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JP2007118477A - 両面金属箔積層板およびその製造方法 - Google Patents

両面金属箔積層板およびその製造方法 Download PDF

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JP2007118477A
JP2007118477A JP2005315921A JP2005315921A JP2007118477A JP 2007118477 A JP2007118477 A JP 2007118477A JP 2005315921 A JP2005315921 A JP 2005315921A JP 2005315921 A JP2005315921 A JP 2005315921A JP 2007118477 A JP2007118477 A JP 2007118477A
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Kenichi Kasumi
健一 霞
Nobuo Matsumura
宣夫 松村
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Abstract

【課題】加工時の寸法変化率が小さい両面金属箔積層板およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】ポリイミド層の両面に金属箔を有する両面金属箔積層板であって、該ポリイミド層が2層以上からなり、その各々の層の30℃から250℃における平均線膨張率が10×10−6(1/℃)以上25×10−6(1/℃)以下であることを特徴とする両面金属箔積層板。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子工業分野で広く使用されている両面金属箔積層板およびその製造方法に関する。
両面金属箔積層板は、金属箔層/絶縁性樹脂層/金属箔層の構成を有するものであり、その中でも、屈曲性や柔軟性を有する両面金属箔積層板は、フレキシブル基板として高密度実装が要求される電子機器に広く利用されている。代表的な両面金属箔積層板としては、金属箔層に銅箔、絶縁樹脂層にポリイミドを使用したものがある。
両面金属箔積層板を製造する方法として、熱可塑性ポリイミド/低線膨張性ポリイミド/熱可塑性ポリイミドからなる多層押出ポリイミドの両面に金属箔を加熱圧着する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、金属箔に熱可塑性ポリイミド層を積層した積層体を複数作製し、これらの熱可塑性ポリイミド層どうしを加熱圧着する方法や、金属箔にポリイミド溶液を塗布してポリイミド層を形成し、次いでこのポリイミドに金属箔を加熱圧着する方法が提案されている(例えば、特許文献2〜3参照)。しかし、いずれの方法も寸法変化率が大きく、両面金属箔積層板をファインピッチで加工する際、パターン精度が悪くなるという課題があった。
特開平4−33847号公報(第3−5頁) 特開平1−166944号公報(第2−3頁) 特開平3−104185号公報(第2−5頁)
本発明は、加工時の寸法変化率が小さい両面金属箔積層板およびその製造方法を提供することを課題とする。
すなわち本発明は、ポリイミド層の両面に金属箔を有する両面金属箔積層板であって、該ポリイミド層が2層以上からなり、その各々の層の30℃から250℃における平均線膨張率が10×10−6(1/℃)以上25×10−6(1/℃)以下である両面金属箔積層板である。
本発明によれば、金属箔とポリイミド層との密着性に優れ、かつ、加工時の寸法変化率の小さい両面金属箔積層板を提供することができる。
本発明の両面金属箔積層板は、ポリイミド層の両面に金属箔を有する両面金属箔積層板であって、該ポリイミド層が2層以上からなり、その各々の層の30℃から250℃における平均線膨張率が10×10−6(1/℃)以上25×10−6(1/℃)以下であることを特徴とする。
本発明においては、ポリイミド層が2層以上からなることが重要である。これにより両面の金属箔とポリイミド層の密着力が高いものを設計することが可能となる。2層以上のポリイミド層のうち、少なくとも1層は両末端がアミノ基であるポリイミドを含有することが好ましく、他の1層は両末端がアミノ基以外の基であるポリイミドを含有することが好ましい。
このような両面金属箔積層板を製造する方法として、少なくとも、
(1)金属箔に両末端がアミノ基であるポリアミド酸(A)を含む塗液を塗布する工程、
(2)(1)で塗布したポリアミド酸(A)上に、両末端がアミノ基以外の基であるポリアミド酸(B)を含む塗液を塗布する工程、
(3)熱処理してポリアミド酸(A)およびポリアミド酸(B)をイミド化し、金属箔/30℃から250℃における平均線膨張率が10×10−6(1/℃)以上25×10−6(1/℃)以下であるポリイミド層(A’)/30℃から250℃における平均線膨張率が10×10−6(1/℃)以上25×10−6(1/℃)以下であるポリイミド層(B’)の構成を有する片面金属箔積層板を作製する工程、
(4)(3)で得られた片面金属箔積層板の層(B’)側に金属箔を加熱圧着する工程
を含むことを特徴とする製造方法があげられる。また、少なくとも
(1)金属箔に、両末端がアミノ基であるポリアミド酸(A)を含む塗液と、両末端がアミノ基以外の基であるポリアミド酸(B)を含む塗液とを、ポリアミド酸(A)を金属箔側にして同時に塗布する工程、
(2)熱処理してポリアミド酸(A)およびポリアミド酸(B)をイミド化し、金属箔/30℃から250℃における平均線膨張率が10×10−6(1/℃)以上25×10−6(1/℃)以下であるポリイミド層(A’)/30℃から250℃における平均線膨張率が10×10−6(1/℃)以上25×10−6(1/℃)以下であるポリイミド層(B’)の構成を有する片面金属箔積層板を作製する工程、
(3)(2)で得られた片面金属箔積層板の層(B’)側に金属箔を加熱圧着する工程
を含むことを特徴とする製造方法があげられる。
