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JP2007131235A - ハイブリッド車両の駆動装置 - Google Patents

ハイブリッド車両の駆動装置 Download PDF

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JP2007131235A
JP2007131235A JP2005327765A JP2005327765A JP2007131235A JP 2007131235 A JP2007131235 A JP 2007131235A JP 2005327765 A JP2005327765 A JP 2005327765A JP 2005327765 A JP2005327765 A JP 2005327765A JP 2007131235 A JP2007131235 A JP 2007131235A
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裕道 久野
Tadashi Yoshida
忠史 吉田
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Toyota Motor Corp
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Abstract

【課題】コンデンサを構成部品として含むハイブリッド車両の駆動装置において、低温時にコンデンサを早期に暖機することである。
【解決手段】コンデンサ収容部分と一体的に構成されたケース104は、シリンダブロック302と接触してエンジンでの発熱を受熱可能なケース部分105、およびウォータジャケット350を流れる冷却水から受熱するためのフィン351〜353を含んで構成される。これにより、低温時には、エンジンの発熱を、冷却水経由あるいは、シリンダブロック302から直接に伝熱することにより、コンデンサ収容部分を含む一体化ケース全体の温度上昇によって、コンデンサを暖機することができる。
【選択図】図13

Description

この発明は、ハイブリッド車両の駆動装置に関し、より特定的には、コンデンサを構成部品として含む車両の駆動装置に関する。
モータを車両駆動力源として備えたハイブリッド車の駆動装置の一種として、充電可能な二次電池からの直流電力をインバータによって交流電力に変換して交流モータ駆動に用いる構成が知られている。たとえば、特開2003−134606号公報(特許文献1)には、主電池の出力を昇降圧コンバータより昇圧してインバータを含む電動機ユニットへ供給する構成が開示されている。
このようなインバータによりモータを駆動する構成では、インバータの入力側(直流リンク側)には、直流電圧を平滑するためのコンデンサ(以下、平滑コンデンサと称する)が配置される。平滑コンデンサの配置により、直流電圧変動が抑制されてモータ制御が安定化される他、電池に急峻な入出力電流が発生することを防止して電池保護を図ることができる。
また、車両搭載部品の小型化はどのようなタイプの車両にとっても共通の課題であるところ、ハイブリッド車両において、インバータおよびモータを1つのケースに収めて一体化することにより駆動装置の小型化を図る技術が、特開2004−343845号公報(特許文献2)に開示されている。
特開2003−134606号公報 特開2004−343845号公報
上記のように、特開2003−134606号公報(特許文献1)のようなインバータによりモータを駆動する構成の駆動装置では、モータ制御動作の安定化および電池保護等のために平滑コンデンサの容量を所定以上確保する必要がある。その一方で、コンデンサ容量は、温度依存性を有し、極低温時には容量が低下することが知られている。
したがって、厳寒期の早朝等、極低温時に車両を発進させる場合には、コンデンサについても早期に暖機して容量を確保する必要がある。特に、このような極低温時にも必要なコンデンサ容量が確保できるように、平滑コンデンサの容量についてマージンを設けて高く設計する必要が生じるため、コンデンサ暖機を速やかに実行できれば、搭載される平滑コンデンサの容量低減に繋がることも期待できる。
しかしながら、特許文献1では、このような平滑コンデンサの暖機の必要性について全く考慮されていない。
また、特許文献2には、モータおよびモータ駆動のための電気回路群(インバータ)を一体化する構成が開示されているが、平滑コンデンサの配置については言及されておらず、このため、このような一体的構造の中で、コンデンサ暖機のためにどのような構造とすべきかについては全く開示されていない。
この発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、この発明の目的は、コンデンサを構成部品として含むハイブリッド車両の駆動装置において、低温時にコンデンサを早期に暖機することである。
この発明によるハイブリッド車両の駆動装置は、回転電機と、動力伝達機構と、パワー制御ユニットと、ケースとを備える。回転電機は、車両駆動力を発生する。動力伝達機構は、内燃機関の発生した動力に回転電機の発生した動力を合成して駆動軸に伝達する。パワー制御ユニットは、回転電機の制御を行なう。ケースは、少なくとも回転電機およびパワー制御ユニットを収容する。パワー制御ユニットは、直流リンク側および交流リンク側の間での電力変換により、交流リンク側に接続された回転電機を駆動するインバータと、インバータの直流リンク側に設けられたコンデンサとを含む。特に、ケースは、内燃機関との間で熱を授受可能に構成された部分と、コンデンサとの間で熱を授受可能に構成された部分とを含むように構成される。
上記ハイブリッド車両の駆動装置によれば、厳寒期の車両始動時等の冷却水、ケースおよびコンデンサとも低温である場合には、内燃機関での発熱をケースに伝熱することにより、内燃機関の発熱をコンデンサ収容のケース部分の温度上昇に用いて、コンデンサをより早期に暖機することが可能となる。
好ましくは、この発明によるハイブリッド車両の駆動装置では、ケースは、内燃機関のシリンダ部と接触する部分を有するように構成される。
上記ハイブリッド車両の駆動装置によれば、内燃機関のシリンダ部と直接接触するケース部分が内燃機関での発熱を受けてケース温度が上昇することにより、コンデンサ収容のケース部分の温度を上昇することができる。これにより、内燃機関の発熱をコンデンサ収容のケース部分の温度上昇に用いて、早期にコンデンサを暖機することが可能となる。
また好ましくは、この発明によるハイブリッド車両の駆動装置では、ケースは、内燃機関の冷却経路を流れる伝熱媒体と接触するフィンを有するように構成される。
上記ハイブリッド車両の駆動装置によれば、内燃機関の冷却経路を流れる伝熱媒体(代表的には冷却水)と接触するフィンにより、内燃機関始動時における内燃機関の冷却水の温度上昇をケースへ伝達できる。これにより、内燃機関の発熱をコンデンサ収容のケース部分の温度上昇に用いて、早期にコンデンサを暖機することができる。
あるいは好ましくは、この発明によるハイブリッド車両の駆動装置では、ケースには、コンデンサを収容するケース部分と接触する伝熱媒体の循環経路を形成する循環機構が設けられる。さらに、循環機構は、循環経路において、伝熱媒体を内燃機関のシリンダ部とさらに接触させる、
上記ハイブリッド車両の駆動装置によれば、伝熱媒体(代表的には冷却水)を介して内燃機関とコンデンサを収容するケース部分との間で熱伝達が可能となる。したがって、内燃機関の発熱をコンデンサ収容のケース部分の温度上昇に用いて、早期にコンデンサを暖機することができる。
さらに好ましくは、この発明によるハイブリッド車両の駆動装置は、内燃機関のクランクシャフトが結合されるダンパをさらに備える。さらに、ケースは、ダンパ、回転電機、および動力伝達機構を収容するように一体的に構成される。
上記ハイブリッド車両の駆動装置によれば、ダンパおよび動力伝達機構をさらに一体的に収容したハイブリッド車両の駆動装置に本発明を適用して、コンデンサを早期に暖機することが可能となる。コンデンサの小型化の要求がさらに高まる、このような駆動装置では、コンデンサを早期に暖機することによって、極低温時対応のためのコンデンサの容量マージン必要分を軽減できる可能性が出てくるので、装置の小型化に寄与することができる。
この発明の他の構成によるハイブリッド車両の駆動装置は、回転電機と、回転電機の制御を行なうパワー制御ユニットとを備える。パワー制御ユニットは、回転電機を駆動するインバータと、電源電圧を昇圧してインバータに与えるための電圧コンバータと、電圧コンバータおよびコンデンサの間に設けられるコンデンサと、ンデンサの温度を検知する温度検知手段と、電圧コンバータおよびインバータの動作を制御する制御装置とを含む。制御装置は、電圧コンバータからインバータへ与えられる直流電圧を、回転電機の運転条件およびコンデンサの温度に応じて設定する。
好ましくは、制御装置は、第1および第2の手段を含む。第1の手段は、温度検知手段により取得されたコンデンサの温度が所定値以上のときに、回転電機の運転条件に応じて直流電圧の指令値を設定する。第2の手段は、温度検知手段により取得されたコンデンサの温度が所定値に達していないときに、第1の設定手段よる指令値よりも低電圧に指令値を設定する。
上記ハイブリッド車両の駆動装置によれば、コンデンサの低温時には、電圧コンバータからインバータへ与えられる直流電圧を相対的に低電圧とすることができる。このため、回転電機(モータ)の同一パワー出力に対して、コンデンサからインバータへの供給電流を大きくすることができる。この結果、コンデンサの低温時にコンデンサの温度上昇を増加させて、コンデンサを早期に暖機することが可能となる。
