JP2007138268A - 成膜方法および成膜装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ターゲットのスパッタリングによる成膜の成膜速度が速い成膜方法および成膜装置を提供する。
【解決手段】アルゴンガスをプラズマ室2に供給し、アルミからなるターゲット5に電圧印加すると、アルゴンイオンは、ターゲット5の表面に入射し、スパッタ粒子が発生して基板6方向へと放出され、基板6の表面にアルミ薄膜を形成する。ターゲット5の電圧印加終了後、窒素ガスをプラズマ室2に供給し、基板ホルダ7に電圧印加する。そして、アルゴンイオンおよび窒素イオンは、基板6の表面に入射する。入射した窒素イオンは、アルミ薄膜を窒化し、窒化アルミ薄膜が形成される。窒素ガス供給を停止し、再びターゲット5に電圧印加し、窒化アルミ薄膜上にアルミ薄膜を形成する。このプロセスを繰り返す。
【選択図】図1
【解決手段】アルゴンガスをプラズマ室2に供給し、アルミからなるターゲット5に電圧印加すると、アルゴンイオンは、ターゲット5の表面に入射し、スパッタ粒子が発生して基板6方向へと放出され、基板6の表面にアルミ薄膜を形成する。ターゲット5の電圧印加終了後、窒素ガスをプラズマ室2に供給し、基板ホルダ7に電圧印加する。そして、アルゴンイオンおよび窒素イオンは、基板6の表面に入射する。入射した窒素イオンは、アルミ薄膜を窒化し、窒化アルミ薄膜が形成される。窒素ガス供給を停止し、再びターゲット5に電圧印加し、窒化アルミ薄膜上にアルミ薄膜を形成する。このプロセスを繰り返す。
【選択図】図1
Description
本発明は、プラズマをターゲットに照射するスパッタリングによって化合物薄膜を成膜対象物上に形成する成膜方法および成膜装置に関する。
化合物薄膜を基板上に形成する電子サイクロトロン共鳴(ECR)スパッタ装置が従来技術として知られている。このECRスパッタ装置では、プラズマ生成室内に不活性ガスと反応性ガスとを導入し、ターゲットに高周波電圧を印加してスパッタ粒子を発生する。そして、スパッタ粒子とともにプラズマにより活性化された反応性ガスが基板上に到達して化合物薄膜が形成される(特許文献1)。
特許文献1のECRスパッタ装置では、反応性ガスを導入しているときに電圧をターゲットに印加するので、ターゲットの表面が反応性ガスと反応し、ターゲットが反応生成物に覆われる。したがって、ターゲットではなくこの反応生成物がスパッタリングされるため、化合物薄膜の成膜速度が遅くなるという問題点がある。
(1)請求項1の発明の成膜方法は、プラズマによりターゲットをスパッタリングして成膜対象物を成膜する第1の工程と、成膜された成膜対象物の表面をプラズマ処理する第2の工程とを繰り返すことにより、成膜対象物に成膜することを特徴とする。
(2)請求項2の発明は、請求項1に記載の成膜方法において、第1の工程は、容器に不活性ガスを供給し、電子サイクロトロン共鳴によって、容器に供給した不活性ガスのプラズマを生成し、容器内に設けたターゲットに電圧を印加し、電圧が印加されたターゲットに不活性ガスのプラズマを照射してターゲットをスパッタリングし、スパッタリングによって容器内に保持された成膜対象物に薄膜を形成し、第2の工程は、容器に不活性ガスと反応性ガスとを供給し、電子サイクロトロン共鳴によって、容器に供給された不活性ガスと反応性ガスとのプラズマを生成し、成膜対象物に電圧を印加し、電圧が印加された成膜対象物に不活性ガスおよび反応性ガスのプラズマを照射し、成膜対象物に成膜した薄膜が反応性ガスのプラズマで反応されることを特徴とする。
(3)請求項3の発明は、請求項2に記載の成膜方法において、不活性ガスはアルゴンガスであり、反応性ガスは窒素ガスであることを特徴とする。
