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JP2007111940A - 近赤外線吸収材料 - Google Patents

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JP2007111940A
JP2007111940A JP2005304217A JP2005304217A JP2007111940A JP 2007111940 A JP2007111940 A JP 2007111940A JP 2005304217 A JP2005304217 A JP 2005304217A JP 2005304217 A JP2005304217 A JP 2005304217A JP 2007111940 A JP2007111940 A JP 2007111940A
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JP
Japan
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group
layer
infrared absorbing
acid
derivative
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Pending
Application number
JP2005304217A
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English (en)
Inventor
Takeshi Haniyu
武 羽生
Toshihisa Takeyama
敏久 竹山
Seiwa Morita
聖和 森田
Hitoshi Adachi
仁 安達
Keiko Itaya
敬子 板屋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Medical and Graphic Inc
Original Assignee
Konica Minolta Medical and Graphic Inc
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Abstract

【課題】高い可視透過率と高い近赤外吸収性能を同時に満たし、且つ、高湿下保存しても近赤外吸収劣化の少ない、しかも耐光性劣化の少ない赤外線吸収材料を得る。
【解決手段】支持体上に、少なくとも1層の近赤外線吸収層を有し、該近赤外線吸収層が、極大波長を750nm〜1100nmの範囲に示す化合物を含有し、前記近赤外線吸収層または、前記近赤外線吸収層の隣接層が、ジヒドロキシベンゼン誘導体またはピラゾリドン誘導体を含有することを特徴とする近赤外線吸収材料。
【選択図】なし

Description

本発明は、近赤外線吸収材料に関する。
従来、プラズマ表示パネル(PDP)は、希ガスをプラズマ状態にして紫外線を放射させ、該紫外線で蛍光体を発光させるが、このとき近赤外線も放射されるので、リモコン等の操作素子の誤作動を防ぐ必要があり、800nm〜1000nmの近赤外線放出の遮蔽に関する要求が高まっている。近赤外線は周辺機器に誤作動等の機能障害を及ぼすものであり、周辺機器ごとに違いがあるが、家電用のテレビやクーラー等のリモコン、その他業務等用特殊なリモコン、および通信用とPDP(プラズマディスプレイ)が各々発する波長が同波長である。
したがって、PDPが設置されている周辺の機器が、このPDPの発する波長により、誤動作を生じる原因となる。この要求に対して、PDPの前面硝子に近赤外線吸収フィルムを貼る方式は、簡便でコスト面でも有利であることからこの方式が主流となっている。
しかし、PDPの発熱や紫外線のために、近赤外線吸収フィルムの劣化が課題で、耐熱性のある近赤外線吸収色素の開発や吸収効率のよい紫外線吸収剤の併用等工夫がされているが満足な性能になっていない。
近赤外線吸収色素の劣化は、水分の影響が大きいので水の影響を受けないように非水系で塗布する方法(例えば、特許文献1等。)があるが、有機溶媒の揮発物の作業衛生上や製造後に揮発する、残留有機溶媒による劣化変動を受けやすいという問題点があり、無溶媒の疎水性樹脂の重合時に色素を存在させて、モノマーと重合開始剤から形成されたものを成型して使用する方法(例えば、特許文献2等。)があるが、高速塗布が難しく生産性が劣る等の問題点がある。
水系溶媒に色素を微粒子固体分散する方法(例えば、特許文献3等。)が提案されている。しかし、この方法は水分の影響を少なからず受けて保存性が劣る等の問題点がある。
また、高速薄膜塗布で高生産性に有利なゼラチン分散水系塗布(例えば、特許文献4等。)は、分散性のよいゼラチン中に近赤外線吸収色素を分散して塗布する水系塗布ということで、高い生産性が得られる反面、保存性に弱いとう欠点を有している。この問題点は、ゼラチンという素材がもつ保水性のために、近赤外線吸収色素の高温高湿保存の劣化が避けられないというのが現状であり、上記の種々の問題点の解決が要望されている。
特開平10−186127号公報の段落(59) 特開平11−109126号公報の段落(42)〜(43) 特開平11−109560号公報の段落(105) 特開平10−333295号公報の段落(71)〜(131)
本発明の目的は、高い近赤外線吸収性能を示し、且つ、保存性も良好な近赤外線吸収材料を提供することである。
本発明の上記目的は、下記の構成1〜7により達成された。
1.
支持体上に、少なくとも1層の近赤外線吸収層を有し、該近赤外線吸収層が、極大波長を750nm〜1100nmの範囲に示す化合物を含有し、前記近赤外線吸収層または、前記近赤外線吸収層の隣接層が、ジヒドロキシベンゼン誘導体またはピラゾリドン誘導体を含有することを特徴とする近赤外線吸収材料。
2.
前記ジヒドロキシベンゼン誘導体が、1,4−ジヒドロキシベンゼン誘導体であることを特徴とする前記1に記載の近赤外線吸収材料。
3.
前記ピラゾリドン誘導体が、1−フェニル−3−ピロリドン誘導体であることを特徴とする前記1または2に記載の近赤外線吸収材料。
4.
前記近赤外線吸収層または隣接層中が、アルカリ剤を含有することを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の近赤外線吸収材料。
5.
前記アルカリ剤がアルカリ金属及びアルカリ土類金属から選択される金属群から選択される金属の塩であることを特徴とする前記4に記載の近赤外線吸収材料。
6.
前記化合物が、フタロシアニン誘導体、ニッケルジチオール錯体化合物、ジイモニウム誘導体及びスクワリウム誘導体からなる群から選択される少なくとも一つであることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の近赤外線吸収材料。
7.
構成層として、反射防止層、高硬度層、粘着層及び電磁波吸収層からなる機能性層群から選択される少なくとも一つの層を有することを特徴とする前記1〜6のいずれか1項に記載の近赤外線吸収材料。
本発明により、高い近赤外線吸収性能を示し、且つ、保存性も良好な近赤外線吸収材料を提供することができた。
本発明の近赤外線吸収材料においては、請求項1〜7のいずれか1項に記載の構成を用いることにより、高い近赤外線吸収性能を示し、且つ、保存性も良好な近赤外線吸収材料を提供することができた。
以下、本発明に係る各構成要素の詳細について、順次説明する。
《近赤外線吸収層》
本発明に係る近赤外線吸収層について説明する。
本発明に係る近赤外線吸収層は、極大波長を750nm〜1100nmの範囲に有する化合物を含有するが、該化合物としては、近赤外線吸収色素が好ましく、例えば、ポリメチン系、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、金属錯体系、アミニウム系、イモニウム系、ジイモニウム系、アンスラキノン系、ジチオール金属錯体系、ナフトキノン系、インドールフェノール系、アゾ系、トリアリルメタン系の化合物などが挙げられる。
本発明の近赤外線吸収材料が好ましく用いられる用途の一例としては、PDP(プラズマディスプレイ)用の光学フィルターが挙げられるが、前記フィルタで近赤外線吸収能が要求されるのは、主として熱線吸収や電子機器のノイズ防止である。このためには、最大吸収波長が750nm〜1100nmである近赤外線吸収能を有する色素が好ましく、金属錯体系化合物、アミニウム系化合物(アミニウム誘導体)、フタロシアニン系化合物(フタロシアニン誘導体)、ナフタロシアニン系化合物(ナフタロシアニン誘導体)、ジイモニウム系化合物(ジイモニウム誘導体)、スクワリウム系化合物(スクワリウム誘導体)等が特に好ましく用いられる。
従来、知られているニッケルジチオール錯体系化合物またはフッ素化フタロシアニン系化合物の吸収極大は、700nm〜900nmであり、実用化するに当たっては、通常、上記化合物よりも長波長域に吸収極大を有するアミニウム系化合物、特に、ジイモニウム系化合物と組み合わせて用いることで、有効な近赤外線吸収効果が得られる。
本発明に係るジイモニウム誘導体としては、下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2007111940
式中、R1〜R8は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基またはアラルキル基を表し、直鎖状でもあるいは分岐鎖状のいずれでもよく、R1〜R8は、各々同一でもよく異なっていても良い。また、Xは陰イオンを示す。
一般式(1)において、R1〜R8で表されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、2−アセトキシエチル基、カルボキメチル基、2−カルボキシエチル基、3−カルボキシプロピル基、2−スルホエチル基、3−スルホプロピル基、4−スルホブチル基、3−スルフェイトプロピル基、4−スルフェイトブチル基、N−(メチルスルホニル)−カルバミルメチル基、3−(アセチルスルファミル)プロピル基、4−(アセチルスルファミル)ブチル基、シアノメチル基、2−シアノエチル基、3−シアノプロピル基、2−シアノプロピル基、4−シアノブチル基、3−シアノブチル基、2−シアノブチル基、5−シアノペンチル基、4−シアノペンチル基、3−シアノペンチル基、2−シアノペンチル基、6−シアノヘキシル基、5−シアノヘキシル基、4−シアノヘキシル基、3−シアノヘキシル基、2−シアノヘキシル基等が挙げられるが、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく用いられる。
一般式(1)において、R1〜R8で表されるシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
一般式(1)において、R1〜R8で表されるアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基等が挙げられる。
一般式(1)において、R1〜R8で表されるアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルメチル基、カルボキシベンジル基、スルホベンジル基、ヒドロキシベンジル基等が挙げられる。
一般式(1)において、R1〜R8で表される各々の基は、上記の基によってさらに置換されていてもよく、また、これらの基は複数が互いに結合して環を形成していてもよい。
一般式(1)において、Xは、1価の陰イオンまたは2価の陰イオンを表す。
一般式(1)において、Xで表される1価の陰イオンとしては、有機酸1価アニオン、無機1価アニオン等があげられる。
有機酸1価アニオンとしては、酢酸イオン、乳酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、プロピオン酸イオン、安息香酸イオン、シュウ酸イオン、コハク酸イオン、ステアリン酸イオン等の有機カルボン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、ナフタレンモノスルホン酸イオン、クロロベンゼンスルホン酸イオン、ニトロベンゼンスルホン酸イオン、ドデシルベンゼンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、エタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等の有機スルホン酸イオン、テトラフェニルホウ酸イオン、ブチルトリフェニルホウ酸イオン等の有機ホウ酸イオン等があげられ、好ましくは、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン等のハロゲノアルキルスルホン酸イオンもしくはアルキルアリールスルホン酸イオンが挙げられる。
無機1価アニオンとしては、例えばフッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン等のハロゲンイオン、チオシアン酸イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、過塩素酸イオン、過ヨウ素酸イオン、硝酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、モリブデン酸イオン、タングステン酸イオン、チタン酸イオン、バナジン酸イオン、リン酸イオン、ホウ酸イオン等があげられ、好ましいものとしては、過塩素酸イオン、ヨウ素イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン等が挙げられる。
一般式(1)において、Xで表される2価の陰イオンとしては、ナフタレン−1、5−ジスルホン酸、R酸、G酸、H酸、ベンゾイルH酸、p−クロルベンゾイルH酸、p−トルエンスルホニルH酸、クロルH酸、クロルアセチルH酸、メタニルγ酸、6−スルホナフチル−γ酸、C酸、ε酸、p−トルエンスルホニルR酸、ナフタリン−1,6−ジスルホン酸、1−ナフトール−4,8−ジスルホン酸、等のナフタレンジスルホン酸誘導体、カルボニルJ酸、4,4’−ジアミノスチルベン−2,2’−ジスルホン酸、ジJ酸、ナフタル酸、ナフタリン−2,3−ジカルボン酸、ジフェン酸、スチルベン−4,4’−ジカルボン酸、6−スルホ−2−オキシ−3−ナフトエ酸、アントラキノン−1,8−ジスルホン酸、1,6−ジアミノアントラキノン−2,7−ジスルホン酸、2−(4−スルホフェニル)−6−アミノベンゾトリアゾール−5−スルホン酸、6−(3−メチル−5−ピラゾロニル)−ナフタレン−1,3−ジスルホン酸、1−ナフトール−6−(4−アミノ−3−スルホ)アニリノ−3−スルホン酸等から導出される2価の有機酸のイオンが挙げられる。
これらの陰イオンのうち、好ましいものとしては、例えば、過塩素酸イオン、ヨウ素イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン等が挙げられる。
以下に、一般式(1)で表されるジイモニウム誘導体の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
(I−1)N,N,N’,N’−テトラキス(4−ジ−n−ブチルアミノフェニル)−1,4−ベンゾキノン−ビス(イモニウム・ヘキサフルオロアンチモン酸)
(I−2)N,N,N’,N’−テトラキス(4−ジ−n−ブチルアミノフェニル)−1,4−ベンゾキノン−ビス(イモニウム・過塩素酸)
(I−3)N,N,N’,N’−テトラキス(4−ジ−アミルアミノフェニル)−1,4−ベンゾキノン−ビス(イモニウム・ヘキサフルオロアンチモン酸)
(I−4)N,N,N’,N’−テトラキス(4−ジ−n−プロピルアミノフェニル)−1,4−ベンゾキノン−ビス(イモニウム・ヘキサフルオロアンチモン酸)