金属箔にポリアミド酸を含む塗液を塗布する場合、ポリアミド酸は両末端がアミノ基であるポリアミド酸(A)であることが好ましい。両末端をアミノ基にすることによって、イミド化されたポリイミド層(A’)と金属箔との密着力が高くなる。両末端がアミノ基であるポリアミド酸(A)は、例えばテトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させるときに、ジアミンを過剰にすることによって得ることができる。テトラカルボン酸二無水物とジアミンのモル比率は、ジアミン100に対してテトラカルボン酸二無水物が90以上99.9以下であることが好ましい。90以上99.9以下であれば、ポリアミド酸の分子量が上がり、十分な強度の膜が得られ、かつ、金属箔との密着力が大きくなる。
金属箔/ポリアミド酸(A)上に、ポリアミド酸を含む塗液を塗布する場合、塗布されるポリアミド酸は両末端がアミノ基以外の基であるポリアミド酸(B)であることが好ましい。このようなポリアミド酸(B)としては、具体的には両末端がフェニル基などの炭化水素基、水酸基、メルカプト基などであるポリアミド酸があげられる。両末端をアミノ基以外の基とすることによって、イミド化されたポリイミド層(B’)と金属箔とを加熱圧着する際に、金属箔との密着力が高くなる。両末端がアミノ基以外の基であるポリアミド酸(B)は、例えばテトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させるときに、テトラカルボン酸二無水物過剰にして重合する方法があげられる。テトラカルボン酸二無水物とジアミンのモル比率は、テトラカルボン酸二無水物100に対してジアミンが90以上99.9以下であることが好ましい。90以上99.9以下であれば、ポリアミド酸の分子量が上がり、十分な強度の膜が得られ、かつ、金属箔との密着力が大きくなる。また、テトラカルボン酸二無水物過剰にして重合し、モノアミンで末端を封止する方法があげられる。この場合、各成分のモル比率は、テトラカルボン酸二無水物100に対して、ジアミンが90以上99.9以下、モノアミンが0.2以上20以下であることが好ましい。また、ジアミン過剰にして重合し、ジカルボン酸無水物で末端を封止する方法があげられる。この場合、各成分のモル比率は、ジアミン100に対して、テトラカルボン酸二無水物が90以上99.9以下、ジカルボン酸無水物が0.2以上20以下であることが好ましい。
本発明に用いられるポリアミド酸(A)および(B)に使用されるテトラカルボン酸二無水物は、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’− ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’− ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物などがある。上記テトラカルボン酸二無水物は、単独、または、2種以上混合して用いることができる。
本発明に用いられるポリアミド酸(A)および(B)に使用されるジアミンは、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、2’−メトキシ−4,4’−ジアミノベンズアニリド、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、m−フェニレンジアミン、2,5−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノトルエン、2−メトキシ−1,4−フェニレンジアミン、3,4’−ジアミノベンズアニリド、3,3’−ジアミノベンズアニリド、2’−メチル−4,4’−ジアミノベンズアニリド、ベンジジン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルサルファイド、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[(3−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパンなどがある。上記ジアミンは、単独、または、2種以上混合して用いることができる。
本発明において、ポリアミド酸(A)および(B)をイミド化して得られるポリイミド層(A’)および(B’)は、30℃から250℃における平均線膨張率が10×10−6(1/℃)以上25×10−6(1/℃)以下であることが重要である。平均線膨張率が10×10−6(1/℃)より小さいと、金属箔とポリイミド層との密着力が低下する。また、ポリイミド酸を熱処理してイミド化する際に片面金属箔積層体が金属箔を内側にしてカールするため、両面金属箔積層体作製時にしわが入るなどの外観不良が発生する。平均線膨張率が25×10−6(1/℃)よりも大きいと、両面金属箔積層体の加工時の寸法変化率が大きくなる。また、ポリイミド酸を熱処理してイミド化する際に、片面金属箔積層体が金属箔を外側にしてカールするため、両面金属箔積層体作製時にしわが入るなどの外観不良が発生する。ここで、片面金属箔積層板のカールは100mm×100mmにカットした際に、円筒状にならない程度であることが好ましい。具体的には、100mm×100mmの片面金属箔積層板の4角の反りの高さの合計が20mm以下であることが好ましい。そのためには、ポリイミド層の平均線膨張率は13×10−6(1/℃)以上20×10−6(1/℃)以下であることがより好ましい。
このような平均線膨張率を有するポリイミド層を形成するためには、例えば、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、2’−メトキシ−4,4’−ジアミノベンズアニリド、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニルなど、フェニレンもしくはビフェニルのパラ位にアミノ基を有するジアミン残基、または、アミド基を含むジアミン残基を全ジアミン残基の55モル%以上85モル%以下含み、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物など、ベンゼン環もしくはビフェニル基を有するテトラカルボン酸二無水物残基を全テトラカルボン酸二無水物残基の50モル%以上含むポリイミドを用いれば良い。
