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JP3970600B2 - エッチング方法 - Google Patents

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JP3970600B2
JP3970600B2 JP2001381502A JP2001381502A JP3970600B2 JP 3970600 B2 JP3970600 B2 JP 3970600B2 JP 2001381502 A JP2001381502 A JP 2001381502A JP 2001381502 A JP2001381502 A JP 2001381502A JP 3970600 B2 JP3970600 B2 JP 3970600B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エッチング方法に関し、より具体的には、磁性薄膜のエッチング方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、MRAM(Magnetic Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、薄膜磁気ヘッドなどにおいては、磁性薄膜の微細加工が行なわれていた。この磁性薄膜の微細加工には通常エッチングが用いられる。以下、従来の磁性薄膜のエッチング方法について説明する。
【0003】
図5は、一般的な誘導結合プラズマエッチング装置の構成を概略的に示す断面図である。図5を参照して、誘導結合プラズマエッチング装置は、反応室1と、誘導結合コイル2と、第1および第2のガス供給部3a、3bと、ステージ4と、高周波電源6、7と、石英板8とを主に備えている。
【0004】
反応室1内には、ステージ4が保持されている。このステージ4は、磁性薄膜を成膜されたウェハ10を載置保持するものである。ステージ4の上方には、石英板8が反応室1の壁面に嵌め込まれており、その石英板8上には、誘導結合プラズマ源となる渦巻状の誘導結合コイル2が配置されている。この誘導結合コイル2には高周波電源6が電気的に接続されており、ステージ4には高周波電源7が電気的に接続されている。
【0005】
反応室1の側壁には、反応性ガスを供給するための第1のガス供給部3aと、希ガスを供給するための第2のガス供給部3bとが設けられている。また反応室1内を排気するために反応室1には排気口5が設けられており、この排気口5には真空ポンプ(図示せず)が接続されている。
【0006】
この装置を用いたエッチング動作については、まず磁性薄膜が成膜されたウェハ10がステージ4上に載置保持される。この後、反応室1内が真空ポンプで真空に排気される。この反応室1内に、第1のガス供給部3aからは反応性ガスとして塩素(Cl2)ガスが供給され、第2のガス供給部3bからは希ガスが供給される。この状態で誘導結合コイル2に高周波電源6から高周波電力が印加され、それにより反応室1内にプラズマが生成される。この後、ステージ4に高周波電源7から高周波電力が印加されると、ウェハ10上に高周波バイアスが形成され、ウェハ10の磁性薄膜に反応性イオンエッチングが施される。
【0007】
なお上記従来のエッチング方法においては、反応性ガスおよび希ガスの供給と誘導結合プラズマ源の動作は定常的に行なわれている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
一般的な磁性薄膜の微細加工に反応性イオンエッチングを用いようとした場合、現状では、反応生成物が高い蒸気圧を示す適当な反応性ガスがないことが大きな問題となっている。たとえば塩素ガスと鉄(Fe)との化合物FeCl3の蒸気圧は、シリコン(Si)をエッチングした場合の化合物SiCl4の蒸気圧と比べると、室温では6〜7桁も小さい。蒸気圧は温度に依存するため、ウェハ温度を上げることで化合物FeCl3の揮発性を高めることができるが、磁性材料の耐熱性は400℃以下であるためこの効果は期待できない。
【0009】