(I−5)N,N,N’,N’−テトラキス(4−ジ−n−ヘキシルアミノフェニル)−1,4−ベンゾキノン−ビス(イモニウム・ヘキサフルオロアンチモン酸)
(I−6)N,N,N’,N’−テトラキス(4−ジ−iso−プロピルアミノフェニル)−1,4−ベンゾキノン−ビス(イモニウム・ヘキサフルオロアンチモン酸)
(I−7)7N,N,N’,N’−テトラキス(4−ジ−n−ペンチルアミノフェニル)−1,4−ベンゾキノン−ビス(イモニウム・ヘキサフルオロアンチモン酸)
(I−8)N,N,N’,N’−テトラキス(4−ジ−メチルアミノフェニル)−1,4−ベンゾキノン−ビス(イモニウム・ヘキサフルオロアンチモン酸)
《ニッケルジチオール錯体化合物》
本発明に係るニッケルジチオール錯体化合物について説明する。
本発明に係るニッケルジチオール錯体化合物としては、下記一般式(2)で表される化合物が好ましく用いられる。
Figure 2007111940
一般式(2)において、R9、R10、R11及びR12は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子等)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、トリフルオロメチル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、p−ニトロフェニル基等)、ヒドロキシ基、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、ブチルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、トリルチオ基等)、ニトロ基、シアノ基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、iso−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、iso−ペンチルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、ナフトキシ基等)、アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、iso−プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、ノニルアミノ基、ベンジルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジ−iso−プロピルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−iso−ブチルアミノ基、ジ−n−ペンチルアミノ基、ジ−iso−ペンチルアミノ基、ジ−n−ヘキシルアミノ基、ジ−n−ヘプチルアミノ基、ジ−n−オクチルアミノ基、ジ−(2−エチルヘキシル)アミノ基、ジベンジルアミノ基等)、ジアリールアミノ基(例えば、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基等)を表す。
rは、1〜5の整数を表す。rが複数の場合、各R9、R10、R11及びR12は、それらが互いに同一でもよく、異なる置換基でも構わない。
以下に、本発明に係るニッケルジチオール錯体の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2007111940
Figure 2007111940
《フタロシアニン誘導体(フタロシアニン化合物ともいう)》
本発明に係るフタロシアニン誘導体(フタロシアニン化合物)としては、下記一般式(3)で表される化合物が好ましい。
Figure 2007111940
一般式(3)において、R13〜R16は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基(芳香族炭化水素基、芳香族炭素環基等ともいう)、芳香族複素環基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、またはアリールチオ基を表す。R13〜R16で表される基が、複数の場合には、それらは、互いに同一でもよく、また、お互いに異なっていてもよい。Mは、2価の金属原子、3価の金属原子、4価の金属原子またはオキシ金属を表す。
pは1〜4の整数を表す。また、置換基が隣接する場合、5員または6員の環を形成してもよい。
一般式(3)において、R13〜R16で表されるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子等が挙げられる。
一般式(3)において、R13〜R16で表されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、neo−ペンチル基、1,2−ジメチル−プロピル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、1,3−ジメチル−ブチル基、1−iso−プロピルプロピル基、1,2−ジメチルブチル基、ヘプチル基、1,4−ジメチルペンチル基、2−メチル1−iso−プロピルプロピル基、1−エチル−3−メチルブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3−メチル−1−iso−プロピルブチル基、2−メチル−1−iso−プロピル基、1−tert−ブチル−2−メチルプロピル基、n−ノニル基等の炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルキル基、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシエチル基、ブトキシエチル基、γ−メトキシプロピル基、γ−エトキシプロピル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、ジメトキシメチル基、ジエトキシメチル基、ジメトキシエチル基、ジエトキシエチル基等のアルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシアルコキシアルキル基、クロロメチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、1,1,1,3,3,3,−ヘキサフルオロ−2−プロピル基等のハロゲン化アルキル基、アルキルアミノアルキル基、ジアルキルアミノアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、アルキルアミノカルボニルアルキル基、アルコキシスルホニルアルキル基等が挙げられる。これらの基は更に置換基を有していてもよい。
一般式(3)において、R13〜R16で表されるアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、iso−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、iso−ブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、iso−ペンチルオキシ基、neo−ペンチルオキシ基、1,2−ジメチル−プロピルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、1,3−ジメチル−ブチルオキシ基、1−iso−プロピルプロピルオキシ基、1,2−ジメチルブチルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、1,4−ジメチルペンチルオキシ基、2−メチル−1−iso−プロピルプロピルオキシ基、1−エチル−3−メチルブチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3−メチル−1−iso−プロピルブチルオキシ基、2−メチル−1−iso−プロピルオキシ基、1−tert−ブチル−2−メチルプロピルオキシ基、n−ノニルオキシ基等の炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルコキシ基、メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、プロポキシエトキシ基、ブトキシエトキシ基、γ−メトキシプロピルオキシ基、γ−エトキシプロピルオキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、ジメトキシメトキシ基、ジエトキシメトキシ基、ジメトキシエトキシ基、ジエトキシエトキシ基等のアルコキシアルコキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、ブチルオキシエトキシエトキシ基等のアルコキシアルコキシアルコキシ基、アルコキシアルコキシアルコキシアルコキシ基、クロロメトキシ基、2,2,2−トリクロロエトキシ基、トリフルオロメトキシ基、2,2,2−トリクロロエトキシ基、1,1,1,3,3,3,−ヘキサフルオロ−2− プロピルオキシ基等のハロゲン化アルコキシ基、ジメチルアミノエトキシ基、ジエチルアミノエトキシ基などのアルキルアミノアルコキシ基、ジアルキルアミノアルコキシ基等が挙げられる。これらの基は更に置換基を有していてもよい。
一般式(3)において、R13〜R16で表されるアリール基としては、例えば、フェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、ブロモフェニル基、フッ素化フェニル基、ヨウ素化フェニル基等のハロゲン化フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、エチルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基等が挙げられる。
一般式(3)において、R13〜R16で表される芳香族複素環基としては、例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等が挙げられる。これらの基は更に置換基を有していてもよい。
一般式(3)において、R13〜R16で表されるアリールオキシ基としては、フェノキシ基、ナフトキシ基等が挙げられる。これらの基は更に置換基を有していてもよい。
一般式(3)において、R13〜R16で表されるアルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、iso−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、iso−ブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、n−ペンチルチオ基、iso−ペンチルチオ基、neo−ペンチルチオ基、1,2−ジメチル−プロピルチオ基、n−ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、1,3−ジメチル−ブチルチオ基、1−iso−プロピルプロピルチオ基、1,2−ジメチルブチルチオ基、n−ヘプチルチオ基、1,4−ジメチルペンチルチオ基、2−メチル1−iso−プロピルプロピルチオ基、1−エチル−3−メチルブチルチオ基、n−オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、3−メチル−1−iso−プロピルブチルチオ基、2−メチル−1−iso−プロピルチオ基、1−tert−ブチル−2−メチルプロピルチオ基、n−ノニルチオ基等の炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキルチオ基、メトキシメチルチオ基、メトキシエチルチオ基、エトキシエチルチオ基、プロポキシエチルチオ基、ブトキシエチルチオ基、γ−メトキシプロピルチオ基、γ−エトキシプロピルチオ基、メトキシエトキシエチルチオ基、エトキシエトキシエチルチオ基、ジメトキシメチルチオ基、ジエトキシメチルチオ基、ジメトキシエチルチオ基、ジエトキシエチルチオ基等のアルコキシアルキルチオ基、アルコキシアルコキシアルキルチオ基、アルコキシアルコキシアルコキシアルキルチオ基、クロロメチルチオ基、2,2,2−トリクロロエチルチオ基、トリフルオロメチルチオ基、2,2,2−トリクロロエチルチオ基、1,1,1,3,3,3,−ヘキサフルオロ−2−プロピルチオ基等のハロゲン化アルキルチオ基、ジメチルアミノエチルシチオ基、ジエチルアミノエチルチオ基等のアルキルアミノアルキルチオ基、ジアルキルアミノアルキルチオ基等が挙げられる。これらの基は更に置換基を有していてもよい。
一般式(3)において、R13〜R16で表されるアリールチオ基としては、フェニルチオ基、ナフチルチオ基、アルキルフェニルチオ基等を挙げることができる。これらの基は更に置換基を有していてもよい。
一般式(3)において、Mで表される2価の金属原子(2価の金属ともいう)としては、Cu(II)、Zn(II)、Co(II)、Ni(II)、Ru(II)、Rh(II)、Pd(II)、Pt(II)、Mn(II)、Mg(II)、Ti(II)、Be(II)、Ca(II)、Ba(II)、1d(II)、Hg(II)、Pb(II)、Sn(II)等が挙げられる。
一般式(3)において、Mで表される3価の金属原子(3価の金属ともいい、4価の金属が一つの置換基を有して3価の金属を形成していてもよい)としては、例えば、Al−Cl、Al−Br、Al−F、Al−I、Ga−Cl、Ga−F、Ga−I、Ga−Br、In−Cl、In−Br、In−I、In−F、Tl−Cl、Tl−Br、Tl−I、Tl−F、Al−C65(ここで、−C65は、フェニル基を表す)、Al−C64(CH3)、In−C65、In−C64(CH3)、In−C65、Mn(OH)、Mn(OC65)、Mn〔OSi(CH33〕、Fe−Cl、Ru−Cl等が挙げられる。
一般式(3)において、Mで表される4価の金属原子(4価の金属ともいい、6価の金属原子が二つの置換基を有して4価の金属を形成していてもよい)としては、例えば、CrC2、SiCl2、SiBr2、SF2、SiI2、ZrCl2、GeCl2、GeBr2、GeI2、GeF2、SnCl2、SnBr2、SnF2、TiCl2、TiBr2、TiF2、Si(OH)2、Ge(OH)2、Zr(OH)2、Mn(OH)2、Sn(OH)2、TiR2、CrR2、SiR2、SnR2、GeR2〔Rはアルキル基、フェニル基、ナフチル基またはそれらから誘導される基を表す〕、Si(OR’)2、Sn(OR’)2、Ge(OR’)2、Ti(OR’)2、Cr(OR’)2〔R’はアルキル基、フェニル基、ナフチル基、トリアルキルシリル基、ジアルキルアルコキシシリル基またはそれらから誘導される基を表す〕、Sn(SR”)2、Ge(SR”)2(R”はアルキル基、フェニル基、ナフチル基またはそれらから誘導される基を表す)等が挙げられる。
一般式(3)において、Mで表されるオキシ金属としては、例えば、VO、MnO、TiOな等を挙げることができる。
本発明に係る一般式(3)で表される化合物は、例えば、特開2005−145896号公報を参考にして合成することが出来る。
以下、一般式(3)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2007111940
Figure 2007111940
Figure 2007111940
《スクワリウム誘導体(スクワリウム化合物ともいう)》
本発明に係るスクワリウム誘導体(スクワリウム化合物)としては、下記一般式(4)で表される化合物が好ましく用いられる。
Figure 2007111940