また、ポリイミド層の少なくとも1層は、ガラス転移温度が280℃以上320℃以下であることが好ましい。ポリイミド層のガラス転移温度をこの範囲にすることによって、金属箔とポリイミド層との密着力がより高いものが得られる。30℃から250℃における平均線膨張率が10×10−6(1/℃)以上25×10−6(1/℃)以下であり、ガラス転移温度が280℃以上320℃以下であるポリイミド層は、例えば、全ジアミン残基の60モル%以上80モル%以下のp−フェニレンジアミン残基と、20モル%以上40モル%以下の4,4’−ジアミノジフェニルエーテル残基を有し、全テトラカルボン酸二無水物残基の60モル%以上の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物残基を有するポリイミドを含有することで好ましく作製することができる。
本発明に用いられるポリアミド酸(B)に末端封止剤として使用されるモノアミンとしては、アニリン、トルイジン、ジメチルアニリン、アニシジン、アミノフェノール、アミノクレゾール、アミノチオフェノールなどがあげられる。
本発明に用いられるポリアミド酸(B)に末端封止剤として使用されるジカルボン酸無水物としては、フタル酸無水物、マレイン酸無水物、1,8−ナフタル酸無水物などがあげられる。
ポリイミド層の接着性を向上させるために、耐熱性を低下させない範囲でシロキサン結合を有するジアミンを共重合することが可能である。好ましい具体例としては、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンなどがあげられる。
ポリアミド酸の溶媒には、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶媒、γ−ブチロラクトンなどのラクトン系溶媒、メチルセロソルブなどのエーテル系溶媒、乳酸エチルなどのエステル系溶媒などが好ましく用いられる。また、これに加えて、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶媒を用いることができる。
本発明において、ポリイミド層中にその他の樹脂や充填材を含有しても良い。その他の樹脂としては、アクリル系樹脂、ブタジエン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂などがあげられる。充填材としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、石英粉、炭酸マグネシウム、炭酸カリウム、硫酸バリウム、マイカ、タルクなどがあげられる。
本発明において使用するポリアミド酸の重合方法は特に限定されない。たとえば、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを所定のモル比で、所定溶媒中、0〜80℃の温度範囲で0.1〜72時間反応させることによって得られる。
本発明に用いられる金属箔は、アルミニウム箔、ステンレス箔、銅箔のいずれでも良い。金属箔はパターン加工して導体として使用される。フレキシブル基板においては、銅箔が好ましく利用され、目的に応じて電解銅箔と圧延銅箔が利用されるが、本発明においてはどちらを利用しても良い。銅箔は樹脂などとの密着性を向上させるために接着面側を粗化処理することがある。一方で、ファインピッチ対応や透明性向上のために、銅箔を粗化処理しないこともある。本発明においてはどちらも利用することができる。銅箔は、必要に応じて防錆処理がされていても良い。防錆処理とは、一般的にニッケル、亜鉛、クロム化合物などの薄膜層を銅箔表面に形成する。また、樹脂層との密着性を改良するために、銅箔表面がシランカップリング剤で処理されていても良い。
金属箔の厚みは、1μm以上50μm以下のものが好ましく用いられる。導体の配線パターンが微細化されるにつれて、金属箔の厚みも薄い方が好ましい。しかし、金属箔が薄くなると単体で取り扱うことが困難になる。5μm以下の厚みの金属箔は、20〜50μm程度の厚みの樹脂または金属箔などの支持体(キャリヤ)に付着したキャリヤ付き金属箔として取り扱われてもよく、この場合、樹脂を積層した後、剥離して用いられる。また、10μm以上の金属箔に樹脂を積層した後、金属箔の全面を公知の金属エッチング液でエッチングすることにより金属箔を薄くし、好ましい厚さに調整してもよい。
金属箔にポリアミド酸(A)を含む塗液、および、ポリアミド酸(B)を含む塗液を塗布する方法には、(A)と(B)とを逐次に塗布する方法と、(A)と(B)とを同時に塗布する方法とがあげられる。
ポリアミド酸(A)と(B)とを逐次に塗布方法としては、金属箔にポリアミド酸(A)を含む塗液を塗布した後、(B)の塗液を塗布する方法があげられる。塗布の方法は、バーコーター、ロールコーター、コンマコーター、ダイコーター、グラビアコーター、ナイフコーターなどがあげられる。この際、ポリイミド酸(A)を含む塗液およびポリアミド酸(B)を含む塗液の粘度は、取り扱い性の点からいずれも10〜100000mPa・sが好ましい。各層の塗布後、各々60℃以上240℃以下で10秒以上1時間以内乾燥することが好ましい。この場合、ポリアミド酸(A)を含む塗液とポリアミド酸(B)を含む塗液とは、同じ方式で塗布してもよいし、別の方法で塗布しても良い。
ポリアミド酸(A)と(B)とを同時に塗布するには、マルチマニホールド型のコーターなどを使用することが好ましい。ポリアミド酸(A)と(B)とは同程度の粘度であることが好ましく、取り扱い性の点から10〜100000mPa・sが好ましい。塗布後、60℃以上240℃以下で10秒以上1時間以内乾燥することが好ましい。
本発明において、ポリイミド層(A’)と(B’)との間に、他の平均線膨張率が10×10−6(1/℃)以上25×10−6(1/℃)以下であるポリイミド層(C’)を有しても良い。ポリイミド層(C’)は、例えば、ジアミン100に対してテトラカルボン酸二無水物を99以上101以下のモル比で反応させて得られるポリアミド酸(C)をイミド化することによって得ることができる。また、ポリイミド層(A’)を複数層有しても良く、ポリイミド層(B’)を複数層有しても良い。