(4)請求項4の発明の成膜装置は、容器に不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段と、容器に反応性ガスをパルス状に供給する反応性ガス供給手段と、電子サイクロトロン共鳴によって、容器に供給した不活性ガスおよび反応性ガスのプラズマを生成するプラズマ生成手段と、プラズマ生成手段によって生成した不活性ガスのプラズマによりスパッタリングするターゲットと、ターゲットにパルス電圧を印加するターゲット電圧印加手段と、スパッタリングによって成膜され、プラズマ生成手段によって生成された反応性ガスのプラズマが照射される成膜対象物にパルス電圧を印加する成膜対象物電圧印加手段と、不活性ガス供給手段によって容器に不活性ガスを供給するタイミング、反応性ガス供給手段によって容器に反応性ガスをパルス状に供給するタイミング、ターゲット電圧印加手段によってターゲットに電圧を印加するタイミングおよび成膜対象物電圧印加手段によって成膜対象物に電圧を印加するタイミングとを制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
(5)請求項5の発明は、請求項4に記載の成膜装置において、制御手段は、ターゲットに電圧を印加するときは、容器に不活性ガスを供給し、容器への反応性ガス供給を停止し、成膜対象物への電圧印加を停止し、ターゲットへのパルス電圧印加を停止するときは、容器に不活性ガスを供給し、容器に反応性ガスをパルス状に供給し、成膜対象物に電圧を印加し、ターゲットへの電圧の印加および電圧印加の停止を繰り返すことを特徴とする。
(6)請求項6の発明は、請求項4または5に記載の成膜装置において、不活性ガスはアルゴンガスであり、反応性ガスは窒素ガスであることを特徴とする。
(2)請求項2の発明は、請求項1に記載の成膜方法において、第1の工程は、容器に不活性ガスを供給し、電子サイクロトロン共鳴によって、容器に供給した不活性ガスのプラズマを生成し、容器内に設けたターゲットに電圧を印加し、電圧が印加されたターゲットに不活性ガスのプラズマを照射してターゲットをスパッタリングし、スパッタリングによって容器内に保持された成膜対象物に薄膜を形成し、第2の工程は、容器に不活性ガスと反応性ガスとを供給し、電子サイクロトロン共鳴によって、容器に供給された不活性ガスと反応性ガスとのプラズマを生成し、成膜対象物に電圧を印加し、電圧が印加された成膜対象物に不活性ガスおよび反応性ガスのプラズマを照射し、成膜対象物に成膜した薄膜が反応性ガスのプラズマで反応されることを特徴とする。
(3)請求項3の発明は、請求項2に記載の成膜方法において、不活性ガスはアルゴンガスであり、反応性ガスは窒素ガスであることを特徴とする。
(4)請求項4の発明の成膜装置は、容器に不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段と、容器に反応性ガスをパルス状に供給する反応性ガス供給手段と、電子サイクロトロン共鳴によって、容器に供給した不活性ガスおよび反応性ガスのプラズマを生成するプラズマ生成手段と、プラズマ生成手段によって生成した不活性ガスのプラズマによりスパッタリングするターゲットと、ターゲットにパルス電圧を印加するターゲット電圧印加手段と、スパッタリングによって成膜され、プラズマ生成手段によって生成された反応性ガスのプラズマが照射される成膜対象物にパルス電圧を印加する成膜対象物電圧印加手段と、不活性ガス供給手段によって容器に不活性ガスを供給するタイミング、反応性ガス供給手段によって容器に反応性ガスをパルス状に供給するタイミング、ターゲット電圧印加手段によってターゲットに電圧を印加するタイミングおよび成膜対象物電圧印加手段によって成膜対象物に電圧を印加するタイミングとを制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
(5)請求項5の発明は、請求項4に記載の成膜装置において、制御手段は、ターゲットに電圧を印加するときは、容器に不活性ガスを供給し、容器への反応性ガス供給を停止し、成膜対象物への電圧印加を停止し、ターゲットへのパルス電圧印加を停止するときは、容器に不活性ガスを供給し、容器に反応性ガスをパルス状に供給し、成膜対象物に電圧を印加し、ターゲットへの電圧の印加および電圧印加の停止を繰り返すことを特徴とする。