式中、R17〜R27は、各々、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、芳香族複素環基または複素環基を表す。X1〜X4は、各々、−N(R)−、−O−、−S−を表す。Rは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基を表すが、これらの基は、各々、後述する、一般式(4)において、R17〜R27で表されるアルキル基、シクロアルキル基、アリール基と同義である。
一般式(4)において、R17〜R27で表されるアルキル基は、炭素数1〜20、より好ましくは1〜12のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、へキシル基、ウンデシル基等)が挙げられる。前記のアルキル基は、ハロゲン原子(例えば、F、Cl、Br等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)、ヒドロキシ基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、イソブトキシ基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、ブチリルオキシ基、ヘキシリルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等)、スルホ基(塩でもよい)、カルボキシル基(塩でもよい)等で置換されていてもよい。
一般式(4)において、R17〜R27で表されるシクロアルキル基は、シクロペンチル、シクロヘキシルを挙げることが出来る。
一般式(4)において、R17〜R27で表されるアリール基としては、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等が挙げられるが、中でも、6から12の炭素数のものが好ましく、特に好ましくは、フェニル基、ナフチル基が挙げられる。
これらのアリール基は、炭素数1から8のアルキル基(例えば、メチル、エチル、ブチル)、炭素原子数1から6のアルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、p−クロロフェノキシ)、ハロゲン原子(F、Cl、Br)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル)、アミノ基(例えば、メチルアミノ、アセチルアミノ、メタンスルホンアミド)、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基(塩でもよい)およびスルホ基(塩でもよい)等によって置換されていてもよい。
一般式(4)において、R17〜R27で表されるアラルキル基は、7から12の炭素数を有するアラルキル基が好ましく(例えば、ベンジル、フェニルエチル)
、置換基(例えば、メチル、メトキシ、クロル原子)を有していてもよい。
一般式(4)において、R17〜R27で表される芳香族複素環基としては、例えば、ピリジル基、ピリミジニル基、チエニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、トリアゾリル基(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル基、1,2,3−トリアゾール−1−イル基等)、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、フラザニル基、チエニル基、キノリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、キノキサリニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等が挙げられる。
これらの芳香族複素環基は、上記のアルキル基、アリール基等によって更に置換されていてもよい。
一般式(4)において、R17〜R27で表される複素環基としては、例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等が挙げられる。
これらの複素環基は、上記のアルキル基、アリール基等によって更に置換されていてもよい。
また、隣接する置換基がお互いに結合しシクロペンタンまたはシクロヘキサン環を形成してもよい。m、nは0または1〜6の整数を表し、混合物であってもよい。
本発明に係る一般式(4)で表される化合物は、D.J.Gravesteijnetal:Optical Storage Media SPIE−420,p327,1983を参照して合成することが可能である。
以下、一般式(4)で表されるスクワリウム誘導体の具体例(S−1〜S−6、S−12及びS−13)と、一般式(4)のカテゴリーには含まれないが、本発明に用いてもよいスクワリウム化合物の具体例(S−7〜S−11)をを示すが、本発明はこららに限定されない。
Figure 2007111940
Figure 2007111940
更に、本発明に係る近赤外線吸収色素として、ジイモニウム誘導体としては、IRG−022、IRG−040(これらは、日本化薬株式会社製商品名である)等、ニッケルジチオール錯体化合物としては、SIR−128、SIR−130、SIR−132、SIR−159、SIR−152、SIR−162(これらは、三井化学株式会社製商品名である)等、フタロシアニン誘導体としては、IR−10、IR−12(以上、日本触媒株式会社商品名)等の市販品を利用することができる。
上記近赤外線吸収剤は、メタノール、エタノール及びイソプロパノール等のアルコール溶剤、アセトン、メチルエチルケトン及びメチルブチルケトン等のケトン溶媒、ジメチルスルホオキサイド、ジメチルホルムアミド、ジメチルエーテル、トルエン等有機溶解して使用するか、後述する微粒子化機械で平均粒子径0.01μm〜10μmの微粒子にして塗布することが好ましく、添加量としては光学濃度が、極大波長で0.05〜3.0の濃度範囲になるように調整して使用することが好ましい。
尚、近赤外線吸収能を有する色素を、色調調節層に含有させる場合、上記の色素のうちいずれか1種類を含有させてもよいし、2種以上を含有させてもよい。また、近赤外線吸収色素の紫外線による劣化を避けるために紫外線吸収剤を併用することが好ましい。紫外線吸収剤の使用は、近赤外吸収層内に含有させてもよいが、該層の上層または下層でもよいし、支持体の反対側に設定してもよい。
本発明に係る近赤外線吸収層または、該近赤外線吸収層の隣接層(隣接層については、後述するが、中間層ともいう)には、ジヒドロキシベンゼン誘導体またはピラゾリドン誘導体が含有される。
《ジヒドロキシベンゼン誘導体》
本発明に係るジヒドロキシベンゼン誘導体について説明する。
本発明に使用されるジヒドロキシベンゼン誘導体は、ベンゼン環に2つのヒドロキシ基を有する化合物であるが、中でも、本発明において好ましく用いられるのは、下記一般式(5)で表される化合物である。
Figure 2007111940
式中、R11〜R14は、各々水素原子または置換基を表す。
一般式(5)において、R11〜R14で、各々表される置換基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、芳香族炭化水素基(芳香族炭素環基、アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基)、芳香族複素環基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、iso−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、iso−ブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、iso−ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基(フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基、メチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、iso−プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、ノニルアミノ基、ベンジルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジ−iso−プロピルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−iso−ブチルアミノ基、ジ−n−ペンチルアミノ基、ジ−iso−ペンチルアミノ基、ジ−n−ヘキシルアミノ基、ジ−n−ヘプチルアミノ基、ジ−n−オクチルアミノ基、ジ−(2−エチルヘキシル)アミノ基、ジベンジルアミノ基、ジナフチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)、等が挙げられる。
これらの置換基は、上記の置換基によって更に置換されていてもよい。また、これらの置換基は複数が互いに結合して環(5員〜8員環)を形成していてもよい。
以下に、本発明に係るジヒドロキシベンゼン誘導体の好ましい具体的を示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2007111940
《ピラゾリドン誘導体(ピラゾリドン化合物ともいう)》
本発明に係るピラゾリドン誘導体について説明する。
本発明に使用されるピラゾリドン誘導体は、ピラゾリドン骨格構造を母核に有するものであり、好ましい構造は2位、4位または5位が置換された1−フェニル−3−ピロリドン類であり、該置換基としてはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜13のアラルキル基が好ましい。またこれらのアルキル基、アリール基、アラルキル基は各々置換基を有していてもよく、各置換基としてはたとえば、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、アミノ基、ニトロ基、スルホン酸基、カルボキシ基、ハロゲン原子を挙げることができる。以下にこれらの具体的な化合物の例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
(1) 1−フェニル−4,4−ジヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン
(2) 1−p−トリル−4,4−ジヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン
(3) 1−フェニル−4−ヒドロキシメチル−4−メチル−3−ピラゾリドン
(4) 1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン
(5) 1−フェニル−2−ヒドロキシメチル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン
(6) 1−フェニル−2−モルフォリノメチル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン
(7) 1−フェニル−2−モルフォリノメチル−4−メチル−3−ピラゾリドン
(8) 1−フェニル−2−ヒドロキシメチル−4−メチル−3−ピラゾリドン
(9) 1−フェニル−5,5−ジメチル−3−ピラゾリドン
(10)1−フェニル−5−メチル−3−ピラゾリドン
(11)1−p−トリル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン
(12)1−p−ヒドロキシフェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン
(13)1−o−トリル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン
(14)1−p−メトキシフェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン
(15)1−(3,5−ジメチル)フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン
(16)1−フェニル−3−ピラゾリドン
本発明に係るジヒドロキシベンゼン誘導体とピラゾリドン誘導体は、単独または併用して使用することが出来る。併用時には、一般式(5)で表される化合物に対して、一般式(1)で表される化合物はモル比で0.01〜20、好ましくは0.1〜10の範囲になるように調整されることが好ましい。
《アルカリ剤》
本発明に係るアルカリ剤について説明する。
本発明に係るアルカリ剤は、アルカリ金属塩類またはアルカリ土類金属塩であることが好ましく、塩は、水酸化物、炭酸化物、炭酸水素化物、亜硫酸化物、アンモニウム塩等の塩の形で含有させることができる。好ましいアルカリ剤の具体例は、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸リチウム等である。使用量は、近赤外吸収色素に対して、1〜1000モルの範囲で使用することができる。使用に際しては、塗布液において、pHが5〜12の範囲になるように添加することがこのましく、更に好ましい添加量は、pHが6〜11の範囲になるように添加することである。
《近赤外線吸収層》
本発明に係る近赤外吸収色素層は全バインダーの30質量%以上が後述するラテックスに由来するポリマーであることが好ましいが、60質量%以上が該ラテックスに由来するポリマーであることが更に好ましい。
本発明に係る近赤外線吸収層には必要に応じて全バインダーの60質量%以下の範囲でゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどの親水性ポリマーを添加しても良い。これらの親水性ポリマーの添加量は感光層の全バインダーの40質量%以下が好ましい。本発明に係る近赤外吸収層または隣接層に用いられるポリビニルアルコール(PVA)としては以下の化合物がある。
けん化物としては、PVA−124H[PVA含有率93.5質量%、けん化度99.6±0.3モル%、酢酸ナトリウム含有率1.85質量%、揮発分5.0質量%、粘度(4質量%、20℃)61.0±6.0CPS]、PVA−CS[PVA含有率94.0質量%、けん化度97.5±0.5モル%、酢酸ナトリウム含有率1.0質量%、揮発分5.0質量%、粘度(4質量%、20℃)27.5±3.0CPS]、PVA−CST[PVA含有率94.0質量%、けん化度96.0±0.5モル%、酢酸ナトリウム含有率1.0質量%、揮発分5.0質量%、粘度(4質量%、20℃)27.0±3.0CPS]、PVA−HC[PVA含有率90.0質量%、けん化度99.85モル%以上、酢酸ナトリウム含有率2.5質量%、揮発分8.5質量%、粘度(4質量%、20℃)25.0±3.5CPS](以上、いずれもクラレ(株)製の商品名)。赤外吸収層や隣接層の最終の塗布液のpHは5.0〜7.8の範囲が好ましく、5.5〜7.2の範囲が特に好ましい。
《水系の塗布液(溶液及び分散液の状態も含む)》
本発明に係る近赤外線吸収層は水系の塗布液を塗布後乾燥して形成する。但し、ここで言う「水系」とは塗布液の溶媒(分散媒)の30質量%以上が水の場合である。
塗布液の水以外の成分としてはメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、酢酸エチルなどの水混和性の有機溶媒を用いることができる。
