1)重量平均分子量90000。スチレンの含有量21.5重量%。
成分(a−2):ブロック共重合体(SIBS2)重量平均分子量106000。スチレンの含有量30重量%。
水添イソプレン系ブロック共重合体(SEPS):クラレ社製、SEPTON4033。スチレンの含有量30重量%。
成分(b−1):ランダムPPグランドポリマー社製B241(MFR:0.5 g/10分)
成分(b−2):ホモPPグランドポリマー社製J709W(MFR:55g/10分)
無機充填剤(CaCO3):白石カルシウム社製、ソフトン3200
パラフィンオイル(非芳香族系ゴム軟化剤):出光興産社製ダイアナプロセスオイルPW‐90。
(製造例:SIBS1)攪拌機付き2L反応容器に、1−クロロブタン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)525mL、ヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)365mL、p−ジクミルクロライド0.49gを加えた。反応容器を−70℃に冷却した後、ジメチルアセトアミド0.93g、イソブチレン244mLを添加した。さらに四塩化チタン6.57mLを加えて重合を開始し、−70℃で溶液を攪拌しながら1.5時間反応させた。次いで反応溶液にスチレン70gを添加し、さらに60分間反応を続けた後、反応溶液を大量の水中へあけて反応を停止させた。
有機層と水層の分離状況を目視で確認したところ、分離性は良好であり分液ロートで容易に分別できた。水洗を2回行った後、水層が中性になっているのを確認してから有機層を大量のメタノール中に注いで重合体を沈殿させ、得られた重合体を60℃で24時間真空乾燥することによりイソブチレン系ブロック共重合体(SIBS1)を得た。
該イソブチレン系ブロック共重合体(SIBS1)のGPC分析を行ったところ、重量平均分子量90000。また1H−NMRにより求めたスチレンの含有量21.5重量%であった。同様にして、SIBS2(重量平均分子量106000、スチレンの含有量30重量%)を製造した。
(実施例1)成分(a−1)としてSIBS1を90重量部、成分(b−1)としてランダムPPを10重量部用い、東洋精機社製プラストミル(回転数100rpm、温度170℃)で15分間混練した。得られた混練物を200℃でプレスし2mm厚、12mm厚のシートを作製した。2mm厚のシートは表面が平滑であった。また、手で容易に折り曲げられる程度の柔軟なものであった。一方、12mm厚のシートの硬度は32、引張最大強度は11MPa、破断伸びは660%、反発弾性は16%、ブリードアウトは10重量%以下であった。結果を表1にも示す。
(実施例2〜7)実施例1と同様に、成分(a−1)あるいは(a−2)、成分(b−1)あるいは(b−2)、場合により無機充填剤を表1のように混練し、硬度、引張最大強度、破断伸び、反発弾性、ブリードアウトを測定した。結果を表1に示す。
(比較例1、2)実施例1と同様に、水添イソプレン系ブロック共重合体、成分(b−1)、場合によりパラフィンオイルを表1のように混練し、硬度、引張最大強度、破断伸び、反発弾性、ブリードアウトを測定した。結果を表1に示す。
(比較例3)実施例1と同様に、成分(a−1)、成分(b−1)を表1のように混練し、硬度、引張最大強度、破断伸び、反発弾性、ブリードアウトを測定した。結果を表1に示す。
Figure 2007262424
以上のように、特定量の成分(a)、成分(b)がそろってはじめて、外観(表面の平滑さ)、柔軟性(折り曲げたときの柔軟さ、硬度の低さ、反発弾性の低さ)、機械的強度(引張強度、破断伸び)、成形加工性(シート成形可能)、ブリードアウトのなさ等のバランスのとれた熱可塑性エラストマー樹脂組成物が得られる。

Claims (4)

  1. (a)芳香族ビニル系化合物を単量体主成分とする重合体ブロック−イソブチレンを単量体主成分とする重合体ブロック−芳香族ビニル系化合物を単量体主成分とする重合体ブロックからなるイソブチレン系トリブロック共重合体100重量部、(b)ポリオレフィン系重合体10〜25重量部、および充填材0.1〜50重量部からなることを特徴とする熱可塑性エラストマー樹脂組成物。
  2. 12.0mm厚プレスシートを使用しJIS K 6255に準拠して得られた反発弾性が40%以下である請求項1記載の熱可塑性エラストマー樹脂組成物。
  3. 前記反発弾性が30%以下である請求項1または2記載の熱可塑性エラストマー樹脂組成物。
  4. (b)がポリプロピレン系重合体である請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー樹脂組成物。
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