(6)請求項6の発明は、請求項4または5に記載の成膜装置において、不活性ガスはアルゴンガスであり、反応性ガスは窒素ガスであることを特徴とする。
本発明によれば、プラズマによりターゲットをスパッタリングして成膜対象物を成膜する工程と、成膜された成膜対象物の表面をプラズマ処理する工程とを繰り返すことにより、成膜対象物に成膜する。したがって、プラズマ処理のときはターゲットをスパッタリングしないので、プラズマによるターゲット表面の反応が抑制され、成膜対象物への化合物薄膜の成膜速度が速くなる。
以下、図を参照して、本発明を実施するための最良の形態について説明する。図1は本発明による成膜装置の一実施の形態を示す図である。成膜装置は、ECRプラズマを生成するためのプラズマ室2と、成膜対象物である基板6が収容される反応室4とを備えている。プラズマ室2と反応室4とはプラズマ引き出し開口2aを介して連通しており、各室2,4は不図示の真空ポンプにより真空排気される。
プラズマ室2には、マイクロ波導入窓1および空芯磁場コイル3が設けられている。プラズマ室2は、2.45GHzのマイクロ波に対して空洞共振器として機能するように構成している。空芯磁場コイル3により87.5(mT)の磁場を生成し、周波数2.45GHzのマイクロ波をマイクロ波導入窓1より導入する。プラズマ室2には、ガスラインL1,L2によりガスを供給する。ガスラインL1より、アルゴンプラズマを生成するためのアルゴンガスを供給し、ガスラインL2より、窒素プラズマを生成するための窒素ガスを供給する。ガスラインL1にはバルブB1を設け、バルブB1が開閉することによって、アルゴンガスの供給を制御する。また、ガスラインL2には、バルブB2を設け、短時間の間、たとえば、1〜100msecのパルス幅のオンオフパルスを印加し、オンパルスの印加時に窒素ガスを供給し、オフパルスの印加時に窒素ガスの供給を停止する。つまりパルス状に窒素ガスを供給する。また、マスフローコントローラM1によって窒素ガスの流量を制御し、マスフローコントローラM2によってアルゴンガスの流量を制御する。
一方、反応室4内には、中央に穴が明いたコーン形状のターゲット5と、基板6を保持する基板ホルダ7とを設ける。ターゲット5の材料にはアルミを使用する。ターゲット5はDC電源D1と接続しており、ターゲット5にDCパルス電圧を印加することができる。この場合、ターゲット5の電位がプラズマに対してマイナス電位となるように、例えば、−200〜−800Vの電圧を印加する。なお、ターゲット5にはDCパルス電圧の代りに、正極側を接地し、負極側をターゲット5に接続した高周波電源を用いて高周波電圧を印加してもよい。
基板ホルダ7には、基板6を軸Jを中心に回転する駆動機構を設ける。また、基板ホルダ7を高周波電源D2と接続し、基板ホルダ7の電位がプラズマに対してマイナス電位になるように高周波電圧を印加する。アーキングが発生しなければ高周波電源の代りにDC電源を使用してもよい。
プラズマ室2へのアルゴンガスの供給、プラズマ室2への窒素ガスの供給、ターゲット5の電圧印加および基板ホルダ7の電圧印加は図2に示すタイミングで行う。これらのタイミングは、コントローラC1において制御する。
図2(a)は、バルブB1の開閉タイミングを示す図である。バルブB1が開のとき、アルゴンガスがプラズマ室2に供給され、バルブB1が閉のときは供給されない。図2(b)は、バルブB2の開閉タイミングを示す図である。バルブB2が開のとき、プラズマ室2に窒素ガスが供給され、バルブB2が閉のときは供給されない。上述したように、バルブB2は、短時間に開閉動作を行うことができ、窒素ガスをパルス状にプラズマ室2に供給することができる。