具体的な溶媒組成の例としては以下のようなものがある。水/メタノール=90/10、水/メタノール=70/30、水/エタノール=90/10、水/イソプロパノール=90/10、水/ジメチルホルムアミド=95/5、水/メタノール/ジメチルホルムアミド=80/15/5、水/メタノール/ジメチルホルムアミド=90/5/5(但し、数字は質量%を表す)。
本発明に係る近赤外線吸収層の1層当たりの全バインダー量は、近赤外線吸収材料1m2当たりの塗布量で示して0.2g/m2〜30g/m2、より好ましくは1g/m2〜15g/m2の範囲が好ましい。近赤外線吸収層の1層当たりの膜厚は0.3μm〜50μmであることが好ましく、より好ましくは1.5μm〜30μmである。
本発明に用いられるラテックス(ラテックスについては後に詳細に説明する)は、単独で使用するか、または、ゼラチンと共に使用し、ゼラチンと共に使用する場合でもゼラチンが少ない程よい。ゼラチンの使用質量%比が大きいと耐湿性の劣化が大きく、少ないと塗布が均一となりにくい。故にラテックス樹脂の50%以下が好ましい。本発明では、バインダーとして、ポリビニルブチラルのような酢酸ビニルを鹸化処理をして、アルデヒドで架橋したポリビニルブチラル樹脂をゼラチンに分散して使用してもよい。
《近赤外線吸収層の塗布用分散物の調製》
近赤外線吸収色素は、水溶性の場合には水溶液にして、水不溶性の場合にはアルコール類、エステル類、ケトン類等の水に混和しうる有機溶媒の溶液としてラテックス溶液に添加すればよい。また、これらの有機溶媒に溶けないときには、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、ジェットミル等で0.01μm〜10μmの大きさの微粒子にして添加することができる。微粒子分散の方法は、固体分散の技術を好ましく応用することができる。例えば、ボールミル、遊星回転ボールミル、振動ボールミル、ジェットミル等の分散機を使用して所望の粒子径にすることができる。分散時に界面活性剤を使用すると分散後の安定性を向上させることができる。
本発明に適した分散装置としては、マイクロフルイデックス・インターナショナル・コーポレーション社製マイクロフルイダイザーM−110S−EH(G10Zインターラクションチャンバー付き)、M−110Y(H10Zインターラクションチャンバー付き)、M−140K(G10Zインターラクションチャンバー付き)、HC−5000(L30ZまたはH230Zインターラクションチャンバー付き),HC−8000(E230ZまたはL30Zインターラクションチャンバー付き)等が挙げられる。これらの装置を用い、少なくとも近赤外吸収色素を含む水分散液を高圧ポンプ等で加圧して配管内に送入した後、配管内に設けられた細いスリットを通過させることにより所望の圧力を印加し、この後に配管内の圧力を大気圧に急速に戻す等の方法で分散液に急激な圧力降下を生じさせることにより本発明に最適な近赤外吸収色素分散物を得ることが可能である。分散操作に先だって、原料液を予備分散することが好ましい。予備分散する手段としては公知の分散手段(例えば、高速ミキサー、ホモジナイザー、高速衝撃ミル、バンバリーミキサー、ホモミキサー、ニーダー、ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル、コロイドミル、ジェットミル、ローラーミル、トロンミル、高速ストーンミル)を用いることができる。機械的に分散する以外にも、pHコントロールすることで溶媒中に粗分散し、その後、分散助剤の存在下でpHを変化させて微粒子化させても良い。このとき、粗分散に用いる溶媒として有機溶媒を使用しても良く、通常有機溶媒は微粒子化終了後除去される。
近赤外吸収色素分散においては、流速、圧力降下時の差圧と処理回数の調節によって所望の粒子サイズに分散することが可能であるが、粒子サイズの点から、流速が200m/秒〜600m/秒、圧力降下時の差圧が900kg/cm2〜3000kg/cm2の範囲が好ましく、流速が300m/秒〜600m/秒、圧力降下時の差圧が1500kg/cm2〜3000kg/cm2の範囲であることが更に好ましい。分散処理回数は必要に応じて選択できるが、通常は1回〜10回の処理回数が選ばれるが、生産性の点からは1回〜3回程度の処理回数が選ばれる。高圧下でこのような水分散液を高温にすることは、分散性点から好ましくなく、90℃を越えるような高温では粒子サイズが大きくなりやすくなる。従って、本発明では前記の高圧、高流速に変換する前の工程もしくは、圧力降下させた後の工程、あるいはこれらの両工程に冷却工程を含み、このような水分散の温度が冷却工程により5℃〜90℃の範囲に保たれていることが好ましく、更に好ましくは5℃〜80℃の範囲、特に5℃〜65℃の範囲に保たれていることが好ましい。特に、1500kg/cm2〜3000kg/cm2の範囲の高圧の分散時には前記の冷却工程を設置することが有効である。冷却器は、その所要熱交換量に応じて、二重管や二重管にスタチックミキサーを使用したもの、多管式熱交換器、蛇管式熱交換器等を適宜選択できる。
また、熱交換の効率を上げるために、使用圧力を考慮して、管の太さ、肉厚や材質など好適なものを選べばよい。冷却器に使用する冷媒は、熱交換量から、20℃の井水や冷凍機で処理した5℃〜10℃の冷水、また必要に応じて−30℃のエチレングリコール/水等の冷媒を使用することもできる。
分散操作では、水性溶媒可溶な分散剤(分散助剤)の存在下で近赤外吸収色素を分散することが好ましい。分散助剤としては、例えば、ポリアクリル酸、アクリル酸の共重合体、マレイン酸共重合体、マレイン酸モノエステル共重合体、アクリロメチルプロパンスルホン酸共重合体などの合成アニオンポリマー、カルボキシメチルデンプン、カルボキシメチルセルロースなどの半合成アニオンポリマー、アルギン酸、ペクチン酸などのアニオン性ポリマー、特開平7−350753号公報に記載の化合物、あるいは公知のアニオン性、ノニオン性、カチオン性界面活性剤やその他のポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の公知のポリマー、或いはゼラチン等の自然界に存在する高分子化合物を適宜選択して用いることができるが、ポリビニルアルコール類、水溶性のセルロース誘導体が特に好ましい。分散助剤は、分散前に近赤外吸収色素の粉末またはウェットケーキ状態の近赤外吸収色素と混合し、スラリーとして分散機に送り込むのは一般的な方法であるが、予め近赤外吸収色素と混ぜ合わせた状態で熱処理や溶媒による処理を施して近赤外吸収色素粉末またはウェットケーキとしても良い。分散前後または分散中に適当なpH調整剤によりpHコントロールしても良い。機械的に分散する以外にも、pHコントロールすることで溶媒中に粗分散し、その後、分散助剤の存在下でpHを変化させて微粒子化させても良い。このとき、粗分散に用いる溶媒として有機溶媒を使用しても良く、通常有機溶媒は微粒子化終了後除去される。
調製された分散物は、保存時の微粒子の沈降を抑える目的で撹拌しながら保存したり、親水性コロイドにより粘性の高い状態(例えば、ゼラチンを使用しゼリー状にした状態)で保存したりすることもできる。また、保存時の雑菌などの繁殖を防止する目的で防腐剤を添加することもできる。
本発明に用いる近赤外吸収色素を含む微粒子分散物は、少なくとも近赤外吸収色素と水から成るものである。近赤外吸収色素と水との割合は特に限定されるものではないが、微粒子分散物中における近赤外吸収色素の全体に占める割合は5質量%〜50質量%であることが好ましく、特に10質量%〜30質量%の範囲が好ましい。
上記の微粒子分散物の調製にあたり、上記の分散助剤を用いることは好ましいが、粒子サイズを最小にするのに適した範囲で最少量使用するのが好ましく、近赤外線吸収色素に対して0.5質量%〜30質量%、特に1質量%〜15質量%の範囲が好ましい。
本発明では近赤外線吸収色素水分散液と紫外線吸収剤水分散液を混合して近赤外線吸収材料を製造することが可能であるが、近赤外線吸収色素と紫外線吸収剤の混合比率は目的に応じて選べるが、近赤外線吸収色素に対する紫外線吸収の割合は0.01〜30モル%の範囲が好ましく、更に0.1モル%〜10モル%、特に0.5モル%〜5モル%の範囲が好ましい。混合する際に2種以上の近赤外線吸収色素と2種以上の紫外線吸収剤を混合することは制限されない。
近赤外線吸収層を設けるに際しては、支持体上に接着層/帯電防止層/近赤外吸収色素含有層の順にすると帯電防止効果も得られるので好都合である。接着層としてコロナ放電した支持体上に塩化ビニリデン共重合体やスチレン−グリシジルアクリレート共重合体を0.1μm〜1μmの厚さで塗布した後、帯電防止層としてインジウムやリンをドープした平均粒子径0.01μm〜1μmの酸化錫、5酸化バナジウムの微粒子を含むゼラチン層やアクリル又はメタクリルポリマー層或いは非アクリルポリマー層を塗布することができる。
また、スチレンスルホン酸とマレイン酸共重合体を前述したアジリジンやカルボニル活性型の架橋剤で造膜して設けることができる。これら帯電防止層の上に色素層を設けて近赤外吸収層とする。近赤外吸収層中には、コロイダルシリカ更にはコロイダルシリカの表面をメタクリレートやアクリレートポリマーまたはスチレンポリマーやアクリルアミド等の非アクリレートポリマー、等で被覆した複合コロイダルシリカ等で寸法安定のための無機又は複合充填物や接着防止のシリカやメタクリル酸メチルマット剤、搬送性の制御のためのシリコン系滑り剤或いは剥離剤等を含有させることができる。
プラズマディスプレイが発する820nm、850nm〜900nmおよび950nm〜1000nmの近赤外線の吸収に必要な前面板の820nm〜1000nmの透過率としては30%以下であることが好ましい。しかし、あまり透過率が低くなりすぎると可視光部分の透過率も下がるので近赤外線の透過率に加え、更に可視光の中心波長である500nm〜620nmの波長での透過率が45%以上であることが好ましい。さらに好ましくは、500nm〜620nmでの透過率が50%以上である。特に好ましいのは、これに加え、ブラズマディスプレイバネルの発光体のブルーの発光領域である450nmの透過率が45%以上である。
また、透明性フィルムに反射防止性能を設けると外光反射が低下し、さらに可視光の透過率が向上してしまうので、透明性フィルムに反射防止性能を設けることは特に好ましい。また、用いる透明性導電性フィルムにこれらの性能を付与しても良いし、さらにこれらの性能を付与したフィルムを片面もしくは両面に積層しても良い。
(塗布液調整のための溶媒)
本発明に係る近赤外線吸収色素の溶媒は、特に限定されないが、例えば、水、有機溶媒(例えば、メタノール、エタノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、ホルムアミドなどのアミド類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、酢酸エチルなどのエステル類、エーテル類等)、イオン性液体、及びこれらの混合溶媒を挙げることができる。溶媒に溶解したもを水中に分散する油滴分散を行うことができる。直径10μm以下の微小油滴として分散させた分散物を油滴分散物と呼ぶ。水中に分散された微小油滴の直径は光学顕微鏡、またはレーザー光源から発せられる光が微小油滴によって回折散乱されて得られるパータンから測定することができる。実質的に水に不溶の近赤外吸収色素を微小油滴分散物としてラテックス液中に添加することも好ましく用いられる。近赤外吸収色素を油滴分散するための有機溶媒としてはいかなるものを用いてもよく、具体的にはベンゼン、トルエン、キシレン、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、ピリジン、フェノキシエタノールクロロホルムなどが挙げられるが、好ましくはベンジルアルコール、フェネチルアルコール、フェノキシエタノールであり、より好ましくはベンジルアルコール、フェノキシエタノールである。近赤外色素の濃厚溶液を水中に分散させるためには、種々の分散機が有効に用いられる。具体的には、高速攪拌機、アトライター、超音波分散機などが用いられる。近赤外吸収色素の濃厚溶液の油滴を水中で微細化する際、界面活性剤を用いることもできる。近赤外吸収色素の濃厚溶液を水に分散する場合の温度は、0℃〜100℃の範囲であり、好ましくは20℃から〜80℃の範囲であり、より好ましくは40℃〜80℃の範囲である。近赤外吸収色素の油滴分散物は、耐沈降性を持たせるために水溶性ポリマーと混合して、例えば30℃以下の温度で長期保存または冷蔵することも可能である。
《塗布液の濾過》
本発明に用いられる塗布液は塗布される前に塗布液中に存在する粗大粒子をろ過で除去することは必要である。ここで述べる「ろ過」とは、ろ過フィルターによるろ過であり、ろ過フィルターの種類や構造の詳細は特に限定されず、2μm〜10μmの孔径を通過しない異物を除去できるろ過フィルターであればどのようなものでもよい。それらのろ過フィルターを用いて粗大粒子を除去するためのシステムも特に限定されず、ろ過に大きな問題を発生しなければ、特に限定されない。
これらのろ過フィルターの素材例としては、紙、布、セルロースアセテートポリマー、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリアクリロニトリル、ポリエーテル、フッ素(ポリフッ化ビニリデン)ポリマー、ポリアミド、ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ステンレス、セラミックなどを挙げることができる。その形態は、平膜、カートリッジ化膜、中空糸膜などであり、特に限定されない。本発明において好ましく用いられるろ過フィルターは、布、ろ紙による平膜であり、また更に好ましくはカートリッジタイプのろ過フィルター、セラミックろ過フィルターが好ましい。これらの膜(ディスクタイプ)、あるいはカートリッジろ過フィルターで本発明の画像形成層用塗布液をろ過するには、カートリッジろ過フィルターを装着するハウジングを用いることが特に好ましい。
これらのろ過フィルターは、ポール社から市販されているポールエポセル(各種サイズ)、プロファイルフィルター(2、3、5、10μm孔径など)、ミリポア社から市販されているCN03(3μm)、CN06(6μm)なども使用することができる。これらのろ過フィルターは、平膜をプリーツ型にして大面積化したものであり、コンパクトで省スペースである。
これらのろ過フィルターの使用に当たっては、その使用法に特に限定はなく、塗布液が目詰まりすることなく、かつ粗大粒子を除去できればよい。しかし、一般に上記のろ過フィルターは、ハウジングに装着されて利用することで設置面積もとることなく有効である。これらのハウジングで好ましい装置としては、市販されているステンレス製、ポリプロピレン製などを挙げることができる。ハウジングのサイズや形状は特に限定されず、円形や角型あるいは一本のフィルター装填型でもよく一度に2本以上のフィルターを装填してもよい。さらにまた、フィルターを2本以上接続して、ろ過フィルター面積を大幅にアップすることもできる。さらに本発明においては、平膜タイプも利用できる。これらはごく一般的なろ過方法で使用され、受け部の上にろ過フィルターを設置し、その上に液収納部となる装置をしっかりと固定し、フィルター装着部を締め部材で締め付けてろ過液をもれないようにするものである。この時、フィルター設置部にはパッキンを装填し、液漏れを防ぐことも行われる。