このため、磁性薄膜の微細加工には、物理的エッチング作用の強いイオンミリングが多く使われている。しかし、エッチング生成物の揮発性が低いことにより、反応室1の内壁への膜付着や磁性薄膜の側壁への膜付着が多くなるという問題が生じる。以下、そのことについて説明する。
【0010】
エッチングされた磁性薄膜は反応室1中に離脱・拡散し、一部は排気口5から排気され、残りは反応室1の内壁に付着する。またエッチング中にはCl2プラズマと反応室1の内壁との相互作用によりエッチング生成物が反応室1の内壁に再付着する。上記反応室1の内壁に付着する付着物は、エッチング処理を続けるとその量が次第に多くなり、やがて壁から剥がれてウェハ10上に異物となって付着する。
【0011】
また上記方法でウェハ10上の磁性薄膜をエッチングすると、そのエッチングによってエッチング生成物(磁性材料と塩素との化合物の粒子)がウェハ10から離脱する。離脱した粒子の一部はパターン側壁(エッチングマスクと磁性薄膜との側壁)に付着し、残りは排気口5から排気される。ここでパターン側壁に付着する粒子は、ウェハ10の表面から離脱して直接付着するものと、気相中のガス粒子と一旦衝突して散乱により付着するものがある。
【0012】
この衝突による散乱には前方散乱と後方散乱があり、前方散乱の場合には粒子の進路が若干変化する程度であるため、その粒子は気相中に拡散する。一方、後方散乱の場合には粒子の進路は衝突により大きく変わりウェハ10側へ跳ね返るため、パターン側壁やウェハ10の表面に再付着する。パターン側壁に付着物が付着すると、この付着物がマスクどおりのエッチングを阻害するため高精度の加工ができなくなる。
【0013】
また、このエッチング方法をMRAMに適用した場合、エッチング生成物のパターン側壁への付着によりアルミナトンネル絶縁膜のショートが生じ、正常な動作を行なうことができないという問題が生じる。また、微細化に対しても膜付着によるデバイスの寸法精度を確保できないという問題が生じる。
【0014】
それゆえ本発明の目的は、エッチング生成物の装置内壁やパターン側壁への付着を低減できるエッチング方法を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明のエッチング方法は、反応室内のステージ上に搭載した被エッチング物にプラズマを用いてエッチングを施すエッチング方法であって、反応性ガスと希ガスとを交互にパルスで反応室内に供給し、第1の高周波電力によって反応性ガスと希ガスとをそれぞれのガスのプラズマに生成し、希ガスを反応室内に供給するときにのみステージに第2の高周波電力を印加することを特徴とするものである。
【0016】
本発明のエッチング方法によれば、反応性ガスと希ガスとを交互にパルスにより反応室内に供給するため、まず反応性ガスを反応室内に供給することにより被エッチング物表面に反応性ガスの活性種を付着させることができる。この後、希ガスを反応室内に供給してプラズマを発生させるとともに、ステージに第2の高周波電力を印加することで、プラズマ中のイオンを被エッチング物の方向へ入射させることができる。これにより、予め被エッチング物の表面に付着していた活性種と入射してきたイオンとの作用により反応性イオンエッチングが生じ、被エッチング物をエッチングすることができる。
【0017】
反応性ガスと希ガスとの双方が交互にパルスで反応室内に供給されるため、反応室の内壁が反応性ガスのプラズマに晒されている時間は、反応性ガスが反応室内に供給されている時間だけとなり、従来例より少なくすることができる。このため、反応性ガスのプラズマと反応室の内壁との相互作用が従来例に比べて減少する。その結果、反応室の内壁へのエッチング生成物の付着が少なくなり、異物の発生が低減する。
【0018】
また、希ガスを反応室内に供給しているときにのみステージに第2の高周波電力が印加されて被エッチング物のエッチングが行なわれる。このとき、反応室内には反応性ガスは存在せず希ガスのみが存在しているため、エッチングによって被エッチング物の表面から離脱したエッチング生成物は反応室内の希ガス粒子と衝突することになる。一般に衝突による散乱は衝突される粒子の質量が小さいほど、衝突した粒子は前方散乱となる。したがって、希ガスとして質量の小さいヘリウム、ネオンなどを用いると、被エッチング物表面から離脱したエッチング生成物と希ガスとの衝突において前方散乱が支配的となるため、エッチング生成物は気相中に拡散し、パターン側壁への再付着が少なくなる。よって、マスクどおりのエッチングが進行し、高精度な加工を実現することができる。
