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JP2007119016A - 耐熱性を有するポリエステル製ボトル - Google Patents

耐熱性を有するポリエステル製ボトル Download PDF

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Abstract

【課題】安価でリサイクル性に優れたポリエステル製ボトルを提供する
【解決手段】PETボトル10の肩部12及び胴部13は、結晶化度が40%以上であり、更に、胴部外側面13aは、赤外光と屈折率4.0のゲルマニウムGeとを用いた全反射吸収法により、入射角30°で赤外光を照射したときの、TDにおける波数v1=1340(cm-1)付近の吸光度A1が波数v2=1410(cm-1)付近の吸光度A2に対して1.00以下であり、また、肩部外側面12aは、前記全反射吸収法により、入射角30°で赤外光を照射したときの、MDにおける波数v2付近の吸光度A4に対する波数v3付近の吸光度A3が、前記全反射吸収法により、入射角30°で赤外光を照射したときの、波数v2付近の吸光度A6に対する波数v1付近の吸光度A5に対して3.0倍以上である。
【選択図】図1

Description

本発明は、耐熱性を有するポリエステル製ボトルに関するものである。
エチレンテレフタレート単位を主体するポリエステル製容器に耐熱性を持たせる従来の技術としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂にポリカーボネート(PC)樹脂をブレンドしたものがある(例えば、特許文献1参照。)
特開平9-176465号公報
しかしながら、上記従来技術で成形されたPETボトルは、異なる樹脂をブレンドする必要があるため、コストが高くなったり、リサイクルし難くなったりするという欠点があった。
本発明は、こうした事実に鑑みてなされたものであり、安価でリサイクル性に優れたポリエステル製ボトルを提供することにある。
本発明は、エチレンテレフタレート単位を主体としてなり、口部に繋がる肩部と、この肩部を底部に繋げる胴部とを備える耐熱性を有するポリエステル製ボトルであって、前記肩部及び前記胴部は、40%以上の結晶化度を有し、この胴部の外側面は、赤外光と屈折率4.0の媒質とを用いた全反射吸収法により、前記ボトルの表面に対して当該ボトルの周方向に沿って伸びる方向に入射角30°で赤外光を照射したときの、波数1340(cm-1)付近の吸光度の、波数1410(cm-1)付近の吸光度に対する比が1.00以下となることを特徴とするものである。
本発明において、前記肩部の外側面は、赤外光と屈折率4.0の媒質とを用いた全反射吸収法により、ボトルの表面に対して当該ボトルの軸線に沿って伸びる方向に入射角30°で赤外光を照射したときの、波数1340(cm-1)付近の吸光度の、波数1410(cm-1)付近の吸光度に対する比が、赤外光と屈折率4.0の媒質とを用いた全反射吸収法により、前記ボトルの表面に対して当該ボトルの周方向に沿って伸びる方向に入射角30°で赤外光を照射したときの、波数1340(cm-1)付近の吸光度の、波数1410(cm-1)付近の吸光度に対する比に対して3.0倍以上となることが好ましい。
エチレンテレフタレート単位を主体としたボトルの耐熱性を向上させる為には、ボトルを構成する合成樹脂の結晶化度を高めることが重要である。
しかしながら、合成樹脂の配向結晶化度が大きくなると、ボトルが熱収縮し易くなり、かえって耐熱性に劣る。即ち、耐熱性を向上させるためには、配向結晶化度を低く抑えることにより、熱結晶化度(球晶の結晶化度)を高めることが重要であると考えられる。
特に、エチレンテレフタレート単位を主体としたボトルの胴部においては、ボトルの周方向の配向結晶化度が高くなると耐熱性が低下し易い傾向があり、当該ボトルの周方向における配向結晶化度の比率を低く抑えることがボトルの耐熱性を向上させる場合には重要である。
このため、本発明の如く、ボトルの肩部及び胴部が40%以上の結晶化度を有し、胴部の外側面は、赤外光と屈折率4.0の媒質とを用いた全反射吸収法により、前記ボトルの表面に対して当該ボトルの周方向に沿って伸びる方向に入射角30°で赤外光を照射したときの、波数1340(cm-1)付近の吸光度の、波数1410(cm-1)付近の吸光度に対する比が1.00以下になれば、胴部周方向の配向結晶化度が低く抑えられ、熱結晶化度(球晶の結晶化度)が高まる。従って、本発明によれば、異材質をブレンドすることによるコストの上昇やリサイクルのし難さという問題が改善され、安価でリサイクル性に優れたポリエステル製ボトルを提供することができる。
また、本願発明者は、ボトル軸線方向の配向結晶化度は耐熱性(容積変化や外観変化)への影響が少なく、ボトル軸線方向の配向結晶度を高めることで肩部周方向の配向結晶度を更に低く抑えることができることを見出した。
そこで、本発明に係るボトルにおける肩部の外側面を、赤外光と屈折率4.0の媒質とを用いた全反射吸収法により、ボトルの表面に対して当該ボトルの軸線に沿って伸びる方向に入射角30°で赤外光を照射したときの、波数1340(cm-1)付近の吸光度の、波数1410(cm-1)付近の吸光度に対する比が、赤外光と屈折率4.0の媒質とを用いた全反射吸収法により、ボトルの表面に対して当該ボトルの周方向に沿って伸びる方向に入射角30°で赤外光を照射したときの、波数1340(cm-1)付近の吸光度の、波数1410(cm-1)付近の吸光度に対する比に対して3.0倍以上とすれば、肩部周方向の配向結晶化度を更に低く抑えられるため、熱結晶化度が更に高まって耐熱性は更に向上する。
以下、図面を参照して、本発明の一形態を説明する。
図1(a),(b)はそれぞれ、本発明の一形態であるボトル10を示す斜視図及びその縦断面図である。
ボトル10は、PET樹脂を主体とする合成樹脂からなる、所謂、PETボトルである。ボトル10は、口部11を有する試験管状のプリフォームを軸線Oに沿って二軸延伸ブロー成形してなり、口部11に繋がる肩部12と、この肩部12に繋がる胴部13と、この胴部13に繋がる底部14とを一体に備える。
