JP2007254677A - シリカ系被膜形成用組成物およびシリカ系被膜 - Google Patents
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Abstract
【課題】シリカ系被膜形成用組成物を基板上に塗布した後、低温で加熱することにより、シリカ系被膜を形成することができるシリカ系被膜形成用組成物、及びこれを用いたシリカ系被膜を提供すること。
【解決手段】アルコキシシランの加水分解縮合物(A)と、熱の作用により酸又は塩基を発生する化合物(B)と、を含有してなるシリカ系被膜形成用組成物である。更に、酸又は塩基を発生する化合物(B)が、100℃以上300℃以下で酸または塩基を発生する化合物であることが好ましい。
【選択図】なし
【解決手段】アルコキシシランの加水分解縮合物(A)と、熱の作用により酸又は塩基を発生する化合物(B)と、を含有してなるシリカ系被膜形成用組成物である。更に、酸又は塩基を発生する化合物(B)が、100℃以上300℃以下で酸または塩基を発生する化合物であることが好ましい。
【選択図】なし
Description
本発明は、シリカ系被膜形成用組成物およびシリカ系被膜に関する。より詳しくは、低温にて被膜を形成することができるシリカ系被膜形成用組成物およびシリカ系被膜に関する。
シリカ系被膜形成用組成物は、主に半導体の配線等の段差緩和や配線間の溝埋め込みに用いられ、シリカ系被膜を形成する。液体の塗布であるため、ウェハ上のパターン凹みも容易に埋め込むことができるため、再現性良く配線の平坦化を行うことができる。そして、このシリカ系被膜は特に層間絶縁膜として好適に用いられる。
このようなシリカ系被膜は、一般的にシリカ系被膜形成用組成物を基板上に塗布し、80℃〜300℃での加熱、および350℃以上の温度での焼成により形成される(例えば特許文献1参照)。
特開2005−171067号公報
上述したように、350℃以上の高温での焼成処理を必要とするため、生産性の低下につながっていた。また、高温で焼成することによりケイ素に結合した有機基が分解するなどし、シリカ系被膜における所望の特性を発揮する上で好ましい条件ではなかった。
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、低温で加熱することにより、シリカ系被膜を形成することができるシリカ系被膜形成用組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するため、シリカ系被膜形成用組成物に加える添加剤に着目して鋭意研究を重ねた。その結果、熱の作用により酸又は塩基を発生する化合物を用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
本発明の第一の発明は、シロキサンポリマー(A)と、熱の作用により酸又は塩基を発生する化合物(B)と、を含有してなるシリカ系被膜形成用組成物である。
また、本発明の第二の発明は、前記シリカ系被膜形成用組成物より得られるシリカ系被膜である。
本発明のシリカ系被膜形成用組成物には、熱の作用により酸又は塩基を発生する化合物が含まれている。これにより、350℃未満の温度でシリカ系被膜を容易に形成することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
≪シリカ系被膜形成用組成物≫
本発明のシリカ系被膜形成用組成物は、シロキサンポリマー(A)と、熱の作用により酸又は塩基を発生する化合物(B)と、を含有してなる。
本発明のシリカ系被膜形成用組成物は、シロキサンポリマー(A)と、熱の作用により酸又は塩基を発生する化合物(B)と、を含有してなる。
<シロキサンポリマー(A)>
本発明のシロキサンポリマー(以下、「(A)成分」ともいう。)は、特に限定されず、Si−O−Si結合を有するポリマーである。
このシロキサンポリマーの中でも、アルコキシシランの加水分解縮合物を好適に用いることができる。上記アルコキシシランとしては、あらゆる種類のアルコキシシランを用いることができる。このようなアルコキシシランとしては、例えば、下記一般式(a)で表される化合物を挙げることができる。
本発明のシロキサンポリマー(以下、「(A)成分」ともいう。)は、特に限定されず、Si−O−Si結合を有するポリマーである。
このシロキサンポリマーの中でも、アルコキシシランの加水分解縮合物を好適に用いることができる。上記アルコキシシランとしては、あらゆる種類のアルコキシシランを用いることができる。このようなアルコキシシランとしては、例えば、下記一般式(a)で表される化合物を挙げることができる。
