JP2007115360A - 光ディスク装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】記録レーザーパワーを用いた時にFEサーボ系又はTEサーボ系を調整する。
【解決手段】記録可能な光ディスク1のテスト領域上に記録時のレーザー光と再生時のレーザー光とを選択的に照射し、且つ、フォーカスエラー信号FE及びトラッキングエラー信号TEの少なくとも一方に一定周波数の外乱dを印加してフォーカスサーボ及びトラッキングサーボの少なくとも一方のループゲインを測定する時に、再生レーザーパワーを用いた時のループゲインに対する記録レーザーパワーを用いた時のループゲインの比を演算する記録ループゲイン/再生ループゲイン比演算手段64と、記録ループゲイン/再生ループゲイン比演算手段64の演算結果に基づいて、記録レーザーパワーを用いた時のフォーカスエラー信号の振幅及びトラッキングエラー信号の振幅の少なくとも一方を再生時と略同じ状態に設定するように制御するサーボ制御手段46とを備えた。
【選択図】図4
【解決手段】記録可能な光ディスク1のテスト領域上に記録時のレーザー光と再生時のレーザー光とを選択的に照射し、且つ、フォーカスエラー信号FE及びトラッキングエラー信号TEの少なくとも一方に一定周波数の外乱dを印加してフォーカスサーボ及びトラッキングサーボの少なくとも一方のループゲインを測定する時に、再生レーザーパワーを用いた時のループゲインに対する記録レーザーパワーを用いた時のループゲインの比を演算する記録ループゲイン/再生ループゲイン比演算手段64と、記録ループゲイン/再生ループゲイン比演算手段64の演算結果に基づいて、記録レーザーパワーを用いた時のフォーカスエラー信号の振幅及びトラッキングエラー信号の振幅の少なくとも一方を再生時と略同じ状態に設定するように制御するサーボ制御手段46とを備えた。
【選択図】図4
Description
本発明は、光ピックアップの対物レンズから出射された光スポットを光ディスクの信号面に照射して、この光スポットを信号面中の記録トラックに対してフォーカス方向とトラッキング方向とに制御する際に、とくに、記録レーザーパワーを用いた時のフォーカスエラー信号の振幅及びトラッキングエラー信号の振幅の少なくとも一方を再生時と略同じ状態に設定できるように構成した光ディスク装置に関する。
一般的に、光ディスク装置を用いて記録再生される光ディスクは、映像情報とか音声情報やコンピュータデータなどの情報信号(メインデータ)を円盤状のディスク基板上で螺旋状(又は同心円状)に形成した記録トラックに高密度に記録し、且つ、記録済みの記録トラックを再生する際に所望の記録トラックを高速にアクセスできることから多用されている。
上記した光ディスク装置では、光ピックアップ内に設けた半導体レーザーから出射させたレーザー光をレンズホルダに取り付けた対物レンズで絞り、この対物レンズで絞って得た光スポットを光ディスクの信号面に照射する際に、対物レンズのフォーカス位置を光ディスクの信号面上に正確に一致させるフォーカス制御と、対物レンズから出射された光スポットを記録トラックに追従させるトラッキング制御とを用いることが必須である。
この際、光ディスク装置内でのフォーカス制御及びトラッキング制御は、光ディスクの信号面で反射された戻り光を光ピックアップ内に設けた複数の受光領域を有する多分割型フォトディテクタで受光して、この多分割型フォトディテクタで光電変換された検出信号を演算してフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号を少なくとも生成し、これらのフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号に基づいてレンズホルダに一体的に取り付けたフォーカスアクチュエータ及びトラッキングアクチュエータを駆動させることにより対物レンズをフォーカス方向及びトラッキング方向に制御している。
ところで、一般的に、対物レンズをフォーカス方向及びトラッキング方向に制御するためのフォーカスアクチュエータ及びトラッキングアクチュエータには、それぞれ個体差がある。つまり、フォーカスアクチュエータ及びトラッキングアクチュエータへの各入力電流が一定であっても、個体差によりフォーカスアクチュエータ及びトラッキングアクチュエータの各出力(加速度)が異なる場合がある。また、経年変化によってもフォーカスアクチュエータ及びトラッキングアクチュエータの入出力間の各ゲインが異なってくる場合があり、このようなときには一巡伝達関数のゲインにもバラツキが生じる。
更に、光ディスク装置内に装着した光ディスクの信号面のばらつきもある。
そこで、品質を均一化するためにも、フォーカスアクチュエータ及びトラッキングアクチュエータに対してフォーカスループゲイン及びトラッキングループゲインを調整をすることが必要となっている。
ここで、光ディスク装置のフォーカスループゲイン調整をする一般的な方法が下記の特許文献1に記載されている。
特開平5−250702号公報(第2頁、図6)
図6は従来例において、光ディスク装置のフォーカスループゲイン調整をする方法を説明するためのフローチャート、
図7は従来例において、フォーカス制御系の時間応答を示した図である。
図7は従来例において、フォーカス制御系の時間応答を示した図である。
図6に示した従来例において、光ディスク装置のフォーカスループゲイン調整をする方法は、上記した特許文献1(特開平5−250702号公報)中で従来の技術に開示されているものであり、ここでは特許文献1を参照して簡略に説明する。
図6に示した従来例において、光ディスク装置のフォーカスループゲイン調整をする場合に、まず、ステップS101では、光ディスクの信号面上で、フォーカス制御とトラッキング制御とをそれぞれオン(ON)にする。
次に、ステップS102では、フォーカス制御系に発振器等から発振された一定周波数の正弦波外乱dを印加する。この時、フォーカス制御系では、図7(a)に示したフォーカスエラー信号FEと、図7(b)に示した一定周波数の正弦波外乱信号dと、図7(c)に示したフォーカス制御系に与えられる合成信号(FE+d)とが得られる。
次に、ステップS103では、フォーカスエラー信号FEの振幅と合成信号(FE+d)の振幅とを観測して記録する。
次に、ステップS104では、一定周波数における補償器のループゲインG{=FEの振幅/(FE+d)の振幅}を計算する。
次に、ステップS105では、ステップS104で計算したループゲインGが理想のゲインG0を含む所定値内に入っているか否かを比較し、GがG0を含む所定値内に入っていない場合(NOの場合)には、ステップS106で、不図示の補償器のループゲインKDをKD=(G0/G)×KD(NOW)の計算式により計算してステップS102に戻る。この際、KD(NOW)は現在の補償器のループゲインを示し、KDは更新後の補償器のループゲインを示している。
一方、ステップS105でGがG0を含む所定値内に入っている場合(YESの場合)には、上記した外乱印加、一巡伝達関数の調整を終了することで、フォーカスループゲインの調整が終了する。