【0019】
上記のエッチング方法において好ましくは、反応室内への希ガスの供給開始と同時にステージへの第2の高周波電力の印加を開始し、反応室内への希ガスの供給終了と同時にステージへの第2の高周波電力の印加が終了される。
【0020】
これにより、希ガスの供給開始とともにプラズマを発生させてエッチングを行なうことが可能となり、また希ガスの供給終了と同時に第2の高周波電力の印加を終了するため第2の高周波電力を効果的に省略することが可能となる。
【0021】
上記のエッチング方法において好ましくは、誘導結合コイルに第1の高周波電力を印加することで生成したプラズマを用いてエッチングを施すエッチング方法であって、誘導結合コイルに印加される第1の高周波電力は、希ガスを反応室内に供給しているときと、反応性ガスを反応室内に供給しているときとで異なる。
【0022】
このように誘導結合コイルに印加される第1の高周波電力を条件に合わせて変化させることにより、安定なプラズマの生成が可能となる、またはエッチング速度を向上させることが可能となる。
【0023】
上記のエッチング方法において好ましくは、誘導結合コイルに印加される第1の高周波電力は、希ガスを反応室内に供給しているときよりも、反応性ガスを反応室内に供給しているときのほうが高い。
【0024】
一般に、反応性ガスは希ガスに比べて放電が不安定になりやすいが、反応性ガスを供給したタイミングで誘導結合コイルに印加される第1の高周波電力を高くすることにより、安定なプラズマの生成が可能となる。
【0025】
上記のエッチング方法において好ましくは、反応室内への反応性ガスの供給開始と同時に誘導結合コイルに印加される第1の高周波電力を高くし、反応室内への反応性ガスの供給終了と同時に誘導結合コイルに印加される第1の高周波電力を低くする。
【0026】
これにより、反応性ガスの供給開始直後から安定なプラズマの生成が可能になるとともに、反応性ガスの供給終了まで反応性ガスの安定なプラズマを維持することができる。
【0027】
上記のエッチング方法において好ましくは、誘導結合コイルに印加される第1の高周波電力は、反応性ガスを反応室内に供給しているときよりも、希ガスを反応室内に供給しているときのほうが高い。
【0028】
これにより高密度の希ガスプラズマが生成され、その結果、反応性イオンエッチングに必要な希ガスのプラズマからのイオンの密度が増大し、エッチング速度が向上する。
【0029】
上記のエッチング方法において好ましくは、反応室内への希ガスの供給開始と同時に誘導結合コイルに印加される第1の高周波電力を高くし、反応室内への希ガスの供給終了と同時に誘導結合コイルに印加される第1の高周波電力を低くする。
【0030】
これにより、希ガスの供給開始直後からエッチング速度を向上させることができるとともに、希ガスの供給終了まで高速のエッチングを維持することができる。
【0031】
上記のエッチング方法において好ましくは、希ガスはヘリウムおよびネオンの少なくとも1種を含んでいる。
【0032】
このように希ガスとして質量の小さいヘリウムおよびネオンの少なくとも1種を選ぶことにより、エッチング生成物と希ガスとの衝突において前方散乱が支配的となるためエッチング生成物は気相中に拡散し、パターン側壁へ再付着することが少なくなる。よって、マスクどおりのエッチングが進行し、高精度な加工を実現することができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
【0034】
図1は、本発明の一実施の形態におけるエッチング方法でのガス供給と高周波電力印加のタイミングを示す図である。図5に示す誘導結合プラズマエッチング装置を用いて、図1のタイミングでガス供給および高周波電力印加を行なう場合のエッチング方法について説明する。
【0035】