ボトル10において、肩部12及び胴部13の結晶化度Csは、Cs=40%以上となる。結晶化度Csは、密度勾配管法(JIS K 7112 D法に準拠)により測定した密度ρを基に算出できる。具体的には、下記の式(1)より算出される。
Cs=ρ(100)×(ρ-ρ(0) )×100/{ρ×(ρ(100)(0))}・・・(1)
なお、上記式において、ρ(100)は100%結晶の密度、ρ(0)は0%結晶の密度である。
また、ボトル10の胴部13は、全反射吸収法(FT-IR ATR法)によって分析した外側面13の吸光度Aが以下の関係を満たしている。
ここで、全反射吸収法は、図2(a)の模式断面図に示す如く、分析を行うべき試料Pの表面に高い屈折倍率の媒質(内部反射エレメント)Mを配し、この内部反射エレメントMを透して赤外光を試料Pの表面に照射し、この赤外光が内部反射エレメントMと試料Pとの界面で全反射して得られる反射スペクトルを測定し、試料Pの物質構造を分析する方法である。
具体的には、図2に示す如く、分析を行う試料Pの表面に屈折率4.0のゲルマニウム(Ge)を内部反射エレメントMとして配し(図2(b),(c)では省略。)、互いに直交するMD(Machine Direction)方向又はTD(Transverse Direction)方向から赤外光を入射角30°で照射させ、内部反射エレメントMと試料Pとの界面で全反射した反射スペクトルのうち、図3に示す如く、特定の波数vの光に対する吸光度Aを計測する。
なお、本形態のMD(Machine Direction)は、ボトル10の表面を軸線O方向に沿って伸びる方向で規定され、TD(Transverse Direction)は、ボトル10の表面を周方向S(図1(a)参照。)に沿って伸びる方向で規定される。
胴部13の外側面13aでは、上記全反射吸収法により測定したTDの反射スペクトルに着目する。
即ち、胴部13の外側面13aは、C-H結合に起因する波数v1=1340(cm-1)付近の吸光度A1と、配向結晶化度、及び熱結晶化度にほとんど影響されない波数v2=1410(cm-1)付近の吸光度A2の測定値に着目すると、下式(2)の如く、TDにおける、吸光度A1の吸光度A2に対する比(以下、「吸光度比Rta」という。)が1.00以下である。
Rta=(A1/A2)≦1.00・・・(2)
吸光度比Rtaは配向結晶の度合い(配向結晶化度)を示す。従って、吸光度比Rtaの値を小さくすることにより、胴部13の外側面13aは、そのTDの配向結晶化度が低く抑えられ、熱結晶化度(球晶の結晶化度)が高まる。
加えて、ボトル10は、全反射吸収法によって測定した肩部12の外側面12aにおける吸光度Aが以下の関係を満たしている。
肩部12の外側面12aでは、上記と同様の条件で全反射吸収法により測定したTD及びMDの反射スペクトルのうち、TDでは波数v1=1340(cm-1)付近の吸光度A3の、波数v2=1410(cm-1)付近の吸光度A4に対する比(以下、「吸光度比Rtb」という。)に着目し、MDでは、波数v1=1340(cm-1)付近の吸光度A5の、波数v2=1410(cm-1)付近の吸光度A6に対する比(以下、「吸光度比Rmb」という。)に着目する。
即ち、肩部12の外側面12aは、上記全反射吸収法により測定したTD及びMDの吸光度比のうち、MDの配向結晶化度を示す吸光度比RmとTDの配向結晶化度を示す吸光度比Rtに着目し、下式(3)に示す如く、MDの吸光度比RmがTDの吸光度比Rtに対して3.0倍以上である。
Rmb/ Rtb=(A5/A6)/(A3/A4)≧3.00・・・(3)
かかる構成によれば、肩部12の外側面12aにおいて、MDの配向結晶度を高めたことで結果として、当該肩部12のTDにおける配向結晶度を更に低く抑えられるため、熱結晶化度(球晶の結晶化度)が更に高まって耐熱性は更に向上する。
ところで、本形態に係るPETボトル10は、例えば、以下に示す二段ブロー成形方法により成形される。
具体例としては、先ず、PET樹脂からなるプリフォームにおける容器の口部以外に対応する部分を延伸成形可能な温度に加熱する(プリフォーム加熱工程)。このときのプリフォームの加熱はヒータ等で行う。
次に、この加熱したプリフォームを金型内でブロー成形する(1次ブロー成形工程)。
そして、この1次ブロー成形工程で成形された1次ブロー成形品を金型から取り出し、加熱処理する(加熱処理工程)。この時、1次ブロー成形品は熱収縮する。
1次ブロー成形品を加熱処理した後は更に、金型温度を比較的高い温度として再びブロー成形する(2次ブロー成形工程)。
本発明に係るPETボトル10は、肩部12において、結晶化度Cpが40%以上、TD,MDそれぞれにおける内側面12b及び外側面12aとの吸光度比の差が±0.15以内、TDにおける外側面12aの吸光度比Rtが0.60以下、且つ、MDにおける外側面12aの吸光度比Rmが1.60以上の物質構造を有することが好ましい。
かかる構成によれば、肩部12のMDにおける配向結晶化度が高く、TDの配向結晶化度が低くなって耐熱性が良好なものとなる。また、肩部12の内側面12b及び外側面12aとの配向結晶化度の差を小さくしても、耐熱性を向上させることができる。
更に、本発明に係るボトルでは、レトルト殺菌条件に該当する、熱水120℃中に30分浸漬し加熱処理を行った際、容積収縮率が1%以下となっており、十分な耐熱性を備える。従って、長時間高温状態に置かれても、従来に比べて容積収縮率の小さい耐熱性に優れたPETボトルを提供することができる。
(a),(b)はそれぞれ、本発明の一形態であるボトルを示す斜視図及びその縦断面図である。 (a)〜(c)はそれぞれ、全反射吸収法を説明する模式断面図及び模式斜視図である。 全反射吸収法により計測された特定波数vに対する吸光度Aを模式的に示す特性図である。
符号の説明
10 PETボトル
11 口部
12 肩部
13 胴部
14 底部

