JP2007124952A - 核酸精製方法及び核酸精製器具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】核酸含有試料にカオトロピック剤を混合し、所定の孔径の通液孔を有する第1のシリカ含有固相に前記混合液を2回以上通液させ、次いで、前記第1のシリカ含有固相よりも小さい孔径の通液孔を有する第2のシリカ含有固相に前記混合液を2回以上通液させ、そして、前記第1及び第2のシリカ含有固相に結合した核酸をそれぞれ回収することにより、前記核酸含有試料より長鎖核酸と短鎖核酸を分離・精製する。
【選択図】なし
Description
前記混合液を所定の孔径の通液孔を有する第1のシリカ含有固相に2回以上通液させ、次いで、前記第1のシリカ含有固相よりも小さい孔径の通液孔を有する第2のシリカ含有固相に前記混合液を2回以上通液させ、そして、前記第1及び第2のシリカ含有固相に結合した核酸をそれぞれ回収することを特徴とする核酸精製方法に関する。
本発明は、核酸をその鎖長に応じて(長鎖核酸と短鎖核酸に)効率よく分離し、精製する方法に関する。本発明では、まず精製対象である核酸含有試料をカオトロピック剤と混合し、その混合液を、長鎖核酸との接触効率が高く、且つ短鎖核酸との接触効率が低い孔径の通液孔を有する第1のシリカ含有固相に少なくとも2回以上通液し、長鎖核酸のみを効率的に第1のシリカ含有固相に結合させる。次いで、第1のシリカ含有固相を通過させた混合液を、短鎖核酸との接触効率が高い孔径の通液孔を有する第2のシリカ含有固相に少なくとも2回以上通液し、短鎖核酸を第2のシリカ含有固相に結合させる。こうして第1及び第2のシリカ含有固相に結合した核酸は、それぞれ溶出液で回収することにより、長鎖核酸と短鎖核酸に効率よく分離し、精製することができる。
1.試料
1.1長鎖核酸
ゲノムDNA(ヒト血液からのQIAamp DNA Blood Mini Kit*による精製物)
*QIAamp DNA Blood Mini Kit (QIAGEN製:50kb(主として20-30kb)までのゲノムDNAが精製される)
1.2短鎖核酸
pBR322 DNA(鎖長:4361bp)(MBI Fermentas製)
1.3生物材料
ヒト血液(抗凝固剤EDTA-2Na添加)
2.1赤血球溶解液
155mM NH4Cl
10mM KHCO3
0.1mM EDTA・2Na
2.2カオトロピック溶液A
6M グアニジン塩酸塩
50mM MES
2.3カオトロピック溶液B
4M チオシアン酸グアニジン塩
25mM クエン酸ナトリウム (pH 7.5)
1% βメルカプトエタノール
2.4有機溶媒A
エタノール
2.5有機溶媒B
40%(v/v)ジエチレングリコールジメチルエーテル水溶液
2.6洗浄液
80%(v/v)エタノール水溶液
2.7溶出液A
TE(pH 8.0)(和光純薬製)
2.8溶出液B
ヌクレアーゼフリーH2O(和光純薬製)
3.1シリカ含有固相
ガラス繊維紙(Standard14)(孔径:約23μm)(Whatman社製)
3.2シリカ含有固相保持部材
ポリプロピレン粒子焼結板(孔径:約100μm)(厚さ1.5mm)
3.3精製器具
図1に、長鎖精製器具の構成例を示す。核酸精製器具10は、分注用チップのような外形であり、混合液を吸入及び排出するための通液口12と、チップ内部を減圧及び加圧するための加減圧機器等を接続する接続口11を備え、その内部にシリカ含有固相13を保有する。シリカ含有固相の両側には、円状のシリカ含有固相保持部材14が配置されている。これらのシリカ含有固相保持部材も液体及び気体の流通が自由な多数の小孔が形成されている。本器具は、通液口の先端部を液体に接続させた状態において、接続口に設置した加減圧機器により中空内部を減圧あるいは加圧することにより、通液口から液体を吸引あるいは排出し、シリカ含有固相に液体を通液させることができる。また、加減圧機器を設置していない状態では、接続口から液体を投入することができ、液体を投入した後に加減圧機器を接続して、通液口から液体を排出することも可能である。本実施例では直径4.2mmの円状に切り抜いたシリカ含有固相1枚を、直径4.1mmのシリカ含有固相保持部材2枚で挟んだ状態で、内径4mmの中空チップ内部に圧入したものを使用した。
4.1シリカ含有固相
ガラス繊維紙(GF/D)(孔径:約2.7μm)(Whatman社製)
4.2シリカ含有固相保持部材
ポリプロピレン粒子焼結板(孔径:約100μm)(厚さ1.5mm)
4.3 精製器具
長鎖核酸精製器具と同様の構造を有する。
1.核酸溶液からの核酸精製方法
(1) 核酸試料1μgを含むTE溶液10μlを調製する。
(2) カオトロピック溶液A 0.3mlを添加し、混合する。
(3) 有機溶媒A 0.3mlを添加し、混合する。
(4) 核酸精製器具の接続口にシリンジを装着して、核酸精製器具の通液口から混合液を所定回数、吸引・吐出する。但し、通液回数を1回とする場合は、シリンジを装着する前に、接続口から混合液を投入し、通液口から吐出することとする。
(5) 核酸精製器具の通液口から洗浄液1mlを1回、吸引・吐出する。
(6) (5)を3回繰り返し、洗浄液を完全に吐出する。
(7) 核酸精製器具の通液口から溶出液A0.05mlを10回、吸引・吐出する
(8) 溶出液を核酸精製溶液として回収する。
(1) 全血0.6mlに赤血球溶解液3mlを添加し混合する。
(2) 氷上で5分間インキュベートする。
(3) 400×gで10分間の遠心分離を行う。
(4) 上清を除去する。
(5) 赤血球溶解液1.2mlをペレットに添加し混合する。
(6) 400×gで10分間の遠心分離を行う。
(7) 上清を除去して白血球のペレットを得る。