本発明において、ポリイミド層のイミド化は実質的に100%であることが好ましい。イミド化率は、赤外吸収スペクトルにより測定することができる。本発明において、イミド化率が実質的に100%であるとは、1380cm−1付近のイミド環のC−N伸縮と1515cm−1付近の芳香環との吸収スペクトル強度の比がさらなる加熱によって変化しなくなる状態を言う。実質的に100%のイミド化率までイミド化するためには、300℃以上、保持時間1分以上24時間以内の条件で熱処理することが好ましい。さらに、このような熱処理を窒素などの不活性気体雰囲気下、または、減圧雰囲気下で行うことが好ましい。
得られたポリイミド層のイミド化後の厚みは通常2μm以上100μm以下であることが好ましい。ポリイミド層(A’)とポリイミド層(B’)との厚みの比は100/1〜1/100が好ましく、各層少なくとも1μm以上であることが好ましい。
このような方法で作製した片面金属箔積層板の層(B’)側に金属箔を加熱圧着する。加熱圧着は熱プレス、加熱ロールラミネーターなどを用いることができる。生産性の点から加熱ロールラミネーターが好ましい。
加熱ロールラミネーターのロール温度は300℃〜500℃、ロールニップ圧は線圧0.5〜200N/mm、搬送速度は0.1〜50m/分の条件が好ましく用いられる。また、金属箔が酸化することを防ぐために、加熱圧着を窒素雰囲気中または真空中で行ってもよい。また、ポリイミドフィルムなどの耐熱性樹脂フィルム、ステンレス箔、アルミニウム箔などを保護フィルムとして加熱ロールと金属箔の間に介在させてもよい。
本発明により得られる両面金属箔積層体は、金属箔と絶縁樹脂層との密着力に優れ、また、線膨張率の大きい熱可塑性樹脂層をしないため、寸法変化率が小さい。このため、今後のファインピッチが望まれるフレキシブル基板用材料として効果的に使用することができる。
以下に実施例をあげて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。平均線膨張率、ガラス転移温度、密着力、寸法変化率、片面金属箔積層板のカールの試験方法を下記する。
(1)平均線膨張率
ポリアミド酸の塗液を厚み18μmの銅箔の光沢面に熱処理後の厚みが10μmになるようにバーコーターで塗布し、80℃で10分、120℃で10分間乾燥した。そして、窒素雰囲気下で、140℃で30分間、140℃から1時間で350℃に昇温して、350℃で1時間熱処理を行った。
次に、銅箔を塩化第2鉄溶液でエッチングして、ポリイミドの単膜を得た。得られた単膜を30mm×15mmに切り取った。これを長さ方向に円筒状に巻き、熱機械的分析装置SS−6100(セイコーインスルメンツ(株)製)を用いて、0.5gの荷重をかけた際の各温度でのサンプル長を測定して求めた。まず、320℃まで昇温してアニールし、降温して30℃以下まで下げてから、30℃から250℃まで5℃/分で昇温して、30℃から250℃までの平均線膨張率を求めた。算出式は以下のとおりである。
平均線膨張率=(1/L30)×[(L250−L30)/(250−30)]
ここで、L30、L250は、それぞれ、30℃、250℃のときのサンプル長である。
(2)ガラス転移温度
(1)と同様にして得られたポリイミドの単膜約5mgをアルミ製標準容器に詰め、DSC法によりガラス転移温度を測定した。測定装置として示差走査熱量計DSC−50(島津製作所(株)製)を用い、350℃に昇温して冷却後、昇温速度20℃/分で、得られたDSC曲線の変極点からガラス転移温度を求めた。
(3)密着力
両面金属箔積層板の金属箔を塩化第2鉄溶液でエッチングして2mm幅のパターンを形成した。この2mm幅の金属層を“テンシロン”UTM−4−100(TOYO BOLDWIN社製)にて引張速度50mm/分、90°剥離で測定した。塗布された銅箔との密着力を「塗布側」、加熱圧着された銅箔との密着力を「加熱圧着側」の密着力とした。
(4)寸法変化率
250mm×250mmの大きさの両面金属箔積層体を20℃65%RHの恒温恒湿槽に24時間保持した後、両面金属箔積層体に200mm間隔で正方形状に直径1mmの孔を計4個開孔し、孔の中心間の距離を測定した。MD方向の距離間2箇所とTD方向の距離間2箇所とを測定し、それぞれの平均値を初期寸法とした。
その後、全面の銅箔を塩化第2鉄溶液でエッチングして、ポリイミドフィルムを得た。これを20℃65%RHの恒温恒湿槽に24時間保持した後、孔の中心間の距離を測定し、エッチング後の寸法変化率を下記式によって求めた。
エッチング後の寸法変化率=[(エッチング後の寸法)−(初期寸法)]/(初期寸法)×100(%)
また、このポリイミドフィルムを150℃30分間熱処理した。これを20℃65%RHの恒温恒湿槽に24時間保持した後、孔の中心間の距離を測定し、熱処理後の寸法変化率を下記式によって求めた。
熱処理後の寸法変化率=[(熱処理後の寸法)−(初期寸法)]/(初期寸法)×100(%)
(5)片面金属箔積層板のカール
作製した片面金属箔積層板を100mm×100mmにカットした後、25℃40〜60%RHの条件下で24時間放置した後、平らな金属板の上に静置して、4角の反りの高さを測定し合計値を片面金属箔積層板のカールとした。また大きくカールして円筒状になった場合は、何周カールしたかを示した。金属箔側を内側としてカールした場合、測定値を「+」とし、銅箔側を外側としてカールをした場合、測定を「−」とした。
以下の製造例に示しているテトラカルボン酸二無水物、ジアミン、溶媒の略記号の名称は下記のとおりである。表1に製造したポリアミド酸の組成を示す。
PMDA :ピロメリット酸二無水物
BPDA :3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
BTDA :3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物
DSDA :3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物
PDA :p−フェニレンジアミン
DAE :ジアミノジフェニルエーテル
MABA :2’−メトキシ−4,4’−ジアミノベンズアニリド
TPE−R:1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン
NMP :N−メチル−2−ピロリドン
PA :フタル酸無水物
AN :アニリン。
製造例1
温度計、乾燥窒素導入口、温水、冷水による加熱冷却装置、および、撹拌装置をつけた反応釜にPDA37.85g、DAE30.04g、NMP600gを仕込み、30℃で撹拌して完全に溶解させた。次に、30℃でBPDA145.64g、NMP254gを仕込んだ。60℃で4時間反応させ、20重量%のポリアミド酸の塗液1を得た。これをイミド化したポリイミドの30〜250℃の平均線膨張率は18×10−6(1/℃)であり、ガラス転移温度は298℃であった。
製造例2
温度計、乾燥窒素導入口、温水、冷水による加熱冷却装置、および、撹拌装置をつけた反応釜にPDA37.85g、DAE30.04g、NMP600gを仕込み、30℃で撹拌して完全に溶解させた。次に、30℃でBPDA148.58g、NMP266gを仕込んだ。60℃で4時間反応させ、20重量%のポリアミド酸の塗液2を得た。これをイミド化したポリイミドの30〜250℃の平均線膨張率は18×10−6(1/℃)であり、ガラス転移温度は296℃であった。
製造例3
温度計、乾燥窒素導入口、温水、冷水による加熱冷却装置、および、撹拌装置をつけた反応釜にPDA37.85g、DAE30.04g、NMP600gを仕込み、30℃で撹拌して完全に溶解させた。次に、30℃でBPDA145.64g、NMP260gを仕込んだ。60℃で4時間反応させた後、PA1.48gを仕込み60℃で1時間反応させ、20重量%のポリアミド酸の塗液3を得た。これをイミド化したポリイミド系樹脂の30〜250℃の平均線膨張率は18×10−6(1/℃)であり、ガラス転移温度は296℃であった。
製造例4
温度計、乾燥窒素導入口、温水、冷水による加熱冷却装置、および、撹拌装置をつけた反応釜にPDA37.85g、DAE30.04g、NMP600gを仕込み、30℃で撹拌して完全に溶解させた。次に、30℃でBPDA148.58g、NMP270gを仕込んだ。60℃で4時間反応させた後、AN0.93gを仕込み60℃で1時間反応させ、20重量%のポリアミド酸の塗液4を得た。これをイミド化したポリイミドの30〜250℃の平均線膨張率は18×10−6(1/℃)であり、ガラス転移温度は296℃であった。
製造例5
温度計、乾燥窒素導入口、温水、冷水による加熱冷却装置、および、撹拌装置をつけた反応釜にPDA37.85g、DAE30.04g、NMP600gを仕込み、30℃で撹拌して完全に溶解させた。次に、30℃でBPDA116.51g、PMDA21.59g、NMP224gを仕込んだ。60℃で4時間反応させ、20重量%のポリアミド酸の塗液5を得た。これをイミド化したポリイミドの30〜250℃の平均線膨張率は17×10−6(1/℃)であり、ガラス転移温度は306℃であった。
製造例6
温度計、乾燥窒素導入口、温水、冷水による加熱冷却装置、および、撹拌装置をつけた反応釜にPDA37.85g、DAE30.04g、NMP600gを仕込み、30℃で撹拌して完全に溶解させた。次に、30℃でBPDA118.86g、PMDA22.03g、NMP235gを仕込んだ。60℃で4時間反応させ、20重量%のポリアミド酸の塗液6を得た。これをイミド化したポリイミド系樹脂の30〜250℃の平均線膨張率は17×10−6(1/℃)であり、ガラス転移温度は306℃であった。
製造例7
温度計、乾燥窒素導入口、温水、冷水による加熱冷却装置、および、撹拌装置をつけた反応釜にPDA37.85g、DAE30.04g、NMP600gを仕込み、30℃で撹拌して完全に溶解させた。次に、30℃でBPDA44.13g、PMDA76.34g、NMP235gを仕込んだ。60℃で4時間反応させ、20重量%のポリアミド酸の塗液7を得た。これをイミド化したポリイミドの30〜250℃の平均線膨張率は16×10−6(1/℃)であり、ガラス転移温度はDSCでは測定できなかった。
製造例8
温度計、乾燥窒素導入口、温水、冷水による加熱冷却装置、および、撹拌装置をつけた反応釜にPDA32.44g、DAE40.05g、NMP600gを仕込み、30℃で撹拌して完全に溶解させた。次に、30℃でBPDA145.64g、NMP273gを仕込んだ。60℃で4時間反応させ、20重量%のポリアミド酸の塗液8を得た。これをイミド化したポリイミドの30〜250℃の平均線膨張率は24×10−6(1/℃)であり、ガラス転移温度は282℃であった。
製造例9
温度計、乾燥窒素導入口、温水、冷水による加熱冷却装置、および、撹拌装置をつけた反応釜にPDA32.44g、DAE40.05g、NMP600gを仕込み、30℃で撹拌して完全に溶解させた。次に、30℃でBPDA148.58g、NMP284gを仕込んだ。60℃で4時間反応させ、20重量%のポリアミド酸の塗液9を得た。これをイミド化したポリイミドの30〜250℃の平均線膨張率は24×10−6(1/℃)であり、ガラス転移温度は282℃であった。
製造例10
温度計、乾燥窒素導入口、温水、冷水による加熱冷却装置、および、撹拌装置をつけた反応釜にPDA43.26g、DAE20.02g、NMP600gを仕込み、30℃で撹拌して完全に溶解させた。次に、30℃でBPDA145.64g、NMP236gを仕込んだ。60℃で4時間反応させ、20重量%のポリアミド酸の塗液10を得た。これをイミド化したポリイミドの30〜250℃の平均線膨張率は12×10−6(1/℃)であり、ガラス転移温度は315℃であった。
製造例11
温度計、乾燥窒素導入口、温水、冷水による加熱冷却装置、および、撹拌装置をつけた反応釜にPDA43.26g、DAE20.02g、NMP600gを仕込み、30℃で撹拌して完全に溶解させた。次に、30℃でBPDA148.58g、NMP247gを仕込んだ。60℃で4時間反応させ、20重量%のポリアミド酸の塗液11を得た。これをイミド化したポリイミドの30〜250℃の平均線膨張率は12×10−6(1/℃)であり、ガラス転移温度は315℃であった。
製造例12