図2(c)は、ターゲット5の電圧印加のタイミングを示す図である。所定のタイミングでDCパルス電圧をターゲット5に印加する。図2(d)は、基板ホルダ7の電圧印加のタイミングを示す図である。所定のタイミングでパルス状の高周波電圧を基板ホルダ7に印加する。ここで、ターゲット5および基板ホルダ7に印加するパルスのオン時間は1〜100msecである。
図2(e)は成膜プロセスを示す図である。後述するように、アルミ薄膜の形成、アルミ薄膜の窒化を繰り返しながら所望の膜厚の窒化アルミ薄膜を形成する。
図2(a)に示すように、成膜が開始されてから終了するまで継続的にアルゴンガスを供給する。図2(c)および図2(d)に示すように、ターゲット5と基板ホルダ7とには電圧印加を交互に行う。つまり、ターゲット5に電圧を印加しているとき、基板ホルダ7に電圧を印加せず、ターゲット5の電圧印加を終了すると、基板ホルダ7に電圧を印加し、所定時間ごとにターゲット5と基板ホルダ7との電圧印加を繰り返す。また、図2(b)に示すように基板ホルダ7に電圧を印加しているときに窒素ガスを供給し、ターゲット5に電圧を印加しているときは供給しない。
図1のプラズマ室2内に87.5mTの磁場を生成し、マイクロ波導入窓1から2.45GHzのマイクロ波を導入すると、ECRによってアルゴンガスがイオン化して高密度なプラズマが生成される。さらに窒素ガスをプラズマ室2に供給すると、ECRによって窒素ガスもイオン化する。プラズマ中には電子、アルゴンイオン、励起状態のアルゴンそしてアルゴン原子が存在し、さらにプラズマ室2に窒素ガスを供給しているときは、プラズマ中には窒素イオン、励起状態の窒素そして窒素原子が存在する。この中で移動度の大きな電子が空芯磁場コイル3により形成された発散磁界の磁力線に沿って開口2aから反応室4内に移動する。その結果、プラズマ室2のプラズマから見ると反応室4の電子が存在する空間はマイナス電位となっているため、プラズマ中のアルゴンイオン、窒素イオンが磁力線に沿って反応室4へと移動する。このようにして反応室4にプラズマを引き出すことになる。
マイナス電位となるようにターゲット5に電圧を印加すると、アルゴンイオンは、ターゲット電圧による電界によってターゲット5方向に加速し、ターゲット5の表面に入射する。つまり、プラズマがターゲット5に照射される。加速されたアルゴンイオンがターゲット5に入射すると、スパッタ現象によりアルミから成るスパッタ粒子がターゲット5から基板6方向へと放出される。そして、基板6の表面にアルミ薄膜を形成する。
パルス状に電圧をターゲット5に印加する電圧印加時間は、アルミ薄膜に入射する窒素イオンの侵入距離に依存する。電圧印加時間が長すぎるとアルミ薄膜の膜厚が厚くなりすぎてしまい、アルミ薄膜が後述する窒素イオンによって完全に窒化されない。
図2(b)〜(d)に示すように、ターゲット5の電圧印加を終了した後、窒素ガスを供給し、基板ホルダ7をマイナス電位に印加すると、アルゴンイオンおよび窒素イオンは、基板ホルダ7電圧による電界によって基板ホルダ7方向に加速し、基板6の表面に入射する。つまり、プラズマが基板6に照射される。このとき、ターゲット5に電圧を印加しないので、ターゲット5はスパッタリングされない。また、窒素イオンは、ターゲット5に向かって加速しないので、ターゲット5と反応するために必要な運動エネルギーを得られず、ターゲット5に衝突してもターゲット5とほとんど反応しない。基板6に入射した窒素イオンは、基板6の表面に形成したアルミ薄膜を窒化し、その結果、基板上に窒化アルミ薄膜が形成される。
図2(b)〜(d)に示すように、基板ホルダ7の電圧印加が終了すると、窒素ガスの供給を停止する。そして、再びターゲット5に電圧を印加し、窒化アルミ薄膜上にアルミ薄膜を形成する。以上のプロセスを繰り返すことによって、図2(e)に示すようにアルミ薄膜の形成とアルミ薄膜の窒化とが繰り返される。そして、所望の膜厚の窒化アルミ薄膜が基板6の表面上に形成される。
《窒化アルミ薄膜の成膜》