ここで、1価の有機基としては、例えば、アルキル基、アリール基、アリル基、グリジル基を挙げることができる。これらの中では、アルキル基及びアリール基が好ましい。アルキル基の炭素数は1〜5が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等を挙げることができる。また、アルキル基は直鎖状であっても分岐状であってもよく、水素がフッ素により置換されていてもよい。アリール基としては、炭素数6〜20のもが好ましく、例えばフェニル基、ナフチル基等を挙げることができる。
上記一般式(a)で表される化合物の具体例としては、
(a1)n=0の場合、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等を挙げることができ、
(a2)n=1の場合、モノメチルトリメトキシシラン、モノメチルトリエトキシシラン、モノメチルトリプロポキシシラン、モノエチルトリメトキシシラン、モノエチルトリエトキシシラン、モノエチルトリプロポキシシラン、モノプロピルトリメトキシシラン、モノプロピルトリエトキシシランなどのモノアルキルトリアルコキシシラン、モノフェニルトリメトキシシラン、モノフェニルトリエトキシシランなどのモノフェニルトリアルコキシシラン等を挙げることができ、
(a3)n=2の場合、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジプロポキシシラン、ジプロピルジジメトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジプロピルジプロポキシシランなどのジアルキルジアルコキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなどのジフェニルジアルコキシシラン等を挙げることができる。
(a1)n=0の場合、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等を挙げることができ、
(a2)n=1の場合、モノメチルトリメトキシシラン、モノメチルトリエトキシシラン、モノメチルトリプロポキシシラン、モノエチルトリメトキシシラン、モノエチルトリエトキシシラン、モノエチルトリプロポキシシラン、モノプロピルトリメトキシシラン、モノプロピルトリエトキシシランなどのモノアルキルトリアルコキシシラン、モノフェニルトリメトキシシラン、モノフェニルトリエトキシシランなどのモノフェニルトリアルコキシシラン等を挙げることができ、
(a3)n=2の場合、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジプロポキシシラン、ジプロピルジジメトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジプロピルジプロポキシシランなどのジアルキルジアルコキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなどのジフェニルジアルコキシシラン等を挙げることができる。
本発明のシリカ系被膜形成用組成物において、シロキサンポリマー(A)の重量平均分子量は、200以上50000以下であることが好ましく、1000以上3000以下であることがより好ましい。この範囲であれば、シリカ系被膜形成用組成物の塗布性を向上させることができる。
アルコキシシランの加水分解縮合は、重合モノマーとなるアルコキシシランを、有機溶媒中、酸触媒または塩基触媒の存在下で反応させることにより得られる。重合モノマーとなるアルコキシシランは、1種のみの使用であっても、また複数種を組み合わせて縮合してもよい。
また、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルプロポキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリエチルプロポキシシラン、トリプロピルメトキシシラン、トリプロピルエトキシシランなどのトリアルキルアルコキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシランなどのトリフェニルアルコキシシラン等を加水分解時に添加してもよい。