温度計、乾燥窒素導入口、温水、冷水による加熱冷却装置、および、撹拌装置をつけた反応釜にPDA37.85g、DAE30.04g、NMP600gを仕込み、30℃で撹拌して完全に溶解させた。次に、30℃でBPDA43.69g、PMDA75.58g、NMP235gを仕込んだ。60℃で4時間反応させ、20重量%のポリアミド酸の塗液12を得た。これをイミド化したポリイミドの30〜250℃の平均線膨張率は16×10−6(1/℃)であり、ガラス転移温度はDSCでは測定できなかった。
製造例13
温度計、乾燥窒素導入口、温水、冷水による加熱冷却装置、および、撹拌装置をつけた反応釜にPDA37.85g、DAE30.04g、NMP600gを仕込み、30℃で撹拌して完全に溶解させた。次に、30℃でBPDA44.57g、PMDA77.11g、NMP235gを仕込んだ。60℃で4時間反応させ、20重量%のポリアミド酸の塗液13を得た。これをイミド化したポリイミドの30〜250℃の平均線膨張率は16×10−6(1/℃)であり、ガラス転移温度はDSCでは測定できなかった。
製造例14
温度計、乾燥窒素導入口、温水、冷水による加熱冷却装置、および、撹拌装置をつけた反応釜にPDA27.04g、DAE50.06g、NMP600gを仕込み、30℃で撹拌して完全に溶解させた。次に、30℃でBPDA145.64g、NMP291gを仕込んだ。60℃で4時間反応させ、20重量%のポリアミド酸の塗液14を得た。これをイミド化したポリイミドの30〜250℃の平均線膨張率は29×10−6(1/℃)であり、ガラス転移温度は265℃であった。
製造例15
温度計、乾燥窒素導入口、温水、冷水による加熱冷却装置、および、撹拌装置をつけた反応釜にPDA27.04g、DAE50.06g、NMP600gを仕込み、30℃で撹拌して完全に溶解させた。次に、30℃でBPDA148.58g、NMP284gを仕込んだ。60℃で4時間反応させ、20重量%のポリアミド酸の塗液15を得た。これをイミド化したポリイミドの30〜250℃の平均線膨張率は29×10−6(1/℃)であり、ガラス転移温度は265℃であった。
製造例16
温度計、乾燥窒素導入口、温水、冷水による加熱冷却装置、および、撹拌装置をつけた反応釜にPDA48.66g、DAE10.01g、NMP600gを仕込み、30℃で撹拌して完全に溶解させた。次に、30℃でBPDA145.64g、NMP217gを仕込んだ。60℃で4時間反応させ、20重量%のポリアミド酸の塗液16を得た。これをイミド化したポリイミドの30〜250℃の平均線膨張率は8×10−6(1/℃)であり、ガラス転移温度はDSCでは測定できなかった。
製造例17
温度計、乾燥窒素導入口、温水、冷水による加熱冷却装置、および、撹拌装置をつけた反応釜にPDA48.66g、DAE10.01g、NMP600gを仕込み、30℃で撹拌して完全に溶解させた。次に、30℃でBPDA148.58g、NMP229gを仕込んだ。60℃で4時間反応させ、20重量%のポリアミド酸の塗液17を得た。これをイミド化したポリイミドの30〜250℃の平均線膨張率は8×10−6(1/℃)であり、ガラス転移温度はDSCでは測定できなかった。
製造例18
温度計、乾燥窒素導入口、温水、冷水による加熱冷却装置、および、撹拌装置をつけた反応釜にDAE100.12g、NMP600gを仕込み、30℃で撹拌して完全に溶解させた。次に、30℃でPMDA75.58g、BTDA43.69g、NMP278gを仕込んだ。60℃で4時間反応させ、20重量%のポリアミド酸の塗液18を得た。これをイミド化したポリイミドの30〜250℃の平均線膨張率は45×10−6(1/℃)であり、ガラス転移温度は270℃であった。
製造例19
温度計、乾燥窒素導入口、温水、冷水による加熱冷却装置、および、撹拌装置をつけた反応釜にTPE−R146.17g、NMP600gを仕込み、30℃で撹拌して完全に溶解させた。次に、30℃でDSDA162.85g、PMDA11.02g、NMP680gを仕込んだ。60℃で4時間反応させ、20重量%のポリアミド酸の塗液19を得た。これをイミド化したポリイミド系樹脂の30〜250℃の平均線膨張率は55×10−6(1/℃)であり、ガラス転移温度は240℃であった。
製造例20
温度計、乾燥窒素導入口、温水、冷水による加熱冷却装置、および、撹拌装置をつけた反応釜にMABA77.19g、DAE40.05g、NMP600gを仕込み、30℃で撹拌して完全に溶解させた。次に、30℃でPMDA109.06g、NMP305gを仕込んだ。60℃で4時間反応させ、20重量%のポリアミド酸の塗液20を得た。これをイミド化したポリイミド系樹脂の30〜250℃の平均線膨張率は13×10−6(1/℃)であり、ガラス転移温度は320℃であった。
実施例1
接着面側が粗面化された厚み18μmの圧延銅箔BHY(日鉱マテリアルズ(株)製)にポリアミド酸(A)の塗液1をイミド化後の厚みが15μmになるようにダイコーターで塗布し、120℃で10分間乾燥した。この上にポリアミド酸(B)の塗液2をイミド化後の厚みが15μmになるように塗布し、120℃で10分間乾燥した。これを、窒素雰囲気下、140℃で30分間、140℃から1時間で350℃に昇温して、350℃で1時間熱処理して、イミド化を行い、片面金属箔積層板を作製した。この片面金属箔積層板のカールは−3mmであった。得られた片面金属箔積層板と接着面側が粗面化された厚み18μmの圧延銅箔BHY(日鉱マテリアルズ(株)製)とを、加熱ロールラミネーターで、ロール温度380℃、ロールニップ圧50N/mm、搬送速度2m/分で加熱圧着して両面金属箔積層板を得た。このとき、銅箔と加熱ロールとの間にポリイミドフィルム“カプトン”500H(東レデュポン(株)製)を介在させた。このときの銅箔とポリイミド層との密着力は、塗布側が10N/cmであり、加熱圧着側が9N/cmであった。また、寸法変化率(%)は、エッチング後MD/TD −0.02/+0.03、熱処理後 −0.03/+0.03であった。
実施例2〜6
実施例1と同様にして、表2に示す構成でポリアミド酸塗液を塗布し、両面金属箔積層板を得た。密着力、寸法変化率の評価結果を表2に示した。
実施例7