この際、上記したフォーカスループゲイン調整をする一般的な方法を応用すればトラッキングループゲインの調整も可能である。
ところで、光ディスクには、再生専用のCD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)とか、一回だけ記録可能なCD−R(Recordable)やDVD−R(Recordable)とか、複数回記録再生可能なDVD−RW(Rewritable)やDVD−RAM(Random Access Memory)とか近開発されたBlu−Ray Discとがあり、とくに、データの記録領域/非記録領域が混在する記録再生可能な光ディスクでは光スポットの反射率が記録領域/非記録領域とで異なり、言い換えると、光スポットの反射率が記録時と再生時で異なっており、更に、記録済み領域か、未記録領域かによっても異なっており、
フォーカスループゲイン及びトラッキングループゲインがその影響を受けることになるが、上記したフォーカスループゲイン調整をする一般的な方法では、光スポットの反射率が異なる記録時と再生時とにそれぞれ対応できるように対策が施されていない。
フォーカスループゲイン及びトラッキングループゲインがその影響を受けることになるが、上記したフォーカスループゲイン調整をする一般的な方法では、光スポットの反射率が異なる記録時と再生時とにそれぞれ対応できるように対策が施されていない。
具体的に説明すると、光ディスク装置内に光ディスクを装着した時に、光ディスクのばらつきを吸収するために初期調整を行うが、この初期調整時にフォーカスループゲイン及びトラッキングループゲインの調整も行う。
この際、フォーカスエラー信号の振幅測定は、合焦点を通過するように対物レンズを上下させる方法が一般的である。一方、トラッキングエラー信号の振幅測定は、フォーカス制御のみかけて、トラッキング制御を外した状態で行うのが一般的である。
この際、再生レーザーパワーでのサーボ信号に対する振幅測定は可能だが、記録レーザーパワーでの振幅測定はできない(記録レーザーパワーでトラッキング制御、フォーカス制御を外すと光ディスクを破損する可能性が高い)ため、記録レーザーパワーでのフォーカスエラー信号の振幅やトラッキングエラー信号の振幅は従来推定するしかなかった。
また、記録時のレーザーパワーは再生時のレーザーパワーの数倍の光量があり、更に、多分割型フォトディテクタからの受光回路を切り替える必要がある等、再生時と比較して様々な振幅変動要因がある。このため再生から推定した記録時のフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号は十分な振幅精度が得られていなかった。
更に、フォーカスループゲイン及びトラッキングループゲインを常に最適にするために
AGC(Automatic Gain Control)回路の適用も考えられるものの、AGC回路を追加することは回路構成が複雑になり、光ディスク装置に対してコストアップの要因となってしまう。
AGC(Automatic Gain Control)回路の適用も考えられるものの、AGC回路を追加することは回路構成が複雑になり、光ディスク装置に対してコストアップの要因となってしまう。
そこで、AGCなど回路を付加することなく既存の光ディスク装置を利用して、記録時のフォーカスサーボのループゲイン及びトラッキングサーボのループゲインの少なくとも一方を簡単に調整できる光ディスク装置が望まれている。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、請求項1記載の発明は、記録レーザーパワーと再生レーザーパワーとが選択的に印加されて、記録時のレーザー光と再生時のレーザー光とを選択的に出射するレーザー光源と、
前記レーザー光源からの前記レーザー光を記録再生可能な光ディスクの信号面に照射する対物レンズと、
前記光ディスクの信号面からの戻り光を複数の受光領域で受光して光電変換した検出信号を出力する多分割型フォトディテクタと、
前記多分割型フォトディテクタからの検出信号を演算してフォーカスエラー信号とトラッキングエラー信号とを少なくとも出力するPD信号演算器と、
前記フォーカスエラー信号に基づいて前記対物レンズを前記光ディスクの信号面に対してフォーカス方向に制御するフォーカス制御手段と、
前記トラッキングエラー信号に基づいて前記対物レンズを前記光ディスクの信号面に対してトラッキング方向に制御するトラッキング制御手段と、
を少なくとも備えた光ディスク装置において、
前記光ディスクのテスト領域上に前記記録時のレーザー光と前記再生時のレーザー光とを選択的に照射し、且つ、前記フォーカスエラー信号及び前記トラッキングエラー信号の少なくとも一方に一定周波数の外乱を印加してフォーカスサーボ及びトラッキングサーボの少なくとも一方のループゲインを測定する時に、前記再生レーザーパワーを用いた時のループゲインに対する前記記録レーザーパワーを用いた時のループゲインの比を演算する記録ループゲイン/再生ループゲイン比演算手段と、
前記記録ループゲイン/再生ループゲイン比演算手段の演算結果に基づいて、前記記録レーザーパワーを用いた時の前記フォーカスエラー信号の振幅及び前記トラッキングエラー信号の振幅の少なくとも一方を再生時と略同じ状態に設定するように制御するサーボ制御手段とを備えたことを特徴とする光ディスク装置である。
前記レーザー光源からの前記レーザー光を記録再生可能な光ディスクの信号面に照射する対物レンズと、
前記光ディスクの信号面からの戻り光を複数の受光領域で受光して光電変換した検出信号を出力する多分割型フォトディテクタと、
前記多分割型フォトディテクタからの検出信号を演算してフォーカスエラー信号とトラッキングエラー信号とを少なくとも出力するPD信号演算器と、
前記フォーカスエラー信号に基づいて前記対物レンズを前記光ディスクの信号面に対してフォーカス方向に制御するフォーカス制御手段と、
前記トラッキングエラー信号に基づいて前記対物レンズを前記光ディスクの信号面に対してトラッキング方向に制御するトラッキング制御手段と、
を少なくとも備えた光ディスク装置において、
前記光ディスクのテスト領域上に前記記録時のレーザー光と前記再生時のレーザー光とを選択的に照射し、且つ、前記フォーカスエラー信号及び前記トラッキングエラー信号の少なくとも一方に一定周波数の外乱を印加してフォーカスサーボ及びトラッキングサーボの少なくとも一方のループゲインを測定する時に、前記再生レーザーパワーを用いた時のループゲインに対する前記記録レーザーパワーを用いた時のループゲインの比を演算する記録ループゲイン/再生ループゲイン比演算手段と、
前記記録ループゲイン/再生ループゲイン比演算手段の演算結果に基づいて、前記記録レーザーパワーを用いた時の前記フォーカスエラー信号の振幅及び前記トラッキングエラー信号の振幅の少なくとも一方を再生時と略同じ状態に設定するように制御するサーボ制御手段とを備えたことを特徴とする光ディスク装置である。
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の光ディスク装置において、