ターゲット5に高純度アルミ5Nを使用し、表面に0.5μmのSiO2層を形成しているSi基板6に窒化アルミを成膜した。成膜条件は、反応室4内の圧力が0.3〜0.7Pa、アルゴンガス流量が30〜50sccm、窒素ガス流量が2.5〜5.5sccm、マイクロ波導入窓1より導入されるマイクロ波のパワーは500〜850W、ターゲット5に印加される電圧は−200〜−400V、ターゲット5に流す電流は0.55〜1.50A、基板温度は室温〜400℃とした。基板ホルダ7に約−250Vのバイアスをかけた高周波電流を流すことによって、基板ホルダ7に高周波電圧を印加した。高周波電流の電力は100〜300Wとした。また、バルブB2、ターゲット5および基板ホルダ7に印加するパルスのオン時間を1〜100msとした。
ターゲット5に高純度アルミ5Nを使用し、表面に0.5μmのSiO2層を形成しているSi基板6に窒化アルミを成膜した。成膜条件は、反応室4内の圧力が0.3〜0.7Pa、アルゴンガス流量が30〜50sccm、窒素ガス流量が2.5〜5.5sccm、マイクロ波導入窓1より導入されるマイクロ波のパワーは500〜850W、ターゲット5に印加される電圧は−200〜−400V、ターゲット5に流す電流は0.55〜1.50A、基板温度は室温〜400℃とした。基板ホルダ7に約−250Vのバイアスをかけた高周波電流を流すことによって、基板ホルダ7に高周波電圧を印加した。高周波電流の電力は100〜300Wとした。また、バルブB2、ターゲット5および基板ホルダ7に印加するパルスのオン時間を1〜100msとした。
上記の成膜条件で、窒化アルミ薄膜を成膜した結果、5〜10オングストローム/秒の成膜速度を得ることができた。一方、プラズマ室5にアルゴンガスと窒素ガスとを供給し、そのままターゲット5にDC電圧を印加して窒化アルミ薄膜を形成した場合の成膜速度は1オングストローム/秒であった。したがって、上記のように窒素ガスのパルス供給と、ターゲット5へのパルスバイアス電圧印加と、基板ホルダ7へのパルス電圧印加とを適切に制御することによって5〜10倍の成膜速度を得ることができた。
以上の実施形態による成膜装置は次のような作用効果を奏する。
(1)プラズマによりターゲット5をスパッタリングして基板6にアルミ薄膜を成膜する工程と、成膜されたアルミ薄膜をプラズマ処理する工程、つまり、電子サイクロトロン共鳴によって、アルゴンガスのプラズマを生成し、電圧を印加したターゲット5にアルゴンガスのプラズマを照射してターゲット5をスパッタリングし、基板6にアルミ薄膜を形成する工程と、電子サイクロトロン共鳴によって、アルゴンガスと窒素ガスとのプラズマを生成し、電圧を印加した基板6にアルゴンガスおよび窒素ガスのプラズマを照射し、アルミ薄膜を窒素ガスのプラズマで窒化する工程とを交互に繰り返して窒化アルミ薄膜を基板6に形成した。したがって、窒素ガスのプラズマを生成しているときはターゲット5に電圧を印加しないので、窒素ガスのプラズマによるターゲット表面の反応が抑制され、窒化アルミ薄膜の成膜速度が速くなる。また、短時間で所望の膜厚に窒化アルミ薄膜を形成することができるので、反応室4の内壁から発生するアウトガスの影響を受ける前に窒化アルミ薄膜の成膜を終了することができ、結晶性のよい窒化アルミ薄膜を成膜することができる。ここで、アウトガスとは、反応室4の内壁に吸着している水分などに起因するガスであり、アウトガスの影響により、窒化アルミに不純物として酸素などが混入し、結晶性が悪くなる。
(1)プラズマによりターゲット5をスパッタリングして基板6にアルミ薄膜を成膜する工程と、成膜されたアルミ薄膜をプラズマ処理する工程、つまり、電子サイクロトロン共鳴によって、アルゴンガスのプラズマを生成し、電圧を印加したターゲット5にアルゴンガスのプラズマを照射してターゲット5をスパッタリングし、基板6にアルミ薄膜を形成する工程と、電子サイクロトロン共鳴によって、アルゴンガスと窒素ガスとのプラズマを生成し、電圧を印加した基板6にアルゴンガスおよび窒素ガスのプラズマを照射し、アルミ薄膜を窒素ガスのプラズマで窒化する工程とを交互に繰り返して窒化アルミ薄膜を基板6に形成した。