図1および図5を参照して、まず磁性薄膜(被エッチング物)が成膜されたウェハ10がステージ4上に載置保持される。この後、反応室1内が図示しない真空ポンプにより真空に排気される。この反応室1内に、第1のガス供給部3aから反応性ガスとしてたとえば塩素(Cl2)ガスが供給される。この状態で誘導結合コイル2に高周波電源6から高周波電力が印加されると、反応室1内で反応性ガスのプラズマが生成される。生成されたプラズマから活性種がウェハ10の表面に付着する。
【0036】
ここで反応性ガスはパルスバルブによりパルスで供給される。そのパルスの時間幅(つまり反応性ガスが反応室1内に供給される時間)は、活性種がウェハ10表面に吸着する時間程度で、かつ誘導結合プラズマの生成に必要な圧力が得られる値に設定される。活性種がウェハ10の表面に吸着する時間は、概ね1msec〜数十msec程度である。また誘導結合プラズマの生成に必要な圧力が得られるパルス幅は、ガス供給量と反応室1の容積および真空排気系の能力とにより決定される。
【0037】
なお、ここまでの状態では、活性種である塩素ラジカルがウェハ10の表面に吸着するだけで、化学的な反応が起こるだけであるため磁性薄膜のエッチングはほとんど行なわれない。
【0038】
次に、反応室1内の反応性ガスが排気口5から排気される。この後、反応室1内に、第2のガス供給部3bからたとえばヘリウム(He)ガスまたはネオン(Ne)ガスなどの希ガスが供給される。誘導結合コイル2には高周波電源6から高周波電力が印加され続けているため、反応室1内に希ガスのプラズマが生成される。
【0039】
ここで希ガスはパルスバルブによりパルスで供給され、そのパルスの時間幅(つまり希ガスが反応室1内に供給される時間)は、反応性イオンエッチングが終了する時間で、かつ誘導結合プラズマの生成に必要な圧力が得られる値に設定される。好ましくは、そのパルスの時間幅は、数μsec〜数十msecに設定される。
【0040】
この状態でステージ4に高周波電源7から高周波電力を印加すると、ウェハ10上に高周波バイアスが形成され、希ガスのプラズマ中の希ガスイオンがウェハ10表面に入射する。これにより、ウェハ10表面に入射した希ガスイオンと、上述の反応性ガス供給時に磁性薄膜表面に吸着した活性種との作用により反応性イオンエッチングが生じ、磁性薄膜がエッチングされる。
【0041】
ここで、ステージ4への高周波電力の印加はパルス動作とし、希ガスの供給タイミングに同期させる。つまり、反応室1内への希ガスの供給開始と同時にステージ4への高周波電力の印加を開始し、反応室1内への希ガスの供給終了と同時にステージ4への高周波電力の印加が終了される。これにより、高周波電源7によりステージ4に高周波電力が印加されている期間のみ反応性イオンエッチングが行なわれることになる。
【0042】
本実施の形態のエッチング方法によれば、図1に示すように反応性ガスと希ガスとの双方が交互にパルスで反応室1内に供給されるため、反応室1の内壁が反応性ガスのプラズマに晒されている時間は、反応性ガスが反応室1内に供給されている時間だけとなり、従来例より少なくすることができる。このため、反応性ガスのプラズマと反応室1の内壁との相互作用が従来例に比べて減少する。その結果、反応室1の内壁へのエッチング生成物の付着が少なくなり、異物の発生が低減する。
【0043】
また、希ガスを反応室1内に供給しているときにのみステージ4に高周波電力が印加されて磁性薄膜のエッチングが行なわれる。このとき、反応室1内には反応性ガスは存在せず希ガスのみが存在しているため、エッチングによってウェハ10の表面から離脱したエッチング生成物は反応室1内の希ガス粒子と衝突することになる。一般に衝突による散乱は衝突される粒子の質量が小さいほど、衝突した粒子は前方散乱となる。したがって、希ガスとして質量の小さいHe、Neなどを用いると、ウェハ表面から離脱したエッチング生成物と希ガスとの衝突において前方散乱が支配的となるため、エッチング生成物は気相中に拡散し、パターン側壁への再付着が少なくなる。よって、マスクどおりのエッチングが進行し、高精度な加工を実現することができる。
【0044】
なお上述したエッチング方法では、図1に示すように誘導結合コイル2には動作中一定値の高周波電力が印加されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、誘導結合コイル2に印加される高周波電力は状況に応じて変化させてもよい。