前記PD信号演算器からのアナログの前記フォーカスエラー信号の振幅及びアナログの前記トラッキングエラー信号の振幅の少なくとも一方を所定のゲイン調整ステップ幅で段階的に調整するアナログゲイン補正用手段と、前記アナログゲイン補正用手段より後段に設けたA/D変換器と、A/D変換したデジタルの前記フォーカスエラー信号の振幅及び前記トラッキングエラー信号の振幅の少なくとも一方を調整する内部ゲイン調整手段とを備え、
前記記録ループゲイン/再生ループゲイン比演算手段の演算結果に基づいて、前記記録レーザーパワーを用いた時の前記フォーカスエラー信号の振幅及び前記トラッキングエラー信号の振幅の少なくとも一方を再生時と略同じ状態に設定する際に、前記アナログゲイン補正用手段により前記振幅の値を前記所定のゲイン調整ステップ幅で調整可能な範囲に設定する一方、前記所定のゲイン調整ステップ幅で調整しきれない残留分を前記内部ゲイン調整手段で設定することを特徴とする光ディスク装置である。
前記PD信号演算器からのアナログの前記フォーカスエラー信号の振幅及びアナログの前記トラッキングエラー信号の振幅の少なくとも一方を所定のゲイン調整ステップ幅で段階的に調整するアナログゲイン補正用手段と、前記アナログゲイン補正用手段より後段に設けたA/D変換器と、A/D変換したデジタルの前記フォーカスエラー信号の振幅及び前記トラッキングエラー信号の振幅の少なくとも一方を調整する内部ゲイン調整手段とを備え、
前記記録ループゲイン/再生ループゲイン比演算手段の演算結果に基づいて、前記記録レーザーパワーを用いた時の前記フォーカスエラー信号の振幅及び前記トラッキングエラー信号の振幅の少なくとも一方を再生時と略同じ状態に設定する際に、前記アナログゲイン補正用手段により前記振幅の値を前記所定のゲイン調整ステップ幅で調整可能な範囲に設定する一方、前記所定のゲイン調整ステップ幅で調整しきれない残留分を前記内部ゲイン調整手段で設定することを特徴とする光ディスク装置である。
本発明に係る光ディスク装置によると、とくに、記録可能な光ディスクのテスト領域上に記録時のレーザー光と再生時のレーザー光とを選択的に照射し、且つ、フォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号の少なくとも一方に一定周波数の外乱を印加してフォーカスサーボ及びトラッキングサーボの少なくとも一方のループゲインを測定する時に、再生レーザーパワーを用いた時のループゲインに対する記録レーザーパワーを用いた時のループゲインの比を演算する記録ループゲイン/再生ループゲイン比演算手段と、記録ループゲイン/再生ループゲイン比演算手段の演算結果に基づいて、記録レーザーパワーを用いた時のフォーカスエラー信号の振幅及びトラッキングエラー信号の振幅の少なくとも一方を再生時と略同じ状態に設定するように制御するサーボ制御手段とを備えたため、通常の記録時に情報信号を光ディスクの信号面上に良好に記録することができると共に、再生も良好に行うことができる。
また、上記した記録ループゲイン/再生ループゲイン比演算手段及びサーボ制御手段による各動作をソフト的に処理できるので、AGC回路を設ける必要がなく、光ディスク装置の構成が簡単となり、この光ディスク装置を安価に提供することができる。
また、記録時及び再生時共に、フォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号の少なくとも一方に対して一巡伝達関数を最適化できる。
更に、光ディスク上の未記録領域、重ね書き領域にかかわらず、アナログのフォーカスエラー信の振幅号及びトラッキングエラー信号の振幅の少なくとも一方を一定に設定できるので、この一定な振幅を他の機能回路に適用でき、例えば、アナログのトラッキングエラー信号の振幅を一定に設定した場合に、トラッキング制御外れなどを判定することができる。
以下に本発明に係る光ディスク装置の一実施例を図1〜図5を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る光ディスク装置の全体構成を示した構成図、
図2は図1に示した多分割型フォトディテクタを拡大して示した図、
図3は図1に示した多分割型フォトディテクタからの検出信号をPD信号演算器内で演算する際に、(a)はフォーカスエラー信号を、(b)はトラッキングエラー信号を、(c)はメインデータ再生信号をそれぞれ演算するための回路図である。
図2は図1に示した多分割型フォトディテクタを拡大して示した図、
図3は図1に示した多分割型フォトディテクタからの検出信号をPD信号演算器内で演算する際に、(a)はフォーカスエラー信号を、(b)はトラッキングエラー信号を、(c)はメインデータ再生信号をそれぞれ演算するための回路図である。
図1に示した如く、本発明に係る光ディスク装置10では、記録再生可能な光ディスク1が図示しないスピンドルモータの軸に固着されたターンテーブル上に回転自在に装着されている。この際、記録再生可能な光ディスク1としては、前述したように複数回記録再生可能、言い換えると、重ね書き可能なDVD−RWとかDVD−RAMや最近開発されたBlu−Ray Discと、一回だけ記録再生可能なDVD−Rなどが適用可能となっているが、光ディスク1の種類に応じて後述するように光ピックアップ11内でレーザー光源13から出射されるレーザー光の波長を設定すれば良い。
また、光ディスク1の下方には、光ピックアップ11が光ディスク1の径方向に移動自在に設けられている。
上記した光ピックアップ11は、光ピックアップ筐体12内に、消去レーザーパワーと記録レーザーパワーと再生レーザーパワーとが選択的に印加されて、消去時のレーザー光と記録時のレーザー光と再生時のレーザー光とを選択的に出射するレーザー光源(以下、半導体レーザー13と記す)と、この半導体レーザー13からの発散したレーザー光を平行光に変換するコリメータレンズ14と、この平行光のレーザービームをメインビームと2つのサブビームとによる3ビームに分離する回折素子15と、半透過反射膜16aを有して半導体レーザー13からのレーザー光と光ディスク1からの戻り光とを分離するビームスプリッタ16と、平行光のレーザー光を円偏光に変換するλ/4板17と、レンズホルダ18内に取り付けられてメインビームと2つのサブビームとによる3ビームを光ディスク1に集光する対物レンズ19と、レンズホルダ18の外周に取り付けられて対物レンズ19をフォーカス方向及びトラッキング方向に揺動させるフォーカスコイル20及びトラッキングコイル21と、光ディスク1の信号面1bで反射されたメインビームと2つのサブビームとによる3ビームの戻り光を検出レンズ22,シリンドリカルレンズ23を介して検出する多分割型フォトディテクタ24とで構成されている。
この光ピックアップ11では、光ディスク1としてDVD規格に基づくDVD−RW,DVD−RAM,DVD−Rの場合には波長が650nm程度の半導体レーザー13を用い、最近開発されたBlu−Ray Discの場合には波長が400nm程度の半導体レーザー13を用いている。また、一回だけ記録可能な光ディスク1を用いた場合には、半導体レーザー13に消去レーザーパワーを印加する必要はない。
