JP2007131804A - 地盤埋戻し材 - Google Patents
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Abstract
【課題】 コンクリート打設後の設備洗浄時に発生するスラッジ水および解体コンクリートのリサイクル材料としての微粒微粉体を有効に利用した埋戻し充填材を提供する。
【解決手段】 再生骨材を製造する際に副産される粒径5mm以下の粉粒状体と、セメントあるいはセメント系固化材からなる水硬性の固化材とからなる混合固化材にコンクリート打設施設の洗浄排水としてのスラッジ水が添加されたスラリー状をなす充填材であって、該充填材を埋戻し対象の地盤空間に充填して固化させるようにした。
【選択図】 図1
【解決手段】 再生骨材を製造する際に副産される粒径5mm以下の粉粒状体と、セメントあるいはセメント系固化材からなる水硬性の固化材とからなる混合固化材にコンクリート打設施設の洗浄排水としてのスラッジ水が添加されたスラリー状をなす充填材であって、該充填材を埋戻し対象の地盤空間に充填して固化させるようにした。
【選択図】 図1
Description
本発明は掘削地盤の地盤埋戻し材に係り、コンクリート打設後の設備洗浄時に発生するスラッジ水および解体コンクリートのリサイクル材料としての微粒微粉体を用いて、良好な充填性を有した充填材として使用し、充填、固化後は所定の材料強度を確保できるようにした地盤埋戻し材に関する。
従来、地盤掘削を行い、地下部分に構造物を構築するような建設工事では、山留め空間に構築された地中構造物の周囲や所定の土被り部分に相当する地盤空間に埋戻し材料による埋戻し作業が必要になってくる。通常、埋戻し材料としては、埋戻しに好適な現場発生土であれば、掘削土を用いたり、必要に応じて良質な購入砂が用いられている。また、地中構造物の周囲地盤に所定の強度が求められるような場合には、少量のセメント系固化材を混合した地盤材料が使われていた。
これらの地盤材料で埋め戻す場合、材料の圧密や狭隘部への充填不良などにより、地盤沈下や亀裂、陥没が発生することもあった。そこで、これらの地盤材料には、地盤としての安定性(強度および剛性)とともに、原地盤との連続性を確保するため、適切な強度(一軸圧縮強さで100〜400kN/m2程度)を持つことが求められている。一般に土砂のみでこの強度を得ることができないため、上述のように、少量のセメント系固化材を粉体で添加する混合撹拌工法が行われることが多い。
しかし、混合撹拌工法の実態を考慮すると、対象土1.0m3に対してセメント系固化材を100kg程度以上添加しないと均質な材料が得られず、その結果、実際には想定強度の5倍以上の過度な強度が発現することも多かった。貧配合のコンクリート(ラップルコンクリート)を流し込んで埋め戻すことも行われるが、その強度は一軸圧縮強さで10MN/m2以上となることが多く、地盤として過大な強度の地盤材料であった。このように、人工的な地盤構築に際し、妥当な材料品質(安定性)と施工品質(充填性など)を両立することは難しく、適切な地盤材料およびその配合技術が望まれていた。
適正な地盤強度を得るため、および材料リサイクルの観点から、使用材料としてコンクリートミキサ車のコンクリート荷室(ドラム)等の設備を洗浄した後に発生するスラッジ水を、所定濃度に濃縮して所定配合で砂、セメントと混合して充填材等として利用する提案もされている(特許文献1)。
また、同様に、材料リサイクルの観点から、解体コンクリートの再生処理過程で発生する5mm以下の微粒分および比表面積が4,000cm2/g以上の微粉末(以下、これらを微粒微粉と記す)を用いた土質改良材がある。微粒微粉は主に硬化したセメント成分からなり、砂や砂利の破砕粉が一部混合している。したがって、微粒微粉の性状としては、含有する材料の性質から吸水性や若干の自己硬化性を有することが確認されており、この性状を利用して所定強度を発揮できる地盤改良材などへの利用が考えられる。
すでに、出願人は、上述の微粒微粉の性状に関して、解体コンクリートから砂や砂利を再生する高度処理のひとつである「加熱すりもみ処理」過程で発生する微粒微粉のうち、特に微粉の性状に着目して開発を進め、単独の微粉(P)またはセメント系固化材(C)を添加した状態で軟弱土の土質改良材として利用することを提案している(特許文献2)。また、微粉とセメントとを一定の配合で混合して水を添加して練り上げたスラリー状の充填材を製造し、擁壁構造の背面や山留め空間内の地中構造物の埋戻し材料として利用することも提案している(特許文献3)。