この発明の他の構成によるハイブリッド車両の駆動装置は、車両駆動力を発生するための回転電機と、回転電機の制御を行なうパワー制御ユニットとを備える。パワー制御ユニットは、直流リンク側および交流リンク側の間での電力変換により交流リンク側に接続された回転電機を駆動するインバータと、インバータの直流リンク側に設けられたコンデンサと、コンデンサの温度を検知する温度検知手段と、電圧コンバータおよびインバータの動作を制御する制御装置とを含む。インバータは、制御装置によるパルス幅変調制御に従った電力用半導体素子のスイッチング動作によって、電圧コンバータからの直流電力を交流電力に変換する。さらに、制御装置は、パルス幅変調制御に用いられる搬送波の周波数を、コンデンサの温度に応じて変化させる。
好ましくは、制御装置は、第1および第2の設定手段を含む。第1の設定手段は、温度検知手段により取得されたコンデンサの温度が所定値以上のときに搬送波の周波数を第1の周波数に設定する。第2の設定手段は、温度検知手段により取得されたコンデンサの温度が所定値に達していないときに搬送波の周波数を第1の周波数より低い第2の周波数に設定する。
上記ハイブリッド車両の駆動装置によれば、コンデンサの低温時には、インバータのパルス幅変調制御に用いられる搬送波の周波数を通常時よりも低周波数に設定することができる。この結果、回転電機(モータ)の同一パワー出力に対して、インバータでの1回のスイッチング動作当りのコンデンサからインバータへの供給電流を大きくすることができる。この結果、コンデンサの低温時にコンデンサの温度上昇を増加させて、コンデンサを早期に暖機することが可能となる。
さらに好ましくは、ハイブリッド車両の駆動装置は、回転電機およびパワー制御ユニットを一体的に収容するケースをさらに備えて構成される。
上記ハイブリッド車両の駆動装置によれば、コンデンサの小型化の要求がさらに高まる、回転電機およびパワー制御ユニットを一体的にケース内に収納する構成の駆動装置において、コンデンサを早期に暖機することができる。このため、極低温時対応のためのコンデンサの容量マージン必要分を軽減できる可能性が出てくるので、装置の小型化に寄与することができる。
この発明のハイブリッド車両の駆動装置によれば、構成部品であるコンデンサを低温時にコンデンサを早期に暖機することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さないものとする。
[実施の形態1]
実施の形態1では、「回転電機」であるモータジェネレータおよび当該モータジェネレータを駆動するインバータを含む電気回路群とが同一ケース内に一体的に収容された、小型化に適したハイブリッド車両の駆動装置におけるコンデンサの暖機構成について説明する。
ただし、本発明の適用は以下に説明するような駆動装置を搭載したハイブリッド車両の限定されるものではなく、コンデンサを構成部品として含む車両の駆動装置であれば、実施の形態1に例示する構造の駆動装置以外にも適用可能である。
[車両の構成要素の説明]
図1は、本発明の実施の形態に係るハイブリッド車両100のモータジェネレータ制御に関する構成を示す回路図である。
図1を参照して、車両100は、駆動装置20と、制御装置30と、電池ユニット40と、図示しないエンジンおよび車輪とを含む。
駆動装置20は、モータジェネレータMG1,MG2と、動力分割機構PSDと、減速機RDと、モータジェネレータMG1,MG2の制御を行なうパワー制御ユニット21とを備える。
動力分割機構PSDは、基本的には、後で図2で示すエンジン4とモータジェネレータMG1,MG2に結合されてこれらの間で動力を分配する機構である。たとえば動力分割機構としてはサンギヤ、プラネタリキャリヤ、リングギヤの3つの回転軸を有する遊星歯車機構を用いることができる。
動力分割機構PSDの2つの回転軸がエンジン4、モータジェネレータMG1の各回転軸にそれぞれ接続され、他の1つの回転軸は減速機RDに接続される。動力分割機構PSDと一体化された減速機RDによってモータジェネレータMG2の回転は減速されて動力分割機構PSDに伝達される。
なお減速機の回転軸は、後に説明するように図示しない減速ギヤやディファレンシャルギヤによって車輪に結合されている。
電池ユニット40には端子41,42が設けられている。また駆動装置20には端子43,44が設けられている。車両100は、さらに、端子41と端子43とを結ぶパワーケーブル6と、端子42と端子44とを結ぶパワーケーブル8とを含む。
電池ユニット40は、バッテリBと、バッテリBの負極と端子42との間に接続されるシステムメインリレーSMR3と、バッテリBの正極と端子41との間に接続されるシステムメインリレーSMR2と、バッテリBの正極と端子41との間に直列に接続される、システムメインリレーSMR1および制限抵抗Rとを含む。システムメインリレーSMR1〜SMR3は、制御装置30から与えられる制御信号SEに応じて導通/非導通状態が制御される。
電池ユニット40は、さらに、バッテリBの端子間の電圧VBを測定する電圧センサ10と、バッテリBに流れる電流IBを検知する電流センサ11とを含む。
バッテリBとしては、ニッケル水素、リチウムイオン等の二次電池や燃料電池などを用いることができる。また、バッテリBに代わる蓄電装置として電気二重層コンデンサ等の大容量キャパシタを用いることもできる。
パワー制御ユニット21は、モータジェネレータMG1,MG2にそれぞれ対応して設けられるインバータ22,14と、インバータ22,14に共通して設けられる昇圧コンバータ12とを含む。
昇圧コンバータ12は、端子43,44間の電圧を昇圧する。インバータ14は、昇圧コンバータ12から与えられる直流電圧を三相交流に変換してモータジェネレータMG2に出力する。
昇圧コンバータ12は、一方端が端子43に接続されるリアクトルL1と、昇圧後の電圧VHを出力する昇圧コンバータ12の出力端子間に直列に接続されるIGBT素子Q1,Q2と、IGBT素子Q1,Q2にそれぞれ並列に接続されるダイオードD1,D2と、平滑コンデンサC2とを含む。平滑コンデンサC2は、昇圧コンバータ12によって昇圧された電圧を平滑化する。
なお、本実施の形態において、IGBT素子は、電力変換のための電力用半導体スイッチング素子(以下、パワー素子とも称する)の代表例として記載される。すなわち、IGBT素子に代えて、他のパワー素子を適用しても良い。
リアクトルL1の他方端はIGBT素子Q1のエミッタおよびIGBT素子Q2のコレクタに接続される。ダイオードD1のカソードはIGBT素子Q1のコレクタと接続され、ダイオードD1のアノードはIGBT素子Q1のエミッタと接続される。ダイオードD2のカソードはIGBT素子Q2のコレクタと接続され、ダイオードD2のアノードはIGBT素子Q2のエミッタと接続される。
インバータ14は車輪を駆動するモータジェネレータMG2に対して昇圧コンバータ12の出力する直流電圧を三相交流に変換して出力する。またインバータ14は、回生制動に伴い、モータジェネレータMG2において発電された電力を昇圧コンバータ12に戻す。このとき昇圧コンバータ12は降圧回路として動作するように制御装置30によって制御される。
インバータ14は、U相アーム15と、V相アーム16と、W相アーム17とを含む。U相アーム15,V相アーム16,およびW相アーム17は、昇圧コンバータ12の出力ライン間に並列に接続される。
U相アーム15は、直列接続されたIGBT素子Q3,Q4と、IGBT素子Q3,Q4とそれぞれ並列に接続されるダイオードD3,D4とを含む。ダイオードD3のカソードはIGBT素子Q3のコレクタと接続され、ダイオードD3のアノードはIGBT素子Q3のエミッタと接続される。ダイオードD4のカソードはIGBT素子Q4のコレクタと接続され、ダイオードD4のアノードはIGBT素子Q4のエミッタと接続される。
V相アーム16は、直列接続されたIGBT素子Q5,Q6と、IGBT素子Q5,Q6とそれぞれ並列に接続されるダイオードD5,D6とを含む。ダイオードD5のカソードはIGBT素子Q5のコレクタと接続され、ダイオードD5のアノードはIGBT素子Q5のエミッタと接続される。ダイオードD6のカソードはIGBT素子Q6のコレクタと接続され、ダイオードD6のアノードはIGBT素子Q6のエミッタと接続される。
W相アーム17は、直列接続されたIGBT素子Q7,Q8と、IGBT素子Q7,Q8とそれぞれ並列に接続されるダイオードD7,D8とを含む。ダイオードD7のカソードはIGBT素子Q7のコレクタと接続され、ダイオードD7のアノードはIGBT素子Q7のエミッタと接続される。ダイオードD8のカソードはIGBT素子Q8のコレクタと接続され、ダイオードD8のアノードはIGBT素子Q8のエミッタと接続される。
各相アームの中間点は、モータジェネレータMG2の各相コイルの各相端に接続されている。すなわち、モータジェネレータMG2は、三相の永久磁石同期モータであり、U,V,W相の3つのコイルは各々一方端が中性点に共に接続されている。そして、U相コイルの他方端がIGBT素子Q3,Q4の接続ノードに接続される。またV相コイルの他方端がIGBT素子Q5,Q6の接続ノードに接続される。またW相コイルの他方端がIGBT素子Q7,Q8の接続ノードに接続される。
電流センサ24は、モータジェネレータMG2に流れる電流をモータ電流値MCRT2として検出し、モータ電流値MCRT2を制御装置30へ出力する。