また、光ピックアップ11内の半導体レーザー13にはレーザー駆動回路25が接続されており、このレーザー駆動回路25を駆動して、重ね書き可能な光ディスク1としてBlu−Ray Discを適用した場合には、消去レーザーパワーを例えば0.35mW、
記録レーザーパワーを例えば4.5mW、再生レーザーパワーを例えば1.9mWに設定した上で、各モードに応じたレーザーパワーを半導体レーザー13に選択的に印加することにより、半導体レーザー13から消去時のレーザー光と記録時のレーザー光と再生時のレーザー光とが選択的に出射されている。
記録レーザーパワーを例えば4.5mW、再生レーザーパワーを例えば1.9mWに設定した上で、各モードに応じたレーザーパワーを半導体レーザー13に選択的に印加することにより、半導体レーザー13から消去時のレーザー光と記録時のレーザー光と再生時のレーザー光とが選択的に出射されている。
尚、消去時,記録時,再生時の各レーザーパワーの値は、光ディスク1の種類と光ディスク1の回転数などにより適宜設定されるものである。
そして、レーザー駆動回路25を駆動して半導体レーザー13からレーザー光を出射させると、このレーザー光はコリメータレンズ14,回折素子15,ビームスプリッタ16,λ/4板17を経由して対物レンズ19に入射され、この対物レンズ19で絞り込んだメインビームと2つのサブビームとによる3ビームが光ディスク1の入射面1aから入射して信号面1bに到達し、メインビームは信号面1b中の一つの記録トラックに照射されると共に、2つのサブビームは一つの記録トラックを中心とした両側に照射されている。
この後、信号面1bに膜付けした金属反射層(図示せず)で反射されたメインビームの戻り光と2つのサブビームの戻り光とが、対物レンズ19,λ/4板17を通過してビームスプリッタ16の半透過反射膜16aで反射されて検出レンズ22,シリンドリカルレンズ23を介して多分割型フォトディテクタ24上にそれぞれスポット状に集光される。
ここで、多分割型フォトディテクタ24は、図2に拡大して示したように、メインビームの戻り光を検出する4分割型フォトディテクタ24Mと、2つのサブビームを検出する2つの2分割型フォトディテクタ24S1,24S2とが一つの半導体基板(図示せず)上にそれぞれ所定の位置に配置して構成されており、この図2はわかり易く説明するためにメインビームを一つの記録トラックに照射し、且つ、2つのサブビームを一つの記録トラックの両側に照射した状態と対応させて図示している。
そして、4分割型フォトディテクタ24Mは、正方形状の受光領域を互いに直交する光ディスク1のトラック方向と、光ディスク1の半径方向とに対してA〜D受光領域に4分割されており、即ち、トラック中心に対して左側の上下にA,D受光領域が配置され、且つ、右側の上下にB,C受光領域が配置されて、これらのA〜D受光領域内に光ディスク1の信号面1bからのメインビームの戻り光が受光されている。
一方、2つの2分割型フォトディテクタ24S1,24S2は、4分割型フォトディテクタ24Mを中心とした対角線上の左右に配置されており、光ディスク1の半径方向に対して受光領域E,Fと受光領域G,Hとにそれぞれ2分割されて、受光領域E,Fと受光領域G,Hとに光ディスク1の信号面1bからの2つのサブビームの戻り光がそれぞれ受光されている。
図1に戻り、光ピックアップ11内の多分割型フォトディテクタ24より後段には、大別するとアナログ信号補正部30と、デジタルサーボプロセッサ40とが設けられており、多分割型フォトディテクタ24で受光した光を光電変換した検出信号24aがアナログ信号補正部30内のPD信号演算器31に出力されている。
まず、アナログ信号補正部30について説明すると、このアナログ信号補正部30は、PD(Photo Detector)信号演算器31と、アナログゲイン補正用手段となるゲイン補正用FEP(Front End Processor)32と、フォーカスエラーA/D変換器33と、トラッキングエラーA/D変換器34と、BPF(Band Pass Filter)35と、ヒステリシスコンパレータ36とで構成されている。
ここで、上記したPD信号演算器31では、多分割型フォトディテクタ24からの検出信号24aを用いてフォーカスエラー信号FEと、トラッキングエラー信号TEと、メインデータ再生信号RFとをそれぞれ演算している。
より具体的に説明すると、フォーカスエラー信号FEは、図3(a)に示した如く、4分割型フォトディテクタ24M(図2)内に形成した4箇所のA〜D受光領域に対して2つの加算器31a,31bと1つの減算器31cとを用いて、周知の非点収差法により下記の式1に基づいて演算している。
[数1]
FE=(A+C)−(B+D) ………式1
FE=(A+C)−(B+D) ………式1
そして、PD信号演算器31内で得られたフォーカスエラー信号FEをゲイン補正用FEP32に入力している。
また、トラッキングエラー信号TEは、図3(b)に示した如く、4分割型フォトディテクタ24M(図2)内に形成した4箇所のA〜D受光領域と、2つの2分割型フォトディテクタ24S1,24S2(図2)内にそれぞれ形成したE,F受光領域とG,H受光領域4とに対して4つの加算器31d〜31gと3つの減算器31h〜31jとを用いて、周知のDPP(Differential Push Pull)法により下記の式2に基づいて演算している。
[数2]
TE={(A+D)−(B+C)}−{(E+G)−(F+H)} ………式2
TE={(A+D)−(B+C)}−{(E+G)−(F+H)} ………式2
そして、PD信号演算器31内で得られたトラッキングエラー信号TEをゲイン補正用FEP32に入力している。
また、メインデータ再生信号RFは、光ディスクの信号面1bに記録された映像情報とか音声情報などであり、図3(c)に示した如く、4分割型フォトディテクタ24M(図2)内に形成した4箇所のA〜D受光領域に対して3つの加算器31k〜31mを用いて、下記の式3に基づいて演算している。
[数3]
RF=(A+B)+(C+D) ………式3
RF=(A+B)+(C+D) ………式3
そして、PD信号演算器31内で得られたメインデータ再生信号RFをRF信号処理回路50に入力して、このRF信号処理回路50により所定のフォーマットに基づいてメインデータを得ている。
また、上記したゲイン補正用FEP32では、ここに入力したフォーカスエラー信号FE及びトラッキングエラー信号TEの少なくとも一方に対して後述するデジタルサーボプロセッサ40内にサーボ制御手段として設けたサーボコントローラ46からの指令によりアナログ的に一定の振幅値が得られるように所定のゲイン調整ステップ幅M(dB)を持って段階的に調整している。
この実施例では、フォーカスエラー信号FEの振幅及びトラッキングエラー信号TEの振幅の両方を調整しているが、フォーカスエラー信号FEの振幅及びトラッキングエラー信号TEの振幅の少なくとも一方だけの調整でも良く、ここでの振幅値の調整については後で詳述する。