したがって、窒素ガスのプラズマを生成しているときはターゲット5に電圧を印加しないので、窒素ガスのプラズマによるターゲット表面の反応が抑制され、窒化アルミ薄膜の成膜速度が速くなる。また、短時間で所望の膜厚に窒化アルミ薄膜を形成することができるので、反応室4の内壁から発生するアウトガスの影響を受ける前に窒化アルミ薄膜の成膜を終了することができ、結晶性のよい窒化アルミ薄膜を成膜することができる。ここで、アウトガスとは、反応室4の内壁に吸着している水分などに起因するガスであり、アウトガスの影響により、窒化アルミに不純物として酸素などが混入し、結晶性が悪くなる。
(2)窒素ガスはプラズマ室2にパルス状に供給されるので、短い時間の間隔でアルミ薄膜の形成、アルミ薄膜の窒化を繰り返すことができ、効率よく基板上に窒化アルミ薄膜を形成することができる。一方、パルス状に窒素ガスを供給しない場合は、アルミ薄膜の窒化が完了した後も窒素ガスがプラズマ室2に残るので、窒素ガスが残っている間はアルミ薄膜の成膜ができず、効率が悪くなる。
以上の実施形態の成膜装置を次のように変形することができる。
(1)プラズマ室2に供給するガスは、不活性ガスであれば、アルゴンガスに限定されない。たとえば、アルゴンガス以外の希ガスを使用してもよい。
(1)プラズマ室2に供給するガスは、不活性ガスであれば、アルゴンガスに限定されない。たとえば、アルゴンガス以外の希ガスを使用してもよい。
(2)プラズマ室2にパルス状に供給するガスは、反応性ガスであれば、窒素ガスに限定されない。たとえば、酸素ガスや水素ガスを使用してもよい。
(3)ターゲットの材料はアルミに限定されず、基板上に形成する化合物薄膜によって適宜選択することができる。たとえば、窒化シリコン薄膜を基板上に形成する場合はターゲット5の材料をシリコンとしてもよい。
(4)ターゲット5に印加するパルス電圧の印加時間は、アルミ薄膜に入射する窒素イオンの侵入距離によって適宜変更することができ、実施形態に限定されない。また、基板ホルダ7に印加するパルス電圧の印加時間も、アルミ薄膜を完全に窒化するのに要する時間によって適宜変更することができ、実施形態に限定されない。
(5)成膜対象物は基板に限定されず、たとえば、金型などでもよい。
本発明は、プラズマによりターゲットをスパッタリングして成膜対象物を成膜する工程と、成膜された成膜対象物の表面をプラズマ処理する工程とを繰り返すことにより、成膜対象物に成膜する構成を有していれば、以上説明した実施の形態になんら限定されない。
特許請求の範囲の要素と実施の形態との対応関係を説明する。
本発明の容器はプラズマ室2および反応室3に対応する。不活性ガス供給手段はガスラインL1に対応し、反応性ガス供給手段はガスラインL2に対応する。プラズマ生成手段はマイクロ波導入窓1および空芯磁場コイル3に対応する。ターゲット電圧印加手段はDC電源D1に対応し、成膜対象物電圧印加手段は高周波電源D2に対応する。制御手段はバルブB1、バルブB2およびコントローラC1に対応する。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する上で、上記の実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係になんら限定されるものではない。
本発明の容器はプラズマ室2および反応室3に対応する。不活性ガス供給手段はガスラインL1に対応し、反応性ガス供給手段はガスラインL2に対応する。プラズマ生成手段はマイクロ波導入窓1および空芯磁場コイル3に対応する。ターゲット電圧印加手段はDC電源D1に対応し、成膜対象物電圧印加手段は高周波電源D2に対応する。制御手段はバルブB1、バルブB2およびコントローラC1に対応する。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する上で、上記の実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係になんら限定されるものではない。