次に、本発明の近赤外線吸収材料の形成に用いる塗布液のろ過を実施するに当たっては、送液のための圧力についての限定はないが、一般に加圧あるいは減圧にてろ過フィルターを通過させ粗大粒子を除去することが好ましい。特に加圧は塗布液をポンプなどで送る方法がとられることが多いが、塗布液をろ過フィルターよりも高所に配置して自然圧でろ過することも好ましい。さらにまた、塗布液に気体で圧力をかけることも好ましく、その場合は塗布液の存在するタンクは密閉系であることが実際である。送液時にポンプで圧力をかけたり、自重で加圧やさらには気体での加圧による場合は、その加圧にあたってはろ過フィルターを破損したり目詰まりさせたりして性能を劣化させない限り、特に限定されない。たとえば、ろ過フィルターにかかる圧力としては、490Pa(0.005kg/cm2)〜4.9MPa(50kg/cm2)が好ましく、更に好ましくは、980Pa(0.01kg/cm2)〜0.98MPa(10kg/cm2)が好ましく、特に好ましくは、9806Pa(0.1kg/cm2)〜0.49MPa(5kg/cm2)が特に好ましい。
また、ろ過液受け部を減圧してろ過する場合は、真空度が、100kPa(750mmHg)〜1.33kPa(10mmHg)が好ましく、93kPa(700mmHg)〜13.3kPa(100mmHg)が更に好ましく、特に93kPa(700mmHg)〜53.3kPa(400mmHg)が好ましい。
本発明は、好ましい実施態様では塗布液を塗布前にろ過することはハジキ故障や異物故障を少なくすることができるので必要である。ろ過から塗布までの時間は特に限定されない。ろ過された塗布液が粗大粒子を形成しなければ、塗布使用の相当前にろ過しても構わない。しかし、製造効率を考えると一般にろ過は塗布直前から12ヶ月以内であることが好ましく、塗布直前から6ヶ月以内であることがより好ましく、塗布直前から1月以内であることがさらにより好ましく、塗布直前から15日以内であることが特に好ましい。ここで塗布直前とは、塗布液をストックするタンクから塗布ギーサーに到る送液配管の途中に存在している場合を含み、この場合は所謂オンラインろ過となり好ましい。なお、ろ過された塗布液は最終的に塗布される工程以外のストックタンクに、一時的に保管されても問題はない。
本発明では、少なくとも一層の塗布液をろ過する。このため、複数層ある場合は、そのうちの少なくとも一層の塗布液をろ過する。好ましいのは、すべての層の塗布液をろ過する場合である。本発明において塗布液をろ過する工程を必須要件としているのは、この工程が品質与える影響が最も大きいためである。しかし、更に赤外吸収層の他に塗布面状に影響を与える層として、隣接層、保護層やその他の機能層が挙げられる。したがって、本発明においてはこれらの近赤外線吸収層以外の層を形成するための塗布液も、塗布する前に予めろ過されている事が非常に好ましい。特に、近赤外線吸収層以外の層に添加素材が添加されている場合は、ろ過することが画像のムラやピンホール欠陥を防止する上で好ましい。
後述する、隣接層(中間層や保護層等)、機能層は、一般にラテックスを主体とし、他の水溶性化合物や分散素材を含有している。例えば、紫外線吸収剤、膜質改良剤(例えばコロイダルシリカ等)、界面活性剤、pH調整剤等、多種にわたり、特に限定されない。
中でも、表面特性を付与するために、滑り剤、マット剤、塗布用界面活性剤、帯電防止剤、膜質改良剤(コロイダルシリカなど)が添加されている。
これらの層以外の機能性層の塗布液のろ過に当たっては、近赤外吸収層の塗布液のろ過で述べたと同様のろ過フィルターを利用できる。上記以外にも、ミリポア社から市販されているCN25(25μm)なども使用することができる。その際のろ過フィルターのろ過孔径は2μm〜30μmであることが好ましく、より好ましくは2μm〜10μm、特に好ましくは2μm〜5μmであり、場合により2μm〜3μmの孔径を有するろ過フィルターが好ましく用いられる。
尚、特にマット剤は表面の凸部を与えるために、一般に大きいマット剤粒子が添加されているため、ろ過フィルターの孔径はある程度のサイズを必要とし、例えば、2μm〜30μmが好ましく、より好ましくは5μm〜25μmが好ましい。さらにマット剤塗布液を予め作製する場合は、マット剤液のみ大き目の孔径のろ過フィルターで別にろ過しておき、他の素材の塗布液をマット剤に小さい孔径のろ過フィルターでろ過しておいて、一緒に混合して利用することが好ましい。本発明では、塗布液を塗布前にろ過することが必須である。
《近赤外線吸収層、隣接層(中間層、保護層等)の作製方法》
本発明では、水系の塗布液を塗布後乾燥して調製することが好ましい。ただし、ここで言う「水系」とは塗布液の溶媒(分散媒)の60質量%以上が水であることをいう。塗布液の水以外の成分としてはメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、ベンジルアルコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、オキシエチルフェニルエーテルなどの水混和性の有機溶媒を用いることができる。
近赤外吸収層形成用塗布液および隣接層(例えば、中間層や保護層形成用用塗布液である)を、スライドビードコーターを用いて支持体上に塗布することが好ましい。その際、近赤外吸収層形成用塗布液および隣接層(中間層、保護層等)形成用塗布液の塗布は、スライドビードコーターの塗布幅規制板に沿ってラテックスを含まない液を流しながら行ってもよく、また、スライドビードコーターのスライド面上に、少なくとも2種の塗布液とラテックスを含まない液を順に重ねて送液することにより定常流量にし、次いでラテックスを含まない液の送液を停止した後に塗布液を支持体上に塗布することも好ましい。
ここでいうラテックスを含まない液の粘度は、塗布液の粘度より低いことが好ましく、また、ラテックスを含まない液の表面張力は、保護層最上層の塗布液の表面張力以下であることが好ましい。
本発明では、支持体上に、近赤外線吸収層形成層用塗布液および隣接層形成用塗布液を同時に塗布し、次いで、該塗布直後から恒率乾燥期終了までの時間の1/2以下にわたり、塗布膜面上の風速を0.5m/s〜10m/sにして乾燥することが好ましい。
本発明の近赤外線吸収材料は、化学工学における乾燥理論を適用して乾燥する事が好ましい。乾燥するときの湿度の与え方は、適宜選択する必要がある。早い乾燥は、しばしばレチを発生さたり保存性を劣化したりして性能を劣化させるからである。本発明の近赤外線吸収材料は、20%RH以下、30℃〜90℃で10秒から2分以内に乾燥するのが好ましく、更には35℃〜50℃で30秒から50秒以内に乾燥するのが好ましい。
特に温度湿度の設定に関しては恒率乾燥と減率乾燥を好ましく制御するのがよい。恒率乾燥はフィルムの表面から水分が蒸発しながら乾燥していくプロセスで、このプロセスの間は表面温度が一定であるので恒率乾燥と呼ばれる。この次のプロセスは、フィルムの内部から水分が蒸発して乾燥していくので湿球温度が、フィルムの表面温度、即ち乾球温度に近づき、最後に同じになるプロセスを減率乾燥と呼ぶ。ゼラチン膜の乾燥は水分がゼラチン質量%の300倍〜400倍含まれている点が恒率乾燥と減率乾燥の堺になっている。300倍以下の水分量の乾燥条件は減率乾燥部分の乾燥条件として重要な意味をもっている。この減率乾燥部分を高い温度と低い湿度で乾燥ができるほど生産性は向上するのでこの部分の性能の変動が少ないか、性能が劣化しないのがよい。乾燥中の膜の含水率が乾量基準で70質量%〜3質量%である領域は、本発明の材料の恒率乾燥の限界含水率が乾量基準で約300質量%である点から、減率乾燥の後期になる。塗布膜の収縮は70質量%近辺より初まるので、それ以後の乾燥条件を制限することが望ましい。含水率乾量基準70質量%〜3質量%の間は乾燥条件によっては表面だけ乾燥して急激且つ不均一な膜の収縮の為塗膜に歪を与えて乾燥レチを生じたり、又、膜内部に湿分が残り付着をおこしたりする。従って70〜3質量%の含水率の間、乾燥条件として10℃≦露点≦33℃,35%≦関係温度≦85%,乾球温度36℃以下の諸条件を満足する条件下で乾燥させるのが好ましい。この範囲内での条件選定はラテックス/ゼラチン,その他乾燥風が塗布膜に当る速度等によって選定されるが、より好ましい範囲としては25℃≦乾球温度≦34℃,55%≦関係温度≦75%,最高露点≦33℃の範囲であり、最適条件としては26℃≦乾球温度≦30℃,60%≦関係温度≦75%である。
その意味としては、露点が10℃以下に落ちると乾燥能率が低下して実用的でない。関係湿度が下る程乾燥が促進され、関係湿度が85%以上になると乾燥速度が非常に遅くなるばかりでなく、接着故障を生ずる危険性がある。又乾球温度が高くなる程乾燥速度が早くなり36℃以上になると塗布膜表面が過乾になり、水分も少なくすることができるが、支持体の寸法安定性には好ましくないので70℃以下に設定するのがよい。又、乾燥速度は乾燥風速が被乾燥物にあたる速度によっても大きく影響されるので、乾燥風速100m/秒以下で被乾燥物と乾燥風吹出口間の距離は100mm以上が望ましい。より好ましい条件としては乾燥風速50m/秒以下で,距離30mm以上である。
生産における塗布、乾燥、裁断、包装工程において、塵や埃の汚れは本発明の材料の品質を損なうので、クリーン度が米国連邦基準209dクラス10,000以下の環境において行うことが好ましい。ここでいう米国連邦基準209dクラスとは、クリーンルームの規格を示すものであり、米国連邦基準209dクラス10,000以下の環境とは、粒子サイズ0.5μm以上の粒子の累積個数が10,000個/ft3以下であり、粒子サイズ5.0μm以上の粒子の累積個数が65個/ft3以下である環境であるが、塵埃粒子が宇宙空間のように0に近い値が好ましいが、超クリーンな部屋で生産することは、設備費用が掛かるので、適宜そのクリーン度を選択する必要がある。汚れや傷を防止するために、本発明の近赤外線吸収材料に20μm〜60μmのカバーフィルムを付け、使用するときに剥離して使用することを制限するものではない。この方法は処理しなければならない剥離フィルムが生じるのでできるだけ、剥離フィルムを使用しないことが経済的である。
尚、塗布後に本発明の近赤外線吸収材料をロールの状態で、10℃〜60℃且つ、40%RH〜80%RH(相対湿度)の環境条件下で少なくとも1日以上シーズニングし、その後製品出荷時において、近赤外吸収層が外側になる様に巻き返して包装することにより、架橋度を進め、カールを防止することにより、PDP(プラズマディスプレイ)の前面パネルに貼り易くすることもできるのでシーズニングを適宜選択することができる。
例えば、30℃、50%RH(相対湿度)で3日、35℃、40%RH(相対湿度)で2日とか温度と湿度の条件を適宜選択することが出来る。
《バインダー》
本発明の近赤外線吸収材料の製造(作製ともいう)に当たり、近赤外線吸収色素吸収層または、その他の層(隣接層等)を構成するバインダーとして水系用でも有機溶媒系でもよいが、使用する溶媒を可能な限り少なくした水系塗布用のバインダーを使用するのが好ましい。そのようなバインダーとしてラテックスを使用することが好ましいが、これらに限定されるものではない。ラテックス溶液に分散された近赤外色素層とその他の併設塗布される機能性層は、支持体上に塗布され加熱乾燥によって皮膜を形成する。乾燥温度は、通常、室温から約100℃の間であり、この範囲の温度で乾燥が行われる。
(ラテックス)
ラテックスは水媒体中に安定して分散される樹脂である。ラテックスとはゴムの樹などから採取される白色乳状の樹液をさしていたが、乳化重合物の出現以来、合成高分子の水分散体も含めて”水性媒体の中に高分子物質が安定して分散してるもの”をラテックスと呼ぶようになったのでこの呼称が使用されている。水分散性樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン−アクリル酸共重合体、塩化ビニリデン−イタコン酸共重合体、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンオキシド、アクリル酸アミド−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、場合によってはアクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸及びマレイン酸等のカルボン酸基を含むモノマー或いは、ジメチルアクリルアミドプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸基等のスルホン酸基を持つモノマーを一つ又は複数組み合わせて少量使用したスチレン−ブタジエン系共重合体、スチレンーイソプレン系共重合体等が挙げられる。
上記ラテックスは、水系塗布の結合剤として広く使用されているが、中でも、結合剤として耐水性を向上させるラテックスが好ましい。結合剤として耐水性を得る目的のラテックス の使用量は、塗布性を勘案して決められるが耐湿性の点から使用量は多いほど好ましく、全結合剤質量に対して30質量%〜100質量%が好ましく、60質量%〜100質量%がより好ましい。このような樹脂を市場から入手することもできる。
例えば、スチレン樹脂としてはスチレン−ブタジエンコポリマーの業界統一品番で、#1500、#1502、#1507、#1712、#1778などの種々の銘柄の住友SBRラテックス(住友化学(株))やJSRラテックス(日本合成ゴム(株))やNipolラテックス(日本ゼオン(株))を用いることができる。
スチレン−ブタジエンコポリマーは、スチレンとブタジエンの共重合比(質量%)が10/90〜90/10、より好ましくは20/80〜60/40が好ましい。ハイスチレンラテックスと呼ばれる60/40〜90/10の比率のものは、スチレン含率の低い(10/90〜30/70)樹脂と混合して用いるのが、感光層の耐傷性、物理的強度を高める上で好ましい。混合比率は(質量%)は、20/80〜80/20の範囲内が好ましい。
ハイスチレンラテックスとしては、JSR0051や同0061(以上、日本合成ゴム(株)の商品名)、およびNipol 2001,2057,2007(日本ゼオン(株)の商品名)などの市販品が使える。
また、スチレン含率の低いラテックスとしては、上記のハイスチレンラテックスとして列挙した以外の常用のものが挙げられ、JSR#1500、#1502、#1507、#1712、#1778等がある。
また、アクリル樹脂として一般に知られるアクリル系ラテックス、例えばNipol AR31,AR32、あるいはHycar 4021(いずれも日本ゼオン(株)の商品名)を用いることができる。
前記したアクリル樹脂は、次のアクリレートモノマーを原料とする重合体又は共重合体を用いることもできる。なお、以下において、(メタ)アクリロイル基は、アクリロイル基又はメタアクリロイル基の意味で用いる。
(a)分子中に(メタ)アクリロイル基を1個有するモノマとしては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、オクチルメタクリレート等の脂肪族アルコールのメタクリル酸エステル、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、オクチルアクリレート等の脂肪族アルコールのアクリル酸エステル、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメチルアクリレート等の脂環式アルコールのアクリル酸エステル、シクロヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメチルメタクリレート等の脂環式アルコールのメタクリル酸エステル、フェニルアクリレート、4−プロモフェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート等の芳香族基を含むアクリル酸エステル、フェニルメタクリレート、4−クロルフェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート等の芳香族基を含むメタクリル酸エステル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステル等がある。