尚、ゲイン補正用FEP32では不図示のオフセット調整手段によりフォーカスエラー信号FEのオフセット及びトラッキングエラー信号TEのオフセットが調整されているものとする。
この後、ゲイン補正用FEP32で一定の振幅値に制御されたアナログのフォーカスエラー信号FEは、フォーカスA/D変換器33に入力されて、アナログからデジタルに変換され、後述するデジタルサーボプロセッサ40内のフォーカス内部ゲインアンプ41に入力されている。
また、ゲイン補正用FEP32で一定の振幅値に制御されたアナログのトラッキングエラー信号TEは、トラッキングA/D変換器34に入力されて、アナログからデジタルに変換され、後述するデジタルサーボプロセッサ40内のトラッキング内部ゲインアンプ43に入力されている。
更に、ゲイン補正用FEP32で一定の振幅値に制御されたアナログのトラッキングエラー信号TEは、BPF35にも入力され、このBPF35で光ディスク1の偏芯により発生するディスク周期に一致したオフセット変動やノイズを除去した後、耐ノイズ性を高めたヒステリシスコンパレータ36に入力されている。そして、ヒステリシスコンパレータ36では、所定のスレッショルド(閾値)に一定の幅を持たせることで、この一定の幅を有する閾値を超えた信号が、トラックを検出した信号(トラック数)とみなされて、後述するデジタルサーボプロセッサ40内のトラッキング制御外れ判定器45に入力されている。
次に、デジタルサーボプロセッサ40について説明すると、このデジタルサーボプロセッサ40は、フォーカス内部ゲインアンプ41と、フォーカス制御回路42と、トラッキング内部ゲインアンプ43と、トラッキング制御回路44と、トラッキング制御外れ判定器45と、サーボ制御手段(以下、サーボコントローラと記す)46とで構成されている。
ここで、上記したフォーカス内部ゲインアンプ41は、フォーカスエラーA/D変換器33でA/D変換された後のデジタルのフォーカスエラー信号に対してサーボコントローラ46からの指令によりデジタル的に一定の振幅値が得られるように調整しており、ここでの振幅値の調整については後で詳述するものの、この後、フオーカス制御回路42に入力されている。
そして、フオーカス制御回路42では、フォーカスループゲンインの調整時にデジタルのフォーカスエラー信号に対して後述するようソフト的にフォーカスループゲンインの測定を行って、この結果をサーボコントローラ46に知らせると共に、フオーカス制御信号を生成して、このフオーカス制御信号を後述するフォーカスアクチュエータD/A変換器51に出力している。尚、光ディスク1に対して通常の記録再生動作を行う時には、フォーカスループゲンインの測定を行うことなく、フオーカス制御信号をフォーカスアクチュエータD/A変換器51に出力している。
また、上記したトラッキング内部ゲインアンプ43は、トラッキングエラーA/D変換器34でA/D変換された後のデジタルのトラッキングエラー信号に対してサーボコントローラ46からの指令によりデジタル的に一定の振幅値が得られるように調整しており、ここでの振幅値の調整については後で詳述するものの、この後、トラッキング制御回路44に入力されている。
そして、トラッキング制御回路44では、トラッキングループゲンインの調整時にデジタルのトラッキングエラー信号に対して後述するようソフト的にトラッキングループゲンインの測定を行って、この結果をサーボコントローラ46に知らせると共に、トラッキング制御信号を生成して、このトラッキング制御信号を後述するトラッキングアクチュエータD/A変換器53に出力している。尚、光ディスク1に対して通常の記録再生動作を行う時には、トラッキングループゲンインの測定を行うことなく、トラッキング制御信号をトラッキングアクチュエータD/A変換器53に出力している。
また、サーボコントローラ46は、フォーカスループゲンインの測定結果及びトラッキングループゲンインの測定結果に基づいて前述したゲイン補正用FEP32及びフォーカス内部ゲインアンプ41並びトラッキング内部ゲインアンプ43を制御している。
また、上記したトラッキング制御外れ判定器45では、前述したヒステリシスコンパレータ36の出力からエッジの数をカウントし、図示されない基準区間内のカウント数が一定以上になったら、トラッキング制御外れを検出して、検出結果をサーボコントローラ46に知らせている。このように、ゲイン補正用FEP32で一定の振幅値に調整されたアナログのトラッキングエラー信号TEを利用することで、トラッキング制御外れの検出が可能となる。
次に、フォーカスアクチュエータD/A変換器51では、フオーカス制御回路42から出力されたデジタルのフォーカス制御信号をアナログに変換して、フォーカスアクチュエータドライブ回路52を介して光ピックアップ11内のフォーカスコイル20に印加することで、このフォーカスコイル20と不図示のマグネットとによる磁気力でレンズホルダ18と一体に対物レンズ19を光ディスク1の信号面1bに対してフォーカス方向に制御している。
また、トラッキングアクチュエータD/A変換器53では、トラッキング制御回路44から出力されたデジタルのトラッキング制御信号をアナログに変換して、トラッキングアクチュエータドライブ回路54を介して光ピックアップ11内のトラッキングコイル21に印加することで、このトラッキングコイル21と不図示のマグネットとによる磁気力でレンズホルダ18と一体に対物レンズ19を光ディスク1の信号面1bに対してトラッキング方向に制御している。
ここで、光ディスク1を不図示のターンテーブル上に装着した状態で光ディスク1を記録再生する前の調整時に、本発明の要部となるデジタルサーボプロセッサ40内に設けたフオーカス制御回路42とトラッキング制御回路44とサーボコントローラ46とにより、記録レーザーパワーを用いた時のフォーカスサーボのループゲイン及びトラッキングサーボのループゲインの少なくとも一方をソフト的に処理して測定し、記録レーザーパワーを用いた時のフォーカスエラーの振幅及びトラッキングエラーの振幅の少なくとも一方が再生時と同じ状態になるように制御する技術的思想について図4及び図5を用いて説明する。
図4はフォーカス制御回路(又はトラッキング制御回路)内で記録レーザーパワーを用いた時のフォーカスサーボ(又はトラッキングサーボ)のループゲインをソフト的に処理して測定する状態を仮に回路図に置換して摸式的に示した図、
図5は記録レーザーパワーを用いた時のフォーカスサーボ(又はトラッキングサーボ)のループゲインを再生時と同じ状態に設定する動作を示したフロー図である。
図5は記録レーザーパワーを用いた時のフォーカスサーボ(又はトラッキングサーボ)のループゲインを再生時と同じ状態に設定する動作を示したフロー図である。
図4は、フォーカス制御回路41(又はトラッキング制御回路43)内でソフト処理をわかり易く説明するために、このソフト処理を仮に回路図に置換して等価的に示したものであり、加算器61と、ループゲイン演算器62と、メモリ63と、記録ループゲイン/再生ループゲイン比演算器64と、位相補償回路65とで図示の如く結線されている。