インバータ22は、昇圧コンバータ12に対してインバータ14と並列的に接続される。インバータ22は、モータジェネレータMG1に対して昇圧コンバータ12の出力する直流電圧を三相交流に変換して出力する。インバータ22は、昇圧コンバータ12から昇圧された電圧を受けてたとえばエンジンを始動させるためにモータジェネレータMG1を駆動する。
また、インバータ22は、エンジンのクランクシャフトから伝達される回転トルクによってモータジェネレータMG1で発電された電力を昇圧コンバータ12に戻す。このとき昇圧コンバータ12は降圧回路として動作するように制御装置30によって制御される。
インバータ22の内部の構成は、図示しないがインバータ14と同様であり、詳細な説明は繰返さない。
このように、インバータ14,22の直流リンク側には平滑コンデンサC2が共通に設けられ、インバータ14,22の交流リンク側にはモータジェネレータMG1,MG2がそれぞれ接続される。インバータ14,22は、直流リンク側および交流リンク側の間での直流/交流電力変換により、モータジェネレータMG1,MG2を駆動する。
制御装置30は、トルク指令値TR1,TR2、モータ回転数MRN1,MRN2、電圧VB,VL,VH、電流IBの各値、モータ電流値MCRT1,MCRT2および起動信号IGONを受ける。
ここで、トルク指令値TR1,モータ回転数MRN1およびモータ電流値MCRT1はモータジェネレータMG1に関するものであり、トルク指令値TR2,モータ回転数MRN2およびモータ電流値MCRT2はモータジェネレータMG2に関するものである。
また、電圧VBはバッテリBの電圧であり、電流IBは、バッテリBに流れる電流である。電圧VLは昇圧コンバータ12の昇圧前電圧であり、電圧VHは昇圧コンバータ12の昇圧後電圧である。
そして制御装置30は、昇圧コンバータ12に対して昇圧指示を行なう制御信号PWU,降圧指示を行なう制御信号PWDおよび動作禁止を指示する信号CSDNを出力する。
さらに、制御装置30は、インバータ14に対して昇圧コンバータ12の出力である直流電圧をモータジェネレータMG2を駆動するための交流電圧に変換する駆動指示PWMI2と、モータジェネレータMG2で発電された交流電圧を直流電圧に変換して昇圧コンバータ12側に戻す回生指示PWMC2とを出力する。
同様に制御装置30は、インバータ22に対して直流電圧をモータジェネレータMG1を駆動するための交流電圧に変換する駆動指示PWMI1と、モータジェネレータMG1で発電された交流電圧を直流電圧に変換して昇圧コンバータ12側に戻す回生指示PWMC1とを出力する。
図2は、図1における動力分割機構PSDおよび減速機RDの詳細を説明するための模式図である。
図2を参照して、この車両駆動装置は、モータジェネレータMG2と、モータジェネレータMG2の回転軸に接続される減速機RDと、減速機RDで減速された回転軸の回転に応じて回転する車軸と、エンジン4と、モータジェネレータMG1と、減速機RDとエンジン4とモータジェネレータMG1との間で動力分配を行なう動力分割機構PSDとを備える。減速機RDは、モータジェネレータMG2から動力分割機構PSDへの減速比が、たとえば2倍以上である。
エンジン4のクランクシャフト50とモータジェネレータMG1のロータ32とモータジェネレータMG2のロータ37とは同じ軸を中心に回転する。
動力分割機構PSDは、図2に示す例ではプラネタリギヤであり、クランクシャフト50に軸中心を貫通された中空のサンギヤ軸に結合されたサンギヤ51と、クランクシャフト50と同軸上を回転可能に支持されているリングギヤ52と、サンギヤ51とリングギヤ52との間に配置され、サンギヤ51の外周を自転しながら公転するピニオンギヤ53と、クランクシャフト50の端部に結合され各ピニオンギヤ53の回転軸を支持するプラネタリキャリヤ54とを含む。
動力分割機構PSDは、サンギヤ51に結合されたサンギヤ軸と、リングギヤ52に結合されたリングギヤケースおよびプラネタリキャリヤ54に結合されたクランクシャフト50の3軸が動力の入出力軸とされる。そしてこの3軸のうちいずれか2軸へ入出力される動力が決定されると、残りの1軸に入出力される動力は他の2軸へ入出力される動力に基づいて定まる。
動力の取出用のカウンタドライブギヤ70がリングギヤケースの外側に設けられ、リングギヤ52と一体的に回転する。カウンタドライブギヤ70は、動力伝達減速ギヤRGに接続されている。そしてカウンタドライブギヤ70と動力伝達減速ギヤRGとの間で動力の伝達がなされる。動力伝達減速ギヤRGはディファレンシャルギヤDEFを駆動する。また、下り坂等では車輪の回転がディファレンシャルギヤDEFに伝達され、動力伝達減速ギヤRGはディファレンシャルギヤDEFによって駆動される。
モータジェネレータMG1は、回転磁界を形成するステータ31と、ステータ31内部に配置され複数個の永久磁石が埋め込まれているロータ32とを含む。ステータ31は、ステータコア33と、ステータコア33に巻回される三相コイル34とを含む。ロータ32は、動力分割機構PSDのサンギヤ51と一体的に回転するサンギヤ軸に結合されている。ステータコア33は、電磁鋼板の薄板を積層して形成されており、図示しないケースに固定されている。
モータジェネレータMG1は、ロータ32に埋め込まれた永久磁石による磁界と三相コイル34によって形成される磁界との相互作用によりロータ32を回転駆動する電動機として動作する。またモータジェネレータMG1は、永久磁石による磁界とロータ32の回転との相互作用により三相コイル34の両端に起電力を生じさせる発電機としても動作する。
モータジェネレータMG2は、回転磁界を形成するステータ36と、ステータ31内部に配置され複数個の永久磁石が埋め込まれたロータ37とを含む。ステータ36は、ステータコア38と、ステータコア38に巻回される三相コイル39とを含む。
ロータ37は、動力分割機構PSDのリングギヤ52と一体的に回転するリングギヤケースに減速機RDによって結合されている。ステータコア38は、たとえば電磁鋼板の薄板を積層して形成されており、図示しないケースに固定されている。
モータジェネレータMG2は、永久磁石による磁界とロータ37の回転との相互作用により三相コイル39の両端に起電力を生じさせる発電機としても動作する。またモータジェネレータMG2は、永久磁石による磁界と三相コイル39によって形成される磁界との相互作用によりロータ37を回転駆動する電動機として動作する。
減速機RDは、プラネタリギヤの回転要素の一つであるプラネタリキャリヤ66が車両駆動装置のケースに固定された構造により減速を行なう。すなわち、減速機RDは、ロータ37のシャフトに結合されたサンギヤ62と、リングギヤ52と一体的に回転するリングギヤ68と、リングギヤ68およびサンギヤ62に噛み合いサンギヤ62の回転をリングギヤ68に伝達するピニオンギヤ64とを含む。
たとえば、サンギヤ62の歯数に対しリングギヤ68の歯数を2倍以上にすることにより、減速比を2倍以上にすることができる。
[一体化構造における構成要素の配置説明]
次に、モータジェネレータを駆動するインバータおよびコンバータを一体的に収容する駆動装置での各構成要素の配置について説明する。
図3は、本発明の実施の形態に係るハイブリッド車両の駆動装置20の外観を示す斜視図であり、図4は、駆動装置20の平面図である。
図3、図4を参照して、駆動装置20のケース101は、ケース104とケース102とに分割可能に構成されている。ケース104は主としてモータジェネレータMG1を収容する部分であり、ケース102は、主としてモータジェネレータMG2およびパワー制御ユニットを収容する部分である。
ケース104にはフランジ106が形成され、ケース102にはフランジ105が形成され、フランジ106とフランジ105とがボルト等で固定されることにより、ケース104とケース102とが連結されて一体化される。なお、以下の説明で明らかになるように、実施の形態1では、車両始動時に一体化されたケース102,104の温度を速やかに上昇させることにより、コンデンサC2を早期に暖機する。このため、ケース102および104の連結については、両者間での熱が授受され易い構造とすることが好ましい。
ケース102にはパワー制御ユニットを組付けるための開口部108が設けられている。さらに、開口部108の内部左側部分(車両進行方向側)にはコンデンサC2が収容され、中央部分にはパワー素子基板120と端子台116,118とが収容され、右側部分にはリアクトルL1が収容されている。なお、この開口部108は車両搭載状態においては蓋により閉じられている。また、コンデンサC2を右側に、リアクトルL1を左側に収容するように入れ換えても良い。
なお、ケース104のうちのコンデンサC2を収容するためのコンデンサC2周囲のケース部分102cは、コンデンサC2との間で伝熱可能な形状で構成される。具体的には、ケース部分102cおよびコンデンサC2の間のギャップがなるべく小さく設計される。あるいは、両者間のギャップに熱伝達体を介在させる構造としても良い。
つまり、リアクトルL1はモータジェネレータMG1およびMG2の回転軸の一方側に配置され、コンデンサC2は当該回転軸の他方側に配置されている。そしてコンデンサC2とリアクトルL1との間の領域にパワー素子基板120が配置されている。パワー素子基板120の下方にはモータジェネレータMG2が配置されている。
パワー素子基板120にはモータジェネレータMG1を制御するインバータ22と、モータジェネレータMG2を制御するインバータ14と、昇圧コンバータのアーム部13とが搭載されている。