縮合の前提となるアルコキシシランの加水分解の度合いは、添加する水の量により調整することができるが、一般的には、前記化学式(a)で示されるアルコキシシランの合計モル数に対して、1.0〜10.0倍モルにすることが好ましく、1.5〜8.0倍モルの割合で添加することがより好ましい。水の添加量を1.0倍モル以上にすることにより加水分解度を十分大きくすることができ、被膜形成を良好にすることができる。一方で、10.0倍モル以下にすることによりゲル化を防止することができ、保存安定性を良好にすることができる。
また、化学式(a)で示されるアルコキシシランの縮合においては、酸触媒を用いることが好ましく、用いられる酸触媒としては、特に限定されるものではなく、従来慣用的に使用されている有機酸、無機酸のいずれも使用することができる。有機酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸等の有機カルボン酸を挙げることができ、無機酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、燐酸等が挙げられる。酸触媒は、アルコキシシランと水との混合物に直接添加するか、又は、水とともに酸性水溶液としてアルコキシシランに添加してもよい。
加水分解反応は、通常5〜100時間程度で完了する。また、室温から80℃を超えない加熱温度において、化学式(a)で示される1種以上のアルコキシシランを含む有機溶剤に酸触媒水溶液を滴下して反応させることにより、短い反応時間で反応を完了させることも可能である。加水分解されたアルコキシシランは、その後、縮合反応を起こし、その結果、Si−O−Siのネットワークを形成する。
<熱の作用により酸又は塩基を発生する化合物(B)>
熱の作用により酸又は塩基を発生する化合物(以下、「(B)成分」ともいう)としては、加熱することで、酸又は塩基を発生すれば特に限定されず用いることができる。また、酸又は塩基を発生する化合物は、100℃以上300℃以下で酸又は塩基を発生する化合物であることが好ましい。
熱の作用により酸又は塩基を発生する化合物(以下、「(B)成分」ともいう)としては、加熱することで、酸又は塩基を発生すれば特に限定されず用いることができる。また、酸又は塩基を発生する化合物は、100℃以上300℃以下で酸又は塩基を発生する化合物であることが好ましい。
シリカ系被膜形成用組成物は、上記(B)成分を含むことにより、例えば350℃以上の高温焼成を行うことなくシリカ系被膜を形成することができる。これにより、シリカ系被膜形成用組成物を塗布した後加熱(例えば、乾燥、焼成)を簡略化することができる。
また、上記の(B)成分を含むことにより、フッ酸等に対する耐薬品性を向上させることができる。
このような物質として、熱酸発生剤又は熱塩基発生剤を挙げることができる。熱酸発生剤としては、特に限定されるものではないが、2,4,4,6−テトラブロモシクロヘキサジエノン、ベンゾイントシレート、2−ニトロベンジルトシレート、有機スルホン酸の他のアルキルエステル等を用いることができる。具体的には、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ベンゾチアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩等のオニウム塩等が挙げられる。中でも特に、ヨードニウム塩、スルホニウム塩及びベンゾチアゾニウム塩であることが好ましい。スルホニウム塩及びベンゾチアゾニウム塩の具体例としては、例えば、4−アセトキシフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−アセトキシフェニルベンジルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジベンジル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−アセトキシフェニルベンジルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、3−ベンジルベンゾチアゾリウムヘキサフルオロアンチモネート等が挙げられる。
また、熱塩基発生剤としては、特に限定されるものではないが、1−メチル−1−(4−ビフェニルイル)エチルカルバメート、1,1−ジメチル−2−シアノエチルカルバメート等のカルバメート誘導体、尿素やN,N−ジメチル−N’−メチル尿素等の尿素誘導体、1,4−ジヒドロニコチンアミド等のジヒドロピリジン誘導体、有機シランや有機ボランの四級化アンモニウム塩、ジシアンジアミド等が用いられる。その他に、トリクロロ酢酸グアニジン、トリクロロ酢酸メチルグアニジン、トリクロロ酢酸カリウム、フェニルスルホニル酢酸グアニジン、p−クロロフェニルスルホニル酢酸グアニジン、p−メタンスルホニルフェニルスルホニル酢酸グアニジン、フェニルプロピオール酸カリウム、フェニルプロピオール酸グアニジン、フェニルプロピオール酸セシウム、p−クロロフェニルプロピオール酸グアニジン、p−フェニレン−ビス−フェニルプロピオール酸グアニジン、フェニルスルホニル酢酸テトラメチルアンモニウム、フェニルプロピオール酸テトラメチルアンモニウム等が挙げられる。