そして、フォーカス内部ゲインアンプ41からのデジタルのフォーカスエラー信号FE(又はトラッキング内部ゲインアンプ43からのデジタルのトラッキングエラー信号TE)が、加算器61とループゲイン演算器62と位相補償回路65とに入力されている。
また、加算器61には不図示の発振器等から発振された一定周波数の正弦波外乱dも入力され、この加算器61内でフォーカスエラー信号FE(又はトラッキングエラー信号TE)と正弦波外乱dとが加算されて、合成信号FE+d(又はTE+d)がループゲイン演算器62に入力される。この際、上記した一定周波数の正弦波外乱dは、光ディスク1の種類によって異なる周波数を用い、また、フォーカスエラー信号FEとトラッキングエラー信号TEとでも異なる周波数を用いており、一例として、Blu−ray Discの場合にはフォーカスエラー信号FEに対して例えば3.2KHzの外乱、トラッキングエラー信号TEに対して例えば3.6KHzの外乱を加算している。
また、ループゲイン演算器62では、合成信号FE+d(又はTE+d)の振幅に対するフォーカスエラー信号FEの振幅(又はトラッキング信号TEの振幅)の比G{=FE/(FE+d)又はTE/(TE+d)}を演算して、一定周波数における補償器のループゲインGをメモリ63内に記憶させている。より具体的には、後述するように、再生レーパワーを用いた時のループゲインGpと、記録レーザーパワーを用いた時の未記録領域へのループゲインGr1と、記録レーザーパワーを用いた時の重ね書き領域へのループゲインGr2とをそれぞれ演算して、各演算結果Gp,Gr1,Gr2をメモリ63内に記憶させている。
また、記録ループゲイン/再生ループゲイン比演算器64では、メモリ63に記憶させた各演算結果Gp,Gr1,Gr2を用いて、後述するように記録ループゲイン/再生ループゲインの比K{=(Gr1+Gr2)/2Gp}を演算することで、記録ループゲインを再生ループゲインと略同じ状態に設定して、この演算結果となる記録ループゲイン/再生ループゲインの比Kをサーボコントローラ46に知らせている。
また、位相補償回路65では、ここに入力されたフォーカスエラー信号FE(又はトラッキングエラー信号TE)に対して位相補償を行ってフォーカス制御信号(又はトラッキング制御信号)を生成し、このフォーカス制御信号(又はトラッキング制御信号)を先に説明したフォーカスアクチュエータD/A変換器51(又はトラッキングアクチュエータD/A変換器53)に入力している。
ここで、図1及び図4並びに図5を併用して、フォーカス制御回路41及びトラッキング制御回路43内でのソフト処理について順を追って説明する。
まず、図5に示した如く、記録レーザーパワーを用いた時のフォーカスエラー信号FE(又はトラッキングッキングエラー信号TE)のゲイン調整において、ステップS1では、不図示のターンテーブル上に装着した重ね書き可能な光ディスク1を回転させながらフォーカス制御をON状態にすると共に、トラッキング制御をON状態にする。
次に、ステップS2では、光ピックアップ11を重ね書き可能な光ディスク1上で内周側に書き込み用のテスト領域として設けたOPC(Optimum Power Control)領域に移動させる。
次に、ステップS3では、光ピックアップ11内のレーザー駆動回路25を消去モードに切り換えて、消去レーザーパワーにより上記したOPC領域全体をイレーズする。
次に、ステップS4では、光ピックアップ11をOPC領域の先頭に移動させ、且つ、光ピックアップ11内のレーザー駆動回路25を再生モードに切り換えて、再生レーザーパワーによりイレーズ済みのOPC領域を再生し、再生レーザーパワーを用いた時のフォーカスサーボのループゲイン(又はトラッキングサーボのループゲイン)Gpを測定する。
次に、ステップS5では、光ピックアップ11を再びイレーズ済みのOPC領域の先頭に移動させ、且つ、光ピックアップ11内のレーザー駆動回路25を記録モードに切り換えて、記録レーザーパワーによりイレーズ済みのOPC領域(未記録領域)を記録し、記録レーザーパワーを用いた時の未記録領域へのフォーカスサーボのループゲイン(又はトラッキングサーボのループゲイン)Gr1を測定する。
次に、ステップS6では、光ピックアップ11を記録済みのOPC領域の先頭に移動させ、且つ、光ピックアップ11内のレーザー駆動回路25を記録モードのままにして、記録レーザーパワーにより記録済みのOPC領域(重ね書き領域)を記録し、記録レーザーパワーを用いた時の重ね書き領域へのフォーカスサーボのループゲイン(又はトラッキングサーボのループゲイン)Gr2を測定する。
ここで、重ね書き可能な光ディスク1に対して記録レーザーパワーを用いた時のフォーカスサーボのループゲイン(又はトラッキングサーボのループゲイン)Grを測定する場合に、ステップS5及びステップS6にて未記録領域へのループゲインGr1と重ね書き領域へのループゲインGr2とに分けて2回測定した理由は、記録時のループゲインGrは記録されるのだから下地の影響が無いのではないかと考えるかもしれないが、実際には下地が未記録領域の場合のループゲインGr1と比較して、下地が記録済みの重ね書き領域のループゲインGr2の方が高めの値になる。
そこで、光ディスク1に情報信号を実際に記録する場合には、下地が未記録領域であるか、それとも記録済みの重ね書き領域であるかの判定はできないために、後述するように未記録領域へのループゲインGr1と重ね書き領域へのループゲインGr2との平均値を取って、これを記録時のループゲインGrとしている。
尚、1回だけ記録可能な光ディスク1の場合には、記録レーザーパワーによりフォーカスサーボのループゲイン(又はトラッキングサーボのループゲイン)Grを1回だけ測定すれば良いものである。
次に、ステップS7では、再生レーザーパワーによるフォーカスサーボのループゲイン(又はトラッキングサーボのループゲイン)Gpに対して、未記録領域の場合のループゲインGr1と重ね書き領域のループゲインGr2との平均値(Gr1+Gr2)/2の比Kを演算して、記録ループゲイン/再生ループゲインの比K{=(Gr1+Gr2)/2Gp}を得て、この記録ループゲイン/再生ループゲインの比Kをサーボプロセッサ46に知らせている。
次に、ステップS8では、サーボプロセッサ46により、ステップS7で演算した記録ループゲイン/再生ループゲインの比Kの演算結果に基づいて、ゲイン補正用FEPのゲインとフォーカス内部ゲインアンプ41(又はトラッキング内部ゲインアンプ43のゲイン)とに振り分けて、後述するように記録レーザーパワーを用いた時のフォーカスエラー信号FEの振幅(又はトラッキングエラー信号TEの振幅)を再生時と略同じ状態に設定している。