インバータ14とインバータ22との間の領域には上下に重ねて配置された電源用バスバーが設けられている。インバータ14のU相アーム15、V相アーム16、W相アーム17からはそれぞれ1本ずつのバスバーがモータジェネレータMG2のステータコイルにつながる端子台116に向けて設けられている。同様にインバータ22からも3本のバスバーがモータジェネレータMG1のステータコイルにつながる端子台118に向けて設けられている。
パワー素子基板120は高温になるためこれを冷却するためにパワー素子基板120の下には通水路が設けられており、通水路への冷却水入口114と冷却水出口112とがケース102に設けられている。なお、この入口や出口などは、たとえば、ケース102に対し、フランジ部106,105を貫通させてユニオンナット等を打ち込んで構成される。
図1の電池ユニット40から端子43,44にパワーケーブルを介して与えられた電圧はリアクトルL1およびアーム部13を含む昇圧コンバータ12によって昇圧されコンデンサC2によって平滑化されてインバータ14および22に供給される。
このように昇圧コンバータ12を用いて電池電圧を昇圧して用いることによりバッテリ電圧を200V程度に低減しつつ、かつモータジェネレータを500Vを超える高電圧で駆動することが可能となり、電力供給を小電流で行なうことにより電気損失を抑制しかつモータの高出力を実現することができる。ただし、昇圧コンバータ12の配置を省略して、電池ユニット40およびインバータ14,22の間(すなわち、インバータ14,22の直流リンク側)に平滑化コンデンサC2のみを配置する構成としても、バッテリ電力を用いたモータジェネレータの駆動制御そのものは可能である点を確認的に記載する。
駆動装置20として、インバータ14,22およびモータジェネレータMG1,MG2に加えて、昇圧コンバータ12も含めて一体化する場合には、比較的大きな部品であるリアクトルL1およびコンデンサC2の配置場所が問題となる。
図5は、駆動装置20を図4のX1方向から見た側面図である。
図5を参照して、ケース102にはモータジェネレータ組付け用および保守用の開口部109が設けられており、この開口部109は車両搭載状態においては蓋により閉じられている。
開口部109の内部にはモータジェネレータMG2が配置されている。U,V,W相のバスバーが接続されるステータ36の内部にロータ37が配置されている。ロータ37の中央部分には中空のシャフト60が見えている。
図5に示すように、ケース102のパワー制御ユニット21を収容する収容室にはモータジェネレータMG2のステータ36が大きく食い込んでいるので、モータジェネレータMG2の一方側にはリアクトルL1が配置され他方側にはコンデンサC2が配置され、大型部品を効率よく収容している。このため、コンパクトなハイブリッド車両の駆動装置が実現できている。
図6は、図4のVI−VI断面における断面図である。
図6を参照して、モータジェネレータMG2の断面およびパワー制御ユニット21を収容する収容室の断面が示されている。
このハイブリッド車両の駆動装置は、同軸上に各ロータの回転中心軸が配置されるモータジェネレータMG2およびMG2の奥に配置されるモータジェネレータMG1と、クランクシャフトの回転中心軸と同軸上にかつモータジェネレータMG1およびMG2の間に配置される動力分割機構と、モータジェネレータMG1,MG2の制御を行なうパワー制御ユニット21とを備える。パワー制御ユニット21は、モータジェネレータMG2の回転中心軸に対し、少なくとも一方側にリアクトルL1が他方側に平滑コンデンサC2が分割配置される。モータジェネレータMG1,MG2、動力分割機構、およびパワー制御ユニット21は、金属製のケースに収容されて一体化されている。
モータジェネレータMG2の潤滑油がパワー素子基板120側に漏れ出ないようにケース102には2つの空間を仕切る仕切り壁部200が設けられている。この仕切り壁部200の上面部分にはパワー素子基板120を冷却するための水路122が設けられ、この水路122は先に説明した冷却水入口114および冷却水出口112と連通している。
なお、この冷却水路122は、コンデンサC2を収容するケース部分102cの少なくとも一部と接触する水路部分122♯を含むように構成される。後程詳細に説明するように、冷却水路122を含むHV系冷却経路と、エンジン4の冷却経路とを統合することにより、車両始動時に、水路部分122♯を流れる冷却水については、エンジン4からの受熱により速やかに温度が上昇される。
なお、端子44からはバスバー128によってマイナス側の電源電位がパワー素子基板120に伝達される。また端子43からは図示しないが他のバスバーによってリアクトルL1に対して正の電源電位が伝達される。また、このパワー制御ユニットを収容する収容室には減速ギヤの回転軸130を支持する部分が食い込んでいる。
モータジェネレータMG2の断面部分について説明すると、ステータ36のコイル39の巻回部分がステータ内周側に見えており、さらにその内周にはロータ37、ケースの隔壁202およびロータの中空シャフト60が見えている。
図7は、図4のX2方向から駆動装置20を見た側面図である。図7において、パワー素子基板の上部にパワー素子を制御する制御基板121が配置されている。
図8は、図4のVIII−VIIIにおける断面図である。
図7、図8を参照して、エンジンのクランクシャフト50はダンパ124に接続され、ダンパ124の出力軸は動力分割機構PSDに接続される。
エンジンが配置される側からはダンパ124、モータジェネレータMG1、動力分割機構PSD、減速機RDおよびモータジェネレータMG2の順で、同一の回転軸上に並んでこれらが配置されている。モータジェネレータMG1のロータ32のシャフトは中空であり、この中空部分にダンパ124からの出力軸が貫通している。
モータジェネレータMG1のロータ32のシャフトは、動力分割機構PSD側にサンギヤ51とスプライン嵌合されている。ダンパ124のシャフトは、プラネタリキャリヤ54と結合されている。プラネタリキャリヤ54は、ピニオンギヤ53の回転軸をダンパ124のシャフトの周りに回転自在に支持する。ピニオンギヤ53は、サンギヤ51およびリングギヤケースの内周に形成された図2のリングギヤ52と噛み合う。
またモータジェネレータMG2のロータシャフト60の減速機RD側は、サンギヤ62とスプライン嵌合されている。減速機RDのプラネタリキャリヤ66は、ケース102の隔壁202に固定されている。プラネタリキャリヤ66は、ピニオンギヤ64の回転軸を支持する。ピニオンギヤ64は、サンギヤ62およびリングギヤケースの内周に形成された図2のリングギヤ68と噛み合う。
図8を見ればわかるように、モータジェネレータMG1およびダンパ124はケース104の図右方向の開口部111から組付けることができ、モータジェネレータMG2はケース102の左方向の開口部109から組付けることができ、減速機RDおよび動力分割機構PSDはフランジ105,106の合わせ面から組付けることができる。
ケース102の開口109は、潤滑油が漏れないように蓋71および液状ガスケット等で密閉される。ケース104の開口111の奥には蓋72が設けられ、MG1を収容する空間は潤滑油が漏れないように液状ガスケット等やオイルシール81によって密閉される。
モータジェネレータMG1のロータ32のシャフトは、蓋72との間に設けられたボールベアリング78および隔壁203との間に設けられたボールベアリング77によって回転自在に支持されている。ロータ32のシャフトは中空であり、ダンパ124のシャフトがその内部を貫通している。ロータ32のシャフトとダンパ124のシャフトの間にはニードルベアリング79,80が設けられている。
モータジェネレータMG2のロータ37のシャフトは、蓋71との間に設けられたボールベアリング73および隔壁202との間に設けられたボールベアリング74によって回転自在に支持されている。
減速機RDのリングギヤと動力分割機構PSDのリングギヤがともに内周に刻まれたリングギヤケースは、隔壁202との間に設けられたボールベアリング75および隔壁203との間に設けられたボールベアリング76によって、回転自在に支持されている。
パワー制御ユニット21を収容する収容室とモータジェネレータMG2を収容する収容室とはケース102の隔壁202で隔てられているが、その一部は端子台116が挿入される貫通孔でつながっている。この端子台116にはモータジェネレータMG2のステータコイルのバスバーが一方側に接続され、インバータ14のバスバーが他方側に接続される。そしてこれらのバスバーを電気的に接続可能なように、端子台116の内部には導電性部材が通されている。つまり端子台116は、モータジェネレータMG2側からの潤滑油分を通さないでかつ電気を通すように構成されている。
同様に、端子台118によって、パワー制御ユニットが収容される空間とモータジェネレータMG1が収容される空間とが、電気を通しかつ潤滑油分を通さない状態で接続されている。
図9は、図4のIX−IXにおける断面を示した断面図である。
図9を参照して、パワー制御ユニット21を収容する収容室においてはリアクトルL1の断面が示されている。リアクトルL1は、たとえば電磁鋼板が積層されたコアにコイルが巻回された構造を有する。
そしてリアクトルL1に近接して、図6で示された減速ギヤRGの回転軸130が配置され、減速ギヤRGのカウンタドリブンギヤ132が中央部に示される。このカウンタドリブンギヤ132は図2のカウンタドライブギヤ70と噛み合う。そしてこのカウンタドリブンギヤ132の同軸上にファイナルドライブギヤ133が設けられ、これに噛み合うファイナルドリブンギヤであるディファレンシャルギヤDEFがその下方に示されている。
図10は、ケースを回転軸方向から投影した場合に、ケース輪郭と内部に収容される部品とを示した図である。