これらの中でも、特に、下記化学式(b−1)及び下記化学式(b−2)で表される化合物を用いることが好ましい。
また、これらの酸又は塩基を発生する化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(B)成分の含有量は、(A)成分のSiO2換算質量に対して、0.1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、より好ましくは、0.5質量%以上15質量%以下であることが好ましい。(B)成分を上記範囲とすることで、シリカ系被膜形成用組成物の経時安定性を向上させることができる。
<その他成分>
(界面活性剤)
本発明のシリカ系被膜形成用組成物には、界面活性剤を配合することが好ましい。界面活性剤の存在により、基板に対する塗布性、展開性を向上させることが可能となる。
(界面活性剤)
本発明のシリカ系被膜形成用組成物には、界面活性剤を配合することが好ましい。界面活性剤の存在により、基板に対する塗布性、展開性を向上させることが可能となる。
(溶剤)
本発明のシリカ系被膜形成用組成物は、塗布性および膜厚均一性を向上させる目的で、溶剤を含むことが好ましい。この溶剤としては、従来より一般的に使用されている有機溶剤が使用できる。具体例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−1−ブタノールのような一価アルコール;メチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−エトキシプロピオネートのようなアルキルカルボン酸エステル;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールのような多価アルコール;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートのような多価アルコール誘導体;酢酸、プロピオン酸のような脂肪酸;アセトン、メチルエチルケトン、2−ヘプタノンのようなケトンなどを挙げることができる。これらの中でも、アルコール系、グリコール系の溶剤が好ましく用いられる。また、これらの有機溶剤は、単独で用いてもよいし2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明のシリカ系被膜形成用組成物は、塗布性および膜厚均一性を向上させる目的で、溶剤を含むことが好ましい。この溶剤としては、従来より一般的に使用されている有機溶剤が使用できる。具体例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−1−ブタノールのような一価アルコール;メチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−エトキシプロピオネートのようなアルキルカルボン酸エステル;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールのような多価アルコール;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートのような多価アルコール誘導体;酢酸、プロピオン酸のような脂肪酸;アセトン、メチルエチルケトン、2−ヘプタノンのようなケトンなどを挙げることができる。これらの中でも、アルコール系、グリコール系の溶剤が好ましく用いられる。また、これらの有機溶剤は、単独で用いてもよいし2種以上組み合わせて用いてもよい。
この溶剤の量は、特に限定されるものではないが、溶剤以外の成分(固形分)の濃度が5〜100質量%になるようにすることが好ましく、20〜50質量%になるようにすることがより好ましい。この範囲にすることにより塗布性を向上させることができる。
(その他)
また、本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の樹脂、添加剤等を配合することが可能である。
また、本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の樹脂、添加剤等を配合することが可能である。