1 マイクロ波導入窓
2 プラズマ室
3 空芯磁場コイル
4 反応室
5 ターゲット
6 基板
B1,B2 バルブ
C1 コントローラ
D1 DC電源
D2 高周波電源
L1,L2 ガスライン
2 プラズマ室
3 空芯磁場コイル
4 反応室
5 ターゲット
6 基板
B1,B2 バルブ
C1 コントローラ
D1 DC電源
D2 高周波電源
L1,L2 ガスライン
Claims (6)
- プラズマによりターゲットをスパッタリングして成膜対象物を成膜する第1の工程と、
前記成膜された成膜対象物の表面をプラズマ処理する第2の工程とを繰り返すことにより、前記成膜対象物に成膜することを特徴とする成膜方法。 - 請求項1に記載の成膜方法において、
前記第1の工程は、容器に不活性ガスを供給し、電子サイクロトロン共鳴によって、前記容器に供給した不活性ガスのプラズマを生成し、前記容器内に設けたターゲットに電圧を印加し、電圧が印加された前記ターゲットに前記不活性ガスのプラズマを照射して前記ターゲットをスパッタリングし、前記スパッタリングによって前記容器内に保持された前記成膜対象物に薄膜を形成し、
前記第2の工程は、前記容器に前記不活性ガスと反応性ガスとを供給し、電子サイクロトロン共鳴によって、前記容器に供給された不活性ガスと反応性ガスとのプラズマを生成し、前記成膜対象物に電圧を印加し、電圧が印加された前記成膜対象物に前記不活性ガスおよび前記反応性ガスのプラズマを照射し、前記成膜対象物に成膜した薄膜が前記反応性ガスのプラズマで反応されることを特徴とする成膜方法。 - 請求項2に記載の成膜方法において、
前記不活性ガスはアルゴンガスであり、前記反応性ガスは窒素ガスであることを特徴とする成膜方法。 - 容器に不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段と、
前記容器に反応性ガスをパルス状に供給する反応性ガス供給手段と、
電子サイクロトロン共鳴によって、前記容器に供給した不活性ガスおよび反応性ガスのプラズマを生成するプラズマ生成手段と、
前記プラズマ生成手段によって生成した不活性ガスのプラズマによりスパッタリングするターゲットと、
前記ターゲットにパルス電圧を印加するターゲット電圧印加手段と、
前記スパッタリングによって成膜され、前記プラズマ生成手段によって生成された反応性ガスのプラズマが照射される成膜対象物にパルス電圧を印加する成膜対象物電圧印加手段と、
前記不活性ガス供給手段によって前記容器に前記不活性ガスを供給するタイミング、前記反応性ガス供給手段によって前記容器に前記反応性ガスをパルス状に供給するタイミング、前記ターゲット電圧印加手段によって前記ターゲットに電圧を印加するタイミングおよび前記成膜対象物電圧印加手段によって前記成膜対象物に電圧を印加するタイミングとを制御する制御手段とを備えることを特徴とする成膜装置。 - 請求項4に記載の成膜装置において、
前記制御手段は、前記ターゲットに電圧を印加するときは、前記容器に前記不活性ガスを供給し、前記容器への前記反応性ガス供給を停止し、前記成膜対象物への電圧印加を停止し、
前記ターゲットへのパルス電圧印加を停止するときは、前記容器に前記不活性ガスを供給し、前記容器に前記反応性ガスをパルス状に供給し、前記成膜対象物に電圧を印加し、
前記ターゲットへの電圧の印加および電圧印加の停止を繰り返すことを特徴とする成膜装置。 - 請求項4または5に記載の成膜装置において、
前記不活性ガスはアルゴンガスであり、前記反応性ガスは窒素ガスであることを特徴とする成膜装置。
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JP2005335936A JP2007138268A (ja) | 2005-11-21 | 2005-11-21 | 成膜方法および成膜装置 |
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