Claims (2)

  1. エチレンテレフタレート単位を主体としてなり、口部に繋がる肩部と、この肩部を底部に繋げる胴部とを備える耐熱性を有するポリエステル製ボトルであって、
    前記肩部及び前記胴部は、結晶化度が40%以上であり、更に、前記胴部の外側面は、赤外光と屈折率4.0の媒質とを用いた全反射吸収法により、前記ボトルの表面に対して当該ボトルの周方向に沿って伸びる方向に入射角30°で赤外光を照射したときの、波数1340(cm-1)付近の吸光度の、波数1410(cm-1)付近の吸光度に対する比が1.00以下であることを特徴とする耐熱性を有するポリエステル製ボトル。
  2. 前記肩部の外側面は、赤外光と屈折率4.0の媒質とを用いた全反射吸収法により、ボトルの表面に対して当該ボトルの軸線に沿って伸びる方向に入射角30°で赤外光を照射したときの、波数1340(cm-1)付近の吸光度の、波数1410(cm-1)付近の吸光度に対する比が、赤外光と屈折率4.0の媒質とを用いた全反射吸収法により、前記ボトルの表面に対して当該ボトルの周方向に沿って伸びる方向に入射角30°で赤外光を照射したときの、波数1340(cm-1)付近の吸光度の、波数1410(cm-1)付近の吸光度に対する比に対して3.0倍以上であることを特徴とする請求項1に記載のボトル。
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