ここで、ステップS8で記録レーザーパワーを用いた時のフォーカスエラー信号FEの振幅(又はトラッキングエラー信号TEの振幅)を再生時と略同じ状態に設定する場合に、アナログ信号補正部30内のゲイン補正用FEP32では所定のゲイン調整ステップ幅M(dB)として2dB幅で段階的に調整できるようになっているので、アナログのフォーカスエラー信号FEの振幅(又はトラッキングエラー信号TEの振幅)を所定のゲイン調整ステップ幅M(dB)の調整可能な範囲内で最も近い値を選んで調整し、且つ、この所定のゲイン調整ステップ幅M(dB)で調整しきれない残留分としてデジタルのフォーカスエラー信号FEの振幅(又はトラッキングエラー信号TEの振幅)をデジタルサーボプロセッサ40内のフオーカス内部ゲインアンプ41(又はトラッキング内部ゲインアンプ43)で調整している。
即ち、記録レーザーパワーを用いた時のフォーカスエラー信号FEの振幅(又はトラッキングエラー信号TEの振幅)を再生時と略同じ状態に設定する場合に、アナログ値をメインとして調整し、且つ、デジタル値をサブとして分けて調整することで、例えば、アナログレベルが一定となったトラッキングエラー信号TEを利用して前述したようなトラッキング制御外れを判定することが可能になっている。
上記した動作を説明する際に、記録レーザーパワーを用いた時のフォーカスサーボのループゲインの測定と、トラッキングサーボのループゲインの測定は全く同じであるので、以下ではトラッキングサーボのループゲインについて説明する。
ここで、
Q0(mV):再生TE振幅調整目標値、
Q(mV):再生TE振幅調整後のTE振幅値、
△TGR(dB)=20×LOG10(Q/Q0):目標値のTE振幅に対する調整後 のTE振幅の比、
M(dB):ゲイン補正用FEP32のTEゲイン調整ステップ幅、
Gp:再生レーザーパワーを用いた時のトラッキングサーボのループゲイン、
Gr1:記録レーザーパワーを用いた時の未記録領域へのトラッキングサーボのループ
ゲイン、
Gr2:記録レーザーパワーを用いた時の重ね書き領域へのトラッキングサーボのルー
プゲイン、
△LpTG(dB)=20×LOG10{(Gr1+Gr2)/2Gp}:再生ループ ゲインに対する記録ループゲインの比、とすると、
記録レーザーパワーによるトラッキングサーボ時における記録TEゲイン目標(dB)は、下記の式4になる。
Q0(mV):再生TE振幅調整目標値、
Q(mV):再生TE振幅調整後のTE振幅値、
△TGR(dB)=20×LOG10(Q/Q0):目標値のTE振幅に対する調整後 のTE振幅の比、
M(dB):ゲイン補正用FEP32のTEゲイン調整ステップ幅、
Gp:再生レーザーパワーを用いた時のトラッキングサーボのループゲイン、
Gr1:記録レーザーパワーを用いた時の未記録領域へのトラッキングサーボのループ
ゲイン、
Gr2:記録レーザーパワーを用いた時の重ね書き領域へのトラッキングサーボのルー
プゲイン、
△LpTG(dB)=20×LOG10{(Gr1+Gr2)/2Gp}:再生ループ ゲインに対する記録ループゲインの比、とすると、
記録レーザーパワーによるトラッキングサーボ時における記録TEゲイン目標(dB)は、下記の式4になる。
[数4]
記録TEゲイン目標(dB)=再生TEゲイン(dB)―ΔTGR(dB) +ΔLpTG(dB) ………式4
記録TEゲイン目標(dB)=再生TEゲイン(dB)―ΔTGR(dB) +ΔLpTG(dB) ………式4
この際、ゲイン補正用FEP32のTEゲイン調整ステップ幅はM(dB)であるので、記録TEゲイン目標に最も近いゲインが選ばれる。つまり、記録TEゲインはM×n(n=0,1,2,……)の中で最も近い値に設定される。これにより、ゲイン補正用FEP32内では、Q0+M/2>FEP32から出力したTE振幅値>Q0−M/2
となる。
となる。
また、ゲイン補正用FEP32で調整しきれなかった残留分の記録TE内部ゲインを下記の式5及び式6より求めている。
[数5]
△TGW(dB)=記録TEゲイン目標−記録TEゲイン ………式5
[数6]
記録TE内部ゲイン(dB)=再生時TE内部ゲイン+ΔTGR+ΔTGW ………式6
△TGW(dB)=記録TEゲイン目標−記録TEゲイン ………式5
[数6]
記録TE内部ゲイン(dB)=再生時TE内部ゲイン+ΔTGR+ΔTGW ………式6
上記した各式に対して具体的な数字をあてはめてわかり易く説明すると、
再生TE振幅調整目標値Q0=22.7dB
実際に再生時に設定されたTEゲインQ=22dB
FEP32内のTEゲイン調整ステップ幅M=2dB
△TGR=22−22.7=−0.7dB
再生レーザーパワーを用いた時のTEループゲイン=0.5dB
記録レーザーパワーを用いた時の未記録領域へのTEループゲイン=1.9dB
記録レーザーパワーを用いた時の重ね書き領域へのTEループゲイン=2.7dB
△LpTG={(2.7+1.9)/2}−0.5=1.8dB
記録TEゲイン目標=22―(−0.7)+1.8=24.5dB
となる。
再生TE振幅調整目標値Q0=22.7dB
実際に再生時に設定されたTEゲインQ=22dB
FEP32内のTEゲイン調整ステップ幅M=2dB
△TGR=22−22.7=−0.7dB
再生レーザーパワーを用いた時のTEループゲイン=0.5dB
記録レーザーパワーを用いた時の未記録領域へのTEループゲイン=1.9dB
記録レーザーパワーを用いた時の重ね書き領域へのTEループゲイン=2.7dB
△LpTG={(2.7+1.9)/2}−0.5=1.8dB
記録TEゲイン目標=22―(−0.7)+1.8=24.5dB
となる。
そして、記録TEゲイン目標が24.5dBであるうちの24dB分をゲイン補正用FEP32内で調整する一方、0.5dB分はゲイン補正用FEP32内で2dB幅のTEゲイン調整ステップ幅Mで調整しきれない値であるので、よって実際にゲイン補正用FEP32内でアナログ的に設定される記録TEゲインは24dBとなる。
この状態において、トラッキング内部ゲインアンプ43内で調整される記録TE内部ゲインは以下のように計算される。
再生TE内部ゲイン=0.4dB
△TGW=24.5−24=0.5dB
記録TE内部ゲイン=0.4−0.7+0.5=0.2dB
となり、トラッキング内部ゲインアンプ43内でデジタル的に設定される記録TE内部ゲインは0.2dBとなる。
△TGW=24.5−24=0.5dB
記録TE内部ゲイン=0.4−0.7+0.5=0.2dB
となり、トラッキング内部ゲインアンプ43内でデジタル的に設定される記録TE内部ゲインは0.2dBとなる。
上記のように構成した本発明に係る光ディスク装置10によると、とくに、記録可能な光ディスク1のテスト領域(OPC領域)上に記録時のレーザー光と再生時のレーザー光とを選択的に照射し、且つ、フォーカスエラー信号FE及びトラッキングエラー信号TEの少なくとも一方に一定周波数の外乱dを印加してフォーカスサーボ及びトラッキングサーボの少なくとも一方のループゲインを測定する時に、再生レーザーパワーを用いた時のループゲインに対する記録レーザーパワーを用いた時のループゲインの比を演算する記録ループゲイン/再生ループゲイン比演算手段64と、記録ループゲイン/再生ループゲイン比演算手段64の演算結果に基づいて、記録レーザーパワーを用いた時のフォーカスエラー信号の振幅及びトラッキングエラー信号の振幅の少なくとも一方を再生時と略同じ状態に設定するように制御するサーボ制御手段46とを備えたため、通常の記録時に情報信号を光ディスク1の信号面1b上に良好に記録することができると共に、再生も良好に行うことができる。