(b)分子中に(メタ)アクリロイル基を2個以上有するモノマとしては、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,3−ジアクリロキシ−2−プロパノールポリエチレングリコールジアクリレート等のアクリル酸ジエステル、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ジメタクリロキシ−2−プロパノール等のメタクリル酸ジエステル、グリセリントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等のアクリル酸トリエステル、グリセリントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等のメタクリル酸トリエステル等がある。
スチレン樹脂としては、スチレンモノマーとして、メチルスチレン、エチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、ヘプチルスチレン、オクチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、ジエチルスチレン、トリエチルスチレンなどのアルキルスチレンモノマー、フロロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ヨードスチレン、ジブロモスチレンなどのハロゲン化スチレンモノマー、ニトロスチレンモノマー、アセチルスチレンモノマー、メトキシスチレンモノマー等を使用し、単独又は他のモノマーと共重合したものである。
ビニル樹脂としては、モノマーとしてビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルカルバゾール、酢酸ビニル、アクリロニトリル、塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニリデンなどのハロゲン化ビニル又はビニリデン等を構成単位として含むものである。又構成単位として分子中に2つ以上のビニル基を有するモノマを含んでもよい。例えば、ジビニルベンゼン、ブタジエン、クロロプレンなどの共役ジエンモノマー、イソプレンアジピン酸ジビニル、ジビニルスルホン、トリエチレングリコールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル等が挙げられる。
これらのモノマーは、前記したように乳化重合させることができる。この乳化重合に用いる水溶性重合開始剤としては、任意のものが選択できるが例示すると、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビスイソブチルアミド二水和物等が挙げられる。水溶性重合開始剤の使用量は、全モノマーに対して0.001モル%〜0.5モル%が好ましい。
また、前記の乳化重合に用いる分散剤は、系を安定化させるために適宜使用される。分散安定剤又は分散剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ヒドロキシアルキルアクリレートポリマー、ヒドロキシアルキルメタクリレートポリマー、ポリアクリル酸又はその塩、ポリメタクリル酸又はその塩、エチレン−アクリル酸共重合体又はその塩、エチレン−メタクリル酸共重合体又はその塩、エチレン−マレイン酸共重合体又はその塩、スチレン−アクリル酸共重合体又はその塩、スチレン−メタクリル酸共重合体又はその塩、ポリエチレンイミン、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、メチロール化ポリアミド、水溶性メラミン樹脂、水溶性フェノール樹脂、水溶性尿素樹脂、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルローズ、メチルセルローズ、ヒドロキシアルキルセルローズ、カルボキシメチルデンプン、カチオン化デンプン、デキストリン、デキストラン、アルギン酸又はその塩、カラギーナン、ジェランガム、ローカストビーンガム、アラビアガム、トラガントガム、グルコマンナン、ザレップマンナン、グアーガム、植物粘液質等の単独または2種以上の混合物が用いられる。分散剤は、使用するモノマーの全量又は分散させる樹脂の全量に対して、0.01質量%〜20質量%使用することが好ましい。
さらに、前記の乳化重合に用いる界面活性剤としては、重合反応に悪影響を及ぼさないものであれば特に限定されず、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤または非イオン界面活性剤のいずれでも使用できる。例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、高級アルコール硫酸エステルナトリウム塩、高級α−オレフィンスルホン化物ナトリウム塩、高級脂肪酸塩、高級アルキルフェノールアルキレンオキシドスルホン酸ナトリウム、高級アルキルアミン塩、高級アルキルトリメチルアンモニウム塩、高級アルキルピリジニウム塩、高級アシルアミノメチルピリジニウム塩、高級アシロキシメチルピリジニウム塩、N,N−ジポリオキシエチレン−N−高級アルキルアミン塩、高級アルキルポリエチレンポリアミン塩、トリメチル高級アルキルアニリンサルフェート、トリメチル高級アルキルベンジルアンモニウム塩、高級アルコールエチレンオキシド付加物、高級アルキルフェノールエチレンオキシド付加物、高級脂肪酸エチレンオキシド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキシド付加物、高級脂肪酸アミドエチレンオキシド付加物、グリセリン高級脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール高級脂肪酸エステル、ソルビトールやソルビタンの高級脂肪酸エステル(またはこれらのエチレンオキシド付加物)、ショ糖高級脂肪酸エステル、ポリオールの高級アルキルエーテル、アルカノールアミンの高級脂肪酸アミド、アミノ酸型両性活性剤、ベタイン型両性活性剤等の単独または2種以上の混合物が挙げられる。界面活性剤は、使用するモノマーの全量又は分散させる樹脂の全量に対して、0.01質量%〜20質量%使用することが好ましい。
本発明に用いられるラテックスについては「合成樹脂エマルジョン(奥田平、稲垣寛編集、高分子刊行会発行(1978))」、「合成ラテックスの応用(杉村孝明、片岡靖男、鈴木聡一、笠原啓司編集、高分子刊行会発行(1993))」、「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))」などに記載されている。分散粒子の平均粒径は1nm〜500nm、より好ましくは5nm〜100nm程度の範囲が好ましい。分散粒子の粒径分布に関しては特に制限はなく、広い粒径分布をもつものでも単分散の粒径分布をもつものでもよい。
本発明に用いられるラテックスとしては通常の均一の構造のラテックス以外、いわゆるコア/シェル型のラテックスでもよい。この場合コアとシェルはガラス転移温度を変えると好ましい場合がある。
本発明に用いられるラテックスの最低造膜温度(MFT)は−30℃〜90℃、より好ましくは0℃〜70℃程度が好ましい。最低造膜温度をコントロールするために造膜助剤を添加してもよい。造膜助剤は可塑剤ともよばれラテックスの最低造膜温度を低下させる有機化合物(通常有機溶剤)で、例えば前述の「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))」に記載されている。
本発明に用いられるラテックスのポリマーは、近赤外線吸収層を形成した後は25℃、55%RHでの平衡含水率が3質量%以下、より好ましくは1質量%以下のものであることが、高湿下での保存性と耐候性を向上させることができる。この平衡含水率の下限には特に制限はないが、好ましくは0.01質量程度であり、より好ましくは0.03質量%程度である。平衡含水率の定義と測定法については、例えば「高分子工学講座14、高分子材料試験法(高分子学会編、地人書館)」などを参考にすることができる。実際の測定は後記実施例に示すように行うことができる。
《紫外線吸収剤》
紫外線吸収剤としては、公知の紫外線吸収剤、例えばサリチル酸系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、S−トリアジン系化合物、環状イミノエステル系化合物などを好ましく使用することができる。これらの中、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、環状イミノエステル系化合物が好ましい。ポリエステルに配合するものとしては、特に環状イミノエステル系化合物が好ましい。
好ましい具体例としては、
(U−1)2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−α−クミル)−2H−ベンゾトリアゾール、
(U−2)5−クロロ−2−(2−ヒドロキシ−3−第三−ブチル−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、
(U−3)5−クロロ−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−第三−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール
(U−4)5−クロロ−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−α−クミルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、
(U−5)5−クロロ−2−(2−ヒドロキシ−3−α−クミル−5−第三オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、
(U−6)2−(3−第三ブチル−2−ヒドロキシ−5−(2−イソオクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、
(U−7)5−トリフルオロメチル−2−(2−ヒドロキシ−3−α−クミル−5−第三オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、
(U−8)5−トリフルオロメチル−2−(2−ヒドロキシ−5−第三オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、
(U−9)5−トリフルオロメチル−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−第三オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、
(U−10)5−トリフルオロメチル−2−(2−ヒドロキシ−3−α−クミル−5−第三ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール
(U−11)2,4−ビス(4−ビフェニルイル)−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシカルボニルエチリデンオキシフェニル)−s−トリアジン
(U−12)2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(3−ノニルオキシ※−2−ヒドロキシプロピルオキシ)−5−α−クミルフェニル]−s−トリアジン(※はオクチルオキシ基、ノニルオキシ基およびデシルオキシ基の混合物を示す。)
(U−13)2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−イソオクチルオキシカルボニルイソプロピリデンオキシフェニル)−s−トリアジン
(U−14)ヒドロキシフェニル−2H−ベンゾトリアゾール
(U−15)2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、
(U−16)2−(3,5−ジ−第三ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
《隣接層(保護層、中間層等ともいう)》
近赤外線吸収色層の上層(最上層または保護層)または、近赤外線吸収層と上層との間にある中間層について述べる。
(隣接層を構成するバインダ)
以下に、隣接層の形成に適用可能な、種々のバインダーを示すが、本発明はこれらに限定されない。バインダー用のポリマーとしては例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール、カゼイン、寒天、アラビアゴム、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアセテートなどのポリマーを使用することができる。
親水性ポリマーとしては中でもゼラチンが最も好ましい。ゼラチンとしては石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラチンなど、どのようなものでも良い。さらにゼラチン誘導体を用いてもよい。また、バインダーとしては親水性ポリマーに加えて、スチレン、メタクリル酸メチル、アクリル酸、ブチルアクリレート、エチルアクリレート、などのホモまたはコポリマーのラテックスを加えてもよい。これらのラテックスは、水分性を向上させるためのノニオン基(ポリエチレングリコールとアクリル酸のエステル)、アニオン基(例えば、イタコン酸、アクリル酸等のカルボン酸基を持つモノマー、スルホン酸基(例えば、スチレンスルホン酸、N−ジメチルスルホプロパンアクリルアミド)のあるモノマーを1モル%〜20モル%の範囲で共重合させると水分散性を向上させることができる。
(隣接層の厚み)
本発明に係る隣接層の厚みは1層当たり0.1μm〜10μm、より好ましくは0.5μm〜5μmの範囲が好ましい。本発明に係る隣接層は前述の水系の塗布液を塗布後乾燥して形成することが好ましい。
《マット剤》
本発明に係る隣接層に用いられるマット剤としてはポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、シリカなどの微粒子が好ましい。粒子の形状には特に制限はないが、球形の微粒子は好ましい。マット剤の粒径は0.2μm〜20μm、より好ましくは0.5μm〜10μmの範囲が好ましい。
マット剤の添加量は本発明の材料の層構成、厚みや使用目的によって一概に言えないが、1m2当たりの塗布量で示して10mg/m2〜200mg/m2、より好ましくは20mg/m2〜100mg/m2程度が好ましい。
最上層に用いられるスベリ剤としてはシリコン化合物(例えば、ジメチルシロキサンポリマー)、高級脂肪酸アミド(例えば、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、アラキジン酸アミド等)、高級脂肪酸のフタル酸エステル(例えば、フタル酸ジラウリルエステル)、高級脂肪酸と高級アルコールのエステル、パラフィンなど当業界で公知な化合物を用いてよい。公知の滑り剤として好ましいものは、例えば、米国特許第4,275,146号に記載の高級脂肪族アミド類、米国特許第3,933,516号に記載の高級脂肪酸もしくはその金属塩類、その他高級アルコールおよびその誘導体類、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル化合物等を挙げることができる。また、天然物の油脂、ワックス、オイル、例えば、蜜蝋なども併用することができる。さらに、併用できる好ましい公知の滑り剤として、市販または合成によって入手可能なシリコーン系化合物を挙げることができる。シリコーン系化合物にあってもポリオルガノシロキサン類が好ましい。これらの水溶液での利用に当たっては分散体の形で添加させることがこのましい。