図10において、車両の駆動装置のケース内部に、内燃機関のクランクシャフトが結合されるダンパ124と、ダンパ124の回転軸とその回転軸が重なるように配置されるロータおよびロータの周囲に配置されるステータを有するモータジェネレータMG2と、ダンパ124からのトルクおよびモータジェネレータMG2からのトルクを受ける動力分割機構PSDと、ダンパ124の回転軸と略平行にずれた回転軸を有し、動力分割機構PSDからのトルクが伝達される減速ギヤRGと、ダンパ124の回転軸と略平行にずれた回転軸を有し、減速ギヤRGと噛み合い車輪にトルクを伝達するディファレンシャルギヤDEFと、モータジェネレータMG2の制御を行なう基板120、リアクトルL1およびコンデンサC2を含むパワー制御ユニット21とが示されている。ケースは、ダンパ124、モータジェネレータMG2、減速ギヤRG、ディファレンシャルギヤDEFおよびパワー制御ユニット21を収容する。
図10に示されるケースを回転軸方向から投影した投影図において、車両駆動装置を車両に搭載したときの水平方向の寸法はX3である。そして、寸法X3は、ディファレンシャルギヤDEFを収容するケース部分の外縁とダンパ124を収容するケース104の外縁とで両端が定まっている。したがって、パワー制御ユニットを構成するコンデンサC2、基板120およびリアクトルL1は、寸法X3の内側にあることがわかる。
また図10において、車両駆動装置を車両に搭載したときの鉛直方向(高さ方向)の寸法はY3である。この寸法Y3の下端は、ケースのディファレンシャルギヤDEFを収容する部分の外縁で定まっている。また、寸法Y3の上端は、ケースのダンパ124を収容する部分の外縁で定まっている。したがって、パワー制御ユニット21を構成するコンデンサC2、基板120およびリアクトルL1は、寸法Y3の内側に配置されていることがわかる。
ケースを回転軸方向から投影した場合に、ケースのパワー制御ユニット21を収容する部分の投影部の車両搭載時の高さが、残りのケースの空間、すなわち、ダンパ124、モータジェネレータMG2、減速ギヤRGおよびディファレンシャルギヤDEFを収容する部分の投影部の車両搭載時の高さを少なくとも超えないように、ケースが構成されパワー制御ユニット21が配置される。これにより、車両の重心を低くすることができ、走行安定性を増すことができる。
また、車両搭載時の水平方向において、ケースのパワー制御ユニット21を収容する部分の投影部の位置が残りのケースの空間の投影部の内側に位置するように、ケースが構成されパワー制御ユニット21が配置される。これにより、車両駆動装置の体格を小さくしている。
図11は、ケースを回転軸方向と直交し、かつ鉛直方向に直交する方向から投影した場合に、ケース輪郭と内部に収容される部品とを示した図である。
図11を参照して、車両搭載時の鉛直方向に直交する方向の寸法X3も両端が、ケースのモータジェネレータMG2を収容する部分の蓋の外縁とケースのダンパ124を収容する部分の外縁とで定まり、パワー制御ユニットを構成するコンデンサC2、基板120およびリアクトルL1は、寸法Z3の内側にあることがわかる。
つまり、図10で説明したように鉛直方向(高さ方向)の寸法Y3がダンパ124、モータジェネレータMG2、減速ギヤRGおよびディファレンシャルギヤDEFを収容する部分によって定まる。また、図11において基板120、リアクトルL1およびコンデンサC2を含むパワー制御ユニット21を収容する部分は、回転軸方向と直交し、かつ車両搭載時の鉛直方向に直交する方向から投影した場合に、その投影部が残りのケースの空間、すなわち、ダンパ124、モータジェネレータMG2、減速ギヤRGおよびディファレンシャルギヤDEFを収容する部分の投影部に含まれるように設けられる。
このようにモータジェネレータMG1,MG2、減速機RDおよび動力分割機構PSDに加えて、減速ギヤRGおよびディファレンシャルギヤDEFを配置した状態で、周辺の空きスペースを利用してパワー制御ユニットの構成要素であるパワー素子基板120、リアクトルL1およびコンデンサC2を配置している。これにより、高さを低く抑えつつコンパクトなハイブリッド車両の駆動装置を実現することができる。
そして、図10に示すようにモータジェネレータMG2に対し、片側の空きスペースを使用するだけでなく、両側の空きスペースにリアクトルL1とコンデンサC2とをそれぞれ配置することにより、モータジェネレータMG2に対する重さのバランスが良くなるとともに、さらなる省スペース化を図ることができる。
なお、動力分割機構PSDと、動力分割機構PSDからのトルクが伝達される減速ギヤRGと、減速ギヤRGと噛み合い車輪にトルクを伝達するディファレンシャルギヤDEFとは、全体として、エンジンの発生した動力にモータジェネレータMG1,MG2の発生した動力を合成して駆動軸に伝達する「動力伝達機構」に相当する。
また、減速ギヤRGおよびディファレンシャルギヤDEFはいずれも、動力分割機構PSDからのトルクが伝達される「動力伝達ギヤ」に相当する。しかし、減速ギヤRGおよびディファレンシャルギヤDEFは必須ではなく、本願発明は、減速ギヤRGの無い構成や、ディファレンシャルギヤDEFが駆動装置に一体化されない後輪駆動の構成の車両にも適用が可能である。
さらに、本願発明は、エンジンの加速時等にモータでアシストするようなパラレルハイブリッドにも適用が可能であり、またモータを駆動装置に1つしか一体化させていない構成にも適用が可能である。
[ハイブリッド車両の冷却系構成およびコンデンサ暖機機構]
図12は、本発明の実施の形態1に係るハイブリッド車両の冷却系構成を説明するブロック図である。本実施の形態では、ハイブリッド車両の冷却系における「伝熱媒体」として冷却水が例示される。
図12を参照して、本実施の形態によるハイブリッド車両の冷却系は、エンジン4を適正温度に維持するための伝熱媒体(冷却水)が通過するエンジン冷却経路304と、モータジェネレータMG1,MG2を駆動制御するパワー制御ユニット21を適正温度に維持するための伝熱媒体(冷却水)が通過するHV冷却経路305と、ラジエータ308と、冷却水を供給するウォータポンプ340と、ウォータポンプ340とエンジン冷却経路304およびHV冷却経路305との間に設けられた流量調整機構360と、ウォータポンプ340および流量調整機構360を制御する電子制御ユニット(ECU)380とを含んで構成される。
ウォータポンプ340は、吐出量を可変制御可能な電動機式ポンプで構成され、ECU380の指示に従った吐出量および吐出圧力で冷却水を吐出する。
流量調整機構360は、ウォータポンプ340の吐出側と接続された配管345と、エンジン冷却経路304の上流側およびHV冷却経路305の上流側との間に設けられ、ウォータポンプ340から吐出された冷却水をエンジン冷却経路304およびHV冷却経路305の間で分配する。流量調整機構360による両冷却経路間での分配比率は、ECU380の指示に基づき、0%(全量エンジン冷却経路304へ供給)〜100%(全量HV冷却経路305へ供給)の間で可変に調整可能である。
ECU380は、ハイブリッド車両100の運転状態に応じて、ウォータポンプ340の動作(作動・停止および吐出流量)および流量調整機構360の動作を指示する。このハイブリッド車両100の運転状態には、エンジン4の運転状態(回転数の実績/指令値)やモータジェネレータMG1,MG2の運転状態(トルク指令値、電流指令値・電流検出値等の制御装置30と同等の情報)が含まれ、ECU380にはこれらの運転状態を示す情報が入力される。あるいは、エンジン冷却経路304およびHV冷却経路305に適宜設けられた水温センサ(図示せず)によって検知される冷却水温度を反映して、ウォータポンプ340および流量調整機構360の動作を指示する構成としてもよい。
図20および図21には、流量調整機構360の構成例が示される。
図20には、ロータリ式の流量調整弁を用いた構成例が示される。なお、同様の構成は、特開2002−276364号公報にも開示されている。また、図21には、エンジン冷却経路304およびHV冷却経路305の入側にそれぞれ独立して流量調整弁を設けた構成例が示される。
図20を参照して、流量調整機構360は、モータ362によってそれぞれが回動可能に構成された第1ロータリ弁364および第2ロータリ弁365を含む。
電動式のウォータポンプ340は、ECU380からの吐出量指令値FLに従って冷却水を配管355に出力する。図13に示した流量調整機構360では、ECU380からの流量比率指示Fk1,Fk2に従って、第1ロータリ弁364および第2ロータリ弁365の位置調整が行なわれる。これにより、ウォータポンプ340から配管355に吐出された冷却水が、エンジン冷却経路304およびHV冷却経路305に分配される比率を可変制御することができる。
図21を参照して、流量調整機構360は、エンジン冷却経路304に設けられた流量調整弁366と、HV冷却経路305に設けられた流量調整弁367とを含む。ウォータポンプ340は、図20に示したのと同様に、ECU380からの吐出量指令値FLに従って冷却水を配管355に出力する。これにより、ウォータポンプ340から配管355に吐出された冷却水が、エンジン冷却経路304およびHV冷却経路305に分配される比率を可変制御することができる。
なお、ECU380からの指示に従って、ウォータポンプ340から吐出された冷却水をエンジン冷却経路304およびHV冷却経路305の間で可変比率で分配可能であれば、流量調整機構360は任意に構成可能であり、図20および図21に示した構成例に限定されるものではない。