【0045】
図2および図3は、誘導結合コイルに印加される高周波電力が変動する場合のガス供給と高周波電力印加とのタイミングを示す図である。図2を参照して、誘導結合コイル2に印加される高周波電力は、反応性ガスの供給に同期させて増大されてもよい。この場合、反応室1内への反応性ガスの供給開始と同時に誘導結合コイル2に印加される高周波電力は増大され、反応室1内への反応性ガスの供給終了と同時に誘導結合コイル2に印加される高周波電力を低減される。
【0046】
一般に、反応性ガスは希ガスに比べて放電が不安定になりやすいが、反応性ガスを供給したタイミングで高周波電源6の高周波電力を増大させると反応性ガスの安定なプラズマの生成が可能となる。またこれにより、反応性ガスを反応室1内に供給を開始した直後から安定なプラズマを生成できるとともに、反応性ガスの供給終了まで反応性ガスの安定なプラズマを維持することが可能となる。
【0047】
また図3を参照して、誘導結合コイル2に印加される高周波電力は、希ガスの供給に同期させて増大されてもよい。この場合、反応室1内への希ガスの供給開始と同時に誘導結合コイル2に印加される高周波電力は増大され、反応室1内への希ガスの供給終了と同時に誘導結合コイル2に印加される高周波電力を低減される。
【0048】
この場合、高密度の希ガスプラズマが生成され、その結果反応性イオンエッチングに必要な希ガスのプラズマからのイオンの密度が増大し、エッチング速度が向上する。この場合、プラズマ密度が上昇することにより反応室1の内壁への付着物増加が懸念されるが、希ガスのプラズマであるため、反応性が低く、生成物が付着することは少ない。パルス的にステージ4に高周波バイアスを印加しているので、定常的な場合(従来例)に比べてエッチング速度が低下するが、この方法を用いることによりエッチング速度を改善することができる。また、希ガスを反応室1内に供給した直後から速い速度でエッチングを行なうことが可能になるとともに、希ガスの供給終了まで高速でのエッチングが可能となる。
【0049】
なお、上記の実施の形態においては、エッチング装置として誘導結合プラズマエッチング装置を用いた場合について説明したが、本発明のエッチング方法はこの装置を用いた場合に限られず、一般的な平行平板型プラズマエッチング装置や図4に示すような電子サイクロトロン共鳴(ECR:Electron Cyclotron Resonance)プラズマエッチング装置により行なわれてもよい。
【0050】
図4を参照して、このECRプラズマエッチング装置は、図5の装置の誘導結合プラズマ源の代わりに、マイクロ波発生源(図示せず)から発せられたマイクロ波を反応室1内に導くための導波管11と、この導波管11を反応室1と区切るためのマイクロ波導入窓12と、反応室1外周を取囲む磁場コイル13とを有している。そして、磁場コイル13への通電によって生じた磁場と導波管11によって導かれたマイクロ波とを反応室1内のガスに与えることによりプラズマが生成される。
【0051】
なお、これ以外の構成については図5に示す構成とほぼ同じであるため、同一の部材については同一の符号を付しその説明を省略する。
【0052】
このようなECRプラズマエッチング装置や平行平板型プラズマエッチング装置を用いて、図1、図2または図3に示すガス供給と高周波電力印加とのタイミングでエッチングを行なうことにより、上記と同様の効果を得ることができる。
【0053】
なお本発明のエッチング方法は、MRAM、HDD、薄膜磁気ヘッドなどの磁性薄膜を有するものに適用可能である。
【0054】
また本発明においてエッチングされる対象物は磁性薄膜に限定されるものでもない。
【0055】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0056】
【発明の効果】
本発明のエッチング方法によれば、反応性ガスと希ガスとを交互にパルスにより反応室内に供給するため、まず反応性ガスを反応室内に供給することにより被エッチング物表面に反応性ガスの活性種を付着させることができる。この後、希ガスを反応室内に供給してプラズマを発生させるとともに、ステージに第2の高周波電力を印加することで、プラズマ中のイオンを被エッチング物の方向へ入射させることができる。これにより、予め被エッチング物の表面に付着していた活性種と入射してきたイオンとの作用により反応性イオンエッチングが生じ、被エッチング物をエッチングすることができる。