接着面側が粗面化された厚み18μmの圧延銅箔BHY(日鉱マテリアルズ(株)製)にポリアミド酸(A)の塗液1をイミド化後の厚みが5μmになるようにダイコーターで塗布し、120℃で10分間乾燥した。この上にポリアミド酸(C)の塗液7をイミド化後の厚みが20μmになるように塗布し、120℃で10分間乾燥した。この上にポリアミド酸(B)の塗液2をイミド化後の厚みが5μmになるように塗布し、120℃で10分間乾燥した。これを、窒素雰囲気下、140℃で30分間、140℃から1時間で350℃に昇温して、350℃で1時間熱処理して、イミド化を行い、片面金属箔積層板を作製した。この片面金属箔積層板のカールは−3mmであった。得られた片面金属箔積層板と接着面側が粗面化された厚み18μmの圧延銅箔BHY(日鉱マテリアルズ(株)製)とを、加熱ロールラミネーターで、ロール温度380℃、ロールニップ圧50N/mm、搬送速度2m/分で加熱圧着して両面金属箔積層板を得た。このとき、銅箔と加熱ロールとの間にポリイミドフィルム“カプトン”500H(東レデュポン(株)製)を介在させた。密着力、寸法変化率の評価結果を表2に示した。
実施例8
接着面側が粗面化された厚み18μmの圧延銅箔BHY(日鉱マテリアルズ(株)製)にポリアミド酸(A)の塗液1とポリアミド酸(B)の塗液2とを塗液1が銅箔側になるようにマルチマニホールド型ダイスを設けた製膜装置でイミド化後の厚みが30μmになるように塗布し、120℃で10分間乾燥した。これを、窒素雰囲気下、140℃で30分間、140℃から1時間で350℃に昇温して、350℃で1時間熱処理して、イミド化を行い、片面金属箔積層板を作製した。この片面金属箔積層板のカールは−3mmであった。得られた片面金属箔積層板と接着面側が粗面化された厚み18μmの圧延銅箔BHY(日鉱マテリアルズ(株)製)とを、加熱ロールラミネータで、ロール温度380℃、ロールニップ圧50N/mm、搬送速度2m/分で加熱圧着して両面金属箔積層板を得た。このとき、銅箔と加熱ロールとの間にポリイミドフィルム“カプトン”500H(東レデュポン(株)製)を介在させた。密着力、寸法変化率の評価結果を表2に示した。
実施例9
接着面側が粗面化された厚み18μmの圧延銅箔BHY(日鉱マテリアルズ(株)製)にポリアミド酸(A)の塗液1、ポリアミド酸(C)の塗液7、ポリアミド酸(A)の塗液2とを、塗液1が銅箔側、塗液2が表面側になるように、マルチマニホールド型ダイスを設けた塗布装置でイミド化後の厚みが30μmになるように塗布し、120℃で10分間乾燥した。これを、窒素雰囲気下、140℃で30分間、140℃から1時間で350℃に昇温して、350℃で1時間熱処理して、イミド化を行い、片面金属箔積層板を作製した。この片面金属箔積層板のカールは−3mmであった。得られた片面金属箔積層板と接着面側が粗面化された厚み18μmの圧延銅箔BHY(日鉱マテリアルズ(株)製)とを、加熱ロールラミネータで、ロール温度380℃、ロールニップ圧50N/mm、搬送速度2m/分で加熱圧着して両面金属箔積層板を得た。このとき、銅箔と加熱ロールとの間にポリイミドフィルム“カプトン”500H(東レデュポン(株)製)を介在させた。密着力、寸法変化率の評価結果を表2に示した。
実施例10
表2に示す構成でポリアミド酸の塗液を塗布し、両面金属箔積層板を得た。片面金属箔積層板を作製した際のカールは−22mmであったが、金属箔を加熱圧着して両面金属箔積層板を作製することは可能であった。密着力、寸法変化率の評価結果を表2に示した。
実施例11
表2に示す構成でポリアミド酸の塗液を塗布し、両面金属箔積層板を得た。片面金属箔積層板を作製した際のカールは+24mmであったが、金属箔を加熱圧着して両面金属箔積層板を作製することは可能であった。密着力、寸法変化率の評価結果を表2に示した。
実施例12〜13
圧延銅箔BHYを粗面化された電解銅箔SQ−VLP、非粗化処理の電解銅箔NA−VLPにした以外は実施例1と同様に実験を行った。密着力、寸法変化率の評価結果を表2に示した。
実施例14
接着面側が粗面化された厚み18μmの圧延銅箔BHY(日鉱マテリアルズ(株)製)にポリアミド酸の塗液12をイミド化後の厚みが15μmになるようにダイコーターで塗布し、120℃で10分間乾燥した。この上にポリアミド酸塗液13をイミド化後の厚みが15μmになるように塗布し、120℃で10分間乾燥した。これを、窒素雰囲気下、140℃で30分間、140℃から1時間で350℃に昇温して、350℃で1時間熱処理して、イミド化を行い、片面金属箔積層板を作製した。この片面金属箔積層板のカールは−1mmであった。得られた片面金属箔積層板と接着面側が粗面化された厚み18μmの圧延銅箔BHY(日鉱マテリアルズ(株)製)とを、加熱ロールラミネーターで、ロール温度420℃、ロールニップ圧50N/mm、搬送速度2m/分で加熱圧着して両面金属箔積層板を得た。このとき、銅箔と加熱ロールとの間にポリイミドフィルム“カプトン”500H(東レデュポン(株)製)を介在させた。密着力、寸法変化率の評価結果を表2に示した。
比較例1
接着面側が粗面化された厚み18μmの圧延銅箔BHY(日鉱マテリアルズ(株)製)にポリアミド酸塗液1をイミド化後の厚みが30μmになるようにダイコーターで塗布し、120℃で10分間乾燥した。これを、窒素雰囲気下、140℃で30分間、140℃から1時間で350℃に昇温して、350℃で1時間熱処理して、イミド化を行い、片面金属箔積層板を作製した。この片面金属箔積層板のカールは−3mmであった。得られた片面金属箔積層板と接着面側が粗面化された厚み18μmの圧延銅箔BHY(日鉱マテリアルズ(株)製)とを、加熱ロールラミネーターで、ロール温度380℃、ロールニップ圧50N/mm、搬送速度2m/分で加熱圧着して両面金属箔積層板を得た。このとき、銅箔と加熱ロールとの間にポリイミドフィルム“カプトン”500H(東レデュポン(株)製)を介在させた。このときの銅箔とポリイミド層との密着力は、塗布側が10N/cmであったが、加熱圧着側が0N/cmであり低密着であった。
比較例2〜4
ポリアミド酸塗液1に代えてポリアミド酸塗液2〜4を用いた以外は、比較例1と同様に実験を行った。片面金属箔積層板のカール、密着力の評価結果を表2に示した。
比較例5
表2に示す構成でポリアミド酸の塗液を塗布し、両面金属箔積層板を得た。片面金属箔積層板を作製した際に金属箔を外側にして2周のカールを生じた。金属箔を加熱圧着して両面金属箔積層板を作製した際に、歪みが生じ、外観良好な両面金属箔積層板は得られなかった。密着力、寸法変化率の評価結果を表2に示した。