また、上記した記録ループゲイン/再生ループゲイン比演算手段64及びサーボ制御手段46による各動作をソフト的に処理できるので、AGC回路を設ける必要がなく、光ディスク装置10の構成が簡単となり、この光ディスク装置10を安価に提供することができる。
また、記録時及び再生時共に、フォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号の少なくとも一方に対して一巡伝達関数を最適化できる。
更に、光ディスク1上の未記録領域、重ね書き領域にかかわらず、アナログのフォーカスエラー信FEの振幅号及びトラッキングエラー信号TEの振幅の少なくとも一方を一定に設定できるので、この一定な振幅を他の機能回路に適用でき、例えば、アナログのトラッキングエラー信号TEの振幅を一定に設定した場合に、トラッキング制御外れなどを判定することができる。
1…光ディスク、1a…入射面、1b…信号面、
10…光ディスク装置、
11…光ピックアップ、12…光ピックアップ筐体、
13…レーザー光源(半導体レーザー)、
14…コリメータレンズ、15…回折素子、16…ビームスプリッタ、17…λ/4板、
18…レンズホルダ、19…対物レンズ、
20…フォーカスコイル、21…トラッキングコイル、
22…検出レンズ、23…シリンドリカルレンズ、
24…多分割型フォトディテクタ、
24M…4分割型フォトディテクタ、24S1,24S2…2分割型フォトディテクタ、
25…レーザー駆動回路、
30…アナログ信号補正部、31…PD信号演算器、
32…アナログゲイン補正手段(ゲイン補正用FEP)、
33…フォーカスエラーA/D変換器、34…トラッキングエラーA/D変換器、
35…BPF、36…ヒステリシスコンパレータ、
40…デジタルサーボプロセッサ、
41…フォーカス内部ゲインアンプ、42…フォーカス制御回路、
43…トラッキング内部ゲインアンプ、44…トラッキング制御回路、
45…トラッキング制御外れ判定器、46…サーボ制御手段(サーボコントローラ)、
50…RF信号処理回路、
51…フォーカスアクチュエータD/A変換器、
52…フォーカスアクチュエータドライブ回路、
53…トラッキングアクチュエータD/A変換器、
54…トラッキングアクチュエータドライブ回路、
61…加算器、62…ループゲイン演算器、63…メモリ、
64…記録ループゲイン/再生ループゲイン比演算器、65…位相補償回路、
d…正弦波外乱、FE…フォーカスエラー信号、TE…トラッキングエラー信号。
10…光ディスク装置、
11…光ピックアップ、12…光ピックアップ筐体、
13…レーザー光源(半導体レーザー)、
14…コリメータレンズ、15…回折素子、16…ビームスプリッタ、17…λ/4板、
18…レンズホルダ、19…対物レンズ、
20…フォーカスコイル、21…トラッキングコイル、
22…検出レンズ、23…シリンドリカルレンズ、
24…多分割型フォトディテクタ、
24M…4分割型フォトディテクタ、24S1,24S2…2分割型フォトディテクタ、
25…レーザー駆動回路、
30…アナログ信号補正部、31…PD信号演算器、
32…アナログゲイン補正手段(ゲイン補正用FEP)、
33…フォーカスエラーA/D変換器、34…トラッキングエラーA/D変換器、
35…BPF、36…ヒステリシスコンパレータ、
40…デジタルサーボプロセッサ、
41…フォーカス内部ゲインアンプ、42…フォーカス制御回路、
43…トラッキング内部ゲインアンプ、44…トラッキング制御回路、
45…トラッキング制御外れ判定器、46…サーボ制御手段(サーボコントローラ)、
50…RF信号処理回路、
51…フォーカスアクチュエータD/A変換器、
52…フォーカスアクチュエータドライブ回路、
53…トラッキングアクチュエータD/A変換器、
54…トラッキングアクチュエータドライブ回路、
61…加算器、62…ループゲイン演算器、63…メモリ、
64…記録ループゲイン/再生ループゲイン比演算器、65…位相補償回路、
d…正弦波外乱、FE…フォーカスエラー信号、TE…トラッキングエラー信号。
Claims (2)
- 記録レーザーパワーと再生レーザーパワーとが選択的に印加されて、記録時のレーザー光と再生時のレーザー光とを選択的に出射するレーザー光源と、
前記レーザー光源からの前記レーザー光を記録再生可能な光ディスクの信号面に照射する対物レンズと、
前記光ディスクの信号面からの戻り光を複数の受光領域で受光して光電変換した検出信号を出力する多分割型フォトディテクタと、
前記多分割型フォトディテクタからの検出信号を演算してフォーカスエラー信号とトラッキングエラー信号とを少なくとも出力するPD信号演算器と、
前記フォーカスエラー信号に基づいて前記対物レンズを前記光ディスクの信号面に対してフォーカス方向に制御するフォーカス制御手段と、
前記トラッキングエラー信号に基づいて前記対物レンズを前記光ディスクの信号面に対してトラッキング方向に制御するトラッキング制御手段と、
を少なくとも備えた光ディスク装置において、
前記光ディスクのテスト領域上に前記記録時のレーザー光と前記再生時のレーザー光とを選択的に照射し、且つ、前記フォーカスエラー信号及び前記トラッキングエラー信号の少なくとも一方に一定周波数の外乱を印加してフォーカスサーボ及びトラッキングサーボの少なくとも一方のループゲインを測定する時に、前記再生レーザーパワーを用いた時のループゲインに対する前記記録レーザーパワーを用いた時のループゲインの比を演算する記録ループゲイン/再生ループゲイン比演算手段と、
前記記録ループゲイン/再生ループゲイン比演算手段の演算結果に基づいて、前記記録レーザーパワーを用いた時の前記フォーカスエラー信号の振幅及び前記トラッキングエラー信号の振幅の少なくとも一方を再生時と略同じ状態に設定するように制御するサーボ制御手段とを備えたことを特徴とする光ディスク装置。 - 請求項1記載の光ディスク装置において、
前記PD信号演算器からのアナログの前記フォーカスエラー信号の振幅及びアナログの前記トラッキングエラー信号の振幅の少なくとも一方を所定のゲイン調整ステップ幅で段階的に調整するアナログゲイン補正用手段と、前記アナログゲイン補正用手段より後段に設けたA/D変換器と、A/D変換したデジタルの前記フォーカスエラー信号の振幅及び前記トラッキングエラー信号の振幅の少なくとも一方を調整する内部ゲイン調整手段とを備え、
前記記録ループゲイン/再生ループゲイン比演算手段の演算結果に基づいて、前記記録レーザーパワーを用いた時の前記フォーカスエラー信号の振幅及び前記トラッキングエラー信号の振幅の少なくとも一方を再生時と略同じ状態に設定する際に、前記アナログゲイン補正用手段により前記振幅の値を前記所定のゲイン調整ステップ幅で調整可能な範囲に設定する一方、前記所定のゲイン調整ステップ幅で調整しきれない残留分を前記内部ゲイン調整手段で設定することを特徴とする光ディスク装置。
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