《滑り剤》
本発明に用いられる滑り剤は、水溶液中で分散物の形で滑り剤層に添加される。この場合、水分散系で他の有機溶媒を適宜選択して含有することが出来る。その中で利用できる有機溶剤としては、例えばケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなど)、アルコール類(炭素数1〜8の低級アルコール、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコールなど)、グリコール誘導体類(セロソルブ、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなど)、炭素数1〜5の低級脂肪酸エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチルなど)、ハロアルカン類(メチレンジクロライド、エチレンジクロライド、トリクレン、トリクロロメタン、トリクロロエタン、四塩化炭素など)、炭化水素類(オクタン、ソルベントナフサ、テレピン油、石油エーテル、シンナー、石油ベンジン、ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、フェノール類(フェノール、レゾルシノールなど)、エーテル類(テトラヒドロフラン、ジオキサンなど)、リン酸エステル類(トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェートなど)、アミド系のDMFその他DMSOなどを挙げることができる。好ましくはアルコール類、ケトン類、グリコール誘導体類、低級脂肪酸エステル類、ハロアルカン類、炭化水素類である。特に、水を混合使用する溶媒系においては、水と均一溶媒となるアルコール類、ケトン類、グリコール誘導体類の中から選ばれる溶媒であり、水不使用の場合の溶媒としては炭化水素類、ケトン類、低級脂肪酸エステル類、ハロアルカン類の使用が好ましい。
この場合、水と有機溶剤の比率は100〜50:0〜50(容量%)であり、より好ましくは100〜75:0〜25(容量%)である。これらにより水系塗布液中での滑り剤の分散物の安定性、塗布性、得られる塗膜の平滑性、感材屑やゴミ等の付着防止、現像処理時のハジキ改良、耐傷性に優れるものである。なお、上記の有機溶媒は、同一もしくは異なる種類の溶媒と2種以上を混合して用いてもよい。微細分散物は公知の分散技術、例えば、機械的な剪断力による分散、超音波分散、2液混合による析出法などにより得られる。スベリ剤の添加量としては、近赤外線吸収材料1m2当たりの塗布量で示して、0.2mg/m2〜500mg/m2、より好ましくは1mg/m2〜300mg/m2が好ましい。スベリ剤は1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。
すべり剤により、フィルムがステンレスローラーの上を搬送されるときの傷の発生を押させることができるので、動摩擦係数は0.3〜0.1の範囲に調整されることが好ましい。
近赤外線吸収層を有する形成層側の最外層の滑り性は、より精度の高い搬送を可能にする観点から、動摩擦係数が0.03〜0.4であることが好ましく、より好ましくは0.05〜0.35、さらに好ましくは0.05〜0.3、特に好ましくは0.05〜0.2である。動摩擦係数の評価は、25℃、60%RHの環境下で、100gの荷重をかけた直径5mmのステンレス硬球を近赤外線吸収材料上で、60mm/秒のスピードで動かした際の、ステンレス硬球と近赤外線吸収材料の最外層との動摩擦を測定したものである。
本発明に係る赤外吸収層の隣接層が最外保護層として設けられる場合、該最外保護層に含まれるラテックスはガラス転移温度が20℃以上70℃未満であり、且つ、該ラテックスの含有量は最外保護層の総バインダー量の65質量%〜100質量%である。このような条件を満たす最外保護層を形成することにより、耐水性が向上し、ブロッキング性が優れた赤外線吸収材料を提供することができる。
最外保護層の耐水性は、赤外線吸収材料の表面に水を滴下し、25℃で1分放置した後の赤外線吸収材料の厚さの増加分、すなわち膨潤量で評価することができる。膨潤量が2μm以下であることをいう。後の膨潤量は、より好ましくは1.5μm以下であり、さらに好ましくは1μm以下である。
本発明の近赤外線吸収材料の最外保護層に用いる水溶性ポリマーとしては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリルアミド、水溶性(メタ)アクリルポリマー、水溶性糖類ポリマーなどを用いることができ、好ましくは、PVA、水溶性糖類ポリマーが用いられる。PVAとしては、けん化度80〜99%、重合度200〜5000の、通常の市販PVA、種々の変性ポリビニルアルコール(アルキル変性PVA、アニオン変性PVA、シラン変性PVA、チオール変性PVA、疎水基変性PVA等)などを用いることができる。水溶性糖類ポリマーとしては、水溶性でんぷん、デキストラン、ペクチン、寒天、マンナン、ザンタン、カラギナン、プルラン、アルギン酸、水溶性セルロース誘導体(メチルセルロース、ヒドロキシセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース)などを用いることができる。
本発明の最外保護層に水溶性ポリマーと併用するラテックスとしては、例えば、メチルメタクリレート/エチルアクリレート/メタクリル酸コポリマーのラテックス、メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/スチレン/アクリル酸コポリマーのラテックス、スチレン/ブタジエン/アクリル酸コポリマーのラテックス、スチレン/ブタジエン/ジビニルベンゼン/メタクリル酸コポリマーのラテックス、メチルメタクリレート/塩化ビニル/アクリル酸コポリマーのラテックス、塩化ビニリデン/エチルアクリレート/アクリロニトリル/メタクリル酸コポリマーのラテックスなどを挙げることができる。
本発明の近赤外線吸収材料の最外保護層に用いるラテックスは、ガラス転移温度(Tg)が20℃以上70℃未満であることが好ましく、より好ましくは20℃以上60℃未満である。ラテックスのTgが低すぎると、重ねて保存したときに接着故障を起こしやすく、耐水性が発現されにくい傾向がある。
本発明の近赤外線吸収材料の最外保護層において、ラテックスの含有量は最外保護層の総バインダーの65質量%〜100質量%であることが好ましく、より好ましくは70〜90質量%である。ポリマーラテックスの含有量が大きいほど耐水性の発現には好ましいが、含有量が大きすぎると、乾燥の過程で表面の皮張りが起きやすく、レチ、しわ、ひび割れなどの塗布故障が発生し、塗布液粘度の調節もしにくくなる傾向がある。
本発明の近赤外線吸収材料の最外保護層において、水溶性ポリマーおよびポリマーラテックスの塗布量は、両者の合計で、最外保護層当たり0.3g/m2〜4.0g/m2であることが好ましく、より好ましくは0.3g/m2〜2.0g/m2である。
保護層は必要に応じて2層以上にすることができる。例えば、保護層を2層にし、赤外吸収層に近い側に、ラテックスを添加した塗布液から形成された層を設けることにより、耐水性と密着を改良することができる。また、赤外吸収層に近い側の層の塗布液のpHを下げ、表面側の層の塗布液のpHを5よりも高くすることで、赤外吸収性能と製造適性の両立をはかることができるなど、赤外吸収特性に関与する添加剤、膜面pH調節剤、帯電調整剤、紫外線吸収剤、滑り剤や、硬膜剤の添加層を選ぶことにより、塗布性、製造適性と赤外吸収性能とが両立できるように設計することができる。
本発明において、最外保護層には、耐ブロッキング性や搬送性改良のためにマット剤を添加することができる。なお、最外保護層として機能する層、または外表面に近い層に添加することもできる。マット剤については、特開平11−65021号公報の段落番号0126〜0127に記載されている。マット剤の使用量は1m2当たり、1mg/m2〜400mg/m2であることが好ましく、より好ましくは5mg/m2〜300mg/m2である。近赤外線吸収層の最外層のマット度はヘイズの発生が問題にならない範囲であれば大きくすることも可能であるが、通常はベック平滑度が30秒〜2000秒であることが好ましく、より好ましくは40秒〜1500秒である。バック面のマット度は、ベック平滑度が10秒〜1200秒であることが好ましく、より好ましくは20秒〜800秒であり、さらに好ましくは40秒〜500秒である。平滑度を別の表現をすれば、近赤外線吸収材料の最表面はJIS−B 0601におけるRaが0.1μm〜10μmの範囲に、好ましくは0.3μm〜5μmの範囲に、さらに好ましくは0.5μm〜3μmの範囲が好適である。このようにRaを一定範囲内にすることにより、指紋が付きにくいことや搬送時の剥離性を制御することができる。
近赤外線吸収層の全バインダー量は、好ましくは0.2〜30g/m2、より好ましくは1.0〜15g/m2の範囲である。保護層の全バインダー量は、好ましくは0.2〜10.0g/m2、より好ましくは0.5〜6.0g/m2の範囲である。赤外吸収層の反対側の層(裏層)の全バインダー量は、好ましくは0.01〜10.0g/m2、より好ましくは0.05〜5.0g/m2の範囲である。
これらの各層は、2層以上設けられる場合がある。赤外吸収層が2層以上である場合は、すべての層のバインダーとしてラテックスを用いることが好ましい。また、保護層は画像形成層上に設けられる層であり2層以上存在する場合もあるが、少なくとも1層、特に最外層の保護層にラテックスが用いられることが好ましい。また、裏層は支持体裏面の下塗り層の上部に設けられる層であり2層以上存在する場合もあるが、少なくとも1層、特に最外層の裏層にラテックスを用いることが好ましい。
本発明において、それぞれの層には、特開2000−19678号公報の段落番号[0023]〜[0041]に記載の官能基を導入した第一のラテックスとこの第一のラテックスと反応しうる官能基を有する架橋剤及び/または第二のラテックスを用いて形成させることもできる。官能基の具体例としては、カルボキシル基、ヒドロキシル基、イソシアネート基、エポキシ基、N−メチロール基、オキサゾリニル基、アミノ基、ビニルスルホニル基など、架橋剤としては、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、メチロ−ル化合物、ヒドロキシ化合物、カルボキシル化合物、アミノ化合物、エチレンイミン化合物、アルデヒド化合物、ハロゲン化合物などから選ばれる。架橋剤の具体例として、イソシアネート化合物:ヘキサメチレンイソシアネート、デュラネートWB40−80D、WX−1741(旭化成工業(株)製)、バイヒジュール3100(住友バイエルウレタン(株)製)、タケネートWD725(武田薬品工業(株)製)、アクアネート100、200(日本ポリウレタン(株)製)、特開平9−160172号公報記載の水分散型ポリイソシアネート、アミノ化合物:スミテックスレジンM−3(住友化学工業(株)製)、エポキシ化合物:デナコールEX−614B(ナガセ化成工業(株)製)、ハロゲン化合物:2,4ジクロロ−6−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジンナトリウムなどを挙げることができる。
本発明の樹脂の架橋剤としてはエポキシ化合物、イソシアネート化合物、メラミン化合物等の公知の架橋剤が使用できる。またバインダーがゼラチンの場合にはグリオキザル、グルタルアレデヒド等のアルデヒド系、シアヌル酸系、ビニルスルホン系架橋剤を組み合わせて使用できる。架橋剤の添加量は通常バインダーの0.1〜20質量%、より好ましくは1〜10質量%程度が好ましい。架橋剤の使用は、膜の強度や層間接着性を高めるために必要であり、最表面の鉛筆硬度は3H以下、好ましくは2H以下であることが好ましく、このような硬度が得られるように適宜架橋剤の使用量や使用方法を選択するのが好ましい。
《支持体》
本発明では、支持体として、プラスチックフィルム、プラスチック板、ガラスなどを用いることができる。プラスチックフィルム及びプラスチック板の原料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル類、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレンなどのビニル系樹脂、ポリカーボネート(PC)、トリアセチルセルロース(TAC)などを用いることができる。
透明性、耐熱性、取り扱いやすさ及び価格の点から、上記プラスチックフィルムはPET、PEN、TACであることが好ましい。
ディスプレイ用の赤外線吸収材料では透明性が要求されるため、支持体の透明性は高いことが望ましい。この場合におけるプラスチックフィルム又はプラスチック板の全可視光透過率は好ましくは70〜100%であり、より好ましくは80〜100%であり、さらに好ましくは90〜100%である。また、本発明では、色気調節剤として前記プラスチックフィルム及びプラスチック板を本発明の目的を妨げない程度に着色したものを用いることもできる。
(支持体の厚さ)
本発明の近赤外線吸収材料の支持体の厚さは、5μm〜200μmであることが好ましく、30μm〜150μmであることがさらに好ましい。5μm〜200μmの範囲であれば所望の可視光の透過率が得られ、かつ取り扱いも容易である。
《機能層》
本発明では、必要に応じて、別途、機能性を有する機能層を設けていてもよい。この機能層は、用途ごとに種々の仕様とすることができる。例えば、ディスプレイ用電磁波遮蔽材用途としては、屈折率や膜厚を調整した反射防止機能を付与した反射防止層や、ノングレアー層またはアンチグレアー層(共にぎらつき防止機能を有する)特定の波長域の可視光を吸収する色調調節機能をもった層、指紋などの汚れを除去しやすい機能を有した防汚層、傷のつき難いハードコート層、衝撃吸収機能を有する層、ガラス破損時のガラス飛散防止機能を有する層などを設けることができる。
これらの機能性膜はPDPに直接貼合してもよく、プラズマディスプレイパネル本体とは別に、ガラス板やアクリル樹脂板などの透明基板に貼合してもよい。これらの機能性膜を光学フィルター(または単にフィルター)と呼ぶことができる。
反射防止機能を付与した反射防止層は、外光の反射を抑えてコントラストの低下を抑えるために、金属酸化物、フッ化物、ケイ化物、ホウ化物、炭化物、窒化物、硫化物等の無機物を、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法等で単層あるいは多層に積層させる方法、アクリル樹脂、フッ素樹脂等の屈折率の異なる樹脂を単層あるいは多層に積層させる方法等がある。また、反射防止処理を施したフィルムを該フィルター上に張り付けることもできる。また、ノングレア処理またはアンチグレア処理をしたフィルムを該フィルター上に張り付けることもできる。更に必要で有ればハードコート層を設けることもできる。
特定の波長域の可視光を吸収する色調調節機能をもった層は、PDPが青色を発光する蛍光体が青色以外に僅かであるが赤色を発光する特性を有しているため、青色に表示されるべき部分が紫がかった色で表示されるという問題があり、この対策として発色光の補正を行う層であり、595nm付近の光を吸収する色素を含有する。
このような特定波長を吸収する色素としては、具体的には例えば、アゾ系、縮合アゾ系、フタロシアニン系、アンスラキノン系、インジゴ系、ペリノン系、ペリレン系、ジオキサジン系、キナクリドン系、メチン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、ピロール系、チオインジゴ系、金属錯体系などの周知の有機顔料および有機色素、無機顔料が挙げられる。これらの中でも、耐候性が良好であることから、フタロシアニン系、アンスラキノン系色素が特に好ましい。