ところで、上述の特許文献1に記載された発明では、砂、砂利が分離されたスラッジ水を、含有固形分が20〜30%となるように所定の濃度管理手法に沿って調製される。このため、スラッジ水は地盤改良用の充填材の混合水と使用する際、一定の濃度管理を行って取り扱わなければならなかった。一方、スラッジ水をリサイクル材料としてするためには、特許文献1に述べられたような濃縮スラッジ水でなく、清掃後に発生したスラッジ水をそのまま混練り水として用いたいという要望が強い。このような場合、スラッジ水は製造したレディミクストコンクリートの配合の相違によって、その残存成分が様々であるため、スラッジ水を混練り水として使用する場合、なるべくスラッジ水に含有される残存成分に依存されないことが必要である。
また、リサイクル材料としての上述の微粒微粉は、セメント等を含有しているため水硬性が期待できる。このため、特許文献1の砂に代えてセメントまたはセメント系固化材を混合する際に、所定配合で添加すると、所定のフロー値を確保して、良好な材料分離抵抗性が向上する点が確認できた。その際、清掃後の砂、砂利、セメント固形物が残留したままのスラッジ水をそのまま用いても十分な材料分離抵抗性が得られる。
さらに、特許文献1に記載された砂等に代えて、自己硬化性を有する微粒微粉を用いることで、特許文献1で用いた濃縮スラッジ水のように、濃縮されたスラッジ成分が充填材料の強度発現の一部を負担することを定量的に考える必要がなく、セメントやセメント系固化材の配合が少ない配合で、構造物背面等の埋戻し充填時には良好な充填性能を確保し、かつ固化後は所要強度が得られる地盤埋戻し材料を提供できることが期待できる。
そこで、本発明の目的は上述した従来の技術を踏まえ、以上の問題点を解消すべく、解体コンクリートから得られた微粒微粉とセメント、セメント系固化材と、スラッジ水とを所定の配合のもとで製造するようにした地盤埋戻し材を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明はコンクリート廃材から得られた微粒微粉と水硬性の固化材とからなる混合固化材にコンクリートスラッジ水が添加されたスラリー状をなす充填材であって、該充填材を埋戻し対象の地盤空間に充填して固化させることを特徴とする。
このとき、前記固化材は、セメントあるいはセメント系固化材であることが好ましく、前記微粒微粉は、前記コンクリート廃材から再生骨材を製造する際に副産される粒径5mm以下の粉粒状体であることが好ましく、さらに前記コンクリートスラッジ水は、コンクリート打設施設の洗浄排水を用いることが好ましい。
上述の場合、材料配合の点で、前記スラッジ水(W)と、微粒微粉および固化材(P+C)との質量比がW/(P+C)=0.4〜1.0であること、また前記固化材(C)と、微粒微粉および固化材(P+C)との質量比がC/(P+C)<0.2とすることが好ましい。
本発明によれば、微粒微粉とセメント等の固化材を適正に配合し、コンクリートスラッジ水を添加することで、材料分離抵抗性を有し打設時に適正な充填性を有する充填材を得られ、この充填材は固化後、仕様に応じた強度が得られる。また、材料リサイクルの観点から、解体コンクリート微粒微粉とスラッジ水を有効利用することで、各材料の建設廃棄物としての処分量低減効果を期待できる。
以下、本発明の地盤埋戻し材の実施するための最良の形態として、以下の実施例について添付図面を参照して説明する。
まず、本明細書では、「スラッジ水」とは、コンクリートを打設した後、レディミクストコンクリート工場や現場コンクリートプラントに戻ったミキサ車(アジテータ車)のコンクリート搭載ドラム内部等に残存したまだ固まらないコンクリートを洗浄、清掃した際に発生する洗浄排水と定義する。このスラッジ水には未固化セメント成分、砂、砂利が含まれている。従来は、コンクリート工場内の分級設備によってスラッジ水から砂と砂利とが分離除去されていたが、本発明では、そのまま用いることとする。その際、時間の経過とともに固形分が沈殿し、高アルカリ性の上澄み水と分離することが予想されるが、混練り水として用いる場合には、再撹拌して一様な濁水状態として用いることが好ましい。
なお、スラッジ水はアルカリ性を呈するとともに、スラッジ水内に残存するセメントないしはセメント系固化材の存在により、同一の水粉体比、同一のセメント系固化材の添加量で比較すると、材料の固化強度の増加が期待できる。また、使用するスラッジ水は、レディミクストコンクリート工場、現場コンクリート製造プラントなど、所定配合のコンクリートを製造した後のプラント設備、打設後のミキサ車などの洗浄、清掃作業で生じる排水であれば良く、スラッジ水内に残存する砂等の骨材、セメントなどの残留分量については一切問わない。