≪シリカ系被膜の形成方法≫
シリカ系被膜の形成方法としては、まず、シリカ系被膜形成用組成物を基板上に塗布する。基板上にシリカ系被膜形成用組成物を塗布する方法としては、例えば、スプレー法、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法など、任意の方法を用いることができるが、通常スピンコート法が用いられる。
シリカ系被膜の形成方法としては、まず、シリカ系被膜形成用組成物を基板上に塗布する。基板上にシリカ系被膜形成用組成物を塗布する方法としては、例えば、スプレー法、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法など、任意の方法を用いることができるが、通常スピンコート法が用いられる。
次に、基板上に塗布されたシリカ系被膜形成用組成物を加熱処理する。加熱処理は、その手段、温度、時間などについては特に制限されないが、一般的には、80〜300℃程度のホットプレート上で1〜6分間程度加熱すればよい。
本発明のシリカ系被膜形成用組成物によれば、加熱処理により加熱することで、酸または塩基が発生する。この発生した酸又は塩基により加水分解が促進されるため、アルコキシ基が水酸基となり、アルコールが生成する。その後、アルコールの2分子が縮合することにより、Si−O−Siのネットワークが形成されるため、加熱処理により、緻密なシリカ系被膜を得ることができる。
また、加熱処理は、好ましくは、3段階以上、段階的に昇温することが好ましい。具体的には、大気中または窒素などの不活性ガス雰囲気下、60〜150℃程度のホットプレート上で30秒〜2分間程度第1回目の加熱処理を行ったのち、100〜220℃程度で30秒〜2分間程度第2回目の加熱処理を行い、さらに150〜300℃程度で30秒〜2分間程度第3回目の加熱処理を行う。このように3段階以上、好ましくは3〜6段階程度の段階的な加熱処理を行うことにより、より低い温度で、シリカ系被膜の形成をすることができる。
次に、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<実施例1>
トリアルコキシシランの加水分解生成物を主成分とするスピンオンガラス材料(OCD T−12 1000V(商品名):東京応化工業(株)製、SiO2換算固形分濃度:7質量%)に対し、上記化合物(b−1)をスピンオンガラス材料中の固形分に対して7.5質量%となるように添加して、シリカ系被膜形成用組成物を製造した。6インチのシリコンウェハ上に、シリカ系被膜形成用組成物をコーター(SS8261NUU:東京応化工業(株)製)を用いて回転数1000rpmにて塗布した。次にホットプレート上で、80℃で60秒間、150℃で60秒間、200℃で60秒間加熱を行い、シリカ系被膜を形成した。
トリアルコキシシランの加水分解生成物を主成分とするスピンオンガラス材料(OCD T−12 1000V(商品名):東京応化工業(株)製、SiO2換算固形分濃度:7質量%)に対し、上記化合物(b−1)をスピンオンガラス材料中の固形分に対して7.5質量%となるように添加して、シリカ系被膜形成用組成物を製造した。6インチのシリコンウェハ上に、シリカ系被膜形成用組成物をコーター(SS8261NUU:東京応化工業(株)製)を用いて回転数1000rpmにて塗布した。次にホットプレート上で、80℃で60秒間、150℃で60秒間、200℃で60秒間加熱を行い、シリカ系被膜を形成した。
<実施例2>
テトラメトキシシラン/モノメチルトリメトキシシラン=1/1(モル比)の加水分解生成物を含有するスピンオンガラス材料(OCD T−7 7000WK80A(商品名):東京応化工業(株)製、SiO2換算固形分濃度:7質量%)に対し、上記化合物(b−1)をスピンオンガラス材料中の固形分に対して7質量%となるように添加して、シリカ系被膜形成用組成物を製造した。6インチのシリコンウェハ上に、シリカ系被膜形成用組成物をコーター(SS8261NUU:東京応化工業(株)製)を用いて回転数1000rpmにて塗布した。次にホットプレート上で、300℃で60秒間加熱を行い、シリカ系被膜を形成した。
テトラメトキシシラン/モノメチルトリメトキシシラン=1/1(モル比)の加水分解生成物を含有するスピンオンガラス材料(OCD T−7 7000WK80A(商品名):東京応化工業(株)製、SiO2換算固形分濃度:7質量%)に対し、上記化合物(b−1)をスピンオンガラス材料中の固形分に対して7質量%となるように添加して、シリカ系被膜形成用組成物を製造した。6インチのシリコンウェハ上に、シリカ系被膜形成用組成物をコーター(SS8261NUU:東京応化工業(株)製)を用いて回転数1000rpmにて塗布した。次にホットプレート上で、300℃で60秒間加熱を行い、シリカ系被膜を形成した。