再び図12を参照して、エンジン冷却経路304は、シリンダブロック302およびシリンダヘッド300に設けられた冷却水路(図示せず)と、シリンダヘッド300を通過した冷却水をラジエータ308をバイパスさせてウォータポンプ340へ戻すためのバイパス流路326とを含む。
さらに、シリンダヘッド300を通過した冷却水をラジエータ308へ導くためのリターン冷却水路320が、エンジン冷却経路304の下流に設けられる。
サーモスタット弁306は、ラジエータ308を通過して放熱された冷却水が供給される冷却水路322および上記バイパス流路326と、ウォータポンプ340の吸入側との間に設けられる。
エンジン4の暖機がまだ不十分である場合には、サーモスタット弁306は、ラジエータ308からの冷却水路322よりもバイパス流路326を選択する。これにより、ウォータポンプ340から吐出された冷却水は、シリンダブロック302、シリンダヘッド300を経由してバイパス流路326からウォータポンプ340の吸入側へ戻る。
なお極寒時においては、スロットルボデー310に設けられた温水通路に、シリンダヘッド300からの温水通路328より温水が供給され、温水通路330を経由してウォータポンプ340の吸入側へこの温水が戻される。またシリンダヘッド300を通過して暖まった冷却水は温水通路328,330によってヒータ312にも導かれる。これにより車室内の暖房にもエンジンからの熱が使用される。
一方エンジンの暖機が十分な状態では、サーモスタット弁306は、バイパス流路326に代えて、ラジエータ308からの冷却水路322を選択する。これにより、ウォータポンプ340から吐出された冷却水は、シリンダブロック302、シリンダヘッド300、リターン冷却水路320、ラジエータ308および冷却水路322の順番で流れ、ウォータポンプ340の吸入側に戻される。
このようなエンジン冷却経路304での冷却水の循環によって、エンジン4のシリンダブロック302は適温に保たれている。特に、極寒でのエンジン始動時には、冷却水温度が適温まで速やかに上昇するように、冷却水経路が選択される。
HV冷却経路305は、インバータを含むパワー制御ユニット21を冷却するための冷却水路122(図6)を含む。すなわち、ウォータポンプ340から供給された冷却水は、図3等に示された冷却水入口114へ導かれ、さらに、冷却水路122の通過後には図3等に示された冷却水出口112を介してリターン冷却水路320へ導かれる。すなわち、リターン冷却水路320は、エンジン冷却経路304およびHV冷却経路305をそれぞれ通過した冷却水がウォータポンプ340の吸入側へ導かれるように構成される。
両冷却経路を統合することにより、極寒でのエンジン始動時には、HV冷却経路305に含まれる水路部分122♯(図6)を流れる冷却水についても、冷却水温度が適温まで速やかに上昇する。
さらに、リターン冷却水路320でのエンジン冷却経路304およびHV冷却経路305の統合個所325よりも後段にラジエータ308を配置する構成とすることにより、エンジン冷却経路304およびHV冷却経路305でラジエータ308を共有することができる。ラジエータの共有化により、ハイブリッド車両の冷却系の小型化が可能となる。なお、ウォータポンプ340の吸入側での温度をより確実に下げるために、エンジン冷却経路304およびHV冷却経路305のそれぞれに独立にラジエータを設ける構成とすることも可能である。
図13は、図12におけるモータジェネレータMG1/MG2とシリンダブロック302との接続部分の断面を示した図である。
図13を参照して、シリンダブロック302およびシリンダヘッド300によって形成された燃焼室の上部には点火プラグ360が設けられる。またシリンダ内をピストン358が上下に往復運動を行ないピストンの上下運動はコンロッド356によってクランクシャフト354に伝達され回転運動に変化される。クランクシャフト354はその端部がダンパ124に結合される。
ピストン358が上下運動を行なうシリンダの脇には、ウォータジャケット350が設けられている。このウォータジャケット350は、図12におけるエンジン冷却経路304中のシリンダブロック302およびシリンダヘッド300に設けられた冷却水路に含まれる。ウォータジャケット350には冷却水が通水されピストンが上下動する燃焼室部分のシリンダを冷却している。
モータジェネレータMG1のケース104とシリンダブロック302との結合部分にはフィン351〜353が設けられており、このフィン351〜353はシリンダブロック302の外壁を貫通しウォータジャケット350に差し込まれている。フィン351〜353の差込部分周辺は、Oリングや液状ガスケット等のシール部材によって冷却水の漏れが防止される。
これにより、ケース104およびウォータジャケット350の内部を流れる冷却水(すなわち、エンジン冷却経路304の冷却水)との間でフィン351〜353を介して熱を授受することができる。したがって、厳寒期の車両始動時等の冷却水およびケースとも低温である場合には、エンジン始動による発熱を冷却水およびフィン351〜353を介した伝熱により、一体化されたケース102,104の温度上昇に用いることができる。
また、ケース104には、エンジン4のシリンダ部分、代表的にはシリンダブロック302と接触することにより、エンジンによるシリンダ部分での温度上昇を直接的に受熱可能なケース部分104eが設けられている。ケース部分102およびシリンダブロック302の接触面についても、両者間のギャップに熱伝達体を介在させる等、熱が授受され易い構造とすることが好ましい。
これにより、冷却水およびケースとも低温である場合には、エンジンによる発熱を、シリンダブロック302を介した伝熱により、一体化されたケース102,104の温度上昇に用いることができる。
以上説明したように、厳寒期の車両始動時等の冷却水およびケースとも低温である場合には、エンジンの発熱を、冷却水経由あるいはシリンダブロック302から直接に、一体化されたケース102,104の温度上昇に用いることができる。この結果、コンデンサを収容するケース部分102cを含む一体化ケース全体の温度上昇により、コンデンサを暖機することができる。
また、図12で説明したように、エンジン冷却経路304およびHV冷却経路305を統合した冷却系構成とすることにより、コンデンサが低温となる厳寒期の車両始動時にも、HV冷却経路305中の冷却水、すなわち、水路部分122♯(図6)を流れてケース部分102cと接触する冷却水についても、冷却水温が適温まで速やかに上昇する。これにより、冷却水からの受熱によって、コンデンサを収容するケース部分102cが温度上昇することにより、コンデンサを暖機することができる。
以上のように、実施の形態1によるハイブリッド車両の駆動装置では、厳寒期の車両始動時等の冷却水、ケースおよびコンデンサとも低温である場合には、エンジン4での発熱を冷却水経由あるいは、シリンダブロック302から直接に、一体化されたケースに伝熱することにより、コンデンサ収容のケース部分102cの温度を早期に上昇させて、コンデンサC2をより早期に暖機することが可能となる。
また、図5,図6等に示すように、本発明の実施の形態1による一体化構造の駆動装置では、モータジェネレータMG2およびコンデンサC2は、ケース102を介して近接して配置される。したがって、車両始動時に、モータジェネレータMG2の運転に伴う発熱がコンデンサ収容のケース部分102cに伝達され易い構造となっている。このため、モータジェネレータMG2での発熱についても効率的に利用して、コンデンサを暖機することができる。
なお、車両運転継続により、モータジェネレータMG1,MG2およびパワー制御ユニット21(特に、パワー素子基板120)での発熱が増大した場合には、各冷却経路での一体化により熱容量が大きく、かつ、フィン351〜353を介して冷却水により冷却されるケース102,104を、車両始動時とは反対に放熱先として用いることができる。これにより、ケース102,104に収容された各部品の過高温を防止できる。
[実施の形態2]
実施の形態2では、図1に示した電気回路構成を有するハイブリッド車両駆動装置において、インバータおよびコンバータ制御によって始動時にコンデンサを早期に暖機するための構成について説明する。すなわち、実施の形態2に係る構成では、実施の形態1で示した一体化構造は必須ではない。
図14は、実施の形態2に係るハイブリッド車両の制御装置におけるコンデンサ暖機制御構成を説明するブロック図である。
図14を参照して、既に説明したように、昇圧コンバータ12の出力する直流電圧VHは、平滑コンデンサC2で蓄えられ、かつ平滑されて、インバータ14,22によりモータジェネレータMG1,MG2の駆動に用いられる。
制御装置30は、直流電圧VHの電圧指令値VH♯を生成する電圧指令生成部30aと、直流電圧VHが電圧指令値VH♯に追従するように昇圧コンバータ12の制御信号PWU,PWDを生成するデューティ制御部30bとを含む。制御信号PWU,PWDにより、昇圧コンバータ12中のIGBT素子Q1,Q2のデューティ(オン/オフ期間比)が制御される。
デューティ制御部30bは、たとえば、電圧センサ10によって検出されるバッテリ電圧VBと電圧指令値VH♯の比(VH♯/VB)を反映した制御と、直流電圧VHのセンサ検出値(電圧センサCVH)および電圧指令値VH♯の偏差に応じたフィードバック制御とに基づき制御信号PWU,PWDを生成する。
モータジェネレータMG1,MG2では、回転数や出力トルクが増加すると誘起電圧が高くなり、その必要電圧が高くなる。直流電圧VHは、このモータ必要電圧(誘起電圧)よりも高く設定する必要がある。このような点を考慮して、電圧指令生成部30aは、基本的には、モータジェネレータMG1,MG2の条件(トルク・回転数等)に応じて、インバータ14,22へ入力される直流電圧VHの電圧指令値VH♯を生成する。