「微粒微粉」としては、解体コンクリートを用いた再生骨材製造過程で発生する5mm以下の微粒分および比表面積が4,000cm2/g以上の微粉末が混合された粉粒状体で取り扱うことを前提としている。なお、本発明の微粒微粉を得るための解体コンクリートの処理方法としては、上述した「加熱すりもみ方式」の他、「スクリュー磨砕方式」、「偏心ローター方式」からなる公知のコンクリート破砕装置やクラッシャー装置による処理、製造方法を適宜採用することができる。
水硬性の固化材としては、普通ポルトランドセメント、高炉セメント等のセメント単体、あるいは地盤改良材として開発されている各種のセメント系地盤固化材、これらの混合粉体を適宜使用することができる。
[地盤埋戻し材の構成]
上述したスラッジ水を、微粒微粉およびセメント、セメント系固化材からなる混合固化材を所定配合で添加してスラリー状の充填材とした地盤埋戻し材について説明する。
(配合)
各材料の配合量としては、スラッジ水(以下、単に水と記す。)(W)質量と固化材粉体質量(微粒微粉とセメントまたはセメント系固化材の合計:P+C)の水粉体比W/(P+C)=0.5〜1.0とすることが好ましい。同比が0.5以下であると、充填性が悪くなため、狭隘部等への充填が十分行えないおそれがある。同比が1.0以上であると、材料分離が生じたり、充填時に一部が地盤に浸透したりするおそれがある。また、仕様により固化後に一定の強度が求められている場合、強度不足が生じるおそれもある。
上述したスラッジ水を、微粒微粉およびセメント、セメント系固化材からなる混合固化材を所定配合で添加してスラリー状の充填材とした地盤埋戻し材について説明する。
(配合)
各材料の配合量としては、スラッジ水(以下、単に水と記す。)(W)質量と固化材粉体質量(微粒微粉とセメントまたはセメント系固化材の合計:P+C)の水粉体比W/(P+C)=0.5〜1.0とすることが好ましい。同比が0.5以下であると、充填性が悪くなため、狭隘部等への充填が十分行えないおそれがある。同比が1.0以上であると、材料分離が生じたり、充填時に一部が地盤に浸透したりするおそれがある。また、仕様により固化後に一定の強度が求められている場合、強度不足が生じるおそれもある。
粉体に占める主固化材、すなわちセメントまたはセメント系固化材の質量比は、セメント添加率C/(P+C)として表した場合、C/(P+C)<0.2とすることが好ましい。具体的にはスラッジ水1.0m3当たりに換算すると、粉体(微粒微粉)質量1.0〜2.5t、セメントまたはセメント系固化材質量500kg以下とすることが好ましい。このとき得られる試験体の固化強度(一軸圧縮強さqu)は材齢28日で20〜5000kN/m2となる。そして埋戻しの対象となる地盤に求められる強度を評価して埋戻し材としての強度を設定し、所定の配合を決定する。
[品質評価]
上述した配合で混練りされた埋戻し材料の品質の評価は、材料分離抵抗性(ブリーディング試験)、充填および圧送の施工性(フロー値測定:(JHSA313))、固化強度(一軸圧縮強さ試験)についての各試験結果をもとに行うこと好ましい。設定した配合と、適正な性状とが確認できたら、使用材料が大幅に異ならない限り、品質確認のための継続的な試験は行わなくてもよい。
(材料分離抵抗性)
図1は、水微粉比(0.5<W/P<1.0)と地盤埋戻し材料のブリーディング値との関係グラフである。対比のために混練り水にスラッジ水に代えて水道水を用いた場合の試験結果も示した。同図に示したように、たとえば流動化処理土のような一般的な硬化スラリー材料の許容ブリーディング値は数%以下に規定されていることから、混練り水に水道水を使うとW/P=0.5以下として使用しなければならないが、スラッジ水を混練り水として用いれば、W/P=1.0程度でも十分使用できることが確認できる。
(スラッジ水成分)
本試験に使用したスラッジ水は、現場コンクリートプラントで製造された普通コンクリートのミキサ設備の清掃で発生した洗浄水で、その残存成分は主にCaCO3、SiO2であり、これらは当初のセメント成分と同等である。またpH12程度の強アルカリ性であった。このように、スラッジ水成分の量的な残存割合は、コンクリート工場での製造コンクリートの配合や、現場プラントごとに異なるものである。しかし、スラッジ水は、砂、砂利、セメント等固化材の残留組成の変動の影響を考慮せずに使用できるのが本発明の利点である。すなわち、スラッジ水中の残存組成が多少変動しても、吸水性の高い微粉の添加量を変化させることで埋戻し材としての品質の安定を図ることができる。なお、スラッジ水はコンクリート打設設備を洗浄する際に時間の経過に伴って残留固形分が洗い流され、残留分が減少することが予想されるが、その傾向が顕著な場合は、使用予定量のスラッジ水を洗浄直後から所定必要量に達するまで貯留槽に貯留しておき、その貯留されたスラッジ水を再利用することが好ましい。このようにすると残留組成の変動が生じないので、スラッジ水の品質の安定を図ることができる。