【0057】
反応性ガスと希ガスとの双方が交互にパルスで反応室内に供給されるため、反応室の内壁が反応性ガスのプラズマに晒されている時間は、反応性ガスが反応室内に供給されている時間だけとなり、従来例より少なくすることができる。このため、反応性ガスのプラズマと反応室の内壁との相互作用が従来例に比べて減少する。その結果、反応室の内壁へのエッチング生成物の付着が少なくなり、異物の発生が低減する。
【0058】
また、希ガスを反応室内に供給しているときにのみステージに第2の高周波電力が印加されて被エッチング物のエッチングが行なわれる。このとき、反応室内には反応性ガスは存在せず希ガスのみが存在しているため、エッチングによって被エッチング物の表面から離脱したエッチング生成物は反応室内の希ガス粒子と衝突することになる。一般に衝突による散乱は衝突される粒子の質量が小さいほど、衝突した粒子は前方散乱となる。したがって、希ガスとして質量の小さいヘリウム、ネオンなどを用いると、被エッチング物表面から離脱したエッチング生成物と希ガスとの衝突において前方散乱が支配的となるため、エッチング生成物は気相中に拡散し、パターン側壁への再付着が少なくなる。よって、マスクどおりのエッチングが進行し、高精度な加工を実現することができる。
【0059】
上記のエッチング方法において好ましくは、反応室内への希ガスの供給開始と同時にステージへの第2の高周波電力の印加を開始し、反応室内への希ガスの供給終了と同時にステージへの第2の高周波電力の印加が終了される。これにより、希ガスの供給開始とともにプラズマを発生させてエッチングを行なうことが可能となり、また希ガスの供給終了と同時に第2の高周波電力の印加を終了するため第2の高周波電力を効果的に省略することが可能となる。
【0060】
上記のエッチング方法において好ましくは、誘導結合コイルに第1の高周波電力を印加することで生成したプラズマを用いてエッチングを施すエッチング方法であって、誘導結合コイルに印加される第1の高周波電力は、希ガスを反応室内に供給しているときと、反応性ガスを反応室内に供給しているときとで異なる。このように誘導結合コイルに印加される第1の高周波電力を条件に合わせて変化させることにより、安定なプラズマの生成が可能となる、またはエッチング速度を向上させることが可能となる。
【0061】
上記のエッチング方法において好ましくは、誘導結合コイルに印加される第1の高周波電力は、希ガスを反応室内に供給しているときよりも、反応性ガスを反応室内に供給しているときのほうが高い。一般に、反応性ガスは希ガスに比べて放電が不安定になりやすいが、反応性ガスを供給したタイミングで誘導結合コイルに印加される第1の高周波電力を高くすることにより、安定なプラズマの生成が可能となる。
【0062】
上記のエッチング方法において好ましくは、反応室内への反応性ガスの供給開始と同時に誘導結合コイルに印加される第1の高周波電力を高くし、反応室内への反応性ガスの供給終了と同時に誘導結合コイルに印加される第1の高周波電力を低くする。これにより、反応性ガスの供給開始直後から安定なプラズマの生成が可能になるとともに、反応性ガスの供給終了まで反応性ガスのプラズマを維持することができる。
【0063】
上記のエッチング方法において好ましくは、誘導結合コイルに印加される第1の高周波電力は、反応性ガスを反応室内に供給しているときよりも、希ガスを反応室内に供給しているときのほうが高い。これにより高密度の希ガスプラズマが生成され、その結果、反応性イオンエッチングに必要な希ガスのプラズマからのイオンの密度が増大し、エッチング速度が向上する。
【0064】
上記のエッチング方法において好ましくは、反応室内への希ガスの供給開始と同時に誘導結合コイルに印加される第1の高周波電力を高くし、反応室内への希ガスの供給終了と同時に誘導結合コイルに印加される第1の高周波電力を低くする。これにより、希ガスの供給開始直後からエッチング速度を向上させることができるとともに、希ガスの供給終了まで希ガスのプラズマを維持することができる。