<比較例1>
OCD T−12 1000Vを用い、実施例1と同様の方法によりシリカ系被膜を製造した。
OCD T−12 1000Vを用い、実施例1と同様の方法によりシリカ系被膜を製造した。
<比較例2>
比較例1において、加熱後、更に窒素雰囲気下で400℃で焼成を行い、シリカ系被膜を形成した。
比較例1において、加熱後、更に窒素雰囲気下で400℃で焼成を行い、シリカ系被膜を形成した。
<比較例3>
OCD T−7 7000WK80Aを用い、実施例2と同様の方法によりシリカ系被膜を形成した。
OCD T−7 7000WK80Aを用い、実施例2と同様の方法によりシリカ系被膜を形成した。
<比較例4>
比較例3において、加熱後、更に窒素雰囲気下で400℃で焼成を行い、シリカ系被膜を形成した。
比較例3において、加熱後、更に窒素雰囲気下で400℃で焼成を行い、シリカ系被膜を形成した。
<成膜性評価>
成膜性評価は、FT−IR(FTIR−615(商品名):日本分光株式会社製)を用いて行った。実施例1及び比較例1、2は、Si−O結合のピーク面積とSi−H結合のピーク面積との比により評価を行った。また、実施例2及び比較例3、4は、Si−O結合のピーク面積とSi−C結合のピーク面積との比により評価を行った。なお、FT−IRのチャートにおいて、1050cm−1近辺のピークがSi−O結合、2250cm−1近辺のピークがSi−H結合、1275cm−1近辺のピークがSi−C結合を示す。結果を表1及び表2に示す。また、実施例1のFT−IRのチャートを図1に、比較例1のFT−IRのチャートを図2に、実施例2のFT−IRのチャートを図3に、比較例3のFT−IRのチャートを図4に示す。
成膜性評価は、FT−IR(FTIR−615(商品名):日本分光株式会社製)を用いて行った。実施例1及び比較例1、2は、Si−O結合のピーク面積とSi−H結合のピーク面積との比により評価を行った。また、実施例2及び比較例3、4は、Si−O結合のピーク面積とSi−C結合のピーク面積との比により評価を行った。なお、FT−IRのチャートにおいて、1050cm−1近辺のピークがSi−O結合、2250cm−1近辺のピークがSi−H結合、1275cm−1近辺のピークがSi−C結合を示す。結果を表1及び表2に示す。また、実施例1のFT−IRのチャートを図1に、比較例1のFT−IRのチャートを図2に、実施例2のFT−IRのチャートを図3に、比較例3のFT−IRのチャートを図4に示す。
表1、表2より、添加剤(化合物(b−1))を加えなかった比較例1、比較例3に比べ添加剤を加えた実施例1、2は、200℃以下の加熱により、Si−O−Siのネットワークが形成されていることが確認できた。また、400℃で焼成を行った比較例2、4と比べてもSi−O/Si−Hの比が高く、焼成を行った場合と同等以上のSi−O−Siのネットワークが形成されていることが確認できた。
さらに、上記実施例2、比較例3のシリカ系被膜について、3質量%濃度のバッファードフッ酸(BHF)に対する耐性を、上記シリカ系被膜上にBHFを塗布した後の時間に対する膜べり量を測定することにより確認した。その結果を図5に示す。
図5よりわかるように、比較例3と比べて実施例2の被膜は薬品耐性が高いことが確認できた。
図5よりわかるように、比較例3と比べて実施例2の被膜は薬品耐性が高いことが確認できた。
Claims (7)
- シロキサンポリマー(A)と、熱の作用により酸又は塩基を発生する化合物(B)と、を含有してなるシリカ系被膜形成用組成物。
- 前記酸又は塩基を発生する化合物(B)が、100℃以上300℃以下で酸または塩基を発生する化合物である請求項1記載のシリカ系被膜形成用組成物。
- 前記酸又は塩基を発生する化合物(B)の含有量が、(A)成分のSiO2換算質量に対して、0.1質量%以上20質量%以下である請求項1から3いずれか記載のシリカ系被膜形成用組成物。
- 前記シロキサンポリマー(A)は、アルコキシシランの加水分解縮合物である請求項1から4いずれか記載のシリカ系被膜形成用組成物。
- 請求項1から6いずれか記載のシリカ系被膜形成用組成物より得られるシリカ系被膜。
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