本発明の近赤外線吸収材料をPDPに貼るに際しての粘着剤としては透明性の高いものがよい。例えば、酢酸ビニル系、エポキシ系、ウレタン系、エチレン−酢酸ビニル系、ウレタン−アクリレート系、エポキシ−アクリレート系等が好ましい。中でも透明性、及び無色系のエポキシ−アクリレート、エチレン−酢酸ビニル系がより好ましい。本発明における透明性フィルムに反射防止効果を持たせるには、シリカ微粉末、酸化スズ、酸化チタンの微粉末をアクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリエステル樹脂等をトルエン等芳香族炭化水素、グリコールエーテル系、プロピレングリコール系のエステル系有機溶剤に溶解した透明性印刷インキに添加した溶液を透明性フィルムに塗布しても良い。これら微粉末の平均粒径としては、0.01〜10μmが好ましく、更に好ましくはこれら粒径が違うものを複数種混ぜることである。これは、透明性フィルム表面に凹凸形状を持たせることで反射光を乱反射させることにより視感の反射率を低減させることである。次に、薄層を透明性フィルムに設け、薄層の界面における光の反射と屈折の効果を利用する方法がある。すなわち、該薄層の厚みがλ/4(λ:光の波長)の場合には、薄層の上面反射光と下面反射光との光の位相が干渉によって打ち消し合う様にずれ、その反射光を合成すると光の強度が低下すること、及び薄層材の屈折率をnfとし、該薄層を形成するための透明性フィルムの屈折率をnbとしたときにnfとnbの1/2乗値が等しいとき、光の反射が最も低くなる原理を応用する。従って、薄層の厚みは反射を防ぎたい光の波長の1/4が目標となる。すなわち好ましくは薄層の厚みは0.05〜0.25μmである。また、透明性フィルムと薄層1の間にさらに薄層2を設けた場合、薄層2の屈折率が関係し、薄層2の屈折率をnbに用いて上記の計算方法で反射を防止することが出来る。また、一般的にはそれを完全に満足する組み合わせは、得られないが、薄層材の屈折率は透明性フィルムの屈折率よりも極力低いことが必要で、屈折率が1.28〜1.45のフッ素系樹脂を用いるのが好ましい。透明性フィルムがポリエチレンテレフタレートの場合は屈折率が1.64なので適当な例として上げることが出来る。また、三酢酸セルロースの透明性フィルムの場合は屈折率が1.50なので薄層としてフッ素系樹脂を用いる場合には、透明性フィルムと薄層の間に屈折率が1.59のジアリルフタレート樹脂層を設けたり、屈折率が2.00の酸化錫の層を設けたり、酸化錫と屈折率が1.49のアクリル樹脂を混合して屈折率を1.59に調整した層を設けるのも好ましい。
透明性フィルムに帯電防止性能を持たせるには、界面活性剤を塗布もしくはコーティングして設けるのがよい。透明性フィルムに酸化スズ、酸化チタン、ITO等の透明性導電性物質を印刷インキに添加して塗布しても良いし、スパッタリング等で薄層にして設けるのも良い。必要に応じ、先に述べた透明性フィルムに透明性導電剤の層を設けたり、酸化スズの印刷インキを塗布したりした後、フッ素系樹脂を設けることで、帯電防止性能と反射防止性能の両方の性能を設けることもでき、更に好ましい。帯電防止性能付与のために表面の導電性が重要で、表面抵抗が106Ω〜1012Ω/□が好ましい。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。尚、以下の実施例に示される材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明は以下に示す具体例により限定されない。
《実施例1》
《近赤外線吸収材料106の作製》:本発明
支持体とする厚さ175μmの透明な2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの両面を100W/m2・分コロナ処理した後、両面に屈折率1.55、25℃における弾性率100MPa、ガラス転移温度37℃のスチレン−ブタジエンコポリマーからなるラテックス(日本ゼオン(株)製、LX407C5)を300nmの厚さに塗布し、下塗り層を形成した。この下塗り層の上には屈折率1.50、25℃における弾性率120MPa、ガラス転移温度50℃のアクリル系ラテックス(HA16、日本アクリル(株)製)を乾燥後の厚さ80nmとなるように塗布し、第2下塗り層を形成した。下塗り第2層中には、帯電防止剤として、インジウムを3%ドープした酸化錫の微粒子(12nm)、ガリウムを4%ドープした酸化亜鉛の微粒子(15nm)を各々30mg/m2含有させ帯電防止機能を付与させた。
更に第2の下塗り層の上に近赤外線吸収色素(S−7とI−6が各々等モルになるように調整)(付き量:5×10-4モル/m2)及び紫外線吸収剤(U−1)(付き量:5×10-4モル/m2)、水分散性樹脂(VB)2.7g/m2、ゼラチン0.9g/m2、ジヒドロキシベンゼン誘導体(H−10)(1×10-3モル/m2)、ピラゾリドン誘導体(4))(5×10-4モル/m2)、アルカリ剤(NaOH)(3×10-3モル/m2)を各々含有する近赤外吸収層形成用塗布液(近赤外線吸収色素の分散の詳細は下記に示す)と、下記のゼラチン保護層形成用塗布液とを、まず、調製した。
(近赤外線吸収層形成用塗布液の調製)
近赤外線吸収色素の分散は、5mlのクロロホルムに10-2モルの色素を溶解し、これをラウリルアルコールと重合度10のポリエチレングリコールの縮合物及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムをそれぞれ0.1g添加され、樹脂が分散された4%ゼラチン水溶液100ml(樹脂とゼラチン比3:1)に加え、真空ポンプで有機溶媒を除去しながら30000rpsの高速攪拌機で30分間分散した。粒子径の測定はコールター社のコールターカウンターマルチサイザーII型を使用し平均粒子径が100nmになるように分散されていることを確認した。塗布時の樹脂とゼラチンの付き量は、塗布液に樹脂またはゼラチンを加えながら調節した。
塗布液中に添加する架橋剤は、ゼラチングラム当たり、それぞれ0.1ミリモルのグリオキザル、ビス−1,3−(ビニルスルホン)−2−ヒドロキシプロパン、エピクロルヒドリンとビスフェノールAの縮合物、ジエチルアミノエチルトリエトキシシラン及び2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジンナトリウムを加えた。
(ゼラチン保護層形成用塗布液の調製)
近赤外線吸収層の保護層は、アルカリ処理ゼラチンの10%水溶液1Lに、紫外線吸収剤として、6−(2−ベンゾトリアゾリル)−4−t−オクチル−6’−t−ブチル−4’−メチルー2,2’−メチレンビスフェノールを3g、架橋剤として1,3−ビス(ビニルスルホンアミド)−2−ヒドロキシプロパンをゼラチン1g当たり2ミリモル、マット剤(平均粒子径3μm)を添加し、ゼラチンの付き量が0.7g/m2となるように調製した。
また、ゼラチン保護層の塗布液は、フッ素界面活性剤としてジパーフロロヘキシルスルホ琥珀酸エステルを塗布液中に添加して表面張力が0.036N/m2(36±2dyn/cm)となるように調製した。
(塗布)
塗布はスライドコーターを用い、近赤外線吸収層形成用塗布液及びゼラチン保護層形成用塗布液を、塗布速度200m/分の同時重層塗布を行い、乾燥は減率乾燥域までを2分以内にとした。塗布直後から恒率乾燥期終了までの時間の1/2以下にわたり、塗布膜面上の風速を2m/sとした。
尚、塗布に際しては、塗布液のろ過はミリポア社のろ過フィルター3μm、10μm、30μmを直列連結した3段ろ過を行った。尚、サンプルの塗布、乾燥、裁断、包装はクリーン度が米国連邦基準209dクラス10,000以下の環境において行った。
支持体に対して近赤外線吸収層の反対側に反射防止膜、ハードコート膜を塗布した。これらの機能性膜の塗布の詳細は以下に示すが、反射防止膜及びハードコート膜は、反対側の近赤外線吸収の性能を損なうものではなかった。
(ハードコート膜の形成)
紫外線硬化型アクリル樹脂(アロニックスUV−3700:東亜合成化学社)25.0質量%部、インジウムをドーピングした酸化スズ(粒子径:0.2〜2.0μm)8.0質量%部、メチルエチルケトン24.0質量%部及びトルエン33.0質量部からなるハードコート層用塗料をメイヤーバーにて塗布し、高圧水銀灯により紫外線を1秒〜2秒照射して、ハードコートフィルムを得た。
(反射防止膜の形成)
ハードコート層上に、更に、下記に記載の低屈折率層用塗工液を、乾燥後の膜厚が100μmになるように塗工し、120℃で1時間の熱処理を行い、本発明の反射防止フイルムを得た(低屈折率層の屈折率=1.42)。得られた反射防止フイルムの全光線透過率は94.0%、ヘイズ値0.5、可視光線の波長領域での最低反射率は0.5であり、反射防止性に優れていた。
《低屈折率層形成用塗工液の調製》
テトラエトキシシラン加水分解物A(調製方法は下記に示す) 103質量部
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
(信越化学社製、KBM503) 1質量部
直鎖ジメチルシリコーン−EOブロックコポリマー
(日本ユニカー社製、FZ−2207) 0.1質量部
中空シリカ系微粒子(触媒化成工業社製、P−4) 50質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 270質量部
イソプロピルアルコール 270質量部
〈テトラエトキシシラン加水分解物Aの調製〉
テトラエトキシシラン25gとエタノール222gを混合し、これにクエン酸一水和物の1.5%水溶液54gを添加した後に、室温にて3時間撹拌して調製した。
《近赤外線吸収材料100〜105、107〜122の作製》
近赤外線吸収材料106の作製において、近赤外線吸収色素、ジヒドロキシベンゼン誘導体(表1では、DHBと記載)またはピラゾリドン誘導体(表1では、PZNと記載)、アルカリ剤、紫外線吸収剤、樹脂分散液の種類を表1に記載のように変更した以外は、同様にして、近赤外線吸収材料100〜105、107〜122を各々作製した。
Figure 2007111940
尚、樹脂分散液の調製は下記のように行った。
《樹脂分散液の調製》
(アクリル樹脂水分散液(記号AL)の調製)
0.5Lの三つ口フラスコに脱イオン水300g、メタクリル酸メチル(MMA)25g、スチレン25g、アクリル酸エチル(EA)45g、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)5g、過硫酸アンモニウム250mgを加え、窒素でバブリングさせながら100℃で3時間攪拌をし、室温に戻し、アクリル樹脂水分散液(AL)を調製した。
(スチレン−ブタジエン樹脂水分散液(記号SB)の調製)
上記のアクリル樹脂水分散液と同様に重合した。具体的には、0.5Lの三口フラスコに脱イオン水300g、ブタジエン48g、スチレン40g、イタコン酸12g、アクリル酸2g、アニオン性乳化剤1g、過硫酸カリウム6gを添加し、25℃で30分間撹拌し、次にこの混合物を60℃に加熱し、2gの重亜硫酸ナトリウムを加え3時間重合させた。
(スチレン−イソプレン樹脂水分散液(記号SI)の調製)
上記のアクリル樹脂水分散液と同様に重合した。具体的には、1Lの三口フラスコに脱イオン水300g、イソプレン40g、スチレン48g、イタコン酸12g、アクリル酸2g、アニオン性乳化剤1g、過硫酸カリウム6gを添加し、25℃で30分間撹拌し、次にこの混合物を60℃に加熱し、2gの重亜硫酸ナトリウムを加え3時間重合させた。
(ポリビニルブチラール樹脂水分散液(記号VB)の調製)
容積1Lステンレス製のフラスコに、重合度1500、ケン化度99.5モル%のポリビニルアルコール粒子80gと純水300gを仕込み、分散液を95℃まで昇温し、溶解後75℃まで冷却した。同水溶液に10質量%の塩酸を3g、ブチルアルデヒドを20g添加し反応を進めた。反応中はアルデヒドの系外への揮発・流出を防止するために還流を行なった。追加触媒として10%濃度の塩酸を90g添加し、温度を82℃で4時間保った。反応終了後、40℃まで液を冷却し、常温で重曹で中和し、生成樹脂を水洗し乾燥した。この樹脂100gを300gのイソプロパノール15%水溶液に分散させた。
(酢酸ビニル樹脂水分散液(記号VA)の調製)
容積1Lステンレス製のフラスコに水300g、酢酸ビニル100g、アニオン性乳化剤1gを仕込み、この分散液を85まで加熱し、30分後に過硫酸カリウムを3g添加し、85℃で3時間乳化重合を行った。
ウレタン樹脂水分散液(記号UN):1L反応容器に、数平均分子量2000のポリテトラメチレンエーテルグリコール70gを仕込み、窒素気流下100℃にて1時間かけ、85℃まで冷却した後、イソホロンジイソシアネート32gを仕込み、85℃にて3時間反応を行い、ウレタンポリマー102gを得た。ウレタンポリマーのイソプロピルアルコール溶液とした。ついで40℃にて水300gを撹拌下に加え、分散後、ポリウレタン樹脂の水分散液を得た。
《経時劣化の評価》
得られた近赤外線吸収材料100〜122の各々について、温度70℃、90%RH(相対湿度)の条件下、200時間放置し、400nm〜750nmの可視部の平均透過率吸収、800nm〜1000nmの近赤外部の平均吸収割合%で表示した。作製試料の内容及び評価した性能結果を表1に示す。耐光性劣化試験はスガ試験機株式会社製スーパーキセノンウエザーメーターSX75を使用し、55%RH(相対湿度)、照射強度50W/m2、110時間試験後の吸収劣化の割合を評価し、得られた結果を表2に示す。
Figure 2007111940
表2から、比較に比べて、本発明の試料は、紫外線照射前後において、450nm〜750nmの可視光に対する高い透過率が維持され、且つ、800nm〜1000nmの近赤外線の対する吸収率は高い吸収能を維持していることがわかる。
このことから、本発明の試料は、高温高湿度条件下においても、近赤外吸収性が低下せず、且つ、耐光性の劣化のない近赤外線吸収材料であることが明らかである。

Claims (7)

  1. 支持体上に、少なくとも1層の近赤外線吸収層を有し、該近赤外線吸収層が、極大波長を750nm〜1100nmの範囲に示す化合物を含有し、前記近赤外線吸収層または、前記近赤外線吸収層の隣接層が、ジヒドロキシベンゼン誘導体またはピラゾリドン誘導体を含有することを特徴とする近赤外線吸収材料。
  2. 前記ジヒドロキシベンゼン誘導体が、1,4−ジヒドロキシベンゼン誘導体であることを特徴とする請求項1に記載の近赤外線吸収材料。
  3. 前記ピラゾリドン誘導体が、1−フェニル−3−ピロリドン誘導体であることを特徴とする請求項1または2に記載の近赤外線吸収材料。
  4. 前記近赤外線吸収層または隣接層中が、アルカリ剤を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の近赤外線吸収材料。
  5. 前記アルカリ剤がアルカリ金属及びアルカリ土類金属から選択される金属群から選択される金属の塩であることを特徴とする請求項4に記載の近赤外線吸収材料。
  6. 前記化合物が、フタロシアニン誘導体、ニッケルジチオール錯体化合物、ジイモニウム誘導体及びスクワリウム誘導体からなる群から選択される少なくとも一つであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の近赤外線吸収材料。
  7. 構成層として、反射防止層、高硬度層、粘着層及び電磁波吸収層からなる機能性層群から選択される少なくとも一つの層を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の近赤外線吸収材料。
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