【0065】
上記のエッチング方法において好ましくは、希ガスはヘリウムおよびネオンの少なくとも1種を含んでいる。このように希ガスとして質量の小さいヘリウムおよびネオンの少なくとも1種を選ぶことにより、エッチング生成物と希ガスとの衝突において前方散乱が支配的となるためエッチング生成物は気相中に拡散し、パターン側壁へ再付着することが少なくなる。よって、マスクどおりのエッチングが進行し、高精度な加工を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態におけるガス供給と高周波電力印加とのタイミングを示す図である。
【図2】 誘導結合コイルに印加される高周波電力を時間的に変化させた場合のガス供給と高周波電力印加とのタイミングを示す図である。
【図3】 誘導結合コイルに印加される高周波電力を時間的に変化させた場合のガス供給と高周波電力印加とのタイミングの別の例を示す図である。
【図4】 ECRプラズマエッチング装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図5】 一般的な誘導結合プラズマエッチング装置の構成を概略的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 反応室、2 誘導結合コイル、3a 第1のガス供給部、3b 第2のガス供給部、4 ステージ、5 排気口、6,7 高周波電源、10 ウェハ、11 導波管、12 マイクロ波導入窓、13 磁場コイル。

Claims (8)

  1. 反応室内のステージ上に搭載した被エッチング物にプラズマを用いてエッチングを施すエッチング方法であって、
    反応性ガスと希ガスとを交互にパルスで前記反応室内に供給し、第1の高周波電力によって前記反応性ガスと前記希ガスとをそれぞれのガスのプラズマに生成し、前記希ガスを前記反応室内に供給するときにのみ前記ステージに第2の高周波電力を印加することを特徴とする、エッチング方法。
  2. 前記反応室内への前記希ガスの供給開始と同時に前記ステージへの前記第2の高周波電力の印加を開始し、前記反応室内への前記希ガスの供給終了と同時に前記ステージへの前記第2の高周波電力の印加を終了することを特徴とする、請求項1に記載のエッチング方法。
  3. 誘導結合コイルに前記第1の高周波電力を印加することで生成したプラズマを用いてエッチングを施すエッチング方法であって、
    前記誘導結合コイルに印加される前記第1の高周波電力は、前記希ガスを前記反応室内に供給しているときと、前記反応性ガスを前記反応室内に供給しているときとで異なることを特徴とする、請求項1または2に記載のエッチング方法。
  4. 前記誘導結合コイルに印加される前記第1の高周波電力は、前記希ガスを前記反応室内に供給しているときよりも、前記反応性ガスを前記反応室内に供給しているときのほうが高いことを特徴とする、請求項3に記載のエッチング方法。
  5. 前記反応室内への前記反応性ガスの供給開始と同時に前記誘導結合コイルに印加される前記第1の高周波電力を高くし、前記反応室内への前記反応性ガスの供給終了と同時に前記誘導結合コイルに印加される前記第1の高周波電力を低くすることを特徴とする、請求項4に記載のエッチング方法。
  6. 前記誘導結合コイルに印加される前記第1の高周波電力は、前記反応性ガスを前記反応室内に供給しているときよりも、前記希ガスを前記反応室内に供給しているときのほうが高いことを特徴とする、請求項3に記載のエッチング方法。
  7. 前記反応室内への前記希ガスの供給開始と同時に前記誘導結合コイルに印加される前記第1の高周波電力を高くし、前記反応室内への前記希ガスの供給終了と同時に前記誘導結合コイルに印加される前記第1の高周波電力を低くすることを特徴とする、請求項6に記載のエッチング方法。
  8. 前記希ガスはヘリウムおよびネオンの少なくとも1種を含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のエッチング方法。
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