さらに、実施の形態2では、電圧指令生成部30aは、モータジェネレータMG1,MG2の条件に加えて、コンデンサC2の温度(コンデンサ温度)を考慮して電圧指令値VH♯を生成する。
図15には、図14に示した電圧指令生成部30aによる電圧指令値VH♯の設定を説明するフローチャートである。
図15を参照して、制御装置30は、ステップS100では、電圧指令生成部30aによって、モータジェネレータMG1,MG2の運転条件(モータ条件)に応じて電圧指令値VH♯を生成する。具体的には、モータジェネレータMG1、MG2の回転数および出力トルクに応じて、モータを高効率に運転できるように、直流電圧VH、すなわちモータジェネレータ駆動用の交流電圧振幅の電圧指令値VH♯が決定される。
さらに、制御装置30は、ステップS110により、コンデンサ温度Tcを取得する。コンデンサ温度Tcは、平滑コンデンサC2に直接温度センサを設置することによっても検知可能であるし、外気温および/またはバッテリ電流IBの積算値等によって推定することも可能である。
制御装置30は、ステップS120では、ステップS110で取得されたコンデンサ温度Tcと所定の判定温度Tjとの比較に基づき、コンデンサ暖機が必要であるかどうかを判定する。
制御装置30は、コンデンサ温度が判定温度に達しておらず(Tc<Tj)でありコンデンサ暖機が必要であると判定される場合(ステップS120におけるYES判定時)には、電圧指令生成部30aにより電圧指令値VH♯を通常時(ステップS100による設定時)よりも低く設定して、デューティ制御部30bへ送出する(ステップS130)。
一方、コンデンサ温度が判定温度以上でありコンデンサ暖機が必要ない場合(ステップS120におけるNO判定時)には、制御装置30は、ステップS120をスキップして、ステップS100で電圧指令生成部30aが設定した電圧指令値VH♯をデューティ制御部30bへ送出する。
このような構成とすることにより、コンデンサ暖機の必要時には、直流電圧VHを相対的に下げることによって、モータジェネレータMG1,MG2による同一パワー出力に対する、平滑コンデンサC2からインバータ14,22への供給電流を大きくすることができる。これにより、コンデンサ低温時には、モータジェネレータMG1,MG2での同一パワー出力に対する平滑コンデンサC2の温度上昇を増加させて、平滑コンデンサC2を早期に暖機することが可能となる。
[実施の形態2の変形例]
実施の形態2の変形例では、インバータ制御によってコンデンサ暖機を図る方式について説明する。
図16は、各インバータ14,22の制御構成を説明するブロック図である。
図16を参照して、電流制御ブロック30cは、電流指令生成部410と、座標変換部420,450と、回転数演算部430と、PI演算部440と、PWM信号生成部460とを含む。なお、電流制御ブロック30cは、制御装置30に予め記憶されたプログラムを所定周期で実行することにより実現される制御装置30の機能ブロックを示すものである。電流制御ブロック30cは、各モータジェネレータMG1,MG2に対応して設けられる。
電流指令生成部410は、予め作成されたテーブル等に従って、モータジェネレータMG1(MG2)のトルク指令値TR1(TR2)に応じて、電流指令値IdcomおよびIqcomを生成する。
座標変換部420は、モータジェネレータMG1(MG2)に設けられた回転角センサ428によって検出されるモータジェネレータMG1(MG2)の回転角θを用いた座標変換(3相→2相)により、電流センサ24によって検出されたモータ電流MCRT(iv,iw,iu=−(iv+iw))を基に、d軸電流idおよびq軸電流iqを算出する。回転数演算部430は、回転角センサ428からの出力に基づいて、モータジェネレータMG1(MG2)の回転数Nmtを演算する。
PI演算部440には、d軸電流の指令値に対する偏差ΔId(ΔId=Idcom−id)およびq軸電流の指令値に対する偏差ΔIq(ΔIq=Iqcom−iq)が入力される。PI演算部440は、d軸電流偏差ΔIdおよびq軸電流偏差ΔIqのそれぞれについて、所定ゲインによるPI演算を行なって制御偏差を求め、この制御偏差に応じたd軸電圧指令値Vd♯およびq軸電圧指令値Vq♯を生成する。
座標変換部450は、モータジェネレータMG1(MG2)の回転角θを用いた座標変換(2相→3相)によって、d軸電圧指令値Vd♯およびq軸電圧指令値Vq♯をU相、V相、W相の各相電圧指令値Vu,Vv,Vwに変換する。なお、d軸,q軸電圧指令値Vd♯,Vq♯から各相電圧指令値Vu,Vv,Vwへの変換には、直流電圧VHも反映される。
PWM信号生成部460は、各相における電圧指令値Vu,Vv,Vwと所定の搬送波との比較に基づいて、図1に示した、インバータ14(22)の制御信号PWMI1,PWMC1(PWMI2,PWMC2)を生成する。
インバータ14(22)が、電流制御ブロック30cによって生成された制御信号PWMI1,PWMC1(PWMI2,PWMC2)に従ってスイッチング制御されることにより、モータジェネレータMG1(MG2)に対してトルク指令値TR1(TR2)に従ったトルクを出力するための交流電圧が印加される。
図17には、PWM信号生成部460でのパルス幅変調(PWM)制御を説明する波形図が示される。
PWM制御は、一定周期ごとに方形波出力電圧のパルス幅を変化させることによって、周期ごとの出力電圧平均値を変化させる制御方式である。一般的には、一定周期を搬送波の周期に対応する複数のスイッチング周期に分割し、スイチング周期ごとに電力用半導体スイッチング素子のオン・オフ制御を行なうことにより、上記のパルス幅変調制御が行なわれる。
図17を参照して、PWM信号生成部460では、座標変換部450からの各相電圧指令値Vu,Vv,Vwに従う信号波480が、所定周波数の搬送波470と比較される。そして、搬送波電圧が信号波電圧よりも高い区間と、信号波電圧が搬送波電圧よりも高い区間との間で、インバータ14(22)の各相アームでのIGBT素子のオン・オフを切換えることにより、各相のインバータ出力電圧として、方形波電圧の集合としての交流電圧をモータジェネレータMG1(MG2)へ供給することができる。この交流電圧の基本波成分は、図17中に点線で示される。すなわち、搬送波470の周波数は、インバータ14(22)のスイッチング周波数に相当する。
ここで、実施の形態の変形例2によるコンデンサ暖機制御のため、各インバータ14(22)でのPWM制御に用いられる搬送波470は、コンデンサ暖機時とそれ以外の通常時とで異なる周波数に設定される。
図18には、図16に示したインバータ制御構成での搬送波発生機構の一例を説明するブロック図が示される。
図18を参照して、搬送波発生機構500は、周波数faの搬送波を生成する発振器510と、周波数fb(fb<fa)の搬送波を生成する発振器520と、切換スイッチ530とを含む。切換スイッチ530は、コンデンサ暖機信号に応じて、発振器510,520の一方をPWM信号生成部460と接続する。
コンデンサ暖機信号がオフされる通常時には、切換スイッチ530はI側に制御されて、周波数faの搬送波480がPWM信号生成部460へ送出される。
これに対して、コンデンサ暖機信号のオン時には、切換スイッチ530はII側に制御されて、低周波数(周波数fb)の搬送波480がPWM信号生成部460へ送出される。
図19は、実施の形態2の変形例に従う、ハイブリッド車両の制御装置におけるコンデンサ暖機制御を説明するフローチャートである。
図19を参照して、制御装置30は、ステップS200によりコンデンサ温度Tcを取得し、さらに、ステップS210によりコンデンサ温度Tcに基づきコンデンサ暖機が必要であるかどうかを判定する。なお、ステップS200およびS210での処理は、図15のステップS100およびS110での処理と同様であるので、詳細な説明は繰り返さない。
さらに、制御装置30は、コンデンサ暖機が不要である場合(ステップS210でのNO判定時)には、ステップS230により、コンデンサ暖機信号をオフして、通常周波数faのPWM搬送波を使用してモータ制御を実行する。この通常周波数faは、スイッチング損失や騒音発生等を考慮して定められる。
一方、コンデンサ暖機が必要である場合(ステップS210におけるYES判定時)には、制御装置30は、ステップS220により、コンデンサ暖機信号をオンして、通常時よりも低周波数のPWM搬送波(周波数fb)のPWM搬送波を使用してモータ制御を実行する。
PWM搬送波の周波数を低下させることにより、モータジェネレータMG1,MG2による同一パワー出力に対して、インバータ14(22)での1回のスイッチング動作当りの平滑コンデンサC2からインバータ14(22)への供給電流を大きくすることができる。これにより、コンデンサ低温時には、モータジェネレータMG1,MG2での同一パワー出力に対する平滑コンデンサC2の温度上昇を増加させて、平滑コンデンサC2を早期に暖機することが可能となる。