上述した配合で混練りされた埋戻し材料の品質の評価は、材料分離抵抗性(ブリーディング試験)、充填および圧送の施工性(フロー値測定:(JHSA313))、固化強度(一軸圧縮強さ試験)についての各試験結果をもとに行うこと好ましい。設定した配合と、適正な性状とが確認できたら、使用材料が大幅に異ならない限り、品質確認のための継続的な試験は行わなくてもよい。
(材料分離抵抗性)
図1は、水微粉比(0.5<W/P<1.0)と地盤埋戻し材料のブリーディング値との関係グラフである。対比のために混練り水にスラッジ水に代えて水道水を用いた場合の試験結果も示した。同図に示したように、たとえば流動化処理土のような一般的な硬化スラリー材料の許容ブリーディング値は数%以下に規定されていることから、混練り水に水道水を使うとW/P=0.5以下として使用しなければならないが、スラッジ水を混練り水として用いれば、W/P=1.0程度でも十分使用できることが確認できる。
(スラッジ水成分)
本試験に使用したスラッジ水は、現場コンクリートプラントで製造された普通コンクリートのミキサ設備の清掃で発生した洗浄水で、その残存成分は主にCaCO3、SiO2であり、これらは当初のセメント成分と同等である。またpH12程度の強アルカリ性であった。このように、スラッジ水成分の量的な残存割合は、コンクリート工場での製造コンクリートの配合や、現場プラントごとに異なるものである。しかし、スラッジ水は、砂、砂利、セメント等固化材の残留組成の変動の影響を考慮せずに使用できるのが本発明の利点である。すなわち、スラッジ水中の残存組成が多少変動しても、吸水性の高い微粉の添加量を変化させることで埋戻し材としての品質の安定を図ることができる。なお、スラッジ水はコンクリート打設設備を洗浄する際に時間の経過に伴って残留固形分が洗い流され、残留分が減少することが予想されるが、その傾向が顕著な場合は、使用予定量のスラッジ水を洗浄直後から所定必要量に達するまで貯留槽に貯留しておき、その貯留されたスラッジ水を再利用することが好ましい。このようにすると残留組成の変動が生じないので、スラッジ水の品質の安定を図ることができる。
図2は、上述と同じ成分のスラッジ水を混練り水として使用した時の水粉体比(W/(P+C))とフロー値(JHSA313)の関係を示したグラフである。同図に示したように、通常、地盤埋戻し材として利用可能な材料のフロー値は100〜500mmの範囲とし、特に狭隘な部位へ充填する場合には300〜400mm程度とすることが望ましい。
表1は、混練り水の違い(水道水、スラッジ水)による地盤埋戻し材料の一軸圧縮強さqu(材齢7日)の比較表である。水粉体比に関わらず、混練り水にスラッジ水を使用すると、水道水の使用に比較して一軸圧縮強さquは増加する。スラッジ水に含有する固化成分の寄与によるものであり、実験によれば強度増加の割合は1.3〜1.5倍見込まれる。
同表から明らかなように、スラッジ水を混練り水として使用することにより、充填性、強度増加を見込め、さらに微粒微粉の添加により、充填性、強度増加に加え、材料分離抵抗性の向上を図ることができることが確認できる。
Claims (6)
- コンクリート廃材から得られた微粒微粉と水硬性の固化材とからなる混合固化材にコンクリートスラッジ水が添加されたスラリー状をなす充填材であって、該充填材を埋戻し対象の地盤空間に充填して固化させることを特徴とする地盤埋戻し材。
- 前記固化材は、セメントあるいはセメント系固化材であることを特徴とする請求項1記載の地盤埋戻し材。
- 前記微粒微粉は、前記コンクリート廃材から再生骨材を製造する際に副産される粒径5mm以下の粉粒状体であることを特徴とする請求項1記載の地盤埋戻し材。
- 前記コンクリートスラッジ水は、コンクリート打設施設の洗浄排水を用いることを特徴とする請求項1に記載の地盤埋戻し材。
- 前記スラッジ水(W)と、微粒微粉および固化材(P+C)との質量比がW/(P+C)=0.4〜1.0であることを特徴とする請求項1に記載の地盤埋戻し材。
- 前記固化材(C)と、微粒微粉および固化材(P+C)との質量比がC/(P+C)<0.2であることを特徴とする請求項1に記載の地盤埋戻し材。
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2005
- 2005-11-14 JP JP2005328329A patent/JP2007131804A/ja active Pending
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