比較例6
表2に示す構成でポリアミド酸の塗液を塗布し、両面金属箔積層板を得た。片面金属箔積層板を作製した際に金属箔を内側にして2周のカールを生じた。金属箔を加熱圧着して両面金属箔積層板を作製した際に、歪みが生じ、外観良好な両面金属箔積層板は得られなかった。密着力の評価結果を表2に示した。
比較例7
接着面側が粗面化された厚み18μmの圧延銅箔BHY(日鉱マテリアルズ(株)製)にポリアミド酸の塗液18をイミド化後の厚みが5μmになるようにダイコーターで塗布し、120℃で10分間乾燥した。この上にポリアミド酸の塗液20をイミド化後の厚みが20μmになるように塗布し、120℃で10分間乾燥した。この上にポリアミド酸の塗液19をイミド化後の厚みが5μmになるように塗布し、120℃で10分間乾燥した。これを、窒素雰囲気下、140℃で30分間、140℃から1時間で350℃に昇温して、350℃で1時間熱処理して、イミド化を行い、片面金属箔積層板を作製した。この片面金属箔積層板のカールは−1mmであった。得られたこの片面金属箔積層板と接着面側が粗面化された厚み18μmの圧延銅箔BHY(日鉱マテリアルズ(株)製)とを、加熱ロールラミネーターで、ロール温度380℃、ロールニップ圧50N/mm、搬送速度2m/分で加熱圧着して両面金属箔積層板を得た。このとき、銅箔と加熱ロールとの間にポリイミドフィルム“カプトン”500H(東レデュポン(株)製)を介在させた。このときの銅箔とポリイミド層との密着力は、塗布した側が14N/cmであり、加熱圧着した側が14N/cmであった。また、寸法変化率(%)は、エッチング後MD/TD −0.05/+0.03、熱処理後 −0.10/+0.06となり寸法変化率が大きかった。
比較例8
接着面側が粗面化された厚み18μmの圧延銅箔BHY(日鉱マテリアルズ(株)製)にポリアミド酸の塗液18をイミド化後の厚みが15μmになるようにダイコーターで塗布し、120℃で10分間乾燥した。この上にポリアミド酸の塗液19をイミド化後の厚みが15μmになるように塗布し、120℃で10分間乾燥した。これを、窒素雰囲気下、140℃で30分間、140℃から1時間で350℃に昇温して、350℃で1時間熱処理して、イミド化を行い、片面金属箔積層板を作製した。片面金属箔積層板を作製した際に金属箔を外側にして3周のカールを生じた。得られたこの片面金属箔積層板と接着面側が粗面化された厚み18μmの圧延銅箔BHY(日鉱マテリアルズ(株)製)とを、加熱ロールラミネーターで、ロール温度380℃、ロールニップ圧50N/mm、搬送速度2m/分で加熱圧着して両面金属箔積層板を得た。このとき、銅箔と加熱ロールとの間にポリイミドフィルム“カプトン”500H(東レデュポン(株)製)を介在させた。このときの銅箔とポリイミド層との密着力は、塗布した側が14N/cmであり、加熱圧着した側が14N/cmであった。また、寸法変化率(%)は、エッチング後MD/TD −0.10/+0.08、熱処理後 −0.15/+0.11となり寸法変化率が大きかった。
表2に示すように、本発明の両面金属箔積層板は、金属箔とポリイミドとの密着力が高く、寸法変化率も小さい非常に優れた両面金属箔積層体である。
Figure 2007118477
Figure 2007118477

Claims (5)

  1. ポリイミド層の両面に金属箔を有する両面金属箔積層板であって、該ポリイミド層が2層以上からなり、その各々の層の30℃から250℃における平均線膨張率が10×10−6(1/℃)以上25×10−6(1/℃)以下であることを特徴とする両面金属箔積層板。
  2. ポリイミド層の少なくとも1層のガラス転移温度が280℃以上320℃以下であることを特徴とする請求項1記載の両面金属箔積層板。
  3. ポリイミド層の少なくとも1層が、全ジアミン残基の60モル%以上80モル%以下のパラフェニレンジアミン残基と、20モル%以上40モル%以下の4,4’−ジアミノジフェニルエーテル残基を有し、全テトラカルボン酸二無水物残基の60モル%以上の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物残基を有するポリイミドを含有することを特徴とする請求項1または2記載の両面金属箔積層板。
  4. ポリイミド層の両面に金属箔を有する両面金属箔積層板の製造方法であって、少なくとも
    (1)金属箔に、両末端がアミノ基であるポリアミド酸(A)を含む塗液を塗布する工程、
    (2)(1)で塗布したポリアミド酸(A)の上に、両末端がアミノ基以外の基であるポリアミド酸(B)を含む塗液を塗布する工程、
    (3)熱処理してポリアミド酸(A)およびポリアミド酸(B)をイミド化し、金属箔/30℃から250℃における平均線膨張率が10×10−6(1/℃)以上25×10−6(1/℃)以下であるポリイミド層(A’)/30℃から250℃における平均線膨張率が10×10−6(1/℃)以上25×10−6(1/℃)以下であるポリイミド層(B’)の構成を有する片面金属箔積層板を作製する工程、
    (4)(3)で得られた片面金属箔積層板の(B’)層側に金属箔を加熱圧着する工程
    を含むことを特徴とする両面金属箔積層板の製造方法。
  5. ポリイミド層の両面に金属箔を有する両面金属箔積層板の製造方法であって、少なくとも
    (1)金属箔に、両末端がアミノ基であるポリアミド酸(A)を含む塗液と、両末端がアミノ基以外の基であるポリアミド酸(B)を含む塗液とを、ポリアミド酸(A)を金属箔側にして同時に塗布する工程、
    (2)熱処理してポリアミド酸(A)および(B)をイミド化し、金属箔/30℃から250℃における平均線膨張率が10×10−6(1/℃)以上25×10−6(1/℃)以下であるポリイミド層(A’)/30℃から250℃における平均線膨張率が10×10−6(1/℃)以上25×10−6(1/℃)以下であるポリイミド層(B’)の構成を有する片面金属箔積層板を作製する工程、
    (3)(2)で得られた片面金属箔積層板の(B’)層側に金属箔を加熱圧着する工程
    を含むことを特徴とする両面金属箔積層板の製造方法。
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