なお、本実施の形態では、モータジェネレータMG1,MG2の制御を行なうパワー制御ユニット21が昇圧コンバータを含む構成例を示したが、昇圧コンバータの配置を省略して電池ユニット40(バッテリB)の出力電圧がインバータ14,22に与えられる構成としても、インバータの入力電圧(モータジェネレータの力行動作時)および出力電圧(モータジェネレータの回生動作時)の平滑化のためならびに電池保護のために、インバータの直流リンク側に平滑コンデンサC2を配置する必要がある。したがって、昇圧コンバータの配置が省略された構成においても、本願発明の適用が可能である点を確認的に記載する。詳細には、これまで説明した実施の形態のうち、昇圧コンバータの制御に係る実施の形態2を除く、実施の形態1および実施の形態2の変形例については、昇圧コンバータの配置が省略された構成に適用可能である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の実施の形態に係るハイブリッド車両100のモータジェネレータ制御に関する構成を示す回路図である。 図1における動力分割機構PSDおよび減速機RDの詳細を説明するための模式図である。 本発明の実施の形態1に係るハイブリッド車両の駆動装置20の外観を示す斜視図である。 駆動装置20の平面図である。 駆動装置20を図4のX1方向から見た側面図である。 図4のVI−VI断面における断面図である。 図4のX2方向から駆動装置20を見た側面図である。 図4のVIII−VIIIにおける断面図である。 図4のIX−IXにおける断面を示した断面図である。 ケースを回転軸方向から投影した場合に、ケース輪郭と内部に収容される部品とを示した図である。 ケースを回転軸方向と直交し、かつ鉛直方向に直交する方向から投影した場合に、ケース輪郭と内部に収容される部品とを示した図である。 本発明の実施の形態1に係るハイブリッド車両の冷却系構成を説明するブロック図である。 図12におけるモータジェネレータおよびシリンダブロックの接続部分の断面を示した図である。 実施の形態2に係るハイブリッド車両の制御装置におけるコンデンサ暖機制御構成を説明するブロック図である。 図14に示した電圧指令生成部による電圧指令値の設定を説明するフローチャートである。 図1に示した各インバータの制御構成を説明するブロック図である。 図16に示したインバータ制御構成でのパルス幅変調(PWM)制御を説明する波形図である。 図16に示したインバータ制御構成での搬送波発生機構の一例を説明するブロック図である。 実施の形態2の変形例に従う、ハイブリッド車両の制御装置におけるコンデンサ暖機制御を説明するフローチャートである。 図12に示した流量調整機構の第1の構成例を説明する図である。 図12に示した流量調整機構の第2の構成例を説明する図である。
符号の説明
4 エンジン、6,8 パワーケーブル、10 電圧センサ、11 電流センサ、12 昇圧コンバータ、13 アーム部、14,22 インバータ、15 U相アーム、16 V相アーム、17 W相アーム、20 駆動装置、21 パワー制御ユニット、24 電流センサ、30 制御装置、30a 電圧指令値生成部、30b デューティ制御部、30c 電流制御ブロック、31,36 ステータ、32,37 ロータ、33,38 ステータコア、34,39 コイル、40 電池ユニット、41〜44 端子、50 クランクシャフト、51,62 サンギヤ、52,68 リングギヤ、53,64 ピニオンギヤ、54,66 プラネタリキャリヤ、60 シャフト、70 カウンタドライブギヤ、71,72 蓋、73〜78 ボールベアリング、79,80 ニードルベアリング、81 オイルシール、100 ハイブリッド車両、102,104 ケース、102c ケース部分(コンデンサ収容部)、102e ケース部分(エンジン接触部分)、105,106 フランジ、108,109,111 開口部、112 冷却水出口、114 冷却水入口、116,118 端子台、120 パワー素子基板、122 冷却水路、122♯ 水路部分(コンデンサ収容部)、124 ダンパ、128 バスバー、130 回転軸、132 カウンタドリブンギヤ、133 ファイナルドライブギヤ、200 壁部、202 隔壁、304 エンジン冷却経路、305 HV冷却経路、306 サーモスタット弁、308 ラジエータ、310 スロットルボデー、312 ヒータ、320 リターン冷却水路、325 統合個所(冷却経路)、326 バイパス流路、328,330 温水通路、340 ウォータポンプ、350 ウォータジャケット、351〜353 フィン、354 クランクシャフト、356 コンロッド、358 ピストン、360 点火プラグ、410 電流指令生成部、420,450 座標変換部、428 回転角センサ、430 回転数演算部、440 PI演算部、460 PWM信号生成部、470 搬送波、480 信号波、500 搬送波発生機構、510,520 発振器、530 切換スイッチ、B バッテリ、C2 コンデンサ、CVH 電圧センサ、D1〜D8 ダイオード、DEF ディファレンシャルギヤ、L1 リアクトル、MG1,MG2 モータジェネレータ、PSD 動力分割機構、Q1〜Q8 IGBT素子、R 制限抵抗、RD 減速機、RG 減速ギヤ、SMR1〜SMR3 システムメインリレーTc コンデンサ温度、Tj 判定温度、VH 直流電圧(インバータ入力電圧)、VH♯ 電圧指令値、ΔId d軸電流偏差、ΔIq q軸電流偏差。

Claims (10)

  1. 車両駆動力を発生するための回転電機と、
    内燃機関の発生した動力に前記回転電機の発生した動力を合成して駆動軸に伝達する動力伝達機構と、
    前記回転電機の制御を行なうパワー制御ユニットと、
    少なくとも前記回転電機および前記パワー制御ユニットを収容するケースとを備え、
    前記パワー制御ユニットは、
    直流リンク側および交流リンク側の間での電力変換により、前記交流リンク側に接続された前記回転電機を駆動するインバータと、
    前記インバータの直流リンク側に設けられたコンデンサとを含み、
    前記ケースは、前記内燃機関との間で熱を授受可能に構成された部分と、前記コンデンサとの間で熱を授受可能に構成された部分とを含む、ハイブリッド車両の駆動装置。
  2. 前記ケースは、前記内燃機関のシリンダ部と接触する部分を有する、請求項1記載のハイブリッド車両の駆動装置。
  3. 前記ケースは、前記内燃機関の冷却経路を流れる伝熱媒体と接触するフィンを有する、請求項1記載のハイブリッド車両の駆動装置。
  4. 前記ケースには、前記コンデンサを収容するケース部分と接触する伝熱媒体の循環経路を形成する循環機構が設けられ、
    前記循環機構は、前記循環経路において、前記伝熱媒体を前記内燃機関のシリンダ部とさらに接触させる、請求項1記載のハイブリッド車両の駆動装置。
  5. 前記駆動装置は、
    前記内燃機関のクランクシャフトが結合されるダンパをさらに備え、
    前記ケースは、前記ダンパ、前記回転電機、前記および前記動力伝達機構を収容するように一体的に構成される、請求項1〜4のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の駆動装置。
  6. 車両駆動力を発生するための回転電機と、
    前記回転電機の制御を行なうパワー制御ユニットとを備え、
    前記パワー制御ユニットは、
    前記回転電機を駆動するインバータと、
    電源電圧を昇圧して前記インバータに与えるための電圧コンバータと、
    前記電圧コンバータおよび前記コンデンサの間に設けられるコンデンサと、
    前記コンデンサの温度を検知する温度検知手段と、
    前記電圧コンバータおよび前記インバータの動作を制御する制御装置とを含み、
    前記制御装置は、前記電圧コンバータから前記インバータへ与えられる直流電圧を、前記回転電機の運転条件および前記コンデンサの温度に応じて設定する、ハイブリッド車両の駆動装置。
  7. 前記制御装置は、
    前記前記温度検知手段により取得された前記コンデンサの温度が所定値以上のときに、前記回転電機の運転条件に応じて前記直流電圧の指令値を設定する手段と、
    前記温度検知手段により取得された前記コンデンサの温度が前記所定値に達していないときに、前記第1の設定手段よる前記指令値よりも低電圧に前記指令値を設定する手段とを含む、請求項6記載のハイブリッド車両の駆動装置。
  8. 車両駆動力を発生するための回転電機と、
    前記回転電機の制御を行なうパワー制御ユニットとを備え、
    前記パワー制御ユニットは、
    直流リンク側および交流リンク側の間での電力変換により、前記交流リンク側に接続された前記回転電機を駆動するインバータと、
    前記インバータの直流リンク側に設けられたコンデンサと、
    前記コンデンサの温度を検知する温度検知手段と、
    前記インバータの動作を制御する制御装置とを含み、
    前記インバータは、前記制御装置によるパルス幅変調制御に従った電力用半導体素子のスイッチング動作によって、前記コンデンサからの直流電力を交流電力に変換し、
    前記制御装置は、前記パルス幅変調制御に用いられる搬送波の周波数を、前記コンデンサの温度に応じて変化させる、ハイブリッド車両の駆動装置。
  9. 前記制御装置は、
    前記前記温度検知手段により取得された前記コンデンサの温度が所定値以上のときに前記搬送波の周波数を第1の周波数に設定する第1の設定手段と、
    前記前記温度検知手段により取得された前記コンデンサの温度が前記所定値に達していないときに前記搬送波の周波数を前記第1の周波数より低い第2の周波数に設定する第2の設定手段手段とを含む、請求項8記載のハイブリッド車両の駆動装置。
  10. 前記回転電機および前記パワー制御ユニットを一体的に収容するケースをさらに備える、請求項6〜9のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の駆動装置。
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