(8) カオトロピック溶液B 0.3mlを白血球ペレットに添加し混合する。
(9) 混合液をホモジナイザー(QIA shredder homogenizer)(QAIGEN製)で均一化する。
(10) 有機溶媒B0.3mlを添加し混合する。
(11) 長鎖核酸精製器具の接続口にシリンジを装着して、核酸精製器具の通液口から混合液を3回、吸引・吐出する。
(12) 核酸精製器具の通液口から洗浄液1mlを1回、吸引・吐出する。
(13) (12)を3回繰り返し、洗浄液を完全に吐出する。
(14) 核酸精製器具の通液口から溶出液A 0.2mlを10回、吸引・吐出する。
(15) 溶出液を長鎖核酸精製溶液として回収する。
(16) 短鎖核酸精製器具の接続口にシリンジを装着して、核酸精製器具の通液口から(11)で吐出した混合液を10回、吸引・吐出する。
(17) 核酸精製器具の通液口から洗浄液1mlを1回、吸引・吐出する。
(18) (17)を3回繰り返し、洗浄液を完全に吐出する。
(19) 核酸精製器具の通液口から溶出液B 0.05mlを10回、吸引・吐出する。
(20) 溶出液を短鎖核酸精製溶液として回収する。
1.核酸濃度定量
核酸溶液を適量に希釈して、分光光度計(GeneSpec I)(日立那珂インスツルメンツ製)により260nmの吸光度を測定し、50μg/ml のDNA溶液の260nmの吸光度を1としてDNAの濃度を算出した。
ホルムアミドによる変性処理を行った核酸溶液を1.25%アガロースゲル(Reliant RNA Gel System)(FMC製)により電気泳動(10V/cm、40分間)を行った。電気泳動後のアガロースゲルはエチジウムブロマイドにより染色し、UV照射下において写真撮影した。
長鎖核酸試料としてゲノムDNA、短鎖核酸試料としてpBR322 DNAを使用し、上記した核酸溶液からの核酸精製方法に従って、長鎖核酸精製器具、及び短鎖核酸精製器具により核酸精製を行った。なお、結合工程における通液方法は、核酸精製器具の開口部から投入して通液口から吐出する一方向1回、及び通液口からの吸引・吐出1、5、10回とした。
生物試料としてヒト血液を使用し、血液からの核酸精製方法に従って、長鎖核酸精製器具、及び短鎖核酸精製器具により核酸精製を行った。
11…接続口
12…通液口
13…シリカ含有固相
14…シリカ含有固相保持部材
Claims (11)
- 核酸精製方法であって:
核酸含有試料にカオトロピック剤を混合し、
前記混合液を所定の孔径の通液孔を有する第1のシリカ含有固相に2回以上通液させ、 次いで、前記第1のシリカ含有固相よりも小さい孔径の通液孔を有する第2のシリカ含有固相に前記混合液を2回以上通液させ、そして
前記第1及び第2のシリカ含有固相に結合した核酸をそれぞれ回収することを特徴とする前記方法。 - 前記第1及び第2のシリカ含有固相への通液は、いずれもシリカ含有固相に対して両方向から2回以上繰り返されるものである、請求項1に記載の核酸精製方法。
- 前記第1のシリカ含有固相の通液孔の孔径が20〜25μmであり、かつ前記第2のシリカ含有固相の通液孔の孔径が0.1〜10μmである、請求項1又は2に記載の核酸精製方法。
- 前記第1のシリカ含有固相に結合する核酸が20000個以上のデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドから構成される核酸であり、前記第2のシリカ含有固相に結合する核酸が10000個以下のデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドから構成される核酸である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の核酸精製方法。
- 前記第1のシリカ含有固相に結合する核酸が、50000個以上のデオキシリボヌクレオチド、又はリボヌクレオチドから構成される核酸である、請求項4に記載の核酸精製方法。
- 前記第2のシリカ含有固相に結合する核酸が、5000個以下のデオキシリボヌクレオチド、又はリボヌクレオチドから構成される核酸である、請求項4又は5に記載の核酸精製方法。
- 前記第1のシリカ含有固相に結合する核酸がゲノムDNAであり、前記第2のシリカ含有固相に結合する核酸がRNAである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の核酸精製方法。
- 前記第1のシリカ含有固相に結合する核酸がゲノムDNAであり、前記第2のシリカ含有固相に結合する核酸がプラスミドDNAである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の核酸精製方法。
- 核酸含有試料とカオトロピック剤の混合液を吸引及び吐出するための通液口と、シリカ含有固相を備えた核酸精製器具であって、
圧力差によって混合液を前記通液口から吸引あるいは吐出して、前記シリカ含有固相で隔てられる一方の空間から他方の空間へと移動させることにより、前記シリカ含有固相に2回以上通液させることを特徴とする前記核酸精製器具。 - 請求項9に記載の核酸精製器具、ならびにカオトロピック剤、有機溶媒、洗浄液、及び溶出液から選ばれる少なくとも1つ以上の試薬を含む、核酸精製のためのキット。
- 前記カオトロピック剤がチオシアン酸グアニジン、チオシアン酸ナトリウム、塩酸グアニジン、ヨウ化ナトリウム、及びヨウ化カリウムから選択される少なくとも1つ以上、前記有機溶媒がエタノール及び/又はジエチレングリコールジメチルエーテルである、請求項10に記載のキット。
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